JP2004068065A - 水系の金属腐食抑制方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、重金属やリン等の環境汚染物質を含有せず、かつ腐食抑制効果に優れた水系の金属の腐食抑制方法を提供することにある。
【解決手段】(A)無水マレイン酸、マレイン酸及びその水溶性塩の1種以上が70〜90重量%(無水マレイン酸換算)と非イオン性モノエチレン系不飽和単量体が10〜30重量%として構成される水溶性マレイン酸系共重合体と、(B)アクリル酸、メタクリル酸及びその水溶性塩の1種以上が40〜90重量%とモノエチレン性不飽和スルホン酸単量体が10〜60重量%の水溶性アクリル酸系共重合体を同時に用いることを特徴とする水系の金属腐食抑制方法。
【選択図】 なし
【解決手段】(A)無水マレイン酸、マレイン酸及びその水溶性塩の1種以上が70〜90重量%(無水マレイン酸換算)と非イオン性モノエチレン系不飽和単量体が10〜30重量%として構成される水溶性マレイン酸系共重合体と、(B)アクリル酸、メタクリル酸及びその水溶性塩の1種以上が40〜90重量%とモノエチレン性不飽和スルホン酸単量体が10〜60重量%の水溶性アクリル酸系共重合体を同時に用いることを特徴とする水系の金属腐食抑制方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、工業用水系及び冷却水系、温水系、ボイラ水系、洗浄水、工程水系更には排水系等において水と接する金属材料表面の腐食抑制を効果的行うことができる金属の腐食抑制方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
冷却水系、温水系、ボイラ水系、洗浄水、工程水系等の水系において、水と接する金属材料には腐食が発生しやすい環境にある。そこで腐食防止剤として、従来よりクロム酸塩、亜鉛塩、モリブデン酸塩等の重金属、各種リン系化合物等が使用されてきた。しかし、近年の環境問題の重視、例えば毒性の高いクロム酸塩や亜鉛等の重金属類の環境への排出、湖沼の富栄養化や閉鎖性海域における赤潮発生等からこれらの化合物や重金属類の排水濃度規制や排出量低減の方向に向かっている。
【0003】
そこで、従来の品に替わる環境調和型の処理剤として、カルボン酸系重合体を用いた種々の方法が提案された。
【0004】
例えば、(メタ)アクリル酸及びそのエステル等のモノエチレン系不飽和単量体と無水マレイン酸の100:40〜100:1(モル比)の共重合体加水分解物を使用する方法(特公昭54−29998号公報)、無水マレイン酸30〜80重量%とエチルアクリレート10〜40重量%とスチレン又は1−デセン10〜30重量%の三元共重合体を使用する方法(特許第2942991号公報)、マレイン酸とイソブチレンとの共重合体を添加し、ランジェリア指数を1.5以上かつシリカ濃度とCa硬度の積を2000以上として管理する腐食抑制方法(特公平4−33868号公報)、無水マレイン酸80〜90モル%と炭素数5〜12のオレフィン10〜20モル%の共重合体加水分解物が金属の腐食抑制に有効である(特公平5−81320号公報)ことが開示されている。
【0005】
しかし、周辺環境への影響を考慮して、重金属、リンを含有せず、満足できる腐食抑制効果を示すような腐食抑制方法は、未だ得られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、重金属やリン等の環境汚染物質を含有せず、かつ水系における優れた金属腐食防止効果を有する腐食抑制方法を提供することにある。
【0007】
【発明が解決するための手段】
本発明者らは、水系において、リン化合物や重金属を用いない金属の腐食抑制方法を鋭意検討した結果、特定組成のマレイン酸共重合体と特定のアクリル酸共重合体を同時に用いることにより、予想し得なかった顕著な腐食抑制効果を発揮することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、請求項1に係る発明は、(A)無水マレイン酸、マレイン酸及びその水溶性塩の1種以上を70〜90重量%(無水マレイン酸換算)と、非イオン性モノエチレン系不飽和単量体を10〜30重量%含む水溶性共重合体と、(B)(メタ)アクリル酸及びその水溶性塩の1種以上を40〜90重量%と、モノエチレン性不飽和スルホン酸単量体を10〜60重量%含む水溶性共重合体を同時に用いることを特徴とする水系の金属腐食抑制方法である。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の水系の金属腐食抑制方法であり、非イオン性モノエチレン系不飽和単量体が、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、イソブチレン、1−ペンテン、スチレン、メチルスチレン、酢酸ビニルから選択される1種以上であることを特徴としている。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2記載の水系の金属腐食抑制方法であり、モノエチレン性不飽和スルホン酸単量体が、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−メタクロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−アクリロキシ−1−ヒドロキシプロパン−2−スルホン酸、3−メタクロキシ−1−ヒドロキシプロパン−2−スルホン酸、1,3−ブタジエンのスルホン化物、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンのスルホン化物から選択される1種以上であることを特徴としている。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項1〜3の何れか記載の水系の金属腐食抑制方法であり、(A)と(B)を90:10〜30:70(重量比)で用いることを特徴としている。
【0012】
【発明の実施形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明は、水系において水と接触する金属の腐食抑制方法であり、重金属類やリン化合物等を用いることなく、(A)特定の組成で構成されたマレイン酸と非イオン性モノエチレン系不飽和単量体との水溶性共重合体と、(B)特定の組成で構成された(メタ)アクリル酸とモノエチレン性不飽和スルホン酸単量体との水溶性共重合体を同時に用いることにより、前述の個々の水溶性共重合体単独よりも優れ、しかも予想し得なかった顕著な腐食抑制効果を発揮する水系の金属腐食抑制方法である。
【0014】
本発明の水系は、一般工業用水系、開放式循環冷却水系や密閉循環式冷却水系、温水系、ボイラ水系、洗浄水、製造業における工程水系、更には排水系を含むものである。
【0015】
本発明の(A)成分は、(a−1)無水マレイン酸、マレイン酸及びその水溶性塩の1種以上を70〜90重量%(無水マレイン酸換算)と、(a−2)非イオン性モノエチレン系不飽和単量体を10〜30重量%として含む水溶性共重合体(以下、「(A)水溶性マレイン酸系共重合体」とする。)であり、該共重合体のマレイン酸単位部分が部分中和塩あるいは完全中和塩である水溶性共重合体である。部分中和塩あるいは完全中和塩を構成する陽イオン原子としては、ナトリウム、カリウム、アンモニウム等があり、これらの1種あるいは2種以上である。
【0016】
また、水溶性のマレイン酸塩としては、具体的にはマレイン酸水素ナトリウム、マレイン酸ジナトリウム、マレイン酸水素カリウム、マレイン酸ジカリウム、マレイン酸水素アンモニウム、マレイン酸ジアンモニウム、マレイン酸ナトリウムカリウム、マレイン酸アンモニウムナトリウム、マレイン酸アンモニウムカリウム等があり、これらの1種あるいは2種以上が用いられる。
【0017】
(a−2)成分の非イオン性モノエチレン系不飽和単量体は、炭素数4〜11のモノエチレン系不飽和カルボン酸エステル、炭素数6〜21のモノエチレン系不飽和ジカルボン酸エステル、炭素数3〜10のビニルアルキルエーテル、スチレン、メチルスチレン、炭素数2〜8のオレフィン、酢酸ビニルであり、これらの1種あるいは2種以上を用いることができる。
【0018】
炭素数4〜11のモノエチレン系不飽和モノカルボン酸エステルは、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸と炭素数1〜4のアルコールのメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールとのエステルである。具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、クロトン酸プロピル等がある。
【0019】
