JP2004079151A - 相変化型情報記録媒体 - Google Patents

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Michiaki Shinozuka
篠塚 道明
Takuro Sekiya
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Abstract

【課題】記録媒体の冷却能の向上と繰り返し記録特性の向上を可能とし、記録容量を従来の2倍とすることができる2層記録媒体用の光透過型記録媒体を提供する。
【解決手段】2組の記録媒体を積層した書換え可能型記録媒体であって、第1の記録層構成体101は、第1のZnS−SiO層102、Ge−Sb−Te層104、第2のZnS−SiO層106の各材料を主たる構成材料とした層および第1の反射層107を積層し、第2の記録層構成体201は、第1の反射層を除いて第1の記録層構成体と同様の層構成とする。両層の間には中間反射層108と分離層109が積層されている。レーザ光の書き込みパワーを4mW〜10mWの範囲にして記録を行ない、また第1の記録層構成体の厚さT1と中間反射層の厚さtの比率t/T1を0.2〜1の範囲とする。
【選択図】    図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ光の照射等の光学的な手段を用いた、高密度、高速度での情報の記録再生および書き換えが可能な大容量の光学情報記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
光学情報記録媒体は、記録材料にレーザ光を局所的に照射することによって生じる光学特性の違いを記録状態として利用するものである。この光学特性の変化が可逆的である材料を用いた場合、情報記録の書き換えが可能となる。書き換え型の媒体としては、光磁気型記録媒体や相変化型記録媒体が一般によく知られている。これらの光記録媒体は、大容量の情報を記録することができると共に、高速での記録、再生、及び書き換えが可能であり、かつ、可搬性にも優れているため、高度情報化社会において、今後ますますその需要が増加するものと考えられ、さらなる大容量化、高速度化が望まれている。
【0003】
相変化型記録媒体は、特定波長の光に対する反射光量が結晶状態と非晶質状態とで異なることを記録状態として利用するものであり、レーザの出力パワーを変調することにより、記録の消去と上書きの記録とを同時に行なうことができる。このため、容易に高速での情報信号の書き換えを行なうことができる。
【0004】
図4に、従来の相変化型記録媒体の層構成の一例を示す。図4に示されるように、従来の相変化型記録媒体は、基板(1)と、基板(1)の上に順次積層された、保護層(2)と、記録層(4)と、保護層(8)と、反射層(6)とにより構成されている。基板(1)としては、ポリカーボネート、PMMA等の樹脂又はガラス等が用いられ、基板(1)には、レーザ光を導くための案内溝が形成されている。記録層(4)は、光学特性の異なる状態を有し、この状態間を可逆的に変化し得る物質からなる。書き換え型の相変化型光記録材料の場合、記録層(4)の材料としては、Te、Seを主成分とするカルコゲナイド系材料、例えばTe−Sb−Ge、Te−Sn−Ge、Te−Sb−Ge−Se、Te−Sn−Ge−Au、Ag−In−Sb−Te、In−Sb−Se、In−Te−Se等を主成分とする材料が一般的に用いられる。反射層(6)は、一般に、Au、Al、Cr等の金属、又はこれら金属の合金からなり、放熱効果や記録層(4)の効果的な光吸収を目的として設けられている。また、図中では省略しているが、光学情報記録媒体の酸化、腐食やほこり等の付着の防止を目的として、反射層(6)の上にオーバーコート層を設けた構成、あるいは紫外線硬化樹脂を接着剤として用い、ダミー基板を張り合わせた構成が一般的に用いられている。保護層(2)、(8)は、記録層(4)の材料の酸化、蒸発や変形を防止するといった記録層(4)の保護機能を担っている。また、保護層(2)、(8)の膜厚を調節することにより、記録媒体の吸収率や、記録部と消去部との間の反射率差を調節することができるため、保護層(2)、(8)は記録媒体の光学特性の調節機能をも担っている。保護層(2)、(8)を構成する材料の条件としては、上記目的を満たすだけではなく、記録層(4)の材料や基板(1)との接着性が良好であること、保護層(2)、(8)自身がクラックを生じない耐候性の良い膜であることが不可欠である。また、これらの保護層(2)、(8)が記録層(4)に接して用いられる場合には、記録層(4)の材料の光学的変化を損なわない材料でなければならない。保護層(2)、(8)の材料としては、ZnS等の硫化物、SiO、Ta、Al等の酸化物、Ge−N、Si、Al等の窒化物、Ge−O−N、Si−O−N、Al−O−N等の窒酸化物のほか、炭化物、弗化物等の誘電体、あるいはこれらの適当な組み合わせが提案されている。一般的には、ZnS−SiOがよく用いられている。
【0005】
