JP2004056936A - 同期誘導電動機、及び圧縮機 - Google Patents

同期誘導電動機、及び圧縮機 Download PDF

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Abstract

【課題】回転子鉄心にスリットを設けた同期誘導電動機において、回転による遠心力に対する耐力を低減することなく、電動機効率を向上する。
【解決手段】回転軸4に最も近いスリット2aに接続するスロット3a、3gよりもd軸から遠くに位置する少なくとも1対のスロット3b、3fを残し、他のスロット3a、3c、3d、3e、3gはスリット2a、2bで接続してq軸を磁束の流れにくい方向とする。また、スリットに接続しないスロット3b、3fの薄肉連結部を、スリットに接続されたスロットの薄肉連結部より狭くする。また、スロット3b、3fを外周に露出する。
【選択図】    図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、誘導トルクを利用して起動し、リラクタンストルクを利用して同期運転をする同期誘導電動機及びそれを用いた圧縮機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図31は特開平9−191618号公報などに示されている従来の4極の同期電動機を示す横断面図、図32は従来の同期電動機を示すq軸での縦断面図である。図において、21は回転子であり、1mm程度の厚さの電磁鋼板を回転軸方向に複数枚積層した後に例えばシャフトなどの出力軸となる回転軸4に圧入などにより固定されている。また、23は固定子であり、回転子21と同様、回転軸方向に電磁鋼板を積層して形成されている。24は固定子23に巻回された巻線で、この巻線24に電流を流すことにより回転磁界を発生させることができる。25は回転子21に設けられている幅が数ミリ程度のスリットで、図31に示すように回転軸4側に凸形状で複数並列配置されている。そしてスリット25に交わる方向に形成される複数の磁路を磁気的に絶縁するために内部を空隙にするかあるいは内部に非導電体であり非磁性体の部材が充填されている。また、図32における11は回転子21の積層方向の上下に設けられ、回転子21を固定すると共にそれ自身導体としても作用することができるエンドリングである。
【0003】
図33(a)は従来の同期電動機の回転子を示す横断面図であり、図33(b)は図33(a)の点線B部分を拡大して示す部分拡大図である。図において、26は薄肉連結部であり、スリット25によって回転子21の各部が分離しないように、スリット25の外周側で回転子21の外周部が接続されている。この薄肉連結部26の厚さによって、回転子21の遠心力に対する強度が決定される。
【0004】
このような従来の同期電動機において、回転子21に存在できる界磁磁束の位置と方向は回転子21に生じる磁路の位置と方向で定められるので、所望の回転方向へトルクが発生するように固定子23の巻線24へ励磁電流を流して、回転子21に回転トルクを発生させ、回転子21を所望の方向に回転させる。回転子21にはスリット25によって、磁束の流れやすい方向であるd軸と磁束の流れにくい方向であるq軸で磁極突起が形成され、リラクタンストルクが働くように構成されている。このため、固定子23の巻線24によって作られる回転磁界に追従して回転子21が回転する。これを同期運転と称し、この装置を同期電動機と称している。
【0005】
上記に述べた同期電動機では起動時にインバータなどの他の装置が必要となる。これに対し、起動時にインバータなどの他の装置を必要としない電動機として、回転子21に2次導体を設けてエンドリング11を通して電流が流れる構成にし、固定子23の巻線24に電流を流すことによって作られた回転磁界と、その回転磁界によって2次導体に流れる誘導電流とによって、回転磁界の方向に発生する誘導トルクで回転子21を回転させる構成の誘導電動機がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような回転子に2次導体を有する誘導電動機では、回転子の回転中に常に2次導体に電流が流れることで2次銅損が発生し、電動機効率を向上できないという問題があった。
【0007】
また、従来の同期電動機において、電動機効率を向上するには以下のようないくつかの問題点があった。
電動機効率を向上するためには、q軸方向のインダクタンスLqとd軸方向のインダクタンスLdの幅を大きくすることが考えられる。その一例として、回転子21の外周部を通って漏れる磁束を低減すれば、磁束の流れにくい方向であるq軸方向のインダクタンスLqを小さくできる。ところが、図33に示すような従来の回転子21の構成では、外周部を通る磁束を低減するためには薄肉連結部26の幅を狭くする必要があるが、狭くすると回転子21の回転による遠心力に耐えられなくなり、回転子21が歪んでしまうという問題があった。
【0008】
また、図34に示す回転子21で、隣り合うスリット25の間に磁束が通るのであるが、そのスリット25間の幅は磁束の入口から出口までのどの位置でもm=nであり、また、並列に設けられた複数のスリット間の全ての幅はほぼ同じに構成されていた。ところが回転子21を通る磁束の大きさは、磁界の中心部では磁束が多く周辺部では少ないというように、場所によって異なっている。さらに、あるスリット間を通っている磁束が途中でスリットを飛び越えて隣のスリット間に移る場合もあり、スリット間を通る磁束の大きさはスリット間への入口側と出口側とで異なっている。このため、幅が同じであるスリット25を設けた回転子21では、回転子21内の磁束密度がばらつき、回転子21全体として損失を低減できないという問題があった。
【0009】
また、スリット間の幅に対して磁束が大きい部分では磁束飽和が発生するまでの磁束の大きさが小さいため、それほど出力を上げることができないという問題があった。
また、高容易磁束方向を持つ材料を使用すると、回転子21の鉄損を低下させて電動機効率を向上することができるが、一方ではコストが高くなるという問題があった。
【0010】
この発明は、起動時には回転子に2次導体を有し、この2次導体とエンドリングに電流が流れる構成で固定子の巻線に電流を流すことで、起動時にインバータなどの他の装置を必要とすることなく起動できる誘導電動機と、同期運転時に2次導体に電流が流れることなく運転できる同期電動機との両方の働きを兼ね備えた同期誘導電動機において、誘導トルクを大きくしてスムーズに同期運転に引き込むことができ、電動機効率を向上できる同期誘導電動機を得ることを目的とする。
【0011】
さらに、同期誘導電動機の同期運転時に、上記のような同期電動機の問題点を解消でき、簡単な構造で回転子の回転による遠心力に対する耐力を低下することのない同期誘導電動機を得ることを目的とする。
特に、上記のような同期誘導電動機の効率の向上に寄与する要因として、回転子の構成に対して以下のようなことが考えられる。
1) q軸方向のインダクタンスLqとd軸方向のインダクタンスLdの幅を大きくして、突極比を大きくする。
2) 回転子を通過する磁束密度を均一化し、鉄損を小さくする。
3) 回転子を構成する回転子鉄心部材自体の磁束の通りやすい方向をd軸方向として、突極比を大きくする。
1)〜3)を考慮して、電動機効率を向上することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明の請求項1に係わる同期誘導電動機は、複数枚積層される回転子鉄心と、前記回転子鉄心に設けられ磁束の流れやすい方向であるd軸及び磁束の流れにくい方向であるq軸で磁極突起を形成してリラクタンストルクを発生させる複数のスリットと、前記回転子鉄心の外周の内側に設けられ誘導トルクを発生させる複数のスロットと、前記スロットに充填された導電性材と、を有する回転子を備え、回転軸に最も近いスリットに接続するスロットよりも前記d軸から遠くに位置する少なくとも1対のスロットを残し、他のスロットはスリットで接続される構成としたことを特徴とするものである。
【0013】
また、この発明の請求項2に係わる同期誘導電動機は、前記回転子鉄心の径方向で、前記スリットに接続されていないスロットの外周側から前記回転子鉄心の外周までの距離を、前記スリットに接続されているスロットの外周側から前記回転子鉄心の外周までの距離よりも短くなるように構成したことを特徴とするものである。
【0014】
また、この発明の請求項3に係わる同期誘導電動機は、前記スリットに接続されていないスロットを前記回転子鉄心の外周に露出させたことを特徴とするものである。
【0015】
また、この発明の請求項4に係わる同期誘導電動機は、前記スリットに接続されていないスロットに、前記回転子鉄心と嵌合する嵌合部を設けたことを特徴とするものである。
【0016】
また、この発明の請求項5に係わる同期誘導電動機は、複数枚積層される回転子鉄心と、前記回転子鉄心に設けられ磁束の流れやすい方向であるd軸及び磁束の流れにくい方向であるq軸で磁極突起を形成してリラクタンストルクを発生させる複数のスリットと、前記回転子鉄心の外周の内側に設けられ誘導トルクを発生させる複数のスロットと、前記スロットに充填された導電性材と、を有する回転子、前記回転子の周囲に所定の間隔を有するように配置され回転磁界を発生する固定子、を備え、前記固定子で発生する磁束が前記回転子鉄心の前記d軸方向または前記d軸から回転方向に所定角度傾けたd’軸方向の磁路を通って回転磁界を形成するときの前記磁路における磁束密度を均一化するように、前記磁束の大きい部分のスロット間の幅とスリット間の幅の少なくともいずれか一方の幅を、前記磁束の小さな部分の幅よりも広くしたことを特徴とするものである。
【0017】
また、この発明の請求項6に係わる同期誘導電動機は、前記q軸方向または前記q軸から回転方向に所定角度傾けたq’軸方向で、回転軸側のスリット間の幅を外周側のスリット間の幅よりも広くしたことを特徴とするものである。
【0018】
また、この発明の請求項7に係わる同期誘導電動機は、前記回転子鉄心に形成される前記磁路の出入口におけるスロット間の幅を、前記磁路の中央部におけるスリット間の幅よりも広くしたことを特徴とするものである。
【0019】
また、この発明の請求項8に係わる同期誘導電動機は、前記d軸または前記d軸から回転方向に所定角度傾けたd’軸に近いスロット間の幅を、前記q軸または前記q軸から回転方向に所定角度傾けたq’軸に近いスロット間の幅よりも広くしたことを特徴とするものである。
【0020】
また、この発明の請求項9に係わる同期誘導電動機は、少なくとも前記回転軸の近くに位置するスリットとその隣のスリットとの間の幅を、前記回転子鉄心に形成される前記磁路の入口側よりも出口側で広くしたことを特徴とするものである。
【0021】
また、この発明の請求項10に係わる同期誘導電動機は、複数枚積層される回転子鉄心と、前記回転子鉄心に設けられ磁束の流れやすい方向であるd軸及び磁束の流れにくい方向であるq軸で磁極突起を形成してリラクタンストルクを発生させる複数のスリットと、外周の内側に設けられ誘導トルクを発生させる複数のスロットと、前記スロットに充填された導電性材と、を有する回転子、前記回転子の周囲に所定の間隔を有するように配置され回転磁界を発生する固定子を備え、前記q軸方向または前記q軸から回転方向に所定角度傾けたq’軸方向における前記回転子と前記固定子との距離を、前記d軸方向または前記d軸から回転方向に所定角度傾けたd’軸方向における距離よりも長くしたことを特徴とするものである。
