JP2004055388A - 電極・配線形成方法および画像形成装置の製造方法 - Google Patents
電極・配線形成方法および画像形成装置の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】取り扱いが容易で環境負荷の小さな水系溶媒を用いても、微細な電極や配線パターンを容易に形成できる上に、大きなプロセス変更を要せずに、デバイスの要求に応じてシート抵抗値を任意の範囲で制御でき、しかもコストの安い電極・配線形成方法を提供する。
【解決手段】基板の表面にパターンを形成する工程と、該パターン部分に金属化合物を吸収させる吸収工程と、前記金属化合物を吸収した部分を焼成する工程とを有し、前記吸収工程が、はじめに第一の金属化合物を吸収させたのち、続いて第二の金属化合物を吸収させる工程からなる電極・配線形成方法。
【選択図】 なし
【解決手段】基板の表面にパターンを形成する工程と、該パターン部分に金属化合物を吸収させる吸収工程と、前記金属化合物を吸収した部分を焼成する工程とを有し、前記吸収工程が、はじめに第一の金属化合物を吸収させたのち、続いて第二の金属化合物を吸収させる工程からなる電極・配線形成方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属化合物を用いた電極・配線形成方法、ならびにそれらを用いた画像形成装置の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、基板上に電極や配線などの導電性膜のパターンを形成する方法としては、(1)スクリーン印刷法を用いて導電性材料を含有するペーストを基板上に塗布し、乾燥・焼成して形成する方法(特開平8−185818号公報など)、(2)転写による方法(オフセット印刷法:特開平8−236017号公報など)、(3)金属を含有する溶液を基板全面に塗布し、乾燥・焼成して金属膜を形成し、フォトレジストなどのマスクで所定の領域を覆い、マスクで覆われていない部分をエッチング除去して形成する方法、(4)金属含有ペーストに感光性材料を付与し、所望の箇所を露光した後現像して形成する方法(特開平5−114504号公報、特開平8−176177号公報)などが知られている。
【0003】
また、金属化合物を用いた電極形成方法としては、(5)感光性樹脂に水溶性金属有機化合物を混合させ電極パターンを形成する方法(特開2001−297639号公報)が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記(1)の方法は微細な電極パターンには適用が困難であり、前記(2)の方法も膜厚の均一性・再現性が不十分である。前記(3)の方法は、特に電極パターンを白金等の貴金属で構成する場合、エッチング時に強酸を用いなければならず、レジストが侵されたり絶縁性基板が腐食されるなどの理由から、微細な回路を形成させることが困難である。また、前記(4)の方法は、有機溶媒を用いるため、塗布・乾燥・焼成工程時に防爆設備が必要となったり、使用薬剤の取り扱いに注意が要求されるほか、現像時にも多量の塩素系有機溶媒を使用するため、環境負荷が大きい問題がある。
【0005】
また前記(5)の方法は、現像工程において、未露光部の水溶性金属有機化合物を廃棄することになり、コストが高くなる問題がある。
【0006】
一方、デバイスを作製する際、電極のシート抵抗値を任意の範囲で調節できることを求められており、それをプロセスの変更なしにすることが求められている。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、取り扱いが容易で環境負荷の小さな水系溶媒を用いても、微細な電極や配線パターンを容易に形成できる上に、大きなプロセス変更を要せずに、デバイスの要求に応じてシート抵抗値を任意の範囲で制御でき、しかもコストの安い電極・配線形成方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の電極・配線形成方法は、基板の表面にパターンを形成する工程と、該パターン部分に金属化合物を吸収させる吸収工程と、前記金属化合物を吸収した部分を焼成する工程とを有し、前記吸収工程が、はじめに第一の金属化合物を吸収させたのち、続いて第二の金属化合物を吸収させる工程からなることを特徴とする。
【0009】
本発明の電極・配線形成方法は、「前記第一の金属化合物として導電性電極または配線の主となる構成成分の金属化合物を用い、第二の金属化合物として導電性電極または配線の副となる構成成分の金属化合物を用いること」、「前記金属化合物が金属錯体であること」、「前記金属錯体が白金錯体であること」、「前記白金錯体の有する配位子が、分子内に少なくとも1つ以上の水酸基を有する含窒素化合物であること」、「前記含窒素化合物が、炭素数が8以下の含窒素化合物であること」、「前記第二の金属化合物がロジウム、ビスマス、ルテニウム、バナジウム、クロム、錫、鉛、ケイ素の酸化物であること」、「前記パターンを形成する工程が、感光性樹脂を基板表面に塗布する工程と、該感光性樹脂膜を乾燥させる工程と、該感光性樹脂膜を所定のパターンに露光する工程及び現像する工程とからなること」、「前記感光性樹脂が、光照射によって現像液に不溶化するものであること」、「前記感光性樹脂が、光照射によって現像液に可溶化するものであること」を好ましい態様として含むものである。
【0010】
また、本発明の画像形成装置の製造方法は、複数の電子放出素子と、該電子放出素子から放出される電子線の照射により画像を形成する画像形成部材とを具備する画像形成装置の製造方法において、電極と配線のいずれか一方もしくは両者を上記方法で形成することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の電極・配線形成方法は、パターン形成工程(好ましくは、塗布工程、乾燥工程、露光工程、現像工程)、吸収工程、焼成工程を有する。
