JP2004081983A - 基板処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造工程における経済性を向上させる基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板処理装置に試行塗布ポッド352、測定部37および移動機構38を設ける。試行塗布ポッド352に試行塗布面353aを有する塗布部材353を設け、測定部37にギャップを検出するギャップセンサ370を設ける。基板に対する塗布処理を行う前に、試行塗布面353aにレジスト液を塗布し試行塗布層900を形成する。移動機構38が測定部37をY軸方向に移動させ、ギャップセンサ370が試行塗布層900との間のギャップを検出し、試行塗布層900の厚さ寸法を検出する。基板処理装置は、当該厚さ寸法に基づいて試行塗布層900が均一に形成されているかを検査し、スリットノズル41の状態を判定する。基板処理装置では、スリットノズル41が正常であると判定された場合にのみ、基板に対する処理が行われる。
【選択図】 図5
【解決手段】基板処理装置に試行塗布ポッド352、測定部37および移動機構38を設ける。試行塗布ポッド352に試行塗布面353aを有する塗布部材353を設け、測定部37にギャップを検出するギャップセンサ370を設ける。基板に対する塗布処理を行う前に、試行塗布面353aにレジスト液を塗布し試行塗布層900を形成する。移動機構38が測定部37をY軸方向に移動させ、ギャップセンサ370が試行塗布層900との間のギャップを検出し、試行塗布層900の厚さ寸法を検出する。基板処理装置は、当該厚さ寸法に基づいて試行塗布層900が均一に形成されているかを検査し、スリットノズル41の状態を判定する。基板処理装置では、スリットノズル41が正常であると判定された場合にのみ、基板に対する処理が行われる。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板に対して所定の処理液を塗布する基板処理装置における技術に関する。より詳しくは、フラットパネルディスプレイ等の製造用のガラス基板等に所定の処理液を塗布するスリットノズルの検査技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
基板の表面に対してレジスト液などの所定の処理液を塗布する場合、保持台上の所定の位置に基板を保持しておき、スリットノズルによって処理液を吐出しつつ基板の表面を走査するスキャンコーティングが行われる。例えば、特開平11−165111号公報には、モータによってボールネジを回転させ、スリットノズルの両端に剛性結合された2つの移動台を移動させることにより、スキャンコーティングを行う基板処理装置に関する技術が提案されている。このような技術は、処理対象となる基板が大型である場合や、角形の基板である場合には、スピンコーティング(基板を回転させつつ塗布する手法)による均一な薬液塗布が難しいため、特に有効である。
【0003】
しかし、スキャンコーティングに用いられるスリットノズルは、スリットの幅が数十μm程度と非常に狭く、異物の付着や乾燥などにより部分的に詰まる場合がある。そのような状態のスリットノズルによって基板を処理すると、処理液が均一に吐出されないことから、基板上に形成される塗布層に塗布ぬけ(部分的に塗布層が形成されていない状態)や塗布ムラ(形成された塗布層の厚さ寸法にバラツキが生じている状態)が発生する。したがって、スリットノズルが均一な吐出を行うことができない状態にある場合は、洗浄などの回復措置を行う必要がある。
【0004】
そこで、従来より、基板に対して塗布処理を行った後に、当該塗布処理により形成された塗布層の検査を行い、塗布ぬけや塗布ムラなどのスリットノズルの状態が原因で不良となった基板が検出された場合に、スリットノズルの点検や回復措置を行う技術が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記技術では、基板に対して形成された塗布層に対して検査を行うため、スリットノズルの状態にかかわらず、最低でも一回は基板に対する塗布処理を行わなければならない。したがって、スリットノズルに目詰まりが生じている場合には、処理液が最低でも一回分無駄になることから、基板の製造工程の経済性が悪化するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、基板の製造工程における経済性を向上させる基板処理装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、基板を保持する保持台と、前記基板に対して所定の処理液を吐出するスリットノズルと、前記保持台の表面に沿って掛け渡された架橋構造と、前記架橋構造を前記保持台に保持されている前記基板の表面に沿った方向に移動させる第1移動手段とを備え、前記第1移動手段が、前記基板の表面に沿った方向に前記架橋構造を移動させつつ、前記スリットノズルによって前記基板の表面を走査することにより、前記基板の表面に対して前記所定の処理液の塗布層を形成する基板処理装置において、前記スリットノズルによって前記所定の処理液の試行塗布を受ける試行塗布面を有する塗布部材と、前記スリットノズルによって前記試行塗布面に塗布された前記所定の処理液の試行塗布層を検査する検査手段と、前記検査手段による検査結果に基づいて、前記スリットノズルの状態を判定する判定手段とをさらに備え、前記基板の表面に前記スリットノズルによって前記塗布層を形成する前に、前記判定手段が前記スリットノズルの状態を判定する。
【0008】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る基板処理装置において、前記検査手段が、前記試行塗布層を画像として撮像する撮像部を有し、前記検査手段が、前記撮像部により撮像された前記試行塗布層の画像に基づいて、前記試行塗布層を検査する。
【0009】
また、請求項3の発明は、請求項1の発明に係る基板処理装置において、前記検査手段が、所定の方向の存在物との間の距離を検出するセンシング手段と、前記センシング手段の検出結果に基づいて前記試行塗布層の厚さ寸法を算出する算出手段とを有し、前記検査手段が、前記算出手段により算出された前記試行塗布層の厚さ寸法に基づいて、前記試行塗布層を検査する。
【0010】
また、請求項4の発明は、請求項3の発明に係る基板処理装置において、前記検査手段が、前記センシング手段を移動させる第2移動手段をさらに有し、前記第2移動手段が、前記センシング手段を前記スリットノズルに沿った方向に移動させつつ、前記センシング手段によって前記試行塗布層を走査することにより、前記スリットノズルに沿った方向における前記試行塗布層の厚さ寸法を検出する。
【0011】
また、請求項5の発明は、請求項3または4の発明に係る基板処理装置において、前記センシング手段が、前記所定の方向にレーザ光を投光し、前記存在物の表面により反射された前記レーザ光のうちの正反射光を受光素子配列で受光することにより、前記存在物との間の距離を検出するレーザ式変位計である。
【0012】
また、請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかの発明に係る基板処理装置において、前記塗布部材が板状であり、前記試行塗布面が略平坦面とされている。
【0013】
また、請求項7の発明は、請求項1ないし5のいずれかの発明に係る基板処理装置において、前記塗布部材が円筒状であり、前記試行塗布面が略円筒面とされている。
【0014】
また、請求項8の発明は、請求項1ないし7のいずれかの発明に係る基板処理装置において、前記基板がフラットパネルディスプレイ用の角形基板であり、前記所定の処理液がレジスト液、カラーフィルタ形成用塗布液、平坦化膜形成用塗布液、絶縁膜形成用塗布液のいずれかである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0016】
<1. 第1の実施の形態>
<1.1 構成の説明>
図1は、本発明の第1の実施の形態における基板処理装置1の概略を示す斜視図である。図2は、基板処理装置1の本体2の正面図である。
【0017】
基板処理装置1は、本体2と制御系6とに大別され、液晶表示装置の画面パネルを製造するための角形ガラス基板を被処理基板90としており、基板90の表面に形成された電極層などを選択的にエッチングするプロセスにおいて、基板90の表面にレジスト液を塗布する塗布装置として構成されている。したがって、この実施の形態では、スリットノズル41は基板90に対してレジスト液を吐出するようになっている。なお、基板処理装置1は、液晶表示装置用のガラス基板だけでなく、一般に、フラットパネルディスプレイ用の種々の基板に処理液(薬液)を塗布する装置として変形利用することもできる。
【0018】
