JP2004053013A - 鋼管用ねじ継手 - Google Patents

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Abstract

【課題】それぞれねじ部3または4とねじ無し金属接触部8とを有する接触表面を備えたピン1とボックス2とから構成される鋼管用ねじ継手において、液状潤滑による自己補修機能を示し、かつ表面のべとつきが抑制された潤滑被膜をねじ継手の接触表面に形成して、ねじ継手に優れた耐焼付き性を付与する。
【解決手段】ピンとボックスの少なくとも一方の接触表面に、(1) 0℃以上、40℃以下の温度域で液体状態の潤滑層と、その上に形成された40℃で固体状態の潤滑層とからなる潤滑被膜、または(2) 0℃以上、40℃以下の温度域で液体状態の潤滑油と、40℃で固体状態のワックスとの混合物 (好ましくは、混合後にワックスを一旦液状化させて潤滑油とワックスを相溶させた混合物) からなる、40℃で固体または半固体の潤滑被膜を形成する。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面に潤滑被膜を有する鋼管用ねじ継手に関し、より詳しくは、耐焼付き性に優れ、締付け・緩めの繰り返しが可能であると同時に、潤滑被膜のべとつきが小さく、異物が付着しにくい鋼管用ねじ継手に関する。
【0002】
【従来の技術】
原油やガス油といった油井の掘削に用いるチュービングやケーシング等の油井管は、一般にねじ継手を用いて接続される。油井の深さは、従来は2000〜3000mであったが、近年の海洋油田などの深油井では8000〜10000 mにも達することがある。
【0003】
油井管の接続に使用する鋼管用ねじ継手には、使用環境下で油井管および継手自体の重量に起因する軸方向引張力といった荷重、内外面圧力などの複合した圧力、さらには地中の熱が作用する。従って、鋼管用ねじ継手には、このような過酷な環境下においても破損することなく気密性を保持することが要求される。
【0004】
さらに、油井管の降下作業時には、組立の不具合を修正するため、一度締め込んだ継手を緩めて、再度締め直すことがよくある。API (米国石油協会) では、チュービング継手においては10回の、大径のケーシング継手においては3回の、締付け (メイクアップ) と緩め (ブレークアウト) の繰り返しを行っても、ゴーリングと呼ばれる修復不可能な焼付きの発生がなく、気密性が保持されることを求めている。
【0005】
この要求に応えて、ねじ部に加えて、ねじを持たない金属接触部分(以下、ねじ無し金属接触部という)を有する、メタルシールが可能な、気密性に優れた特殊ねじ継手が普及してきた。この種のねじ継手では、典型的には、油井管の両側の管端の外面に、雄ねじ部とねじ無し金属接触部とを有するピンが形成される。一方、スリーブ状の継手部材の内面には、ピンの雄ねじ部とねじ無し金属接触部とに嵌合するように、雌ねじ部とねじ無し金属接触部とを有する、ピンの相手方となるボックスが形成される。ピンをボックスに嵌め込み、ねじで締め付けることにより、ピンとボックスのねじ無し金属接触部同士が当接してメタルシール部が形成される。
【0006】
油井管の使用環境下で上記ねじ継手のメタルシールによって十分なシール性を確保するには、ねじ無し金属接触部に非常に高い面圧を付与しなければならないため、この種のねじ継手は焼付きが発生しやすい。そのため、締め付け時に金属接触部やねじ部にコンパウンドグリスと呼ばれる、常温で粘稠液状の潤滑グリスを予め塗布して、耐焼付き性と気密性の向上を図ってきた。
【0007】
しかし、コンパウンドグリスは、Pb、Zn、Cuといった重金属粉を多量に含有するため、塗布したグリスが洗い流されると環境汚染を引き起こす懸念がある。また、コンパウンドグリスの塗布は、作業環境を悪化させるとともに、作業効率も低下させる。従って、コンパウンドグリス等の潤滑グリスの塗布を必要とせずに使用できるねじ継手が望まれている。
【0008】
潤滑グリスを使用しないねじ継手として、特開平8−103724号、同8−233163号、同8−233164号各公報には、エポキシ樹脂等の樹脂で二硫化モリブデン等の固体潤滑剤を結合した、固体潤滑剤を基材とする潤滑被膜 (以下、固体潤滑被膜という) をボックスまたはピンのねじ無し金属接触部に形成したねじ継手が提案されている。
【0009】
【特許文献1】特開平8−103724号公報
【特許文献2】特開平8−233163号公報
【特許文献3】特開平8−233164号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、固体潤滑被膜は、ねじ継手のねじやねじ無し金属接触部の形状に沿って均一な厚さに形成することが容易ではない。被膜の厚みが不均一であると、厚みが過大な部分では、ねじ継手の締結時に面圧が過大となり、締付けトルクが高くなったり、ねじ山形状の変形を生じて、焼付きが起こり易くなる。反対に、潤滑被膜が薄い部分では、潤滑不良や錆が発生し易くなる。
【0011】
また、固体潤滑被膜は、たとえ均一な厚みで形成されていても、ねじ継手の締付け・緩めを繰り返した場合や、異物が存在する条件下では、焼付きが起こり易い。異物の存在は、例えば、油井管を組立のために直立させる際、内面に付着していた錆や、錆を除去するために投入したブラスト砥粒などが落下し、その一部がねじ部やねじ無し金属接触部に付着することで起こる。
【0012】
固体潤滑被膜は、延性や流動性に乏しく、しかも剥離し易いため、上記条件下では、締め付け時にねじ山やねじ無し金属接触部に局部的に過大な面圧がかかり、その部分のねじ継手に塑性変形が起こって固体潤滑被膜が剥離し、被膜のない金属面が露出することがある。そうなると、金属の露出部が小さくても、焼付きがすぐに発生する。
