JP2004059393A - 親水性有機化合物により物理/化学修飾された変成二酸化チタンおよびその製造方法、ならびにそれを用いた新規の材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】親水性有機化合物により物理/化学修飾された変成二酸化チタンおよびその製造方法、ならびにそれを用いた新規の材料を提供する。製紙や塗工、化学および医薬品の分野で利用される。
【解決手段】親水性基を分子内に多価にわたって有し、水およびそれを主成分とする溶媒に対して十分に溶解する親水性有機化合物が、二酸化チタンの表面または内部に、物理的または化学的に結合した変成二酸化チタン。好ましくは、親水性有機化合物が、ヘミセルロース、溶解セルロール、デキストリンから選ばれる1種である。また、その製造方法、ならびにそれを用いた新規の材料。
【選択図】 なし
【解決手段】親水性基を分子内に多価にわたって有し、水およびそれを主成分とする溶媒に対して十分に溶解する親水性有機化合物が、二酸化チタンの表面または内部に、物理的または化学的に結合した変成二酸化チタン。好ましくは、親水性有機化合物が、ヘミセルロース、溶解セルロール、デキストリンから選ばれる1種である。また、その製造方法、ならびにそれを用いた新規の材料。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙や不織布などの親水性な化合物を主とする材料にある物性を付与するため、操業条件を改良するため、製造コストを下げるためなどに、二酸化チタンを添加したり、塗布したりすることが必要な製品の分野、また、製造するに当たって、二酸化チタンの表面を修飾することが好ましいとされる高機能材料、医薬品の分野、における親水性有機化合物により物理/化学修飾された変成二酸化チタンおよびその製造方法、ならびにそれを用いた新規の材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本発明は、以下の説明と問題点や本発明の手法を用いることによる利点が似たようなものすべてに適応するものである。
【0003】
例えば、二酸化チタン塗料、化合繊のつや消し、印刷インキ、化粧品、乳白ガラス、有機チタン化合物の原料、ゴムおよびプラスチックの着色、リノリウム用顔料、絵の具、クレヨン、ほうろうや陶磁器の上薬、製紙、チタンコンデンサー、溶接棒被覆剤、歯科材料、レザー、石鹸、アスファルトタイル、などに幅広く用いられている。
【0004】
製紙においては、紙の填料として用いる場合、紙自体の白色度や不透明度の上昇、印刷適正の向上、密度上昇など紙の重要な基本物性を向上させる効果がある。特に不透明度効果は、他の顔料に比べて著しく大きい。
【0005】
塗工紙の顔料として用いる場合は、印刷適正の付与に加え、不透明度の付与、白色度の上昇など、白紙としての物性にも大きく関与する。
【0006】
二酸化チタンは、基本的に水にほとんど溶けず、また親水性化合物との親和性も高くない。そのために、こういった化合物が主原料となる材料に添加する場合、製造方法によってはその残存率が問題となる場合がある。また、そういった材料中で不均一に分布してしまうことも多い。
【0007】
例えば、抄紙工程では、その歩留まりは最も良いものでも60%程度に留まっている。また、紙中に高添加量にしようとすればするほど、歩留まりは悪くなっていき、20%を越えて原紙中に配合させることは技術的に難しい。高速抄紙の場合、この数値はさらに下がる。このため上述した性質を高度に発現させた紙の製造は不可能であった。
【0008】
これらを改善するための試みとして、定着剤などの助剤を加える方法があるが、十分な効果を発揮することはできず、またコストも上がってしまっていた。抄紙の機械面やパルプなどのソフト面からの対応方法もあるが、いずれも本発明で要求するような高いレベルでの解決は難しく、また他の物性への影響があるため好ましい対策方法ではない。
【0009】
特開平6−158585号公報では、繊維と鉱物結晶との複合体を製造して問題の解決を試みている。しかしながら、この方法では攪拌を厳しくすると繊維と鉱物結晶が離れてしまったり、1粒子団体自体が大きいため、歩留まりが思ったより改善しなかったり、面質を悪くしたりと言った副作用をもたらしている。
【0010】
一方、二酸化チタンを塗工紙の顔料として用いる場合、粒子自体の原紙との相互作用の低さから塗工時に紙の内部まで深く入り込んでしまう。表面に物性を満足させるために十分な量を残すためには、より多くの量を塗工せざるを得ない。
【0011】
これを解決するための手段としては、原紙のサイズを強くする方法、塗工紙の保水性を大きくする方法、二酸化チタンの粒子径を大きくする方法などが存在するが、これらも本発明で要求するような大きな効果を発現することは不可能であった。
【0012】
加えて、二酸化チタンには、物理/化学修飾することのできる官能基が表面に存在しないため、高機能材料の担体として用いることは基本的にできず、二酸化チタンの利点を応用することができないでいた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の問題を解決することにあり、二酸化チタンの物性を向上させるだけでなく、変成二酸化チタンを添加すべき材料との親和性を向上させ、導入されたり、表面に留まる量を増加させることであり、さらには、例えば、高機能材料の担体として、従来にはなかった新規な高機能材料に応用することをも目的とする親水性有機化合物により物理/化学修飾された変成二酸化チタンおよびその製造方法、ならびにそれを用いた新規の材料を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記に鑑み鋭意研究した結果、親水性有機化合物により物理/化学修飾された変成二酸化チタンおよびその製造方法、ならびにそれを用いた新規の材料を発明するに至った。
【0015】
すなわち、本発明の親水性有機化合物により物理/化学修飾された変成二酸化チタンおよびその製造方法、ならびにそれを用いた新規の材料は、親水性基を分子内に多価にわたって有し、水およびそれを主成分とする溶媒に対して十分に溶解する親水性有機化合物が、二酸化チタンの表面または内部に、物理的または化学的に結合した変成二酸化チタンである。好ましくは親水性有機化合物が、ヘミセルロース、溶解セルロール、デキストリンから選ばれる1種である変成二酸化チタンである。
