JP2004055404A - 有機el素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、透明な陰極を形成する際の電子注入層へのダメージを抑制すると共に、この陰極側からの光の取り出し効率が低下しない有機EL素子の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、基板上に少なくとも陽極、有機EL層、および陰極とを形成して有機EL素子を製造する方法であって、有機EL層上に陰極を形成する前に、有機EL層上に陰極の構成元素のうちの少なくとも1つからなる薄膜層を形成し、次いで陰極を形成することを特徴とする有機EL素子の製造方法に関する。また、本発明は、この手法を利用したカラー有機EL素子の製造方法に関する。
【選択図】    図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機EL素子の製造方法に関する。特に本発明は、有機EL素子の電極の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報通信の高速化と応用範囲の拡大が急速に進んでいる。この中で、表示デバイスには、携帯性や動画を表示すること等の要求に対して対応できるような、低消費電力で高速応答が可能な高精細表示デバイスが考案されている。
【0003】
特に、有機エレクトロルミネッセンス(以下、ELと称する。)素子では、Tangらによる印加電圧10vで1000cd/m以上の高輝度で発光する積層型EL素子の報告(Appl.Phys.Lett,51,913(1987))以来、高コントラスト、低電圧駆動、高視野角、高速応答性など液晶表示素子等に比較して優位な特徴を活かしたフラットパネルディスプレイへの応用が期待され、実用化に向けて研究開発が活発に行われている。すでに、緑色モノクロ有機ELディスプレイが製品化されており、高精細のフルカラーディスプレイの完成が待たれている。
【0004】
有機EL素子は、ガラス基板のような絶縁基板上に、第1電極/発光層/第2電極のような構成で各構成要素を有し、該絶縁基板上に第1電極として陽極を積層することが一般に行われている。このような有機EL素子では、素子内で発光した光を基板側から取り出される。これに対し、最近では、以下の理由から、陰極を透明にして、基板と反対側の陰極側から光を取り出す、いわゆるトップエミッション方式と呼ばれる方式が試みられている。
【0005】
理由: カラー変換フィルタおよび色変換フィルタを用いる場合、発光素子の上部にこれらを置くことになる。このため、カラーフィルタや色変換層などを考慮せずに発光素子が製造できる。このことは、発光素子は発光素子として製造し、カラーフィルタなどはカラーフィルタとして製造できるので、例えば歩留まりを抑えることができるという利点に繋がる。また、発光素子を単独で製造できるので、陽極を製造する際の基板の温度を上げることができ、陽極の抵抗を下げることができることも利点である。
【0006】
陰極を透明にすることにより、上記のような利点が得られるので、透明陰極を用いた有機EL素子を作成する試みが多くなされている。透明陰極を用いる場合、この陰極は電子注入層上に成膜されるが、成膜時にこの電子注入層が劣化する可能性がある。特開平8−185984号公報では、透明陰極に非晶質透明導電膜を適用し、膜形成時の温度を低くして電子注入層の劣化などを防止することが提案されている。また、透明陰極はスパッタ法で電子注入層上に成膜されるのが一般的であるが、この電子注入層は数nm程度と極めて薄いため、膜状にならずにアイランド状に成膜される。このため、電子注入層の下の有機層などがスパッタリングの際にプラズマに曝され、有機層に損傷が生じ、有機EL素子として良好な特性を得ることが困難であった。これを回避する手段として、電子注入層上にAlのような金属の薄膜層を成膜し、ダメージの緩和を試みている。これらの方法では、スパッタリング時のダメージは低減できるが、完全に除去することは困難であり、さらに金属薄膜などを形成するため通常の素子と比較して層が増えてしまうこと、および、陰極側の透過率が低下するため発光した光を外部に取り出す際の効率が低下するという問題点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述のような問題点を解決するものである。従って、本発明は、透明な陰極を形成する際の電子注入層へのダメージを抑制すると共に、この陰極側からの光の取り出し効率が低下しない有機EL素子の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、以下の本発明により解決される。
【0009】
本発明の第1は、有機EL素子の製造方法に関する。特に、本発明は、基板上に少なくとも陽極、有機EL層、および陰極とを形成して有機EL素子を製造する方法であって、有機EL層上に陰極を形成する前に、有機EL層上に陰極の構成元素のうちの少なくとも1つからなる薄膜層を形成し、次いで陰極を形成することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の第2は、カラー有機EL素子の製造方法に関する。特に、この製造方法は、(1)基板上に少なくとも陽極、有機EL層、および陰極とを含む有機EL発光部を準備する工程と、(2)透明基板上に色変換フィルタ層を形成して色変換フィルタを準備する工程と、(3)前記有機EL発光部と前記色変換フィルタとを、位置を合わせて貼り合わせる工程とを含み、(1)の工程が、有機EL層上に陰極を形成する前に、有機EL層上に陰極の構成元素のうちの少なくとも1つからなる薄膜層が形成され、次いで陰極が形成される工程であることを特徴とする。
【0011】
上記本発明では、薄膜層の厚さが1nmから10nmであることが好ましい。また、薄膜層の元素が、In、Zn、Sn、およびSbから選択されることが好ましい。本発明では、薄膜層の形成は、蒸着法により行われることが好ましい。さらに、本発明では、陰極の形成が、少なくとも酸素ガスを含む雰囲気中で行われることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を説明する。本明細書において、有機EL素子には、複数の画素を有する有機EL素子、いわゆる有機ELディスプレイ、および、一画素の有機EL素子を含む。
【0013】
まず、第1の発明について図面を参照しながら説明する。以下の説明および図面は、本発明の例示であり、本発明はこれらに限定されない。
【0014】
本発明の第1は、基板上に少なくとも陽極、有機EL層、および陰極とを形成して有機EL素子を製造する方法に関する。
【0015】
本発明の製造方法にかかる有機EL素子は、例えば図1に示す構成を有する。図1は、複数の画素を有する有機EL素子の1つの画素に相当する部分の概略断面図である。図1の有機EL素子は、基板1、下部電極2、有機EL層3、および上部電極4を含む。また、下部電極2は、アモルファス層2a、反射性金属層2rおよび透明導電層2tで構成される。ここでアモルファス層2aは、平坦性を付与するための層である。この下部電極の構成により、優れた平坦性および反射性を有する有機EL素子が得られ、下部電極2からの反射光を有効に利用することが可能となる。本発明では、下部電極2は陽極であり、上部電極4は陰極である。従って、本発明の有機EL素子は、トップエミッション型であり、図1の矢印方向から光が取り出される。また、有機EL層3は、例えば図2に示す構成を有する。図2は、複数の画素を有する有機EL素子の1つの画素に相当する部分の概略断面図である。図2には、正孔注入層11、正孔輸送層12、発光層13、電子輸送層14および電子注入層15を有する有機EL層を示した。本発明では、有機EL層3は、少なくとも発光層を含み、必要に応じて、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層および/または電子注入層を有する構成であればよい。
