JP2004058194A - カーボンナノチューブの加工法 - Google Patents
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Abstract
【課題】1本のカーボンナノチューブをその任意の位置で切断することや、1本のカーボンナノチューブを変形させたり、カーボンナノチューブを接合したり、カーボンナノチューブを他の物質に固定したりすることができるイオンビーム照射法以外の新たな加工法を得ることにある。
【解決手段】真空中でカーボンナノチューブに電子線を照射して加工を施す。切断加工での照射条件は真空度:1×10−8〜1×10−3Pa、電子線加速電圧:200kV以上、電子線照射電流密度:7.51×106A/mm2〜2.1×1010A/mm2、電子線ビーム径:100nm以下と、変形、接合、固定加工での照射条件は、真空度:1×10−8〜1×10−3Pa、電子線加速電圧:5〜30kV、電子線照射電流密度:2.54×104A/mm2〜4.89×106A/mm2、電子線照射範囲:350nm×500nm以下とされる。
【選択図】なし
【解決手段】真空中でカーボンナノチューブに電子線を照射して加工を施す。切断加工での照射条件は真空度:1×10−8〜1×10−3Pa、電子線加速電圧:200kV以上、電子線照射電流密度:7.51×106A/mm2〜2.1×1010A/mm2、電子線ビーム径:100nm以下と、変形、接合、固定加工での照射条件は、真空度:1×10−8〜1×10−3Pa、電子線加速電圧:5〜30kV、電子線照射電流密度:2.54×104A/mm2〜4.89×106A/mm2、電子線照射範囲:350nm×500nm以下とされる。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、カーボンナノチューブの加工法に関し、真空中でカーボンナノチューブに電子線を照射して、カーボンナノチューブの切断もしくはカーボンナノチューブの変形、接合、固定などの加工を行えるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、原子間力顕微鏡の探針を用いて1本のカーボンナノチューブを移動させて、所定の場所に置くことや、カーボンナノチューブの頭部のキャップを取り外すためにカーボンナノチューブを加熱することが文献(「ネイチャー」362,520,(1993))等で報告されている。
【0003】
また、1本のカーボンナノチューブをその任意の位置で切断することや、1本のカーボンナノチューブを変形させることに関しては、既に特開平7−172807号公報、特開2001−180920号公報に開示されている。これら先行発明に開示の方法は、カーボンナノチューブにアルゴンイオンや金イオン、ガリウムイオンなどの金属イオンのイオンビームを照射するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明における課題は、1本のカーボンナノチューブをその任意の位置で切断することや、1本のカーボンナノチューブを変形させたり、カーボンナノチューブを接合したり、カーボンナノチューブを他の物質に固定したりすることができるイオンビーム照射法以外の新たな加工法を得ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため、
請求項1にかかる発明は、真空中でカーボンナノチューブに電子線を照射してカーボンナノチューブに加工を施すことを特徴とするカーボンナノチューブの加工法である。
【0006】
請求項2にかかる発明は、加工が、切断であることを特徴とする請求項1記載のカーボンナノチューブの加工法である。
請求項3にかかる発明は、加工が、変形、接合、固定のいずれかである請求項1記載のカーボンナノチューブの加工法である。
【0007】
請求項4にかかる発明は、電子線の照射条件が以下のものであること特徴とする請求項2記載のカーボンナノチューブの加工法である。
真空度:1×10−8〜1×10−3Pa
電子線加速電圧:200kV以上
電子線照射電流密度:7.51×106A/mm2〜2.1×1010A/mm2
電子線ビーム径:100nm以下
【0008】
請求項5にかかる発明は、電子線の照射条件が以下のものであること特徴とする請求項3記載のカーボンナノチューブの加工法である。
真空度:1×10−8〜1×10−3Pa
電子線加速電圧:5〜30kV
電子線照射電流密度:2.54×104A/mm2〜4.89×106A/mm2
電子線照射範囲:350nm×500nm以下
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
まず、カーボンナノチューブの切断加工について説明する。
