JP2004070046A - 無端ベルト、およびこれを用いた定着装置 - Google Patents

無端ベルト、およびこれを用いた定着装置 Download PDF

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Abstract

【課題】2層以上から構成される無端ベルトにおいて、ベルト走行不良が発生しない無端ベルト、およびこれを用いた定着装置を提供すること。
【解決手段】少なくとも2層以上の耐熱性樹脂からなる無端ベルトにおいて、前記無端ベルトの、最内周層が、少なくともポリベンゾイミダゾールを含む第1の耐熱性樹脂層からなり、前記第1の樹脂層の外周側に、少なくともポリイミドを含む第2の耐熱性樹脂層が設けられることを特徴とする無端ベルト。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真複写機、プリンター、ファクシミリなどの電子写真方式を利用した画像情報記録装置において、記録媒体上に形成された未定着トナー像を定着させる定着装置に用いられる無端ベルト、およびこれを用いた定着装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プリンタ−、複写機、ファクシミリ等における電子写真画像の形成においては、未定着トナー像が形成された記録紙等の記録媒体を画像定着装置により加熱加圧することにより、トナー像を前記記録媒体表面に定着させる過程を経ることが必要である。このような画像定着装置には、耐熱性樹脂からなる無端ベルトが用いられている。
【0003】
従来、このような無端ベルトとしては、ポリイミド(以下、「PI」と略す場合がある)、ポリアミドイミド(以下、「PAI」と略す場合がある)などといった耐熱性樹脂の上にフッ素樹脂をコーティングしたものや(特開平7−9634号公報)、ポリベンゾイミダゾール(以下、「PBI」と略す場合がある)そのもので無端ベルトを構成したもの(特開平7−160135号公報)や、PBIを用いた定着部材(特許第2984404号公報)があり、また、金属性薄肉ベルトを基層として用いたもの(特開平6−222695号公報)や、さらに、ポリイミド系樹脂を複層化したもの(特開平2001−159851号公報)が用いられている。
また、これらの無端ベルトを、記録媒体の画像形成面に接触する定着ベルトや、加圧側のベルトに用いるなどといった定着装置が開示されている。
【0004】
しかしながら、上記無端ベルトあるいは無端ベルトを用いた定着装置においては、以下(1)〜(3)項に示すような種々の問題がある。
(1)無端ベルトの端部に当接するガイド部材によって、前記無端ベルトの端部が、磨耗する、或いは、挫屈することによって用紙ジャムなどといった弊害をきたす。
(2)無端ベルト内周面と、該無端ベルト内周面に当接する押圧部材と、の接触面(以下、「押圧接触面」と略す場合がある)間の摺擦抵抗が高いと、前記無端ベルト内周面の磨耗、駆動トルク上昇、前記部材の磨耗が生じ、これにより定着された画像の像ズレ、ギヤの回転時の高付加による騒音の発生、駆動ギヤの破損などを生じてしまい、定着装置の信頼性低下を招く。
(3)押圧接触面に存在する潤滑剤オイルと、無端ベルト内周面と、の親和性が低いと、前記無端ベルト内周面に形成されるオイル膜の途切れが発生してしまうために、良好な駆動を与えることが出来なくなり、画質ムラなどを生じてしまう。
【0005】
一方、画像形成装置に利用される無端ベルトは、その用途やニーズに応じてベルト膜厚が異なり、一般的に、低コストや省スペースが要求される低級機種には、ベルト膜厚の薄い無端ベルト用いられ、性能や、耐久性が要求される高級機種には、ベルト膜厚の厚い無端ベルトが用いられる傾向にある。
前者の場合は、無端ベルト作製時のコストを抑え、製造工程を簡略化するために単層構成であることが多く、後者の場合は、必要なベルト膜厚を得るために、2層以上の構成を有することが多い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決することを課題とする。すなわち、本発明は、2層以上から構成される無端ベルトにおいて、ベルト走行不良が発生しない無端ベルト、およびこれを用いた定着装置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題は以下の本発明により達成される。すなわち、本発明は、
<1> 少なくとも2層以上の耐熱性樹脂からなる無端ベルトにおいて、
前記無端ベルトの、最内周層が、少なくともポリベンゾイミダゾールを含む第1の耐熱性樹脂層からなり、前記第1の樹脂層の外周側に、少なくともポリイミドを含む第2の耐熱性樹脂層が設けられることを特徴とする無端ベルトである。
【0008】
<2> 前記第1の樹脂層が、潤滑性フィラーを含むことを特徴とする<1>に記載の無端ベルトである。
【0009】
<3> 前記第1の樹脂層の厚みが、1〜50μmの範囲内であることを特徴とする<1>または<2>に記載の無端ベルトである。
【0010】
<4> 前記潤滑性フィラーが、層状構造を有することを特徴とする<2>または<3>に記載の無端ベルトである。
【0011】
<5> 前記潤滑性フィラーが、グラファイト、フッ化グラファイト、二硫化モリブデン、窒化硼素、マイカ、マイカ化合物、から選ばれる少なくも一種類以上を含むことを特徴とする<2>〜<4>のいずれか1つに記載の無端ベルトである。
【0012】