【0016】
図2に示される有機EL層3では、各層は下部電極(陽極)2側から正孔注入層11、正孔輸送層12、発光層13、電子輸送層14、電子注入層15の順で形成され、電子注入層側に上部電極(陰極)4が形成されている。
【0017】
図1および図2に示す有機EL素子を例にとり、以下に本発明の製造方法を具体的に説明する。本発明の製造方法は、基板上に少なくとも陽極、有機EL層、および陰極を順次形成して有機EL素子を形成する方法であり、有機EL層上に陰極を形成する前に、有機EL層上に陰極の構成元素のうちの少なくとも1つからなる薄膜層を形成し、次いで陰極を形成することを特徴とする。より具体的には、本発明は以下の各工程を具備する。
(a)基板上に、陽極を形成する工程、
(b)該陽極上に、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層からなる有機EL層を形成する工程、および
(c)該有機EL層上に、陰極を構成する元素のうちの少なくとも1つからなる薄膜層を形成し、次いで透明な陰極を形成する工程。
【0018】
なお、以下の説明では、複数の画素を有する有機EL素子の形成方法を例に取り説明するが、本発明は、これに限定されず、一画素の有機EL素子の製造方法も含む。
【0019】
以下に各工程に沿って、本発明の製造方法を説明する。
【0020】
工程(a)
工程(a)では、基板1上に、陽極2を形成する。陽極2は、先に説明したように、アモルファス層2a、反射性金属層2rおよび透明導電層2tで構成されることが好ましい。本発明では、陽極2は、アモルファス層2aと反射性金属層2rで形成されていてもよい。本発明では、アモルファス層2a、反射性金属層2rおよび透明導電層2tは、蒸着(例えば電子ビーム蒸着法や抵抗加熱蒸着法等)、スパッタ等の公知の従来技術を用いて基板1上に形成することができる。
【0021】
本発明では、基板1は、駆動用のTFTが既に形成されているTFT基板であってもよい。また、パッシブマトリクス駆動の素子を形成する場合には、ガラス基板、プラスチック基板などを用いることができる。
【0022】
基板1上には、平坦な面を有するアモルファス層2aを設ける。このようなアモルファス層2aを得るための1つの方法は、完全なアモルファス相としてこの層を成長させることである。アモルファス相として成長させる場合には、吸着ポテンシャルの大きな部分が発生しないので、平坦な膜を形成することが可能となる。
【0023】
本発明では、アモルファス層2aは、平坦性を付与すると同時に、反射性金属層と協働して反射性を向上させることも求められ、1〜500nmの厚さを有することが好ましい。
【0024】
アモルファス層2aの材料は、合金を用いることができる。合金の材料としては、合金を構成する元素の混合エンタルピーが負であり、かつ構成元素の原子半径比r/R(ただし、R>rである)が0.9以下、好ましくは0.85以下であるものが望ましい。そのような組合せとしては、1)遷移金属−リン合金、2)遷移金属−ボロン合金、および3)遷移金属−ランタノイド合金を例としてあげることができる。なお、本明細書において遷移金属とは、ランタノイドおよびアクチニウム系列を除く周期表第3族〜第12族の元素を意味する(例えば、周期表の第4周期でいえば、Sc〜Znの元素である)。また、本明細書において、ランタノイドとは、原子番号57(La)〜71(Lu)までの元素を意味する。また、遷移金属として1つの元素を用いることもできるし、または2つ以上の元素を用いることもできる。本発明において好ましい遷移金属は、Ni、Cr、Pt、Ir、Rh、Pd、Ru等を含む。特に好ましいものはNiおよびCrである。本発明において特に好ましいアモルファス合金は、NiP、NiB、CrPおよびCrBである。
【0025】
アモルファス層2aとして遷移金属−リン合金を用いる場合、該合金は、10〜50原子%、好ましくは12〜30原子%のリンを含有することができる。アモルファス層として遷移金属−ボロン合金を用いる場合、該合金は、10〜50原子%、好ましくは12〜30原子%のボロンを含有することができる。また、アモルファス層として遷移金属−ランタノイド合金を用いる場合、該合金は、10〜50原子%、好ましくは25〜50原子%のランタノイドを含有することができる。
【0026】
本発明では、平坦化のために上述のようなアモルファス層2aを用いることができるが、平坦な面を有する層を形成するための別の方法として、微結晶構造を採る合金を用いてこのような平坦な面を有する層を形成することもできる。微結晶構造の合金の場合、個々の結晶粒が大きく成長しないので、結晶成長による凹凸の増大を抑制することが可能である。本発明において用いることができる微結晶構造の合金は、NiAlを含む。
【0027】
次に、アモルファス層2aの上に、反射性金属または合金を含む反射性金属層2rが形成される。反射性金属層を形成するのに用いられる金属は、可視光〜近紫外領域、好ましくは300〜600nm、より好ましくは400〜500nmの光に対する反射率が高いことが望ましい。反射性金属または合金は、Al、Cr、Ag、Mg、Pt、Auなどの金属、1つ以上の前記金属の合金、または前記金属とアルカリ金属、カルシウムまたはバリウムとの合金など含む。反射性金属層2rは、反射性を付与すると同時に、表面平坦性を維持することが求められ、0.5〜20nmの厚さを有することが好ましい。
【0028】
次に、反射性金属層2r上に透明導電層2tを形成する。透明導電層2tとして好ましい材料は、ITOまたはIZOのような当該技術において知られている透明導電性酸化物である。透明導電層2tの膜厚は、有機発光層13の発光波長および所望の出力光の波長に依存するが、例えば、50〜500nm、好ましくは100〜250nmである。
【0029】
また、透明導電層2tは有機EL層3に接触しているので、有機層に対するキャリア注入性に優れていることが必要である。工程(a)では、陽極を形成するので、仕事関数の大きい透明導電性酸化物を有機EL層3と接触させることが好ましい。
【0030】
なお、上述のように、陽極2は、アモルファス層2aと反射性金属層2rで形成されていてもよい。透明導電層2tを用いずに、反射性金属層2r上に直接有機EL層3を形成する場合は、アモルファス層2aは有機EL層3に接触するので、有機EL層3にキャリアを注入できることも重要である。本発明のように、陽極として下部電極を形成する場合、アモルファス層2aを仕事関数の大きい金属で形成して、有機EL層3に対するホール注入性を向上させることが好ましい。4.8eV以上の仕事関数を有する金属(Pt、Au、Ni、Ru、Rh、PdまたはCo)を用いることが好ましい。
【0031】
工程(b)
工程(b)では、陽極2上に、正孔注入層11、正孔輸送層12、発光層13、電子輸送層14、電子注入層15からなる有機EL層3を形成する。これらは、抵抗加熱蒸着装置などで成膜することができる。
【0032】
