JP2004059517A - ヒドロキシ安息香酸エステル類の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】エーテル結合が触媒によって切断されることなく、かつ色調が良好なヒドロキシ安息香酸エステル類の製造方法を提供する。
【解決手段】ヒドロキシ安息香酸類と脂肪族アルコールアルキレンオキシド付加物とをスズ化合物触媒存在下にエステル化反応させた後、触媒を無機酸を用いて分解除去する工程を含むヒドロキシ安息香酸エステル類の製造方法。
【解決手段】ヒドロキシ安息香酸類と脂肪族アルコールアルキレンオキシド付加物とをスズ化合物触媒存在下にエステル化反応させた後、触媒を無機酸を用いて分解除去する工程を含むヒドロキシ安息香酸エステル類の製造方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒドロキシ安息香酸類と脂肪族アルコールアルキレンオキシド付加物とのエステル化反応により得られるヒドロキシ安息香酸エステル類の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ヒドロキシ安息香酸エステル類(以下、「該エステル類」と略記する。)は、各種樹脂(例えば、ポリアミド、ポリ塩化ビニルなど)のガラス転移点を低下させ、樹脂に柔軟性を付与するため、フィルム、シート、各種成形品等の可塑剤として広く使用されている(例えば、特開平6−1913号公報)。
【0003】
該エステル類の製造方法としては、ヒドロキシ安息香酸類とアルコール類をリン酸、硫酸、塩酸、p−トルエンスルホン酸等の酸触媒存在下、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの溶剤中若しくは無溶剤下でエステル化反応させる方法が提案されている(例えば、特開昭60−94941号公報)。
【0004】
上記記載の酸触媒を用いたエステル化反応では、1)p−ヒドロキシ安息香酸類及び脂肪族アルコールアルキレンオキシド付加物(以下、「AO付加アルコール」と略記する。)自体の反応性が低いためエステル化反応を円滑に進行させるためには多量の酸触媒を必要とする、2)目的のエステル化反応と同時にAO付加アルコールのエーテル結合が酸触媒によって切断される、及び3)該エステル類が黄色を呈する等の問題点を有しており、これらに関して工業的に充分満足できる製造方法とは言えないのが現状である。
【0005】
従って、上記の酸触媒を用いたエステル化反応では、目的とするエステル化反応とポリエチレングリコールのエーテル結合の切断とは並行して進行するため、1)目的とするエステル化反応のみを選択的に行ない、及び2)着色の少ない該エステル類を得ることは困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、エーテル結合が触媒によって切断されることなく、色調の良好なヒドロキシ安息香酸類を製造しうる方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、これらの課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、下記の事実を見出し、かかる知見に基づき本発明を完成するに至った。
【0008】
(1)ヒドロキシ安息香酸とAO付加アルコールとのエステル化反応において、特定の触媒を使用することにより、高収率で該エステル類が得られる。
(2)該触媒を使用した場合、エステル化反応の効率が高いため、最終製品に残存する原料アルコール量を少なくすることができる。
(3)アルカリを用いた場合、該触媒はほとんど分解されないが特定の無機化合物を用いることにより容易に該触媒を分解することができる。
(4)上記従来の公知の触媒と比較して、該触媒を使用した場合、得られる該エステル類の着色が少ない。
【0009】
即ち、本発明は、次の発明を提供するものである。
項1 一般式(1)
【化4】
式中、R1は炭素数1〜6のアルキルオキシ基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルキルオキシ基又はハロゲン原子を表す。mは1〜5の整数、nは0〜4の整数を表し、1≦m+n≦5である。また、nが2以上の場合、R1は同一又は異なっていてもよい。]
で表されるヒドロキシ安息香酸類と一般式(2)
【化5】
[式中、R2は炭素数4〜18の直鎖状若しくは分岐状アルキル基、A1は炭素数2〜4のアルキレン基を表し、oは1〜8の整数を表す。]
で表される脂肪族アルコールアルキレンオキシド付加物とを、触媒の存在下にエステル化反応させてヒドロキシ安息香酸エステル類を製造する方法において、該触媒としてスズ化合物を用いることを特徴とするヒドロキシ安息香酸エステル類の製造方法。
【0010】
項2 一般式(1)において、mが1又は2であり、nが0又は1である上記項1に記載のヒドロキシ安息香酸エステル類の製造方法。
【0011】
項3 一般式(1)において、mが1であり、nが0である上記項1に記載のヒドロキシ安息香酸エステル類の製造方法。
【0012】
項4 スズ化合物が、酸化スズ、水酸化スズ、粉末スズ及び一般式(3)
【化6】
[式中、R3は炭素数1〜17の直鎖状若しくは分岐状アルキル基、炭素数3〜17の直鎖状若しくは分岐状アルケニル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基、又は炭素数6〜30の芳香族基を表す。]
で表される有機酸スズ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記項1〜3のいずれかに記載のヒドロキシ安息香酸エステル類の製造方法。
【0013】
項5 無機酸類を用いる触媒分解工程を含むことを特徴とする上記項1〜4のいずれかに記載のヒドロキシ安息香酸エステル類の製造方法。
【0014】
項6 無機酸類が、燐酸、塩酸、硝酸、亜硫酸水素ナトリウム及び燐酸二水素ナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である上記項5に記載のヒドロキシ安息香酸エステル類の製造方法。
【0015】
項7 脂肪族アルコールアルキレンオキシド付加物類の残存量が、ヒドロキシ安息香酸エステル類に対して、0.001〜5重量%の範囲である上記項1〜6のいずれかに記載のヒドロキシ安息香酸エステル類の製造方法。
【0016】
項8 上記項1〜6のいずれかに記載の方法により製造されるヒドロキシ安息香酸エステル類。
【0017】
項9 ハーゼン色数が1000以下である上記項1〜7のいずれかに記載のヒドロキシ安息香酸エステル類の製造方法。
【0018】
項10 上記項1〜7のいずれかに記載の方法より製造されるヒドロキシ安息香酸エステル類。
【0019】
【発明の実施の形態】
ヒドロキシ安息香酸類
本発明に係る一般式(1)で表されるヒドロキシ安息香酸類のR1としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等の炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基が例示される。