<6> 前記無端ベルトの最外周層が、少なくともフッ素樹脂を含んでなることを特徴とする<1>〜<5>のいずれか1つに記載の無端ベルトである。
【0013】
<7> 前記最外周層が、導電性微粒子を含むことを特徴とする<6>に記載の無端ベルトである。
【0014】
<8> 少なくとも、回転可能な駆動部材と、外周面が前記駆動部材表面に当接する<1>〜<7>のいずれか1つに記載の無端ベルトと、該無端ベルトを介して前記駆動部材表面を押圧し前記当接部を形成するように前記無端ベルト内周面に配置された押圧パッドと、を有することを特徴とする定着装置である。
【0015】
<9> 前記駆動部材が、加熱定着ロールであることを特徴とする<8>に記載の定着装置である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を、無端ベルトと、これを用いた定着装置と、に分けて順に説明する。
<無端ベルト>
本発明の無端ベルトは、少なくとも2層以上の耐熱性樹脂からなる無端ベルトにおいて、前記無端ベルトの、最内周層が、少なくともポリベンゾイミダゾール(以下、「PBI」と略す)を含む第1の耐熱性樹脂層(以下、「PBI層」と略す場合がある)からなり、前記第1の樹脂層の外周側に、少なくともポリイミド(以下、「PI」と略す)を含む第2の耐熱性樹脂層(以下、「PI層」と略す場合がある)が設けられることを特徴とする。
【0017】
本発明の無端ベルトは上記に説明したように、内周側から、PBI層と、PI層と、がこの順に設けられた構成を有する。一方、PBI層の弾性率はPI層よりも大きいため、無端ベルトの膜厚方向に弾性率の傾斜構造を持たせることができる。このため、本発明の無端ベルトを定着ベルト等として画像形成装置内において用いた場合、前記無端ベルトに加わる熱的ストレスや機械的ストレスである層間変形(せん断力による変形)に柔軟に対応できることが可能となり、収縮/伸び応力からくる平面度の悪化を防ぎ、ベルト走行不良の発生を防止することができる。
【0018】
なお、2層以上からなる無端ベルトにおいては、各層間の弾性率差が大きすぎると、高温下における伸び/収縮性の違いが顕著になり、層間変形によるベルト走行不良を防止する効果を逆に相殺してしまうため、ベルト走行不良が発生する場合がある。
しかしながら、本発明の無端ベルトにおいては、PBI層の弾性率とPI層の弾性率との差が、このような相殺が発生する程に大きくなく、層間変形によるベルト走行不良の防止効果が十分に発揮される。
【0019】
また、PBI層とPI層との接着性は非常に良好で、その界面にプライマー層を特に設け無くとも、無端ベルトとして充分長期の使用に耐えうるだけの接着力を有する。これは、PBIとPIとが、相互に類似した性質を有する溶媒に溶解しやすいことから、PBI層とPI層との界面で、PBIおよびPIの分子鎖が相互に絡み合うことや、PBI分子中の比較的反応性に富んだ部位がPI分子と化学的結合を形成するためであると推定される。
【0020】
なお、本発明の無端ベルトを定着ベルトとして用いる場合には、PI層の外周側に、最外周層を構成するようにトナーに対して離型性を有する層を設けることが好ましく、このような離型性を有する層としてフッ素樹脂を含む層(以下、「フッ素樹脂離型層」と略す場合がある)を設けることがより好ましい。
また、フッ素樹脂離型層の弾性率はPI層の弾性率よりも小さいため、内周側からPBI層、PI層、フッ素樹脂離型層が順に設けられた3層構造を有する場合においても、3層に渡り段階的に弾性率の傾斜構造が得られる。
このため、フッ素樹脂離型層の形成により定着ベルトとしての離型性が確保されるのみならず、より効果的にベルト走行不良の発生を防止することができる。以下に、PBI層、PI層、フッ素樹脂離型層についてより詳細に説明する。
【0021】
−PBI層−
本発明の無端ベルトは、最内周が耐熱性、耐磨耗性、耐薬品性等に優れ、表面エネルギーの小さいポリベンゾイミゾダールを含むPBI層から構成されるため、長期使用下における無端ベルト内周面の耐磨耗性の向上と、低摩擦化と、を図ることが出来る。なお、本発明においてPBI層を構成するマトリックス樹脂は、ポリベンゾイミゾダールから構成されるものである。
【0022】
前記ポリベンゾイミゾダールとしては、公知のものを用いることができるが、具体的には、下記に示す化合物(1)で表される構造(ポリ−2,2’−(m−フェニレン)−5,5’−ビベンゾイミダゾール)を有するものが好適に用られる。但し、下記に示す化合物(1)において、nは正の整数を表す。また、本発明に用いられるポリベンゾイミゾダールの数平均分子量は特に限定されないが、2000〜100000の範囲内であることが好ましく、5000〜30000の範囲内であることがより好ましい。
なお、PBI層の形成に際しては、取り扱いの容易さや形成性の点から、例えば、PBIをDMAC(N,N−ジメチルアセトアミド)に溶解させたPBIマトリックスレジンソリューション:MRS0810H、MRS0810N(以上、クラリアントジャパン製)を好適に用いることができる。
【0023】
【化1】
Figure 2004070046
【0024】
PBI層には導電性、熱伝導性、絶縁性、補強等の目的に応じて、無機粒子、金属粉、金属酸化物、有機金属酸化物等の機能性フィラーを添加することができる。
特に、低摩擦化を目的とする場合には、PBI層に潤滑性のフィラーを添加することが好ましい。これにより、より一層、無端ベルト内周面の低摩擦化や微小な表面粗さの増加により、無端ベルト内周面に塗布される潤滑剤の保持性を向上させることが出来る。
