JP2004059613A - 耐アルカリ性に優れた湿気硬化型樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐アルカリ性に優れた湿気硬化型樹脂組成物を提供する。
【解決手段】この湿気硬化型樹脂組成物は、(a)分子鎖末端に対する反応性ケイ素基の導入率が平均して88%以上である反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体と、(b)エポキシ樹脂と、(c)微小中空粉体とを含有する。(a)成分100質量部に対して、(c)成分が10〜50質量部配合されてなる。(a)成分としては、オキシプロピレン重合体の末端に、ジメトキシメチルシリル基が導入されてなるものが用いられる。また、(c)成分としては、粒径が5〜200μmのガラスバルーンが用いられる。この湿気硬化型樹脂組成物は、アルカリ温水溶液などのアルカリ性物質に曝されても、接着力及び変形追従性が低下しにくいので、セメント系下地材とタイルとの貼合用接着剤として好適に用いられる。
【選択図】 なし
【解決手段】この湿気硬化型樹脂組成物は、(a)分子鎖末端に対する反応性ケイ素基の導入率が平均して88%以上である反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体と、(b)エポキシ樹脂と、(c)微小中空粉体とを含有する。(a)成分100質量部に対して、(c)成分が10〜50質量部配合されてなる。(a)成分としては、オキシプロピレン重合体の末端に、ジメトキシメチルシリル基が導入されてなるものが用いられる。また、(c)成分としては、粒径が5〜200μmのガラスバルーンが用いられる。この湿気硬化型樹脂組成物は、アルカリ温水溶液などのアルカリ性物質に曝されても、接着力及び変形追従性が低下しにくいので、セメント系下地材とタイルとの貼合用接着剤として好適に用いられる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐アルカリ性に優れた湿気硬化型樹脂組成物に関し、特に、セメント系下地材とタイルとを接着するのに適した湿気硬化型樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、各種下地材にタイルを貼合接着するには、セメントやモルタルを使用していたが、この場合には、適切に施工しないとタイルが剥落するということがあった。近年、熟練した施工者の確保が困難となっているため、施工の簡単な有機系接着剤が用いられることが多くなってきた。特に、変成シリコーン系樹脂とエポキシ樹脂とを含有する有機系接着剤は、接着性,耐久性,変形追従性に優れており、好ましい有機系接着剤として急速に普及している。
【0003】
タイルの貼合接着は種々の下地材に対して行なわれるが、一般的に、セメント系下地材に対して行なわれる。セメント系下地材は、アルカリ性物質を含んでいるため、使用される有機系接着剤も耐アルカリ性に優れたものを用いる必要がある。また、タイルが外壁に対して貼合接着される場合には、風雨に長期間曝されるため、使用される有機系接着剤は、アルカリ水溶液に対して耐久性のあるものを用いる必要がある。しかるに、変成シリコーン系樹脂とエポキシ樹脂とを含有する有機系接着剤は、長期間アルカリ水溶液に曝されたとき、接着力及び変形追従性が低下するという欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者などは、長期間アルカリ水溶液に曝されても接着力及び変形追従性が低下しにくい有機系接着剤を開発すべく、鋭意研究した結果、特定の変成シリコーン系樹脂と、この変成シリコーン系樹脂に対して特定量の微小中空粉体とを併用した有機系接着剤は、長期間アルカリ水溶液に曝されても、その接着力及び変形追従性が低下しにくいことを発見した。本発明は、この発見に基づいて、なされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、(a)分子鎖末端に対する反応性ケイ素基の導入率が平均して88%以上である反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体と、(b)エポキシ樹脂と、(c)微小中空粉体とを含有し、(a)成分100質量部に対して、(c)成分が10〜50質量部配合されてなることを特徴とする耐アルカリ性に優れた湿気硬化型樹脂組成物に関するものである。
【0006】
(a)成分である反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体は、ポリオキシアルキレン系主鎖の末端に、反応性ケイ素基が導入されてなるものである。ポリオキシアルキレン系主鎖の構造としては、ROで示される構造を繰り返し単位とするオキシアルキレン系重合体であればよく、直鎖状であっても分枝状であってもよい。Rは炭素数1〜20のアルキレン基であるのが一般的であるが、酸素原子や窒素原子が含有されていてもよい。また 繰り返し単位の全てが同一である単独重合体であっても良く、2つ以上の種類の繰り返し単位を含む共重合体であっても良い。さらに、主鎖構造中にはオキシアルキレン系重合体の特性を大きく損なわない範囲でウレタン結合成分などの他の成分を含んでいてもよい。そのようなウレタン結合成分としては特に限定されず、たとえばトルエン(トリレン)ジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族系ポリイソシアネート;イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族系ポリイソシアネートなどをあげることができる。
【0007】
ポリオキシアルキレン系主鎖の末端に導入される反応性ケイ素基としては、何らかの反応により架橋構造を形成し得るケイ素含有基であれば、どのようなものでもよい。好ましくは、アルコキシアルキルシリル基が用いられる。なお、アルコキシ基としてはメトキシ基やエトキシ基などが、アルキル基としてはメチル基やエチル基などが用いられる。最も好ましくは、ジメトキシメチルシリル基が用いられる。
【0008】
ポリオキシアルキレン系主鎖の末端に導入される反応性ケイ素基の導入率は、平均で88%以上であり、好ましくは90%以上である。導入率が88%未満であると、アルカリ水溶液に対する耐久性が低下し、接着性及び変形追従性が低下するので好ましくない。ここで、導入率の測定方法は次のとおりである。すなわち、400MHz以上の高分解能1H−NMRによって、反応性ケイ素基の導入された末端と導入されていない末端の比率を算出することによって行なう。
【0009】
反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体の分子量には特に制限はないが、GPCにおけるポリスチレン換算での数平均分子量が1,000〜100,000であることが粘度の点から好ましい。さらに、数平均分子量が3,000未満では得られる反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体の硬化物が脆くなる傾向があり、60,000を越えると官能基濃度が低くなりすぎ硬化速度が低下する傾向があるため、数平均分子量が3,000〜60,000であることが好ましい。さらに、5,000〜30,000であることが機械物性発現上、特に好ましい。
【0010】
