JP2004056570A - 画像歪み補正装置および画像歪み補正用データ作成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】低コストでCRTテレビ受像機等の画面歪みを補正し、補正誤差を軽減することのできる画像歪み補正装置および補正用データ作成装置を提供する。
【解決手段】画像歪み補正装置10の補正用データ供給部1は、予め生成された補正用データDcを格納しており、補正用データ供給要求信号Rsに基づいて、補正用データDcを補正用データメモリ3に供給する。補正用データメモリ3は、書き込み領域選択信号Rwおよび書き込みアドレス指定信号Aw基づいて、供給された補正用データDcを書き込む。補正用データメモリ3は、読み出し領域選択信号Rrおよび読み出しアドレス指定信号Arに基づいて、書き込まれた補正用データDcを読み出し、補正用データ補間回路5に並列で出力する。補正用データ補間回路5は、読み出された補正用データDcを用いて、所定の線形補間を行い補正演算部6に供給する。
【選択図】 図1
【解決手段】画像歪み補正装置10の補正用データ供給部1は、予め生成された補正用データDcを格納しており、補正用データ供給要求信号Rsに基づいて、補正用データDcを補正用データメモリ3に供給する。補正用データメモリ3は、書き込み領域選択信号Rwおよび書き込みアドレス指定信号Aw基づいて、供給された補正用データDcを書き込む。補正用データメモリ3は、読み出し領域選択信号Rrおよび読み出しアドレス指定信号Arに基づいて、書き込まれた補正用データDcを読み出し、補正用データ補間回路5に並列で出力する。補正用データ補間回路5は、読み出された補正用データDcを用いて、所定の線形補間を行い補正演算部6に供給する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、映像信号を元に画像をCRTテレビ受像機等に表示する際に生じる歪みを補正する画像歪み補正装置、およびそのための補正用データを作成する補正用データ作成装置、並びにその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、映像信号を元に画像をCRT(Cathode Ray Tube:陰極線管、ブラウン管)テレビ受像機等に表示する際に生じる歪みに対する、直線性歪み補正やピンクション歪み補正等の偏向歪み補正は、水平偏向回路において行われてきた。しかし、近年、CRTの薄型化や大型化によって、これらの偏向歪みの量が大きくなる傾向にあり、このような大きな歪みの補正を上記水平偏向回路によって行うことは、水平偏向回路の大型化、部品点数の増大、および消費電力の増大等の問題が発生する。
【0003】
そこで、上記水平偏向回路によって補正しきれない歪みを、信号処理により保証する方法が、特願平11−17572号公報等で開示されている。以下、図7を参照して、当該公報で開示された画像表示補正装置について説明する。
【0004】
図7は、上記画像表示補正装置において予め生成された補正用データを用いて入力映像信号を補正演算する構成を示す機能ブロック図である。なお、図7では、本発明に関わる機能ブロックについてのみ示し、他の処理ブロックについては図示を省略する。図7において、上記画像表示補正装置は、補正用データ供給部101、メモリ書き込み制御回路102、補正用データメモリ103、メモリ読み出し制御回路104、補正演算部105、およびCRT106を備えている。メモリ書き込み制御回路102は、入力映像信号Dinに同期した同期パルスPs等に基づいて、その入力映像信号Dinに応じた補正用データDcを供給するように補正用データ供給部101に指示する。補正用データ供給部101は、CRT106に対して予め生成された補正用データDcを、メモリ書き込み制御回路102の指示に基づいて補正用データメモリ103に供給し書き込む。補正用データメモリ103は、補正用データ供給部101から供給される1画面分の補正用データDcを格納する。メモリ読み出し制御回路104は、同期パルスPsに基づいて現在入力映像信号Dinの補正演算に必要な補正用データDcを補正用データメモリ103から読み出し、補正演算部105に供給する。補正演算部105は、CRT106の画素毎に対応させて補正用データメモリ103に格納された補正用データDcを用いて、入力映像信号Dinの補正演算を行うことによって偏向歪み補正を行い、当該補正後の入力映像信号をCRT106に出力する。そして、CRT106では、偏向歪みが補正された映像が表示される。
【0005】
ここで、図8を参照して、上記画像表示補正装置で用いられる補正用データDcについて説明する。なお、図8は、CRT106に表示される画像をその座標に関連させて示している。図8において、画像200aは、本来CRT106に表示されるべき画像(図8の破線で示す部分)であり、画像200bは、未補正でCRT106に表示される歪みを伴う画像(図8で実線で示す部分)の一例である。つまり、上述した歪みは、これらの画像200aおよび200bとの差分によって表すことができる。例えば、CRT106に本来表示されるべき画像200aにおける任意の画素Msの位置を、座標Ms(v,w)で示す。この画素Msは、未補正でCRT106に表示される歪みを伴う画像200bにおいては、画素Aに対応し、その座標はA(ia,ja)である。このような補正前後の座標関係を、それぞれの画素毎にアドレス情報Ms(v,w)=A(ia,ja)となるよう、移動量等の補正に用いるデータが補正用データDcに設定される。つまり、補正用データDcは、画像200aおよび200bとの差分を、それぞれの画素間の移動量で求められる。なお、典型的には、映像信号を元に表示される画像における画素に対応した1画面全画素分の補正用データDcが、予めCRT106毎に設定される。また、上記歪みがRGB色毎に異なる場合、それぞれのRGB色毎に補正用データDcが設定される。
【0006】
上述した補正用データDcは、一例として、映像信号を元に表示される画像における全ての画素毎に設定される。他の例としては、補正用データDcは、上記画像を複数の領域に分割し、各分割領域毎の代表画素にのみ設定され、それ以外の画素における補正用データは、代表画素の補正用データDcから推測する方法もある。
【0007】
補正演算部105は、上述のように予め設定された補正用データDcを用いて、入力映像信号Dinを補正演算することによって、CRT106に本来表示されるべき画像200aが表示できるようにする。このとき、補正演算部105では、補正用データDcに基づいて、入力映像信号Dinに対してCRT106で発生する歪み特性(図8の画像200aから画像200bへの変形)とは逆方向に変形するような補正演算が行われる。つまり、補正演算部105によって、CRT106が有している歪み特性とは逆方向に予め入力映像信号Dinが歪められることによって、CRT106が有している歪み特性と相殺され、結果的にCRT106に本来表示されるべき画像200aを表示することができる。
【0008】
なお、上述したように、補正用データDcが上記分割領域毎の代表画素にのみ設定されている場合は、補正演算部105で入力映像信号Dinを補正演算する前に、上記代表画素に設定されている補正用データDcに対して、予め線形補間等を行うことによって、それ以外の画素における補正用データが推定して求められる。そして、補正演算部105は、補間されることによってCRT106で表示される全ての画素毎に求められた補正用データを用いて、上述した入力映像信号Dinの補正演算を行う。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、補正用データ供給部101には、一般的には、フラッシュメモリ等の固定メモリが用いられ、補正用データメモリ103には、補正演算部105のアクセス速度を高めるために高速な記憶媒体としてDRAM(Dynamic Random Access Memory)等が用いられる。したがって、入力映像信号Dinに同期して補正用データメモリ103から補正演算部105に補正用データDcを出力する速度に対して、補正用データ供給部101が補正用データメモリ103に補正用データDcを書き込む速度が遅くなるため、補正用データメモリ103には1画面分の補正用データDcを格納できる容量を確保する必要がある。つまり、補正用データメモリ103には、典型的には、映像信号を元に表示される画像における全ての画素に対応した1画面全画素分の補正用データDcが格納される。また、補正演算部105が各画素のRGB色に対して別々に補正演算する場合、それぞれRGB色別々の補正用データDcが格納される。したがって、このような場合、補正用データメモリ103には、1画面全画素分の補正用データDcを格納するための大容量メモリが必要となるため、コストアップの原因となる。また、上述したように、補正用データメモリ103から読み出された補正用データDcを別の機能ブロック(図示せず)を設けて線形補間等を行うことによって、補正用データメモリ103にサンプリングされた代表画素に対応した補正用データDcのみを格納し、補正用データDcの総量を削減することもできるが、この場合も1画面分の補正用データDcを格納する容量が必要である。
【0010】
また、補正用データ供給部101が補正用データメモリ103に補正用データDcを書き込む処理は、当該画像表示補正装置の電源ON時等に行われ、その後、水平偏向周波数または垂直偏向周波数が変化(以下、画面モード変化とする)した場合等、その画面モードに応じた新たな補正用データDcを補正用データメモリ103に書き込む必要がある場合に行われる。このような補正用データメモリ103に補正用データDcを書き込む処理は、現在、補正演算部105で行われている補正演算に影響を与えない期間に行われ、一般的には、垂直帰線期間等の補正用データDcが変化しても問題が発生しない期間が用いられる。しかし、補正用データ供給部101が補正用データメモリ103に1画面分の補正用データDcを書き込む処理速度が遅く上記期間中に書き込み処理が完了しない場合、上記補正演算が正常に動作しないため、偏向歪みが補正されていない映像がCRT106に表示されたり、CRT106の表示画面を消去する処理(ブラックアウト)等を行う必要がある。このような状態を防止するために、別の補正用データメモリを設け、画面モードの変化時に書き込むべき補正用データを予め別の補正用データメモリに格納し、上記垂直帰線期間等に補正用データを読み出すメモリを変更する等を行うことも可能であるが、結果的に、補正用データを格納するためのコストが増加することになる。
【0011】
なお、これらの課題は、補正用データ供給部101の処理速度を高速にすることにより解決することができるが、一般的に高速な補正用データ供給部101は、データおよびアドレス制御等もパラレルインターフェースを用いたハードウェア構成になるため、回路構成が複雑になり、非常に高価であるため、コストアップとなる。
【0012】
また、上述した補正用データDcは、一般的には、予め補正用データ作成装置によって、CRT106に表示された画像を撮像し、この撮像された画像と適正に表示されるべき基準画像とを比較することによって、それぞれCRT106毎に作成される。つまり、上述した撮像や基準画像との比較等の処理で高周波歪み等の影響で、誤差を有する補正用データDcが作成されることも考えられる。このような誤差を有する補正用データDcを用いて、補正演算部105が入力映像信号Dinを補正した場合、CRT106に表示される画像に対しても、誤差を有した補正が行われることになる。これは、上述した代表画素の補正用データDcを用いた補正についても、線形補間によって新たに生成される補正用データに関しては複数の代表画素の補正用データDcを用いて演算を行うため、その誤差は軽減されて生成されるが、上記代表画素の補正用データDcは、そのまま用いられるため、同様に誤差を有した補正が行われることになる。
【0013】
それ故に、本発明の目的は、低コストでCRTテレビ受像機等の画面歪みを補正し、補正誤差を軽減することのできる画像歪み補正装置、およびそのための補正用データを作成する補正用データ作成装置、並びにその方法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記目的を達成するために、本発明は、以下に述べるような特徴を有している。
第1の発明は、入力される映像信号を元にラスタスキャン方式で画像を陰極線管に表示する際に生じる歪みを補正するための画像歪み補正装置であって、
歪みを補正するための補正用データを予め画像における1画面分格納する補正用データ供給部と、
補正用データ供給部に格納された補正用データの一部を、映像信号と同期した補正に必要な走査線分先読みして記憶する補正用データメモリと、
補正用データメモリに記憶された補正用データを用いて、所定の補間演算を行うことによって少なくとも1本の走査線用の完全な補正用データを生成する補正用データ補間回路と、
補正用データ補間回路で生成された完全な補正用データを用いて、現在入力している映像信号の走査線に同期して映像信号の補正を行う補正演算部とを備える。
【0015】
第1の発明によれば、映像信号を元に陰極線管テレビ受像機に表示される画像に生じる歪みを補正する際に、補正用データ供給部に格納された1画面分の補正用データの一部を、必要なデータ量だけ先読みして補正用データメモリに書き込み、当該補正用データを用いて順次補正用データの補間演算を行うことにより、最小限の記憶容量の補正用データメモリでコスト低減された画像歪み補正装置を構成することができる。また、歪み補正の状態を変えるために補正用データメモリに書き込まれる補正用データを変更する必要がある場合等でも、補正用データの変更は、最長でも1フィールドの期間があれば、変更を完了すること可能であり、迅速な変更が可能となる。
【0016】
第2の発明は、第1の発明に従属する発明であって、
補正用データメモリは、少なくとも補正用データ供給部に格納された1本の走査線分の補正用データが記憶可能な複数の記憶領域に分割され、当該記憶領域にはそれぞれ1本の走査線分の補正用データが記憶され、
さらに、映像信号に含まれる水平同期パルスに応じて、補正用データ供給部に補正用データを供給させるための補正用データ供給要求信号を出力し、かつ補正用データメモリに供給された補正用データを書き込む記憶領域を指定するための書き込み領域選択信号を出力するメモリ書き込み制御回路と、
水平同期パルスに応じて、補正用データメモリに記憶された補正用データを補正用データ補間回路に読み出す記憶領域を指定するための読み出し領域選択信号を出力するメモリ読み出し制御回路とを備える。
【0017】
第2の発明によれば、映像信号を元に陰極線管テレビ受像機に表示される画像に生じる歪みを補正する際に、補正用データ供給部に記憶された1画面分の補正用データの一部を映像信号の水平同期パルスに同期させて補正に必要なデータ量だけ補正用データメモリに書き込み、当該補正用データを用いて順次補正用データの補間演算を行うことにより、最小限の記憶容量の補正用データメモリで画像歪み補正装置を構成することができる。また、歪み補正の状態を変えるために補正用データメモリに書き込まれる補正用データを変更する必要がある場合等でも、補正用データの変更は、上記水平同期パルスに同期させて最長でも1フィールドの期間があれば、変更を完了すること可能であり、迅速な変更が可能となる。また、比較的容易な回路構成で実現することができ、実用上きわめて有利なものである。
【0018】
第3の発明は、第2の発明に従属する発明であって、
補正用データメモリの複数の記憶領域は、それぞれラインメモリで構成されることを特徴とする。
【0019】
第3の発明によれば、補正用データメモリを複数のラインメモリで構成することによって、シングルポートまたはデュアルポートの一般的なメモリを用いることに比べて、書き込みおよび読み出しの制御回路を簡略化することが可能となる。
【0020】
第4の発明は、第2の発明に従属する発明であって、
メモリ書き込み制御回路が書き込み領域選択信号で指定する補正用データメモリの記憶領域と、メモリ読み出し制御回路が読み出し領域選択信号で指定する補正用データメモリの記憶領域とは、異なる記憶領域が指定される。
【0021】
第4の発明によれば、映像信号の水平同期パルスと同期して、補正用データの書き込みおよび補正に必要な補正用データの読み出しを同時に行うことができる。
【0022】
第5の発明は、第4の発明に従属する発明であって、
補正用データ供給部に格納されている補正用データは、画像における走査線方向に所定の間隔を有した代表画素に対する走査線毎のデータであり、
メモリ書き込み制御回路は、水平同期パルスと同期して、補正用データ供給要求信号によって1本の走査線分の補正用データを供給する指示を出力し、かつ補正用データメモリに供給された1本の走査線分の補正用データを記憶させる領域として、書き込み領域選択信号によって水平同期パルスと同期して順次別の記憶領域の1つを選択して指定する。
【0023】
第5の発明によれば、補正用データ供給部から補正用データメモリへ供給するデータ量が低減されるため、比較的低速な補正用データ供給部を用いることが可能となり、さらに画像歪み補正装置のコスト低減が可能である。
【0024】
第6の発明は、第5の発明に従属する発明であって、
補正用データ補間回路は、読み出し領域選択信号で指定された複数の記憶領域に記憶された補正用データを用いて、補間演算を行うことによって、画像の代表画素および非代表画素を含む全ての画素を対象にして新たに補正用データを再生成して1本の走査線用の完全な補正用データを生成する。
【0025】
第6の発明によれば、予め格納された補正用データに撮像や基準画像との比較等の処理で高周波歪み等の影響で誤差が生じている場合、当該補正用データも補間演算することによって再生成されるため、誤差が拡散され歪み補正精度を向上させることが可能である。
【0026】
第7の発明は、第4の発明に従属する発明であって、
補正用データ供給部に格納されている補正用データは、画像における所定の走査線間隔毎に、かつ走査線方向に所定の間隔を有した代表画素に対する格子状のデータであり、
メモリ書き込み制御回路は、所定の走査線間隔毎の水平同期パルスと同期して、補正用データ供給要求信号によって1本の走査線分の補正用データを供給する指示を出力し、かつ補正用データメモリに供給された1本の走査線分の補正用データを記憶させる領域として、書き込み領域選択信号によって順次別の記憶領域の1つを選択して指定する。
【0027】
第7の発明によれば、補正用データ供給部から補正用データメモリへ供給するデータ量がさらに低減され、水平同期パルスと同期して1走査線分の補正用データを供給する必要がないため、さらに低速な補正用データ供給部を用いることが可能となる。つまり、補正用データ供給部を含めたシステムのコストを低減することが可能となる。
【0028】
第8の発明は、第7の発明に従属する発明であって、
補正用データ補間回路は、読み出し領域選択信号で指定された複数の記憶領域に記憶された補正用データを用いて補間演算を行うことによって、画像の代表画素および非代表画素を含む全ての画素を対象にして新たに補正用データを再生成して1本の走査線用の完全な補正用データを生成する。
【0029】
第8の発明によれば、予め格納された補正用データに撮像や基準画像との比較等の処理で高周波歪み等の影響で誤差が生じている場合、当該補正用データも補間演算することによって再生成されるため、誤差が拡散され歪み補正精度を向上させることが可能である。
【0030】
第9の発明は、第7の発明に従属する発明であって、
補正用データ供給部は、補正用データメモリへの読み出しがシリアルインターフェースのメモリで構成されることを特徴とする。
【0031】
第9の発明によれば、補正用データ供給部にシリアルインターフェースのメモリを用いることにより、部品の実装面積および補正用データメモリへの補正用データの供給に必要となるデータ線の本数を減らすことが可能となる。
【0032】
第10の発明は、第2の発明に従属する発明であって、
メモリ書き込み制御回路が書き込み領域選択信号で指定する補正用データメモリの記憶領域と、メモリ読み出し制御回路が読み出し領域選択信号で指定する補正用データメモリの記憶領域とは、映像信号に基づいた所定のタイミングで初期化される。
【0033】
第10の発明によれば、ノイズ等により、書き込み領域選択信号と読み出し領域選択信号とのタイミングが乱された場合でも、所定の期間で初期化されることにより再びタイミングを合わせることが可能となる。
【0034】
第11の発明は、第2の発明に従属する発明であって、
補正用データ供給部に格納される補正用データは、映像信号の複数の映像方式に基づいてそれぞれ別に格納されており、
補正用データ供給部は、入力された映像信号の映像方式に応じた補正用データを補正用データメモリに供給する。
【0035】
第11の発明によれば、補正用データ供給部に複数の映像方式に対応した補正用データを記憶することによって、水平または垂直の偏向周波数が変化した場合でも、補正用データ供給部から所望の映像方式に応じた最小限の補正用データを読み出すことによって、高速な歪み補正の切り替えが可能となる。
【0036】
第12の発明は、第11の発明に従属する発明であって、
メモリ書き込み制御回路が書き込み領域選択信号で指定する補正用データメモリの記憶領域と、メモリ読み出し制御回路が読み出し領域選択信号で指定する補正用データメモリの記憶領域とは、映像信号に含まれる垂直帰線期間で初期化され、そして、
メモリ書き込み制御回路は、補正用データ供給部に対して、垂直帰線期間直後の走査線の補正に必要な入力された映像信号の映像方式に応じた補正用データを補正用データメモリに供給させ、垂直帰線期間中に補正用データメモリへの供給を完了させるための補正用データ供給要求信号を出力する。
【0037】
第12の発明によれば、垂直帰線期間に補正用データ供給部から補正用データメモリに必要な補正用データを書き込むことにより、映像方式に応じた補正用データに変更する必要がある場合に、さらに迅速に歪み補正処理の動作を継続した状態で補正用データの変更を行うことが可能となる。上記垂直帰線期間において、補正用データ供給部で映像方式が変化する前に読み出していた記憶領域から、新しい記憶領域に制御を切り替えることにより、映像方式に対応した補正用データを迅速に補正用データメモリに供給することができ、歪み補正処理の誤動作なしに敏速に映像方式に対応した歪み補正処理を行うことが可能となる。
【0038】
第13の発明は、入力される映像信号を元にラスタスキャン方式で画像を陰極線管に表示する際に生じる歪みを補正するための補正用データを作成する画像歪み補正用データ作成装置であって、
少なくとも画像における代表画素に対する補正用データを1画面分格納する補正用データ格納部と、
補正用データ格納部に格納された補正用データを用いて補間演算を行うことによって、画像の代表画素および非代表画素を含む全ての画素を対象にして新たに補正用データを再生成する補正用データ再生成部とを備える。
【0039】
第13の発明によれば、予め格納された補正用データに撮像や基準画像との比較等の処理で高周波歪み等の影響で誤差が生じている場合、当該補正用データも補間演算することによって再生成されるため、誤差が拡散され歪み補正精度を向上させることが可能である。
【0040】
第14の発明は、入力される映像信号を元にラスタスキャン方式で画像を陰極線管に表示する際に生じる歪みを補正するための補正用データを作成する画像歪み補正用データ作成方法であって、
少なくとも画像における代表画素に対する補正用データを1画面分格納する補正用データ格納ステップと、
補正用データ格納ステップで格納された補正用データを用いて補間演算を行うことによって、画像の代表画素および非代表画素を含む全ての画素を対象にして新たに補正用データを再生成する補正用データ再生成ステップとを含む。