本体2は、被処理基板90を載置して保持するための保持台として機能するとともに、付属する各機構の基台としても機能するステージ3を備える。ステージ3は直方体形状の一体の石製であり、その上面(保持面30)および側面は平坦面に加工されている。
【0019】
ステージ3の上面は水平面とされており、基板90の保持面30となっている。保持面30には多数の真空吸着口が分布して形成されており、基板処理装置1において基板90を処理する間、基板90を吸着することにより、基板90を所定の水平位置に保持する。
【0020】
この保持面30のうち基板90の保持エリア(基板90が保持される領域)を挟んだ両端部には、略水平方向に平行に伸びる一対の走行レール31aが固設される。走行レール31aは、架橋構造4の両端部に固設される支持ブロック31bとともに、架橋構造4の移動を案内し(移動方向を所定の方向に規定する)、架橋構造4を保持面30の上方に支持するリニアガイドを構成する。
【0021】
ステージ3の上方には、このステージ3の両側部分から略水平に掛け渡された架橋構造4が設けられている。架橋構造4は、カーボンファイバ樹脂を骨材とするノズル支持部40と、その両端を支持する昇降機構43,44とから主に構成される。
【0022】
ノズル支持部40には、スリットノズル41とギャップセンサ42とが取り付けられている。
【0023】
水平Y方向に伸びるスリットノズル41には、スリットノズル41へ薬液(レジスト液)を供給する配管やレジスト用ポンプを含む吐出機構(図示せず)が接続されている。スリットノズル41は、レジスト用ポンプによりレジスト液が送られ、基板90の表面を走査することにより、基板90の表面の所定の領域(以下、「レジスト塗布領域」と称する。)にレジスト液を吐出する。
【0024】
ギャップセンサ42は、架橋構造4のノズル支持部40に基板90の表面と対向する位置に取り付けられ、所定方向(−Z方向)の存在物(例えば、基板90やレジスト膜)との間の距離(ギャップ)を検出して、検出結果を制御系6に伝達する。
【0025】
図3は、ギャップセンサ42に用いられるレーザ変位計の原理を示す図である。ギャップセンサ42は、CCD(一般には受光素子配列)420および受光レンズ421を備え、図示しない投光部から所定の方向にレーザ光を発射(投光)する。投光部から発射されたレーザ光(入射光)は、存在物の表面SF1で反射され、当該反射されたレーザ光のうちの正反射光が受光レンズ421を通って、CCD420で受光される。
【0026】
ここで、ギャップセンサ42において、投光部、基準面SF0、およびCCD420の各位置関係は既知であり、投光部が発射するレーザ光の発射方向および受光レンズ421の焦点位置も既知である。したがって、ギャップセンサ42は、受光したレーザ光のCCD420上における強度分布(CCD420上の受光位置を示す)から三角測量法の原理に基づいて、基準面SF0と存在物の表面SF1との間の距離(ギャップ)Dを検出する機能を有している。
【0027】
このように、ノズル支持部40にスリットノズル41とギャップセンサ42とが取り付けられることにより、これらの相対的な位置関係が固定される。したがって、制御系6は、ギャップセンサ42の検出結果に基づいて、基板90の表面(または、レジスト膜の表面)とスリットノズル41との距離を検出することができる。なお、本実施の形態における基板処理装置1では2つのギャップセンサ42を備えているが、ギャップセンサ42の数はこれに限られるものではなく、さらに、多くのギャップセンサ42を備えていてもよい。
【0028】
昇降機構43,44はスリットノズル41の両側に分かれて、ノズル支持部40によりスリットノズル41と連結されている。昇降機構43,44はスリットノズル41を並進的に昇降させるとともに、スリットノズル41のYZ平面内での姿勢を調整するためにも用いられる。
【0029】
架橋構造4の両端部には、ステージ3の両側の縁側に沿って別れて配置された一対のACコアレスリニアモータ(以下、単に、「リニアモータ」と略する。)50,51が、それぞれ固設される。
【0030】
リニアモータ50は、固定子(ステータ)50aと移動子50bとを備え、固定子50aと移動子50bとの電磁的相互作用によって架橋構造4をX軸方向(基板90の表面に沿った方向)に移動させるための駆動力を生成するモータである。また、リニアモータ50による移動量および移動方向は、制御系6からの制御信号により制御可能となっている。なお、リニアモータ51もほぼ同様の機能、構成を有する。
【0031】
リニアエンコーダ52,53は、それぞれスケール部および検出子(図示せず)を備え、スケール部と検出子との相対的な位置関係を検出して、制御系6に伝達する。各検出子は架橋構造4の両端部にそれぞれ固設されており、リニアエンコーダ52,53は架橋構造4の位置検出を行う機能を有している。
【0032】
さらに、図1に示すように、ステージ3の後方には、保持面30を彫り下げることにより溝35が形成されている。図4および図5は、基板処理装置1の測定部37および移動機構38の構成を他の構成とともに示す図である。
【0033】
測定部37は、ギャップセンサ370を備え、移動機構38によりY軸方向に移動する。ギャップセンサ370は、ギャップセンサ42とほぼ同様の機能を有し、塗布部材353の試行塗布面353aとの間のギャップおよびその試行塗布面353aに形成された試行塗布層900との間のギャップを検出する。さらに、当該検出結果は、制御系6に伝達される。
【0034】
移動機構38は、溝35の後方に、溝35の縁に沿って設けられており、前述のように、測定部37をY軸方向に移動させる機能を有している。なお、移動機構38を具体的に実現するには、例えばリニアモータ50(51)と同様のモータによりY軸方向の駆動力を生成し、走行レール31aおよび支持ブロック31bと同様の構成をY軸方向に沿って設けることによって、測定部37のY軸方向への移動を案内するように構成すればよい。
【0035】
溝35の内部には、待機ポッド350および試行塗布ポッド352がそれぞれ設けられており、さらに、待機ポッド350は仕切板351を備え、試行塗布ポッド352は塗布部材353を備える。なお、待機ポッド350および試行塗布ポッド352は、それぞれ図示しない支持部材などにより、溝35内に固定されている。
【0036】
待機ポッド350には仕切板351が図5に示すように配置されており、さらにレジスト液が満たされている。スリットノズル41が待機位置(図5に実線で示す位置)にある間、スリット410は当該仕切板351の上端に近接するよう配置される。このとき、レジスト液の液面は、仕切板351が配置されていることによって、水面張力により仕切板351に沿ってわずかに盛り上がる。
【0037】
このような仕切板351を待機ポッド350に設けることにより、レジスト液の水位が乾燥などによって多少変化した場合であっても、待機位置にあるスリットノズル41のスリット410をレジスト液の液面に近接させておくことができるため、スリットノズル41の乾燥を効果的に防止することができる。
【0038】
試行塗布ポッド352は、試行塗布面353aを有する板状の塗布部材353を備える。試行塗布面353aは、XY平面と略平行な略平坦面とされ、図5に矢印で示すように、スリット410がX軸方向に走査することにより、検査用のレジスト膜(試行塗布層900)が形成される。
【0039】
制御系6は、プログラムに従って各種データを処理する演算部60、プログラムや各種データを保存する記憶部61を内部に備える。また、前面には、オペレータが基板処理装置1に対して必要な指示を入力するための操作部62、および各種データを表示する表示部63を備える。
【0040】
制御系6は、図示しないケーブルにより本体2に付属する各機構と接続されており、操作部62および各種センサなどからの信号に基づいて、ステージ3、架橋構造4、昇降機構43,44、およびリニアモータ50,51などの各構成を制御する。
【0041】
また、ギャップセンサ370の検出結果に基づいて、塗布部材353の試行塗布面353aに形成されたレジスト膜の厚さ寸法を算出し、算出した厚さ寸法に基づいて、塗布処理の良否を判定する。なお、判定結果は、表示部63に表示させる。
【0042】
制御系6の具体的な構成としては、記憶部61はデータを一時的に記憶するRAM、読み取り専用のROM、および磁気ディスク装置などが該当し、可搬性の光磁気ディスクやメモリーカードなどの記憶媒体、およびそれらの読み取り装置などであってもよい。また、操作部62は、ボタンおよびスイッチ類(キーボードやマウスなどを含む。)などであるが、タッチパネルディスプレイのように表示部63の機能を兼ね備えたものであってもよい。表示部63は、液晶ディスプレイや各種ランプなどが該当する。
【0043】
<1.2 試行塗布動作の説明>
基板処理装置1では、実際に処理する基板90に対して塗布処理を開始する前に、試行塗布処理を行い、当該試行塗布処理の結果からスリットノズル41の状態を判定する。
【0044】