反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体としては、上述したものの他、特開2000−256458公報や特開2001−11383公報に記載されたものであっても用いることができる。また、反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体の製造方法も、前記公報に記載された方法を採用することができる。
【0011】
反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体は、大気中の湿気で硬化するものであるが、この際、硬化触媒を含有させておくのが、一般的である。硬化触媒としては、変成シリコーン系樹脂の硬化触媒として用いられているものであれば、どのようなものでも使用しうる。たとえば、テトラブチルチタネート,テトラプロピルチタネート,テトライソプロピルチタネート,チタンテトラアセチルアセトナートなどのチタン酸エステル類;ジブチルすずジラウレート、ジブチルすずマレエート、ジブチルすずジアセテート、オクチル酸すず、ナフテン酸すず、ステアリン酸すず、バーサチック酸すず、ジブチルすずオキサイドとフタル酸エステルとの反応物、ジブチルすずジアセチルアセトナートなどの有機すず化合物類;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテートなどの有機アルミニウム化合物類;ビスマス−トリス(2−エチルヘキソエート)、ビスマス−トリス(ネオデカノエート)などのビスマス塩と有機カルボン酸または有機アミンとの反応物など;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナートなどのキレート化合物類;オクチル酸鉛などの有機鉛化合物;ナフテン酸鉄などの有機鉄化合物;有機バナジウム化合物;ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)などのアミン系化合物あるいはそれらのカルボン酸などとの塩;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量ポリアミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物などを、単独で又は混合して用いることができる。これらの硬化触媒のうち、有機金属化合物類、または有機金属化合物類とアミン系化合物の併用系が硬化性の点から好ましい。さらには、硬化速度が速い点からジブチルすずマレエート、ジブチルすずオキサイドとフタル酸エステルとの反応物、ジブチルすずジアセチルアセトナートが好ましい。また、復元率の高い硬化物が得られるという点から、ジオクチル酸すずとラウリルアミンの併用系も好ましい。
【0012】
(b)成分であるエポキシ樹脂としては、従来公知のものであれば、どのようなものでも使用しうる。たとえば、ビフェニル、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールSなどとエピクロルヒドリンを反応させて得られるビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂などやこれらを水添化あるいは臭素化したエポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ウレタン結合を有するウレタン変性エポキシ樹脂、メタキシレンジアミンやヒダントインなどをエポキシ化した含窒素エポキシ樹脂、ポリブタジエンあるいはNBRを含有するゴム変性エポキシ樹脂などを、単独で又は混合して用いることができる。
【0013】
エポキシ樹脂の硬化剤としても、従来公知のものであれば、どのようなものでも用いることができる。たとえば、ジエチレントリアミン,トリエチレンテトラミン,テトラエチレンペンタミン,ジプロプロピレントリアミン,ビスヘキサメチレントリアミン,1,3,6−トリスアミノメチルヘキサン,トリメチルヘキサメチレンジアミン,ポリエーテルジアミン,ジエチルアミノプロピルアミン,メンセンジアミン,ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン,N−アミノエチルピペラジン,メタキシリレンジアミン,メタフェニレンジアミン,ジアミノジフェニルスルフォン,イソフォロンジアミン,ジアミノジフェニルメタンの単体およびこれらの変性物などを、単独で又は混合して用いることができる。また、フェノールノボラック,ポリメルカプタン化合物,ポリサルファイド,ケチミン化合物,オキサゾリジン化合物,第三アミン化合物,有機酸ヒドラジッド,ジシアンジアミドおよびその誘導体,アミンイミド,カルボン酸エステル,三フッ化硼素−アミンコンプレックス,イミダゾール化合物,酸無水物類,脂肪族酸無水物類,ハロゲン化酸無水物類,芳香族ジアジニウム塩,ジアリルヨードニウム塩,トリアリルスルホニウム塩,トリアリルセレニウム塩などを単独で又は混合して用いることができる。
【0014】
(c)成分である微小中空粉体は、その径が5〜200μmのものである。径が200μmを超えると、微小とはいえず、接着力に悪影響を与える傾向が生じる。一方、径が5μm未満のものは、入手しにくく、しかも取り扱いにくい傾向がある。また、この微小粉体は中空である。非中空であると、接着層が硬くなり、下地材面やタイル面との界面で剥離しやすくなり、接着力が低下するので好ましくない。微小中空粉体は、無機質でも有機質でもよく、一般に市販されているものであれば、どのようなものでも使用できる。
【0015】
たとえば、無機質微小中空粉体としては、シラスバルーン、パーライト、ガラスバルーン、シリカバルーン、フライアッシュバルーン、アルミナバルーン、ジルコニアバルーン、カーボンバルーンなどを用いることができる。また、有機質微小中空粉体としては、ポリアクリロニトリルバルーン、フェノールバルーン、エポキシバルーン、尿素バルーン、サランバルーン、ポリスチレンバルーン、ポリメタクリレートパルーン、ポリビニルアルコールバルーン、スチレン−アクリル系バルーンなどを用いることができる。さらに、これらの微小中空粉体の表面は、炭酸カルシウム、脂肪酸、脂肪酸エステル、ロジン、ロジン酸リグニン、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミカップリング剤、ポリプロピレングリコールなどで処理されていてもよい。また、これらの微小中空粉体は、単独でも混合してもよい。本発明においては、上記した微小中空粉体の中でも、特にガラスバルーンを使用するのが好ましい。この理由は、ガラスバルーンが(a)成分に対する親和性に優れており、且つ湿気硬化型樹脂組成物を製造する際の攪拌及び加熱時において破壊が少なく、その結果、得られた接着剤層の弾力性及び靭性のバランスが良好で、接着剤層の凝集破壊に導く効果が大きいからである。
【0016】
微小中空粉体の配合量は、(a)成分である反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体100質量部に対して、10〜50質量部である。10質量部未満であると、微小中空粉体を配合した効果が少なく、アルカリ水溶液に曝された後において、接着性が低下し、下地材面やタイル面との界面で剥離しやすくなるので、好ましくない。一方、50質量部を超えると、接着剤層自体の弾性が低下し、変形追従性が低下するので好ましくない。また、アルカリ水溶液に曝された後においても、更なる変形追従性の低下を起こすので、好ましくない。
【0017】