【0012】
塗布工程は、電極および/または配線を形成すべき絶縁性の基板上に感光性樹脂を塗布する工程である。この塗布は、各種印刷法(スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷など)、スピンナー法、ディッピング法、スプレー法、スタンプ法、ローリング法、スリットコーター法、インクジェット法などを用いて行うことができる。
【0013】
感光性樹脂としては、光照射によって現像液に不溶化するタイプ(ネガタイプ)であっても、光照射によって現像液に可溶化するタイプ(ポジタイプ)であってもよい。また、樹脂構造中に感光基を有するタイプのものであっても、例えば環化ゴム−ビスアジド系レジストのように、樹脂に感光剤が混合されたタイプのものでもよい。いずれのタイプの感光性樹脂においても、光反応開始剤や光反応禁止剤を適宜混合しておくことができる。
【0014】
感光性樹脂としては、水溶性のものを広く用いることができるが、金属化合物、特に金属有機化合物をより吸収するものを選択することが好ましい。具体的には、良好な水溶性が得やすい点から、例えばポリビニルアルコール系樹脂やポリビニルピロリドン系樹脂やポリメタクリル酸系樹脂などの水溶性の樹脂を用いたものが好ましい。
【0015】
乾燥工程は、上記塗布工程において基板上に塗布した感光性樹脂の塗膜中の水系溶媒を揮発させて塗膜を乾燥する工程である。この塗膜の乾燥は、室温下で行うこともできるが、乾燥時間を短縮するために加熱下で行うことが好ましい。加熱乾燥は、例えば無風オーブン、乾燥機、ホットプレートなどを用いて行うことが、一般的には50〜100℃の温度下に1〜30分間置くことで行うことができる。
【0016】
露光工程は、上記乾燥工程において乾燥された基板上の塗膜を、所定の電極および/または配線のパターンに露光する工程である。露光工程で光照射して露光する範囲は、使用する感光性樹脂がネガタイプであるかポジタイプであるかによって相違する。光照射によって現像液に不溶化するネガタイプの場合、電極および/または配線とすべき領域に光を照射して露光するが、光照射によって現像液に可溶化するポジタイプの場合、ネガタイプとは逆に、電極および/または配線とすべき領域以外の領域に光を照射して露光する。光照射領域と非照射領域の選択は通常のフォトレジストによるマスク形成における手法と同様にして行うことができる。
【0017】
現像工程は、上記露光工程で露光された塗膜について、所望の電極および/または配線とすべき領域以外の領域の塗膜を除去する工程である。感光性樹脂がネガタイプの場合、光照射を受けていない塗膜は現像液に可溶で、光照射を受けた露光部の塗膜が現像液に不溶化するので、現像液に不溶化していない非光照射部の塗膜を現像液で溶解除去することで現像を行うことができる。また、感光性樹脂がポジタイプの場合、光照射を受けていない塗膜は現像液に対して不溶で、光照射を受けた露光部の塗膜が現像液に可溶化するので、現像液に可溶化した光照射部の塗膜を現像液で溶解除去することで現像を行うことができる。現像液としては、例えば水や通常の水溶性フォトレジストに用いられる現像液と同様のものを用いることができる。
【0018】
尚、パターンの形成は、上記感光性樹脂を用いる方法以外に、スクリーン印刷、転写、オフセット印刷、ドライフィルム等を用いて作成することもできる。
【0019】
吸収工程は、上記露光工程、現像工程を経てできたパターンに、金属有機化合物等の金属化合物を吸収させる工程である。吸収法は、ディッピング法、スピン塗布法等、該パターンに金属化合物水溶液を吸収できれば、どの手法でも可能である。
【0020】
吸収の程度は、浸漬時間、金属化合物水溶液の濃度、パターンの吸収能力に依存するが、適宜選択することが可能である。また、金属化合物水溶液を吸収前に、事前に該パターンを水などに漬けて該金属化合物水溶液を吸収しやすくなるようにすること、吸収後に水洗することで、該パターン部分以外を洗浄することも可能である。
【0021】
本発明においては、吸収に際して、第一の金属化合物水溶液を吸収した後、第二の金属化合物水溶液を吸収する。その際、第一の金属化合物水溶液を吸収した後に水洗することで該パターン部分以外を洗浄することは、第二の金属化合物水溶液を汚染しないために好ましい。
【0022】
第一の金属化合物は、焼成することにより金属膜を形成可能な導電性金属化合物であり、導電性電極または配線の主となる構成成分の金属化合物であり、例えば金、白金、銀、パラジウム、銅などの錯化合物を挙げることができる。これらの中でも、化学的に極めて安定な電極および/または配線(電極と配線のいずれか一方もしくは両者)が得やすいことから、特に白金の錯化合物が好適に用いられる。
【0023】
錯化合物としては、その配位子が、分子内に少なくとも1つ以上の水酸基を有する含窒素化合物であるものが好ましい。さらに、分子内に少なくとも1つ以上の水酸基を有する含窒素化合物で配位子が構成された錯化合物の中でも、例えばエタノールアミン、プロパノールアミン、イソプロパノールアミン、ブタノールアミンなどのアルコールアミン、セリノール、TRISなど、炭素数が8以下の含窒素化合物のいずれか単独もしくは複数種類で配位子が構成された錯化合物がより好ましい。
【0024】
上記錯化合物が好適に用いられる理由としては、水溶性の高さならびに結晶性の低さを挙げることができる。例えば一般に市販されているアンミン錯体などでは、乾燥中に結晶が析出して均一な膜が得にくくなる場合がある。また、脂肪族アルキルアミンなどの「フレキシブル」な配位子とすると結晶性を下げることが可能であるが、アルキル基の疎水性により水溶性が低下してしまうことがある。これに対して上記のような配位子とすることで、水溶性の高さと結晶性の低さを両立させることが可能となる。
【0025】