【0016】
本発明において、水または水を主成分とする溶媒を攪拌しつつ、親水性基を分子内に多価にわたって有し、水およびそれを主成分とする溶媒に対して十分に溶解する親水性有機化合物を加えて完全に溶解させて後、この水溶液中で二酸化チタンの結晶を析出させて製造することを特徴とする変成二酸化チタンの製造方法である。
【0017】
本発明においては、このような新規な変成二酸化チタンを紙の抄造に利用し、さらには塗工紙の製造へ応用するものである。
【0018】
さらには、このような新規な変成二酸化チタンを高機能材料の製造や医薬品の製造へ応用するものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、親水性有機化合物により物理/化学修飾された変成二酸化チタンおよびその製造方法、ならびにそれを用いた新規の材料について詳しく述べる。
【0020】
ここで言う親水性有機化合物とは、ヘミセルロースや溶解セルロース、デキストリンなどのように製紙工程中において廃棄物として焼却処分されているものを用いることがコストや環境面から好ましい。しかし、この効果はこれに限定されるものではなく、澱粉、マンナン、キトサン、アラビノガラクタン、グリコーゲン、イヌリン、ペクチン、ヒアルロン酸、などの天然多糖類およびそのオリゴマーさらには酸化澱粉、リン酸エステル化澱粉、エーテル化澱粉などのこれら天然多糖類の変性体、ガゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、コラーゲンなどの天然タンパク質およびその変性体、ポリヌクレオチドやその変性体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどの変性セルロースや、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、酢酸ビニル、シリル変性ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル共重合体などのビニル系重合体ポリエチレングリコール、ポリカルボン酸、ポリアミン、ポリ乳酸、ペプチドなどの合成高分子、オリゴマーなどを指す。これらは一種以上で使用することができる。この他、公知の天然、合成有機化合物を使用することは特に限定されない。
【0021】
上記に代表的で安価に手に入るものの例を挙げたが、本発明における親水性有機化合物とはこれらに限定されるものではない。これらの精製方法、製造方法としては、各種公知の方法をそのまま採用することができる。
【0022】
親水性有機化合物が存在する系で二酸化チタンを合成すると、物理的および化学的な力によりその内部にこれらの分子が取り込まれる。取り込まれた分子の一部は表面に残り、結果として、二酸化チタンの表面に親水的官能基が多数存在した変成二酸化チタンができる。
【0023】
例えば、硫酸チタンと親水性有機化合物混合溶液をアンモニア水で中和させ二酸化チタンを析出させることによって、上述のような変成二酸化チタンを製造することができる。
【0024】
親水性有機化合物の中で、反応条件によって分解反応などを起こすものを使用する場合は別途工夫が必要となる。
【0025】
反応液中には、その他の添加剤として、形状制御剤、結合促進剤、pH調節剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどの無機導電剤、有機導電剤、などを適宜配合することも勿論可能である。
【0026】
親水性有機化合物の種類によっては攪拌をしないほうが効果的な場合もある。逆に超音波をかけながら反応させる場合もある。
【0027】
二酸化チタンの表面に存在することになるこれら親水性有機化合物によって、二酸化チタンは必要以上に結晶を成長せず、適当な大きさの粒子を長期にわたって安定的に存在させることが可能となる。また、従来必要であった分散剤などの添加剤を減らすことができる。ここで言う長期にわたる安定性とは、腐敗などが起こらなかった場合、数ヶ月放置しても製造直後と分散状態や結晶状態が変わらないことを意味する。
【0028】
最初に加えておく親水性有機化合物をコントロールすることにより、粒径、結晶型などをコントロールすることもできる。さらには、従来の単なる二酸化チタンでは考えられなかった保水性効果も持ち合わせる。
【0029】
できあがった変成二酸化チタンは、表面に親水基が存在することにより、例えば、紙に添加したときにセルロースとの相互作用がよく働き、抄紙工程における歩留まりが単なる二酸化チタンに比べて格段に向上する。また、抄紙工程での厚さ方向での移動も小さいため、紙中で均一に分布し、表裏差の小さな紙を抄造することができる。
【0030】
原紙内にすき込むことのできる量も大幅に向上する。さらには、従来の二酸化チタンを大量に配合することによって失われていた物性、すなわち剛直度や紙の強度などの低下度合いも小さくて済む。
【0031】
塗工紙の顔料として用いる場合には、原紙の中に入り込まず、よく表面に留まる。そのため、従来と同程度の品質を得るために必要な塗工量を少なくすることができる。微塗工紙や軽塗工紙を作製する上で、品質、コストとして有効に働く。塗工量が多いものに対して応用するときは、下塗り液に用いることが効果的である。
【0032】
加えて、変成二酸化チタン同士の相互作用によって、バインダ要求量が少なくなり、コストを抑えることができる。また、ピック強度、耐ブリスター性、吸水性などへの向上にも効果がある。
【0033】
塗工液の液性的には、若干の粘度上昇はあるが問題となるレベルではなく、保水性の付与などの効果がある。
【0034】
表面に存在する官能基は当然物理/化学修飾することが可能である。このため、安価な担体として、高機能材料や医薬品への応用が期待できる。例えば、高機能材料としては、アフィニティークロマトグラフィー、有機化合物やタンパク質の固層合成の担体、表面を高級アルキル処理しフィルター中に抄き込むことによるメンブレンフィルターなどが考えられ、医薬品材料としては精密分子修飾などによって、DNA担持体、透析膜の填料、胃腸薬、ドラッグデリバリーシステムへの応用などが考えられる。