また、(b)成分であるエポキシ樹脂の配合量は、(a)成分である反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体100質量部に対して、5〜200質量部程度が好ましく、さらに10〜100質量部程度が最も好ましい。この配合量が5質量部未満であると、硬化後の組成物に適度な靭性及び接着性を付与しにくくなり、また強度の向上が不十分となる傾向が生じる。また、この配合量が200質量部を超えると、硬化後の組成物が硬くなり過ぎる傾向が生じる。
【0018】
(a)成分である反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体を硬化させるための硬化触媒の配合量は、重合体100質量部に対して、0.1〜20質量部程度である。たとえば、硬化触媒としてジブチルすずジアセチルアセトナートを使用する場合には、0.1〜10質量部程度が好ましい。また、硬化触媒として、ジオクチル酸すずとラウリルアミンとを併用する場合は、前者が0.5〜10質量部、後者が0.1〜10質量部程度が好ましい。また、(b)成分であるエポキシ樹脂を硬化させるための硬化剤の配合量は、エポキシ樹脂100重量部に対して、0.1〜100質量部程度であるのが好ましい。
【0019】
本発明に係る湿気硬化型樹脂組成物中には、上記(a)、(b)及び(c)成分の他に、必要に応じて、充填剤、可塑剤、垂れ防止剤、着色剤、シランカップリング剤、補強性樹脂、保存安定性改良剤、発泡剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、アミン系ラジカル連鎖禁止剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料などの各種添加剤を配合してもよい。
【0020】
本発明に係る湿気硬化型樹脂組成物の調製方法は、特に制限はなく、必要に応じて、攪拌条件などを適宜調整し、均一に分散させればよい。他にも、各成分をミキサー、ロール、またはニーダーなどを用いて混合するといった方法も採用しうる。
【0021】
本発明に係る湿気硬化型樹脂組成物は、全成分を混合して1液型として供給することができる。1液型として供給する場合は、大気中の湿気と接触すると硬化するので、湿気を遮断した密閉状態で取り扱う必要がある。また、2液型として、硬化触媒などと他の成分とを分けて供給することもできる。この場合は、大気中の湿気と接触しても硬化しにくいので、湿気を遮断した密閉状態で取り扱わなくても、差し支えない。
【0022】
本発明に係る湿気硬化型樹脂組成物の用途は、特に、セメント系下地材とタイルとを接着するのに用いるタイル用接着剤として好適である。また、タイル用以外にも湿気硬化型接着剤として使用することもできる。さらに、湿気硬化型シーリング剤、湿気硬化型ポッティング材、湿気硬化型塗装材などにも用いることができる。
【0023】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。本発明は、特定の反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体と、エポキシ樹脂と、反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体に対して特定量の微小中空粉体とが混合されてなる湿気硬化型樹脂組成物は、アルカリ水溶液に曝されても、その接着力が低下しにくいとの発見に基づくものであるとして解釈されるべきである。
【0024】
〔反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体の調製例1〕
ポリプロピレングリコールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキサイドの重合を行い、数平均分子量8,000の水酸基末端オキシプロピレン重合体を得た。続いて、この水酸基末端オキシプロピレン重合体の水酸基に対して、1.2倍当量のNaOMeのメタノール溶液を添加してメタノールを留去し、さらに3−クロロ−2−メチル−1−プロペンを添加して末端の水酸基をメタリル基に変換した。脱塩精製処理を実施した後に得られたメタリル基末端オキシアルキレン重合体500gに対し、酸化防止剤として2,6ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、共沸溶媒としてヘキサンを加えて90℃で共沸脱水を行った。ヘキサンを減圧下留去後、8%O2/N2で容器内を置換した。これに対して白金ジビニルジシロキサン錯体溶液(白金換算で3重量%のキシレン溶液)200ppmを加え、硫黄を1eq/Ptの割合で混合し、撹拌しながら、DMS(ジメトキシメチルシラン)47gをゆっくりと滴下した。90℃で2時間反応させた後、未反応のDMSを減圧下留去し反応性ケイ素基含有オキシプロピレン重合体(以下、「ポリマーA」という。)を得た。
【0025】
このポリマーAの末端への反応性ケイ素基導入率を、日本電子社製JNM−LA400(400MHz)を用いて、1H−NMR分析により算出した。その結果、ポリマーAの末端への反応性ケイ素基導入率は88%であった。また、ポリマーAの数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を、サイズ排除クロマトグラフィー(GPC)により分析した。サイズ排除クロマトグラフィーは、ポリスチレンゲル(東ソー株式会社製)を充填したカラムに、移動相としてテトラヒドロフランを用いて、カラム温度40℃で測定した。なお、標準物質としてはポリスチレンを用いた。この結果、ポリマーAの数平均分子量は約10,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.13であった。
【0026】
〔反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体の調製例2〕
DMS(ジメトキシメチルシラン)の反応時間を5時間とする他は、調製例1と同様にして反応性ケイ素基含有オキシプロピレン重合体(以下、「ポリマーB」という。)を得た。
このポリマーBの末端への反応性ケイ素基導入率は98%であった。また、ポリマーBの数平均分子量は約10,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.13であった。
【0027】
〔反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体の調製例3〕
水酸基末端オキシプロピレン重合体の数平均分子量を15,000とし、DMS(ジメトキシメチルシラン)の滴下量を25gとした他は、調製例2と同様の方法で反応性ケイ素基含有オキシプロピレン重合体(以下、「ポリマーC」という。)を得た。
このポリマーCの末端への反応性ケイ素基導入率は98%であった。また、ポリマーCの数平均分子量は約17,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.13であった。
【0028】
〔反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体の調製例4〕
アリルクロライドを用いて、水酸基末端オキシプロピレン重合体の末端水酸基をアリル基に変換する他は、実施例2と同様の方法で反応性ケイ素基含有オキシプロピレン重合体(以下、「ポリマーD」という。)を得た。
このポリマーDの末端への反応性ケイ素基導入率は82%であった。また、ポリマーDの数平均分子量は約10,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.13であった。