第一の金属化合物の溶媒としては、例えば乾燥速度を速めるためにメチルアルコールやエチルアルコールなどの低級アルコールを加えたものも使用することができる。
【0026】
第二の金属化合物は導電性電極または配線の副となる構成成分の金属化合物であり、吸収溶液は水系のため、水溶性化合物であることが好ましい。水溶性の金属化合物としては、ロジウム、ビスマス、ルテニウム、バナジウム、クロム、錫、鉛、ケイ素を挙げることができる。この金属化合物は、焼成工程において化学的に極めて安定な電極および/または配線(電極と配線のいずれか一方もしくは両者)が得やすいことが必要であり、焼成により容易に酸化物を得られる、もしくは焼成以前から酸化物である水溶性金属化合物が好ましい。さらに硝酸金属溶液、酢酸金属水溶液、塩酸金属水溶液、水酸化金属水溶液、シランカップリング溶液のような、水溶性化合物であればさらに好ましい。第二の金属化合物は、単独または複数用いて使用することも可能である。
【0027】
本発明においては、第二の金属化合物を第二番目に吸収させることにより、シート抵抗値を任意に制御することができる。抵抗値は、吸収する水溶液非導電性金属化合物溶液の濃度または吸収時間またはその両方で任意の範囲で制御することができる。吸収時間を長くすることで抵抗値を高い値にすることができる。また、濃度を高くすることで抵抗値を高い値にすることができる。このプロセスの利点は、第一の金属化合物を吸収したあとに、想定した抵抗値にできることであり、新規の装置、プロセスを経なくてもできることに特徴がある。
【0028】
焼成工程は、上記現像工程を経て基板に残留する塗膜(ネガタイプでは光照射部の塗膜、ポジタイプでは非光照射部の塗膜)を焼成し、塗膜中の有機成分を分解除去し、金属化合物成分として含まれる金属の膜を形成する工程である。焼成は、形成する金属膜が貴金属の膜である場合には大気中で行うことができるが、銅やパラジウムなどの酸化しやすい金属膜の場合には真空もしくは脱酸素雰囲気下(例えば窒素などの不活性ガス雰囲気下など)で行うこともできる。焼成は塗膜に含まれる有機成分の種類などによっても相違するが、通常400℃〜600℃の温度下に数分〜数十分置くことで行うことができる。焼成は例えば熱風循環炉などで行うことができる。この焼成によって、基板上に、所定の電極および/または配線のパターンに沿った形状で金属膜を形成することができる。
【0029】
本発明の電極・配線形成方法は、複数の電子放出素子と、該電子放出素子から放出される電子線の照射により画像を形成する画像形成部材とを具備する画像形成装置の製造方法に好適に用いることができる。すなわち、画像形成装置における電極と配線のいずれか一方もしくは両者を本発明の電極・配線形成方法で形成することで、製造工程を大幅に簡略化することが可能となる。
【0030】
製造対象である画像形成装置に用いられる電子放出素子としては、例えば表面伝導型電子放出素子、電界放出型(FE型)電子放出素子、金属/絶縁層/金属型(MIM型)電子放出素子などの冷陰極素子が好ましく、これらの中でも本発明の電極・配線形成方法で素子電極を一度に形成しやすい表面伝導型電子放出素子が好ましい。また、本発明の電極・配線形成方法によれば、素子電極と同時に各電子放出素子を駆動するために必要な配線をも形成することができる。
【0031】
本発明における画像形成装置とは、例えばテレビ受像器やコンピューターディスプレーの他、例えばプリンターやコピーなどを含むものである。例えばテレビ受像器やコンピューターディスプレーなどの場合、画像形成部材としては電子線の照射により発光する蛍光体を用いることができ、例えばプリンターやコピーなど場合、画像形成部材としては電子線の照射により潜像を形成する潜像形成部材を用いることができる。
【0032】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明をより詳しく説明するが、この実施例は本発明を限定するものではない。
【0033】
<実施例1>
感光性樹脂(東京応化工業製、NONCRON−500)に、アミン系シランカップリング剤(信越化学製 KBM−603)を0.06wt%添加した溶液を、ガラス基板(75mm×75mm×厚さ2.8mm)にスピンコーターで全面に塗布し、ホットプレートで80℃で2分間乾燥した。次いでネガフォトマスクを用い、光源を超高圧水銀ランプ(照度:14mW/cm2)にて、基板とマスクをコンタクトさせ、露光時間1秒で露光した。次いで、現像液として純水を用い、ディッピングで30秒間処理し、その後、低圧スプレーで30秒間処理し、目的のパターンを得た。パターン形成後の膜厚は2.0μmであった。
【0034】
このパターン形成基板を純水中に30秒浸漬した後、Pt錯体溶液(テトラ白金モノメタノールアミン錯体、白金含有量1重量%)に60秒浸漬した。溶液は、スターラにより樹脂パターン上にて攪拌速度が0.1m/秒となるように攪拌された。その後、基板を引き上げ、流水で5秒間洗浄し、パターン間のPt錯体溶液を洗浄し、エアーで水切りをした。
【0035】
次いで、Pb錯体溶液(硝酸鉛、Pb含有量40重量ppm)に60秒浸漬した。その後、基板を引き上げ、流水で5秒間洗浄し、パターン間のPb錯体溶液を洗浄し、エアーで水切りをし、80℃のホットプレートで3分乾燥した。
【0036】
その後、熱風循環炉にて、500℃で30分間焼成して電極間距離20μm、幅60μm、長さ120μm、厚み20nmの白金の電極を形成した。
【0037】
この電極のシート抵抗値は、80Ω/□であった。
【0038】
<実施例2>
Pb錯体溶液のPb含有量を80重量ppmに変更した以外は実施例1と全く同様の方法で、電極を形成した。この電極のシート抵抗値は、180Ω/□であった。
【0039】
<実施例3>
Pb錯体溶液のPb含有量を150重量ppmに変更した以外は実施例1と全く同様の方法で、電極を形成した。この電極のシート抵抗値は、350Ω/□であった。
