JP2004061539A - 液晶用カラーフィルター及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】感光波長領域の光を吸収するポジ型ホトレジスト30を基材の一方面上に塗布し、透過部32、透過部32よりも低い透過率を有する第1露光制御部33、第1露光制御部33よりも低い透過率を有する第2露光制御部34が形成されたホトマスク31を介してホトレジスト30に露光光を照射し、露光後のホトレジスト30に現像処理を施す。これによりに高さの異なるスペーサ1と配向制御用突起2をカラーフィルター基材上に同時に且つ均一に形成することができる。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶用カラーフィルター及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
VA(Vertical Alignment)モード(垂直配向型液晶表示モード)の液晶表示装置の視野角は、TN(Twisted Nenatic)モードの液晶表示装置の視野角よりも改善されたものであるが、このVAモードの液晶表示装置の視野角を更に大幅に改善する技術として、VAモードをマルチドメイン化したMVA(Multi−domain Vertical Alignment)モードが特開平11−258606号公報等に記載されている。
【0003】
MVAモードは、液晶表示装置における1画素を配向制御用突起により複数の領域に分割・区分し、領域毎に液晶分子の配向を異なったものにし、液晶表示装置の視野角を広くする技術である。
【0004】
MVAモードの液晶表示装置に用いられるカラーフィルターとしては、例えば特開平11−248921号公報に開示されているものが挙げられる。このカラーフィルターは、スペーサにより液晶が充填される空間を確保し、その空間内の液晶を配向制御用突起により所定の方向に配向させるものである。このスペーサ及び配向制御用突起は、同公報に記載されているように、カラーフィルター上にホトレジストを塗布し、ホトマスクを介してホトレジストに露光した後にこれを現像して形成される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述のカラーフィルターにおいては、通常、カラーフィルター基材からスペーサの先端までの高さが3〜5μm、配向制御用突起までの高さが0.5〜2μm程度に設定される。ところが、従来の方法では、このように高さが大きく異なるスペーサと配向制御用突起とを同時に且つ安定的に形成することは非常に困難であるため、予めスペーサ形成領域に着色層を重ね合わせて多段構造とし、重ね合わせ部分のマージンをもってカラーフィルター基材からスペーサ先端までの高さを確保する方法が提案されている。しかし、このような方法であっても、多量の顔料を含む着色樹脂層は流動性が不十分であるため、均一な高さのスペーサを形成することは難しく、液晶パネルを組み立てた際に表示むらが発生しやすくなる。
【0006】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、高さが大きく異なるスペーサと配向制御用突起とをカラーフィルター基材上に同時に且つ均一に形成することができ、高精細液晶パネルにも適用可能な液晶用カラーフィルター及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の液晶用カラーフィルターは、印加電圧に応じて透過光量が変化する液晶が充填される空間をカラーフィルター基材の一方面上に提供するスペーサと、液晶を所定の方向に配向させる配向制御用突起とをそれぞれ該一方面上に備える液晶用カラーフィルターにおいて、スペーサ及び配向制御用突起がそれぞれ、(a)感光波長領域の光を吸収するポジ型ホトレジストを該一方面上に塗布し、(b)露光光を透過する透過部、配向制御用突起の形成領域に対応し透過部よりも低い透過率を有する第1露光制御部、並びにスペーサの形成領域に対応し第1露光制御部よりも低い透過率を有する第2露光制御部が形成されたホトマスクを介してホトレジストに露光光を照射し、(c)露光後のホトレジストに現像処理を施すことにより形成されたものであることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の液晶用カラーフィルターの製造方法は、(a)感光波長領