【0025】
このような潤滑性フィラーとしては、公知のものであれば特に限定されないが、層状構造を持ったフィラーが好ましく、特にはグラファイト、フッ化グラファイト、二硫化モリブデン、窒化硼素、マイカ、マイカ化合物から選択される少なくも一種類以上を添加することが最も好ましい。
また、潤滑性に加え、導電性を付与する場合にはグラファイト、フッ化グラファイトを添加することが好ましい。導電性を有する潤滑フィラーをPBI層に添加する場合には、回転時の摩擦帯電による摺擦抵抗の低減化を図ることが出来る。
【0026】
なお、PBI層の厚みとしては1〜50μmの範囲内であることが好ましく、1〜30μmの範囲内であることがより好ましい。PBI層の厚みが1μm未満である場合には、長期の使用によりPBI層が磨耗することにより、PI層が露出し、機械的強度低下及び摩擦抵抗の増加を招く場合がある。
一方、PBI層の厚みが、50μmを超える場合には、芯体の表面にPBI層を形成するための塗布液を用いて無端ベルトを形成する際に、コーティング回数が多くなり、工程上の負担が大きくなり、量産上好ましくない。また、PBI層は、膜厚当りの単価が高価であるために、コスト面でも好ましくない。
【0027】
−PI層−
本発明の無端ベルトは、最内周側に設けられたPBI層の外周側に、ポリイミドを含むPI層が設けられる。なお、PBI層と、PI層と、の間に必要に応じて何らかの中間層を設けることも可能であるが、PBI層とPI層とが隣接して設けられることが、両者の間の接着性が十分に得られるために好ましい。
【0028】
本発明の無端ベルトは、少なくとも、PBI層と、PI層と、を有する2層以上の構成を有するものであり、性能や、耐久性を重視する比較的グレードの高い画像形成装置での使用を主な目的としている。このような場合、無端ベルト全体のベルト膜厚が、ある程度以上は必要であり、このベルト膜厚を無端ベルトを構成するいずれかの層の厚みを厚くすることにより稼ぐ必要がある。
【0029】
この点で、PI層の膜厚を調整することにより、無端ベルト全体の膜厚を調整することが好ましい。PBI層の膜厚を調整することにより無端ベルト全体の膜厚を調整することも可能であるが、調整の為にPBI層の膜厚が薄くなりすぎた場合には、長期使用時において、機械的強度低下及び摩擦抵抗の増加を招く場合がある。また、PBI層の膜厚が厚くなりすぎた場合には、高価なポリベンゾイミゾダールを多く用いることになるため、コストが高くなる場合がある。
【0030】
また、無端ベルトの最外周層として、フッ素樹脂離型層を設けるような場合には、PBI層の外周側にPI層を設けずにフッ素樹脂離型層を設けることも原理的には可能である。しかし、このような構成においては、所望のベルト膜厚を得るためにPBI層を厚くする必要があるため、製造原価が非常に高くなり、実用上コスト面で見合わない。さらに、PBI層とフッ素樹脂離型層との間の接着性が劣っているために長期の使用に耐えられない可能性が高い。従って、実用に耐えうるものではない。
【0031】
PI層の膜厚は特に限定されないが、PBI層との組み合わせで弾性率の傾斜構造を得ると共に、無端ベルト全体の膜厚を所望の厚さとするために、PI層の膜厚は50μm〜150μmの範囲内が好ましく、50μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。
PI層の膜厚が50μmよりも小さい場合には、所望する無端ベルトの膜厚を得るために、PBI層を必要以上に厚くしなければならない場合があり、このため、コストが高くなる場合がある。一方、PI層の膜厚が150μmよりも大きい場合には、所望する無端ベルトの膜厚を得るために、PBI層を必要以上に薄くしなければならない場合があり、無端ベルト内周面に設けられたPBI層が長期の使用で摩滅し、耐磨耗性劣化や駆動トルクの上昇等、長期の使用に耐えられない場合がある。
【0032】
PI層を構成するポリイミド樹脂としては、公知のものを用いることができるが、PI層の形成に際しては、ポリイミド前駆体溶液や、ポリイミド樹脂を溶剤に溶解させた溶液を用いることが好ましい。
前記ポリイミド前駆体溶液としては、ポリアミック酸溶液を挙げることができ、U−ワニス−A、U−ワニス−S(宇部興産製)等を利用することができる。
また、ポリイミド樹脂を溶剤に溶解させた溶液としては、例えば、3’,3’,4,4、−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン類との重縮合反応により得られたポリイミド樹脂を溶剤(主にN−メチル−2ピロリドン)に溶解させた溶液、リカコート:SN−20、PN−20(新日本理化製)等を利用することができる。
【0033】
−最外周層(フッ素樹脂離型剤層)−
本発明の無端ベルトの最外周層には、既述したようにトナーに対して離型性を有するフッ素樹脂を含むフッ素樹脂離型層を設けることが好ましい。また、PI層と、フッ素樹脂離型層と、の間に必要に応じて何らかの中間層設けてもよく、設けなくてもよい。なお、中間層を設ける場合には、中間層の弾性率が、PI層と同等あるいは小さく、フッ素樹脂離型層と同等あるいは大きいことが好ましい。
【0034】
