JP2004063297A - アルカリ蓄電池用負極とその製造方法およびそれを用いたアルカリ蓄電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】ペースト式の負極およびそれを備えたアルカリ蓄電池であって、高率放電特性、充放電サイクル特性に優れたアルカリ蓄電池および該アルカリ蓄電池を実現するためのアルカリ蓄電池用負極を提供する。
【解決手段】活物質粉末を基板に担持させたアルカリ蓄電池用負極およびそれを用いたアルカリ蓄電池であって、耐アルカリ性の金属からなる板状の基板の芯材の表面に撥水層を設けた後にニッケルメッキを施すことによって、表面に斑状にニッケルの凸部を設けた基板とする。
【選択図】 図1
【解決手段】活物質粉末を基板に担持させたアルカリ蓄電池用負極およびそれを用いたアルカリ蓄電池であって、耐アルカリ性の金属からなる板状の基板の芯材の表面に撥水層を設けた後にニッケルメッキを施すことによって、表面に斑状にニッケルの凸部を設けた基板とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等のアルカリ蓄電池に適用する負極とそれを用いたアルカリ蓄電池およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アルカリ蓄電池は、耐過充電、耐過放電特性に優れ、一般ユーザーにとって使い易い電池であるところから、携帯電話、小型電動工具および小型パーソナルコンピュータ等の携帯用小型電子機器類用の電源として広く利用されており、これらの小型電子機器類の普及とともに需要が飛躍的に増大している。また、ハイブリッド型電気自動車(HEV)の駆動用電源としても実用化されている。そして、アルカリ蓄電池に対してはさらなる容量アップ、充放電サイクル性能の向上が求められている。
【0003】
前記アルカリ電池の負極は、活物質となる水素吸蔵合金や水酸化カドミウムを主成分とするペーストを、鉄、ニッケルや銅等、耐アルカリ性で良導電性金属の多孔性基板に担持させたものである。
【0004】
前記負極活物質である水素吸蔵合金粉末やカドミウム粉末は、充放電を行うと容積が変化し、そのために粉末の大きさが変わる。例えば充電を行った場合、水素吸蔵合金粉末は水素を取り込んで容積が増大する。カドミウム電極は水酸化カドミウムから金属カドミウムに変わる時に容積が減少する。放電を行うと充電の逆の減少が起きる。
【0005】
ところで、前記負極板の基板となる多孔性の基板には、パンチングメタル、金属繊維をフェルト状に成形した繊維式基板、金属をスポンジ状に成形した発泡メタル等を適用する。このうち、低価格で入手が容易であるところからアルカリ蓄電池の負極用基板には薄い板に打ち抜きによって穴を開けたパンチングメタルが重用されている。しかし、該パンチングメタルを基板に、前記のように容積の変化を伴う活物質粉末を担持させた負極板は、活物質粉末と基板との密着が十分でないために、活物質と基板が剥離し易い欠点があった。また、前記密着をよくするために結着剤の比率を高めると電極の電気抵抗が高くなる欠点があった。従って、電極の電気抵抗を高めることなく活物質粉末と基板との密着の改良が求められていた。
【0006】
活物質粉末と基板との密着を向上させるために、基板の表面に凹凸を付けるのが有効である。凹凸を付けるための一般的な方法には、化学的あるいは電解によるエッチング、サンドペーパーによる研磨等があるが、これらの方法はいずれも基板の機械的強度を損なう。また、芯材としてニッケルメッキを施した鋼板を用いた場合、エッチングや研磨を行うと鉄が露出するため耐食性を損なうことにもなる。
【0007】
前記のような事情から、機械的強度および耐食性を損なわずに、表面に凹凸を設けた基板の開発が求められていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術の欠点に鑑みなされたものであって、アルカリ蓄電池用負極板の活物質粉末と基板の密着性を向上させることによって、充放電サイクル特性および高率放電特性の優れたアルカリ蓄電池を提供せんとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、活物質粉末を基板に担持させたアルカリ蓄電池の負極を、耐アルカリ性の金属からなる板状の芯材の表面に斑状にニッケルの凸部を設けた基板を備えた負極とすることによって前記課題を解決する。
【0010】
