JP2004054183A - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】たとえば、定着部材として弾性層を有する定着ベルト20と、該定着ベルト内に配置された熱源(発熱手段)16とを有する定着装置について、応答性がよく、しかもコストの安い定着装置を提供する。
【解決手段】記録材Pの画像面に接する定着部材20と、該定着部材20に加熱面が接触し、線状発熱体を加熱面側とは反対面側に有した熱源16と、該熱源16に非接触に配置される第一の温度検知手段18と、該熱源16の加熱面側とは反対面側に接触させた第二の温度検知手段19とを備えた定着装置において、加熱面と通電により発熱する抵抗発熱体との沿面距離を2.0mm以上とする熱源を備えたことを特徴とする定着装置。
【選択図】図2
【解決手段】記録材Pの画像面に接する定着部材20と、該定着部材20に加熱面が接触し、線状発熱体を加熱面側とは反対面側に有した熱源16と、該熱源16に非接触に配置される第一の温度検知手段18と、該熱源16の加熱面側とは反対面側に接触させた第二の温度検知手段19とを備えた定着装置において、加熱面と通電により発熱する抵抗発熱体との沿面距離を2.0mm以上とする熱源を備えたことを特徴とする定着装置。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、レーザービームプリンター、ファクシミリ等の画像形成装置に用いられるトナー画像定着装置に関する。
【0002】
さらに詳しくは、電子写真、静電記録、磁気記録等の適時の画像形成プロセス手段により、加熱溶融性の樹脂等よりなるトナーを用いて、記録材(紙、印刷紙、転写材シート、OHTシート、光沢紙、光沢フィルム、エレクトロファックス紙静電記録紙等)の面に転写方式もしくは直接方式で目的の画像情報に対応した未定着トナー画像を形成担持させ、該未定着トナー画像を、該画像を担持している転写材面上に永久固着画像として加熱定着処理する方式の定着装置に関するものである。
【0003】
特にカラー画像形成装置に使用される、低コストで立ち上がり時間(いわゆるウォームアップタイム)の短い、オンデマンド定着装置に関するものである。
【0004】
ここで、本発明において、上記定着装置には、未定着画像を記録材上に永久画像として加熱定着させる装置ばかりでなく、未定着画像を記録材上に仮定着させる像加熱装置、画像を担持した記録材を再加熱してつや等の画像表面性を改質する像加熱装置なども包含される。
【0005】
【従来の技術】
近年、プリンターや複写機等の画像形成装置に使用される定着装置としては、ウォームアップタイムが短く、安価な定着装置として、フィルム定着方式の定着装置が良く知られている。このようなフィルム定着装置の一例を図8に示す。
【0006】
この定着装置では、支持部材115に固定支持させたヒータ112と弾性加圧ローラ114との間に薄肉の定着フィルム111をはさませて定着ニップ部Nを形成させ、定着フィルム111をヒータ112の面に摺動移動させ、、定着ニップ部の定着フィルム111と加圧ローラ114の間でトナー画像tを担持した記録材Pを挟持搬送して定着フィルム111を介したヒータ112からの熱により記録材上のトナー画像を加熱する構成である。記録材P上の未定着トナー画像tは、定着ニップ部Nを通過する際に、熱と圧力を受け、記録材P上に完成定着画像(永久固着画像)として定着される。
【0007】
定着フィルム111は、例えば厚さ50μm程度の耐熱樹脂製のエンドレスフィルムを用い、その表面に厚さ10μm程度の離型性層(フッ素樹脂コーティング層など)を形成したものであり、ヒータ112はセラミック基板上に抵抗発熱体を形成したものである。ヒータ112に温度検知手段113が当接され、ヒータ112の温度が検知され、不図示の制御手段によりヒータ112の温度が所望の温度になるように温調制御される。
【0008】
このような構成の定着装置では、定着フィルム111の熱容量が非常に小さくなっているので、ヒータ112に電力を投入した後、短時間で定着ニップ部Nをトナー画像の定着可能温度まで昇温させることが可能である。
【0009】
しかし、このような弾性層を設けていない定着フィルム111を使用しているフィルム定着装置をカラー画像形成装置の定着装置として使用すると、記録材P表面やトナー層の有無による凹凸やトナー自体の凹凸などに定着フィルム111表面が追随できず、凸部と凹部で定着フィルムを介して加えられる熱に差ができてしまう。定着フィルムとよく接する凸部では定着フィルム側からよく熱が伝わり、凹部では定着フィルム側からの熱が凸部に比べて伝わりにくい。
【0010】
カラー画像においては、複数色のトナー層を重ねて混色させ使用するので、トナー層の凹凸が白黒画像に比べて大きく、定着部材である定着フィルムに弾性層が無い場合、定着画像の光沢ムラが大きくなって画像品質を劣化させたり、記録材がOHTの場合は、定着画像を投影した際に透過性が悪かったりして、画像品質の低下があった。
【0011】
そこで、特開平11−15303号公報(特許第3051085号)に開示されているような、弾性層を有する定着ベルトをフィルム定着装置に使用することで、低コストなカラーオンデマンド定着装置を構成する定着装置が提案されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、定着ベルトの弾性層に使用されるシリコーンゴム等の熱伝導率はあまり高くなく、また、定着ベルト表面からヒータの温度検知手段までの間に多くの部材が入るため、応答性が悪く、ヒータの温度検知手段により定着ベルト表面の温調制御を行うことが難しい。特に、定着装置を記録材が通過して定着ベルト表面の熱を奪い定着ベルト表面の温度が低下したことをヒータ裏の温度検知手段で検出することは困難であり、応答に時間がかかり過ぎてしまう。
【0013】
これに対して、温度検知手段の配置をヒータ部から定着ベルトの表面や内面等に移動させて、定着ベルト自身の温度を検出することによりヒータの駆動を制御して温調しようとすると、定着ベルトの温度制御は正確にできるものの、ヒータ自身の温度が検出できない。
【0014】
このため、何らかの異常により定着フィルムの回転が止まった状態でヒータが通電発熱された場合や、定着ニップ部の加圧が解除された場合のように、ヒータから定着ベルトへの熱伝達が上手く行われない状態でヒータが通電発熱された場合等においては、定着ベルトの温度検知手段位置の昇温速度よりも、ヒータの昇温速度の方が格段に大きいため、ヒータを保持している部材が融けたり、定着ベルトの弾性層が熱によるダメージを受けたり、変形してしまう等の不具合が発生するという問題があった。
【0015】
また、セラミックヒータの導体パターン(抵抗発熱体)は一次活電部であり、温度検出素子は二次活電部であるから、その間の距離は、安全規格上、強化絶縁を確保しなければならない。そのために温度検出素子の周囲に絶縁フィルム等を巻いて、強化絶縁を確保していた。しかしながら絶縁フィルムは、3重以上の巻き数を巻かなければならず、さらに幅も導体部から5mm程度以上にする必要があった。そうすると温度検出素子の応答性が悪くなったり、外形サイズが大きくなったりするといった弊害が発生していた。
【0016】
また、別の方式としてセラミックヒータの導体パターンにガラスコートを施し、基礎絶縁を確保し、温度検出素子の周囲に絶縁フィルムを2回巻きにして付加絶縁を確保することにより両者を併せることで強化絶縁を確保しているものもある。しかしながら、このガラスコートは、薄いので絶縁が確保できていることを確認するために1500Vの耐圧検査が必要であり、しかも歩留まり率が悪い、といった問題点があった。
【0017】
本発明は、上記問題点にかんがみてなされたものであり、上記のような定着装置において、応答性がよく、しかもコストの安い定着装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は下記の構成を特徴とする定着装置および画像形成装置である。
【0019】
(1)記録材の画像面に接する定着部材と、該定着部材に加熱面が接触し、線状発熱体を加熱面側とは反対面側に有した熱源と、該熱源に非接触に配置される第一の温度検知手段と、該熱源の加熱面側とは反対面側に接触させた第二の温度検知手段とを備えた定着装置において、加熱面と通電により発熱する抵抗発熱体との沿面距離を2.0mm以上とする熱源を備えたことを特徴とする定着装置。
