JP2004073377A - 固形医薬組成物中の有効成分の安定化方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】固形医薬組成物中のアルデヒド類に不安定な有効成分の新規且つ有効な安定化手段を提供し、もって長期保存安定性を有する安全な固形医薬組成物を提供すること。
【解決手段】アルデヒド類に不安定な有効成分を含有する固形医薬組成物とアミノ基を有する有機化合物(好ましくは、側鎖にアミノ基を有するアミノ酸、糖もしくは糖アルコールのアミノ誘導体、またはそれらの塩もしくは誘導体、側鎖にアミノ基を有するアミノ酸残基および/または糖もしくは糖アルコールのアミノ誘導体残基を分子内に含む化合物、あるいはゼラチン)とを独立して共存させることを特徴とする、該有効成分の安定化方法。
【選択図】 なし
【解決手段】アルデヒド類に不安定な有効成分を含有する固形医薬組成物とアミノ基を有する有機化合物(好ましくは、側鎖にアミノ基を有するアミノ酸、糖もしくは糖アルコールのアミノ誘導体、またはそれらの塩もしくは誘導体、側鎖にアミノ基を有するアミノ酸残基および/または糖もしくは糖アルコールのアミノ誘導体残基を分子内に含む化合物、あるいはゼラチン)とを独立して共存させることを特徴とする、該有効成分の安定化方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固形医薬組成物中の有効成分の安定化手段に関する。より詳細には、本発明はアルデヒド類に不安定な該有効成分の安定化のための固形医薬組成物の包装設計に関する。
【0002】
【従来の技術】
固形医薬組成物は、有効成分と種々の賦形薬よりなるが、賦形薬の配合が有効成分を不安定化することが広く知られており、様々な安定化対策が施される。
【0003】
例えば、固形医薬組成物に使用される賦形薬中には、微量ながらホルムアルデヒドあるいはアセトアルデヒドのようなアルデヒド類を微量含有したり、あるいは保存中にそれらを生成するものがある。このような原料由来のアルデヒド類により有効成分の安定性が損なわれる場合がある。固形医薬組成物において、該組成物中に共存するアルデヒド類により有効成分が分解し新たに生成した類縁物質等の安全性が確認されたものであっても、医薬品という性質から類縁物質の生成を抑制することは極めて重要である。また、これらアルデヒド類は環境中にも多く存在し、固形医薬組成物が置かれる環境によっても有効成分の不安定化が起こり得る。
【0004】
アルデヒド類により不安定化される固形医薬組成物中の有効成分の安定性を向上させる方法としては、密封容器に保管することにより、固形医薬組成物が置かれる環境中に存在するアルデヒド類と該組成物との接触を防ぐ方法がある。例えば、ガラス瓶中の保管、両面がアルミで構成されるブリスター包装、一次包装品を両面がアルミで構成される素材で成型される袋状包装形態などが挙げられる。
【0005】
一方、固形医薬組成物中に配合される賦形薬に由来するアルデヒド類による有効成分の分解を抑制する方法としては、賦形薬としてアルデヒド類を含有しないものを選択して使用する、アルデヒド類を低減すべく精製したものを使用する等の方法がある。しかしながら、固形医薬組成物を構成するためには、分解に関する特性だけでなく、組成物の形成のために必要であったり、他の安定化(例えば、光安定性等)の確保のために必要であるなどの特性をも考慮せねばならず、不可避的に使用せざるを得ない賦形薬もあるため、これらの方法には限界がある。
【0006】
従って、上記の方法を適用して可能な限り安定化を図っても、生成する分解物量が安全性の面から問題になる場合には、当該固形医薬組成物は、医薬として極めて有効であったとしてもその実用化は困難である。また、仮に生成する分解物量が安全性の面からは問題のない程度であっても、そのような類縁物質の生成自体を防止することが、倫理的にも治療学的にも望ましいことは言うまでもない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、固形医薬組成物中の有効成分、特にアルデヒド類により不安定化される有効成分の新規且つ有効な安定化手段を提供し、もって長期保存安定性を有する安全な固形医薬組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、アルデヒド類に不安定な化合物を有効成分として含有する固形医薬組成物について、固形医薬組成物を構成する成分を選択あるいは精製等しなくとも、アミノ基を有する有機化合物を固形医薬組成物と別個に共存させることによって、意外にもアルデヒド類に不安定な有効成分が安定化されることを見出した。本発明者らは、これらの知見に基づいてさらに研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、
[1] アルデヒド類に不安定な有効成分を含有する固形医薬組成物とアミノ基を有する有機化合物とを独立して共存させることを特徴とする、該有効成分の安定化方法、
[2] アミノ基を有する有機化合物が、側鎖にアミノ基を有するアミノ酸、糖もしくは糖アルコールのアミノ誘導体またはそれらの塩もしくは誘導体、あるいは側鎖にアミノ基を有するアミノ酸残基および/または糖もしくは糖アルコールのアミノ誘導体残基を分子内に含む化合物である、上記[1]記載の方法、
[3] アミノ基を有する有機化合物がゼラチンである上記[1]記載の方法、
[4] 乾燥剤、脱酸素剤、炭酸ガス吸収剤および湿度調整剤からなる群より選択される1種以上をさらに共存させることを特徴とする、上記[1]記載の方法、
[5] アミノ基を有する有機化合物を含有する、固形医薬組成物中のアルデヒド類に不安定な有効成分の安定化用容器、
[6] アミノ基を有する有機化合物が、側鎖にアミノ基を有するアミノ酸、糖もしくは糖アルコールのアミノ誘導体またはそれらの塩もしくは誘導体、あるいは側鎖にアミノ基を有するアミノ酸残基および/または糖もしくは糖アルコールのアミノ誘導体残基を分子内に含む化合物である、上記[5]記載の容器、
[7] アミノ基を有する有機化合物がゼラチンである上記[5]記載の容器、
[8] 乾燥剤、脱酸素剤、炭酸ガス吸収剤および湿度調整剤からなる群より選択される1種以上をさらに含有する、上記[5]記載の容器、および
[9] 上記[5]記載の容器内にアルデヒド類に不安定な有効成分を含有する固形医薬組成物を封入してなる、該有効成分が安定化された医薬パッケージ等を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明における安定化方法において用いられる「アミノ基を有する有機化合物」とは、分子内にアミノ基を一つ以上含有する有機化合物、並びに該有機化合物を含有する組成物を包括的に意味するものとする。分子内にアミノ基を含有する有機化合物がその他の官能基を有するか否かについては特に限定はない。また、ここで「アミノ基」は第1級アミノ基であっても、第2級アミノ基であっても、第3級アミノ基であってもよい。
【0011】
具体的には、「アミノ基を有する有機化合物」として、例えば、側鎖にアミノ基を有するアミノ酸、糖もしくは糖アルコールのアミノ誘導体、またはそれらの塩もしくは誘導体、あるいは側鎖にアミノ基を有するアミノ酸残基および/または糖もしくは糖アルコールのアミノ誘導体残基を分子内に含む化合物等が挙げられる。
【0012】
側鎖にアミノ基を有するアミノ酸としては、例えば、リジン、アルギニン、グルタミン、アスパラギン、オルニチン、シトルリン等が挙げられる。その塩としては、酸または塩基との塩、好ましくは酸付加塩、例えば、無機酸(例:塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸など)との塩、有機酸(例:酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、シュウ酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸など)との塩等が、その誘導体としては、N末端のホルミル、アシル(例:アセチル、プロピオニル、スクシニル、グルタリル、ベンゾイルなど)誘導体等、C末端のアミド、エステル(例:メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチリル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、α−ナフチル、ベンジル、フェネチルなど)誘導体等が挙げられる。また、側鎖にアミノ基を有するアミノ酸残基を分子内に含む化合物としては、例えば、単純もしくは複合蛋白質(例:糖蛋白質、リポ蛋白質、リン酸蛋白質など)、ポリもしくはオリゴペプチド(例:ポリリジン、ポリグルタミンなど)、それらの塩または誘導体等が挙げられる。塩および誘導体としては、上記アミノ酸について例示したのと同様のものが挙げられる。
【0013】
糖もしくは糖アルコールのアミノ誘導体としては、例えば、ヘキソサミン(例:グルコサミン、ガラクトサミンなど)、N−アセチルヘキソサミン(例:N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミンなど)、メグルミン(1−デオキシ−1−メチルアミノ−D−グルシトール)等が挙げられる。その塩としては、例えば、無機酸(例:塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸など)との塩、有機酸(例:酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、シュウ酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸など)との塩等が、その誘導体としては、例えば、無機酸(例:リン酸、硫酸など)とのエステル、有機酸(例:酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、シュウ酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸など)とのエステル等が挙げられる。また、糖もしくは糖アルコールのアミノ誘導体残基を分子内に含む化合物としては、例えば、キチン、キトサン、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、あるいはそれらの部分水解物等が含まれる。
