JP2004051561A - 皮膚化粧料組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】安全性を確保するために、動物由来の成分を配合せずに、バリアー能および感触性に優れた皮膚化粧料組成物を提供することである。
【解決手段】植物(トウモロコシ)由来のスフィンゴ糖脂質およびβ−グルカンを含むことを特徴とする皮膚化粧料組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】植物(トウモロコシ)由来のスフィンゴ糖脂質およびβ−グルカンを含むことを特徴とする皮膚化粧料組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、植物(トウモロコシ)由来のスフィンゴ糖脂質を含有する皮膚化粧料組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、皮膚化粧料組成物には、さまざまな動物由来の成分を含有するものが知られている。
【0003】
たとえば、ヒト、ウシ、ブタ、ヒツジ等の胎盤から得られる水抽出エキスであるプラセンタエキスは、古くから医薬品及び化粧品分野で用いられてきた原料の一つである。特にウシ胎盤から得られたウシ胎盤抽出液は、広く化粧品分野において美白剤の有効成分として用いられている。
【0004】
また、牛、豚、魚類由来のコラーゲンは、皮膚に対して潤い向上効果、保護効果、繊維芽細胞増殖効果を有する成分として皮膚化粧料に配合されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年において我が国でもいわゆる狂牛病(BSE)の発生が報告されてから、動物由来、特にウシ由来の成分を配合した化粧品が、消費者に忌避されるようになった。したがって、動物由来、特にウシ由来の成分を配合せずに、従来と同等の性能を有する皮膚化粧料の開発が急務である。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、安全性を確保するために、動物由来の成分を配合せずに、バリアー能および感触性に優れた皮膚化粧料組成物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、糖脂質である植物(トウモロコシ)由来スフィンゴ糖脂質と糖鎖を有するβ−グルカンは、おなじ由来のグルコース基の相互作用により、より結合性が高く、リポソーム二分子膜表面の膜粘性の向上につながることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は下記事項を要点とするものである。
(1) 植物(トウモロコシ)由来のスフィンゴ糖脂質およびβ−グルカンを含むことを特徴とする皮膚化粧料組成物。
(2) 植物(トウモロコシ)由来のスフィンゴ糖脂質およびβ−グルカンを含有するリポソームを含むことを特徴とする皮膚化粧料組成物。
(3) 植物(トウモロコシ)由来のスフィンゴ糖脂質を含有するリポソーム分散液、β−グルカンおよび海洋深層水を含むことを特徴とする皮膚化粧料組成物。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0010】
本発明の皮膚化粧料組成物に配合される植物(トウモロコシ)由来のスフィンゴ糖脂質とは、とうもろこしZea mats Linne (Gramineae)の胚芽から抽出、精製したスフィンゴ糖脂質であり、グリコシルセラミド(セルブロシド)ならびにステリルグリコシドを含むものである。
【0011】
本発明における植物(トウモロコシ)由来のスフィンゴ糖脂質の作用は、加齢に伴う経表皮水分喪失の増加の制御、および皮膚刺激緩和作用が上げられる。また、スフィンゴ糖脂質に含有されるセレブロシドは、細胞間脂質の重要な前駆体成分であり、角質層のバリヤー機能の向上効果も期待される。
【0012】
本発明で使用する植物由来スフィンゴ糖脂質は、その構成成分であるセレブロシドとステリルグリコシドの配合比率を1:1にすることで、リポソーム単独で調製された化粧料に比べ、高いバリヤー能を示すことが可能となり、高い保湿効果も期待できる。
【0013】
この発明の化粧料において、植物(トウモロコシ)由来のスフィンゴ糖脂質は、粉末あるいは固形状態のものを0.001〜0.1%配合するのが好ましい。配合量が0.001%未満であると植物(トウモロコシ)由来のスフィンゴ糖脂質特有のバリヤー能やそれに伴う保湿作用が有効に発揮されず、配合量が0.1%を越えると、変色、変臭などの安定性に影響を及ぼす可能性があり、好ましくない。
【0014】
なお、本発明の皮膚化粧料組成物において、植物(トウモロコシ)由来のスフィンゴ糖脂質はリポソーム分散液に含有させたものであるが、リポソーム分散液に植物(トウモロコシ)由来のスフィンゴ糖脂質を加えることにより、化粧料組成物が有効成分等の皮膚に対する親和性の点で好ましい。
【0015】
本発明における植物(トウモロコシ)由来のスフィンゴ糖脂質を含有するリポソーム分散液とは、コーンスフィンゴ糖脂質とリポソーム形成基材を同時に含有した分散液であり、リポソーム調製法には特に制限はなく、これまで知られている種々のリポソーム調製法が利用できる。例えば、植物(トウモロコシ)由来スフィンゴ糖脂質と下記膜形成基材を加え、超音波処理をすればよい。