【0041】
第14の発明によれば、予め格納された補正用データに撮像や基準画像との比較等の処理で高周波歪み等の影響で誤差が生じている場合、当該補正用データも補間演算することによって再生成されるため、誤差が拡散され歪み補正精度を向上させることが可能である。
【0042】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像歪み補正装置10の構成を示す機能ブロック図である。なお、図1では、本発明に関わる機能ブロックについてのみ示し、他の処理ブロックについては図示を省略する。
【0043】
図1において、画像歪み補正装置10は、補正用データ供給部1、メモリ書き込み制御回路2、補正用データメモリ3、メモリ読み出し制御回路4、補正用データ補間回路5、および補正演算部6を備えている。そして、画像歪み補正装置10は、入力映像信号Dinおよびその入力映像信号Dinに同期した同期パルスPsを受信し、当該画像歪み補正装置10で入力映像信号Dinを補正した後、CRT(Cathode Ray Tube:陰極線管、ブラウン管)7に出力される。
【0044】
補正用データ供給部1は、一般的には、フラッシュメモリ等の固定メモリが用いられ、CRT7に対して予め生成された補正用データDcを格納している。そして、補正用データ供給部1は、後述するメモリ書き込み制御回路2の補正用データ供給要求信号Rsに基づいて、現在の画面モードおよび水平走査ラインに応じた補正用データDcを、書き込み補正用データDcwとして補正用データメモリ3に供給する。なお、補正用データDcおよび書き込み補正用データDcwの詳細な説明は、後述する。
【0045】
メモリ書き込み制御回路2は、入力映像信号Dinに同期した同期パルスPs等に基づいて、その入力映像信号Dinおよび同期パルスPsに応じた補正用データDcを補正用データメモリ3に供給するように、補正用データ供給部1に補正用データ供給要求信号Rsを出力する。また、メモリ書き込み制御回路2は、補正用データ供給部1から供給された書き込み補正用データDcwに対して、その書き込み領域を選択する書き込み領域選択信号Rwおよびその領域における書き込みアドレスを指定する書き込みアドレス指定信号Awを補正用データメモリ3に出力する。また、メモリ書き込み制御回路2からは、書き込み領域選択信号Rwとして、入力映像信号Dinの垂直同期信号等と同期してリセット信号が出力される。
【0046】
メモリ読み出し制御回路4は、入力映像信号Dinに同期した同期パルスPs等に基づいて、補正用データメモリ3に対して書き込まれた補正用データDcから読み出す領域を選択する読み出し領域選択信号Rrおよびその領域における読み出しアドレスを指定する読み出しアドレス指定信号Arを出力する。また、メモリ読み出し制御回路4からは、読み出し領域選択信号Rrとして、入力映像信号Dinの垂直同期信号等と同期してリセット信号が出力される。
【0047】
補正用データメモリ3は、その書き込み速度が補正用データ供給部1のデータ供給速度より高速であり、その読み出し速度も補正用データ補間回路5および補正演算部6のアクセス速度を高めるために高速な記憶媒体が用いられる。なお、補正用データメモリ3の詳細な構造は、後述する。補正用データメモリ3は、補正用データ供給部1から供給される書き込み補正用データDcwを、メモリ書き込み制御回路2から指示される書き込み領域選択信号Rwに応じたメモリ領域に、書き込みアドレス指定信号Awで指定されたアドレスに対応して書き込む。また、補正用データメモリ3は、メモリ読み出し制御回路4から指示される読み出し領域選択信号Rrに応じたメモリ領域から、読み出しアドレス指定信号Arで指定されたアドレスに対応して、そのメモリ領域に書き込まれている補正用データDcを読み出し補正用データDcrとして読み出し、補正用データ補間回路5に並列で出力する。なお、読み出し補正用データDcrの詳細な説明は、後述する。
【0048】
補正用データ補間回路5は、補正用データメモリ3から並列で読み出された読み出し補正用データDcrを用いて、内挿あるいは外挿補間等の所定の線形補間を行うことによって、現在受信している入力映像信号Dinの水平走査線に対応して、当該水平走査線に含まれる全画素分の補正用データを演算し、補間補正用データDciとして補正演算部6に供給する。なお、補正用データ補間回路5で行う補間処理の詳細については、後述する。
【0049】
補正演算部6は、補正用データ補間回路5から供給される補間補正用データDciを用いて、入力映像信号Dinを補正演算することによって、CRT7に本来表示されるべき画像200a(図8参照)が表示できるようにする。このとき、補正演算部6では、補間補正用データDciに基づいて、入力映像信号Dinに対してCRT7で発生する水平方向の歪み特性とは逆方向に変形するような補正演算が行われる。つまり、補正演算部6によって、CRT7が有している水平方向の歪み特性とは逆方向に予め入力映像信号Dinが歪められることによって、CRT7が有している水平方向の歪み特性と相殺され、結果的にCRT7に本来表示されるべき画像200aを表示する。このように、補正演算部6は、補間補正用データDciを用いて、入力映像信号Dinの水平または垂直位置をラインメモリまたはフレームメモリ等を用いて逐次変移させることにより、映像信号の歪み補正演算を行う。また、補正演算部6は、CRT7の水平または垂直偏向電流を変調することによっても入力映像信号Dinの歪み補正演算を行うことが可能となる。
【0050】
次に、本実施形態に係る画像歪み補正装置で用いられる補正用データDcについて説明する。CRT7は、入力映像信号Dinを未補正で表示した場合、本来表示されるべき画像200a(図8参照)に対して、歪みを伴った画像200b(図8参照)を表示する。したがって、画像200bに生じる歪みは、これらの画像200aおよび200bとの差分によって表すことができる。補正用データDcは、このような差分で表現される歪みを、それぞれの画像200aおよび200bに対応する画素間の移動量で求められる。例えば、CRT7に本来表示されるべき画像200aにおける任意の画素Msの位置を、座標Ms(v,w)で示す。この画素Msは、未補正でCRT7に表示される歪みを伴う画像200bにおいては、画素Aに対応し、その座標はA(ia,ja)であるとする。このような補正前後の座標関係を、それぞれの画素毎にアドレス情報Ms(v,w)=A(ia,ja)となるよう、移動量等の補正に用いるデータを補正用データDcに設定する。
【0051】
ここで、本実施形態の補正用データDcは、水平方向(水平走査線方向)の歪みに対してのみ設定され、表示可能な映像信号の画面モードに対応して、当該映像信号を元に表示される画像の全水平走査線を所定の複数の線分に分割し、各線分毎の代表的な画素(以下、代表画素とする)にのみ設定され、他の画素に対しては削減されている。これは、互いの距離が近い場所に位置する画素に対する上記補正用データDcは、それらの画素間で大きな変動はないため、そのことを利用して予め上記代表画素のみに補正用データDcを付与し、それ以外の画素の削減された補正用データDcは、上記代表画素の補正用データDcから推測することができるためである。そして、上記映像信号を元に表示される画像の代表画素に対応した1画面分の補正用データDcが、水平走査線毎に補正用データ供給部1に予め格納される。また、上記歪みがRGB色毎に異なる場合、それぞれのRGB色毎に補正用データDcが設定される。なお、補正用データDcは、予め補正用データ作成装置等によって、表示された画像を撮像し、この撮像された画像と適正に表示されるべき基準画像とを比較することによって作成されるが、この作成方法は、既に公知であるため、これ以上の説明を省略する。
【0052】
次に、図2を参照して、補正用データ供給部1、補正用データメモリ3、および補正用データ補間回路5で用いられる補正用データDcについて説明する。図2において、受信している入力映像信号Dinの水平偏向周波数および垂直偏向周波数等で表現される映像形式(以下、画面モードとする)がn本の水平走査線L1〜Lnで構成され、現在、水平走査線Lx(xは、n以下の自然数)の入力映像信号Dinをその同期パルスPsとしての水平同期パルスPshと同期して受信しているとする。また、補正用データ補間回路5は、水平走査線Lxの補正の為に用いられる補間補正用データDciを補間処理によって生成するために、水平走査線Lxおよびその前後i本(iは、0以上の整数)に対応した補正用データDcを用いるものとする。なお、ここでは説明を簡単にするために、上述した歪みがRGB色毎に異なり、それぞれのRGB色毎に補正用データDcが設定されている場合でも、その代表色(例えば、R色)で用いられる補正用データDcを説明する。
【0053】
補正用データ供給部1には、複数の画面モードに応じて、上述したように水平走査線L1〜Ln毎に設定された上記代表画素に対応した1画面分の補正用データDcが、水平走査線L1〜Lnに対応して予め格納されている。図2における補正用データ供給部1の補正用データDcは、現在受信している画面モードの補正用データDcのみを示しており、上述した歪みを補正する画素の移動量が記述された上記代表画素を黒丸で示し、他の補正用データDcが削減された画素を×印で示している。
【0054】
メモリ書き込み制御回路2は、水平走査線Lxの入力映像信号Dinをその水平同期パルスPshと同期して受信した場合、補正用データ供給要求信号Rsによって、水平走査線Lx+i+1に対応した補正用データDcを供給する指示を補正用データ供給部1に上記水平同期パルスPshと同期して出力する。つまり、メモリ書き込み制御回路2は、現在受信している水平走査線Lxに対して、i+1本分先読みした水平走査線Lx+i+1に対応した補正用データDcを供給する指示をする。補正用データ供給部1は、メモリ書き込み制御回路2から出力された補正用データ供給要求信号Rsに基づいて、水平走査線Lx+i+1に対応した補正用データDcを書き込み補正用データDcwとして補正用データメモリ3に供給する。
【0055】
補正用データメモリ3は、m個のメモリ領域を有している。補正用データメモリ3は、補正用データ供給部1から供給される水平走査線Lx+i+1に対応した書き込み補正用データDcwを、メモリ書き込み制御回路2から指示される上記書き込み領域選択信号Rwに応じて、m個のメモリ領域から書き込むメモリ領域を選択し、上記書き込みアドレス指定信号Awで指定されたアドレスに対応して当該書き込み補正用データDcwを書き込む。なお、上記書き込むメモリ領域の選択は、水平同期パルスPshの受信と連動して、順次異なったメモリ領域が選択されるが、メモリ領域および選択される書き込み領域の詳細については、後述する。
【0056】
一方、既に、補正用データメモリ3には、直前に受信した水平走査線Lx−2i−1〜Lx−1の入力映像信号Dinに同期した水平同期パルスPshによって、上記と同様にそれぞれ異なったメモリ領域に水平走査線Lx−i〜Lx+iに対応した書き込み補正用データDcwが書き込まれている。メモリ読み出し制御回路4は、水平走査線Lxの入力映像信号Dinをその水平同期パルスPshと同期して受信したとき、補正用データメモリ3に対して、読み出し領域選択信号Rrによって、水平走査線Lx−i〜Lx+iに対応した補正用データDcが書き込まれたメモリ領域を読み出し領域として指示する。そして、補正用データメモリ3は、メモリ読み出し制御回路4から出力された読み出し領域選択信号Rrで指定されたメモリ領域に書き込まれている水平走査線Lx−i〜Lx+iに対応した補正用データDcを、読み出しアドレス指定信号Arで指定されたアドレスに対応して読み出し補正用データDcrとして読み出し、補正用データ補間回路5に並列で出力する。なお、選択される読み出し領域の詳細については、後述する。
【0057】
ここで、上述した補正用データメモリ3の書き込み補正用データDcwの書き込みおよび読み出し補正用データDcrの読み出しは、水平同期パルスPshと同期して同時に行われる。つまり、補正用データメモリ3では、上記書き込みが行われるメモリ領域と上記読み出しが行われるメモリ領域とは、別のメモリ領域が使用される。また、補正用データメモリ3では、1つのメモリ領域に対して1本の水平走査線Lに対応した補正用データDcが書き込まれるため、メモリ領域の個数mは、
m≧2i+2
で設定される。なお、補正用データメモリ3が有するm個のメモリ領域を効率よく利用し、上述した書き込みおよび読み出し領域の選択を簡単にするためには、書き込みを行う1つのメモリ領域以外のメモリ領域を全て読み出し領域に設定することが望ましい。この場合、補正用データメモリ3が有するメモリ領域の個数mは、
m=2i+2
で設定される。
【0058】
補正用データ補間回路5は、補正用データメモリ3から並列で読み出された水平走査線Lx−i〜Lx+iに対応した読み出し補正用データDcrを用いて、所定の補間処理を行うことによって、水平同期パルスPshと同期して水平走査線Lxの全画素に対応した補正用データを補間補正用データDciとして演算する。例えば、補正用データ補間回路5の補間処理は、入力された水平走査線Lx−i〜Lx+iに対応した読み出し補正用データDcrを用いて、水平方向に内挿処理を行い、垂直方向には帯域制限をかけることにより、入力映像信号Dinにおける水平走査線Lxの全画素に対応した補間補正用データDciを逐次生成する。この補正用データ補間回路5で行われる補間処理で用いられる補間式は、ニュートンの補間式、ラグランジュの補間式、あるいはスプライン関数等の既に公知の方法を用いればよい。
【0059】
この補間処理によって、補正用データ補間回路5では、補正用データDcが削減されていた画素に対して、補正用データが新たに補間され生成される(図2の白丸印)。また、上述した補正用データ補間回路5で用いられる補間式が補間に用いるサンプル点(原点)に固定されない曲線を計算する場合(例えば、Bスプライン関数等)、補正用データDcが設定されている上記代表画素(原点)の補正用データDcも、その代表画素の垂直方向に配置されている他の補正用データDcによって互いに影響を及ぼしながら再生成される。つまり、上記代表画素および非代表画素を含む全ての画素を対象として、新たな補正用データが上記補間処理によって再生成される。例えば、予め行われる補正用データDcの設定において、撮像や基準画像との比較等の処理で高周波歪み等の影響で誤差が生じ、その誤差が上記代表画素の補正用データDcの1つに含まれていた場合、その誤差によって当該補正用データDcは垂直方向に配置されている他の補正用データDcと比較すると異なった傾向を示す。このような誤差は、上述した垂直方向における補間処理によって拡散された補間補正用データDciとして再生成されるため、歪み補正精度を向上させることが可能である。なお、i=0、つまり1本の水平走査線に対応する補正用データDcを用いて上記補間処理を行う場合は、補正用データ補間回路5における上記垂直方向の処理は必要ない。
【0060】
なお、補正用データ供給部1に予め格納する水平走査線L1〜Lnに対応した補正用データDcは、水平走査線L1〜Lnの降順に記述しなくてもかまわない。例えば、上記リセット信号が入力映像信号Dinの垂直同期信号と同期して出力される場合、そのリセット時に補正用データメモリ3に供給する水平走査線用の補正用データDc(つまり、水平走査線Li+2の補正用データDc)を最上位領域に記述しておけば、上記リセット時に補正用データ供給部1から供給される補正用データDcの選択も最上位領域にリセットすることができる。つまり、補正用データ供給部1に格納される補正用データDcを、最上位領域から水平走査線Li+2〜LnおよびL1〜Li+1の順に記述すれば、補正用データ供給部1から供給される補正用データDcの選択を容易に行うことができる。
【0061】
次に、図3を参照して、補正用データメモリ3の詳細な構造について説明する。図3において、補正用データメモリ3は、m個のFIFO(First−InFirst−Out)型のラインメモリ3M1〜3Mm、書き込み選択制御回路31、および読み出し選択制御回路32を備えている。なお、m個のラインメモリ3M1〜3Mmを総称する場合は、ラインメモリ3Mと記載する。m個のラインメモリ3Mは、それぞれのラインメモリに対して少なくとも上述した1本の水平走査線用の補正用データDcが記述可能な記憶容量を有している。
【0062】
書き込み選択制御回路31は、上述したメモリ書き込み制御回路2から出力される書き込み領域選択信号Rwに応じて、m個の書き込みイネーブル(enable)制御信号Ew1〜Ewmからいずれか1つを選択し、選択された書き込みイネーブル制御信号Ew1〜Ewmを関連するラインメモリ3M1〜3Mmに出力することによって、出力先のラインメモリ3M1〜3Mmをイネーブル状態にする。この書き込み選択制御回路31の選択方式は、書き込み領域選択信号Rwが入力される毎に、順次書き込みイネーブル制御信号Ew1〜Ewmが選択される。つまり、m個のラインメモリ3Mは、それぞれのラインメモリに対して少なくとも上述した1本の水平走査線用の補正用データDcが記述可能な記憶容量を有しており、水平同期パルスPshと同期して出力される書き込み領域選択信号Rwが入力される毎に、順次1個のラインメモリがイネーブル状態にされるため、1水平走査期間に同期して、順次1水平走査線用の補正用データDcが記述可能なメモリ領域がイネーブル状態になることになる。
【0063】
例えば、書き込み選択制御回路31において、書き込みイネーブル制御信号Ewxが選択され、ラインメモリ3Mxがイネーブル状態である場合を考える。その状態で、書き込み選択制御回路31に新たな書き込み領域選択信号Rwが入力した場合、書き込み選択制御回路31は、次の書き込みイネーブル制御信号Ewx+1を選択して、ラインメモリ3Mx+1に出力することによって、イネーブル状態であったラインメモリ3mxをディセーブル(disable)状態にし、出力先のラインメモリ3Mx+1を新たにイネーブル状態にする。なお、書き込み制御回路31は、書き込みイネーブル制御信号Ewmが選択された後、書き込みイネーブル制御信号Ew1を選択することによって、連続した書き込み動作を継続して行う。また、書き込み領域選択信号Rwとして上記リセット信号が入力した場合、書き込み選択制御回路31は、いずれの書き込みイネーブル制御信号Ew1〜Ewmを選択していても、必ず書き込みイネーブル制御信号Ew1を選択する。
【0064】
上述したように、m個のラインメモリ3M1〜3Mmには、上述した補正用データ供給部1からの書き込み補正用データDcwが共通の入力データとして入力している。また、m個のラインメモリ3M1〜3Mmの内いずれか1つは、書き込みイネーブル制御信号によってイネーブル状態にあり、他は、ディセーブル状態である。つまり、書き込み補正用データDcwは、m個のラインメモリ3M1〜3Mmの内、書き込み可能な状態(イネーブル状態)にされた1つに書き込まれる。さらに、イネーブル状態の1つのラインメモリに対する書き込みアドレスは、上述した書き込みアドレス指定信号AwによってFIFOで制御される。つまり、書き込み補正用データDcwが書き込まれる補正用データメモリ3のメモリ領域は、メモリ書き込み制御回路2から出力される書き込み領域選択信号Rwおよび書き込みアドレス指定信号Awによって制御されることになる。なお、m個のラインメモリ3M1〜3Mmには、メモリ書き込み制御回路2から出力される書き込みアドレス指定信号Awが共通に入力されてもかまわない。書き込み不可な状態(ディセーブル状態)のラインメモリに書き込みアドレス指定信号Awが入力しても、書き込み補正用データDcwは、当該ラインメモリに書き込まれないため、結果的に、1つのイネーブル状態のラインメモリのみに書き込みアドレス指定信号Awに応じてFIFOで書き込まれることになる。
【0065】
読み出し選択制御回路32は、上述したメモリ読み出し制御回路4から出力される読み出し領域選択信号Rrに応じて、m個のラインメモリ3M1〜3Mmから読み出すラインメモリを選択する。この読み出し選択制御回路32の選択方式は、読み出し領域選択信号Rrが入力される毎に、順次読み出すラインメモリが選択される。ここで、上述した補正用データ補間回路5が、水平走査線Lxの補正の為に、水平走査線Lxおよびその前後i本に対応した補正用データDcを用いて補間補正用データDciを生成する場合、読み出し選択制御回路32が選択するラインメモリは、上述したディセーブル状態で、かつ最も書き込みが古い2i+1個が選択される。例えば、ラインメモリ3Mxがイネーブル状態で書き込まれている場合、読み出し選択制御回路32は、ラインメモリ3Mx+1〜3Mx+2i+2が選択される。なお、x+1〜x+2i+2がmより大きくなる場合、mより大きい部分に対してmを除算して(つまり、m+1は1となる)ラインメモリ3Mx+1〜3Mx+2i+2が選択される。なお、上述したように、補正用データメモリ3が有するm個のラインメモリ3M1〜3Mmを効率よく利用するために、m=2i+2で設定している場合、読み出し選択制御回路32は、ディセーブル状態であるm−1個のラインメモリ全てを選択することになる。また、読み出し領域選択信号Rrとして上記リセット信号が入力した場合、読み出し選択制御回路32は、ラインメモリ3Mm−2i−1〜3Mmを選択する。つまり、ラインメモリ3M1のイネーブル状態に合わせてリセットされる。なお、m=2i+2で設定されている場合、読み出し選択制御回路32は、上記リセット信号によってラインメモリ3M2〜3Mmを選択する。
【0066】
ここで、メモリ書き込み制御回路2およびメモリ読み出し制御回路4から、書き込み領域選択信号Rwおよび読み出し領域選択信号Rrとして、同じ垂直同期信号等と同期して出力されるリセット信号によって、一定期間ごとに、書き込むラインメモリおよび読み出すラインメモリの選択がリセットされる。これによって、ノイズ等により、書き込み領域選択信号Rwと読み出し領域選択信号Rrとのタイミングが乱された場合でも、上記リセット信号により再びタイミングを合わせることが可能となる。
【0067】
読み出し選択制御回路32によって選択された読み出すラインメモリに対する読み出しアドレスは、上述したメモリ読み出し制御回路4から出力される読み出しアドレス指定信号ArによってFIFOで制御される。そして、読み出しアドレス指定信号Arは、読み出し選択制御回路32によって選択された読み出すラインメモリへ共通に入力することによって、それぞれのラインメモリに記述された補正用データDcが読み出しアドレス指定信号Arに応じて並列に読み出し補正用データDcrとして読み出される。つまり、読み出し補正用データDcrが読み出される補正用データメモリ3のメモリ領域は、メモリ読み出し制御回路4から出力される読み出し領域選択信号Rrおよび読み出しアドレス指定信号Arによって制御されることになる。なお、m個のラインメモリ3M1〜3Mmには、メモリ読み出し制御回路4から出力される読み出しアドレス指定信号Arが共通に入力されてもかまわない。読み出す対象として選択されていないラインメモリに読み出しアドレス指定信号Arが入力しても、補正用データDcは、当該ラインメモリから読み出し補正用データDcrとして読み出されないため、結果的に、選択されたラインメモリのみから読み出しアドレス指定信号Arに応じて読み出し補正用データDcrがFIFOで並列に読み出されることになる。
【0068】
このように、補正用データメモリ3を複数のラインメモリ3Mで構成することによって、例えば、シングルポートまたはデュアルポートの一般的なメモリを用いることに比べて、書き込みおよび読み出しの制御回路を簡略化することが可能となる。
【0069】