【0029】
〔反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体の調製例5〕
反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体として、市販品であるSAX710(商品名、鐘淵化学工業社製)を準備した。SAX710の反応性ケイ素基導入率は95%であった。また、SAX710は、数平均分子量が約10,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.13であった。
【0030】
〔反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体の調製例6〕
反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体として、市販品であるSAT350(商品名、鐘淵化学工業社製)を準備した。SAT350の反応性ケイ素基導入率は82%であった。また、SAT350は、数平均分子量が約17,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.15であった。
【0031】
実施例1
調製例1で得たポリマーA100重量部に、エポキシ樹脂(商品名:エピコート828、ジャパンエポキシレジン社製)15質量部、重質炭酸カルシウム(商品名:NS100、日東粉化社製)150質量部、表面処理炭酸カルシウム(商品名:白艶華CC、白石カルシウム社製)100質量部、微小中空粉体(径40μmのガラスバルーン、商品名:バルーンS35、富士シリシア化学社製)30質量部、可塑剤(分子量3000程度のポリプロピレングリコール、商品名:スミフェン3700K、住友化学バイエルウレタン社製)50質量部を配合し、100℃で15トールおよび2時間の条件で減圧・加熱し、均一になるまで攪拌混合した。均一になれば室温まで冷却した。
その後、そこへシランカップリング剤(商品名:KBM403、信越化学工業社製)2質量部、シランカップリング剤(商品名:TSL8124、GE東芝シリコーン社製)5質量部、ポリマーAの硬化触媒(ブチルすず化合物、商品名:スタン918、三共有機合成社製)2質量部およびエポキシ樹脂の硬化触媒(ジエチレントリアミンとメチルイソブチルケトンからなるケチミン化合物1molにスチレンオキサイド1molを反応させて得られるケチミン化合物)4質量部を加え、減圧攪拌して湿気硬化型樹脂組成物を得た。
【0032】
実施例2
調製例1で得たポリマーAに代えて、調製例2で得たポリマーBを用いる他は、実施例1と同様の方法で湿気硬化型樹脂組成物を得た。
【0033】
実施例3
調製例1で得たポリマーAに代えて、調製例3で得たポリマーCを用いる他は、実施例1と同様の方法で湿気硬化型樹脂組成物を得た。
【0034】
実施例4
調製例1で得たポリマーAに代えて、調製例5で準備したSAX710を用いる他は、実施例1と同様の方法で湿気硬化型樹脂組成物を得た。
【0035】
実施例5
微小中空粉体としてガラスバルーンに代えて、フライアッシュバルーン(径45μm、商品名:SL75、E−SPHERES社製)を用いる他は、実施例4と同様の方法で湿気硬化型樹脂組成物を得た。
【0036】
実施例6
微小中空粉体としてガラスバルーンに代えて、ポリアクリロニトリル系バルーン表面に炭酸カルシウムがコーティングされたもの(径100μm、商品名:MFL−100CA、松本油脂製薬社製)を用いる他は、実施例4と同様の方法で湿気硬化型樹脂組成物を得た。
【0037】
比較例1
調製例1で得たポリマーAに代えて、調製例4で得たポリマーDを用いる他は、実施例1と同様の方法で湿気硬化型樹脂組成物を得た。
【0038】
比較例2
調製例1で得たポリマーAに代えて、調製例6で準備したSAT350を用いる他は、実施例1と同様の方法で湿気硬化型樹脂組成物を得た。
【0039】
比較例3
微小中空粉体としてガラスバルーンに代えて、微小非中空粉体であるガラスビーズ(粒度範囲:38〜58μm、商品名:UB−13L、ユニオン社製)を用いる他は、実施例4と同様の方法で湿気硬化型樹脂組成物を得た。
【0040】
比較例4
微小中空粉体であるガラスバルーンの配合量を5質量部とした他は、実施例4と同様の方法で湿気硬化型樹脂組成物を得た。
【0041】
比較例5
微小中空粉体であるガラスバルーンの配合量を60質量部とした他は、実施例4と同様の方法で湿気硬化型樹脂組成物を得た。
【0042】
実施例1〜6及び比較例1〜5に係る湿気硬化型樹脂組成物を用いて、接着性の試験を行なった。接着性の試験は、建設省官民連帯共同研究「有機系接着剤を利用した外装タイル・石張りシステムの開発」で策定された試験方法に準拠して、標準養生を行なった後のモルタルとタイルとの接着強さ(N/mm2)及び破壊状態、アルカリ温水溶液に浸漬した後のモルタルとタイルとの接着強さ(N/mm2)及び破壊状態の試験を行なった。なお、破壊状態は、目視による凝集破壊率で表した。凝集破壊率は、接着面積をXとし界面破壊が起こした面積をYとしたとき、〔(X−Y)/X〕×100で算出されるものである。その結果は表1に示したとおりであった。
【0043】
【0044】
表1の結果から明らかなように、実施例1〜6に係る湿気硬化型樹脂組成物を使用した場合には、アルカリ温水溶液に浸漬した後において、モルタルとタイルとの接着強さの低下が少ないか、又は接着強さが向上していることが分かる。一方、比較例1〜5に係る湿気硬化型樹脂組成物の場合には、アルカリ温水溶液に浸漬すると、接着強さの低下が大きいことが分かる。さらに、実施例1〜6の場合には、破壊状態が概ね凝集破壊であるのに対し、比較例1〜4の場合には、アルカリ温水溶液に浸漬すると、破壊状態が概ねモルタル−接着剤層間の界面破壊となってしまう。このような界面破壊は、業界において、接着性の低下を意味しており、好ましくない。したがって、実施例1〜6に係る湿気硬化型樹脂組成物は、アルカリ温水溶液に曝されても、接着強さ及び変形追従性の低下が少なく、耐アルカリ性に優れているということが分かる。
【0045】
また、実施例4〜6及び比較例3〜5に係る湿気硬化型樹脂組成物を用いて、皮膜を作成し、皮膜物性を試験した。皮膜物性の試験は、建設省官民連帯共同研究「有機系接着剤を利用した外装タイル・石張りシステムの開発」で策定された試験方法に準拠して、標準養生を行なった後の皮膜の引張強さ(N/mm2)及び伸び(%)、アルカリ温水溶液に浸漬した後の皮膜の引張強さ(N/mm2)及び伸び(%)の試験を行なった。その結果は表2に示したとおりであった。
【0046】
【0047】
表2の結果から明らかなように、実施例及び比較例共に、アルカリ温水溶液浸漬後において、皮膜の引張強さが高くなっている。しかしながら、実施例4〜6の場合は、比較例3及び4の場合と比べて、皮膜の引張強さの上昇の程度が小さく、その結果として、表1に示したように凝集破壊率の低下が少なくなり、また、接着強さもその低下が少ないか、又は向上している。比較例3及び4の場合は、皮膜の引張強さの上昇の程度が大きく、その結果として、表1に示したように凝集破壊率が大きく低下し、また、接着強さも低下している。なお、比較例5の場合、皮膜の伸びが極端に低く、接着層に変形追従性を与えられないことが分かる。