【0035】
上記の記述はほんの一例であり、本発明の用途はこれらに限られるものではない。
【0036】
本発明では、抄造原紙を抄造する際に使用される木材パルプとしては、NBKP、LBKP、NBSP、LBSP、GP、TMPなどの他に古紙パルプが挙げられる。使用に当たっては、それらを数種類目的に応じた比率で混合して用いる。
【0037】
なお、ここで言う古紙パルプの原料とは、(財)古紙再生促進センターの古紙標準品質規格表に示されている、上白、罫白、クリーム白、カード、特白、中白、模造、色白、ケント、白アート、特上切、別上切、新聞、雑誌などが挙げられる。さらに具体例としては、情報関連記録用紙である非塗工コンピュータ記録用紙、感熱紙、感圧紙などのプリンター記録用紙、およびPPC記録用紙などのOA古紙、アート紙、コート紙、微塗工紙、マット紙などの塗工紙、あるいは上質紙、色上質、ノート、便箋、包装紙、ファンシーペーパー、中質紙、新聞用紙、更紙、スーパー掛け紙、模造紙、純白ロール紙、ミルクカートンなどの非塗工紙などの紙や板紙の古紙で、化学パルプ紙、高歩留りパルプ含有紙などが使用されるが、印字、複写、印刷、非印刷を問わず特に限定されるものではない。
【0038】
本発明の変成二酸化チタンを原紙を抄造に応用する際に使用されるその他の填料としては、特に制限されず、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウムなどの公知の炭酸カルシウムやタルク、クレー、カオリンなどの無機填料および有機填料が使用できる。勿論、炭酸カルシウムと各種填料を数種類、組み合わせて使用することも可能である。
【0039】
原紙を抄造する際に使用される内添サイズ剤としては、特に制限されず、ロジン系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸、アルキルケテンダイマー、中性ロジンサイズ剤、石油樹脂系サイズ剤などが使用できる。
【0040】
紙料中には、この他に、従来から使用されている各種のアニオン性、ノニオン性、カチオン性、あるいは両性の紙力向上剤などの抄紙用内添助剤が必要に応じて適宜選択して使用される。例えば、各種澱粉、およびポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリアミン、ポリアミド・ポリアミン、尿素ホルマリン樹脂、メラミンホルマリン樹脂、植物ガム、ポリビニルアルコール、ラテックス、ポリエチレンオキサイド、ポリアミド樹脂の内の1種あるいは2種以上が適宜組み合わされて使用される。
【0041】
なお、紙料中には、染料、pH調節剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤などの抄紙用内添助剤を目的に応じて適宜添加することも可能である。
【0042】
原紙の抄紙方法において、抄紙機は、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、オントップ抄紙機、コンビネーション抄紙機、丸網抄紙機、ヤンキー抄紙機など製紙業界で公知の抄紙機を適宜使用できる。
【0043】
本発明の変成二酸化チタンを塗工紙に応用する際、塗工層を塗工する方法は特に限定されるものではなく、サイズプレス、ゲートロール、シムサイザーなどの各種メタードフィルムトランスファー、エアーナイフ、ロッド、ブレード、ダイレクトファウンテンなどの各方式を適宜使用する。塗工層は、一層に限定されるものではなく、必要に応じて表裏ともに何層も設けてもよい。
【0044】
本発明の変成二酸化チタンを塗工紙に応用する際、塗工液に用いられる変成二酸化チタン以外の顔料は、特に限定されるものではなく、例えば、各種カオリン、タルク、粉砕炭酸カルシウムなどの精製した天然鉱物顔料、サチンホワイト、リトホンなどの複合合成顔料、酸化チタン、沈降性炭酸カルシウム、水酸化アルミナなどの半合成顔料、プラスチック顔料などの合成顔料が挙げられる。
【0045】
塗工液に用いられる澱粉としては、通常の澱紛、酸化澱紛、エーテル化澱紛、エステル化澱紛、酵素変性澱紛やそれらをフラッシュドライして得られる冷水可溶性澱粉が挙げられる。また、ガゼインやCMCなどでこれを代用しても良い。
【0046】
また、塗工液に用いられる増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ソーダ、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン、ポリアクリル酸ソーダなどの水溶性高分子、ポリアクリル酸塩、スチレンマレイン酸無水共重合体などの合成重合体、珪酸塩などの無機重合体などが挙げられる。ただし、本発明においては変成二酸化チタンによって既に保水性が高く保てるので、これらの配合量を減らすことができる。
【0047】
塗工液に用いられる澱粉以外のバインダーとしては、スチレン−ブタジエン系、アクリル系、酢酸ビニル系などの各種共重合体ラテックス、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ユリアまたはメラミン/ホルマリン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアミドポリアミン/エピクロルヒドリンなどの水溶性合成物、ワックス、カゼイン、大豆蛋白などの天然物およびこれらをカチオン化したものなどが挙げられる。
【0048】
また、必要に応じて、分散剤、消泡剤、耐水化剤、着色剤などの通常使用されている各種助剤、およびこれらの各種助剤をアニオン化したものが好適に用いられる。
【0049】
変成二酸化チタン用いた塗工紙作成時に用いられる原紙としては、LBKP,NBKPなどの化学パルプ、GP、PGWRMP、TMP、CTMP、CGPなどの機械パルプ、および故紙パルプなどの各種パルプを含み、本発明の変成二酸化チタン、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリンなどの各種填料、サイズ剤、定着剤、歩留り剤、紙力増強剤などの各種配合剤を好適に配合し、酸性、中性、アルカリ性のいずれかでも抄造できる。
【0050】