【0014】
分子内にアミノ基を有する有機化合物を含有する組成物としては、例えば、天然物から精製される、他成分を少量含有する上記アミノ基含有有機化合物を豊富に含有する組成物が挙げられ、特にゼラチン、コラーゲン類等の比較的塩基性アミノ酸に富む蛋白質を主成分とする組成物などが好ましく用いられ得る。これらの組成物の原料としては、例えば、ゼラチンの場合、豚、牛、鯨、鮫など由来のコラーゲン成分等が挙げられる。
【0015】
別の実施態様においては、「アミノ基を有する有機化合物」として、アミノ基を官能基として有する陰イオン交換樹脂(例:DEAE−セルロース、DEAE−アガロース、メグルミン−セルロースなど)を用いることも可能である。
【0016】
好ましい態様においては、本発明の安定化方法に使用される「アミノ基を有する有機化合物」は、側鎖にアミノ基を有するアミノ酸、メグルミンまたはそれらの塩もしくは誘導体、あるいは側鎖にアミノ基を有するアミノ酸残基および/またはメグルミン残基を分子内に含む化合物である。また、別の好ましい態様においては、「アミノ基を有する有機化合物」としてゼラチンが用いられる。
【0017】
上述したアミノ基を有する有機化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
本発明の方法により安定化される「アルデヒド類に不安定な有効成分」は、固形医薬組成物中に含有される所定の薬効を発揮する化合物であって、アルデヒド類(例:ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒドなど)と反応して類縁物質を生成する化合物であれば特に制限はないが、例えば、[3−[(2R)−([(2R)−(3−クロロフェニル)−2−ヒドロキシエチル]アミノ)プロピル]−1H−インドール−7−イルオキシ]酢酸またはその類似化合物(例:低級アルキルエステルなど)等が挙げられる。
【0019】
本発明の安定化方法を適用され得る固形医薬組成物は、上記のアルデヒド類に不安定な有効成分を含有するいかなるものであってもよい。尚、有効成分が単一の化合物である場合、該有効成分の原体もまた、本発明でいう「固形医薬組成物」に包含されるものとする。また、アミノ基を有する有機化合物が固形医薬組成物と独立して共存する限り、固形医薬組成物中の賦形剤その他の添加剤にアミノ基を有する有機化合物が含まれることを妨げない。
【0020】
固形医薬組成物の剤形としては、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、細粒剤などの経口投与に適した剤形が挙げられる。
【0021】
固形医薬組成物は、自体公知の方法(例えば第10改正、日本薬局方の製剤総則に記載されている方法)により製造できる。すなわち、錠剤の場合は、有効成分と賦形剤(例:乳糖、白糖、ブドウ糖、でんぷん、コーンスターチ、蔗糖、微結晶セルロース、カンゾウ末、マンニトール、ソルビトール、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウムなど)、崩壊剤(例:アミノ酸、デンプン、コーンスターチ、炭酸カルシウム、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、L−HPC、クロスポビドンなど)を加えて混合し、結合剤(例:ゼラチン、デンプン、アラビアゴム、トラガント、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、プルラン、グリセリンなど)を加えて顆粒とし、これに滑沢剤(例:ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、精製タルクなど)等を加えて打錠して錠剤とする。また、顆粒剤においても錠剤とほぼ同様の方法で押出し造粒を行うか、あるいはノンパレル(白糖75%(W/W)およびコーンスターチ25%(W/W)を含む)に、水または、白糖、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の結合剤溶液(濃度:約0.5〜70%(W/V))を噴霧しながら、有効成分および添加剤(例:白糖、コーンスターチ、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンなど)を含有してなる粉状散布剤をコーティングすることにより得られる。カプセル剤の場合は、有効成分を賦形剤(例:乳糖、白糖、ブドウ糖、でんぷん、蔗糖、微結晶セルロース、カンゾウ末、マンニトール、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウムなど)とともに、ゼラチンやヒドロキシプロピルメチルセルロース等のカプセルに充填すればよい。
【0022】
固形医薬組成物は、味のマスキング、腸溶性あるいは徐放性などのためのコーティング剤でコーティングされていてもよい。コーティング剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリオキシエチレングリコール、ツイーン80、プルロニックF68、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシネート、オイドラギット(ローム社製、西ドイツ、メタアクリル酸・アクリル酸共重合物)などが挙げられるが、必要に応じ、酸化チタン、ベンガラ等の遮光剤を用いてもよい。
【0023】
固形医薬組成物中の有効成分の光安定性向上を目的として前記遮光剤を用いる場合、あらかじめ、遮光剤を含まないコーティングを施した後にさらに遮光剤を含むコーティングを施すとよりよい結果が得られる。
【0024】
本発明の安定化方法は、上記のアルデヒド類に不安定な有効成分を含有する固形医薬組成物と、上記のアミノ基を有する有機化合物とを独立して共存させることを特徴とする。ここで「独立して共存させる」とは、これら2つの物質を同一空間内において物理的に別個な状態で存在させることを意味し、かかる条件を満たす限り両者は接触していても、離れて存在していてもよい。また、ここでいう「同一空間」とは、アミノ基を有する有機化合物が固形医薬組成物中の有効成分の安定化を達成し得る範囲内であればその広さに制限はなく、例えば、錠剤やカプセル剤のブリスター包装の内部空間から、薬品保存室のような室内空間をも包含する概念として把握されるべきである。また、有効成分の不安定化要因であるアルデヒド類を透過し得る限り、アミノ基を有する化合物と固形医薬組成物とが通気性材料によって仕切られていても、両者は同一空間内に共存しているものとする。
尚、本明細書においては、自体固形医薬組成物である薬剤(例:散剤、顆粒剤など)を容器内に封入し、当該容器ごと一体で投与される調剤形態(例:カプセル剤など)については、当該容器を含めた全体として1つの固形医薬組成物であるものと定義される。したがって、例えば、アルデヒド類に不安定な有効成分を含有する顆粒剤を、アミノ基を有する有機化合物を含有するカプセル中に充填してなるカプセル剤自体は、本発明の安定化方法の実施態様には包含されない。但し、当該カプセル剤とは別個にアミノ基を有する有機化合物を共存させることは、本発明の安定化方法の一実施態様であることはいうまでもない。例えば、固形医薬組成物として投与されるゼラチンカプセル(有効成分を含有する薬剤が充填されているもの)と、投与を目的とせずに本発明の安定化方法における「アミノ基を有する有機化合物」として使用するもの(空のカプセルであっても、内容物を含んでいてもよい)とを共存させること等がこれに該当する。
【0025】
本発明の安定化方法は、アミノ基を有する有機化合物(以下、「本発明の安定化剤」という場合もある)と、アルデヒド類に不安定な有効成分を含有する固形医薬組成物(以下、単に「固形医薬組成物」という場合もある)とを独立して共存させるという特徴により、▲1▼本発明の安定化剤は医薬上許容される添加物に限定されず、その用量も制限されないので、有効成分の安定化能力(即ち、アルデヒド類との反応性)に優れたいかなる化合物も原則的には利用可能である、▲2▼アルデヒド類との反応により類縁体化した安定化剤を摂取することがない等の更なる利点を提供する。
【0026】
本発明の方法において、本発明の安定化剤の形状、並びに本発明の安定化剤と固形医薬組成物との共存形態は、固形医薬組成物の剤形および包装形態に応じて適宜選択することができる。
【0027】
例えば、固形医薬組成物が散剤、顆粒剤、細粒剤等の場合には、本発明の安定化剤は、固形医薬組成物と混合しないように十分な大きさのペレット状、板状、棒状、タブレット状などに成型して包装容器(例:ガラス瓶、プラスチック瓶、プラスチック製袋(アルミ、シリカ等を蒸着したものを含む)、アルミ製袋、金属缶およびそれらの複合材料など)内に同封するか、もしくは粉末、顆粒、ペレット、板、棒、タブレット等の形状とした後、適当な通気性包装材、例えば、医薬品や食品等の包装設計において脱酸素剤や炭酸ガス吸収剤の包装用として従来より使用されている公知の包装材(例:細孔を有するプラスチック製シートからなる多孔膜もしくは不織布、和紙、洋紙、グラシン紙など)で包装したもの、あるいはキャニスターに入れたものを包装容器内に同封することができる。包装容器がキャップ付瓶の形状を有する場合には、上記包装材で包装した安定化剤をキャップの裏面に貼付することが好ましいが、これに限定されない。
あるいは、包装容器用の適当な材料(例:ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル等のプラスチックおよびそれらにアルミ、シリカ等を蒸着したもの、ガラス、アルミ箔、並びそれらの複合材料など)の表面上などに本発明の安定化剤をコーティングするか、もしくは当該材料中に含有させたものを用いて成型した容器で固形医薬組成物を包装することもできる。
【0028】