まず、予めギャップセンサ370と試行塗布面353aとの距離を測定する。すなわち移動機構38が測定部37をY軸方向に移動させつつギャップセンサ370による走査を行い、ギャップセンサ370と試行塗布面353aとの距離を測定し、制御系6に記憶しておく。
【0045】
次に、制御系6からの制御信号に基づいて、リニアモータ50,51が架橋構造4を−X方向に移動させることにより、スリットノズル41を試行塗布開始位置まで移動させる。なお、試行塗布開始位置とは、スリットノズル41が塗布部材353の試行塗布面353aにレジスト液の塗布を開始する位置であり、例えば、図5に点線で示す位置のうち右側(−X側)に示す位置である。また、スリットノズル41が待機位置から試行塗布開始位置まで移動するためには、Z軸方向の移動も適宜必要となるが、これは制御系6および昇降機構43,44により調整される。
【0046】
スリットノズル41が試行塗布開始位置まで移動すると、制御系6が制御信号をリニアモータ50,51およびレジスト用ポンプ(図示せず)に与える。その制御信号に基づいて、リニアモータ50,51が架橋構造4をX軸方向に移動させることでスリットノズル41が試行塗布面353aを走査し、そのスリットノズル41の走査中にレジスト用ポンプを運転することでスリットノズル41にレジスト液が送られ、スリットノズル41がレジスト液を吐出する。これにより、塗布部材353の試行塗布面353aに試行塗布層900が形成される。
【0047】
なお、スリットノズル41による試行塗布処理が行われている間、測定部37は、図4に二点鎖点で示す位置に退避しており、スリットノズル41と干渉しないようにされている。また、試行塗布処理では、スリットノズル41の状態を検査することが目的であるため、レジスト液のX軸方向への塗布は数cmで十分であり、使用されるレジスト液の量は基板90に対する塗布に比べてごくわずかである。
【0048】
次に、リニアモータ50,51が架橋構造4をX方向に移動させることにより、スリットノズル41を待機位置に移動させるとともに、移動機構38が測定部37をY軸方向に移動させつつギャップセンサ370による走査を行い、ギャップセンサ370が試行塗布層900の表面とのギャップを検出する。
【0049】
制御系6は、先に測定しておいた試行塗布面353aとのギャップと、試行塗布層900の表面とのギャップとに基づいて、それらの差から試行塗布層900の厚さ寸法を算出する。なお、試行塗布面353aとのギャップは、試行塗布層900が形成されていない状態で予め測定し、初期値として記憶部61に保存されている。
【0050】
図6は、塗布部材353に試行塗布層900が形成されている様子を示す図である。図7は、制御系6が、図6に示す試行塗布層900の厚さ寸法を算出した例を示す図である。
【0051】
図7に示す、NG0の領域およびNG1の領域では塗布ムラが発生している。これらは、当該領域において検出された試行塗布層900の厚さ寸法を所定の範囲Wと比較することにより、NG0の領域は当該厚さ寸法が所定の範囲Wより厚くなっている領域、NG1の領域は当該厚さ寸法が所定の範囲Wより薄くなっている領域として、それぞれ制御系6により検出される。また、NG2およびNG3の領域は、レジスト液がまったく塗布されておらず試行塗布層900が形成されていない(塗布ぬけ)領域であり、試行塗布層900の厚さ寸法が0であることから、同じく制御系6により検出される。
【0052】
このように、制御系6が試行塗布層900の厚さ寸法を検出し、試行塗布層900の塗布ぬけ(NG2,NG3)および塗布ムラ(NG0,NG1)を検出することができることから、試行塗布層900が正常に形成されているか否かを検査することができる。また、移動機構38が、測定部37をスリットノズル41に沿った方向に移動させつつ、ギャップセンサ370によって試行塗布層900を走査することにより、Y軸方向のどの位置で塗布ぬけや塗布ムラが生じている場合であっても検出することができる。
【0053】
制御系6は、当該検査結果に基づいて、形成した試行塗布層900に塗布ぬけや塗布ムラが検出された場合は、スリットノズル41の状態が、均一な塗布を行うことができない状態(異常状態)である判定する。
【0054】
スリットノズル41の状態が異常状態であると判定された場合、待機ポッド350のノズル洗浄機構(図示せず)が、制御系6からの制御信号に基づいて、スリットノズル41の自動洗浄を行う。なお、スリットノズル41の状態が異常であると判定された時点で、制御系6が表示部63に判定結果を表示し、オペレータが回復措置を行うようにしてもよい。
【0055】
スリットノズル41の状態判定が終了すると、試行塗布ポッド352に設けられている洗浄機構(図示せず)が、塗布部材353の表面に形成されている試行塗布層900をリンス液(溶剤)などにより除去する。これにより、塗布部材353は、再び試行塗布を行うことができる状態とされる。
【0056】
以上、基板処理装置1では、試行塗布処理による試行塗布層900が正常に形成されるまで(スリットノズル41の状態が正常と判定されるまで)、試行塗布処理が繰り返し行われ、スリットノズル41の状態が正常と判定されてから基板90に対する塗布処理が開始される。なお、所定の回数の洗浄を繰り返しても、スリットノズル41の状態が回復しない場合には、制御系6が表示部63に警告を表示してオペレータに通知するとともに、処理を停止する。
【0057】
<1.3 塗布動作の説明>
次に、基板処理装置1の動作について説明する。基板処理装置1では、オペレータまたは図示しない搬送機構により、所定の位置に基板90が搬送されることによって、レジスト塗布処理が開始される。なお、処理を開始するための指示は、基板90の搬送が完了した時点で、オペレータが操作部62を操作することにより入力されてもよい。
【0058】
まず、ステージ3が保持面30上の所定の位置に基板90を吸着して保持する。続いて、制御系6からの制御信号に基づいて、昇降機構43,44が、ノズル支持部40に取り付けられたギャップセンサ42を基板90の厚み分よりも高い所定の高度(以下、「測定高度」と称する。)に移動させる。
【0059】
ギャップセンサ42が測定高度にセットされると、リニアモータ50,51が、架橋構造4をX方向に移動させることにより、ギャップセンサ42をレジスト塗布領域の上方まで移動させる。ここで、レジスト塗布領域とは、基板90の表面のうちでレジスト液を塗布しようとする領域であって、通常、基板90の全面積から、端縁に沿った所定幅の領域を除いた領域である。このとき、制御系6は、リニアエンコーダ52,53の検出結果に基づいて、それぞれのリニアモータ50,51に制御信号を与えることにより、ギャップセンサ42のX軸方向の位置を制御する。
【0060】
次に、ギャップセンサ42が基板90表面のレジスト塗布領域における基板90表面とスリットノズル41とのギャップの測定を開始する。測定が開始されると、リニアモータ50,51が架橋構造4をさらにX方向に移動させることでギャップセンサ42がレジスト塗布領域を走査し、走査中の測定結果を制御系6に伝達する。このとき、制御系6は、ギャップセンサ42の測定結果を、リニアエンコーダ52,53によって検出される水平位置と関連づけて記憶部61に保存する。
【0061】
架橋構造4が基板90の上方をX方向に通過して、ギャップセンサ42による走査が終了すると、制御系6は、架橋構造4をその位置で停止させ、ギャップセンサ42からの検出結果に基づいて、スリットノズル41のYZ平面における姿勢が、適切な姿勢(スリットノズル41とレジスト塗布領域との間隔がレジスト液を塗布するために適切な間隔となる姿勢。以下、「適正姿勢」と称する。)となるノズル支持部40の位置を算出し、算出結果に基づいて、それぞれの昇降機構43,44に制御信号を与える。その制御信号に基づいて、それぞれの昇降機構43,44がノズル支持部40をZ軸方向に移動させ、スリットノズル41を適正姿勢に調整する。
【0062】
さらに、リニアモータ50,51が架橋構造4を−X方向に移動させ、スリットノズル41を吐出開始位置に移動させる。ここで、吐出開始位置とは、レジスト塗布領域の一辺にスリットノズル41がほぼ沿う位置である。
【0063】
スリットノズル41が吐出開始位置まで移動すると、制御系6が制御信号をリニアモータ50,51およびレジスト用ポンプ(図示せず)に与える。その制御信号に基づいて、リニアモータ50,51が架橋構造4を−X方向に移動させることでスリットノズル41が基板90の表面を走査し、そのスリットノズル41の走査中にレジスト用ポンプを運転することでスリットノズル41にレジスト液が送られ、スリットノズル41がレジスト塗布領域にレジスト液を吐出する。これにより、基板90の表面上にレジスト液の層が形成される。
【0064】