次に、図4を参照して、補正用データメモリ3で書き込まれるメモリ領域および読み出されるメモリ領域の詳細について説明する。図4では、横欄で補正用データメモリ3を構成するm個のラインメモリ3M1〜3Mmを示し、縦欄で上記リセット信号入力以降の水平同期パルスPshの入力に応じて更新されるステップを示している。そして、上記ステップ毎に書き込まれるラインメモリおよび読み出されるラインメモリをマトリックス状に示している。なお、図4において、書き込まれるラインメモリを書き込み対象メモリとして黒塗りつぶしで示し、読み出されるラインメモリを読み出し対象メモリとして斜線パターン塗りで示している。ここで、説明を簡単にするために、補正用データメモリ3が有するm個のラインメモリ3M1〜3Mmを、m=2i+2で設定して、以下の説明を行う。
【0070】
まず、メモリ書き込み制御回路2およびメモリ読み出し制御回路4から、書き込み領域選択信号Rwおよび読み出し領域選択信号Rrとして、同じ垂直同期信号等と同期して出力されるリセット信号によって、書き込むラインメモリおよび読み出すラインメモリの選択がリセットされる(リセットステップ)。このリセットステップによって、書き込み選択制御回路31は、ラインメモリ3M1を上記書き込み対象メモリとして選択し、当該ラインメモリ3M1に1水平走査線分の書き込み補正用データDcwが書き込まれる。この時、既にラインメモリ3M1に他の補正用データDcが書き込まれている場合、書き込み補正用データDcwが上書きされることによって、最新の補正用データDcに更新される。なお、この補正用データDcの更新は、以下の書き込み処理についても、同様である。
【0071】
その後、水平同期パルスPshに同期した書き込み領域選択信号Rwの入力毎に、書き込み選択制御回路31は、上記書き込み対象メモリとして順次1つのラインメモリ3M2〜3Mm−1を選択し、それぞれ別の1水平走査線分の書き込み補正用データDcwが書き込まれる(ステップS2〜Sm−1)。
【0072】
そして、書き込み領域選択信号Rwの入力によって、書き込み選択制御回路31が上記書き込み対象メモリとしてラインメモリ3Mmを選択し、書き込み補正用データDcwを書き込む処理と同期して、読み出し選択制御回路32は、読み出し領域選択信号Rrの入力によって、ラインメモリ3M1〜3Mm−1を上記読み出し対象メモリとして選択し、それらラインメモリ3M1〜3Mm−1に記述されている補正用データDcが読み出し補正用データDcrとして並列に読み出される(ステップSm)。
【0073】
次に、書き込み領域選択信号Rwの入力によって、書き込み選択制御回路31は、上記書き込み対象メモリとして再度ラインメモリ3M1を選択する。この時、上記リセットステップにおいて、既にラインメモリ3M1には書き込み補正用データDcwが書き込まれているが、上述と同様に新たな書き込み補正用データDcwを上書きすることによって、最新の補正用データDcに更新される(ステップSm+1)。ステップSm+1では、読み出し選択制御回路32は、上記書き込み領域選択信号Rwと同期した読み出し領域選択信号Rrの入力によって、ラインメモリ3M2〜3Mmを上記読み出し対象メモリとして選択し、それらラインメモリ3M2〜3Mmに記述されている補正用データDcが読み出し補正用データDcrとして並列に読み出される。
【0074】
以降のステップでは、新たにリセット信号が入力されるまで、上記ステップSm+1と同様の処理を行う。すなわち、水平同期パルスPshに同期した書き込み領域選択信号Rwおよび読み出し領域選択信号Rrの入力毎に、書き込み選択制御回路31および読み出し選択制御回路32は、上記書き込み対象メモリとして順次1つのラインメモリ3M1〜3Mmを選択し、上記読み出し対象メモリとして書き込み対象メモリ以外のラインメモリを選択し、書き込み補正用データDcwを書き込む処理および読み出し補正用データDcrを並列に読み出す処理を行う(ステップSm+2〜S3m)。
【0075】
このように、補正用データメモリ3においては、順次入力映像信号Dinの水平同期パルスPshに同期した1水平走査線用の補正用データDcに更新され、その更新に同期して補間処理に必要な補正用データDcが並列に読み出される。
【0076】
なお、上述した説明では、上記リセットステップ〜ステップSm−1において、読み出し処理を行っていない。これは、入力映像信号Dinの水平同期パルスPshに同期していない上記リセットステップ直前の補正用データDcが書き込まれているためであり、読み出したとしても補正演算部6で行う補正処理に用いることができないためである。しかしながら、補正用データ補間回路5や補正演算部6において、同期していない補正用データDcを削除する処理を設けることによって、他のステップと同様に上記リセットステップ〜ステップSm−1において読み出し処理を行ってもかまわない。
【0077】
また、一般的に、テレビ放送等の映像信号においては、CRT7に表示される画面サイズよりも大きなサイズの映像情報が含まれている。このCRT7に表示されない映像信号の画面領域はオーバスキャン領域と呼ばれ、上述したn本の水平走査線L1〜Lnで構成される入力映像信号Dinには、このオーバスキャン領域に相当する映像信号も含まれている。一般的に、上記オーバスキャン領域に相当する水平走査線Losは、CRT7の上下方向に対して数10本あり、これらの上方向にある水平走査線Losaおよび下方向にある水平走査線Losbに対する補正処理は不要である。したがって、上記リセット信号が垂直同期信号と同期して出力される場合、上記リセットステップでは水平走査線L1、つまり上方向のオーバスキャン領域に相当する水平走査線Losaの補正処理となるため、水平走査線L1と同期していない補正用データDcを用いて補正処理を行っても、CRT7に表示される画像には影響しない。さらに、上方向のオーバスキャン領域に相当する水平走査線Losaの本数をlaとし、ラインメモリ3Mの個数mを
m≦la+1
に設定することによって、上記リセットステップ〜ステップSm−1において読み出し処理を行っても、上方向のオーバスキャン領域に相当する水平走査線Losaの補正処理となるため、水平走査線L1〜Lm−1と同期していない補正用データDcを用いて補正処理を行っても、CRT7に表示される画像には影響しない。このような設定によって、全ステップにおいて、同じ読み出し処理を行って補間および補正処理をすることが可能であり、補正用データDcの読み出し処理における制御が簡単になる。
【0078】
また、補正用データ補間回路5では、上述したように複数の水平走査線用の補正用データDcを用いて1本の補間補正用データDciを演算している。例えば、補正用データ補間回路5は、水平走査線Lxの補間補正用データDciを演算する場合、水平走査線Lxおよびその前後i本に対応した補正用データDcが用いられる。このような補間処理において、例えば、最も下方向に存在する水平走査線Lnの補間補正用データDciを演算する場合、補正用データ補間回路5は、水平走査線Ln−i〜Lnの補正用データDcに加えて、最も上方向に存在する水平走査線L1〜Liの補正用データDcも用いて演算を行うことになる。このような逆方向に存在する水平走査線用の補正用データDcを用いて補間処理を行うと、所望の補間補正用データDciが得られず、このような補間補正用データDciを用いて入力映像信号Dinの補正を行うと、適切な画像が得られない。しかしながら、上述したように、これらの水平走査線は、上記オーバスキャン領域に相当する水平走査線Losであり、上方向のオーバスキャン領域に相当する水平走査線Losaの本数をla、下方向のオーバスキャン領域に相当する水平走査線Losbの本数をlbとすると、補正用データ補間回路5が用いる補正用データDcの上記本数iを
i≦la かつ i≦lb
に設定することによって、上述のような逆方向に存在する水平走査線用の補正用データDcを含んだ補間処理を行っても、上方向あるいは下方向のオーバスキャン領域に相当する水平走査線LosaあるいはLosb補正処理となるため、CRT7に表示される画像には影響しない。
【0079】
また、一般的に、テレビ放送等の映像信号においては、上記上下方向のオーバスキャン領域付近に相当する映像信号と同期して、垂直帰線期間が設けられている。この垂直帰線期間は、入力映像信号Dinと共に受信される垂直同期パルスによって検出することができる。つまり、画像歪み補正装置10に、この垂直帰線期間を検出する垂直帰線期間検出回路を設け、その検出結果に基づいて補正用データメモリ3に書き込まれている補正用データDcを更新してもかまわない。
【0080】
例えば、CRT7の最も上方向に表示可能な水平走査線をLyとする。まず、メモリ書き込み制御回路2およびメモリ読み出し制御回路4は、上記垂直帰線期間の開始の検出して、上述したリセット信号を補正用データメモリ3に出力する。その後、上記垂直帰線期間中に受信する水平同期パルスPshと同期して、メモリ書き込み制御回路2が補正用データ供給要求信号Rsおよび書き込み領域選択信号Rwを出力する。このときに、メモリ読み出し制御回路4は、水平走査線Ly−i〜Ly+iの補正用データDcを読み出し補正用データDcwとして供給するように、補正用データ供給部1に指示する。この指示によって、補正用データメモリ3のラインメモリ3M1〜3Mm−1に、それぞれ水平走査線Ly−i〜Ly+iの補正用データDcが書き込まれる。
【0081】
そして、上記垂直帰線期間終了後、水平走査線Lyとの水平同期パルスPshを受信することによって、メモリ書き込み制御回路2が補正用データ供給要求信号Rs、書き込み領域選択信号Rw、および書き込みアドレス指定信号Awを出力する。これによって、補正用データ供給部1は、水平走査線Ly+i+1の書き込み補正用データDcwを供給し、ラインメモリ3Mmに書き込まれる。また、水平走査線Lyとの水平同期パルスPshを受信することによって、メモリ読み出し制御回路4が読み出し領域選択信号Rrおよび読み出しアドレス指定信号Arを出力する。これによって、ラインメモリ3M1〜3Mm−1から、水平走査線Ly−i〜Ly+iの補正用データDcが読み出し補正用データDcrとして補正用データ補間回路5に出力され、水平走査線Ly用の補間補正用データDciが演算される。
【0082】
このように、上記垂直帰線期間は、一般的に、映像信号がペデスタルレベル(黒レベルの信号)に制御されており、補正用データメモリ3に書き込まれる補正用データDcが正規の値にならないため補正処理が正常に動作しない場合においても、問題になることなく補正用データDcの書き込みを行うことが可能となる。また、上記画面モードが変化した場合等、補正用データ供給部1から読み出す補正用データDcを上記画面モードに適応した補正用データDcが記憶されている領域から読み出す必要がある。上記垂直帰線期間において、補正用データ供給部1で画面モードが変化する前に読み出していた記憶領域から、新しい記憶領域に制御を切り替えることにより、画面モードに対応した補正用データDcを迅速に補正用データメモリ3に供給することができ、歪み補正処理の誤動作なしに敏速に画面モードに対応した歪み補正処理を行うことが可能となる。
【0083】
このように、CRTテレビ受像機等に表示する映像信号の歪みを補正する際に、補正用データ供給部に記憶された補正用データの一部を必要なデータ量だけ先読みして補正用データメモリに書き込み、当該補正用データを用いて順次補正用データの補間演算を行うことにより、最小限の記憶容量の補正用データメモリで画像歪み補正装置を構成することができる。また、比較的容易な回路構成で実現することができ、実用上きわめて有利なものである。また、歪み補正の状態を変えるために補正用データメモリに読み込まれる補正用データを変更する必要がある場合等でも、歪み補正処理の動作を継続した状態で補正用データの変更を行うことが可能となる。つまり、補正用データの変更は、最長でも1フィールドの期間があれば、変更を完了すること可能であり、迅速な変更が可能となる。これによって、補正用データ供給部に複数の画面モードの変化に対応した補正用データを記憶することによって、例えば、水平または垂直の偏向周波数が変化した場合でも、補正用データ供給部から所望の最小限の補正用データを読み出すことによって、高速な歪み補正の切り替えが可能となる。また、垂直帰線期間に補正用データ供給部から補正用データメモリに必要な補正用データを書き込むことにより、上述した補正用データを変更する必要がある場合に、さらに迅速に歪み補正処理の動作を継続した状態で補正用データの変更を行うことが可能となる。上記垂直帰線期間において、補正用データ供給部で画面モードが変化する前に読み出していた記憶領域から、新しい記憶領域に制御を切り替えることにより、画面モードに対応した補正用データを迅速に補正用データメモリに供給することができ、歪み補正処理の誤動作なしに敏速に画面モードに対応した歪み補正処理を行うことが可能となる。
【0084】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る画像歪み補正装置について説明する。当該画像歪み補正装置は、上述した第1の実施形態に係る画像歪み補正装置に対して、さらに補正用データ供給部1に格納されている補正用データDcのデータ量を削減し、補正用データメモリ3へのデータ供給速度がさらに遅くても、正確にCRT7に対する補正処理が実施可能にされている。つまり、画像歪み補正に用いられる補正用データDcの総量を、さらに削減した画像歪み補正装置として、第2の実施形態を説明する。
【0085】
第2の実施形態に係る画像歪み補正装置10の構成は、上述の第1の実施形態で図1を用いて説明した機能ブロック図と同様である。図1を参照して、当該実施形態のメモリ書き込み制御回路2には、その内部に水平走査線カウンタ(図示せず)が設けられている。上記水平走査線カウンタは、入力映像信号Dinに同期した水平同期パルスPshの受信に基づいて、その受信回数をカウント値Cとしてカウントする。そして、メモリ書き込み制御回路2は、上記水平走査線カウンタのカウント値Cが所定の回数になった場合、その入力映像信号Dinおよび水平同期パルスPshに同期した補正用データDcを補正用データメモリ3に供給するように、補正用データ供給部1に補正用データ供給要求信号Rsを出力する。また、メモリ書き込み制御回路2は、上記水平走査線カウンタのカウント値Cが所定の回数になった場合、補正用データ供給部1から供給された書き込み補正用データDcwに対して、その書き込み領域を選択する書き込み領域選択信号Rwおよびその領域における書き込みアドレスを指定する書き込みアドレス指定信号Awを補正用データメモリ3に出力する。なお、上記水平走査線カウンタは、カウント値Cが上記所定の回数になった後、次の水平同期パルスPshの受信によってカウント値Cを1に戻し、受信回数のカウントを継続する。また、メモリ書き込み制御回路2からは、書き込み領域選択信号Rwとして、入力映像信号Dinの垂直同期信号等と同期してリセット信号が出力される。その垂直同期信号の入力によって、上記水平走査線カウンタのカウント値Cは、次の水平同期パルスPshの受信によって1にリセットされる。
【0086】
当該実施形態のメモリ読み出し制御回路4にも、その内部に水平走査線カウンタ(図示せず)が設けられている。上記水平走査線カウンタは、入力映像信号Dinに同期した水平同期パルスPshの受信に基づいて、その受信回数をカウント値Cとしてカウントする。そして、メモリ読み出し制御回路4は、上記水平走査線カウンタのカウント値Cが所定の回数になった場合、その入力映像信号Dinおよび水平同期パルスPshに同期して、補正用データDcを補正用データメモリ3から読み出す領域を選択する読み出し領域選択信号Rrを出力する。また、メモリ読み出し制御回路4は、上記水平走査線カウンタのカウント値Cの値に関わらず、入力映像信号Dinに同期した水平同期パルスPshの受信と同期して、上記読み出し領域における読み出しアドレスを指定する読み出しアドレス指定信号Arを出力する。なお、上記水平走査線カウンタは、カウント値Cが上記所定の回数になった後、次の水平同期パルスPshの受信によってカウント値Cを1に戻し、受信回数のカウントを継続する。また、メモリ読み出し制御回路4からは、読み出し領域選択信号Rrとして、入力映像信号Dinの垂直同期信号等と同期してリセット信号が出力される。その垂直同期信号の入力によって、上記水平走査線カウンタのカウント値Cは、次の水平同期パルスPshの受信によって1にリセットされる。
【0087】
なお、第2の実施形態に係る画像歪み補正装置10の他の機能ブロックについては、第1の実施形態と同様である。したがって、第1の実施形態と同様の機能ブロックについては、同一の参照符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0088】
次に、第2の実施形態に係る画像歪み補正装置10で用いられる補正用データDcについて説明する。第2の実施形態に係る画像歪み補正装置10で用いられる補正用データDcにおいても、第1の実施形態と同様に、本来表示されるべき画像200a(図8参照)に対して、歪みを伴った画像200b(図8参照)との差分によって表される。つまり、当該補正用データDcも、補正前後の座標関係を、それぞれの画素毎にアドレス情報Ms(v,w)=A(ia,ja)として表すベクトルデータである。
【0089】
ここで、本実施形態の補正用データDcは、水平方向(水平走査線方向)の歪みに対してのみ設定される。そして、補正用データDcは、表示可能な映像信号の画面モードに対応して、当該映像信号を元に表示される画像の水平走査線Lをs本毎にサンプリング(以下、サンプリング周期sと記載する場合もある)し、サンプリングされた水平走査線を所定の複数の線分に分割し、各線分毎の代表画素にのみ設定され、他の画素に対しては削減されている。つまり、当該実施形態の補正用データDcは、上記表示可能な画面モードの映像信号を元に表示される画像に対して、水平および垂直方向に一定の間隔でサンプリングされる。これは、互いの距離が近い場所に位置する画素に対する上記補正用データDcは、それらの画素間で大きな変動はないため、そのことを利用して予め上記代表画素のみに補正用データDcを付与し、それ以外の画素の削減された補正用データDcは、上記代表画素の補正用データDcから推測することができるためである。そして、上記映像信号を元に表示される画像の代表画素に対応した1画面分の補正用データDcが、水平走査線Lのs本毎に補正用データ供給部1に予め格納される。また、上記歪みがRGB色毎に異なる場合、それぞれのRGB色毎に補正用データDcが設定される。なお、補正用データDcは、予め補正用データ作成装置等によって、表示された画像を撮像し、この撮像された画像と適正に表示されるべき基準画像とを比較することによって作成されるが、この作成方法は、既に公知であるため、これ以上の説明を省略する。
【0090】
次に、図5を参照して、第2の実施形態に係る補正用データ供給部1、補正用データメモリ3、および補正用データ補間回路5で用いられる補正用データDcについて説明する。図5において、受信している入力映像信号Dinの水平偏向周波数および垂直偏向周波数等で表現される映像形式(画面モード)がn本の水平走査線L1〜Lnで構成されているとする。補正用データ供給部1には、当該画面モードに対応した、垂直方向にs本毎にサンプリングされた水平走査線Ls〜Ljs毎(jは、自然数。js≦n)に、水平方向に一定の間隔を有した上記代表画素に対して設定された補正用データDcが予め格納されている。そして、現在、上記サンプリング対象の水平走査線の1つに相当する水平走査線Lx(xは、n以下の自然数であり、sの倍数)の入力映像信号Dinを、その同期パルスPsとしての水平同期パルスPshと同期して受信しているとする。また、補正用データ補間回路5は、水平走査線Lxの補正の為に用いられる補間補正用データDciを補間処理によって生成するために、水平走査線Lxおよびその前後のサンプリングされたi本に対応した補正用データDcを用いるものとする。なお、ここでは説明を簡単にするために、上述した歪みがRGB色毎に異なり、それぞれのRGB色毎に補正用データDcが設定されている場合でも、その代表色(例えば、R色)で用いられる補正用データDcを説明する。
【0091】
補正用データ供給部1には、複数の画面モードに応じて、上述したようにs本毎の水平走査線Ls〜Ljs毎に設定された上記代表画素に対応した1画面分の補正用データDcが、水平走査線Ls〜Ljsに対応して予め格納されている。図5における補正用データ供給部1の補正用データDcは、現在受信している画面モードの補正用データDcのみを示しており、サンプリング対象の水平走査線Ls〜Ljsにおいて、上述した歪みを補正する画素の移動量が記述された上記代表画素を黒丸で示し、他の補正用データDcが削減された画素を×印で示している。
【0092】
上述したメモリ書き込み制御回路2の内部に設けられた水平走査線カウンタは、上記所定の回数がサンプリング周期sに設定されている。この設定によって、メモリ書き込み制御回路2は、水平走査線Lxの入力映像信号Dinをその水平同期パルスPshと同期して受信した場合、水平走査線Lxは上記サンプリング周期sと同期しているため、補正用データ供給要求信号Rsを出力し、水平走査線Lx+(i+1)sに対応した補正用データDcを先読みして供給する指示を補正用データ供給部1に上記水平同期パルスPshと同期して出力する。補正用データ供給部1は、メモリ書き込み制御回路2から出力された補正用データ供給要求信号Rsに基づいて、水平走査線Lx+(i+1)sに対応した補正用データDcを書き込み補正用データDcwとして補正用データメモリ3に供給する。また、メモリ書き込み制御回路2は、上記サンプリング周期sと同期した水平走査線Lxの入力映像信号Dinをその水平同期パルスPshと同期して受信した場合、書き込み領域選択信号Rwも出力する。
【0093】
補正用データメモリ3は、第1の実施形態と同様にm個のメモリ領域を有している。補正用データメモリ3は、補正用データ供給部1から供給される水平走査線Lx+(i+1)sに対応した書き込み補正用データDcwを、メモリ書き込み制御回路2から指示される書き込み領域選択信号Rwに応じて、m個のメモリ領域から書き込むメモリ領域を選択し、書き込みアドレス指定信号Awで指定されたアドレスに対応して当該書き込み補正用データDcwを書き込む。なお、上記書き込むメモリ領域の選択は、メモリ書き込み制御回路2の水平走査線カウンタがカウントするカウント値Cの設定回数(つまり、s回)によって、水平走査線Ls〜Ljsのサンプリング周期(つまり、s)に応じた水平同期パルスPshの受信と連動して、順次異なったメモリ領域が選択されるが、メモリ領域および選択される書き込み領域の詳細については、後述する。
【0094】
一方、既に、補正用データメモリ3には、直前に受信した水平走査線Lx−(2i−1)s〜Lx−sの入力映像信号Dinに同期した水平同期パルスPshによって、上記と同様にそれぞれ異なったメモリ領域に水平走査線Lx−is〜Lx+isに対応した補正用データDcが書き込まれている。上述したメモリ読み出し制御回路4の内部に設けられた水平走査線カウンタは、上記所定の回数が上記サンプリング周期(つまり、上記s回)に設定されている。この設定によって、メモリ読み出し制御回路4は、水平走査線Lxの入力映像信号Dinをその水平同期パルスPshと同期して受信した場合、水平走査線Lxは上記サンプリング周期sと同期しているため、補正用データメモリ3に対して読み出し領域選択信号Rrを出力し、水平走査線Lx−is〜Lx+isに対応した補正用データDcが書き込まれたメモリ領域を読み出し領域として指示する。そして、補正用データメモリ3は、メモリ読み出し制御回路4から出力された読み出し領域選択信号Rrで指定されたメモリ領域に書き込まれている水平走査線Lx−is〜Lx+isに対応した補正用データDcを、読み出しアドレス指定信号Arで指定されたアドレスに対応して読み出し補正用データDcrとして読み出し、補正用データ補間回路5に並列で出力する。なお、選択される読み出し領域の詳細については、後述する。