【0020】
これにより、温度検知手段では、付加絶縁を確保すればよい、さらに検査の必要がなくトータルコストが安価で温調制御性能も良い定着装置を提供することができる。
【0021】
(2)前記(1)に記載の定着装置において、熱源の抵抗発熱体を絶縁物で覆うことを特徴とする定着装置。
【0022】
これにより、温度検知手段では、絶縁を確保することが不要となり、トータルコストが安価で温調制御性能も良い定着装置を提供することができる。
【0023】
(3)前記(1)または(2)に記載の定着装置において、熱源として、セラミック基板上に抵抗発熱体を形成してなるセラミックヒータを用いることを特徴とする定着装置。
【0024】
これにより、(2)の発明と同様、トータルコストが安価で温調制御性能も良い定着装置を提供することができる。
【0025】
(4)前記(3)に記載の定着装置において、セラミック基板として窒化アルミ素材を用いることを特徴とする定着装置。
【0026】
これにより、コストパフォーマンスが良く、温調制御性能も良い定着装置を提供することができる。
【0027】
(5)前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の定着装置において、第一の温度検知手段が定着部材に接触して配置されることを特徴とする定着装置。
【0028】
これにより、制御が容易な定着装置を提供することができる。
【0029】
(6)前記(5)に記載の定着装置において、第一の温度検知手段が定着部材内面に接触して配置されることを特徴とする定着装置。
【0030】
これにより、(5)の発明と同様、トータルコストが安価であり、さらに温調制御が安定した定着装置を提供することができる。
【0031】
(7)前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の定着装置において、記録材の画像面に接する定着部材としてベルト基材に弾性層を設けてなる定着ベルトを用いることを特徴とする定着装置。
【0032】
(8)前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の定着装置を搭載したことを特徴とする画像形成装置。
【0033】
(9)記録材上に複数色のトナー像の重なりからなる未定着カラー画像を形成する作像手段部と、記録材上の未定着カラー画像を加熱定着させる定着装置を有し、前記定着装置が請求項1乃至7のいずれかに記載の定着装置であることを特徴とする画像形成装置。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0035】
〈第一の実施例〉
(1)画像形成装置例
図1に、本発明の実施例であるカラー画像形成装置の概略構成図を示す。本例のカラー画像形成装置は、電子写真方式を用いて、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色のトナー像を重ね合わせることでフルカラー画像を得る装置であり、プロセススピードは90mm/sec、一分間の印字枚数はUSレターサイズ紙で16枚である。また、一枚目プリント(First Page Out)までの時間(FPOT)は約15秒である。
【0036】
Y・C・M・Kはそれぞれイエロー・シアン・マゼンタ・ブラックの色トナー像を形成する4つのプロセスカートリッジであり、下から上に順に配列してある。各プロセスカートリッジY・C・M・Kは、それぞれ、像担持体たる感光体ドラム1、帯電手段たる帯電ローラ2、静電潜像を顕像化するための現像手段3、感光体ドラムのクリーニング手段4等をひとつの容器にまとめた、いわゆるオールインワンカートリッジを使用している。イエローのプロセスカートリッジYの現像手段3にはイエロートナーを、シアンのプロセスカートリッジCの現像手段3にはシアントナーを、マゼンタのプロセスカートリッジMの現像手段3にはマゼンタトナーを、ブラックのプロセスカートリッジKの現像手段3にはブラックトナーを、それぞれ充填してある。
【0037】
感光体ドラム1に露光を行うことにより静電潜像を形成する光学系5が上記4色のプロセスカートリッジY・C・M・Kに対応して設けられている。光学系5としてはレーザー走査露光光学系を用いている。
【0038】
各プロセスカートリッジY・C・M・Kにおいて、光学系5より、画像データに基づいた走査露光が、帯電手段2により一様に帯電された感光体ドラム1上になされることにより、感光体ドラム表面に走査露光画像に対応する静電潜像が形成される。不図示のバイアス電源より現像手段3の現像ローラに印加される現像バイアスを、帯電電位と潜像(露後部)電位の間の適切な値に設定することで、負の極性に帯電されたトナーが感光体ドラム1上の静電潜像に選択的に付着して現像が行われる。
【0039】
すなわち、イエローのプロセスカートリッジYの感光体ドラム1にはイエロートナー像が、シアンのプロセスカートリッジCの感光体ドラム1にはシアントナー像が、マゼンタのプロセスカートリッジMの感光体ドラム1にはマゼンタトナー像が、ブラックのプロセスカートリッジKの感光体ドラム1にはブラックトナー像が、それぞれ形成される。
【0040】
各プロセスカートリッジY・C・M・Kの感光体ドラム1上に現像形成された上記の単色トナー画像は各感光体ドラム1の回転と同期して、略等速で回転する中間転写体6上へ所定の位置合わせ状態で順に重畳されて一次転写されることで、中間転写体6上にフルカラートナー画像が合成形成される。
【0041】
本実施例においては、中間転写体6として、エンドレスの中間転写ベルトを用いており、駆動ローラ7、二次転写ローラ対向ローラ14、テンションローラ8の3本のローラに懸回して張架してあり、駆動ローラ7によって駆動される。
【0042】
各プロセスカートリッジY・C・M・Kの感光体ドラム1上から中間転写ベルト6上へのトナー像の一次転写手段としては、一次転写ローラ9を用いている。一次転写ローラ9に対して、不図示のバイアス電源より、トナーと逆極性の一次転写バイアスを印加することにより、各プロセスカートリッジY・C・M・Kの感光体ドラム1上から中間転写ベルト6に対して、トナー像が一次転写される。
【0043】
各プロセスカートリッジY・C・M・Kにおいて感光体ドラム1上から中間転写ベルト6への一次転写後、感光体ドラム1上に転写残として残ったトナーは、クリーニング手段4により除去される。本実施例においては、クリーニング手段4として、ウレタンブレードによるブレードクリーニングを用いている。
【0044】
上記工程を中間転写ベルト6の回転に同調して、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のプロセスカートリッジY・C・M・Kにおいて行なわせて、中間転写ベルト6上に、各色の一次転写トナー画像を順次重ねて形成していく。単色のみの画像形成(単色モード)時には、上記工程は、目的の色についてのみ行われる。
【0045】
一方、転写材供給部となる転写材カセット10にセットされた記録材としての転写材Pは、給送ローラ11により給送され、レジストローラ12により所定の制御タイミングで、二次転写ローラ対向ローラ14に懸回されている中間転写ベルト6部分と二次転写手段としての二次転写ローラ13とのニップ部に搬送される。
【0046】
中間転写ベルト6上に形成された一次転写トナー像は、二次転写手段たる二次転写ローラ13に不図示のバイアス印加手段より印加されるトナーと逆極性のバイアスにより、転写材P上に一括転写される。
【0047】
二次転写後に中間転写ベルト6上に残った二次転写残トナーは中間転写ベルトクリーニング手段15により除去される。本実施例においては、感光体ドラム1のクリーニング手段4と同様、ウレタンブレードによる中間転写体クリーニングを行っている。
【0048】
転写材P上に二次転写されたトナー画像は、定着手段たる定着装置Fを通過することで、転写材P上に溶融定着され、排紙パス31を通って排紙トレイ32に送り出されて画像形成装置の出力画像となる。
融定着され、画像形成装置の出力画像となる。