【0040】
<実施例4>
Pb錯体溶液として、酢酸鉛(Pb含有量150重量ppm)を用い、浸漬時間を5分とした以外は実施例1と全く同様の方法で、電極を形成した。この電極のシート抵抗値は、2500Ω/□であった。
【0041】
<比較例1>
Pb錯体溶液に浸漬しない以外は実施例1と全く同様の方法で、電極を形成した。この電極のシート抵抗値は、45Ω/□であった。
【0042】
<実施例5>
本発明の電極・配線形成方法を用いて、画像形成装置を製造した。以下、図1および図2に基づいて製造手順を説明する。
【0043】
工程1:300mm×300mm×厚さ2.8mmのガラス製の基板1上に多数の素子電極対を実施例1と同様な手法で作成した。
【0044】
本実施例における素子電極対は、幅60μm、長さ480μmの素子電極Aと、幅120μm、長さ200μmの素子電極Bとを電極間ギャップ20μmで対向させたものとした。また、素子電極対間のピッチは、横方向300μm、縦方向650μmとし、素子電極対数720×240としてマトリクス形状に配置した。素子電極対の形成と同時に形成した1cm×1cmの白金膜パターンのシート抵抗値は45Ω/□であった。
【0045】
工程2:各列の素子電極対の一方の素子電極Aを接続するX方向配線2をスクリーン印刷法で付設した。次に、厚さ20μmの層間絶縁層(図面上は省略されている)をスクリーン印刷法により付設した上に、さらに各行の素子電極対の一方の素子電極Bを接続するY方向配線3をX方向配線2と同様にして付設し、焼成を行なってX方向配線2とY方向配線3とした。
【0046】
工程3:工程2でX方向配線2とY方向配線3を形成した基板1を純水で洗浄した。
【0047】
工程4:ポリビニルアルコールを0.05重量%濃度、2−プロパノールを15重量%濃度、エチレングリコールを1重量%濃度で溶解した水溶液に、酢酸パラジウム−モノエタノールアミン錯体をパラジウムが約0.15重量%濃度となるように溶解して淡黄色水溶液を得た。
【0048】
上記水溶液の液滴を、インクジェット法によって、各素子電極対を成す素子電極A,B上から当該素子電極A,B間の電極ギャップ内に亘って付設されるよう、同じ箇所に4回付与した(ドット径=約100μm)。
【0049】
上記水溶液の液滴を付設した基板1を350℃の焼成炉にて30分間焼成し、各素子電極対間に、当該素子電極対を成す素子電極A,B間を連絡するパラジウム薄膜4を形成した後、当該基板1をリアプレート5に固定した。
【0050】
工程5:ガラス製の基板7の内面に蛍光膜8とメタルバック9が形成されたフェースプレート10と、上記リアプレートを向き合わせ、支持枠6を介して封着して外囲器11を構成した。支持枠6には予め通排気に使用される給排気管を接着した。
【0051】
工程6:給排気管を介して外囲器内を1.3×10−5Paまで排気後、各X方向配線2に連なるX方向端子Dx1〜Dxnと、各Y方向配線3に連なるY方向端子Dy1〜Dynを用い、各列の素子電極対間に電圧を加え、素子電極A,B間のパラジウム薄膜4に数十μmの亀裂部を発生させるフォーミングをライン毎に行い、表面伝導型電子放出素子を形成した。
【0052】
工程7:外囲器11内を1.3×10−5Paまで排気後、外囲器11内が1.3×10−2Paとなるまでベンゾニトリルを給排気管から導入し、上記フォーミングと同様にして、各素子電極対間にパルス電圧を供給し、上記パラジウム薄膜の亀裂部にカーボンを堆積させる活性化を行った。パルス電圧は各ラインに対して25分間印加した。
【0053】
工程8:給排気管より外囲器11内の排気を充分に行った後、250℃で3時間外囲器11全体を加熱しながらさらに排気し、最後にゲッタをフラッシュし、給排気管を封止した。
【0054】
このようにして図2に示されるような表示パネルを製造し、不図示の走査回路・制御回路・変調回路・直流電圧源などからなる駆動回路を接続し、パネル状の画像形成装置を製造した。
【0055】
X方向端子Dx1〜DxnとY方向端子Dy1〜Dynを通じて、各表面伝導型電子放出素子に時分割で所定電圧を印加し、高電圧端子12を通じてメタルバック9に高電圧を印加することによって、任意のマトリクス画像パターンを良好な画像品質で表示することができた。
【0056】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したとおりのものであり、次の効果を奏するものである。
【0057】
(1)大きなプロセスの変更することなく、電極のシート抵抗値を任意の範囲で調整することが可能とである。
【0058】
(2)利用効率が、良くなることで低コストで配線・電極を形成する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例5で形成した素子電極パターンの模式図である。
【図2】実施例5で製造した画像形成装置の表示パネル部分を示す模式図である。
【符号の説明】
A 素子電極
B 素子電極
Dx1〜Dxn X方向端子
Dy1〜Dym Y方向端子
1 基体
2 X方向配線
3 Y方向配線
4 パラジウム薄膜
5 リアプレート
6 支持枠
7 基体
8 蛍光膜
9 メタルバック
10 フェースプレート
11 外囲器
12 高電圧端子
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属化合物を用いた電極・配線形成方法、ならびにそれらを用いた画像形成装置の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、基板上に電極や配線などの導電性膜のパターンを形成する方法としては、(1)スクリーン印刷法を用いて導電性材料を含有するペーストを基板上に塗布し、乾燥・焼成して形成する方法(特開平8−185818号公報など)、(2)転写による方法(オフセット印刷法:特開平8−236017号公報など)、(3)金属を含有する溶液を基板全面に塗布し、乾燥・焼成して金属膜を形成し、フォトレジストなどのマスクで所定の領域を覆い、マスクで覆われていない部分をエッチング除去して形成する方法、(4)金属含有ペーストに感光性材料を付与し、所望の箇所を露光した後現像して形成する方法(特開平5−114504号公報、特開平8−176177号公報)などが知られている。
