JP2004051887A - インクジェット記録用インク組成物 - Google Patents
インクジェット記録用インク組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004051887A JP2004051887A JP2002214141A JP2002214141A JP2004051887A JP 2004051887 A JP2004051887 A JP 2004051887A JP 2002214141 A JP2002214141 A JP 2002214141A JP 2002214141 A JP2002214141 A JP 2002214141A JP 2004051887 A JP2004051887 A JP 2004051887A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- pigment
- ink composition
- organic pigment
- composition according
- gas
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
- 0 CO*N(*)[U]C Chemical compound CO*N(*)[U]C 0.000 description 2
Images
Abstract
【課題】分散性、分散安定性、耐ガス性、耐光性及び発色性が優れたインクジェット記録用インク組成物を提供する。
【解決手段】インクジェット記録用インク組成物は、少なくとも、水、表面改質超微粒子有機顔料、及び超浸透剤を含有している。該表面改質超微粒子有機顔料は、蒸着法と表面処理との併用により得られ、平均粒子径が50nm以下である。該表面改質微粒子有機顔料は、少量の不活性ガスを導入した真空容器内で有機顔料を気化させることによって生成する超微粒子有機顔料を基板に捕集した後、前記基板上の超微粒子有機顔料に対して反応性ガスの存在下で放電プラズマ処理を実施することにより製造される。
【選択図】 なし
【解決手段】インクジェット記録用インク組成物は、少なくとも、水、表面改質超微粒子有機顔料、及び超浸透剤を含有している。該表面改質超微粒子有機顔料は、蒸着法と表面処理との併用により得られ、平均粒子径が50nm以下である。該表面改質微粒子有機顔料は、少量の不活性ガスを導入した真空容器内で有機顔料を気化させることによって生成する超微粒子有機顔料を基板に捕集した後、前記基板上の超微粒子有機顔料に対して反応性ガスの存在下で放電プラズマ処理を実施することにより製造される。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面改質超微粒子有機顔料を含むインクジェット記録用インク組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方法は、インク小滴を飛翔させ、紙等の記録媒体に付着させて印刷を行う印刷方法である。このインクジェット記録方法に用いるインク組成物は、水を主成分とし、色材、樹脂エマルジョン及びその他の各種添加剤を含有させた水系インクが一般的である。色材としては、染料又は顔料を用いることができるが、耐光性、耐ガス性、耐水性、及び耐湿性等の耐候性の点で顔料が優れているので、近年、顔料インク組成物への需要が高まってきており、顔料の特性を活かした顔料インク組成物の開発が進められている。この顔料インク組成物は、顔料粒子を水系インク溶媒中に分散させた系であるため、分散性や分散安定性を確保する必要がある。
【0003】
一方、インクジェット記録方法では、近年、記録物の高精細化が進み、顔料粒子の細粒化が求められており、従って、微細な顔料粒子を用いて、優れた分散性や分散安定性を有する顔料インク組成物の開発が要求されている。
【0004】
黒色インク組成物に用いるカーボンブラックは1次粒子径が小さい粒子の取得が比較的容易であり、粒子表面に官能基が存在するのに対し、有彩色インク組成物に用いる有機顔料は1次粒子径が大きく、粒子表面に官能基が存在しないために、微粒子化及び高分散安定性を得るのが一般には困難である。
【0005】
微粒子有機顔料を含有するインク組成物の分散安定性を向上させる技術としては、例えば、特開平9−263722号公報に、ポリエチレンオキサイド親水性部分とアルキル基又は芳香族基疎水性部分とを有する両親媒性化合物を用いるインク組成物が記載されており、優れた印字品質や耐光性、及び優れた保存安定性などが得られると記載されている。しかしながら、前記公報記載の微粒子有機顔料は、サンドミルなどのメディア撹拌ミルで微粒子化して分散させているため、顔料の堅牢性が損なわれ、記録像の耐ガス性や耐光性に悪影響を与える場合があるという欠点があった。
【0006】
微粒子有機顔料を得る方法としては、前記のようにメディア撹拌ミルなどを用いて剪断応力によって微粉化する方法以外にも、例えば、ナノマイザーや超音波を用いる方法があるが、これらの方法では顔料分散液の粒度に制限があることや、微粉化が充分に進行しない場合があるため、充分な発色性が得られない。
【0007】
更に、超微粒子有機顔料を得る方法として、ガス中蒸着法も知られている(例えば、特開昭63−39631号又は特開平2−40234号各公報参照)。ガス中蒸着法とは、例えば、排気真空化した真空容器内に少量の不活性ガスを導入し、その真空容器内で有機顔料を加熱して気化させ、気化した有機顔料が不活性ガスとの衝突により冷却されることによって生じた煙状の超微粒子有機顔料を基板に捕獲回収する技術である。このガス中蒸着法では、50nm以下の超微粒子有機顔料を得ることができ、しかも、例えば、不活性ガスの圧力を調整することによって超微粒子有機顔料の粒径を制御することができるので、シャープな粒度分布を有する超微粒子有機顔料を得ることができる。しかしながら、このガス中蒸着法によって得られた超微粒子有機顔料をそのままインクジェット記録用インク組成物に適用して評価した例は、従来報告されていない。
【0008】
一方、顔料粒子の表面処理についても種々の方法が提案されている。例えば、特開平10−110111号公報には、スルホン化反応溶剤中で、有機顔料の凝集粒子を粉砕機又は分散機で微分散させることによって、有機顔料粒子表面にスルホン基を導入する方法が記載されており、初期分散性及び長期分散性に優れたインク組成物を得ることができるとされている。しかしながら、この公報に記載の方法では、顔料粒子をメディア撹拌ミルによって微粉化するので、記録像の耐ガス性や耐光性に悪影響を与える場合があるという欠点があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、微細な顔料粒子を用いて、優れた分散性や分散安定性を有するだけでなく、耐ガス性や耐光性の点でも優れた顔料インク組成物の開発を目指して鋭意研究していたところ、前記のガス中蒸着法で得られる超微粒子有機顔料を更に表面処理して得られる表面改質超微粒子有機顔料を用いることにより、優れた分散性や分散安定性を有するだけでなく、耐ガス性や耐光性の点でも優れた顔料インク組成物を得ることができることを見出した。また、この顔料インク組成物は、発色性の点でも優れていることを見出した。
本発明は、こうした知見に基づくものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
従って、本発明は、少なくとも水、表面改質超微粒子有機顔料、及び超浸透剤を含有していることを特徴とするインクジェット記録用インク組成物に関する。本発明の顔料インク組成物の好ましい態様においては、前記表面改質超微粒子有機顔料が、蒸着法と表面処理との併用により得られ、平均粒子径が50nm以下である。
【0011】
また、本発明の顔料インク組成物の別の好ましい態様においては、前記表面改質超微粒子有機顔料が、少量の不活性ガスを導入した真空容器内で有機顔料を気化させることによって生成する超微粒子有機顔料を基板に捕集した後、前記基板上の超微粒子有機顔料に対して反応性ガスの存在下で放電プラズマ処理を実施することにより製造されるか、あるいは、前記表面改質超微粒子有機顔料が、少量の不活性ガスを導入した真空容器内で有機顔料を気化させることによって超微粒子有機顔料を生成させると同時に、生成した前記超微粒子有機顔料に対して反応性ガスの存在下で放電プラズマ処理を実施することにより製造される。
【0012】
また、本発明の顔料インク組成物の別の好ましい態様においては、反応性ガスが、酸素原子、窒素原子、又はイオウ原子を含有するガスであり、具体的には、酸素ガス、二酸化炭素ガス、二酸化窒素ガス、アンモニアガス、二酸化イオウガス、又は水蒸気である。
【0013】
また、本発明の顔料インク組成物の別の好ましい態様においては、有機顔料が、フタロシアニン顔料、キナクリドン系有機顔料、キノフタロン顔料、アゾ系有機顔料、イソインドリノン系有機顔料、又はイミダゾロン系顔料である。
【0014】
また、本発明の顔料インク組成物の別の好ましい態様においては、前記超浸透剤が、アセチレングリコール系化合物、アセチレンアルコール系化合物、グリコールエーテル系化合物、1,2−アルキルジオール系化合物、及びポリエーテル変性オルガノシロキサン系化合物からなる群から選んだ少なくとも1つの化合物である。
【0015】
また、本発明の顔料インク組成物の別の好ましい態様においては、前記アセチレングリコール系化合物が、一般式(1):
【化5】
〔式中、0≦m+n≦50であり、R11、R12、R13及びR14は、それぞれ独立してアルキル基である〕で表される化合物である。
【0016】
また、本発明の顔料インク組成物の別の好ましい態様においては、前記グリコールエーテル系化合物が、トリエチレングリコールモノブチルエーテルである。
また、本発明の顔料インク組成物の別の好ましい態様においては、前記1,2−アルキルジオール系化合物が、1,2−ヘキサンジオールである。
【0017】
また、本発明の顔料インク組成物の別の好ましい態様においては、前記ポリエーテル変性オルガノシロキサン系化合物が、一般式(2):
【化6】
(式中、R21〜R27は、それぞれ独立して、C1−6アルキル基であり、j及びkは、それぞれ独立して、1以上の整数であり、EOはエチレンオキシ基であり、POはプロピレンオキシ基であり、p及びqは0以上の整数であるが、但しp+qは1以上の整数であり、EO及びPOは、[ ]内においてその順序は問わず、ランダムであってもブロックであってもよい)で表されるポリエーテル変性オルガノシロキサン系化合物である。
【0018】
また、本発明の顔料インク組成物の別の好ましい態様においては、前記超浸透剤として、前記一般式(1)で表される化合物及びトリエチレングリコールモノブチルエーテルを用いる。
【0019】
また、本発明の顔料インク組成物の別の好ましい態様においては、前記超浸透剤として、1,2−アルキルジオール系化合物及び一般式(2)で表されるポリエーテル変性オルガノシロキサン系化合物を用いる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる表面改質超微粒子有機顔料は、例えば、蒸着法と表面処理との併用により得られ、平均粒子径が50nm以下である。ここで「蒸着法」とは、一般に「ガス中蒸着法」と称される技術であり、例えば、排気真空化した真空容器内に少量の不活性ガスを導入し、その真空容器内で有機顔料を加熱して気化させ、気化した有機顔料が不活性ガスとの衝突により冷却されることによって生じた煙状の超微粒子有機顔料を基板に捕獲回収する技術である。
【0021】
本発明で用いることのできる表面改質超微粒子有機顔料の製造方法の具体例を、図1及び図2に沿って説明する。
【0022】
図1は、表面改質超微粒子有機顔料の製造装置10の模式的断面図である。前記製造装置10は、真空チャンバー1内に、加熱手段3を備えた原料容器2と、前記原料容器2の上方に配置され、煙状の超微粒子有機顔料を捕獲可能なシームレス回転基板4と、そのシームレス回転基板4を回転させるローラ5と、シームレス回転基板4上に担持された超微粒子有機顔料に対して放電プラズマ処理を実施する電極7と、その電極7の電源7aと、放電プラズマ処理領域に反応性ガスを供給するガス供給手段7bと、シームレス回転基板4の表面に接触し、そのシームレス回転基板4の表面上から処理済の表面改質超微粒子有機顔料を回収するブレード6と、前記ブレード6の下方に配置し、表面改質超微粒子有機顔料を収納する収納容器8とを含有する。更に、前記製造装置10は、不活性ガスを真空チャンバー1内に導入する給気口11及び真空容器1の排気に用いる排気口12を有する。
【0023】
図1に示す製造装置1を用いて表面改質超微粒子有機顔料を製造する場合は、原料容器2に原料有機顔料Prを装填し、排気口12に連絡する排気手段(図示せず)を用いて真空チャンバー1を真空にした後、給気口11から不活性ガス(例えば、ヘリウム又はアルゴン)を導入して、真空チャンバー1内を数Torr以下の圧力に保つ。続いて、原料容器2に設けた加熱手段3による抵抗加熱によって原料有機顔料Prを蒸発させる。気化された有機顔料は、矢印Sの方向に上昇され、その上昇中に不活性ガスとの衝突により冷却され、煙状の超微粒子有機顔料となってシームレス回転基板4の表面に捕集される。
【0024】
シームレス回転基板4の表面に捕集された超微粒子有機顔料は、シームレス回転基板4がローラ5によって矢印Rの方向へ回転するのに伴って電極7の近傍へ移送される。電極7の近傍へは、ガス供給手段7bによって反応性ガス(例えば、酸素ガス)が供給されている。この条件下で電源7aによって電圧を印加し、放電プラズマ処理を行うと、超微粒子有機顔料の表面に官能基(例えば、カルボキシル基)が導入され、表面改質超微粒子有機顔料が生成する。