【0013】
さらに、固体潤滑被膜は防錆性も不十分であり、油井現場で使用する前の保管中のねじ継手の錆を十分に防止できない。錆は潤滑性に乏しいため、錆の発生とそれに伴う固体潤滑被膜の膨れまたは剥離が起こると、継手締結時の締付けトルクが一層不安定になり、焼付きが発生したり、気密性が低下することがある。
【0014】
一方、常温で液状で、流動性のある潤滑グリスや油といった液状潤滑剤を塗布した場合には、締め込みによる圧力でねじ山の隙間や表面粗さの谷部に閉じ込められた潤滑剤がしみ出てくるため、局部的に過大な面圧がかかっても、その部分にも潤滑剤が回り込み、激しい焼付きには至らない。この作用は、液状潤滑の自己補修機能と呼ばれ、一般に液体潤滑剤の流動性が高い (粘性が低い) ほど、自己補修機能が高くなる。また、液状潤滑剤は防錆性も高い。
【0015】
しかし、従来の液状潤滑剤では、メタルシール部を有するねじ継手に使用可能な耐焼付き性が高いものは、コンパウンドグリスのように多量の重金属を含有しているため、環境面で問題があった。また、潤滑グリスの塗布により、ねじ継手の表面がべたつくようになり、塵、砂、ゴミなどの異物がねじ部やねじ無し金属接触部に付着し易くなる。特に、組立時に油井管を直立させる際には、前述したように錆やブラスト砥粒が油井管を落下するが、ねじ継手の表面がべたついていると、これらが大量に付着する。その結果、たとえ自己補修機能が期待できる液状の潤滑グリスでも、潤滑性が低下し、締付け・緩めを繰り返した場合に焼付きが発生し易くなる。
【0016】
本発明は、上述した固体潤滑被膜および液状グリスの問題点がいずれも軽減または解消された鋼管用ねじ継手を提供することを課題とする。
より具体的には、重金属を含む潤滑グリスを使用することなく、耐焼付き性と防錆性に優れ、かつ表面のべとつきの少ない潤滑被膜が形成された、鋼管用ねじ継手を提供することが本発明の課題である。
【0017】
【課題を解決するための手段】
前述したように、自己補修機能を有し、防錆性も良好な液状潤滑剤の方が、繰り返しの締付け・緩めに対する耐焼付き性が求められる鋼管用ねじ継手の潤滑には有利である。しかし、このような耐焼付き性をメタルシール部に付与できるような高度の潤滑性を確保するには、液状潤滑剤に重金属粉を多量に含有させる必要があり、環境面での問題を生ずる。潤滑油だけでは、薄くしか塗布できず、潤滑性が不足するからである。また、耐焼付き性の低下原因となる異物の付着を防止するには、表面のべとつきを極力抑制する必要がある。一方、固体潤滑被膜にはこのような問題はない。
【0018】
本発明者らは、液状潤滑剤と固体潤滑剤の両者を併用することで、上記問題点を解決できることを見出した。具体的には、(1) 液状潤滑剤の層の上に固体潤滑剤の層を形成した潤滑被膜、または(2) 液状潤滑剤である潤滑油と固体潤滑剤であるワックスとの混合物からなる半固体または固体の潤滑被膜、のいずれかをねじ継手の接触表面に形成する。
【0019】
かくして、本発明はねじ部とねじ無し金属接触部とを有する接触表面をそれぞれ備えたピンとボックスとから構成され、ピンとボックスの少なくとも一方の接触表面に潤滑被膜を有する鋼管用ねじ継手に関する。
【0020】
第1の態様の鋼管用ねじ継手では、潤滑被膜が、0℃以上、40℃以下の温度域で液体状態の潤滑層と、その上に形成された40℃で固体状態の潤滑層とから構成される。
【0021】
第2の態様の鋼管用ねじ継手では、潤滑被膜が、0℃以上、40℃以下の温度域で液体状態の潤滑油と、40℃で固体状態のワックスとの混合物からなる、40℃で固体または半固体の被膜である。
【0022】
0℃以上、40℃以下の温度域とは、保管、運搬および組立て中に油井管が曝される一般的な温度範囲である。
潤滑被膜が2層からなる第1の態様の鋼管用ねじ継手では、表層を構成する上層が固体層であるため、潤滑被膜がべとつかず、被膜表面に異物が付着しにくい。また、上層の固体層は、締付け・緩めによって過大な面圧を受けると比較的簡単に破壊され、下層の液状潤滑剤が現れるので、表層が固体であっても、液状潤滑による自己補修機能を利用した高い耐焼付き性を得ることができる。また、最初に下層の液状潤滑層を形成することで、ねじ継手の表面の凹凸が潤滑層で平坦化されるので、表層の固体潤滑層を均一な厚みで形成することが容易となり、固体潤滑層の厚みのバラツキによる局部的な過大な面圧発生が抑制される。
【0023】
潤滑油とワックスとの混合物からなる固体または半固体の潤滑被膜が形成された第2の態様の鋼管用ねじ継手では、この混合物は、前記ワックスが液状化する温度以上への加熱を受けることにより混合物が液状化された後、冷却されて、ワックスと潤滑油とが相溶した混合物となっていることが好ましい。
【0024】
潤滑油中にワックスを単に分散させた被膜は、普通には常温で液体または半固体の被膜であって、潤滑油と同様にべたつきが大きく、異物が付着し易い。一方、加熱により潤滑油とワックスとを相溶させた混合物からなる潤滑被膜は、潤滑油をかなりの量で含んでいても、常温で固体または半固体の性状をとるようになり、べとつきが低減したドライ感が高い被膜となって、異物が付着しにくい。しかし、締付け・緩めの際には、発生する摩擦熱によって即座にワックスが融解するため、被膜全体が液状化する。従って、液体潤滑によるのと同じ自己補修機能が得られ、焼付き防止機能を発揮できる。
【0025】
第2の態様では、潤滑被膜が1層であるので塗布が1回で済み、ねじ継手の製造工程は第1の態様より簡略化される。