【0049】
(2)定着装置F
図2は定着装置Fの概略構成模型図である。本例の定着装置Fは、定着ベルト方式、加圧用回転体駆動方式(テンションレスタイプ)の装置である。
【0050】
1)装置Fの全体的構成
20は第一の定着部材としての定着ベルトであり、ベルト状部材に弾性層を設けてなる円筒状(エンドレスベルト状)の部材である。22は第二の定着部材としての加圧ローラである。17は横断面略半円弧状樋型の耐熱性・剛性を有するヒータホルダ、16は熱源としての定着ヒータであり、セラミックヒータである。このヒータはヒータホルダ17の下面に該ホルダの長手に沿って配設してある。定着ベルト20はこのヒータホルダ17にルーズに外嵌させてある。
【0051】
ヒータホルダ17は、耐熱性の高い液晶ポリマー樹脂で形成し、定着ヒータ16を保持し、定着ベルト20をガイドする役割を果たす。本実施例においては、液晶ポリマーとして、デュポン社のゼナイト7755(商品名)を使用した。ゼナイト7755の最大使用可能温度は、約270℃である。
【0052】
加圧ローラ22は、ステンレス製の芯金に、射出成形により、厚み約3mmのシリコーンゴム層を形成し、その上に厚み約40μmのPFA樹脂チューブを被覆してなる。この加圧ローラ22は芯金の両端部を装置フレーム24の不図示の奥側と手前側の側板間に回転自由に軸受保持させて配設してある。この加圧ローラ22の上側に、前記のヒータ16・ヒータホルダ17・定着ベルト20等から成る加熱アセンブリをヒータ16側を下向きにして加圧ローラ22に並行に配置し、ヒータホルダ17の両端部を不図示の加圧機構により片側98N(10kgf)、総圧196N(20kgf)の力で加圧ローラ22の軸線方向に附勢することで、定着ヒータ16の下向き面を定着ベルト20を介して加圧ローラ22の弾性層に該弾性層の弾性に抗して所定の押圧力をもって圧接させ、加熱定着に必要な所定幅の定着ニップ部Nを形成させてある。加圧機構は、圧解除機構を有し、ジャム処理時等に、加圧を解除し、転写材Pの除去が容易な構成となっている。
【0053】
18と19は第一と第二の温度検知手段としてのメインとサブの2つのサーミスタである。第一の温度検知手段としてのメインサーミスタ18は熱源である定着ヒータ16に非接触に配置され、本実施例ではヒータホルダ17の上方において定着ベルト20の内面に弾性的に接触させてあり、定着ベルト20の内面の温度を検知する。第二の温度検知手段としてのサブサーミスタ19はメインサーミスタ18よりも熱源である定着ヒータ16に近い場所に配置され、本実施例では定着ヒータ16の裏面に接触させてあり、定着ヒータ裏面の温度を検知する。
【0054】
メインサーミスタ18は、ヒータホルダ17に固定支持させたステンレス製のアーム25の先端にサーミスタ素子が取り付けられ、アーム25が弾性揺動することにより、定着ベルト20の内面の動きが不安定になった状態においても、サーミスタ素子が定着ベルト20の内面に常に接する状態に保たれる。
【0055】
図3に、本実施例の定着装置における、定着ヒータ16、メインサーミスタ18、サブサーミスタ19の位置関係をあらわす斜視模型図を示す。メインサーミスタ18、サブサーミスタ19とも、定着ベルト20、定着ヒータ16の長手中央付近に配設され、それぞれ定着ベルト20の内面、定着ヒータ16の裏面に接触するよう配置されている。
【0056】
メインサーミスタ18、及びサブサーミスタ19は、制御回路部(CPU)21に接続され、制御回路部21は、メインサーミスタ18、サブサーミスタ19の出力をもとに、定着ヒータ16の温調制御内容を決定し、ヒータ駆動回路部28(図4)によって定着ヒータ16への通電を制御する。
【0057】
23と26は装置フレーム24に組付けた入り口ガイドと定着排紙ローラである。入り口ガイド23は、二次転写ニップを抜けた転写材Pが、定着ニップ部Nに正確にガイドされるよう、転写材を導く役割を果たす。本実施例の入り口ガイド23は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂により形成されている。
【0058】
加圧ローラ22は駆動手段Mにより矢印の反時計方向に所定の周速度で回転駆動される。この加圧ローラ22の回転駆動による該加圧ローラ22の外面と定着ベルト20との、定着ニップ部Nにおける圧接摩擦力により円筒状の定着ベルト20に回転力が作用して該定着ベルト20がその内面側が定着ヒータ16の下向き面に密着して摺動しながらヒータホルダ17の外回りを矢印の時計方向に従動回転状態になる。定着ベルト20内面にはグリスが塗布され、ヒータホルダ17と定着ベルト20内面との摺動性を確保している。
【0059】
加圧ローラ22が回転駆動され、それに伴って円筒状の定着ベルト20が従動回転状態になり、また定着ヒータ16に通電がなされ、該定着ヒータ16が昇温して所定の温度に立ち上がり温調された状態において、定着ニップ部Nの定着ベルト20と加圧ローラ22との間に未定着トナー像を担持した転写材Pが入り口ガイド23に沿って案内されて導入され、定着ニップ部Nにおいて転写材Pのトナー像担持面側が定着ベルト20の外面に密着して定着ベルト20と一緒に定着ニップ部Nを挟持搬送されていく。この挟持搬送過程において、定着ヒータ16の熱が定着ベルト20を介して転写材Pに付与され、転写材P上の未定着トナー像が転写材P上に加熱・加圧されて溶融定着される。定着ニップ部Nを通過した記録材Pは定着ベルト20から曲率分離され、定着排紙ローラ26で排出される。
【0060】
通常使用においては、定着装置の加圧ローラ22の回転開始とともに、定着ベルト20の従動回転が開始し、定着ヒータ16の温度の上昇とともに、定着ベルト20の内面温度も上昇していく。定着ヒータ16への通電は、定着ベルト20の内面温度、すなわち、メインサーミスタ18の検知温度が195℃になるように、入力電力が制御される。
【0061】
本実施例において、FPOT(first print out time)15秒を満たすためには、定着ニップ部に転写材Pが突入する以前に、定着ニップ部が所定の温度に立ち上がっている必要がある。プリントを開始してから、転写材Pが定着ニップ部に突入するまでの時間を測定したところ、約11秒であった。したがって、11秒以内に定着装置温度が立ち上がることで、FPOTに影響を与えず、オンデマンド性の高い定着装置を提供することが可能となる。
【0062】
2)定着ヒータ16と、メインおよびサブサーミスタ18・19
熱源としての定着ヒータ16は、本例のものは、窒化アルミの基板上に、銀・パラジウム合金を含んだ導電ペーストをスクリーン印刷法によって均一な厚さの膜状に塗布することで抵抗発熱体を形成している裏面加熱型のセラミックヒータである。
【0063】
図4はそのようなセラミックヒータの一例の構造模型図であり、(a)は加熱面側であるヒータ表面側の途中部分省略の平面模型図、(b)はヒータ裏面側の途中部分省略の平面模型図、(c)は拡大横断面模型図である。
【0064】
この定着ヒータ16は、
▲1▼.通紙方向と直交する方向を長手とする横長の窒化アルミの基板16a、
▲2▼.上記の窒化アルミ基板16aの加熱面側とは反対面側である基板裏面側に長手に沿ってスクリーン印刷により線状あるいは帯状に塗工し焼成した、電流が流れることにより発熱する銀パラジウム(Ag/Pd)合金を含んだ導電ペーストの抵抗発熱体層16b・16b、
▲3▼.上記の抵抗発熱体層16b・16bに対する給電パターンとして、同じく窒化アルミ基板16aの表面側に銀ペーストのスクリーン印刷等によりパターン形成した、第1と第2の電極部16c・16d、
▲4▼.ヒータ裏面側に設けたサブサーミスタ19
等からなる。
【0065】
上記の定着ヒータ16は加熱面側であるヒータ表面側を下向きに露呈させてヒータホルダ17に固定して支持させてある。
【0066】
上記定着ヒータ16の第1と第2の電極部16c・16d側には給電用コネクタ27が装着される。ヒータ駆動回路部28から上記定着ヒータ16の給電用コネクタ27を介して第1と第2の電極部16c・16dに給電されることで抵抗発熱体層16b・16bが発熱して定着ヒータ16が迅速に昇温する。ヒータ駆動回路部28は制御回路部(CPU)21により制御される。
【0067】