【0003】
また、金属化合物を用いた電極形成方法としては、(5)感光性樹脂に水溶性金属有機化合物を混合させ電極パターンを形成する方法(特開2001−297639号公報)が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記(1)の方法は微細な電極パターンには適用が困難であり、前記(2)の方法も膜厚の均一性・再現性が不十分である。前記(3)の方法は、特に電極パターンを白金等の貴金属で構成する場合、エッチング時に強酸を用いなければならず、レジストが侵されたり絶縁性基板が腐食されるなどの理由から、微細な回路を形成させることが困難である。また、前記(4)の方法は、有機溶媒を用いるため、塗布・乾燥・焼成工程時に防爆設備が必要となったり、使用薬剤の取り扱いに注意が要求されるほか、現像時にも多量の塩素系有機溶媒を使用するため、環境負荷が大きい問題がある。
【0005】
また前記(5)の方法は、現像工程において、未露光部の水溶性金属有機化合物を廃棄することになり、コストが高くなる問題がある。
【0006】
一方、デバイスを作製する際、電極のシート抵抗値を任意の範囲で調節できることを求められており、それをプロセスの変更なしにすることが求められている。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、取り扱いが容易で環境負荷の小さな水系溶媒を用いても、微細な電極や配線パターンを容易に形成できる上に、大きなプロセス変更を要せずに、デバイスの要求に応じてシート抵抗値を任意の範囲で制御でき、しかもコストの安い電極・配線形成方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の電極・配線形成方法は、基板の表面にパターンを形成する工程と、該パターン部分に金属化合物を吸収させる吸収工程と、前記金属化合物を吸収した部分を焼成する工程とを有し、前記吸収工程が、はじめに第一の金属化合物を吸収させたのち、続いて第二の金属化合物を吸収させる工程からなることを特徴とする。
【0009】
本発明の電極・配線形成方法は、「前記第一の金属化合物として導電性電極または配線の主となる構成成分の金属化合物を用い、第二の金属化合物として導電性電極または配線の副となる構成成分の金属化合物を用いること」、「前記金属化合物が金属錯体であること」、「前記金属錯体が白金錯体であること」、「前記白金錯体の有する配位子が、分子内に少なくとも1つ以上の水酸基を有する含窒素化合物であること」、「前記含窒素化合物が、炭素数が8以下の含窒素化合物であること」、「前記第二の金属化合物がロジウム、ビスマス、ルテニウム、バナジウム、クロム、錫、鉛、ケイ素の酸化物であること」、「前記パターンを形成する工程が、感光性樹脂を基板表面に塗布する工程と、該感光性樹脂膜を乾燥させる工程と、該感光性樹脂膜を所定のパターンに露光する工程及び現像する工程とからなること」、「前記感光性樹脂が、光照射によって現像液に不溶化するものであること」、「前記感光性樹脂が、光照射によって現像液に可溶化するものであること」を好ましい態様として含むものである。
【0010】
また、本発明の画像形成装置の製造方法は、複数の電子放出素子と、該電子放出素子から放出される電子線の照射により画像を形成する画像形成部材とを具備する画像形成装置の製造方法において、電極と配線のいずれか一方もしくは両者を上記方法で形成することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の電極・配線形成方法は、パターン形成工程(好ましくは、塗布工程、乾燥工程、露光工程、現像工程)、吸収工程、焼成工程を有する。
【0012】
塗布工程は、電極および/または配線を形成すべき絶縁性の基板上に感光性樹脂を塗布する工程である。この塗布は、各種印刷法(スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷など)、スピンナー法、ディッピング法、スプレー法、スタンプ法、ローリング法、スリットコーター法、インクジェット法などを用いて行うことができる。
【0013】
感光性樹脂としては、光照射によって現像液に不溶化するタイプ(ネガタイプ)であっても、光照射によって現像液に可溶化するタイプ(ポジタイプ)であってもよい。また、樹脂構造中に感光基を有するタイプのものであっても、例えば環化ゴム−ビスアジド系レジストのように、樹脂に感光剤が混合されたタイプのものでもよい。いずれのタイプの感光性樹脂においても、光反応開始剤や光反応禁止剤を適宜混合しておくことができる。
【0014】
感光性樹脂としては、水溶性のものを広く用いることができるが、金属化合物、特に金属有機化合物をより吸収するものを選択することが好ましい。具体的には、良好な水溶性が得やすい点から、例えばポリビニルアルコール系樹脂やポリビニルピロリドン系樹脂やポリメタクリル酸系樹脂などの水溶性の樹脂を用いたものが好ましい。
【0015】
乾燥工程は、上記塗布工程において基板上に塗布した感光性樹脂の塗膜中の水系溶媒を揮発させて塗膜を乾燥する工程である。この塗膜の乾燥は、室温下で行うこともできるが、乾燥時間を短縮するために加熱下で行うことが好ましい。加熱乾燥は、例えば無風オーブン、乾燥機、ホットプレートなどを用いて行うことが、一般的には50〜100℃の温度下に1〜30分間置くことで行うことができる。
【0016】