スリットノズル41が吐出終了位置まで移動すると、制御系6が制御信号をレジスト用ポンプ、昇降機構43,44およびリニアモータ50,51に与える。その制御信号に基づいて、レジスト用ポンプが停止することによってスリットノズル41からのレジスト液の吐出が停止し、昇降機構43,44がギャップセンサ42を測定高度に移動させる。さらに、リニアモータ50,51が架橋構造4をX方向に移動させることでギャップセンサ42がレジスト塗布領域を走査し、基板90上に形成されたレジスト膜とのギャップを測定して制御系6に伝達する。
【0065】
制御系6は、レジスト塗布前に測定したギャップの値(基板90の表面との間の距離)と、レジスト塗布後に測定したギャップの値(レジスト膜の表面との間の距離)との差を計算することにより、基板90上に形成されたレジスト膜の厚さ寸法を算出して、算出結果を表示部63に表示する。
【0066】
レジスト膜の検査が終了すると、ステージ3は基板90の吸着を停止し、オペレータまたは搬送機構が基板90を保持面30から取り上げ、次の処理工程に搬送する。
【0067】
以上のように、基板処理装置1では、予め試行塗布処理によりスリットノズル41の状態を判定することにより、製品である基板90に対して行った塗布処理の良否に基づいてスリットノズル41の状態を判定する場合に比べて、無駄になるレジスト液の量を削減することができることから、基板90の製造工程における経済性を向上させることができる。
【0068】
また、レジスト液を実際の基板90に塗布する前に(基板処理動作を行う前に)、スリットノズル41の状態を判定することができるため、スリットノズル41の状態に合わせて迅速な対応が可能となる。
【0069】
また、塗布部材353が板状であり、塗布部材353の試行塗布面が略平坦面となっていることから、基板90とほぼ同じ形状の部材に試行塗布を行って検査することにより、塗布層(基板90の表面に形成されるレジスト膜)を正確に再現することができるため、判定を正確に行うことができる。
【0070】
<2. 第2の実施の形態>
第1の実施の形態では、ギャップセンサ370を用いて試行塗布層900の厚さ寸法を検出し、当該検出結果に基づいてスリットノズル41の状態を判定していたが、試行塗布層900の良否を検査する手法は、これに限られるものではない。例えば、試行塗布層900の表面をデジタルカメラなどによって撮像し、撮像した画像データに画像処理(画像認識処理)を行うことにより、試行塗布層900の塗布ぬけを検出するなどしてもよい。
【0071】
図8は、このような原理に基づいて構成した第2の実施の形態における測定部37の構成を他の構成とともに示す図である。なお、第1の実施の形態と同様の構成については、適宜同符号を付している。
【0072】
本実施の形態における測定部37は、被写体を画像として撮像する撮像部371を備えている。撮像部371は、一般的なデジタルカメラとしての機能を有し、移動機構38によりY軸方向に移動しつつ、試行塗布層900の表面(あるいは、試行塗布面353a)の画像を撮像して制御系6に伝達する。
【0073】
制御系6は、撮像部371により撮像された画像に画像処理を行い、試行塗布層900の塗布ぬけの有無を検出する。なお、画像処理によって塗布ぬけを検出する手法としては、例えば、試行塗布面353a上の明度分布を撮像した画像における各画素値から求め、当該明度分布からレジスト液が塗布されている領域と塗布されていない領域とを判別し、正常に試行塗布処理が行われていればレジスト液が塗布されているべき領域にレジスト液が塗布されていない領域が存在するか否かによって検出することができる。
【0074】
さらに、制御系6は、試行塗布層900に塗布ぬけが検出された場合は、スリットノズル41の状態が異常であると判定し、第1の実施の形態と同様に、判定結果を表示部63に表示する。
【0075】
以上のように、第2の実施の形態における基板処理装置1においても、第1の実施の形態と同様に試行塗布処理における塗布ぬけを検出することができることから、同様の効果を得ることができる。
【0076】
<3. 変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0077】
例えば、塗布部材353が板状の部材であると説明したが、フィルム状の部材を塗布部材353として用いることも可能である。その場合、試行塗布処理を行うたびにフィルムを巻き取ることによって、洗浄処理を行うことなく再度試行塗布処理を行える状態にすることができる。また、塗布部材353は、適宜、交換可能な部材により構成されていてもよい。
【0078】
また、塗布部材353として、円筒状の部材を用いることもできる。この場合、スリットノズル41の長手方向を円筒状の塗布部材の軸と平行に配置し、試行塗布面353aとしてその円筒面を使用すればよい。
【0079】
また、試行塗布処理を行ってスリットノズル41の状態を判定するタイミングは、新たな基板90に対する処理を行う前にその都度判定してもよいし、所定の回数の処理を行った後に判定してもよい。また、所定の時間が経過するごとに判定してもよい。
【0080】
また、第1の実施の形態では、試行塗布層900の厚さ寸法を、試行塗布面353aとの間のギャップと、試行塗布層900の表面との間のギャップとの差に基づいて算出すると説明したが、例えば、複数の存在物の表面からの反射光を受光することにより、試行塗布層900の厚さ寸法を直接測定することができるレーザ変位計を用いて当該厚さ寸法を検出してもよい。
【0081】
また、上記実施の形態では水平な保持面30に基板90を載置して水平姿勢で保持するものであったが、例えば基板90を縦姿勢で保持して処理するもの、あるいは傾斜姿勢で保持して処理するものに対しても本発明を適用することができる。
【0082】
【発明の効果】
請求項1ないし8に記載の発明では、基板の表面にスリットノズルによって塗布層を形成する前に、判定手段がスリットノズルの状態を判定することにより、無駄になる処理液の量を削減することができることから、基板の製造工程における経済性を向上させることができる。
【0083】
請求項2に記載の発明では、撮像部により撮像された試行塗布層の画像に基づいて、試行塗布層を検査することにより、塗布ぬけを検出することができる。
【0084】
請求項3に記載の発明では、算出手段により算出された試行塗布層の厚さ寸法に基づいて、試行塗布層を検査することにより、塗布ぬけのみならず、塗布ムラをも検出することができることから、高精度な検査を行うことができる。
【0085】
請求項4に記載の発明では、スリットノズルに沿った方向における試行塗布層の厚さ寸法を検出することにより、スリットノズルに沿った方向のどの位置で異常が生じている場合であっても検出することができる。
【0086】
請求項6に記載の発明では、塗布部材が板状であり、試行塗布面が略平坦面とされていることにより、基板とほぼ同じ形状の部材に試行塗布を行って検査することにより、塗布層を正確に再現することができるため、検査を正確に行うことができる。
【0087】
請求項7に記載の発明では、塗布部材が円筒状であり、試行塗布面が略円筒面とされていることにより、試行塗布面を比較的大きくすることができ、フットプリントを減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における基板処理装置の概略を示す斜視図である。
【図2】基板処理装置の本体の正面図である。
【図3】ギャップセンサに用いられるレーザ変位計の原理を示す図である。
【図4】基板処理装置の測定部および移動機構の構成を他の構成とともに示す図である。
【図5】基板処理装置の測定部および移動機構の構成を他の構成とともに示す図である。
【図6】塗布部材に試行塗布層が形成されている様子を示す図である。
【図7】ギャップセンサが、図6に示す試行塗布層の厚さ寸法を検出する例を示す図である。
【図8】第2の実施の形態における測定部の構成を他の構成とともに示す図である。
【符号の説明】
1 基板処理装置
3 ステージ
352 試行塗布ポッド
353 塗布部材
353a 試行塗布面
37 測定部
370 ギャップセンサ
371 撮像部
38 移動機構
4 架橋構造
40 ノズル支持部
41 スリットノズル
410 スリット
50,51 リニアモータ
6 制御系
60 演算部
61 記憶部
90 基板
900 試行塗布層
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板に対して所定の処理液を塗布する基板処理装置における技術に関する。より詳しくは、フラットパネルディスプレイ等の製造用のガラス基板等に所定の処理液を塗布するスリットノズルの検査技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
基板の表面に対してレジスト液などの所定の処理液を塗布する場合、保持台上の所定の位置に基板を保持しておき、スリットノズルによって処理液を吐出しつつ基板の表面を走査するスキャンコーティングが行われる。例えば、特開平11−165111号公報には、モータによってボールネジを回転させ、スリットノズルの両端に剛性結合された2つの移動台を移動させることにより、スキャンコーティングを行う基板処理装置に関する技術が提案されている。このような技術は、処理対象となる基板が大型である場合や、角形の基板である場合には、スピンコーティング(基板を回転させつつ塗布する手法)による均一な薬液塗布が難しいため、特に有効である。
