JP2004064065A - レーザアニール装置 - Google Patents

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Hiromi Ishikawa
石川 弘美
Akinori Harada
原田 明憲
Yoji Okazaki
岡崎 洋二
Kazuhiko Nagano
永野 和彦
Hiromitsu Yamakawa
山川 博充
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Fujifilm Holdings Corp
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

【課題】特殊な材料の光学系を使用する必要が無く、均一な強度のレーザ光を照射してアニールを行うことができるレーザアニール装置を提供する。
【解決手段】ファイバアレイ光源66からDMD50にレーザ光が照射されると、DMD50のマイクロミラーがオン状態のときに反射されたレーザ光は、レンズ系54、58により透明基板のアニール面56上に結像される。ファイバアレイ光源66から出射されたレーザ光が画素毎にオンオフされて、透明基板がDMD50の使用画素数と略同数の画素単位でレーザ照射されアニールされる。
【選択図】図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザアニール装置に関し、特に、光源にGaN(窒化ガリウム)系半導体レーザを用いたレーザアニール装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶ディスプレイ(LCD)、有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)ディスプレイ等のフラットパネル・ディスプレイの小型軽量化、低コスト化の観点から、画素表示ゲート用の薄膜トランジスタ(TFT)だけでなく、駆動回路や信号処理回路、画像処理回路などをLCDのガラス基板上に直接形成するシステム・オン・ガラス(SOG)−TFTが注目されている。
【0003】
従来、画素表示ゲート用のTFTにはアモルファスシリコンが使用されてきたが、SOG−TFTにはキャリア移動度の大きいポリシリコンが必要である。しかしながら、ガラスの変形温度は600°Cと低いことから、ポリシリコン膜の形成に600℃以上の高温を利用した結晶成長技術を使用することができない。このため、ポリシリコン膜の形成には、アモルファスシリコン膜を低温(100〜300°C)で形成した後、波長308nmのXeClエキシマレーザによるパルス照射でアモルファスシリコン膜を熱溶融し、冷却過程で結晶化させるエキシマ・レーザ・アニール(ELA)が一般的に用いられている。(非特許文献1)。このELAを用いることにより、ガラス基板に熱的損傷を与えずにポリシリコン膜を形成することができる。
【0004】
【非特許文献1】
次田純一、外2名、「XeClエキシマレーザーによるポリシリコンTFTアニーリング」、レーザー研究 2000年1月
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ELAでは、均一な結晶特性のポリシリコン膜を得るために、エキシマレーザから出射されたレーザビームはホモジナイザ光学系により、トップがフラットなライン状のビームに整形される。
【0006】
しかしながら、XeClエキシマレーザは、光出力が不安定で出力強度が±10%の範囲で変動するため、ライン状に整形されたビームのプロファイルが不均一になるという問題がある。また、波長308nmと紫外域のXeClエキシマレーザを使用するため、ライン状のビームを得るために特殊な材料の光学系が必要であった。
【0007】
本発明は上記問題を解決するために成されたものであり、本発明の目的は、特殊な材料の光学系を使用する必要が無く、均一な強度のレーザ光を照射してアニールを行うことができるレーザアニール装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明のレーザアニール装置は、少なくとも1つのGaN系半導体レーザによって、波長350〜450nmのレーザビームを出射する複数の発光点が生じるように構成されたレーザ光源と、各々制御信号に応じて光変調状態が変化する多数の画素部が基板上に2次元状に配列され、前記レーザ光源から出射されたレーザビームを変調する空間光変調素子と、各画素部で変調されたレーザビームでアニール面上を走査する走査手段と、を備え、前記レーザ光源と前記空間光変調素子との間に、前記レーザ光源からの光束を平行光束にするコリメータレンズと、光軸に近い中心部の光束幅に対する周辺部の光束幅の比が、入射側に比べて出射側の方が小さくなるように、各出射位置における光束幅を変化させ、前記コリメータレンズにより平行光束化されたレーザ光の光量分布が、前記空間変調素子の被照射面において略均一になるように補正する光量分布補正光学系と、を配置したことを特徴としている。
【0009】
本発明のレーザアニール装置では、波長350〜450nmのレーザビームを出射するレーザ光源と空間光変調素子との間に、コリメータレンズと光量分布補正光学系とが配置されている。この通り波長350〜450nmのレーザビームを使用するので、ELA装置のように紫外線対応の特殊な材料の光学系を使用する必要が無い。また、可視域のレーザ露光装置と同様に、DMD等の空間光変調素子を用いて任意パターンでの高精細なアニールが可能である。
【0010】
また、コリメータレンズにより平行光束化されたレーザ光は、光量分布補正光学系により、光軸に近い中心部の光束幅に対する周辺部の光束幅の比が、入射側に比べて出射側の方が小さくなるように、各出射位置における光束幅が変化され、空間変調素子の被照射面におけるレーザ光の光量分布が略均一になるように補正される。これにより、均一な強度のレーザ光でムラなくレーザアニールを行うことができる。
【0011】
なお、本発明のレーザアニール装置では、レーザ光源からレーザビームが出射され、走査手段により出射されたレーザビームでアニール面上を走査する。レーザ光源は、少なくとも1つのGaN系半導体レーザを用いて、波長350〜450nmのレーザビームを出射する複数の発光点が生じるように構成されており、複数の発光点からの出力を合わせてアニールに必要な光出力を得ることができる。
【0012】
また、連続駆動が可能で出力安定性に優れたGaN系半導体レーザをレーザ光源に用いているので、良好な結晶特性を備えキャリア移動度の高いポリシリコン膜を再現性良く且つ高速に形成することができると共に、エキシマレーザを用いたレーザアニール装置と比べて小型で信頼性が高く、メンテナンスが容易でエネルギー効率も高い。
【0013】
上記の複数の発光点が生じるように構成されたレーザ光源としては、以下の光源が好適に用いられる。この中でも、高出力化や高輝度化が容易な、合波レーザ光源、及び合波レーザ光源を複数用いたファイバアレイ光源やファイババンドル光源が特に好ましい。即ち、合波レーザ光源は、合波するレーザビームの本数を増やすことで、高輝度化を図ることができる。これにより、ポリシリコン膜の結晶特性を改善し低抵抗化して、キャリア移動度を更に上げることができる。また、ファイバアレイ光源やファイババンドル光源では、複数本の光ファイバを束ねて光源を構成するので、同時にレーザ照射できる面積が大きくなり、大面積を高速にアニールすることができる。即ち、更なる高速化が容易である。
【0014】
上記の複数の発光点が生じるように構成されたレーザ光源としては、以下の光源が好適に用いられる。この中でも、高出力化や高輝度化が容易な、合波レーザ光源、及び合波レーザ光源を複数用いたファイバアレイ光源やファイババンドル光源が特に好ましい。即ち、合波レーザ光源は、合波するレーザビームの本数を増やすことで、高輝度化を図ることができる。これにより、ポリシリコン膜の結晶特性を改善し低抵抗化して、キャリア移動度を更に上げることができる。また、ファイバアレイ光源やファイババンドル光源では、複数本の光ファイバを束ねて光源を構成するので、同時にレーザ照射できる面積が大きくなり、大面積を高速にアニールすることができる。即ち、更なる高速化が容易である。
(1)複数のGaN系半導体レーザがアレイ状に配列されたレーザアレイ
(2)1つのチップに複数の発光点を備えたGaN系マルチキャビティレーザ
(3)複数のGaN系半導体レーザと、1本の光ファイバと、前記複数のGaN系半導体レーザの各々から出射されたレーザビームを集光し、集光ビームを前記光ファイバの入射端に結合させる集光光学系と、を備えた合波レーザ光源
(4)複数のGaN系マルチキャビティレーザと、1本の光ファイバと、前記複数のGaN系マルチキャビティレーザの複数の発光点の各々から出射されたレーザビームを集光し、集光ビームを前記光ファイバの入射端に結合させる集光光学系と、を備えた合波レーザ光源
(5)複数の発光点を備えたGaN系マルチキャビティレーザと、1本の光ファイバと、前記複数の発光点の各々から出射されたレーザビームを集光し、集光ビームを前記光ファイバの入射端に結合させる集光光学系と、を備えた合波レーザ光源
(6)前記合波レーザ光源を複数備え、該複数の合波レーザ光源の光ファイバの出射端における発光点の各々がアレイ状に配列されたファイバアレイ光源、又はバンドル状に配列されたファイババンドル光源
(7)単一のGaN系半導体レーザと、1本の光ファイバと、前記単一のGaN系半導体レーザから出射されたレーザビームを集光し、集光ビームを前記光ファイバの入射端に結合させる集光光学系と、を備えたファイバ光源を複数備え、該複数のファイバ光源の光ファイバの出射端における発光点の各々がアレイ状に配列されたファイバアレイ光源、又はバンドル状に配列されたファイババンドル光源
上記の光源のうち光ファイバの出射端を発光点として使用する光源の場合には、前記光ファイバとして、コア径が均一で出射端のクラッド径が入射端のクラッド径より小さい光ファイバを用いることが好ましい。出射端のクラッド径が大きい光ファイバを用いたファイバ光源では、バンドル化した際の発光点の径が大きくなり、その結果、高解像度アニールを行う場合に、充分な焦点深度が得られない。出射端のクラッド径を小さくすることで、光源の高輝度化を図ることができる。これにより、より深い焦点深度を備えたレーザアニール装置を実現することができる。例えば、ビーム径1μm以下、解像度0.1μm以下の超高解像度でにアニールの場合にも、深い焦点深度を得ることができ、高速且つ高精細なアニールが可能となる。また、ポリシリコン膜の結晶特性を改善し低抵抗化して、キャリア移動度をより一層高くすることができる。
【0015】
光ファイバの出射端のクラッド径は、発光点の径を小さくする観点から125μmより小さい方が好ましく、80μm以下がより好ましく、60μm以下が特に好ましい。コア径が均一で出射端のクラッド径が入射端のクラッド径より小さい光ファイバは、例えば、コア径が同じでクラッド径が異なる複数の光ファイバを結合して構成することができる。また、複数の光ファイバをコネクタで着脱可能に接続して構成することにより、光源モジュールが部分的に破損した場合等に、交換が容易になる。
【0016】
また、光ファイバの出射端が封止されていることが好ましい。光ファイバの出射端部は、光密度が高く集塵し易く劣化し易いが、封止することにより端面への塵埃の付着を防止することができると共に劣化を遅らせることができる。