フッ素樹脂離型層の膜厚は、1〜50μmの範囲内であることが好ましく、20〜30μmの範囲内であることがより好ましい。膜厚が1μmよりも小さい場合には、長期の使用に際し、フッ素樹脂離型層が摩滅してしまうことにより、トナーに対する離型性が低下する場合がある。また、膜厚が50μmよりも大きい場合には、フッ素樹脂離型層が熱可塑性樹脂から構成される為、無端ベルトが回転し定着ロール表面と摺動した際に、無端ベルト表面が受ける表面せん断力の発生による大きく変形し、定着ロール表面との表面速度差が大きくなり、像ズレ、紙皺などの欠陥を引き起こしてしまう場合がある。
【0035】
前記フッ素樹脂としては、例えば、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体(MFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体(EFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリエチレン・テトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、フッ化ビニル(PVF)等が挙げられ、特に耐熱性、機械特性等の面からポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、及びテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体(MFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロエチルビニルエーテル(EFA)共重合体が好適に用いられる。
フッ素樹脂離型層を構成するマトリックス樹脂は、上記したようなフッ素樹脂から構成され、2種以上のフッ素樹脂を組み合わせたものであってもよい。
【0036】
また、最外周層には、必要に応じて種々の添加剤を添加することができる。最外周層がフッ素樹脂離型層からなる場合には、オフセット等の防止のために導電性微粒子(導電性フィラー)を添加することが好ましい。
特に、H/R(Heating Roll、定着ロール)表面にトナー残量電荷が残りやすい場合やトナーの帯電量が高い場合には、必要に応じて導電性フィラーをフッ素樹脂離型層に離型性が損なわれない程度に添加することができ、これによってH/R表面の残留電荷の漏洩を行わせ、静電気力によるトナーオフセットによる画質不良の防止、また無端ベルト表面の過度な帯電を防ぎ無端ベルト表面への巻き付きを効果的に防止することが出来る。
また、フッ素樹脂離型層に導電性フィラーを含有させると共に、PBI層にも導電性フィラーを含有させることにより更にいっそうの効果を発現させることが出来る。
【0037】
<定着装置>
次に、本発明の無端ベルトを用いた定着装置について説明する。本発明の定着装置は、既述したような本発明の無端ベルトを用い、記録媒体表面に形成された未定着のトナー像を定着することが可能な構成を有するものであり、具体的には以下のような構成を有するものである。
すなわち、本発明の定着装置は、少なくとも、回転可能な駆動部材と、外周面が前記駆動部材表面に当接(以下、該当接部を「ニップ部」と略す場合がある)する無端ベルトと、該無端ベルトを介して前記駆動部材表面を押圧し前記当接部を形成するように前記無端ベルト内周面に配置された押圧パッドと、を有し、前記無端ベルトとして本発明の無端ベルトを用いることを特徴とする。
【0038】
前記駆動部材としては、ベルト状等、その形状は特に限定されないが、ロール状であることが好ましく、ロールの内側に加熱源を備えた、加熱定着ロールであることがより好ましい。また、上記の構成に、必要に応じて適宜選択したその他の装置・部材、例えば、離型剤供給装置等を備えていてもよい。
また、前記無端ベルトは、前記駆動部材の回転に伴い従動回転可能であり、前記定着装置を用いた定着処理は、ニップ部に、未定着のトナー像をその表面に保持する記録媒体を挿通させることにより実施される。
以下に、無端ベルト以外の定着装置の各部のより詳細な構成について、駆動部材(加熱定着ロール)、および、押圧パッドについて順に説明する。
【0039】
−駆動部材(加熱定着ロール)−
駆動部材として用いることができる加熱定着ロールとしては、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、目的に応じて公知のものを適宜選択して使用することができる。前記加熱定着ロールは、一般的には、少なくとも、円筒状のコアと、その表面に形成された弾性層とを有し、前記コアの内部に加熱源を備えてなるものである。
【0040】
前記コアの材質としては、機械的強度に優れ、伝熱性が良好である材質ならば特に制限はないが、例えば、アルミ、SUS、鉄、銅等の金属、合金、セラミックス、FRMなどが挙げられる。
【0041】
前記弾性層の材質としては、公知の弾性材料の中から適宜選択できるが、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどが挙げられる。本発明においては、これらの弾性材料の中でも、表面張力が小さく、弾性に優れる点でシリコーンゴムが好ましい。
このようなシリコーンゴムとしては、例えば、RTVシリコーンゴム、HTVシリコーンゴムなどが挙げられ、具体的には、ポリジメチルシリコーンゴム(MQ)、メチルビニルシリコーンゴム(VMQ)、メチルフェニルシリコーンゴム(PMQ)、フルオロシリコーンゴム(FVMQ)などが挙げられる。
【0042】
前記弾性層の厚みとしては、通常、3mm以下であり、好ましくは0.1〜1.5mmの範囲内である。前記弾性層を前記コアの表面に形成する方法としては、特に制限はなく、例えば、公知のコーティング法、成型などが採用できる。