本工程で製造される有機EL層3は、正孔注入層11、正孔輸送層12、発光層13、電子輸送層14、電子注入層15からなるが、本発明は、これらの構成に限定されない。例えば、有機EL層3は、少なくとも発光層13を含み、必要に応じて、正孔注入層11、正孔輸送層12、電子輸送層14および/または電子注入層15を有する構成であればよい。
【0033】
上記各層の材料としては、公知のものが使用される。青色から青緑色の発光を得るためには、有機発光層13中に、例えばベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、べンゾオキサゾール系などの蛍光増白剤、金属キレート化オキソニウム化合物、スチリルベンゼン系化合物、芳香族ジメチリディン系化合物などが好ましく使用される。また、電子注入層としては、キノリン誘導体(たとえば、8−キノリノールを配位子とする有機金属錯体)、オキサジアゾール誘導体、ペリレン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体などを用いることができる。さらに、電子注入層として、アルカリ金属、アルカリドル金属、およびその酸化物、フッ化物、窒化物、ホウ化物、例えばLiFなどを用いることができる。電子輸送層としては、金属錯体系(Alq3)とオキサジアゾール、トリアゾール系化合物等を用いることができる。また、正孔注入層としては、芳香族アミン化合物、スターバースト型アミンや、ベンジジン型アミンの多量体および銅フタロシアニン(CuPc)などを用いることができる。正孔輸送層としては、スターバースト型アミン、芳香族ジアミンなどを用いることができる。
【0034】
また、これらの層の厚さは、従来通りであってよいが、本発明では電子注入層の厚さは1から5nm、好ましくは1から2nmであり、最も好ましくは1nmである。このような、極薄い電子注入層であっても、後述する工程(c)に示す、薄膜層5を形成することにより、有機EL層3を損傷することなく、有機EL素子を形成することが可能となる。
【0035】
工程(c)
工程(c)では、有機EL層3上に、陰極4を構成する元素のうちの少なくとも1つからなる薄膜層を形成し、次いで陰極を形成する。
【0036】
本発明は、陰極4を形成する前に、陰極を構成する元素のうちの少なくとも1つからなる薄膜層5を形成することが特徴である。以下に図3を参照して本工程を説明する。図3(a)から図3(d)は、複数の画素を有する有機EL素子の1つの画素に相当する部分の概略断面図を表す。図3(a)は、上記工程(a)および工程(b)に従って作成された、基板1、陽極2および有機EL層3が積層された素子を表す。
【0037】
この素子の有機EL層3上に薄膜層5を形成する(図3(b))。
【0038】
本発明では、薄膜層5は、電子注入層または電子注入層より内側の層を損傷しないような方法で形成される。具体的には、蒸着法(抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法など)のような方法を挙げることができる。
【0039】
本発明の方法を蒸着法により実施する場合、蒸着の温度、圧力等は使用する材料、薄膜層の厚さにより異なる。本発明では、薄膜層を1から10nm、好ましくは2から5nm形成できる条件を用いる(例えば温度は、好ましくは室温程度であり、圧力は10−3Pa以下、好ましくは10−4Pa以下である。)。
【0040】
本発明では、このような薄膜層5を設け、以下に説明する透明な陰極を成膜することで、例えばスパッタ法のようなプラズマを用いる比較的衝撃の強い手法を用いた場合でも、有機EL層3の電子注入層や、さらに内側の層の損傷を防止することができる。本発明では、この薄膜層5は、後述するように陰極4の形成時に、酸化されて陰極4と一体化され、薄膜層5として有機EL素子に残存することはない。
【0041】
本発明の方法では、薄膜層5は、電子注入層や電子輸送層を完全に覆う厚さを有することが好ましい。薄膜層5の厚さが薄すぎると、薄膜層5がアイランド状に形成され、電子注入層や電子輸送層を完全に覆うことができず、例えばスパッタ法で陰極4を形成する際にこれらの層がプラズマに曝され損傷する可能性がある。また、薄膜層5が厚すぎると、透明な陰極4の形成時に、薄膜層5が残存するため、光の透過率が低下する。従って、薄膜層の5の厚さは、1nmから10nmが好ましく、2nmから5nmがより好ましい。
【0042】
また、薄膜層5の材料は、上述のように陰極と一体化させるため、陰極で使用される元素の少なくとも1つを含むことが好ましい。例えば、薄膜層の材料は、In、Zn、Sn、Sbなどの透明な陰極に用いられる材料から選択される。
【0043】
次に、透明な陰極を形成する(図3(c))。この形成工程は酸素を含む雰囲気下で行うことが好ましい。またこの形成工程は、例えばDCスパッタ法などのスパッタ技術を用いることができる。スパッタ法を用いる場合、所定のターゲットを用い、酸素を含む雰囲気下で成膜を行うことが好ましい。例えば、酸素とアルゴンの混合ガスを放電ガスとして用いることができる。放電ガスの酸素の割合は特に限定されないが、例えば、酸素/放電ガス(Ar)=0.01〜0.05が好ましく、0.02がより好ましい。本発明では、成膜の中の酸素の割合は一定である必要はなく、例えば成膜の初期で酸素の割合の高い放電ガスを使用して薄膜層5の酸化を促進し、酸化が終了した時点で、放電ガスの酸素の割合を低くし残りの透明電極を作成してもよい。酸素を含んだガスを用い、例えばスパッタ法で透明電極を成膜することにより、薄膜層5がプラズマにより活性化された酸素に曝され、薄膜層5が酸化されて透明でなおかつ導電性を持った層として形成される。本発明では、陰極4と同じ元素の薄膜層5を用いることにより、陰極4の成膜時に薄膜層5が陰極4と同じ金属酸化物組成を有することになり、薄膜層5は陰極4と一体化される(図3(c))。従って、従来の有機EL素子に比べて層が増えたり、光の透過率が低下したりすることがなく、しかも有機EL層3などが損傷することなく陰極4を形成することができる。
【0044】
本発明で形成される陰極4は、透明な電極であれば特に限定されないが、In、Zn、Sn、Sb等を含む酸化物、例えばインジウムスズ酸化物(ITO)、IZO(InZnO)等を好適に用いることができる。
【0045】
なお、本発明の製造方法では、陰極の形成に、DCスパッタ法以外にもRFスパッタ法、これらの両方を印加する方法も用いることができる。
【0046】
陰極4の膜厚は、干渉、抵抗率などにより適宜選択すればよい。膜厚は、好ましくは100〜300nm、より好ましくは、200nm程度である。
【0047】
本発明では、以上のように形成される陰極以下の各層を覆ってパッシベーション層6を設けることが好ましい(図3(d))。パッシベーション層6は、外部環境からの酸素、低分子成分および水分の透過を防止し、それらによる有機EL層の機能低下を防止することに有効である。パッシベーション層6の形成方法としては特に制約はなく、スパッタ法、CVD法、真空蒸着法、ディップ法、ゾル−ゲル法等の慣用の手法により形成できる。
【0048】
パッシベーション層6は、第1の発明の有機発光素子を後述する第2の発明のカラー有機EL素子の発光部として用いる場合、有機EL層から発光される光を色変換フィルタ層へと透過させるために、その発光波長域において透明であることが好ましい。
【0049】
これらの要請を満たすために、パッシベーション層6は、可視域における透明性が高く(400〜800nmの範囲で透過率50%以上)、電気絶縁性を有し、水分、酸素および低分子成分に対するバリア性を有し、好ましくは2H以上の膜硬度を有する材料で形成される。例えば、SiO、SiN、SiN、AlO、TiO、TaO、ZnO等の無機酸化物、無機窒化物等の材料を使用できる。