本例の定着ヒータ16のヒータ表面側である加熱面とヒータ裏面側の抵抗発熱体16bとの沿面距離は2.0mm以上である2.5mmとしてある。すなわち、図4の(c)の拡大横断面模型図において、A(ヒータ基板の厚み)は0.6mm、Bは1.9mmに設定してある。加熱面と抵抗発熱体との沿面距離はこれら2つAとBを合わせた2.5mmとなる。
【0068】
このように熱源である定着ヒータ16の加熱面と線状発熱体との沿面距離を2.0mm以上とすることで絶縁耐圧試験が不要となり、組み立て工数が削減できる定着装置を提供することができる。
【0069】
図5に本実施例の定着装置におけるメインサーミスタ18の断面模型図を示す。サーミスタ401は電極405が出ており、それをサーミスタカプトンテープ402で2重巻きにして、さらにその外側には補強用のリン青銅板404、その固定用にさらにカプトンテープ403を巻いている。
【0070】
サブサーミスタ19は定着ヒータ16の裏面に接触するように固定される。図6は、サブサーミスタ19をヒータ側から見た図である。このサブサーミスタ19の構成は、サーミスタ603、その電極604、スポンジ部材602と強化絶縁を確保するためにカプトンテープ601を2重に巻いている。さらに沿面距離を確保するために電極からカプトンテープの端面(図6中D及びE)までは、8mmの距離を取っている。
【0071】
メインサーミスタ18及びサブサーミスタ19はCPU21に接続され、CPU21はメインサーミスタ18サブサーミスタ19の出力をもとに、定着ヒータ16の温調制御内容を決定し、定着ヒータ16への通電を制御する。
【0072】
3)定着ベルト20
定着ベルト20は、ポリイミド樹脂を、厚み50μmの円筒状に形成したエンドレスフィルム上に、弾性層としてシリコーンゴム層を、リングコート法により形成した上に、厚み30μmのPFA樹脂チューブを被覆してなる。
【0073】
シリコーンゴム層には、極力熱伝導率の高い材質を用い、定着ベルト20の熱容量を小さくすることが、温度立ち上げの観点からは望ましい。本実施例においては、熱伝導率が約4.186×10−3J/sec・cm・Kと、シリコーンゴムとしては、熱伝導率が高い部類に属する材質を用いた。
【0074】
一方、OHT透過性や、画像上の「す」(微小なグロスムラ)といった、画質の観点からは、定着ベルト20のゴム層を極力厚くすることが望ましい。本発明者らの検討によれば、満足のいくレベルの画質を得るためには、200μm以上のゴム厚みが必要であることが分かっている。本実施例におけるシリコーンゴム層は、厚み250μmとした。
【0075】
こうして形成した定着ベルト20の熱容量を測定したところ、1.2×10− 1J/cm2K(定着ベルト1cm2あたりの熱容量)であった。一般に、定着ベルト20の熱容量が4.186J/cm2K以上となると、温度立ち上がりが鈍くなり、オンデマンド性が損なわれる。また、逆に4.186×10−2J/cm2K以下にしようとすると、定着ベルト20のゴム層が極端に薄くせざるを得なくなり、OHT透過性や「す」のレベル等、画質を維持するために必要なゴム層の厚みを確保できない。このため、オンデマンド性と、画質の両方を満足する定着ベルト20の熱容量は、4.186×10−2J/cm2K以上4.186J/cm2K以下の範囲に含まれることが分かる。
【0076】
さらに、定着ベルト20の表面にフッ素樹脂層を設けることで、表面の離型性を向上し、定着ベルト20の表面にトナーが一旦付着し、再度転写材Pに移動することで発生するオフセット現象を防止することができる。
【0077】
また、定着ベルト20の表面のフッ素樹脂層を、PFAチューブとすることで、より簡便に、均一なフッ素樹脂層を形成することが可能となる。
【0078】
〈第二の実施例〉
本実施例の特徴は、上記第一の実施例の定着装置において、熱源としての定着ヒータ16の裏面側の導電パターン(抵抗発熱体)16b・16bを図7のヒータ横断面模型図のようガラスコーティング16eしたことである。その他の定着装置構成は第一の実施例の定着装置と変わらないので再度の説明は省略する。
【0079】
こうすることにより、導電パターン16eと加熱面いわゆるメインサーミスタ18との間には、強化絶縁が確保できる。従って、メインサーミスタ18の構成は、図5のカプトンテープ402とリン青銅板404が不要であり、補強のためのカプトンテープ403を1重巻きでよい。
【0080】
さらにサブサーミスタ19は、ガラスコーティング16eで基礎絶縁が確保できるので付加絶縁のみで良く、本実施例では、図6のカプトンテープは2重巻きで、電極からの距離D及びEは2mm程度で良い。但し、このサブサーミスタ19が接触する部分は、1500Vの絶縁耐圧試験が必要である。このように定着ヒータ16の導電パターン(抵抗発熱体)16b・16bを絶縁物であるガラスコーティング16eすることにより、サーミスタ18および19の絶縁が最小限となり、温度検知の応答性が向上し、サイズもコンパクトにできるといったメリットがある。
【0081】
〈その他〉
1)定着ニップを形成させる第一と第二の定着部材は実施例の定着ベルトや加圧ローラの形態に限られるものではない。第一と第二の定着部材の両方に熱源を具備させた形態の装置にすることもできる。
【0082】
2)熱源としてのセラミックヒータの形態は実施例のものに限られないことは勿論である。
【0083】
3)熱源は必ずしも定着ニップ部Nに位置していなくてもよい。例えば、熱源を定着ニップ部Nよりも定着ベルト移動方向上流側に位置させて配設することも出来る。
【0084】
4)実施例の定着装置は加圧用回転体駆動方式であるが、エンドレスの定着ベルトの内周面に駆動ローラを設け、定着ベルトにテンションを加えながら駆動する方式の装置であってもよいし、定着ベルトをロール巻きの有端ウエブ状にし、これを走行駆動させる方式の装置であってもよい。
【0085】
5)画像形成装置の作像方式は電子写真方式に限られず、静電記録方式、磁気記録方式等であってもよいし、また転写方式でも直接方式でもよい。
【0086】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、たとえば、定着部材として弾性層を有する定着ベルトと、該定着ベルト内に配置された熱源(発熱手段)とを有する定着装置について、応答性がよく、しかもコストの安い定着装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の実施例におけるカラー画像形成装置の概略構成図
【図2】第一の実施例における定着装置の断面模型図
【図3】定着ヒータ・メインサーミスタ・サブサーミスタの位置関係を示す斜視模型図
【図4】定着ヒータ(セラミックヒータ)の構成説明図
【図5】メインサーミスタの構成模型図
【図6】サブサーミスタの構成模型図
【図7】第二の実施例における定着ヒータの拡大横断面図
【図8】従来のフィルム定着方式の定着装置の断面図
【符号の説明】
16・・定着ヒータ、17・・ヒータホルダ、18・・メインサーミスタ、19・・サブサーミスタ、20・・定着ベルト、22・・加圧ローラ
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、レーザービームプリンター、ファクシミリ等の画像形成装置に用いられるトナー画像定着装置に関する。
【0002】
さらに詳しくは、電子写真、静電記録、磁気記録等の適時の画像形成プロセス手段により、加熱溶融性の樹脂等よりなるトナーを用いて、記録材(紙、印刷紙、転写材シート、OHTシート、光沢紙、光沢フィルム、エレクトロファックス紙静電記録紙等)の面に転写方式もしくは直接方式で目的の画像情報に対応した未定着トナー画像を形成担持させ、該未定着トナー画像を、該画像を担持している転写材面上に永久固着画像として加熱定着処理する方式の定着装置に関するものである。
【0003】
特にカラー画像形成装置に使用される、低コストで立ち上がり時間(いわゆるウォームアップタイム)の短い、オンデマンド定着装置に関するものである。
【0004】
ここで、本発明において、上記定着装置には、未定着画像を記録材上に永久画像として加熱定着させる装置ばかりでなく、未定着画像を記録材上に仮定着させる像加熱装置、画像を担持した記録材を再加熱してつや等の画像表面性を改質する像加熱装置なども包含される。