このように、第1と第2のいずれの態様においても、液体潤滑による自己補修機能を利用した高い耐焼付き性と、表面のべとつき抑制を両立させることができる。
【0026】
さらに、これらのいずれにおいても、第1の態様では上層の固体潤滑層により、第2の態様では共存する固体ワックスにより、液状潤滑剤が拘束される結果、ねじ継手の接触表面上には、焼付き防止のための自己修復機能の発揮に十分な量の液状潤滑剤が保持される。そのため、重金属粉を混入せずに、繰り返しの締付け・緩めに耐える優れた耐焼付き性が確保される。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をより具体的に説明する。
図1に示すように、典型的な鋼管用ねじ継手は、油井管等の鋼管の管端の外面に形成されたピン1と、スリーブ状のねじ継手部材の内面に形成されたボックス2とで構成される。ピン1は雄ねじ部3とねじ無し金属接触部8とを備え、典型的には、ねじ無し金属接触部が鋼管の先端に位置し、雄ねじ部はその手前に位置する。これに対応して、ボックス2は、雌ねじ部4とねじ無し金属接触部8とを備える。但し、これとは逆に、ピンを継手部材に、ボックスを鋼管に形成することもでき、あるいは継手部材を省略して、鋼管が一端にピンを、他端にボックスを有していてもよい。
【0028】
ピンおよびボックスのいずれも、ねじ部とねじ無し金属接触部が、ねじ継手の接触表面となる。本発明によれば、ピンとボックスの少なくとも一方の接触表面に、上記第1または第2の態様に従った潤滑被膜が形成されている。潤滑被膜は、ピンとボックスのいずれか一方の接触表面だけに形成すれば十分であるが、もちろん、ピンとボックスの両方の接触表面に形成してもよい。接触表面は、その全面に潤滑被膜が形成されることが好ましいが、接触表面の一部だけに潤滑被膜を形成することも可能である。その場合には、ねじ部より焼付きが起こり易い、メタルシールを形成するねじ無し金属接触部に潤滑被膜を形成することが好ましい。
【0029】
本発明の第1の態様では、ねじ継手のピンおよび/またはボックスの接触表面は、0℃以上、40℃以下の温度域で液体状態の潤滑層 (以下、液体層と略記) と、その上に形成された40℃で固体状態の潤滑層 (以下、固体層と略記) との2層からなる潤滑被膜を有する。即ち、接触表面にまず液状潤滑剤 (代表的には潤滑油) を塗布して液体層を形成し、この液体層の上に固体層を形成する。
【0030】
下層の液体層の厚みは 0.5〜1000μmの範囲が好ましい。この範囲では、焼付き防止に必要な潤滑性が得られる。また、液体層が厚すぎることによって生じる、上層の固体層がずれて破れ易くなる現象も、この範囲の膜厚では起こらない。液体層のより好ましい厚みは1〜100 μmである。
【0031】
上層の固体層の厚みは1〜200 μmの範囲が好ましい。この範囲では、ちょっとした接触では破れない十分な被膜強度が得られると同時に、ねじ継手の締付けによって固体層が破れた後、液体層の持つ自己補修機能を阻害することがない。固体層のより好ましい厚みは1〜50μmである。
【0032】
液体層は、0〜40℃の温度域で液状の潤滑油により構成することが好ましい。潤滑油は、鉱物油、合成エステル油、動植物油などを単独あるいは組み合わせて使用することができる。この潤滑油には、耐焼付き性、防錆性その他の性能を向上させるため、各種の添加剤を含有させることができる。それらの添加剤が液状である場合、それらを単独で潤滑油として使用することもできる。
【0033】
特に好ましい添加剤は、耐焼付き性と防錆性の向上効果が高い塩基性有機金属塩である。塩基性有機金属塩は、コロイド状に析出した過剰な金属塩 (典型的には金属炭酸塩) の微粒子を多量に含有する、粘稠液状 (グリス状) の物質である。この金属塩微粒子が、ピンとボックスの接触表面間に介在して、焼付きを防止することができる。塩基性有機金属塩は、液状であるので、それ単独で液体層を形成することができるが、前述した潤滑油との混合物としてもよい。
【0034】
塩基性有機酸金属塩としては、塩基性金属スルホネート、塩基性金属フェネート、塩基性金属サリシレート、塩基性金属カルボキシレートなどが例示される。金属塩は、アルカリ金属塩であることも可能であるが、好ましくはアルカリ土類金属塩、特にカルシウム塩、バリウム塩、またはマグネシウム塩である。塩基性有機金属塩の塩基度は、50〜500 mgKOH/g の範囲が好ましい。これらの塩基性有機酸金属塩は、単独あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0035】
その他の添加剤も適宜使用することができる。使用可能な添加剤の例は、潤滑油の添加剤として知られる、防錆添加剤、酸化防止剤、粘度調整剤、油性向上剤、極圧添加剤などである。
【0036】
さらに、耐焼付き性向上あるいは被膜の乾性感を増すため、固体微粉末を添加してもよい。但し、この微粉末は極少量に抑えておかなければ、締付け・緩め時の被膜の流動性を阻害しかねない。固体微粉末の添加量は5%以下が好ましい。添加する固体粉末としては、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、黒鉛、マイカ、窒化硼素、ポリテトラフルオロエチレンなどの一般的な固体潤滑剤の他に、樹脂粉末などを用いてもよい。これらの固体微粉末の粒径は10μm以下であることが好ましい。粒径が大きすぎると疵の発生源となる。また、後述するように、液体層に脂肪酸金属塩を含有させてもよい。
【0037】