炭素数6〜21のモノエチレン系不飽和ジカルボン酸アルキルエステルは、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸と炭素数1〜4のアルコールのメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールとのエステルである。具体的にはマレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジプロピル、マレイン酸ジイソプロピル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジイソブチル、マレイン酸ジsec−ブチル、マレイン酸ジtert−ブチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジプロピル、イタコン酸ジイソプロピル等がある。
【0020】
炭素数4〜10のアルキルビニルエーテルは、具体的にはメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、sec−ビニルブチルエーテル、2−メトキシエチルビニルエーテル、2−エトキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル等があり、好ましくはメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等がある。
【0021】
炭素数2〜8のオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、1−ペンテン、2−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、ジイソブチレン、1−デセン、1−ドデセン等がある。
【0022】
これらの中で、好ましくはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、イソブチレン、1−ペンテン、スチレン、メチルスチレン、酢酸ビニル、より好ましくは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、n−ブチルビニルエーテル、スチレンであり、これらの1種あるいは2種以上を用いることができる。
【0023】
(A)水溶性マレイン酸系共重合体における(a−1)成分(無水マレイン酸換算とする)と(a−2)成分の配合割合比は、70:30〜90:10(重量%比)の範囲であり、好ましくは75:25〜85:15の範囲である。(a−1)成分の比率が70重量%(以下、「重量%」を「%」とする。)未満では、本発明の効果が得られず、また、90%を越えても本発明の効果が得られない。
【0024】
(A)水溶性マレイン酸系共重合体の重量平均分子量は、400〜5,000であり、好ましくは600〜2,000である。重量平均分子量が400より小さくなると、腐食防止効果果が十分でなく、重量平均分子量が5,000を超えると腐食防止効果が低下することがあるだけでなく、(A)水溶性マレイン酸系共重合体自身がカルシウム塩あるいはマグネシウム塩として析出することがあり,本発明の効果が得られないことがある。
【0025】
重量平均分子量の測定は、例えばゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーの手法により分子量既知のポリエチレングリコールを標準物質として測定され、市販の分子量計算用コンピュータソフトウェア、例えば、日立製作所(株)製の「D−2520型GPCデータ処理システム」(商品名)を用いて重量平均分子量が計算される。
【0026】
(A)水溶性マレイン酸系共重合体の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、無水マレイン酸と非イオン性モノエチレン系不飽和単量体をキシレン、トルエン、エチルベンゼン、メチルエチルケトン等の溶剤に溶解して50〜200℃に加熱下、ジ−tert−ブチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルヒドロパーオキシド等の重合開始剤を添加して重合させることにより得ることができ、重合反応終了後に溶剤を分離、除去し、水を加えてマレイン酸重合体水溶液の形態として使用するのが一般的である。また、溶剤を使用しない塊状重合法、水と溶剤を混合した乳化重合法、水を溶媒とした水溶液重合法等によっても製造することもできる。
【0027】
本発明の(B)成分は、(b−1)アクリル酸、メタクリル酸及びその水溶性塩の1種以上を40〜90重量%と、(b−2)モノエチレン性不飽和スルホン酸単量体及びその水溶性塩の1種以上を10〜60重量%含む水溶性共重合体(以下、「(B)水溶性アクリル酸系共重合体」とする。)である。該水溶性共重合体の(メタ)アクリル酸単位部分および/又はスルホン酸単位部分は、部分中和塩あるいは完全中和塩であり、部分中和塩あるいは完全中和塩を構成する陽イオン原子としては、ナトリウム、カリウム、アンモニウム等があり、これらの1種あるいは2種以上である。
【0028】
水溶性のアクリル酸塩及びメタクリル酸塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等があり、これらの1種あるいは2種以上が用いられる。
【0029】
(b−2)モノエチレン性不飽和スルホン酸単量体及びその水溶性塩は、炭素数6〜9のアミドアルキルスルフォン酸、炭素数6〜9のアシロキシアルキルスルフォン酸、炭素数4〜15の脂肪族共役ジエンのスルホン化物及びそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩からなる群から選択される1種あるいは2種以上である。
【0030】
炭素数6〜9のアミドアルキルスルフォン酸としては、(メタ)アクリルアミドアルキルプロパンスルフォン酸、クロトンアミドアルキルプロパンスルフォン酸であり、例えば2−アクリルアミド−2―メチルプロパンスルホン酸、3−アクリルアミド−3、3―ジメチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2―メチルプロパンスルホン酸、3−メタクリルアミド−3、3―ジメチルプロパンスルホン酸、2−クロトンアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−クロトンアミド−3、3−ジメチルプロパンスルホン酸等がある。
【0031】
炭素数6〜9のアシロキシアルキルスルフォン酸は、アルキル基にヒドロキシル基を持っていても良いアクリロキシアルキルプロパンスルフォン酸、メタクリロキシアルキルプロパンスルフォン酸、クロトキシアルキルプロパンスルホン酸であり、例えば3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−アクリロキシ−2−ジメチルプロパンスルホン酸、3−アクリロキシ−3,3−ジメチルプロパンスルホン酸、3−アクリロキシ−1−ヒドロキシプロパン−2−スルホン酸、3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−メタクリロキシ−2−ジメチルプロパンスルホン酸、3−メタクリロキシ−3,3−ジメチルプロパンスルホン酸、3−メタクリロキシ−1−ヒドロキシプロパン−2−スルホン酸等がある。
【0032】
炭素数4〜15の脂肪族共役ジエンのスルホン化物としては、例えば、脂肪族共役ジエンが1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンのスルホン化物である。
【0033】
これらの中で好ましくは、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−メタクロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−アクリロキシ−1−ヒドロキシプロパン−2−スルホン酸、3−メタクロキシ−1−ヒドロキシプロパン−2−スルホン酸、1,3−ブタジエンのスルホン化物、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンのスルホン化物があり、より好ましくは2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸である。
【0034】
(B)水溶性アクリル酸系共重合体における(b−1)成分と(b−2)成分の比は、90:10〜40:60(重量%)の範囲であり、好ましくは70:30〜50:50の範囲である。(b−1)成分と(b−2)成分の比率がこの範囲を外れると、腐食抑制効果が充分発揮されないことがある。
【0035】
(B)水溶性アクリル酸系共重合体の重量平均分子量は、2,000〜50,000、好ましくは3,000〜20,000未満である。この分子量の好適範囲は、腐食抑制効果の観点から選ばれたものである。
【0036】