【0095】
ここで、上述した補正用データメモリ3の書き込み補正用データDcwの書き込みおよび読み出し補正用データDcrの読み出しは、水平同期パルスPshと同期して水平走査線Ls〜Ljsのサンプリング周期sでは同時に行われる。なお、第2の実施形態では、上記サンプリング周期s以外の水平同期パルスPshの入力に対しては、読み出し補正用データDcrの読み出しのみが行われる。したがって、上記サンプリング周期sにおいては、補正用データメモリ3は、上記書き込みが行われるメモリ領域と上記読み出しが行われるメモリ領域とに対して、別のメモリ領域を使用する。また、補正用データメモリ3では、1つのメモリ領域に対して1本の水平走査線Lに対応した補正用データDcが書き込まれるため、メモリ領域の個数mは、
m≧2i+2
で設定される。なお、補正用データメモリ3が有するm個のメモリ領域を効率よく利用し、上述した書き込みおよび読み出し領域の選択を簡単にするためには、書き込みを行う1つのメモリ領域以外のメモリ領域を全て読み出し領域に設定することが望ましい。この場合、補正用データメモリ3が有するメモリ領域の個数mは、
m=2i+2
で設定される。
【0096】
補正用データ補間回路5は、補正用データメモリ3から並列で読み出された水平走査線Lx−is〜Lx+isに対応した読み出し補正用データDcrを用いて、所定の補間処理を行うことによって、水平同期パルスPshと同期して水平走査線Lxの全画素に対応した補正用データを補間補正用データDciとして演算する。例えば、補正用データ補間回路5の補間処理は、入力された水平走査線Lx−is〜Lx+isに対応した読み出し補正用データDcrを用いて、水平方向に内挿処理を行い、垂直方向には帯域制限をかけることにより、入力映像信号Dinにおける水平走査線Lxの全画素に対応した補間補正用データDciを逐次生成する。この補正用データ補間回路5で行われる補間処理で用いられる補間式は、ニュートンの補間式、ラグランジュの補間式、あるいはスプライン関数等の既に公知の方法を用いればよい。
【0097】
この補間処理によって、補正用データ補間回路5では、補正用データDcが削減されていた画素に対して、補正用データが新たに補間され生成される(図5の白丸印)。また、上述した補正用データ補間回路5で用いられる補間式が補間に用いるサンプル点(原点)に固定されない曲線を計算する場合(例えば、Bスプライン関数等)、補正用データDcが設定されている上記代表画素(原点)の補正用データDcも、その代表画素の垂直方向に配置されている他の補正用データDcによって互いに影響を及ぼしながら再生成される。つまり、上記代表画素および非代表画素を含む全ての画素を対象として、新たな補正用データが上記補間処理によって再生成される。例えば、予め行われる補正用データDcの設定において、撮像や基準画像との比較等の処理で高周波歪み等の影響で誤差が生じ、その誤差が上記代表画素の補正用データDcの1つに含まれていた場合、その誤差によって当該補正用データDcは垂直方向に配置されている他の補正用データDcと比較すると異なった傾向を示す。このような誤差は、上述した垂直方向における補間処理によって拡散された補間補正用データDciとして再生成されるため、歪み補正精度を向上させることが可能である。
【0098】
また、第2の実施形態での補間処理では、上記サンプリング対象ではない水平走査線に対しても、その入力映像信号Dinの入力に応じて補間補正用データDciが演算される。つまり、上記代表画素に対応した補正用データDcを含め、補正用データ供給部1に補正用データDcが格納されていない水平走査線(例えば、水平走査線Lx+1)に対しても、補間補正用データDciが演算される。例えば、補正用データ補間回路5は、上記サンプリング対象ではない水平走査線Lx+1を補間処理する場合、水平走査線Lxの補間処理と同じ補正用データメモリ3から並列で読み出された水平走査線Lx−is〜Lx+isに対応した読み出し補正用データDcrを用いて、水平走査線Lx+1の補間補正用データDciを演算する。まず、補正用データ補間回路5は、水平走査線Lx−is〜Lx+isに対応した読み出し補正用データDcrを用いて、水平走査線Lx+1に対する垂直方向に内挿処理を行い、水平走査線Lx+1における補間処理後の補正用データを得る。そして、上記垂直方向に内挿処理された補正用データは、水平方向に一定の間隔を有しているため、水平方向に更に補間処理を行い、入力映像信号Dinに同期した水平走査線Lx+1の補間補正用データDciを得る。このように、補正用データ補間回路5においては、補正用データメモリ3から並列に読み出された読み出し補正用データDcrから逐次処理により、対象となる全ての水平走査線L1〜Lnの補間補正用データDciを演算して求めることができる。
【0099】
なお、補正用データ供給部1に予め格納する水平走査線Ls〜Ljsに対応した補正用データDcは、水平走査線Ls〜Ljsの降順に記述しなくてもかまわない。例えば、上記リセット信号が入力映像信号Dinの垂直同期信号と同期して出力される場合、そのリセット時に補正用データメモリ3に供給する水平走査線用の補正用データDc(つまり、水平走査線L(i+2)sの補正用データDc)を最上位領域に記述しておけば、上記リセット時に補正用データ供給部1から供給される補正用データDcの選択も最上位領域にリセットすることができる。つまり、補正用データ供給部1に格納される補正用データDcを、最上位領域から水平走査線L(i+2)s〜LjsおよびLs〜L(i+1)sの順に記述すれば、補正用データ供給部1から供給される補正用データDcの選択を容易に行うことができる。
【0100】
次に、第2の実施形態に係る補正用データメモリ3について説明する。なお、当該補正用データメモリ3の詳細な構造は、図3を用いて説明した第1の実施形態に係る補正用データメモリ3と同様であるため、同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。また、当該実施形態に係る補正用データメモリ3の動作についても、メモリ書き込み制御回路2から出力される書き込み領域選択信号Rwおよび書き込みアドレス指定信号Aw、およびメモリ読み出し制御回路4から出力される読み出し領域選択信号Rrが、上記サンプリング周期s毎に水平同期パルスPshに同期して入力することが異なるだけで、他は第1の実施形態と同様である。したがって、当該実施形態の補正用データメモリ3の動作についても、詳細な説明を省略する。
【0101】
次に、図6を参照して、第2の実施形態に係る補正用データメモリ3で書き込まれるメモリ領域および読み出されるメモリ領域の詳細について説明する。図6では、横欄で補正用データメモリ3を構成するm個のラインメモリ3M1〜3Mm(図3参照)を示し、縦欄で上記リセット信号入力以降の水平同期パルスPshの入力に応じて更新されるステップを示している。そして、上記ステップ毎に書き込まれるラインメモリおよび読み出されるラインメモリをマトリックス状に示している。なお、図6において、書き込まれるラインメモリを書き込み対象メモリとして黒塗りつぶしで示し、読み出されるラインメモリを読み出し対象メモリとして斜線パターン塗りで示している。ここで、説明を簡単にするために、補正用データメモリ3が有するm個のラインメモリ3M1〜3Mmを、m=2i+2で設定して、以下の説明を行う。
【0102】
まず、メモリ書き込み制御回路2およびメモリ読み出し制御回路4から、書き込み領域選択信号Rwおよび読み出し領域選択信号Rrとして、同じ垂直同期信号等と同期して出力されるリセット信号によって、書き込むラインメモリおよび読み出すラインメモリの選択がリセットされる(リセットステップ)。このリセットステップによって、書き込み選択制御回路31は、ラインメモリ3M1を上記書き込み対象メモリとして選択し、当該ラインメモリ3M1に1水平走査線分の書き込み補正用データDcwが書き込まれる。この時、既にラインメモリ3M1に他の補正用データDcが書き込まれている場合、書き込み補正用データDcwが上書きされることによって、最新の補正用データDcに更新される。なお、この補正用データDcの更新は、以下の書き込み処理についても、同様である。
【0103】
上記リセットステップ後、水平同期パルスPshの受信によって、ステップは更新されていくが、当該実施形態では、メモリ書き込み制御回路2の水平走査線カウンタのカウント値Cがサンプリング周期sに応じた設定回数(つまり、s)になるまで、メモリ書き込み制御回路2は、新たな書き込み領域選択信号Rwおよび書き込みアドレス指定信号Awを出力しない。つまり、サンプリング周期に相当するステップSsに更新されるまでは、継続してラインメモリ3M1が上記書き込み対象メモリとして選択される(ステップS2〜Ss−1)。
【0104】
その後、上記サンプリング周期sに相当する水平同期パルスPshに同期した書き込み領域選択信号Rwの入力毎に、書き込み選択制御回路31は、上記書き込み対象メモリとして順次1つのラインメモリ3M2〜3Mm−1を選択し、それぞれ別の1水平走査線分の書き込み補正用データDcwが書き込まれる(ステップSs、S2s、S3s、S4s、…、S(m−2)s)。なお、それぞれの上記サンプリング周期s以外のステップでは、上記ステップS2〜Ss−1と同様に、それぞれ直前に選択されているラインメモリ3M2〜3Mm−1が上記書き込み対象メモリとして継続して選択される。
【0105】
そして、次の上記サンプリング周期sに同期した書き込み領域選択信号Rwの入力によって、書き込み選択制御回路31が上記書き込み対象メモリとしてラインメモリ3Mmを選択し、書き込み補正用データDcwを書き込む処理と同期して、読み出し選択制御回路32は、上記サンプリング周期sに同期した読み出し領域選択信号Rrの入力によって、ラインメモリ3M1〜3Mm−1を上記読み出し対象メモリとして選択し、それらラインメモリ3M1〜3Mm−1に記述されている補正用データDcが読み出し補正用データDcrとして並列に読み出される(ステップS(m−1)s)。そして、ステップS(m−1)s以降、上記サンプリング周期s以外のステップでは、メモリ読み出し制御回路4から水平同期パルスPshに同期した読み出しアドレス指定信号Arに基づいて、直前に選択されている読み出し対象メモリに記述されている補正用データDcが読み出し補正用データDcrとして並列に読み出される。つまり、読み出し対象メモリが変更されるまで、ステップ毎に同じ補正用データDcを読み出し補正用データDcrとして並列に読み出すことになる。
【0106】
次に、上記サンプリング周期sに同期した書き込み領域選択信号Rwの入力によって、書き込み選択制御回路31は、上記書き込み対象メモリとして再度ラインメモリ3M1を選択する。この時、上記リセットステップにおいて、既にラインメモリ3M1には書き込み補正用データDcwが書き込まれているが、上述と同様に新たな書き込み補正用データDcwを上書きすることによって、最新の補正用データDcに更新される(ステップSms)。ステップSmsでは、読み出し選択制御回路32は、上記サンプリング周期sに同期した読み出し領域選択信号Rrの入力によって、ラインメモリ3M2〜3Mmを上記読み出し対象メモリとして選択し、それらラインメモリ3M2〜3Mmに記述されている補正用データDcが読み出し補正用データDcrとして並列に読み出される。
【0107】
以降のステップ(ステップSms+1〜)では、新たにリセット信号が入力されるまで、上記ステップSmsと同様の処理を行う。すなわち、上記サンプリング周期sに相当する水平同期パルスPshに同期した書き込み領域選択信号Rwおよび読み出し領域選択信号Rrの入力毎に、書き込み選択制御回路31および読み出し選択制御回路32は、上記書き込み対象メモリとして順次1つのラインメモリ3M1〜3Mmを選択し、上記読み出し対象メモリとして書き込み対象メモリ以外のラインメモリを選択し、書き込み補正用データDcwを書き込む処理および読み出し補正用データDcrを並列に読み出す処理を行う。そして、それぞれの上記サンプリング周期s以外のステップでは、上記ステップS2〜Ss−1と同様に、それぞれ直前に選択されているラインメモリ3M1〜3Mmが上記書き込み対象メモリとして継続して選択される。また、メモリ読み出し制御回路4から水平同期パルスPshに同期した読み出しアドレス指定信号Arに基づいて、直前に選択されている読み出し対象メモリに記述されている補正用データDcが読み出し補正用データDcrとして並列に読み出される。
【0108】
このように、補正用データメモリ3においては、順次入力映像信号Dinのサンプリング周期sに相当する水平同期パルスPshに同期して、1水平走査線用の補正用データDcに更新され、その更新に同期して補間処理に必要な補正用データDcが並列に読み出される。
【0109】
なお、上述した説明では、上記リセットステップ〜ステップS(m−1)s−1において、読み出し処理を行っていない。これは、入力映像信号Dinの水平同期パルスPshに同期していない上記リセットステップ直前の補正用データDcが書き込まれているためであり、読み出したとしても補正演算部6で行う補正処理に用いることができないためである。しかしながら、補正用データ補間回路5や補正演算部6において、同期していない補正用データDcを削除する処理を設けることによって、他のステップと同様に上記リセットステップ〜ステップS(m−1)s−1において読み出し処理を行ってもかまわない。
【0110】
また、上述したように、テレビ放送等のn本の水平走査線L1〜Lnで構成される入力映像信号Dinには、オーバスキャン領域に相当する映像信号も含まれている。一般的に、上記オーバスキャン領域に相当する水平走査線Losは、CRT7の上下方向に対して数10本あり、これらの上方向にある水平走査線Losaおよび下方向にある水平走査線Losbに対する補正処理は不要である。したがって、上記リセット信号が垂直同期信号と同期して出力される場合、上記リセットステップでは水平走査線L1、つまり上方向のオーバスキャン領域に相当する水平走査線Losaの補正処理となるため、水平走査線L1と同期していない補正用データDcを用いて補正処理を行っても、CRT7に表示される画像には影響しない。さらに、上方向のオーバスキャン領域に相当する水平走査線Losaの本数をlaとし、ラインメモリ3Mの個数mを
(m−1)s≦la+1
に設定することによって、上記リセットステップ〜ステップS(m−1)s−1において読み出し処理を行っても、上方向のオーバスキャン領域に相当する水平走査線Losaの補正処理となるため、水平走査線L1〜L(m−1)s−1と同期していない補正用データDcを用いて補正処理を行っても、CRT7に表示される画像には影響しない。このような設定によって、全ステップにおいて、同じ読み出し処理を行って補間および補正処理をすることが可能であり、補正用データDcの読み出し処理における制御が簡単になる。
【0111】
また、補正用データ補間回路5では、上述したように複数の水平走査線用の補正用データDcを用いて1本の補間補正用データDciを演算している。例えば、補正用データ補間回路5は、水平走査線Lxの補間補正用データDciを演算する場合、水平走査線Lxおよびその前後のサンプリングされたi本に対応した補正用データDcが用いられる。このような補間処理において、例えば、最も下方向に存在する水平走査線Lnの補間補正用データDciを演算する場合、補正用データ補間回路5は、最も上方向に存在する水平走査線Ls〜Lisの補正用データDcを用いて演算を行うことになる。このような逆方向に存在する水平走査線用の補正用データDcを用いて補間処理を行うと、所望の補間補正用データDciが得られず、このような補間補正用データDciを用いて入力映像信号Dinの補正を行うと、適切な画像が得られない。しかしながら、上述したように、これらの水平走査線は、上記オーバスキャン領域に相当する水平走査線Losであり、上方向のオーバスキャン領域に相当する水平走査線Losaの本数をla、下方向のオーバスキャン領域に相当する水平走査線Losbの本数をlbとすると、補正用データ補間回路5が用いる補正用データDcの上記本数iを
i≦la/s かつ i≦lb/s
に設定することによって、上述のような逆方向に存在する水平走査線用の補正用データDcを含んだ補間処理を行っても、上方向あるいは下方向のオーバスキャン領域に相当する水平走査線LosaあるいはLosb補正処理となるため、CRT7に表示される画像には影響しない。
【0112】
なお、メモリ書き込み制御回路2およびメモリ読み出し制御回路4にそれぞれ水平走査線カウンタを設け、サンプリング周期sに応じて書き込み領域選択信号Rwおよび読み出し領域選択信号Rrを出力するようにしたが、水平走査線カウンタは、書き込み選択制御回路31および読み出し選択制御回路32に設けてもかまわない。補正用データメモリ3内で、サンプリング周期sをカウントすることによって、同様にサンプリング周期sに応じて書き込むあるいは読み出すラインメモリ3Mを選択することができる。
【0113】
このように、CRTテレビ受像機等に表示する映像信号の歪みを補正する際に、補正用データ供給部に記憶された補正用データの一部を先読みして必要なデータ量だけ補正用データメモリに書き込み、当該補正用データを用いて順次補正用データの補間演算を行うことにより、最小限の記憶容量の補正用データメモリで画像歪み補正装置を構成することができる。また、比較的容易な回路構成で実現することができ、実用上きわめて有利なものである。また、歪み補正の状態を変えるために補正用データメモリに読み込まれる補正用データを変更する必要がある場合等でも、歪み補正の動作を継続した状態で補正用データの変更を行うことが可能となる。つまり、補正用データの変更は、最長でも1フィールドの期間があれば、変更を完了すること可能であり、迅速な変更が可能となる。これによって、補正用データ供給部に複数の画面モードの変化に対応した補正用データを記憶することによって、例えば、水平または垂直の偏向周波数が変化した場合でも、補正用データ供給部から所望の最小限の補正用データを読み出すことによって、高速な歪み補正の切り替えが可能となる。また、第2の実施形態で用いた補正用データは、水平方向および垂直方向に一定の間隔をおいてサンプリングしたデータが用いられているため、補正用データ供給部から補正用データメモリへのデータ転送量を削減することが可能となり、水平同期パルスと同期して1走査線分の補正用データを供給する必要がないため、さらに低速な補正用データ供給部を用いた構成が可能となる。つまり、補正用データ供給部を含めたシステムのコストを低減することが可能となる。
【0114】
また、第2の実施形態に係る画像歪み補正装置10では、補正用データ供給部1にシリアルインターフェースのメモリを用いること可能である。一般的に、補正用データ供給部1をシリアルインターフェースで構成した場合、パラレル接続で構成する場合と比べて低速になる。つまり、補正用データ供給部1自体の読み出し速度が、入力映像信号Dinのデジタル処理に必要なクロック周波数と比べると、低速なものとなってしまう。しかし、第2の実施形態における補正用データ供給部1に記憶する補正用データDcは、水平および垂直方向に一定の間隔でサンプリングされ記憶されているため、補正用データ供給部1から補正用データメモリ3へのデータ転送速度が低速でもかまわず、シリアルインターフェースの補正用データ供給部1の最大データ転送速度を考慮した補正用データDcのデータ量を補正用データ供給部1に記憶することで、シリアルインターフェースで構成された補正用データ供給部1を用いることが可能となる。したがって、補正用データ供給部1にシリアルインターフェースのメモリを用いることにより、部品の実装面積および補正用データメモリ3への補正用データDcの転送に必要となるデータ線の本数を減らすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1および第2の実施形態に係る画像歪み補正装置10の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係る図1の補正用データ供給部1、補正用データメモリ3、および補正用データ補間回路5で用いられる補正用データDcを説明する図である。
【図3】図1の補正用データメモリ3の詳細な構造を示す図である。
【図4】第1の実施形態に係る図1の補正用データメモリ3で書き込まれるメモリ領域および読み出されるメモリ領域の詳細について説明する図である。
【図5】第2の実施形態に係る図1の補正用データ供給部1、補正用データメモリ3、および補正用データ補間回路5で用いられる補正用データDcを説明する図である。
【図6】第2の実施形態に係る図1の補正用データメモリ3で書き込まれるメモリ領域および読み出されるメモリ領域の詳細について説明する図である。
【図7】従来の画像表示補正装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図8】補正用データDcを説明するための図である。
【符号の説明】
1…補正用データ供給部
2…メモリ書き込み制御回路
3…補正用データメモリ
31…書き込み選択制御回路
32…読み出し選択制御回路
3M…ラインメモリ
4…メモリ読み出し制御回路
5…補正用データ補間回路
6…補正演算部
7…CRT
10…画像歪み補正装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、映像信号を元に画像をCRTテレビ受像機等に表示する際に生じる歪みを補正する画像歪み補正装置、およびそのための補正用データを作成する補正用データ作成装置、並びにその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、映像信号を元に画像をCRT(Cathode Ray Tube:陰極線管、ブラウン管)テレビ受像機等に表示する際に生じる歪みに対する、直線性歪み補正やピンクション歪み補正等の偏向歪み補正は、水平偏向回路において行われてきた。しかし、近年、CRTの薄型化や大型化によって、これらの偏向歪みの量が大きくなる傾向にあり、このような大きな歪みの補正を上記水平偏向回路によって行うことは、水平偏向回路の大型化、部品点数の増大、および消費電力の増大等の問題が発生する。
【0003】
そこで、上記水平偏向回路によって補正しきれない歪みを、信号処理により保証する方法が、特願平11−17572号公報等で開示されている。以下、図7を参照して、当該公報で開示された画像表示補正装置について説明する。
【0004】
図7は、上記画像表示補正装置において予め生成された補正用データを用いて入力映像信号を補正演算する構成を示す機能ブロック図である。なお、図7では、本発明に関わる機能ブロックについてのみ示し、他の処理ブロックについては図示を省略する。図7において、上記画像表示補正装置は、補正用データ供給部101、メモリ書き込み制御回路102、補正用データメモリ103、メモリ読み出し制御回路104、補正演算部105、およびCRT106を備えている。メモリ書き込み制御回路102は、入力映像信号Dinに同期した同期パルスPs等に基づいて、その入力映像信号Dinに応じた補正用データDcを供給するように補正用データ供給部101に指示する。補正用データ供給部101は、CRT106に対して予め生成された補正用データDcを、メモリ書き込み制御回路102の指示に基づいて補正用データメモリ103に供給し書き込む。補正用データメモリ103は、補正用データ供給部101から供給される1画面分の補正用データDcを格納する。メモリ読み出し制御回路104は、同期パルスPsに基づいて現在入力映像信号Dinの補正演算に必要な補正用データDcを補正用データメモリ103から読み出し、補正演算部105に供給する。補正演算部105は、CRT106の画素毎に対応させて補正用データメモリ103に格納された補正用データDcを用いて、入力映像信号Dinの補正演算を行うことによって偏向歪み補正を行い、当該補正後の入力映像信号をCRT106に出力する。そして、CRT106では、偏向歪みが補正された映像が表示される。