【0022】
また、この発明の請求項11に係わる同期誘導電動機は、前記回転子鉄心の前記q軸方向または前記q’軸方向の外周に、回転軸側に凹状であり前記回転子鉄心の積層方向に伸びる溝を設けたことを特徴とするものである。
【0023】
また、この発明の請求項12に係わる同期誘導電動機は、前記回転子鉄心の前記q軸方向または前記q’軸方向の外周を、前記q軸またはq’軸に略垂直な辺で構成したことを特徴とするものである。
【0024】
また、この発明の請求項13に係わる同期誘導電動機は、前記回転子鉄心の外形を、前記d軸または前記d軸を前記回転子の回転方向に所定の角度回転させたd’軸を長軸とし、前記q軸または前記q軸を前記回転子の回転方向に所定の角度回転させたq’軸を短軸とする楕円状であることを特徴とするものである。
【0025】
また、この発明の請求項14に係わる同期誘導電動機は、複数枚積層される回転子鉄心と、前記回転子鉄心に設けられ磁束の流れやすい方向であるd軸及び磁束の流れにくい方向であるq軸で磁極突起を形成してリラクタンストルクを発生させる複数のスリットと、前記回転子鉄心の外周の内側に設けられ誘導トルクを発生させる複数のスロットと、前記スロットに充填された導電性材と、を有する回転子を備え、前記回転子鉄心の少なくとも前記q軸方向または前記q’軸方向の外周の形状を、前記外周の内側に設けられている前記スロットの形状に沿って湾曲させて、前記外周の距離を長くしたことを特徴とするものである。
【0026】
また、この発明の請求項15に係わる同期誘導電動機は、複数枚積層される回転子鉄心と、前記回転子鉄心に設けられ磁束の流れやすい方向であるd軸及び磁束の流れにくい方向であるq軸で磁極突起を形成してリラクタンストルクを発生させる複数のスリットと、外周の内側に設けられ誘導トルクを発生させる複数のスロットと、前記スロットに充填された導電性材と、を有する回転子を備え、前記d軸または前記d軸から回転方向に所定角度傾けたd’軸を、前記回転子鉄心の圧延方向と略一致するように構成したことを特徴とするものである。
【0027】
また、この発明の請求項16に係わる同期誘導電動機は、互いに直交するq軸とd軸を備え、磁極突起の極数が2極であることを特徴とするものである。
【0028】
また、この発明の請求項17に係わる圧縮機は、請求項1乃至請求項16のうちのいずれか1項に記載の同期誘導電動機を有するものである。
【0029】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1について図を用いて説明する。図1はこの発明の実施の形態1に係る同期誘導電動機(以下、SyIMと記す)を示す横断面図である。また、図2は実施の形態1に係るSyIMの回転子を示す斜視図で、回転軸として設けられる出力軸は省略している。
図において、1は磁性体である電磁鋼板により構成された回転子鉄心で、例えば1mm以下の厚さの電磁鋼板が複数枚積層されることにより回転子30を構成する。2、12はスリットで、複数のスリットで構成され、内部に非磁性体で導電性材である例えばアルミニウムが充填されている。3、13はスロットで、複数のスロットで構成され、スリット2、12と同様、内部に非磁性体で導電性材である例えばアルミニウムが充填されている。4は回転軸で、圧入や焼き嵌めなどにより回転子30に固着されている。また、9aは磁性体である電磁鋼板により構成された固定子鉄心で、例えば1mm以下の厚さの電磁鋼板が複数枚積層されて固定子9を構成する。9bは固定子鉄心9aのスロットであり、巻線10が巻回されている。固定子9は回転子30の周囲に所定の間隔を有するように配置され回転磁界を発生する。
【0030】
図1に示すように、スロット3、13は、回転子鉄心1の外周の内側で回転子鉄心1の中心より最も遠い位置に、回転子鉄心1の中心に対して放射状に略均等に配置され、起動時や非同期時に誘導トルクを発生させるための2次電流が流れる。このスロット3、13は、必要な誘導トルクが発生する形状であればどんな形状でもよく、使用する同期誘導電動機の仕様に合わせて任意の形状にすればよい。
また、スリット2、12は磁束の流れやすい方向であるd軸と磁束の流れにくい方向であるq軸が得られるように、放射状に配置されたスロット3、13間をd軸に対して略平行になるように例えば直線状に接続する。さらに、d軸とq軸が回転子鉄心1の略中心を通って直交するようにスリット2、12が配設されて、2極の磁極突起が形成される。即ち、スリット2、12の長手方向(d軸の方向)の両端部にスロット3、13が例えば連結して接続されている。このスリット2、12によって、q軸方向に磁気的に絶縁してリラクタンストルクを発生させる。スリット2、12の形状は、必要なリラクタンストルクを発生させることができる形状であればどんな形状でもよく、例えば、図1に示すような直線的でなくても、使用するSyIMの仕様に合わせた形状にすればよい。また、スリット2、12には非磁性体を充填せずに空間で構成してもよい。
【0031】
また、スロット3、13のうちのq軸に対称に配置されているスロット同士を、スリット2、12によって連結して接続することにより、それぞれの機能を補強することができる。即ち、スロット3、13を2次導体として作用させる時には2次銅損を小さくでき、磁気突起を利用した同期運転ではq軸とd軸のリラクタンスLq、Ldの幅を大きくできる。
11は回転子鉄心1のスリット2、12及びスロット3、13に充填されたアルミニウム等の充填物質が回転子鉄心1の上下両端部で短絡形成しているエンドリング(短絡環)である。回転子30の外観は従来の誘導電動機と同様である。
【0032】
図1、図2で示す同期誘導電動機の動作について説明する。電動機の起動時に、固定子9で発生した回転磁界によって回転子鉄心1のスロット3、13に誘導電流が流れ、誘導トルクが発生する。発生した誘導トルクによって、回転子鉄心1は回転方向に回転し始める。また、回転子鉄心1のスリット2、12によって固定子鉄心1に作られた突極に比例したリラクタンストルクが発生する。誘導トルクとリラクタンストルクにより回転子鉄心1の回転数が上がり、任意の回転数に達したときに回転子鉄心1の回転と回転磁界の回転が一致する同期回転数で運転することになる。同期運転時は、固定子9で発生した磁束8をスロット3、13が横切ることが無いためスロット3、13には誘導電流がほとんど流れなくなる。このため、同期運転時は、誘導トルクではなくリラクタンストルクが支配的となる回転トルクにより回転子鉄心1は同期運転をすることになる。
【0033】
ここで示す固定子9で生成された磁束は、回転子鉄心1の位置によって2極の磁極突起を有する構成である。回転子30をスムーズに回転させるため、回転子鉄心1のスリット2、12及びスロット3、13の形状は、図に向かってd軸の上側と下側では180度の回転対称になるように構成している。
【0034】
従来の回転子は4以上の偶数の極数で構成されており、例えば図31のスリット25の形状ではd軸とq軸の角度は45度である。これに対し、この実施の形態では、d軸とq軸の角度を90度にすることにより極数を2極とした。2極にすることにより従来の誘導機と同じように商用電源(50/60Hz)を印加した時の回転子30の回転数を1500及び1800r/minで回転できるようになった。この電動機を圧縮機に搭載した場合、出力の低下が起こることが無く、むしろ、SyIMは同期運転を行うことにより商用電源で運転する場合誘導電動機より出力を出すことができる。特に、エアコンや冷蔵庫など冷凍空調装置に用いられる圧縮機や、ファンモータなどにこの同期誘導電動機を用いることで、圧縮機やファンモータの能力不足が生じるのを防止できる。
【0035】
図3は極数が2極である他の構成例のSyIMの回転子鉄心1を示す上面図である。図ではスリット2、12とスロット3、13の充填物質をわかりやすいように格子で表示している。図1に示した構成では、スロット3、13とスリット2、12を連結した形状は、回転軸4側に向かって凸形状に湾曲しているが、図3の構成では、回転軸4側に向かって凹形状に湾曲した形状となっている。このような構成の回転子鉄心1でも、極数を2極にすることができる。このため、図1に示した回転子鉄心1と同様、圧縮機などに搭載した場合、出力の低下が起こることが無く、むしろ、誘導電動機と違いSyIMは同期運転を行うことにより商用電源で運転する場合に誘導電動機より出力を出すことができる。
なお、図3のスリット2、12及びスロット3、13はなめらかに連結してあるので、その境がはっきりしない構成であるが、スリット2、12の間にくびれを設けてもいいし、またスリット2、12とスロット3、13とを数ミリ程度間隔をあけて分離して構成してもよい。スリット2、12とスロット3、13とを数ミリ程度分離して構成しても、q軸方向に磁気的に絶縁する作用は連結して接続する場合と同様であり、実質的には接続されているとすることができる。
【0036】
さらに、この実施の形態では、図1や図3に示した極数を2極としたSyIMの電動機効率の向上を図ることのできる構成について述べる。
図4は実施の形態1によるSyIMの1つの回転子鉄心を示す上面図である。図ではスリット2、12とスロット3、13の充填物質をわかりやすいように格子で表示している。スリット2、12は、それぞれ2つのスリット2a、2b、12a、12bで構成され、また、スロット3、13は、それぞれ7つのスロット3a〜3g、13a〜13gで構成されている。回転軸4に最も近いスリットを第1スリット2a、12aとし、その外側のスリットを第2スリット2b、12bとする。また、スロットも同様に回転軸4に近いものから外周へ向かって、第1スロット3a、3g、13a、13g、第2スロット3b、3f、13b、13f、第3スロット3c、3e、13c、13e、第4スロット3d、13dとする。
【0037】
この実施の形態では、スロット3a〜3g、13a〜13gのすべてをスリット2、12で連結するのではなく、スロット3、13の一部は回転子鉄心1を構成する電磁鋼板で連結されるように構成している。図4に示すように、例えばd軸の上半分では、q軸方向において最も回転軸4に近い第1スリット2aに接続されるスロット3a、3gよりもd軸から遠くに配置されているスロット3b〜3fのうちの少なくとも一対のスロット、例えば第2スロット3b、3fを残し、他のスロット3a、3c、3d、3e、3gをスリット2a、2bで接続する。d軸の下半分でも同様に、q軸方向において最も回転軸4に近い第1スリット12aに接続されるスロット13a、13gよりもd軸から遠くに配置されているスロット13b〜13fのうちの少なくとも一対のスロット、例えば第2スロット13b、13fを残し、他のスロット13a、13c、13d、13e、13fをスリット12a、12bで接続する。ここでスロット3d、13dはスリットを含む一塊で構成しており、誘導トルクとリラクタンストルクの両方のトルクの発生に作用する。
【0038】
図5は回転子鉄心1のたの構成例であり、図3に示す構成の回転子鉄心1において、スロット3、13のすべてをスリット2、12で接続するのではなく、スロット3、13の一部のスロット3b,3f,13b,13fを残し、他のスロット3a、3c、3d、3e、3g、13a、13c、13d、13e、13fをスリット2a、2b、12a、12bで接続した構成例である。スロット3b,3f,13b,13fは回転子鉄心1を構成する電磁鋼板で接続されることになる。