(B)水溶性アクリル酸系共重合体には、本発明の効果を損なわない範囲において、(b−1)成分と(b−2)成分の他にこれらと共重合可能なモノエチレン性不飽和単量体、例えばマレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸等のモノエチレン性不飽和カルボン酸およびそれらの塩、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸等のモノエチレン性不飽和スルホン酸およびそれらの塩、ビニルホスホン酸、アリルホスホン酸等のモノエチレン性不飽和スルホン酸およびそれらの塩、(メタ)アクリルアミド、アルキル(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アリルアルコール等のモノエチレン性不飽和単量体含んでなる共重合体を使用することもできる。
【0037】
本発明の(A)水溶性マレイン酸系共重合体と(B)水溶性アクリル酸系共重合体は、それぞれを別々に添加しても、あるいは両者を一つの溶液にして添加してもよい。本発明の(A)水溶性マレイン酸系共重合体と(B)水溶性アクリル酸系共重合体の使用比率(重量%)は、90:10〜30:70、より好ましくは70:30〜40:60の範囲である。
【0038】
本発明の(A)水溶性マレイン酸系共重合体の水系への添加量は、対象とする水系の条件、特に水質、温度などにより異なるが、一般的にはその有効成分濃度として1〜1,000mg/L、好ましくは5〜500mg/L、より好ましくは10〜100mg/Lである。
【0039】
また、本発明の(B)水溶性アクリル酸系共重合体の水系への添加量は、対象とする水系の条件、特に水質、温度などにより異なるが、一般的にはその有効成分濃度として1〜1,000mg/L、好ましくは5〜500mg/L、より好ましくは10〜100mg/Lである。
【0040】
本発明の(A)水溶性マレイン酸系共重合体と(B)水溶性アクリル酸系共重合体を適用する水質は、pHが6以上、好ましくはpHが8〜9.5の範囲である。腐食抑制の観点からはpH、Ca硬度、Mアルカリ度ならびにシリカ濃度が高いスケール性水質で適用した方が好ましい。
【0041】
本発明の(A)水溶性マレイン酸系共重合体と(B)水溶性アクリル酸系共重合体は、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、珪酸マグネシウム、シリカ等の各種スケールの析出防止や付着防止効果も有するため、スケール性の厳しい水質へも適用できる。
【0042】
さらに、対象とする水系設備の一部に銅、あるいは銅合金が存在する場合には、アゾール化合物を併用することが好ましい。アゾール化合物の例としてトリルトリアゾール、ベンゾトリアゾール、置換ベンゾトリアゾール、メルカプトベンゾチアゾール等が挙げられる。
【0043】
補給水中にオルトリン酸が含まれている場合、本発明の水溶性アクリル酸系共重合体はオルトリン酸がカルシウム塩や亜鉛塩や鉄塩として沈殿するのを防止することができ、さらにオルトリン酸と本発明の組成物は腐食防止に対して相乗効果的作用を示すため、好適である。本発明の組成物とともにオルトリン酸や重合リン酸を混合ないし別個に添加しても同じ効果を得ることができる。
【0044】
本発明の腐食抑制効果を阻害しない程度に、従来から使用されてきた腐食抑制剤、スケール防止剤、分散剤、スライムコントロール剤、消泡剤として公知の化合物と併用してもよい。
【0045】
【実施例】
以下に本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0046】
(水溶性マレイン酸系共重合体:A−1の調製)
ガラス還流管、窒素通気管、攪拌器付きの4ッ口セパラブルフラスコに無水マレイン酸36gとスチレン4gとキシレン90mlを入れ、140℃に昇温して攪拌溶解した。窒素ガス通気下で140℃を維持しながら、ジ−tert−ブチルパーオキシド2gをキシレン50mlに溶解した開始剤溶液を110分かけて滴下した。滴下終了後、窒素ガス通気下で140℃を90分間維持した。フラスコ底部にポリマーが沈澱したならば、デカンテーションにより上澄み液を取り除いた後、水120mlと48%水酸化ナトリウム65gを加え、透明なポリマー溶液を得た。ポリマー溶液をロータリーエバポレーターに入れ、減圧下50℃で加熱してキシレンを留去して、マレイン酸−スチレン(共重合比90:10重量%)共重合体ナトリウム塩の30%水溶液209gを得た。共重合体:A−1の重量平均分子量は約800であった。
【0047】
(水溶性マレイン酸系共重合体:A−2の調製)
モノマーとして無水マレイン酸32gとスチレン8gを加え、48%水酸化ナトリウム55gで中和した以外は、マレイン酸共重合体:A−1と同様の方法により合成して、マレイン酸−スチレン(共重合比80:20重量%)共重合体ナトリウム塩の31%水溶液194gを得た。共重合体:A−2の重量平均分子量は約1,100であった。
【0048】
(水溶性マレイン酸系共重合体:A−3の調製)
モノマーとして無水マレイン酸28gとスチレン12gを加え、48%水酸化ナトリウム48gで中和した以外は、水溶性マレイン酸系共重合体:A−1と同様の方法により合成し、マレイン酸―スチレン(共重合比70:30%)共重合体ナトリウム塩の30%水溶液191gを得た。水溶性マレイン酸系共重合体:A−3の重量平均分子量は約1,300であった。
【0049】
(水溶性マレイン酸系共重合体:A−4の調製)
モノマーとして無水マレイン酸32gとマレイン酸ジメチル8gを加えた以外は、水溶性マレイン酸系共重合体:A−2と同様の方法により合成し、マレイン酸―マレイン酸ジメチル(共重合比80:20%)共重合体ナトリウム塩の30%水溶液200gを得た。水溶性マレイン酸系共重合体:A−4の重量平均分子量は約2,000であった。
【0050】
(水溶性マレイン酸系共重合体:A−5の調製)
モノマーとして無水マレイン酸32gとイソブチルビニルエーテル8gを加えた以外は、マレイン酸共重合体:A−2と同様の方法により合成してマレイン酸―イソブチルビニルエーテル(共重合比80:20重量%)共重合体のナトリウム塩の30%水溶液198gを得た。水溶性マレイン酸系共重合体:A−5の重量平均分子量は約700であった。
【0051】
(水溶性マレイン酸系共重合体:A−6の調製)
モノマーとして無水マレイン酸32gとアクリル酸エチル8gを加えた以外は、水溶性マレイン酸系共重合体:A−2と同様の方法により合成してマレイン酸―アクリル酸エチル(共重合比80:20重量%)共重合体のナトリウム塩30%水溶液202gを得た。水溶性マレイン酸系共重合体:A−6の重量平均分子量は約1,000であった。
【0052】
(水溶性マレイン酸系共重合体:A−7の調製)
モノマーとして無水マレイン酸32gと1−ペンテン8gとペンタン50gを加えた以外は、水溶性マレイン酸系共重合体:A−2と同様の方法により合成してマレイン酸―1−ペンテン(共重合比80:20重量%)共重合体のナトリウム塩30%水溶液を得た。水溶性マレイン酸系共重合体:A−7の重量平均分子量は約2,000であった。
【0053】
(水溶性マレイン酸系共重合体:A−8の調製)
モノマーとして無水マレイン酸32gと酢酸ビニル8gを加えた以外は、水溶性マレイン酸系共重合体:A−2と同様の方法により合成してマレイン酸―酢酸ビニル(共重合比80:20重量%)共重合体のナトリウム塩30%水溶液201gを得た。水溶性マレイン酸系共重合体:A−8の重量平均分子量は約2,000であった。
【0054】
(水溶性マレイン酸系共重合体:A−9(比較例)の調製)
モノマーとして無水マレイン酸20gとスチレン20gを加え、48%水酸化ナトリウム35gで中和した以外は、水溶性マレイン酸系共重合体:A−1と同様の方法により合成し、マレイン酸―スチレン(共重合比50:50重量%)共重合体のナトリウム塩30%水溶液198gを得た。水溶性マレイン酸系共重合体:A−9の重量平均分子量は約1,500であった。
【0055】
(水溶性アクリル酸系共重合体:B−1の調製)
4ッ口セパラブルフラスコに水80g入れ、80℃に加熱した。窒素ガス通気し攪拌下、80℃を維持しながら、アクリル酸45gと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムの40%水溶液12.5gの混合液と、水25gに過硫酸ナトリウム2gを溶解した液をそれぞれ180分かけて滴下した。滴下終了後、窒素ガス通気下で80℃を60分間維持した。冷却後、アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム(共重合比90:10重量%)の30%共重合体水溶液164gを得た。水溶性アクリル酸系共重合体:B−1の重量平均分子量は約20,000であった。
【0056】
(水溶性アクリル酸系共重合体:B−2の調製)
水65g、アクリル酸35gと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムの40%水溶液37.5gの混合液とした以外は、水溶性アクリル酸系共重合体:B−1と同様の方法により合成して、アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム(共重合比70:30重量%)の30%共重合体水溶液164gを得た。水溶性アクリル酸系共重合体:B−2の重量平均分子量は約15,000であった。