域の光を吸収するポジ型ホトレジストをカラーフィルター基材の一方面上に塗布する塗布工程と、(b)露光光を透過する透過部、配向制御用突起の形成領域に対応し透過部よりも低い透過率を有する第1露光制御部、並びにスペーサの形成領域に対応し第1露光制御部よりも低い透過率を有する第2露光制御部が形成されたホトマスクを介してホトレジストに露光光を照射する露光工程と、(c)露光工程後のホトレジストに現像処理を施して該一方面上にスペーサ及び配向制御用突起を形成する現像工程と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、感光波長領域の光を吸収するポジ型ホトレジストをカラーフィルター基材の一方面上に塗布し、このホトレジストに上記所定のホトマスクを介して露光光を照射することで、ホトレジストの各領域における露光光の到達深度を制御することができる。すなわち、上記階調ホトマスクにおいては透過部、第1露光制御部、第2露光制御部の順に透過率が低くなっているため、露光光の到達深度はホトレジスト除去領域(透過部に対応する領域)、配向制御用突起の形成領域、スペーサの形成領域の順に小さくなる。従って、かかる露光後のホトレジストに現像処理を施すことにより、配向制御用突起と、当該配向制御用突起よりも高いスペーサとを同時に且つ均一に形成することができる。このようにしてスペーサ及び配向制御用突起が形成された本発明の液晶用カラーフィルターは、MVAモードの液晶表示装置に適用した場合に、広い視野角で鮮明な画像を提供することを可能とするものである。
【0010】
また本発明では、上述のように、スペーサの高さを確保するために多段構造の着色層を設ける必要がないため、スペーサの設計の自由度を大きくすることができる。従って本発明は、ブラックマトリックスの寸法が小さい高精細液晶パネルに適用可能な点で非常に有用である。
【0011】
本発明では、ホトレジストが感光波長領域の光を吸収する物質を含有することが望ましい。光吸収性を有する物質としては、ベンゾフェノン、トリアジン、サリチル酸、フルオレノン等の紫外線吸収剤や着色顔料、遮光性顔料が例示されるが、取り扱いが容易な点でカーボンブラックを好適に用いることができる。このような光吸収性を有する物質、特にカーボンブラックをホトレジストに含有せしめることで、ホトレジストに十分な光吸収性が付与されるので、スペーサ及び配向制御用突起を同時に形成する際の精度及び効率をより高めることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態に係る液晶用カラーフィルター及びその製造方法について説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0013】
まず、液晶用カラーフィルターの構造について説明する。
【0014】
図1は液晶用カラーフィルターの一部を示す上面図であり、図2は図1に示したカラーフィルター8のI−I矢印断面図である。図示のカラーフィルター8は、透明基板6、遮光層(ブラックマトリックス)7、着色樹脂領域R、G、B、保護膜4及び透明電極3で構成されるカラーフィルター基材と、透明電極3上に形成されたスペーサ1及び配向制御用突起2とを備えている。
【0015】
透明基板6上には遮光層としてのブラックマトリクス(ブラックマスク)7が格子状に形成されており、格子状のブラックマトリックス7の開口内には光学フィルターとしての赤、緑、青に着色された着色樹脂領域R、G、Bが設けられている。換言すれば、ブラックマトリックス7は画素間の非表示領域に形成されており、着色樹脂領域R、G、Bの透過光を分離している。ブラックマトリックス7の配置により、これを組み合わせてなる液晶表示装置(液晶ディスプレイ)のコントラストの向上や、光による液晶表示装置の駆動素子の誤動作を防止することができる。
【0016】
透明基板6は、ポリエーテルサルホン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン等からなるプラスチックシート、又は各種ガラス板等を用いることができるが、本例ではガラス板を用いる。なお、ポリエーテルサルホンは耐熱性及び光透過性の点から好ましい材料である。透明基板6の表面は、コロナ放電処理、オゾン放電処理、シランカップリング剤やウレタンポリマー等の各種ポリマーによる薄膜処理等を行ってもよい。
【0017】