【0048】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明に係る湿気硬化型樹脂組成物は、特定の反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体と、特定量の微小中空粉体が含有されているため、その作用は定かではないが、アルカリ温水溶液に曝されても、その接着力及び変形追従性が低下しにくいという効果を奏するものである。すなわち、本発明に係る湿気硬化型樹脂組成物は耐アルカリ性に優れており、このため、たとえばアルカリ性物質を含有するセメント系下地材とタイルとの接着剤として好適に用いられるものである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐アルカリ性に優れた湿気硬化型樹脂組成物に関し、特に、セメント系下地材とタイルとを接着するのに適した湿気硬化型樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、各種下地材にタイルを貼合接着するには、セメントやモルタルを使用していたが、この場合には、適切に施工しないとタイルが剥落するということがあった。近年、熟練した施工者の確保が困難となっているため、施工の簡単な有機系接着剤が用いられることが多くなってきた。特に、変成シリコーン系樹脂とエポキシ樹脂とを含有する有機系接着剤は、接着性,耐久性,変形追従性に優れており、好ましい有機系接着剤として急速に普及している。
【0003】
タイルの貼合接着は種々の下地材に対して行なわれるが、一般的に、セメント系下地材に対して行なわれる。セメント系下地材は、アルカリ性物質を含んでいるため、使用される有機系接着剤も耐アルカリ性に優れたものを用いる必要がある。また、タイルが外壁に対して貼合接着される場合には、風雨に長期間曝されるため、使用される有機系接着剤は、アルカリ水溶液に対して耐久性のあるものを用いる必要がある。しかるに、変成シリコーン系樹脂とエポキシ樹脂とを含有する有機系接着剤は、長期間アルカリ水溶液に曝されたとき、接着力及び変形追従性が低下するという欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者などは、長期間アルカリ水溶液に曝されても接着力及び変形追従性が低下しにくい有機系接着剤を開発すべく、鋭意研究した結果、特定の変成シリコーン系樹脂と、この変成シリコーン系樹脂に対して特定量の微小中空粉体とを併用した有機系接着剤は、長期間アルカリ水溶液に曝されても、その接着力及び変形追従性が低下しにくいことを発見した。本発明は、この発見に基づいて、なされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、(a)分子鎖末端に対する反応性ケイ素基の導入率が平均して88%以上である反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体と、(b)エポキシ樹脂と、(c)微小中空粉体とを含有し、(a)成分100質量部に対して、(c)成分が10〜50質量部配合されてなることを特徴とする耐アルカリ性に優れた湿気硬化型樹脂組成物に関するものである。
【0006】
(a)成分である反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体は、ポリオキシアルキレン系主鎖の末端に、反応性ケイ素基が導入されてなるものである。ポリオキシアルキレン系主鎖の構造としては、ROで示される構造を繰り返し単位とするオキシアルキレン系重合体であればよく、直鎖状であっても分枝状であってもよい。Rは炭素数1〜20のアルキレン基であるのが一般的であるが、酸素原子や窒素原子が含有されていてもよい。また 繰り返し単位の全てが同一である単独重合体であっても良く、2つ以上の種類の繰り返し単位を含む共重合体であっても良い。さらに、主鎖構造中にはオキシアルキレン系重合体の特性を大きく損なわない範囲でウレタン結合成分などの他の成分を含んでいてもよい。そのようなウレタン結合成分としては特に限定されず、たとえばトルエン(トリレン)ジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族系ポリイソシアネート;イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族系ポリイソシアネートなどをあげることができる。
【0007】
ポリオキシアルキレン系主鎖の末端に導入される反応性ケイ素基としては、何らかの反応により架橋構造を形成し得るケイ素含有基であれば、どのようなものでもよい。好ましくは、アルコキシアルキルシリル基が用いられる。なお、アルコキシ基としてはメトキシ基やエトキシ基などが、アルキル基としてはメチル基やエチル基などが用いられる。最も好ましくは、ジメトキシメチルシリル基が用いられる。
【0008】
ポリオキシアルキレン系主鎖の末端に導入される反応性ケイ素基の導入率は、平均で88%以上であり、好ましくは90%以上である。導入率が88%未満であると、アルカリ水溶液に対する耐久性が低下し、接着性及び変形追従性が低下するので好ましくない。ここで、導入率の測定方法は次のとおりである。すなわち、400MHz以上の高分解能1H−NMRによって、反応性ケイ素基の導入された末端と導入されていない末端の比率を算出することによって行なう。
【0009】
反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体の分子量には特に制限はないが、GPCにおけるポリスチレン換算での数平均分子量が1,000〜100,000であることが粘度の点から好ましい。さらに、数平均分子量が3,000未満では得られる反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体の硬化物が脆くなる傾向があり、60,000を越えると官能基濃度が低くなりすぎ硬化速度が低下する傾向があるため、数平均分子量が3,000〜60,000であることが好ましい。さらに、5,000〜30,000であることが機械物性発現上、特に好ましい。
【0010】
反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体としては、上述したものの他、特開2000−256458公報や特開2001−11383公報に記載されたものであっても用いることができる。また、反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体の製造方法も、前記公報に記載された方法を採用することができる。
【0011】