【0050】
また、パッシベーション層6として種々のポリマー材料を用いることができる。イミド変性シリコーン樹脂(特開平5−134112号公報、特開平7−218717号公報、特開平7−306311号公報等を参照されたい)、無機金属化合物(TiO、Al、SiO等)をアクリル、ポリイミド、シリコーン樹脂等の中に分散した材料(特開平5−119306号公報、特開平7−104114号公報等を参照されたい)、アクリレートモノマー/オリゴマー/ポリマーの反応性ビニル基を有した樹脂、レジスト樹脂(特開平6−300910号公報、特開平7−128519号公報、特開平8−279394号公報、特開平9−330793号公報等を参照されたい)、フッ素系樹脂(特開平5−36475号公報、特開平9−330793号公報)、または高い熱伝導率を有するメソゲン構造を有するエポキシ樹脂などの光硬化性樹脂および/または熱硬化性樹脂を挙げることができる。これらポリマー材料を用いる場合にも、その形成法は特に制限はない。たとえば、乾式法(スパッタ法、蒸着法、CVD法など)、あるいは湿式法(スピンコート法、ロールコート法、キャスト法など)のような慣用の手法により形成することができる。
【0051】
上述のパッシベーション層6は、単層であっても、複数の層が積層されたものであってもよい。パッシベーション層6の厚さ(複数の層の積層物である場合は全厚)は、0.1〜10μmであることが好ましい。
【0052】
また、本発明の製造方法は、TFT型およびパッシブマトリックス型の両方に適用することができる。
【0053】
次に、図4を参照して、本発明の一実施形態の製造方法をTFT型の有機EL素子に適用した場合を例にとり説明する。以下の説明では、1つの具体的な材料を基に説明するが、本発明はこれに限定されず、先に議論した種々の材料等を使用することができる。
【0054】
1)基板、TFT、アモルファス層、陽極および有機EL層の形成(図4(a))
当該技術において知られている手段を用いて、基板102上に、TFT104、アモルファス層(NiP層)106、反射性金属層としてのCr/Ptを堆積させ、陽極(材料:例えばIZO)108および有機EL層(例えば、正孔注入層:銅フタロシアニン;正孔輸送層:4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル;発光層:4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)ビフェニル;電子輸送層:トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム錯体;電子注入層:LiF)110を形成する(図4(a))。以下にこれらの層について説明する。
【0055】
(i)基板102
基板102としては、上述のようにガラスやプラスチックなどからなる絶縁性基板、または、半導電性や導電性基板に絶縁性の薄膜を形成した基板を用いることができる。
【0056】
(ii)TFT104
TFT104は、第1の基板102上にマトリックス状に配置され、各画素に対応した陽極108にソース電極が接続される。TFT104の電極に対する配線部、並びにTFT自身の構造は、所望される耐圧性、オフ電流特性、オン電流特性を達成するように、当該技術において知られている方法により作成することができる。また、本発明の方法で形成されるような、トップエミッション方式を用いる本発明の有機EL素子は、TFT部を光が通過しないので、開口率を増加させるためにTFTを小さくする必要がない。従って、本発明の方法はTFT設計の自由度を高くすることができ、有利である。
【0057】
(iii)アモルファス層106
アモルファス層106は、TFT104の上部に形成することが好ましい。アモルファス層106は、TFT104のソース電極と陽極108との接続およびその他の回路の接続に必要な部分以外に設けられ、基板表面を平坦化して引き続く層の高精細なパターン形成を容易にする。本実施形態では、NiP合金をアモルファス層106として使用する。アモルファス層106は、蒸着、スパッタ等の公知の技術を用い、公知の条件で基板1上に形成する。
【0058】
(iv)陽極108
陽極108は、正孔の注入を効率よく行うために、仕事関数が大きい材料が用いられる。本実施形態ではIZOのような導電性金属酸化物を用いて陽極108を形成すればよい。陽極は、スパッタ法のような従来の方法により形成でき、成膜条件も従来の条件を使用すればよい。この他、ITOなどの導電性金属酸化物を用いることができる。本発明では、陽極108の下に反射率の高い反射性性金属層(Cr/Rt層、図示せず)を用いることが好ましい。反射性金属層を設けることにより、有機EL層110で発光される光を陰極112側に反射して光の有効利用を図ることが可能となる。この反射性金属層は、反射性を付与すると同時に、表面平坦性を有する。
【0059】
本実施形態の有機EL素子において、陽極108は、TFT104それぞれに対応して分離した形態でアモルファス層106上に形成され、TFT104のソース電極と接続される。TFT104と陽極108とは、アモルファス層内に設けられたコンタクトホールに充填された導電性プラグによって接続される。導電性プラグは、陽極108と一体に形成されてもよいし、または、金、銀、銅、アルミニウム、モリブデン、タングステンなどの低抵抗の金属類を用いて形成されてもよい。
【0060】
次に、陽極上に有機EL層110を形成する。有機EL層110について以下に説明する。
【0061】
(v)有機EL層110
有機EL層110は、陽極側から、正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層のような構造を有する。
【0062】
この他にも下記のような構造をとることができる。
発光層
正孔注入層/発光層
発光層/電子注入層
正孔注入層/発光層/電子注入層
上記の他の構成例では、陽極は発光層または正孔注入層に接続され、陰極は発光層または電子注入層に接続される。これらの層は、抵抗加熱蒸着法により成膜できる。
【0063】
本実施形態では、例えば、正孔注入層として銅フタロシアニンを、正孔輸送層として4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルを、発光層として4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)ビフェニルを、電子輸送層としてトリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム錯体を、そして電子注入層としてLiFを使用する。
【0064】
2)薄膜層の形成(図4(b))
次に、有機EL層上に、薄膜層126を蒸着法により電子注入層を損傷しないように形成する。具体的には、陰極に用いる材料の1つ、本実施形態では、インジウム(In)を蒸着法により形成する。即ち、有機EL層を形成した基板を、蒸着装置内に導入し、In金属を蒸着する。蒸着の温度および圧力は特に限定されないが、薄膜層126が約2nm程度で形成される条件で蒸着を行うことが好ましい(例えば温度は、好ましくは室温程度、圧力は10−3Pa以下、好ましくは10−4Pa以下である。)。
【0065】
3)陰極112の形成(図4(c))