【0039】
また、図6は図4に示した回転子鉄心1の点線○の部分を拡大して示す部分拡大図である。図において、15は幅t1、例えば1mm以下の幅の薄肉連結部であり、この薄肉連結部15によって、各スロット3、13の外周側で回転子鉄心1の外周部を互いに接続しており、回転時に遠心力がかかっても回転子鉄心1の各部分が分離しないように、回転子30の強度を保っている。
ところが、薄肉連結部15が形成されているために、回転子鉄心1の外周部を通る漏れ磁束や高調波鉄損により回転子鉄心1で発生する損失が大きくなり、SyIMとしての効率が低下する。
即ち、薄肉連結部15はSyIMの効率向上の点からは幅を小さくすることが要求され、回転子30の強度向上の点からは幅を大きくすることが要求されるという相反する構成が好ましいことになる。そこで図1で示したようにすべてのスロット3、13をスリット2、12で連結するように構成すると、ここに充填する充填物質と回転子鉄心1との接触部での密着性は保証されず、遠心力に対する強度が弱いものとなる。このため、図4、図5に示すようにスリット2、12で接続しないスロット3b、3f、13b、13fを設けて遠心力に対する強度低下を防止する。図6のようにスリット2に連結していないスロット3bの部分の遠心力に対する強度は、薄肉連結部15だけでなくその内側の回転子鉄心1部分で強度を持つことになるので、すべてのスロット3、13をスリット2、12で接続した場合に比べ、遠心力に対する強度を高めることができる。
さらに、スリット2、12が並設されるq軸方向において強度が低下するので、スリット2、12で接続しないスロットは、q軸方向において回転軸4に最も近いスリット2aが接続するスロット3a、3gよりもd軸から遠くに配置されているスロット、例えばスロット3b、3fとしている。
【0040】
誘導トルクは常に回転方向にトルクを発生させるが、リラクタンストルクは突極の位置と磁束の方向によって発生する回転トルクの方向が異なってくる。このため、回転子鉄心1の起動から同期運転までの間は、誘導トルクは常に回転方向に発生しているが、リラクタンストルクは回転子鉄心1の回転位置と回転磁界との位置関係によって、回転方向とその逆方向に交互に回転トルクを発生している。このため、同期運転まで間は、リラクタンストルクは回転の働きを部分的に阻害することになる。そこで、スリット2、12に接続されないスロット3、13を一つ、またはそれ以上設けると、同期までの回転中に発生するリラクタンストルクに対する誘導トルクの割合が大きくなり、スムーズに同期運転まで到達することができる。
【0041】
さらに、スロット3、13の一部を、スリット2、12で連結しないことにより、すべてのスロット3、13をスリット2、12で連結する構成にした場合よりも、薄肉連結部15の幅を狭くでき、薄肉連結部15を通る漏れ磁束や高調波鉄損を小さくできる。従って、回転子鉄心1で発生する損失を小さくでき、SyIMとしての効率を向上できる。
【0042】
なお、図4、図5ではスロット3b、3fをスリットで接続しない構成としたが、これに限るものではなく、他の一対のスロット3c、3eをスリットで連結しないようにしてもよい。また、q軸に対称に配置されているスロット、例えばスロット3c、3eやスロット3b、3fを1対のスロットとしてスリットで接続しない構成に限るものではなく、例えばスロット3b、3eをスリットで接続せずに、スロット3c、3fをスリットで接続するような構成にしてもよい。また、スロットがさらに多く設けられている場合、1対以上の複数のスロットをスリットで接続しないようにしてもよい。
【0043】
また、スリット2、12で接続しないスロット3、13は、回転軸4に最も近いスリットに接続されたスロットよりも少なくともd軸から遠くに位置していれば、どのスリットでもよく、その数も1対以上であればいくつでもよい。スリット2、12の数が減ることでq軸方向に磁束が流れやすくなる場合には、スリットの幅を太くするなどで対応できる。また、q軸方向でスリット2、12に接続しないスロット3、13が隣り合っていてもよい。
【0044】
また、図1、図3、図4、図5に示した回転子鉄心1では、q軸のスロット3d、13dをスリット2、12と連結して一塊に構成し、2次導体となるスロット3、13の作用と、q軸方向に磁気的に絶縁するスリット2、12の作用を有するように構成したが、分割してq軸の両側に配置してスロット3、13の作用のみとしてもよい。
【0045】
また、図7は、この実施の形態に係る回転子鉄心1のさらに他の構成例を示す部分拡大図である。この構成例は、回転子鉄心1の径方向で、スリットに接続されていないスロット3bの外周側から回転子鉄心1の外周までの距離(t2)を、スリットに接続されているスロット3a、3cの外周側から回転子鉄心1の外周までの距離(t1)よりも短くなるように構成した。実際には、スリット2と連結していないスロット3b近傍の回転子鉄心1の外周部を切り欠いて、薄肉連結部15の幅をt1からt2(t1>t2)のように薄くしている。例えばt1=0.5mm程度とし、t2=0.3mm程度とする。
このようにスリットと接続していないスロット3bの薄肉連結部15の幅を小さくすることで、図6に示した構成よりも磁束がt2の幅の薄肉連結部15で通りにくくなる。回転子鉄心1の外周部を通る磁束が通りにくくなることにより、q軸側のインダクタンスLqが小さくなり、回転子鉄心1の突極比を大きくすることができる。また、この部分での高調波鉄損を抑制することができ、SyIMの効率や力率を向上することできる。
【0046】
図1や図3に示したように、すべてのスロット3、13がスリット2、12に接続しているような回転子鉄心1の場合、回転子鉄心1の回転によって発生する遠心力に対する強度は、スリット2、12やスロット3、13の端面とそこに充填されている充填物質との結合(接着)と、回転子鉄心1の薄肉連結部15の強度によってほぼ決定される。ここで、充填物質との結合は信頼性が少なく、薄肉連結部15の強度だけでほぼ決定されることになる。このため、SyIMの仕様によって薄肉連結部15の幅が必然的に決まってしまい、SyIMの効率を向上するために、薄肉連結部15の幅を小さくしてq軸のインダクタンスLqを小さくすることができない。そこで、SyIMの仕様に応じて薄肉連結部15の幅をt1として回転子鉄心1を決定し、回転軸4方向に積層した後、図7に示すように、スリットと接続していないスロット3bの外周部を積層方向に切り欠くことにより、スロット3bの外周側の薄肉連結部15の幅をt1からt2にする。
スリットに接続していないスロット3bの部分の遠心力に対する強度は、薄肉連結部15だけでなくその内側の回転子鉄心1部分で強度を持つことになる。このため、スロット3bの薄肉連結部15はスロット3bに充填されている充填物質に働く遠心力に対する強度を保つだけでよく、これを考慮してt2を設定すればよい。このようにしてスロット3bの外周側の薄肉連結部15の幅を今まで以上に薄くすることができる。
なお、回転子鉄心1を積層してから薄肉連結部15を積層方向に切り欠いて製造するのに限らず、回転子鉄心1を打ち抜く時に、回転軸4の中心から外周までの距離を変化させてもよい。回転子鉄心1の外形を完全な円とする必要はなく、スリットに接続されていないスロット3bの付近での回転軸中心から外周までの距離を、スリットに接続されるスロットの付近での回転軸中心から外周までの距離を短くしてもよい。このように構成することで、スリットに接続されていないスロット3bの外周側の薄肉連結部15を、スリットに接続されるスロットの外周側の薄肉連結部15よりも短くでき、この後、回転子鉄心1を積層して製造しても、同様の効果を奏する。
【0047】
また、スリットに接続されていないスロット3bにおける薄肉連結部15の幅を狭くする他の構成例を以下に示す。
図8はこの実施の形態のさらに他の構成例による回転子鉄心1を示す部分拡大図である。スリットと連結していないスロット3bの位置を回転子鉄心1の外周側に移動、または外周まで広げることにより、スロット3bの薄肉連結部15の幅をt1からt2にして狭くする。この様に構成した場合にも上記と同様、磁束が薄肉連結部15を通りにくくなり、回転子鉄心1の外周部での磁束の漏れや高調波鉄損を抑制することができ、SyIMの効率や力率が向上することできる効果を奏する。
【0048】
また、図9はこの実施の形態のさらに他の構成例による回転子鉄心1を示す部分拡大図である。図9ではスロット3bを外周の縁まで形成して外周に露出させている。この構成により、スリットと連結していないスロット3bの薄肉連結部17の外周は不連続になって磁気的に絶縁される。このため、磁束が薄肉連結部17を更に通りにくくなり、回転子鉄心1の外周部での磁束の漏れや高調波鉄損を抑制することができ、SyIMの効率や力率をさらに向上できる。
この場合、図に示す様にスロット3bの回転方向の幅h1より露出部の回転方向の幅h2を小さくすれば、h2に隣接している薄肉連結部17によってスロット3bが押さえられている構成となる。このため、スロット3bに充填されている充填物質が回転子鉄心1の回転によって飛ばされるのを防ぐことができる。
【0049】
また、図10(a)〜(d)はそれぞれこの実施の形態のさらに他の構成例による回転子鉄心1を示す部分拡大図である。図9において、スロット3bの露出部の磁気的な絶縁の効果を上げるためにさらに露出部の幅h2を大きくする必要がある場合には、図10(a)〜(d)のそれぞれのようにスロット3bの一部に凹凸による嵌合部18を形成し、回転子鉄心1を構成する電磁鋼板に形成した凹凸と嵌合させる。この嵌合部18によってスロット3b内に充填している充填物質を回転子鉄心1に強固に固定でき、回転した時に遠心力によってスロット3b内の充填物質が飛び出すのを防止できる。図10(a)〜図10(b)はいずれも、嵌合部18によって回転時の遠心力に対して十分な強度を有し、かつ回転子鉄心1の外周部に十分な幅の非磁性体を形成でき、回転子鉄心1の外周部での磁束の漏れや高調波鉄損を抑制することができ、SyIMの効率や力率をさらに向上できる効果を奏する。
または、回転子30の少なくとも外周の縁に露出しているスロット3bをSUSなどの非磁性体で覆ってもよい。
また、図7や図8のようにスロットの外周側に薄肉連結部15を形成したスロットにおいて、図10に示すような嵌合部18を設ければ、さらに遠心力に対して十分な強度を有するものとなる。
【0050】
また、図1、図3、図4、図5に示した回転子鉄心1では、d軸方向にスロット3、13を配置していないが、図11に示すようにd軸方向にも、例えばスロット3h、3i、13h、13iを配置してもよい。図11に示した構成は図4の構成にスロット3h、3i、13h、13iを配置したものを示している。このようにd軸方向にもスロット3、13を配置することにより、発生する誘導トルクが大きくなり、さらに均一になるため、起動時から同期運転に至る過程で、さらにスムーズに回転数が上昇することになる。もちろん図1、図3、図5の構成にd軸方向に、スリットに接続しないスロット3h、3i、13h、13iを配置しても同様である。
【0051】
また、この実施の形態ではスリット2、12やスロット3、13の形状を変更することで、電動機効率の向上を図っており、スリット2、12やスロット3、13の形状の変更した電動機の製造に際し、回転子鉄心1の金型を変えるだけでよく、製造工程を変更する必要がないため、従来の製造コストと同様のコストで製造できる。
【0052】
実施の形態2.