露光工程は、上記乾燥工程において乾燥された基板上の塗膜を、所定の電極および/または配線のパターンに露光する工程である。露光工程で光照射して露光する範囲は、使用する感光性樹脂がネガタイプであるかポジタイプであるかによって相違する。光照射によって現像液に不溶化するネガタイプの場合、電極および/または配線とすべき領域に光を照射して露光するが、光照射によって現像液に可溶化するポジタイプの場合、ネガタイプとは逆に、電極および/または配線とすべき領域以外の領域に光を照射して露光する。光照射領域と非照射領域の選択は通常のフォトレジストによるマスク形成における手法と同様にして行うことができる。
【0017】
現像工程は、上記露光工程で露光された塗膜について、所望の電極および/または配線とすべき領域以外の領域の塗膜を除去する工程である。感光性樹脂がネガタイプの場合、光照射を受けていない塗膜は現像液に可溶で、光照射を受けた露光部の塗膜が現像液に不溶化するので、現像液に不溶化していない非光照射部の塗膜を現像液で溶解除去することで現像を行うことができる。また、感光性樹脂がポジタイプの場合、光照射を受けていない塗膜は現像液に対して不溶で、光照射を受けた露光部の塗膜が現像液に可溶化するので、現像液に可溶化した光照射部の塗膜を現像液で溶解除去することで現像を行うことができる。現像液としては、例えば水や通常の水溶性フォトレジストに用いられる現像液と同様のものを用いることができる。
【0018】
尚、パターンの形成は、上記感光性樹脂を用いる方法以外に、スクリーン印刷、転写、オフセット印刷、ドライフィルム等を用いて作成することもできる。
【0019】
吸収工程は、上記露光工程、現像工程を経てできたパターンに、金属有機化合物等の金属化合物を吸収させる工程である。吸収法は、ディッピング法、スピン塗布法等、該パターンに金属化合物水溶液を吸収できれば、どの手法でも可能である。
【0020】
吸収の程度は、浸漬時間、金属化合物水溶液の濃度、パターンの吸収能力に依存するが、適宜選択することが可能である。また、金属化合物水溶液を吸収前に、事前に該パターンを水などに漬けて該金属化合物水溶液を吸収しやすくなるようにすること、吸収後に水洗することで、該パターン部分以外を洗浄することも可能である。
【0021】
本発明においては、吸収に際して、第一の金属化合物水溶液を吸収した後、第二の金属化合物水溶液を吸収する。その際、第一の金属化合物水溶液を吸収した後に水洗することで該パターン部分以外を洗浄することは、第二の金属化合物水溶液を汚染しないために好ましい。
【0022】
第一の金属化合物は、焼成することにより金属膜を形成可能な導電性金属化合物であり、導電性電極または配線の主となる構成成分の金属化合物であり、例えば金、白金、銀、パラジウム、銅などの錯化合物を挙げることができる。これらの中でも、化学的に極めて安定な電極および/または配線(電極と配線のいずれか一方もしくは両者)が得やすいことから、特に白金の錯化合物が好適に用いられる。
【0023】
錯化合物としては、その配位子が、分子内に少なくとも1つ以上の水酸基を有する含窒素化合物であるものが好ましい。さらに、分子内に少なくとも1つ以上の水酸基を有する含窒素化合物で配位子が構成された錯化合物の中でも、例えばエタノールアミン、プロパノールアミン、イソプロパノールアミン、ブタノールアミンなどのアルコールアミン、セリノール、TRISなど、炭素数が8以下の含窒素化合物のいずれか単独もしくは複数種類で配位子が構成された錯化合物がより好ましい。
【0024】
上記錯化合物が好適に用いられる理由としては、水溶性の高さならびに結晶性の低さを挙げることができる。例えば一般に市販されているアンミン錯体などでは、乾燥中に結晶が析出して均一な膜が得にくくなる場合がある。また、脂肪族アルキルアミンなどの「フレキシブル」な配位子とすると結晶性を下げることが可能であるが、アルキル基の疎水性により水溶性が低下してしまうことがある。これに対して上記のような配位子とすることで、水溶性の高さと結晶性の低さを両立させることが可能となる。
【0025】
第一の金属化合物の溶媒としては、例えば乾燥速度を速めるためにメチルアルコールやエチルアルコールなどの低級アルコールを加えたものも使用することができる。
【0026】
第二の金属化合物は導電性電極または配線の副となる構成成分の金属化合物であり、吸収溶液は水系のため、水溶性化合物であることが好ましい。水溶性の金属化合物としては、ロジウム、ビスマス、ルテニウム、バナジウム、クロム、錫、鉛、ケイ素を挙げることができる。この金属化合物は、焼成工程において化学的に極めて安定な電極および/または配線(電極と配線のいずれか一方もしくは両者)が得やすいことが必要であり、焼成により容易に酸化物を得られる、もしくは焼成以前から酸化物である水溶性金属化合物が好ましい。さらに硝酸金属溶液、酢酸金属水溶液、塩酸金属水溶液、水酸化金属水溶液、シランカップリング溶液のような、水溶性化合物であればさらに好ましい。第二の金属化合物は、単独または複数用いて使用することも可能である。
【0027】
本発明においては、第二の金属化合物を第二番目に吸収させることにより、シート抵抗値を任意に制御することができる。抵抗値は、吸収する水溶液非導電性金属化合物溶液の濃度または吸収時間またはその両方で任意の範囲で制御することができる。吸収時間を長くすることで抵抗値を高い値にすることができる。また、濃度を高くすることで抵抗値を高い値にすることができる。このプロセスの利点は、第一の金属化合物を吸収したあとに、想定した抵抗値にできることであり、新規の装置、プロセスを経なくてもできることに特徴がある。
【0028】