固形医薬組成物が錠剤、カプセル剤等の場合には、本発明の安定化剤は、上記の散剤、顆粒剤、細粒剤等の場合で使用できる態様に加えて、粉末、顆粒等の形状で直接包装容器内に同封することもできる。また、錠剤やカプセル剤等の包装には、通常プラスチック製あるいは金属(例:アルミなど)製のパンシートの窪みに固形医薬組成物を充填し、通常プラスチック製あるいは金属(例:アルミなど)製のカバーシートでシールするブリスター包装が頻用されるが、この場合、カバーシートおよびパンシートの材料であるプラスチックまたはアルミ材の表面上に、本発明の安定化剤をコーティングするか、もしくは当該材料中に含有させたものを用いてもよいし、あるいは固形医薬組成物を充填するための窪みに隣接して本発明の安定化剤を充填するための窪みを更に有する(両窪みはカバーシートによって完全には区画化されず、アルデヒド類が透過し得る連結部分を有する)パンシートを成型し、安定化剤充填用の窪みに粉末、顆粒、細粒等やペレット状、板状、棒状、タブレット状などに成型した本発明の安定化剤を充填してプラスチック材やアルミ材でシールしてもよい。
【0029】
本発明の安定化方法は、救急箱、薬品棚、薬品保存室のようなより大きな容器にも同様に適用可能である。この場合、本発明の安定化剤は、直接もしくは適当な包装材で包装してこれら容器内の任意の位置(1箇所もしくは2箇所以上)に設置したり、あるいは、容器内の側面、上面、底面にコーティングするかもしくは容器の素材中に含有させることができる。
【0030】
本発明の安定化剤の用量は、固形医薬組成物中のアルデヒドに不安定な有効成分の安定化を達成し得る、即ち、有効成分とアルデヒド類との反応による類縁物質の生成を有意に抑制あるいは低減し得るのに十分な量であれば、特に制限はない。また、その量は、使用する安定化剤の種類および形状、固形医薬組成物との距離、固形医薬組成物(有効成分)の量および剤形、固形医薬組成物および安定化剤の置かれた空間の容積、存在もしくは生成するアルデヒド類の量などによって変動する。例えば、容量約200mlの容器に本発明の安定化剤を用いる場合、約1mg〜約500g、好ましくは約1mg〜約100g、より好ましくは約1mg〜約10gの安定化剤を含有させることができ、特に、安定化剤としてメグルミンを当該容器中に同封する場合、約1mg〜約100g、好ましくは約1mg〜約10gのメグルミンを含有させることができる。
【0031】
本発明の安定化方法においては、本発明の安定化剤に加え、必要に応じて乾燥剤、脱酸素剤、炭酸ガス吸収剤、湿度調整剤等の1種以上をさらに共存させることができる。これらの包装用添加剤は、医薬品や食品等の包装設計において従来より使用されているものが好ましく使用され得る。例えば、乾燥剤としては、シリカゲル、生石灰、塩化カルシウム加工品、シリカアルミナゲル、合成ゼオライト、珪藻土等を、脱酸素剤としては、鉄粉等の金属粉(酸化触媒として金属ハロゲン化物を含む)、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、亜二チオン酸塩、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシン、ピロガロール、没食子酸、ロンガリット、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、イソアスコルビン酸、イソアスコルビン酸塩、ソルボース、グルコース、リグニン等を、炭酸ガス吸収剤としては、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、ソーダライム、バラライム、ケイ酸カルシウム水和物等を、湿度調整剤としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、無機塩、B型シリカゲル、紙、セルロース、木炭、無機塩の飽和水溶液を含浸させたストリップ等を使用することができる。これらの包装用添加剤は、本発明の安定化剤と別個に固形医薬組成物を包装する容器に同封してもよいし、該安定化剤と混合して用いてもよい。
【0032】
固形医薬組成物が散剤、顆粒剤、細粒剤等の場合には、乾燥剤、脱酸素剤、炭酸ガス吸収剤、湿度調整剤等は、単独でもしくは本発明の安定化剤と混合して、固形医薬組成物と混合しないような十分な大きさのペレット状、板状、棒状、タブレット状などに成型した後、包装容器(例:ガラス瓶、プラスチック瓶、プラスチック製袋(アルミ、シリカ等を蒸着したものを含む)、アルミ製袋、金属缶およびそれらの複合材料など)内に同封するか、あるいは、単独でもしくは本発明の安定化剤と混合して、粉末、顆粒、ペレット、板、棒、タブレット等の形状とした後、適当な通気性(および必要に応じてさらに透湿性)包装材、例えば、医薬品や食品等の包装設計においてこれらの添加剤の包装用として従来より使用されている公知の包装材(例:細孔を有するプラスチック製シートからなる多孔膜もしくは不織布、和紙、洋紙、グラシン紙など)で包装したもの、あるいはキャニスターに入れたものを包装容器内に同封することができる。包装容器がキャップ付瓶の形状を有する場合には、上記包装材で包装したこれらの添加剤または該添加剤と本発明の安定化剤との混合物をキャップの裏面に貼付することが好ましいが、これに限定されない。
あるいは、包装容器用の適当な材料(例:ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル等のプラスチックおよびそれらにアルミ、シリカ等を蒸着したもの、ガラス、アルミ箔、並びそれらの複合材料など)の表面上などに、これらの包装用添加剤を単独でもしくは本発明の安定化剤と混合してコーティングするか、もしくは当該材料中に含有させたものを用いて成型した容器で固形医薬組成物を包装することもできる。コーティングの場合は、予め混合したものを被覆してもよいし、いずれか一方を先に被覆した後、他方をさらに重層してもよい。
【0033】
固形医薬組成物が錠剤、カプセル剤等の場合には、乾燥剤、脱酸素剤、炭酸ガス吸収剤、湿度調整剤等は、上記の散剤、顆粒剤、細粒剤等の場合で使用できる態様に加え、単独でもしくは本発明の安定化剤と混合して、粉末、顆粒等の形状とした後、直接包装容器内に同封することもできる。また、錠剤やカプセル剤等の包装には、通常プラスチック製あるいは金属(例:アルミなど)製のパンシートの窪みに固形医薬組成物を充填し、通常プラスチック製あるいは金属(例:アルミなど)製のカバーシートでシールするブリスター包装が頻用されるが、この場合、カバーシートおよびパンシートの材料であるプラスチックまたはアルミ材の表面上に、これらの包装用添加剤を単独でもしくは本発明の安定化剤と混合してコーティングするか、もしくは当該材料中に含有させたものを用いてもよいし、あるいは固形医薬組成物を充填するための窪みに隣接してこれらの包装用添加剤(もしくは該包装用添加剤と本発明の安定化剤との混合物)を充填するための窪みを更に有する(両窪みはカバーシートによって完全には区画化されず、アルデヒド類が透過し得る連結部分を有する)パンシートを成型し、包装用添加剤(もしくは該包装用添加剤と本発明の安定化剤との混合物)充填用の窪みに粉末、顆粒、細粒等やペレット状、板状、棒状、タブレット状などに成型した包装用添加剤(もしくは該包装用添加剤と本発明の安定化剤との混合物)を充填してプラスチック材やアルミ材でシールしてもよい。
【0034】
乾燥剤、脱酸素剤、炭酸ガス吸収剤、湿度調整剤等の用量は、それぞれの目的を達成するのに十分な量であれば特に制限はないが、医薬品の包装設計において各包装用添加剤について通常使用されている量が、同様に好ましく適用され得る。
【0035】
本発明の安定化方法が、固形医薬組成物だけでなく、シロップ剤、懸濁液剤、注射剤、乳剤等の液状医薬組成物中のアルデヒド類に不安定な有効成分の安定化にも使用し得ることは、当業者にとって自明であろう。但し、この場合、本発明の安定化剤は、アルデヒド類を透過し得るが、該安定化剤を液状医薬組成物中に溶出させない包装材もしくはコーティング剤等で包装もしくは被覆されている必要がある。このような包装材としては、例えばゴアテックス(登録商標)などが挙げられる。
【0036】
本発明はまた、アミノ基を有する有機化合物を含有する、固形医薬組成物中のアルデヒド類に不安定な有効成分の安定化用容器(以下、「本発明の安定化用容器」という場合もある)を提供する。ここで「アミノ基を有する有機化合物」(「本発明の安定化剤」という場合もある)、「固形医薬組成物」および「アルデヒド類に不安定な有効成分」(以下、単に「有効成分」という場合もある)は、本発明の安定化方法に関して上記された通りのものである。
【0037】
本発明の安定化用容器は、固形医薬組成物中の有効成分を安定化するためのアミノ基を有する有機化合物を含有する。ここで「含有する」とは、容器の内面およびそれによって外部と仕切られた空間内に本発明の安定化剤が存在することを意味し、その存在形態に特に制限はない。例えば、直接もしくは適当な包装材で包装して容器内に封入されていてもよいし、容器内面上にコーティングされているか、容器材料中に含有されていてもよい。
【0038】
本発明の安定化用容器の材質、形状等にも特に制限はないが、固形医薬組成物の包装容器として通常使用されているものが、同様に好ましく使用され得る。例えば、ガラス製やプラスチック(例:ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニルなど)製の瓶、好ましくはプラスチックや金属製のキャップ付瓶、プラスチック製袋(アルミ、シリカ等を蒸着したものを含む)、アルミ製袋、金属缶およびそれらの複合材料等が挙げられる。また、固形医薬組成物を充填した後に最終的な包装形態に成型されるもの、例えば、プラスチック製(アルミ、シリカ等を蒸着したものを含む)やアルミ製のシート(固形医薬組成物を充填後、端部をシールして袋状にする等)、プラスチック製あるいはアルミ製のパンシートとカバーシート(パンシートの窪みに固形医薬組成物を充填した後カバーシートとシールする)等もここでいう「本発明の安定化用容器」に包含されるものとする。さらに、「本発明の安定化用容器」は、救急箱、薬品棚、薬品保存室等をも包含するより広い概念として把握される。
尚、上述のように、本明細書においては、自体固形医薬組成物である薬剤(例:散剤、顆粒剤など)を容器内に封入し、当該容器ごと一体で投与される調剤形態(例:カプセル剤など)については、当該容器を含めた全体として1つの固形医薬組成物であるものと定義される。したがって、そのような容器、例えば、アルデヒド類に不安定な有効成分を含有する顆粒剤を充填するのに用いられる、アミノ基を有する有機化合物を含有するカプセル(例:ゼラチンカプセルなど)は、本発明の安定化容器には包含されない。
【0039】