本発明においては、前記弾性層の外周面に離型層が形成されていてもよい。加熱定着ロールの最外周に離型層が形成されることにより、トナー像のオフセットを効果的に防止でき、安定した状態で定着装置を稼動させることができる。
前記離型層の材質としては、トナー像に対し適度な離型性を示すものであれば特に制限はなく、例えば、フッ素ゴム、シリコーンゴム、フッ素樹脂等が挙げられる。これらの材質の中でもフッ素樹脂が好適に挙げられる。
【0043】
前記フッ素樹脂としては、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体(MFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体(EFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリエチレン・テトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、フッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂挙げられ、特に耐熱性、機械特性等の面からポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、及びテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体(MFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロエチルビニルエーテル(EFA)共重合体が好適に用いられる。
【0044】
前記離型層の厚みとしては、通常、10〜50μmの範囲内であり、好ましくは15〜30μmの範囲内である。前記離型層を前記コアの表面に形成する方法としては、特に制限はなく、例えば、上述したコーティング法などが挙げられる。また、押出し成型によって形成されたチューブを被覆する方法が挙げられる。
【0045】
−押圧パッド−
押圧パッドは、無端ベルトを介して前記駆動部材(加熱定着ロール)表面を押圧しニップ部を形成するように前記無端ベルトの内周面に配置される。このように、押圧パッドを無端ベルト内周面に配置することにより、安定してニップ部が形成される。従って、駆動部材を回転させた状態で、未定着トナー像をその表面に保持する記録媒体が、前記ニップ部に挿通された際に、前記記録媒体の表面に均一に圧力が加えられつつ、前記ニップ部を通過することができる。
前記押圧パッドとしては、上記したような機能を発揮できるものであれば特に限定されず、目的に応じて適宜公知のものの中から選択できる。特に硬度の点からJIS−A硬度が10〜40°の範囲内であるシリコーンゴムが好適に用いられる。
前記押圧パッドの形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば前記押圧パッドは、単一の部材からなる構造であってもよいし、異なる機能を有する複数の部材からなる構造であってもよい。
【0046】
押圧パッドが複数の部材からなる場合には、少なくとも押圧パッドの無端ベルト内周面と接する部分には、無端ベルトが回転した際に前記無端ベルト内周面との摩擦力を低下させるために、低摩擦シートを設けることが好ましい。
このような低摩擦シートとしては、前記無端ベルト内周面との摩擦力を小さくすることができるものであれば特に限定されないが、少なくともフッ素樹脂を含む材料で構成されていることが好ましく、特に、加工性、摩擦特性の観点からポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)からなることが好ましい。
また、低摩擦シートの形状としては、成型シート(SOLID)状、織布状、不織布状、多孔質状のような形態が望ましい。
【0047】
−定着装置の構成例−
次に、上記に説明した定着装置の具体的な構成例について図面を用いて説明する。但し、本発明の定着装置は、以下の構成例に限定されるものではない。
図1は、本発明の定着装置の構成の一例を示す模式断面図である。図1中、1は定着装置、10は加熱定着ロール、11はコア、12は弾性層、13は離型層、14は加熱源、15は感温素子(温度センサー)、16はニップ部、20は無端ベルト、21aはPBI層、21bはPI層、30は押圧パッド、31は支持体、32は弾性体、33は低摩擦シート、34はベルト走行ガイドを表す。
【0048】
加熱定着ロール10は、加熱源14を内臓するコア11と、コア11の外周に弾性層12と離型層13とが、この順に設けられたものであり、不図示の駆動源により矢印R方向に回転可能である。また、加熱定着ロール10の表面には、感温素子(温度センサー)15が、加熱定着ロール10表面の温度が検出可能なように配置されている。
さらに、加熱定着ロール10に対して、温度センサー15が設けられた反対側に、無端ベルト20が、加熱定着ロール10表面と無端ベルト20の外周面とがニップ部16を形成するように配置されている。また、無端ベルト20は、加熱定着ロール10の矢印R方向への回転に伴い従動回転可能である。
無端ベルト20は、本発明においては、少なくとも、最内周側の層としてPBI層21aが設けられ、PBI層21aの外周側にPI層21bが設けられた構成を有するものである。また、必要に応じて、他の層を設けてもよく、例えば、PI層21bの外周側に、最外周層としてフッ素樹脂離型層(不図示)が設けられてもよい。