前記、本発明に係るアルカリ蓄電池用負極の基板の製造方法は、前記パンチングメタル等の板状芯材の表面にまだら状に撥水処理を施し、その後電解によりメッキ行って芯材の表面に斑状にニッケルの凸部を形成する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明に係るアルカリ蓄電池用負極は、水素吸蔵合金電極、カドミウム電極などである。そしてこれらの電極は、ニッケルメッキを施した鉄、ニッケル等の耐アルカリ金属を芯材とする基板に水素吸蔵合金粉末、カドミウム粉末、亜鉛粉末などの負極活物質を担持させたものである。これら活物質粉末の大きさは、10〜100μmである。
【0012】
本発明に適用する前記負極用の基板は、前記芯材の表面に斑状に、ニッケルの凸部を形成させたものである。芯材には厚さ30〜200μmの鋼板または該鋼板にニッケルメッキを施したものまたはニッケル板が適用できる。さらに前記鋼板またはニッケル板に多数の穴を開けたパンチングメタルが適用できる。基板の機械的強度や活物質層との密着の良さを顧慮して、適用するパンチングメタルの穴径を1〜3mm、開口率を30〜50%とすることが望ましい。
【0013】
本発明に適用する前記負極用の基板は、前記芯材の表面に斑状にニッケルの凸部をそなえる。該凸部の形状と大きさは、特に限定されるものではないが、活物質粉末と基板との間の密着を強固にするためには、凸部の太さが100μm〜1mm、高さが50μm〜500μmであることが望ましい。また、前記ニッケルの凸部同士の間隔も特に限定される物ではないが100μm〜3mmであることが望ましい。
【0014】
図1は、本発明に係るアルカリ蓄電池用基板の断面の1例を模式的に示す図である。図の1は、鋼板製の芯材で、2は芯材の表面に設けたニッケルの下地メッキ層、3が下地メッキ層の表面に斑状に配置した撥水性樹脂からなる撥水層である。4は、基板の表面に斑状に配置したニッケルの凸部である。該凸部4が、基板の表面に充填した活物質粉末を主成分とする負極の活物質層の中に食い込みアンカー効果を発揮して基板と活物質層が剥離するのを防ぐ。
【0015】
本発明によれば、図1に示した如く、基板の表面のうち、ニッケルの凸部4を中心にして撥水層3の上にもメッキ層が伸びて撥水層3でコートされた部分にも薄くニッケルが析出する。後述のように、撥水層の大きさや間隔を適宜選択することによって、図で示したように基板の全面がニッケルで被覆させることができるので、このような場合にはニッケルの下地メッキ2を省くことも可能である。
【0016】
本発明に係る負極の製造方法においては、基板の芯材にエッチングや研磨等の加工をせずに、その表面に斑状にニッケルの凸部を付け加えるのみである。そのために、芯材の機械的な強度や耐食性が損なわれることがない。
【0017】
本発明においては、前記ニッケルの凸部を形成するために、ニッケルメッキに先だって芯材表面に極く微量撥水性の樹脂をコートすることによって、芯材表面に斑状の撥水層を設ける。本発明に適用する撥水性の樹脂は、特に限定されるものではなく、具体的にはポリテトラフロロエチレン、ポリ3フッ化塩化エチレン、ポリ6フッ化プロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンジエンターポリマー(EPDM)等が適用できる。
【0018】
前記撥水性樹脂の溶液または分散液を芯材の表面に吹き付けることによって芯材の表面に撥水性樹脂を極く微量コートする。芯材表面に樹脂を微量塗布すると、樹脂の凝集作用が働いて樹脂が斑状に分布した撥水層が得られる。該斑状に樹脂が分布した撥水層を形成するためには、撥水性樹脂の塗布量を基板の片面当たり0.005〜0.1g/m2とすることが望ましい。
【0019】
前記のように、表面に斑状に樹脂コートした基板にニッケルメッキを施すと、基板の金属が露出した部分にニッケルが析出してニッケルの凸部を形成する。ニッケルの凸部の大きさは、前記撥水性樹脂の塗布量およびメッキ工程の通電量を規定してニッケルの析出量を制御することによって制御する。本発明によれば、撥水層の大きさを選択することによって、前記のようにニッケルの凸部を中心にして撥水層のほぼ全面にわたり薄くニッケルを析出させることができる。そのため、樹脂コートしない場合に比べて負極の集電機能が損なわれることがない。なお、撥水層のほぼ全面にわたり薄くニッケルを析出させるには、撥水層の径をおおよそ3mm以下、さらには2mm以下にすることが望ましく、そのためには撥水性樹脂の塗布量を基板の片面当たり0.005〜0.1g/m2とすることが望ましい。
【0020】
以下、活物質粉末として水素吸蔵合金粉末を適用した例を中心に実施例に基づき本発明の詳細な説明を行う。
(実施例)
(負極基板芯材表面の斑状撥水層の生成)
表面に厚さ5μmのニッケルメッキを施した厚さ60μm、開口率40%の鋼板製パンチングメタルを芯材として用いた。濃度1重量%のEPDMのトルエン溶液を容易し、スプレーガンを用いて前記芯材の表面(両面)に吹き付けたのち加熱してトルエンを揮発除去した。該吹き付けによって塗布したEPDMの量は、基板の片面当たり0.01g/m2であった。