図12は、この発明の実施の形態2に係わる同期誘導電動機の回転子鉄心を示す上面図である。図において、図4と同一符号は同一、または相当部分を示し、詳しい説明を省略する。8、8a、8bは固定子で発生した磁束の進入方向、θは回転角を示している。この回転子鉄心1が複数枚積層され、出力軸4に圧入等により固定され、回転子を形成している。図1に示す様に回転子の周囲に所定の間隔を空けて固定子が配設される。
【0053】
固定子で発生した磁界は、回転子鉄心1のスリット2、12により磁気的に絶縁されているため、スリット2、12間、例えばスリット2aとスリット2bの間を通って固定子の他の磁極に導通する。固定子で発生した磁極の方向が図12の右から左、または左から右に通る磁界が発生しているときに、回転子鉄心1の回転位置が図12に示すような位置であればリラクタンスが最も小さい。また、回転子鉄心1の回転位置が図12に対して90度の回転した位置であればリラクタンスが最も大きくなる。リラクタンスが最も小さい方向をd軸、最も大きい方向をq軸といい、d軸とq軸の間の回転角θで回転子鉄心1に回転トルクが発生し、その大きさはd軸またはq軸との回転角θにより変化する。
【0054】
回転子鉄心1に任意の負荷が掛かった状態で同期運転をしている場合、回転子鉄心1に負荷と釣合うトルクを発生させるための回転角θで回転子が回転している。回転子鉄心1の回転位置が図12に示す状態の場合、固定子が発生した磁界の方向は図12の横方向(d軸に一致する方向)ではなく、回転子の回転方向(反時計方向)に所望する回転トルクが発生するための回転角θだけ回転した磁束8の方向となる。回転角θは磁束の方向をd軸からの反時計回りの角度で表し、通常、回転角θは0〜50度の範囲で使用される。この場合、固定子で発生した磁束8の大部分は、図12に向かって回転子鉄心1の右上方向から入ってきて、左下から固定子の反対磁極に入っていく。回転子鉄心1はスリット2、12によって磁気的に絶縁されているために、磁束8はスリット2、12に沿って通っていくことになるが、磁束の一部はスリット2、12を飛び越えて通ることになる。スリット2、12を飛び越える磁束の量や位置は、固定子の磁界の大きさや、回転子鉄心1が発生しているトルク、及びスリット2、12やスロット3、13の形状によって変化する。
【0055】
固定子で発生した磁束8の分布は、図12に示す磁束8の中心部(この例ではロータ回転角θ)が強く磁束8aや磁束8bにようにロータ回転角θを中心として磁束8から遠いほど弱くなっている。また、負荷の大きさによって、回転子鉄心1に入ってくる磁束の角度θが変化する。図13は横軸にロータの回転角θ、縦軸に磁束φを示すグラフである。負荷が小さい場合は、回転角θは小さいところで釣り合うため、図13のφ2のような磁束分布となる。逆に、負荷が大きい場合は、回転角θは大きいところで釣り合うため、φ3のような磁束分布となる。また、その中間の負荷では、φ1のような磁束分布となる。
【0056】
図14は図12の点線○で示した部分を拡大して示す部分拡大図である。図中、矢印は磁束の方向を示すと共に矢印の太さは磁束の大きさを示す。スリット2、12は回転子鉄心1の回転軸4側から外周部まで一定の間隔に配置されているのが一般的である。このため、例えば、磁束8の大きさによってスリット2、12間の回転子鉄心1で発生する鉄損が変わってくる。即ち、スリット2aとスリット2bの間の幅(以下、ストリップと記す)W1を通る磁束は、スリット2bとスリット2cの間のストリップW2を通る磁束に比べ、磁束の中心に近い磁束が通るため磁束の大きさは大きい。ところがストリップW1とストリップW2の幅が同じだと、ストリップW2で発生する鉄損よりストリップW1で発生する鉄損のほうが大きいことになる。また、磁束8の大きさによっては、ストリップでの磁束の飽和が発生しSyIMの効率や特性が低下する可能性が出てくる。
そこで、この実施の形態では、固定子で発生する磁束が回転子鉄心1のd軸方向またはd軸から回転方向に所定角度傾けたd’軸方向の磁路を通って回転磁界を形成するときの磁路における磁束密度が均一化するように、磁束の大きい部分のスロット間の幅とスリット間の幅の少なくともいずれか一方の幅を、磁束の小さな部分の幅よりも広くした。スリットとスロットは、d軸の上半分と下半分では回転軸4の中心に対してほぼ180度で点対称に構成されている。ここでスリット間とは、d軸の上半分または下半分に形成されているスリットのうちで、隣接するスリットの間の回転子鉄心の部分を意味し、スロット間とは、d軸の上半分または下半分に形成されているスロットのうちで、隣接するスロットの間の回転子鉄心の部分を意味する。
【0057】
図15はこの実施の形態に係る回転子鉄心1を示す部分拡大図である。図14の点線○部とほぼ同一の部分を示している。この実施の形態では、スリット2、12の間の電磁鋼板の部分であるストリップを通過する磁束の大きさにあわせて、W1>W2>W3となるように、ストリップの幅を変えている。例えば、磁束の大きさの大きいストリップW1の幅は、磁束の大きさの小さいストリップW2より広くさらに磁束の大きさの小さいストリップW3の幅をストリップW2よりも狭くしてある。ストリップのそれぞれの幅は、回転子鉄心1の大きさ、積層高さ、トルクなどにより鉄損等が最も少なくなるように設定すればよい。これにより、回転子鉄心1内でSyIMの効率に影響する部分の磁束密度を均一にできるため、回転子鉄心1の鉄損が下がりSyIMの性能を向上できる。また、磁束飽和となる磁束の大きさも従来に比べ大きくすることができるため、SyIMの出力を向上することができる。
ただし、一番幅の狭いストリップW3の幅は、回転子鉄心1を製造する際の打ち抜きに耐える幅として0.3〜0.5mm程度にするのが好ましい。
【0058】
なお、ここではq軸方向で、回転軸4側のスリット間の幅を外周側のスリット間の幅よりも広くした構成について述べたが、q軸から回転方向に所定角度θ傾けたq’軸方向で、回転軸4側のスリット間の幅を外周側のスリット間の幅よりも広くしても、同様の効果を奏する。この所定角度θは、0〜50度の間で設定される。
また、ここでは図12における回転子鉄心1のd軸の上側の部分について説明したが、回転子鉄心1の極数が2極の場合には、回転軸4の中心を回転中心として、180度の回転対称になるように構成する。
また、スリット2、12、スロット3、13が図12のように構成されている回転子鉄心1のスリット間の幅について説明したが、実施の形態1における図3、図4、図5、図11のような構成の回転子鉄心1にも適用することができ、上記と同様の効果を奏する。
【0059】
また前述の様に、固定子によって作られる磁束8と回転子鉄心1との回転角θは回転子鉄心1のスリット2、12やスロット3、13の形状、負荷トルクなどにより回転方向に回転角θだけ進んだ方向になっている。このため、回転子鉄心1を通る磁束は、スリット2、12によって磁気的に絶縁されているために各ストリップを通って反対側の磁極に入る時に、一部の磁束は、スリット2、12を飛び越えて次のストリップに入るものも存在する。つまり、ストリップW2を通っていた磁束の一部がスリット2bを飛び越えてストリップW1に入ってくる磁束が存在するということである。このため、例えば、ストリップW1を通る磁束は、d軸の上側ではq軸の右側より左側の方が多くなる。
【0060】
このため、図16では、スリット2、12を飛び越える磁束を考慮して、磁路の下流側のストリップの幅を広くしている。図中、矢印は磁束の方向を示すと共に太さは磁束の大きさを示す。少なくとも回転軸4の近くに位置するスリット2aとその隣のスリット2bとの間の幅W1を、回転子鉄心1に形成される磁路の入口側(図に向かって右側)よりも出口側(図に向かって左側)で広くすることで、磁束密度を均一化できる。図16では、図15で説明した構成のq軸方向で回転軸4の中央側のストリップの幅を外周側より広くすると共に、磁束の流れの下流側が広くなるようにスリット2、12を傾けたり、幅を変化させている。具体的には、ストリップの幅は、W1>W2>W3とし、横方向(d軸方向)のどこであってもこの関係が満たされる。さらに、ストリップW1に関しては図に向かってq軸の右から左に向かうに従って、幅を大きくしている。ストリップW2も同様、横方向で同じ幅ではなく、磁束8の大きさ及びスリット2、12を飛び越える磁束を考慮して、幅を変化させている。さらにはストリップW1に関しては、例えば内側のスリット2aの壁をd軸に平行とし、外側のスリット2bの壁を回転方向のストリップ幅が広くなる様にα度傾斜させる。これにより、q軸の左側のW1の幅がq軸の右側のW1の幅よりも広くなり、左側に多くの磁束を通すことができる。従って、ストリップW1は最も多くの磁束が通るのに加えて、ストリップW2、W3からスリット2b、2cを飛び越えた分だけ多くなっても、磁束密度を均一にできる。ストリップW2についても同様であり、q軸の右側よりも左側の幅を広くする。ストリップW3に関しては通る磁束も少なく、q軸の左側ではスリット2cを飛び越えて隣接するストリップW2に流れるので、q軸の右側よりも幅を狭く、または同様にした。
このようにこの実施の形態ではスリット2、12の間のストリップの幅を変化させて、磁路における磁束密度が一様になるようにすることにより、回転子鉄心1の鉄損を低下できる。これにより、SyIMの効率を向上することができる。なお、ここでもq軸を基準にしてスリット間の幅を変化させたが、q軸を回転方向に所定の角度θだけ傾けたq’軸を基準にしても同様の効果を奏する。
【0061】
また、図15、図16では、スリット間の幅(ストリップの幅)を回転子鉄心1の回転軸側を広く外周に行くほど狭くしてあるが、モータの特性や使用負荷によってはストリップW1よりW2を広くしても回転子鉄心1内の磁束分布を均一化でき損失分布を均一化できる場合もある。
また、図16では、複数のスリット2、12を並設している構成の回転子鉄心1で、少なくとも回転軸4に最も近い位置に配置されるストリップにおいて、q軸の回転方向側を広くしたが、SyIMの使用条件や回転子鉄心1のスリット2、12やスロット3、13の形状によっては、回転方向と反対側を広くした方がよい場合もある。例えばスリット2、12内にマグネットを挿入している場合などは、磁束が多くなる部分で、スリット2、12を広くした方が磁束が通りやすくなり、磁束密度を均一化できる。