焼成工程は、上記現像工程を経て基板に残留する塗膜(ネガタイプでは光照射部の塗膜、ポジタイプでは非光照射部の塗膜)を焼成し、塗膜中の有機成分を分解除去し、金属化合物成分として含まれる金属の膜を形成する工程である。焼成は、形成する金属膜が貴金属の膜である場合には大気中で行うことができるが、銅やパラジウムなどの酸化しやすい金属膜の場合には真空もしくは脱酸素雰囲気下(例えば窒素などの不活性ガス雰囲気下など)で行うこともできる。焼成は塗膜に含まれる有機成分の種類などによっても相違するが、通常400℃〜600℃の温度下に数分〜数十分置くことで行うことができる。焼成は例えば熱風循環炉などで行うことができる。この焼成によって、基板上に、所定の電極および/または配線のパターンに沿った形状で金属膜を形成することができる。
【0029】
本発明の電極・配線形成方法は、複数の電子放出素子と、該電子放出素子から放出される電子線の照射により画像を形成する画像形成部材とを具備する画像形成装置の製造方法に好適に用いることができる。すなわち、画像形成装置における電極と配線のいずれか一方もしくは両者を本発明の電極・配線形成方法で形成することで、製造工程を大幅に簡略化することが可能となる。
【0030】
製造対象である画像形成装置に用いられる電子放出素子としては、例えば表面伝導型電子放出素子、電界放出型(FE型)電子放出素子、金属/絶縁層/金属型(MIM型)電子放出素子などの冷陰極素子が好ましく、これらの中でも本発明の電極・配線形成方法で素子電極を一度に形成しやすい表面伝導型電子放出素子が好ましい。また、本発明の電極・配線形成方法によれば、素子電極と同時に各電子放出素子を駆動するために必要な配線をも形成することができる。
【0031】
本発明における画像形成装置とは、例えばテレビ受像器やコンピューターディスプレーの他、例えばプリンターやコピーなどを含むものである。例えばテレビ受像器やコンピューターディスプレーなどの場合、画像形成部材としては電子線の照射により発光する蛍光体を用いることができ、例えばプリンターやコピーなど場合、画像形成部材としては電子線の照射により潜像を形成する潜像形成部材を用いることができる。
【0032】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明をより詳しく説明するが、この実施例は本発明を限定するものではない。
【0033】
<実施例1>
感光性樹脂(東京応化工業製、NONCRON−500)に、アミン系シランカップリング剤(信越化学製 KBM−603)を0.06wt%添加した溶液を、ガラス基板(75mm×75mm×厚さ2.8mm)にスピンコーターで全面に塗布し、ホットプレートで80℃で2分間乾燥した。次いでネガフォトマスクを用い、光源を超高圧水銀ランプ(照度:14mW/cm2)にて、基板とマスクをコンタクトさせ、露光時間1秒で露光した。次いで、現像液として純水を用い、ディッピングで30秒間処理し、その後、低圧スプレーで30秒間処理し、目的のパターンを得た。パターン形成後の膜厚は2.0μmであった。
【0034】
このパターン形成基板を純水中に30秒浸漬した後、Pt錯体溶液(テトラ白金モノメタノールアミン錯体、白金含有量1重量%)に60秒浸漬した。溶液は、スターラにより樹脂パターン上にて攪拌速度が0.1m/秒となるように攪拌された。その後、基板を引き上げ、流水で5秒間洗浄し、パターン間のPt錯体溶液を洗浄し、エアーで水切りをした。
【0035】
次いで、Pb錯体溶液(硝酸鉛、Pb含有量40重量ppm)に60秒浸漬した。その後、基板を引き上げ、流水で5秒間洗浄し、パターン間のPb錯体溶液を洗浄し、エアーで水切りをし、80℃のホットプレートで3分乾燥した。
【0036】
その後、熱風循環炉にて、500℃で30分間焼成して電極間距離20μm、幅60μm、長さ120μm、厚み20nmの白金の電極を形成した。
【0037】
この電極のシート抵抗値は、80Ω/□であった。
【0038】
<実施例2>
Pb錯体溶液のPb含有量を80重量ppmに変更した以外は実施例1と全く同様の方法で、電極を形成した。この電極のシート抵抗値は、180Ω/□であった。
【0039】
<実施例3>
Pb錯体溶液のPb含有量を150重量ppmに変更した以外は実施例1と全く同様の方法で、電極を形成した。この電極のシート抵抗値は、350Ω/□であった。
【0040】
<実施例4>
Pb錯体溶液として、酢酸鉛(Pb含有量150重量ppm)を用い、浸漬時間を5分とした以外は実施例1と全く同様の方法で、電極を形成した。この電極のシート抵抗値は、2500Ω/□であった。
【0041】
<比較例1>
Pb錯体溶液に浸漬しない以外は実施例1と全く同様の方法で、電極を形成した。この電極のシート抵抗値は、45Ω/□であった。
【0042】
<実施例5>
本発明の電極・配線形成方法を用いて、画像形成装置を製造した。以下、図1および図2に基づいて製造手順を説明する。
【0043】
工程1:300mm×300mm×厚さ2.8mmのガラス製の基板1上に多数の素子電極対を実施例1と同様な手法で作成した。
【0044】
本実施例における素子電極対は、幅60μm、長さ480μmの素子電極Aと、幅120μm、長さ200μmの素子電極Bとを電極間ギャップ20μmで対向させたものとした。また、素子電極対間のピッチは、横方向300μm、縦方向650μmとし、素子電極対数720×240としてマトリクス形状に配置した。素子電極対の形成と同時に形成した1cm×1cmの白金膜パターンのシート抵抗値は45Ω/□であった。
【0045】
工程2:各列の素子電極対の一方の素子電極Aを接続するX方向配線2をスクリーン印刷法で付設した。次に、厚さ20μmの層間絶縁層(図面上は省略されている)をスクリーン印刷法により付設した上に、さらに各行の素子電極対の一方の素子電極Bを接続するY方向配線3をX方向配線2と同様にして付設し、焼成を行なってX方向配線2とY方向配線3とした。
【0046】
工程3:工程2でX方向配線2とY方向配線3を形成した基板1を純水で洗浄した。
【0047】