【0021】
(負極基板芯材表面のニッケル凸部の形成)
1モル/dm3の塩化ニッケルと1モル/dm3の塩酸を含む水溶液を電解浴とし、該電解浴中の中心に前記EPDMをコートした芯材を中心に、両側にニッケル板を配置し、芯材を負極、ニッケル板を正極として電解を行った。芯材の単位面積に対する電解の電流密度を20A/dm2とし、10分間通電した。メッキによる芯材表面のニッケルの析出量は6.0g/dm2であった。このようにして基板の表面に太さが平均約300μm、高さが平均約200μmのニッケルの凸部を斑状に形成した。この時、前記EPDM製の撥水層のほぼ全表面もニッケルでカバーされていた。
【0022】
(水素吸蔵合金電極の作製)
CaCu5型結晶構造を有し、MmNi3.6Al0.29Co0.75Mn0.36(Mmはミッシュメタルであり、La、Ce、PrおよびNdからなる希士類元素の混合物である)の組成で示され、平均粒径約50μmの水素吸蔵合金粉末100重量部に対して、増粘剤であるメチルセルロース(MC)の1wt%水溶液20重量部と、結着剤であるスチレンブタジエンゴム1重量部とを加えて混練してペーストを調製した。該ペーストを前記基板の両面に塗布した後乾燥し厚さ1.1mmの極板を得た。乾燥後の極板をロールを通してプレスし、厚さを0.5mmに調整し、水素吸蔵合金電極用原板を得た。
【0023】
(ニッケル電極活物質粉末の作製)
定法に従いコバルトおよび亜鉛をそれぞれ水酸化物換算で3重量%および5重量%固溶状態で含有させた高密度水酸化ニッケルを核とし、表面に水酸化コバルトの被覆層を形成させた平均粒径が10μmの水酸化ニッケルを主成分とするニッケル電極活物質粉末を用意した。なお、該活物質粉末の表面に形成させた前記水酸化コバルトの被覆層の比率を6重量%とした。
【0024】
(ニッケル電極の作製)
得られたニッケル電極活物質紛末80重量部に、濃度が1重量%のカルボキシメチルセルロース(CMC)水溶液20重量部を添加混練して、ニッケル電極活物質ペーストを作製した。該ペーストを厚さ1.4mm、目付量500g/m2の発泡ニッケル製多孔体基板に充填して乾燥した後、プレスして厚さを0.8mmに調整し、長尺帯状のニッケル電極用原板を得た。
【0025】
(負極の特性評価用セルの作製)
前記水素吸蔵合金電極用原板から作用面積が2×2cmの大きさの電極を切り取って負極とした。前記ニッケル電極用原板から2.5×2.5cmの電極を切り取って正極とした。負極の両面に厚さ0.2mmの親水化処理を施したポリプロピレン樹脂繊維の不織布からなるセパレータを配置し、負極1枚、正極2枚からなる極板群を構成した。該極板群を所定の容器に挿入し、7モル/dm3の水酸化カリウム水溶液と1モル/dm3の水酸化リチウム水溶液とからなる電解液を所定量注入して負極の特性評価用セルとした。また、負極の電位を測定するための参照電極には酸化水銀電極を適用した。
【0026】
(負極の特性評価試験)
前記セルを温度40℃において12時間エージングした後、温度20℃において化成を行い負極の放電特性が安定したことを確認した後、特性評価試験に供した。初回の充電は、1/50ItAの充電電流で25時間充電し、その後、1/10ItAの充電電流にて10時間充電した。次いで1/5ItAの放電電流にて放電した。負極の酸化水銀電極に対する電位が−0.6Vになった時点で放電を終了させた。2サイクル目以降は、充電を1/10ItA(170mA)の充電電流にて15時間充電した後、初回の放電と同一の条件で放電した。該充放電サイクルを1サイクルとし、初回の充放電を含めて10サイクル充放電を繰り返し実施して、負極が安定した放電電圧、放電容量を示すことを確認した。その後、温度20℃において前記2サイクル目以降と同じ条件で充電した後、0.2ItA、1ItA、3ItAおよび5ItAで放電し、各率放電における放電特性を評価した。
【0027】
(円筒型ニッケル水素蓄電池の作製)
前記水素吸蔵合金電極用原板および前記ニッケル電極用原板を所定の寸法に裁断して円筒型ニッケル水素蓄電池用の電極とした。活物質充填量から算定されるニッケル電極の容量は、1700mAhであった。また、水素吸蔵合金電極とニッケル電極の活物質充填容量の比率を1.6とした。前記ニッケル電極と水素吸蔵合金電極とを、親水化処理を施したポリプロピレン樹脂繊維の不織布からなる厚さ0.12mmのセパレータを挟んで渦巻状に巻き取り、極板群を製造した。該極板群を円筒状金属ケース内に収納し、7モル/dm3の水酸化カリウム水溶液と1モル/dm3の水酸化リチウム水溶液とからなる電解液を所定量注入した。次いで、安全弁を備えた金属製蓋体を用いて金属ケースを封口しAAサイズの円筒型ニッケル水素蓄電池を得た。