【0025】
生成した表面改質超微粒子有機顔料Pは、シームレス回転基板4がローラ5によって矢印Rの方向へ回転するのに伴って、ブレード6の設置位置まで移送され、ブレード6によってシームレス回転基板4の表面から掻き落とされて、下方に配置されている収納容器8に収容される。
【0026】
本発明で用いる表面改質超微粒子有機顔料は、前記の方法とは異なる方法で製造することもできる。すなわち、少量の不活性ガスを導入した真空容器内で有機顔料を気化させることによって超微粒子有機顔料を生成させると同時に、生成した前記超微粒子有機顔料に対して反応性ガスの存在下で放電プラズマ処理を実施することにより製造することができる。図2は、この製造方法に用いる製造装置10の模式的断面図である。
【0027】
この製造装置10は、真空チャンバー1内に、加熱手段3を備えた原料容器2と、前記原料容器2の上方に配置され、気化した有機顔料に対して放電プラズマ処理を実施する電極7と、煙状の表面改質超微粒子有機顔料を捕獲可能なシームレス回転基板4と、そのシームレス回転基板4を回転させるローラ5と、シームレス回転基板4の表面に接触し、そのシームレス回転基板4の表面上から処理済の表面改質超微粒子有機顔料を回収するブレード6と、前記ブレード6の下方に配置し、表面改質超微粒子有機顔料を収納する収納容器8とを含有する。更に、前記製造装置10は、不活性ガス及び反応性ガスを真空チャンバー1内に導入する給気口11及び真空容器1の排気に用いる排気口12を有する。
【0028】
図2に示す製造装置1を用いて表面改質超微粒子有機顔料を製造する場合は、原料容器2に原料有機顔料Prを装填し、排気口12に連絡する排気手段(図示せず)を用いて真空チャンバー1を真空にした後、給気口11から不活性ガス及び反応性ガスを導入して、真空チャンバー1内を数Torr以下の圧力に保つ。続いて、原料容器2に設けた加熱手段3による抵抗加熱によって原料有機顔料Prを蒸発させる。気化された有機顔料は、矢印Sの方向に上昇され、その上昇中に不活性ガスとの衝突により冷却され、煙状の超微粒子有機顔料となる。それと同時に、電極7に電源(図示せず)によって電圧を印加し、煙状の超微粒子有機顔料に対して放電プラズマ処理を行うと、反応性ガスが煙状の超微粒子有機顔料と共に上昇しているので、超微粒子有機顔料の表面に官能基(例えば、カルボキシル基)が導入され、表面改質超微粒子有機顔料Pが生成する。
【0029】
こうして得られた表面改質超微粒子有機顔料Pは、シームレス回転基板4の表面に捕集される。シームレス回転基板4の表面に捕集された表面改質超微粒子有機顔料Pは、シームレス回転基板4がローラ5によって矢印Rの方向へ回転するのに伴って、ブレード6の設置位置まで移送され、ブレード6によってシームレス回転基板4の表面から掻き落とされて、下方に配置されている収納容器8に収容される。
【0030】
本発明で用いる表面改質超微粒子有機顔料の平均粒子径は、50nm以下であることが好ましい。本明細書において平均粒子径とは、透過型電子顕微鏡によって測定した個々の粒径の平均値を意味する。
【0031】
本発明で用いる表面改質超微粒子有機顔料の製造に用いる反応性ガスは、超微粒子有機顔料に親水性基を導入することのできるガスである限り特に限定されるものではないが、酸素原子、窒素原子、又はイオウ原子を含有するガスであることが好ましい。酸素原子を含有するガスとしては、例えば、酸素ガス(O2)、二酸化炭素ガス(CO2)、二酸化窒素ガス(NO2)、二酸化イオウ(SO2)ガス、又は水蒸気(H2O)を挙げることができる。また、窒素原子を含有するガスとしては、例えば、二酸化窒素ガス、又はアンモニアガス(NH3)を挙げることができ、イオウ原子を含有するガスとしては、例えば、二酸化イオウ(SO2)ガス、を挙げることができる。
【0032】
本発明で用いる表面改質超微粒子有機顔料の製造に用いる原料有機顔料としては、例えば、アントラキノン系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料、アゾ系有機顔料、ピラントロン系有機顔料、ペリレン系有機顔料、ペリノン系有機顔料、キナクリドン系有機顔料、インジゴイド系有機顔料、チオインジゴイド系有機顔料、ジオキサジン系有機顔料、イソインドリノン系有機顔料、又はキノフタロン系有機顔料を挙げることができ、特には、フタロシアニン系有機顔料(例えば、フタロシアニンブルー)、キノフタロン系有機顔料(例えば、キノフタロンイエロー)、アゾ系有機顔料、イソインドリノン系有機顔料、イミダゾロン系有機顔料、あるいはキナクリドン系有機顔料(例えば、キナクリドンマゼンタ)を用いるのが好ましい。
【0033】
具体的な原料有機顔料を例示すると、例えば、カラーインデックスで示すと、
C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG)、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12(ジスアゾイエローAAA)、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー34、C.I.ピグメントイエロー35、C.I.ピグメントイエロー37、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー81、C.I.ピグメントイエロー83(ジスアゾイエローHR)、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー98、C.I.ピグメントイエロー100、C.I.ピグメントイエロー101、C.I.ピグメントイエロー104、C.I.ピグメントイエロー108、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー117、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー153;
C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド17、C.I.ピグメントレッド22(ブリリアントファーストスカーレット)、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド31、C.I.ピグメントレッド38、C.I.ピグメントレッド48:2[パーマネントレッド2B(Ba)]、C.I.ピグメントレッド48:2[パーマネントレッド2B(Ca)]、C.I.ピグメントレッド48:3[パーマネントレッド2B(Sr)]、C.I.ピグメントレッド48:4[パーマネントレッド2B(Mn)]、C.I.ピグメントレッド49:1、C.I.ピグメントレッド52:2、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1(ブリリアントカーミン6B)、C.I.ピグメントレッド60:1、C.I.ピグメントレッド63:1、C.I.ピグメントレッド63:2、C.I.ピグメントレッド64:1、C.I.ピグメントレッド81(ローダミン6Gレーキ)、C.I.ピグメントレッド83、C.I.ピグメントレッド88、C.I.ピグメントレッド104、C.I.ピグメントレッド105、C.I.ピグメントレッド106、C.I.ピグメントレッド108(カドミウムレッド)、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ピグメントレッド114、C.I.ピグメントレッド122(キナクリドンマゼンタ)、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド172、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド190、C.I.ピグメントレッド193、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド219;
C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー2、C.I.ピグメントブルー15(フタロシアニンブルーR)、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3(フタロシアニンブルーG)、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6(フタロシアニンブルーE)、C.I.ピグメントブルー16、17:1、C.I.ピグメントブルー56、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー63;
C.I.ピグメントグリーン1、C.I.ピグメントグリーン4、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン8、C.I.ピグメントグリーン10、C.I.ピグメントグリーン18、又はC.I.ピグメントグリーン36等を挙げることができる。
【0034】
本発明のインク組成物において、前記表面改質超微粒子有機顔料の含有量は、インク組成物の全重量に対して、0.1〜20重量%程度が好ましく、より好ましくは0.2〜10重量%程度である。
【0035】
本発明のインク組成物は、溶媒として水を含み、更に、水溶性有機溶媒を含むことができる。
【0036】
水溶性有機溶媒の例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブタノール、See−ブタノール、tert−ブタノール、iso−ブタノール、n−ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ペンタメチレングリコール、トリメチレングリコール、2−ブチン−1,4−ジオール、2−エチル−1,3−へキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−ピロリドン、グリセリン、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルグリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等を挙げることができる。
【0037】
本発明の水性顔料インク組成物を調製する場合には、例えば、表面改質超微粒子有機顔料を単独で、又は分散剤で水性媒体中にナノマイザーあるいは超音波分散機を用いて分散させ、顔料分散液を最初に調製し、この顔料分散液にインク溶媒などを徐々に添加するのが好ましい。表面改質超微粒子有機顔料を水性媒体中に分散させて得られる分散液を調製するのに用いられる分散剤としては、例えば高分子分散剤及び/又は界面活性剤を使用することができる。
【0038】
高分子分散剤の好ましい例としては天然高分子化合物を挙げることができ、その具体例としては、にかわ、ゼラチン、カゼイン、若しくはアルブミンなどのタンバク質類;アラビアゴム、若しくはトラガントゴムなどの天然ゴム類;サポニンなどのグルコシド類;アルギン酸、アルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸トリエタノールアミン、若しくはアルギン酸アンモニウムなどのアルギン酸誘導体;メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、若しくはエチルヒドロキシセルロースなどのセルロース誘導体などを挙げることができる。
【0039】
更に、高分子分散剤の好ましい例として合成高分子化合物を挙げることができ、具体的には、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、若しくはアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂;スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリ酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、若しくはスチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのスチレン−アクリル樹脂;スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重台体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、若しくは酢酸ビニル−アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体;及びそれらの塩を挙げることができる。これらの中で、特に疎水性基を持つモノマーと親水性基を持つモノマーとの共重合体、及び疎水性基と親水性基を分子構造中に併せ持ったモノマーからなる重合体が好ましい。本発明の水性顔料インク組成物においては、前記の分散剤を1種又は2種以上組合せて用いることができる。
【0040】
本発明の好ましい態様のインク組成物は、分散剤として、界面活性剤を含有することができる。本発明において用いられる界面活性剤は、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、及び両性界面活性剤からなる群から選択される1種以上の界面活性剤である。
【0041】