上記アルキル基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、iso−プロポキシ基、ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基等の炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状アルキルオキシ基で置換されていてもよい。これらのなかでも特に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、n−ヘキシル基等の炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基が好ましい。
【0020】
アルキルオキシ基としては、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、iso−プロポキシ基、ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基等の炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキルオキシ基が例示される。これらのうち特に、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、iso−プロポキシ基、ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基等の炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキルオキシ基が好ましい。ハロゲン原子としては、具体的には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が例示される。
【0021】
また、一般式(1)におけるヒドロキシ安息香酸類のmは1〜5、nは0〜4の整数を表し、1≦m+n≦5であるが、かかるmは1又は2が好ましく、nは0又は1が好ましく、中でも特に、mが1であり、nが0のヒドロキシ安息香酸類が推奨される。
【0022】
かかるヒドロキシ安息香酸類としては、具体的には、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、o−ヒドロキシ安息香酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ−4−メトキシ安息香酸、4−ヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸、3−ヒドロキシ−4−メチル安息香酸、2−ヒドロキシ−4−メチル安息香酸、3,5−ジヒドロキシ−4−メチル安息香酸等が例示される。
【0023】
上記ヒドロキシ安息香酸類は、市販されているものを使用できるほか、従来公知の製造方法により容易に製造することができる。
【0024】
脂肪族アルコールアルキレンオキシド付加物
一般式(2)で表されるAO付加アルコールの脂肪族アルコールとしては、炭素数4〜18の直鎖状若しくは分岐状アルキル基をもつ飽和アルコールの単独または混合物が例示される。具体的には、n−ブタノール、iso−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、t−アミルアルコール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、n−ノニルアルコール、iso−ノニルアルコール、n−デカノール、iso−デカノール、n−ウンデカノール、n−ドデカノール、n−トリデカノール、n−テトラデシルアルコール、n−ペンタデシルアルコール、n−ヘキサデシルアルコール、n−ヘプタデシルアルコール、n−オクタデシルアルコール、アルフォール610(ビスタケミカル・ファーイースト社製)、リネボール79(シェル化学社製)、リネボール911(シェル化学社製)、ダイヤドール79(三菱化学社製)、ダイヤドール911(三菱化学社製)等が例示される。これらの中でも特に、2−エチルヘキサノールが好ましい。これらの脂肪族アルコールは、それぞれ単独で又は2種以上適宜組み合わせて用いることもできる。
【0025】
また、炭素数2〜4のアルキレンオキシドとしては、具体的には、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびブチレンオキシド等が例示できる。中でも特にエチレンオキシドが好ましい。
【0026】
これらは、1種のアルキレンオキシドの単独付加又は2種以上のアルキレンオキシドのランダム付加、ブロック付加、交互付加のいずれの付加形態をとってもよい。アルキレンオキシドの付加モル数oは、通常、1〜8モル程度、特に2〜4モル程度が好ましい。
【0027】
脂肪族アルコールアルキレンオキシド付加物としては、特に、2−エチルヘキサノールのエチレンオキシド2モル付加物が推奨される。
【0028】
本発明に係る一般式(1)で表されるAO付加アルコールは、常法に従って、アルキレンオキシドを脂肪族アルコールに付加反応を行うことにより容易に製造することができる。具体的には、アルキレンオキシドと脂肪族アルコールとを、触媒としてナトリウムメトキシド等のアルカリ金属アルコキシドの存在下で、常圧〜加圧(5kg/cm2G)下に、120〜180℃程度の温度で反応させればよい(例えば、日本化学会編、「実験化学講座19 有機化合物の合成I」、丸善、196〜197頁(1957))。
【0029】
触媒
本発明に係るスズ化合物触媒は、酸化スズ、水酸化スズ、粉末スズ、及び一般式(3)で表される有機酸スズ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である。一般式(3)におけるR2としては、a)メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、ウンデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基等の直鎖状又は分岐状の炭素数1〜17のアルキル基、b)アリル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、イソプロペニル基等の直鎖状又は分岐状の炭素数3〜17のアルケニル基、c)シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−メチルシクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロヘプチル基等の炭素数3〜10のシクロアルキル基、及びd)フェニル基、メチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、p−クミルフェニル基、メトキシフェニル基、ベンジル基、ナフチル基等の炭素数7〜30のアラルキル基及び炭素数6〜30芳香族基が例示される。
【0030】