【0062】
次に、図17に示す回転子鉄心1の上面図における点線○の部分の構成について述べる。図18は、図17の点線○の部分を拡大して示す部分拡大図である。図中、図12と同一符号は同一、または相当部分を示し、説明を省略する。
【0063】
図12の説明と同様、図17において、固定子で発生した磁束は、回転子鉄心1の右上方向(回転角θだけ反時計回りに回転した方向)から入ってくる。回転子鉄心1の発生するトルクは、磁束8と回転子鉄心1との回転角θによって変化する。回転角θが大きくなるにしたがって、回転子鉄心1で発生するトルクは大きくなり、ある一定以上回転角θが大きくなるとトルクは小さくなってくる傾向にある。通常、回転角θは0〜50度の範囲で使用し、比例してトルクが大きくなっていく範囲で使用する。
【0064】
負荷変動にあわせ、負荷とつり合うトルクが発生するように回転角θが変化する。回転角θが変化すると、回転子鉄心1に入ってくる磁束8の進入角が変化することになる。このため、回転子鉄心1への磁束の出入口部分では、磁束の大きさの変化に合わせて方向も変化するため、鉄損が大きくなる。従来は図34に示すようにスリット25間の幅(ストリップ幅)は、磁束8の入口から出口まで一定の幅m=nになっている。このように構成されている場合は、磁束の出入口となる回転子鉄心1の外周部での損失が大きくなる。
【0065】
そこで図18に示すように、回転子鉄心1内部の磁束の通るスリット2a、2bの間の幅W1やスリット2b、2cの間の幅W2に対し、スロット3a、3bの間の幅W4やスロット3b、3cの間の幅W5が広くなるように構成する。このように構成することで、磁束の変化の大きい回転子鉄心1への磁路の出入口部での磁束密度が下がり、進入する磁路の出入口部即ちスロット3a、3b間と、出入口部の間の中央部即ちスリット2a、2b間とで、磁束密度を均一化でき鉄損を低減できる。回転子鉄心1内でSyIMの効率に影響する部分の磁束密度を下げることにより鉄損が下がり、SyIMの性能を向上することができる。また、磁束飽和になりやすい磁束の出入口部の磁束密度を下げることによって、固定子で発生させる磁束の大きさも従来に比べ大きくすることができるため、SyIMの出力を向上することができる。
【0066】
また、図19に示す様に、回転子鉄心1の回転方向で、d軸に最も近いスロット3aとその隣のスロット3bとの間の幅W4を、これに続くスロット間の幅W5よりも広くし、更にスロット間の幅W5を回転方向に隣のスロット間の幅W6よりも広くすると、さらに磁束密度を均一化できる。固定子で発生した磁束8の分布は、磁束8の中心部が強く磁束8aや磁束8bのように磁束8から遠いほど弱くなっている。回転子鉄心1に入ってくる磁束の大きさに合わせてスロット3、13間の幅を変えることで、回転子鉄心1の外周部で発生する鉄損を低減できる。大きい磁束8が通るスロット3aと3bの間の幅W4を広くし、それより小さい磁束8aが通るスロット3bと3cの間の幅W5をW4より狭くする。即ちd軸に近いスロット間の幅を、q軸に近いスロット間の幅よりも広くする。このように構成することで、図18の構成よりもさらに回転子鉄心1内でSyIMの効率に影響する部分の磁束密度を下げることにより鉄損が下がりSyIMの効率を向上できる。
ここで、磁束はd軸、またはd軸を回転方向に所定角度傾けたd’軸方向から回転子鉄心1に進入するので、d軸またはd’軸に近いスロット間の幅を、q軸またはq’軸に近いスロット間の幅よりも広くすればよい。この所定角度は、0<θ<50度の範囲で設定される。
【0067】
図20に、d’軸及びq’軸を基準にしてスロット間の幅を構成した構成例を示す。固定子によって作られる磁束8は、回転子鉄心1のスリット2、12やスロット3、13の形状、負荷トルクなどにより回転子鉄心1のd軸から回転方向に回転角θだけ進んだ方向になっている。磁束の大きさは、d軸から回転方向に回転角θ進んだd’軸方向が最も大きく、これから離れるほど小さくなる。この磁束の大きさに合わせて回転子鉄心1の磁路の幅を形成することで、磁束を均一化する。
具体的には、d’軸を基準とし、このd’軸に最も近いスロット3、13間の幅を最も広くし、このd’軸から回転方向に進んだ部分に配置されているスロット間の幅を次第に狭くする。即ちW4≧W5≧W6≧W6’とする。更にq’軸を基準とし、このq’軸に最も近いスロット間の幅を最も狭くし、この軸から回転方向に進んだ部分に配置されているスロット間の幅を次第に広くする。即ちW4’≧W5’とする。
【0068】
このようにスロット3、13間の幅を磁路の方向及び磁束の大きさによって変化させることにより、回転子鉄心1での鉄損を小さくできるため、磁束の大きさや変化の大きい回転子鉄心1への磁束の出入口部で磁束密度が下がり、磁束密度を均一化して鉄損を低下できる。回転子鉄心1内でSyIMの効率に影響する部分の磁束密度を下げることにより鉄損が下がりSyIMの効率を向上できる。また、磁束飽和になりやすい回転子鉄心1の磁束の出入口部の磁束密度を下げることによって、固定子で発生させる磁束の大きさも従来に比べ大きくすることができるため、SyIMの出力を向上できる。
なお、図に向かってd軸の下側の構成は、磁極が2極の場合にはd軸の上側を回転軸4を中心に180度回転させたものと同様である。
【0069】
なお、この実施の形態は、図1に示した回転子鉄心1に適用した場合について述べたが、図3、図4、図5、図11に示した構成の回転子鉄心1にも適用できる。また、これらの構成の回転子鉄心に、実施の形態1で記載した少なくともいずれか1つの構成を兼ね備えるようにすると、さらに電動機効率の向上を図ることができる。
【0070】
実施の形態3.
図21は、この発明の実施の形態3における同期誘導電動機の回転子鉄心1を示す上面図である。図中、図1と同一符号は、同一または相当部分を示し、説明を省略する。回転子鉄心1は、例えばけい素鋼板などの電磁鋼板を1mm程度の厚さに圧延した後、スロット3、13やスリット2、12や回転軸4を圧入する穴を形成する。そして、この回転子鉄心1を複数枚積層し、スロット3、13やスリット2、12に導電性材や非磁性体を充填し、回転軸4を圧入する。図21において、回転子鉄心1に示す矢印Pの伸びる方向が圧延工程での圧延方向を示している。
【0071】
この実施の形態では、図21のように、回転子鉄心1内部の磁束の通りやすいd軸方向と回転子鉄心1の圧延方向をほぼ同じ方向となるようにした。圧延されてロール巻された電磁鋼板の場合、長手方向を圧延方向、これと直交する方向を直角方向と呼んでいる。一般に、回転子鉄心1の材料である電磁鋼板などは、圧延方向とその直角方向とで異なる磁気抵抗を示し、磁束の通りやすさが違っている。通常、圧延方向が磁束の通りやすい方向になっているので、圧延方向と回転子鉄心1の磁束の通りやすいd軸方向をほぼ一致させることにより、d軸とq軸のインダクタンスLd、Lqの大きさに差ができ、突極比を大きくしてSyIMの電動機効率を向上することができる。
【0072】
また、この実施の形態の他の構成例を図22に示す。これは図4に示した構成の回転子鉄心1に適用したものである。図21と同様、圧延方向と回転子鉄心1の磁束の通りやすいd軸方向をほぼ一致させることにより、d軸とq軸のインダクタンスLd、Lqの大きさに差ができ、SyIMの効率を向上することができる。さらに、スリットに接続されないスロット3b、3f、13b、13fを設けているので、遠心力に対する強度を保持できる。
【0073】
また、この実施の形態のさらに他の構成例を図23に示す。同期運転では回転子鉄心1の磁束の流れやすいd軸方向に対して、磁束8は回転角θだけ回転方向に傾けたd’軸方向から回転子鉄心1に進入する。図23では、これに合わせて圧延方向Pをd’軸方向に略一致させている。この回転角θはかかる負荷の大きさによって0〜50度の間で変化するので、回転子鉄心1の圧延方向Pをd軸方向から回転方向に0〜50度回転した位置に合わせる。圧延方向Pのd軸方向からの回転角θの大きさは、スリット2、12やスロット3、13、SyIMの使用条件を考慮して決定すればよい。
このように、圧延方向と回転子鉄心1に磁束が進入する方向であるd’軸方向をほぼ一致させることにより、d軸方向とq軸方向のインダクタンスLd、Lqの大きさに差ができ、SyIMの効率を向上することができる。
【0074】
このように回転子鉄心1の圧延方向を回転子鉄心1に形成するスリット2、12やスロット3、13の位置や磁路に応じて決定すれば、さらにd軸方向とq軸方向のインダクタンスLd、Lqの大きさに差ができ、SyIMの電動機効率が向上する。
【0075】
なお、図23では、圧延方向Pをd軸から回転方向に回転させているが、スリット2、12やスロット3、13やSyIMの使用条件によっては、回転子鉄心1を製造する際の圧延方向をd軸方向から反回転方向に回転させたほうがよい場合もある。例えばスリット2、12を飛び越える磁束8を積極的に活用する場合は、圧延方向Pをd軸から回転方向に回転させ、逆にスリット2、12を極力飛び越えないようにする場合は、圧延方向Pをd軸から反対方向に回転させるといった設計ができるため、設計の自由度を広げることができる。
【0076】
また、この実施の形態による回転子鉄心1の製造において、圧延方向と磁束の流れやすいd軸、またはd’軸を任意の角度で設定して加工するだけなので、製造工程やコストには影響しない。また、SyIMの仕様にあわせ、回転子鉄心1の型の取り付け角度を変えるだけでよいため、同じ型で色々な特性のSyIMを容易に製造することができる。
【0077】
なお、この実施の形態は、図1または図4に示した回転子鉄心1に適用した場合について述べたが、図3、図5、図11に示した構成の回転子鉄心1にも適用できる。また、これらの構成の回転子鉄心に、実施の形態1及び実施の形態2で記載した少なくともいずれか1つの構成を兼ね備えるようにすると、さらに電動機効率の向上を図ることができる。
【0078】
また、この実施の形態では、回転子鉄心1を製造する際の圧延方向の磁気抵抗が直角方向の磁気抵抗よりも小さくなるということを利用したものである。これと同様に、回転子鉄心1の材質に磁気異方性材料を使用し、磁束の通りやすい方向をd軸またはd’軸に合わせても同様の効果を奏する。
【0079】
実施の形態4.