カーボンナノチューブの切断加工は、高真空中で、高エネルギーで、ビーム径の小さい電子線をカーボンナノチューブに局所的に照射することで可能になる。
【0010】
具体的には、透過型電子顕微鏡を利用することが、電子線ビームの照射位置を観察しながら、切断加工が可能となり、カーボンナノチューブの切断部位を確認できるので好ましい。
この切断加工方法は、まず加工対象となるカーボンナノチューブを透過型電子顕微鏡の試料室の載置台上に置き、試料室内を1×10−8〜1×10−3Paの高真空とし、電子線を電子線源からカーボンナノチューブに照射する。この際の電子線照射条件を以下のように設定することで、カーボンナノチューブを切断することができる。
【0011】
電子線加速電圧:200kV以上
電子線照射電流密度:7.51×106A/mm2〜2.1×1010A/mm2
電子線ビーム径:100nm以下
【0012】
そして、透過型電子顕微鏡でカーボンナノチューブおよび電子線ビームの照射位置を観察し、任意のカーボンナノチューブの所望の位置に焦点を定めてその狭い範囲に電子線ビームを当てて、切断することができる。
この切断加工に際して、その真空度が1×10−8Paを越えてもよいが装置の性能との関係でこれ以上とすることは困難であり、1×10−3Pa未満では不純物、浮遊物質などに阻害され、カーボンナノチューブの切断に不具合となる。
【0013】
また、電子線加速電圧が200kV未満では電子線のエネルギーが低く、切断できなくなる。また、電子線照射電流密度が7.51×106A/mm2未満ではカーボンナノチューブに衝突する電子の数が少なくなり切断が困難になり、2.1×1010A/mm2を越えてもよいが、一般に装置の限界となる。さらに、電子線ビーム径が100nmを越えると目的の位置に電子線を照射できなくなり、エネルギーも低くなる。
【0014】
このようなカーボンナノチューブの切断は、ビーム径の小さい高エネルギーの電子線がカーボンナノチューブに集中して照射されると、カーボンナノチューブを構成する炭素原子がこれにより飛び散り、カーボンナノチューブがその部分で切断されるものと考えられる。
【0015】
図1は、このような電子線ビーム照射によるカーボンナノチューブの切断状況を示す透過型電子顕微鏡写真であり、図面の中央のカーボンナノチューブが切断されている様子が確認できる。この例の切断条件は、以下の通りである。
真空度:0.5×10−5Pa
電子線加速電圧:200kV
電子線照射電流密度:7.64×108A/mm2
電子線ビーム径:2nm
【0016】
次に、カーボンナノチューブの変形、接合、固定のいずれかの加工(以下、これらをまとめて変形加工と略記することがある。)について説明する。
この変形加工は、真空中で比較的低エネルギーの電子線を対象とするカーボンナノチューブの加工部位に走査しながら照射することで可能になる。
【0017】
具体的には走査型電子顕微鏡を利用することが、電子線ビームの走査照射位置を観察しながら、変形加工が可能となり、カーボンナノチューブの変形等の部位を確認できるので好ましい。
この変形加工方法は、まず加工対象となるカーボンナノチューブを走査型電子顕微鏡の試料室の載置台上に置き、試料室内を1×10−8〜1×10−3Paの真空とし、電子線を電子線源からカーボンナノチューブに照射する。この際の電子線走査照射条件を以下のように設定することで、カーボンナノチューブを変形、接合、固定することができる。
【0018】
電子線加速電圧:5〜30kV
電子線照射電流密度:2.54×104A/mm2〜4.89×106A/mm2
電子線照射範囲:350nm×500nm以下
【0019】
そして、走査型電子顕微鏡でカーボンナノチューブおよび電子線ビームの照射走査位置を観察し、任意のカーボンナノチューブの所望の位置に電子線ビームを走査し、変形等の加工することができる。
この変形加工に際して、その真空度が1×10−8Paを越えることは装置の性能上困難となり、1×10−3Pa未満では不純物、浮遊物質などに阻害されてカーボンナノチューブの変形加工に不具合となる。
【0020】
また、電子線加速電圧が5kV未満では電子線のエネルギーが不足し、変形させることができず、30kVを越えるとカーボンナノチューブが切断される可能性が出てくる。また、電子線照射電流密度が2.54×104A/mm2未満では電子線のエネルギーが不足し、4.89×106A/mm2を越えるとカーボンナノチューブが切断される可能性が出でくる。さらに、電子線照射(走査)範囲が350nm×500nmを越えるとカーボンナノチューブ単体の加工が出来なくなる。
【0021】
このようなカーボンナノチューブの変形加工では、比較的低いエネルギーの電子線がカーボンナノチューブの対象部位に走査されて照射されると、カーボンナノチューブを構成する炭素原子がこれにより活発な分子運動を行い、原子の位置が移動し、これにより、カーボンナノチューブがその部分で変形したり、他のカーボンナノチューブと接合したり、他の物質に固定したりするものと考えられる。