界面活性剤の例としては、アニオン界面活性剤(例えばドデシルベンゼルスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートのアンモニウム塩など)、ノニオン界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドなど)及び、アセチレングリコール等が挙げられる。これらは単独使用又は2種以上を併用することができる。
【0042】
本発明のインク組成物において、前記分散剤(すなわち、高分子分散剤及び/又は界面活性剤)の含有量は、顔料に対して、重量比で、0.5〜3程度が好ましく、より好ましくは0.1〜3程度である。
【0043】
本発明のインク組成物は、超浸透剤を含む。超浸透剤としては、例えば、アセチレングリコール系化合物、アセチレンアルコール系化合物、グリコールエーテル系化合物、1,2−アルキルジオール系化合物。又はポリエーテル変性オルガノシロキサン系化合物を用いることができ、これらを単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
【0044】
アセチレングリコール系界面活性剤としては、前記一般式(1)で表される化合物の中で、特に好ましくは2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、又は3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オールなどを挙げることができる。前記一般式(1)で表されるアセチレングリコール化合物としては市販品を利用することも可能であり、その具体例としてはサーフイノール104、82、465、485、又はTG(いずれもAir Products and Chemicals.Inc.より入手可能)、オルフインSTG、オルフインE1010(いずれも日信化学社製の商品名)を挙げることができる。前記のアセチレングリコール系界面活性剤は単独使用又は2種以上を併用することができる。
【0045】
アセチレンアルコール系化合物としては、具体的には、例えば、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オール、又は2,4−ジメチル−5−ヘキシン−3−オール等を挙げることができる。また、市販品のサーフィノール61(Air Products and Chemicals,Inc.)を用いることもできる。
【0046】
グリコールエーテル系化合物としては、例えば、多価アルコールの炭素数3以上のアルキルエーテル誘導体、例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、又はジプロピレングリコールモノブチルエーテル等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0047】
1,2−アルキルジオールは、好ましくは1,2−C1−6アルキルジオールであり、最も好ましくは1,2−ヘキサンジオールである。
【0048】
ポリエーテル変性オルガノシロキサン系化合物としては、好ましくは、前記一般式(2)において、R21〜R27は、独立して、炭素数1〜6のアルキル基、好ましくはメチル基である。j、k及びgは、独立して、1以上の整数であるが、より好ましくは1〜2である。また、p及びqは0以上の整数であるが、但しp+qは1以上の整数であり、好ましくはp+qは2〜4である。
【0049】
前記一般式(2)で表される化合物としては、例えば、j=k+gを満足する化合物が好ましい。また、前記一般式(2)で表される化合物としては、R21〜R27が全てメチル基であり、jが2であり、kが1であり、gが1であり、pが1以上の整数であり、qが0である化合物が好ましい。前記一般式(2)で表される化合物は市販されており、それらを利用することが可能である。例えば、ビッグケミー・ジャパン株式会社より市販されているシリコン系界面活性剤BYK−345、BYK−346、BYK−347、又はBYK−348が利用可能である。
【0050】
本発明のインク組成物において、前記超浸透剤の含有量は、インク組成物の全重量に対して、好ましくは0.03〜3重量%、より好ましくは0.1〜2重量%程度、更に好ましくは0.3〜1重量%程度である。
【0051】
本発明の水性顔料インク組成物は、その保存安定性、インク吐出ヘッドからの吐出安定性を得るために、保湿剤、溶解助剤、浸透制御剤、粘度調整剤、pH調整剤、溶解助剤、酸化防止剤、防黴剤、腐食防止剤、及び/又は金属イオン捕獲剤等の種々の添加剤を含有することができる。以下、それらの添加剤の代表例を説明する。
【0052】
インクのノズル前面での乾燥を抑制するために水溶性グリコール類を添加することが好ましく、その例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、分子量2000以下のポリエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、メソエリスリトール、ペンタエリスリトールなどがある。
【0053】
また、ノズル前面でインクが乾燥して詰まることを抑制するために、種々の糖類を用いることもできる。糖類は、単糖類又は多糖類であることができ、具体的には、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ラクトース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトース、マルトース、セロビオース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース等の他にアルギン酸及びその塩、シクロデキストリン類、セルロース類を用いることができる。糖類の含有量は、特に限定されるものではないが、0.05重量%以上で30重量%以下がよい。0.05重量%未満ではインクがヘッドの先端で乾燥して詰まる目詰まり現象を回復させる効果は少なく、30重量%を超えるとインクの粘度が上昇して適切な印字ができなくなる。一般的な糖類である単糖類及び多糖類のグルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ラクトース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトース、マルトース、セロビオース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース等のより好ましい含有量は3〜20重量%である。アルギン酸及びその塩、シクロデキストリン類、セルロース類はインクにしたときの粘度が高くなり過ぎない程度の含有量にする必要がある。
【0054】
その他に水と相溶性を有し、インクに含まれる水との溶解性の低いグリコールエーテル類やインク成分の溶解性を向上させ、更に被記録体例えば紙に対する浸透性を向上させ、あるいはノズルの目詰まりを防止するために用いることのできるものとして、エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの炭素数1〜4のアルキルアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルなどのグリコールエーテル類、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、スルホランなどがあり、これらを適宜選択して使用することができる。
【0055】
また、本発明の水性顔料インク組成物には、更に浸透性を制御するため、他の界面活性剤を添加することも可能である。添加する界面活性剤は本発明の水性顔料インク組成物との相溶性のよい界面活性剤が好ましく、界面活性剤のなかでも浸透性が高く安定な界面活性剤がよい。その例としては、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤などを挙げることができる。両性界面活性剤としてはラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシンその他イミダゾリン誘導体などがある。ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどのエーテル系、ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレートなどのエステル系、その他フッ素アルキルエステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩などの含フッ素系界面活性剤などがある。
【0056】
また、pH調整剤、溶解助剤あるいは酸化防止剤としてジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、モルホリンなどのアミン類及びそれらの変性物、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどの無機塩類、水酸化アンモニウム、4級アンモニウム水酸化物(テトラメチルアンモニウムなど)、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウムなどの炭酸塩類その他燐酸塩など、あるいはN−メチル−2−ピロリドン、尿素、チオ尿素、テトラメチル尿素などの尿素類、アロハネート、メチルアロハネートなどのアロハネート類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチルビウレットなどのビウレット類など、L−アスコルビン酸及びその塩などがある。また、市販の酸化防止剤、紫外線吸収剤なども用いることができる。その例としてはチバガイギーのTinuvin328、900、1130、384、292、123、144、622、770、292、Irgacor252、153、Irganox1010、1076、1035、MD1024など、あるいはランタニドの酸化物などがある。
【0057】
更に、粘度調整剤としては、ロジン類、アルギン酸類、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリアクリル酸塩、ポリビニルピロリドン、アラビアゴムスターチなどがある。
【0058】
本発明の水性顔料インク組成物を調製する場合には、表面改質超微粒子有機顔料を平均粒子径が50nm以下の超微粒子として提供することができるので、この表面改質超微粒子有機顔料を単独で、又は分散剤で水性媒体中にナノマイザーあるいは超音波分散機などのように、分散メディアを使用しない分散機で分散させることにより、微粒子化された顔料分散液を容易に得ることができる。ビーズミルやサンドミルなどのメディア撹拌ミルを用いても微粒子化は可能であるが、顔料の有する堅牢性が損なわれ、記録像の耐ガス性や耐光性が低下する場合がある。
【0059】
本発明の水性インク組成物は、任意の記録媒体に用いることができ、例えば、普通紙、再生紙、コート紙、又はインク吸収層を有する専用紙に用いることができる。また、本発明の水性インク組成物は、任意のインクジェット記録方法に用いることができる。
【0060】
【作用】
本発明の水性インク組成物が、優れた分散性や分散安定性を有するだけでなく、耐ガス性や耐光性、及び発色性の点で優れている理由は、現在のところ解明されているわけではないが、以下のように推定することができる。すわなち、ビーズミル、ボールミル、アトライターやサンドミルなどのメディウム撹拌ミルで有機顔料を微粒子化すると、顔料粒子の平均粒径を50nm以下にすることができるので発色性は向上するが、顔料粒子の結晶構造が破壊されるので、破砕面が高活性化され、耐ガス性や耐光性が悪化するものと考えられる。これに対して、本発明で用いる表面改質超微粒子有機顔料では、顔料が有する堅牢性を損なうことなく微粒子化が可能であり、耐ガス性や耐光性が向上し、同時に発色性も向上する。なお、ナノマイザーや超音波を用いて微粒子化する方法もあるが、これらの方法によると通常の顔料では微粒子化が充分に進行しない場合があるため、充分な発色性が得られない。
【0061】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。以下の実施例において特に断らない限り、部及び%は重量に基づく。
<実施例1>
(1)表面改質超微粒子有機顔料の調製
図2に示す製造装置と同様の装置によって、表面改質超微粒子有機顔料を調製した。原料顔料としては銅フタロシアニン〔C.I.ピグメントブルー15:3〕を用い、不活性ガスとしてはヘリウム、そして反応性ガスとしては酸素ガスを用いた。
こうして得られた表面改質超微粒子有機顔料の平均粒径を透過型電子顕微鏡によって測定したところ、42nmであった。また、赤外吸収スペクトルによれば、超微粒子銅フタロシアニン顔料の表面にカルボニル基が導入されていることが確認された。
(2)水性インク組成物の調製
実施例1(1)で得られた表面改質超微粒子有機顔料10重量%を、スチレンーアクリル酸共重合体のアンモニウム塩(分子量7000,ポリマー成分38%:分散剤)10.5重量%及び水79.5重量%に十分混合した後、超音波穂ホモジナイザーで分散し、顔料分散液を得た。次いで、それ以外の成分(表1参照)で作製したビヒクルを、前記顔料分散液中に徐々に滴下し、十分に攪拌した。これを5μmのメンブランフィルターでろ過し、インクジェット記録用水性顔料インク組成物A1を得た。
【0062】
<実施例2>
(1)表面改質超微粒子有機顔料の調製