反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体は、大気中の湿気で硬化するものであるが、この際、硬化触媒を含有させておくのが、一般的である。硬化触媒としては、変成シリコーン系樹脂の硬化触媒として用いられているものであれば、どのようなものでも使用しうる。たとえば、テトラブチルチタネート,テトラプロピルチタネート,テトライソプロピルチタネート,チタンテトラアセチルアセトナートなどのチタン酸エステル類;ジブチルすずジラウレート、ジブチルすずマレエート、ジブチルすずジアセテート、オクチル酸すず、ナフテン酸すず、ステアリン酸すず、バーサチック酸すず、ジブチルすずオキサイドとフタル酸エステルとの反応物、ジブチルすずジアセチルアセトナートなどの有機すず化合物類;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテートなどの有機アルミニウム化合物類;ビスマス−トリス(2−エチルヘキソエート)、ビスマス−トリス(ネオデカノエート)などのビスマス塩と有機カルボン酸または有機アミンとの反応物など;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナートなどのキレート化合物類;オクチル酸鉛などの有機鉛化合物;ナフテン酸鉄などの有機鉄化合物;有機バナジウム化合物;ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)などのアミン系化合物あるいはそれらのカルボン酸などとの塩;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量ポリアミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物などを、単独で又は混合して用いることができる。これらの硬化触媒のうち、有機金属化合物類、または有機金属化合物類とアミン系化合物の併用系が硬化性の点から好ましい。さらには、硬化速度が速い点からジブチルすずマレエート、ジブチルすずオキサイドとフタル酸エステルとの反応物、ジブチルすずジアセチルアセトナートが好ましい。また、復元率の高い硬化物が得られるという点から、ジオクチル酸すずとラウリルアミンの併用系も好ましい。
【0012】
(b)成分であるエポキシ樹脂としては、従来公知のものであれば、どのようなものでも使用しうる。たとえば、ビフェニル、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールSなどとエピクロルヒドリンを反応させて得られるビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂などやこれらを水添化あるいは臭素化したエポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ウレタン結合を有するウレタン変性エポキシ樹脂、メタキシレンジアミンやヒダントインなどをエポキシ化した含窒素エポキシ樹脂、ポリブタジエンあるいはNBRを含有するゴム変性エポキシ樹脂などを、単独で又は混合して用いることができる。
【0013】
エポキシ樹脂の硬化剤としても、従来公知のものであれば、どのようなものでも用いることができる。たとえば、ジエチレントリアミン,トリエチレンテトラミン,テトラエチレンペンタミン,ジプロプロピレントリアミン,ビスヘキサメチレントリアミン,1,3,6−トリスアミノメチルヘキサン,トリメチルヘキサメチレンジアミン,ポリエーテルジアミン,ジエチルアミノプロピルアミン,メンセンジアミン,ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン,N−アミノエチルピペラジン,メタキシリレンジアミン,メタフェニレンジアミン,ジアミノジフェニルスルフォン,イソフォロンジアミン,ジアミノジフェニルメタンの単体およびこれらの変性物などを、単独で又は混合して用いることができる。また、フェノールノボラック,ポリメルカプタン化合物,ポリサルファイド,ケチミン化合物,オキサゾリジン化合物,第三アミン化合物,有機酸ヒドラジッド,ジシアンジアミドおよびその誘導体,アミンイミド,カルボン酸エステル,三フッ化硼素−アミンコンプレックス,イミダゾール化合物,酸無水物類,脂肪族酸無水物類,ハロゲン化酸無水物類,芳香族ジアジニウム塩,ジアリルヨードニウム塩,トリアリルスルホニウム塩,トリアリルセレニウム塩などを単独で又は混合して用いることができる。
【0014】
(c)成分である微小中空粉体は、その径が5〜200μmのものである。径が200μmを超えると、微小とはいえず、接着力に悪影響を与える傾向が生じる。一方、径が5μm未満のものは、入手しにくく、しかも取り扱いにくい傾向がある。また、この微小粉体は中空である。非中空であると、接着層が硬くなり、下地材面やタイル面との界面で剥離しやすくなり、接着力が低下するので好ましくない。微小中空粉体は、無機質でも有機質でもよく、一般に市販されているものであれば、どのようなものでも使用できる。
【0015】
たとえば、無機質微小中空粉体としては、シラスバルーン、パーライト、ガラスバルーン、シリカバルーン、フライアッシュバルーン、アルミナバルーン、ジルコニアバルーン、カーボンバルーンなどを用いることができる。また、有機質微小中空粉体としては、ポリアクリロニトリルバルーン、フェノールバルーン、エポキシバルーン、尿素バルーン、サランバルーン、ポリスチレンバルーン、ポリメタクリレートパルーン、ポリビニルアルコールバルーン、スチレン−アクリル系バルーンなどを用いることができる。さらに、これらの微小中空粉体の表面は、炭酸カルシウム、脂肪酸、脂肪酸エステル、ロジン、ロジン酸リグニン、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミカップリング剤、ポリプロピレングリコールなどで処理されていてもよい。また、これらの微小中空粉体は、単独でも混合してもよい。本発明においては、上記した微小中空粉体の中でも、特にガラスバルーンを使用するのが好ましい。この理由は、ガラスバルーンが(a)成分に対する親和性に優れており、且つ湿気硬化型樹脂組成物を製造する際の攪拌及び加熱時において破壊が少なく、その結果、得られた接着剤層の弾力性及び靭性のバランスが良好で、接着剤層の凝集破壊に導く効果が大きいからである。
【0016】
微小中空粉体の配合量は、(a)成分である反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体100質量部に対して、10〜50質量部である。10質量部未満であると、微小中空粉体を配合した効果が少なく、アルカリ水溶液に曝された後において、接着性が低下し、下地材面やタイル面との界面で剥離しやすくなるので、好ましくない。一方、50質量部を超えると、接着剤層自体の弾性が低下し、変形追従性が低下するので好ましくない。また、アルカリ水溶液に曝された後においても、更なる変形追従性の低下を起こすので、好ましくない。
【0017】
また、(b)成分であるエポキシ樹脂の配合量は、(a)成分である反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体100質量部に対して、5〜200質量部程度が好ましく、さらに10〜100質量部程度が最も好ましい。この配合量が5質量部未満であると、硬化後の組成物に適度な靭性及び接着性を付与しにくくなり、また強度の向上が不十分となる傾向が生じる。また、この配合量が200質量部を超えると、硬化後の組成物が硬くなり過ぎる傾向が生じる。
【0018】
(a)成分である反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体を硬化させるための硬化触媒の配合量は、重合体100質量部に対して、0.1〜20質量部程度である。たとえば、硬化触媒としてジブチルすずジアセチルアセトナートを使用する場合には、0.1〜10質量部程度が好ましい。また、硬化触媒として、ジオクチル酸すずとラウリルアミンとを併用する場合は、前者が0.5〜10質量部、後者が0.1〜10質量部程度が好ましい。また、(b)成分であるエポキシ樹脂を硬化させるための硬化剤の配合量は、エポキシ樹脂100重量部に対して、0.1〜100質量部程度であるのが好ましい。
【0019】
本発明に係る湿気硬化型樹脂組成物中には、上記(a)、(b)及び(c)成分の他に、必要に応じて、充填剤、可塑剤、垂れ防止剤、着色剤、シランカップリング剤、補強性樹脂、保存安定性改良剤、発泡剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、アミン系ラジカル連鎖禁止剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料などの各種添加剤を配合してもよい。