変成二酸化チタン用いた塗工紙作成時に用いられる原紙としては、ノーサイズプレス原紙、澱紛、ポリビニルアルコールなどでサイズプレスされた原紙などを用いることができる。また、必要とする原紙の密度、平滑度を得るために各種カレンダー処理を施す場合もある。
【0051】
一連の操業で、塗工、乾燥された塗工紙は、必要に応じて各種カレンダー処理が施される。
【0052】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明の効果を詳細に説明するが、これによって本発明が何ら限定されるものではない。なお、実施例中の%は質量%を示す。
【0053】
実施例1
まずは変成二酸化チタンの合成および帰属の実施例を示す。
【0054】
水1.0kg中に精製硫酸チタン800gを溶解させた。不溶分を濾過して除いた後、デキストリン70.2gを加え、水浴で暖めながら完全に溶解させた。さらに結合促進剤を少量加えた後、アンモニア水を徐々に加えてpHを7.0とした。析出したかゆ状物をさらに1時間攪拌(500rpm)した後、濾過し、濾紙上の析出物を水で良く洗浄した。その後、真空オーブンで60℃で一昼夜乾燥させた。収量240g(収率90%)。
【0055】
乾燥粉末をガラス板上に均一に伸ばし、発色液(アニスアルデヒド:硫酸:メタノール=5:10:85、体積比)をかけ、180℃に加熱し、有機分が表面に存在することを確認した。また、粉末1.000gを540g℃でばい焼させた。ばい焼後の重量は9.972gであった(結合量2.8%)。また、X線構造回折によりアナターゼ型の結晶であることを確認した。
【0056】
[抄紙工程への応用例]
比較例1
<原紙配合>
原紙配合;LBKP(ろ水度;450ml、c.s.f) 100部
市販アナターゼ型二酸化チタン 10部
硫酸アルミニウム 0.8部
両性澱粉(日本NSC社製;Cato3210) 1部
歩留り向上剤(ハイモ社製;NRー11LS) 0.02部
【0057】
上記各原紙配合の0.3%スラリーをテスト抄紙機(1000/min)で抄紙した。二酸化チタンの歩留まりは48%であった。
【0058】
実施例2
<原紙配合>
原紙配合;LBKP(ろ水度;450ml、c.s.f) 100部
合成変成二酸化チタン 10.3部
硫酸アルミニウム 0.8部
両性澱粉(日本NSC社製;Cato3210) 1部
歩留り向上剤(ハイモ社製;NRー11LS) 0.02部
【0059】
上記各原紙配合の0.3%をテスト抄紙機(1000/min)で抄紙した。変成二酸化チタンの歩留まりは61%であった。
【0060】
[塗工紙への応用例]
比較例2
原紙は以下のような配合で調整し、坪量70g/m2の原紙を抄造した。
<原紙配合>
LBKP(濾水度440mlcsf) 70質量部
NBKP(濾水度490mlcsf) 30質量部
<内添薬品>
軽質炭酸カルシウム(*原紙中灰分で表示) *6質量部
市販カチオン化澱粉 1.0質量部
市販カチオン系ポリアクリルアミド歩留り向上剤 0.03質量部
【0061】
上記の配合にてパルプスラリーを調整し、長網抄紙機を用いて坪量70g/m2の原紙を抄造し、内部結合強度を調節するために、パルプ濾水度を上記の範囲で変化させ、さらにウェットパートのプレス圧も適宜調節しながら、オンラインにより澱粉をサイズプレスして後、乾燥し、さらにソフトカレンダー仕上げ装置を用い、剛性ロールとして外径500mmのチルドロール、弾性ロールとして外径500mmの樹脂ロールにより、線圧180kg/cm、温度80℃にてカレンダリング処理を施し、塗工用原紙を得た。
【0062】
<塗工液の配合>
市販一級カオリンクレー 50部
市販重質炭酸カルシウム 30部
市販アナターゼ型二酸化チタン 20部
市販ポリアクリル酸系分散剤 0.1部
ラテックスバインダー 15部
市販燐酸エステル化澱粉 3部
市販カルボキシメチルセルロース系増粘剤(CMC) 0.1部
水酸化ナトリウムによりpH9.6に調製
【0063】
上記のようにして製造した塗工用原紙に対して、ラボ用ブレードコーターを用いて塗工速度10m/分で固形分濃度63質量%の塗工液を、片面5g/m2塗工し、乾燥した。得られた塗工紙をスーパーカレンダー仕上げ装置(nip数:4、剛性ロール:外径200mmのチルドロール、弾性ロール:外径300mmのコットンロール、線圧:220kg/cm)を用いてカレンダリング処理を施し、印刷用塗工紙を製造した。得られた印刷用塗工紙について、電子顕微鏡撮影による原紙の露出度は目視で50%程度であった。
【0064】
実施例4
<塗工液の配合>
市販一級カオリンクレー 50部
市販重質炭酸カルシウム 30部
合成変成二酸化チタン 20部
市販ポリアクリル酸系分散剤 0.1部
ラテックスバインダー 15部
市販燐酸エステル化澱粉 3部
水酸化ナトリウムによりpH9.6に調製
【0065】
比較例2と同じ塗工用原紙に対して、ラボ用ブレードコーターを用いて塗工速度10m/分で固形分濃度63質量%の塗工液を、片面5g/m2塗工し、乾燥した。得られた塗工紙をスーパーカレンダー仕上げ装置(nip数:4、剛性ロール:外径200mmのチルドロール、弾性ロール:外径300mmのコットンロール、線圧:220kg/cm)を用いてカレンダリング処理を施し、印刷用塗工紙を製造した。得られた印刷用塗工紙について、電子顕微鏡撮影による原紙の露出度は目視で20%程度であった。
【0066】
【発明の効果】
本発明によれば、二酸化チタンの物性を向上させるだけでなく、変成二酸化チタンを添加すべき材料との親和性を向上させ、導入されたり、表面に留まる量を増加させることであり、さらには、例えば、高機能材料の担体として、従来にはなかった新規な高機能材料に応用することをも目的とする親水性有機化合物により物理/化学修飾された変成二酸化チタンおよびその製造方法、ならびにそれを用いた新規の材料を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙や不織布などの親水性な化合物を主とする材料にある物性を付与するため、操業条件を改良するため、製造コストを下げるためなどに、二酸化チタンを添加したり、塗布したりすることが必要な製品の分野、また、製造するに当たって、二酸化チタンの表面を修飾することが好ましいとされる高機能材料、医薬品の分野、における親水性有機化合物により物理/化学修飾された変成二酸化チタンおよびその製造方法、ならびにそれを用いた新規の材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本発明は、以下の説明と問題点や本発明の手法を用いることによる利点が似たようなものすべてに適応するものである。