【0057】
(水溶性アクリル酸系共重合体:B−3の調製)
水50g、アクリル酸25gと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の40%水溶液62.5gの混合液とした以外は、水溶性アクリル酸系共重合体:B−1と同様の方法により合成して、アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(共重合比50:50重量%)の30%共重合体水溶液164gを得た。水溶性アクリル酸系共重合体:B−3の重量平均分子量は約6,000であった。
【0058】
(水溶性アクリル酸系共重合体:B−4の調製)
水45g、アクリル酸20gと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の40%水溶液75gの混合液とした以外は、水溶性アクリル酸系共重合体:B−1と同様の方法により合成して、アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(共重合比40:60重量%)の30%共重合体水溶液165gを得た。水溶性アクリル酸系共重合体:B−4の重量平均分子量は約5,000であった。
【0059】
(水溶性アクリル酸系共重合体:B−5の調製)
4ッ口セパラブルフラスコに水50gを入れ、85℃に加熱した。窒素ガス通気・攪拌下で85℃を維持しながら、アクリル酸25gと3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウムの40%水溶液62.5gの混合溶液と過硫酸ナトリウム2gを水25gに溶解した液をそれぞれ140分かけて滴下した。滴下終了後、窒素ガス通気下で95℃を60分間維持した。冷却後、アクリル酸と3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム(共重合比50:50重量%)共重合体の30%水溶液164gを得た。アクリル酸系共重合体:B−5の重量平均分子量は約5,000であった。
【0060】
(水溶性アクリル酸系共重合体:B−6の調製)
アクリル酸25gと3−アクリロキシ−1−ヒドロキシプロパン−2−スルホン酸ナトリウムの40%水溶液62.5gの混合溶液とした以外は、アクリル酸系共重合体:B−5と同様な方法で合成し、アクリル酸と3−アクリロキシ−1−ヒドロキシプロパン−2−スルホン酸ナトリウム(共重合比50:50重量%)共重合体の30%水溶液164gを得た。アクリル酸系共重合体:B−6の重量平均分子量は約5,000であった。
【0061】
(水溶性アクリル酸系共重合体:B−7の調製)
アクリル酸25gと1,3−ブタジエンスルホン化物ナトリウム塩の40%水溶液62.5gの混合溶液とした以外は、アクリル酸系共重合体:B−5と同様な方法で合成し、アクリル酸と3−アクリロキシ−1−ヒドロキシプロパン−2−スルホン酸ナトリウム(共重合比50:50重量%)共重合体の30%水溶液164gを得た。アクリル酸系共重合体:B−6の重量平均分子量は約5,000であった。
【0062】
(水溶性アクリル酸系共重合体:B−8(比較例)の調製)
水40g、アクリル酸15g、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の40%水溶液87.5gとした以外は、水溶性アクリル酸系共重合体B−1と同様な方法にて合成し、アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(共重合比30:70重量%)共重合体の30%水溶液164gを得た。水溶性アクリル酸系共重合体:B−8の重量平均分子量は約12,000であった。
【0063】
[その他]
C−1:ポリマレイン酸「ノンポールPMA−50W」(重量平均分子量約1,500)(日本油脂(株)製)
C−2:アクリル酸重合体(重量平均分子量約2,000)
C−3:2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸重合体(重量平均分子量約10,000)
C−4:マレイン酸−スチレンスルホン酸共重合体(重量比80:20、重量平均分子量約3,000)
C−5:アクリル酸−ビニルスルホン酸共重合体(重量比30:70、重量平均分子量約10,000)
C−6:1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸
C−7:硝酸亜鉛
(腐食抑制試験1)
JIS K0100−1990 工業用水腐食試験方法(回転法)に従って、寸法50×30×1mm、表面積0.316dm2の低炭素鋼(JIS G 3141SPCC)試験片をアセトンで脱脂し、乾燥して重量を測定した。次に純水に水溶性マレイン酸系共重合体A−1及び水溶性アクリル酸系共重合体B−1を各々有効分として10(mg/L)になるように添加し、更にpH8.3、Mアルカリ度150ppm、カルシウム硬度150ppm、塩化物イオン106ppm、硫酸イオン50ppm、リツナー指数6.17に調整して試験液とした。該試験液500mLを還流冷却管、攪拌器付きフラスコに入れて40℃の恒温槽にて保温し、試験片を該試験方法に規定する腐食試験装置のモーター回転軸の保持器に取り付けて、40℃の試験液の入ったフラスコ中に浸漬し、線速度0.3m/secで3日間、連続で試験片を回転させた。3日後に試験片を取り出し、表面に付着した腐食性生成物やスケール付着物を流水下、ブラシで除去し、乾燥させて試験片の重量を測定し、次式で腐食速度(mdd)を計算した。
腐食速度(mdd)=(試験片の重量減:mg)/〔(試験片表面積:dm2)×試験日数(日)〕
同様にして、表1記載の水溶性マレイン酸系共重合体A−1〜8及び水溶性アクリル酸系共重合体B−1〜7を組み合わせて腐食試験を行った。結果を表1、表2に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
本発明のマレイン酸系共重合体とアクリル酸系共重合体を用いた方法は、マレイン酸共重合体またはアクリル酸共重合体をそれぞれ単独で使用した場合と比較して、腐食抑制効果が著しく改善されることがわかる。
【0067】
(腐食抑制試験2)
60Lの保有水量の冷水塔及び全長50cmの炭素鋼鋼管製伝熱管を備えた熱交換器を持ち、工業用水を補給水として使用する開放循環冷却水系試験装置に、ヘキサメタリン酸ナトリウム75mg/Lと塩化亜鉛40mg/Lを添加して、常温で2日間、初期処理を実施した後、循環水の濃縮度が一定になるように定量ポンプによりブローダウンを行うと共に、表3に示した腐食抑制剤を薬品ポンプで添加して、循環水中の腐食抑制剤濃度を一定とした。次いで、表2に示すような水質にコントロールしながら30日間、下記条件で循環濃縮運転を実施した。
・循環流速:循環ポンプを用いて0.3m/sec
・熱交換器内伝熱管:炭素鋼鋼管(JIS G 3461、STB340、外径19mm)
・熱流束:40,000(kcal/m2・h:電気ヒーターにより加熱)
・熱交換器の出口温度:55℃
・冷却塔の蒸発水量:3.3(リットル/時間)
【0068】
【表3】
【0069】
30日後、熱交換器から炭素鋼鋼管製伝熱管を取り外し、当該炭素鋼鋼管の最大孔食深さ(mm)、付着物量(mg/cm2)を測定し、その付着物の内容を目視評価した。最大孔食深さ(mm)、腐食生成物及びスケール付着物量(mg/cm2)は数値が小さいほど良い。また、付着物の内容の目視評価は、スケール付着あるいは腐食生成物が無い又はほとんど無い場合を「良好」とし、いずれかがあれば「スケール付着」、「腐食生成物付着」、共にあれば「混在」とした。付着物は少ないほど良い。結果を表4に示す。
【0070】
【表4】
【0071】
本発明の方法は、マレイン酸共重合体またはアクリル酸共重合体をそれぞれ単独で使用した場合よりも腐食の一つである孔食深さが低減され、腐食抑制効果が向上していることがわかる。また、本発明の方法により、金属表面へのスケール及び腐食生成物による付着物量は、特にスケール付着物量は、マレイン酸共重合体またはアクリル酸共重合体をそれぞれ単独で使用した場合よりも著しく低減し、本発明の方法が、スケール付着防止にも効果を発揮することがわかる。
【0072】
【発明の効果】
本発明の腐食抑制方法は、従来の重金属やリン等を用いた金属の腐食抑制効果と同程度の効果を有しているため、重金属やリン等の環境汚染物質を全く含まず、環境への影響がなく、かつ、安定操業、装置・設備の保全費用の低減、安全運転に大きく寄与できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、工業用水系及び冷却水系、温水系、ボイラ水系、洗浄水、工程水系更には排水系等において水と接する金属材料表面の腐食抑制を効果的行うことができる金属の腐食抑制方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