【0016】
その際の植物(トウモロコシ)由来スフィンゴ糖脂質の最適添加量は、リポソーム分散液あたり、0.001〜0.01重量%が好ましい。
【0017】
リポソームの膜形成基剤としては、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、リゾホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、卵黄レシチン、大豆レシチン等の天然もしくは合成のリン脂質または水素添加リン脂質、コレステロール、コレステロールのアルキルエステル等のコレステロール類、フィトステロール、フィトステロールのアルキルエステル、グリセロ糖脂質、セチルガラクトサイドのようなアシルグルコシド、ジアルキル類合成界面活性剤、N−アシル−スフィンゴシンまたはその硫酸エステル、N−アシルスフィンゴ糖脂質、N−高級アシルグルタチオンの1種または2種以上の混合物が挙げられる。
【0018】
本発明化粧料組成物は、上記の植物(トウモロコシ)由来のスフィンゴ糖脂質を含有するリポソーム分散液にβ−グルカンを併用したものである。
【0019】
本発明におけるβ−グルカンとは、分子量が15〜40万、好ましくは20〜30万からなる物であり、D‐グルコピラノースの縮重合体で、デンプン、グリコーゲン、セルロースなど、天然に広汎に存在するβ型の多糖である。また、グリコシド結合の位置により1→3,1→4,1→6結合が区別される。
【0020】
β−グルカンを含有する物質としては、例えば、酵母、酵母抽出液等を挙げることができるが、β−グルカンを含有するものであれば特に限定されない。
【0021】
本発明における、β−グルカンは0.001〜0.04%程度配合すればよい。β−グルカンの配合量が0.001%未満では、β―グルカン特有の免疫機能向上効果が有効に発揮されず、また0.04%を超えて配合すると、変色、変臭などの安定性に影響を及ぼす可能性があり、好ましくない。
【0022】
β−グルカンは、植物(トウモロコシ)由来のスフィンゴ糖脂質を含有するリポソーム分散液にβ−グルカンを配合してもよいし、植物(トウモロコシ)由来のスフィンゴ糖脂質とβ−グルカンを用いてリポソーム分散液としてもよい。
【0023】
β−グルカンは、分子運動性の高い高次構造を有し、T細胞、補体系などの免疫増強に関わる種種の細胞や活性化や増量が報告されており、多彩な生物活性を持っているが、その一方で、物質、分子レベルでの作用機構の解析は、ほとんどなされていない。しかし、皮膚免疫で主要な働きをするのは表皮ランゲルハンス細胞であり、これは、外部からの侵入等があると、その情報をT細胞に伝えるという抗原提示機能を持つ。
【0024】
したがって、このT細胞の活性化に密接な関係のあるβ−グルカンを化粧料に配合することは、従来の表皮を中心としたケアによる老化防止とは異なり、生体系そのものの免疫機能の向上を示すものである。また、全ての酵母、酵母抽出液がこれらの性質全ての機能を持つわけではないので、この酵母、酵母抽出液に皮膚への浸透性の高い海洋深層水、ならびに保湿、柔軟効果を有する有効成分、ならびに抗酸化力を有する成分を配合することで皮膚免疫機能の向上および保護が示される。
【0025】
これまでの「皮膚老化防止化粧料」は、(季節的変化による)肌荒れや、皮膚機能の一時的な低下により生じる皮膚トラブル等を中心に作用するものであったが、近年増加する敏感肌人間等の生体系全体の失調に起因する肌荒れには、その人の生体系全体のバランスを改善する必要がある。そこで、本発明のβ―グルカンを配合した皮膚化粧料組成物は、免疫系に作用し、生体系のバランスを肌機能内部より改善するものである。
しかし、本発明で用いる「酵母・酵母抽出物」は、従来より皮膚保湿効果や美容効果、さらにはサプリメント等への配合も行われているものであり、したがって、人体への影響は非常に緩和なものである。
【0026】
このような高機能を有する2種の原料・スフィンゴ糖脂質とβ―グルカンを組み合わせることにより、皮膚表面のバリヤー機能に優れ、かつ免疫活性化が期待される新規皮膚化粧料の開発が可能となった。
【0027】
この他、リポソームの安定化もしくは相転移温度の改善のために多価アルコール、高級アルコール、高級脂肪酸等を必要に応じて配合することができる。
【0028】
また、全ての酵母、酵母抽出液がこれらの性質全ての機能を持つわけではないので、この酵母、酵母抽出液に皮膚への浸透性の高い海洋深層水、ならびに保湿、柔軟効果を有する有効成分、ならびに抗酸化力を有する成分を配合することで皮膚免疫機能の向上および保護が示される。
【0029】
本発明における海洋深層水とは、表面海水が沈降していて層を形成しているもので、低温かつ清浄で栄養塩に富む固有水であり、その取水海域としては、例えば高知県室戸岬沖1000〜4000m、好ましくは2000〜3000mであり、取水深度は250〜500m、好ましくは300〜400mである。
【0030】
海洋深層水は、数多くのミネラルを含有していることから、保湿性に優れ、浸透性に優れていることから、皮膚化粧料組成物に配合した場合、有効成分の皮膚内への浸透を促進する働きがあるものと考えられる。
【0031】
海洋深層水の配合量としては、50〜99%、好ましくは50〜90%である。