ブラックマトリックス7としては、Cr、Mn、Al、Ni、Ti、Ta、W、Moなどの金属又はその酸化物、窒化物及び/又は炭化物を積層してなる単層膜、多層膜或いは複合膜、更には樹脂中に遮光剤を分散させた樹脂膜が用いられる。
【0018】
また、着色樹脂領域R、G、Bは、液晶中に表示不良の原因となる不純物を溶出しなければ、いかなる材料のものであっても良い。具体的な材質としては、任意の光のみを透過するように膜厚制御された無機膜や、染色、染料分散又は顔料分散された樹脂などがある。これらの膜は、スパッタ法などの堆積法、染色法、、染料分散法、顔料分散法、印刷法、インクジェット法などにより形成することができる。この樹脂の種類は特に制限されないが、ノボラック樹脂などのフェノール樹脂、アクリル、ポリビニルアルコール、ポリイミドを使用することができる。なお、製造プロセスの簡便さや耐候性などの面から、着色樹脂領域R、G、Bには、顔料分散された樹脂膜を用いることが好ましい。
【0019】
ブラックマトリックス7及び着色樹脂領域R、G、Bは保護膜4によって覆われており、保護膜4上には液晶にバイアスを与えるための透明電極3が全面に形成されている。透明電極3の材料としてはITO(酸化インジウム−酸化スズ)、保護膜の材料としてはエポキシ変性アクリレート樹脂やポリイミド樹脂等の耐熱透明樹脂が用いられる。
【0020】
透明電極3上には、ホトレジスト(樹脂)からなる柱状スペーサ1及び配向制御用突起2がそれぞれ複数設けられる。スペーサ1はブラックマトリックス7の直上に位置している。スペーサ1は、カラーフィルター8と後述するTFT基板(電子素子基板)との間に介在し、その液晶が充填される空間を提供する。
【0021】
スペーサ1は、後述する配向制御用突起2よりも高くなるように形成されるが、スペーサ1の高さは、一般的に、液晶の動作の安定性、パネルの表示安定性の点で2〜7μmが好ましく、3〜5μmがより好ましい。なお、ここでいうスペーサ1の高さとは、スペーサ1の底面と最上表面との間の距離の最大を意味する。
【0022】
また、透明電極3上には、ホトレジストからなる配向制御用突起2がストライプ状に複数設けられている。配向制御用突起2は、図2に示したように、着色樹脂領域R、G、Bそれぞれの直上に位置しており、その縦断面形状はドーム形状である。配向制御用突起2は、カラーフィルターと後述するTFT基板との空間を複数の領域に分割・区分し、当該空間に充填された液晶を領域ごとに異なった方向に配向させるもので、これによりMVAモードの液晶表示装置が実現される。
【0023】
配向制御用突起2は、スペーサ1よりも低くなるように形成されるが、配向制御用突起2の高さは、一般的に、0.1〜3μmが好ましく、0.5〜2μmがより好ましいとされる。
【0024】
スペーサ1の高さは液晶パネルのセルギャップを規定するもので、面内のスペーサ高さの均一性は液晶パネルの表示品位を決定する。一般的な液晶パネルではセルギャップの許容幅は±0.2μmであると言われるが、局部的なセルギャップの変動は、シミ・むらといった表示不良を招くため、スペーサ1の高さの面内均一性にははるかに厳しい管理が要求される。
【0025】
また、配向制御用突起2に関しても、局部的なパターン幅や突起の高さの変動は表示むらの原因となるため、配向制御用突起2の高さの面内均一性は±0.2μmであることが望ましい。配向制御用突起の面内均一性が±0.2μmの範囲外となる場合には、表示不良を招く危険性が高まる。
【0026】
スペーサ1及び配向制御用突起2は、感光波長領域の光を吸収するポジ型ホトレジストで構成される。ポジ型ホトレジストとしては、一般的なノボラック樹脂系、ヒドロキシスチレン系等のレジストに光吸収性を付与したものが利用可能である。ホトレジストに光吸収性を付与する物質(吸光性物質)としては、ベンゾフェノン、トリアジン、サリチル酸、フルオレノン等の紫外線吸収剤や着色顔料、遮光性顔料等が例示されるが、取り扱いが容易な点でカーボンブラックを好適に用いることができる。吸光性物質の添加濃度は、ホトレジストの感光波長領域における平均透過率が、ホトレジスト膜1μmにおいて35〜50%の範囲内となるように調整することが望ましい。平均透過率が35%/μm未満の場合には、ホトレジストの感度が不十分となり、露光に多大の時間を要して生産性が低下するため好ましくない。また、平均透過率が50%/μmを超えると、配向制御用突起2の高さが露光量や現像等のプロセス変動に対して過剰に敏感となり、安定な品質のカラーフィルターを形成することが困難となるため好ましくない。