【0022】
図2は、このような電子線ビーム走査照射によるカーボンナノチューブの変形加工状況を示す走査型電子顕微鏡写真であり、図面の中央のカーボンナノチューブの途中が膨出して太く変形した状態となっている様子が確認できる。図3は、電子線走査照射以前のカーボンナノチューブを示す走査型電気顕微鏡写真であり、中央のカーボンナノチューブの途中に電子線ビームを走査しながら照射することで、図2に示すような変形部が形成できる。この時の電子線走査範囲がそのまま図1に示す膨出変形部分となっている。
【0023】
この例の加工条件は、以下の通りである。
真空度:0.5×10−5Pa
電子線加速電圧:30kV
電子線照射電流密度:7.64×108A/mm2
【0024】
また、同様の電子線走査照射により、上述のカーボンナノチューブの変形に限られず、カーボンナノチューブとカーボンナノチューブとを接合させたり、カーボンナノチューブと他の物質とを固定したりすることができる。
【0025】
このようなカーボンナノチューブの加工方法では、カーボンナノチューブに対してその任意の位置で切断、変形、接合、固定等の加工を施すことができる。また、透過型電子顕微鏡あるいは走査型電子顕微鏡を用いれば、対象となるカーボンナノチューブの照射位置を観察しながら加工を施すことができ、的確な作業が容易に実施することができる。さらに、加工には、特殊な装置を用意する必要がなく、市販の透過型電子顕微鏡あるいは走査型電子顕微鏡を利用することができる利点もある。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のカーボンナノチューブの加工方法によれば、カーボンナノチューブに電子線を照射することで、カーボンナノチューブの切断、変形、接合、固定などの加工を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によりカーボンナノチューブを切断した例を示す電子顕微鏡写真である。
【図2】本発明によりカーボンナノチューブを変形した例を示す電子顕微鏡写真である。
【図3】加工を施す前のカーボンナノチューブを示す電子顕微鏡写真である。
【発明の属する技術分野】
この発明は、カーボンナノチューブの加工法に関し、真空中でカーボンナノチューブに電子線を照射して、カーボンナノチューブの切断もしくはカーボンナノチューブの変形、接合、固定などの加工を行えるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、原子間力顕微鏡の探針を用いて1本のカーボンナノチューブを移動させて、所定の場所に置くことや、カーボンナノチューブの頭部のキャップを取り外すためにカーボンナノチューブを加熱することが文献(「ネイチャー」362,520,(1993))等で報告されている。
【0003】
また、1本のカーボンナノチューブをその任意の位置で切断することや、1本のカーボンナノチューブを変形させることに関しては、既に特開平7−172807号公報、特開2001−180920号公報に開示されている。これら先行発明に開示の方法は、カーボンナノチューブにアルゴンイオンや金イオン、ガリウムイオンなどの金属イオンのイオンビームを照射するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明における課題は、1本のカーボンナノチューブをその任意の位置で切断することや、1本のカーボンナノチューブを変形させたり、カーボンナノチューブを接合したり、カーボンナノチューブを他の物質に固定したりすることができるイオンビーム照射法以外の新たな加工法を得ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため、
請求項1にかかる発明は、真空中でカーボンナノチューブに電子線を照射してカーボンナノチューブに加工を施すことを特徴とするカーボンナノチューブの加工法である。
【0006】
請求項2にかかる発明は、加工が、切断であることを特徴とする請求項1記載のカーボンナノチューブの加工法である。
請求項3にかかる発明は、加工が、変形、接合、固定のいずれかである請求項1記載のカーボンナノチューブの加工法である。
【0007】
請求項4にかかる発明は、電子線の照射条件が以下のものであること特徴とする請求項2記載のカーボンナノチューブの加工法である。
真空度:1×10−8〜1×10−3Pa
電子線加速電圧:200kV以上
電子線照射電流密度:7.51×106A/mm2〜2.1×1010A/mm2
電子線ビーム径:100nm以下
【0008】