液体層は、鉱物油、合成エステル油、動植物油および塩基性有機酸金属塩の1種または2種以上から構成することが好ましい。液体層の形成に使用するこれらの材料は、40℃での粘度が10 cSt以上のものが好ましい。粘度が低すぎると、上層の固体層で封じ込めるまでの間に液体層が流れ落ちて、所定の膜厚が得られないことがある。また固体層の塗布が困難となることもある。
【0038】
液体層の形成は常法により実施すればよい。即ち、液体層を構成する潤滑油に、所望により適宜添加剤を配合し、粘度が高すぎて塗布しにくい場合には、揮発性有機溶剤で希釈した後、ねじ継手の(ピンおよび/またはボックスの)接触表面に、ハケ塗り、スプレー、浸漬等の適当な手段で塗布することができる。溶剤を使用した場合、必要であれば加熱しながら乾燥して、溶剤を除去する。
【0039】
溶剤としては、一般的な揮発性溶剤が使用できる。エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール類、キシレン、トルエンなどの炭化水素類、ミネラルスピリット、灯油、合成ナフテン、石油ベンジンなどがそれらの例である。
【0040】
下層の液体層を形成する前に、潤滑被膜を形成すべきねじ継手の接触表面に下地処理を施してよい。この下地処理は、表面粗さの増大により潤滑被膜の保持性を向上させたり、あるいは表面の耐食性および/または硬度の増大により耐焼付き性を改善するために行うことができる。
【0041】
潤滑被膜の保持性を向上させるための下地処理としては、軽微な酸洗処理、サンドもしくはショットブラスト、リン酸塩化成処理(リン酸マンガン処理、リン酸亜鉛処理など)、シュウ酸塩化成処理(シュウ酸鉄処理など)、グラスピーニング、亜鉛ブラストなどがある。
【0042】
一方、耐焼付き性向上のための下地処理としては、ニッケル、クロム、銅、亜鉛、錫、鉄などの金属メッキおよびこれらの2種以上の金属の合金メッキ(例えば、ニッケル・クロム系合金メッキ、銅・錫系合金メッキ、亜鉛・鉄系合金メッキ等)といったメッキ、窒化、PVDやCVDなどの蒸着により形成可能なTiC、TiN、TiCN、DLC(ダイアモンド様カーボン)、CrY 、TiBN、TiAlN、TiCrNなどの処理、さらには表面を熱処理して酸化被膜を形成させるなどの手法も使用できる。
【0043】
接触表面に下地処理を施した場合、下地処理を行ってすぐに潤滑処理行うことが、下地表面の濡れ性が高く、形成された潤滑被膜の密着性または保持性が向上するので好ましい。下地処理によって活性な表面が露出したり、活性な下地被膜が形成されると、潤滑被膜の物理・化学吸着性が高まるからと考えられる。下地処理から潤滑処理までの時間は短いほど良いが、1時間以内なら十分な効果が認められる。
【0044】
液体層の表面はべとついているので、その上に上層として固体層を形成し、潤滑被膜表面のべとつきを抑える。この固体層は40℃で固体の潤滑性材料から構成する。固体層が40℃で液体であると、外気温が高い場合や、直射日光に曝された場合に、固体層がべたつき、所期の目的が達成されない。
【0045】
上層の固体層は、比較的軟質な固体有機材料の被膜層、または潤滑性粉末を緩く結合した、機械的強度が比較的低い被膜層から構成することが好ましい。これは、ねじ継手の締付け時に、締付けの初期段階で固体層が破壊された方が、下層の液体層による潤滑が有効に作用し、自己補修機能も効果的に発揮されて、潤滑性能が高くなるからである。
【0046】
破壊された固体層がピンとボックスとの摩擦界面に残留して、その後の締付け・緩めの障害となるのを避けるため、破壊された固体層が締付け時の摩擦熱による温度上昇により液体層の油の中に溶け込むか、または破壊により微粉化して液体層中に分散することが好ましい。例えば、固体潤滑剤の粉末を樹脂で結合した従来の固体潤滑被膜は、本発明で使用する固体層としては機械的強度が高すぎ、締付けの初期段階では破壊されにくく、破壊されても微粉にならない。
【0047】
締付け時に下層の液体層に溶け込むことができる固体層を形成するのに適した固体有機材料としては、40℃で固体のワックス、樹脂、高級脂肪酸、高級アルコール、脂肪、乾性油、半乾性油、から選ばれた1種または2種以上を使用することができる。上記の温度上昇で下層液体層の油に容易に溶け込むようにするには、融点を持つ固体有機材料では融点が120 ℃以下であることが好ましく、融点を持たないものは120 ℃で流動性を示すことが好ましい。
【0048】
固体層を形成するワックス (ろう) は、動物性、植物性、鉱物性および合成ワックスのいずれでもよい。使用できるワックスの例としては、蜜蝋、鯨蝋 (以上、動物性) 、木蝋、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス(以上、植物性) 、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン (以上、鉱物性) 、酸化ワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャー・トロプッシュワックス、アミドワックス、硬化ひまし油(カスターワックス)(以上、合成ワックス) などがある。
【0049】
高級脂肪酸としては、炭素数10以上のモノ、ジまたはトリカルボン酸が使用できる。炭化水素基は飽和と不飽和のいずれでもよい。
高級アルコールとしては、炭素数12以上の第1級、第2級または第3級アルコールが使用できる。炭化水素基は飽和と不飽和のいずれでもよい。
【0050】
樹脂の例としては、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン6.6 、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂などが挙げられる。
【0051】
脂肪、乾性油、半乾性油については、例えば亜麻仁油、ひまし油、菜種油などの各種の油が使用できる。
上記有機材料のうち、潤滑性および破壊形態の点から、ワックスを用いて固体層を形成することが最も好ましい。中でも、パラフィンワックス、酸化ワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、木蝋、オゾケライト、セレシンが特に好ましい。
【0052】
固体層を形成するには、使用する固体有機材料 (例、ワックス) を適当な揮発性溶剤に溶解するか、加熱して融解させることにより液状にし、下層の液体層の上に塗布して上層を形成する。塗布は、やはりスプレーやハケ塗りにより行うことができる。下層の液体層と分離した上層の固体層を形成させるため、上層の形成に用いる有機材料や溶剤 (使用する場合) が、上層の形成中に下層と完全には相溶しないように選択する。また、使用する固体有機材料を粉末状に成形し、この粉末を適当な溶剤に分散させて下層の液体層の上に塗布し、加熱して溶剤を除去すると共に、粉末を溶融させて、固体層を形成することもできる。
【0053】
なお、固体層の材料は、液状化した時に液体層の材料と相溶してもよい。その場合には、後述する、固体層の材料が液体層の材料と相溶して全体として固体または半固体になった1層型の潤滑被膜 (即ち、第2の態様の被膜) が形成されることになる。
【0054】
固体層は、潤滑性粉末を緩く結合した、機械的強度が比較的低い被膜から構成することもできる。潤滑性粉末としては、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、黒鉛、マイカ、窒化硼素、ポリテトラフルオロエチレン等の粉末を挙げることができる。また、融点が120 ℃より低い樹脂の粉末は、締付け中の摩擦熱による温度上昇により融解して液状化し、潤滑作用を発揮できるため、本発明においては潤滑性粉末として使用できる。そのような樹脂粉末としてはポリエチレン、ポリスチレン等の粉末がある。潤滑性粉末の粒径は、120 ℃以下で融解しない材料の場合には、前述した理由で10μm以下であることが好ましい。
【0055】
潤滑性粉末からなる固体層は、潤滑性粉末を適当なバインダーを用いて結合することにより形成できる。バインダーとして、例えばニトロセルロース、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリビニルブチラール、ゴム、ふっ素樹脂などを単独またはブレンドしたものを使用し、自然乾燥で結合させることが好ましい。その他の結合法として、焼付ける方法や反応硬化させる方法もあるが、下層に液体層を持つため難しい。
【0056】
本発明の第2の態様によると、ピンとボックスの少なくとも一方の接触表面に、0℃以上、40℃以下の温度域で液体状態の潤滑油と、40℃で固体状態のワックスとの混合物からなる、40℃で固体または半固体の潤滑被膜を形成する。前述したように、この潤滑被膜は表面のべとつきが小さく、締付け時の摩擦熱によって容易にワックスが融解して、被膜全体が液体状態となり、自己補修機能を備えた優れた耐焼付き性を発揮する。
【0057】
この潤滑被膜の厚みは、上記効果を十分に発揮させるには、1〜1000μmの範囲とすることが好ましく、より好ましくは10〜100 μmである。被膜を厚くしすぎるのは、無駄であるばかりか、環境上も好ましくない。
【0058】
この潤滑被膜に使用する「0℃以上、40℃以下の温度域で液体状態の潤滑油」(以下、潤滑油) は、上記第1の態様において下層の液体層の形成に使用できる液状潤滑剤と同様の材料でよい。即ち、この液体状態の潤滑油は、0〜40℃の温度域で液体状態の鉱物油、合成エステル油、動植物油および塩基性有機酸金属塩から選んだ1種または2種以上であることが好ましく、その好ましい粘度も上記と同様である。この潤滑油に、前述したような適当な添加剤 (例、防錆添加剤、酸化防止剤、粘度調整剤、油性向上剤、極圧添加剤、固体粉末等) を含有させてもよい。
【0059】
同様に、「40℃で固体状態のワックス」 (以下、ワックス) も、上記第1の態様における上層の固体層に関して説明したものと同様でよく、好ましいワックスの種類も同様である。ワックスの融点は、40℃より高く、前述した理由で、好ましくは120 ℃以下である。
【0060】
混合物は、潤滑油とワックスに加えて、40℃で固体の固体添加剤をさらに含有することができる。固体添加剤は、樹脂、高級脂肪酸、脂肪酸金属塩、高級アルコール、脂肪、乾性油、半乾性油から選んだ1種または2種以上でよい。
【0061】
これらの固体添加剤のうち、脂肪酸金属塩としては、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸などの脂肪酸のアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩(例、Na塩、Ca塩)が挙げられる。好ましいのはステアリン酸およびオレイン酸のアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩であり、中でもステアリン酸ナトリウムおよびステアリン酸カルシウムが好ましい。その他の固体添加剤は、第1の態様において固体層を形成する材料に関して述べたものと同様でよい。
【0062】