【0003】
例えば、二酸化チタン塗料、化合繊のつや消し、印刷インキ、化粧品、乳白ガラス、有機チタン化合物の原料、ゴムおよびプラスチックの着色、リノリウム用顔料、絵の具、クレヨン、ほうろうや陶磁器の上薬、製紙、チタンコンデンサー、溶接棒被覆剤、歯科材料、レザー、石鹸、アスファルトタイル、などに幅広く用いられている。
【0004】
製紙においては、紙の填料として用いる場合、紙自体の白色度や不透明度の上昇、印刷適正の向上、密度上昇など紙の重要な基本物性を向上させる効果がある。特に不透明度効果は、他の顔料に比べて著しく大きい。
【0005】
塗工紙の顔料として用いる場合は、印刷適正の付与に加え、不透明度の付与、白色度の上昇など、白紙としての物性にも大きく関与する。
【0006】
二酸化チタンは、基本的に水にほとんど溶けず、また親水性化合物との親和性も高くない。そのために、こういった化合物が主原料となる材料に添加する場合、製造方法によってはその残存率が問題となる場合がある。また、そういった材料中で不均一に分布してしまうことも多い。
【0007】
例えば、抄紙工程では、その歩留まりは最も良いものでも60%程度に留まっている。また、紙中に高添加量にしようとすればするほど、歩留まりは悪くなっていき、20%を越えて原紙中に配合させることは技術的に難しい。高速抄紙の場合、この数値はさらに下がる。このため上述した性質を高度に発現させた紙の製造は不可能であった。
【0008】
これらを改善するための試みとして、定着剤などの助剤を加える方法があるが、十分な効果を発揮することはできず、またコストも上がってしまっていた。抄紙の機械面やパルプなどのソフト面からの対応方法もあるが、いずれも本発明で要求するような高いレベルでの解決は難しく、また他の物性への影響があるため好ましい対策方法ではない。
【0009】
特開平6−158585号公報では、繊維と鉱物結晶との複合体を製造して問題の解決を試みている。しかしながら、この方法では攪拌を厳しくすると繊維と鉱物結晶が離れてしまったり、1粒子団体自体が大きいため、歩留まりが思ったより改善しなかったり、面質を悪くしたりと言った副作用をもたらしている。
【0010】
一方、二酸化チタンを塗工紙の顔料として用いる場合、粒子自体の原紙との相互作用の低さから塗工時に紙の内部まで深く入り込んでしまう。表面に物性を満足させるために十分な量を残すためには、より多くの量を塗工せざるを得ない。
【0011】
これを解決するための手段としては、原紙のサイズを強くする方法、塗工紙の保水性を大きくする方法、二酸化チタンの粒子径を大きくする方法などが存在するが、これらも本発明で要求するような大きな効果を発現することは不可能であった。
【0012】
加えて、二酸化チタンには、物理/化学修飾することのできる官能基が表面に存在しないため、高機能材料の担体として用いることは基本的にできず、二酸化チタンの利点を応用することができないでいた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の問題を解決することにあり、二酸化チタンの物性を向上させるだけでなく、変成二酸化チタンを添加すべき材料との親和性を向上させ、導入されたり、表面に留まる量を増加させることであり、さらには、例えば、高機能材料の担体として、従来にはなかった新規な高機能材料に応用することをも目的とする親水性有機化合物により物理/化学修飾された変成二酸化チタンおよびその製造方法、ならびにそれを用いた新規の材料を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記に鑑み鋭意研究した結果、親水性有機化合物により物理/化学修飾された変成二酸化チタンおよびその製造方法、ならびにそれを用いた新規の材料を発明するに至った。
【0015】
すなわち、本発明の親水性有機化合物により物理/化学修飾された変成二酸化チタンおよびその製造方法、ならびにそれを用いた新規の材料は、親水性基を分子内に多価にわたって有し、水およびそれを主成分とする溶媒に対して十分に溶解する親水性有機化合物が、二酸化チタンの表面または内部に、物理的または化学的に結合した変成二酸化チタンである。好ましくは親水性有機化合物が、ヘミセルロース、溶解セルロール、デキストリンから選ばれる1種である変成二酸化チタンである。
【0016】
本発明において、水または水を主成分とする溶媒を攪拌しつつ、親水性基を分子内に多価にわたって有し、水およびそれを主成分とする溶媒に対して十分に溶解する親水性有機化合物を加えて完全に溶解させて後、この水溶液中で二酸化チタンの結晶を析出させて製造することを特徴とする変成二酸化チタンの製造方法である。
【0017】
本発明においては、このような新規な変成二酸化チタンを紙の抄造に利用し、さらには塗工紙の製造へ応用するものである。
【0018】
さらには、このような新規な変成二酸化チタンを高機能材料の製造や医薬品の製造へ応用するものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、親水性有機化合物により物理/化学修飾された変成二酸化チタンおよびその製造方法、ならびにそれを用いた新規の材料について詳しく述べる。
【0020】