【0017】
空間変調素子としては、各々制御信号に応じて反射面の角度が変更可能な多数のマイクロミラーが基板(例えば、シリコン基板)上に2次元状に配列されて構成された、マイクロミラーデバイス(DMD;デジタル・マイクロミラー・デバイス)を用いることができる。また、空間変調素子を、リボン状の反射面を備え且つ制御信号に応じて移動可能な可動格子と、リボン状の反射面を備えた固定格子と、を交互に多数個並列配置して構成したグレーティングライトバルブ(GLV)で構成してもよい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明のレーザアニール装置を低温ポリシリコンTFT形成に適用した実施の形態を詳細に説明する。
【0019】
まず、低温ポリシリコンTFT形成プロセスについて簡単に説明する。図25(A)に示すように、ガラス製又はプラスチック製の透明基板150上に、酸化ケイ素(SiO)絶縁膜190を堆積し、SiO絶縁膜190上にアモルファスシリコン膜192を堆積する。このアモルファスシリコン膜192をレーザアニールにより多結晶化してポリシリコン膜を形成する。その後、フォトリソグラフィ技術を用いて、例えば、図25(B)に示すように、透明基板150上に、SiO絶縁膜190を介して、ポリシリコンゲート194、ポリシリコンソース/ポリシリコンドレイン196、ゲート電極198、ソース/ドレイン電極200、及び層間絶縁膜202を備えたポリシリコンTFTを形成する。
【0020】
(第1の実施の形態)
[レーザアニール装置の構成]
本発明の実施の形態に係るレーザアニール装置は、図1に示すように、アモルファスシリコン膜が堆積された透明基板150を表面に吸着して保持する平板状のステージ152を備えている。4本の脚部154に支持された厚い板状の設置台156の上面には、ステージ移動方向に沿って延びた2本のガイド158が設置されている。ステージ152は、その長手方向がステージ移動方向を向くように配置されると共に、ガイド158によって往復移動可能に支持されている。なお、このレーザアニール装置には、ステージ152をガイド158に沿って駆動するための図示しない駆動装置が設けられている。
【0021】
設置台156の中央部には、ステージ152の移動経路を跨ぐようにコ字状のゲート160が設けられている。コ字状のゲート160の端部の各々は、設置台156の両側面に固定されている。このゲート160を挟んで一方の側にはスキャナ162が設けられ、他方の側には透明基板150の先端及び後端を検知する複数(例えば、2個)の検知センサ164が設けられている。スキャナ162及び検知センサ164はゲート160に各々取り付けられて、ステージ152の移動経路の上方に固定配置されている。なお、スキャナ162及び検知センサ164は、これらを制御する図示しないコントローラに接続されている。
【0022】
スキャナ162は、図2及び図3(B)に示すように、m行n列(例えば、3行5列)の略マトリックス状に配列された複数(例えば、14個)のアニール用のレーザ照射ヘッド166を備えている。この例では、透明基板150の幅との関係で、3行目には4個の照射ヘッド166を配置した。なお、m行目のn列目に配列された個々の照射ヘッドを示す場合は、照射ヘッド166mnと表記する。
【0023】
照射ヘッド166による照射エリア168は、副走査方向を短辺とする矩形状である。従って、ステージ152の移動に伴い、透明基板150には照射ヘッド166毎に帯状の照射済み領域170が形成される。なお、m行目のn列目に配列された個々の照射ヘッドによる照射エリアを示す場合は、照射エリア168mnと表記する。
【0024】
また、図3(A)及び(B)に示すように、帯状の照射済み領域170が副走査方向と直交する方向に隙間無く並ぶように、ライン状に配列された各行の照射ヘッドの各々は、配列方向に所定間隔(照射エリアの長辺の自然数倍、本実施の形態では2倍)ずらして配置されている。このため、1行目の照射エリア16811と照射エリア16812との間のレーザ照射できない部分は、2行目の照射エリア16821と3行目の照射エリア16831とによりレーザ照射することができる。
【0025】
照射ヘッド16611〜166mn各々は、図4、図5(A)及び(B)に示すように、入射された光ビームを画像データに応じて各画素毎に変調する空間光変調素子として、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)50を備えている。このDMD50は、データ処理部とミラー駆動制御部とを備えた図示しないコントローラに接続されている。このコントローラのデータ処理部では、入力された画像データに基づいて、各照射ヘッド166毎にDMD50の制御すべき領域内の各マイクロミラーを駆動制御する制御信号を生成する。なお、制御すべき領域については後述する。また、ミラー駆動制御部では、画像データ処理部で生成した制御信号に基づいて、各照射ヘッド166毎にDMD50の各マイクロミラーの反射面の角度を制御する。なお、反射面の角度の制御に付いては後述する。
【0026】
DMD50の光入射側には、光ファイバの出射端部(発光点)が照射エリア168の長辺方向と対応する方向に沿って一列に配列されたレーザ出射部を備えたファイバアレイ光源66、ファイバアレイ光源66から出射されたレーザ光を補正してDMD上に集光させるレンズ系67、レンズ系67を透過したレーザ光をDMD50に向けて反射するミラー69がこの順に配置されている。
【0027】
レンズ系67は、ファイバアレイ光源66から出射されたレーザ光を平行光化する1対の組合せレンズ71、平行光化されたレーザ光の光量分布が均一になるように補正する1対の組合せレンズ73、及び光量分布が補正されたレーザ光をDMD上に集光する集光レンズ75で構成されている。組合せレンズ73は、レーザ出射端の配列方向に対しては、レンズの光軸に近い部分は光束を広げ且つ光軸から離れた部分は光束を縮め、且つこの配列方向と直交する方向に対しては光をそのまま通過させる機能を備えており、光量分布が均一となるようにレーザ光を補正する。
【0028】
この光量分布補正光学系は、光軸に近い中心部の光束幅に対する周辺部の光束幅の比が入射側に比べて出射側の方が小さくなるように各出射位置における光束幅を変化させて、光源からの平行光束をDMDに照射するときに、DMDの被照射面での光量分布が略均一になるように補正する。以下、この光量分布補正光学系の作用について説明する。
【0029】
まず、図27(A)に示したように、入射光束と出射光束とで、その全体の光束幅(全光束幅)H0、H1が同じである場合について説明する。なお、図27(A)において、符号51、52で示した部分は、光量分布補正光学系における入射面および出射面を仮想的に示したものである。
【0030】
光量分布補正光学系において、光軸Z1に近い中心部に入射した光束と、周辺部に入射した光束とのそれぞれの光束幅h0、h1が、同一であるものとする(h0=hl)。光量分布補正光学系は、入射側において同一の光束幅h0,h1であった光に対し、中心部の入射光束については、その光束幅h0を拡大し、逆に、周辺部の入射光束に対してはその光束幅h1を縮小するような作用を施す。すなわち、中心部の出射光束の幅h10と、周辺部の出射光束の幅h11とについて、h11<h10となるようにする。光束幅の比率で表すと、出射側における中心部の光束幅に対する周辺部の光束幅の比「h11/h10」が、入射側における比(h1/h0=1)に比べて小さくなっている((h11/h10)<1)。
【0031】
このように光束幅を変化させることにより、通常では光量分布が大きくなっている中央部の光束を、光量の不足している周辺部へと生かすことができ、全体として光の利用効率を落とさずに、DMDの被照射面での光量分布が略均一化される。均一化の度合いは、例えば、有効領域内における光量ムラが30%以内、好ましくは20%以内となるようにする。
【0032】
このような光量分布補正光学系による作用、効果は、入射側と出射側とで、全体の光束幅を変える場合(図27(B),(C))においても同様である。
【0033】
図27(B)は、入射側の全体の光束幅H0を、幅H2に“縮小”して出射する場合(H0>H2)を示している。このような場合においても、光量分布補正光学系は、入射側において同一の光束幅h0、h1であった光を、出射側において、中央部の光束幅h10が周辺部に比べて大きくなり、逆に、周辺部の光束幅h11が中心部に比べて小さくなるようにする。光束の縮小率で考えると、中心部の入射光束に対する縮小率を周辺部に比べて小さくし、周辺部の入射光束に対する縮小率を中心部に比べて大きくするような作用を施している。この場合にも、中心部の光束幅に対する周辺部の光束幅の比「H11/H10」が、入射側における比(h1/h0=1)に比べて小さくなる((h11/h10)<1)。
【0034】
図27(C)は、入射側の全体の光束幅H0を、幅Η3に“拡大”して出射する場合(H0<H3)を示している。このような場合においても、光量分布補正光学系は、入射側において同一の光束幅h0、h1であった光を、出射側において、中央部の光束幅h10が周辺部に比べて大きくなり、逆に、周辺部の光束幅h11が中心部に比べて小さくなるようにする。光束の拡大率で考えると、中心部の入射光束に対する拡大率を周辺部に比べて大きくし、周辺部の入射光束に対する拡大率を中心部に比べて小さくするような作用を施している。この場合にも、中心部の光束幅に対する周辺部の光束幅の比「h11/h10」が、入射側における比(h1/h0=1)に比べて小さくなる((h11/h10)<1)。
【0035】
このように、光量分布補正光学系は、各出射位置における光束幅を変化させ、光軸Z1に近い中心部の光束幅に対する周辺部の光束幅の比を入射側に比べて出射側の方が小さくなるようにしたので、入射側において同一の光束幅であった光が、出射側においては、中央部の光束幅が周辺部に比べて大きくなり、周辺部の光束幅は中心部に比べて小さくなる。これにより、中央部の光束を周辺部へと生かすことができ、光学系全体としての光の利用効率を落とさずに、光量分布の略均一化された光束断面を形成することができる。
【0036】
次に、光量分布補正光学系として使用する1対の組合せレンズの具体的なレンズデータの1例を示す。この例では、光源がレーザアレイ光源である場合のように、出射光束の断面での光量分布がガウス分布である場合のレンズデータを示す。なお、シングルモード光ファイバの入射端に1個の半導体レーザを接続した場合には、光ファイバからの射出光束の光量分布がガウス分布になる。本実施の形態はこのような場合にも適用可能である。また、マルチモード光ファイバのコア径を小さくしてシングルモード光ファイバの構成に近付ける等により光軸に近い中心部の光量が周辺部の光量よりも大きい場合にも適用可能である。
【0037】
下記表1に基本レンズデータを示す。
【0038】
【表1】
Figure 2004064065
【0039】
表1から分かるように、1対の組合せレンズは、回転対称の2つの非球面レンズから構成されている。光入射側に配置された第1のレンズの光入射側の面を第1面、光出射側の面を第2面とすると、第1面は非球面形状である。また、光出射側に配置された第2のレンズの光入射側の面を第3面、光出射側の面を第4面とすると、第4面が非球面形状である。