【0003】
しかし、スキャンコーティングに用いられるスリットノズルは、スリットの幅が数十μm程度と非常に狭く、異物の付着や乾燥などにより部分的に詰まる場合がある。そのような状態のスリットノズルによって基板を処理すると、処理液が均一に吐出されないことから、基板上に形成される塗布層に塗布ぬけ(部分的に塗布層が形成されていない状態)や塗布ムラ(形成された塗布層の厚さ寸法にバラツキが生じている状態)が発生する。したがって、スリットノズルが均一な吐出を行うことができない状態にある場合は、洗浄などの回復措置を行う必要がある。
【0004】
そこで、従来より、基板に対して塗布処理を行った後に、当該塗布処理により形成された塗布層の検査を行い、塗布ぬけや塗布ムラなどのスリットノズルの状態が原因で不良となった基板が検出された場合に、スリットノズルの点検や回復措置を行う技術が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記技術では、基板に対して形成された塗布層に対して検査を行うため、スリットノズルの状態にかかわらず、最低でも一回は基板に対する塗布処理を行わなければならない。したがって、スリットノズルに目詰まりが生じている場合には、処理液が最低でも一回分無駄になることから、基板の製造工程の経済性が悪化するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、基板の製造工程における経済性を向上させる基板処理装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、基板を保持する保持台と、前記基板に対して所定の処理液を吐出するスリットノズルと、前記保持台の表面に沿って掛け渡された架橋構造と、前記架橋構造を前記保持台に保持されている前記基板の表面に沿った方向に移動させる第1移動手段とを備え、前記第1移動手段が、前記基板の表面に沿った方向に前記架橋構造を移動させつつ、前記スリットノズルによって前記基板の表面を走査することにより、前記基板の表面に対して前記所定の処理液の塗布層を形成する基板処理装置において、前記スリットノズルによって前記所定の処理液の試行塗布を受ける試行塗布面を有する塗布部材と、前記スリットノズルによって前記試行塗布面に塗布された前記所定の処理液の試行塗布層を検査する検査手段と、前記検査手段による検査結果に基づいて、前記スリットノズルの状態を判定する判定手段とをさらに備え、前記基板の表面に前記スリットノズルによって前記塗布層を形成する前に、前記判定手段が前記スリットノズルの状態を判定する。
【0008】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る基板処理装置において、前記検査手段が、前記試行塗布層を画像として撮像する撮像部を有し、前記検査手段が、前記撮像部により撮像された前記試行塗布層の画像に基づいて、前記試行塗布層を検査する。
【0009】
また、請求項3の発明は、請求項1の発明に係る基板処理装置において、前記検査手段が、所定の方向の存在物との間の距離を検出するセンシング手段と、前記センシング手段の検出結果に基づいて前記試行塗布層の厚さ寸法を算出する算出手段とを有し、前記検査手段が、前記算出手段により算出された前記試行塗布層の厚さ寸法に基づいて、前記試行塗布層を検査する。
【0010】
また、請求項4の発明は、請求項3の発明に係る基板処理装置において、前記検査手段が、前記センシング手段を移動させる第2移動手段をさらに有し、前記第2移動手段が、前記センシング手段を前記スリットノズルに沿った方向に移動させつつ、前記センシング手段によって前記試行塗布層を走査することにより、前記スリットノズルに沿った方向における前記試行塗布層の厚さ寸法を検出する。
【0011】
また、請求項5の発明は、請求項3または4の発明に係る基板処理装置において、前記センシング手段が、前記所定の方向にレーザ光を投光し、前記存在物の表面により反射された前記レーザ光のうちの正反射光を受光素子配列で受光することにより、前記存在物との間の距離を検出するレーザ式変位計である。
【0012】
また、請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかの発明に係る基板処理装置において、前記塗布部材が板状であり、前記試行塗布面が略平坦面とされている。
【0013】
また、請求項7の発明は、請求項1ないし5のいずれかの発明に係る基板処理装置において、前記塗布部材が円筒状であり、前記試行塗布面が略円筒面とされている。
【0014】
また、請求項8の発明は、請求項1ないし7のいずれかの発明に係る基板処理装置において、前記基板がフラットパネルディスプレイ用の角形基板であり、前記所定の処理液がレジスト液、カラーフィルタ形成用塗布液、平坦化膜形成用塗布液、絶縁膜形成用塗布液のいずれかである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0016】
<1. 第1の実施の形態>
<1.1 構成の説明>
図1は、本発明の第1の実施の形態における基板処理装置1の概略を示す斜視図である。図2は、基板処理装置1の本体2の正面図である。
【0017】
基板処理装置1は、本体2と制御系6とに大別され、液晶表示装置の画面パネルを製造するための角形ガラス基板を被処理基板90としており、基板90の表面に形成された電極層などを選択的にエッチングするプロセスにおいて、基板90の表面にレジスト液を塗布する塗布装置として構成されている。したがって、この実施の形態では、スリットノズル41は基板90に対してレジスト液を吐出するようになっている。なお、基板処理装置1は、液晶表示装置用のガラス基板だけでなく、一般に、フラットパネルディスプレイ用の種々の基板に処理液(薬液)を塗布する装置として変形利用することもできる。
【0018】
本体2は、被処理基板90を載置して保持するための保持台として機能するとともに、付属する各機構の基台としても機能するステージ3を備える。ステージ3は直方体形状の一体の石製であり、その上面(保持面30)および側面は平坦面に加工されている。
【0019】
ステージ3の上面は水平面とされており、基板90の保持面30となっている。保持面30には多数の真空吸着口が分布して形成されており、基板処理装置1において基板90を処理する間、基板90を吸着することにより、基板90を所定の水平位置に保持する。
【0020】
この保持面30のうち基板90の保持エリア(基板90が保持される領域)を挟んだ両端部には、略水平方向に平行に伸びる一対の走行レール31aが固設される。走行レール31aは、架橋構造4の両端部に固設される支持ブロック31bとともに、架橋構造4の移動を案内し(移動方向を所定の方向に規定する)、架橋構造4を保持面30の上方に支持するリニアガイドを構成する。
【0021】
ステージ3の上方には、このステージ3の両側部分から略水平に掛け渡された架橋構造4が設けられている。架橋構造4は、カーボンファイバ樹脂を骨材とするノズル支持部40と、その両端を支持する昇降機構43,44とから主に構成される。
【0022】
ノズル支持部40には、スリットノズル41とギャップセンサ42とが取り付けられている。
【0023】
水平Y方向に伸びるスリットノズル41には、スリットノズル41へ薬液(レジスト液)を供給する配管やレジスト用ポンプを含む吐出機構(図示せず)が接続されている。スリットノズル41は、レジスト用ポンプによりレジスト液が送られ、基板90の表面を走査することにより、基板90の表面の所定の領域(以下、「レジスト塗布領域」と称する。)にレジスト液を吐出する。
【0024】
ギャップセンサ42は、架橋構造4のノズル支持部40に基板90の表面と対向する位置に取り付けられ、所定方向(−Z方向)の存在物(例えば、基板90やレジスト膜)との間の距離(ギャップ)を検出して、検出結果を制御系6に伝達する。
【0025】
図3は、ギャップセンサ42に用いられるレーザ変位計の原理を示す図である。ギャップセンサ42は、CCD(一般には受光素子配列)420および受光レンズ421を備え、図示しない投光部から所定の方向にレーザ光を発射(投光)する。投光部から発射されたレーザ光(入射光)は、存在物の表面SF1で反射され、当該反射されたレーザ光のうちの正反射光が受光レンズ421を通って、CCD420で受光される。
【0026】
ここで、ギャップセンサ42において、投光部、基準面SF0、およびCCD420の各位置関係は既知であり、投光部が発射するレーザ光の発射方向および受光レンズ421の焦点位置も既知である。したがって、ギャップセンサ42は、受光したレーザ光のCCD420上における強度分布(CCD420上の受光位置を示す)から三角測量法の原理に基づいて、基準面SF0と存在物の表面SF1との間の距離(ギャップ)Dを検出する機能を有している。