ここで言う親水性有機化合物とは、ヘミセルロースや溶解セルロース、デキストリンなどのように製紙工程中において廃棄物として焼却処分されているものを用いることがコストや環境面から好ましい。しかし、この効果はこれに限定されるものではなく、澱粉、マンナン、キトサン、アラビノガラクタン、グリコーゲン、イヌリン、ペクチン、ヒアルロン酸、などの天然多糖類およびそのオリゴマーさらには酸化澱粉、リン酸エステル化澱粉、エーテル化澱粉などのこれら天然多糖類の変性体、ガゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、コラーゲンなどの天然タンパク質およびその変性体、ポリヌクレオチドやその変性体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどの変性セルロースや、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、酢酸ビニル、シリル変性ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル共重合体などのビニル系重合体ポリエチレングリコール、ポリカルボン酸、ポリアミン、ポリ乳酸、ペプチドなどの合成高分子、オリゴマーなどを指す。これらは一種以上で使用することができる。この他、公知の天然、合成有機化合物を使用することは特に限定されない。
【0021】
上記に代表的で安価に手に入るものの例を挙げたが、本発明における親水性有機化合物とはこれらに限定されるものではない。これらの精製方法、製造方法としては、各種公知の方法をそのまま採用することができる。
【0022】
親水性有機化合物が存在する系で二酸化チタンを合成すると、物理的および化学的な力によりその内部にこれらの分子が取り込まれる。取り込まれた分子の一部は表面に残り、結果として、二酸化チタンの表面に親水的官能基が多数存在した変成二酸化チタンができる。
【0023】
例えば、硫酸チタンと親水性有機化合物混合溶液をアンモニア水で中和させ二酸化チタンを析出させることによって、上述のような変成二酸化チタンを製造することができる。
【0024】
親水性有機化合物の中で、反応条件によって分解反応などを起こすものを使用する場合は別途工夫が必要となる。
【0025】
反応液中には、その他の添加剤として、形状制御剤、結合促進剤、pH調節剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどの無機導電剤、有機導電剤、などを適宜配合することも勿論可能である。
【0026】
親水性有機化合物の種類によっては攪拌をしないほうが効果的な場合もある。逆に超音波をかけながら反応させる場合もある。
【0027】
二酸化チタンの表面に存在することになるこれら親水性有機化合物によって、二酸化チタンは必要以上に結晶を成長せず、適当な大きさの粒子を長期にわたって安定的に存在させることが可能となる。また、従来必要であった分散剤などの添加剤を減らすことができる。ここで言う長期にわたる安定性とは、腐敗などが起こらなかった場合、数ヶ月放置しても製造直後と分散状態や結晶状態が変わらないことを意味する。
【0028】
最初に加えておく親水性有機化合物をコントロールすることにより、粒径、結晶型などをコントロールすることもできる。さらには、従来の単なる二酸化チタンでは考えられなかった保水性効果も持ち合わせる。
【0029】
できあがった変成二酸化チタンは、表面に親水基が存在することにより、例えば、紙に添加したときにセルロースとの相互作用がよく働き、抄紙工程における歩留まりが単なる二酸化チタンに比べて格段に向上する。また、抄紙工程での厚さ方向での移動も小さいため、紙中で均一に分布し、表裏差の小さな紙を抄造することができる。
【0030】
原紙内にすき込むことのできる量も大幅に向上する。さらには、従来の二酸化チタンを大量に配合することによって失われていた物性、すなわち剛直度や紙の強度などの低下度合いも小さくて済む。
【0031】
塗工紙の顔料として用いる場合には、原紙の中に入り込まず、よく表面に留まる。そのため、従来と同程度の品質を得るために必要な塗工量を少なくすることができる。微塗工紙や軽塗工紙を作製する上で、品質、コストとして有効に働く。塗工量が多いものに対して応用するときは、下塗り液に用いることが効果的である。
【0032】
加えて、変成二酸化チタン同士の相互作用によって、バインダ要求量が少なくなり、コストを抑えることができる。また、ピック強度、耐ブリスター性、吸水性などへの向上にも効果がある。
【0033】
塗工液の液性的には、若干の粘度上昇はあるが問題となるレベルではなく、保水性の付与などの効果がある。
【0034】
表面に存在する官能基は当然物理/化学修飾することが可能である。このため、安価な担体として、高機能材料や医薬品への応用が期待できる。例えば、高機能材料としては、アフィニティークロマトグラフィー、有機化合物やタンパク質の固層合成の担体、表面を高級アルキル処理しフィルター中に抄き込むことによるメンブレンフィルターなどが考えられ、医薬品材料としては精密分子修飾などによって、DNA担持体、透析膜の填料、胃腸薬、ドラッグデリバリーシステムへの応用などが考えられる。
【0035】
上記の記述はほんの一例であり、本発明の用途はこれらに限られるものではない。
【0036】
本発明では、抄造原紙を抄造する際に使用される木材パルプとしては、NBKP、LBKP、NBSP、LBSP、GP、TMPなどの他に古紙パルプが挙げられる。使用に当たっては、それらを数種類目的に応じた比率で混合して用いる。
【0037】
なお、ここで言う古紙パルプの原料とは、(財)古紙再生促進センターの古紙標準品質規格表に示されている、上白、罫白、クリーム白、カード、特白、中白、模造、色白、ケント、白アート、特上切、別上切、新聞、雑誌などが挙げられる。さらに具体例としては、情報関連記録用紙である非塗工コンピュータ記録用紙、感熱紙、感圧紙などのプリンター記録用紙、およびPPC記録用紙などのOA古紙、アート紙、コート紙、微塗工紙、マット紙などの塗工紙、あるいは上質紙、色上質、ノート、便箋、包装紙、ファンシーペーパー、中質紙、新聞用紙、更紙、スーパー掛け紙、模造紙、純白ロール紙、ミルクカートンなどの非塗工紙などの紙や板紙の古紙で、化学パルプ紙、高歩留りパルプ含有紙などが使用されるが、印字、複写、印刷、非印刷を問わず特に限定されるものではない。
【0038】
本発明の変成二酸化チタンを原紙を抄造に応用する際に使用されるその他の填料としては、特に制限されず、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウムなどの公知の炭酸カルシウムやタルク、クレー、カオリンなどの無機填料および有機填料が使用できる。勿論、炭酸カルシウムと各種填料を数種類、組み合わせて使用することも可能である。
【0039】