【0028】
(化成)
作製したニッケル水素蓄電池を温度40℃において12時間エージングした後、温度20℃において以下に記述する条件にて化成をおこなった。初回の充電は、1/50ItA(34mA)の充電電流で10時間充電し、その後、1/10ItA(170mA)の充電電流にて10時間充電した。次いで1/5ItA(340mA)の放電電流にて放電終止電圧を1.0Vとして放電した。2サイクル目以降は、充電を1/10ItA(170mA)の充電電流にて12時間充電、1/5ItA(340mA)の放電電流にて放電終止電圧を1.0Vとして放電した。該サイクルを1サイクルとし、初回の充放電を含めて10サイクル充放電を繰り返し実施した。
【0029】
(各率放電試験)
化成終了後の円筒型ニッケル水素蓄電池を、温度20℃において前記条件にて充電し、0.2ItA〜5ItAの放電レート範囲で各率放電試験に供した。
【0030】
(充放電サイクル試験)
化成終了後の円筒型ニッケル水素蓄電池を、温度20℃において充放電サイクル試験に供した。充電はItAの電流で1.2時間行い、放電はItAの電流にて放電終止電圧を1.0Vとして実施した。該充放電サイクルを1サイクルとして、サイクルを繰り返し実施した。
【0031】
(比較例)
実施例1において負極の基板に、表面に厚さ5μmのニッケルメッキを施した厚さ60μm、開口率40%の鋼板製パンチングメタルををそのまま使用した。それ以外は、実施例と同じ条件で負極の特性評価用セルおよび円筒型ニッケル水素蓄電池を作製し、同一の条件で試験に供した。
【0032】
図2は、本発明の実施例に係る負極および比較例の負極を各率放電試験に供した試験結果のうち1ItAおよび3ItAのレートで放電した時の放電曲線を示すグラフである。実施例に係る負極の方が、比較例の負極に比べて放電電位が卑であって、且つ活物質利用率が高い。これは、実施例に係る負極の方が比較例の負極に比べて集電機能に優れていることによるものと考えられる。
【0033】
図3は、前記実施例に係る負極と比較例の負極の、放電レートと活物質利用率の関係を示すグラフである。図3に示すように、1ItA放電以上の高率放電において、実施例に係る負極の方が、比較例の負極を上回る活物質利用率を示す。また、前記実施例および比較例に係る円筒型のニッケル水素電池の各率放電試験結果に対して、それぞれの電池に適用した負極の特性の差が強く反映され、1ItA放電以上の高率放電において、本発明に係る実施例電池の方が比較例電池に比べ高い放電容量を示した。
【0034】
図4は、円筒型ニッケル水素蓄電池の実施例電池および比較例電池の充放電サイクル性能を示すグラフである。図の縦軸は、実施例電池および比較例電池の放電容量を、各々の電池の初期の放電容量を100%として示した値である。図に示した通り、実施例電池の方が、比較例電池に比べてサイクルの経過に伴う放電容量の低下が小さい。これは、実施例電池の負極の方が、比較例電池の負極に比べて活物質と基板の密着に優れており、サイクルの経過に伴う特性の低下が抑制されているためと考えられる。
【0035】
前記の試験結果に示したように、高率放電性能、充放電サイクル性能において実施例電池が優れているのは、いずれも実施例電池に適用した負極の活物質層と基板の密着性が優れているために、実施例電池に適用した負極が集電機能に優れ、かつ、充放電サイクルを繰り返し行っても活物質層と基板の剥離が抑制されるためと考えられる。
【0036】
なお、前記実施例では水素吸蔵合金およびそれを負極に適用したニッケル水素蓄電池を例に採り上げて説明をしたが、本発明はそれに限定されるものではなくカドミウム電極や亜鉛電極およびこれらの電極を適用したアルカリ蓄電池に対しても有効である。
【発明の効果】
【0037】
本発明の請求項1に係るアルカリ蓄電池用負極は、活物質粉末と基板の密着性に優れ、集電機能に優れかつ充放電サイクル性能の優れたアルカリ電池用負極である。
【0038】
本発明の請求項2に係るアルカリ蓄電池用負極の製造方法によれば、該負極に適用する基板の機械的強度と耐食性を損なうことなく基板表面に凸部を形成することができる。
【0039】
本発明の請求項3に係るアルカリ蓄電池は、高率放電特性と充放電サイクル性能の優れたアルカリ蓄電池である。
【0040】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る負極の基板の断面形状を示す模式図である。
【図2】本発明の実施例に係る負極と比較例の負極の放電曲線を示すグラフである。
【図3】本発明の実施例に係る負極と比較例の負極の各率放電特性を示すグラフである。