【0005】
ここで、図8を参照して、上記画像表示補正装置で用いられる補正用データDcについて説明する。なお、図8は、CRT106に表示される画像をその座標に関連させて示している。図8において、画像200aは、本来CRT106に表示されるべき画像(図8の破線で示す部分)であり、画像200bは、未補正でCRT106に表示される歪みを伴う画像(図8で実線で示す部分)の一例である。つまり、上述した歪みは、これらの画像200aおよび200bとの差分によって表すことができる。例えば、CRT106に本来表示されるべき画像200aにおける任意の画素Msの位置を、座標Ms(v,w)で示す。この画素Msは、未補正でCRT106に表示される歪みを伴う画像200bにおいては、画素Aに対応し、その座標はA(ia,ja)である。このような補正前後の座標関係を、それぞれの画素毎にアドレス情報Ms(v,w)=A(ia,ja)となるよう、移動量等の補正に用いるデータが補正用データDcに設定される。つまり、補正用データDcは、画像200aおよび200bとの差分を、それぞれの画素間の移動量で求められる。なお、典型的には、映像信号を元に表示される画像における画素に対応した1画面全画素分の補正用データDcが、予めCRT106毎に設定される。また、上記歪みがRGB色毎に異なる場合、それぞれのRGB色毎に補正用データDcが設定される。
【0006】
上述した補正用データDcは、一例として、映像信号を元に表示される画像における全ての画素毎に設定される。他の例としては、補正用データDcは、上記画像を複数の領域に分割し、各分割領域毎の代表画素にのみ設定され、それ以外の画素における補正用データは、代表画素の補正用データDcから推測する方法もある。
【0007】
補正演算部105は、上述のように予め設定された補正用データDcを用いて、入力映像信号Dinを補正演算することによって、CRT106に本来表示されるべき画像200aが表示できるようにする。このとき、補正演算部105では、補正用データDcに基づいて、入力映像信号Dinに対してCRT106で発生する歪み特性(図8の画像200aから画像200bへの変形)とは逆方向に変形するような補正演算が行われる。つまり、補正演算部105によって、CRT106が有している歪み特性とは逆方向に予め入力映像信号Dinが歪められることによって、CRT106が有している歪み特性と相殺され、結果的にCRT106に本来表示されるべき画像200aを表示することができる。
【0008】
なお、上述したように、補正用データDcが上記分割領域毎の代表画素にのみ設定されている場合は、補正演算部105で入力映像信号Dinを補正演算する前に、上記代表画素に設定されている補正用データDcに対して、予め線形補間等を行うことによって、それ以外の画素における補正用データが推定して求められる。そして、補正演算部105は、補間されることによってCRT106で表示される全ての画素毎に求められた補正用データを用いて、上述した入力映像信号Dinの補正演算を行う。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、補正用データ供給部101には、一般的には、フラッシュメモリ等の固定メモリが用いられ、補正用データメモリ103には、補正演算部105のアクセス速度を高めるために高速な記憶媒体としてDRAM(Dynamic Random Access Memory)等が用いられる。したがって、入力映像信号Dinに同期して補正用データメモリ103から補正演算部105に補正用データDcを出力する速度に対して、補正用データ供給部101が補正用データメモリ103に補正用データDcを書き込む速度が遅くなるため、補正用データメモリ103には1画面分の補正用データDcを格納できる容量を確保する必要がある。つまり、補正用データメモリ103には、典型的には、映像信号を元に表示される画像における全ての画素に対応した1画面全画素分の補正用データDcが格納される。また、補正演算部105が各画素のRGB色に対して別々に補正演算する場合、それぞれRGB色別々の補正用データDcが格納される。したがって、このような場合、補正用データメモリ103には、1画面全画素分の補正用データDcを格納するための大容量メモリが必要となるため、コストアップの原因となる。また、上述したように、補正用データメモリ103から読み出された補正用データDcを別の機能ブロック(図示せず)を設けて線形補間等を行うことによって、補正用データメモリ103にサンプリングされた代表画素に対応した補正用データDcのみを格納し、補正用データDcの総量を削減することもできるが、この場合も1画面分の補正用データDcを格納する容量が必要である。
【0010】
また、補正用データ供給部101が補正用データメモリ103に補正用データDcを書き込む処理は、当該画像表示補正装置の電源ON時等に行われ、その後、水平偏向周波数または垂直偏向周波数が変化(以下、画面モード変化とする)した場合等、その画面モードに応じた新たな補正用データDcを補正用データメモリ103に書き込む必要がある場合に行われる。このような補正用データメモリ103に補正用データDcを書き込む処理は、現在、補正演算部105で行われている補正演算に影響を与えない期間に行われ、一般的には、垂直帰線期間等の補正用データDcが変化しても問題が発生しない期間が用いられる。しかし、補正用データ供給部101が補正用データメモリ103に1画面分の補正用データDcを書き込む処理速度が遅く上記期間中に書き込み処理が完了しない場合、上記補正演算が正常に動作しないため、偏向歪みが補正されていない映像がCRT106に表示されたり、CRT106の表示画面を消去する処理(ブラックアウト)等を行う必要がある。このような状態を防止するために、別の補正用データメモリを設け、画面モードの変化時に書き込むべき補正用データを予め別の補正用データメモリに格納し、上記垂直帰線期間等に補正用データを読み出すメモリを変更する等を行うことも可能であるが、結果的に、補正用データを格納するためのコストが増加することになる。
【0011】
なお、これらの課題は、補正用データ供給部101の処理速度を高速にすることにより解決することができるが、一般的に高速な補正用データ供給部101は、データおよびアドレス制御等もパラレルインターフェースを用いたハードウェア構成になるため、回路構成が複雑になり、非常に高価であるため、コストアップとなる。
【0012】
また、上述した補正用データDcは、一般的には、予め補正用データ作成装置によって、CRT106に表示された画像を撮像し、この撮像された画像と適正に表示されるべき基準画像とを比較することによって、それぞれCRT106毎に作成される。つまり、上述した撮像や基準画像との比較等の処理で高周波歪み等の影響で、誤差を有する補正用データDcが作成されることも考えられる。このような誤差を有する補正用データDcを用いて、補正演算部105が入力映像信号Dinを補正した場合、CRT106に表示される画像に対しても、誤差を有した補正が行われることになる。これは、上述した代表画素の補正用データDcを用いた補正についても、線形補間によって新たに生成される補正用データに関しては複数の代表画素の補正用データDcを用いて演算を行うため、その誤差は軽減されて生成されるが、上記代表画素の補正用データDcは、そのまま用いられるため、同様に誤差を有した補正が行われることになる。
【0013】
それ故に、本発明の目的は、低コストでCRTテレビ受像機等の画面歪みを補正し、補正誤差を軽減することのできる画像歪み補正装置、およびそのための補正用データを作成する補正用データ作成装置、並びにその方法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記目的を達成するために、本発明は、以下に述べるような特徴を有している。
第1の発明は、入力される映像信号を元にラスタスキャン方式で画像を陰極線管に表示する際に生じる歪みを補正するための画像歪み補正装置であって、
歪みを補正するための補正用データを予め画像における1画面分格納する補正用データ供給部と、
補正用データ供給部に格納された補正用データの一部を、映像信号と同期した補正に必要な走査線分先読みして記憶する補正用データメモリと、
補正用データメモリに記憶された補正用データを用いて、所定の補間演算を行うことによって少なくとも1本の走査線用の完全な補正用データを生成する補正用データ補間回路と、
補正用データ補間回路で生成された完全な補正用データを用いて、現在入力している映像信号の走査線に同期して映像信号の補正を行う補正演算部とを備える。
【0015】
第1の発明によれば、映像信号を元に陰極線管テレビ受像機に表示される画像に生じる歪みを補正する際に、補正用データ供給部に格納された1画面分の補正用データの一部を、必要なデータ量だけ先読みして補正用データメモリに書き込み、当該補正用データを用いて順次補正用データの補間演算を行うことにより、最小限の記憶容量の補正用データメモリでコスト低減された画像歪み補正装置を構成することができる。また、歪み補正の状態を変えるために補正用データメモリに書き込まれる補正用データを変更する必要がある場合等でも、補正用データの変更は、最長でも1フィールドの期間があれば、変更を完了すること可能であり、迅速な変更が可能となる。
【0016】
第2の発明は、第1の発明に従属する発明であって、
補正用データメモリは、少なくとも補正用データ供給部に格納された1本の走査線分の補正用データが記憶可能な複数の記憶領域に分割され、当該記憶領域にはそれぞれ1本の走査線分の補正用データが記憶され、
さらに、映像信号に含まれる水平同期パルスに応じて、補正用データ供給部に補正用データを供給させるための補正用データ供給要求信号を出力し、かつ補正用データメモリに供給された補正用データを書き込む記憶領域を指定するための書き込み領域選択信号を出力するメモリ書き込み制御回路と、
水平同期パルスに応じて、補正用データメモリに記憶された補正用データを補正用データ補間回路に読み出す記憶領域を指定するための読み出し領域選択信号を出力するメモリ読み出し制御回路とを備える。
【0017】
第2の発明によれば、映像信号を元に陰極線管テレビ受像機に表示される画像に生じる歪みを補正する際に、補正用データ供給部に記憶された1画面分の補正用データの一部を映像信号の水平同期パルスに同期させて補正に必要なデータ量だけ補正用データメモリに書き込み、当該補正用データを用いて順次補正用データの補間演算を行うことにより、最小限の記憶容量の補正用データメモリで画像歪み補正装置を構成することができる。また、歪み補正の状態を変えるために補正用データメモリに書き込まれる補正用データを変更する必要がある場合等でも、補正用データの変更は、上記水平同期パルスに同期させて最長でも1フィールドの期間があれば、変更を完了すること可能であり、迅速な変更が可能となる。また、比較的容易な回路構成で実現することができ、実用上きわめて有利なものである。
【0018】
第3の発明は、第2の発明に従属する発明であって、
補正用データメモリの複数の記憶領域は、それぞれラインメモリで構成されることを特徴とする。
【0019】
第3の発明によれば、補正用データメモリを複数のラインメモリで構成することによって、シングルポートまたはデュアルポートの一般的なメモリを用いることに比べて、書き込みおよび読み出しの制御回路を簡略化することが可能となる。
【0020】
第4の発明は、第2の発明に従属する発明であって、
メモリ書き込み制御回路が書き込み領域選択信号で指定する補正用データメモリの記憶領域と、メモリ読み出し制御回路が読み出し領域選択信号で指定する補正用データメモリの記憶領域とは、異なる記憶領域が指定される。
【0021】
第4の発明によれば、映像信号の水平同期パルスと同期して、補正用データの書き込みおよび補正に必要な補正用データの読み出しを同時に行うことができる。
【0022】
第5の発明は、第4の発明に従属する発明であって、
補正用データ供給部に格納されている補正用データは、画像における走査線方向に所定の間隔を有した代表画素に対する走査線毎のデータであり、
メモリ書き込み制御回路は、水平同期パルスと同期して、補正用データ供給要求信号によって1本の走査線分の補正用データを供給する指示を出力し、かつ補正用データメモリに供給された1本の走査線分の補正用データを記憶させる領域として、書き込み領域選択信号によって水平同期パルスと同期して順次別の記憶領域の1つを選択して指定する。
【0023】
第5の発明によれば、補正用データ供給部から補正用データメモリへ供給するデータ量が低減されるため、比較的低速な補正用データ供給部を用いることが可能となり、さらに画像歪み補正装置のコスト低減が可能である。
【0024】
第6の発明は、第5の発明に従属する発明であって、
補正用データ補間回路は、読み出し領域選択信号で指定された複数の記憶領域に記憶された補正用データを用いて、補間演算を行うことによって、画像の代表画素および非代表画素を含む全ての画素を対象にして新たに補正用データを再生成して1本の走査線用の完全な補正用データを生成する。
【0025】
第6の発明によれば、予め格納された補正用データに撮像や基準画像との比較等の処理で高周波歪み等の影響で誤差が生じている場合、当該補正用データも補間演算することによって再生成されるため、誤差が拡散され歪み補正精度を向上させることが可能である。
【0026】
第7の発明は、第4の発明に従属する発明であって、
補正用データ供給部に格納されている補正用データは、画像における所定の走査線間隔毎に、かつ走査線方向に所定の間隔を有した代表画素に対する格子状のデータであり、
メモリ書き込み制御回路は、所定の走査線間隔毎の水平同期パルスと同期して、補正用データ供給要求信号によって1本の走査線分の補正用データを供給する指示を出力し、かつ補正用データメモリに供給された1本の走査線分の補正用データを記憶させる領域として、書き込み領域選択信号によって順次別の記憶領域の1つを選択して指定する。
【0027】
第7の発明によれば、補正用データ供給部から補正用データメモリへ供給するデータ量がさらに低減され、水平同期パルスと同期して1走査線分の補正用データを供給する必要がないため、さらに低速な補正用データ供給部を用いることが可能となる。つまり、補正用データ供給部を含めたシステムのコストを低減することが可能となる。
【0028】
第8の発明は、第7の発明に従属する発明であって、
補正用データ補間回路は、読み出し領域選択信号で指定された複数の記憶領域に記憶された補正用データを用いて補間演算を行うことによって、画像の代表画素および非代表画素を含む全ての画素を対象にして新たに補正用データを再生成して1本の走査線用の完全な補正用データを生成する。
【0029】
第8の発明によれば、予め格納された補正用データに撮像や基準画像との比較等の処理で高周波歪み等の影響で誤差が生じている場合、当該補正用データも補間演算することによって再生成されるため、誤差が拡散され歪み補正精度を向上させることが可能である。
【0030】
第9の発明は、第7の発明に従属する発明であって、
補正用データ供給部は、補正用データメモリへの読み出しがシリアルインターフェースのメモリで構成されることを特徴とする。
【0031】
第9の発明によれば、補正用データ供給部にシリアルインターフェースのメモリを用いることにより、部品の実装面積および補正用データメモリへの補正用データの供給に必要となるデータ線の本数を減らすことが可能となる。
【0032】
第10の発明は、第2の発明に従属する発明であって、
メモリ書き込み制御回路が書き込み領域選択信号で指定する補正用データメモリの記憶領域と、メモリ読み出し制御回路が読み出し領域選択信号で指定する補正用データメモリの記憶領域とは、映像信号に基づいた所定のタイミングで初期化される。
【0033】
第10の発明によれば、ノイズ等により、書き込み領域選択信号と読み出し領域選択信号とのタイミングが乱された場合でも、所定の期間で初期化されることにより再びタイミングを合わせることが可能となる。
【0034】
第11の発明は、第2の発明に従属する発明であって、
補正用データ供給部に格納される補正用データは、映像信号の複数の映像方式に基づいてそれぞれ別に格納されており、
補正用データ供給部は、入力された映像信号の映像方式に応じた補正用データを補正用データメモリに供給する。
【0035】
第11の発明によれば、補正用データ供給部に複数の映像方式に対応した補正用データを記憶することによって、水平または垂直の偏向周波数が変化した場合でも、補正用データ供給部から所望の映像方式に応じた最小限の補正用データを読み出すことによって、高速な歪み補正の切り替えが可能となる。
【0036】
第12の発明は、第11の発明に従属する発明であって、
メモリ書き込み制御回路が書き込み領域選択信号で指定する補正用データメモリの記憶領域と、メモリ読み出し制御回路が読み出し領域選択信号で指定する補正用データメモリの記憶領域とは、映像信号に含まれる垂直帰線期間で初期化され、そして、
メモリ書き込み制御回路は、補正用データ供給部に対して、垂直帰線期間直後の走査線の補正に必要な入力された映像信号の映像方式に応じた補正用データを補正用データメモリに供給させ、垂直帰線期間中に補正用データメモリへの供給を完了させるための補正用データ供給要求信号を出力する。
【0037】
第12の発明によれば、垂直帰線期間に補正用データ供給部から補正用データメモリに必要な補正用データを書き込むことにより、映像方式に応じた補正用データに変更する必要がある場合に、さらに迅速に歪み補正処理の動作を継続した状態で補正用データの変更を行うことが可能となる。上記垂直帰線期間において、補正用データ供給部で映像方式が変化する前に読み出していた記憶領域から、新しい記憶領域に制御を切り替えることにより、映像方式に対応した補正用データを迅速に補正用データメモリに供給することができ、歪み補正処理の誤動作なしに敏速に映像方式に対応した歪み補正処理を行うことが可能となる。
【0038】
第13の発明は、入力される映像信号を元にラスタスキャン方式で画像を陰極線管に表示する際に生じる歪みを補正するための補正用データを作成する画像歪み補正用データ作成装置であって、
少なくとも画像における代表画素に対する補正用データを1画面分格納する補正用データ格納部と、
補正用データ格納部に格納された補正用データを用いて補間演算を行うことによって、画像の代表画素および非代表画素を含む全ての画素を対象にして新たに補正用データを再生成する補正用データ再生成部とを備える。
【0039】
第13の発明によれば、予め格納された補正用データに撮像や基準画像との比較等の処理で高周波歪み等の影響で誤差が生じている場合、当該補正用データも補間演算することによって再生成されるため、誤差が拡散され歪み補正精度を向上させることが可能である。
【0040】
第14の発明は、入力される映像信号を元にラスタスキャン方式で画像を陰極線管に表示する際に生じる歪みを補正するための補正用データを作成する画像歪み補正用データ作成方法であって、
少なくとも画像における代表画素に対する補正用データを1画面分格納する補正用データ格納ステップと、
補正用データ格納ステップで格納された補正用データを用いて補間演算を行うことによって、画像の代表画素および非代表画素を含む全ての画素を対象にして新たに補正用データを再生成する補正用データ再生成ステップとを含む。
【0041】
第14の発明によれば、予め格納された補正用データに撮像や基準画像との比較等の処理で高周波歪み等の影響で誤差が生じている場合、当該補正用データも補間演算することによって再生成されるため、誤差が拡散され歪み補正精度を向上させることが可能である。
【0042】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像歪み補正装置10の構成を示す機能ブロック図である。なお、図1では、本発明に関わる機能ブロックについてのみ示し、他の処理ブロックについては図示を省略する。
【0043】
図1において、画像歪み補正装置10は、補正用データ供給部1、メモリ書き込み制御回路2、補正用データメモリ3、メモリ読み出し制御回路4、補正用データ補間回路5、および補正演算部6を備えている。そして、画像歪み補正装置10は、入力映像信号Dinおよびその入力映像信号Dinに同期した同期パルスPsを受信し、当該画像歪み補正装置10で入力映像信号Dinを補正した後、CRT(Cathode Ray Tube:陰極線管、ブラウン管)7に出力される。
【0044】
補正用データ供給部1は、一般的には、フラッシュメモリ等の固定メモリが用いられ、CRT7に対して予め生成された補正用データDcを格納している。そして、補正用データ供給部1は、後述するメモリ書き込み制御回路2の補正用データ供給要求信号Rsに基づいて、現在の画面モードおよび水平走査ラインに応じた補正用データDcを、書き込み補正用データDcwとして補正用データメモリ3に供給する。なお、補正用データDcおよび書き込み補正用データDcwの詳細な説明は、後述する。
【0045】
メモリ書き込み制御回路2は、入力映像信号Dinに同期した同期パルスPs等に基づいて、その入力映像信号Dinおよび同期パルスPsに応じた補正用データDcを補正用データメモリ3に供給するように、補正用データ供給部1に補正用データ供給要求信号Rsを出力する。また、メモリ書き込み制御回路2は、補正用データ供給部1から供給された書き込み補正用データDcwに対して、その書き込み領域を選択する書き込み領域選択信号Rwおよびその領域における書き込みアドレスを指定する書き込みアドレス指定信号Awを補正用データメモリ3に出力する。また、メモリ書き込み制御回路2からは、書き込み領域選択信号Rwとして、入力映像信号Dinの垂直同期信号等と同期してリセット信号が出力される。
【0046】
メモリ読み出し制御回路4は、入力映像信号Dinに同期した同期パルスPs等に基づいて、補正用データメモリ3に対して書き込まれた補正用データDcから読み出す領域を選択する読み出し領域選択信号Rrおよびその領域における読み出しアドレスを指定する読み出しアドレス指定信号Arを出力する。また、メモリ読み出し制御回路4からは、読み出し領域選択信号Rrとして、入力映像信号Dinの垂直同期信号等と同期してリセット信号が出力される。
【0047】
補正用データメモリ3は、その書き込み速度が補正用データ供給部1のデータ供給速度より高速であり、その読み出し速度も補正用データ補間回路5および補正演算部6のアクセス速度を高めるために高速な記憶媒体が用いられる。なお、補正用データメモリ3の詳細な構造は、後述する。補正用データメモリ3は、補正用データ供給部1から供給される書き込み補正用データDcwを、メモリ書き込み制御回路2から指示される書き込み領域選択信号Rwに応じたメモリ領域に、書き込みアドレス指定信号Awで指定されたアドレスに対応して書き込む。また、補正用データメモリ3は、メモリ読み出し制御回路4から指示される読み出し領域選択信号Rrに応じたメモリ領域から、読み出しアドレス指定信号Arで指定されたアドレスに対応して、そのメモリ領域に書き込まれている補正用データDcを読み出し補正用データDcrとして読み出し、補正用データ補間回路5に並列で出力する。なお、読み出し補正用データDcrの詳細な説明は、後述する。
【0048】
補正用データ補間回路5は、補正用データメモリ3から並列で読み出された読み出し補正用データDcrを用いて、内挿あるいは外挿補間等の所定の線形補間を行うことによって、現在受信している入力映像信号Dinの水平走査線に対応して、当該水平走査線に含まれる全画素分の補正用データを演算し、補間補正用データDciとして補正演算部6に供給する。なお、補正用データ補間回路5で行う補間処理の詳細については、後述する。