これらの有機酸スズ化合物の具体例としては、特に限定されるものではないが、ジ酢酸スズ、ジプロピオン酸スズ、ジオクチル酸スズ、ジラウリン酸スズ、ジミリスチン酸スズ、ジパルミチン酸スズ、ジステアリン酸スズ、ジオレイン酸スズ、ジ安息香酸スズ、α−ナフトエ酸スズ、β−ナフトエ酸スズ等が挙げられる。これらの中でも、特に、酸化スズ、ジオクチル酸スズが好ましい。これらの触媒は、それぞれ単独で又は2種以上適宜組み合わせて用いることもできる。
【0031】
かかるスズ化合物触媒は、市販されているものを使用できるほか、従来公知の製造方法によっても容易に製造可能である。
【0032】
エステル化反応
本発明にかかる該エステル類の製造方法は、種々の条件で行うことができるが、一般的には以下の工程、仕込量、製造条件等を用いて行うことが好ましい。
【0033】
エステル化反応工程では、通常、反応生成水を分離除去可能な還流冷却器を備えた反応器に、ヒドロキシ安息香酸類、AO付加アルコール、触媒、及び必要に応じて溶媒、酸化防止剤又は還元剤を仕込み、加熱することによりエステル化反応させる。このとき、反応生成水を溶媒との共沸により系外へ除去することにより反応を促進させる。ヒドロキシ安息香酸類とAO付加アルコールとの仕込み割合は、特に限定されるものではないが、通常、ヒドロキシ安息香酸類1モルに対して、AO付加アルコール1〜5モル、好ましくは1.05〜2モル使用してエステル化反応を行うことが好ましい。
【0034】
溶媒の使用に関しては、本発明の効果が得られる限り特に制限はないが、生成水を系外に除きながら反応を行う。この際必要に応じて、シクロヘキサン、n−へキサン、iso−プロピルシクロヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン、ウンデカン、イソパラフィン系混合溶剤(例えば、エクソン化学社製、商品名「IPソルベント1620」)、ナフテン系混合溶剤(例えば、エクソン化学社製、商品名「エクソールD40」)、デカリン等の飽和炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プソイドキュメン、メシチレン、テトラリン等の芳香族炭化水素類及びそれらの混合物(例えば、エクソン社製、商品名「エクソンナフサNo.5」)が例示され、それぞれ単独で又は2種以上適宜組み合わせて使用することもできる。
【0035】
溶剤の使用量は、特に限定されるものではないが、通常、ヒドロキシ安息香酸類とAO付加アルコール類の合計重量に対して、3〜200重量%程度、特に3〜50重量%程度の量が好ましい。該使用量が、3重量%未満になると、共沸効果の低下により反応性が低下する傾向にある。一方、200重量%を越えると、反応終了後の溶媒回収に長時間を要する傾向にある。
【0036】
本発明に係る触媒の使用量は、ヒドロキシ安息香酸類に対して、通常、0.001〜10重量%程度であり、好ましくは0.005〜5重量%程度、さらに好ましくは0.01〜3重量%程度である。0.001重量%未満だと充分な反応活性が得られにくく、10重量%を越えて使用しても触媒量の増加に見合うだけの活性向上は見られず、不経済である。
【0037】
本発明のエステル化反応においては、必要に応じて、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、モノ−t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン等のハイドロキノン系化合物、2−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン等のヒンダードフェノール系化合物等の酸化防止剤、次亜リン酸ソーダ、水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤を着色防止や熱劣化防止の目的で添加して反応を行うこともできる。酸化防止剤及び/又は還元剤の使用量は、反応系全体(ヒドロキシ安息香酸、AO付加アルコール及び溶媒)の重量を基準として、通常、それぞれ0.001〜1%程度、好ましくは0.001〜0.1%程度である。
【0038】
反応時の圧力は、常圧又は減圧が推奨され、反応温度と溶媒の沸点に依存して、反応生成水を共沸させて除去できる程度に適宜設定できる。減圧下で反応させる場合、通常、5〜100kPa程度、特に10〜70kPa程度に調節するのが好ましい。また、加圧下で反応させる場合(原料である安息香酸類が昇華性を有する場合)、50〜500kPa程度に調節してエステル化する方法も採用することもできる。
【0039】
反応時の雰囲気は、特に限定されるものではないが、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下でエステル化を行うことが好ましい。
【0040】
上記のエステル化反応の反応温度は、原料の種類や反応時の溶剤の使用の有無によって適宜選択されるが、通常、150〜250℃程度の範囲である。反応温度が150℃未満だと充分な触媒活性が得られにくく、また、250℃を越えると生成物が黄色を呈する傾向が見られる。
【0041】
また、反応時間は、原料の種類や仕込量、反応温度等に依存するが、一般的には、通常、留出した生成水量、又は反応系の酸価をエステル化反応の終点の指標とすることにより適宜決定することができる。
【0042】
かくして得られるエステル化反応粗物は、未反応原料、溶媒、触媒、重合禁止剤若しくは還元剤等の不純物を含んでいる。かかる反応粗物から溶媒だけを除去して得られるエステル化反応粗物及び無溶媒で反応を行って得られるエステル化反応粗物は、後処理をすることなくそのままポリアミド樹脂の可塑剤として使用することもできるが、通常、かかる不純物を除去する後処理工程を行う。
【0043】
触媒分解及び後処理工程
エステル化反応粗物中の触媒は、アルカリ土類金属の水酸化物又は炭酸塩等のアルカリではほとんど分解できないが無機酸類により容易に分解することができる。分解により生ずるスズ塩は、必要に応じて温水又は水洗浄、濾過、脱水等の工程を適宜組み合わせて除去する方法を採用することができる。無機酸類の具体例としては、特に限定されるものではないが、燐酸、塩酸、硝酸、亜硫酸水素ナトリウム、燐酸二水素ナトリウム等が挙げられる。これらの中でも、特に、燐酸、塩酸が好ましい。これらの無機酸類は、それぞれ単独で又は2種以上適宜組み合わせて用いることもできる。かかる触媒分解処理は、通常、反応粗物と上記無機酸水溶液とを混合し、得られる混合物を常温〜100℃程度の温度範囲で0.1〜1時間程度撹拌することにより実施される。その無機酸類の使用量は、触媒量に対して、通常、2〜10モル当量程度であり、好ましくは2.05〜5モル当量程度である。
【0044】