【0005】
【従来の技術】
近年、プリンターや複写機等の画像形成装置に使用される定着装置としては、ウォームアップタイムが短く、安価な定着装置として、フィルム定着方式の定着装置が良く知られている。このようなフィルム定着装置の一例を図8に示す。
【0006】
この定着装置では、支持部材115に固定支持させたヒータ112と弾性加圧ローラ114との間に薄肉の定着フィルム111をはさませて定着ニップ部Nを形成させ、定着フィルム111をヒータ112の面に摺動移動させ、、定着ニップ部の定着フィルム111と加圧ローラ114の間でトナー画像tを担持した記録材Pを挟持搬送して定着フィルム111を介したヒータ112からの熱により記録材上のトナー画像を加熱する構成である。記録材P上の未定着トナー画像tは、定着ニップ部Nを通過する際に、熱と圧力を受け、記録材P上に完成定着画像(永久固着画像)として定着される。
【0007】
定着フィルム111は、例えば厚さ50μm程度の耐熱樹脂製のエンドレスフィルムを用い、その表面に厚さ10μm程度の離型性層(フッ素樹脂コーティング層など)を形成したものであり、ヒータ112はセラミック基板上に抵抗発熱体を形成したものである。ヒータ112に温度検知手段113が当接され、ヒータ112の温度が検知され、不図示の制御手段によりヒータ112の温度が所望の温度になるように温調制御される。
【0008】
このような構成の定着装置では、定着フィルム111の熱容量が非常に小さくなっているので、ヒータ112に電力を投入した後、短時間で定着ニップ部Nをトナー画像の定着可能温度まで昇温させることが可能である。
【0009】
しかし、このような弾性層を設けていない定着フィルム111を使用しているフィルム定着装置をカラー画像形成装置の定着装置として使用すると、記録材P表面やトナー層の有無による凹凸やトナー自体の凹凸などに定着フィルム111表面が追随できず、凸部と凹部で定着フィルムを介して加えられる熱に差ができてしまう。定着フィルムとよく接する凸部では定着フィルム側からよく熱が伝わり、凹部では定着フィルム側からの熱が凸部に比べて伝わりにくい。
【0010】
カラー画像においては、複数色のトナー層を重ねて混色させ使用するので、トナー層の凹凸が白黒画像に比べて大きく、定着部材である定着フィルムに弾性層が無い場合、定着画像の光沢ムラが大きくなって画像品質を劣化させたり、記録材がOHTの場合は、定着画像を投影した際に透過性が悪かったりして、画像品質の低下があった。
【0011】
そこで、特開平11−15303号公報(特許第3051085号)に開示されているような、弾性層を有する定着ベルトをフィルム定着装置に使用することで、低コストなカラーオンデマンド定着装置を構成する定着装置が提案されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、定着ベルトの弾性層に使用されるシリコーンゴム等の熱伝導率はあまり高くなく、また、定着ベルト表面からヒータの温度検知手段までの間に多くの部材が入るため、応答性が悪く、ヒータの温度検知手段により定着ベルト表面の温調制御を行うことが難しい。特に、定着装置を記録材が通過して定着ベルト表面の熱を奪い定着ベルト表面の温度が低下したことをヒータ裏の温度検知手段で検出することは困難であり、応答に時間がかかり過ぎてしまう。
【0013】
これに対して、温度検知手段の配置をヒータ部から定着ベルトの表面や内面等に移動させて、定着ベルト自身の温度を検出することによりヒータの駆動を制御して温調しようとすると、定着ベルトの温度制御は正確にできるものの、ヒータ自身の温度が検出できない。
【0014】
このため、何らかの異常により定着フィルムの回転が止まった状態でヒータが通電発熱された場合や、定着ニップ部の加圧が解除された場合のように、ヒータから定着ベルトへの熱伝達が上手く行われない状態でヒータが通電発熱された場合等においては、定着ベルトの温度検知手段位置の昇温速度よりも、ヒータの昇温速度の方が格段に大きいため、ヒータを保持している部材が融けたり、定着ベルトの弾性層が熱によるダメージを受けたり、変形してしまう等の不具合が発生するという問題があった。
【0015】
また、セラミックヒータの導体パターン(抵抗発熱体)は一次活電部であり、温度検出素子は二次活電部であるから、その間の距離は、安全規格上、強化絶縁を確保しなければならない。そのために温度検出素子の周囲に絶縁フィルム等を巻いて、強化絶縁を確保していた。しかしながら絶縁フィルムは、3重以上の巻き数を巻かなければならず、さらに幅も導体部から5mm程度以上にする必要があった。そうすると温度検出素子の応答性が悪くなったり、外形サイズが大きくなったりするといった弊害が発生していた。
【0016】
また、別の方式としてセラミックヒータの導体パターンにガラスコートを施し、基礎絶縁を確保し、温度検出素子の周囲に絶縁フィルムを2回巻きにして付加絶縁を確保することにより両者を併せることで強化絶縁を確保しているものもある。しかしながら、このガラスコートは、薄いので絶縁が確保できていることを確認するために1500Vの耐圧検査が必要であり、しかも歩留まり率が悪い、といった問題点があった。
【0017】
本発明は、上記問題点にかんがみてなされたものであり、上記のような定着装置において、応答性がよく、しかもコストの安い定着装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は下記の構成を特徴とする定着装置および画像形成装置である。
【0019】
(1)記録材の画像面に接する定着部材と、該定着部材に加熱面が接触し、線状発熱体を加熱面側とは反対面側に有した熱源と、該熱源に非接触に配置される第一の温度検知手段と、該熱源の加熱面側とは反対面側に接触させた第二の温度検知手段とを備えた定着装置において、加熱面と通電により発熱する抵抗発熱体との沿面距離を2.0mm以上とする熱源を備えたことを特徴とする定着装置。
【0020】
これにより、温度検知手段では、付加絶縁を確保すればよい、さらに検査の必要がなくトータルコストが安価で温調制御性能も良い定着装置を提供することができる。
【0021】
(2)前記(1)に記載の定着装置において、熱源の抵抗発熱体を絶縁物で覆うことを特徴とする定着装置。
【0022】
これにより、温度検知手段では、絶縁を確保することが不要となり、トータルコストが安価で温調制御性能も良い定着装置を提供することができる。
【0023】
(3)前記(1)または(2)に記載の定着装置において、熱源として、セラミック基板上に抵抗発熱体を形成してなるセラミックヒータを用いることを特徴とする定着装置。
【0024】
これにより、(2)の発明と同様、トータルコストが安価で温調制御性能も良い定着装置を提供することができる。
【0025】
(4)前記(3)に記載の定着装置において、セラミック基板として窒化アルミ素材を用いることを特徴とする定着装置。
【0026】
これにより、コストパフォーマンスが良く、温調制御性能も良い定着装置を提供することができる。
【0027】
(5)前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の定着装置において、第一の温度検知手段が定着部材に接触して配置されることを特徴とする定着装置。
【0028】
これにより、制御が容易な定着装置を提供することができる。
【0029】
(6)前記(5)に記載の定着装置において、第一の温度検知手段が定着部材内面に接触して配置されることを特徴とする定着装置。
【0030】
これにより、(5)の発明と同様、トータルコストが安価であり、さらに温調制御が安定した定着装置を提供することができる。
【0031】
(7)前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の定着装置において、記録材の画像面に接する定着部材としてベルト基材に弾性層を設けてなる定着ベルトを用いることを特徴とする定着装置。
【0032】
(8)前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の定着装置を搭載したことを特徴とする画像形成装置。
【0033】