次に、薄膜層123を形成した素子を、DCスパッタ装置内に導入し、例えば、酸素−アルゴン雰囲気下(例えば酸素/(酸素+アルゴン)=0.02)で透明電極を形成する。本実施形態では、スパッタ法のターゲットとしてはIn/ZnOを用いる。この手法により、薄膜層123が陰極と一体化され、透明な陰極として形成される。本実施形態では、陰極は、薄膜層と一体化した状態で、好ましくは200nm程度の厚さを有する。
【0066】
次に、上記のようにして形成された素子を覆うパッシベーション層を形成する。例えば、SiON膜をスパッタ法などにより形成すればよい。膜厚は、300nm程度にすればよい。
【0067】
このようにして、TFT型の有機EL素子を製造することができる。
【0068】
以上はTFT型の有機EL素子について説明したが、本発明はTFT型のみではなく、パッシブマトリックス型であってもよい。本発明の有機EL素子においてパッシブマトリクス駆動を行う場合、TFT104およびアモルファス層106を形成することなしに、基板102上にラインパターン状の陽極108が形成される。このラインパターン状の陽極108上に有機EL層110を形成し、次いで陽極108のラインパターンと直交する方向に延びるラインパターンを有する薄膜層5を形成し、酸素を含む雰囲気下で、陰極112を形成すればよい。
【0069】
次に、第2の発明について説明する。
本発明の第2は、カラー有機EL素子の製造方法に関する。
【0070】
本発明の製造方法は、(1)基板上に少なくとも陽極、有機EL層、および陰極とを含む有機EL発光部を準備する工程と、(2)透明基板上に色変換フィルタ層を形成して色変換フィルタを準備する工程と、(3)前記有機EL発光部と前記色変換フィルタとを、位置を合わせて貼り合わせる工程とを含み、(1)の工程が、有機EL層上に陰極を形成する前に、有機EL層上に陰極の構成元素のうちの少なくとも1つからなる薄膜層が形成され、次いで陰極が形成される工程であることを特徴とするカラー有機EL素子の製造方法である。
【0071】
以下に各工程を説明する。
【0072】
工程(1)
工程(1)は、有機EL発光部を準備する工程である。この工程は、上記第1の発明で説明した製造方法により製造された有機EL素子を準備する工程である。即ち、この工程は、上記第1の発明と同じ工程を有する。従って、この工程の条件、この工程で使用される材料等は、上記第1の発明と同じである。
【0073】
工程(2)
工程(2)では、色変換フィルタを製造する。本工程で製造できる色変換フィルタは、例えば図5に示される構造を有する。図5に示される実施形態において、赤色変換フィルタ層は、赤色カラーフィルタ層118Rと赤色蛍光変換層120Rからなり、緑色変換フィルタ層は、緑色カラーフィルタ層118Gと緑色蛍光変換層120Gからなり、青色変換フィルタ層は、青色カラーフィルタ層118Bからなる。以下にこの構造を有する色変換フィルタの製造について説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0074】
色変換フィルタ150は、透明基板116上に、RGB各色に対応する色変換フィルタ層と、それらの間および周囲に位置するブラックマスク122を形成することにより得ることができる。例えば、染料または顔料を含有したマトリックス樹脂を、例えばコーニング社製のガラス(ノンアルカリガラスである、コーニング1737ガラス)のような透明基板上に、スピンコート法などを用いて塗布し、フォトリソグラフィー法などによりパターンニングを行うことにより色変換フィルタを形成する。
【0075】
以下に、色変換フィルタの具体的な製造方法を説明する。以下の説明では、青色ないし青緑色領域の光を発する有機EL発光部を発光源として用いる場合を例に取り、各材料を説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0076】
[青色フィルタ層の作製]
青色フィルタ層の材料を透明な支持基板上に、スピンコート法などを用いて塗布し、フォトリソグラフィー法などによりパターンニングを実施すことにより、青色フィルタ層のラインパターンを得ることができる。このラインパターンは、所望のカラー有機EL素子に応じて異なるが、例えば線幅0.1mm、ピッチ0.33mm、膜厚10μmとすることができる。
【0077】
[緑色変換フィルタ層の作製]
緑色変換用の蛍光色素を溶剤へ溶解させ、これに光重合性樹脂を加えて、硬化性樹脂組成物の溶液を得る。この溶液を、青色フィルタのラインパターンをすでに形成した、透明な支持基板上に、スピンコート法などを用いて塗布し、フォトリソグラフィー法などによりパターンニングを実施すことにより、緑色変換フィルタ層のラインパターンを得ることができる。このラインパターンは、所望のカラー有機EL素子に応じて異なるが、例えば線幅0.1mm、ピッチ0.33mm、膜厚10μmとすることができる。
【0078】
[赤色変換フィルタ層の作製]
赤色変換用の蛍光色素を溶剤へ溶解させ、これに光重合性樹脂を加えて、硬化性樹脂組成物の溶液を得る。この溶液を、青色フィルタ層および緑色変換フィルタ層のラインパターンを形成した透明な支持基板上に、スピンコート法などを用いて塗布し、フォトリソグラフィー法などによりパターンニングを実施すことにより、赤色変換フィルタ層を得る。このラインパターンは、所望のカラー有機EL素子に応じて異なるが、例えば線幅0.1mm、ピッチ0.33mm、膜厚10μmとすることができる。
【0079】
また、本発明では、色変換フィルタ層は、各色ごとに分離したストライプパターンとして形成することができるが、各色ごとだけではなく、サブピクセルごとに分離させた構造とすることも好ましい。
【0080】
さらに本発明では、色変換層に、カラーフィルタ層をさらに設けてもよい。すなわち、上記の緑色または赤色の変換フィルタ層のみでは十分な色純度が得られない場合は、カラーフィルタ層を設けることができる。カラーフィルタ層の厚さは1〜1.5μmが好ましい。また、このカラーフィルタ層は、上記青色フィルタ層と同様の方法で形成することができる。
以上のようにして、本発明の色変換フィルタ層が得られる。
【0081】
以下に色変換フィルタの構成要素について説明する。
【0082】
(I)透明基板116
透明基板116は、色変換フィルタ層によって変換された光に対して透明であることが必要である。また、透明基板116は、色変換フィルタ層、ブラックマスクおよび隔壁層の形成に用いられる条件(溶媒、温度等)に耐えるものであるべきであり、さらに寸法安定性に優れていることが好ましい。透明基板116は、波長400〜800nmの光に対して50%以上の透過率を有することが好ましい。
【0083】
透明基板116の材料として好ましいものは、ガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート等の樹脂を含む。ホウケイ酸ガラスまたは青板ガラス等が特に好ましいものである。
【0084】
(II)色変換フィルタ層
本明細書において、色変換フィルタ層は、カラーフィルタ層118、蛍光変換層120、およびカラーフィルタ層118と蛍光変換層120との積層体の総称である。蛍光変換層120は、有機EL層110にて発光される近紫外領域ないし可視領域の光、特に青色ないし青緑色領域の光を吸収して異なる波長の可視光を蛍光として発光するものである。フルカラー表示を可能にするためには、少なくとも青色(B)領域、緑色(G)領域および赤色(R)領域の光を放出する独立した色変換フィルタ層が設けられる。RGBそれぞれの蛍光変換層は、少なくとも有機蛍光色素とマトリクス樹脂とを含む。