請求項5にかかる発明は、電子線の照射条件が以下のものであること特徴とする請求項3記載のカーボンナノチューブの加工法である。
真空度:1×10−8〜1×10−3Pa
電子線加速電圧:5〜30kV
電子線照射電流密度:2.54×104A/mm2〜4.89×106A/mm2
電子線照射範囲:350nm×500nm以下
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
まず、カーボンナノチューブの切断加工について説明する。
カーボンナノチューブの切断加工は、高真空中で、高エネルギーで、ビーム径の小さい電子線をカーボンナノチューブに局所的に照射することで可能になる。
【0010】
具体的には、透過型電子顕微鏡を利用することが、電子線ビームの照射位置を観察しながら、切断加工が可能となり、カーボンナノチューブの切断部位を確認できるので好ましい。
この切断加工方法は、まず加工対象となるカーボンナノチューブを透過型電子顕微鏡の試料室の載置台上に置き、試料室内を1×10−8〜1×10−3Paの高真空とし、電子線を電子線源からカーボンナノチューブに照射する。この際の電子線照射条件を以下のように設定することで、カーボンナノチューブを切断することができる。
【0011】
電子線加速電圧:200kV以上
電子線照射電流密度:7.51×106A/mm2〜2.1×1010A/mm2
電子線ビーム径:100nm以下
【0012】
そして、透過型電子顕微鏡でカーボンナノチューブおよび電子線ビームの照射位置を観察し、任意のカーボンナノチューブの所望の位置に焦点を定めてその狭い範囲に電子線ビームを当てて、切断することができる。
この切断加工に際して、その真空度が1×10−8Paを越えてもよいが装置の性能との関係でこれ以上とすることは困難であり、1×10−3Pa未満では不純物、浮遊物質などに阻害され、カーボンナノチューブの切断に不具合となる。
【0013】
また、電子線加速電圧が200kV未満では電子線のエネルギーが低く、切断できなくなる。また、電子線照射電流密度が7.51×106A/mm2未満ではカーボンナノチューブに衝突する電子の数が少なくなり切断が困難になり、2.1×1010A/mm2を越えてもよいが、一般に装置の限界となる。さらに、電子線ビーム径が100nmを越えると目的の位置に電子線を照射できなくなり、エネルギーも低くなる。
【0014】
このようなカーボンナノチューブの切断は、ビーム径の小さい高エネルギーの電子線がカーボンナノチューブに集中して照射されると、カーボンナノチューブを構成する炭素原子がこれにより飛び散り、カーボンナノチューブがその部分で切断されるものと考えられる。
【0015】
図1は、このような電子線ビーム照射によるカーボンナノチューブの切断状況を示す透過型電子顕微鏡写真であり、図面の中央のカーボンナノチューブが切断されている様子が確認できる。この例の切断条件は、以下の通りである。
真空度:0.5×10−5Pa
電子線加速電圧:200kV
電子線照射電流密度:7.64×108A/mm2
電子線ビーム径:2nm
【0016】
次に、カーボンナノチューブの変形、接合、固定のいずれかの加工(以下、これらをまとめて変形加工と略記することがある。)について説明する。
この変形加工は、真空中で比較的低エネルギーの電子線を対象とするカーボンナノチューブの加工部位に走査しながら照射することで可能になる。
【0017】
具体的には走査型電子顕微鏡を利用することが、電子線ビームの走査照射位置を観察しながら、変形加工が可能となり、カーボンナノチューブの変形等の部位を確認できるので好ましい。
この変形加工方法は、まず加工対象となるカーボンナノチューブを走査型電子顕微鏡の試料室の載置台上に置き、試料室内を1×10−8〜1×10−3Paの真空とし、電子線を電子線源からカーボンナノチューブに照射する。この際の電子線走査照射条件を以下のように設定することで、カーボンナノチューブを変形、接合、固定することができる。
【0018】
電子線加速電圧:5〜30kV
電子線照射電流密度:2.54×104A/mm2〜4.89×106A/mm2
電子線照射範囲:350nm×500nm以下
【0019】
そして、走査型電子顕微鏡でカーボンナノチューブおよび電子線ビームの照射走査位置を観察し、任意のカーボンナノチューブの所望の位置に電子線ビームを走査し、変形等の加工することができる。
この変形加工に際して、その真空度が1×10−8Paを越えることは装置の性能上困難となり、1×10−3Pa未満では不純物、浮遊物質などに阻害されてカーボンナノチューブの変形加工に不具合となる。
【0020】