(9)記録材上に複数色のトナー像の重なりからなる未定着カラー画像を形成する作像手段部と、記録材上の未定着カラー画像を加熱定着させる定着装置を有し、前記定着装置が請求項1乃至7のいずれかに記載の定着装置であることを特徴とする画像形成装置。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0035】
〈第一の実施例〉
(1)画像形成装置例
図1に、本発明の実施例であるカラー画像形成装置の概略構成図を示す。本例のカラー画像形成装置は、電子写真方式を用いて、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色のトナー像を重ね合わせることでフルカラー画像を得る装置であり、プロセススピードは90mm/sec、一分間の印字枚数はUSレターサイズ紙で16枚である。また、一枚目プリント(First Page Out)までの時間(FPOT)は約15秒である。
【0036】
Y・C・M・Kはそれぞれイエロー・シアン・マゼンタ・ブラックの色トナー像を形成する4つのプロセスカートリッジであり、下から上に順に配列してある。各プロセスカートリッジY・C・M・Kは、それぞれ、像担持体たる感光体ドラム1、帯電手段たる帯電ローラ2、静電潜像を顕像化するための現像手段3、感光体ドラムのクリーニング手段4等をひとつの容器にまとめた、いわゆるオールインワンカートリッジを使用している。イエローのプロセスカートリッジYの現像手段3にはイエロートナーを、シアンのプロセスカートリッジCの現像手段3にはシアントナーを、マゼンタのプロセスカートリッジMの現像手段3にはマゼンタトナーを、ブラックのプロセスカートリッジKの現像手段3にはブラックトナーを、それぞれ充填してある。
【0037】
感光体ドラム1に露光を行うことにより静電潜像を形成する光学系5が上記4色のプロセスカートリッジY・C・M・Kに対応して設けられている。光学系5としてはレーザー走査露光光学系を用いている。
【0038】
各プロセスカートリッジY・C・M・Kにおいて、光学系5より、画像データに基づいた走査露光が、帯電手段2により一様に帯電された感光体ドラム1上になされることにより、感光体ドラム表面に走査露光画像に対応する静電潜像が形成される。不図示のバイアス電源より現像手段3の現像ローラに印加される現像バイアスを、帯電電位と潜像(露後部)電位の間の適切な値に設定することで、負の極性に帯電されたトナーが感光体ドラム1上の静電潜像に選択的に付着して現像が行われる。
【0039】
すなわち、イエローのプロセスカートリッジYの感光体ドラム1にはイエロートナー像が、シアンのプロセスカートリッジCの感光体ドラム1にはシアントナー像が、マゼンタのプロセスカートリッジMの感光体ドラム1にはマゼンタトナー像が、ブラックのプロセスカートリッジKの感光体ドラム1にはブラックトナー像が、それぞれ形成される。
【0040】
各プロセスカートリッジY・C・M・Kの感光体ドラム1上に現像形成された上記の単色トナー画像は各感光体ドラム1の回転と同期して、略等速で回転する中間転写体6上へ所定の位置合わせ状態で順に重畳されて一次転写されることで、中間転写体6上にフルカラートナー画像が合成形成される。
【0041】
本実施例においては、中間転写体6として、エンドレスの中間転写ベルトを用いており、駆動ローラ7、二次転写ローラ対向ローラ14、テンションローラ8の3本のローラに懸回して張架してあり、駆動ローラ7によって駆動される。
【0042】
各プロセスカートリッジY・C・M・Kの感光体ドラム1上から中間転写ベルト6上へのトナー像の一次転写手段としては、一次転写ローラ9を用いている。一次転写ローラ9に対して、不図示のバイアス電源より、トナーと逆極性の一次転写バイアスを印加することにより、各プロセスカートリッジY・C・M・Kの感光体ドラム1上から中間転写ベルト6に対して、トナー像が一次転写される。
【0043】
各プロセスカートリッジY・C・M・Kにおいて感光体ドラム1上から中間転写ベルト6への一次転写後、感光体ドラム1上に転写残として残ったトナーは、クリーニング手段4により除去される。本実施例においては、クリーニング手段4として、ウレタンブレードによるブレードクリーニングを用いている。
【0044】
上記工程を中間転写ベルト6の回転に同調して、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のプロセスカートリッジY・C・M・Kにおいて行なわせて、中間転写ベルト6上に、各色の一次転写トナー画像を順次重ねて形成していく。単色のみの画像形成(単色モード)時には、上記工程は、目的の色についてのみ行われる。
【0045】
一方、転写材供給部となる転写材カセット10にセットされた記録材としての転写材Pは、給送ローラ11により給送され、レジストローラ12により所定の制御タイミングで、二次転写ローラ対向ローラ14に懸回されている中間転写ベルト6部分と二次転写手段としての二次転写ローラ13とのニップ部に搬送される。
【0046】
中間転写ベルト6上に形成された一次転写トナー像は、二次転写手段たる二次転写ローラ13に不図示のバイアス印加手段より印加されるトナーと逆極性のバイアスにより、転写材P上に一括転写される。
【0047】
二次転写後に中間転写ベルト6上に残った二次転写残トナーは中間転写ベルトクリーニング手段15により除去される。本実施例においては、感光体ドラム1のクリーニング手段4と同様、ウレタンブレードによる中間転写体クリーニングを行っている。
【0048】
転写材P上に二次転写されたトナー画像は、定着手段たる定着装置Fを通過することで、転写材P上に溶融定着され、排紙パス31を通って排紙トレイ32に送り出されて画像形成装置の出力画像となる。
融定着され、画像形成装置の出力画像となる。
【0049】
(2)定着装置F
図2は定着装置Fの概略構成模型図である。本例の定着装置Fは、定着ベルト方式、加圧用回転体駆動方式(テンションレスタイプ)の装置である。
【0050】
1)装置Fの全体的構成
20は第一の定着部材としての定着ベルトであり、ベルト状部材に弾性層を設けてなる円筒状(エンドレスベルト状)の部材である。22は第二の定着部材としての加圧ローラである。17は横断面略半円弧状樋型の耐熱性・剛性を有するヒータホルダ、16は熱源としての定着ヒータであり、セラミックヒータである。このヒータはヒータホルダ17の下面に該ホルダの長手に沿って配設してある。定着ベルト20はこのヒータホルダ17にルーズに外嵌させてある。
【0051】
ヒータホルダ17は、耐熱性の高い液晶ポリマー樹脂で形成し、定着ヒータ16を保持し、定着ベルト20をガイドする役割を果たす。本実施例においては、液晶ポリマーとして、デュポン社のゼナイト7755(商品名)を使用した。ゼナイト7755の最大使用可能温度は、約270℃である。
【0052】
加圧ローラ22は、ステンレス製の芯金に、射出成形により、厚み約3mmのシリコーンゴム層を形成し、その上に厚み約40μmのPFA樹脂チューブを被覆してなる。この加圧ローラ22は芯金の両端部を装置フレーム24の不図示の奥側と手前側の側板間に回転自由に軸受保持させて配設してある。この加圧ローラ22の上側に、前記のヒータ16・ヒータホルダ17・定着ベルト20等から成る加熱アセンブリをヒータ16側を下向きにして加圧ローラ22に並行に配置し、ヒータホルダ17の両端部を不図示の加圧機構により片側98N(10kgf)、総圧196N(20kgf)の力で加圧ローラ22の軸線方向に附勢することで、定着ヒータ16の下向き面を定着ベルト20を介して加圧ローラ22の弾性層に該弾性層の弾性に抗して所定の押圧力をもって圧接させ、加熱定着に必要な所定幅の定着ニップ部Nを形成させてある。加圧機構は、圧解除機構を有し、ジャム処理時等に、加圧を解除し、転写材Pの除去が容易な構成となっている。
【0053】
18と19は第一と第二の温度検知手段としてのメインとサブの2つのサーミスタである。第一の温度検知手段としてのメインサーミスタ18は熱源である定着ヒータ16に非接触に配置され、本実施例ではヒータホルダ17の上方において定着ベルト20の内面に弾性的に接触させてあり、定着ベルト20の内面の温度を検知する。第二の温度検知手段としてのサブサーミスタ19はメインサーミスタ18よりも熱源である定着ヒータ16に近い場所に配置され、本実施例では定着ヒータ16の裏面に接触させてあり、定着ヒータ裏面の温度を検知する。