原料顔料として、銅フタロシアニンの代わりにキナクリドンマゼンタ〔C.I.ピグメントレッド122〕を用いること以外は、前記実施例1(1)と同様の操作を繰り返すことにより、表面改質超微粒子有機顔料を得た。
得られた表面改質超微粒子有機顔料の平均粒径を透過型電子顕微鏡によって測定したところ、48nmであった。また、赤外吸収スペクトルによれば、超微粒子キナクリドン顔料の表面にカルボニル基が導入されていることが確認された。
(2)水性インク組成物の調製
前記実施例2(1)で得られた表面改質超微粒子有機顔料を用いること以外は、前記実施例1(2)と同様の操作を繰り返すことにより、インクジェット記録用水性顔料インク組成物A2を得た。
【0063】
【表1】
【0064】
<比較例1>
銅フタロシアニン〔C.I.ピグメントブルー15:3〕15重量%を、スチレンーアクリル酸共重合体のアンモニウム塩(分子量7000,ポリマー成分38%:分散剤)15.8重量%及び純水69.2重量%に十分混合した後、サンドミル(安川製作所製)中で、ガラスビーズ(直径=1.7mm、混合物の1.5倍量)と共に2時間分散した。分散後、ガラスビーズを取り除き、他の各成分(表1参照)を添加し、常温で20分間攪拌した後、8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクジェット記録用水性顔料インク組成物B1を得た。
この水性顔料インク組成物B1中に含まれている顔料粒子の平均粒径を透過型電子顕微鏡によって測定したところ、66nmであった。
【0065】
<比較例2>
顔料としてキナクリドンマゼンタ〔C.I.ピグメントレッド122〕を用いること以外は前記比較例1と同様の操作を繰り返すことにより、インクジェット記録用水性顔料インク組成物B2を得た。
この水性顔料インク組成物B2中に含まれている顔料粒子の平均粒径を透過型電子顕微鏡によって測定したところ、86nmであった。
【0066】
<比較例3>
銅フタロシアニン〔C.I.ピグメントブルー15:3〕15重量%を、スチレンーアクリル酸共重合体のアンモニウム塩(分子量7000,ポリマー成分38%:分散剤)15.8重量%及び純水69.2重量%に十分混合した後、ジェットミルで分散し、顔料分散液を得た。次いで、他の各成分(表1参照)を添加し、常温で20分間攪拌した後、8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクジェット記録用水性顔料インク組成物C1を得た。
この水性顔料インク組成物C1中に含まれている顔料粒子の平均粒径を透過型電子顕微鏡によって測定したところ、106nmであった。
【0067】
<比較例4>
顔料としてキナクリドンマゼンタ〔C.I.ピグメントレッド122〕を用いること以外は前記比較例3と同様の操作を繰り返すことにより、インクジェット記録用水性顔料インク組成物C2を得た。
この水性顔料インク組成物C2中に含まれている顔料粒子の平均粒径を透過型電子顕微鏡によって測定したところ、80nmであった。
【0068】
【物性評価】
(1)沈降率評価
インク組成物A1、B1、又はC1を110mLの量でサンプル瓶に入れ、振動を与えないように放置した。放置した直後に、インク組成物の最上層10mLをサンプリングし、初期吸光度(A)を測定した。
続いて遠心分離機による加速試験を行った後、前記サンプル瓶のインク組成物最上層10mLをサンプリングし、試験後吸光度(B)を測定した。沈降率(P)は以下の計算式から算出した。
P(%)=100×〔(A−B)/A〕
なお、前記の計算式において、Pは沈降率(%)であり、Aは初期吸光度であり、Bは試験後吸光度である。沈降率評価を以下の3段階で行い、評価結果を表2に示す。
評価A:Pが5%未満
評価B:Pが5%以上10%未満
評価C:Pが15%以上。
【0069】
(2)耐光性評価
インク組成物A2、B2、又はC2を用い、OD(Optical Density)が、0.9〜1.1の範囲に入るように印加デューティ(Duty)を調整して印刷を行って得られた印刷物を、Ci5000 キセノンウエザーメーター〔商品名、(株)アトラス社製〕を用い、24℃、相対湿度60%RHの条件下にて、印刷物を1200時間曝露した。
曝露後の各印刷物のODを、濃度計(Spectrolino:Gretag社製)を用いて測定し、次式により光学濃度残存率(ROD)を求めた。
ROD(%)=(D/D0)×100
なお、前記の計算式において、Dは曝露試験後のOD値であり、D0は曝露試験前のOD値である。また、測定条件は、以下の通りである。
Filter;Red、
光源:D50、
視野角:2度。
耐光性を以下の3段階で評価し、結果を表2に示す。
評価A:RODが90%以上
評価B:RODが70%以上90%未満
評価C:RODが70%未満
【0070】
(3)耐ガス性評価
インク組成物A1、B1、又はC1を用い、OD(Optical Density)が、0.9〜1.1の範囲に入るように印加デューティ(Duty)を調整して印刷を行って得られた印刷物を、オゾンウエザーメーターOMS−H型〔商品名、(株)スガ試験機製〕を用い、24℃、相対湿度60%RHの条件下にて、印刷物を12時間オゾンに曝露した。
曝露後の各印刷物のODを、濃度計(Spectrolino:Gretag社製)を用いて測定し、次式により光学濃度残存率(ROD)を求めた。
ROD(%)=(D/D0)×100
なお、前記の計算式において、Dは曝露試験後のOD値であり、D0は曝露試験前のOD値である。また、測定条件は、以下の通りである。
Filter;Red、
光源:D50、
視野角:2度。
耐光性を以下の3段階で評価し、結果を表2に示す。
評価A:RODが90%以上
評価B:RODが70%以上90%未満
評価C:RODが70%未満
【0071】
【表2】
【0072】
【発明の効果】
本発明によれば、分散性や分散安定性に優れるだけでなく、耐ガス性や耐光性の点でも優れ、しかも発色性の点でも優れているインクジェット記録用インク組成物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインク組成物で用いる表面改質超微粒子有機顔料の製造装置の模式的断面図である。
【図2】本発明のインク組成物で用いる表面改質超微粒子有機顔料の別の態様の製造装置の模式的断面図である。
【符号の説明】
1・・・真空チャンバー;2・・・原料容器;3・・・加熱手段;4・・・シームレス回転基板;5・・・ローラ;6・・・ブレード;7・・・電極;7a・・・電源;7b・・・ガス供給手段;8・・・収納容器;10・・・表面改質超微粒子有機顔料の製造装置;11・・・給気口;12・・・排気口。
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面改質超微粒子有機顔料を含むインクジェット記録用インク組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方法は、インク小滴を飛翔させ、紙等の記録媒体に付着させて印刷を行う印刷方法である。このインクジェット記録方法に用いるインク組成物は、水を主成分とし、色材、樹脂エマルジョン及びその他の各種添加剤を含有させた水系インクが一般的である。色材としては、染料又は顔料を用いることができるが、耐光性、耐ガス性、耐水性、及び耐湿性等の耐候性の点で顔料が優れているので、近年、顔料インク組成物への需要が高まってきており、顔料の特性を活かした顔料インク組成物の開発が進められている。この顔料インク組成物は、顔料粒子を水系インク溶媒中に分散させた系であるため、分散性や分散安定性を確保する必要がある。
【0003】
一方、インクジェット記録方法では、近年、記録物の高精細化が進み、顔料粒子の細粒化が求められており、従って、微細な顔料粒子を用いて、優れた分散性や分散安定性を有する顔料インク組成物の開発が要求されている。
【0004】
黒色インク組成物に用いるカーボンブラックは1次粒子径が小さい粒子の取得が比較的容易であり、粒子表面に官能基が存在するのに対し、有彩色インク組成物に用いる有機顔料は1次粒子径が大きく、粒子表面に官能基が存在しないために、微粒子化及び高分散安定性を得るのが一般には困難である。
【0005】
微粒子有機顔料を含有するインク組成物の分散安定性を向上させる技術としては、例えば、特開平9−263722号公報に、ポリエチレンオキサイド親水性部分とアルキル基又は芳香族基疎水性部分とを有する両親媒性化合物を用いるインク組成物が記載されており、優れた印字品質や耐光性、及び優れた保存安定性などが得られると記載されている。しかしながら、前記公報記載の微粒子有機顔料は、サンドミルなどのメディア撹拌ミルで微粒子化して分散させているため、顔料の堅牢性が損なわれ、記録像の耐ガス性や耐光性に悪影響を与える場合があるという欠点があった。
【0006】
微粒子有機顔料を得る方法としては、前記のようにメディア撹拌ミルなどを用いて剪断応力によって微粉化する方法以外にも、例えば、ナノマイザーや超音波を用いる方法があるが、これらの方法では顔料分散液の粒度に制限があることや、微粉化が充分に進行しない場合があるため、充分な発色性が得られない。
【0007】
更に、超微粒子有機顔料を得る方法として、ガス中蒸着法も知られている(例えば、特開昭63−39631号又は特開平2−40234号各公報参照)。ガス中蒸着法とは、例えば、排気真空化した真空容器内に少量の不活性ガスを導入し、その真空容器内で有機顔料を加熱して気化させ、気化した有機顔料が不活性ガスとの衝突により冷却されることによって生じた煙状の超微粒子有機顔料を基板に捕獲回収する技術である。このガス中蒸着法では、50nm以下の超微粒子有機顔料を得ることができ、しかも、例えば、不活性ガスの圧力を調整することによって超微粒子有機顔料の粒径を制御することができるので、シャープな粒度分布を有する超微粒子有機顔料を得ることができる。しかしながら、このガス中蒸着法によって得られた超微粒子有機顔料をそのままインクジェット記録用インク組成物に適用して評価した例は、従来報告されていない。
【0008】
一方、顔料粒子の表面処理についても種々の方法が提案されている。例えば、特開平10−110111号公報には、スルホン化反応溶剤中で、有機顔料の凝集粒子を粉砕機又は分散機で微分散させることによって、有機顔料粒子表面にスルホン基を導入する方法が記載されており、初期分散性及び長期分散性に優れたインク組成物を得ることができるとされている。しかしながら、この公報に記載の方法では、顔料粒子をメディア撹拌ミルによって微粉化するので、記録像の耐ガス性や耐光性に悪影響を与える場合があるという欠点があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、微細な顔料粒子を用いて、優れた分散性や分散安定性を有するだけでなく、耐ガス性や耐光性の点でも優れた顔料インク組成物の開発を目指して鋭意研究していたところ、前記のガス中蒸着法で得られる超微粒子有機顔料を更に表面処理して得られる表面改質超微粒子有機顔料を用いることにより、優れた分散性や分散安定性を有するだけでなく、耐ガス性や耐光性の点でも優れた顔料インク組成物を得ることができることを見出した。また、この顔料インク組成物は、発色性の点でも優れていることを見出した。
本発明は、こうした知見に基づくものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
従って、本発明は、少なくとも水、表面改質超微粒子有機顔料、及び超浸透剤を含有していることを特徴とするインクジェット記録用インク組成物に関する。本発明の顔料インク組成物の好ましい態様においては、前記表面改質超微粒子有機顔料が、蒸着法と表面処理との併用により得られ、平均粒子径が50nm以下である。
【0011】
また、本発明の顔料インク組成物の別の好ましい態様においては、前記表面改質超微粒子有機顔料が、少量の不活性ガスを導入した真空容器内で有機顔料を気化させることによって生成する超微粒子有機顔料を基板に捕集した後、前記基板上の超微粒子有機顔料に対して反応性ガスの存在下で放電プラズマ処理を実施することにより製造されるか、あるいは、前記表面改質超微粒子有機顔料が、少量の不活性ガスを導入した真空容器内で有機顔料を気化させることによって超微粒子有機顔料を生成させると同時に、生成した前記超微粒子有機顔料に対して反応性ガスの存在下で放電プラズマ処理を実施することにより製造される。
【0012】
また、本発明の顔料インク組成物の別の好ましい態様においては、反応性ガスが、酸素原子、窒素原子、又はイオウ原子を含有するガスであり、具体的には、酸素ガス、二酸化炭素ガス、二酸化窒素ガス、アンモニアガス、二酸化イオウガス、又は水蒸気である。
【0013】
また、本発明の顔料インク組成物の別の好ましい態様においては、有機顔料が、フタロシアニン顔料、キナクリドン系有機顔料、キノフタロン顔料、アゾ系有機顔料、イソインドリノン系有機顔料、又はイミダゾロン系顔料である。
【0014】
また、本発明の顔料インク組成物の別の好ましい態様においては、前記超浸透剤が、アセチレングリコール系化合物、アセチレンアルコール系化合物、グリコールエーテル系化合物、1,2−アルキルジオール系化合物、及びポリエーテル変性オルガノシロキサン系化合物からなる群から選んだ少なくとも1つの化合物である。
【0015】
また、本発明の顔料インク組成物の別の好ましい態様においては、前記アセチレングリコール系化合物が、一般式(1):
【化5】
〔式中、0≦m+n≦50であり、R11、R12、R13及びR14は、それぞれ独立してアルキル基である〕で表される化合物である。