また、反応粗物中の未反応ヒドロキシ安息香酸類及び酸化防止剤(還元剤)等の不純物は、通常、アルカリにより中和処理し、必要に応じて温水又は水洗浄、濾過、脱水等の工程を適宜組み合わせて除去する方法が例示される。かかるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物又は炭酸塩及びこれらの水溶液、アンモニア等が例示できる。かかる中和処理は、通常、反応粗物と上記アルカリの水溶液とを混合し、得られる混合物を常温〜100℃の温度範囲で0.1〜1時間撹拌することにより実施される。係るアルカリの使用量は、反応粗物の酸価に対して、通常、1〜5モル当量程度であり、好ましくは1.1〜3モル当量程度である。
【0045】
溶媒の除去は、減圧下に蒸留することにより行い、通常、中和工程に引き続いて行うか又は上記エステル化工程後に行うこともできる。蒸留の際の圧力は、通常、0.1〜4kPa程度、特に0.1〜1kPa程度とするのが好ましく、蒸留温度は、通常、50〜150℃程度、特に100〜150℃程度が好ましい。
【0046】
さらに必要に応じて活性炭、ハイドロタルサイト、活性白土などの吸着剤処理を行い精製することもできる。
【0047】
かくして得られる本発明の該エステル類に残存する原料アルコールは、通常、ガスクロマトグラフィー分析によって定量することができ、その含有量は、通常、5重量%以下、好ましくは3重量%以下である。5重量%を越えると、該エステル類をポリアミド樹脂用可塑剤として用いた場合に、ポリアミド樹脂成形物の低温での柔軟性の低下やクレージング(ひび割れ)などの低温特性が悪化する傾向が見られる。
【0048】
該エステル類のハーゼン色数は、通常、1000以下、好ましくは500以下である。1000を越えると、かかるエステル類をポリアミド樹脂用可塑剤として用いた場合に、ポリアミド樹脂成形物(例えば、白色系成形体など)の色調を悪化させる傾向にある。
【0049】
用途
かくして得られた本発明の該エステル類は、ポリアミド樹脂用可塑剤として用いられる。該エステル類を含有するポリアミド樹脂成形物は、例えば、一般機械部品、自動車用部品等で用いられるホース、チューブ類として使用される。より具体的には、一般機械部品では、産業用ロボット、建設機械等の燃料、油圧、空圧チューブ等が挙げられ、自動車用部品では、燃料チューブ、エアーブレーキホース等が挙げられる。更に、上記以外にも、建材部品、紡績機部品、容器・包装材、雑貨の他、フィルム、チューブ、丸棒、シート、モノフィラメント等の押出製品用の素材、コーティング材としても有用である。
【0050】
尚、ポリアミド樹脂としては、例えば、ポリアミド46、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミドMXD−6および共重合ポリアミド等が挙げられる。
【0051】
【実施例】
以下の実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。得られた生成物のハーゼン色数はJIS K 4101記載の方法に準拠して測定した。また、残存する原料アルコールはガスクロマトグラフィー分析にて定量した。
【0052】
実施例1
攪拌機、温度計、水分離器付還流冷却器及び窒素ガス導入管を備えた1Lのガラス製反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸193.4g(1.40モル)、2−エチルヘキサノールEO2モル付加物(日本乳化剤社製、商品名「EHDG」)320.9g(1.47モル)、酸化スズ1.65g(0.012モル:対p−ヒドロキシ安息香酸 0.85重量%)、キシレン25gを仕込み、窒素を30ml/minの流量で反応液中に吹き込みながら220℃まで昇温した。220℃到達後、その温度で8〜10時間エステル化反応を行い、反応生成水はキシレンとの共沸により反応系外へ除去した。得られたエステル化反応粗物を5%燐酸水溶液で触媒分解後、温水洗浄し、次いで、5%水酸化ナトリウム水溶液で中和後、温水洗浄し1.5kPaの減圧下、180〜200℃で2−エチルヘキサノールEO2モル付加物を留去し、エステル454.8g(収率96.0%)を得た。得られたエステルのハーゼン色数は300であった。また、ガスクロマトグラフィーによる分析から主成分はp−ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシルオキシエトシキエチルであり、原料アルコールの残存量は2.0重量%であることを確認した。
【0053】
実施例2
2−エチルヘキサノールEO2モル付加物に代えて、n−ブタノールEO2モル付加物(日本乳化剤社製、商品名「BDG」)238.6g(1.47モル)を用いた以外は実施例1と同様にエステル化反応を行った。得られたエステルは396.6g(収率97.5%)であり、そのハーゼン色数は300であった。ガスクロマトグラフィーによる分析から主成分はp−ヒドロキシ安息香酸2−ブチルオキシエトシキエチルであり、原料アルコールの残存量は1.5重量%であることを確認した。
【0054】
実施例3
酸化スズに代えて、ジオクチル酸スズ2.90g(1.5重量%:対p−ヒドロキシ安息香酸)を用いた以外は実施例1と同様にエステル化反応を行った。得られたエステルは450.1g(収率95.0%)であり、ハーゼン色数は200であった。ガスクロマトグラフィーによる分析から主成分はp−ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシルオキシエトシキエチルであり、原料アルコールの残存量は1.9重量%であることを確認した。
【0055】
比較例1
酸化スズに代えて、p−トルエンスルホン酸3.87g(2.0重量%:対p−ヒドロキシ安息香酸)を用いた以外は実施例1と同様にしてエステル化反応を行った。得られたエステルは416.9g(収率88.0%)であり、そのハーゼン色数は1400であった。ガスクロマトグラフィーによる分析から主成分はp−ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシルオキシエトシキエチルであり、原料アルコールの残存量は2.1重量%であることを確認した。また、不純物としてEO鎖が切断されたエステルであるp−ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシルが7.0重量%副生していることを確認した。
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、エーテル結合が触媒によって切断されることなく、色調良好なヒドロキシ安息香酸エステル類が製造できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒドロキシ安息香酸類と脂肪族アルコールアルキレンオキシド付加物とのエステル化反応により得られるヒドロキシ安息香酸エステル類の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ヒドロキシ安息香酸エステル類(以下、「該エステル類」と略記する。)は、各種樹脂(例えば、ポリアミド、ポリ塩化ビニルなど)のガラス転移点を低下させ、樹脂に柔軟性を付与するため、フィルム、シート、各種成形品等の可塑剤として広く使用されている(例えば、特開平6−1913号公報)。
【0003】