【0040】
表1において、面番号Siはi番目(i=1〜4)の面の番号を示し、曲率半径riはi番目の面の曲率半径を示し、面間隔diはi番目の面とi+1番目の面との光軸上の面間隔を示す。面間隔di値の単位はミリメートル(mm)である。屈折率Niはi番目の面を備えた光学要素の波長405nmに対する屈折率の値を示す。
【0041】
下記表2に、第1面及び第4面の非球面データを示す。
【0042】
【表2】
Figure 2004064065
【0043】
上記の非球面データは、非球面形状を表す下記式(A)における係数で表される。
【0044】
【数1】
Figure 2004064065
【0045】
上記式(A)において各係数を以下の通り定義する。
Z:光軸から高さρの位置にある非球面上の点から、非球面の頂点の接平面(光軸に垂直な平面)に下ろした垂線の長さ(mm)
ρ:光軸からの距離(mm)
K:円錐係数
C:近軸曲率(1/r、r:近軸曲率半径)
ai:第i次(i=3〜10)の非球面係数
表2に示した数値において、記号“E”は、その次に続く数値が10を底とした“ぺき指数″であることを示し、その10を底とした指数関数で表される数値が“E”の前の数値に乗算されることを示す。例えば、「1.0E−02」であれば、「1.0×10−2」であることを示す。
【0046】
図29は、上記表1及び表2に示す1対の組合せレンズによって得られる照明光の光量分布を示している。横軸は光軸からの座標を示し、縦軸は光量比(%)を示す。なお、比較のために、図28に、補正を行わなかった場合の照明光の光量分布(ガウス分布)を示す。図28及び図29から分かるように、光量分布補正光学系で補正を行うことにより、補正を行わなかった場合と比べて、略均一化された光量分布が得られている。これにより、照射ヘッドにおける光の利用効率を落とさずに、均一なレーザ光でムラなくレーザアニールを行うことができる。
【0047】
また、DMD50の光反射側には、DMD50で反射されたレーザ光を透明基板150の走査面(アニール面)56上に結像するレンズ系54、58が配置されている。レンズ系54及び58は、DMD50と走査面56とが共役な関係となるように配置されている。
【0048】
DMD50は、図6に示すように、SRAMセル(メモリセル)60上に、微小ミラー(マイクロミラー)62が支柱により支持されて配置されたものであり、画素(ピクセル)を構成する多数の(例えば、600個×800個)の微小ミラーを格子状に配列して構成されたミラーデバイスである。各ピクセルには、最上部に支柱に支えられたマイクロミラー62が設けられており、マイクロミラー62の表面にはアルミニウム等の反射率の高い材料が蒸着されている。なお、マイクロミラー62の反射率は90%以上である。また、マイクロミラー62の直下には、ヒンジ及びヨークを含む支柱を介して通常の半導体メモリの製造ラインで製造されるシリコンゲートのCMOSのSRAMセル60が配置されており、全体はモノリシック(一体型)に構成されている。
【0049】
DMD50のSRAMセル60にデジタル信号が書き込まれると、支柱に支えられたマイクロミラー62が、対角線を中心としてDMD50が配置された基板側に対して±α度(例えば±10度)の範囲で傾けられる。図7(A)は、マイクロミラー62がオン状態である+α度に傾いた状態を示し、図7(B)は、マイクロミラー62がオフ状態である−α度に傾いた状態を示す。従って、画像信号に応じて、DMD50の各ピクセルにおけるマイクロミラー62の傾きを、図6に示すように制御することによって、DMD50に入射された光はそれぞれのマイクロミラー62の傾き方向へ反射される。
【0050】
なお、図6には、DMD50の一部を拡大し、マイクロミラー62が+α度又は−α度に制御されている状態の一例を示す。それぞれのマイクロミラー62のオンオフ制御は、DMD50に接続された図示しないコントローラによって行われる。なお、オフ状態のマイクロミラー62により光ビームが反射される方向には、光吸収体(図示せず)が配置されている。
【0051】
また、DMD50は、その短辺が副走査方向と所定角度θ(例えば、0.1°〜5°)を成すように僅かに傾斜させて配置するのが好ましい。図8(A)はDMD50を傾斜させない場合の各マイクロミラーによる反射光像(照射ビーム)53の走査軌跡を示し、図8(B)はDMD50を傾斜させた場合の照射ビーム53の走査軌跡を示している。
【0052】
DMD50には、長手方向にマイクロミラーが多数個(例えば、800個)配列されたマイクロミラー列が、短手方向に多数組(例えば、600組)配列されているが、図8(B)に示すように、DMD50を傾斜させることにより、各マイクロミラーによる照射ビーム53の走査軌跡(走査線)のピッチPが、DMD50を傾斜させない場合の走査線のピッチPより狭くなり、解像度を大幅に向上させることができる。一方、DMD50の傾斜角は微小であるので、DMD50を傾斜させた場合の走査幅Wと、DMD50を傾斜させない場合の走査幅Wとは略同一である。
【0053】
また、異なるマイクロミラー列により同じ走査線上が重ねてレーザ照射(多重露光)されることになる。このように、多重露光されることで、レーザ照射位置の微少量をコントロールすることができ、高精細なアニールを実現することができる。また、主走査方向に配列された複数の照射ヘッドの間のつなぎ目を微少量のレーザ照射位置制御により段差無くつなぐことができる。
【0054】
なお、DMD50を傾斜させる代わりに、各マイクロミラー列を副走査方向と直交する方向に所定間隔ずらして千鳥状に配置しても、同様の効果を得ることができる。
【0055】
ファイバアレイ光源66は、図9(A)に示すように、多数のレーザモジュール64を備えており、各レーザモジュール64には、マルチモード光ファイバ30の一端が結合されている。マルチモード光ファイバ30の他端には、コア径がマルチモード光ファイバ30と同一で且つクラッド径がマルチモード光ファイバ30より小さい光ファイバ31が結合され、光ファイバ31の出射端部(発光点)が副走査方向と直交する主走査方向に沿って1列に配列されてレーザ出射部68が構成されている。なお、発光点を主走査方向に沿って2列に配列することもできる。
【0056】
光ファイバ31の出射端部は、図9(B)に示すように、表面が平坦な2枚の支持板65に挟み込まれて固定されている。また、光ファイバ31の光出射側には、光ファイバ31の端面を保護するために、ガラス等の透明な保護板63が配置されている。保護板63は、光ファイバ31の端面と密着させて配置してもよく、また、保護板63を光ファイバ31の端面から離して、保護板63と周辺の支持板65とにより光ファイバ31の端面が封止されるように配置してもよい。この場合、光ファイバ31の端面を封止ガスと共に密封する。光ファイバ31の出射端部は、光密度が高く集塵し易く劣化し易いが、保護板63を配置することにより端面への塵埃の付着を防止することができると共に劣化を遅らせることができる。
【0057】
この例では、クラッド径が小さい光ファイバ31の出射端を隙間無く1列に配列するために、クラッド径が大きい部分で隣接する2本のマルチモード光ファイバ30の間にマルチモード光ファイバ30を積み重ね、積み重ねられたマルチモード光ファイバ30に結合された光ファイバ31の出射端が、クラッド径が大きい部分で隣接する2本のマルチモード光ファイバ30に結合された光ファイバ31の2つの出射端の間に挟まれるように配列されている。
【0058】
このような光ファイバは、例えば、図10に示すように、クラッド径が大きいマルチモード光ファイバ30のレーザ光出射側の先端部分に、長さ1〜30cmのクラッド径が小さい光ファイバ31を同軸的に結合することにより得ることができる。2本の光ファイバは、光ファイバ31の入射端面が、マルチモード光ファイバ30の出射端面に、両光ファイバの中心軸が一致するように融着されて結合されている。上述した通り、光ファイバ31のコア31aの径は、マルチモード光ファイバ30のコア30aの径と同じ大きさである。
【0059】
また、長さが短くクラッド径が大きい光ファイバにクラッド径が小さい光ファイバを融着させた短尺光ファイバを、フェルールや光コネクタ等を介してマルチモード光ファイバ30の出射端に結合してもよい。コネクタ等を用いて着脱可能に結合することで、クラッド径が小さい光ファイバが破損した場合等に先端部分の交換が容易になり、照射ヘッドのメンテナンスに要するコストを低減できる。なお、以下では、光ファイバ31を、マルチモード光ファイバ30の出射端部と称する場合がある。
【0060】
マルチモード光ファイバ30及び光ファイバ31としては、ステップインデックス型光ファイバ、グレーテッドインデックス型光ファイバ、及び複合型光ファイバの何れでもよい。例えば、三菱電線工業株式会社製のステップインデックス型光ファイバを用いることができる。本実施の形態では、マルチモード光ファイバ30及び光ファイバ31は、ステップインデックス型光ファイバであり、マルチモード光ファイバ30は、クラッド径=125μm、コア径=25μm、NA=0.2、入射端面コートの透過率=99.5%以上であり、光ファイバ31は、クラッド径=60μm、コア径=25μm、NA=0.2である。
【0061】
一般に、赤外領域のレーザ光では、光ファイバのクラッド径を小さくすると伝搬損失が増加する。このため、レーザ光の波長帯域に応じて好適なクラッド径が決定されている。しかしながら、波長が短いほど伝搬損失は少なくなり、GaN系半導体レーザから出射された波長405nmのレーザ光では、クラッドの厚み{(クラッド径−コア径)/2}を800nmの波長帯域の赤外光を伝搬させる場合の1/2程度、通信用の1.5μmの波長帯域の赤外光を伝搬させる場合の約1/4にしても、伝搬損失は殆ど増加しない。従って、クラッド径を60μmと小さくすることができる。
【0062】
但し、光ファイバ31のクラッド径は60μmには限定されない。従来のファイバ光源に使用されている光ファイバのクラッド径は125μmであるが、クラッド径が小さくなるほど焦点深度がより深くなるので、マルチモード光ファイバのクラッド径は80μm以下が好ましく、60μm以下がより好ましく、40μm以下が更に好ましい。一方、コア径は少なくとも3〜4μm必要であることから、光ファイバ31のクラッド径は10μm以上が好ましい。
【0063】
レーザモジュール64は、図11に示す合波レーザ光源(ファイバ光源)によって構成されている。この合波レーザ光源は、ヒートブロック10上に配列固定された複数(例えば、7個)のチップ状の横マルチモード又はシングルモードのGaN系半導体レーザLD1,LD2,LD3,LD4,LD5,LD6,及びLD7と、GaN系半導体レーザLD1〜LD7の各々に対応して設けられたコリメータレンズ11,12,13,14,15,16,及び17と、1つの集光レンズ20と、1本のマルチモード光ファイバ30と、から構成されている。なお、半導体レーザの個数は7個には限定されない。例えば、クラッド径=60μm、コア径=50μm、NA=0.2のマルチモード光ファイバには、20個もの半導体レーザ光を入射することが可能であり、照射ヘッドの必要光量を実現して、且つ光ファイバ本数をより減らすことができる。
【0064】