図24は、この発明の実施の形態4に係る同期誘導電動機の回転子鉄心を示す上面図である。図中、図1と同一符号は同一、または相当部分を示し、説明を省略する。また、図ではスリット2、12とスロット3、13の充填物質をわかりやすいように格子で表示している。
図において、19aは溝であり、回転子鉄心1のq軸方向の外周に、回転軸側に凹状であり回転子鉄心1の積層方向に伸びるように構成している。
【0080】
SyIMの効率は、磁束の流れやすいd軸方向のインダクタンスLdと磁束の流れにくいq軸方向のインダクタンスLqとの差や比の大きさでほぼ決定され、効率を向上させるためには、Ldを大きくするかLqを小さくする必要がある。この実施の形態では、図24に示すように、回転子鉄心1の外周部のq軸方向に溝19aを設けている。この溝19aによって、q軸方向における回転子鉄心1の外周と固定子との距離は、d軸方向における距離よりも長くなり、q軸方向の磁束が流れにくくなってインダクタンスLqが小さくなる。溝19aは、回転子鉄心1の外周から一番外側のスリット2c、12cまでの間に設けており、d軸方向のインダクタンスLdにはほとんど影響しないため、SyIMの効率を向上できる。
また、回転子鉄心1の外周部に設けた溝19aによって、外周部での漏れ磁束や高調波鉄損を低減できるため、さらにSyIMの効率を向上できる。
なお、この溝9aは回転子鉄心1の積層方向に伸びるものとしているが、回転子の上端から下端まで伸びていなくてもよい。溝9aを設けた回転子鉄心1と溝9aを設けない回転子鉄心1とが積層方向で混在していても、溝9aを設けた回転子鉄心1を一部に設けることで、この部分のインダクタンスLqをある程度小さくすることができ、効率を向上できる。
【0081】
また、この実施の形態の他の構成例を図25に示す。図のように、回転子鉄心1のほぼq軸方向の外周部が、q軸に略垂直な辺になるように切り欠いた切り欠き部19bを構成する。これにより、図24に示した構成と同様、q軸方向における回転子鉄心1の外周と固定子との距離が、d軸方向における距離よりも広がって、磁束が流れにくくなり、q軸方向のインダクタンスLqが小さくなる。切り欠き部19bはq軸にほぼ垂直になるように切り欠いているので、d軸に沿った磁束の流れに影響を及ぼすことはない。即ち、d軸方向のインダクタンスLdにはほとんど影響しないため、突極比が大きくなりSyIMの効率を向上することができる。また、回転子鉄心1の外周部を切り欠くことにより、この部分での高調波鉄損を低減できるため、SyIMの効率を向上することができる。
【0082】
図24、図25では、q軸方向における回転子と固定子との距離を、d軸方向における回転子と固定子との距離よりも長くしたことによって、q軸方向とd軸方向のインダクタンスLq、Ldの差を大きくでき、SyIMの効率を向上することができる。
なお、溝19aや切り欠き部19bの形状は上記の形状に限るものではない。例えば図24の溝19aはq軸を含む四角形状にしているが、三角形や多角形にしてもよい。また、図25の切り欠き部19bは、回転子鉄心1の円周の一部を円弧ではなくq軸に垂直かつd軸に平行な直線で辺とすることで形成したが、これに限るものではなく、曲線で構成してもよい。
また、溝9a及び切り欠き部9bはq軸を含むように構成されていなくてもよく、q軸方向の外周近傍や、q軸から回転方向に所定の回転角θ傾けたq’軸方向の外周近傍に設けてもよい。q’軸方向の回転子鉄心1と固定子との間の距離を、d’軸方向の距離よりも大きくすることによって、q軸方向とd軸方向のインダクタンスの差を大きくでき、SyIMの効率を向上することができる。
【0083】
また、例えば図26に示すように、回転子鉄心1の外形を磁束の流れやすいd軸を長軸とし、磁束の流れにくいq軸方向を短軸とした楕円状にしてもよい。この場合にはq軸方向の回転子鉄心1と固定子との間の空間19cが広がり、q軸方向のインダクタンスLqを小さくすることができる。さらに、d軸方向のインダクタンスLdにはほとんど影響しないため、SyIMの効率を向上できる。また、q軸方向の距離を広げることにより高調波鉄損を低減でき、SyIMの効率を向上できる。
【0084】
また、図27に示すように、回転子鉄心1の外形を、q軸を回転方向に回転角θだけ傾けたq’軸を短軸、d軸を回転方向に回転角θだけ傾けたd’軸を長軸とした楕円状とする。
SyIMが同期運転中の磁束の流れやすいd軸に対して固定子で作られる磁束8が回転方向に0〜50度程度の回転角θだけ進んでいることを考慮し、q’軸方向における回転子鉄心1と固定子との距離がd’軸方向の距離よりも大きくなるように構成する。このため、同期運転時に、q’軸方向に空間19cができ、回転子鉄心1と固定子との間の距離を、d’軸方向の距離よりも大きくすることによって、q’軸方向のインダクタンスを小さくできる。この構成では、d’軸方向のインダクタンスLdにはほとんど影響しないため、リラクタンストルクを大きくして、SyIMの効率を向上することができる。また、q’軸方向の回転子鉄心1と固定子との距離を広げることにより高調波鉄損を低減でき、SyIMの効率を向上できる。
【0085】
また、さらに図26、図27に示す構成に加え、溝9aや切り欠き部19bをq軸方向の外周部に設け、回転子鉄心1と固定子との間の距離がq軸方向においてd軸方向よりも大きくなるように構成してもよい。
【0086】
また、この実施の形態は、図1に示した回転子鉄心1に適用した場合について述べたが、回転子鉄心1に配置されるスリット2、12及びスロット3、13は、従来の構成でもよいし、図3、図4、図5、図11に示した構成の回転子鉄心1にも適用できる。また、これらの構成の回転子鉄心に、実施の形態1ないし実施の形態3で記載した少なくともいずれか1つの構成を兼ね備えるようにすると、さらに電動機効率の向上を図ることができる。
【0087】
実施の形態5.
図28は、この発明の実施の形態5における同期誘導電動機の回転子鉄心を示す上面図である。図中、図1と同一符号は同一、または相当部分を示し、説明を省略する。また、図ではスリット2、12とスロット3、13の充填物質をわかりやすいように格子で表示する。
【0088】
SyIMの効率を決定する要因の1つとして、磁束の流れやすいd軸方向のインダクタンスLdと磁束の流れにくいq軸方向のインダクタンスLqとの差や比の大きさがある。d軸方向のインダクタンスLdを大きくするか、q軸方向のインダクタンスLqを小さくすることで、インダクタンスLdとインダクタンスLqの差を大きくすれば、効率を向上できる。この実施の形態では、回転子鉄心1の外周部の磁束を流れにくくすることにより、インダクタンスLqを小さくしている。
【0089】
図28では、回転子鉄心1の外周形状を、スロット3、13の外周に沿って湾曲させた複数の円弧をつなげた構成とする。これにより回転子鉄心1の外周部の磁束の流れる距離が長くなるため、磁束が流れにくくなり、q軸方向のインダクタンスLqを小さくすることができる。この様な外周形状にしても、d軸方向にスロットが配設されていない構成ではd軸方向のインダクタンスLdにはほとんど影響しないため、SyIMの効率を向上できる。
また、回転子鉄心1の外周の距離を長くすることにより、外周部での高調波鉄損を低減できるため、さらにSyIMの効率を向上できる。
なお、この外周形状は、全てのスロット3、13の外周の回転子鉄心1の形状を湾曲するのに限るものではなく、少なくともq軸に近いスロット3、13の設けられた回転子鉄心1の外周をスロット3、13の外形に沿って湾曲させることで、効果を奏する。ただし、q軸からq軸の回転方向に回転角θだけ傾けたq’軸方向のスロット3、13が設けられた回転子鉄心1の外周形状を、スロット3、13の外形に沿って湾曲させれば、磁束8の方向がd’軸方向から進入する場合、q軸方向のインダクタンスLqを小さくできる効果を奏する。
ここで、回転子鉄心1の外周は、スロット3、13の外形にピッタリと沿って湾曲させていなくてもよく、ある程度スロット3、13の外形に沿わせることで、外周の距離を長く構成すれば効果を奏する。
【0090】
また、この実施の形態の他の構成例を図29に示す。回転子鉄心1の外周形状をスロット3、13の外周に沿って湾曲させ、さらにq軸方向のスロット3d、13dをq軸でくびれるような形状にする。この様に構成することで、図28の構成よりもさらにq軸方向における回転子鉄心1の外周部の磁束の流れる距離を長くでき、磁束が流れにくくなり、q軸方向のインダクタンスLqを小さくできるので、SyIMの効率を向上できる。また、外周部での高調波鉄損を低減できるため、SyIMの効率をさらに向上することができる。
【0091】
また、この実施形態のさらに他の構成例を図30に示す。図のように、少なくともd軸近傍にあるスロット3、13、この場合はスロット3a、3b、3f、3g、13a、13b、13f、13gの配置されている回転子鉄心1の外周はそのままとし、その他のスロット3c,3d、3e、13c、13d、13eの配置されている回転子鉄心1の外周の形状を、スロット3、13の外周に沿って湾曲させる。
これにより、回転子鉄心1の外周部の磁束の流れる距離が長くなるため、磁束が流れにくくなり、q軸方向のインダクタンスLqを小さくすることができる。さらに、d軸近傍にあるスロット3、13では回転子鉄心1の外周部はそのままの形状としているので、d軸方向のインダクタンスLdへの影響が図28に示した構成よりも小さくなるため、SyIMの効率を向上できる。また、回転子鉄心1の外周部を長くすることにより、外周部での高調波鉄損を低減できるため、SyIMの効率を向上することができる。また、外周部を磁束が通りにくい構成なので薄肉連結部を厚くしてもよく、回転子の遠心力に対する耐力を向上できる。
【0092】
また、図30において、q軸方向ではなくq’軸方向の回転子鉄心1の外形を、その近傍にあるスロット3、13の外周に沿って湾曲させても同様である。この時にはd’軸近傍にあるスロット3、13では回転子鉄心1の外形はそのままの形状とすればよい。
また、図30に示す構成で、図29に示したようにスロット3d、13dのq軸で回転軸4側にくびれるように構成し、スロット3d、13dの外側を2つの円弧で構成すれば、インダクタンスLqがさらに小さくなると共に、外周部での高調波鉄損がさらに低減され、SyIMの効率をさらに向上できる。
【0093】
なお、この実施の形態は、図1に示した回転子鉄心1に適用した場合について述べたが、図3、図4、図5、図11に示した構成の回転子鉄心1にも適用できる。また、これらの構成の回転子鉄心に、実施の形態1〜実施の形態4で記載した少なくともいずれか1つの構成を兼ね備えるようにすると、さらに電動機効率の向上を図ることができる。
【0094】
また、実施の形態1〜実施の形態5のそれぞれにおいて、充填物質にアルミニウムを使用しているが、銅などの別の材質でもよく、非磁性体で導電性材であれば同様の効果を奏する。