【0049】
補正演算部6は、補正用データ補間回路5から供給される補間補正用データDciを用いて、入力映像信号Dinを補正演算することによって、CRT7に本来表示されるべき画像200a(図8参照)が表示できるようにする。このとき、補正演算部6では、補間補正用データDciに基づいて、入力映像信号Dinに対してCRT7で発生する水平方向の歪み特性とは逆方向に変形するような補正演算が行われる。つまり、補正演算部6によって、CRT7が有している水平方向の歪み特性とは逆方向に予め入力映像信号Dinが歪められることによって、CRT7が有している水平方向の歪み特性と相殺され、結果的にCRT7に本来表示されるべき画像200aを表示する。このように、補正演算部6は、補間補正用データDciを用いて、入力映像信号Dinの水平または垂直位置をラインメモリまたはフレームメモリ等を用いて逐次変移させることにより、映像信号の歪み補正演算を行う。また、補正演算部6は、CRT7の水平または垂直偏向電流を変調することによっても入力映像信号Dinの歪み補正演算を行うことが可能となる。
【0050】
次に、本実施形態に係る画像歪み補正装置で用いられる補正用データDcについて説明する。CRT7は、入力映像信号Dinを未補正で表示した場合、本来表示されるべき画像200a(図8参照)に対して、歪みを伴った画像200b(図8参照)を表示する。したがって、画像200bに生じる歪みは、これらの画像200aおよび200bとの差分によって表すことができる。補正用データDcは、このような差分で表現される歪みを、それぞれの画像200aおよび200bに対応する画素間の移動量で求められる。例えば、CRT7に本来表示されるべき画像200aにおける任意の画素Msの位置を、座標Ms(v,w)で示す。この画素Msは、未補正でCRT7に表示される歪みを伴う画像200bにおいては、画素Aに対応し、その座標はA(ia,ja)であるとする。このような補正前後の座標関係を、それぞれの画素毎にアドレス情報Ms(v,w)=A(ia,ja)となるよう、移動量等の補正に用いるデータを補正用データDcに設定する。
【0051】
ここで、本実施形態の補正用データDcは、水平方向(水平走査線方向)の歪みに対してのみ設定され、表示可能な映像信号の画面モードに対応して、当該映像信号を元に表示される画像の全水平走査線を所定の複数の線分に分割し、各線分毎の代表的な画素(以下、代表画素とする)にのみ設定され、他の画素に対しては削減されている。これは、互いの距離が近い場所に位置する画素に対する上記補正用データDcは、それらの画素間で大きな変動はないため、そのことを利用して予め上記代表画素のみに補正用データDcを付与し、それ以外の画素の削減された補正用データDcは、上記代表画素の補正用データDcから推測することができるためである。そして、上記映像信号を元に表示される画像の代表画素に対応した1画面分の補正用データDcが、水平走査線毎に補正用データ供給部1に予め格納される。また、上記歪みがRGB色毎に異なる場合、それぞれのRGB色毎に補正用データDcが設定される。なお、補正用データDcは、予め補正用データ作成装置等によって、表示された画像を撮像し、この撮像された画像と適正に表示されるべき基準画像とを比較することによって作成されるが、この作成方法は、既に公知であるため、これ以上の説明を省略する。
【0052】
次に、図2を参照して、補正用データ供給部1、補正用データメモリ3、および補正用データ補間回路5で用いられる補正用データDcについて説明する。図2において、受信している入力映像信号Dinの水平偏向周波数および垂直偏向周波数等で表現される映像形式(以下、画面モードとする)がn本の水平走査線L1〜Lnで構成され、現在、水平走査線Lx(xは、n以下の自然数)の入力映像信号Dinをその同期パルスPsとしての水平同期パルスPshと同期して受信しているとする。また、補正用データ補間回路5は、水平走査線Lxの補正の為に用いられる補間補正用データDciを補間処理によって生成するために、水平走査線Lxおよびその前後i本(iは、0以上の整数)に対応した補正用データDcを用いるものとする。なお、ここでは説明を簡単にするために、上述した歪みがRGB色毎に異なり、それぞれのRGB色毎に補正用データDcが設定されている場合でも、その代表色(例えば、R色)で用いられる補正用データDcを説明する。
【0053】
補正用データ供給部1には、複数の画面モードに応じて、上述したように水平走査線L1〜Ln毎に設定された上記代表画素に対応した1画面分の補正用データDcが、水平走査線L1〜Lnに対応して予め格納されている。図2における補正用データ供給部1の補正用データDcは、現在受信している画面モードの補正用データDcのみを示しており、上述した歪みを補正する画素の移動量が記述された上記代表画素を黒丸で示し、他の補正用データDcが削減された画素を×印で示している。
【0054】
メモリ書き込み制御回路2は、水平走査線Lxの入力映像信号Dinをその水平同期パルスPshと同期して受信した場合、補正用データ供給要求信号Rsによって、水平走査線Lx+i+1に対応した補正用データDcを供給する指示を補正用データ供給部1に上記水平同期パルスPshと同期して出力する。つまり、メモリ書き込み制御回路2は、現在受信している水平走査線Lxに対して、i+1本分先読みした水平走査線Lx+i+1に対応した補正用データDcを供給する指示をする。補正用データ供給部1は、メモリ書き込み制御回路2から出力された補正用データ供給要求信号Rsに基づいて、水平走査線Lx+i+1に対応した補正用データDcを書き込み補正用データDcwとして補正用データメモリ3に供給する。
【0055】
補正用データメモリ3は、m個のメモリ領域を有している。補正用データメモリ3は、補正用データ供給部1から供給される水平走査線Lx+i+1に対応した書き込み補正用データDcwを、メモリ書き込み制御回路2から指示される上記書き込み領域選択信号Rwに応じて、m個のメモリ領域から書き込むメモリ領域を選択し、上記書き込みアドレス指定信号Awで指定されたアドレスに対応して当該書き込み補正用データDcwを書き込む。なお、上記書き込むメモリ領域の選択は、水平同期パルスPshの受信と連動して、順次異なったメモリ領域が選択されるが、メモリ領域および選択される書き込み領域の詳細については、後述する。
【0056】
一方、既に、補正用データメモリ3には、直前に受信した水平走査線Lx−2i−1〜Lx−1の入力映像信号Dinに同期した水平同期パルスPshによって、上記と同様にそれぞれ異なったメモリ領域に水平走査線Lx−i〜Lx+iに対応した書き込み補正用データDcwが書き込まれている。メモリ読み出し制御回路4は、水平走査線Lxの入力映像信号Dinをその水平同期パルスPshと同期して受信したとき、補正用データメモリ3に対して、読み出し領域選択信号Rrによって、水平走査線Lx−i〜Lx+iに対応した補正用データDcが書き込まれたメモリ領域を読み出し領域として指示する。そして、補正用データメモリ3は、メモリ読み出し制御回路4から出力された読み出し領域選択信号Rrで指定されたメモリ領域に書き込まれている水平走査線Lx−i〜Lx+iに対応した補正用データDcを、読み出しアドレス指定信号Arで指定されたアドレスに対応して読み出し補正用データDcrとして読み出し、補正用データ補間回路5に並列で出力する。なお、選択される読み出し領域の詳細については、後述する。
【0057】
ここで、上述した補正用データメモリ3の書き込み補正用データDcwの書き込みおよび読み出し補正用データDcrの読み出しは、水平同期パルスPshと同期して同時に行われる。つまり、補正用データメモリ3では、上記書き込みが行われるメモリ領域と上記読み出しが行われるメモリ領域とは、別のメモリ領域が使用される。また、補正用データメモリ3では、1つのメモリ領域に対して1本の水平走査線Lに対応した補正用データDcが書き込まれるため、メモリ領域の個数mは、
m≧2i+2
で設定される。なお、補正用データメモリ3が有するm個のメモリ領域を効率よく利用し、上述した書き込みおよび読み出し領域の選択を簡単にするためには、書き込みを行う1つのメモリ領域以外のメモリ領域を全て読み出し領域に設定することが望ましい。この場合、補正用データメモリ3が有するメモリ領域の個数mは、
m=2i+2
で設定される。
【0058】
補正用データ補間回路5は、補正用データメモリ3から並列で読み出された水平走査線Lx−i〜Lx+iに対応した読み出し補正用データDcrを用いて、所定の補間処理を行うことによって、水平同期パルスPshと同期して水平走査線Lxの全画素に対応した補正用データを補間補正用データDciとして演算する。例えば、補正用データ補間回路5の補間処理は、入力された水平走査線Lx−i〜Lx+iに対応した読み出し補正用データDcrを用いて、水平方向に内挿処理を行い、垂直方向には帯域制限をかけることにより、入力映像信号Dinにおける水平走査線Lxの全画素に対応した補間補正用データDciを逐次生成する。この補正用データ補間回路5で行われる補間処理で用いられる補間式は、ニュートンの補間式、ラグランジュの補間式、あるいはスプライン関数等の既に公知の方法を用いればよい。
【0059】
この補間処理によって、補正用データ補間回路5では、補正用データDcが削減されていた画素に対して、補正用データが新たに補間され生成される(図2の白丸印)。また、上述した補正用データ補間回路5で用いられる補間式が補間に用いるサンプル点(原点)に固定されない曲線を計算する場合(例えば、Bスプライン関数等)、補正用データDcが設定されている上記代表画素(原点)の補正用データDcも、その代表画素の垂直方向に配置されている他の補正用データDcによって互いに影響を及ぼしながら再生成される。つまり、上記代表画素および非代表画素を含む全ての画素を対象として、新たな補正用データが上記補間処理によって再生成される。例えば、予め行われる補正用データDcの設定において、撮像や基準画像との比較等の処理で高周波歪み等の影響で誤差が生じ、その誤差が上記代表画素の補正用データDcの1つに含まれていた場合、その誤差によって当該補正用データDcは垂直方向に配置されている他の補正用データDcと比較すると異なった傾向を示す。このような誤差は、上述した垂直方向における補間処理によって拡散された補間補正用データDciとして再生成されるため、歪み補正精度を向上させることが可能である。なお、i=0、つまり1本の水平走査線に対応する補正用データDcを用いて上記補間処理を行う場合は、補正用データ補間回路5における上記垂直方向の処理は必要ない。
【0060】
なお、補正用データ供給部1に予め格納する水平走査線L1〜Lnに対応した補正用データDcは、水平走査線L1〜Lnの降順に記述しなくてもかまわない。例えば、上記リセット信号が入力映像信号Dinの垂直同期信号と同期して出力される場合、そのリセット時に補正用データメモリ3に供給する水平走査線用の補正用データDc(つまり、水平走査線Li+2の補正用データDc)を最上位領域に記述しておけば、上記リセット時に補正用データ供給部1から供給される補正用データDcの選択も最上位領域にリセットすることができる。つまり、補正用データ供給部1に格納される補正用データDcを、最上位領域から水平走査線Li+2〜LnおよびL1〜Li+1の順に記述すれば、補正用データ供給部1から供給される補正用データDcの選択を容易に行うことができる。
【0061】
次に、図3を参照して、補正用データメモリ3の詳細な構造について説明する。図3において、補正用データメモリ3は、m個のFIFO(First−InFirst−Out)型のラインメモリ3M1〜3Mm、書き込み選択制御回路31、および読み出し選択制御回路32を備えている。なお、m個のラインメモリ3M1〜3Mmを総称する場合は、ラインメモリ3Mと記載する。m個のラインメモリ3Mは、それぞれのラインメモリに対して少なくとも上述した1本の水平走査線用の補正用データDcが記述可能な記憶容量を有している。
【0062】
書き込み選択制御回路31は、上述したメモリ書き込み制御回路2から出力される書き込み領域選択信号Rwに応じて、m個の書き込みイネーブル(enable)制御信号Ew1〜Ewmからいずれか1つを選択し、選択された書き込みイネーブル制御信号Ew1〜Ewmを関連するラインメモリ3M1〜3Mmに出力することによって、出力先のラインメモリ3M1〜3Mmをイネーブル状態にする。この書き込み選択制御回路31の選択方式は、書き込み領域選択信号Rwが入力される毎に、順次書き込みイネーブル制御信号Ew1〜Ewmが選択される。つまり、m個のラインメモリ3Mは、それぞれのラインメモリに対して少なくとも上述した1本の水平走査線用の補正用データDcが記述可能な記憶容量を有しており、水平同期パルスPshと同期して出力される書き込み領域選択信号Rwが入力される毎に、順次1個のラインメモリがイネーブル状態にされるため、1水平走査期間に同期して、順次1水平走査線用の補正用データDcが記述可能なメモリ領域がイネーブル状態になることになる。
【0063】
例えば、書き込み選択制御回路31において、書き込みイネーブル制御信号Ewxが選択され、ラインメモリ3Mxがイネーブル状態である場合を考える。その状態で、書き込み選択制御回路31に新たな書き込み領域選択信号Rwが入力した場合、書き込み選択制御回路31は、次の書き込みイネーブル制御信号Ewx+1を選択して、ラインメモリ3Mx+1に出力することによって、イネーブル状態であったラインメモリ3mxをディセーブル(disable)状態にし、出力先のラインメモリ3Mx+1を新たにイネーブル状態にする。なお、書き込み制御回路31は、書き込みイネーブル制御信号Ewmが選択された後、書き込みイネーブル制御信号Ew1を選択することによって、連続した書き込み動作を継続して行う。また、書き込み領域選択信号Rwとして上記リセット信号が入力した場合、書き込み選択制御回路31は、いずれの書き込みイネーブル制御信号Ew1〜Ewmを選択していても、必ず書き込みイネーブル制御信号Ew1を選択する。
【0064】
上述したように、m個のラインメモリ3M1〜3Mmには、上述した補正用データ供給部1からの書き込み補正用データDcwが共通の入力データとして入力している。また、m個のラインメモリ3M1〜3Mmの内いずれか1つは、書き込みイネーブル制御信号によってイネーブル状態にあり、他は、ディセーブル状態である。つまり、書き込み補正用データDcwは、m個のラインメモリ3M1〜3Mmの内、書き込み可能な状態(イネーブル状態)にされた1つに書き込まれる。さらに、イネーブル状態の1つのラインメモリに対する書き込みアドレスは、上述した書き込みアドレス指定信号AwによってFIFOで制御される。つまり、書き込み補正用データDcwが書き込まれる補正用データメモリ3のメモリ領域は、メモリ書き込み制御回路2から出力される書き込み領域選択信号Rwおよび書き込みアドレス指定信号Awによって制御されることになる。なお、m個のラインメモリ3M1〜3Mmには、メモリ書き込み制御回路2から出力される書き込みアドレス指定信号Awが共通に入力されてもかまわない。書き込み不可な状態(ディセーブル状態)のラインメモリに書き込みアドレス指定信号Awが入力しても、書き込み補正用データDcwは、当該ラインメモリに書き込まれないため、結果的に、1つのイネーブル状態のラインメモリのみに書き込みアドレス指定信号Awに応じてFIFOで書き込まれることになる。
【0065】
読み出し選択制御回路32は、上述したメモリ読み出し制御回路4から出力される読み出し領域選択信号Rrに応じて、m個のラインメモリ3M1〜3Mmから読み出すラインメモリを選択する。この読み出し選択制御回路32の選択方式は、読み出し領域選択信号Rrが入力される毎に、順次読み出すラインメモリが選択される。ここで、上述した補正用データ補間回路5が、水平走査線Lxの補正の為に、水平走査線Lxおよびその前後i本に対応した補正用データDcを用いて補間補正用データDciを生成する場合、読み出し選択制御回路32が選択するラインメモリは、上述したディセーブル状態で、かつ最も書き込みが古い2i+1個が選択される。例えば、ラインメモリ3Mxがイネーブル状態で書き込まれている場合、読み出し選択制御回路32は、ラインメモリ3Mx+1〜3Mx+2i+2が選択される。なお、x+1〜x+2i+2がmより大きくなる場合、mより大きい部分に対してmを除算して(つまり、m+1は1となる)ラインメモリ3Mx+1〜3Mx+2i+2が選択される。なお、上述したように、補正用データメモリ3が有するm個のラインメモリ3M1〜3Mmを効率よく利用するために、m=2i+2で設定している場合、読み出し選択制御回路32は、ディセーブル状態であるm−1個のラインメモリ全てを選択することになる。また、読み出し領域選択信号Rrとして上記リセット信号が入力した場合、読み出し選択制御回路32は、ラインメモリ3Mm−2i−1〜3Mmを選択する。つまり、ラインメモリ3M1のイネーブル状態に合わせてリセットされる。なお、m=2i+2で設定されている場合、読み出し選択制御回路32は、上記リセット信号によってラインメモリ3M2〜3Mmを選択する。
【0066】
ここで、メモリ書き込み制御回路2およびメモリ読み出し制御回路4から、書き込み領域選択信号Rwおよび読み出し領域選択信号Rrとして、同じ垂直同期信号等と同期して出力されるリセット信号によって、一定期間ごとに、書き込むラインメモリおよび読み出すラインメモリの選択がリセットされる。これによって、ノイズ等により、書き込み領域選択信号Rwと読み出し領域選択信号Rrとのタイミングが乱された場合でも、上記リセット信号により再びタイミングを合わせることが可能となる。
【0067】
読み出し選択制御回路32によって選択された読み出すラインメモリに対する読み出しアドレスは、上述したメモリ読み出し制御回路4から出力される読み出しアドレス指定信号ArによってFIFOで制御される。そして、読み出しアドレス指定信号Arは、読み出し選択制御回路32によって選択された読み出すラインメモリへ共通に入力することによって、それぞれのラインメモリに記述された補正用データDcが読み出しアドレス指定信号Arに応じて並列に読み出し補正用データDcrとして読み出される。つまり、読み出し補正用データDcrが読み出される補正用データメモリ3のメモリ領域は、メモリ読み出し制御回路4から出力される読み出し領域選択信号Rrおよび読み出しアドレス指定信号Arによって制御されることになる。なお、m個のラインメモリ3M1〜3Mmには、メモリ読み出し制御回路4から出力される読み出しアドレス指定信号Arが共通に入力されてもかまわない。読み出す対象として選択されていないラインメモリに読み出しアドレス指定信号Arが入力しても、補正用データDcは、当該ラインメモリから読み出し補正用データDcrとして読み出されないため、結果的に、選択されたラインメモリのみから読み出しアドレス指定信号Arに応じて読み出し補正用データDcrがFIFOで並列に読み出されることになる。
【0068】
このように、補正用データメモリ3を複数のラインメモリ3Mで構成することによって、例えば、シングルポートまたはデュアルポートの一般的なメモリを用いることに比べて、書き込みおよび読み出しの制御回路を簡略化することが可能となる。
【0069】
次に、図4を参照して、補正用データメモリ3で書き込まれるメモリ領域および読み出されるメモリ領域の詳細について説明する。図4では、横欄で補正用データメモリ3を構成するm個のラインメモリ3M1〜3Mmを示し、縦欄で上記リセット信号入力以降の水平同期パルスPshの入力に応じて更新されるステップを示している。そして、上記ステップ毎に書き込まれるラインメモリおよび読み出されるラインメモリをマトリックス状に示している。なお、図4において、書き込まれるラインメモリを書き込み対象メモリとして黒塗りつぶしで示し、読み出されるラインメモリを読み出し対象メモリとして斜線パターン塗りで示している。ここで、説明を簡単にするために、補正用データメモリ3が有するm個のラインメモリ3M1〜3Mmを、m=2i+2で設定して、以下の説明を行う。
【0070】
まず、メモリ書き込み制御回路2およびメモリ読み出し制御回路4から、書き込み領域選択信号Rwおよび読み出し領域選択信号Rrとして、同じ垂直同期信号等と同期して出力されるリセット信号によって、書き込むラインメモリおよび読み出すラインメモリの選択がリセットされる(リセットステップ)。このリセットステップによって、書き込み選択制御回路31は、ラインメモリ3M1を上記書き込み対象メモリとして選択し、当該ラインメモリ3M1に1水平走査線分の書き込み補正用データDcwが書き込まれる。この時、既にラインメモリ3M1に他の補正用データDcが書き込まれている場合、書き込み補正用データDcwが上書きされることによって、最新の補正用データDcに更新される。なお、この補正用データDcの更新は、以下の書き込み処理についても、同様である。
【0071】
その後、水平同期パルスPshに同期した書き込み領域選択信号Rwの入力毎に、書き込み選択制御回路31は、上記書き込み対象メモリとして順次1つのラインメモリ3M2〜3Mm−1を選択し、それぞれ別の1水平走査線分の書き込み補正用データDcwが書き込まれる(ステップS2〜Sm−1)。
【0072】
そして、書き込み領域選択信号Rwの入力によって、書き込み選択制御回路31が上記書き込み対象メモリとしてラインメモリ3Mmを選択し、書き込み補正用データDcwを書き込む処理と同期して、読み出し選択制御回路32は、読み出し領域選択信号Rrの入力によって、ラインメモリ3M1〜3Mm−1を上記読み出し対象メモリとして選択し、それらラインメモリ3M1〜3Mm−1に記述されている補正用データDcが読み出し補正用データDcrとして並列に読み出される(ステップSm)。
【0073】
次に、書き込み領域選択信号Rwの入力によって、書き込み選択制御回路31は、上記書き込み対象メモリとして再度ラインメモリ3M1を選択する。この時、上記リセットステップにおいて、既にラインメモリ3M1には書き込み補正用データDcwが書き込まれているが、上述と同様に新たな書き込み補正用データDcwを上書きすることによって、最新の補正用データDcに更新される(ステップSm+1)。ステップSm+1では、読み出し選択制御回路32は、上記書き込み領域選択信号Rwと同期した読み出し領域選択信号Rrの入力によって、ラインメモリ3M2〜3Mmを上記読み出し対象メモリとして選択し、それらラインメモリ3M2〜3Mmに記述されている補正用データDcが読み出し補正用データDcrとして並列に読み出される。
【0074】
以降のステップでは、新たにリセット信号が入力されるまで、上記ステップSm+1と同様の処理を行う。すなわち、水平同期パルスPshに同期した書き込み領域選択信号Rwおよび読み出し領域選択信号Rrの入力毎に、書き込み選択制御回路31および読み出し選択制御回路32は、上記書き込み対象メモリとして順次1つのラインメモリ3M1〜3Mmを選択し、上記読み出し対象メモリとして書き込み対象メモリ以外のラインメモリを選択し、書き込み補正用データDcwを書き込む処理および読み出し補正用データDcrを並列に読み出す処理を行う(ステップSm+2〜S3m)。
【0075】
このように、補正用データメモリ3においては、順次入力映像信号Dinの水平同期パルスPshに同期した1水平走査線用の補正用データDcに更新され、その更新に同期して補間処理に必要な補正用データDcが並列に読み出される。
【0076】
なお、上述した説明では、上記リセットステップ〜ステップSm−1において、読み出し処理を行っていない。これは、入力映像信号Dinの水平同期パルスPshに同期していない上記リセットステップ直前の補正用データDcが書き込まれているためであり、読み出したとしても補正演算部6で行う補正処理に用いることができないためである。しかしながら、補正用データ補間回路5や補正演算部6において、同期していない補正用データDcを削除する処理を設けることによって、他のステップと同様に上記リセットステップ〜ステップSm−1において読み出し処理を行ってもかまわない。