原紙を抄造する際に使用される内添サイズ剤としては、特に制限されず、ロジン系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸、アルキルケテンダイマー、中性ロジンサイズ剤、石油樹脂系サイズ剤などが使用できる。
【0040】
紙料中には、この他に、従来から使用されている各種のアニオン性、ノニオン性、カチオン性、あるいは両性の紙力向上剤などの抄紙用内添助剤が必要に応じて適宜選択して使用される。例えば、各種澱粉、およびポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリアミン、ポリアミド・ポリアミン、尿素ホルマリン樹脂、メラミンホルマリン樹脂、植物ガム、ポリビニルアルコール、ラテックス、ポリエチレンオキサイド、ポリアミド樹脂の内の1種あるいは2種以上が適宜組み合わされて使用される。
【0041】
なお、紙料中には、染料、pH調節剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤などの抄紙用内添助剤を目的に応じて適宜添加することも可能である。
【0042】
原紙の抄紙方法において、抄紙機は、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、オントップ抄紙機、コンビネーション抄紙機、丸網抄紙機、ヤンキー抄紙機など製紙業界で公知の抄紙機を適宜使用できる。
【0043】
本発明の変成二酸化チタンを塗工紙に応用する際、塗工層を塗工する方法は特に限定されるものではなく、サイズプレス、ゲートロール、シムサイザーなどの各種メタードフィルムトランスファー、エアーナイフ、ロッド、ブレード、ダイレクトファウンテンなどの各方式を適宜使用する。塗工層は、一層に限定されるものではなく、必要に応じて表裏ともに何層も設けてもよい。
【0044】
本発明の変成二酸化チタンを塗工紙に応用する際、塗工液に用いられる変成二酸化チタン以外の顔料は、特に限定されるものではなく、例えば、各種カオリン、タルク、粉砕炭酸カルシウムなどの精製した天然鉱物顔料、サチンホワイト、リトホンなどの複合合成顔料、酸化チタン、沈降性炭酸カルシウム、水酸化アルミナなどの半合成顔料、プラスチック顔料などの合成顔料が挙げられる。
【0045】
塗工液に用いられる澱粉としては、通常の澱紛、酸化澱紛、エーテル化澱紛、エステル化澱紛、酵素変性澱紛やそれらをフラッシュドライして得られる冷水可溶性澱粉が挙げられる。また、ガゼインやCMCなどでこれを代用しても良い。
【0046】
また、塗工液に用いられる増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ソーダ、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン、ポリアクリル酸ソーダなどの水溶性高分子、ポリアクリル酸塩、スチレンマレイン酸無水共重合体などの合成重合体、珪酸塩などの無機重合体などが挙げられる。ただし、本発明においては変成二酸化チタンによって既に保水性が高く保てるので、これらの配合量を減らすことができる。
【0047】
塗工液に用いられる澱粉以外のバインダーとしては、スチレン−ブタジエン系、アクリル系、酢酸ビニル系などの各種共重合体ラテックス、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ユリアまたはメラミン/ホルマリン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアミドポリアミン/エピクロルヒドリンなどの水溶性合成物、ワックス、カゼイン、大豆蛋白などの天然物およびこれらをカチオン化したものなどが挙げられる。
【0048】
また、必要に応じて、分散剤、消泡剤、耐水化剤、着色剤などの通常使用されている各種助剤、およびこれらの各種助剤をアニオン化したものが好適に用いられる。
【0049】
変成二酸化チタン用いた塗工紙作成時に用いられる原紙としては、LBKP,NBKPなどの化学パルプ、GP、PGWRMP、TMP、CTMP、CGPなどの機械パルプ、および故紙パルプなどの各種パルプを含み、本発明の変成二酸化チタン、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリンなどの各種填料、サイズ剤、定着剤、歩留り剤、紙力増強剤などの各種配合剤を好適に配合し、酸性、中性、アルカリ性のいずれかでも抄造できる。
【0050】
変成二酸化チタン用いた塗工紙作成時に用いられる原紙としては、ノーサイズプレス原紙、澱紛、ポリビニルアルコールなどでサイズプレスされた原紙などを用いることができる。また、必要とする原紙の密度、平滑度を得るために各種カレンダー処理を施す場合もある。
【0051】
一連の操業で、塗工、乾燥された塗工紙は、必要に応じて各種カレンダー処理が施される。
【0052】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明の効果を詳細に説明するが、これによって本発明が何ら限定されるものではない。なお、実施例中の%は質量%を示す。
【0053】
実施例1
まずは変成二酸化チタンの合成および帰属の実施例を示す。
【0054】
水1.0kg中に精製硫酸チタン800gを溶解させた。不溶分を濾過して除いた後、デキストリン70.2gを加え、水浴で暖めながら完全に溶解させた。さらに結合促進剤を少量加えた後、アンモニア水を徐々に加えてpHを7.0とした。析出したかゆ状物をさらに1時間攪拌(500rpm)した後、濾過し、濾紙上の析出物を水で良く洗浄した。その後、真空オーブンで60℃で一昼夜乾燥させた。収量240g(収率90%)。
【0055】
乾燥粉末をガラス板上に均一に伸ばし、発色液(アニスアルデヒド:硫酸:メタノール=5:10:85、体積比)をかけ、180℃に加熱し、有機分が表面に存在することを確認した。また、粉末1.000gを540g℃でばい焼させた。ばい焼後の重量は9.972gであった(結合量2.8%)。また、X線構造回折によりアナターゼ型の結晶であることを確認した。
【0056】
[抄紙工程への応用例]
比較例1
<原紙配合>
原紙配合;LBKP(ろ水度;450ml、c.s.f) 100部