従来より、記録の書き換えを行なった場合、書き換え後のマーク位置が微妙にずれ、オーバーライト歪みが生じるといった現象が知られている。この歪みが生じるのは、書き換え前の記録層(4)の状態がアモルファスであるか結晶であるかによって、レーザ光の照射時の温度上昇の様子が異なり、書き換え後のマークが所定の長さよりもずれてしまうからである。すなわち、マークがアモルファス状態であるとすると、書き換え前の状態が結晶であった部分では、アモルファス状態に相変化するための潜熱が必要であるが、書き換え前の状態がアモルファスであった部分ではこれを必要としないため、余った熱量が所定長さ以上の記録層(4)をアモルファス化してしまうのである。これを解決するために、記録層(4)がアモルファス状態であるときの記録層(4)の光吸収率をAa、記録層(4)が結晶状態であるときの記録層(4)の光吸収率をAcとしたとき、Ac/Aaを1よりも大きいある一定の範囲に保つという、いわゆる吸収補正が可能な構成が採られる。これにより、結晶部分での温度上昇を助けることができるため、書き換え後のマーク領域内での温度上昇が均一となり、マーク歪みが生じ難くなる。
【0006】
Ac/Aa>1を実現する方法としては、いくつかの方法が提案されている。例えば、アモルファス状態の反射率Raを結晶状態の反射率Rcよりも高くする構成(Rc<Ra)が提案されている。この場合には、アモルファス状態と結晶状態との間の反射率差Ra−Rcを大きくとっても、Ac/Aaの値を大きくすることができる。具体的には、例えば図4において基板(1)と保護層(2)との間に別の層を設け、この層の光学定数をある一定の範囲内とすることにより、Rc<Raを実現することができる。
【0007】
また、Rc>Raの場合でも、Ac/Aa>1を実現することができる。この方法としては、主として光透過型と光吸収型が知られている。光透過型は、媒体に透過率を生じさせ、記録層がアモルファス状態であるときの媒体の透過率をTa、記録層が結晶状態であるときの媒体の透過率をTcとしたとき、0<Tc<Taとなる構成を採る方法である。光吸収型は、媒体中に吸収を生じる層を設け、この層での光吸収を、記録層がアモルファス状態であるときAa2、記録層が結晶状態であるときAc2としたとき、0<Ac2<Aa2となる構成を採る方法である。具体的には、光透過型の場合、例えば図4において反射層(6)を薄くし、光透過を生じさせることによって実現することができる。光吸収型の場合には、例えば図4において反射層(6)と保護層(8)との間に光を吸収する層を挿入することによって実現することができる。
【0008】
Rc<Raの反射率構成を有する媒体の場合、上述したように、Ac/Aa>1となる構成を設計し易いという大きな利点があるが、アモルファス部と結晶部の反射率の和が、Rc>Raの反射率構成を有する媒体に比べて概して大きくなるため、信号再生時のノイズが増加し易いという欠点もある。Rc>Raの反射率構成を有する媒体の場合、このような欠点は生じにくいが、Ac/Aaの値をより大きくとるという点では不利である。したがって、必要な媒体に応じてこれらの方法を使い分けるのが望ましい。
【0009】
Rc>Raかつ0<Tc<Taを満たす光透過型の構成に関して、従来より幾つかの改良が提案されている。
例えば、特許文献1には、記録層と光透過型の反射層を有し、光透過型反射層の熱拡散を助ける熱拡散補助層を反射層に接して設ける技術が開示されている。しかし、この公報には、熱拡散補助層に積極的に光学的効果を持たせる技術に関する記載はなく、その膜厚は光学設計を妨げない範囲とされている。また、特許文献2には、光透過型反射層の上に誘電体層を設ける技術が開示されている。しかし、この場合、誘電体層は、位相差を低減するために設けられたものであって、この公報には、誘電体層を設けることによる熱的な効果に関する記載はなく、また、その膜厚を調節することによって得られる光学的な効果についての記載もない。
【0010】
また、光透過型の媒体を応用した例として、2層記録媒体の技術が知られている。これは、媒体の大容量化を達成するために、2組の記録媒体を透明な分離層を介して設け、片側のみからレーザ光を入射させることによって全ての記録媒体へのアクセスを可能にするというものである。この技術を用いれば、レーザ光の入射方向における記録密度を増大させることができ、2層記録媒体全体としての容量を増大させることが可能となる。
【0011】
光透過型の構成は、媒体中にこもる余分な熱が比較的少ないため、繰り返し特性や隣接消去特性の点で有利である。しかし、反射層が薄いため、熱拡散能が少なく、記録層が熱せられた後の冷却を急速に行なうことが困難であり、マークが形成されに難いという問題点がある。さらに、特にRc>Raを満たす構成の場合、根本的にAc/Aaの値を非常に大きくとることは困難であった。また、2層記録媒体を構成するために、レーザ光の入射側に配置される光透過型の媒体を設計する際、従来においては、透過率を充分大きくとるために記録層の膜厚を薄くする必要があった。しかし、記録層が非常に薄い場合には、結晶化が困難となるため、高透過率と高消去率とを両立させることは困難であった。また、光透過型の媒体の繰り返し記録特性をさらに向上させる技術について考慮した例はなく、さらに繰り返し記録特性を向上させる新たな技術が求められている。
【0012】
【特許文献1】
特開平8−50739号公報
【特許文献2】