【図4】本発明に係る実施例電池と比較例電池の充放電サイクル性能を示すグラフである。
【符号の説明】
1 芯材
3 撥水層
4 ニッケル凸部
【発明の属する技術分野】
本発明は、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等のアルカリ蓄電池に適用する負極とそれを用いたアルカリ蓄電池およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アルカリ蓄電池は、耐過充電、耐過放電特性に優れ、一般ユーザーにとって使い易い電池であるところから、携帯電話、小型電動工具および小型パーソナルコンピュータ等の携帯用小型電子機器類用の電源として広く利用されており、これらの小型電子機器類の普及とともに需要が飛躍的に増大している。また、ハイブリッド型電気自動車(HEV)の駆動用電源としても実用化されている。そして、アルカリ蓄電池に対してはさらなる容量アップ、充放電サイクル性能の向上が求められている。
【0003】
前記アルカリ電池の負極は、活物質となる水素吸蔵合金や水酸化カドミウムを主成分とするペーストを、鉄、ニッケルや銅等、耐アルカリ性で良導電性金属の多孔性基板に担持させたものである。
【0004】
前記負極活物質である水素吸蔵合金粉末やカドミウム粉末は、充放電を行うと容積が変化し、そのために粉末の大きさが変わる。例えば充電を行った場合、水素吸蔵合金粉末は水素を取り込んで容積が増大する。カドミウム電極は水酸化カドミウムから金属カドミウムに変わる時に容積が減少する。放電を行うと充電の逆の減少が起きる。
【0005】
ところで、前記負極板の基板となる多孔性の基板には、パンチングメタル、金属繊維をフェルト状に成形した繊維式基板、金属をスポンジ状に成形した発泡メタル等を適用する。このうち、低価格で入手が容易であるところからアルカリ蓄電池の負極用基板には薄い板に打ち抜きによって穴を開けたパンチングメタルが重用されている。しかし、該パンチングメタルを基板に、前記のように容積の変化を伴う活物質粉末を担持させた負極板は、活物質粉末と基板との密着が十分でないために、活物質と基板が剥離し易い欠点があった。また、前記密着をよくするために結着剤の比率を高めると電極の電気抵抗が高くなる欠点があった。従って、電極の電気抵抗を高めることなく活物質粉末と基板との密着の改良が求められていた。
【0006】
活物質粉末と基板との密着を向上させるために、基板の表面に凹凸を付けるのが有効である。凹凸を付けるための一般的な方法には、化学的あるいは電解によるエッチング、サンドペーパーによる研磨等があるが、これらの方法はいずれも基板の機械的強度を損なう。また、芯材としてニッケルメッキを施した鋼板を用いた場合、エッチングや研磨を行うと鉄が露出するため耐食性を損なうことにもなる。
【0007】
前記のような事情から、機械的強度および耐食性を損なわずに、表面に凹凸を設けた基板の開発が求められていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術の欠点に鑑みなされたものであって、アルカリ蓄電池用負極板の活物質粉末と基板の密着性を向上させることによって、充放電サイクル特性および高率放電特性の優れたアルカリ蓄電池を提供せんとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、活物質粉末を基板に担持させたアルカリ蓄電池の負極を、耐アルカリ性の金属からなる板状の芯材の表面に斑状にニッケルの凸部を設けた基板を備えた負極とすることによって前記課題を解決する。
【0010】
前記、本発明に係るアルカリ蓄電池用負極の基板の製造方法は、前記パンチングメタル等の板状芯材の表面にまだら状に撥水処理を施し、その後電解によりメッキ行って芯材の表面に斑状にニッケルの凸部を形成する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明に係るアルカリ蓄電池用負極は、水素吸蔵合金電極、カドミウム電極などである。そしてこれらの電極は、ニッケルメッキを施した鉄、ニッケル等の耐アルカリ金属を芯材とする基板に水素吸蔵合金粉末、カドミウム粉末、亜鉛粉末などの負極活物質を担持させたものである。これら活物質粉末の大きさは、10〜100μmである。
【0012】
本発明に適用する前記負極用の基板は、前記芯材の表面に斑状に、ニッケルの凸部を形成させたものである。芯材には厚さ30〜200μmの鋼板または該鋼板にニッケルメッキを施したものまたはニッケル板が適用できる。さらに前記鋼板またはニッケル板に多数の穴を開けたパンチングメタルが適用できる。基板の機械的強度や活物質層との密着の良さを顧慮して、適用するパンチングメタルの穴径を1〜3mm、開口率を30〜50%とすることが望ましい。