【0027】
本発明では、後述する製造方法によりスペーサ1及び配向制御用突起2が同時に形成される。
【0028】
図3は本発明の液晶カラーフィルターの製造方法の一例を示す説明図である。先ず、ホトリソグラフィ技術を用いて透明基板6上に格子状の遮光層(ブラックマトリックス)7を形成する。次に、ホトリソグラフィ技術を用いて、ブラックマトリックス7の開口内に赤、緑、青に着色したホトレジストを順次形成する。さらに、必要に応じて着色層の上に保護膜4を形成してもよい。
【0029】
しかる後、上記積層体の露出表面上に透明電極3を堆積させて、透明基板6、ブラックマトリックス7、着色樹脂領域R、G、B、保護膜4、透明電極3が積層されたカラーフィルター基材を得る。上述のように、透明電極3はITOからなり、この堆積工程はスパッタ法を用いて行われる。
【0030】
次に、カラーフィルター基材の透明電極3上にポジ型ホトレジスト30を塗布する(図3(a))。塗布工程では、ポジ型ホトレジスト30をむら無く均一に塗布する必要があることから、スピンコータが一般的に用いられるが、ダイコータやロールコータといった漿液型の塗布装置を用いることも可能である。塗布されたポジ型ホトレジスト膜30は5〜120℃でプリベークされる。
【0031】
次に、スペーサ1及び配向制御用突起2の形成領域に対応するパターンが形成された階調ホトマスク31を介して、ホトレジスト30に露光光を照射する(図3(b))。
【0032】
階調ホトマスク31は、露光光を透過する透過部32、配向制御用突起2の形成領域に対応し透過部32よりも低い透過率を有する第1露光制御部33、並びにスペーサ1の形成領域に対応し第1露光制御部34よりも低い透過率を有する第2露光制御部が形成されたものである。この階調ホトマスク31を用いることで、透過部32を通る露光光の到達深度が最も深く、第2露光制御部12を通る露光光の到達深度が最も浅くなるように、ホトレジスト30における露光光の到達深度が制御される。その結果、スペーサ1及び配向制御用突起2それぞれの形成領域、並びにホトレジスト除去領域(スペーサ1及び配向制御用突起2のいずれも形成されない領域)に対応する所定の潜像濃度分布が形成される。
【0033】
透過部10、第1露光制御部11及び第2露光制御部それぞれにおける透過率は、目的とするスペーサ1及び配向制御用突起2の高さ等に応じて適宜設定される。例えば、スペーサ1の高さを4〜5μm、配向制御用突起2の高さを0.5〜1.5μmとする場合、露光光に対する透過率を透過部10で95%以上(より好ましくは100%)、第1露光制御部で20〜60%、第2露光制御部で5%以下(より好ましくは0%)とすることが好ましい。
【0034】
次に、露光工程後のホトレジスト30を現像液に浸漬することで現像処理し、スペーサ1及び配向制御用突起2の対応部分を残留させる(図3(c))。現像処理に用いられる現像液としては、カリウム、ナトリウム等の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、及びこれらの混合物の水溶液、あるいは有機アミン水溶液などを用いることが可能である。また、現像液は、現像を補助するための界面活性剤を含んでいてもよい。
【0035】
現像処理により形成されたホトレジストパターンを、更に180〜240℃で20〜60分の熱処理して硬化させる。この結果、縦断面台形状のスペーサ1、並びに半円状の配向制御用突起2が同時に形成される。
【0036】
このように、上記製造方法によれば、ポジ型ホトレジスト30を透明電極3上に塗布し、このホトレジスト30に階調ホトマスク31を介して露光光を照射し、さらに露光後のホトレジスト30に現像処理を施すことで、配向制御用突起2と、配向制御用突起2よりも高いスペーサ1とを同時に且つ均一に形成することができる。
【0037】
また、スペーサ1の高さを確保するために多段構造の着色層を設ける必要がないため、ブラックマトリックスの寸法が小さくてもその直上に十分な高さのスペーサ1を設けることができるため、高精細液晶パネルにも適している。
【0038】
このように、本発明のカラーフィルターは、液晶の電気光学応答を利用することにより画像や文字の表示を行う液晶表示装置に有用であり、情報処理等の分野で用いられる。具体的には、パソコン、ワードプロセッサー、ナビゲーションシステム、液晶テレビ、ビデオ等の表示画面や、液晶プロジェクター等に用いられる。