特開平9−91755号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術における前記課題を解決するためになされたものであり、記録媒体の冷却能の向上と繰り返し記録特性の向上を可能とし、記録容量を従来の2倍とすることができる2層記録媒体用の光透過型記録媒体を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために、幅0.1〜0.25μm、深さ0.01〜0.03μmの溝を0.28〜0.46μmピッチで形成した基板上に、2組の記録媒体を積層し、記録媒体側から基板に向けて波長360〜420nm、スポット径0.3〜0.52μm(1/e)のレーザ光を照射し、2組の記録媒体にそれぞれ記録あるいは再生を行なう2層構成型光記録媒体であって、最初にレーザ光が入射する第1の記録層構成体は、第1のZnS−SiO、Ge−Sb−Te、第2のZnS−SiOの各材料を主たる構成材料とした層をレーザ光入射側から順に積層するとともに、前記第2のZnS−SiO層にAgを主たる構成材料とした第1の反射層をレーザ光入射の反対側に設けてなる構成体であり、前記第1の記録層構成体を透過したレーザ光が入射する第2の記録層構成体は、前記第1の反射層を除いて前記第1の記録層構成体と同様の層構成とし、該層構成体と接し、前記溝を形成した基板と接する部分に金属材料よりなる第2の反射層を設けてなる構成体であり、前記第1の記録層構成体と第2の記録層構成体は、前記第1の反射層に接する中間反射層と該中間反射層に前記第2の記録層構成体側に接する分離層とを介して積層され、それらの記録層構成体全体の熱容量を前記基板のそれより小さくするとともに、前記レーザ光の書き込みパワーを4mW〜10mWの範囲にして記録を行なう2層構成型光記録媒体であって、前記第1の記録層構成体の厚さT1と中間反射層の厚さtの比率t/T1を0.2〜1の範囲となるようにした。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに具体的に説明する。
図1は単層の光学情報記録媒体の層構成を示す断面図である。図1に示すように、単層の光学情報記録媒体は、基板(1)と、基板(1)の上に順次積層された、保護層(2)と、記録層(4)と、光透過型反射層(6)と、熱拡散層(7)とにより構成されている。ここで、記録層(4)は、レーザ光の照射によって光学特性が可逆的に変化する材料からなっている。
なお、このような光学情報記録媒体は上記構成に限定されるものではなく、記録層(4)と、光透過型反射層(6)と、光透過型反射層(6)に接する熱拡散層(7)を備えた構成であればよい。
【0016】
基板(1)の材料としては、ポリカーボネート、PMMA等の樹脂、又はガラス等を用いるのが好ましい。また、基板(1)にはレーザ光を導くための案内溝が形成されているのが好ましい。
【0017】
保護層(2)は、記録層(4)での効果的な光吸収を可能にするといった光学特性の調節を主な目的として設けられている。保護層(2)の材料としては、ZnS等の硫化物、SiO、Ta、Al等の酸化物、Ge−N、Si、Al等の窒化物、Ge−O−N、Si−O−N、Al−O−N等の窒酸化物のほか、炭化物、フッ化物等の誘電体、あるいはこれらの適当な組み合わせ(ZnS−SiO等)など、上記目的を達成することが可能な材料が用いられる。
【0018】
記録層(4)の材料としては、光学特性が可逆的に変化する材料が用いられる。相変化型記録媒体の場合には、Te、Seを主成分とするカルコゲナイド系材料を用いるのが好ましい。
例えば、Ge−Sb−Te、Sb−Te、Sb−Te−Zn、Sb−Te−Ag、Te−Bi−Ge、Sb−Te−Ge−Se、Te−Sn−Ge−Au、Sb−Te−Ag−In、Se−In−Sb、Te−Se−Inを主成分とする材料等が挙げられる。
【0019】
記録層(4)中にはAr、Kr等のスパッタガス成分やH、C、HO等が不純物として含まれることがあるが、その含有率が信号の記録再生を妨げない程度に抑えられていればよい。また、種々の目的のために記録層(4)の主成分に他の物質を微量(約10at%以下)添加する場合もあるが、この場合にもその含有率が信号の記録再生を妨げない程度に抑えられていればよい。
【0020】
記録層(4)の膜厚は、3nm以上60nm以下であるのが好ましい。記録層(4)の膜厚が3nm未満の場合には、記録材料が均一な層状になりにくく、アモルファスと結晶との間で効果的な相変化が起こりにくくなるからであり、記録層(4)の膜厚が60nmより大の場合には、記録層膜面内での熱拡散が大きくなるために、高密度で記録を行なった際に隣接消去が生じ易くなるからである。
【0021】
反射層(6)の材料としては、Au、Ag、Cuのうち少なくとも1つを含んだ材料が用いられる。これらの材料を用いるのは、その光学定数がAc/Aaの値を大きくとる上で有利であるからであり、また、熱伝導率が高いために、膜厚が薄くても大きい冷却能を得ることができるからである。また、反射層(6)の材料としては、Au、Ag、Cuのうちの少なくとも1つと、他の材料との混合物、又は合金を用いてもよい。これらの他の材料は、腐食防止やより効果的な光学設計を可能にする目的のために用いられる。具体的には、Cr、Pt、Pd、Al、Mg、W、Ni、Mo、Si、Ge等が挙げられるが、用途に応じて適宜選択された材料を用いればよい。
【0022】
反射層(6)の膜厚は、1nm以上40nm以下であるのが好ましい。反射層(6)の膜厚が1nm未満の場合には、膜が均一な層状とすることが困難となって、熱的、光学的な反射層の効果が低下するからであり、反射層(6)の膜厚が40nmよりも厚い場合には、媒体の光透過が小さくなるために、既述の光吸収補正(Ac/Aa>1)を実現することが困難となるからである。
【0023】
次に、本発明の特徴をなす主な部分である熱拡散層(7)について説明する。熱拡散層(7)は2つの重要な役割を担っている。