【0085】
イ)有機蛍光色素
本発明において、好ましくは、少なくとも赤色領域の蛍光を発する蛍光色素の1種類以上を用い、さらに緑色領域の蛍光を発する蛍光色素の1種類以上と組み合わせてもよい。これは、光源として青色ないし青緑色領域の光を発光する有機EL層を用いる場合、有機EL層からの光を単なる赤色フィルタに通して赤色領域の光を得ようとすると、元々赤色領域の波長の光が少ないために極めて暗い出力光になってしまうからである。
【0086】
したがって、有機EL層からの青色ないし青緑色領域の光を、蛍光色素によって赤色領域の光に変換することにより、十分な強度を有する赤色領域の光の出力が可能となる。発光体から発せられる青色から青緑色領域の光を吸収して、赤色領域の蛍光を発する蛍光色素としては、例えばローダミンB、ローダミン6G、ローダミン3B、ローダミン101、ローダミン110、スルホローダミン、ベーシックバイオレット11、ベーシックレッド2などのローダミン系色素、シアニン系色素、1−エチル−2−[4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル]−ピリジニウムパークロレート(ピリジン1)などのピリジン系色素、あるいはオキサジン系色素などが挙げられる。さらに、各種染料(直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料など)も蛍光性があれば使用することができる。
【0087】
発光体から発せられる青色ないし青緑色領域の光を吸収して、緑色領域の蛍光を発する蛍光色素としては、例えば3−(2’−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノ−クマリン(クマリン6)、3−(2’−ベンゾイミダゾリル)−7−ジエチルアミノ−クマリン(クマリン7)、3−(2’−N−メチルベンゾイミダゾリル)−7−ジエチルアミノ−クマリン(クマリン30)、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−8−トリフルオロメチルキノリジン(9,9a,1−gh)クマリン(クマリン153)などのクマリン系色素、あるいはクマリン色素系染料であるベーシックイエロー51、さらにはソルベントイエロー11、ソルベントイエロー116などのナフタルイミド系色素などが挙げられる。さらに、各種染料(直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料など)も蛍光性があれば使用することができる。
【0088】
さらに、青色領域の光に関しては、有機EL層からの発光を単なる青色フィルタに通して出力させることが可能である。
【0089】
なお、本発明に用いる有機蛍光色素を、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、アルキッド樹脂、芳香族スルホンアミド樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂およびこれらの樹脂混合物などに予め練り込んで顔料化して、有機蛍光顔料としてもよい。また、これらの有機蛍光色素や有機蛍光顔料(本明細書中で、前記2つを合わせて有機蛍光色素と総称する)は単独で用いてもよく、蛍光の色相を調整するために2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0090】
本発明の蛍光変換層120は、該蛍光変換層の重量を基準として0.01〜5質量%、より好ましくは0.1〜2質量%の有機蛍光色素を含有する。前記含有量範囲の有機蛍光色素をもちいることにより、濃度消光などの硬化による色変換効率を伴うことなしに、充分な波長変換を行うことが可能となる。
【0091】
ロ)マトリクス樹脂
次に、本発明の蛍光変換層に用いられるマトリクス樹脂は、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂(レジスト)を光および/または熱処理して、ラジカル種またはイオン種を発生させて重合または架橋させ、不溶不融化させたものである。また、蛍光変換層のパターニングを行うために、該光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂は、未露光の状態において有機溶媒またはアルカリ溶液に可溶性であることが望ましい。
【0092】
具体的には、マトリクス樹脂は、(1)アクロイル基やメタクロイル基を複数有するアクリル系多官能モノマーおよびオリゴマーと、光または熱重合開始剤とからなる組成物膜を光または熱処理して、光ラジカルまたは熱ラジカルを発生させて重合させたもの、(2)ボリビニル桂皮酸エステルと増感剤とからなる組成物を光または熱処理により二量化させて架橋したもの、(3)鎖状または環状オレフィンとビスアジドとからなる組成物膜を光または熱処理してナイトレンを発生させ、オレフィンと架橋させたもの、および(4)エポキシ基を有するモノマーと酸発生剤とからなる組成物膜を光または熱処理により、酸(カチオン)を発生させて重合させたものなどを含む。特に、(1)のアクリル系多官能モノマーおよびオリゴマーと光または熱重合開始剤とからなる組成物を重合させたものが好ましい。なぜなら、該組成物は高精細なパターニングが可能であり、および重合した後は耐溶剤性、耐熱性等の信頼性が高いからである。
【0093】
本発明で用いることができる光重合開始剤、増感剤および酸発生剤は、含まれる蛍光変換色素が吸収しない波長の光によって重合を開始させるものであることが好ましい。本発明の蛍光変換層において、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂中の樹脂自身が光または熱により重合することが可能である場合には、光重合開始剤および熱重合開始剤を添加しないことも可能である。
【0094】
マトリクス樹脂(蛍光変換層)は、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂、有機蛍光色素および添加剤を含有する溶液または分散液を、支持基板上に塗布して樹脂の層を形成し、そして所望される部分の光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂を露光することにより重合させて形成される。所望される部分に露光を行って光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂を不溶化させた後に、パターニングを行う。該パターニングは、未露光部分の樹脂を溶解または分散させる有機溶媒またはアルカリ溶液を用いて、未露光部分の樹脂を除去するなどの慣用の方法によって実施することができる。
【0095】
ハ)構成および形状
赤色に関しては、蛍光変換層120Rのみから形成されてもよい。しかし、蛍光色素による変換のみでは十分な色純度が得られない場合は、図5に示されるように蛍光変換層120Rとカラーフィルタ層118Rとの積層体としてもよい。カラーフィルタ層118Rを併用する場合、カラーフィルタ層118Rの厚さは1〜1.5μmであることが好ましい。
【0096】
また、緑色に関しては、蛍光変換層120Gのみから形成されてもよい。しかし、蛍光色素による変換のみでは十分な色純度が得られない場合は、図5に示されるように蛍光変換層120Gとカラーフィルタ層118Gとの積層体としてもよい。カラーフィルタ層118Gを併用する場合、カラーフィルタ層118Gの厚さは1〜1.5μmであることが好ましい。あるいはまた、有機EL層110の発光が緑色領域の光を充分に含む場合には、カラーフィルタ層118Gのみとしてもよい。カラーフィルタ層118Gのみを用いる場合、その厚さは0.5〜10μmであることが好ましい。