【0049】
無端ベルト20の内周側には、ニップ部の形成が可能なように押圧パッド30が配置されている。押圧パッド30は、無端ベルト20の内周面と接触する低摩擦シート33と、低摩擦シート33を無端ベルト20の内周面側に押圧する弾性体32と、弾性体32を支持する支持体31と、からなる。また、ベルト走行ガイド34は、無端ベルト20がスムーズに回転するように無端ベルト20の回転方向に沿って、無端ベルト20の内周側に設けられており、支持体31に固定されている。
【0050】
支持体31には、ニップ部を押圧できるように圧縮コイルスプリング(図示しない)が取り付けられている。また、ベルト走行ガイド34の外周面には、ベルト回転方向のリブ(不図示)が設けられており、無端ベルト20内周面との接触面積を小さくしている。さらに、ベルト走行ガイド34の両端には、無端ベルト20の寄り(回転軸方向のズレ)を規制する鍔(つば)状の部材(不図示)が設けられている。
【0051】
定着装置1を用いた定着処理は以下のようにして行われる。まず、矢印I方向より、未定着のトナー像が形成された記録媒体を、ニップ部16に未定着のトナー像が設けられた面が加熱定着ロール10表面と接するように挿通する。この際、ニップ部16において前記記録媒体表面に未定着トナー像が加熱・加圧されることにより定着される。その後、トナー像が定着された記録媒体は、矢印O方向に排出される。
【0052】
【実施例】
以下に本発明を実施例を挙げてより具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0053】
<定着装置>
まず、実施例で用いた定着装置について説明する。実施例で用いた定着装置は、図1に示す定着装置1と同様の構成を有するものを用いた。
加熱定着ロール10としては、外径30mm、肉厚1.8mm、長さ360mmの円筒状アルミ製のコア11の外周面に、弾性層12として厚みが600μmのシリコーンHTVゴム(ゴム硬度35度:JIS−A)を設け、さらに、弾性層12の外周面に離型層13として、チューブ状の厚みが30μmのテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)を被覆したものである。なお、離型層13の外周面は鏡面状態に近い表面に仕上げられている。また、コア11の内部には、加熱源14として600Wのハロゲンランプが配置されている。
加熱定着ロール10の表面温度は、加熱定着ロール10の表面に当接するように配置された感温素子(温度センサー)15と、加熱源14が制御可能なように、加熱源14に接続された図示しない温度コントローラーとによりに制御される。
【0054】
押圧パッド30を構成する弾性体32は、幅10mm、肉厚5mm、長さ320mmのシリコーンゴムであり、低摩擦シート33は、フッ素樹脂(PTFE;ポリテトラフロオロエチレン)シートからなる。また、押圧パッド30は、支持体31に取り付けられた圧縮コイルスプリング(図示しない)により、無端ベルト20を介して加熱定着ロール10表面を35kgの荷重で押圧している。
加熱定着ロール10への無端ベルト20の巻き付け角度は、約40°であり、この時のニップ部16の幅は、約10mmであった。なお、無端ベルト20の具体的な構成については後述する。
【0055】
このような構成を有する定着装置1を用い、以下に説明する各実施例の無端ベルトを用いて連続200k枚の定着テストを実施し、この際、像ズレ(画質の乱れ)、無端ベルトの変形等に起因するベルト走行不良、加熱定着ロール10の駆動トルク(200k枚定着処理後のトルク)、静電オフセットを評価した。
なお、定着テストに際しては、加熱定着ロール10及び無端ベルト20を、194mm/secの速度で回転させ、加熱定着ロール10表面の温度を175℃とすることにより実施した。以下に定着テストに用いた無端ベルトについて説明する。
【0056】
<無端ベルト>
上記に説明した定着装置を用いた定着テストは、以下に説明する無端ベルトを用いて実施した。
なお、以下に説明する無端ベルトは、周長94mm、長さ320mmであり、各層の膜厚(「肉厚」と称す場合もある)や、各層を構成する材料は必要に応じてそれぞれ異なるものを用いたものである。
【0057】
(実施例1)
実施例1に用いた無端ベルトとしては、内周側より順に、肉厚10μmのPBI樹脂からなる基材(PBI層)と、該基材の外周面側に肉厚60μmのPI樹脂からなるPI層と、該PI層の外周面にテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)を30μmの厚みにコーティングして形成した離型層と、からなる層構成を有するものを用いた。
【0058】
なお、実施例1の無端ベルトは、以下のようなプロセスを経て作製した。まず、離型剤(シリコーン樹脂あるいはフッ素樹脂)が予めその表面に形成された円筒状の金属基体表面に、樹脂(あるいは樹脂前駆体)を含む塗布液を塗布することによりPBI層となる塗膜とPI層となる塗膜とを順次形成し、乾燥(あるいは焼成)させた。次に離型層となる塗膜を形成後、380℃にて焼成することにより硬化物を得た。その後、この硬化物を前記金属基体表面から取り外し、両端部を所望のサイズに切断し、実施例1の無端ベルトを作製した。
【0059】