【0016】
また、本発明の顔料インク組成物の別の好ましい態様においては、前記グリコールエーテル系化合物が、トリエチレングリコールモノブチルエーテルである。
また、本発明の顔料インク組成物の別の好ましい態様においては、前記1,2−アルキルジオール系化合物が、1,2−ヘキサンジオールである。
【0017】
また、本発明の顔料インク組成物の別の好ましい態様においては、前記ポリエーテル変性オルガノシロキサン系化合物が、一般式(2):
【化6】
(式中、R21〜R27は、それぞれ独立して、C1−6アルキル基であり、j及びkは、それぞれ独立して、1以上の整数であり、EOはエチレンオキシ基であり、POはプロピレンオキシ基であり、p及びqは0以上の整数であるが、但しp+qは1以上の整数であり、EO及びPOは、[ ]内においてその順序は問わず、ランダムであってもブロックであってもよい)で表されるポリエーテル変性オルガノシロキサン系化合物である。
【0018】
また、本発明の顔料インク組成物の別の好ましい態様においては、前記超浸透剤として、前記一般式(1)で表される化合物及びトリエチレングリコールモノブチルエーテルを用いる。
【0019】
また、本発明の顔料インク組成物の別の好ましい態様においては、前記超浸透剤として、1,2−アルキルジオール系化合物及び一般式(2)で表されるポリエーテル変性オルガノシロキサン系化合物を用いる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる表面改質超微粒子有機顔料は、例えば、蒸着法と表面処理との併用により得られ、平均粒子径が50nm以下である。ここで「蒸着法」とは、一般に「ガス中蒸着法」と称される技術であり、例えば、排気真空化した真空容器内に少量の不活性ガスを導入し、その真空容器内で有機顔料を加熱して気化させ、気化した有機顔料が不活性ガスとの衝突により冷却されることによって生じた煙状の超微粒子有機顔料を基板に捕獲回収する技術である。
【0021】
本発明で用いることのできる表面改質超微粒子有機顔料の製造方法の具体例を、図1及び図2に沿って説明する。
【0022】
図1は、表面改質超微粒子有機顔料の製造装置10の模式的断面図である。前記製造装置10は、真空チャンバー1内に、加熱手段3を備えた原料容器2と、前記原料容器2の上方に配置され、煙状の超微粒子有機顔料を捕獲可能なシームレス回転基板4と、そのシームレス回転基板4を回転させるローラ5と、シームレス回転基板4上に担持された超微粒子有機顔料に対して放電プラズマ処理を実施する電極7と、その電極7の電源7aと、放電プラズマ処理領域に反応性ガスを供給するガス供給手段7bと、シームレス回転基板4の表面に接触し、そのシームレス回転基板4の表面上から処理済の表面改質超微粒子有機顔料を回収するブレード6と、前記ブレード6の下方に配置し、表面改質超微粒子有機顔料を収納する収納容器8とを含有する。更に、前記製造装置10は、不活性ガスを真空チャンバー1内に導入する給気口11及び真空容器1の排気に用いる排気口12を有する。
【0023】
図1に示す製造装置1を用いて表面改質超微粒子有機顔料を製造する場合は、原料容器2に原料有機顔料Prを装填し、排気口12に連絡する排気手段(図示せず)を用いて真空チャンバー1を真空にした後、給気口11から不活性ガス(例えば、ヘリウム又はアルゴン)を導入して、真空チャンバー1内を数Torr以下の圧力に保つ。続いて、原料容器2に設けた加熱手段3による抵抗加熱によって原料有機顔料Prを蒸発させる。気化された有機顔料は、矢印Sの方向に上昇され、その上昇中に不活性ガスとの衝突により冷却され、煙状の超微粒子有機顔料となってシームレス回転基板4の表面に捕集される。
【0024】
シームレス回転基板4の表面に捕集された超微粒子有機顔料は、シームレス回転基板4がローラ5によって矢印Rの方向へ回転するのに伴って電極7の近傍へ移送される。電極7の近傍へは、ガス供給手段7bによって反応性ガス(例えば、酸素ガス)が供給されている。この条件下で電源7aによって電圧を印加し、放電プラズマ処理を行うと、超微粒子有機顔料の表面に官能基(例えば、カルボキシル基)が導入され、表面改質超微粒子有機顔料が生成する。
【0025】
生成した表面改質超微粒子有機顔料Pは、シームレス回転基板4がローラ5によって矢印Rの方向へ回転するのに伴って、ブレード6の設置位置まで移送され、ブレード6によってシームレス回転基板4の表面から掻き落とされて、下方に配置されている収納容器8に収容される。
【0026】
本発明で用いる表面改質超微粒子有機顔料は、前記の方法とは異なる方法で製造することもできる。すなわち、少量の不活性ガスを導入した真空容器内で有機顔料を気化させることによって超微粒子有機顔料を生成させると同時に、生成した前記超微粒子有機顔料に対して反応性ガスの存在下で放電プラズマ処理を実施することにより製造することができる。図2は、この製造方法に用いる製造装置10の模式的断面図である。
【0027】
この製造装置10は、真空チャンバー1内に、加熱手段3を備えた原料容器2と、前記原料容器2の上方に配置され、気化した有機顔料に対して放電プラズマ処理を実施する電極7と、煙状の表面改質超微粒子有機顔料を捕獲可能なシームレス回転基板4と、そのシームレス回転基板4を回転させるローラ5と、シームレス回転基板4の表面に接触し、そのシームレス回転基板4の表面上から処理済の表面改質超微粒子有機顔料を回収するブレード6と、前記ブレード6の下方に配置し、表面改質超微粒子有機顔料を収納する収納容器8とを含有する。更に、前記製造装置10は、不活性ガス及び反応性ガスを真空チャンバー1内に導入する給気口11及び真空容器1の排気に用いる排気口12を有する。
【0028】
図2に示す製造装置1を用いて表面改質超微粒子有機顔料を製造する場合は、原料容器2に原料有機顔料Prを装填し、排気口12に連絡する排気手段(図示せず)を用いて真空チャンバー1を真空にした後、給気口11から不活性ガス及び反応性ガスを導入して、真空チャンバー1内を数Torr以下の圧力に保つ。続いて、原料容器2に設けた加熱手段3による抵抗加熱によって原料有機顔料Prを蒸発させる。気化された有機顔料は、矢印Sの方向に上昇され、その上昇中に不活性ガスとの衝突により冷却され、煙状の超微粒子有機顔料となる。それと同時に、電極7に電源(図示せず)によって電圧を印加し、煙状の超微粒子有機顔料に対して放電プラズマ処理を行うと、反応性ガスが煙状の超微粒子有機顔料と共に上昇しているので、超微粒子有機顔料の表面に官能基(例えば、カルボキシル基)が導入され、表面改質超微粒子有機顔料Pが生成する。
【0029】
こうして得られた表面改質超微粒子有機顔料Pは、シームレス回転基板4の表面に捕集される。シームレス回転基板4の表面に捕集された表面改質超微粒子有機顔料Pは、シームレス回転基板4がローラ5によって矢印Rの方向へ回転するのに伴って、ブレード6の設置位置まで移送され、ブレード6によってシームレス回転基板4の表面から掻き落とされて、下方に配置されている収納容器8に収容される。
【0030】
本発明で用いる表面改質超微粒子有機顔料の平均粒子径は、50nm以下であることが好ましい。本明細書において平均粒子径とは、透過型電子顕微鏡によって測定した個々の粒径の平均値を意味する。
【0031】
本発明で用いる表面改質超微粒子有機顔料の製造に用いる反応性ガスは、超微粒子有機顔料に親水性基を導入することのできるガスである限り特に限定されるものではないが、酸素原子、窒素原子、又はイオウ原子を含有するガスであることが好ましい。酸素原子を含有するガスとしては、例えば、酸素ガス(O2)、二酸化炭素ガス(CO2)、二酸化窒素ガス(NO2)、二酸化イオウ(SO2)ガス、又は水蒸気(H2O)を挙げることができる。また、窒素原子を含有するガスとしては、例えば、二酸化窒素ガス、又はアンモニアガス(NH3)を挙げることができ、イオウ原子を含有するガスとしては、例えば、二酸化イオウ(SO2)ガス、を挙げることができる。
【0032】
本発明で用いる表面改質超微粒子有機顔料の製造に用いる原料有機顔料としては、例えば、アントラキノン系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料、アゾ系有機顔料、ピラントロン系有機顔料、ペリレン系有機顔料、ペリノン系有機顔料、キナクリドン系有機顔料、インジゴイド系有機顔料、チオインジゴイド系有機顔料、ジオキサジン系有機顔料、イソインドリノン系有機顔料、又はキノフタロン系有機顔料を挙げることができ、特には、フタロシアニン系有機顔料(例えば、フタロシアニンブルー)、キノフタロン系有機顔料(例えば、キノフタロンイエロー)、アゾ系有機顔料、イソインドリノン系有機顔料、イミダゾロン系有機顔料、あるいはキナクリドン系有機顔料(例えば、キナクリドンマゼンタ)を用いるのが好ましい。
【0033】
具体的な原料有機顔料を例示すると、例えば、カラーインデックスで示すと、
C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG)、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12(ジスアゾイエローAAA)、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー34、C.I.ピグメントイエロー35、C.I.ピグメントイエロー37、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー81、C.I.ピグメントイエロー83(ジスアゾイエローHR)、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー98、C.I.ピグメントイエロー100、C.I.ピグメントイエロー101、C.I.ピグメントイエロー104、C.I.ピグメントイエロー108、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー117、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー153;
C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド17、C.I.ピグメントレッド22(ブリリアントファーストスカーレット)、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド31、C.I.ピグメントレッド38、C.I.ピグメントレッド48:2[パーマネントレッド2B(Ba)]、C.I.ピグメントレッド48:2[パーマネントレッド2B(Ca)]、C.I.ピグメントレッド48:3[パーマネントレッド2B(Sr)]、C.I.ピグメントレッド48:4[パーマネントレッド2B(Mn)]、C.I.ピグメントレッド49:1、C.I.ピグメントレッド52:2、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1(ブリリアントカーミン6B)、C.I.ピグメントレッド60:1、C.I.ピグメントレッド63:1、C.I.ピグメントレッド63:2、C.I.ピグメントレッド64:1、C.I.ピグメントレッド81(ローダミン6Gレーキ)、C.I.ピグメントレッド83、C.I.ピグメントレッド88、C.I.ピグメントレッド104、C.I.ピグメントレッド105、C.I.ピグメントレッド106、C.I.ピグメントレッド108(カドミウムレッド)、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ピグメントレッド114、C.I.ピグメントレッド122(キナクリドンマゼンタ)、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド172、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド190、C.I.ピグメントレッド193、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド219;
C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー2、C.I.ピグメントブルー15(フタロシアニンブルーR)、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3(フタロシアニンブルーG)、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6(フタロシアニンブルーE)、C.I.ピグメントブルー16、17:1、C.I.ピグメントブルー56、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー63;
C.I.ピグメントグリーン1、C.I.ピグメントグリーン4、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン8、C.I.ピグメントグリーン10、C.I.ピグメントグリーン18、又はC.I.ピグメントグリーン36等を挙げることができる。
【0034】
本発明のインク組成物において、前記表面改質超微粒子有機顔料の含有量は、インク組成物の全重量に対して、0.1〜20重量%程度が好ましく、より好ましくは0.2〜10重量%程度である。
【0035】
本発明のインク組成物は、溶媒として水を含み、更に、水溶性有機溶媒を含むことができる。
【0036】