【0039】
図4は、上記カラーフィルター8を用いたMVAモード液晶表示装置の一例を示す斜視図である。図4中、透明基板6上には偏光板9が設けられ、カラーフィルター8のスペーサ1上には配向膜(図示せず)が形成される。この配向膜は、スペーサ1上に樹脂を塗布した後、これをラビング処理することによって形成される。さらにこの上に配向膜が形成されたTFT基板12が取付けられる。カラーフィルター8とTFT基板12との間には、スペーサ1及びカラーフィルター8の外周部に位置する外枠15が設けられており、これらによって規定される空間内に液晶が充填される。なおTFT基板12は、カラーフィルター8側から透明基板(ガラス)11及び偏光板10を順次設けてなり、透明基板11上には、液晶の偏光方法をスイッチングによって可変するための薄膜トランジスタ(TFT)(図示せず)が画素に対応して設けられている。また、TFT基板12のカラーフィルター8と対向する面上には、カラーフィルター8と同様に、配向制御用突起(図示せず)が設けられている。なお、TFT基板12の代わりに、メタル・インシュレーター・メタル(MIM)、バリスタ、ダイオード等のアクティブ素子を有する電子素子基板を用いてもよい。また、カラーフィルター8は印刷や電着などの方法によって形成してもよい。
【0040】
TFT基板12の背面に配置されるバックライト16によってTFT基板12を照明すると、この照明光はTFTによる液晶のスイッチングによって、画素毎にTFT基板12を通過し、カラーフィルター8に入射する。カラーフィルター8には画素に対応して着色樹脂領域R、G、Bが設けられているので、カラーフィルター8からは画素毎に発光色が制御された画像が出力される。このとき、TFT基板12及びカラーフィルター8のそれぞれに設けられた配向制御用突起2により、以下に示す原理に基づいて液晶分子の配向が制御される。
【0041】
図5は上記カラーフィルター8を用いたMVAモード液晶表示装置の断面を拡大して模式的に示す説明図である。MVAモードの液晶表示装置は、上記カラーフィルター8と、配向制御用突起2が形成されたTFT(薄膜トランジスタ)基板12とを、両者の対向表面が平行となるように重ね合わせたものである。
【0042】
なお、以下の説明では、便宜上、カラーフィルター8及びTFT基板12を「基板8、12」といい、これらの対向表面を「基板表面」という。また、カラーフィルター8に形成された配向制御用突起を2a、TFT基板に形成された配向制御用突起を2bとする。配向制御用突起2a、2bが形成された後には、突起2a、2bの表面を含めて基板表面が構成され、突起2a、2b上に特定の膜が形成されている場合には、これが基板表面を構成する。
【0043】
スペーサ1により提供されるTFT基板12とカラーフィルター8との間の空間には液晶分子100が狭持されて液晶セルが形成されている。カラーフィルター8の基板表面上には、上述のように、複数の配向制御用突起2aが離隔して設けられている。また、TFT基板12の基板表面においても複数の配向制御用突起2bが離隔して設けられているが、突起2b群は突起2a群に対してそれらの配列方向に沿ってずれた配置となっている。すなわち、突起2a群と突起2b群とは、突起形成前の基板表面に垂直な方向の延長線上に相手方の突起が位置しないように互い違いに配置されており、且つ、突起2aの2表面の一方が突起2bの2表面の一方に対向し、液晶層13を構成する液晶分子100がこれらの表面間を接続するように配向している。
【0044】
カラーフィルター8における突起形成前の基板表面に垂直な面内において、配向制御用突起2aは当該表面に対して傾斜した角度を有し且つ互いに所定角度を成す2表面を有しており、この2表面に接触する液晶層13内の液晶分子100の配向方向は、2表面の境界を境に異なっている。すなわち、1つの配向制御用突起2aに対して液晶層13を構成する液晶分子100が2分割されている。
【0045】
同様に、TFT基板12における突起形成前の基板表面に垂直な面内において、配向制御用突起2bは当該表面に対して傾斜した角度を有し且つ互いに所定角度を成す2表面を有しており、この2表面に接触する液晶層13内の液晶分子100の配向方向は、2表面の境界を境に異なっている。すなわち、1つの配向制御用突起2bに対して液晶層13を構成する液晶分子100が2分割されている。
【0046】