冷却水系、温水系、ボイラ水系、洗浄水、工程水系等の水系において、水と接する金属材料には腐食が発生しやすい環境にある。そこで腐食防止剤として、従来よりクロム酸塩、亜鉛塩、モリブデン酸塩等の重金属、各種リン系化合物等が使用されてきた。しかし、近年の環境問題の重視、例えば毒性の高いクロム酸塩や亜鉛等の重金属類の環境への排出、湖沼の富栄養化や閉鎖性海域における赤潮発生等からこれらの化合物や重金属類の排水濃度規制や排出量低減の方向に向かっている。
【0003】
そこで、従来の品に替わる環境調和型の処理剤として、カルボン酸系重合体を用いた種々の方法が提案された。
【0004】
例えば、(メタ)アクリル酸及びそのエステル等のモノエチレン系不飽和単量体と無水マレイン酸の100:40〜100:1(モル比)の共重合体加水分解物を使用する方法(特公昭54−29998号公報)、無水マレイン酸30〜80重量%とエチルアクリレート10〜40重量%とスチレン又は1−デセン10〜30重量%の三元共重合体を使用する方法(特許第2942991号公報)、マレイン酸とイソブチレンとの共重合体を添加し、ランジェリア指数を1.5以上かつシリカ濃度とCa硬度の積を2000以上として管理する腐食抑制方法(特公平4−33868号公報)、無水マレイン酸80〜90モル%と炭素数5〜12のオレフィン10〜20モル%の共重合体加水分解物が金属の腐食抑制に有効である(特公平5−81320号公報)ことが開示されている。
【0005】
しかし、周辺環境への影響を考慮して、重金属、リンを含有せず、満足できる腐食抑制効果を示すような腐食抑制方法は、未だ得られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、重金属やリン等の環境汚染物質を含有せず、かつ水系における優れた金属腐食防止効果を有する腐食抑制方法を提供することにある。
【0007】
【発明が解決するための手段】
本発明者らは、水系において、リン化合物や重金属を用いない金属の腐食抑制方法を鋭意検討した結果、特定組成のマレイン酸共重合体と特定のアクリル酸共重合体を同時に用いることにより、予想し得なかった顕著な腐食抑制効果を発揮することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、請求項1に係る発明は、(A)無水マレイン酸、マレイン酸及びその水溶性塩の1種以上を70〜90重量%(無水マレイン酸換算)と、非イオン性モノエチレン系不飽和単量体を10〜30重量%含む水溶性共重合体と、(B)(メタ)アクリル酸及びその水溶性塩の1種以上を40〜90重量%と、モノエチレン性不飽和スルホン酸単量体を10〜60重量%含む水溶性共重合体を同時に用いることを特徴とする水系の金属腐食抑制方法である。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の水系の金属腐食抑制方法であり、非イオン性モノエチレン系不飽和単量体が、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、イソブチレン、1−ペンテン、スチレン、メチルスチレン、酢酸ビニルから選択される1種以上であることを特徴としている。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2記載の水系の金属腐食抑制方法であり、モノエチレン性不飽和スルホン酸単量体が、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−メタクロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−アクリロキシ−1−ヒドロキシプロパン−2−スルホン酸、3−メタクロキシ−1−ヒドロキシプロパン−2−スルホン酸、1,3−ブタジエンのスルホン化物、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンのスルホン化物から選択される1種以上であることを特徴としている。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項1〜3の何れか記載の水系の金属腐食抑制方法であり、(A)と(B)を90:10〜30:70(重量比)で用いることを特徴としている。
【0012】
【発明の実施形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明は、水系において水と接触する金属の腐食抑制方法であり、重金属類やリン化合物等を用いることなく、(A)特定の組成で構成されたマレイン酸と非イオン性モノエチレン系不飽和単量体との水溶性共重合体と、(B)特定の組成で構成された(メタ)アクリル酸とモノエチレン性不飽和スルホン酸単量体との水溶性共重合体を同時に用いることにより、前述の個々の水溶性共重合体単独よりも優れ、しかも予想し得なかった顕著な腐食抑制効果を発揮する水系の金属腐食抑制方法である。
【0014】
本発明の水系は、一般工業用水系、開放式循環冷却水系や密閉循環式冷却水系、温水系、ボイラ水系、洗浄水、製造業における工程水系、更には排水系を含むものである。
【0015】
本発明の(A)成分は、(a−1)無水マレイン酸、マレイン酸及びその水溶性塩の1種以上を70〜90重量%(無水マレイン酸換算)と、(a−2)非イオン性モノエチレン系不飽和単量体を10〜30重量%として含む水溶性共重合体(以下、「(A)水溶性マレイン酸系共重合体」とする。)であり、該共重合体のマレイン酸単位部分が部分中和塩あるいは完全中和塩である水溶性共重合体である。部分中和塩あるいは完全中和塩を構成する陽イオン原子としては、ナトリウム、カリウム、アンモニウム等があり、これらの1種あるいは2種以上である。
【0016】
また、水溶性のマレイン酸塩としては、具体的にはマレイン酸水素ナトリウム、マレイン酸ジナトリウム、マレイン酸水素カリウム、マレイン酸ジカリウム、マレイン酸水素アンモニウム、マレイン酸ジアンモニウム、マレイン酸ナトリウムカリウム、マレイン酸アンモニウムナトリウム、マレイン酸アンモニウムカリウム等があり、これらの1種あるいは2種以上が用いられる。
【0017】
(a−2)成分の非イオン性モノエチレン系不飽和単量体は、炭素数4〜11のモノエチレン系不飽和カルボン酸エステル、炭素数6〜21のモノエチレン系不飽和ジカルボン酸エステル、炭素数3〜10のビニルアルキルエーテル、スチレン、メチルスチレン、炭素数2〜8のオレフィン、酢酸ビニルであり、これらの1種あるいは2種以上を用いることができる。
【0018】
炭素数4〜11のモノエチレン系不飽和モノカルボン酸エステルは、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸と炭素数1〜4のアルコールのメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールとのエステルである。具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、クロトン酸プロピル等がある。
【0019】
炭素数6〜21のモノエチレン系不飽和ジカルボン酸アルキルエステルは、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸と炭素数1〜4のアルコールのメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールとのエステルである。具体的にはマレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジプロピル、マレイン酸ジイソプロピル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジイソブチル、マレイン酸ジsec−ブチル、マレイン酸ジtert−ブチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジプロピル、イタコン酸ジイソプロピル等がある。
【0020】
炭素数4〜10のアルキルビニルエーテルは、具体的にはメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、sec−ビニルブチルエーテル、2−メトキシエチルビニルエーテル、2−エトキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル等があり、好ましくはメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等がある。
【0021】
炭素数2〜8のオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、1−ペンテン、2−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、ジイソブチレン、1−デセン、1−ドデセン等がある。
【0022】