熱拡散層(7)の役割は、記録層(4)で生じた熱を冷却することである。反射層(6)として光透過型の薄い層を用いる場合、反射層(6)での冷却効果は低下してしまう。これを補うために、媒体としての光学的な特性を損なわずに、すなわち媒体の透過率を保ったまま、熱拡散層(7)において効果的に熱拡散が行なわれる。このため、熱拡散層(7)の記録再生レーザ波長域における吸収はある程度低くなければならない。熱拡散層(7)の、記録再生レーザ波長における複素屈折率をn−ikとおいたとき、吸収係数kはk≦1.5の関係を満たすのが好ましい。また、熱拡散層(7)での冷却効果をより大きなものとするために、熱拡散層(7)を構成する材料の熱伝導率はできるだけ大きい方がよい。目安としては、500Kにおける熱伝導率が0.05W/m・K以上の材料を用いるのが好ましい。なお、これらに加えて、熱拡散層(7)がクラックや腐食、剥離等を生じない良好な膜であるべきことは言うまでもない。
この熱拡散層(7)の冷却効果により、記録信号のC/N比を向上させることが可能となる。また、媒体への熱負荷を低下することができるため、繰り返し記録特性も向上させることが可能となる。
【0024】
これらの条件を満たす具体的な材料としては、例えば、Al−N、Al−O−N、Al−C、Si、Si−N、SiO、Si−O−N、Si−C、Ti−N、TiO、Ti−C、Ta−N、Ta、Ta−O−N、Ta−C、Zn−O、ZnS、ZnSe、Zr−N、Zr−O−N、Zr−C、W−Cが挙げられる。あるいは、これらの混合物を用いてもよいし、これらの材料と適量の金属、半金属との混合物、又は合金を用いてもよい。
本発明における光学情報記録媒体は、光透過型となるように構成するものであるため、片面からのレーザ光の照射による情報の記録再生が可能な多層記録媒体を構成することができる。これにより、さらに高密度記録が可能な光学情報記録媒体を実現することができる。
【0025】
図2に、2組の媒体によって構成される2層記録媒体の構成例を示す。
図2に示すように、この2層記録媒体は、基板(カバー基板)(100)と溝付基板(200)の間に、第1の記録層構成体(101)と、第2の記録層構成体(201)とが挟み込まれた構成となっており、第1の記録層構成体(101)と第2の記録層構成体(201)とは、中間反射層(108)と分離層(109)とを間に介した構成とされている。ここで、溝付基板(200)は、幅0.1〜0.25μm、深さ0.01〜0.03μmの溝を0.28〜0.46μmピッチで形成した基板であり、その溝は図示しないが、第2の記録層構成体(201)と接する側に設けている。また、波長360〜420nm、スポット径0.3〜0.52μm(1/e)のレーザ光が、基板(カバー基板)(100)側から照射され、書き込み時のパワーは、4mW〜10mWの範囲にして記録を行なうようにしている。
【0026】
第1の記録層構成体(101)は、基板(カバー基板)(100)側から順次積層された、保護層(102)と、記録層(104)と、保護層(106)と、第1の反射層(107)とにより構成されている。また、第2の記録層構成体(201)は、分離層(109)側から順次積層された、保護層(202)と、記録層(204)と、保護層(206)と、第2の反射層(207)とにより構成されている。
保護層(102)、(106)、(202)、(206)は、記録層(104)、(204)での効果的な光吸収を可能にするといった光学特性の調節を主な目的として設けられている。保護層(102)、(106)、(202)、(206)の材料としては、ZnS等の硫化物、SiO、Ta、Al等の酸化物、Ge−N、Si、Al等の窒化物、Ge−O−N、Si−O−N、Al−O−N等の窒酸化物、炭化物、フッ化物等の誘電体、あるいはこれらの適当な組み合わせ(ZnS−SiO等)など、上記目的を達成することが可能な材料が用いられる。本発明者らの検討結果では、図2に示したような本発明の構成においては、ZnS−SiOが最も良好な性能を示した。
【0027】
記録層(104)、(204)の材料としては、光学特性が可逆的に変化する材料が用いられる。相変化型記録媒体の場合には、Te、Seを主成分とするカルコゲナイド系材料を用いるのが好ましい。例えば、Ge−Sb−Te、Sb−Te、Sb−Te−Zn、Sb−Te−Ag、Te−Bi−Ge、Sb−Te−Ge−Se、Te−Sn−Ge−Au、Sb−Te−Ag−In、Se−In−Sb、Te−Se−Inを主成分とする材料等が挙げられる。
【0028】
記録層(104)、(204)中にはAr、Kr等のスパッタガス成分やH、C、HO等が不純物として含まれることがあるが、その含有率が信号の記録再生を妨げない程度に抑えられていればよい。また、種々の目的のために記録層(104)、(204)の主成分に他の物質を微量(約10at%以下)添加する場合もあるが、この場合にもその含有率が信号の記録再生を妨げない程度に抑えられていればよい。
本発明者らの検討結果では、図2に示したような本発明の構成においては、Ge−Sb−Teが最も良好な性能を示した。
【0029】
記録層(104)、(204)の膜厚は、3nm以上40nm以下であるのが好ましい。記録層(104)、(204)の膜厚が3nm未満の場合には、記録材料が均一な層状になりにくく、アモルファスと結晶との間で効果的な相変化が起こりにくくなるからであり、記録層(104)、(204)の膜厚が40nmより大の場合には、記録層膜面内での熱拡散が大きくなるために、高密度で記録を行なった際に隣接消去が生じ易くなるからである。
【0030】