【0020】
本発明に係る湿気硬化型樹脂組成物の調製方法は、特に制限はなく、必要に応じて、攪拌条件などを適宜調整し、均一に分散させればよい。他にも、各成分をミキサー、ロール、またはニーダーなどを用いて混合するといった方法も採用しうる。
【0021】
本発明に係る湿気硬化型樹脂組成物は、全成分を混合して1液型として供給することができる。1液型として供給する場合は、大気中の湿気と接触すると硬化するので、湿気を遮断した密閉状態で取り扱う必要がある。また、2液型として、硬化触媒などと他の成分とを分けて供給することもできる。この場合は、大気中の湿気と接触しても硬化しにくいので、湿気を遮断した密閉状態で取り扱わなくても、差し支えない。
【0022】
本発明に係る湿気硬化型樹脂組成物の用途は、特に、セメント系下地材とタイルとを接着するのに用いるタイル用接着剤として好適である。また、タイル用以外にも湿気硬化型接着剤として使用することもできる。さらに、湿気硬化型シーリング剤、湿気硬化型ポッティング材、湿気硬化型塗装材などにも用いることができる。
【0023】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。本発明は、特定の反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体と、エポキシ樹脂と、反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体に対して特定量の微小中空粉体とが混合されてなる湿気硬化型樹脂組成物は、アルカリ水溶液に曝されても、その接着力が低下しにくいとの発見に基づくものであるとして解釈されるべきである。
【0024】
〔反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体の調製例1〕
ポリプロピレングリコールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキサイドの重合を行い、数平均分子量8,000の水酸基末端オキシプロピレン重合体を得た。続いて、この水酸基末端オキシプロピレン重合体の水酸基に対して、1.2倍当量のNaOMeのメタノール溶液を添加してメタノールを留去し、さらに3−クロロ−2−メチル−1−プロペンを添加して末端の水酸基をメタリル基に変換した。脱塩精製処理を実施した後に得られたメタリル基末端オキシアルキレン重合体500gに対し、酸化防止剤として2,6ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、共沸溶媒としてヘキサンを加えて90℃で共沸脱水を行った。ヘキサンを減圧下留去後、8%O2/N2で容器内を置換した。これに対して白金ジビニルジシロキサン錯体溶液(白金換算で3重量%のキシレン溶液)200ppmを加え、硫黄を1eq/Ptの割合で混合し、撹拌しながら、DMS(ジメトキシメチルシラン)47gをゆっくりと滴下した。90℃で2時間反応させた後、未反応のDMSを減圧下留去し反応性ケイ素基含有オキシプロピレン重合体(以下、「ポリマーA」という。)を得た。
【0025】
このポリマーAの末端への反応性ケイ素基導入率を、日本電子社製JNM−LA400(400MHz)を用いて、1H−NMR分析により算出した。その結果、ポリマーAの末端への反応性ケイ素基導入率は88%であった。また、ポリマーAの数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を、サイズ排除クロマトグラフィー(GPC)により分析した。サイズ排除クロマトグラフィーは、ポリスチレンゲル(東ソー株式会社製)を充填したカラムに、移動相としてテトラヒドロフランを用いて、カラム温度40℃で測定した。なお、標準物質としてはポリスチレンを用いた。この結果、ポリマーAの数平均分子量は約10,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.13であった。
【0026】
〔反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体の調製例2〕
DMS(ジメトキシメチルシラン)の反応時間を5時間とする他は、調製例1と同様にして反応性ケイ素基含有オキシプロピレン重合体(以下、「ポリマーB」という。)を得た。
このポリマーBの末端への反応性ケイ素基導入率は98%であった。また、ポリマーBの数平均分子量は約10,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.13であった。
【0027】
〔反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体の調製例3〕
水酸基末端オキシプロピレン重合体の数平均分子量を15,000とし、DMS(ジメトキシメチルシラン)の滴下量を25gとした他は、調製例2と同様の方法で反応性ケイ素基含有オキシプロピレン重合体(以下、「ポリマーC」という。)を得た。
このポリマーCの末端への反応性ケイ素基導入率は98%であった。また、ポリマーCの数平均分子量は約17,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.13であった。
【0028】
〔反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体の調製例4〕
アリルクロライドを用いて、水酸基末端オキシプロピレン重合体の末端水酸基をアリル基に変換する他は、実施例2と同様の方法で反応性ケイ素基含有オキシプロピレン重合体(以下、「ポリマーD」という。)を得た。
このポリマーDの末端への反応性ケイ素基導入率は82%であった。また、ポリマーDの数平均分子量は約10,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.13であった。
【0029】
〔反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体の調製例5〕
反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体として、市販品であるSAX710(商品名、鐘淵化学工業社製)を準備した。SAX710の反応性ケイ素基導入率は95%であった。また、SAX710は、数平均分子量が約10,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.13であった。
【0030】
〔反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体の調製例6〕
反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体として、市販品であるSAT350(商品名、鐘淵化学工業社製)を準備した。SAT350の反応性ケイ素基導入率は82%であった。また、SAT350は、数平均分子量が約17,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.15であった。
【0031】
実施例1