本発明の安定化用容器が散剤、顆粒剤、細粒剤等の安定化用である場合には、本発明の安定化剤は、固形医薬組成物と混合しないように十分な大きさのペレット状、板状、棒状、タブレット状などに成型して容器(例:ガラス瓶、プラスチック瓶、プラスチック製袋(アルミ、シリカ等を蒸着したものを含む)、アルミ製袋、金属缶およびそれらの複合材料など)内に同封するか、もしくは粉末、顆粒、ペレット、板、棒、タブレット等の形状とした後、適当な通気性包装材、例えば、医薬品や食品等の包装設計において脱酸素剤や炭酸ガス吸収剤の包装用として従来より使用されている公知の包装材(例:細孔を有するプラスチック製シートからなる多孔膜もしくは不織布、和紙、洋紙、グラシン紙など)で包装したもの、あるいはキャニスターに入れたものを容器内に同封することができる。包装用容器がキャップ付瓶の形状を有する場合には、上記包装材で包装した安定化剤をキャップの裏面に貼付することが好ましいが、これに限定されない。
あるいは、包装容器用の適当な材料(例:ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル等のプラスチックおよびそれらにアルミ、シリカ等を蒸着したもの、ガラス、アルミ箔、並びそれらの複合材料など)の表面上などに本発明の安定化剤をコーティングするか、もしくは当該材料中に含有させたものを用いて成型した容器等も、散剤、顆粒剤、細粒剤等の安定化用容器として好ましく使用され得る。
【0040】
本発明の安定化用容器が錠剤、カプセル剤等の安定化用である場合には、本発明の安定化剤は、上記の散剤、顆粒剤、細粒剤等の安定化の場合に使用できる態様に加えて、粉末、顆粒等の形状で直接容器内に同封することもできる。また、ブリスター包装の場合、本発明の安定化用容器は、カバーシートおよびパンシートの材料であるプラスチックまたはアルミ材の表面上に、本発明の安定化剤をコーティングするか、もしくは当該材料中に含有させたものである。
【0041】
本発明の安定化用容器は、空間を仕切ったものの内部に本発明の安定化剤を含むものである限りその大きさに特に制限はなく、例えば、救急箱、薬品棚、薬品保存室等をも包含する意味で使用される。この場合、本発明の安定化剤は、直接もしくは適当な包装材で包装してこれら容器内の任意の位置(1箇所もしくは2箇所以上)に設置したり、あるいは容器内の側面、上面、底面等にコーティングするかもしくは容器の素材中に含有させることができる。
【0042】
本発明の安定化用容器中に含有させる本発明の安定化剤の用量は、包装される固形医薬組成物中のアルデヒドに不安定な有効成分の安定化を達成し得る、即ち、有効成分とアルデヒド類との反応による類縁物質の生成を有意に抑制あるいは低減し得るのに十分な量であれば、特に制限はない。また、その量は、使用する安定化剤の種類および形状、固形医薬組成物との距離、固形医薬組成物(有効成分)の量および剤形、容器の容積、存在もしくは生成するアルデヒド類の量などによって変動する。例えば、容量約200mlの容器に本発明の安定化剤を用いる場合、約1mg〜約500g、好ましくは約1mg〜約100g、より好ましくは約1mg〜約10gの安定化剤を含有させることができ、特に、安定化剤としてメグルミンを当該容器中に同封する場合、約1mg〜約100g、好ましくは約1mg〜約10gのメグルミンを含有させることができる。
【0043】
本発明の安定化用容器は、本発明の安定化剤に加え、必要に応じて乾燥剤、脱酸素剤、炭酸ガス吸収剤、湿度調整剤等の1種以上をさらに含有していてもよい。これらの包装用添加剤としては、本発明の安定化方法において上記した通りのものが使用できる。また、これらの包装用添加剤は、本発明の安定化剤と別個に容器に同封してもよいし、該安定化剤と混合して用いてもよい。
【0044】
本発明の安定化用容器が散剤、顆粒剤、細粒剤等の安定化用である場合には、乾燥剤、脱酸素剤、炭酸ガス吸収剤、湿度調整剤等は、単独でもしくは本発明の安定化剤と混合して、固形医薬組成物と混合しないような十分な大きさのペレット状、板状、棒状、タブレット状などに成型した後、容器(例:ガラス瓶、プラスチック瓶、プラスチック製袋(アルミ、シリカ等を蒸着したものを含む)、アルミ製袋、金属缶およびそれらの複合材料など)内に同封するか、あるいは、単独でもしくは本発明の安定化剤と混合して、粉末、顆粒、ペレット、板、棒、タブレット等の形状とした後、適当な通気性(および必要に応じてさらに透湿性)包装材、例えば、医薬品や食品等の包装設計においてこれらの添加剤の包装用として従来より使用されている公知の包装材(例:細孔を有するプラスチック製シートからなる多孔膜もしくは不織布、和紙、洋紙、グラシン紙など)で包装したもの、あるいはキャニスターに入れたものを容器内に同封することができる。容器がキャップ付瓶の形状を有する場合には、上記包装材で包装したこれらの添加剤または該添加剤と本発明の安定化剤との混合物をキャップの裏面に貼付することが好ましいが、これに限定されない。
あるいは、包装容器用の適当な材料(例:ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル等のプラスチックおよびそれらにアルミ、シリカ等を蒸着したもの、ガラス、アルミ箔、並びそれらの複合材料など)の表面上などに、これらの包装用添加剤を単独でもしくは本発明の安定化剤と混合してコーティングするか、もしくは当該材料中に含有させたものを用いて成型した容器で固形医薬組成物を包装することもできる。コーティングの場合は、予め混合したものを被覆してもよいし、いずれか一方を先に被覆した後、他方をさらに重層してもよい。
【0045】
本発明の安定化用容器が錠剤、カプセル剤等の安定化用である場合には、乾燥剤、脱酸素剤、炭酸ガス吸収剤、湿度調整剤等は、上記の散剤、顆粒剤、細粒剤等の包装用に使用できる態様に加え、単独でもしくは本発明の安定化剤と混合して、粉末、顆粒等の形状とした後、直接容器内に同封することもできる。また、ブリスター包装の場合、カバーシートおよびパンシートの材料であるプラスチックまたはアルミ材の表面上に、これらの包装用添加剤を単独でもしくは本発明の安定化剤と混合してコーティングするか、もしくは当該材料中に含有させたものを本発明の安定化用容器とすることができる。
【0046】
本発明の安定化用容器に含有される乾燥剤、脱酸素剤、炭酸ガス吸収剤、湿度調整剤等の用量は、それぞれの目的を達成するのに十分な量であれば特に制限はないが、医薬品の包装設計において各包装用添加剤について通常使用されている量が、同様に好ましく適用され得る。
【0047】
本発明はまた、上記の本発明の安定化用容器内にアルデヒド類に不安定な有効成分を含有する固形医薬組成物を封入してなる医薬パッケージを提供する。容器、本発明の安定化剤、必要に応じてさらに乾燥剤、脱酸素剤、炭酸ガス吸収剤、湿度調整剤等は、固形医薬組成物の剤形等に応じて上記のようにそれぞれ適当な形状、存在形態を選択することができる。本発明の安定化用容器内にアルデヒド類に不安定な有効成分を含有する固形医薬組成物を封入することにより、該有効成分が長期保存安定化された固形医薬組成物の包装体が提供される。
【0048】
【実施例】
以下、参考例、比較例、実施例および実験例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これらは、本発明を限定するものではない。
【0049】
参考例1
[3−[(2R)−([(2R)−(3−クロロフェニル)−2−ヒドロキシエチル]アミノ)プロピル]−1H−インドール−7−イルオキシ]酢酸(以下、化合物Xという)を含有する整粒末を表1に示す組成比で次のように製造した。すなわち、化合物X5.0g、マンニトール1783gおよびヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC)250.0gを流動造粒乾燥機(パウレック社製FD−3S型)に入れ、予熱混合し、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L)62.5gを溶解した水溶液2500gをスプレーして、造粒末を得た。得られた造粒末2050gをパワーミル(昭和化学機械工作所製P−3型)を通し、整粒末とした。
【0050】
【0051】
比較例1(サンプルA)
参考例1で得られた整粒末3.47gを容量約14mLガラス瓶に入れ密栓して5℃で
25日間保存した。
【0052】
比較例2(サンプルB)
参考例1で得られた整粒末1.06gを容量約14mLガラス瓶に入れ、塩化ナトリウム飽和水溶液5mLの入った容量約14mLガラス瓶と共に1瓶ずつ容量約206mLガラス瓶に入れ、容量約206mLガラス瓶を密栓して40℃で2週間保存した。
【0053】
実施例1(サンプルC)
参考例1で得られた整粒末1.05gを容量約14mLガラス瓶に入れ、塩化ナトリウム飽和水溶液5mLの入った容量約14mLガラス瓶と共に各々1瓶ずつ容量約206mLガラス瓶に入れ、それらの瓶に入らない様にゼラチンカプセル0.99gを容量約206mLガラス瓶中に入れ、容量約206mLガラス瓶を密栓して40℃で2週間保存した。
【0054】
実施例2(サンプルD)
参考例1で得られた整粒末1.05gを容量約14mLガラス瓶に入れ、塩化ナトリウム飽和水溶液5mLの入った容量約14mLガラス瓶と共に各々1瓶ずつ容量約206mLガラス瓶に入れ、それらの瓶に入らない様にメグルミン0.11gを容量約206mLガラス瓶中に入れ、容量約206mLガラス瓶を密栓して40℃で2週間保存した。
【0055】
実験例1
比較例1〜2および実施例1〜2における保存後の整粒末について、化合物Xの類縁物質E(保存中に賦形薬より由来して生成するホルムアルデヒド様物質と化合物Xの反応により生成すると考えられる物質)の生成をそれぞれ調べた。サンプルAは、比較試験におけるイニシャル品として測定した。その結果、表2に示すように、サンプルBでは、類縁物質Eの生成が確認されたのに対し、サンプルC及びDでは、その生成が顕著に抑制された。
【0056】
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、アルデヒド類に不安定な有効成分を含有する固形医薬組成物中の有効成分を安定化させることができ、より安全且つ有効性の高い固形医薬組成物を提供することが可能となる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、固形医薬組成物中の有効成分の安定化手段に関する。より詳細には、本発明はアルデヒド類に不安定な該有効成分の安定化のための固形医薬組成物の包装設計に関する。