第1の反射層(107)の材料としては、Au、Ag、Cuのうち少なくとも1つを含んだ材料が用いられる。これらの材料を用いるのは、その光学定数がAc/Aaの値を大きくとる上で有利であるからであり、また、熱伝導率が高いために、膜厚が薄くても大きい冷却能を得ることができるからである。また、第1の反射層(107)の材料としては、Au、Ag、Cuのうちの少なくとも1つと、他の材料との混合物、又は合金を用いてもよい。これらの他の材料は、腐食防止やより効果的な光学設計を可能にする目的のために用いられる。具体的には、Cr、Pt、Pd、Al、Mg、W、Ni、Mo、Si、Ge等が挙げられるが、用途に応じて適宜選択された材料を用いればよい。
本発明者らの検討結果では、図2に示したような本発明の構成においては、Agを主たる構成材料とした場合に最も良好な性能を示した。
【0031】
第1の反射層(107)の膜厚は、1nm以上80nm以下であるのが好ましい。第1の反射層(107)の膜厚が1nm未満の場合には、膜が均一な層状とすることが困難となって、熱的、光学的な反射層の効果が低下するからであり、第1の反射層(107)の膜厚が80nmよりも厚い場合には、媒体の光透過が小さくなるために、既述の光吸収補正(Ac/Aa>1)を実現することが困難となるからである。
【0032】
第2の反射層(207)の材料としては金属材料が用いられ、Al、Au、Ag、Cuのうち少なくとも1つを含んだ材料が用いられる。これらの材料を用いるのは、その光学定数がAc/Aaの値を大きくとる上で有利であるからであり、また、熱伝導率が高いために、膜厚が薄くても大きい冷却能を得ることができるからである。また、第2の反射層(207)の材料としては、Al、Au、Ag、Cuのうちの少なくとも1つと、他の材料との混合物、又は合金を用いてもよい。これらの他の材料は、腐食防止やより効果的な光学設計を可能にする目的のために用いられる。具体的には、Cr、Pt、Pd、Mg、W、Ni、Mo、Si、Ge等が挙げられるが、用途に応じて適宜選択された材料を用いればよい。
本発明者らの検討結果では、図2に示したような本発明の構成においては、Al合金を主たる構成材料とした場合に最も良好な性能を示した。
【0033】
第2の反射層(207)の膜厚は、1nm以上80nm以下であるのが好ましい。第2の反射層(207)の膜厚が1nm未満の場合には、膜が均一な層状とすることが困難となって、熱的、光学的な反射層の効果が低下するからであり、第2の反射層(207)の膜厚が80nmよりも厚い場合には、媒体の光透過が小さくなるために、既述の光吸収補正(Ac/Aa>1)を実現することが困難となるからである。
【0034】
次に、本発明の特徴をなす主な部分である中間反射層(108)について説明する。
中間反射層(108)は2つの重要な役割を担っている。すなわち、第1の記録層構成体(101)で生じた熱を冷却することと、記録再生レーザ光を第2の記録層構成体(201)へ良好に透過することである。
第1の反射層(107)の材料として光透過型の薄い層を用いる場合、第1の反射層(107)での冷却効果は低下してしまう。これを補うために、媒体としての光学的な特性を損なわずに、すなわち媒体の透過率を保ったまま、中間反射層(108)において効果的に熱拡散が行なわれる。このため、中間反射層(108)の記録再生レーザ波長域における吸収はある程度低くなければならない。このような中間反射層(108)に要求される熱的特性としては、その材料の熱伝導率は一般に0.15〜17W/mK程度のものであるが、安定した熱的特性(放熱特性)はその中間反射層(108)の熱容量によってほぼ決まる。そしてそれは中間反射層(108)単独で決められるものではなく、記録層の熱容量も考慮して決められる。なお、熱容量は各層の厚さによってほぼ決まる。
【0035】
前述のように本発明は図2に示したような2組の媒体によって構成される2層記録媒体である。このように第1の記録層構成体(101)を透過して、第2の記録層構成体(201)に良好に記録を行なうには、放熱特性や透過率などを考慮した構成を検討する必要がある。
また、記録層構成体が2層ある(第1、第2)ので、使用時の発熱量も通常の単層の光学情報記録媒体のときよりもはるかに大であり、放熱特性を充分に考慮する必要がある。本発明ではこの点に鑑み、これら2層の記録層構成体全体の熱容量をこれら2層の記録層構成体をはさむ構成をなしている基板(カバー基板)(100)や溝付基板(200)のそれより小さくなるようにしている。
これらの基板は、たとえばポリカーボネート、PMMA等の樹脂、又はガラス等によって形成され、その材料の種類によって、それぞれ熱伝導率が異なるが、全体の熱容量を大きく左右する因子はその体積である。よって本発明では、これらの基板の厚さを上記2層の記録層構成体全体(中間反射層および分離層も含む)の厚さより大とし、言い換えるならば記録層構成体全体の厚さを基板の厚さより小とし、記録層構成体全体の熱容量を基板のそれより小さくなるようにしている。
【0036】
以下、前述した、記録層構成体全体の厚さを基板の厚さより小とし、記録層構成体全体の熱容量を基板のそれより小さくなるようにするための具体的な説明を実施例にて説明する。
【0037】
前述した構成の具体的な基板厚さとして、たとえば本発明では、0.2mmから1.5mmの厚さのポリカーボネート基板を使用するが、0.2mmから1.5mmの厚さ、あるいはそれ以上であれば熱容量的には問題ない。他の材料でも、厚さをこの程度にすれば熱容量的には問題ない。
本発明では、これらの点を考慮し、第1の記録層構成体(101)と中間反射層(108)の厚さを変えた図2の層構成の光学情報記録媒体を製作して、その記録特性を評価した。なおここで中間反射層(108)は、InOとSnOからなるITOによって形成した。