また、実施の形態1〜実施の形態5のそれぞれでは、スリット2、12とスロット3、13に同じアルミニウムを充填するようにしているが別々の物質を充填しても同様の効果を奏する。スリット2、12に例えばアルミニウムをダイカスト法などにより充填し、スロット部3、13には別の例えば導電率の良い銅などをダイカスト法などにより充填してもよい。このように構成すれば、スリット2、12を機能させるのに最適な材質の充填物質を用い、また、スロット3、13を機能させるのに最適な別の材質の充填物質を用いれば、両者の効果を高めることができる。製造においては、スリット2、12にスロット3、13の充填物質が入らないようにカバーをしてからスロット3、13に充填すれば、確実にスリット2、12とスロット3、13の充填物質を分離することができる。この場合、スリット2、12に充填する物質は必ずしも導電性材にする必要はない。
【0095】
また、実施の形態1〜実施の形態5のそれぞれでは、スリット2、12の充填物質に非磁性体を充填したが、マグネット等の磁性体をスリット2、12の一部または全部に挿入してもよい。スリット2、12に磁性体を挿入した場合には、磁束がスリットを通ることができ、磁束を多くとおすことができるので、電動機の出力を上げることができるという効果を奏する。製造する際には、予め、マグネットを挿入できるように充填物質をあけておき、スリット2、12に挿入するマグネットをスリット2、12の凹凸に合う形状に加工しておいてここに挿入すれば容易に装着できる。
【0096】
また、実施の形態1〜実施の形態5のそれぞれでは、スリット2、12とスロット3、13を連続した曲線で連結し接続しているが、スリット2、12とスロット3、13の間にくびれを設けたり数ミリ程度の間隔を開けて分離したりしても、スリット2、12とスロット3、13のq軸方向に対して磁気的に絶縁する作用は実質的には連結して接続する場合と同一であり、同様の効果を奏する。
【0097】
また、実施の形態1、実施の形態2、実施の形態4、実施の形態5では互いに直交するq軸とd軸を備え、磁極突起の極数を2極として大きな回転数で運転できる構成のものについて説明したが、2極以上の極数でも同様の効果を奏する。2極突起の場合にはd軸、q軸は直交し、極間の角度は180度なので、回転子鉄心1の構成を回転子鉄心の回転軸の中心を中心として180度で回転対称に構成しているが、4極の場合には極間の角度は90度となるので、回転子鉄心1の構成を回転子鉄心の回転中心を中心として90度で回転対称に構成すればよい。もっと多い極数になっても同様であり、極間の角度で回転対称に構成すればよい。
【0098】
また、実施の形態1〜実施の形態5のそれぞれによるSyIMは、永久磁石などのマグネットを使用しないため、コストが高くなるのを防止でき、リサイクル性がよい。
【0099】
なお、実施の形態1〜実施の形態5で示す同期誘導電動機は、従来の誘導電動機に比べ、同期運転時は回転子の2次銅損が発生せず高効率運転が可能となり、同程度の効率の電動機で比較すると小型化できる。このためこの同期誘導電動機をファンモータとして用いる送風機、圧縮機、エアコンや冷蔵庫等の冷凍空調装置に用いると、装置全体として効率の向上を図ることができ、また、小型化できる。小型化することで、軽量化でき、運搬しやすいという効果にもつながる。
【0100】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の請求項1の発明によれば、複数枚積層される回転子鉄心と、前記回転子鉄心に設けられ磁束の流れやすい方向であるd軸及び磁束の流れにくい方向であるq軸で磁極突起を形成してリラクタンストルクを発生させる複数のスリットと、前記回転子鉄心の外周の内側に設けられて誘導トルクを発生させる複数のスロットと、前記スロットに充填された導電性材と、を有する回転子を備え、回転軸に最も近いスリットに接続するスロットよりも前記d軸から遠くに位置する少なくとも1対のスロットを残し、他のスロットはスリットで接続される構成としたことにより、回転子の回転による遠心力に対する耐力を低下させることなく、起動時または非同期時にリラクタンストルクよりも誘導トルクを大きくしてスムーズに同期運転に引き込むことで電動機効率を向上できる同期誘導電動機が得られる。
【0101】
また、この発明の請求項2の発明によれば、前記回転子鉄心の径方向で、前記スリットに接続されていないスロットの外周側から前記回転子鉄心の外周までの距離を、前記スリットに接続されているスロットの外周側から前記回転子鉄心の外周までの距離よりも短くなるように構成したことにより、回転子の外周部に流れる磁束を低減して、電動機の効率を向上できる同期誘導電動機が得られる。
【0102】
また、この発明の請求項3の発明によれば、前記スリットに接続されていないスロットを前記回転子鉄心の外周に露出させたことにより、回転子の外周部に流れる磁束をさらに低減して、電動機の効率を向上できる同期誘導電動機が得られる。
【0103】
また、この発明の請求項4の発明によれば、前記スリットに接続されていないスロットは、前記回転子鉄心と嵌合する嵌合部を有することにより、回転子の回転による遠心力に対する耐力を向上できる同期誘導電動機が得られる。
【0104】
また、この発明の請求項5の発明によれば、複数枚積層される回転子鉄心と、前記回転子鉄心に設けられ磁束の流れやすい方向であるd軸及び磁束の流れにくい方向であるq軸で磁極突起を形成してリラクタンストルクを発生させる複数のスリットと、前記回転子鉄心の外周の内側に設けられて誘導トルクを発生させる複数のスロットと、前記スロットに充填された導電性材と、を有する回転子、前記回転子の周囲に所定の間隔を有するように配置され回転磁界を発生する固定子、を備え、前記固定子で発生する磁束が前記回転子鉄心の前記d軸方向または前記d軸から回転方向に所定角度傾けたd’軸方向の磁路を通って回転磁界を形成するときの前記磁路における磁束密度を均一化するように、前記磁束の大きい部分のスロット間の幅とスリット間の幅の少なくともいずれか一方の幅を、前記磁束の小さな部分の幅よりも広くしたことにより、回転子全体の鉄損を低減して電動機効率を向上でき、また、磁束飽和までの磁束の大きさをあげて電動機の出力を上げることができる同期誘導電動機が得られる。
【0105】
また、この発明の請求項6の発明によれば、前記q軸方向または前記q軸から回転方向に所定角度傾けたq’軸方向で、回転軸側のスリット間の幅を外周側のスリット間の幅よりも広くしたことにより、回転子鉄心を通る磁路での磁束密度を均一化でき、全体としての損失を低減して電動機効率を向上でき、また、磁束飽和までの磁束の大きさをあげて電動機の出力を上げることができる同期誘導電動機が得られる。
【0106】
また、この発明の請求項7の発明によれば、前記回転子鉄心に形成される前記磁路の出入口におけるスロット間の幅を、前記磁路の中央部におけるスリット間の幅よりも広くしたことにより、回転子鉄心を通る磁路での磁束密度を均一化でき、全体としての損失を低減して電動機効率を向上でき、また、磁束飽和までの磁束の大きさをあげて電動機の出力を上げることができる同期誘導電動機が得られる。
【0107】
また、この発明の請求項8の発明によれば、前記d軸または前記d軸から回転方向に所定角度傾けたd’軸に近いスロット間の幅を、前記q軸または前記q軸から回転方向に所定角度傾けたq’軸に近いスロット間の幅よりも広くしたことにより、回転子鉄心を通る磁路での磁束密度を均一化でき、全体としての損失を低減して電動機効率を向上でき、また、磁束飽和までの磁束の大きさをあげて電動機の出力を上げることができる同期誘導電動機が得られる。
【0108】
また、この発明の請求項9の発明によれば、少なくとも前記回転軸の近くに位置するスリットとその隣のスリットとの間の幅を、前記回転子鉄心に形成される前記磁路の入口側よりも出口側で広くしたことにより、回転子鉄心を通る磁路での磁束密度を均一化でき、全体としての損失を低減して電動機効率を向上でき、また、磁束飽和までの磁束の大きさをあげて電動機の出力を上げることができる同期誘導電動機が得られる。
【0109】
また、この発明の請求項10の発明によれば、複数枚積層される回転子鉄心と、前記回転子鉄心に設けられ磁束の流れやすい方向であるd軸及び磁束の流れにくい方向であるq軸で磁極突起を形成してリラクタンストルクを発生させる複数のスリットと、外周の内側に設けられて誘導トルクを発生させる複数のスロットと、前記スロットに充填された導電性材と、を有する回転子、前記回転子の周囲に所定の間隔を有するように配置され回転磁界を発生する固定子を備え、前記q軸方向または前記q軸から回転方向に所定角度傾けたq’軸方向における前記回転子と前記固定子との距離を、前記d軸方向または前記d軸から回転方向に所定角度傾けたd’軸方向における距離よりも長くしたことにより、q軸方向のインダクタンスLqを小さくすることができ、電動機効率を向上できる同期誘導電動機が得られる。
【0110】
また、この発明の請求項11の発明によれば、前記回転子鉄心の前記q軸方向または前記q’軸方向の外周に、回転軸側に凹状であり前記回転子鉄心の積層方向に伸びる溝を設けたことにより、q軸方向のインダクタンスLqを小さくすることができ、電動機効率を向上できる同期誘導電動機が得られる。
【0111】
また、この発明の請求項12の発明によれば、前記回転子鉄心の前記q軸方向または前記q’軸方向の外周を、前記q軸または前記q’軸に略垂直な辺で構成したことにより、q軸方向のインダクタンスLqを小さくすることができ、電動機効率を向上できる同期誘導電動機が得られる。
【0112】
また、この発明の請求項13の発明によれば、前記回転子鉄心の外形は、前記d軸または前記d軸を前記回転子の回転方向に所定の角度回転させたd’軸を長軸とし、前記q軸または前記q軸を前記回転子の回転方向に所定の角度回転させたq’軸を短軸とする楕円状にしたことにより、q軸方向のインダクタンスLqを小さくすることができ、電動機効率を向上できる同期誘導電動機が得られる。
【0113】
また、この発明の請求項14の発明によれば、複複数枚積層される回転子鉄心と、前記回転子鉄心に設けられ磁束の流れやすい方向であるd軸及び磁束の流れにくい方向であるq軸で磁極突起を形成してリラクタンストルクを発生させる複数のスリットと、前記回転子鉄心の外周の内側に設けられ誘導トルクを発生させる複数のスロットと、前記スロットに充填された導電性材と、を有する回転子を備え、前記回転子鉄心の少なくとも前記q軸方向または前記q’軸方向の外周の形状を、前記外周の内側に設けられているスロットの形状に沿って湾曲させて、前記外周の距離を長くしたことにより、q軸側のインダクタンスLqを小さくすることができ電動機効率を向上できる同期誘導電動機が得られる。
【0114】