【0002】
【従来の技術】
固形医薬組成物は、有効成分と種々の賦形薬よりなるが、賦形薬の配合が有効成分を不安定化することが広く知られており、様々な安定化対策が施される。
【0003】
例えば、固形医薬組成物に使用される賦形薬中には、微量ながらホルムアルデヒドあるいはアセトアルデヒドのようなアルデヒド類を微量含有したり、あるいは保存中にそれらを生成するものがある。このような原料由来のアルデヒド類により有効成分の安定性が損なわれる場合がある。固形医薬組成物において、該組成物中に共存するアルデヒド類により有効成分が分解し新たに生成した類縁物質等の安全性が確認されたものであっても、医薬品という性質から類縁物質の生成を抑制することは極めて重要である。また、これらアルデヒド類は環境中にも多く存在し、固形医薬組成物が置かれる環境によっても有効成分の不安定化が起こり得る。
【0004】
アルデヒド類により不安定化される固形医薬組成物中の有効成分の安定性を向上させる方法としては、密封容器に保管することにより、固形医薬組成物が置かれる環境中に存在するアルデヒド類と該組成物との接触を防ぐ方法がある。例えば、ガラス瓶中の保管、両面がアルミで構成されるブリスター包装、一次包装品を両面がアルミで構成される素材で成型される袋状包装形態などが挙げられる。
【0005】
一方、固形医薬組成物中に配合される賦形薬に由来するアルデヒド類による有効成分の分解を抑制する方法としては、賦形薬としてアルデヒド類を含有しないものを選択して使用する、アルデヒド類を低減すべく精製したものを使用する等の方法がある。しかしながら、固形医薬組成物を構成するためには、分解に関する特性だけでなく、組成物の形成のために必要であったり、他の安定化(例えば、光安定性等)の確保のために必要であるなどの特性をも考慮せねばならず、不可避的に使用せざるを得ない賦形薬もあるため、これらの方法には限界がある。
【0006】
従って、上記の方法を適用して可能な限り安定化を図っても、生成する分解物量が安全性の面から問題になる場合には、当該固形医薬組成物は、医薬として極めて有効であったとしてもその実用化は困難である。また、仮に生成する分解物量が安全性の面からは問題のない程度であっても、そのような類縁物質の生成自体を防止することが、倫理的にも治療学的にも望ましいことは言うまでもない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、固形医薬組成物中の有効成分、特にアルデヒド類により不安定化される有効成分の新規且つ有効な安定化手段を提供し、もって長期保存安定性を有する安全な固形医薬組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、アルデヒド類に不安定な化合物を有効成分として含有する固形医薬組成物について、固形医薬組成物を構成する成分を選択あるいは精製等しなくとも、アミノ基を有する有機化合物を固形医薬組成物と別個に共存させることによって、意外にもアルデヒド類に不安定な有効成分が安定化されることを見出した。本発明者らは、これらの知見に基づいてさらに研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、
[1] アルデヒド類に不安定な有効成分を含有する固形医薬組成物とアミノ基を有する有機化合物とを独立して共存させることを特徴とする、該有効成分の安定化方法、
[2] アミノ基を有する有機化合物が、側鎖にアミノ基を有するアミノ酸、糖もしくは糖アルコールのアミノ誘導体またはそれらの塩もしくは誘導体、あるいは側鎖にアミノ基を有するアミノ酸残基および/または糖もしくは糖アルコールのアミノ誘導体残基を分子内に含む化合物である、上記[1]記載の方法、
[3] アミノ基を有する有機化合物がゼラチンである上記[1]記載の方法、
[4] 乾燥剤、脱酸素剤、炭酸ガス吸収剤および湿度調整剤からなる群より選択される1種以上をさらに共存させることを特徴とする、上記[1]記載の方法、
[5] アミノ基を有する有機化合物を含有する、固形医薬組成物中のアルデヒド類に不安定な有効成分の安定化用容器、
[6] アミノ基を有する有機化合物が、側鎖にアミノ基を有するアミノ酸、糖もしくは糖アルコールのアミノ誘導体またはそれらの塩もしくは誘導体、あるいは側鎖にアミノ基を有するアミノ酸残基および/または糖もしくは糖アルコールのアミノ誘導体残基を分子内に含む化合物である、上記[5]記載の容器、
[7] アミノ基を有する有機化合物がゼラチンである上記[5]記載の容器、
[8] 乾燥剤、脱酸素剤、炭酸ガス吸収剤および湿度調整剤からなる群より選択される1種以上をさらに含有する、上記[5]記載の容器、および
[9] 上記[5]記載の容器内にアルデヒド類に不安定な有効成分を含有する固形医薬組成物を封入してなる、該有効成分が安定化された医薬パッケージ等を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明における安定化方法において用いられる「アミノ基を有する有機化合物」とは、分子内にアミノ基を一つ以上含有する有機化合物、並びに該有機化合物を含有する組成物を包括的に意味するものとする。分子内にアミノ基を含有する有機化合物がその他の官能基を有するか否かについては特に限定はない。また、ここで「アミノ基」は第1級アミノ基であっても、第2級アミノ基であっても、第3級アミノ基であってもよい。
【0011】
具体的には、「アミノ基を有する有機化合物」として、例えば、側鎖にアミノ基を有するアミノ酸、糖もしくは糖アルコールのアミノ誘導体、またはそれらの塩もしくは誘導体、あるいは側鎖にアミノ基を有するアミノ酸残基および/または糖もしくは糖アルコールのアミノ誘導体残基を分子内に含む化合物等が挙げられる。
【0012】
側鎖にアミノ基を有するアミノ酸としては、例えば、リジン、アルギニン、グルタミン、アスパラギン、オルニチン、シトルリン等が挙げられる。その塩としては、酸または塩基との塩、好ましくは酸付加塩、例えば、無機酸(例:塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸など)との塩、有機酸(例:酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、シュウ酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸など)との塩等が、その誘導体としては、N末端のホルミル、アシル(例:アセチル、プロピオニル、スクシニル、グルタリル、ベンゾイルなど)誘導体等、C末端のアミド、エステル(例:メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチリル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、α−ナフチル、ベンジル、フェネチルなど)誘導体等が挙げられる。また、側鎖にアミノ基を有するアミノ酸残基を分子内に含む化合物としては、例えば、単純もしくは複合蛋白質(例:糖蛋白質、リポ蛋白質、リン酸蛋白質など)、ポリもしくはオリゴペプチド(例:ポリリジン、ポリグルタミンなど)、それらの塩または誘導体等が挙げられる。塩および誘導体としては、上記アミノ酸について例示したのと同様のものが挙げられる。
【0013】
糖もしくは糖アルコールのアミノ誘導体としては、例えば、ヘキソサミン(例:グルコサミン、ガラクトサミンなど)、N−アセチルヘキソサミン(例:N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミンなど)、メグルミン(1−デオキシ−1−メチルアミノ−D−グルシトール)等が挙げられる。その塩としては、例えば、無機酸(例:塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸など)との塩、有機酸(例:酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、シュウ酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸など)との塩等が、その誘導体としては、例えば、無機酸(例:リン酸、硫酸など)とのエステル、有機酸(例:酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、シュウ酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸など)とのエステル等が挙げられる。また、糖もしくは糖アルコールのアミノ誘導体残基を分子内に含む化合物としては、例えば、キチン、キトサン、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、あるいはそれらの部分水解物等が含まれる。
【0014】
分子内にアミノ基を有する有機化合物を含有する組成物としては、例えば、天然物から精製される、他成分を少量含有する上記アミノ基含有有機化合物を豊富に含有する組成物が挙げられ、特にゼラチン、コラーゲン類等の比較的塩基性アミノ酸に富む蛋白質を主成分とする組成物などが好ましく用いられ得る。これらの組成物の原料としては、例えば、ゼラチンの場合、豚、牛、鯨、鮫など由来のコラーゲン成分等が挙げられる。
【0015】
別の実施態様においては、「アミノ基を有する有機化合物」として、アミノ基を官能基として有する陰イオン交換樹脂(例:DEAE−セルロース、DEAE−アガロース、メグルミン−セルロースなど)を用いることも可能である。
【0016】
好ましい態様においては、本発明の安定化方法に使用される「アミノ基を有する有機化合物」は、側鎖にアミノ基を有するアミノ酸、メグルミンまたはそれらの塩もしくは誘導体、あるいは側鎖にアミノ基を有するアミノ酸残基および/またはメグルミン残基を分子内に含む化合物である。また、別の好ましい態様においては、「アミノ基を有する有機化合物」としてゼラチンが用いられる。
【0017】
上述したアミノ基を有する有機化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