【0013】
本発明に適用する前記負極用の基板は、前記芯材の表面に斑状にニッケルの凸部をそなえる。該凸部の形状と大きさは、特に限定されるものではないが、活物質粉末と基板との間の密着を強固にするためには、凸部の太さが100μm〜1mm、高さが50μm〜500μmであることが望ましい。また、前記ニッケルの凸部同士の間隔も特に限定される物ではないが100μm〜3mmであることが望ましい。
【0014】
図1は、本発明に係るアルカリ蓄電池用基板の断面の1例を模式的に示す図である。図の1は、鋼板製の芯材で、2は芯材の表面に設けたニッケルの下地メッキ層、3が下地メッキ層の表面に斑状に配置した撥水性樹脂からなる撥水層である。4は、基板の表面に斑状に配置したニッケルの凸部である。該凸部4が、基板の表面に充填した活物質粉末を主成分とする負極の活物質層の中に食い込みアンカー効果を発揮して基板と活物質層が剥離するのを防ぐ。
【0015】
本発明によれば、図1に示した如く、基板の表面のうち、ニッケルの凸部4を中心にして撥水層3の上にもメッキ層が伸びて撥水層3でコートされた部分にも薄くニッケルが析出する。後述のように、撥水層の大きさや間隔を適宜選択することによって、図で示したように基板の全面がニッケルで被覆させることができるので、このような場合にはニッケルの下地メッキ2を省くことも可能である。
【0016】
本発明に係る負極の製造方法においては、基板の芯材にエッチングや研磨等の加工をせずに、その表面に斑状にニッケルの凸部を付け加えるのみである。そのために、芯材の機械的な強度や耐食性が損なわれることがない。
【0017】
本発明においては、前記ニッケルの凸部を形成するために、ニッケルメッキに先だって芯材表面に極く微量撥水性の樹脂をコートすることによって、芯材表面に斑状の撥水層を設ける。本発明に適用する撥水性の樹脂は、特に限定されるものではなく、具体的にはポリテトラフロロエチレン、ポリ3フッ化塩化エチレン、ポリ6フッ化プロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンジエンターポリマー(EPDM)等が適用できる。
【0018】
前記撥水性樹脂の溶液または分散液を芯材の表面に吹き付けることによって芯材の表面に撥水性樹脂を極く微量コートする。芯材表面に樹脂を微量塗布すると、樹脂の凝集作用が働いて樹脂が斑状に分布した撥水層が得られる。該斑状に樹脂が分布した撥水層を形成するためには、撥水性樹脂の塗布量を基板の片面当たり0.005〜0.1g/m2とすることが望ましい。
【0019】
前記のように、表面に斑状に樹脂コートした基板にニッケルメッキを施すと、基板の金属が露出した部分にニッケルが析出してニッケルの凸部を形成する。ニッケルの凸部の大きさは、前記撥水性樹脂の塗布量およびメッキ工程の通電量を規定してニッケルの析出量を制御することによって制御する。本発明によれば、撥水層の大きさを選択することによって、前記のようにニッケルの凸部を中心にして撥水層のほぼ全面にわたり薄くニッケルを析出させることができる。そのため、樹脂コートしない場合に比べて負極の集電機能が損なわれることがない。なお、撥水層のほぼ全面にわたり薄くニッケルを析出させるには、撥水層の径をおおよそ3mm以下、さらには2mm以下にすることが望ましく、そのためには撥水性樹脂の塗布量を基板の片面当たり0.005〜0.1g/m2とすることが望ましい。
【0020】
以下、活物質粉末として水素吸蔵合金粉末を適用した例を中心に実施例に基づき本発明の詳細な説明を行う。
(実施例)
(負極基板芯材表面の斑状撥水層の生成)
表面に厚さ5μmのニッケルメッキを施した厚さ60μm、開口率40%の鋼板製パンチングメタルを芯材として用いた。濃度1重量%のEPDMのトルエン溶液を容易し、スプレーガンを用いて前記芯材の表面(両面)に吹き付けたのち加熱してトルエンを揮発除去した。該吹き付けによって塗布したEPDMの量は、基板の片面当たり0.01g/m2であった。
【0021】
(負極基板芯材表面のニッケル凸部の形成)
1モル/dm3の塩化ニッケルと1モル/dm3の塩酸を含む水溶液を電解浴とし、該電解浴中の中心に前記EPDMをコートした芯材を中心に、両側にニッケル板を配置し、芯材を負極、ニッケル板を正極として電解を行った。芯材の単位面積に対する電解の電流密度を20A/dm2とし、10分間通電した。メッキによる芯材表面のニッケルの析出量は6.0g/dm2であった。このようにして基板の表面に太さが平均約300μm、高さが平均約200μmのニッケルの凸部を斑状に形成した。この時、前記EPDM製の撥水層のほぼ全表面もニッケルでカバーされていた。