これらの中で、好ましくはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、イソブチレン、1−ペンテン、スチレン、メチルスチレン、酢酸ビニル、より好ましくは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、n−ブチルビニルエーテル、スチレンであり、これらの1種あるいは2種以上を用いることができる。
【0023】
(A)水溶性マレイン酸系共重合体における(a−1)成分(無水マレイン酸換算とする)と(a−2)成分の配合割合比は、70:30〜90:10(重量%比)の範囲であり、好ましくは75:25〜85:15の範囲である。(a−1)成分の比率が70重量%(以下、「重量%」を「%」とする。)未満では、本発明の効果が得られず、また、90%を越えても本発明の効果が得られない。
【0024】
(A)水溶性マレイン酸系共重合体の重量平均分子量は、400〜5,000であり、好ましくは600〜2,000である。重量平均分子量が400より小さくなると、腐食防止効果果が十分でなく、重量平均分子量が5,000を超えると腐食防止効果が低下することがあるだけでなく、(A)水溶性マレイン酸系共重合体自身がカルシウム塩あるいはマグネシウム塩として析出することがあり,本発明の効果が得られないことがある。
【0025】
重量平均分子量の測定は、例えばゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーの手法により分子量既知のポリエチレングリコールを標準物質として測定され、市販の分子量計算用コンピュータソフトウェア、例えば、日立製作所(株)製の「D−2520型GPCデータ処理システム」(商品名)を用いて重量平均分子量が計算される。
【0026】
(A)水溶性マレイン酸系共重合体の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、無水マレイン酸と非イオン性モノエチレン系不飽和単量体をキシレン、トルエン、エチルベンゼン、メチルエチルケトン等の溶剤に溶解して50〜200℃に加熱下、ジ−tert−ブチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルヒドロパーオキシド等の重合開始剤を添加して重合させることにより得ることができ、重合反応終了後に溶剤を分離、除去し、水を加えてマレイン酸重合体水溶液の形態として使用するのが一般的である。また、溶剤を使用しない塊状重合法、水と溶剤を混合した乳化重合法、水を溶媒とした水溶液重合法等によっても製造することもできる。
【0027】
本発明の(B)成分は、(b−1)アクリル酸、メタクリル酸及びその水溶性塩の1種以上を40〜90重量%と、(b−2)モノエチレン性不飽和スルホン酸単量体及びその水溶性塩の1種以上を10〜60重量%含む水溶性共重合体(以下、「(B)水溶性アクリル酸系共重合体」とする。)である。該水溶性共重合体の(メタ)アクリル酸単位部分および/又はスルホン酸単位部分は、部分中和塩あるいは完全中和塩であり、部分中和塩あるいは完全中和塩を構成する陽イオン原子としては、ナトリウム、カリウム、アンモニウム等があり、これらの1種あるいは2種以上である。
【0028】
水溶性のアクリル酸塩及びメタクリル酸塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等があり、これらの1種あるいは2種以上が用いられる。
【0029】
(b−2)モノエチレン性不飽和スルホン酸単量体及びその水溶性塩は、炭素数6〜9のアミドアルキルスルフォン酸、炭素数6〜9のアシロキシアルキルスルフォン酸、炭素数4〜15の脂肪族共役ジエンのスルホン化物及びそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩からなる群から選択される1種あるいは2種以上である。
【0030】
炭素数6〜9のアミドアルキルスルフォン酸としては、(メタ)アクリルアミドアルキルプロパンスルフォン酸、クロトンアミドアルキルプロパンスルフォン酸であり、例えば2−アクリルアミド−2―メチルプロパンスルホン酸、3−アクリルアミド−3、3―ジメチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2―メチルプロパンスルホン酸、3−メタクリルアミド−3、3―ジメチルプロパンスルホン酸、2−クロトンアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−クロトンアミド−3、3−ジメチルプロパンスルホン酸等がある。
【0031】
炭素数6〜9のアシロキシアルキルスルフォン酸は、アルキル基にヒドロキシル基を持っていても良いアクリロキシアルキルプロパンスルフォン酸、メタクリロキシアルキルプロパンスルフォン酸、クロトキシアルキルプロパンスルホン酸であり、例えば3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−アクリロキシ−2−ジメチルプロパンスルホン酸、3−アクリロキシ−3,3−ジメチルプロパンスルホン酸、3−アクリロキシ−1−ヒドロキシプロパン−2−スルホン酸、3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−メタクリロキシ−2−ジメチルプロパンスルホン酸、3−メタクリロキシ−3,3−ジメチルプロパンスルホン酸、3−メタクリロキシ−1−ヒドロキシプロパン−2−スルホン酸等がある。
【0032】
炭素数4〜15の脂肪族共役ジエンのスルホン化物としては、例えば、脂肪族共役ジエンが1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンのスルホン化物である。
【0033】
これらの中で好ましくは、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−メタクロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−アクリロキシ−1−ヒドロキシプロパン−2−スルホン酸、3−メタクロキシ−1−ヒドロキシプロパン−2−スルホン酸、1,3−ブタジエンのスルホン化物、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンのスルホン化物があり、より好ましくは2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸である。
【0034】
(B)水溶性アクリル酸系共重合体における(b−1)成分と(b−2)成分の比は、90:10〜40:60(重量%)の範囲であり、好ましくは70:30〜50:50の範囲である。(b−1)成分と(b−2)成分の比率がこの範囲を外れると、腐食抑制効果が充分発揮されないことがある。
【0035】
(B)水溶性アクリル酸系共重合体の重量平均分子量は、2,000〜50,000、好ましくは3,000〜20,000未満である。この分子量の好適範囲は、腐食抑制効果の観点から選ばれたものである。
【0036】
(B)水溶性アクリル酸系共重合体には、本発明の効果を損なわない範囲において、(b−1)成分と(b−2)成分の他にこれらと共重合可能なモノエチレン性不飽和単量体、例えばマレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸等のモノエチレン性不飽和カルボン酸およびそれらの塩、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸等のモノエチレン性不飽和スルホン酸およびそれらの塩、ビニルホスホン酸、アリルホスホン酸等のモノエチレン性不飽和スルホン酸およびそれらの塩、(メタ)アクリルアミド、アルキル(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アリルアルコール等のモノエチレン性不飽和単量体含んでなる共重合体を使用することもできる。
【0037】
本発明の(A)水溶性マレイン酸系共重合体と(B)水溶性アクリル酸系共重合体は、それぞれを別々に添加しても、あるいは両者を一つの溶液にして添加してもよい。本発明の(A)水溶性マレイン酸系共重合体と(B)水溶性アクリル酸系共重合体の使用比率(重量%)は、90:10〜30:70、より好ましくは70:30〜40:60の範囲である。
【0038】
本発明の(A)水溶性マレイン酸系共重合体の水系への添加量は、対象とする水系の条件、特に水質、温度などにより異なるが、一般的にはその有効成分濃度として1〜1,000mg/L、好ましくは5〜500mg/L、より好ましくは10〜100mg/Lである。
【0039】
また、本発明の(B)水溶性アクリル酸系共重合体の水系への添加量は、対象とする水系の条件、特に水質、温度などにより異なるが、一般的にはその有効成分濃度として1〜1,000mg/L、好ましくは5〜500mg/L、より好ましくは10〜100mg/Lである。
【0040】