本発明の方法により安定化される「アルデヒド類に不安定な有効成分」は、固形医薬組成物中に含有される所定の薬効を発揮する化合物であって、アルデヒド類(例:ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒドなど)と反応して類縁物質を生成する化合物であれば特に制限はないが、例えば、[3−[(2R)−([(2R)−(3−クロロフェニル)−2−ヒドロキシエチル]アミノ)プロピル]−1H−インドール−7−イルオキシ]酢酸またはその類似化合物(例:低級アルキルエステルなど)等が挙げられる。
【0019】
本発明の安定化方法を適用され得る固形医薬組成物は、上記のアルデヒド類に不安定な有効成分を含有するいかなるものであってもよい。尚、有効成分が単一の化合物である場合、該有効成分の原体もまた、本発明でいう「固形医薬組成物」に包含されるものとする。また、アミノ基を有する有機化合物が固形医薬組成物と独立して共存する限り、固形医薬組成物中の賦形剤その他の添加剤にアミノ基を有する有機化合物が含まれることを妨げない。
【0020】
固形医薬組成物の剤形としては、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、細粒剤などの経口投与に適した剤形が挙げられる。
【0021】
固形医薬組成物は、自体公知の方法(例えば第10改正、日本薬局方の製剤総則に記載されている方法)により製造できる。すなわち、錠剤の場合は、有効成分と賦形剤(例:乳糖、白糖、ブドウ糖、でんぷん、コーンスターチ、蔗糖、微結晶セルロース、カンゾウ末、マンニトール、ソルビトール、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウムなど)、崩壊剤(例:アミノ酸、デンプン、コーンスターチ、炭酸カルシウム、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、L−HPC、クロスポビドンなど)を加えて混合し、結合剤(例:ゼラチン、デンプン、アラビアゴム、トラガント、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、プルラン、グリセリンなど)を加えて顆粒とし、これに滑沢剤(例:ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、精製タルクなど)等を加えて打錠して錠剤とする。また、顆粒剤においても錠剤とほぼ同様の方法で押出し造粒を行うか、あるいはノンパレル(白糖75%(W/W)およびコーンスターチ25%(W/W)を含む)に、水または、白糖、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の結合剤溶液(濃度:約0.5〜70%(W/V))を噴霧しながら、有効成分および添加剤(例:白糖、コーンスターチ、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンなど)を含有してなる粉状散布剤をコーティングすることにより得られる。カプセル剤の場合は、有効成分を賦形剤(例:乳糖、白糖、ブドウ糖、でんぷん、蔗糖、微結晶セルロース、カンゾウ末、マンニトール、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウムなど)とともに、ゼラチンやヒドロキシプロピルメチルセルロース等のカプセルに充填すればよい。
【0022】
固形医薬組成物は、味のマスキング、腸溶性あるいは徐放性などのためのコーティング剤でコーティングされていてもよい。コーティング剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリオキシエチレングリコール、ツイーン80、プルロニックF68、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシネート、オイドラギット(ローム社製、西ドイツ、メタアクリル酸・アクリル酸共重合物)などが挙げられるが、必要に応じ、酸化チタン、ベンガラ等の遮光剤を用いてもよい。
【0023】
固形医薬組成物中の有効成分の光安定性向上を目的として前記遮光剤を用いる場合、あらかじめ、遮光剤を含まないコーティングを施した後にさらに遮光剤を含むコーティングを施すとよりよい結果が得られる。
【0024】
本発明の安定化方法は、上記のアルデヒド類に不安定な有効成分を含有する固形医薬組成物と、上記のアミノ基を有する有機化合物とを独立して共存させることを特徴とする。ここで「独立して共存させる」とは、これら2つの物質を同一空間内において物理的に別個な状態で存在させることを意味し、かかる条件を満たす限り両者は接触していても、離れて存在していてもよい。また、ここでいう「同一空間」とは、アミノ基を有する有機化合物が固形医薬組成物中の有効成分の安定化を達成し得る範囲内であればその広さに制限はなく、例えば、錠剤やカプセル剤のブリスター包装の内部空間から、薬品保存室のような室内空間をも包含する概念として把握されるべきである。また、有効成分の不安定化要因であるアルデヒド類を透過し得る限り、アミノ基を有する化合物と固形医薬組成物とが通気性材料によって仕切られていても、両者は同一空間内に共存しているものとする。
尚、本明細書においては、自体固形医薬組成物である薬剤(例:散剤、顆粒剤など)を容器内に封入し、当該容器ごと一体で投与される調剤形態(例:カプセル剤など)については、当該容器を含めた全体として1つの固形医薬組成物であるものと定義される。したがって、例えば、アルデヒド類に不安定な有効成分を含有する顆粒剤を、アミノ基を有する有機化合物を含有するカプセル中に充填してなるカプセル剤自体は、本発明の安定化方法の実施態様には包含されない。但し、当該カプセル剤とは別個にアミノ基を有する有機化合物を共存させることは、本発明の安定化方法の一実施態様であることはいうまでもない。例えば、固形医薬組成物として投与されるゼラチンカプセル(有効成分を含有する薬剤が充填されているもの)と、投与を目的とせずに本発明の安定化方法における「アミノ基を有する有機化合物」として使用するもの(空のカプセルであっても、内容物を含んでいてもよい)とを共存させること等がこれに該当する。
【0025】
本発明の安定化方法は、アミノ基を有する有機化合物(以下、「本発明の安定化剤」という場合もある)と、アルデヒド類に不安定な有効成分を含有する固形医薬組成物(以下、単に「固形医薬組成物」という場合もある)とを独立して共存させるという特徴により、▲1▼本発明の安定化剤は医薬上許容される添加物に限定されず、その用量も制限されないので、有効成分の安定化能力(即ち、アルデヒド類との反応性)に優れたいかなる化合物も原則的には利用可能である、▲2▼アルデヒド類との反応により類縁体化した安定化剤を摂取することがない等の更なる利点を提供する。
【0026】
本発明の方法において、本発明の安定化剤の形状、並びに本発明の安定化剤と固形医薬組成物との共存形態は、固形医薬組成物の剤形および包装形態に応じて適宜選択することができる。
【0027】
例えば、固形医薬組成物が散剤、顆粒剤、細粒剤等の場合には、本発明の安定化剤は、固形医薬組成物と混合しないように十分な大きさのペレット状、板状、棒状、タブレット状などに成型して包装容器(例:ガラス瓶、プラスチック瓶、プラスチック製袋(アルミ、シリカ等を蒸着したものを含む)、アルミ製袋、金属缶およびそれらの複合材料など)内に同封するか、もしくは粉末、顆粒、ペレット、板、棒、タブレット等の形状とした後、適当な通気性包装材、例えば、医薬品や食品等の包装設計において脱酸素剤や炭酸ガス吸収剤の包装用として従来より使用されている公知の包装材(例:細孔を有するプラスチック製シートからなる多孔膜もしくは不織布、和紙、洋紙、グラシン紙など)で包装したもの、あるいはキャニスターに入れたものを包装容器内に同封することができる。包装容器がキャップ付瓶の形状を有する場合には、上記包装材で包装した安定化剤をキャップの裏面に貼付することが好ましいが、これに限定されない。
あるいは、包装容器用の適当な材料(例:ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル等のプラスチックおよびそれらにアルミ、シリカ等を蒸着したもの、ガラス、アルミ箔、並びそれらの複合材料など)の表面上などに本発明の安定化剤をコーティングするか、もしくは当該材料中に含有させたものを用いて成型した容器で固形医薬組成物を包装することもできる。
【0028】
固形医薬組成物が錠剤、カプセル剤等の場合には、本発明の安定化剤は、上記の散剤、顆粒剤、細粒剤等の場合で使用できる態様に加えて、粉末、顆粒等の形状で直接包装容器内に同封することもできる。また、錠剤やカプセル剤等の包装には、通常プラスチック製あるいは金属(例:アルミなど)製のパンシートの窪みに固形医薬組成物を充填し、通常プラスチック製あるいは金属(例:アルミなど)製のカバーシートでシールするブリスター包装が頻用されるが、この場合、カバーシートおよびパンシートの材料であるプラスチックまたはアルミ材の表面上に、本発明の安定化剤をコーティングするか、もしくは当該材料中に含有させたものを用いてもよいし、あるいは固形医薬組成物を充填するための窪みに隣接して本発明の安定化剤を充填するための窪みを更に有する(両窪みはカバーシートによって完全には区画化されず、アルデヒド類が透過し得る連結部分を有する)パンシートを成型し、安定化剤充填用の窪みに粉末、顆粒、細粒等やペレット状、板状、棒状、タブレット状などに成型した本発明の安定化剤を充填してプラスチック材やアルミ材でシールしてもよい。
【0029】
本発明の安定化方法は、救急箱、薬品棚、薬品保存室のようなより大きな容器にも同様に適用可能である。この場合、本発明の安定化剤は、直接もしくは適当な包装材で包装してこれら容器内の任意の位置(1箇所もしくは2箇所以上)に設置したり、あるいは、容器内の側面、上面、底面にコーティングするかもしくは容器の素材中に含有させることができる。
【0030】
本発明の安定化剤の用量は、固形医薬組成物中のアルデヒドに不安定な有効成分の安定化を達成し得る、即ち、有効成分とアルデヒド類との反応による類縁物質の生成を有意に抑制あるいは低減し得るのに十分な量であれば、特に制限はない。また、その量は、使用する安定化剤の種類および形状、固形医薬組成物との距離、固形医薬組成物(有効成分)の量および剤形、固形医薬組成物および安定化剤の置かれた空間の容積、存在もしくは生成するアルデヒド類の量などによって変動する。例えば、容量約200mlの容器に本発明の安定化剤を用いる場合、約1mg〜約500g、好ましくは約1mg〜約100g、より好ましくは約1mg〜約10gの安定化剤を含有させることができ、特に、安定化剤としてメグルミンを当該容器中に同封する場合、約1mg〜約100g、好ましくは約1mg〜約10gのメグルミンを含有させることができる。