【0077】
また、一般的に、テレビ放送等の映像信号においては、CRT7に表示される画面サイズよりも大きなサイズの映像情報が含まれている。このCRT7に表示されない映像信号の画面領域はオーバスキャン領域と呼ばれ、上述したn本の水平走査線L1〜Lnで構成される入力映像信号Dinには、このオーバスキャン領域に相当する映像信号も含まれている。一般的に、上記オーバスキャン領域に相当する水平走査線Losは、CRT7の上下方向に対して数10本あり、これらの上方向にある水平走査線Losaおよび下方向にある水平走査線Losbに対する補正処理は不要である。したがって、上記リセット信号が垂直同期信号と同期して出力される場合、上記リセットステップでは水平走査線L1、つまり上方向のオーバスキャン領域に相当する水平走査線Losaの補正処理となるため、水平走査線L1と同期していない補正用データDcを用いて補正処理を行っても、CRT7に表示される画像には影響しない。さらに、上方向のオーバスキャン領域に相当する水平走査線Losaの本数をlaとし、ラインメモリ3Mの個数mを
m≦la+1
に設定することによって、上記リセットステップ〜ステップSm−1において読み出し処理を行っても、上方向のオーバスキャン領域に相当する水平走査線Losaの補正処理となるため、水平走査線L1〜Lm−1と同期していない補正用データDcを用いて補正処理を行っても、CRT7に表示される画像には影響しない。このような設定によって、全ステップにおいて、同じ読み出し処理を行って補間および補正処理をすることが可能であり、補正用データDcの読み出し処理における制御が簡単になる。
【0078】
また、補正用データ補間回路5では、上述したように複数の水平走査線用の補正用データDcを用いて1本の補間補正用データDciを演算している。例えば、補正用データ補間回路5は、水平走査線Lxの補間補正用データDciを演算する場合、水平走査線Lxおよびその前後i本に対応した補正用データDcが用いられる。このような補間処理において、例えば、最も下方向に存在する水平走査線Lnの補間補正用データDciを演算する場合、補正用データ補間回路5は、水平走査線Ln−i〜Lnの補正用データDcに加えて、最も上方向に存在する水平走査線L1〜Liの補正用データDcも用いて演算を行うことになる。このような逆方向に存在する水平走査線用の補正用データDcを用いて補間処理を行うと、所望の補間補正用データDciが得られず、このような補間補正用データDciを用いて入力映像信号Dinの補正を行うと、適切な画像が得られない。しかしながら、上述したように、これらの水平走査線は、上記オーバスキャン領域に相当する水平走査線Losであり、上方向のオーバスキャン領域に相当する水平走査線Losaの本数をla、下方向のオーバスキャン領域に相当する水平走査線Losbの本数をlbとすると、補正用データ補間回路5が用いる補正用データDcの上記本数iを
i≦la かつ i≦lb
に設定することによって、上述のような逆方向に存在する水平走査線用の補正用データDcを含んだ補間処理を行っても、上方向あるいは下方向のオーバスキャン領域に相当する水平走査線LosaあるいはLosb補正処理となるため、CRT7に表示される画像には影響しない。
【0079】
また、一般的に、テレビ放送等の映像信号においては、上記上下方向のオーバスキャン領域付近に相当する映像信号と同期して、垂直帰線期間が設けられている。この垂直帰線期間は、入力映像信号Dinと共に受信される垂直同期パルスによって検出することができる。つまり、画像歪み補正装置10に、この垂直帰線期間を検出する垂直帰線期間検出回路を設け、その検出結果に基づいて補正用データメモリ3に書き込まれている補正用データDcを更新してもかまわない。
【0080】
例えば、CRT7の最も上方向に表示可能な水平走査線をLyとする。まず、メモリ書き込み制御回路2およびメモリ読み出し制御回路4は、上記垂直帰線期間の開始の検出して、上述したリセット信号を補正用データメモリ3に出力する。その後、上記垂直帰線期間中に受信する水平同期パルスPshと同期して、メモリ書き込み制御回路2が補正用データ供給要求信号Rsおよび書き込み領域選択信号Rwを出力する。このときに、メモリ読み出し制御回路4は、水平走査線Ly−i〜Ly+iの補正用データDcを読み出し補正用データDcwとして供給するように、補正用データ供給部1に指示する。この指示によって、補正用データメモリ3のラインメモリ3M1〜3Mm−1に、それぞれ水平走査線Ly−i〜Ly+iの補正用データDcが書き込まれる。
【0081】
そして、上記垂直帰線期間終了後、水平走査線Lyとの水平同期パルスPshを受信することによって、メモリ書き込み制御回路2が補正用データ供給要求信号Rs、書き込み領域選択信号Rw、および書き込みアドレス指定信号Awを出力する。これによって、補正用データ供給部1は、水平走査線Ly+i+1の書き込み補正用データDcwを供給し、ラインメモリ3Mmに書き込まれる。また、水平走査線Lyとの水平同期パルスPshを受信することによって、メモリ読み出し制御回路4が読み出し領域選択信号Rrおよび読み出しアドレス指定信号Arを出力する。これによって、ラインメモリ3M1〜3Mm−1から、水平走査線Ly−i〜Ly+iの補正用データDcが読み出し補正用データDcrとして補正用データ補間回路5に出力され、水平走査線Ly用の補間補正用データDciが演算される。
【0082】
このように、上記垂直帰線期間は、一般的に、映像信号がペデスタルレベル(黒レベルの信号)に制御されており、補正用データメモリ3に書き込まれる補正用データDcが正規の値にならないため補正処理が正常に動作しない場合においても、問題になることなく補正用データDcの書き込みを行うことが可能となる。また、上記画面モードが変化した場合等、補正用データ供給部1から読み出す補正用データDcを上記画面モードに適応した補正用データDcが記憶されている領域から読み出す必要がある。上記垂直帰線期間において、補正用データ供給部1で画面モードが変化する前に読み出していた記憶領域から、新しい記憶領域に制御を切り替えることにより、画面モードに対応した補正用データDcを迅速に補正用データメモリ3に供給することができ、歪み補正処理の誤動作なしに敏速に画面モードに対応した歪み補正処理を行うことが可能となる。
【0083】
このように、CRTテレビ受像機等に表示する映像信号の歪みを補正する際に、補正用データ供給部に記憶された補正用データの一部を必要なデータ量だけ先読みして補正用データメモリに書き込み、当該補正用データを用いて順次補正用データの補間演算を行うことにより、最小限の記憶容量の補正用データメモリで画像歪み補正装置を構成することができる。また、比較的容易な回路構成で実現することができ、実用上きわめて有利なものである。また、歪み補正の状態を変えるために補正用データメモリに読み込まれる補正用データを変更する必要がある場合等でも、歪み補正処理の動作を継続した状態で補正用データの変更を行うことが可能となる。つまり、補正用データの変更は、最長でも1フィールドの期間があれば、変更を完了すること可能であり、迅速な変更が可能となる。これによって、補正用データ供給部に複数の画面モードの変化に対応した補正用データを記憶することによって、例えば、水平または垂直の偏向周波数が変化した場合でも、補正用データ供給部から所望の最小限の補正用データを読み出すことによって、高速な歪み補正の切り替えが可能となる。また、垂直帰線期間に補正用データ供給部から補正用データメモリに必要な補正用データを書き込むことにより、上述した補正用データを変更する必要がある場合に、さらに迅速に歪み補正処理の動作を継続した状態で補正用データの変更を行うことが可能となる。上記垂直帰線期間において、補正用データ供給部で画面モードが変化する前に読み出していた記憶領域から、新しい記憶領域に制御を切り替えることにより、画面モードに対応した補正用データを迅速に補正用データメモリに供給することができ、歪み補正処理の誤動作なしに敏速に画面モードに対応した歪み補正処理を行うことが可能となる。
【0084】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る画像歪み補正装置について説明する。当該画像歪み補正装置は、上述した第1の実施形態に係る画像歪み補正装置に対して、さらに補正用データ供給部1に格納されている補正用データDcのデータ量を削減し、補正用データメモリ3へのデータ供給速度がさらに遅くても、正確にCRT7に対する補正処理が実施可能にされている。つまり、画像歪み補正に用いられる補正用データDcの総量を、さらに削減した画像歪み補正装置として、第2の実施形態を説明する。
【0085】
第2の実施形態に係る画像歪み補正装置10の構成は、上述の第1の実施形態で図1を用いて説明した機能ブロック図と同様である。図1を参照して、当該実施形態のメモリ書き込み制御回路2には、その内部に水平走査線カウンタ(図示せず)が設けられている。上記水平走査線カウンタは、入力映像信号Dinに同期した水平同期パルスPshの受信に基づいて、その受信回数をカウント値Cとしてカウントする。そして、メモリ書き込み制御回路2は、上記水平走査線カウンタのカウント値Cが所定の回数になった場合、その入力映像信号Dinおよび水平同期パルスPshに同期した補正用データDcを補正用データメモリ3に供給するように、補正用データ供給部1に補正用データ供給要求信号Rsを出力する。また、メモリ書き込み制御回路2は、上記水平走査線カウンタのカウント値Cが所定の回数になった場合、補正用データ供給部1から供給された書き込み補正用データDcwに対して、その書き込み領域を選択する書き込み領域選択信号Rwおよびその領域における書き込みアドレスを指定する書き込みアドレス指定信号Awを補正用データメモリ3に出力する。なお、上記水平走査線カウンタは、カウント値Cが上記所定の回数になった後、次の水平同期パルスPshの受信によってカウント値Cを1に戻し、受信回数のカウントを継続する。また、メモリ書き込み制御回路2からは、書き込み領域選択信号Rwとして、入力映像信号Dinの垂直同期信号等と同期してリセット信号が出力される。その垂直同期信号の入力によって、上記水平走査線カウンタのカウント値Cは、次の水平同期パルスPshの受信によって1にリセットされる。
【0086】
当該実施形態のメモリ読み出し制御回路4にも、その内部に水平走査線カウンタ(図示せず)が設けられている。上記水平走査線カウンタは、入力映像信号Dinに同期した水平同期パルスPshの受信に基づいて、その受信回数をカウント値Cとしてカウントする。そして、メモリ読み出し制御回路4は、上記水平走査線カウンタのカウント値Cが所定の回数になった場合、その入力映像信号Dinおよび水平同期パルスPshに同期して、補正用データDcを補正用データメモリ3から読み出す領域を選択する読み出し領域選択信号Rrを出力する。また、メモリ読み出し制御回路4は、上記水平走査線カウンタのカウント値Cの値に関わらず、入力映像信号Dinに同期した水平同期パルスPshの受信と同期して、上記読み出し領域における読み出しアドレスを指定する読み出しアドレス指定信号Arを出力する。なお、上記水平走査線カウンタは、カウント値Cが上記所定の回数になった後、次の水平同期パルスPshの受信によってカウント値Cを1に戻し、受信回数のカウントを継続する。また、メモリ読み出し制御回路4からは、読み出し領域選択信号Rrとして、入力映像信号Dinの垂直同期信号等と同期してリセット信号が出力される。その垂直同期信号の入力によって、上記水平走査線カウンタのカウント値Cは、次の水平同期パルスPshの受信によって1にリセットされる。
【0087】
なお、第2の実施形態に係る画像歪み補正装置10の他の機能ブロックについては、第1の実施形態と同様である。したがって、第1の実施形態と同様の機能ブロックについては、同一の参照符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0088】
次に、第2の実施形態に係る画像歪み補正装置10で用いられる補正用データDcについて説明する。第2の実施形態に係る画像歪み補正装置10で用いられる補正用データDcにおいても、第1の実施形態と同様に、本来表示されるべき画像200a(図8参照)に対して、歪みを伴った画像200b(図8参照)との差分によって表される。つまり、当該補正用データDcも、補正前後の座標関係を、それぞれの画素毎にアドレス情報Ms(v,w)=A(ia,ja)として表すベクトルデータである。
【0089】
ここで、本実施形態の補正用データDcは、水平方向(水平走査線方向)の歪みに対してのみ設定される。そして、補正用データDcは、表示可能な映像信号の画面モードに対応して、当該映像信号を元に表示される画像の水平走査線Lをs本毎にサンプリング(以下、サンプリング周期sと記載する場合もある)し、サンプリングされた水平走査線を所定の複数の線分に分割し、各線分毎の代表画素にのみ設定され、他の画素に対しては削減されている。つまり、当該実施形態の補正用データDcは、上記表示可能な画面モードの映像信号を元に表示される画像に対して、水平および垂直方向に一定の間隔でサンプリングされる。これは、互いの距離が近い場所に位置する画素に対する上記補正用データDcは、それらの画素間で大きな変動はないため、そのことを利用して予め上記代表画素のみに補正用データDcを付与し、それ以外の画素の削減された補正用データDcは、上記代表画素の補正用データDcから推測することができるためである。そして、上記映像信号を元に表示される画像の代表画素に対応した1画面分の補正用データDcが、水平走査線Lのs本毎に補正用データ供給部1に予め格納される。また、上記歪みがRGB色毎に異なる場合、それぞれのRGB色毎に補正用データDcが設定される。なお、補正用データDcは、予め補正用データ作成装置等によって、表示された画像を撮像し、この撮像された画像と適正に表示されるべき基準画像とを比較することによって作成されるが、この作成方法は、既に公知であるため、これ以上の説明を省略する。
【0090】
次に、図5を参照して、第2の実施形態に係る補正用データ供給部1、補正用データメモリ3、および補正用データ補間回路5で用いられる補正用データDcについて説明する。図5において、受信している入力映像信号Dinの水平偏向周波数および垂直偏向周波数等で表現される映像形式(画面モード)がn本の水平走査線L1〜Lnで構成されているとする。補正用データ供給部1には、当該画面モードに対応した、垂直方向にs本毎にサンプリングされた水平走査線Ls〜Ljs毎(jは、自然数。js≦n)に、水平方向に一定の間隔を有した上記代表画素に対して設定された補正用データDcが予め格納されている。そして、現在、上記サンプリング対象の水平走査線の1つに相当する水平走査線Lx(xは、n以下の自然数であり、sの倍数)の入力映像信号Dinを、その同期パルスPsとしての水平同期パルスPshと同期して受信しているとする。また、補正用データ補間回路5は、水平走査線Lxの補正の為に用いられる補間補正用データDciを補間処理によって生成するために、水平走査線Lxおよびその前後のサンプリングされたi本に対応した補正用データDcを用いるものとする。なお、ここでは説明を簡単にするために、上述した歪みがRGB色毎に異なり、それぞれのRGB色毎に補正用データDcが設定されている場合でも、その代表色(例えば、R色)で用いられる補正用データDcを説明する。
【0091】
補正用データ供給部1には、複数の画面モードに応じて、上述したようにs本毎の水平走査線Ls〜Ljs毎に設定された上記代表画素に対応した1画面分の補正用データDcが、水平走査線Ls〜Ljsに対応して予め格納されている。図5における補正用データ供給部1の補正用データDcは、現在受信している画面モードの補正用データDcのみを示しており、サンプリング対象の水平走査線Ls〜Ljsにおいて、上述した歪みを補正する画素の移動量が記述された上記代表画素を黒丸で示し、他の補正用データDcが削減された画素を×印で示している。
【0092】
上述したメモリ書き込み制御回路2の内部に設けられた水平走査線カウンタは、上記所定の回数がサンプリング周期sに設定されている。この設定によって、メモリ書き込み制御回路2は、水平走査線Lxの入力映像信号Dinをその水平同期パルスPshと同期して受信した場合、水平走査線Lxは上記サンプリング周期sと同期しているため、補正用データ供給要求信号Rsを出力し、水平走査線Lx+(i+1)sに対応した補正用データDcを先読みして供給する指示を補正用データ供給部1に上記水平同期パルスPshと同期して出力する。補正用データ供給部1は、メモリ書き込み制御回路2から出力された補正用データ供給要求信号Rsに基づいて、水平走査線Lx+(i+1)sに対応した補正用データDcを書き込み補正用データDcwとして補正用データメモリ3に供給する。また、メモリ書き込み制御回路2は、上記サンプリング周期sと同期した水平走査線Lxの入力映像信号Dinをその水平同期パルスPshと同期して受信した場合、書き込み領域選択信号Rwも出力する。
【0093】
補正用データメモリ3は、第1の実施形態と同様にm個のメモリ領域を有している。補正用データメモリ3は、補正用データ供給部1から供給される水平走査線Lx+(i+1)sに対応した書き込み補正用データDcwを、メモリ書き込み制御回路2から指示される書き込み領域選択信号Rwに応じて、m個のメモリ領域から書き込むメモリ領域を選択し、書き込みアドレス指定信号Awで指定されたアドレスに対応して当該書き込み補正用データDcwを書き込む。なお、上記書き込むメモリ領域の選択は、メモリ書き込み制御回路2の水平走査線カウンタがカウントするカウント値Cの設定回数(つまり、s回)によって、水平走査線Ls〜Ljsのサンプリング周期(つまり、s)に応じた水平同期パルスPshの受信と連動して、順次異なったメモリ領域が選択されるが、メモリ領域および選択される書き込み領域の詳細については、後述する。
【0094】
一方、既に、補正用データメモリ3には、直前に受信した水平走査線Lx−(2i−1)s〜Lx−sの入力映像信号Dinに同期した水平同期パルスPshによって、上記と同様にそれぞれ異なったメモリ領域に水平走査線Lx−is〜Lx+isに対応した補正用データDcが書き込まれている。上述したメモリ読み出し制御回路4の内部に設けられた水平走査線カウンタは、上記所定の回数が上記サンプリング周期(つまり、上記s回)に設定されている。この設定によって、メモリ読み出し制御回路4は、水平走査線Lxの入力映像信号Dinをその水平同期パルスPshと同期して受信した場合、水平走査線Lxは上記サンプリング周期sと同期しているため、補正用データメモリ3に対して読み出し領域選択信号Rrを出力し、水平走査線Lx−is〜Lx+isに対応した補正用データDcが書き込まれたメモリ領域を読み出し領域として指示する。そして、補正用データメモリ3は、メモリ読み出し制御回路4から出力された読み出し領域選択信号Rrで指定されたメモリ領域に書き込まれている水平走査線Lx−is〜Lx+isに対応した補正用データDcを、読み出しアドレス指定信号Arで指定されたアドレスに対応して読み出し補正用データDcrとして読み出し、補正用データ補間回路5に並列で出力する。なお、選択される読み出し領域の詳細については、後述する。
【0095】
ここで、上述した補正用データメモリ3の書き込み補正用データDcwの書き込みおよび読み出し補正用データDcrの読み出しは、水平同期パルスPshと同期して水平走査線Ls〜Ljsのサンプリング周期sでは同時に行われる。なお、第2の実施形態では、上記サンプリング周期s以外の水平同期パルスPshの入力に対しては、読み出し補正用データDcrの読み出しのみが行われる。したがって、上記サンプリング周期sにおいては、補正用データメモリ3は、上記書き込みが行われるメモリ領域と上記読み出しが行われるメモリ領域とに対して、別のメモリ領域を使用する。また、補正用データメモリ3では、1つのメモリ領域に対して1本の水平走査線Lに対応した補正用データDcが書き込まれるため、メモリ領域の個数mは、
m≧2i+2
で設定される。なお、補正用データメモリ3が有するm個のメモリ領域を効率よく利用し、上述した書き込みおよび読み出し領域の選択を簡単にするためには、書き込みを行う1つのメモリ領域以外のメモリ領域を全て読み出し領域に設定することが望ましい。この場合、補正用データメモリ3が有するメモリ領域の個数mは、
m=2i+2
で設定される。
【0096】
補正用データ補間回路5は、補正用データメモリ3から並列で読み出された水平走査線Lx−is〜Lx+isに対応した読み出し補正用データDcrを用いて、所定の補間処理を行うことによって、水平同期パルスPshと同期して水平走査線Lxの全画素に対応した補正用データを補間補正用データDciとして演算する。例えば、補正用データ補間回路5の補間処理は、入力された水平走査線Lx−is〜Lx+isに対応した読み出し補正用データDcrを用いて、水平方向に内挿処理を行い、垂直方向には帯域制限をかけることにより、入力映像信号Dinにおける水平走査線Lxの全画素に対応した補間補正用データDciを逐次生成する。この補正用データ補間回路5で行われる補間処理で用いられる補間式は、ニュートンの補間式、ラグランジュの補間式、あるいはスプライン関数等の既に公知の方法を用いればよい。
【0097】
この補間処理によって、補正用データ補間回路5では、補正用データDcが削減されていた画素に対して、補正用データが新たに補間され生成される(図5の白丸印)。また、上述した補正用データ補間回路5で用いられる補間式が補間に用いるサンプル点(原点)に固定されない曲線を計算する場合(例えば、Bスプライン関数等)、補正用データDcが設定されている上記代表画素(原点)の補正用データDcも、その代表画素の垂直方向に配置されている他の補正用データDcによって互いに影響を及ぼしながら再生成される。つまり、上記代表画素および非代表画素を含む全ての画素を対象として、新たな補正用データが上記補間処理によって再生成される。例えば、予め行われる補正用データDcの設定において、撮像や基準画像との比較等の処理で高周波歪み等の影響で誤差が生じ、その誤差が上記代表画素の補正用データDcの1つに含まれていた場合、その誤差によって当該補正用データDcは垂直方向に配置されている他の補正用データDcと比較すると異なった傾向を示す。このような誤差は、上述した垂直方向における補間処理によって拡散された補間補正用データDciとして再生成されるため、歪み補正精度を向上させることが可能である。
【0098】
また、第2の実施形態での補間処理では、上記サンプリング対象ではない水平走査線に対しても、その入力映像信号Dinの入力に応じて補間補正用データDciが演算される。つまり、上記代表画素に対応した補正用データDcを含め、補正用データ供給部1に補正用データDcが格納されていない水平走査線(例えば、水平走査線Lx+1)に対しても、補間補正用データDciが演算される。例えば、補正用データ補間回路5は、上記サンプリング対象ではない水平走査線Lx+1を補間処理する場合、水平走査線Lxの補間処理と同じ補正用データメモリ3から並列で読み出された水平走査線Lx−is〜Lx+isに対応した読み出し補正用データDcrを用いて、水平走査線Lx+1の補間補正用データDciを演算する。まず、補正用データ補間回路5は、水平走査線Lx−is〜Lx+isに対応した読み出し補正用データDcrを用いて、水平走査線Lx+1に対する垂直方向に内挿処理を行い、水平走査線Lx+1における補間処理後の補正用データを得る。そして、上記垂直方向に内挿処理された補正用データは、水平方向に一定の間隔を有しているため、水平方向に更に補間処理を行い、入力映像信号Dinに同期した水平走査線Lx+1の補間補正用データDciを得る。このように、補正用データ補間回路5においては、補正用データメモリ3から並列に読み出された読み出し補正用データDcrから逐次処理により、対象となる全ての水平走査線L1〜Lnの補間補正用データDciを演算して求めることができる。