混合物中の潤滑油とワックスの配合割合は、その混合物から固体または半固体の潤滑被膜を形成することができるように選択する。潤滑油の量が多すぎると、被膜が液体状態のままとなる。好ましい配合割合は潤滑油:ワックスの質量比が1:10〜10:1、より好ましくは1:4〜4:1となる範囲内である。
【0063】
固体添加剤を混合物に添加する場合、固体添加剤の添加量 (2種以上の場合は合計量) は、混合物の 0.5〜30質量%の範囲内とすることが好ましい。乾性油や半乾性油は、その添加により被膜が半固体状態になるまでに時間が長くなるので、添加量を多くしない方がよい。
【0064】
潤滑被膜が潤滑油とワックスとの混合物からなる第2の態様に係るねじ継手では、混合物にワックスが液状化する温度以上の温度への加熱を受けさせることが好ましい。こうすると、潤滑油とワックスとが液体状態で混合され、両者が相溶した実質的に均質な混合物が形成される。この液状混合物は、潤滑油の割合がかなり高い場合でも、冷却後に、べとつきが小さく、ドライ感が高い固体または半固体の潤滑被膜を形成する。
【0065】
「ワックスが液状化する温度」とは、ワックスが液状化することにより、潤滑油とワックスとの混合物全体が液状化する温度である。この温度はワックスの融点より低い場合がある。潤滑油の共存により、ワックスは融点に達しない温度で液状化することがあるからである。
【0066】
この加熱は、混合後であれば、潤滑被膜の形成前、形成中、および形成後のいずれの時点で行ってもよい。
例えば、ねじ継手の接触表面に塗布する前の混合物をワックスが液状化する温度以上の温度に加熱することができる。この場合、混合物を攪拌しながら加熱できるので、相溶を効率よく達成することができる。加熱された混合物は、温度が高いままねじ継手の接触表面に塗布してもよく、ワックスが固化するまで冷却してから塗布してもよい。ワックスが固化する温度より高い温度で塗布する場合には、混合物を溶剤で希釈せずに塗布を行うことができる。塗布時の混合物の温度がワックスが固化する温度より低い場合は、混合物を溶剤で希釈してから塗布する方が塗布が容易である。いずれの場合も、塗布すべきねじ継手の接触表面を加熱してもよい。
【0067】
ワックスが液状化する温度以上への混合物の加熱は、塗布時に塗布すべきねじ継手の接触表面を加熱することにより潤滑被膜の形成中に行ってもよく、あるいは塗布により形成された潤滑被膜を加熱することにより潤滑被膜の形成後に行うこともできる。混合物を溶剤で希釈した場合には、塗布後に加熱して溶剤を蒸発させることがあるが、その際の加熱温度をワックスが液状化する温度以上として、ワックスと潤滑油との相溶も達成することができる。もちろん、潤滑被膜の形成前、形成中、形成後の2以上の時点でワックスが液状化する温度以上への加熱を実施してもよい。
【0068】
塗布する混合物を溶剤で希釈する場合、適当な溶剤は第1の態様に関して上述したものと同様でよい。使用する溶剤は、ワックスを溶解でき、かつ使用する潤滑油とも相溶性があるものから選択することが好ましい。混合物を加熱した後、ワックスが固化する前に塗布を行う場合であっても、低粘度化による塗布性の改善のために混合物を溶剤で希釈してもよい。
【0069】
塗布は、ハケ塗り、スプレー、浸漬などの適当な方法で行うことができる。塗布前に、第1の態様について述べたように、塗布すべきピンおよび/またはボックスの接触表面を下地処理してもよい。溶剤を使用した場合には、塗布後に、必要であれば加熱しながら塗膜を乾燥して溶媒を除去する。塗膜が常温まで冷えるか、および/または溶剤が除去されると、潤滑油とワックスが相溶した半固体または固体の潤滑被膜が生成する。この潤滑被膜の表面はべとつきが小さく、異物が付着しにくい。
【0070】
第1と第2のいずれも態様でも、ピンまたはボックスの一方の接触表面だけに潤滑被膜を形成した場合に、潤滑被膜を形成しない他方の接触表面には、メッキ(例、亜鉛メッキまたは銅メッキ) 、リン酸塩 (例、リン酸マンガン) 化成処理およびシュウ酸塩 (例、シュウ酸鉄) 化成処理から選ばれた少なくとも1種の下地処理を施すことが、耐焼付き性の改善のために好ましい。このような下地処理は、潤滑被膜を形成する接触表面上にも形成できる。
【0071】
化成処理、好ましくはリン酸塩またはシュウ酸塩化成処理による下地処理をピンとボックスの少なくとも一方の接触表面に施した場合、潤滑被膜は固体添加剤として脂肪酸金属塩を含むことが好ましい。それにより、鋼管用ねじ継手の耐焼付き性をさらに改善することができ、鋼管がケーシングのように大径サイズであってもゴーリング発生を確実に防止できるようになる。
【0072】
この脂肪酸金属塩は、第1の態様の場合、下層の液体層に含有させることが好ましい。第2の態様では、この塩はもちろん潤滑油とワックスとの混合物中に含有させる。脂肪酸金属塩を含有する潤滑被膜をピンとボックスの一方の接触表面だけに形成した場合、化成処理による下地処理はピンかボックスのいずれか一方の接触表面に施しても、或いは両方の接触表面に施してもよい。
【0073】
脂肪酸金属塩としては前述した各種のものが使用できるが、中でもステアリン酸ナトリウムおよびステアリン酸カルシウムが好ましい。脂肪酸金属塩の添加量は、第1の態様では液体層の、第2の態様では混合物の、5〜30質量%の範囲内とすることが好ましい。
【0074】