該エステル類の製造方法としては、ヒドロキシ安息香酸類とアルコール類をリン酸、硫酸、塩酸、p−トルエンスルホン酸等の酸触媒存在下、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの溶剤中若しくは無溶剤下でエステル化反応させる方法が提案されている(例えば、特開昭60−94941号公報)。
【0004】
上記記載の酸触媒を用いたエステル化反応では、1)p−ヒドロキシ安息香酸類及び脂肪族アルコールアルキレンオキシド付加物(以下、「AO付加アルコール」と略記する。)自体の反応性が低いためエステル化反応を円滑に進行させるためには多量の酸触媒を必要とする、2)目的のエステル化反応と同時にAO付加アルコールのエーテル結合が酸触媒によって切断される、及び3)該エステル類が黄色を呈する等の問題点を有しており、これらに関して工業的に充分満足できる製造方法とは言えないのが現状である。
【0005】
従って、上記の酸触媒を用いたエステル化反応では、目的とするエステル化反応とポリエチレングリコールのエーテル結合の切断とは並行して進行するため、1)目的とするエステル化反応のみを選択的に行ない、及び2)着色の少ない該エステル類を得ることは困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、エーテル結合が触媒によって切断されることなく、色調の良好なヒドロキシ安息香酸類を製造しうる方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、これらの課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、下記の事実を見出し、かかる知見に基づき本発明を完成するに至った。
【0008】
(1)ヒドロキシ安息香酸とAO付加アルコールとのエステル化反応において、特定の触媒を使用することにより、高収率で該エステル類が得られる。
(2)該触媒を使用した場合、エステル化反応の効率が高いため、最終製品に残存する原料アルコール量を少なくすることができる。
(3)アルカリを用いた場合、該触媒はほとんど分解されないが特定の無機化合物を用いることにより容易に該触媒を分解することができる。
(4)上記従来の公知の触媒と比較して、該触媒を使用した場合、得られる該エステル類の着色が少ない。
【0009】
即ち、本発明は、次の発明を提供するものである。
項1 一般式(1)
【化4】
式中、R1は炭素数1〜6のアルキルオキシ基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルキルオキシ基又はハロゲン原子を表す。mは1〜5の整数、nは0〜4の整数を表し、1≦m+n≦5である。また、nが2以上の場合、R1は同一又は異なっていてもよい。]
で表されるヒドロキシ安息香酸類と一般式(2)
【化5】
[式中、R2は炭素数4〜18の直鎖状若しくは分岐状アルキル基、A1は炭素数2〜4のアルキレン基を表し、oは1〜8の整数を表す。]
で表される脂肪族アルコールアルキレンオキシド付加物とを、触媒の存在下にエステル化反応させてヒドロキシ安息香酸エステル類を製造する方法において、該触媒としてスズ化合物を用いることを特徴とするヒドロキシ安息香酸エステル類の製造方法。
【0010】
項2 一般式(1)において、mが1又は2であり、nが0又は1である上記項1に記載のヒドロキシ安息香酸エステル類の製造方法。
【0011】
項3 一般式(1)において、mが1であり、nが0である上記項1に記載のヒドロキシ安息香酸エステル類の製造方法。
【0012】
項4 スズ化合物が、酸化スズ、水酸化スズ、粉末スズ及び一般式(3)
【化6】
[式中、R3は炭素数1〜17の直鎖状若しくは分岐状アルキル基、炭素数3〜17の直鎖状若しくは分岐状アルケニル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基、又は炭素数6〜30の芳香族基を表す。]
で表される有機酸スズ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記項1〜3のいずれかに記載のヒドロキシ安息香酸エステル類の製造方法。
【0013】
項5 無機酸類を用いる触媒分解工程を含むことを特徴とする上記項1〜4のいずれかに記載のヒドロキシ安息香酸エステル類の製造方法。
【0014】
項6 無機酸類が、燐酸、塩酸、硝酸、亜硫酸水素ナトリウム及び燐酸二水素ナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である上記項5に記載のヒドロキシ安息香酸エステル類の製造方法。
【0015】
項7 脂肪族アルコールアルキレンオキシド付加物類の残存量が、ヒドロキシ安息香酸エステル類に対して、0.001〜5重量%の範囲である上記項1〜6のいずれかに記載のヒドロキシ安息香酸エステル類の製造方法。
【0016】
項8 上記項1〜6のいずれかに記載の方法により製造されるヒドロキシ安息香酸エステル類。
【0017】
項9 ハーゼン色数が1000以下である上記項1〜7のいずれかに記載のヒドロキシ安息香酸エステル類の製造方法。
【0018】
項10 上記項1〜7のいずれかに記載の方法より製造されるヒドロキシ安息香酸エステル類。
【0019】
【発明の実施の形態】
ヒドロキシ安息香酸類
本発明に係る一般式(1)で表されるヒドロキシ安息香酸類のR1としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等の炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基が例示される。
上記アルキル基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、iso−プロポキシ基、ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基等の炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状アルキルオキシ基で置換されていてもよい。これらのなかでも特に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、n−ヘキシル基等の炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基が好ましい。
【0020】
アルキルオキシ基としては、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、iso−プロポキシ基、ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基等の炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキルオキシ基が例示される。これらのうち特に、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、iso−プロポキシ基、ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基等の炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキルオキシ基が好ましい。ハロゲン原子としては、具体的には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が例示される。