【0027】
このように、ノズル支持部40にスリットノズル41とギャップセンサ42とが取り付けられることにより、これらの相対的な位置関係が固定される。したがって、制御系6は、ギャップセンサ42の検出結果に基づいて、基板90の表面(または、レジスト膜の表面)とスリットノズル41との距離を検出することができる。なお、本実施の形態における基板処理装置1では2つのギャップセンサ42を備えているが、ギャップセンサ42の数はこれに限られるものではなく、さらに、多くのギャップセンサ42を備えていてもよい。
【0028】
昇降機構43,44はスリットノズル41の両側に分かれて、ノズル支持部40によりスリットノズル41と連結されている。昇降機構43,44はスリットノズル41を並進的に昇降させるとともに、スリットノズル41のYZ平面内での姿勢を調整するためにも用いられる。
【0029】
架橋構造4の両端部には、ステージ3の両側の縁側に沿って別れて配置された一対のACコアレスリニアモータ(以下、単に、「リニアモータ」と略する。)50,51が、それぞれ固設される。
【0030】
リニアモータ50は、固定子(ステータ)50aと移動子50bとを備え、固定子50aと移動子50bとの電磁的相互作用によって架橋構造4をX軸方向(基板90の表面に沿った方向)に移動させるための駆動力を生成するモータである。また、リニアモータ50による移動量および移動方向は、制御系6からの制御信号により制御可能となっている。なお、リニアモータ51もほぼ同様の機能、構成を有する。
【0031】
リニアエンコーダ52,53は、それぞれスケール部および検出子(図示せず)を備え、スケール部と検出子との相対的な位置関係を検出して、制御系6に伝達する。各検出子は架橋構造4の両端部にそれぞれ固設されており、リニアエンコーダ52,53は架橋構造4の位置検出を行う機能を有している。
【0032】
さらに、図1に示すように、ステージ3の後方には、保持面30を彫り下げることにより溝35が形成されている。図4および図5は、基板処理装置1の測定部37および移動機構38の構成を他の構成とともに示す図である。
【0033】
測定部37は、ギャップセンサ370を備え、移動機構38によりY軸方向に移動する。ギャップセンサ370は、ギャップセンサ42とほぼ同様の機能を有し、塗布部材353の試行塗布面353aとの間のギャップおよびその試行塗布面353aに形成された試行塗布層900との間のギャップを検出する。さらに、当該検出結果は、制御系6に伝達される。
【0034】
移動機構38は、溝35の後方に、溝35の縁に沿って設けられており、前述のように、測定部37をY軸方向に移動させる機能を有している。なお、移動機構38を具体的に実現するには、例えばリニアモータ50(51)と同様のモータによりY軸方向の駆動力を生成し、走行レール31aおよび支持ブロック31bと同様の構成をY軸方向に沿って設けることによって、測定部37のY軸方向への移動を案内するように構成すればよい。
【0035】
溝35の内部には、待機ポッド350および試行塗布ポッド352がそれぞれ設けられており、さらに、待機ポッド350は仕切板351を備え、試行塗布ポッド352は塗布部材353を備える。なお、待機ポッド350および試行塗布ポッド352は、それぞれ図示しない支持部材などにより、溝35内に固定されている。
【0036】
待機ポッド350には仕切板351が図5に示すように配置されており、さらにレジスト液が満たされている。スリットノズル41が待機位置(図5に実線で示す位置)にある間、スリット410は当該仕切板351の上端に近接するよう配置される。このとき、レジスト液の液面は、仕切板351が配置されていることによって、水面張力により仕切板351に沿ってわずかに盛り上がる。
【0037】
このような仕切板351を待機ポッド350に設けることにより、レジスト液の水位が乾燥などによって多少変化した場合であっても、待機位置にあるスリットノズル41のスリット410をレジスト液の液面に近接させておくことができるため、スリットノズル41の乾燥を効果的に防止することができる。
【0038】
試行塗布ポッド352は、試行塗布面353aを有する板状の塗布部材353を備える。試行塗布面353aは、XY平面と略平行な略平坦面とされ、図5に矢印で示すように、スリット410がX軸方向に走査することにより、検査用のレジスト膜(試行塗布層900)が形成される。
【0039】
制御系6は、プログラムに従って各種データを処理する演算部60、プログラムや各種データを保存する記憶部61を内部に備える。また、前面には、オペレータが基板処理装置1に対して必要な指示を入力するための操作部62、および各種データを表示する表示部63を備える。
【0040】
制御系6は、図示しないケーブルにより本体2に付属する各機構と接続されており、操作部62および各種センサなどからの信号に基づいて、ステージ3、架橋構造4、昇降機構43,44、およびリニアモータ50,51などの各構成を制御する。
【0041】
また、ギャップセンサ370の検出結果に基づいて、塗布部材353の試行塗布面353aに形成されたレジスト膜の厚さ寸法を算出し、算出した厚さ寸法に基づいて、塗布処理の良否を判定する。なお、判定結果は、表示部63に表示させる。
【0042】
制御系6の具体的な構成としては、記憶部61はデータを一時的に記憶するRAM、読み取り専用のROM、および磁気ディスク装置などが該当し、可搬性の光磁気ディスクやメモリーカードなどの記憶媒体、およびそれらの読み取り装置などであってもよい。また、操作部62は、ボタンおよびスイッチ類(キーボードやマウスなどを含む。)などであるが、タッチパネルディスプレイのように表示部63の機能を兼ね備えたものであってもよい。表示部63は、液晶ディスプレイや各種ランプなどが該当する。
【0043】
<1.2 試行塗布動作の説明>
基板処理装置1では、実際に処理する基板90に対して塗布処理を開始する前に、試行塗布処理を行い、当該試行塗布処理の結果からスリットノズル41の状態を判定する。
【0044】
まず、予めギャップセンサ370と試行塗布面353aとの距離を測定する。すなわち移動機構38が測定部37をY軸方向に移動させつつギャップセンサ370による走査を行い、ギャップセンサ370と試行塗布面353aとの距離を測定し、制御系6に記憶しておく。
【0045】
次に、制御系6からの制御信号に基づいて、リニアモータ50,51が架橋構造4を−X方向に移動させることにより、スリットノズル41を試行塗布開始位置まで移動させる。なお、試行塗布開始位置とは、スリットノズル41が塗布部材353の試行塗布面353aにレジスト液の塗布を開始する位置であり、例えば、図5に点線で示す位置のうち右側(−X側)に示す位置である。また、スリットノズル41が待機位置から試行塗布開始位置まで移動するためには、Z軸方向の移動も適宜必要となるが、これは制御系6および昇降機構43,44により調整される。
【0046】
スリットノズル41が試行塗布開始位置まで移動すると、制御系6が制御信号をリニアモータ50,51およびレジスト用ポンプ(図示せず)に与える。その制御信号に基づいて、リニアモータ50,51が架橋構造4をX軸方向に移動させることでスリットノズル41が試行塗布面353aを走査し、そのスリットノズル41の走査中にレジスト用ポンプを運転することでスリットノズル41にレジスト液が送られ、スリットノズル41がレジスト液を吐出する。これにより、塗布部材353の試行塗布面353aに試行塗布層900が形成される。
【0047】
なお、スリットノズル41による試行塗布処理が行われている間、測定部37は、図4に二点鎖点で示す位置に退避しており、スリットノズル41と干渉しないようにされている。また、試行塗布処理では、スリットノズル41の状態を検査することが目的であるため、レジスト液のX軸方向への塗布は数cmで十分であり、使用されるレジスト液の量は基板90に対する塗布に比べてごくわずかである。
【0048】
次に、リニアモータ50,51が架橋構造4をX方向に移動させることにより、スリットノズル41を待機位置に移動させるとともに、移動機構38が測定部37をY軸方向に移動させつつギャップセンサ370による走査を行い、ギャップセンサ370が試行塗布層900の表面とのギャップを検出する。
【0049】
制御系6は、先に測定しておいた試行塗布面353aとのギャップと、試行塗布層900の表面とのギャップとに基づいて、それらの差から試行塗布層900の厚さ寸法を算出する。なお、試行塗布面353aとのギャップは、試行塗布層900が形成されていない状態で予め測定し、初期値として記憶部61に保存されている。
【0050】
図6は、塗布部材353に試行塗布層900が形成されている様子を示す図である。図7は、制御系6が、図6に示す試行塗布層900の厚さ寸法を算出した例を示す図である。