【0022】
(水素吸蔵合金電極の作製)
CaCu5型結晶構造を有し、MmNi3.6Al0.29Co0.75Mn0.36(Mmはミッシュメタルであり、La、Ce、PrおよびNdからなる希士類元素の混合物である)の組成で示され、平均粒径約50μmの水素吸蔵合金粉末100重量部に対して、増粘剤であるメチルセルロース(MC)の1wt%水溶液20重量部と、結着剤であるスチレンブタジエンゴム1重量部とを加えて混練してペーストを調製した。該ペーストを前記基板の両面に塗布した後乾燥し厚さ1.1mmの極板を得た。乾燥後の極板をロールを通してプレスし、厚さを0.5mmに調整し、水素吸蔵合金電極用原板を得た。
【0023】
(ニッケル電極活物質粉末の作製)
定法に従いコバルトおよび亜鉛をそれぞれ水酸化物換算で3重量%および5重量%固溶状態で含有させた高密度水酸化ニッケルを核とし、表面に水酸化コバルトの被覆層を形成させた平均粒径が10μmの水酸化ニッケルを主成分とするニッケル電極活物質粉末を用意した。なお、該活物質粉末の表面に形成させた前記水酸化コバルトの被覆層の比率を6重量%とした。
【0024】
(ニッケル電極の作製)
得られたニッケル電極活物質紛末80重量部に、濃度が1重量%のカルボキシメチルセルロース(CMC)水溶液20重量部を添加混練して、ニッケル電極活物質ペーストを作製した。該ペーストを厚さ1.4mm、目付量500g/m2の発泡ニッケル製多孔体基板に充填して乾燥した後、プレスして厚さを0.8mmに調整し、長尺帯状のニッケル電極用原板を得た。
【0025】
(負極の特性評価用セルの作製)
前記水素吸蔵合金電極用原板から作用面積が2×2cmの大きさの電極を切り取って負極とした。前記ニッケル電極用原板から2.5×2.5cmの電極を切り取って正極とした。負極の両面に厚さ0.2mmの親水化処理を施したポリプロピレン樹脂繊維の不織布からなるセパレータを配置し、負極1枚、正極2枚からなる極板群を構成した。該極板群を所定の容器に挿入し、7モル/dm3の水酸化カリウム水溶液と1モル/dm3の水酸化リチウム水溶液とからなる電解液を所定量注入して負極の特性評価用セルとした。また、負極の電位を測定するための参照電極には酸化水銀電極を適用した。
【0026】
(負極の特性評価試験)
前記セルを温度40℃において12時間エージングした後、温度20℃において化成を行い負極の放電特性が安定したことを確認した後、特性評価試験に供した。初回の充電は、1/50ItAの充電電流で25時間充電し、その後、1/10ItAの充電電流にて10時間充電した。次いで1/5ItAの放電電流にて放電した。負極の酸化水銀電極に対する電位が−0.6Vになった時点で放電を終了させた。2サイクル目以降は、充電を1/10ItA(170mA)の充電電流にて15時間充電した後、初回の放電と同一の条件で放電した。該充放電サイクルを1サイクルとし、初回の充放電を含めて10サイクル充放電を繰り返し実施して、負極が安定した放電電圧、放電容量を示すことを確認した。その後、温度20℃において前記2サイクル目以降と同じ条件で充電した後、0.2ItA、1ItA、3ItAおよび5ItAで放電し、各率放電における放電特性を評価した。
【0027】
(円筒型ニッケル水素蓄電池の作製)
前記水素吸蔵合金電極用原板および前記ニッケル電極用原板を所定の寸法に裁断して円筒型ニッケル水素蓄電池用の電極とした。活物質充填量から算定されるニッケル電極の容量は、1700mAhであった。また、水素吸蔵合金電極とニッケル電極の活物質充填容量の比率を1.6とした。前記ニッケル電極と水素吸蔵合金電極とを、親水化処理を施したポリプロピレン樹脂繊維の不織布からなる厚さ0.12mmのセパレータを挟んで渦巻状に巻き取り、極板群を製造した。該極板群を円筒状金属ケース内に収納し、7モル/dm3の水酸化カリウム水溶液と1モル/dm3の水酸化リチウム水溶液とからなる電解液を所定量注入した。次いで、安全弁を備えた金属製蓋体を用いて金属ケースを封口しAAサイズの円筒型ニッケル水素蓄電池を得た。
【0028】
(化成)
作製したニッケル水素蓄電池を温度40℃において12時間エージングした後、温度20℃において以下に記述する条件にて化成をおこなった。初回の充電は、1/50ItA(34mA)の充電電流で10時間充電し、その後、1/10ItA(170mA)の充電電流にて10時間充電した。次いで1/5ItA(340mA)の放電電流にて放電終止電圧を1.0Vとして放電した。2サイクル目以降は、充電を1/10ItA(170mA)の充電電流にて12時間充電、1/5ItA(340mA)の放電電流にて放電終止電圧を1.0Vとして放電した。該サイクルを1サイクルとし、初回の充放電を含めて10サイクル充放電を繰り返し実施した。