なお、PBI層の形成には、PBI樹脂溶液(クラリアント社製、セラゾール)を用い、PI層の形成には、PI樹脂溶液(宇部興産社製、UワニスS)を用い、離型層の形成には、PFA樹脂分散液(三井デュポンフロロケミカル社製、PFAエナメル)を用いた。
【0060】
実施例1の無端ベルトを用いたテストでは、“像ズレ”、“ベルト走行不良”共に発生せず、良好な結果を示した。また、経時でのトルクの上昇も小さくギヤ部分の騒音の発生も無かった。なお、像ズレ、および、ベルト走行不良の判定基準については後述する。
【0061】
(比較例1)
比較例1に用いた無端ベルトは、内周側より順に、肉厚75μmのPI樹脂を基材(PI層)と、該基材の外周面側にテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)を30μmの厚みにコーティングして形成した離型層と、からなる層構成を有するものを用いた。
なお、比較例1の無端ベルトは、PBI層を除いては、実施例1と同様のプロセスにより各層の膜厚を変えて作製したものである。
【0062】
比較例1の無端ベルトを用いたテストでは、 “像ズレ”が30k枚で発生し、“ベルト走行不良”についても50k枚において、無端ベルト端部の変形によりベルト走行不良の発生が確認された。
さらに、経時でのトルク変化の挙動については、実施例1と比較すると時間と共に大きくトルクが上昇し、ギヤ部分の磨耗損傷が激しい上に騒音が発生した。
【0063】
(実施例2)
実施例2に用いた無端ベルトとしては、内周側より順に、肉厚10μmのPBI樹脂からなる基材(PBI層)と、該基材の外周面側に肉厚75μmのPI樹脂からなるPI層と、該PI層の外周面にテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)を25μmの厚みにコーティングして形成した離型層と、からなる層構成を有するものを用いた。
なお、実施例2の無端ベルトは、実施例1と同様のプロセスで各層の膜厚を変えることにより作製したものである。
【0064】
実施例2の無端ベルトを用いたテストでは、“像ズレ”、“ベルト走行不良”共に発生せず、良好な結果を示した。また、経時でのトルクの上昇も小さくギヤ部分の騒音の発生も無かった。
【0065】
(実施例3)
実施例3に用いた無端ベルトとしては、内周側より順に、肉厚28μmのPBI樹脂からなる基材(PBI層)と、該基材の外周面側に肉厚64μmのPI樹脂からなるPI層と、該PI層の外周面にテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)を24μmの厚みにコーティングして形成した離型層と、からなる層構成を有するものを用いた。

但し、実施例3の無端ベルトは、PBI層の形成に際しては、PBI樹脂溶液100重量部に対して二硫化モリブデンを20重量部添加したものを用い、これ以外は実施例1と同様のプロセスで、各層の膜厚を変えることにより作製したものである
【0066】
実施例3の無端ベルトを用いたテストでは、“像ズレ”、“ベルト走行不良”共に発生せず、良好な結果を示した、さらに、PBI層に、潤滑性フィラーである二硫化モリブデンを含有させることにより、トルクの経過時間における挙動変化についても大きくトルクが上昇することなく、200k枚の定着後においてもトルクが0.55N・mと非常に小さかった。
【0067】
(実施例4)
実施例4に用いた無端ベルトとしては、内周側より順に、肉厚30μmのPBI樹脂からなる基材(PBI層)と、該基材の外周面側に肉厚55μmのPI樹脂からなるPI層と、該PI層の外周面にテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)を26μmの厚みにコーティングして形成した離型層と、からなる層構成を有するものを用いた。

但し、実施例4の無端ベルトは、離型層の形成に際しては、PFA樹脂溶液100重量部に対してカーボンブラックを5重量部添加したものを用い、これ以外は実施例1と同様のプロセスで、各層の膜厚を変えることにより作製したものである。
【0068】
実施例4の無端ベルトを用いたテストでは、“像ズレ”、“ベルト走行不良”共に発生せず、良好な結果を示し、また、経時でのトルクの上昇も小さくギヤ部分の騒音の発生も無かった。
さらに、実施例4の無端ベルトを用いたテストにおいては、未定着トナーの帯電量を高めに設定し、静電気力によるオフセットを発生しやすい条件で実施し、同時にオフセットレベルの評価を実施したが、静電オフセットは観察されなかった。
【0069】
(実施例5)
実施例5に用いた無端ベルトとしては、内周側より順に、肉厚28μmのPBI樹脂からなる基材(PBI層)と、該基材の外周面側に肉厚59μmのPI樹脂からなるPI層と、該PI層の外周面にテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)を25μmの厚みにコーティングして形成した離型層と、からなる層構成を有するものを用いた。

なお、実施例5の無端ベルトは、実施例1と同様のプロセスで各層の膜厚を変えることにより作製したものである。
【0070】
実施例5の無端ベルトを用いたテストでは、“像ズレ”、“ベルト走行不良”共に発生せず、良好な結果を示し、また、経時でのトルクの上昇も小さくギヤ部分の騒音の発生も無く、これらの評価に関しては実質的に実施例4と同等のレベルであった。
また、実施例5の無端ベルトを用いたテストにおいては、実施例4と同様に未定着トナーの帯電量を高めに設定し、静電気力によるオフセットを発生しやすい条件で実施し、同時にオフセットレベルの評価を実施した。しかし、実施例5の無端ベルトを用いた場合には静電オフセットが発生した。