【0097】
一方、青色に関しては、図5に示されるようにカラーフィルタ層118Bのみとすることができる。カラーフィルタ層118Bのみを用いる場合、その厚さは0.5〜10μmであることが好ましい。
【0098】
色変換フィルタ層の形状は、よく知られているように各色ごとに分離したストライプパターンとしてもよいし、各画素のサブピクセルごとに分離させた構造を有してもよい。
【0099】
(III)ブラックマスク122
各色に対応する色変換フィルタ層の間の領域には、ブラックマスク122を形成することが好ましい。ブラックマスクを設けることによって、隣接するサブピクセルの色変換フィルタ層への光の漏れを防止して、にじみのない所望される蛍光変換色のみを得ることが可能となる。後述する有機EL素子の封止を妨げないことを条件として、透明基板116上の色変換フィルタ層が設けられている領域の周囲にブラックマスクを設けてもよい。ブラックマスク122は、好ましくは0.5〜2.0μmの厚さを有する。
【0100】
工程(3)
工程(3)では、工程(1)および工程(2)で製造した有機EL発光部と色変換フィルタを貼り合わせる。
【0101】
本発明の製造方法では、有機EL発光部160と、色変換フィルタ150とを貼り合わせて、カラー有機EL素子140を形成する。
【0102】
図6を参照して具体的に本工程を説明する。図6(a)から図6(c)は、本工程の手順を示す概略図である。
【0103】
まず、第1の発明に従って製造される有機EL素子に外周封止層130を形成し(図6(a))、有機EL発光部160を製造する。
【0104】
この外周封止層130は、紫外線硬化型樹脂を基板102上に所定のパターンで塗布し、紫外線で硬化することにより形成することができる。この紫外線効果型樹脂は、直径5〜50μm、好ましくは直径5〜20μmのガラスビーズ、シリカビーズなどを混合することが好ましい。これらのビーズ類は、有機EL発光部と色変換フィルタとの貼り合わせにおいて、基板間距離(基板102と透明基板116との間の距離)を規定するとともに、接着のために印加される圧力を負担する。さらに、素子駆動時に発生する応力(特に素子外周部における応力)も負担して、該応力による素子の劣化を防止する。
【0105】
次いで、有機EL発光部160と色変換フィルタ150とを乾燥窒素雰囲気(望ましくは、酸素および水分濃度ともに1ppm以下)内に配置し、密着させ、有機EL素子の発光部と色変換フィルタ層とのアライメントを行う。アクティブマトリクス駆動の場合には、陽極108と色変換フィルタ層との位置合わせを行う。一方、パッシブマトリクス駆動の場合には、陽極および陰極のラインパターンの交差部分と色変換フィルタ層との位置合わせを行う。
【0106】
その後に、この紫外線硬化型樹脂に対して紫外線を照射して、該樹脂を硬化させて外周封止層130を硬化させる(図6(b))。紫外線照射は、例えば100mW/cmの照度で30秒間にわたって行うことが好ましい。
【0107】
本発明においては、外周封止層130により形成される内部空間125の容積に相当する充填剤を、外周封止層130の内部に充填し、充填剤層128を形成することが好ましい(図6(c))。充填剤の所要量は、当業者によって容易に決定されうるものである。
【0108】
本発明では、上記の充填剤で形成される充填剤層128は必ずしも必要ではない。しかし、充填剤層128および外周封止層130を組み合わせて用いることにより、基板102と透明基板116とを、1〜100μm、好ましくは5〜50μmの間隔で固定でき、且つ、外部環境からの水分の浸入を防止し、長期信頼性のある有機EL素子140を構成することができる。
【0109】
以下に、充填剤層128および外周封止層130について説明する。
【0110】
イ)充填剤層128
充填剤層128は、従来法の素子において形成される内部空間125を充填して、有機EL層110の発光の内部空間界面における反射を抑制し、該発光を色変換フィルタへと効率よく透過させるために設けられる。充填剤層128は、波長400〜800nmの光に対して20%〜95%、好ましくは60%〜95%の可視光透過率と、1.2〜2.5の屈折率とを有する。このような特性を有することにより、有機EL層110からの発光の伝達経路の各界面における屈折率差を小さくすることができ、各界面における反射を抑制し、色変換フィルタ層への光の伝達をより効率的に行うことが可能となる。
【0111】
充填剤層128を形成するための充填剤は、有機EL発光部および色変換フィルタの特性に悪影響を及ぼさない不活性液体または不活性なゲルであればよい。また、充填剤は、内部空間125に注入した後にゲル化する液体であってもよい。充填剤として用いられる不活性液体またはゲルは、波長400〜800nmの光に対して20%〜95%、好ましくは60%〜95%の可視光透過率と、1.2〜2.5の屈折率とを有する。また、充填剤としてゲル化する液体を用いる場合には、ゲル化の後に前述の可視光透過率および屈折率を有するべきである。本発明で使用しうる充填剤の例は、シリコーン樹脂、フッ素系不活性液体、またはフッ素系オイルなどを含む。
【0112】
ロ)外周封止層130
外周封止層130は、有機EL素子と色変換フィルタを接着するとともに、内部の各構成要素を外部環境の酸素、水分などから保護する機能を有する。外周封止層130は紫外線硬化型樹脂から形成される。そのような紫外線硬化型樹脂は、硬化する前は粘度変化あるいはゲル化などを起こさず、有機EL発光部と色変換フィルターとの相対的移動により、色変換フィルタ層と有機EL発光部との精密なアライメントを可能にする。
【0113】
ひとたびアライメントが完了したならば、紫外線を照射して、紫外線硬化型樹脂を硬化させる。例えば、100mW/cmの紫外線を照射した際に、10〜60秒以内に硬化することが好ましい。この時間範囲内で硬化させることにより、紫外線照射による他の構成要素への悪影響をもたらすことなしに、紫外線硬化型接着剤が充分に硬化して適切な接着強さを発現させることが可能となる。また、生産工程の効率の観点からも、前述の時間範囲内であることが好ましい。
【0114】
また、前記紫外線硬化型樹脂は、直径5〜50μm、好ましくは直径5〜20μmのガラスビーズ、シリカビーズなどを含んでいることが好ましい。これらのビーズ類が、有機EL発光部と色変換フィルタとの貼り合わせにおいて、基板間距離(基板102と透明基板116との間の距離)を規定するとともに、接着のために印加される圧力を負担するからである。さらに、このようなビーズ類を含ませることが好ましいのは、素子駆動時に発生する応力(特に素子外周部における応力)も負担して、該応力による素子の劣化を防止することができるからである。
【0115】
なお、内部空間125に充填剤を封入する場合には、外周封止層130の一部に孔を設けて外周封止層130を硬化させ、この孔から充填剤を注入した後、この孔を塞げばよい。
【0116】
【実施例】
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0117】
(実施例1)
1.有機EL素子の製造