【0054】
メインサーミスタ18は、ヒータホルダ17に固定支持させたステンレス製のアーム25の先端にサーミスタ素子が取り付けられ、アーム25が弾性揺動することにより、定着ベルト20の内面の動きが不安定になった状態においても、サーミスタ素子が定着ベルト20の内面に常に接する状態に保たれる。
【0055】
図3に、本実施例の定着装置における、定着ヒータ16、メインサーミスタ18、サブサーミスタ19の位置関係をあらわす斜視模型図を示す。メインサーミスタ18、サブサーミスタ19とも、定着ベルト20、定着ヒータ16の長手中央付近に配設され、それぞれ定着ベルト20の内面、定着ヒータ16の裏面に接触するよう配置されている。
【0056】
メインサーミスタ18、及びサブサーミスタ19は、制御回路部(CPU)21に接続され、制御回路部21は、メインサーミスタ18、サブサーミスタ19の出力をもとに、定着ヒータ16の温調制御内容を決定し、ヒータ駆動回路部28(図4)によって定着ヒータ16への通電を制御する。
【0057】
23と26は装置フレーム24に組付けた入り口ガイドと定着排紙ローラである。入り口ガイド23は、二次転写ニップを抜けた転写材Pが、定着ニップ部Nに正確にガイドされるよう、転写材を導く役割を果たす。本実施例の入り口ガイド23は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂により形成されている。
【0058】
加圧ローラ22は駆動手段Mにより矢印の反時計方向に所定の周速度で回転駆動される。この加圧ローラ22の回転駆動による該加圧ローラ22の外面と定着ベルト20との、定着ニップ部Nにおける圧接摩擦力により円筒状の定着ベルト20に回転力が作用して該定着ベルト20がその内面側が定着ヒータ16の下向き面に密着して摺動しながらヒータホルダ17の外回りを矢印の時計方向に従動回転状態になる。定着ベルト20内面にはグリスが塗布され、ヒータホルダ17と定着ベルト20内面との摺動性を確保している。
【0059】
加圧ローラ22が回転駆動され、それに伴って円筒状の定着ベルト20が従動回転状態になり、また定着ヒータ16に通電がなされ、該定着ヒータ16が昇温して所定の温度に立ち上がり温調された状態において、定着ニップ部Nの定着ベルト20と加圧ローラ22との間に未定着トナー像を担持した転写材Pが入り口ガイド23に沿って案内されて導入され、定着ニップ部Nにおいて転写材Pのトナー像担持面側が定着ベルト20の外面に密着して定着ベルト20と一緒に定着ニップ部Nを挟持搬送されていく。この挟持搬送過程において、定着ヒータ16の熱が定着ベルト20を介して転写材Pに付与され、転写材P上の未定着トナー像が転写材P上に加熱・加圧されて溶融定着される。定着ニップ部Nを通過した記録材Pは定着ベルト20から曲率分離され、定着排紙ローラ26で排出される。
【0060】
通常使用においては、定着装置の加圧ローラ22の回転開始とともに、定着ベルト20の従動回転が開始し、定着ヒータ16の温度の上昇とともに、定着ベルト20の内面温度も上昇していく。定着ヒータ16への通電は、定着ベルト20の内面温度、すなわち、メインサーミスタ18の検知温度が195℃になるように、入力電力が制御される。
【0061】
本実施例において、FPOT(first print out time)15秒を満たすためには、定着ニップ部に転写材Pが突入する以前に、定着ニップ部が所定の温度に立ち上がっている必要がある。プリントを開始してから、転写材Pが定着ニップ部に突入するまでの時間を測定したところ、約11秒であった。したがって、11秒以内に定着装置温度が立ち上がることで、FPOTに影響を与えず、オンデマンド性の高い定着装置を提供することが可能となる。
【0062】
2)定着ヒータ16と、メインおよびサブサーミスタ18・19
熱源としての定着ヒータ16は、本例のものは、窒化アルミの基板上に、銀・パラジウム合金を含んだ導電ペーストをスクリーン印刷法によって均一な厚さの膜状に塗布することで抵抗発熱体を形成している裏面加熱型のセラミックヒータである。
【0063】
図4はそのようなセラミックヒータの一例の構造模型図であり、(a)は加熱面側であるヒータ表面側の途中部分省略の平面模型図、(b)はヒータ裏面側の途中部分省略の平面模型図、(c)は拡大横断面模型図である。
【0064】
この定着ヒータ16は、
▲1▼.通紙方向と直交する方向を長手とする横長の窒化アルミの基板16a、
▲2▼.上記の窒化アルミ基板16aの加熱面側とは反対面側である基板裏面側に長手に沿ってスクリーン印刷により線状あるいは帯状に塗工し焼成した、電流が流れることにより発熱する銀パラジウム(Ag/Pd)合金を含んだ導電ペーストの抵抗発熱体層16b・16b、
▲3▼.上記の抵抗発熱体層16b・16bに対する給電パターンとして、同じく窒化アルミ基板16aの表面側に銀ペーストのスクリーン印刷等によりパターン形成した、第1と第2の電極部16c・16d、
▲4▼.ヒータ裏面側に設けたサブサーミスタ19
等からなる。
【0065】
上記の定着ヒータ16は加熱面側であるヒータ表面側を下向きに露呈させてヒータホルダ17に固定して支持させてある。
【0066】
上記定着ヒータ16の第1と第2の電極部16c・16d側には給電用コネクタ27が装着される。ヒータ駆動回路部28から上記定着ヒータ16の給電用コネクタ27を介して第1と第2の電極部16c・16dに給電されることで抵抗発熱体層16b・16bが発熱して定着ヒータ16が迅速に昇温する。ヒータ駆動回路部28は制御回路部(CPU)21により制御される。
【0067】
本例の定着ヒータ16のヒータ表面側である加熱面とヒータ裏面側の抵抗発熱体16bとの沿面距離は2.0mm以上である2.5mmとしてある。すなわち、図4の(c)の拡大横断面模型図において、A(ヒータ基板の厚み)は0.6mm、Bは1.9mmに設定してある。加熱面と抵抗発熱体との沿面距離はこれら2つAとBを合わせた2.5mmとなる。
【0068】
このように熱源である定着ヒータ16の加熱面と線状発熱体との沿面距離を2.0mm以上とすることで絶縁耐圧試験が不要となり、組み立て工数が削減できる定着装置を提供することができる。
【0069】
図5に本実施例の定着装置におけるメインサーミスタ18の断面模型図を示す。サーミスタ401は電極405が出ており、それをサーミスタカプトンテープ402で2重巻きにして、さらにその外側には補強用のリン青銅板404、その固定用にさらにカプトンテープ403を巻いている。
【0070】
サブサーミスタ19は定着ヒータ16の裏面に接触するように固定される。図6は、サブサーミスタ19をヒータ側から見た図である。このサブサーミスタ19の構成は、サーミスタ603、その電極604、スポンジ部材602と強化絶縁を確保するためにカプトンテープ601を2重に巻いている。さらに沿面距離を確保するために電極からカプトンテープの端面(図6中D及びE)までは、8mmの距離を取っている。
【0071】
メインサーミスタ18及びサブサーミスタ19はCPU21に接続され、CPU21はメインサーミスタ18サブサーミスタ19の出力をもとに、定着ヒータ16の温調制御内容を決定し、定着ヒータ16への通電を制御する。
【0072】
3)定着ベルト20
定着ベルト20は、ポリイミド樹脂を、厚み50μmの円筒状に形成したエンドレスフィルム上に、弾性層としてシリコーンゴム層を、リングコート法により形成した上に、厚み30μmのPFA樹脂チューブを被覆してなる。
【0073】
シリコーンゴム層には、極力熱伝導率の高い材質を用い、定着ベルト20の熱容量を小さくすることが、温度立ち上げの観点からは望ましい。本実施例においては、熱伝導率が約4.186×10−3J/sec・cm・Kと、シリコーンゴムとしては、熱伝導率が高い部類に属する材質を用いた。
【0074】
一方、OHT透過性や、画像上の「す」(微小なグロスムラ)といった、画質の観点からは、定着ベルト20のゴム層を極力厚くすることが望ましい。本発明者らの検討によれば、満足のいくレベルの画質を得るためには、200μm以上のゴム厚みが必要であることが分かっている。本実施例におけるシリコーンゴム層は、厚み250μmとした。