【0031】
本発明の安定化方法においては、本発明の安定化剤に加え、必要に応じて乾燥剤、脱酸素剤、炭酸ガス吸収剤、湿度調整剤等の1種以上をさらに共存させることができる。これらの包装用添加剤は、医薬品や食品等の包装設計において従来より使用されているものが好ましく使用され得る。例えば、乾燥剤としては、シリカゲル、生石灰、塩化カルシウム加工品、シリカアルミナゲル、合成ゼオライト、珪藻土等を、脱酸素剤としては、鉄粉等の金属粉(酸化触媒として金属ハロゲン化物を含む)、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、亜二チオン酸塩、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシン、ピロガロール、没食子酸、ロンガリット、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、イソアスコルビン酸、イソアスコルビン酸塩、ソルボース、グルコース、リグニン等を、炭酸ガス吸収剤としては、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、ソーダライム、バラライム、ケイ酸カルシウム水和物等を、湿度調整剤としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、無機塩、B型シリカゲル、紙、セルロース、木炭、無機塩の飽和水溶液を含浸させたストリップ等を使用することができる。これらの包装用添加剤は、本発明の安定化剤と別個に固形医薬組成物を包装する容器に同封してもよいし、該安定化剤と混合して用いてもよい。
【0032】
固形医薬組成物が散剤、顆粒剤、細粒剤等の場合には、乾燥剤、脱酸素剤、炭酸ガス吸収剤、湿度調整剤等は、単独でもしくは本発明の安定化剤と混合して、固形医薬組成物と混合しないような十分な大きさのペレット状、板状、棒状、タブレット状などに成型した後、包装容器(例:ガラス瓶、プラスチック瓶、プラスチック製袋(アルミ、シリカ等を蒸着したものを含む)、アルミ製袋、金属缶およびそれらの複合材料など)内に同封するか、あるいは、単独でもしくは本発明の安定化剤と混合して、粉末、顆粒、ペレット、板、棒、タブレット等の形状とした後、適当な通気性(および必要に応じてさらに透湿性)包装材、例えば、医薬品や食品等の包装設計においてこれらの添加剤の包装用として従来より使用されている公知の包装材(例:細孔を有するプラスチック製シートからなる多孔膜もしくは不織布、和紙、洋紙、グラシン紙など)で包装したもの、あるいはキャニスターに入れたものを包装容器内に同封することができる。包装容器がキャップ付瓶の形状を有する場合には、上記包装材で包装したこれらの添加剤または該添加剤と本発明の安定化剤との混合物をキャップの裏面に貼付することが好ましいが、これに限定されない。
あるいは、包装容器用の適当な材料(例:ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル等のプラスチックおよびそれらにアルミ、シリカ等を蒸着したもの、ガラス、アルミ箔、並びそれらの複合材料など)の表面上などに、これらの包装用添加剤を単独でもしくは本発明の安定化剤と混合してコーティングするか、もしくは当該材料中に含有させたものを用いて成型した容器で固形医薬組成物を包装することもできる。コーティングの場合は、予め混合したものを被覆してもよいし、いずれか一方を先に被覆した後、他方をさらに重層してもよい。
【0033】
固形医薬組成物が錠剤、カプセル剤等の場合には、乾燥剤、脱酸素剤、炭酸ガス吸収剤、湿度調整剤等は、上記の散剤、顆粒剤、細粒剤等の場合で使用できる態様に加え、単独でもしくは本発明の安定化剤と混合して、粉末、顆粒等の形状とした後、直接包装容器内に同封することもできる。また、錠剤やカプセル剤等の包装には、通常プラスチック製あるいは金属(例:アルミなど)製のパンシートの窪みに固形医薬組成物を充填し、通常プラスチック製あるいは金属(例:アルミなど)製のカバーシートでシールするブリスター包装が頻用されるが、この場合、カバーシートおよびパンシートの材料であるプラスチックまたはアルミ材の表面上に、これらの包装用添加剤を単独でもしくは本発明の安定化剤と混合してコーティングするか、もしくは当該材料中に含有させたものを用いてもよいし、あるいは固形医薬組成物を充填するための窪みに隣接してこれらの包装用添加剤(もしくは該包装用添加剤と本発明の安定化剤との混合物)を充填するための窪みを更に有する(両窪みはカバーシートによって完全には区画化されず、アルデヒド類が透過し得る連結部分を有する)パンシートを成型し、包装用添加剤(もしくは該包装用添加剤と本発明の安定化剤との混合物)充填用の窪みに粉末、顆粒、細粒等やペレット状、板状、棒状、タブレット状などに成型した包装用添加剤(もしくは該包装用添加剤と本発明の安定化剤との混合物)を充填してプラスチック材やアルミ材でシールしてもよい。
【0034】
乾燥剤、脱酸素剤、炭酸ガス吸収剤、湿度調整剤等の用量は、それぞれの目的を達成するのに十分な量であれば特に制限はないが、医薬品の包装設計において各包装用添加剤について通常使用されている量が、同様に好ましく適用され得る。
【0035】
本発明の安定化方法が、固形医薬組成物だけでなく、シロップ剤、懸濁液剤、注射剤、乳剤等の液状医薬組成物中のアルデヒド類に不安定な有効成分の安定化にも使用し得ることは、当業者にとって自明であろう。但し、この場合、本発明の安定化剤は、アルデヒド類を透過し得るが、該安定化剤を液状医薬組成物中に溶出させない包装材もしくはコーティング剤等で包装もしくは被覆されている必要がある。このような包装材としては、例えばゴアテックス(登録商標)などが挙げられる。
【0036】
本発明はまた、アミノ基を有する有機化合物を含有する、固形医薬組成物中のアルデヒド類に不安定な有効成分の安定化用容器(以下、「本発明の安定化用容器」という場合もある)を提供する。ここで「アミノ基を有する有機化合物」(「本発明の安定化剤」という場合もある)、「固形医薬組成物」および「アルデヒド類に不安定な有効成分」(以下、単に「有効成分」という場合もある)は、本発明の安定化方法に関して上記された通りのものである。
【0037】
本発明の安定化用容器は、固形医薬組成物中の有効成分を安定化するためのアミノ基を有する有機化合物を含有する。ここで「含有する」とは、容器の内面およびそれによって外部と仕切られた空間内に本発明の安定化剤が存在することを意味し、その存在形態に特に制限はない。例えば、直接もしくは適当な包装材で包装して容器内に封入されていてもよいし、容器内面上にコーティングされているか、容器材料中に含有されていてもよい。
【0038】
本発明の安定化用容器の材質、形状等にも特に制限はないが、固形医薬組成物の包装容器として通常使用されているものが、同様に好ましく使用され得る。例えば、ガラス製やプラスチック(例:ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニルなど)製の瓶、好ましくはプラスチックや金属製のキャップ付瓶、プラスチック製袋(アルミ、シリカ等を蒸着したものを含む)、アルミ製袋、金属缶およびそれらの複合材料等が挙げられる。また、固形医薬組成物を充填した後に最終的な包装形態に成型されるもの、例えば、プラスチック製(アルミ、シリカ等を蒸着したものを含む)やアルミ製のシート(固形医薬組成物を充填後、端部をシールして袋状にする等)、プラスチック製あるいはアルミ製のパンシートとカバーシート(パンシートの窪みに固形医薬組成物を充填した後カバーシートとシールする)等もここでいう「本発明の安定化用容器」に包含されるものとする。さらに、「本発明の安定化用容器」は、救急箱、薬品棚、薬品保存室等をも包含するより広い概念として把握される。
尚、上述のように、本明細書においては、自体固形医薬組成物である薬剤(例:散剤、顆粒剤など)を容器内に封入し、当該容器ごと一体で投与される調剤形態(例:カプセル剤など)については、当該容器を含めた全体として1つの固形医薬組成物であるものと定義される。したがって、そのような容器、例えば、アルデヒド類に不安定な有効成分を含有する顆粒剤を充填するのに用いられる、アミノ基を有する有機化合物を含有するカプセル(例:ゼラチンカプセルなど)は、本発明の安定化容器には包含されない。
【0039】
本発明の安定化用容器が散剤、顆粒剤、細粒剤等の安定化用である場合には、本発明の安定化剤は、固形医薬組成物と混合しないように十分な大きさのペレット状、板状、棒状、タブレット状などに成型して容器(例:ガラス瓶、プラスチック瓶、プラスチック製袋(アルミ、シリカ等を蒸着したものを含む)、アルミ製袋、金属缶およびそれらの複合材料など)内に同封するか、もしくは粉末、顆粒、ペレット、板、棒、タブレット等の形状とした後、適当な通気性包装材、例えば、医薬品や食品等の包装設計において脱酸素剤や炭酸ガス吸収剤の包装用として従来より使用されている公知の包装材(例:細孔を有するプラスチック製シートからなる多孔膜もしくは不織布、和紙、洋紙、グラシン紙など)で包装したもの、あるいはキャニスターに入れたものを容器内に同封することができる。包装用容器がキャップ付瓶の形状を有する場合には、上記包装材で包装した安定化剤をキャップの裏面に貼付することが好ましいが、これに限定されない。
あるいは、包装容器用の適当な材料(例:ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル等のプラスチックおよびそれらにアルミ、シリカ等を蒸着したもの、ガラス、アルミ箔、並びそれらの複合材料など)の表面上などに本発明の安定化剤をコーティングするか、もしくは当該材料中に含有させたものを用いて成型した容器等も、散剤、顆粒剤、細粒剤等の安定化用容器として好ましく使用され得る。
【0040】