調製例1で得たポリマーA100重量部に、エポキシ樹脂(商品名:エピコート828、ジャパンエポキシレジン社製)15質量部、重質炭酸カルシウム(商品名:NS100、日東粉化社製)150質量部、表面処理炭酸カルシウム(商品名:白艶華CC、白石カルシウム社製)100質量部、微小中空粉体(径40μmのガラスバルーン、商品名:バルーンS35、富士シリシア化学社製)30質量部、可塑剤(分子量3000程度のポリプロピレングリコール、商品名:スミフェン3700K、住友化学バイエルウレタン社製)50質量部を配合し、100℃で15トールおよび2時間の条件で減圧・加熱し、均一になるまで攪拌混合した。均一になれば室温まで冷却した。
その後、そこへシランカップリング剤(商品名:KBM403、信越化学工業社製)2質量部、シランカップリング剤(商品名:TSL8124、GE東芝シリコーン社製)5質量部、ポリマーAの硬化触媒(ブチルすず化合物、商品名:スタン918、三共有機合成社製)2質量部およびエポキシ樹脂の硬化触媒(ジエチレントリアミンとメチルイソブチルケトンからなるケチミン化合物1molにスチレンオキサイド1molを反応させて得られるケチミン化合物)4質量部を加え、減圧攪拌して湿気硬化型樹脂組成物を得た。
【0032】
実施例2
調製例1で得たポリマーAに代えて、調製例2で得たポリマーBを用いる他は、実施例1と同様の方法で湿気硬化型樹脂組成物を得た。
【0033】
実施例3
調製例1で得たポリマーAに代えて、調製例3で得たポリマーCを用いる他は、実施例1と同様の方法で湿気硬化型樹脂組成物を得た。
【0034】
実施例4
調製例1で得たポリマーAに代えて、調製例5で準備したSAX710を用いる他は、実施例1と同様の方法で湿気硬化型樹脂組成物を得た。
【0035】
実施例5
微小中空粉体としてガラスバルーンに代えて、フライアッシュバルーン(径45μm、商品名:SL75、E−SPHERES社製)を用いる他は、実施例4と同様の方法で湿気硬化型樹脂組成物を得た。
【0036】
実施例6
微小中空粉体としてガラスバルーンに代えて、ポリアクリロニトリル系バルーン表面に炭酸カルシウムがコーティングされたもの(径100μm、商品名:MFL−100CA、松本油脂製薬社製)を用いる他は、実施例4と同様の方法で湿気硬化型樹脂組成物を得た。
【0037】
比較例1
調製例1で得たポリマーAに代えて、調製例4で得たポリマーDを用いる他は、実施例1と同様の方法で湿気硬化型樹脂組成物を得た。
【0038】
比較例2
調製例1で得たポリマーAに代えて、調製例6で準備したSAT350を用いる他は、実施例1と同様の方法で湿気硬化型樹脂組成物を得た。
【0039】
比較例3
微小中空粉体としてガラスバルーンに代えて、微小非中空粉体であるガラスビーズ(粒度範囲:38〜58μm、商品名:UB−13L、ユニオン社製)を用いる他は、実施例4と同様の方法で湿気硬化型樹脂組成物を得た。
【0040】
比較例4
微小中空粉体であるガラスバルーンの配合量を5質量部とした他は、実施例4と同様の方法で湿気硬化型樹脂組成物を得た。
【0041】
比較例5
微小中空粉体であるガラスバルーンの配合量を60質量部とした他は、実施例4と同様の方法で湿気硬化型樹脂組成物を得た。
【0042】
実施例1〜6及び比較例1〜5に係る湿気硬化型樹脂組成物を用いて、接着性の試験を行なった。接着性の試験は、建設省官民連帯共同研究「有機系接着剤を利用した外装タイル・石張りシステムの開発」で策定された試験方法に準拠して、標準養生を行なった後のモルタルとタイルとの接着強さ(N/mm2)及び破壊状態、アルカリ温水溶液に浸漬した後のモルタルとタイルとの接着強さ(N/mm2)及び破壊状態の試験を行なった。なお、破壊状態は、目視による凝集破壊率で表した。凝集破壊率は、接着面積をXとし界面破壊が起こした面積をYとしたとき、〔(X−Y)/X〕×100で算出されるものである。その結果は表1に示したとおりであった。
【0043】
【0044】
表1の結果から明らかなように、実施例1〜6に係る湿気硬化型樹脂組成物を使用した場合には、アルカリ温水溶液に浸漬した後において、モルタルとタイルとの接着強さの低下が少ないか、又は接着強さが向上していることが分かる。一方、比較例1〜5に係る湿気硬化型樹脂組成物の場合には、アルカリ温水溶液に浸漬すると、接着強さの低下が大きいことが分かる。さらに、実施例1〜6の場合には、破壊状態が概ね凝集破壊であるのに対し、比較例1〜4の場合には、アルカリ温水溶液に浸漬すると、破壊状態が概ねモルタル−接着剤層間の界面破壊となってしまう。このような界面破壊は、業界において、接着性の低下を意味しており、好ましくない。したがって、実施例1〜6に係る湿気硬化型樹脂組成物は、アルカリ温水溶液に曝されても、接着強さ及び変形追従性の低下が少なく、耐アルカリ性に優れているということが分かる。
【0045】
また、実施例4〜6及び比較例3〜5に係る湿気硬化型樹脂組成物を用いて、皮膜を作成し、皮膜物性を試験した。皮膜物性の試験は、建設省官民連帯共同研究「有機系接着剤を利用した外装タイル・石張りシステムの開発」で策定された試験方法に準拠して、標準養生を行なった後の皮膜の引張強さ(N/mm2)及び伸び(%)、アルカリ温水溶液に浸漬した後の皮膜の引張強さ(N/mm2)及び伸び(%)の試験を行なった。その結果は表2に示したとおりであった。
【0046】
【0047】
表2の結果から明らかなように、実施例及び比較例共に、アルカリ温水溶液浸漬後において、皮膜の引張強さが高くなっている。しかしながら、実施例4〜6の場合は、比較例3及び4の場合と比べて、皮膜の引張強さの上昇の程度が小さく、その結果として、表1に示したように凝集破壊率の低下が少なくなり、また、接着強さもその低下が少ないか、又は向上している。比較例3及び4の場合は、皮膜の引張強さの上昇の程度が大きく、その結果として、表1に示したように凝集破壊率が大きく低下し、また、接着強さも低下している。なお、比較例5の場合、皮膜の伸びが極端に低く、接着層に変形追従性を与えられないことが分かる。
【0048】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明に係る湿気硬化型樹脂組成物は、特定の反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体と、特定量の微小中空粉体が含有されているため、その作用は定かではないが、アルカリ温水溶液に曝されても、その接着力及び変形追従性が低下しにくいという効果を奏するものである。すなわち、本発明に係る湿気硬化型樹脂組成物は耐アルカリ性に優れており、このため、たとえばアルカリ性物質を含有するセメント系下地材とタイルとの接着剤として好適に用いられるものである。
Claims (4)
- (a)分子鎖末端に対する反応性ケイ素基の導入率が平均して88%以上である反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体と、
(b)エポキシ樹脂と、
(c)微小中空粉体と
を含有し、(a)成分100質量部に対して、(c)成分が10〜50質量部配合されてなることを特徴とする耐アルカリ性に優れた湿気硬化型樹脂組成物。 - 微小中空粉体の粒径が、5〜200μmである請求項1記載の耐アルカリ性に優れた湿気硬化型樹脂組成物。
- 微小中空粉体がガラスバルーンである請求項1記載の耐アルカリ性に優れた湿気硬化型樹脂組成物。
- 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の湿気硬化型樹脂組成物よりなるタイル用接着剤。
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