従って、実施例4および実施例5の評価結果から、無端ベルトの最外周層に導電性を付与しても、他の特性に悪影響を与えることなく、静電オフセットを改善でき、静電オフセットに対する対応が容易であることがわかった。
【0071】
(実施例6)
実施例6に用いた無端ベルトとしては、内周側より順に、肉厚30μmのPBI樹脂からなる基材(PBI層)と、該基材の外周面側に肉厚55μmのPI樹脂からなるPI層と、該PI層の外周面にテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)を25μmの厚みにコーティングして形成した離型層と、からなる層構成を有するものを用いた。

但し、実施例6の無端ベルトは、PBI層の形成に際しては、PBI樹脂溶液100重量部に対して導電性を有する潤滑性フィラーであるグラファイトを20重量部添加したものを用い、これ以外は実施例1と同様のプロセスで、各層の膜厚を変えることにより作製したものである
【0072】
実施例6の無端ベルトを用いたテストでは、“像ズレ”、“ベルト走行不良”共に発生せず、良好な結果を示し、また、経時でのトルクの上昇も小さくギヤ部分の騒音の発生も無かった。
また、実施例5の無端ベルトを用いたテストにおいては、実施例4と同様に未定着トナーの帯電量を高めに設定し、静電気力によるオフセットを発生しやすい条件で実施し、同時にオフセットレベルの評価を実施した。この結果、PBI層にグラファイトを添加して導電性を付与することで、最外周層に導電性を付与する場合(実施例4)同様に静電気力によるオフセットを許容範囲レベルで防止できることがわかった。また、駆動トルクに関してもグラファイト自体の潤滑性と摩擦帯電の低減により、トルクの上昇を低減することが出来、200k後のトルクは0.55N・mと非常に小さかった。
【0073】
以上、実施例1〜6および比較例1の無端ベルトを用いた定着テストの結果を要約したものを表1に示す。
【0074】
【表1】
Figure 2004070046
【0075】
なお、表1に示す像ズレおよびベルト走行不良は以下に示す基準にて判定したものである。
−像ズレの判定基準−
像ズレは、定着テスト時に定着された画像を目視により観察し、画像に顕著なズレが観察されはじめた時点の処理枚数とした。
−ベルト走行不良の判定基準−
ベルト走行不良は、定着テスト時に無端ベルトの端部を目視により観察し、無端ベルト端部が顕著に変形し始めた時点の処理枚数とした。
【0076】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明によれば、2層以上から構成される無端ベルトにおいて、ベルト走行不良が発生しない無端ベルト、およびこれを用いた定着装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の定着装置の構成の一例を示す模式断面図である。
【符号の説明】
1   定着装置
10  加熱定着ロール
11  コア
12  弾性層
13  離型層
14  加熱源
15  感温素子(温度センサー)
16  ニップ部
20  無端ベルト
21a PBI層
21b PI層
30  押圧パッド
31  支持体
32  弾性体
33  低摩擦シート
34  ベルト走行ガイド

Claims (9)

  1. 少なくとも2層以上の耐熱性樹脂からなる無端ベルトにおいて、
    前記無端ベルトの、最内周層が、少なくともポリベンゾイミダゾールを含む第1の耐熱性樹脂層からなり、前記第1の樹脂層の外周側に、少なくともポリイミドを含む第2の耐熱性樹脂層が設けられることを特徴とする無端ベルト。
  2. 前記第1の樹脂層が、潤滑性フィラーを含むことを特徴とする請求項1に記載の無端ベルト。
  3. 前記第1の樹脂層の厚みが、1〜50μmの範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の無端ベルト。
  4. 前記潤滑性フィラーが、層状構造を有することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の無端ベルト。
  5. 前記潤滑性フィラーが、グラファイト、フッ化グラファイト、二硫化モリブデン、窒化硼素、マイカ、マイカ化合物、から選ばれる少なくも一種類以上を含むことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1つに記載の無端ベルト。
  6. 前記無端ベルトの最外周層が、少なくともフッ素樹脂を含んでなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の無端ベルト。
  7. 前記最外周層が、導電性微粒子を含むことを特徴とする請求項6に記載の無端ベルト。
  8. 少なくとも、回転可能な駆動部材と、外周面が前記駆動部材表面に当接する請求項1〜7のいずれか1つに記載の無端ベルトと、該無端ベルトを介して前記駆動部材表面を押圧し前記当接部を形成するように前記無端ベルト内周面に配置された押圧パッドと、を有することを特徴とする定着装置。
  9. 前記駆動部材が、加熱定着ロールであることを特徴とする請求項8に記載の定着装置。
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