水溶性有機溶媒の例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブタノール、See−ブタノール、tert−ブタノール、iso−ブタノール、n−ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ペンタメチレングリコール、トリメチレングリコール、2−ブチン−1,4−ジオール、2−エチル−1,3−へキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−ピロリドン、グリセリン、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルグリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等を挙げることができる。
【0037】
本発明の水性顔料インク組成物を調製する場合には、例えば、表面改質超微粒子有機顔料を単独で、又は分散剤で水性媒体中にナノマイザーあるいは超音波分散機を用いて分散させ、顔料分散液を最初に調製し、この顔料分散液にインク溶媒などを徐々に添加するのが好ましい。表面改質超微粒子有機顔料を水性媒体中に分散させて得られる分散液を調製するのに用いられる分散剤としては、例えば高分子分散剤及び/又は界面活性剤を使用することができる。
【0038】
高分子分散剤の好ましい例としては天然高分子化合物を挙げることができ、その具体例としては、にかわ、ゼラチン、カゼイン、若しくはアルブミンなどのタンバク質類;アラビアゴム、若しくはトラガントゴムなどの天然ゴム類;サポニンなどのグルコシド類;アルギン酸、アルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸トリエタノールアミン、若しくはアルギン酸アンモニウムなどのアルギン酸誘導体;メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、若しくはエチルヒドロキシセルロースなどのセルロース誘導体などを挙げることができる。
【0039】
更に、高分子分散剤の好ましい例として合成高分子化合物を挙げることができ、具体的には、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、若しくはアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂;スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリ酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、若しくはスチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのスチレン−アクリル樹脂;スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重台体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、若しくは酢酸ビニル−アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体;及びそれらの塩を挙げることができる。これらの中で、特に疎水性基を持つモノマーと親水性基を持つモノマーとの共重合体、及び疎水性基と親水性基を分子構造中に併せ持ったモノマーからなる重合体が好ましい。本発明の水性顔料インク組成物においては、前記の分散剤を1種又は2種以上組合せて用いることができる。
【0040】
本発明の好ましい態様のインク組成物は、分散剤として、界面活性剤を含有することができる。本発明において用いられる界面活性剤は、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、及び両性界面活性剤からなる群から選択される1種以上の界面活性剤である。
【0041】
界面活性剤の例としては、アニオン界面活性剤(例えばドデシルベンゼルスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートのアンモニウム塩など)、ノニオン界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドなど)及び、アセチレングリコール等が挙げられる。これらは単独使用又は2種以上を併用することができる。
【0042】
本発明のインク組成物において、前記分散剤(すなわち、高分子分散剤及び/又は界面活性剤)の含有量は、顔料に対して、重量比で、0.5〜3程度が好ましく、より好ましくは0.1〜3程度である。
【0043】
本発明のインク組成物は、超浸透剤を含む。超浸透剤としては、例えば、アセチレングリコール系化合物、アセチレンアルコール系化合物、グリコールエーテル系化合物、1,2−アルキルジオール系化合物。又はポリエーテル変性オルガノシロキサン系化合物を用いることができ、これらを単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
【0044】
アセチレングリコール系界面活性剤としては、前記一般式(1)で表される化合物の中で、特に好ましくは2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、又は3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オールなどを挙げることができる。前記一般式(1)で表されるアセチレングリコール化合物としては市販品を利用することも可能であり、その具体例としてはサーフイノール104、82、465、485、又はTG(いずれもAir Products and Chemicals.Inc.より入手可能)、オルフインSTG、オルフインE1010(いずれも日信化学社製の商品名)を挙げることができる。前記のアセチレングリコール系界面活性剤は単独使用又は2種以上を併用することができる。
【0045】
アセチレンアルコール系化合物としては、具体的には、例えば、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オール、又は2,4−ジメチル−5−ヘキシン−3−オール等を挙げることができる。また、市販品のサーフィノール61(Air Products and Chemicals,Inc.)を用いることもできる。
【0046】
グリコールエーテル系化合物としては、例えば、多価アルコールの炭素数3以上のアルキルエーテル誘導体、例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、又はジプロピレングリコールモノブチルエーテル等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0047】
1,2−アルキルジオールは、好ましくは1,2−C1−6アルキルジオールであり、最も好ましくは1,2−ヘキサンジオールである。
【0048】
ポリエーテル変性オルガノシロキサン系化合物としては、好ましくは、前記一般式(2)において、R21〜R27は、独立して、炭素数1〜6のアルキル基、好ましくはメチル基である。j、k及びgは、独立して、1以上の整数であるが、より好ましくは1〜2である。また、p及びqは0以上の整数であるが、但しp+qは1以上の整数であり、好ましくはp+qは2〜4である。
【0049】
前記一般式(2)で表される化合物としては、例えば、j=k+gを満足する化合物が好ましい。また、前記一般式(2)で表される化合物としては、R21〜R27が全てメチル基であり、jが2であり、kが1であり、gが1であり、pが1以上の整数であり、qが0である化合物が好ましい。前記一般式(2)で表される化合物は市販されており、それらを利用することが可能である。例えば、ビッグケミー・ジャパン株式会社より市販されているシリコン系界面活性剤BYK−345、BYK−346、BYK−347、又はBYK−348が利用可能である。
【0050】
本発明のインク組成物において、前記超浸透剤の含有量は、インク組成物の全重量に対して、好ましくは0.03〜3重量%、より好ましくは0.1〜2重量%程度、更に好ましくは0.3〜1重量%程度である。
【0051】
本発明の水性顔料インク組成物は、その保存安定性、インク吐出ヘッドからの吐出安定性を得るために、保湿剤、溶解助剤、浸透制御剤、粘度調整剤、pH調整剤、溶解助剤、酸化防止剤、防黴剤、腐食防止剤、及び/又は金属イオン捕獲剤等の種々の添加剤を含有することができる。以下、それらの添加剤の代表例を説明する。
【0052】
インクのノズル前面での乾燥を抑制するために水溶性グリコール類を添加することが好ましく、その例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、分子量2000以下のポリエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、メソエリスリトール、ペンタエリスリトールなどがある。
【0053】
また、ノズル前面でインクが乾燥して詰まることを抑制するために、種々の糖類を用いることもできる。糖類は、単糖類又は多糖類であることができ、具体的には、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ラクトース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトース、マルトース、セロビオース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース等の他にアルギン酸及びその塩、シクロデキストリン類、セルロース類を用いることができる。糖類の含有量は、特に限定されるものではないが、0.05重量%以上で30重量%以下がよい。0.05重量%未満ではインクがヘッドの先端で乾燥して詰まる目詰まり現象を回復させる効果は少なく、30重量%を超えるとインクの粘度が上昇して適切な印字ができなくなる。一般的な糖類である単糖類及び多糖類のグルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ラクトース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトース、マルトース、セロビオース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース等のより好ましい含有量は3〜20重量%である。アルギン酸及びその塩、シクロデキストリン類、セルロース類はインクにしたときの粘度が高くなり過ぎない程度の含有量にする必要がある。
【0054】
その他に水と相溶性を有し、インクに含まれる水との溶解性の低いグリコールエーテル類やインク成分の溶解性を向上させ、更に被記録体例えば紙に対する浸透性を向上させ、あるいはノズルの目詰まりを防止するために用いることのできるものとして、エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの炭素数1〜4のアルキルアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルなどのグリコールエーテル類、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、スルホランなどがあり、これらを適宜選択して使用することができる。
【0055】
また、本発明の水性顔料インク組成物には、更に浸透性を制御するため、他の界面活性剤を添加することも可能である。添加する界面活性剤は本発明の水性顔料インク組成物との相溶性のよい界面活性剤が好ましく、界面活性剤のなかでも浸透性が高く安定な界面活性剤がよい。その例としては、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤などを挙げることができる。両性界面活性剤としてはラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシンその他イミダゾリン誘導体などがある。ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどのエーテル系、ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレートなどのエステル系、その他フッ素アルキルエステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩などの含フッ素系界面活性剤などがある。
【0056】
また、pH調整剤、溶解助剤あるいは酸化防止剤としてジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、モルホリンなどのアミン類及びそれらの変性物、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどの無機塩類、水酸化アンモニウム、4級アンモニウム水酸化物(テトラメチルアンモニウムなど)、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウムなどの炭酸塩類その他燐酸塩など、あるいはN−メチル−2−ピロリドン、尿素、チオ尿素、テトラメチル尿素などの尿素類、アロハネート、メチルアロハネートなどのアロハネート類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチルビウレットなどのビウレット類など、L−アスコルビン酸及びその塩などがある。また、市販の酸化防止剤、紫外線吸収剤なども用いることができる。その例としてはチバガイギーのTinuvin328、900、1130、384、292、123、144、622、770、292、Irgacor252、153、Irganox1010、1076、1035、MD1024など、あるいはランタニドの酸化物などがある。