本発明の(A)水溶性マレイン酸系共重合体と(B)水溶性アクリル酸系共重合体を適用する水質は、pHが6以上、好ましくはpHが8〜9.5の範囲である。腐食抑制の観点からはpH、Ca硬度、Mアルカリ度ならびにシリカ濃度が高いスケール性水質で適用した方が好ましい。
【0041】
本発明の(A)水溶性マレイン酸系共重合体と(B)水溶性アクリル酸系共重合体は、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、珪酸マグネシウム、シリカ等の各種スケールの析出防止や付着防止効果も有するため、スケール性の厳しい水質へも適用できる。
【0042】
さらに、対象とする水系設備の一部に銅、あるいは銅合金が存在する場合には、アゾール化合物を併用することが好ましい。アゾール化合物の例としてトリルトリアゾール、ベンゾトリアゾール、置換ベンゾトリアゾール、メルカプトベンゾチアゾール等が挙げられる。
【0043】
補給水中にオルトリン酸が含まれている場合、本発明の水溶性アクリル酸系共重合体はオルトリン酸がカルシウム塩や亜鉛塩や鉄塩として沈殿するのを防止することができ、さらにオルトリン酸と本発明の組成物は腐食防止に対して相乗効果的作用を示すため、好適である。本発明の組成物とともにオルトリン酸や重合リン酸を混合ないし別個に添加しても同じ効果を得ることができる。
【0044】
本発明の腐食抑制効果を阻害しない程度に、従来から使用されてきた腐食抑制剤、スケール防止剤、分散剤、スライムコントロール剤、消泡剤として公知の化合物と併用してもよい。
【0045】
【実施例】
以下に本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0046】
(水溶性マレイン酸系共重合体:A−1の調製)
ガラス還流管、窒素通気管、攪拌器付きの4ッ口セパラブルフラスコに無水マレイン酸36gとスチレン4gとキシレン90mlを入れ、140℃に昇温して攪拌溶解した。窒素ガス通気下で140℃を維持しながら、ジ−tert−ブチルパーオキシド2gをキシレン50mlに溶解した開始剤溶液を110分かけて滴下した。滴下終了後、窒素ガス通気下で140℃を90分間維持した。フラスコ底部にポリマーが沈澱したならば、デカンテーションにより上澄み液を取り除いた後、水120mlと48%水酸化ナトリウム65gを加え、透明なポリマー溶液を得た。ポリマー溶液をロータリーエバポレーターに入れ、減圧下50℃で加熱してキシレンを留去して、マレイン酸−スチレン(共重合比90:10重量%)共重合体ナトリウム塩の30%水溶液209gを得た。共重合体:A−1の重量平均分子量は約800であった。
【0047】
(水溶性マレイン酸系共重合体:A−2の調製)
モノマーとして無水マレイン酸32gとスチレン8gを加え、48%水酸化ナトリウム55gで中和した以外は、マレイン酸共重合体:A−1と同様の方法により合成して、マレイン酸−スチレン(共重合比80:20重量%)共重合体ナトリウム塩の31%水溶液194gを得た。共重合体:A−2の重量平均分子量は約1,100であった。
【0048】
(水溶性マレイン酸系共重合体:A−3の調製)
モノマーとして無水マレイン酸28gとスチレン12gを加え、48%水酸化ナトリウム48gで中和した以外は、水溶性マレイン酸系共重合体:A−1と同様の方法により合成し、マレイン酸―スチレン(共重合比70:30%)共重合体ナトリウム塩の30%水溶液191gを得た。水溶性マレイン酸系共重合体:A−3の重量平均分子量は約1,300であった。
【0049】
(水溶性マレイン酸系共重合体:A−4の調製)
モノマーとして無水マレイン酸32gとマレイン酸ジメチル8gを加えた以外は、水溶性マレイン酸系共重合体:A−2と同様の方法により合成し、マレイン酸―マレイン酸ジメチル(共重合比80:20%)共重合体ナトリウム塩の30%水溶液200gを得た。水溶性マレイン酸系共重合体:A−4の重量平均分子量は約2,000であった。
【0050】
(水溶性マレイン酸系共重合体:A−5の調製)
モノマーとして無水マレイン酸32gとイソブチルビニルエーテル8gを加えた以外は、マレイン酸共重合体:A−2と同様の方法により合成してマレイン酸―イソブチルビニルエーテル(共重合比80:20重量%)共重合体のナトリウム塩の30%水溶液198gを得た。水溶性マレイン酸系共重合体:A−5の重量平均分子量は約700であった。
【0051】
(水溶性マレイン酸系共重合体:A−6の調製)
モノマーとして無水マレイン酸32gとアクリル酸エチル8gを加えた以外は、水溶性マレイン酸系共重合体:A−2と同様の方法により合成してマレイン酸―アクリル酸エチル(共重合比80:20重量%)共重合体のナトリウム塩30%水溶液202gを得た。水溶性マレイン酸系共重合体:A−6の重量平均分子量は約1,000であった。
【0052】
(水溶性マレイン酸系共重合体:A−7の調製)
モノマーとして無水マレイン酸32gと1−ペンテン8gとペンタン50gを加えた以外は、水溶性マレイン酸系共重合体:A−2と同様の方法により合成してマレイン酸―1−ペンテン(共重合比80:20重量%)共重合体のナトリウム塩30%水溶液を得た。水溶性マレイン酸系共重合体:A−7の重量平均分子量は約2,000であった。
【0053】
(水溶性マレイン酸系共重合体:A−8の調製)
モノマーとして無水マレイン酸32gと酢酸ビニル8gを加えた以外は、水溶性マレイン酸系共重合体:A−2と同様の方法により合成してマレイン酸―酢酸ビニル(共重合比80:20重量%)共重合体のナトリウム塩30%水溶液201gを得た。水溶性マレイン酸系共重合体:A−8の重量平均分子量は約2,000であった。
【0054】
(水溶性マレイン酸系共重合体:A−9(比較例)の調製)
モノマーとして無水マレイン酸20gとスチレン20gを加え、48%水酸化ナトリウム35gで中和した以外は、水溶性マレイン酸系共重合体:A−1と同様の方法により合成し、マレイン酸―スチレン(共重合比50:50重量%)共重合体のナトリウム塩30%水溶液198gを得た。水溶性マレイン酸系共重合体:A−9の重量平均分子量は約1,500であった。
【0055】
(水溶性アクリル酸系共重合体:B−1の調製)
4ッ口セパラブルフラスコに水80g入れ、80℃に加熱した。窒素ガス通気し攪拌下、80℃を維持しながら、アクリル酸45gと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムの40%水溶液12.5gの混合液と、水25gに過硫酸ナトリウム2gを溶解した液をそれぞれ180分かけて滴下した。滴下終了後、窒素ガス通気下で80℃を60分間維持した。冷却後、アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム(共重合比90:10重量%)の30%共重合体水溶液164gを得た。水溶性アクリル酸系共重合体:B−1の重量平均分子量は約20,000であった。
【0056】
(水溶性アクリル酸系共重合体:B−2の調製)
水65g、アクリル酸35gと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムの40%水溶液37.5gの混合液とした以外は、水溶性アクリル酸系共重合体:B−1と同様の方法により合成して、アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム(共重合比70:30重量%)の30%共重合体水溶液164gを得た。水溶性アクリル酸系共重合体:B−2の重量平均分子量は約15,000であった。
【0057】
(水溶性アクリル酸系共重合体:B−3の調製)
水50g、アクリル酸25gと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の40%水溶液62.5gの混合液とした以外は、水溶性アクリル酸系共重合体:B−1と同様の方法により合成して、アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(共重合比50:50重量%)の30%共重合体水溶液164gを得た。水溶性アクリル酸系共重合体:B−3の重量平均分子量は約6,000であった。
【0058】
(水溶性アクリル酸系共重合体:B−4の調製)
水45g、アクリル酸20gと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の40%水溶液75gの混合液とした以外は、水溶性アクリル酸系共重合体:B−1と同様の方法により合成して、アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(共重合比40:60重量%)の30%共重合体水溶液165gを得た。水溶性アクリル酸系共重合体:B−4の重量平均分子量は約5,000であった。
【0059】
(水溶性アクリル酸系共重合体:B−5の調製)