本発明に係る鋼管用ねじ継手は、第1および第2のいずれの態様においても、接触表面上に形成した潤滑被膜の被膜表面のべとつきが小さく、異物を付着させにくいので、異物の付着による耐焼付き性の低下を防止することができる。また、単に潤滑油を塗布するのと異なり、第1の態様では固体層による被覆、第2の態様では固体化または半固体化による拘束によって、多量の液状潤滑剤または潤滑油を接触表面に保持することができる。しかし、締付け・緩め時には、第1の態様では上層の固体層の破壊により、第2の態様では、発生する摩擦熱でワックスが融解して被膜が液状化することにより、被膜は液状被膜として作用し、液状潤滑剤に固有の優れた潤滑作用および自己修復機能が発揮される。その結果、締付けごとにコンパウンドグリスを塗布するといった操作が不要で、たとえ鋼管内に錆やブラスト砥粒などの少量の異物が存在していても、繰り返しの締付け・緩めが可能な、優れた耐焼付き性を得ることができる。
【0075】
本発明の鋼管用ねじ継手は、上記潤滑被膜が防錆性にも優れているため、長期間保管した場合の錆の発生も防止できる。しかし、所望により、ピンおよび/またはボックスに気密性の高いプロテクターなどの保護部材を取り付けることもできる。
【0076】
【実施例】
以下の実施例では、外径7インチ(17.8 mm) の13Cr鋼製または炭素鋼製の油井管の管端外面に形成されたピンと、これに嵌合する、同じ材質の鋼製ねじ継手部材の内面に形成されたボックスとからなるねじ継手を用いて、繰り返し締付け・緩め試験を行った。このねじ継手は、ピンとボックスのいずれもねじ部とねじ無し金属接触部とを有する、メタルシールが可能なものであった。13Cr鋼は高合金鋼の1種であり、焼付きが起こり易い材料である。
【0077】
以下の説明では、ピンのねじ部及びねじ無し金属接触部の表面を単に「ピン表面」と称し、ボックスのねじ部及びねじ無し金属接触部の表面を単に「ボックス表面」と称する。実施例では、いずれもボックス表面 (即ち、ボックスのねじ部とねじ無し金属接触部) だけに潤滑被膜を形成した。
【0078】
(実施例1)
本実施例は、本発明の第1の態様に従って、下層の液体層と上層の固体層の2層からなる潤滑被膜を、13Cr鋼製のねじ継手のボックス表面に形成した鋼管用ねじ継手を例示する。
【0079】
ピン表面は無処理のままであった。
ボックス表面は、下地処理としてショットブラストを施した後、それから1時間以内に、表1に示すようにして、液体層と固体層からなる2層の潤滑被膜を形成した。
【0080】
表1において、液体層の材料に関する粘度の値はいずれも40℃での値である。液体層が塩基性有機酸金属塩 (BaまたはCaスルホネート) である場合、これを揮発性溶剤 (キシレン) で希釈してから塗布に供した。また、固体層がマイカ粉末からなる場合、マイカをニトロセルロース溶液に分散させ、表面にスプレー塗布した。これにより、塗布した層と下層の液体層が混ざり合うことなく塗布され、ニトロセルロース溶液に含まれていた水分が蒸発すると、マイカがニトロセルロースでゆるく結合された固体層が形成された。
【0081】
上記のように処理されたねじ継手を、実管での操作を模した繰り返し締付け・緩め試験に供した。その際の締付け・緩めの回転速度は20 rpmであり、締付けトルクは15,000 ft・lbs(約20,000 J) であった。締付け・緩めは、焼付きが発生するまで繰り返した。その際、手入れすれば締付けが可能な軽度の焼付きについては、手入れにより締付けを続行した。結果を表2に示す。この試験で焼付きまでの締付け・緩め回数が10回以上であれば、耐焼付き性は合格である。
【0082】
別に、べとつき性を評価するため、13Cr鋼製のブロック試験片 (20 mm 角、厚さ10 mm)の片面に、上記のボックス用の下地処理を施した後、表2と同じ条件で液体層と固体層からなる2層潤滑被膜を形成した。その際に、液体層と固体層の各層の形成後に試験片を精密天秤で秤量して、各層の付着量を算出し、表1に表示した。また、これらの付着量と各層のおよその密度から、各層のおよその膜厚みを算出し、同じく表1に表示した。
【0083】
得られた試験片を、その潤滑被膜を下向きにして、図2に示すように、鉄粉を敷きつめたシャーレの上に置き、1分後に試験片を取り出して、表面に付着した鉄粉の重量を精密天秤で測定した。この付着量の大小でべとつき性を評価した。べとつき評価試験の結果も表2に併せて示す。付着量が5g/m以下を合格とする。これは、これまでの知見で、局部的なら5g/m相当までスケールが付着しても焼付きを生じないことが分かっているからである。
【0084】
【表1】
Figure 2004053013
【0085】
【表2】
Figure 2004053013
【0086】
表2からわかるように、固体層のみの比較例 (試験No.6) では、べとつき性は小さいが、締付け・緩めが5回しかできず、耐焼付き性が不十分であった。一方、液体層のみの比較例 (試験No.7) では、耐焼付き性は十分であるが、べとつきが不合格となった。
【0087】
これに対し、本発明に従った試験No.1〜5 のねじ継手は、耐焼付き性とべとつきのいずれも十分に要求性能を満たしていた。特に、液体層を塩基性有機酸金属塩から形成した試験No.3および5 のねじ継手の耐焼付き性がより高くなった。液体層の形成材料が同じである試験No.3と試験No.7の耐焼付き性の結果が同じであることからわかるように、試験No.3において液体層の上に固体層を形成しても、液体層に由来する優れた潤滑性が阻害されることはない。
【0088】
(実施例2)
本実施例は、本発明の第2の態様に従って、潤滑油とワックスとの混合物からなる潤滑被膜を13Cr鋼製および炭素鋼製のねじ継手のボックス表面に形成した鋼管用ねじ継手を例示する。
【0089】
潤滑被膜を形成しないピン表面には下地処理のみを施した。ピン表面に施した下地処理は、炭素鋼製のピンではリン酸マンガン処理、13Cr鋼製のピンでは銅メッキであった。
【0090】