【0075】
こうして形成した定着ベルト20の熱容量を測定したところ、1.2×10− 1J/cm2K(定着ベルト1cm2あたりの熱容量)であった。一般に、定着ベルト20の熱容量が4.186J/cm2K以上となると、温度立ち上がりが鈍くなり、オンデマンド性が損なわれる。また、逆に4.186×10−2J/cm2K以下にしようとすると、定着ベルト20のゴム層が極端に薄くせざるを得なくなり、OHT透過性や「す」のレベル等、画質を維持するために必要なゴム層の厚みを確保できない。このため、オンデマンド性と、画質の両方を満足する定着ベルト20の熱容量は、4.186×10−2J/cm2K以上4.186J/cm2K以下の範囲に含まれることが分かる。
【0076】
さらに、定着ベルト20の表面にフッ素樹脂層を設けることで、表面の離型性を向上し、定着ベルト20の表面にトナーが一旦付着し、再度転写材Pに移動することで発生するオフセット現象を防止することができる。
【0077】
また、定着ベルト20の表面のフッ素樹脂層を、PFAチューブとすることで、より簡便に、均一なフッ素樹脂層を形成することが可能となる。
【0078】
〈第二の実施例〉
本実施例の特徴は、上記第一の実施例の定着装置において、熱源としての定着ヒータ16の裏面側の導電パターン(抵抗発熱体)16b・16bを図7のヒータ横断面模型図のようガラスコーティング16eしたことである。その他の定着装置構成は第一の実施例の定着装置と変わらないので再度の説明は省略する。
【0079】
こうすることにより、導電パターン16eと加熱面いわゆるメインサーミスタ18との間には、強化絶縁が確保できる。従って、メインサーミスタ18の構成は、図5のカプトンテープ402とリン青銅板404が不要であり、補強のためのカプトンテープ403を1重巻きでよい。
【0080】
さらにサブサーミスタ19は、ガラスコーティング16eで基礎絶縁が確保できるので付加絶縁のみで良く、本実施例では、図6のカプトンテープは2重巻きで、電極からの距離D及びEは2mm程度で良い。但し、このサブサーミスタ19が接触する部分は、1500Vの絶縁耐圧試験が必要である。このように定着ヒータ16の導電パターン(抵抗発熱体)16b・16bを絶縁物であるガラスコーティング16eすることにより、サーミスタ18および19の絶縁が最小限となり、温度検知の応答性が向上し、サイズもコンパクトにできるといったメリットがある。
【0081】
〈その他〉
1)定着ニップを形成させる第一と第二の定着部材は実施例の定着ベルトや加圧ローラの形態に限られるものではない。第一と第二の定着部材の両方に熱源を具備させた形態の装置にすることもできる。
【0082】
2)熱源としてのセラミックヒータの形態は実施例のものに限られないことは勿論である。
【0083】
3)熱源は必ずしも定着ニップ部Nに位置していなくてもよい。例えば、熱源を定着ニップ部Nよりも定着ベルト移動方向上流側に位置させて配設することも出来る。
【0084】
4)実施例の定着装置は加圧用回転体駆動方式であるが、エンドレスの定着ベルトの内周面に駆動ローラを設け、定着ベルトにテンションを加えながら駆動する方式の装置であってもよいし、定着ベルトをロール巻きの有端ウエブ状にし、これを走行駆動させる方式の装置であってもよい。
【0085】
5)画像形成装置の作像方式は電子写真方式に限られず、静電記録方式、磁気記録方式等であってもよいし、また転写方式でも直接方式でもよい。
【0086】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、たとえば、定着部材として弾性層を有する定着ベルトと、該定着ベルト内に配置された熱源(発熱手段)とを有する定着装置について、応答性がよく、しかもコストの安い定着装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の実施例におけるカラー画像形成装置の概略構成図
【図2】第一の実施例における定着装置の断面模型図
【図3】定着ヒータ・メインサーミスタ・サブサーミスタの位置関係を示す斜視模型図
【図4】定着ヒータ(セラミックヒータ)の構成説明図
【図5】メインサーミスタの構成模型図
【図6】サブサーミスタの構成模型図
【図7】第二の実施例における定着ヒータの拡大横断面図
【図8】従来のフィルム定着方式の定着装置の断面図
【符号の説明】
16・・定着ヒータ、17・・ヒータホルダ、18・・メインサーミスタ、19・・サブサーミスタ、20・・定着ベルト、22・・加圧ローラ
Claims (9)
- 記録材の画像面に接する定着部材と、該定着部材に加熱面が接触し、線状発熱体を加熱面側とは反対面側に有した熱源と、該熱源に非接触に配置される第一の温度検知手段と、該熱源の加熱面側とは反対面側に接触させた第二の温度検知手段とを備えた定着装置において、加熱面と通電により発熱する抵抗発熱体との沿面距離を2.0mm以上とする熱源を備えたことを特徴とする定着装置。
- 請求項1に記載の定着装置において、熱源の抵抗発熱体を絶縁物で覆うことを特徴とする定着装置。
- 請求項1または請求項2に記載の定着装置において、熱源として、セラミック基板上に抵抗発熱体を形成してなるセラミックヒータを用いることを特徴とする定着装置。
- 請求項3に記載の定着装置において、セラミック基板として窒化アルミ素材を用いることを特徴とする定着装置。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の定着装置において、第一の温度検知手段が定着部材に接触して配置されることを特徴とする定着装置。
- 請求項5に記載の定着装置において、第一の温度検知手段が定着部材内面に接触して配置されることを特徴とする定着装置。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の定着装置において、記録材の画像面に接する定着部材としてベルト基材に弾性層を設けてなる定着ベルトを用いることを特徴とする定着装置。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の定着装置を搭載したことを特徴とする画像形成装置。
- 記録材上に複数色のトナー像の重なりからなる未定着カラー画像を形成する作像手段部と、記録材上の未定着カラー画像を加熱定着させる定着装置を有し、前記定着装置が請求項1乃至7のいずれかに記載の定着装置であることを特徴とする画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002215271A JP2004054183A (ja) | 2002-07-24 | 2002-07-24 | 定着装置および画像形成装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002215271A JP2004054183A (ja) | 2002-07-24 | 2002-07-24 | 定着装置および画像形成装置 |
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JP2002215271A Pending JP2004054183A (ja) | 2002-07-24 | 2002-07-24 | 定着装置および画像形成装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011048271A (ja) * | 2009-08-28 | 2011-03-10 | Sharp Corp | 定着装置及びこの帯電装置を用いた画像形成装置 |
US10996598B2 (en) | 2018-05-30 | 2021-05-04 | Canon Kabushiki Kaisha | Heater and fixing apparatus |
-
2002
- 2002-07-24 JP JP2002215271A patent/JP2004054183A/ja active Pending
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