また、電子線加速電圧が5kV未満では電子線のエネルギーが不足し、変形させることができず、30kVを越えるとカーボンナノチューブが切断される可能性が出てくる。また、電子線照射電流密度が2.54×104A/mm2未満では電子線のエネルギーが不足し、4.89×106A/mm2を越えるとカーボンナノチューブが切断される可能性が出でくる。さらに、電子線照射(走査)範囲が350nm×500nmを越えるとカーボンナノチューブ単体の加工が出来なくなる。
【0021】
このようなカーボンナノチューブの変形加工では、比較的低いエネルギーの電子線がカーボンナノチューブの対象部位に走査されて照射されると、カーボンナノチューブを構成する炭素原子がこれにより活発な分子運動を行い、原子の位置が移動し、これにより、カーボンナノチューブがその部分で変形したり、他のカーボンナノチューブと接合したり、他の物質に固定したりするものと考えられる。
【0022】
図2は、このような電子線ビーム走査照射によるカーボンナノチューブの変形加工状況を示す走査型電子顕微鏡写真であり、図面の中央のカーボンナノチューブの途中が膨出して太く変形した状態となっている様子が確認できる。図3は、電子線走査照射以前のカーボンナノチューブを示す走査型電気顕微鏡写真であり、中央のカーボンナノチューブの途中に電子線ビームを走査しながら照射することで、図2に示すような変形部が形成できる。この時の電子線走査範囲がそのまま図1に示す膨出変形部分となっている。
【0023】
この例の加工条件は、以下の通りである。
真空度:0.5×10−5Pa
電子線加速電圧:30kV
電子線照射電流密度:7.64×108A/mm2
【0024】
また、同様の電子線走査照射により、上述のカーボンナノチューブの変形に限られず、カーボンナノチューブとカーボンナノチューブとを接合させたり、カーボンナノチューブと他の物質とを固定したりすることができる。
【0025】
このようなカーボンナノチューブの加工方法では、カーボンナノチューブに対してその任意の位置で切断、変形、接合、固定等の加工を施すことができる。また、透過型電子顕微鏡あるいは走査型電子顕微鏡を用いれば、対象となるカーボンナノチューブの照射位置を観察しながら加工を施すことができ、的確な作業が容易に実施することができる。さらに、加工には、特殊な装置を用意する必要がなく、市販の透過型電子顕微鏡あるいは走査型電子顕微鏡を利用することができる利点もある。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のカーボンナノチューブの加工方法によれば、カーボンナノチューブに電子線を照射することで、カーボンナノチューブの切断、変形、接合、固定などの加工を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によりカーボンナノチューブを切断した例を示す電子顕微鏡写真である。
【図2】本発明によりカーボンナノチューブを変形した例を示す電子顕微鏡写真である。
【図3】加工を施す前のカーボンナノチューブを示す電子顕微鏡写真である。
Claims (5)
- 真空中でカーボンナノチューブに電子線を照射してカーボンナノチューブに加工を施すことを特徴とするカーボンナノチューブの加工法。
- 加工が、切断であることを特徴とする請求項1記載のカーボンナノチューブの加工法。
- 加工が、変形、接合、固定のいずれかである請求項1記載のカーボンナノチューブの加工法。
- 電子線の照射条件が以下のものであること特徴とする請求項2記載のカーボンナノチューブの加工法。
真空度:1×10−8〜1×10−3Pa
電子線加速電圧:200kV以上
電子線照射電流密度:7.51×106A/mm2〜2.1×1010A/mm2
電子線ビーム径:100nm以下 - 電子線の照射条件が以下のものであること特徴とする請求項3記載のカーボンナノチューブの加工法。
真空度:1×10−8〜1×10−3Pa
電子線加速電圧:5〜30kV
電子線照射電流密度:2.54×104A/mm2〜4.89×106A/mm2
電子線照射範囲:350nm×500nm以下
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JP (1) | JP2004058194A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR100611644B1 (ko) | 2005-05-30 | 2006-08-11 | 광주과학기술원 | 분말형 탄소구조체의 정제 방법 |
JP2006248875A (ja) * | 2005-03-14 | 2006-09-21 | Hamamatsu Photonics Kk | カーボンナノチューブの加工方法、加工装置、及びカーボンナノチューブの分散液、カーボンナノチューブ粉末 |
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