GaN系半導体レーザLD1〜LD7は、発振波長が総て共通(例えば、405nm)であり、最大出力も総て共通(例えば、マルチモードレーザでは100mW、シングルモードレーザでは30mWとすることができるが、レーザ出力はこれに限定されるものではない。)である。なお、GaN系半導体レーザLD1〜LD7としては、350nm〜450nmの波長範囲で、上記の405nm以外の発振波長を備えるレーザを用いてもよい。なお、好適な波長範囲については後述する。
【0065】
上記の合波レーザ光源は、図12及び図13に示すように、他の光学要素と共に、上方が開口した箱状のパッケージ40内に収納されている。パッケージ40は、その開口を閉じるように作成されたパッケージ蓋41を備えており、脱気処理後に封止ガスを導入し、パッケージ40の開口をパッケージ蓋41で閉じることにより、パッケージ40とパッケージ蓋41とにより形成される閉空間(封止空間)内に上記合波レーザ光源が気密封止されている。
【0066】
パッケージ40の底面にはベース板42が固定されており、このベース板42の上面には、前記ヒートブロック10と、集光レンズ20を保持する集光レンズホルダー45と、マルチモード光ファイバ30の入射端部を保持するファイバホルダー46とが取り付けられている。マルチモード光ファイバ30の出射端部は、パッケージ40の壁面に形成された開口からパッケージ外に引き出されている。
【0067】
また、ヒートブロック10の側面にはコリメータレンズホルダー44が取り付けられており、コリメータレンズ11〜17が保持されている。パッケージ40の横壁面には開口が形成され、この開口を通してGaN系半導体レーザLD1〜LD7に駆動電流を供給する配線47がパッケージ外に引き出されている。
【0068】
なお、図13においては、図の煩雑化を避けるために、複数のGaN系半導体レーザのうちGaN系半導体レーザLD7にのみ番号を付し、複数のコリメータレンズのうちコリメータレンズ17にのみ番号を付している。
【0069】
図14は、上記コリメータレンズ11〜17の取り付け部分の正面形状を示すものである。コリメータレンズ11〜17の各々は、非球面を備えた円形レンズの光軸を含む領域を平行な平面で細長く切り取った形状に形成されている。この細長形状のコリメータレンズは、例えば、樹脂又は光学ガラスをモールド成形することによって形成することができる。コリメータレンズ11〜17は、長さ方向がGaN系半導体レーザLD1〜LD7の発光点の配列方向(図14の左右方向)と直交するように、上記発光点の配列方向に密接配置されている。
【0070】
一方、GaN系半導体レーザLD1〜LD7としては、発光幅が2μmの活性層を備え、活性層と平行な方向、直角な方向の拡がり角が各々例えば10°、30°の状態で各々レーザビームB1〜B7を発するレーザが用いられている。これらGaN系半導体レーザLD1〜LD7は、活性層と平行な方向に発光点が1列に並ぶように配設されている。
【0071】
従って、各発光点から発せられたレーザビームB1〜B7は、上述のように細長形状の各コリメータレンズ11〜17に対して、拡がり角度が大きい方向が長さ方向と一致し、拡がり角度が小さい方向が幅方向(長さ方向と直交する方向)と一致する状態で入射することになる。つまり、各コリメータレンズ11〜17の幅が1.1mm、長さが4.6mmであり、それらに入射するレーザビームB1〜B7の水平方向、垂直方向のビーム径は各々0.9mm、2.6mmである。また、コリメータレンズ11〜17の各々は、焦点距離f=3mm、NA=0.6、レンズ配置ピッチ=1.25mmである。
【0072】
集光レンズ20は、非球面を備えた円形レンズの光軸を含む領域を平行な平面で細長く切り取って、コリメータレンズ11〜17の配列方向、つまり水平方向に長く、それと直角な方向に短い形状に形成されている。この集光レンズ20は、焦点距離f=23mm、NA=0.2である。この集光レンズ20も、例えば、樹脂又は光学ガラスをモールド成形することにより形成される。
【0073】
[レーザアニール装置の動作]
次に、上記レーザアニール装置の動作について説明する。
【0074】
スキャナ162の各照射ヘッド166において、ファイバアレイ光源66の合波レーザ光源を構成するGaN系半導体レーザLD1〜LD7の各々から発散光状態で出射したレーザビームB1,B2,B3,B4,B5,B6,及びB7の各々は、対応するコリメータレンズ11〜17によって平行光化される。平行光化されたレーザビームB1〜B7は、集光レンズ20によって集光され、マルチモード光ファイバ30のコア30aの入射端面に収束する。
【0075】
本例では、コリメータレンズ11〜17及び集光レンズ20によって集光光学系が構成され、その集光光学系とマルチモード光ファイバ30とによって合波光学系が構成されている。即ち、集光レンズ20によって上述のように集光されたレーザビームB1〜B7が、このマルチモード光ファイバ30のコア30aに入射して光ファイバ内を伝搬し、1本のレーザビームBに合波されてマルチモード光ファイバ30の出射端部に結合された光ファイバ31から出射する。
【0076】
各レーザモジュールにおいて、レーザビームB1〜B7のマルチモード光ファイバ30への結合効率が0.85で、GaN系半導体レーザLD1〜LD7の各出力が30mWの場合(シングルモードレーザを使用する場合)には、アレイ状に配列された光ファイバ31の各々について、出力180mW(=30mW×0.85×7)の合波レーザビームBを得ることができる。従って、100本の光ファイバ31がアレイ状に配列されたレーザ出射部68での出力は約18W(=180mW×100)である。
【0077】
ファイバアレイ光源66のレーザ出射部68には、この通り高輝度の発光点が主走査方向に沿って一列に配列されている。単一のシングルモード半導体レーザからのレーザ光を1本の光ファイバに結合させる従来のファイバ光源は低出力であるため、多数列配列しなければ所望の出力を得ることができなかったが、本実施の形態で使用する合波レーザ光源は高出力であるため、少数列、例えば1列でも所望の出力を得ることができる。
【0078】
例えば、半導体レーザと光ファイバを1対1で結合させた従来のファイバ光源では、通常、半導体レーザとしては出力30mW(ミリワット)程度のレーザが使用され、光ファイバとしてはコア径50μm、クラッド径125μm、NA(開口数)0.2のマルチモード光ファイバが使用されているので、約18W(ワット)の出力を得ようとすれば、マルチモード光ファイバを864本(8×108)束ねなければならず、発光領域の面積は13.5mm(1mm×13.5mm)であるから、レーザ出射部68での輝度は1.3(MW(メガワット)/m)、光ファイバ1本当りの輝度は8(MW/m)である。
【0079】
これに対し、本実施の形態では、上述した通り、マルチモード光ファイバ100本で約18Wの出力を得ることができ、レーザ出射部68での発光領域の面積は0.3125mm(0.025mm×12.5mm)であるから、レーザ出射部68での輝度は57.6(MW/m)となり、従来に比べ約44倍の高輝度化を図ることができる。また、光ファイバ1本当りの輝度は288(MW/m)であり、従来に比べ約36倍の高輝度化を図ることができる。
【0080】
ここで、図15(A)及び(B)を参照して、低輝度照射ヘッドと本実施の形態の高輝度照射ヘッドとの焦点深度の違いについて説明する。低輝度の照射ヘッドのバンドル状ファイバ光源の発光領域の副走査方向の径は1.0mmであり、本実施の形態の高輝度照射ヘッドのファイバアレイ光源の発光領域の副走査方向の径は0.025mmである。図15(A)に示すように、低輝度照射ヘッドでは、光源(バンドル状ファイバ光源)1の発光領域が大きいので、DMD3へ入射する光束の角度が大きくなり、結果として走査面5へ入射する光束の角度が大きくなる。このため、集光方向(ピント方向のずれ)に対してビーム径が太りやすい。
【0081】
一方、図15(B)に示すように、本実施の形態の高輝度照射ヘッドでは、ファイバアレイ光源66の発光領域の副走査方向の径が小さいので、レンズ系67を通過してDMD50へ入射する光束の角度が小さくなり、結果として走査面56へ入射する光束の角度が小さくなる。即ち、焦点深度が深くなる。この例では、発光領域の副走査方向の径は従来の約30倍になっており、略回折限界に相当する焦点深度を得ることができる。従って、微小スポットでのレーザアニールに好適である。この焦点深度への効果は、照射ヘッドの必要光量が大きいほど顕著であり有効である。この例では、アニール面に投影された1画素サイズは10μm×10μmである。なお、DMDは反射型の空間変調素子であるが、図15(A)及び(B)は、光学的な関係を説明するために展開図とした。
【0082】
アニールパターンに応じた画像データが、DMD50に接続された図示しないコントローラに入力され、コントローラ内のフレームメモリに一旦記憶される。この画像データは、画像を構成する各画素の濃度を2値(ドットの記録の有無)で表したデータである。
【0083】
透明基板150を表面に吸着したステージ152は、図示しない駆動装置により、ガイド158に沿ってゲート160の上流側から下流側に一定速度で移動される。ステージ152がゲート160下を通過する際に、ゲート160に取り付けられた検知センサ164により透明基板150の先端が検出されると、フレームメモリに記憶された画像データが複数ライン分ずつ順次読み出され、データ処理部で読み出された画像データに基づいて各照射ヘッド166毎に制御信号が生成される。そして、ミラー駆動制御部により、生成された制御信号に基づいて各照射ヘッド166毎にDMD50のマイクロミラーの各々がオンオフ制御される。
【0084】
ファイバアレイ光源66から出射されたレーザ光は、組合せレンズ71により平行光化され、組合せレンズ73によりDMD50の被照射面での光量分布が略均一になるように補正され、集光レンズ75によりDMD50上に集光される。DMD50にレーザ光が照射されると、DMD50のマイクロミラーがオン状態のときに反射されたレーザ光は、レンズ系54、58により透明基板150のアニール面56上に結像される。このようにして、ファイバアレイ光源66から出射されたレーザ光が画素毎にオンオフされて、透明基板150がDMD50の使用画素数と略同数の画素単位(照射エリア168)でレーザ照射されアニールされる。また、透明基板150がステージ152と共に一定速度で移動されることにより、透明基板150がスキャナ162によりステージ移動方向と反対の方向に副走査され、各照射ヘッド166毎に帯状の照射済み領域170が形成される。
【0085】
アモルファスシリコン等は、「アモルファス半導体の基礎」森垣和夫著、オーム社、p90(1982)に記載されているように、図26に示す吸収特性を有している。図26から分かるように、アモルファスシリコン等の光吸収係数は照射する光の波長に応じて変化する。本実施の形態では波長405nmのGaN系半導体レーザを使用しているが、図26に示すように、波長400nmの波長帯のレーザ光に対しても、水素化アモルファスシリコン(a−SiH0.16)で105cm−1以上の十分な吸収特性を有しており、アモルファスシリコン(a−Si)においても105cm−1以上の吸収特性を有していると推定することができる。従って、350nm〜450nmの波長帯域のレーザ光により、効率良くアニールを実施することができる。但し、吸収効率の点からは、370nm〜410nmの波長帯域のレーザ光がより好ましく、比較的GaN系半導体レーザの出力が大きく且つアモルファスシリコンの吸収が大きい370nm〜375nmの波長帯域のレーザ光が特に好ましい。なお、光子エネルギーと波長との関係は1eV=8.0655×103cm−1であり、波長532nmは2.3eV、波長400nmは3.1eVに相当する。