このような液晶表示装置においては、基板8、12の画素領域毎に電圧が印加される。
【0047】
非電圧印加時には、液晶層13を構成する液晶分子100は基板表面に対して垂直に配向する。このとき、突起2a、2bの部分の液晶分子100は突起2a、2bの斜面に垂直に配向しようとするが、それ以外の液晶分子100の殆どは突起形成前の基板表面に対してほぼ垂直に配向するため、良好な黒表示が得られる。
【0048】
また、基板8、12の画素領域毎に電圧が印加されると、電圧に応じて液晶層13を構成する液晶分子100の配向方向が変化する。同図は電圧印加時における液晶分子を示しており、その配向方向は基板表面に対して傾斜している。液晶層13内の液晶分子100は電圧印加時においては接触面に垂直な方向に沿って配向する。液晶分子100は配向制御用突起2a、2bや突起2a、2b上に形成された膜に接触するので、突起2a、2bは液晶分子100の配向方向を制御することとなる。
【0049】
電圧印加時には、突起2a、2bの傾斜部(2表面)に接触する液晶分子100が傾斜するので、両基板8、12間の液晶分子100の配向方向は、隣接するA領域とB領域とで互いに異なることとなる。すなわち、突起2a、2bは、電圧を印加したときの液晶分子の配向する方位を決めるトリガの役割を果たしている。このようにして、配向制御用突起2a、2bそれぞれを基点として表示部全体の液晶分子100の配向が制御され、液晶表示装置における十分に広い視野角が実現される。なお、突起2a、2bそれぞれの表面には、液晶分子100の垂直配向を促進する垂直配向膜を形成することもできる。
【0050】
【実施例】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0051】
[実施例1]
図3に示した手順に従ってカラーフィルターを作製した。以下、その詳細について説明する。
【0052】
先ず、透明基板6(コーニング社製無アルカリガラス1737、基板サイズ600mm×720mm、厚さ0.7mm)の一方面上に低反射クロム膜を形成し、これをエッチングすることでブラックマトリックス7を形成した。このブラックマトリックス7上に赤、緑、青の着色透明樹脂層を形成した後、スパッタ法によりITO透明電極3を形成してカラーフィルター基材を得た。
【0053】
一方、ノボラック樹脂型ホトレジスト(東京応化製OFPR−13)にカーボンブラックを添加して、波長405nmの光に対する透過率を48%/μmに調整した。このポジ型ホトレジストを上記カラーフィルター基材の透明電極3上にスピンコートし、スピンコート後のホトレジスト30を真空下で脱溶媒処理した後、120℃でプリベークして厚さ5.6μmのホトレジスト膜を形成した。
【0054】
次に、スペーサ1及び配向制御用突起2の形成領域に対応するパターンが形成された階調ホトマスク31を介して、露光ギャップ100μmで340mJ/cm2の露光光をホトレジスト30に照射した。階調ホトマスク31としては、露光光に対する透過率が、透過部32で100%、配向制御用突起2の形成領域に対応する第1露光制御部33で35%、並びにスペーサ1の形成領域に対応する第2露光制御部34で0%のものを使用した。
【0055】
露光工程後のホトレジスト30について、0.5%水酸化カリウム水溶液を用いて70秒間現像処理し、さらに200℃で20分間のベーキングを行った。このようにして、均一な高さの固着されたスペーサ1(高さ4.0μm)及び配向制御用突起2(高さ1.1μm、線幅10μm、ドーム状)を、透明電極3上に同時に形成して目的のカラーフィルター8を得ることができた。また、配向制御用突起の面内の突起分布σは0.2μmであった。ここで、突起分布σとは、突起の高さのバラツキの指標であり、σが小さいほど突起が均一に分布していることを意味する。
【0056】
[実施例2]
透明電極3上にスピンコートしたホトレジスト30のプリベーク後の厚さを5.0μmとしたこと、並びに露光工程における露光量を240mJ/cm2としたこと以外は実施例1と同様にして、カラーフィルターを作製した。得られたカラーフィルターにおいて、スペーサの高さは4.0μmであった。また、配向制御用突起はドーム状で、その線幅は10μm、高さは1.1μmであり、突起分布σは0.2μmであった。
【0057】
[実施例3、4]