市販アナターゼ型二酸化チタン 10部
硫酸アルミニウム 0.8部
両性澱粉(日本NSC社製;Cato3210) 1部
歩留り向上剤(ハイモ社製;NRー11LS) 0.02部
【0057】
上記各原紙配合の0.3%スラリーをテスト抄紙機(1000/min)で抄紙した。二酸化チタンの歩留まりは48%であった。
【0058】
実施例2
<原紙配合>
原紙配合;LBKP(ろ水度;450ml、c.s.f) 100部
合成変成二酸化チタン 10.3部
硫酸アルミニウム 0.8部
両性澱粉(日本NSC社製;Cato3210) 1部
歩留り向上剤(ハイモ社製;NRー11LS) 0.02部
【0059】
上記各原紙配合の0.3%をテスト抄紙機(1000/min)で抄紙した。変成二酸化チタンの歩留まりは61%であった。
【0060】
[塗工紙への応用例]
比較例2
原紙は以下のような配合で調整し、坪量70g/m2の原紙を抄造した。
<原紙配合>
LBKP(濾水度440mlcsf) 70質量部
NBKP(濾水度490mlcsf) 30質量部
<内添薬品>
軽質炭酸カルシウム(*原紙中灰分で表示) *6質量部
市販カチオン化澱粉 1.0質量部
市販カチオン系ポリアクリルアミド歩留り向上剤 0.03質量部
【0061】
上記の配合にてパルプスラリーを調整し、長網抄紙機を用いて坪量70g/m2の原紙を抄造し、内部結合強度を調節するために、パルプ濾水度を上記の範囲で変化させ、さらにウェットパートのプレス圧も適宜調節しながら、オンラインにより澱粉をサイズプレスして後、乾燥し、さらにソフトカレンダー仕上げ装置を用い、剛性ロールとして外径500mmのチルドロール、弾性ロールとして外径500mmの樹脂ロールにより、線圧180kg/cm、温度80℃にてカレンダリング処理を施し、塗工用原紙を得た。
【0062】
<塗工液の配合>
市販一級カオリンクレー 50部
市販重質炭酸カルシウム 30部
市販アナターゼ型二酸化チタン 20部
市販ポリアクリル酸系分散剤 0.1部
ラテックスバインダー 15部
市販燐酸エステル化澱粉 3部
市販カルボキシメチルセルロース系増粘剤(CMC) 0.1部
水酸化ナトリウムによりpH9.6に調製
【0063】
上記のようにして製造した塗工用原紙に対して、ラボ用ブレードコーターを用いて塗工速度10m/分で固形分濃度63質量%の塗工液を、片面5g/m2塗工し、乾燥した。得られた塗工紙をスーパーカレンダー仕上げ装置(nip数:4、剛性ロール:外径200mmのチルドロール、弾性ロール:外径300mmのコットンロール、線圧:220kg/cm)を用いてカレンダリング処理を施し、印刷用塗工紙を製造した。得られた印刷用塗工紙について、電子顕微鏡撮影による原紙の露出度は目視で50%程度であった。
【0064】
実施例4
<塗工液の配合>
市販一級カオリンクレー 50部
市販重質炭酸カルシウム 30部
合成変成二酸化チタン 20部
市販ポリアクリル酸系分散剤 0.1部
ラテックスバインダー 15部
市販燐酸エステル化澱粉 3部
水酸化ナトリウムによりpH9.6に調製
【0065】
比較例2と同じ塗工用原紙に対して、ラボ用ブレードコーターを用いて塗工速度10m/分で固形分濃度63質量%の塗工液を、片面5g/m2塗工し、乾燥した。得られた塗工紙をスーパーカレンダー仕上げ装置(nip数:4、剛性ロール:外径200mmのチルドロール、弾性ロール:外径300mmのコットンロール、線圧:220kg/cm)を用いてカレンダリング処理を施し、印刷用塗工紙を製造した。得られた印刷用塗工紙について、電子顕微鏡撮影による原紙の露出度は目視で20%程度であった。
【0066】
【発明の効果】
本発明によれば、二酸化チタンの物性を向上させるだけでなく、変成二酸化チタンを添加すべき材料との親和性を向上させ、導入されたり、表面に留まる量を増加させることであり、さらには、例えば、高機能材料の担体として、従来にはなかった新規な高機能材料に応用することをも目的とする親水性有機化合物により物理/化学修飾された変成二酸化チタンおよびその製造方法、ならびにそれを用いた新規の材料を提供することができる。
Claims (7)
- 親水性基を分子内に多価にわたって有し、水およびそれを主成分とする溶媒に対して十分に溶解する親水性有機化合物が、二酸化チタンの表面または内部に、物理的または化学的に結合した変成二酸化チタン。
- 親水性有機化合物が、ヘミセルロース、溶解セルロール、デキストリンから選ばれる1種である請求項1記載の変成二酸化チタン。
- 水または水を主成分とする溶媒を攪拌しつつ、親水性基を分子内に多価にわたって有し、水およびそれを主成分とする溶媒に対して十分に溶解する親水性有機化合物を加えて完全に溶解させて後、この水溶液中で二酸化チタンの結晶を析出させて製造することを特徴とする変成二酸化チタンの製造方法。
- 前記請求項1〜2記載の変成二酸化チタンを原紙中または原紙上に含有することを特徴とする紙。
- 前記請求項1〜2記載の変成二酸化チタンを原紙上に設けた塗工層に含有することを特徴とする塗工紙。
- 前記請求項1〜2記載の変成二酸化チタンを用いることを特徴とする高機能材料。
- 前記請求項1〜2記載の変成二酸化チタンを用いることを特徴とする医薬品材料。
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WO2009144775A1 (ja) * | 2008-05-29 | 2009-12-03 | Toto株式会社 | 抗腫瘍剤 |
WO2010016581A1 (ja) * | 2008-08-08 | 2010-02-11 | Toto株式会社 | 超音波癌治療促進剤 |
CN111453754A (zh) * | 2020-04-28 | 2020-07-28 | 广西夏阳环保科技有限公司 | 一种高纯度、高活性纳米碳酸钙的制备方法 |
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2002
- 2002-07-31 JP JP2002222245A patent/JP2004059393A/ja active Pending
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