工程4:ポリビニルアルコールを0.05重量%濃度、2−プロパノールを15重量%濃度、エチレングリコールを1重量%濃度で溶解した水溶液に、酢酸パラジウム−モノエタノールアミン錯体をパラジウムが約0.15重量%濃度となるように溶解して淡黄色水溶液を得た。
【0048】
上記水溶液の液滴を、インクジェット法によって、各素子電極対を成す素子電極A,B上から当該素子電極A,B間の電極ギャップ内に亘って付設されるよう、同じ箇所に4回付与した(ドット径=約100μm)。
【0049】
上記水溶液の液滴を付設した基板1を350℃の焼成炉にて30分間焼成し、各素子電極対間に、当該素子電極対を成す素子電極A,B間を連絡するパラジウム薄膜4を形成した後、当該基板1をリアプレート5に固定した。
【0050】
工程5:ガラス製の基板7の内面に蛍光膜8とメタルバック9が形成されたフェースプレート10と、上記リアプレートを向き合わせ、支持枠6を介して封着して外囲器11を構成した。支持枠6には予め通排気に使用される給排気管を接着した。
【0051】
工程6:給排気管を介して外囲器内を1.3×10−5Paまで排気後、各X方向配線2に連なるX方向端子Dx1〜Dxnと、各Y方向配線3に連なるY方向端子Dy1〜Dynを用い、各列の素子電極対間に電圧を加え、素子電極A,B間のパラジウム薄膜4に数十μmの亀裂部を発生させるフォーミングをライン毎に行い、表面伝導型電子放出素子を形成した。
【0052】
工程7:外囲器11内を1.3×10−5Paまで排気後、外囲器11内が1.3×10−2Paとなるまでベンゾニトリルを給排気管から導入し、上記フォーミングと同様にして、各素子電極対間にパルス電圧を供給し、上記パラジウム薄膜の亀裂部にカーボンを堆積させる活性化を行った。パルス電圧は各ラインに対して25分間印加した。
【0053】
工程8:給排気管より外囲器11内の排気を充分に行った後、250℃で3時間外囲器11全体を加熱しながらさらに排気し、最後にゲッタをフラッシュし、給排気管を封止した。
【0054】
このようにして図2に示されるような表示パネルを製造し、不図示の走査回路・制御回路・変調回路・直流電圧源などからなる駆動回路を接続し、パネル状の画像形成装置を製造した。
【0055】
X方向端子Dx1〜DxnとY方向端子Dy1〜Dynを通じて、各表面伝導型電子放出素子に時分割で所定電圧を印加し、高電圧端子12を通じてメタルバック9に高電圧を印加することによって、任意のマトリクス画像パターンを良好な画像品質で表示することができた。
【0056】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したとおりのものであり、次の効果を奏するものである。
【0057】
(1)大きなプロセスの変更することなく、電極のシート抵抗値を任意の範囲で調整することが可能とである。
【0058】
(2)利用効率が、良くなることで低コストで配線・電極を形成する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例5で形成した素子電極パターンの模式図である。
【図2】実施例5で製造した画像形成装置の表示パネル部分を示す模式図である。
【符号の説明】
A 素子電極
B 素子電極
Dx1〜Dxn X方向端子
Dy1〜Dym Y方向端子
1 基体
2 X方向配線
3 Y方向配線
4 パラジウム薄膜
5 リアプレート
6 支持枠
7 基体
8 蛍光膜
9 メタルバック
10 フェースプレート
11 外囲器
12 高電圧端子
Claims (11)
- 基板の表面にパターンを形成する工程と、該パターン部分に金属化合物を吸収させる吸収工程と、前記金属化合物を吸収した部分を焼成する工程とを有し、前記吸収工程が、はじめに第一の金属化合物を吸収させたのち、続いて第二の金属化合物を吸収させる工程からなることを特徴とする電極・配線形成方法。
- 前記第一の金属化合物として導電性電極または配線の主となる構成成分の金属化合物を用い、第二の金属化合物として導電性電極または配線の副となる構成成分の金属化合物を用いることを特徴とする請求項1に記載の電極・配線形成方法。
- 前記金属化合物が金属錯体であることを特徴とする請求項1または2に記載の電極・配線形成方法。
- 前記金属錯体が白金錯体であることを特徴とする請求項3に記載の電極・配線形成方法。
- 前記白金錯体の有する配位子が、分子内に少なくとも1つ以上の水酸基を有する含窒素化合物であることを特徴とする請求項4に記載の電極・配線形成用方法。
- 前記含窒素化合物が、炭素数が8以下の含窒素化合物であることを特徴とする請求項5に記載の電極・配線形成方法。
- 前記第二の金属化合物がロジウム、ビスマス、ルテニウム、バナジウム、クロム、錫、鉛、ケイ素の酸化物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電極・配線形成方法。
- 前記パターンを形成する工程が、感光性樹脂を基板表面に塗布する工程と、該感光性樹脂膜を乾燥させる工程と、該感光性樹脂膜を所定のパターンに露光する工程及び現像する工程とからなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の電極・配線形成方法。
- 前記感光性樹脂が、光照射によって現像液に不溶化するものであることを特徴とする請求項8に記載の電極・配線形成方法。
- 前記感光性樹脂が、光照射によって現像液に可溶化するものであることを特徴とする請求項8に記載の電極・配線形成方法。
- 複数の電子放出素子と、該電子放出素子から放出される電子線の照射により画像を形成する画像形成部材とを具備する画像形成装置の製造方法において、電極と配線のいずれか一方もしくは両者を請求項1〜10のいずれかに記載の方法で形成することを特徴とする画像形成装置の製造方法。
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