【0086】
また、図16(A)及び(B)に示すように、DMD50には、主走査方向にマイクロミラーが800個配列されたマイクロミラー列が、副走査方向に600組配列されているが、本実施の形態では、コントローラにより一部のマイクロミラー列(例えば、800個×10列)だけが駆動されるように制御することができる。
【0087】
図16(A)に示すように、DMD50の中央部に配置されたマイクロミラー列を使用してもよく、図16(B)に示すように、DMD50の端部に配置されたマイクロミラー列を使用してもよい。また、一部のマイクロミラーに欠陥が発生した場合は、欠陥が発生していないマイクロミラー列を使用するなど、状況に応じて使用するマイクロミラー列を適宜変更してもよい。
【0088】
DMD50のデータ処理速度には限界があり、使用する画素数に比例して1ライン当りの変調速度が決定されるので、一部のマイクロミラー列だけを使用することで1ライン当りの変調速度が速くなる。一方、連続的に照射ヘッドをアニール面に対して相対移動させる走査方式の場合には、副走査方向の画素を全部使用する必要はない。
【0089】
例えば、600組のマイクロミラー列の内、300組だけ使用する場合には、600組全部使用する場合と比較すると1ライン当り2倍速く変調することができる。また、600組のマイクロミラー列の内、200組だけ使用する場合には、600組全部使用する場合と比較すると1ライン当り3倍速く変調することができる。即ち、副走査方向に500mmの領域を17秒でレーザ照射できる。更に、100組だけ使用する場合には、1ライン当り6倍速く変調することができる。即ち、副走査方向に500mmの領域を9秒でレーザ照射できる。
【0090】
使用するマイクロミラー列の数、即ち、副走査方向に配列されたマイクロミラーの個数は、10以上で且つ200以下が好ましく、10以上で且つ100以下がより好ましい。1画素に相当するマイクロミラー1個当りの面積は15μm×15μmであるから、DMD50の使用領域に換算すると、12mm×150μm以上で且つ12mm×3mm以下の領域が好ましく、12mm×150μm以上で且つ12mm×1.5mm以下の領域がより好ましい。
【0091】
使用するマイクロミラー列の数が上記範囲にあれば、図17(A)及び(B)に示すように、ファイバアレイ光源66から出射されたレーザ光をレンズ系67で略平行光化して、DMD50に照射することができる。DMD50によりレーザ光を照射する照射領域は、DMD50の使用領域と一致することが好ましい。照射領域が使用領域よりも広いとレーザ光の利用効率が低下する。
【0092】
一方、DMD50上に集光させる光ビームの副走査方向の径を、レンズ系67により副走査方向に配列されたマイクロミラーの個数に応じて小さくする必要があるが、使用するマイクロミラー列の数が10未満であると、DMD50に入射する光束の角度が大きくなり、走査面56における光ビームの焦点深度が浅くなるので好ましくない。また、使用するマイクロミラー列の数が200以下が変調速度の観点から好ましい。なお、DMDは反射型の空間変調素子であるが、図17(A)及び(B)は、光学的な関係を説明するために展開図とした。
【0093】
ここで、露光面上での光密度を算出する。上記の通り、各照射ヘッド166の出力は約18Wである。また、DMD50の一部のマイクロミラー列(例えば、800個×10列)だけを使用するので、各照射ヘッド166による照射エリア168の面積(露光面上でのビームサイズ)は150μm×12mmとなる。150μm領域を1msecで露光する場合は、露光面上での光密度は1000mJ/cmである。更に光学系による損失を約50%と見積っても、露光面上での光密度は500mJ/cmである。14個の照射ヘッド166を備えたスキャナ162全体では、アレイ化される光ファイバ31の本数は1400本になり、総出力は252Wとなる。また、照射エリア168の面積の合計は150μm×168mmであり、露光面上での光密度は500mJ/cmである。
【0094】
なお、照射ヘッドの合波レーザ光源に出力が100mWのマルチモードレーザを使用する場合には、7個のLDにより出力600mWの合波レーザビームBを得ることができる。従って、30本の光ファイバ31で約18Wの出力を得ることができる。14個の照射ヘッド166を備えたスキャナ162全体では、アレイ化される光ファイバ31の本数は420本になり、総出力は252Wとなる。また、照射エリア168の面積の合計は150μm×168mmであり、露光面上での光密度は500mJ/cmとなる。
【0095】
スキャナ162による透明基板150の副走査が終了し、検知センサ164で透明基板150の後端が検出されると、ステージ152は、図示しない駆動装置により、ガイド158に沿ってゲート160の最上流側にある原点に復帰し、再度、ガイド158に沿ってゲート160の上流側から下流側に一定速度で移動される。
【0096】
以上説明した通り、本実施の形態のレーザアニール装置では、光量分布補正光学系を用いて光量分布が略均一の光で空間変調素子を照明することができるので、被露光面においてムラ無くレーザアニールを行うことができる。
【0097】
また、本実施の形態のレーザアニール装置は、波長350〜450nmの波長帯のGaN系半導体レーザを用いているので、ELA装置のように紫外線対応の特殊な材料の光学系を用いてラインビームを生成する必要が無く、可視域のレーザ露光装置と同様に、DMDのオンオフ制御により任意パターンでの高精細なアニールが可能である。
【0098】
特に、本実施の形態では、光ファイバの出射端のクラッド径を入射端のクラッド径よりも小さくしているので、発光部径がより小さくなり、ファイバアレイ光源の高輝度化が図られる。これにより、より深い焦点深度を備えたレーザアニール装置を実現することができる。例えば、ビーム径1μm以下、解像度0.1μm以下の超高解像度でにアニールの場合にも、深い焦点深度を得ることができ、高速且つ高精細なアニールが可能となる。
【0099】
また、本実施の形態のレーザアニール装置は、ガスレーザであるエキシマレーザに代えて高品位なGaN系半導体レーザをレーザ光源に用いているので、以下の1)〜6)の利点がある。
【0100】
1)光出力が安定化し、結晶粒径サイズの揃ったポリシリコン膜を再現性良く作製することができる。
【0101】
2)GaN系半導体レーザは、全部固体の半導体レーザであるため、数万時間に亘り駆動可能で高信頼性を有している。また、GaN系半導体レーザは、共有結合性であるため、COD(Catastrophic Optical Damage)と呼ばれる光出射端面の破損が生じ難く、高信頼性であり、高ピークパワーを実現できる。
【0102】
3)ガスレーザであるエキシマレーザを用いる場合と比べると、小型化が可能で、メンテナンスが非常に簡便になる。また、エネルギー効率も10%〜20%と高い。
【0103】
4)GaN系半導体レーザは、基本的にCW(連続)駆動が可能なレーザであるため、パルス駆動する場合にも、アモルファスシリコンの吸収量、発熱量に応じて繰り返し周波数、パルス幅(duty)を自由に設定することができる。例えば、数Hz〜数MHzまでの任意の繰り返し動作を実現でき、数psec〜数100msecの任意のパルス幅を実現できる。特に、繰り返し周波数を数10MHz帯程度までとすることができ、CW駆動する場合と同様に、連続的な結晶粒界を形成することができる。また、繰り返し周波数を大きくすることができるので、高速アニールが可能である。
【0104】
5)GaN系半導体レーザをCW駆動して連続したレーザ光でアニール面上を所定方向に走査することができるので、結晶成長の方向が制御され、連続的な結晶粒界を形成することができ、高キャリア移動度のポリシリコン膜を形成することが可能になる。
【0105】
6)波長350〜450nmのレーザ光を得ることができる。特に、アモルファスシリコンの光吸収率が高い、波長370〜410nmの範囲(特に405nmにおいて)で高出力を得ることができ、アモルファスシリコンを効率良く結晶化することができる。なお、GaN系半導体レーザは、将来的に更なる高出力化が期待できる。
【0106】
また、本実施の形態のレーザアニール装置は、レーザ光源に、合波レーザ光源の光ファイバの出射端部をアレイ状に配列したファイバアレイ光源を用いている。従って、以下の1)〜3)の利点がある。
【0107】
1)一般に、レーザアニール装置では、アニール面(露光面)において400mJ/cm〜700mJ/cmの範囲の高い光密度が必要であるが、本実施の形態では、アレイ化するファイバ本数、合波するレーザビームの本数を増加することで、容易にマルチビームでの高出力化、高光密度化を図ることができる。例えば、1本の合波レーザ光源のファイバ出力を180mWとすると、556本をバンドルすれば100Wの高出力を安定に得ることができる。加えて、ビーム品位も安定しており、高パワー密度である。従って、将来の低温ポリシリコンの成膜面積の大面積化やハイスループット化へも対応することができる。
【0108】
2)光ファイバの出射端部はコネクタ等を用いて交換可能に取り付けることが可能であり、メンテナンスが容易になる。
【0109】
3)小型の半導体レーザを合波した小型の合波モジュールなので、光源部がエキシマレーザより非常に小型化することができる。
【0110】
また、本実施の形態のレーザアニール装置は、主走査方向にマイクロミラーが800個配列されたマイクロミラー列が、副走査方向に600組配列されたDMDを備えているが、コントローラにより一部のマイクロミラー列だけが駆動されるように制御するので、全部のマイクロミラー列を駆動する場合に比べて、1ライン当りの変調速度が速くなる。これにより高速でのレーザアニールが可能になる。
【0111】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係るレーザアニール装置は、各照射ヘッド16611〜166mnに使用される空間光変調素子としてグレーティング・ライト・バルブ(GLV)を用いたものである。GLVは、例えば米国特許第5,311,360号に開示されているように、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)タイプの空間光変調素子(SLM;Spacial Light Modulator)の一種であり、反射回折格子型の空間光変調素子である。その他の点は、図1〜図14を参照して説明した第1の実施の形態に係るレーザアニール装置と略同様の構成であるため、同一部分については説明を省略する。
【0112】
本実施の形態では、図2に示す照射ヘッド16611〜166mn各々は、図31、図32(A)及び(B)に示すように、入射された光ビームを画像データに応じて各画素毎に変調する空間光変調素子として、所定方向に長い形状(ライン状)をしたGLV300を備えている。そして、第1の実施の形態と同様に、GLV300の光入射側には、第1の実施の形態と同様に、ファイバアレイ光源66、レンズ系67、ミラー69がこの順に配置され、GLV300の光出射側には、レンズ系54とレンズ系58とが配置されている。