また、このときの第1の記録層構成体(101)の構成および各層の厚さは、第1の記録層構成体(101)全体が150nmの場合に、記録層(104)としてGe−Sb−Teを30nm、保護層(102)、(106)としてZnS−SiOをそれぞれ40nm、反射層(107)としてAgを40nmとしたものである。なお第1の記録層構成体(101)全体が250nm、300nmの場合には各層の厚さはほぼ比例して増加した厚さであり、第2の記録層構成体(201)もほぼ同構成およびほぼ比例して増加した厚さである。また基板は、カバー基板、溝付基板とも、1mm厚さのポリカーボネート基板を使用した。
このときの記録条件等は以下のとおりである。
【0038】
実施例1
レーザ波長:402nm
スポット径:0.3μm(1/e
記録パワー/消去パワー:第1の記録層構成体(7mW/3mW)、第2の記録層構成体(8.5mW/3.3mW)
再生パワー:0.6mW
変調コード:1−7変調
記録線速:16.5m/s
再生線速:5.7m/s
ライトストラテジー:マルチパルスの数が(n−1)タイプ(3Tではマルチパルスが2個のタイプ)、ここでTは基準クロックの周波数の逆数
先頭パルス幅:0.4T
マルチパルス幅:0.4T
オフパルス幅:0.4T
【0039】
実施例2
レーザ波長:410nm
スポット径:0.52μm(1/e
記録パワー/消去パワー:第1の記録層構成体(7.5mW/3.3mW)、第2の記録層構成体(9.5mW/3.5mW)
再生パワー:0.55mW
変調コード:1−7変調
記録線速:16.5m/s
再生線速:5.7m/s
ライトストラテジー:マルチパルスの数が(n−1)タイプ(3Tではマルチパルスが2個のタイプ)、ここでTは基準クロックの周波数の逆数
先頭パルス幅:0.4T
マルチパルス幅:0.4T
オフパルス幅:0.4T
【0040】
以下に、その評価結果を示す。表1は実施例1の結果、表2は実施例2の結果である。ここで記録特性は、実際に実用に供しうるかどうかということで表中に○および×で評価したが、第1の記録層における評価で、○はジッタ特性が10%未満で、記録再生特性が実用に供しうる良好な状態を示している。×は蓄熱により急激にジッタ特性が悪く(15%以上)なり、エラー修復不能な状態になったものである。また、第2の記録層における評価においても、○はジッタ特性が10%未満で、記録再生特性が実用に供しうる良好な状態を示している。×は記録層において良好なアモルファス化ができなかった(=記録ができない)ため、再生特性が実用に供しないレベルにあるものを示している。
【0041】
【表1】
Figure 2004079151
【0042】
【表2】
Figure 2004079151
【0043】
以上の結果より、第1の記録層構成体と中間反射層の厚さ比を0.2〜1の範囲にすることによって、第1の記録層構成体で発生した熱が蓄熱されることなく良好に放熱され、良好な記録特性が得られることがわかる。よって、本発明のような2層構成とすることにより、記録媒体への熱負荷を低下することができ、繰り返し記録特性も向上し、従来の光記録媒体の2倍の記録容量を実現することが可能となった。
なお、このような本発明に適用される中間反射層としては、上記実施例の他に以下の材料の中から選んでもよい。例えば、Al−N、Al−O−N、Al−C、Si、Si−N、SiO、Si−O−N、Si−C、Ti−N、TiO、Ti−C、Ta−N、Ta、Ta−O−N、Ta−C、Zn−O、ZnS、ZnSe、Zr−N、Zr−O−N、Zr−C、W−Cなどが挙げられる。あるいは、これらの混合物を用いてもよいし、これらの材料と適量の金属、半金属との混合物、又は合金を用いてもよい。
更に他の例として、In−SnO、ZrO−Y、InO−ZrO、Al−ZrOなどが挙げられる。
【0044】
分離層(109)は、第1の記録層構成体(101)と第2の記録層構成体(201)とを光学的に分離することを主な目的として設けられ、記録再生に用いるレーザ光に対する光吸収ができるだけ小さくなる材料により構成される。例えば、紫外線硬化樹脂や遅効性樹脂等の有機材料からなる樹脂、光ディスク用両面接着シート、SiO、Al、ZnS等の無機誘電体、あるいはガラス材料などを用いることができる。
【0045】
分離層(109)の厚さは、一方の媒体を記録再生する際に、他方の媒体からのクロストークを無視できる程度に小さく抑えるために、レーザ光の焦点深度△Z以上の厚さとすることが必要である。ここで、焦点深度△Zは、集光点の強度が無収差の場合の80%の点を基準とした場合、近似的に下記の式で標記することができる。
【数1】
△Z=λ/{2×(NA)2}
ここで、NAは対物レンズの開口数、λは記録・再生を行なう際のレーザ光の波長である。
例えば、λ=400nm、NA=0.60の場合、焦点深度は△Z=0.56μmとなる。したがって、この場合、約±0.60μmの範囲内は焦点深度内となってしまうため、分離層(109)の厚さを少なくとも1.20μmよりも大きい値に設定する必要がある。
また、分離層(109)の厚さは、2つの媒体間の距離が対物レンズの集光可能な範囲となるように、対物レンズの許容可能な公差内とするのが望ましい。
【0046】
第2の記録層構成体(201)の記録再生は、レーザ光を第1の記録層構成体(101)中を透過させることにより行なわれる。このため、記録再生を行なうレーザ光の波長に対する第1の記録層構成体(101)の透過率をT1、反射率をR1、第2の記録層構成体(201)のみでの反射率をR2としたとき、第1の記録層構成体(101)を通して第2の記録層構成体(201)を再生する際の反射率r2は、下記の式で標記される。