【0029】
(各率放電試験)
化成終了後の円筒型ニッケル水素蓄電池を、温度20℃において前記条件にて充電し、0.2ItA〜5ItAの放電レート範囲で各率放電試験に供した。
【0030】
(充放電サイクル試験)
化成終了後の円筒型ニッケル水素蓄電池を、温度20℃において充放電サイクル試験に供した。充電はItAの電流で1.2時間行い、放電はItAの電流にて放電終止電圧を1.0Vとして実施した。該充放電サイクルを1サイクルとして、サイクルを繰り返し実施した。
【0031】
(比較例)
実施例1において負極の基板に、表面に厚さ5μmのニッケルメッキを施した厚さ60μm、開口率40%の鋼板製パンチングメタルををそのまま使用した。それ以外は、実施例と同じ条件で負極の特性評価用セルおよび円筒型ニッケル水素蓄電池を作製し、同一の条件で試験に供した。
【0032】
図2は、本発明の実施例に係る負極および比較例の負極を各率放電試験に供した試験結果のうち1ItAおよび3ItAのレートで放電した時の放電曲線を示すグラフである。実施例に係る負極の方が、比較例の負極に比べて放電電位が卑であって、且つ活物質利用率が高い。これは、実施例に係る負極の方が比較例の負極に比べて集電機能に優れていることによるものと考えられる。
【0033】
図3は、前記実施例に係る負極と比較例の負極の、放電レートと活物質利用率の関係を示すグラフである。図3に示すように、1ItA放電以上の高率放電において、実施例に係る負極の方が、比較例の負極を上回る活物質利用率を示す。また、前記実施例および比較例に係る円筒型のニッケル水素電池の各率放電試験結果に対して、それぞれの電池に適用した負極の特性の差が強く反映され、1ItA放電以上の高率放電において、本発明に係る実施例電池の方が比較例電池に比べ高い放電容量を示した。
【0034】
図4は、円筒型ニッケル水素蓄電池の実施例電池および比較例電池の充放電サイクル性能を示すグラフである。図の縦軸は、実施例電池および比較例電池の放電容量を、各々の電池の初期の放電容量を100%として示した値である。図に示した通り、実施例電池の方が、比較例電池に比べてサイクルの経過に伴う放電容量の低下が小さい。これは、実施例電池の負極の方が、比較例電池の負極に比べて活物質と基板の密着に優れており、サイクルの経過に伴う特性の低下が抑制されているためと考えられる。
【0035】
前記の試験結果に示したように、高率放電性能、充放電サイクル性能において実施例電池が優れているのは、いずれも実施例電池に適用した負極の活物質層と基板の密着性が優れているために、実施例電池に適用した負極が集電機能に優れ、かつ、充放電サイクルを繰り返し行っても活物質層と基板の剥離が抑制されるためと考えられる。
【0036】
なお、前記実施例では水素吸蔵合金およびそれを負極に適用したニッケル水素蓄電池を例に採り上げて説明をしたが、本発明はそれに限定されるものではなくカドミウム電極や亜鉛電極およびこれらの電極を適用したアルカリ蓄電池に対しても有効である。
【発明の効果】
【0037】
本発明の請求項1に係るアルカリ蓄電池用負極は、活物質粉末と基板の密着性に優れ、集電機能に優れかつ充放電サイクル性能の優れたアルカリ電池用負極である。
【0038】
本発明の請求項2に係るアルカリ蓄電池用負極の製造方法によれば、該負極に適用する基板の機械的強度と耐食性を損なうことなく基板表面に凸部を形成することができる。
【0039】
本発明の請求項3に係るアルカリ蓄電池は、高率放電特性と充放電サイクル性能の優れたアルカリ蓄電池である。
【0040】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る負極の基板の断面形状を示す模式図である。
【図2】本発明の実施例に係る負極と比較例の負極の放電曲線を示すグラフである。
【図3】本発明の実施例に係る負極と比較例の負極の各率放電特性を示すグラフである。
【図4】本発明に係る実施例電池と比較例電池の充放電サイクル性能を示すグラフである。
【符号の説明】
1 芯材
3 撥水層
4 ニッケル凸部
Claims (3)
- 活物質粉末を基板に担持させたアルカリ蓄電池用負極であって、前記基板は、耐アルカリ性の金属からなる芯材の表面に斑状にニッケルの凸部を設けたことを特徴とするアルカリ蓄電池用負極。
- 前記芯材の表面に斑状に撥水層を設けた後に電解によりニッケルメッキを施して前記ニッケルの凸部を形成したことを特徴とする請求項1記載のアルカリ蓄電池用負極の製造方法。
- 請求項1に記載のアルカリ蓄電池用負極を備えたアルカリ蓄電池。
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