【0021】
また、一般式(1)におけるヒドロキシ安息香酸類のmは1〜5、nは0〜4の整数を表し、1≦m+n≦5であるが、かかるmは1又は2が好ましく、nは0又は1が好ましく、中でも特に、mが1であり、nが0のヒドロキシ安息香酸類が推奨される。
【0022】
かかるヒドロキシ安息香酸類としては、具体的には、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、o−ヒドロキシ安息香酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ−4−メトキシ安息香酸、4−ヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸、3−ヒドロキシ−4−メチル安息香酸、2−ヒドロキシ−4−メチル安息香酸、3,5−ジヒドロキシ−4−メチル安息香酸等が例示される。
【0023】
上記ヒドロキシ安息香酸類は、市販されているものを使用できるほか、従来公知の製造方法により容易に製造することができる。
【0024】
脂肪族アルコールアルキレンオキシド付加物
一般式(2)で表されるAO付加アルコールの脂肪族アルコールとしては、炭素数4〜18の直鎖状若しくは分岐状アルキル基をもつ飽和アルコールの単独または混合物が例示される。具体的には、n−ブタノール、iso−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、t−アミルアルコール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、n−ノニルアルコール、iso−ノニルアルコール、n−デカノール、iso−デカノール、n−ウンデカノール、n−ドデカノール、n−トリデカノール、n−テトラデシルアルコール、n−ペンタデシルアルコール、n−ヘキサデシルアルコール、n−ヘプタデシルアルコール、n−オクタデシルアルコール、アルフォール610(ビスタケミカル・ファーイースト社製)、リネボール79(シェル化学社製)、リネボール911(シェル化学社製)、ダイヤドール79(三菱化学社製)、ダイヤドール911(三菱化学社製)等が例示される。これらの中でも特に、2−エチルヘキサノールが好ましい。これらの脂肪族アルコールは、それぞれ単独で又は2種以上適宜組み合わせて用いることもできる。
【0025】
また、炭素数2〜4のアルキレンオキシドとしては、具体的には、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびブチレンオキシド等が例示できる。中でも特にエチレンオキシドが好ましい。
【0026】
これらは、1種のアルキレンオキシドの単独付加又は2種以上のアルキレンオキシドのランダム付加、ブロック付加、交互付加のいずれの付加形態をとってもよい。アルキレンオキシドの付加モル数oは、通常、1〜8モル程度、特に2〜4モル程度が好ましい。
【0027】
脂肪族アルコールアルキレンオキシド付加物としては、特に、2−エチルヘキサノールのエチレンオキシド2モル付加物が推奨される。
【0028】
本発明に係る一般式(1)で表されるAO付加アルコールは、常法に従って、アルキレンオキシドを脂肪族アルコールに付加反応を行うことにより容易に製造することができる。具体的には、アルキレンオキシドと脂肪族アルコールとを、触媒としてナトリウムメトキシド等のアルカリ金属アルコキシドの存在下で、常圧〜加圧(5kg/cm2G)下に、120〜180℃程度の温度で反応させればよい(例えば、日本化学会編、「実験化学講座19 有機化合物の合成I」、丸善、196〜197頁(1957))。
【0029】
触媒
本発明に係るスズ化合物触媒は、酸化スズ、水酸化スズ、粉末スズ、及び一般式(3)で表される有機酸スズ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である。一般式(3)におけるR2としては、a)メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、ウンデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基等の直鎖状又は分岐状の炭素数1〜17のアルキル基、b)アリル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、イソプロペニル基等の直鎖状又は分岐状の炭素数3〜17のアルケニル基、c)シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−メチルシクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロヘプチル基等の炭素数3〜10のシクロアルキル基、及びd)フェニル基、メチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、p−クミルフェニル基、メトキシフェニル基、ベンジル基、ナフチル基等の炭素数7〜30のアラルキル基及び炭素数6〜30芳香族基が例示される。
【0030】
これらの有機酸スズ化合物の具体例としては、特に限定されるものではないが、ジ酢酸スズ、ジプロピオン酸スズ、ジオクチル酸スズ、ジラウリン酸スズ、ジミリスチン酸スズ、ジパルミチン酸スズ、ジステアリン酸スズ、ジオレイン酸スズ、ジ安息香酸スズ、α−ナフトエ酸スズ、β−ナフトエ酸スズ等が挙げられる。これらの中でも、特に、酸化スズ、ジオクチル酸スズが好ましい。これらの触媒は、それぞれ単独で又は2種以上適宜組み合わせて用いることもできる。
【0031】
かかるスズ化合物触媒は、市販されているものを使用できるほか、従来公知の製造方法によっても容易に製造可能である。
【0032】
エステル化反応
本発明にかかる該エステル類の製造方法は、種々の条件で行うことができるが、一般的には以下の工程、仕込量、製造条件等を用いて行うことが好ましい。
【0033】
エステル化反応工程では、通常、反応生成水を分離除去可能な還流冷却器を備えた反応器に、ヒドロキシ安息香酸類、AO付加アルコール、触媒、及び必要に応じて溶媒、酸化防止剤又は還元剤を仕込み、加熱することによりエステル化反応させる。このとき、反応生成水を溶媒との共沸により系外へ除去することにより反応を促進させる。ヒドロキシ安息香酸類とAO付加アルコールとの仕込み割合は、特に限定されるものではないが、通常、ヒドロキシ安息香酸類1モルに対して、AO付加アルコール1〜5モル、好ましくは1.05〜2モル使用してエステル化反応を行うことが好ましい。
【0034】