【数2】
r2=R2×T1×T1
また、信号振幅についても同様に、第2の記録層構成体(201)そのものの反射率差を△R2、第1の記録層構成体(101)を通して第2の記録層構成体(201)を再生する場合の第2の記録層構成体(201)の反射率差を△r2としたとき、下記の関係式が成り立つ。
【数3】
△r2=△R2×T1×T1
例えば、△R2=24%、T1=50%のときは、第1の記録層構成体(101)を通して第2の記録層構成体(201)を再生する場合の第2の記録層構成体(201)の反射率差△r2は、△r2=24%×0.5×0.5=6%となる。
【0047】
以上のことから分かるように、第2の記録層構成体(201)から充分な信号を得るためには、第1の記録層構成体(101)の透過率T1をできるだけ高く、第2の記録層構成体(201)の信号振幅をできるだけ大きくとる必要がある。それと同時に、第1の記録層構成体(101)の反射率差をある程度高くする必要があり、かつ、第2の記録層構成体(201)の記録感度を非常に高くする必要がある。第1の記録層構成体(101)、第2の記録層構成体(201)の光学設計は、これらの要因が全てバランスするように定めなければならない。
【0048】
以下に、具体的な光学設計例を示す。
一例として、第1の記録層構成体(101)の記録層(104)が結晶状態のときの反射率R1cが7.5%、アモルファス状態のときの反射率R1aが0.5%、第2の記録層構成体(201)の記録層(204)が結晶状態のときの反射率R2cが15%、アモルファス状態のときの反射率R2aが43%、第1の記録層構成体(101)にのみ記録を行なった場合の第1の記録層構成体(101)の透過率が50%となるように設計した。光学設計値の調節は、主に記録層(104)、保護層(102)、(106)、第1の反射層(107)の膜厚を変化させることによって行なった。
【0049】
以上の例の場合、第1の記録層構成体(101)を通して第2の記録層構成体(201)を記録再生する場合の反射率差は△r2=(43−15)×0.5×0.5=7%、また、第1の記録層構成体(101)の反射率差も7.5−0.5=7%となっている。このように、第1の記録層構成体(101)、第2の記録層構成体(201)の反射率差、すなわち信号振幅の大きさがほぼ同等となるように設計するのが望ましい。このように設計すれば、記録再生を行なう媒体を第1の記録層構成体(101)と第2の記録層構成体(201)との間で切り替える際、信号振幅が極端に変化することによってトラッキングが不安定になるのを防止することができる。
【0050】
また、第1の記録層構成体の高透過率と第2の記録層構成体の高反射率差とを両立させることは大変困難であるため、設計を行なった後の反射率差は比較的小さく、信号振幅が比較的小さくなってしまうことが多い。この場合には、再生光のパワーレベルP3を従来よりもやや大きく設定し、再生信号振幅を大きくとるのが好ましい。但し、P3のレベルを大きく設定し過ぎると、記録マークが熱的に影響を受け、再生信号が劣化してしまうため、この再生光による信号劣化が生じない範囲でP3のレベルを設定しなければならない。また、第1の記録層構成体(101)と第2の記録層構成体(201)の再生パワーレベルはそれぞれ異なっていても構わない。また、第1の記録層構成体(101)と第2の記録層構成体(201)の再生を行なうレーザ光の波長は異なっていてもよいが、同一波長のレーザ光を用いるのが一般的である。
【0051】
次に、以上説明した光学情報記録媒体の製造方法について説明する。上記光学情報記録媒体を構成する多層膜を作製する方法としては、スパッタリング法、真空蒸着、CVD等の方法がある。ここでは、スパッタリング法を用いた場合を例に挙げて説明する。図3は成膜装置の一例を示す概略図である。
図3に示すように、真空容器(9)には、排気口(15)を介して真空ポンプ(図示せず)が接続されており、これにより真空容器(9)内を高真空に保つことができるようにされている。また、真空容器(9)にはガス供給口(14)が設けられており、このガス供給口(14)から一定流量の希ガス、窒素、酸素、又はこれらの混合ガスを供給することができるようにされている。図3中、(10)は真空容器(9)内に配置された基板であり、この基板(10)は、基板(10)の自転・公転を行なうための駆動装置(11)に取り付けられている。(12)は真空容器(9)内に基板(10)と対向させて複数配置されたスパッタターゲットであり、これらのスパッタターゲット(12)はそれぞれ陰極(13)に接続されている。ここで、陰極(13)は、図示しないスイッチを介して直流電源又は高周波電源(図示せず)に接続されている。また、真空容器(9)を接地することにより、真空容器(9)及び基板(10)は陽極に保たれている。
【0052】
成膜ガスとしては、希ガス、あるいは場合に応じて希ガスに微量の窒素又は酸素等を混合したガスが用いられる。希ガスとしては、Ar、Kr等の成膜可能なガスを用いればよい。一般に、記録層(104)、(204)や保護層(102)、(106)、(202)、(206)を成膜する際に、希ガスと微量の窒素又は微量の酸素との混合ガスを用いると、媒体の繰り返し記録時の物質移動を抑制することができ、繰り返し特性が向上することが知られている。
【0053】
中間反射層(108)として、窒化物や酸化物を用いる場合、反応性スパッタリング法によってスパッタすると、良好な膜質の膜が得られる。また、膜が硬質である場合や膜応力が大きい場合等には、必要に応じて微量の酸素を成膜ガス中に混合することにより、良好な膜質の層を得ることができる場合がある。