4ッ口セパラブルフラスコに水50gを入れ、85℃に加熱した。窒素ガス通気・攪拌下で85℃を維持しながら、アクリル酸25gと3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウムの40%水溶液62.5gの混合溶液と過硫酸ナトリウム2gを水25gに溶解した液をそれぞれ140分かけて滴下した。滴下終了後、窒素ガス通気下で95℃を60分間維持した。冷却後、アクリル酸と3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム(共重合比50:50重量%)共重合体の30%水溶液164gを得た。アクリル酸系共重合体:B−5の重量平均分子量は約5,000であった。
【0060】
(水溶性アクリル酸系共重合体:B−6の調製)
アクリル酸25gと3−アクリロキシ−1−ヒドロキシプロパン−2−スルホン酸ナトリウムの40%水溶液62.5gの混合溶液とした以外は、アクリル酸系共重合体:B−5と同様な方法で合成し、アクリル酸と3−アクリロキシ−1−ヒドロキシプロパン−2−スルホン酸ナトリウム(共重合比50:50重量%)共重合体の30%水溶液164gを得た。アクリル酸系共重合体:B−6の重量平均分子量は約5,000であった。
【0061】
(水溶性アクリル酸系共重合体:B−7の調製)
アクリル酸25gと1,3−ブタジエンスルホン化物ナトリウム塩の40%水溶液62.5gの混合溶液とした以外は、アクリル酸系共重合体:B−5と同様な方法で合成し、アクリル酸と3−アクリロキシ−1−ヒドロキシプロパン−2−スルホン酸ナトリウム(共重合比50:50重量%)共重合体の30%水溶液164gを得た。アクリル酸系共重合体:B−6の重量平均分子量は約5,000であった。
【0062】
(水溶性アクリル酸系共重合体:B−8(比較例)の調製)
水40g、アクリル酸15g、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の40%水溶液87.5gとした以外は、水溶性アクリル酸系共重合体B−1と同様な方法にて合成し、アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(共重合比30:70重量%)共重合体の30%水溶液164gを得た。水溶性アクリル酸系共重合体:B−8の重量平均分子量は約12,000であった。
【0063】
[その他]
C−1:ポリマレイン酸「ノンポールPMA−50W」(重量平均分子量約1,500)(日本油脂(株)製)
C−2:アクリル酸重合体(重量平均分子量約2,000)
C−3:2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸重合体(重量平均分子量約10,000)
C−4:マレイン酸−スチレンスルホン酸共重合体(重量比80:20、重量平均分子量約3,000)
C−5:アクリル酸−ビニルスルホン酸共重合体(重量比30:70、重量平均分子量約10,000)
C−6:1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸
C−7:硝酸亜鉛
(腐食抑制試験1)
JIS K0100−1990 工業用水腐食試験方法(回転法)に従って、寸法50×30×1mm、表面積0.316dm2の低炭素鋼(JIS G 3141SPCC)試験片をアセトンで脱脂し、乾燥して重量を測定した。次に純水に水溶性マレイン酸系共重合体A−1及び水溶性アクリル酸系共重合体B−1を各々有効分として10(mg/L)になるように添加し、更にpH8.3、Mアルカリ度150ppm、カルシウム硬度150ppm、塩化物イオン106ppm、硫酸イオン50ppm、リツナー指数6.17に調整して試験液とした。該試験液500mLを還流冷却管、攪拌器付きフラスコに入れて40℃の恒温槽にて保温し、試験片を該試験方法に規定する腐食試験装置のモーター回転軸の保持器に取り付けて、40℃の試験液の入ったフラスコ中に浸漬し、線速度0.3m/secで3日間、連続で試験片を回転させた。3日後に試験片を取り出し、表面に付着した腐食性生成物やスケール付着物を流水下、ブラシで除去し、乾燥させて試験片の重量を測定し、次式で腐食速度(mdd)を計算した。
腐食速度(mdd)=(試験片の重量減:mg)/〔(試験片表面積:dm2)×試験日数(日)〕
同様にして、表1記載の水溶性マレイン酸系共重合体A−1〜8及び水溶性アクリル酸系共重合体B−1〜7を組み合わせて腐食試験を行った。結果を表1、表2に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
本発明のマレイン酸系共重合体とアクリル酸系共重合体を用いた方法は、マレイン酸共重合体またはアクリル酸共重合体をそれぞれ単独で使用した場合と比較して、腐食抑制効果が著しく改善されることがわかる。
【0067】
(腐食抑制試験2)
60Lの保有水量の冷水塔及び全長50cmの炭素鋼鋼管製伝熱管を備えた熱交換器を持ち、工業用水を補給水として使用する開放循環冷却水系試験装置に、ヘキサメタリン酸ナトリウム75mg/Lと塩化亜鉛40mg/Lを添加して、常温で2日間、初期処理を実施した後、循環水の濃縮度が一定になるように定量ポンプによりブローダウンを行うと共に、表3に示した腐食抑制剤を薬品ポンプで添加して、循環水中の腐食抑制剤濃度を一定とした。次いで、表2に示すような水質にコントロールしながら30日間、下記条件で循環濃縮運転を実施した。
・循環流速:循環ポンプを用いて0.3m/sec
・熱交換器内伝熱管:炭素鋼鋼管(JIS G 3461、STB340、外径19mm)
・熱流束:40,000(kcal/m2・h:電気ヒーターにより加熱)
・熱交換器の出口温度:55℃
・冷却塔の蒸発水量:3.3(リットル/時間)
【0068】
【表3】
【0069】
30日後、熱交換器から炭素鋼鋼管製伝熱管を取り外し、当該炭素鋼鋼管の最大孔食深さ(mm)、付着物量(mg/cm2)を測定し、その付着物の内容を目視評価した。最大孔食深さ(mm)、腐食生成物及びスケール付着物量(mg/cm2)は数値が小さいほど良い。また、付着物の内容の目視評価は、スケール付着あるいは腐食生成物が無い又はほとんど無い場合を「良好」とし、いずれかがあれば「スケール付着」、「腐食生成物付着」、共にあれば「混在」とした。付着物は少ないほど良い。結果を表4に示す。
【0070】
【表4】
【0071】
本発明の方法は、マレイン酸共重合体またはアクリル酸共重合体をそれぞれ単独で使用した場合よりも腐食の一つである孔食深さが低減され、腐食抑制効果が向上していることがわかる。また、本発明の方法により、金属表面へのスケール及び腐食生成物による付着物量は、特にスケール付着物量は、マレイン酸共重合体またはアクリル酸共重合体をそれぞれ単独で使用した場合よりも著しく低減し、本発明の方法が、スケール付着防止にも効果を発揮することがわかる。
【0072】
【発明の効果】
本発明の腐食抑制方法は、従来の重金属やリン等を用いた金属の腐食抑制効果と同程度の効果を有しているため、重金属やリン等の環境汚染物質を全く含まず、環境への影響がなく、かつ、安定操業、装置・設備の保全費用の低減、安全運転に大きく寄与できる。
Claims (4)
- (A)無水マレイン酸、マレイン酸及びその水溶性塩の1種以上を70〜90重量%(無水マレイン酸換算)と、非イオン性モノエチレン系不飽和単量体を10〜30重量%含む水溶性共重合体と、(B)(メタ)アクリル酸及びその水溶性塩の1種以上を40〜90重量%と、モノエチレン性不飽和スルホン酸単量体を10〜60重量%含む水溶性共重合体を同時に用いることを特徴とする水系の金属腐食抑制方法。
- 非イオン性モノエチレン系不飽和単量体が、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、イソブチレン、1−ペンテン、スチレン、メチルスチレン、酢酸ビニルから選択される1種以上である請求項1記載の水系の金属腐食抑制方法。
- モノエチレン性不飽和スルホン酸単量体が、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−メタクロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−アクリロキシ−1−ヒドロキシプロパン−2−スルホン酸、3−メタクロキシ−1−ヒドロキシプロパン−2−スルホン酸、1,3−ブタジエンのスルホン化物、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンのスルホン化物から選択される1種以上である請求項1又は2記載の水系の金属腐食抑制方法。
- (A)と(B)を90:10〜30:70(重量比)で用いる請求項1〜3のいずれか記載の水系の金属腐食抑制方法。
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US8563128B2 (en) | 2005-01-28 | 2013-10-22 | Basf Se | Preparation for and method of applying corrosion control coats |
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