溶媒の使用に関しては、本発明の効果が得られる限り特に制限はないが、生成水を系外に除きながら反応を行う。この際必要に応じて、シクロヘキサン、n−へキサン、iso−プロピルシクロヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン、ウンデカン、イソパラフィン系混合溶剤(例えば、エクソン化学社製、商品名「IPソルベント1620」)、ナフテン系混合溶剤(例えば、エクソン化学社製、商品名「エクソールD40」)、デカリン等の飽和炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プソイドキュメン、メシチレン、テトラリン等の芳香族炭化水素類及びそれらの混合物(例えば、エクソン社製、商品名「エクソンナフサNo.5」)が例示され、それぞれ単独で又は2種以上適宜組み合わせて使用することもできる。
【0035】
溶剤の使用量は、特に限定されるものではないが、通常、ヒドロキシ安息香酸類とAO付加アルコール類の合計重量に対して、3〜200重量%程度、特に3〜50重量%程度の量が好ましい。該使用量が、3重量%未満になると、共沸効果の低下により反応性が低下する傾向にある。一方、200重量%を越えると、反応終了後の溶媒回収に長時間を要する傾向にある。
【0036】
本発明に係る触媒の使用量は、ヒドロキシ安息香酸類に対して、通常、0.001〜10重量%程度であり、好ましくは0.005〜5重量%程度、さらに好ましくは0.01〜3重量%程度である。0.001重量%未満だと充分な反応活性が得られにくく、10重量%を越えて使用しても触媒量の増加に見合うだけの活性向上は見られず、不経済である。
【0037】
本発明のエステル化反応においては、必要に応じて、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、モノ−t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン等のハイドロキノン系化合物、2−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン等のヒンダードフェノール系化合物等の酸化防止剤、次亜リン酸ソーダ、水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤を着色防止や熱劣化防止の目的で添加して反応を行うこともできる。酸化防止剤及び/又は還元剤の使用量は、反応系全体(ヒドロキシ安息香酸、AO付加アルコール及び溶媒)の重量を基準として、通常、それぞれ0.001〜1%程度、好ましくは0.001〜0.1%程度である。
【0038】
反応時の圧力は、常圧又は減圧が推奨され、反応温度と溶媒の沸点に依存して、反応生成水を共沸させて除去できる程度に適宜設定できる。減圧下で反応させる場合、通常、5〜100kPa程度、特に10〜70kPa程度に調節するのが好ましい。また、加圧下で反応させる場合(原料である安息香酸類が昇華性を有する場合)、50〜500kPa程度に調節してエステル化する方法も採用することもできる。
【0039】
反応時の雰囲気は、特に限定されるものではないが、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下でエステル化を行うことが好ましい。
【0040】
上記のエステル化反応の反応温度は、原料の種類や反応時の溶剤の使用の有無によって適宜選択されるが、通常、150〜250℃程度の範囲である。反応温度が150℃未満だと充分な触媒活性が得られにくく、また、250℃を越えると生成物が黄色を呈する傾向が見られる。
【0041】
また、反応時間は、原料の種類や仕込量、反応温度等に依存するが、一般的には、通常、留出した生成水量、又は反応系の酸価をエステル化反応の終点の指標とすることにより適宜決定することができる。
【0042】
かくして得られるエステル化反応粗物は、未反応原料、溶媒、触媒、重合禁止剤若しくは還元剤等の不純物を含んでいる。かかる反応粗物から溶媒だけを除去して得られるエステル化反応粗物及び無溶媒で反応を行って得られるエステル化反応粗物は、後処理をすることなくそのままポリアミド樹脂の可塑剤として使用することもできるが、通常、かかる不純物を除去する後処理工程を行う。
【0043】
触媒分解及び後処理工程
エステル化反応粗物中の触媒は、アルカリ土類金属の水酸化物又は炭酸塩等のアルカリではほとんど分解できないが無機酸類により容易に分解することができる。分解により生ずるスズ塩は、必要に応じて温水又は水洗浄、濾過、脱水等の工程を適宜組み合わせて除去する方法を採用することができる。無機酸類の具体例としては、特に限定されるものではないが、燐酸、塩酸、硝酸、亜硫酸水素ナトリウム、燐酸二水素ナトリウム等が挙げられる。これらの中でも、特に、燐酸、塩酸が好ましい。これらの無機酸類は、それぞれ単独で又は2種以上適宜組み合わせて用いることもできる。かかる触媒分解処理は、通常、反応粗物と上記無機酸水溶液とを混合し、得られる混合物を常温〜100℃程度の温度範囲で0.1〜1時間程度撹拌することにより実施される。その無機酸類の使用量は、触媒量に対して、通常、2〜10モル当量程度であり、好ましくは2.05〜5モル当量程度である。
【0044】
また、反応粗物中の未反応ヒドロキシ安息香酸類及び酸化防止剤(還元剤)等の不純物は、通常、アルカリにより中和処理し、必要に応じて温水又は水洗浄、濾過、脱水等の工程を適宜組み合わせて除去する方法が例示される。かかるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物又は炭酸塩及びこれらの水溶液、アンモニア等が例示できる。かかる中和処理は、通常、反応粗物と上記アルカリの水溶液とを混合し、得られる混合物を常温〜100℃の温度範囲で0.1〜1時間撹拌することにより実施される。係るアルカリの使用量は、反応粗物の酸価に対して、通常、1〜5モル当量程度であり、好ましくは1.1〜3モル当量程度である。
【0045】
溶媒の除去は、減圧下に蒸留することにより行い、通常、中和工程に引き続いて行うか又は上記エステル化工程後に行うこともできる。蒸留の際の圧力は、通常、0.1〜4kPa程度、特に0.1〜1kPa程度とするのが好ましく、蒸留温度は、通常、50〜150℃程度、特に100〜150℃程度が好ましい。
【0046】
さらに必要に応じて活性炭、ハイドロタルサイト、活性白土などの吸着剤処理を行い精製することもできる。
【0047】
かくして得られる本発明の該エステル類に残存する原料アルコールは、通常、ガスクロマトグラフィー分析によって定量することができ、その含有量は、通常、5重量%以下、好ましくは3重量%以下である。5重量%を越えると、該エステル類をポリアミド樹脂用可塑剤として用いた場合に、ポリアミド樹脂成形物の低温での柔軟性の低下やクレージング(ひび割れ)などの低温特性が悪化する傾向が見られる。
【0048】
該エステル類のハーゼン色数は、通常、1000以下、好ましくは500以下である。1000を越えると、かかるエステル類をポリアミド樹脂用可塑剤として用いた場合に、ポリアミド樹脂成形物(例えば、白色系成形体など)の色調を悪化させる傾向にある。