【0113】
ライン状のGLV300は、その長手方向がファイバアレイ光源66の光ファイバの配列方向と平行になり且つGLV300のリボン状のマイクロブリッジの反射面がミラー69の反射面と略平行になるように配置されている。また、GLV300は、これを制御する図示しないコントローラに接続されている。
【0114】
このGLV300は、図33に示すように、シリコン等からなる長尺状の基板203上に、リボン状の反射面を備えたマイクロブリッジ209が多数個(例えば、6480個)平行に配列されたものであり、隣接するマイクロブリッジ209間には多数のスリット211が形成されている。通常、1画素は複数(例えば、6個)のマイクロブリッジ209で構成されており、1画素を6個のマイクロブリッジ列で構成すると仮定すると、6480個のマイクロブリッジで1080画素での露光が可能である。
【0115】
各マイクロブリッジ209は、図34(A)及び(B)に示すように、窒化シリコン(SiN)等からなる可撓性梁209aの表面に、アルミニウム(又は、金、銀、銅等)の単層金属膜からなる反射電極膜209bを形成したものである。反射電極膜209bの各々は、図示しない配線により図示しないスイッチを介して電源に接続されている。
【0116】
ここで、GLV300の動作原理を簡単に説明する。電圧を印加していない状態では、マイクロブリッジ209は基板203から所定間隔離間されているが、マイクロブリッジ209と基板203との間に電圧を印加すると、静電誘導された電荷によってマイクロブリッジ209と基板203との間に静電吸引力が発生し、マイクロブリッジ209が基板203側に撓む。そして、電圧の印加を止めると、撓みが解消し、マイクロブリッジ209は弾性復帰により基板203から離間する。従って、電圧を印加するマイクロブリッジと電圧を印加しないマイクロブリッジとを交互に配置することで、電圧の印加により回折格子を形成することができる。
【0117】
図34(A)は、画素単位のマイクロブリッジ列に電圧が印加されておらず、オフ状態にある場合を示している。オフ状態では、マイクロブリッジ209の反射面の高さが総て揃い、反射光には光路差が生じず正反射される。即ち、0次回折光しか得ることができない。一方、図34(B)は、画素単位のマイクロブリッジ列に電圧が印加され、オン状態にある場合を示している。なお、電圧は1つおきのマイクロブリッジ209に印加される。オン状態では、前述した原理によりマイクロブリッジ209の中央部が撓み、交互に段差のある反射面が形成される。即ち、回折格子が形成される。この反射面にレーザ光を入射させると、撓みのあるマイクロブリッジ209で反射された光と、撓みのないマイクロブリッジ209で反射された光との間に光路差が生じ、所定方向に±1次回折光が出射される。
【0118】
従って、図示しないコントローラにより、制御信号に応じて、GLV300の各画素におけるマイクロブリッジ列を、印加される電圧のオン/オフで駆動制御することによって、GLV300に入射されたレーザ光は画素毎に変調されて所定方向に回折される。
【0119】
また、GLV300の光反射側、即ち、回折光(0次回折光及び±1次回折光)が出射される側には、回折光を走査面(被露光面)56上に結像するレンズ系54、58が、GLV300と被露光面56とが共役な関係となるように配置されている。また、回折光がレンズ系54に入射されるように、GLV300はそのリボン状の反射面を予めレンズ系54の光軸に対し所定角度(例えば45°)傾斜させて配置されている。
【0120】
図32(A)及び(B)では、0次回折光は点線で図示し、±1次回折光は実線で図示している。レンズ系54は、入射された回折光をGLV300の長手方向に集光し且つ副走査方向に平行光化する。レンズ系54とレンズ系58との間の0次回折光の焦点位置には、0次回折光を走査面56への光路から除外するための長尺状の遮蔽板55がその長手方向がGLVの長手方向と直交するように配置されている。これにより、0次回折光だけが選択的に排除される。
【0121】
このレーザアニール装置では、アニールパターンに応じた画像データが、GLV300に接続された図示しないコントローラに入力されると、この画像データに基づいて制御信号が生成され、生成された制御信号に基づいて各照射ヘッド毎にGLV300のマイクロブリッジの各々が画素単位でオンオフ制御される。ファイバアレイ光源66からGLV300にレーザ光が照射されると、GLV300のマイクロブリッジがオン状態のときに反射されたレーザ光は、レンズ系54、58により透明基板150のアニール面56上に結像される。
【0122】
このようにファイバアレイ光源66から出射されたレーザ光が画素毎にオンオフされて、アモルファスシリコン膜が堆積された透明基板150がGLV300の画素数と略同数の画素単位でレーザ照射されアニールされる。また、透明基板150がステージ152と共に一定速度で移動されることにより、透明基板150がスキャナ162によりステージ移動方向と反対の方向に副走査され、各照射ヘッド毎に帯状の照射済み領域170が形成される。
【0123】
ここで、露光面上での光密度を算出する。第1の実施の形態と同様に、照射ヘッドの合波レーザ光源に出力が30mWのシングルモードレーザを使用する場合には、7個のLDにより出力180mWの合波レーザビームBを得ることができる。従って、50本の光ファイバ31が1次元アレイ状に配列されたファイバアレイ光源の場合、レーザ出射部68での出力は約9Wである。
【0124】
また、GLV300の全画素(例えば、1000個×1列)を使用した場合、各照射ヘッド166による照射エリア168の面積は25μm×25mmとなる。25μm領域を1msecで露光する場合は、露光面上での光密度は1440mJ/cmである。更に光学系による損失を約50%と見積っても、露光面上での光密度は720mJ/cmである。14個の照射ヘッド166を備えたスキャナ162全体では、アレイ化される光ファイバ31の本数は700本になり、総出力は126Wとなる。また、照射エリア168の面積の合計は25μm×350mmであり、露光面上での光密度は720mJ/cmである。
なお、照射ヘッドの合波レーザ光源に出力が100mWのマルチモードレーザを使用する場合には、7個のLDにより出力600mWの合波レーザビームBを得ることができる。従って、15本の光ファイバ31で約9Wの出力を得ることができる。14個の照射ヘッド166を備えたスキャナ162全体では、アレイ化される光ファイバ31の本数は210本になり、総出力は126Wとなる。また、照射エリア168の面積の合計は25μm×350mmであり、露光面上での光密度は720mJ/cmである。
【0125】
以上説明した通り、本実施の形態のレーザアニール装置では、光量分布補正光学系を用いて光量分布が略均一の光で空間変調素子を照明することができるので、被露光面においてムラ無くレーザアニールを行うことができる。
【0126】
また、本実施の形態のレーザアニール装置は、波長350〜450nmの波長帯のGaN系半導体レーザを用いているので、ELA装置のように紫外線対応の特殊な材料の光学系を用いてラインビームを生成する必要が無く、可視域のレーザ露光装置と同様に、GLVのオンオフ制御により任意パターンでの高精細なアニールが可能である。
【0127】
また、本実施の形態のレーザアニール装置では、GLV300は短辺方向の幅が狭い長尺状の空間光変調素子であるため、効率良く照明するのが難しいが、第1の実施の形態で説明した通り、GLVを照明する光源に、合波レーザ光源の光ファイバの出射端部をアレイ状に配列した高輝度のファイバアレイ光源を用いると共に、光ファイバの出射端のクラッド径を入射端のクラッド径よりも小さくしているので、レーザ出射部68から出射されるビームの副走査方向の径が小さくなり、レンズ系67等を通過してGLV300へ入射する光束の角度が小さくなる。これにより、効率良くGLV300を照明することができると共に、深い焦点深度を得ることができる。また、合波レーザ光源を用いているので高出力でのアニールが可能となり、レーザアニール装置の低コスト化が図られる。
【0128】
また、本実施の形態のレーザアニール装置は、第1の実施の形態に係るレーザアニール装置と同様に、GaN系半導体レーザを用いたことによる利点、及び合波レーザ光源の光ファイバの出射端部をアレイ状に配列したファイバアレイ光源を用いたことによる利点を備えている。
【0129】
次に、以上説明したレーザアニール装置の変形例等について説明する。
[空間光変調素子の代わりにミラーを使用する例]
第1及び第2の実施の形態では、アニールパターンに応じて空間光変調素子で変調したレーザ光を照射してレーザアニールを実施する例について説明したが、全面をアニールする場合のようにアニールパターンが単純な場合は、空間光変調素子に代えて反射ミラーを用いてもよい。
【0130】
[レーザアニール装置の他の用途]
上記の実施の形態では、本発明のレーザアニール装置を用いて低温ポリシリコンTFTを形成する例について説明したが、本発明のレーザアニール装置は、ITO(インジウム−スズ酸化物)、SnO(二酸化スズ)等で構成された透明電極膜のアニール等、他の材料のアニールにも使用することができる。
【0131】
[他の空間変調素子]
第1及び第2の実施の形態では、DMDやGLVを空間光変調素子として使用する例について説明したが、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)タイプの空間変調素子(SLM;Spacial Light Modulator)や、電気光学効果により透過光を変調する光学素子(PLZT素子)や液晶光シャッタ(FLC)等、MEMSタイプ以外の空間変調素子を用いてもよい。なお、MEMSとは、IC製造プロセスを基盤としたマイクロマシニング技術によるマイクロサイズのセンサ、アクチュエータ、そして制御回路を集積化した微細システムの総称であり、MEMSタイプの空間変調素子とは、静電気力を利用した電気機械動作により駆動される空間変調素子を意味している。
【0132】
また、第1の実施の形態では、DMDのマイクロミラーを部分的に駆動する例について説明したが、所定方向に対応する方向の長さが前記所定方向と交差する方向の長さより長い基板上に、各々制御信号に応じて反射面の角度が変更可能な多数のマイクロミラーが2次元状に配列された細長いDMDを用いても、反射面の角度を制御するマイクロミラーの個数が少なくなるので、同様に変調速度を速くすることができる。また、MEMSタイプの空間変調素子や、MEMSタイプ以外の空間変調素子を用いた場合にも、基板上に配列された全画素部に対し一部の画素部を使用することで、1画素当り、1主走査ライン当たりの変調速度を速くすることができるので、同様の効果を得ることができる。
【0133】
[他の露光方式]
図18に示すように、上記の実施の形態と同様に、スキャナ162によるX方向への1回の走査で透明基板150の全面をアニールしてもよく、図19(A)及び(B)に示すように、スキャナ162により透明基板150をX方向へ走査した後、スキャナ162をY方向に1ステップ移動し、X方向へ走査を行うというように、走査と移動を繰り返して、複数回の走査で透明基板150の全面をアニールするようにしてもよい。なお、この例では、スキャナ162は18個の照射ヘッド166を備えている。