実施例3及び4においては、ホトレジスト30の透過率、プリベーク後のホトレジスト30の厚さ、階調ホトマスク31の第1露光制御部33の透過率及び露光量をそれぞれ表1に示す通りとしたこと以外は実施例1と同様にしてカラーフィルターを作製した。なお、ホトレジストの透過率の調整は、カーボンブラックの添加量を変化させることにより行った。
【0058】
得られたカラーフィルターにおけるスペーサの高さ、配向制御用突起の線幅及び高さ、並びに突起分布σを表1に示す。
【0059】
[比較例1]
カーボンブラックが添加されていないポジ型ホトレジストを用い、プリベーク後のホトレジストの厚さ、階調ホトマスク31の第1露光制御部33の透過率及び露光量をそれぞれ表1に示す通りとしたこと以外は実施例1と同様にしてカラーフィルターを作製した。
【0060】
得られたカラーフィルターにおけるスペーサの高さ、配向制御用突起の線幅及び高さ、並びに突起分布σを表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
表1に示したように、実施例1〜4では、高さの異なるスペーサ及び配向制御用突起を同時に且つ均一に形成することができた。
【0063】
これに対して、比較例1に示したように、吸光性を付与しないホトレジストを用いた場合には、配向制御用突起の高さの面内均一性が低下し、実用に適したカラーフィルターを製造することができなかった。
【0064】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明によれば、高さが大きく異なるスペーサと配向制御用突起とをカラーフィルター基材上に同時に且つ均一に形成することができ、高精細液晶パネルにも適用可能な液晶用カラーフィルター、並びにその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶用カラーフィルターの一部を示す上面図である。
【図2】図1に示したカラーフィルター8のI−I矢印断面図である。
【図3】本発明の液晶カラーフィルターの製造方法の一例を示す説明図である。
【図4】本発明の液晶用カラーフィルターを用いたMVAモード液晶表示装置の一例を示す斜視図である
【図5】本発明の液晶用カラーフィルターを用いたMVAモード液晶表示装置の断面を拡大して模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
1…スペーサ、2…配向制御用突起、3…透明電極、4…保護膜、R、G、B…着色樹脂領域、6…透明基板、7…遮光層(ブラックマトリックス)、8…カラーフィルター、9、10…偏光板、11…透明基板、12…TFT基板、16…バックライト、20…液晶表示装置、30…ポジ型ホトレジスト、31…ホトマスク、32…透過部、33…第1露光制御部、34…第2露光制御部、100…液晶分子。
Claims (3)
- 印加電圧に応じて透過光量が変化する液晶が充填される空間をカラーフィルター基材の一方面上に提供するスペーサと、前記液晶を所定の方向に配向させる配向制御用突起とをそれぞれ前記一方面上に備える液晶用カラーフィルターにおいて、
前記スペーサ及び前記配向制御用突起がそれぞれ、
感光波長領域の光を吸収するポジ型ホトレジストを前記一方面上に塗布し、
露光光を透過する透過部、前記配向制御用突起の形成領域に対応し前記透過部よりも低い透過率を有する第1露光制御部、並びに前記スペーサの形成領域に対応し前記第1露光制御部よりも低い透過率を有する第2露光制御部が形成されたホトマスクを介して前記ホトレジストに露光光を照射し、
露光後の前記ホトレジストに現像処理を施す
ことにより形成されたものであることを特徴とする液晶用カラーフィルター。 - 前記ホトレジストがカーボンブラックを含有することを特徴とする、請求項1に記載の液晶用カラーフィルター。
- 感光波長領域の光を吸収するポジ型ホトレジストをカラーフィルター基材の一方面上に塗布する塗布工程と、
露光光を透過する透過部、配向制御用突起の形成領域に対応し前記透過部よりも低い透過率を有する第1露光制御部、並びにスペーサの形成領域に対応し前記第1露光制御部よりも低い透過率を有する第2露光制御部が形成されたホトマスクを介して前記ホトレジストに露光光を照射する露光工程と、
前記露光工程後の前記ホトレジストに現像処理を施して前記一方面上にスペーサ及び配向制御用突起を形成する現像工程と、
を備えることを特徴とする液晶用カラーフィルターの製造方法。
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