【0099】
なお、補正用データ供給部1に予め格納する水平走査線Ls〜Ljsに対応した補正用データDcは、水平走査線Ls〜Ljsの降順に記述しなくてもかまわない。例えば、上記リセット信号が入力映像信号Dinの垂直同期信号と同期して出力される場合、そのリセット時に補正用データメモリ3に供給する水平走査線用の補正用データDc(つまり、水平走査線L(i+2)sの補正用データDc)を最上位領域に記述しておけば、上記リセット時に補正用データ供給部1から供給される補正用データDcの選択も最上位領域にリセットすることができる。つまり、補正用データ供給部1に格納される補正用データDcを、最上位領域から水平走査線L(i+2)s〜LjsおよびLs〜L(i+1)sの順に記述すれば、補正用データ供給部1から供給される補正用データDcの選択を容易に行うことができる。
【0100】
次に、第2の実施形態に係る補正用データメモリ3について説明する。なお、当該補正用データメモリ3の詳細な構造は、図3を用いて説明した第1の実施形態に係る補正用データメモリ3と同様であるため、同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。また、当該実施形態に係る補正用データメモリ3の動作についても、メモリ書き込み制御回路2から出力される書き込み領域選択信号Rwおよび書き込みアドレス指定信号Aw、およびメモリ読み出し制御回路4から出力される読み出し領域選択信号Rrが、上記サンプリング周期s毎に水平同期パルスPshに同期して入力することが異なるだけで、他は第1の実施形態と同様である。したがって、当該実施形態の補正用データメモリ3の動作についても、詳細な説明を省略する。
【0101】
次に、図6を参照して、第2の実施形態に係る補正用データメモリ3で書き込まれるメモリ領域および読み出されるメモリ領域の詳細について説明する。図6では、横欄で補正用データメモリ3を構成するm個のラインメモリ3M1〜3Mm(図3参照)を示し、縦欄で上記リセット信号入力以降の水平同期パルスPshの入力に応じて更新されるステップを示している。そして、上記ステップ毎に書き込まれるラインメモリおよび読み出されるラインメモリをマトリックス状に示している。なお、図6において、書き込まれるラインメモリを書き込み対象メモリとして黒塗りつぶしで示し、読み出されるラインメモリを読み出し対象メモリとして斜線パターン塗りで示している。ここで、説明を簡単にするために、補正用データメモリ3が有するm個のラインメモリ3M1〜3Mmを、m=2i+2で設定して、以下の説明を行う。
【0102】
まず、メモリ書き込み制御回路2およびメモリ読み出し制御回路4から、書き込み領域選択信号Rwおよび読み出し領域選択信号Rrとして、同じ垂直同期信号等と同期して出力されるリセット信号によって、書き込むラインメモリおよび読み出すラインメモリの選択がリセットされる(リセットステップ)。このリセットステップによって、書き込み選択制御回路31は、ラインメモリ3M1を上記書き込み対象メモリとして選択し、当該ラインメモリ3M1に1水平走査線分の書き込み補正用データDcwが書き込まれる。この時、既にラインメモリ3M1に他の補正用データDcが書き込まれている場合、書き込み補正用データDcwが上書きされることによって、最新の補正用データDcに更新される。なお、この補正用データDcの更新は、以下の書き込み処理についても、同様である。
【0103】
上記リセットステップ後、水平同期パルスPshの受信によって、ステップは更新されていくが、当該実施形態では、メモリ書き込み制御回路2の水平走査線カウンタのカウント値Cがサンプリング周期sに応じた設定回数(つまり、s)になるまで、メモリ書き込み制御回路2は、新たな書き込み領域選択信号Rwおよび書き込みアドレス指定信号Awを出力しない。つまり、サンプリング周期に相当するステップSsに更新されるまでは、継続してラインメモリ3M1が上記書き込み対象メモリとして選択される(ステップS2〜Ss−1)。
【0104】
その後、上記サンプリング周期sに相当する水平同期パルスPshに同期した書き込み領域選択信号Rwの入力毎に、書き込み選択制御回路31は、上記書き込み対象メモリとして順次1つのラインメモリ3M2〜3Mm−1を選択し、それぞれ別の1水平走査線分の書き込み補正用データDcwが書き込まれる(ステップSs、S2s、S3s、S4s、…、S(m−2)s)。なお、それぞれの上記サンプリング周期s以外のステップでは、上記ステップS2〜Ss−1と同様に、それぞれ直前に選択されているラインメモリ3M2〜3Mm−1が上記書き込み対象メモリとして継続して選択される。
【0105】
そして、次の上記サンプリング周期sに同期した書き込み領域選択信号Rwの入力によって、書き込み選択制御回路31が上記書き込み対象メモリとしてラインメモリ3Mmを選択し、書き込み補正用データDcwを書き込む処理と同期して、読み出し選択制御回路32は、上記サンプリング周期sに同期した読み出し領域選択信号Rrの入力によって、ラインメモリ3M1〜3Mm−1を上記読み出し対象メモリとして選択し、それらラインメモリ3M1〜3Mm−1に記述されている補正用データDcが読み出し補正用データDcrとして並列に読み出される(ステップS(m−1)s)。そして、ステップS(m−1)s以降、上記サンプリング周期s以外のステップでは、メモリ読み出し制御回路4から水平同期パルスPshに同期した読み出しアドレス指定信号Arに基づいて、直前に選択されている読み出し対象メモリに記述されている補正用データDcが読み出し補正用データDcrとして並列に読み出される。つまり、読み出し対象メモリが変更されるまで、ステップ毎に同じ補正用データDcを読み出し補正用データDcrとして並列に読み出すことになる。
【0106】
次に、上記サンプリング周期sに同期した書き込み領域選択信号Rwの入力によって、書き込み選択制御回路31は、上記書き込み対象メモリとして再度ラインメモリ3M1を選択する。この時、上記リセットステップにおいて、既にラインメモリ3M1には書き込み補正用データDcwが書き込まれているが、上述と同様に新たな書き込み補正用データDcwを上書きすることによって、最新の補正用データDcに更新される(ステップSms)。ステップSmsでは、読み出し選択制御回路32は、上記サンプリング周期sに同期した読み出し領域選択信号Rrの入力によって、ラインメモリ3M2〜3Mmを上記読み出し対象メモリとして選択し、それらラインメモリ3M2〜3Mmに記述されている補正用データDcが読み出し補正用データDcrとして並列に読み出される。
【0107】
以降のステップ(ステップSms+1〜)では、新たにリセット信号が入力されるまで、上記ステップSmsと同様の処理を行う。すなわち、上記サンプリング周期sに相当する水平同期パルスPshに同期した書き込み領域選択信号Rwおよび読み出し領域選択信号Rrの入力毎に、書き込み選択制御回路31および読み出し選択制御回路32は、上記書き込み対象メモリとして順次1つのラインメモリ3M1〜3Mmを選択し、上記読み出し対象メモリとして書き込み対象メモリ以外のラインメモリを選択し、書き込み補正用データDcwを書き込む処理および読み出し補正用データDcrを並列に読み出す処理を行う。そして、それぞれの上記サンプリング周期s以外のステップでは、上記ステップS2〜Ss−1と同様に、それぞれ直前に選択されているラインメモリ3M1〜3Mmが上記書き込み対象メモリとして継続して選択される。また、メモリ読み出し制御回路4から水平同期パルスPshに同期した読み出しアドレス指定信号Arに基づいて、直前に選択されている読み出し対象メモリに記述されている補正用データDcが読み出し補正用データDcrとして並列に読み出される。
【0108】
このように、補正用データメモリ3においては、順次入力映像信号Dinのサンプリング周期sに相当する水平同期パルスPshに同期して、1水平走査線用の補正用データDcに更新され、その更新に同期して補間処理に必要な補正用データDcが並列に読み出される。
【0109】
なお、上述した説明では、上記リセットステップ〜ステップS(m−1)s−1において、読み出し処理を行っていない。これは、入力映像信号Dinの水平同期パルスPshに同期していない上記リセットステップ直前の補正用データDcが書き込まれているためであり、読み出したとしても補正演算部6で行う補正処理に用いることができないためである。しかしながら、補正用データ補間回路5や補正演算部6において、同期していない補正用データDcを削除する処理を設けることによって、他のステップと同様に上記リセットステップ〜ステップS(m−1)s−1において読み出し処理を行ってもかまわない。
【0110】
また、上述したように、テレビ放送等のn本の水平走査線L1〜Lnで構成される入力映像信号Dinには、オーバスキャン領域に相当する映像信号も含まれている。一般的に、上記オーバスキャン領域に相当する水平走査線Losは、CRT7の上下方向に対して数10本あり、これらの上方向にある水平走査線Losaおよび下方向にある水平走査線Losbに対する補正処理は不要である。したがって、上記リセット信号が垂直同期信号と同期して出力される場合、上記リセットステップでは水平走査線L1、つまり上方向のオーバスキャン領域に相当する水平走査線Losaの補正処理となるため、水平走査線L1と同期していない補正用データDcを用いて補正処理を行っても、CRT7に表示される画像には影響しない。さらに、上方向のオーバスキャン領域に相当する水平走査線Losaの本数をlaとし、ラインメモリ3Mの個数mを
(m−1)s≦la+1
に設定することによって、上記リセットステップ〜ステップS(m−1)s−1において読み出し処理を行っても、上方向のオーバスキャン領域に相当する水平走査線Losaの補正処理となるため、水平走査線L1〜L(m−1)s−1と同期していない補正用データDcを用いて補正処理を行っても、CRT7に表示される画像には影響しない。このような設定によって、全ステップにおいて、同じ読み出し処理を行って補間および補正処理をすることが可能であり、補正用データDcの読み出し処理における制御が簡単になる。
【0111】
また、補正用データ補間回路5では、上述したように複数の水平走査線用の補正用データDcを用いて1本の補間補正用データDciを演算している。例えば、補正用データ補間回路5は、水平走査線Lxの補間補正用データDciを演算する場合、水平走査線Lxおよびその前後のサンプリングされたi本に対応した補正用データDcが用いられる。このような補間処理において、例えば、最も下方向に存在する水平走査線Lnの補間補正用データDciを演算する場合、補正用データ補間回路5は、最も上方向に存在する水平走査線Ls〜Lisの補正用データDcを用いて演算を行うことになる。このような逆方向に存在する水平走査線用の補正用データDcを用いて補間処理を行うと、所望の補間補正用データDciが得られず、このような補間補正用データDciを用いて入力映像信号Dinの補正を行うと、適切な画像が得られない。しかしながら、上述したように、これらの水平走査線は、上記オーバスキャン領域に相当する水平走査線Losであり、上方向のオーバスキャン領域に相当する水平走査線Losaの本数をla、下方向のオーバスキャン領域に相当する水平走査線Losbの本数をlbとすると、補正用データ補間回路5が用いる補正用データDcの上記本数iを
i≦la/s かつ i≦lb/s
に設定することによって、上述のような逆方向に存在する水平走査線用の補正用データDcを含んだ補間処理を行っても、上方向あるいは下方向のオーバスキャン領域に相当する水平走査線LosaあるいはLosb補正処理となるため、CRT7に表示される画像には影響しない。
【0112】
なお、メモリ書き込み制御回路2およびメモリ読み出し制御回路4にそれぞれ水平走査線カウンタを設け、サンプリング周期sに応じて書き込み領域選択信号Rwおよび読み出し領域選択信号Rrを出力するようにしたが、水平走査線カウンタは、書き込み選択制御回路31および読み出し選択制御回路32に設けてもかまわない。補正用データメモリ3内で、サンプリング周期sをカウントすることによって、同様にサンプリング周期sに応じて書き込むあるいは読み出すラインメモリ3Mを選択することができる。
【0113】
このように、CRTテレビ受像機等に表示する映像信号の歪みを補正する際に、補正用データ供給部に記憶された補正用データの一部を先読みして必要なデータ量だけ補正用データメモリに書き込み、当該補正用データを用いて順次補正用データの補間演算を行うことにより、最小限の記憶容量の補正用データメモリで画像歪み補正装置を構成することができる。また、比較的容易な回路構成で実現することができ、実用上きわめて有利なものである。また、歪み補正の状態を変えるために補正用データメモリに読み込まれる補正用データを変更する必要がある場合等でも、歪み補正の動作を継続した状態で補正用データの変更を行うことが可能となる。つまり、補正用データの変更は、最長でも1フィールドの期間があれば、変更を完了すること可能であり、迅速な変更が可能となる。これによって、補正用データ供給部に複数の画面モードの変化に対応した補正用データを記憶することによって、例えば、水平または垂直の偏向周波数が変化した場合でも、補正用データ供給部から所望の最小限の補正用データを読み出すことによって、高速な歪み補正の切り替えが可能となる。また、第2の実施形態で用いた補正用データは、水平方向および垂直方向に一定の間隔をおいてサンプリングしたデータが用いられているため、補正用データ供給部から補正用データメモリへのデータ転送量を削減することが可能となり、水平同期パルスと同期して1走査線分の補正用データを供給する必要がないため、さらに低速な補正用データ供給部を用いた構成が可能となる。つまり、補正用データ供給部を含めたシステムのコストを低減することが可能となる。
【0114】
また、第2の実施形態に係る画像歪み補正装置10では、補正用データ供給部1にシリアルインターフェースのメモリを用いること可能である。一般的に、補正用データ供給部1をシリアルインターフェースで構成した場合、パラレル接続で構成する場合と比べて低速になる。つまり、補正用データ供給部1自体の読み出し速度が、入力映像信号Dinのデジタル処理に必要なクロック周波数と比べると、低速なものとなってしまう。しかし、第2の実施形態における補正用データ供給部1に記憶する補正用データDcは、水平および垂直方向に一定の間隔でサンプリングされ記憶されているため、補正用データ供給部1から補正用データメモリ3へのデータ転送速度が低速でもかまわず、シリアルインターフェースの補正用データ供給部1の最大データ転送速度を考慮した補正用データDcのデータ量を補正用データ供給部1に記憶することで、シリアルインターフェースで構成された補正用データ供給部1を用いることが可能となる。したがって、補正用データ供給部1にシリアルインターフェースのメモリを用いることにより、部品の実装面積および補正用データメモリ3への補正用データDcの転送に必要となるデータ線の本数を減らすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1および第2の実施形態に係る画像歪み補正装置10の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係る図1の補正用データ供給部1、補正用データメモリ3、および補正用データ補間回路5で用いられる補正用データDcを説明する図である。
【図3】図1の補正用データメモリ3の詳細な構造を示す図である。
【図4】第1の実施形態に係る図1の補正用データメモリ3で書き込まれるメモリ領域および読み出されるメモリ領域の詳細について説明する図である。
【図5】第2の実施形態に係る図1の補正用データ供給部1、補正用データメモリ3、および補正用データ補間回路5で用いられる補正用データDcを説明する図である。
【図6】第2の実施形態に係る図1の補正用データメモリ3で書き込まれるメモリ領域および読み出されるメモリ領域の詳細について説明する図である。
【図7】従来の画像表示補正装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図8】補正用データDcを説明するための図である。
【符号の説明】
1…補正用データ供給部
2…メモリ書き込み制御回路
3…補正用データメモリ
31…書き込み選択制御回路
32…読み出し選択制御回路
3M…ラインメモリ
4…メモリ読み出し制御回路
5…補正用データ補間回路
6…補正演算部
7…CRT
10…画像歪み補正装置
Claims (14)
- 入力される映像信号を元にラスタスキャン方式で画像を陰極線管に表示する際に生じる歪みを補正するための画像歪み補正装置であって、
前記歪みを補正するための補正用データを予め前記画像における1画面分格納する補正用データ供給部と、
前記補正用データ供給部に格納された前記補正用データの一部を、前記映像信号と同期した補正に必要な走査線分先読みして記憶する補正用データメモリと、前記補正用データメモリに記憶された補正用データを用いて、所定の補間演算を行うことによって少なくとも1本の走査線用の完全な補正用データを生成する補正用データ補間回路と、
前記補正用データ補間回路で生成された完全な補正用データを用いて、現在入力している映像信号の走査線に同期して映像信号の補正を行う補正演算部とを備える、画像歪み補正装置。 - 前記補正用データメモリは、少なくとも前記補正用データ供給部に格納された1本の走査線分の前記補正用データが記憶可能な複数の記憶領域に分割され、当該記憶領域にはそれぞれ1本の走査線分の前記補正用データが記憶され、
さらに、前記映像信号に含まれる水平同期パルスに応じて、前記補正用データ供給部に前記補正用データを供給させるための補正用データ供給要求信号を出力し、かつ前記補正用データメモリに供給された前記補正用データを書き込む前記記憶領域を指定するための書き込み領域選択信号を出力するメモリ書き込み制御回路と、
前記水平同期パルスに応じて、前記補正用データメモリに記憶された前記補正用データを前記補正用データ補間回路に読み出す前記記憶領域を指定するための読み出し領域選択信号を出力するメモリ読み出し制御回路とを備える、請求項1に記載の画像歪み補正装置。 - 前記補正用データメモリの複数の記憶領域は、それぞれラインメモリで構成されることを特徴とする、請求項2に記載の画像歪み補正装置。
- 前記メモリ書き込み制御回路が前記書き込み領域選択信号で指定する前記補正用データメモリの記憶領域と、前記メモリ読み出し制御回路が前記読み出し領域選択信号で指定する前記補正用データメモリの記憶領域とは、異なる前記記憶領域が指定される、請求項2に記載の画像歪み補正装置。
- 前記補正用データ供給部に格納されている前記補正用データは、前記画像における走査線方向に所定の間隔を有した代表画素に対する走査線毎のデータであり、
前記メモリ書き込み制御回路は、前記水平同期パルスと同期して、前記補正用データ供給要求信号によって1本の走査線分の前記補正用データを供給する指示を出力し、かつ前記補正用データメモリに供給された1本の走査線分の前記補正用データを記憶させる領域として、前記書き込み領域選択信号によって前記水平同期パルスと同期して順次別の前記記憶領域の1つを選択して指定する、請求項4に記載の画像歪み補正装置。 - 前記補正用データ補間回路は、前記読み出し領域選択信号で指定された複数の前記記憶領域に記憶された補正用データを用いて補間演算を行うことによって、前記画像の代表画素および非代表画素を含む全ての画素を対象にして新たに補正用データを再生成して1本の走査線用の前記完全な補正用データを生成する、請求項5に記載の画像歪み補正装置。
- 前記補正用データ供給部に格納されている前記補正用データは、前記画像における所定の走査線間隔毎に、かつ走査線方向に所定の間隔を有した代表画素に対する格子状のデータであり、
前記メモリ書き込み制御回路は、前記所定の走査線間隔毎の前記水平同期パルスと同期して、前記補正用データ供給要求信号によって1本の走査線分の前記補正用データを供給する指示を出力し、かつ前記補正用データメモリに供給された1本の走査線分の前記補正用データを記憶させる領域として、前記書き込み領域選択信号によって順次別の前記記憶領域の1つを選択して指定する、請求項4に記載の画像歪み補正装置。 - 前記補正用データ補間回路は、前記読み出し領域選択信号で指定された複数の前記記憶領域に記憶された補正用データを用いて補間演算を行うことによって、前記画像の代表画素および非代表画素を含む全ての画素を対象にして新たに補正用データを再生成して1本の走査線用の前記完全な補正用データを生成する、請求項7に記載の画像歪み補正装置。
- 前記補正用データ供給部は、前記補正用データメモリへの読み出しがシリアルインターフェースのメモリで構成されることを特徴とする、請求項7に記載の画像歪み補正装置。
- 前記メモリ書き込み制御回路が前記書き込み領域選択信号で指定する前記補正用データメモリの記憶領域と、前記メモリ読み出し制御回路が前記読み出し領域選択信号で指定する前記補正用データメモリの記憶領域とは、前記映像信号に基づいた所定のタイミングで初期化される、請求項2に記載の画像歪み補正装置。
- 前記補正用データ供給部に格納される前記補正用データは、前記映像信号の複数の映像方式に基づいてそれぞれ別に格納されており、
前記補正用データ供給部は、入力された前記映像信号の映像方式に応じた前記補正用データを前記補正用データメモリに供給する、請求項2に記載の画像歪み補正装置。 - 前記メモリ書き込み制御回路が前記書き込み領域選択信号で指定する前記補正用データメモリの記憶領域と、前記メモリ読み出し制御回路が前記読み出し領域選択信号で指定する前記補正用データメモリの記憶領域とは、前記映像信号に含まれる垂直帰線期間で初期化され、そして、
前記メモリ書き込み制御回路は、前記補正用データ供給部に対して、前記垂直帰線期間直後の走査線の前記補正に必要な入力された前記映像信号の映像方式に応じた前記補正用データを前記補正用データメモリに供給させ、前記垂直帰線期間中に前記補正用データメモリへの供給を完了させるための前記補正用データ供給要求信号を出力する、請求項11に記載の画像歪み補正装置。 - 入力される映像信号を元にラスタスキャン方式で画像を陰極線管に表示する際に生じる歪みを補正するための補正用データを作成する画像歪み補正用データ作成装置であって、
少なくとも前記画像における代表画素に対する補正用データを1画面分格納する補正用データ格納部と、
前記補正用データ格納部に格納された補正用データを用いて補間演算を行うことによって、前記画像の代表画素および非代表画素を含む全ての画素を対象にして新たに補正用データを再生成する補正用データ再生成部とを備える、画像歪み補正用データ作成装置。 - 入力される映像信号を元にラスタスキャン方式で画像を陰極線管に表示する際に生じる歪みを補正するための補正用データを作成する画像歪み補正用データ作成方法であって、
少なくとも前記画像における代表画素に対する補正用データを1画面分格納する補正用データ格納ステップと、
前記補正用データ格納ステップで格納された補正用データを用いて補間演算を行うことによって、前記画像の代表画素および非代表画素を含む全ての画素を対象にして新たに補正用データを再生成する補正用データ再生成ステップとを含む、画像歪み補正用データ作成方法。
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