【0134】
[他のレーザ装置(光源)]
上記の実施の形態では、合波レーザ光源を複数備えたファイバアレイ光源を用いる例について説明したが、レーザ光源は、合波レーザ光源をアレイ化したファイバアレイ光源には限定されない。例えば、1個の発光点を有する単一の半導体レーザから入射されたレーザ光を出射する1本の光ファイバを備えたファイバ光源をアレイ化したファイバアレイ光源を用いることができる。
【0135】
(ブロードストライプレーザ)
ブロードストライプレーザは、積層方向と直交する方向(水平方向)に長い発光領域を備えたレーザであり、発光領域が大きいことから高出力である。従って、ブロードストライプレーザを用いることで、1個の発光点を有する単一の半導体レーザと、この半導体レーザから入射されたレーザ光を出射する1本の光ファイバとを備えた高出力且つ高輝度のファイバ光源、ひいてはこのファイバ光源をアレイ化したファイバアレイ光源やファイババンドル光源を実現することができる。
【0136】
例えば、図35及び図36に示すように、照明光源にブロードストライプレーザ180を用い、ブロードストライプレーザ180とマルチモード光ファイバ30の入射端との間に、ビーム整形光学系として、第1シリンドリカルレンズ182、第2シリンドリカルレンズ184、第3シリンドリカルレンズ186、及び第4シリンドリカルレンズ188をブロードストライプレーザ180側から順に配置する。
【0137】
ブロードストライプレーザ180から出射された光ビームは、第1シリンドリカルレンズ182及び第3シリンドリカルレンズ186によって、積層方向(垂直方向)の光ビームのNA(開口数)がマルチモード光ファイバ30のNA以下に変換され、第1シリンドリカルレンズ182及び第3シリンドリカルレンズ186によって、水平方向の光ビームのNAが等倍に維持されて、マルチモード光ファイバ30の入射端に結像される。
【0138】
ブロードストライプレーザ180の発光層の幅(垂直方向の長さ)を0.5μm、発光層の長さ(水平方向の長さ)を30μm、光ビームの波長を400〜420nmとすると、発光点において約500mWの出力を得ることができる。この500mWの光ビームを集光して、1本のマルチモード光ファイバ30に入射させる。結合効率を96%と仮定すると、個々のマルチモード光ファイバ30の出射端は480mWの光源となる。このマルチモード光ファイバ30の出射端をアレイ化又はバンドル化して光源として用いることができる。
【0139】
マルチモード光ファイバ30としては、例えばクラッド径125μm、コア径50μmの光ファイバを使用することができる。また、このマルチモード光ファイバ30の出射端に、例えばクラッド径60μm、コア径50μmの小径の光ファイバを接続することで、出射端の面積を小さくして、高輝度化を図ることができる。なお、マルチモード光ファイバ30に、クラッド径60μm、コア径50μmの小径の光ファイバを使用してもよい。即ち、ブロードストライプレーザ180のビームを、直接、小径のマルチモード光ファイバ30に入射させることで、マルチモード光ファイバ30の出射端をそのままの径で出射端として使用することができる。
【0140】
ブロードストライプレーザ180の発光層の幅を5〜200μmとした場合に、マルチモード光ファイバ30のNAを0.15〜0.3、マルチモード光ファイバ30のコア径を10〜80μmとすることで、マルチモード光ファイバ30への結合効率が高くなり好ましい。また、シリンドリカルレンズ以外の光学部品を用いてビーム整形光学系を構成することもできる。
【0141】
なお、上記では1個のブロードストライプレーザからの光ビームを1本の光ファイバに結合する例について説明したが、複数のブロードストライプレーザからの光ビームを合波して1本の光ファイバに結合することで、更に高出力且つ高輝度なレーザ光源を得ることができる。
【0142】
(レーザアレイ)
また、複数の発光点を備えた光源としては、例えば、図20に示すように、ヒートブロック100上に、複数(例えば、7個)のチップ状の半導体レーザLD1〜LD7を配列したレーザアレイを用いることができる。
【0143】
(マルチキャビティレーザ及びそのアレイ)
【0144】
また、図21(A)に示す、複数(例えば、5個)の発光点110aが所定方向に配列されたチップ状のマルチキャビティレーザ110が知られている。マルチキャビティレーザ110は、チップ状の半導体レーザを配列する場合と比べ、発光点を位置精度良く配列できるので、各発光点から出射されるレーザビームを合波し易い。但し、発光点が多くなるとレーザ製造時にマルチキャビティレーザ110に撓みが発生し易くなるため、発光点110aの個数は5個以下とするのが好ましい。本発明の照射ヘッドでは、このマルチキャビティレーザ110や、図21(B)に示すように、ヒートブロック100上に、複数のマルチキヤビティレーザ110が各チップの発光点110aの配列方向と同じ方向に配列されたマルチキャビティレーザアレイを、レーザ光源として用いることができる。
【0145】
(マルチキャビティレーザ利用の合波レーザ光源)
また、合波レーザ光源は、複数のチップ状の半導体レーザから出射されたレーザ光を合波するものには限定されない。例えば、図22に示すように、複数(例えば、3個)の発光点110aを有するチップ状のマルチキャビティレーザ110を備えた合波レーザ光源を用いることができる。この合波レーザ光源は、マルチキャビティレーザ110と、1本のマルチモード光ファイバ130と、集光レンズ120と、を備えて構成されている。マルチキャビティレーザ110は、例えば、発振波長が405nmのGaN系レーザダイオードで構成することができる。
【0146】
上記の構成では、マルチキャビティレーザ110の複数の発光点110aの各々から出射したレーザビームBの各々は、集光レンズ120によって集光され、マルチモード光ファイバ130のコア130aに入射する。コア130aに入射したレーザ光は、光ファイバ内を伝搬し、1本に合波されて出射する。
【0147】
マルチキャビテイレーザ110の複数の発光点110aを、上記マルチモード光ファイバ130のコア径と略等しい幅内に並設すると共に、集光レンズ120として、マルチモード光ファイバ130のコア径と略等しい焦点距離の凸レンズや、マルチキャビティレーザ110からの出射ビームをその活性層に垂直な面内のみでコリメートするロッドレンズを用いることにより、レーザビームBのマルチモード光ファイバ130への結合効率を上げることができる。
【0148】
また、図23に示すように、複数(例えば、3個)の発光点を備えたマルチキャビティレーザ110を用い、ヒートブロック111上に複数(例えば、9個)のマルチキャビティレーザ110が互いに等間隔で配列されたレーザアレイ140を備えた合波レーザ光源を用いることができる。複数のマルチキヤビティレーザ110は、各チップの発光点110aの配列方向と同じ方向に配列されて固定されている。
【0149】
この合波レーザ光源は、レーザアレイ140と、各マルチキヤビティレーザ110に対応させて配置した複数のレンズアレイ114と、レーザアレイ140と複数のレンズアレイ114との間に配置された1本のロッドレンズ113と、1本のマルチモード光ファイバ130と、集光レンズ120と、を備えて構成されている。レンズアレイ114は、マルチキヤビティレーザ110の発光点に対応した複数のマイクロレンズを備えている。
【0150】
上記の構成では、複数のマルチキヤビティレーザ110の複数の発光点110aの各々から出射したレーザビームBの各々は、ロッドレンズ113により所定方向に集光された後、レンズアレイ114の各マイクロレンズにより平行光化される。平行光化されたレーザビームLは、集光レンズ120によって集光され、マルチモード光フアイバ130のコア130aに入射する。コア130aに入射したレーザ光は、光フアイバ内を伝搬し、1本に合波されて出射する。
(多段構造のレーザアレイ利用の合波レーザ光源)
更に他の合波レーザ光源の例を示す。この合波レーザ光源は、図24(A)及び(B)に示すように、略矩形状のヒートブロック180上に光軸方向の断面がL字状のヒートブロック182が搭載され、2つのヒートブロック間に収納空間が形成されている。L字状のヒートブロック182の上面には、複数の発光点(例えば、5個)がアレイ状に配列された複数(例えば、2個)のマルチキャビティレーザ110が、各チップの発光点110aの配列方向と同じ方向に等間隔で配列されて固定されている。
【0151】
略矩形状のヒートブロック180には凹部が形成されており、ヒートブロック180の空間側上面には、複数の発光点(例えば、5個)がアレイ状に配列された複数(例えば、2個)のマルチキャビティレーザ110が、その発光点がヒートブロック182の上面に配置されたレーザチップの発光点と同じ鉛直面上に位置するように配置されている。
【0152】
マルチキャビティレーザ110のレーザ光出射側には、各チップの発光点110aに対応してコリメートレンズが配列されたコリメートレンズアレイ184が配置されている。コリメートレンズアレイ184は、各コリメートレンズの長さ方向とレーザビームの拡がり角が大きい方向(速軸方向)とが一致し、各コリメートレンズの幅方向が拡がり角が小さい方向(遅軸方向)と一致するように配置されている。このように、コリメートレンズをアレイ化して一体化することで、レーザ光の空間利用効率が向上し合波レーザ光源の高出力化が図られると共に、部品点数が減少し低コスト化を図ることができる。
【0153】
また、コリメートレンズアレイ184のレーザ光出射側には、1本のマルチモード光ファイバ130と、このマルチモード光ファイバ130の入射端にレーザビームを集光して結合する集光レンズ120と、が配置されている。
【0154】
上記の構成では、レーザブロック180、182上に配置された複数のマルチキヤビティレーザ110の複数の発光点110aの各々から出射したレーザビームの各々は、コリメートレンズアレイ184により平行光化され、集光レンズ120によって集光されて、マルチモード光フアイバ130のコア130aに入射する。コア130aに入射したレーザ光は、光フアイバ内を伝搬し、1本に合波されて出射する。
【0155】
この合波レーザ光源は、上記の通り、マルチキャビティレーザの多段配置とコリメートレンズのアレイ化とにより、特に高出力化を図ることができる。この合波レーザ光源を用いることにより、より高輝度なファイバアレイ光源やバンドルファイバ光源を構成することができるので、本実施の形態の照射ヘッドのレーザ光源を構成するファイバ光源として特に好適である。
【0156】
なお、上記の各合波レーザ光源をケーシング内に収納し、マルチモード光ファイバ130の出射端部をそのケーシングから引き出したレーザモジュールを構成することができる。
【0157】
また、上記の実施の形態では、合波レーザ光源のマルチモード光ファイバの出射端に、コア径がマルチモード光ファイバと同一で且つクラッド径がマルチモード光ファイバより小さい他の光ファイバを結合してファイバアレイ光源の高輝度化を図る例について説明したが、例えば、クラッド径が125μm、80μm、60μm等のマルチモード光ファイバを、出射端に他の光ファイバを結合せずに使用してもよい。
【0158】
[他の結像光学系]