本発明の安定化用容器が錠剤、カプセル剤等の安定化用である場合には、本発明の安定化剤は、上記の散剤、顆粒剤、細粒剤等の安定化の場合に使用できる態様に加えて、粉末、顆粒等の形状で直接容器内に同封することもできる。また、ブリスター包装の場合、本発明の安定化用容器は、カバーシートおよびパンシートの材料であるプラスチックまたはアルミ材の表面上に、本発明の安定化剤をコーティングするか、もしくは当該材料中に含有させたものである。
【0041】
本発明の安定化用容器は、空間を仕切ったものの内部に本発明の安定化剤を含むものである限りその大きさに特に制限はなく、例えば、救急箱、薬品棚、薬品保存室等をも包含する意味で使用される。この場合、本発明の安定化剤は、直接もしくは適当な包装材で包装してこれら容器内の任意の位置(1箇所もしくは2箇所以上)に設置したり、あるいは容器内の側面、上面、底面等にコーティングするかもしくは容器の素材中に含有させることができる。
【0042】
本発明の安定化用容器中に含有させる本発明の安定化剤の用量は、包装される固形医薬組成物中のアルデヒドに不安定な有効成分の安定化を達成し得る、即ち、有効成分とアルデヒド類との反応による類縁物質の生成を有意に抑制あるいは低減し得るのに十分な量であれば、特に制限はない。また、その量は、使用する安定化剤の種類および形状、固形医薬組成物との距離、固形医薬組成物(有効成分)の量および剤形、容器の容積、存在もしくは生成するアルデヒド類の量などによって変動する。例えば、容量約200mlの容器に本発明の安定化剤を用いる場合、約1mg〜約500g、好ましくは約1mg〜約100g、より好ましくは約1mg〜約10gの安定化剤を含有させることができ、特に、安定化剤としてメグルミンを当該容器中に同封する場合、約1mg〜約100g、好ましくは約1mg〜約10gのメグルミンを含有させることができる。
【0043】
本発明の安定化用容器は、本発明の安定化剤に加え、必要に応じて乾燥剤、脱酸素剤、炭酸ガス吸収剤、湿度調整剤等の1種以上をさらに含有していてもよい。これらの包装用添加剤としては、本発明の安定化方法において上記した通りのものが使用できる。また、これらの包装用添加剤は、本発明の安定化剤と別個に容器に同封してもよいし、該安定化剤と混合して用いてもよい。
【0044】
本発明の安定化用容器が散剤、顆粒剤、細粒剤等の安定化用である場合には、乾燥剤、脱酸素剤、炭酸ガス吸収剤、湿度調整剤等は、単独でもしくは本発明の安定化剤と混合して、固形医薬組成物と混合しないような十分な大きさのペレット状、板状、棒状、タブレット状などに成型した後、容器(例:ガラス瓶、プラスチック瓶、プラスチック製袋(アルミ、シリカ等を蒸着したものを含む)、アルミ製袋、金属缶およびそれらの複合材料など)内に同封するか、あるいは、単独でもしくは本発明の安定化剤と混合して、粉末、顆粒、ペレット、板、棒、タブレット等の形状とした後、適当な通気性(および必要に応じてさらに透湿性)包装材、例えば、医薬品や食品等の包装設計においてこれらの添加剤の包装用として従来より使用されている公知の包装材(例:細孔を有するプラスチック製シートからなる多孔膜もしくは不織布、和紙、洋紙、グラシン紙など)で包装したもの、あるいはキャニスターに入れたものを容器内に同封することができる。容器がキャップ付瓶の形状を有する場合には、上記包装材で包装したこれらの添加剤または該添加剤と本発明の安定化剤との混合物をキャップの裏面に貼付することが好ましいが、これに限定されない。
あるいは、包装容器用の適当な材料(例:ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル等のプラスチックおよびそれらにアルミ、シリカ等を蒸着したもの、ガラス、アルミ箔、並びそれらの複合材料など)の表面上などに、これらの包装用添加剤を単独でもしくは本発明の安定化剤と混合してコーティングするか、もしくは当該材料中に含有させたものを用いて成型した容器で固形医薬組成物を包装することもできる。コーティングの場合は、予め混合したものを被覆してもよいし、いずれか一方を先に被覆した後、他方をさらに重層してもよい。
【0045】
本発明の安定化用容器が錠剤、カプセル剤等の安定化用である場合には、乾燥剤、脱酸素剤、炭酸ガス吸収剤、湿度調整剤等は、上記の散剤、顆粒剤、細粒剤等の包装用に使用できる態様に加え、単独でもしくは本発明の安定化剤と混合して、粉末、顆粒等の形状とした後、直接容器内に同封することもできる。また、ブリスター包装の場合、カバーシートおよびパンシートの材料であるプラスチックまたはアルミ材の表面上に、これらの包装用添加剤を単独でもしくは本発明の安定化剤と混合してコーティングするか、もしくは当該材料中に含有させたものを本発明の安定化用容器とすることができる。
【0046】
本発明の安定化用容器に含有される乾燥剤、脱酸素剤、炭酸ガス吸収剤、湿度調整剤等の用量は、それぞれの目的を達成するのに十分な量であれば特に制限はないが、医薬品の包装設計において各包装用添加剤について通常使用されている量が、同様に好ましく適用され得る。
【0047】
本発明はまた、上記の本発明の安定化用容器内にアルデヒド類に不安定な有効成分を含有する固形医薬組成物を封入してなる医薬パッケージを提供する。容器、本発明の安定化剤、必要に応じてさらに乾燥剤、脱酸素剤、炭酸ガス吸収剤、湿度調整剤等は、固形医薬組成物の剤形等に応じて上記のようにそれぞれ適当な形状、存在形態を選択することができる。本発明の安定化用容器内にアルデヒド類に不安定な有効成分を含有する固形医薬組成物を封入することにより、該有効成分が長期保存安定化された固形医薬組成物の包装体が提供される。
【0048】
【実施例】
以下、参考例、比較例、実施例および実験例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これらは、本発明を限定するものではない。
【0049】
参考例1
[3−[(2R)−([(2R)−(3−クロロフェニル)−2−ヒドロキシエチル]アミノ)プロピル]−1H−インドール−7−イルオキシ]酢酸(以下、化合物Xという)を含有する整粒末を表1に示す組成比で次のように製造した。すなわち、化合物X5.0g、マンニトール1783gおよびヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC)250.0gを流動造粒乾燥機(パウレック社製FD−3S型)に入れ、予熱混合し、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L)62.5gを溶解した水溶液2500gをスプレーして、造粒末を得た。得られた造粒末2050gをパワーミル(昭和化学機械工作所製P−3型)を通し、整粒末とした。
【0050】
【0051】
比較例1(サンプルA)
参考例1で得られた整粒末3.47gを容量約14mLガラス瓶に入れ密栓して5℃で
25日間保存した。
【0052】
比較例2(サンプルB)
参考例1で得られた整粒末1.06gを容量約14mLガラス瓶に入れ、塩化ナトリウム飽和水溶液5mLの入った容量約14mLガラス瓶と共に1瓶ずつ容量約206mLガラス瓶に入れ、容量約206mLガラス瓶を密栓して40℃で2週間保存した。
【0053】
実施例1(サンプルC)
参考例1で得られた整粒末1.05gを容量約14mLガラス瓶に入れ、塩化ナトリウム飽和水溶液5mLの入った容量約14mLガラス瓶と共に各々1瓶ずつ容量約206mLガラス瓶に入れ、それらの瓶に入らない様にゼラチンカプセル0.99gを容量約206mLガラス瓶中に入れ、容量約206mLガラス瓶を密栓して40℃で2週間保存した。
【0054】
実施例2(サンプルD)
参考例1で得られた整粒末1.05gを容量約14mLガラス瓶に入れ、塩化ナトリウム飽和水溶液5mLの入った容量約14mLガラス瓶と共に各々1瓶ずつ容量約206mLガラス瓶に入れ、それらの瓶に入らない様にメグルミン0.11gを容量約206mLガラス瓶中に入れ、容量約206mLガラス瓶を密栓して40℃で2週間保存した。
【0055】
実験例1
比較例1〜2および実施例1〜2における保存後の整粒末について、化合物Xの類縁物質E(保存中に賦形薬より由来して生成するホルムアルデヒド様物質と化合物Xの反応により生成すると考えられる物質)の生成をそれぞれ調べた。サンプルAは、比較試験におけるイニシャル品として測定した。その結果、表2に示すように、サンプルBでは、類縁物質Eの生成が確認されたのに対し、サンプルC及びDでは、その生成が顕著に抑制された。
【0056】
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、アルデヒド類に不安定な有効成分を含有する固形医薬組成物中の有効成分を安定化させることができ、より安全且つ有効性の高い固形医薬組成物を提供することが可能となる。
Claims (9)
- アルデヒド類に不安定な有効成分を含有する固形医薬組成物とアミノ基を有する有機化合物とを独立して共存させることを特徴とする、該有効成分の安定化方法。
- アミノ基を有する有機化合物が、側鎖にアミノ基を有するアミノ酸、糖もしくは糖アルコールのアミノ誘導体またはそれらの塩もしくは誘導体、あるいは側鎖にアミノ基を有するアミノ酸残基および/または糖もしくは糖アルコールのアミノ誘導体残基を分子内に含む化合物である、請求項1記載の方法。
- アミノ基を有する有機化合物がゼラチンである請求項1記載の方法。
- 乾燥剤、脱酸素剤、炭酸ガス吸収剤および湿度調整剤からなる群より選択される1種以上をさらに共存させることを特徴とする、請求項1記載の方法。
- アミノ基を有する有機化合物を含有する、固形医薬組成物中のアルデヒド類に不安定な有効成分の安定化用容器。
- アミノ基を有する有機化合物が、側鎖にアミノ基を有するアミノ酸、糖もしくは糖アルコールのアミノ誘導体またはそれらの塩もしくは誘導体、あるいは側鎖にアミノ基を有するアミノ酸残基および/または糖もしくは糖アルコールのアミノ誘導体残基を分子内に含む化合物である、請求項5記載の容器。
- アミノ基を有する有機化合物がゼラチンである請求項5記載の容器。
- 乾燥剤、脱酸素剤、炭酸ガス吸収剤および湿度調整剤からなる群より選択される1種以上をさらに含有する、請求項5記載の容器。
- 請求項5記載の容器内にアルデヒド類に不安定な有効成分を含有する固形医薬組成物を封入してなる、該有効成分が安定化された医薬パッケージ。
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