ボックス表面には、実施例1と同様の下地処理 (ショットブラスト) を施した後、それから1時間以内に、表3、4に示すようにして、潤滑油とワックスと場合により固体添加剤の混合物からなる潤滑被膜を形成する塗布を行った。塗布は、加熱して液状化した混合物 (即ち、ワックスを液状化させた混合物) 、または溶剤により希釈して液状化した混合物を用いて行った。表3、4における潤滑油の粘度の値は40℃での値である。また、表3、4に示した各成分の配合比率は質量比である。表5に塗布に用いた混合物の構成と混合物の加熱温度および塗布法をまとめて示す。
【0091】
上記のようにピンおよびボックスの接触表面が処理されたねじ継手の耐焼付き性を、実施例1と同様にして、繰り返し締付け・緩め試験により評価した。
また、べとつきについても、実施例1と同様の試験法により評価した。以上の試験結果を表6にまとめて示す。なお、表6には、べとつき評価試験のためにブロック状試験片に形成した潤滑被膜の付着量とその略密度から求めた、潤滑被膜の略厚みも示す。
【0092】
【表3】
Figure 2004053013
【0093】
【表4】
Figure 2004053013
【0094】
【表5】
Figure 2004053013
【0095】
【表6】
Figure 2004053013
【0096】
表6からわかるように、本発明に従って、潤滑油とワックスとの混合物からなる潤滑被膜を形成したねじ継手では、耐焼付き性とべとつきのいずれも十分に要求性能を満たしていた。この実施例でも、鋼管用ねじ継手が、焼付きの起こりやすい13Cr鋼製である場合、潤滑油として塩基性有機酸金属塩を使用した試験No.3〜6のねじ継手の耐焼付き性がいくらか高くなる傾向が見られた。一方、炭素鋼製ねじ継手の場合、潤滑被膜を形成しないピン表面に下地処理としてリン酸塩化成処理を施した場合、潤滑被膜が固体添加剤として脂肪酸金属塩を含有している試験No. 17〜24において、締付け・緩め回数が20回以上と非常に優れた耐焼付き性が得られた。それにより、焼付きが起こり易い大径油井管用のねじ継手の場合でもゴーリングを防止することが可能となる。
【0097】
一方、ワックスではなく、樹脂を潤滑油に混合した潤滑被膜を形成した比較例では、耐焼付き性が不十分になるか (試験No.25)またはべとつきが不合格 (試験No.26)であり、それらが両立しなかった。
【0098】
【発明の効果】
本発明により、高合金鋼製の継手、内径の大きな鋼管用の継手(例、ケーシング継手)、或いはシール性を高めたねじ部での干渉量の高い継手といった、焼付きが比較的起こり易いねじ継手においても、締付け・緩めを繰り返した際の焼付きを防止することができる、耐焼付き性に優れた鋼管用ねじ継手が提供される。また、液状潤滑剤のように表面に異物が付着する問題がなく、異物付着による耐焼付き性の低下が防止されると同時に、ねじ継手の取扱いも容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ねじ部とねじ無し金属接触部とを備える鋼管用ねじ継手を模式的に示す断面図である。
【図2】実施例でべとつきを評価するために実施した試験法を示す説明図である。

Claims (10)

  1. ねじ部とねじ無し金属接触部とを有する接触表面をそれぞれ備えたピンとボックスとから構成され、ピンとボックスの少なくとも一方の接触表面に潤滑被膜を有する鋼管用ねじ継手であって、潤滑被膜が、0℃以上、40℃以下の温度域で液体状態の潤滑層と、その上に形成された40℃で固体状態の潤滑層とから構成されることを特徴とする鋼管用ねじ継手。
  2. ねじ部とねじ無し金属接触部とを有する接触表面をそれぞれ備えたピンとボックスとから構成され、ピンとボックスの少なくとも一方の接触表面に潤滑被膜を有する鋼管用ねじ継手であって、潤滑被膜が、0℃以上、40℃以下の温度域で液体状態の潤滑油と、40℃で固体状態のワックスとの混合物からなる、40℃で固体又は半固体の被膜であることを特徴とする鋼管用ねじ継手。
  3. 前記混合物がさらに固体添加剤を含有する、請求項2記載の鋼管用ねじ継手。
  4. 前記固体添加剤が樹脂粉末および脂肪酸金属塩から選ばれた1種または2種以上である、請求項3記載の鋼管用ねじ継手。
  5. 前記混合物が、ワックスが液状化する温度以上への加熱を受けることによりワックスと潤滑油とが相溶したものである、請求項2〜4のいずれかに記載の鋼管用ねじ継手。
  6. ピンおよびボックスの少なくとも一方の接触表面が下地処理が施された表面である、請求項1ない5のいずれかに記載の鋼管用ねじ継手。
  7. 前記潤滑皮膜がピンまたはボックスの一方の接触表面に形成され、潤滑皮膜が形成されない他方の接触表面に、メッキ、リン酸塩化成処理およびシュウ酸塩化成処理から選ばれた下地処理により形成された被膜を有する、請求項6記載の鋼管用ねじ継手。
  8. 下地処理がリン酸塩化成処理またはシュウ酸塩化成処理であり、潤滑皮膜が固体添加剤として脂肪酸金属塩を含む、請求項6記載の鋼管用ねじ継手。
  9. 前記脂肪酸金属塩がステアリン酸およびオレイン酸のアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩よりなる群から選ばれた1種または2種以上である、請求項4または8記載の鋼管用ねじ継手。
  10. 前記液体状態の潤滑層または潤滑油が鉱物油、合成エステル油、動植物油および塩基性有機酸金属塩から選ばれた1種または2種以上からなる、請求項1〜9のいずれかに記載の鋼管用ねじ継手。
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