【0057】
更に、粘度調整剤としては、ロジン類、アルギン酸類、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリアクリル酸塩、ポリビニルピロリドン、アラビアゴムスターチなどがある。
【0058】
本発明の水性顔料インク組成物を調製する場合には、表面改質超微粒子有機顔料を平均粒子径が50nm以下の超微粒子として提供することができるので、この表面改質超微粒子有機顔料を単独で、又は分散剤で水性媒体中にナノマイザーあるいは超音波分散機などのように、分散メディアを使用しない分散機で分散させることにより、微粒子化された顔料分散液を容易に得ることができる。ビーズミルやサンドミルなどのメディア撹拌ミルを用いても微粒子化は可能であるが、顔料の有する堅牢性が損なわれ、記録像の耐ガス性や耐光性が低下する場合がある。
【0059】
本発明の水性インク組成物は、任意の記録媒体に用いることができ、例えば、普通紙、再生紙、コート紙、又はインク吸収層を有する専用紙に用いることができる。また、本発明の水性インク組成物は、任意のインクジェット記録方法に用いることができる。
【0060】
【作用】
本発明の水性インク組成物が、優れた分散性や分散安定性を有するだけでなく、耐ガス性や耐光性、及び発色性の点で優れている理由は、現在のところ解明されているわけではないが、以下のように推定することができる。すわなち、ビーズミル、ボールミル、アトライターやサンドミルなどのメディウム撹拌ミルで有機顔料を微粒子化すると、顔料粒子の平均粒径を50nm以下にすることができるので発色性は向上するが、顔料粒子の結晶構造が破壊されるので、破砕面が高活性化され、耐ガス性や耐光性が悪化するものと考えられる。これに対して、本発明で用いる表面改質超微粒子有機顔料では、顔料が有する堅牢性を損なうことなく微粒子化が可能であり、耐ガス性や耐光性が向上し、同時に発色性も向上する。なお、ナノマイザーや超音波を用いて微粒子化する方法もあるが、これらの方法によると通常の顔料では微粒子化が充分に進行しない場合があるため、充分な発色性が得られない。
【0061】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。以下の実施例において特に断らない限り、部及び%は重量に基づく。
<実施例1>
(1)表面改質超微粒子有機顔料の調製
図2に示す製造装置と同様の装置によって、表面改質超微粒子有機顔料を調製した。原料顔料としては銅フタロシアニン〔C.I.ピグメントブルー15:3〕を用い、不活性ガスとしてはヘリウム、そして反応性ガスとしては酸素ガスを用いた。
こうして得られた表面改質超微粒子有機顔料の平均粒径を透過型電子顕微鏡によって測定したところ、42nmであった。また、赤外吸収スペクトルによれば、超微粒子銅フタロシアニン顔料の表面にカルボニル基が導入されていることが確認された。
(2)水性インク組成物の調製
実施例1(1)で得られた表面改質超微粒子有機顔料10重量%を、スチレンーアクリル酸共重合体のアンモニウム塩(分子量7000,ポリマー成分38%:分散剤)10.5重量%及び水79.5重量%に十分混合した後、超音波穂ホモジナイザーで分散し、顔料分散液を得た。次いで、それ以外の成分(表1参照)で作製したビヒクルを、前記顔料分散液中に徐々に滴下し、十分に攪拌した。これを5μmのメンブランフィルターでろ過し、インクジェット記録用水性顔料インク組成物A1を得た。
【0062】
<実施例2>
(1)表面改質超微粒子有機顔料の調製
原料顔料として、銅フタロシアニンの代わりにキナクリドンマゼンタ〔C.I.ピグメントレッド122〕を用いること以外は、前記実施例1(1)と同様の操作を繰り返すことにより、表面改質超微粒子有機顔料を得た。
得られた表面改質超微粒子有機顔料の平均粒径を透過型電子顕微鏡によって測定したところ、48nmであった。また、赤外吸収スペクトルによれば、超微粒子キナクリドン顔料の表面にカルボニル基が導入されていることが確認された。
(2)水性インク組成物の調製
前記実施例2(1)で得られた表面改質超微粒子有機顔料を用いること以外は、前記実施例1(2)と同様の操作を繰り返すことにより、インクジェット記録用水性顔料インク組成物A2を得た。
【0063】
【表1】
【0064】
<比較例1>
銅フタロシアニン〔C.I.ピグメントブルー15:3〕15重量%を、スチレンーアクリル酸共重合体のアンモニウム塩(分子量7000,ポリマー成分38%:分散剤)15.8重量%及び純水69.2重量%に十分混合した後、サンドミル(安川製作所製)中で、ガラスビーズ(直径=1.7mm、混合物の1.5倍量)と共に2時間分散した。分散後、ガラスビーズを取り除き、他の各成分(表1参照)を添加し、常温で20分間攪拌した後、8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクジェット記録用水性顔料インク組成物B1を得た。
この水性顔料インク組成物B1中に含まれている顔料粒子の平均粒径を透過型電子顕微鏡によって測定したところ、66nmであった。
【0065】
<比較例2>
顔料としてキナクリドンマゼンタ〔C.I.ピグメントレッド122〕を用いること以外は前記比較例1と同様の操作を繰り返すことにより、インクジェット記録用水性顔料インク組成物B2を得た。
この水性顔料インク組成物B2中に含まれている顔料粒子の平均粒径を透過型電子顕微鏡によって測定したところ、86nmであった。
【0066】
<比較例3>
銅フタロシアニン〔C.I.ピグメントブルー15:3〕15重量%を、スチレンーアクリル酸共重合体のアンモニウム塩(分子量7000,ポリマー成分38%:分散剤)15.8重量%及び純水69.2重量%に十分混合した後、ジェットミルで分散し、顔料分散液を得た。次いで、他の各成分(表1参照)を添加し、常温で20分間攪拌した後、8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクジェット記録用水性顔料インク組成物C1を得た。
この水性顔料インク組成物C1中に含まれている顔料粒子の平均粒径を透過型電子顕微鏡によって測定したところ、106nmであった。
【0067】
<比較例4>
顔料としてキナクリドンマゼンタ〔C.I.ピグメントレッド122〕を用いること以外は前記比較例3と同様の操作を繰り返すことにより、インクジェット記録用水性顔料インク組成物C2を得た。
この水性顔料インク組成物C2中に含まれている顔料粒子の平均粒径を透過型電子顕微鏡によって測定したところ、80nmであった。
【0068】
【物性評価】
(1)沈降率評価
インク組成物A1、B1、又はC1を110mLの量でサンプル瓶に入れ、振動を与えないように放置した。放置した直後に、インク組成物の最上層10mLをサンプリングし、初期吸光度(A)を測定した。
続いて遠心分離機による加速試験を行った後、前記サンプル瓶のインク組成物最上層10mLをサンプリングし、試験後吸光度(B)を測定した。沈降率(P)は以下の計算式から算出した。
P(%)=100×〔(A−B)/A〕
なお、前記の計算式において、Pは沈降率(%)であり、Aは初期吸光度であり、Bは試験後吸光度である。沈降率評価を以下の3段階で行い、評価結果を表2に示す。
評価A:Pが5%未満
評価B:Pが5%以上10%未満
評価C:Pが15%以上。
【0069】
(2)耐光性評価
インク組成物A2、B2、又はC2を用い、OD(Optical Density)が、0.9〜1.1の範囲に入るように印加デューティ(Duty)を調整して印刷を行って得られた印刷物を、Ci5000 キセノンウエザーメーター〔商品名、(株)アトラス社製〕を用い、24℃、相対湿度60%RHの条件下にて、印刷物を1200時間曝露した。
曝露後の各印刷物のODを、濃度計(Spectrolino:Gretag社製)を用いて測定し、次式により光学濃度残存率(ROD)を求めた。
ROD(%)=(D/D0)×100
なお、前記の計算式において、Dは曝露試験後のOD値であり、D0は曝露試験前のOD値である。また、測定条件は、以下の通りである。
Filter;Red、
光源:D50、
視野角:2度。
耐光性を以下の3段階で評価し、結果を表2に示す。
評価A:RODが90%以上
評価B:RODが70%以上90%未満
評価C:RODが70%未満
【0070】
(3)耐ガス性評価
インク組成物A1、B1、又はC1を用い、OD(Optical Density)が、0.9〜1.1の範囲に入るように印加デューティ(Duty)を調整して印刷を行って得られた印刷物を、オゾンウエザーメーターOMS−H型〔商品名、(株)スガ試験機製〕を用い、24℃、相対湿度60%RHの条件下にて、印刷物を12時間オゾンに曝露した。
曝露後の各印刷物のODを、濃度計(Spectrolino:Gretag社製)を用いて測定し、次式により光学濃度残存率(ROD)を求めた。
ROD(%)=(D/D0)×100
なお、前記の計算式において、Dは曝露試験後のOD値であり、D0は曝露試験前のOD値である。また、測定条件は、以下の通りである。
Filter;Red、
光源:D50、
視野角:2度。
耐光性を以下の3段階で評価し、結果を表2に示す。
評価A:RODが90%以上
評価B:RODが70%以上90%未満
評価C:RODが70%未満
【0071】
【表2】
【0072】
【発明の効果】
本発明によれば、分散性や分散安定性に優れるだけでなく、耐ガス性や耐光性の点でも優れ、しかも発色性の点でも優れているインクジェット記録用インク組成物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインク組成物で用いる表面改質超微粒子有機顔料の製造装置の模式的断面図である。
【図2】本発明のインク組成物で用いる表面改質超微粒子有機顔料の別の態様の製造装置の模式的断面図である。
【符号の説明】
1・・・真空チャンバー;2・・・原料容器;3・・・加熱手段;4・・・シームレス回転基板;5・・・ローラ;6・・・ブレード;7・・・電極;7a・・・電源;7b・・・ガス供給手段;8・・・収納容器;10・・・表面改質超微粒子有機顔料の製造装置;11・・・給気口;12・・・排気口。
Claims (14)
- 少なくとも水、表面改質超微粒子有機顔料、及び超浸透剤を含有していることを特徴とするインクジェット記録用インク組成物。
- 前記表面改質超微粒子有機顔料が、蒸着法と表面処理との併用により得られ、平均粒子径が50nm以下である、請求項1に記載のインク組成物。
- 前記表面改質超微粒子有機顔料が、少量の不活性ガスを導入した真空容器内で有機顔料を気化させることによって生成する超微粒子有機顔料を基板に捕集した後、前記基板上の超微粒子有機顔料に対して反応性ガスの存在下で放電プラズマ処理を実施することにより製造される、請求項1又は2に記載のインク組成物。
- 前記表面改質超微粒子有機顔料が、少量の不活性ガスを導入した真空容器内で有機顔料を気化させることによって超微粒子有機顔料を生成させると同時に、生成した前記超微粒子有機顔料に対して反応性ガスの存在下で放電プラズマ処理を実施することにより製造される、請求項1又は2に記載のインク組成物。
- 反応性ガスが、酸素原子、窒素原子、又はイオウ原子を含有するガスである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 反応性ガスが、酸素ガス、二酸化炭素ガス、二酸化窒素ガス、アンモニアガス、二酸化イオウガス、又は水蒸気である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 有機顔料が、フタロシアニン顔料、キナクリドン系有機顔料、キノフタロン顔料、アゾ系有機顔料、イソインドリノン系有機顔料、又はイミダゾロン系顔料である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 前記超浸透剤が、アセチレングリコール系化合物、アセチレンアルコール系化合物、グリコールエーテル系化合物、1,2−アルキルジオール系化合物、及びポリエーテル変性オルガノシロキサン系化合物からなる群から選んだ少なくとも1つの化合物である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 前記グリコールエーテル系化合物が、トリエチレングリコールモノブチルエーテルである、請求項8に記載のインク組成物。
- 前記1,2−アルキルジオール系化合物が、1,2−ヘキサンジオールである、請求項8に記載のインク組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002214141A JP2004051887A (ja) | 2002-07-23 | 2002-07-23 | インクジェット記録用インク組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002214141A JP2004051887A (ja) | 2002-07-23 | 2002-07-23 | インクジェット記録用インク組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004051887A true JP2004051887A (ja) | 2004-02-19 |