第1の実施の形態では、照射ヘッドに使用するDMDの光反射側に、結像光学系として2組のレンズを配置したが、レーザ光を拡大して結像する結像光学系を配置してもよい。DMDにより反射される光束線の断面積を拡大することで、被照射面における照射エリア面積を所望の大きさに拡大することができる。
【0159】
例えば、照射ヘッドを、図30(A)に示すように、DMD50、DMD50にレーザ光を照射する照明装置144、DMD50で反射されたレーザ光を拡大して結像するレンズ系454、458、DMD50の各画素に対応して多数のマイクロレンズ474が配置されたマイクロレンズアレイ472、マイクロレンズアレイ472の各マイクロレンズに対応して多数のアパーチャ478が設けられたアパーチャアレイ476、アパーチャを通過したレーザ光を被露光面56に結像するレンズ系480、482で構成することができる。
【0160】
この照射ヘッドでは、照明装置144からレーザ光が照射されると、DMD50によりオン方向に反射される光束線の断面積が、レンズ系454、458により数倍(例えば、2倍)に拡大される。拡大されたレーザ光は、マイクロレンズアレイ472の各マイクロレンズによりDMD50の各画素に対応して集光され、アパーチャアレイ476の対応するアパーチャを通過する。アパーチャを通過したレーザ光は、レンズ系480、482により被露光面56上に結像される。
【0161】
この結像光学系では、DMD50により反射されたレーザ光は、拡大レンズ454、458により数倍に拡大されて走査面56に投影されるので、全体の画像領域が広くなる。このとき、マイクロレンズアレイ472及びアパーチャアレイ476が配置されていなければ、図30(B)に示すように、走査面56に投影される各ビームスポットBSの1画素サイズ(スポットサイズ)が照射エリア468のサイズに応じて大きなものとなり、照射エリア468の鮮鋭度を表すMTF(Modulation Transfer Function)特性が低下する。
【0162】
一方、マイクロレンズアレイ472及びアパーチャアレイ476を配置した場合には、DMD50により反射されたレーザ光は、マイクロレンズアレイ472の各マイクロレンズによりDMD50の各画素に対応して集光される。これにより、図30(C)に示すように、照射エリアが拡大された場合でも、各ビームスポットBSのスポットサイズを所望の大きさ(例えば、10μm×10μm)に縮小することができ、MTF特性の低下を防止して高精細な露光を行うことができる。なお、照射エリア468が傾いているのは、画素間の隙間を無くす為にDMD50を傾けて配置しているからである。
【0163】
また、マイクロレンズの収差によるビームの太りがあっても、アパーチャによって走査面56上でのスポットサイズが一定の大きさになるようにビームを整形することができると共に、各画素に対応して設けられたアパーチャを通過させることにより、隣接する画素間でのクロストークを防止することができる。
【0164】
更に、照明装置144に上記実施の形態と同様に高輝度光源を使用することにより、レンズ458からマイクロレンズアレイ472の各マイクロレンズに入射する光束の角度が小さくなるので、隣接する画素の光束の一部が入射するのを防止することができる。即ち、高消光比を実現することができる。
【0165】
【発明の効果】
本発明のレーザアニール装置は、特殊な材料の光学系を使用することなく、均一な強度のレーザ光を照射してアニールを行うことができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係るレーザアニール装置の外観を示す斜視図である。
【図2】第1の実施の形態に係るレーザアニール装置のスキャナの構成を示す斜視図である。
【図3】(A)は感光材料に形成される照射済み領域を示す平面図であり、(B)は各照射ヘッドによる照射エリアの配列を示す図である。
【図4】第1の実施の形態に係るレーザアニール装置の照射ヘッドの概略構成を示す斜視図である。
【図5】(A)は図4に示す照射ヘッドの構成を示す光軸に沿った副走査方向の断面図であり、(B)は(A)の側面図である。
【図6】デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)の構成を示す部分拡大図である。
【図7】(A)及び(B)はDMDの動作を説明するための説明図である。
【図8】(A)及び(B)は、DMDを傾斜配置しない場合と傾斜配置する場合とで、走査ビームの配置及び走査線を比較して示す平面図である。
【図9】(A)はファイバアレイ光源の構成を示す斜視図であり、(B)は(Aの部分拡大図である。
【図10】マルチモード光ファイバの構成を示す図である。
【図11】合波レーザ光源の構成を示す平面図である。
【図12】レーザモジュールの構成を示す平面図である。
【図13】図12に示すレーザモジュールの構成を示す側面図である。
【図14】図12に示すレーザモジュールの構成を示す部分側面図である。
【図15】(A)及び(B)は、低輝度照射ヘッドにおける焦点深度と高輝度照射ヘッドにおける焦点深度との相違を示す光軸に沿った断面図である。
【図16】(A)及び(B)は、DMDの使用領域の例を示す図である。
【図17】(A)はDMDの使用領域が適正である場合の側面図であり、(B)は(A)の光軸に沿った副走査方向の断面図である。
【図18】スキャナによる1回の走査で透明基板をアニールするアニール方式を説明するための平面図である。
【図19】(A)及び(B)はスキャナによる複数回の走査で透明基板をアニールするアニール方式を説明するための平面図である。
【図20】レーザアレイの構成を示す斜視図である。
【図21】(A)はマルチキャビティレーザの構成を示す斜視図であり、(B)は(A)に示すマルチキャビティレーザをアレイ状に配列したマルチキャビティレーザアレイの斜視図である。
【図22】合波レーザ光源の他の構成を示す平面図である。
【図23】合波レーザ光源の他の構成を示す平面図である。
【図24】(A)は合波レーザ光源の他の構成を示す平面図であり、(B)は(A)の光軸に沿った断面図である。
【図25】(A)及び(B)は、低温ポリシリコンTFT形成プロセスを説明するための図である。
【図26】アモルファスシリコンの吸収特性を示す図である。
【図27】光量分布補正光学系による補正の概念についての説明図である。
【図28】光源がガウス分布で且つ光量分布の補正を行わない場合の光量分布を示すグラフである。
【図29】光量分布補正光学系による補正後の光量分布を示すグラフである。
【図30】(A)は結合光学系の異なる他の照射ヘッドの構成を示す光軸に沿った断面図であり、(B)はマイクロレンズアレイ等を使用しない場合に走査面に投影される光像を示す平面図であり、(C)はマイクロレンズアレイ等を使用した場合に走査面に投影される光像を示す平面図である。
【図31】第2の実施の形態に係るレーザアニール装置の照射ヘッドの概略構成を示す斜視図である。
【図32】(A)は図31に示す照射ヘッドの構成を示す光軸に沿った断面図であり、(B)は(A)の側面図である。
【図33】グレーティング・ライト・バルブ(GLV)の構成を示す部分拡大図である。
【図34】(A)及び(B)はGLVの動作を説明するための説明図である。
【図35】半導体レーザと光ファイバとを1対1で結合したファイバ光源の構成を示す側面図である。
【図36】図35のファイバ光源を上方から見た平面図である。
【符号の説明】
LD1〜LD7 GaN系半導体レーザ
10 ヒートブロック
11〜17 コリメータレンズ
20 集光レンズ
30 マルチモード光ファイバ
50 デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)
53 反射光像(走査ビーム)
54、58 レンズ系
56 走査面(アニール面)
64 レーザモジュール
66 ファイバアレイ光源
68 レーザ出射部
73 組合せレンズ
150 透明基板
152 ステージ
162 スキャナ
166 照射ヘッド
168 照射エリア
170 照射済み領域

Claims (4)

  1. 少なくとも1つのGaN系半導体レーザによって、波長350〜450nmのレーザビームを出射する複数の発光点が生じるように構成されたレーザ光源と、各々制御信号に応じて光変調状態が変化する多数の画素部が基板上に2次元状に配列され、前記レーザ光源から出射されたレーザビームを変調する空間光変調素子と、各画素部で変調されたレーザビームでアニール面上を走査する走査手段と、を備え、
    前記レーザ光源と前記空間光変調素子との間に、
    前記レーザ光源からの光束を平行光束にするコリメータレンズと、
    光軸に近い中心部の光束幅に対する周辺部の光束幅の比が、入射側に比べて出射側の方が小さくなるように、各出射位置における光束幅を変化させ、前記コリメータレンズにより平行光束化されたレーザ光の光量分布が、前記空間変調素子の被照射面において略均一になるように補正する光量分布補正光学系と、
    を配置したレーザアニール装置。
  2. 前記レーザ光源を、下記(1)〜(5)のいずれか1つの光源で構成した請求項1に記載のレーザアニール装置。
    (1)複数のGaN系半導体レーザと、1本の光ファイバと、前記複数のGaN系半導体レーザの各々から出射されたレーザビームを集光し、集光ビームを前記光ファイバの入射端に結合させる集光光学系と、を備えた合波レーザ光源。
    (2)(1)の合波レーザ光源における前記GaN系半導体レーザを、複数の発光点を備えたGaN系マルチキャビティレーザで構成した合波レーザ光源。
    (3)複数の発光点を備えたGaN系マルチキャビティレーザと、1本の光ファイバと、前記複数の発光点の各々から出射されたレーザビームを集光し、集光ビームを前記光ファイバの入射端に結合させる集光光学系と、を備えた合波レーザ光源。
    (4)前記合波レーザ光源を複数備え、該複数の合波レーザ光源の光ファイバの出射端における発光点の各々がアレイ状に配列されたファイバアレイ光源、又はバンドル状に配列されたファイババンドル光源。
    (5)単一のGaN系半導体レーザと、1本の光ファイバと、前記単一のGaN系半導体レーザから出射されたレーザビームを集光し、集光ビームを前記光ファイバの入射端に結合させる集光光学系と、を備えたファイバ光源を複数備え、該複数のファイバ光源の光ファイバの出射端における発光点の各々がアレイ状に配列されたファイバアレイ光源、又はバンドル状に配列されたファイババンドル光源。
  3. 前記光ファイバの出射端が封止された請求項2に記載のレーザアニール装置。
  4. 前記空間変調素子を、各々制御信号に応じて反射面の角度が変更可能な多数のマイクロミラーが基板上に2次元状に配列されて構成されたマイクロミラーデバイスで構成した請求項1乃至3のいずれか1項に記載のレーザアニール装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012243900A (ja) * 2011-05-18 2012-12-10 Showa Optronics Co Ltd ファイバ転送レーザ光学系
JP2014123763A (ja) * 2005-04-06 2014-07-03 Trustees Of Columbia Univ In The City Of New York 薄膜の直線走査連続横方向凝固

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