また、この発明の請求項15の発明によれば、複数枚積層される回転子鉄心と、前記回転子鉄心に設けられ磁束の流れやすい方向であるd軸及び磁束の流れにくい方向であるq軸で磁極突起を形成してリラクタンストルクを発生させる複数のスリットと、外周の内側に設けられ誘導トルクを発生させる複数のスロットと、前記スロットに充填された導電性材と、を有する回転子を備え、前記d軸または前記d軸から回転方向に所定角度傾けたd’軸を、前記回転子鉄心の圧延方向と略一致するように構成したことにより、電動機の効率を向上することができ、また、圧延方向により電動機の特性を変えることができるため、設計の自由度を増すことができる同期誘導電動機が得られる。
【0115】
また、この発明の請求項16の発明によれば、互いに直交するq軸とd軸を備え、磁極突起の極数を2極としたことにより、4極以上の極数で構成された電動機と同レベルの電源を印加した時の回転数を大きくでき、出力の低下を防止できる同期誘導電動機が得られる。
【0116】
また、この発明の請求項17の発明によれば、請求項1乃至請求項16のうちのいずれか1項に記載の同期誘導電動機を有することにより、効率を向上した同期誘導電動機を用い、能力不足が生じるのを防止でき、また同様の能力であれば小型化できる圧縮機が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1に係る同期誘導電動機を示す横断面図である。
【図2】実施の形態1に係る同期誘導電動機の回転子を示す斜視図である。
【図3】実施の形態1に係る同期誘導電動機の回転子鉄心の他の構成例を示す上面図である。
【図4】実施の形態1に係る同期誘導電動機の回転子鉄心を示す上面図である。
【図5】実施の形態1に係る同期誘導電動機の回転子鉄心の他の構成例を示す上面図である。
【図6】実施の形態1に係る同期誘導電動機の回転子鉄心の一部を拡大して示す部分拡大図である。
【図7】実施の形態1に係る同期誘導電動機の回転子鉄心のさらに他の構成例を示す部分拡大図である。
【図8】実施の形態1に係る同期誘導電動機の回転子鉄心のさらに他の構成例を示す部分拡大図である。
【図9】実施の形態1に係る同期誘導電動機の回転子鉄心のさらに他の構成例を示す部分拡大図である。
【図10】実施の形態1に係る同期誘導電動機の回転子鉄心のさらに他の構成例を示す部分拡大図である。
【図11】実施の形態1に係る同期誘導電動機の回転子鉄心のさらに他の構成例を示す上面図である。
【図12】この発明の実施の形態2に係る同期誘導電動機の回転子鉄心を示す上面図である。
【図13】実施の形態2に係り、横軸にロータ回転角θを示し、縦軸に磁束φを示すグラフである。
【図14】実施の形態2に係る同期電動誘導機の回転子鉄心を示す部分拡大図である。
【図15】実施の形態2に係る同期電動誘導機の回転子鉄心を示す部分拡大図である。
【図16】実施の形態2に係る同期誘導電動機の回転子鉄心の他の構成例を示す部分拡大図である。
【図17】実施の形態2に係る同期誘導電動機の回転子鉄心を示す上面図である。
【図18】実施の形態2に係る同期誘導電動機の回転子鉄心を拡大して示す部分拡大図である。
【図19】実施の形態2に係る同期誘導電動機の回転子鉄心の他の構成例を示す部分拡大図である。
【図20】実施の形態2に係る同期誘導電動機の回転子鉄心のさらに他の構成例を示す部分拡大図である。
【図21】この発明の実施の形態3に係る同期誘導電動機の回転子鉄心を示す上面図である。
【図22】実施の形態3に係る同期誘導電動機の回転子鉄心の他の構成例を示す上面図である。
【図23】実施の形態3に係る同期誘導電動機の回転子鉄心のさらに他の構成例を示す上面図である。
【図24】この発明の実施の形態4に係る同期誘導電動機の回転子を示す上面図である。
【図25】実施の形態4に係る同期誘導電動機の回転子鉄心の他の構成例を示す上面図である。
【図26】実施の形態4に係る同期誘導電動機の回転子鉄心の他の構成例を示す上面図である。
【図27】実施の形態4に係る同期誘導電動機の回転子鉄心を示す部分拡大図である。
【図28】この発明の実施の形態5に係る同期誘導電動機の回転子鉄心を示す上面図である。
【図29】実施の形態5に係る同期誘導電動機の回転子鉄心の他の構成例を示す上面図である。
【図30】実施の形態5に係る同期誘導電動機の回転子鉄心のさらに他の構成例を示す上面図である。
【図31】従来の4極の同期電動機を示す横断面図である。
【図32】従来の同期電動機を示す縦断面図である。
【図33】従来の同期電動機の回転子を示す横断面図(図33(a))、及び部分拡大図(図33(b))である。
【図34】従来の同期電動機の回転子鉄心を示す上面図である。
【符号の説明】
1 回転子鉄心、2、2a、2b スリット、3、3a〜3g スロット、4回転軸、8 磁束、9 固定子、10 巻線、12、12a、12b スリット、13、13a〜13g スロット、15 薄肉連結部、17 薄肉連結部、18 嵌合部、19a 溝、19b 切り欠き部、19c 空間、30 回転子。

Claims (17)

  1. 複数枚積層される回転子鉄心と、前記回転子鉄心に設けられ磁束の流れやすい方向であるd軸及び磁束の流れにくい方向であるq軸で磁極突起を形成してリラクタンストルクを発生させる複数のスリットと、前記回転子鉄心の外周の内側に設けられ誘導トルクを発生させる複数のスロットと、前記スロットに充填された導電性材と、を有する回転子を備え、回転軸に最も近いスリットに接続するスロットよりも前記d軸から遠くに位置する少なくとも1対のスロットを残し、他のスロットはスリットで接続される構成としたことを特徴とする同期誘導電動機。
  2. 前記回転子鉄心の径方向で、前記スリットに接続されていないスロットの外周側から前記回転子鉄心の外周までの距離を、前記スリットに接続されているスロットの外周側から前記回転子鉄心の外周までの距離よりも短くなるように構成したことを特徴とする請求項1記載の同期誘導電動機。
  3. 前記スリットに接続されていないスロットを前記回転子鉄心の外周に露出させたことを特徴とする請求項1記載の同期誘導電動機。
  4. 前記スリットに接続されていないスロットは、前記回転子鉄心と嵌合する嵌合部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちのいずれか1項に記載の同期誘導電動機。
  5. 複数枚積層される回転子鉄心と、前記回転子鉄心に設けられ磁束の流れやすい方向であるd軸及び磁束の流れにくい方向であるq軸で磁極突起を形成してリラクタンストルクを発生させる複数のスリットと、前記回転子鉄心の外周の内側に設けられ誘導トルクを発生させる複数のスロットと、前記スロットに充填された導電性材と、を有する回転子、前記回転子の周囲に所定の間隔を有するように配置され回転磁界を発生する固定子、を備え、前記固定子で発生する磁束が前記回転子鉄心の前記d軸方向または前記d軸から回転方向に所定角度傾けたd’軸方向の磁路を通って回転磁界を形成するときの前記磁路における磁束密度を均一化するように、前記磁束の大きい部分のスロット間の幅とスリット間の幅の少なくともいずれか一方の幅を、前記磁束の小さな部分の幅よりも広くしたことを特徴とする同期誘導電動機。
  6. 前記q軸方向または前記q軸から回転方向に所定角度傾けたq’軸方向で、回転軸側のスリット間の幅を外周側のスリット間の幅よりも広くしたことを特徴とする請求項5記載の同期誘導電動機。
  7. 前記回転子鉄心に形成される前記磁路の出入口におけるスロット間の幅を、前記磁路の中央部におけるスリット間の幅よりも広くしたことを特徴とする請求項5または請求項6記載の同期誘導電動機。
  8. 前記d軸または前記d軸から回転方向に所定角度傾けたd’軸に近いスロット間の幅を、前記q軸または前記q軸から回転方向に所定角度傾けたq’軸に近いスロット間の幅よりも広くしたことを特徴とする請求項5乃至請求項7のうちのいずれか1項に記載の同期誘導電動機。
  9. 少なくとも前記回転軸の近くに位置するスリットとその隣のスリットとの間の幅を、前記回転子鉄心に形成される前記磁路の入口側よりも出口側で広くしたことを特徴とする請求項5乃至請求項8のうちのいずれか1項に記載の同期誘導電動機。
  10. 複数枚積層される回転子鉄心と、前記回転子鉄心に設けられ磁束の流れやすい方向であるd軸及び磁束の流れにくい方向であるq軸で磁極突起を形成してリラクタンストルクを発生させる複数のスリットと、外周の内側に設けられ誘導トルクを発生させる複数のスロットと、前記スロットに充填された導電性材と、を有する回転子、前記回転子の周囲に所定の間隔を有するように配置され回転磁界を発生する固定子を備え、前記q軸方向または前記q軸から回転方向に所定角度傾けたq’軸方向における前記回転子と前記固定子との距離を、前記d軸方向または前記d軸から回転方向に所定角度傾けたd’軸方向における距離よりも長くしたことを特徴とする同期誘導電動機。
  11. 前記回転子鉄心の前記q軸方向または前記q’軸方向の外周に、回転軸側に凹状であり前記回転子鉄心の積層方向に伸びる溝を設けたことを特徴とする請求項10記載の同期誘導電動機。
  12. 前記回転子鉄心の前記q軸方向または前記q’軸方向の外周を、前記q軸または前記q’軸に略垂直な辺で構成したことを特徴とする請求項10または請求項11記載の同期誘導電動機。
  13. 前記回転子鉄心の外形は、前記d軸または前記d軸を前記回転子の回転方向に所定の角度回転させたd’軸を長軸とし、前記q軸または前記q軸を前記回転子の回転方向に所定の角度回転させたq’軸を短軸とする楕円状であることを特徴とする請求項10乃至請求項12のうちのいずれか1項に記載の同期誘導電動機。
  14. 複数枚積層される回転子鉄心と、前記回転子鉄心に設けられ磁束の流れやすい方向であるd軸及び磁束の流れにくい方向であるq軸で磁極突起を形成してリラクタンストルクを発生させる複数のスリットと、前記回転子鉄心の外周の内側に設けられ誘導トルクを発生させる複数のスロットと、前記スロットに充填された導電性材と、を有する回転子を備え、前記回転子鉄心の少なくとも前記q軸方向または前記q’軸方向の外周の形状を、前記外周の内側に設けられているスロットの形状に沿って湾曲させて、前記外周の距離を長くしたことを特徴とする同期誘導電動機。
  15. 複数枚積層される回転子鉄心と、前記回転子鉄心に設けられ磁束の流れやすい方向であるd軸及び磁束の流れにくい方向であるq軸で磁極突起を形成してリラクタンストルクを発生させる複数のスリットと、外周の内側に設けられ誘導トルクを発生させる複数のスロットと、前記スロットに充填された導電性材と、を有する回転子を備え、前記d軸または前記d軸から回転方向に所定角度傾けたd’軸を、前記回転子鉄心の圧延方向と略一致するように構成したことを特徴とする同期誘導電動機。
  16. 互いに直交するq軸とd軸を備え、磁極突起の極数が2極であることを特徴とする請求項1乃至請求項15のうちのいずれか1項に記載の同期誘導電動機。
  17. 請求項1乃至請求項16のうちのいずれか1項に記載の同期誘導電動機を有する圧縮機。
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