Family
ID=31936544
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002214141A Withdrawn JP2004051887A (ja) | 2002-07-23 | 2002-07-23 | インクジェット記録用インク組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004051887A (ja) |
Citations (19)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS56147861A (en) * | 1980-04-18 | 1981-11-17 | Canon Inc | Recording solution |
JPS6339631A (ja) * | 1986-08-05 | 1988-02-20 | Res Dev Corp Of Japan | 有機物微粒子の製造方法 |
JPH0240234A (ja) * | 1988-08-01 | 1990-02-09 | Stanley Electric Co Ltd | 超微粒子材の製造方法 |
US5183502A (en) * | 1988-05-18 | 1993-02-02 | Hewlett-Packard Company | Water based ink for ink-jet printing |
US5196056A (en) * | 1990-10-31 | 1993-03-23 | Hewlett-Packard Company | Ink jet composition with reduced bleed |
JPH05239373A (ja) * | 1992-02-27 | 1993-09-17 | Mitsubishi Kasei Corp | 有機色剤微粒子分散組成物 |
JPH0940898A (ja) * | 1995-07-26 | 1997-02-10 | Hitachi Maxell Ltd | 超微粒子有機顔料インクおよびその製造方法 |
JPH09111165A (ja) * | 1995-10-20 | 1997-04-28 | Canon Inc | インク及びそれを用いたカラーインクジェット記録方法 |
JPH09194773A (ja) * | 1996-01-16 | 1997-07-29 | Toyo Ink Mfg Co Ltd | インクジェット用記録液 |
JPH1036738A (ja) * | 1996-07-22 | 1998-02-10 | Mitsubishi Pencil Co Ltd | インキジェット用インキ組成物の製造方法及びインキジェット用インキ組成物 |
JPH1157458A (ja) * | 1997-08-14 | 1999-03-02 | Stanley Electric Co Ltd | 超微粒子の製造方法及び改質した超微粒子材料 |
JPH11293165A (ja) * | 1998-04-07 | 1999-10-26 | Toyo Ink Mfg Co Ltd | 水性顔料分散体、その製造方法およびその利用 |
JPH11333288A (ja) * | 1998-05-28 | 1999-12-07 | Stanley Electric Co Ltd | 超微粒子の製造方法及び製造装置 |
JP2002030237A (ja) * | 2000-05-10 | 2002-01-31 | Seiko Epson Corp | 樹脂で被覆した顔料を含んだインクジェット記録用インク組成物 |
JP2002220545A (ja) * | 2001-01-26 | 2002-08-09 | Canon Inc | 有機顔料粉体、水性インク、インクカートリッジ、記録ユニットおよびインクジェット記録装置 |
JP2002226725A (ja) * | 2001-02-05 | 2002-08-14 | Canon Inc | 有機顔料粉体、水性インク、インクカートリッジ、記録ユニットおよびインクジェット記録装置 |
JP2002256198A (ja) * | 2001-02-28 | 2002-09-11 | Canon Inc | 水性顔料分散体、水性インク及びそれを用いた画像形成方法 |
JP2002256166A (ja) * | 2001-02-28 | 2002-09-11 | Canon Inc | 水性顔料分散体、水性インク及びこれを用いた画像形成方法 |
JP2002371208A (ja) * | 2001-06-14 | 2002-12-26 | Canon Inc | 中間転写型記録用インクジェットインクおよびインクジェット記録方法 |
-
2002
- 2002-07-23 JP JP2002214141A patent/JP2004051887A/ja not_active Withdrawn
Patent Citations (19)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS56147861A (en) * | 1980-04-18 | 1981-11-17 | Canon Inc | Recording solution |
JPS6339631A (ja) * | 1986-08-05 | 1988-02-20 | Res Dev Corp Of Japan | 有機物微粒子の製造方法 |
US5183502A (en) * | 1988-05-18 | 1993-02-02 | Hewlett-Packard Company | Water based ink for ink-jet printing |
JPH0240234A (ja) * | 1988-08-01 | 1990-02-09 | Stanley Electric Co Ltd | 超微粒子材の製造方法 |
US5196056A (en) * | 1990-10-31 | 1993-03-23 | Hewlett-Packard Company | Ink jet composition with reduced bleed |
JPH05239373A (ja) * | 1992-02-27 | 1993-09-17 | Mitsubishi Kasei Corp | 有機色剤微粒子分散組成物 |
JPH0940898A (ja) * | 1995-07-26 | 1997-02-10 | Hitachi Maxell Ltd | 超微粒子有機顔料インクおよびその製造方法 |
JPH09111165A (ja) * | 1995-10-20 | 1997-04-28 | Canon Inc | インク及びそれを用いたカラーインクジェット記録方法 |
JPH09194773A (ja) * | 1996-01-16 | 1997-07-29 | Toyo Ink Mfg Co Ltd | インクジェット用記録液 |
JPH1036738A (ja) * | 1996-07-22 | 1998-02-10 | Mitsubishi Pencil Co Ltd | インキジェット用インキ組成物の製造方法及びインキジェット用インキ組成物 |
JPH1157458A (ja) * | 1997-08-14 | 1999-03-02 | Stanley Electric Co Ltd | 超微粒子の製造方法及び改質した超微粒子材料 |
JPH11293165A (ja) * | 1998-04-07 | 1999-10-26 | Toyo Ink Mfg Co Ltd | 水性顔料分散体、その製造方法およびその利用 |
JPH11333288A (ja) * | 1998-05-28 | 1999-12-07 | Stanley Electric Co Ltd | 超微粒子の製造方法及び製造装置 |
JP2002030237A (ja) * | 2000-05-10 | 2002-01-31 | Seiko Epson Corp | 樹脂で被覆した顔料を含んだインクジェット記録用インク組成物 |
JP2002220545A (ja) * | 2001-01-26 | 2002-08-09 | Canon Inc | 有機顔料粉体、水性インク、インクカートリッジ、記録ユニットおよびインクジェット記録装置 |
JP2002226725A (ja) * | 2001-02-05 | 2002-08-14 | Canon Inc | 有機顔料粉体、水性インク、インクカートリッジ、記録ユニットおよびインクジェット記録装置 |
JP2002256198A (ja) * | 2001-02-28 | 2002-09-11 | Canon Inc | 水性顔料分散体、水性インク及びそれを用いた画像形成方法 |
JP2002256166A (ja) * | 2001-02-28 | 2002-09-11 | Canon Inc | 水性顔料分散体、水性インク及びこれを用いた画像形成方法 |
JP2002371208A (ja) * | 2001-06-14 | 2002-12-26 | Canon Inc | 中間転写型記録用インクジェットインクおよびインクジェット記録方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4613863B2 (ja) | インクジェット記録用インク組成物、記録方法、および記録物 | |
EP1799778B1 (en) | Recording ink, ink cartridge, inkjet recording apparatus, inkjet recording method and ink record | |
JP4595281B2 (ja) | インクジェット記録用のインク組成物、インクセット及びインクジェット記録方法 | |
US20050143490A1 (en) | Ink composition containing polyether-modified polysiloxane | |
EP2376583B1 (en) | Inkjet ink, ink cartridge, image forming device, image forming method, and image formed matter | |
US20060264535A1 (en) | Ink composition for ink jet recording | |
JP2006291176A (ja) | 記録用インク及び該インクを用いるインクジェット記録方法 | |
US6942723B2 (en) | Water-base ink and ink set using the same | |
EP1125992B1 (en) | Ink composition and method of recording a recording medium using this | |
JP2008031194A (ja) | 自己分散型着色微粒子、該自己分散型着色微粒子を含む水系分散体ならびにインクジェット記録用インクまたはカラーフィルター用インク | |
JP2003096355A (ja) | インク組成物、該インク組成物を用いたインクジェット記録方法および記録装置 | |
JP2005154549A (ja) | 水性インク組成物及びそれを用いたインクジェット記録方法、並びに記録物 | |
JP5772093B2 (ja) | 水性インクジェットインク | |
US6821330B1 (en) | Ink composition and method of recording a recording medium using this | |
EP1247845A1 (en) | Ink compositions with excellent light resistance | |
JPWO2004029165A1 (ja) | 水性インク組成物及びそれを用いたインクジェット記録方法、並びに、記録物 | |
JP3924993B2 (ja) | インクジェット記録用インク | |
JP2005120181A (ja) | インク組成物 | |
JP4442095B2 (ja) | 耐ガス性に優れた顔料系インク組成物、該インク組成物による記録方法 | |
JP3509013B2 (ja) | インク組成物 | |
JP2004051887A (ja) | インクジェット記録用インク組成物 | |
JP4718770B2 (ja) | インクジェット記録用インク組成物 | |
JP2004277450A (ja) | 水性インク | |
JP2004277449A (ja) | 水性インク及びこれを用いた印刷物 | |
JP4250947B2 (ja) | インクジェット記録用インク組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050708 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20070402 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20071211 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20080204 |