【0051】
図7に示す、NG0の領域およびNG1の領域では塗布ムラが発生している。これらは、当該領域において検出された試行塗布層900の厚さ寸法を所定の範囲Wと比較することにより、NG0の領域は当該厚さ寸法が所定の範囲Wより厚くなっている領域、NG1の領域は当該厚さ寸法が所定の範囲Wより薄くなっている領域として、それぞれ制御系6により検出される。また、NG2およびNG3の領域は、レジスト液がまったく塗布されておらず試行塗布層900が形成されていない(塗布ぬけ)領域であり、試行塗布層900の厚さ寸法が0であることから、同じく制御系6により検出される。
【0052】
このように、制御系6が試行塗布層900の厚さ寸法を検出し、試行塗布層900の塗布ぬけ(NG2,NG3)および塗布ムラ(NG0,NG1)を検出することができることから、試行塗布層900が正常に形成されているか否かを検査することができる。また、移動機構38が、測定部37をスリットノズル41に沿った方向に移動させつつ、ギャップセンサ370によって試行塗布層900を走査することにより、Y軸方向のどの位置で塗布ぬけや塗布ムラが生じている場合であっても検出することができる。
【0053】
制御系6は、当該検査結果に基づいて、形成した試行塗布層900に塗布ぬけや塗布ムラが検出された場合は、スリットノズル41の状態が、均一な塗布を行うことができない状態(異常状態)である判定する。
【0054】
スリットノズル41の状態が異常状態であると判定された場合、待機ポッド350のノズル洗浄機構(図示せず)が、制御系6からの制御信号に基づいて、スリットノズル41の自動洗浄を行う。なお、スリットノズル41の状態が異常であると判定された時点で、制御系6が表示部63に判定結果を表示し、オペレータが回復措置を行うようにしてもよい。
【0055】
スリットノズル41の状態判定が終了すると、試行塗布ポッド352に設けられている洗浄機構(図示せず)が、塗布部材353の表面に形成されている試行塗布層900をリンス液(溶剤)などにより除去する。これにより、塗布部材353は、再び試行塗布を行うことができる状態とされる。
【0056】
以上、基板処理装置1では、試行塗布処理による試行塗布層900が正常に形成されるまで(スリットノズル41の状態が正常と判定されるまで)、試行塗布処理が繰り返し行われ、スリットノズル41の状態が正常と判定されてから基板90に対する塗布処理が開始される。なお、所定の回数の洗浄を繰り返しても、スリットノズル41の状態が回復しない場合には、制御系6が表示部63に警告を表示してオペレータに通知するとともに、処理を停止する。
【0057】
<1.3 塗布動作の説明>
次に、基板処理装置1の動作について説明する。基板処理装置1では、オペレータまたは図示しない搬送機構により、所定の位置に基板90が搬送されることによって、レジスト塗布処理が開始される。なお、処理を開始するための指示は、基板90の搬送が完了した時点で、オペレータが操作部62を操作することにより入力されてもよい。
【0058】
まず、ステージ3が保持面30上の所定の位置に基板90を吸着して保持する。続いて、制御系6からの制御信号に基づいて、昇降機構43,44が、ノズル支持部40に取り付けられたギャップセンサ42を基板90の厚み分よりも高い所定の高度(以下、「測定高度」と称する。)に移動させる。
【0059】
ギャップセンサ42が測定高度にセットされると、リニアモータ50,51が、架橋構造4をX方向に移動させることにより、ギャップセンサ42をレジスト塗布領域の上方まで移動させる。ここで、レジスト塗布領域とは、基板90の表面のうちでレジスト液を塗布しようとする領域であって、通常、基板90の全面積から、端縁に沿った所定幅の領域を除いた領域である。このとき、制御系6は、リニアエンコーダ52,53の検出結果に基づいて、それぞれのリニアモータ50,51に制御信号を与えることにより、ギャップセンサ42のX軸方向の位置を制御する。
【0060】
次に、ギャップセンサ42が基板90表面のレジスト塗布領域における基板90表面とスリットノズル41とのギャップの測定を開始する。測定が開始されると、リニアモータ50,51が架橋構造4をさらにX方向に移動させることでギャップセンサ42がレジスト塗布領域を走査し、走査中の測定結果を制御系6に伝達する。このとき、制御系6は、ギャップセンサ42の測定結果を、リニアエンコーダ52,53によって検出される水平位置と関連づけて記憶部61に保存する。
【0061】
架橋構造4が基板90の上方をX方向に通過して、ギャップセンサ42による走査が終了すると、制御系6は、架橋構造4をその位置で停止させ、ギャップセンサ42からの検出結果に基づいて、スリットノズル41のYZ平面における姿勢が、適切な姿勢(スリットノズル41とレジスト塗布領域との間隔がレジスト液を塗布するために適切な間隔となる姿勢。以下、「適正姿勢」と称する。)となるノズル支持部40の位置を算出し、算出結果に基づいて、それぞれの昇降機構43,44に制御信号を与える。その制御信号に基づいて、それぞれの昇降機構43,44がノズル支持部40をZ軸方向に移動させ、スリットノズル41を適正姿勢に調整する。
【0062】
さらに、リニアモータ50,51が架橋構造4を−X方向に移動させ、スリットノズル41を吐出開始位置に移動させる。ここで、吐出開始位置とは、レジスト塗布領域の一辺にスリットノズル41がほぼ沿う位置である。
【0063】
スリットノズル41が吐出開始位置まで移動すると、制御系6が制御信号をリニアモータ50,51およびレジスト用ポンプ(図示せず)に与える。その制御信号に基づいて、リニアモータ50,51が架橋構造4を−X方向に移動させることでスリットノズル41が基板90の表面を走査し、そのスリットノズル41の走査中にレジスト用ポンプを運転することでスリットノズル41にレジスト液が送られ、スリットノズル41がレジスト塗布領域にレジスト液を吐出する。これにより、基板90の表面上にレジスト液の層が形成される。
【0064】
スリットノズル41が吐出終了位置まで移動すると、制御系6が制御信号をレジスト用ポンプ、昇降機構43,44およびリニアモータ50,51に与える。その制御信号に基づいて、レジスト用ポンプが停止することによってスリットノズル41からのレジスト液の吐出が停止し、昇降機構43,44がギャップセンサ42を測定高度に移動させる。さらに、リニアモータ50,51が架橋構造4をX方向に移動させることでギャップセンサ42がレジスト塗布領域を走査し、基板90上に形成されたレジスト膜とのギャップを測定して制御系6に伝達する。
【0065】
制御系6は、レジスト塗布前に測定したギャップの値(基板90の表面との間の距離)と、レジスト塗布後に測定したギャップの値(レジスト膜の表面との間の距離)との差を計算することにより、基板90上に形成されたレジスト膜の厚さ寸法を算出して、算出結果を表示部63に表示する。
【0066】
レジスト膜の検査が終了すると、ステージ3は基板90の吸着を停止し、オペレータまたは搬送機構が基板90を保持面30から取り上げ、次の処理工程に搬送する。
【0067】
以上のように、基板処理装置1では、予め試行塗布処理によりスリットノズル41の状態を判定することにより、製品である基板90に対して行った塗布処理の良否に基づいてスリットノズル41の状態を判定する場合に比べて、無駄になるレジスト液の量を削減することができることから、基板90の製造工程における経済性を向上させることができる。
【0068】
また、レジスト液を実際の基板90に塗布する前に(基板処理動作を行う前に)、スリットノズル41の状態を判定することができるため、スリットノズル41の状態に合わせて迅速な対応が可能となる。
【0069】
また、塗布部材353が板状であり、塗布部材353の試行塗布面が略平坦面となっていることから、基板90とほぼ同じ形状の部材に試行塗布を行って検査することにより、塗布層(基板90の表面に形成されるレジスト膜)を正確に再現することができるため、判定を正確に行うことができる。
【0070】
<2. 第2の実施の形態>
第1の実施の形態では、ギャップセンサ370を用いて試行塗布層900の厚さ寸法を検出し、当該検出結果に基づいてスリットノズル41の状態を判定していたが、試行塗布層900の良否を検査する手法は、これに限られるものではない。例えば、試行塗布層900の表面をデジタルカメラなどによって撮像し、撮像した画像データに画像処理(画像認識処理)を行うことにより、試行塗布層900の塗布ぬけを検出するなどしてもよい。
【0071】
図8は、このような原理に基づいて構成した第2の実施の形態における測定部37の構成を他の構成とともに示す図である。なお、第1の実施の形態と同様の構成については、適宜同符号を付している。
【0072】