従来の手法により、基板上にTFTを形成する。このTFTを備える基板上に、反射性金属層としてCr(5nm)/Pt(100nm)をスパッタ法などにより堆積させ、更にその上に、陽極である透明導電層としてIn−ZnO酸化層(IZO)を堆積させる。ここで使用する反射性金属層は、その凹凸が4nm以下の導電体である金属や合金であればCr/Ptの積層体に限らない。また、IZOの成膜はスパッタ法によったが、電子ビーム蒸着法や抵抗加熱蒸着法等の他の成膜法であってもよい。
【0118】
この陽極上に正孔注入層(銅フタロシアニン)、正孔輸送層(4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル)および発光層(4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)ビフェニル)を抵抗加熱蒸着法により順次堆積させ、さらに電子輸送層としてトリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム錯体を、同法により20nm積層する。
【0119】
電子注入層は、抵抗加熱蒸着法により電子注入層としてLiFを1nm堆積させる。この電子注入層は、1nmと薄いため、膜としてではなく、アイランド状に成膜される。
【0120】
次に、薄膜層を蒸着法により2nmの厚さに成膜した。薄膜層にはInを用いる。これは、陰極としてIZOを用いるため、その構成要素の1つであるInを用いる必要があるためである。また、薄膜層は有機EL層全面に成膜される必要があり、欠陥や、アイランド状での成膜が起こらないようにする。成膜の条件は、Inを全面被膜でき、有機EL層を損傷することなく、さらに2nmで成膜できる条件であればいかなる条件でもよい(例えば温度は、好ましくは室温程度、圧力は10−3Pa以下、好ましくは10−4Paである。)。
【0121】
次に、薄膜層を形成した素子を、DCスパッタ装置内に導入し、Inをターゲットして、酸素−アルゴン雰囲気下(酸素/(酸素+アルゴン)=0.02)で透明な陰極を形成する。この手法により、薄膜層が陰極と一体化され、透明な陰極として形成される。本実施例で形成される陰極は、薄膜層と一体化した状態で200nmの厚さである。
【0122】
本実施例では、薄膜層は全面成膜され、且つ、陰極の形成後に薄膜層が残ることなく、陰極と一体化されている。
【0123】
必要に応じて、パッシベーション層としてSiONをスパッタ法により300nm堆積させる。
【0124】
本実施例で作成された有機EL素子は、従来技術と比較して、リークが少なく、且つダークスポットも少ない素子が作成できた。また、この素子では、外部取り出し効率が、一般的なボトムエミッション型素子と同等か、またはそれ以上であった。
【0125】
2.カラー有機EL素子の製造
上記のようにして製造した有機EL素子の外周部に、ビーズ類を混合した外周封止用の紫外線硬化型樹脂をパターンニングして塗布する。これと、予めRGBの色変換フィルタ層を作製してある透明基板(色変換フィルタ)とを互いにむかい合わせ、位置合わせをして紫外線硬化型樹脂を紫外線により硬化した。得られた素子の空隙に、外周封止層に予め設けた孔から充填剤を充填し、孔を封止してパネルを完成させた。
【0126】
本実施例で作成されたカラー有機EL素子は、従来技術と比較して、リークが少なく、且つダークスポットも少ない素子が作成できた。また、この素子では、外部取り出し効率が、一般的なボトムエミッション型素子と同等か、またはそれ以上であった。
【0127】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、電子注入層へのダメージがなく、光の取り出し効率を低下させることなく有機EL素子、カラー有機EL素子等を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機EL素子の概略断面図である。
【図2】本発明の有機EL素子の有機EL層の概略断面図である。
【図3】本発明の有機EL素子の製造方法を示す概略図である。
【図4】本発明の有機EL素子の製造方法を示す概略図である。
【図5】本発明の色変換フィルタ層の概略図である。
【図6】本発明のカラー有機EL素子の映像方法を示す概略図である。
【符号の説明】
2  陽極(下部電極)
2a  アモルファス層
2t  透明導電層
2r 反射性金属層
3  有機EL層
4、112  陰極(上部電極)
5、126  薄膜層
6  パッシベーション層
11  正孔注入層
12  正孔輸送層
13  発光層
14  電子輸送層
15  電子注入層
102  基板
104  陽極
106  アモルファス層
108  陽極
110  アモルファス層
116  透明基板
118  カラーフィルタ層
120  蛍光変換層
122  ブラックマスク
125  内部空間
128  充填剤層
130  外周封止層
150  色変換フィルタ

Claims (12)

  1. 基板上に少なくとも陽極、有機EL層、および陰極とを形成して有機EL素子を製造する方法であって、有機EL層上に陰極を形成する前に、有機EL層上に陰極の構成元素のうちの少なくとも1つからなる薄膜層を形成し、次いで陰極を形成することを特徴とする有機EL素子の製造方法。
  2. 前記薄膜層の厚さが1nmから10nmであることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子の製造方法。
  3. 前記薄膜層の元素が、In、Zn、Sn、およびSbから選択されることを特徴とする請求項1または2に記載の有機EL素子の製造方法。
  4. 前記薄膜層の形成が、蒸着法により行われることを特徴とする請求項1から3に記載の有機EL素子の製造方法。
  5. 前記陰極の形成が、少なくとも酸素ガスを含む雰囲気中で行われることを特徴とする請求項1から4に記載の有機EL素子の製造方法。
  6. カラー有機EL素子の製造方法であって、該製造方法が
    (1)基板上に少なくとも陽極、有機EL層、および陰極とを含む有機EL発光部を準備する工程と、
    (2)透明基板上に色変換フィルタ層を形成して色変換フィルタを準備する工程と、
    (3)前記有機EL発光部と前記色変換フィルタとを、位置を合わせて貼り合わせる工程と、
    を含み、
    前記(1)の工程が、有機EL層上に陰極を形成する前に、有機EL層上に陰極の構成元素のうちの少なくとも1つからなる薄膜層が形成され、次いで陰極が形成される工程であることを特徴とするカラー有機EL素子の製造方法。
  7. 基板上に前記陽極と接続される薄膜トランジスタがさらに設けられることを特徴とする請求項6に記載のカラー有機EL素子の製造方法。
  8. 前記陽極および前記陰極がそれぞれラインパターン状に形成され、前記陽極のラインパターンと前記陰極のラインパターンが直交する方向に延びていることを特徴とする請求項6に記載のカラー有機EL素子の製造方法。
  9. 前記薄膜層の厚さが1nmから10nmであることを特徴とする請求項6から8に記載のカラー有機EL素子の製造方法。
  10. 前記薄膜層の元素が、In、Zn、Sn、およびSbから選択されることを特徴とする請求項6から9に記載のカラー有機EL素子の製造方法。
  11. 前記薄膜層の形成が、蒸着法により行われることを特徴とする請求項6から10に記載のカラー有機EL素子の製造方法。
  12. 前記陰極の形成が、少なくとも酸素ガスを含む雰囲気中で行われることを特徴とする請求項6から11に記載のカラー有機EL素子の製造方法。
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