【0054】
次に、以上のようにして形成した光学情報記録媒体の記録再生方法、消去方法について説明する。信号の記録再生、消去には、レーザ光源と対物レンズを搭載した光ヘッドと、レーザ光を照射する位置を所定の位置へと導くための駆動装置と、トラック方向及び膜面に垂直な方向の位置を制御するためのトラッキング制御装置及びフォーカシング制御装置と、レーザパワーを変調するためのレーザ駆動装置と、媒体を回転させるための回転制御装置とが用いられる。
【0055】
信号の記録、消去は、まず、媒体を回転制御装置を用いて回転させ、光学系を用いてレーザ光を微小スポットに絞りこんで、媒体へ照射することによって行なわれる。レーザ光の照射によって記録層(4)のうちの局所的な一部分がアモルファス状態へと可逆的に変化し得るアモルファス状態生成パワーレベルをP1、同じくレーザ光の照射によって結晶状態へと可逆的に変化し得る結晶状態生成パワーレベルをP2とし、レーザパワーをP1とP2との間で変調させることによって記録マーク、あるいは消去部分を形成する。これにより、情報の記録、消去、及び上書き記録が行なわれる。P1のパワーを照射する部分は、パルスの列で形成する、いわゆるマルチパルスとするのが一般的である。
また、前記P1、P2のいずれのパワーレベルよりも低く、そのパワーレベルでのレーザ光の照射によって記録マークの光学的な状態が影響を受けず、かつその照射によって媒体から記録マークの再生のために充分な反射率が得られるパワーレベルを再生パワーレベルP3とし、P3のパワーのレーザ光を照射することによって得られる媒体からの信号を検出器で読み取ることにより、情報信号の再生が行なわれる。
なお、本発明は前記請求項に記載の通りの層構成とするものであるが、この基本構成に加えて、部分改良的な付加的な層を追加した場合であっても、当然ではあるが本発明の権利範囲に含まれるものである。
【0056】
【発明の効果】
以上、詳細且つ具体的な説明より明らかなように、本発明の2層構成型光記録媒体において、記録層構成体全体の熱容量を基板のそれより小さくするとともに、最初にレーザ光が入射する記録層構成体の厚さと中間反射層の厚さの関係を最適化したので、第1、第2のそれぞれの記録層構成体において良好な記録再生が可能となり、通常の1層だけのものに対して2倍の記録容量を実現できるようになった。また、この最適化により、記録媒体への熱負荷を低下することができるため、繰り返し記録特性も向上させることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学情報記録媒体の層構成の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の、2組の媒体によって構成される2層記録媒体の層構成の一例を示す断面図である。
【図3】本発明の光学情報記録媒体の製造に用いられる成膜装置の一例を示す概略図である。
【図4】従来の相変化型記録媒体の層構成の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2 保護層
4 記録層
6 反射層
7 熱拡散層
8 保護層
9 真空容器
10 基板
11 基板駆動装置
12 ターゲット
13 陰極
14 ガス供給口
15 排気口
100 基板(カバー基板)
101 第1の記録層構成体
102 保護層
104 記録層
106 保護層
107 第1の反射層
108 中間反射層
109 分離層
200 溝付基板
201 第2の記録層構成体
202 保護層
204 記録層
206 保護層
207 第2の反射層

Claims (1)

  1. 幅0.1〜0.25μm、深さ0.01〜0.03μmの溝を0.28〜0.46μmピッチで形成した基板上に、2組の記録媒体を積層し、記録媒体側から基板に向けて波長360〜420nm、スポット径0.3〜0.52μm(1/e)のレーザ光を照射し、2組の記録媒体にそれぞれ記録あるいは再生を行なう2層構成型光記録媒体であって、最初にレーザ光が入射する第1の記録層構成体は、第1のZnS−SiO、Ge−Sb−Te、第2のZnS−SiOの各材料を主たる構成材料とした層をレーザ光入射側から順に積層するとともに、前記第2のZnS−SiO層にAgを主たる構成材料とした第1の反射層をレーザ光入射の反対側に設けてなる構成体であり、前記第1の記録層構成体を透過したレーザ光が入射する第2の記録層構成体は、前記第1の反射層を除いて前記第1の記録層構成体と同様の層構成とし、該層構成体と接し、前記溝を形成した基板と接する部分に金属材料よりなる第2の反射層を設けてなる構成体であり、前記第1の記録層構成体と第2の記録層構成体は、前記第1の反射層に接する中間反射層と該中間反射層に前記第2の記録層構成体側に接する分離層とを介して積層され、それらの記録層構成体全体の熱容量を前記基板のそれより小さくするとともに、前記レーザ光の書き込みパワーを4mW〜10mWの範囲にして記録を行なう2層構成型光記録媒体であって、前記第1の記録層構成体の厚さT1と中間反射層の厚さtの比率t/T1を0.2〜1の範囲にしたことを特徴とする2層構成型光記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2006004025A1 (ja) * 2004-07-01 2006-01-12 Pioneer Corporation 光記録媒体及びその製造方法

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