本実施の形態における測定部37は、被写体を画像として撮像する撮像部371を備えている。撮像部371は、一般的なデジタルカメラとしての機能を有し、移動機構38によりY軸方向に移動しつつ、試行塗布層900の表面(あるいは、試行塗布面353a)の画像を撮像して制御系6に伝達する。
【0073】
制御系6は、撮像部371により撮像された画像に画像処理を行い、試行塗布層900の塗布ぬけの有無を検出する。なお、画像処理によって塗布ぬけを検出する手法としては、例えば、試行塗布面353a上の明度分布を撮像した画像における各画素値から求め、当該明度分布からレジスト液が塗布されている領域と塗布されていない領域とを判別し、正常に試行塗布処理が行われていればレジスト液が塗布されているべき領域にレジスト液が塗布されていない領域が存在するか否かによって検出することができる。
【0074】
さらに、制御系6は、試行塗布層900に塗布ぬけが検出された場合は、スリットノズル41の状態が異常であると判定し、第1の実施の形態と同様に、判定結果を表示部63に表示する。
【0075】
以上のように、第2の実施の形態における基板処理装置1においても、第1の実施の形態と同様に試行塗布処理における塗布ぬけを検出することができることから、同様の効果を得ることができる。
【0076】
<3. 変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0077】
例えば、塗布部材353が板状の部材であると説明したが、フィルム状の部材を塗布部材353として用いることも可能である。その場合、試行塗布処理を行うたびにフィルムを巻き取ることによって、洗浄処理を行うことなく再度試行塗布処理を行える状態にすることができる。また、塗布部材353は、適宜、交換可能な部材により構成されていてもよい。
【0078】
また、塗布部材353として、円筒状の部材を用いることもできる。この場合、スリットノズル41の長手方向を円筒状の塗布部材の軸と平行に配置し、試行塗布面353aとしてその円筒面を使用すればよい。
【0079】
また、試行塗布処理を行ってスリットノズル41の状態を判定するタイミングは、新たな基板90に対する処理を行う前にその都度判定してもよいし、所定の回数の処理を行った後に判定してもよい。また、所定の時間が経過するごとに判定してもよい。
【0080】
また、第1の実施の形態では、試行塗布層900の厚さ寸法を、試行塗布面353aとの間のギャップと、試行塗布層900の表面との間のギャップとの差に基づいて算出すると説明したが、例えば、複数の存在物の表面からの反射光を受光することにより、試行塗布層900の厚さ寸法を直接測定することができるレーザ変位計を用いて当該厚さ寸法を検出してもよい。
【0081】
また、上記実施の形態では水平な保持面30に基板90を載置して水平姿勢で保持するものであったが、例えば基板90を縦姿勢で保持して処理するもの、あるいは傾斜姿勢で保持して処理するものに対しても本発明を適用することができる。
【0082】
【発明の効果】
請求項1ないし8に記載の発明では、基板の表面にスリットノズルによって塗布層を形成する前に、判定手段がスリットノズルの状態を判定することにより、無駄になる処理液の量を削減することができることから、基板の製造工程における経済性を向上させることができる。
【0083】
請求項2に記載の発明では、撮像部により撮像された試行塗布層の画像に基づいて、試行塗布層を検査することにより、塗布ぬけを検出することができる。
【0084】
請求項3に記載の発明では、算出手段により算出された試行塗布層の厚さ寸法に基づいて、試行塗布層を検査することにより、塗布ぬけのみならず、塗布ムラをも検出することができることから、高精度な検査を行うことができる。
【0085】
請求項4に記載の発明では、スリットノズルに沿った方向における試行塗布層の厚さ寸法を検出することにより、スリットノズルに沿った方向のどの位置で異常が生じている場合であっても検出することができる。
【0086】
請求項6に記載の発明では、塗布部材が板状であり、試行塗布面が略平坦面とされていることにより、基板とほぼ同じ形状の部材に試行塗布を行って検査することにより、塗布層を正確に再現することができるため、検査を正確に行うことができる。
【0087】
請求項7に記載の発明では、塗布部材が円筒状であり、試行塗布面が略円筒面とされていることにより、試行塗布面を比較的大きくすることができ、フットプリントを減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における基板処理装置の概略を示す斜視図である。
【図2】基板処理装置の本体の正面図である。
【図3】ギャップセンサに用いられるレーザ変位計の原理を示す図である。
【図4】基板処理装置の測定部および移動機構の構成を他の構成とともに示す図である。
【図5】基板処理装置の測定部および移動機構の構成を他の構成とともに示す図である。
【図6】塗布部材に試行塗布層が形成されている様子を示す図である。
【図7】ギャップセンサが、図6に示す試行塗布層の厚さ寸法を検出する例を示す図である。
【図8】第2の実施の形態における測定部の構成を他の構成とともに示す図である。
【符号の説明】
1 基板処理装置
3 ステージ
352 試行塗布ポッド
353 塗布部材
353a 試行塗布面
37 測定部
370 ギャップセンサ
371 撮像部
38 移動機構
4 架橋構造
40 ノズル支持部
41 スリットノズル
410 スリット
50,51 リニアモータ
6 制御系
60 演算部
61 記憶部
90 基板
900 試行塗布層
Claims (8)
- 基板を保持する保持台と、
前記基板に対して所定の処理液を吐出するスリットノズルと、
前記保持台の表面に沿って掛け渡された架橋構造と、
前記架橋構造を前記保持台に保持されている前記基板の表面に沿った方向に移動させる第1移動手段と、
を備え、
前記第1移動手段が、前記基板の表面に沿った方向に前記架橋構造を移動させつつ、前記スリットノズルによって前記基板の表面を走査することにより、前記基板の表面に対して前記所定の処理液の塗布層を形成する基板処理装置において、
前記スリットノズルによって前記所定の処理液の試行塗布を受ける試行塗布面を有する塗布部材と、
前記スリットノズルによって前記試行塗布面に塗布された前記所定の処理液の試行塗布層を検査する検査手段と、
前記検査手段による検査結果に基づいて、前記スリットノズルの状態を判定する判定手段と、
をさらに備え、
前記基板の表面に前記スリットノズルによって前記塗布層を形成する前に、前記判定手段が前記スリットノズルの状態を判定することを特徴する基板処理装置。 - 請求項1に記載の基板処理装置において、
前記検査手段が、前記試行塗布層を画像として撮像する撮像部を有し、
前記検査手段が、
前記撮像部により撮像された前記試行塗布層の画像に基づいて、前記試行塗布層を検査することを特徴とする基板処理装置。 - 請求項1に記載の基板処理装置において、
前記検査手段が、
所定の方向の存在物との間の距離を検出するセンシング手段と、
前記センシング手段の検出結果に基づいて前記試行塗布層の厚さ寸法を算出する算出手段と、
を有し、
前記検査手段が、
前記算出手段により算出された前記試行塗布層の厚さ寸法に基づいて、前記試行塗布層を検査することを特徴とする基板処理装置。 - 請求項3に記載の基板処理装置において、
前記検査手段が、
前記センシング手段を移動させる第2移動手段をさらに有し、
前記第2移動手段が、前記センシング手段を前記スリットノズルに沿った方向に移動させつつ、前記センシング手段によって前記試行塗布層を走査することにより、前記スリットノズルに沿った方向における前記試行塗布層の厚さ寸法を検出することを特徴とする基板処理装置。 - 請求項3または4に記載の基板処理装置において、
前記センシング手段が、
前記所定の方向にレーザ光を投光し、前記存在物の表面により反射された前記レーザ光のうちの正反射光を受光素子配列で受光することにより、前記存在物との間の距離を検出するレーザ式変位計であることを特徴とする基板処理装置。 - 請求項1ないし5のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記塗布部材が板状であり、前記試行塗布面が略平坦面とされていることを特徴とする基板処理装置。 - 請求項1ないし5のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記塗布部材が円筒状であり、前記試行塗布面が略円筒面とされていることを特徴とする基板処理装置。 - 請求項1ないし7のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記基板がフラットパネルディスプレイ用の角形基板であり、前記所定の処理液がレジスト液、カラーフィルタ形成用塗布液、平坦化膜形成用塗布液、絶縁膜形成用塗布液のいずれかであることを特徴とする基板処理装置。
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