【0049】
用途
かくして得られた本発明の該エステル類は、ポリアミド樹脂用可塑剤として用いられる。該エステル類を含有するポリアミド樹脂成形物は、例えば、一般機械部品、自動車用部品等で用いられるホース、チューブ類として使用される。より具体的には、一般機械部品では、産業用ロボット、建設機械等の燃料、油圧、空圧チューブ等が挙げられ、自動車用部品では、燃料チューブ、エアーブレーキホース等が挙げられる。更に、上記以外にも、建材部品、紡績機部品、容器・包装材、雑貨の他、フィルム、チューブ、丸棒、シート、モノフィラメント等の押出製品用の素材、コーティング材としても有用である。
【0050】
尚、ポリアミド樹脂としては、例えば、ポリアミド46、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミドMXD−6および共重合ポリアミド等が挙げられる。
【0051】
【実施例】
以下の実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。得られた生成物のハーゼン色数はJIS K 4101記載の方法に準拠して測定した。また、残存する原料アルコールはガスクロマトグラフィー分析にて定量した。
【0052】
実施例1
攪拌機、温度計、水分離器付還流冷却器及び窒素ガス導入管を備えた1Lのガラス製反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸193.4g(1.40モル)、2−エチルヘキサノールEO2モル付加物(日本乳化剤社製、商品名「EHDG」)320.9g(1.47モル)、酸化スズ1.65g(0.012モル:対p−ヒドロキシ安息香酸 0.85重量%)、キシレン25gを仕込み、窒素を30ml/minの流量で反応液中に吹き込みながら220℃まで昇温した。220℃到達後、その温度で8〜10時間エステル化反応を行い、反応生成水はキシレンとの共沸により反応系外へ除去した。得られたエステル化反応粗物を5%燐酸水溶液で触媒分解後、温水洗浄し、次いで、5%水酸化ナトリウム水溶液で中和後、温水洗浄し1.5kPaの減圧下、180〜200℃で2−エチルヘキサノールEO2モル付加物を留去し、エステル454.8g(収率96.0%)を得た。得られたエステルのハーゼン色数は300であった。また、ガスクロマトグラフィーによる分析から主成分はp−ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシルオキシエトシキエチルであり、原料アルコールの残存量は2.0重量%であることを確認した。
【0053】
実施例2
2−エチルヘキサノールEO2モル付加物に代えて、n−ブタノールEO2モル付加物(日本乳化剤社製、商品名「BDG」)238.6g(1.47モル)を用いた以外は実施例1と同様にエステル化反応を行った。得られたエステルは396.6g(収率97.5%)であり、そのハーゼン色数は300であった。ガスクロマトグラフィーによる分析から主成分はp−ヒドロキシ安息香酸2−ブチルオキシエトシキエチルであり、原料アルコールの残存量は1.5重量%であることを確認した。
【0054】
実施例3
酸化スズに代えて、ジオクチル酸スズ2.90g(1.5重量%:対p−ヒドロキシ安息香酸)を用いた以外は実施例1と同様にエステル化反応を行った。得られたエステルは450.1g(収率95.0%)であり、ハーゼン色数は200であった。ガスクロマトグラフィーによる分析から主成分はp−ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシルオキシエトシキエチルであり、原料アルコールの残存量は1.9重量%であることを確認した。
【0055】
比較例1
酸化スズに代えて、p−トルエンスルホン酸3.87g(2.0重量%:対p−ヒドロキシ安息香酸)を用いた以外は実施例1と同様にしてエステル化反応を行った。得られたエステルは416.9g(収率88.0%)であり、そのハーゼン色数は1400であった。ガスクロマトグラフィーによる分析から主成分はp−ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシルオキシエトシキエチルであり、原料アルコールの残存量は2.1重量%であることを確認した。また、不純物としてEO鎖が切断されたエステルであるp−ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシルが7.0重量%副生していることを確認した。
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、エーテル結合が触媒によって切断されることなく、色調良好なヒドロキシ安息香酸エステル類が製造できる。
Claims (10)
- 一般式(1)
で表されるヒドロキシ安息香酸類と一般式(2)
で表される脂肪族アルコールアルキレンオキシド付加物とを、触媒の存在下にエステル化反応させてヒドロキシ安息香酸エステル類を製造する方法において、該触媒としてスズ化合物を用いることを特徴とするヒドロキシ安息香酸エステル類の製造方法。 - 一般式(1)において、mが1又は2であり、nが0又は1である請求項1に記載のヒドロキシ安息香酸エステル類の製造方法。
- 一般式(1)において、mが1であり、nが0である請求項1に記載のヒドロキシ安息香酸エステル類の製造方法。
- 無機酸類を用いる触媒分解工程を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のヒドロキシ安息香酸エステル類の製造方法。
- 無機酸類が、燐酸、塩酸、硝酸、亜硫酸水素ナトリウム及び燐酸二水素ナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項5に記載のヒドロキシ安息香酸エステル類の製造方法。
- 脂肪族アルコールアルキレンオキシド付加物類の残存量が、ヒドロキシ安息香酸エステル類に対して、0.001〜5重量%の範囲である請求項1〜6のいずれかに記載のヒドロキシ安息香酸エステル類の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の方法により製造されるヒドロキシ安息香酸エステル類。
- ハーゼン色数が1000以下である請求項1〜7のいずれかに記載のヒドロキシ安息香酸エステル類の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の方法より製造されるヒドロキシ安息香酸エステル類。
Priority Applications (1)
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JP2002221174A JP2004059517A (ja) | 2002-07-30 | 2002-07-30 | ヒドロキシ安息香酸エステル類の製造方法 |
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