【0032】
本発明の皮膚化粧料組成物は、例えば乳液、クリーム、化粧水、パック、洗顔料、マッサージ料、ジェルなどの化粧品並びにボディ用化粧料や医薬部外品等とすることができる。また、これらの化粧料の調整法は、常法に従えばよい。さらに本発明の皮膚化粧料組成物の剤形は任意であり、たとえば、可溶化系乳化剤形あるいは分散剤の剤形を採用することができる。
【0033】
上記した必須成分の他に、通常の化粧料に配合される下記成分、例えば、油剤、炭化水素類、ロウ類、脂肪酸、合成エステル類、アルコール類、粉体、界面活性剤、増粘剤、保湿剤、防腐剤、香料、顔料、薬剤、水、低級アルコール、高分子化合物、ゲル化剤、酸化防止剤、美容成分等を本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択して用いることができる。
【0034】
油脂類としては、例えばホホバ油、ヒマシ油、オリーブ油、大豆油、ヤシ油、パーム油、カカオ油、ミンク油、タートル油等を挙げることができる。
【0035】
炭化水素類としては、例えば流動パラフィン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、スクワラン等を挙げることができる。
【0036】
ロウ類としては、ミツロウ、ラノリン、カルナバロウ、キャンデリラロウ等を挙げることができる。
【0037】
脂肪酸としては、例えばミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸等を挙げることができる。
【0038】
合成エステル類としては、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、モノステアリン酸プロピレングリコール、乳酸ミリスチル、リンゴ酸イソステアリル、モノステアリン酸グリセリン、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム塩等を挙げることができる。
【0039】
アルコール類としては、エタノール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ラウリルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等を挙げることができる。これらのアルコール類は、通常0〜25w/wt%の割合で配合することができる。
【0040】
界面活性剤としては、例えばグリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ライルル硫酸ナトリウム、ピログルタミン酸イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ジアルキルスルホコハク酸、臭化セチルピリジニウム、塩化−N−オクタデシルトリメチルアンモニウム、モノアルキルリン酸、N−アシルグルタミン、N−アシルグルタミン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン還元ラノリン等が挙げられる。これらの界面活性剤は、通常0〜10w/w%の割合で配合することができる。
【0041】
増粘剤としては、たとえばカルボキシビニルポリマー、メチルポリシロキサン、デキストラン、カルボキシメチルセルロース、カラギーナン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。これらの増粘剤は、通常0〜25w/w%の割合で配合することができる。
【0042】
保湿剤としては、たとえばグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ピログルタミン酸、アセチルグルタミン酸、ヒアルロン酸、プロシアニジン等を挙げることができる。これらの保湿剤は、通常0〜5w/w%の割合で配合される。
【0043】
防腐剤としては、例えば安息香酸、サリチル酸、デヒドロ酢酸あるいはそれらの塩類、パラオキシ安息香酸エステル類のフェノール類、トリクロサンハロカルバン等を挙げることができる。通常、これらの防腐剤は、0〜0.3w/w%の割合で配合することができる。
【0044】
香料は、通常化粧料に用いられるものであれば、どのような香料を用いてもよい。
【0045】
顔料としては、たとえば酸化鉄、二酸化チタン、酸化亜鉛、カオリン、タルク等が挙げられる。これらの顔料は、通常0〜5w/w%の割合で配合することができる。
【0046】
薬剤としては、たとえば小麦胚芽油、ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンE、アスコルビン酸−2−リン酸マグネシウムあるいはナトリウム、D−パントテールアルコール、グリチルリチン酸ジカリウム、グルタチオン、UV−吸収剤、キレート剤、植物抽出物、微生物代謝物/抽出物等を挙げることができる。これらの薬剤は、通常0〜5w/w%の割合で配合することができる。
【0047】
水としては、水道水、ミネラルウォーター、かん水、海水、超純水、極地氷由来水、含鉱水、精製水等を挙げることができる。これらの水は任意の割合で配合することができる。
【0048】
【実施例】
実施例1
(植物由来スフィンゴ糖脂質を含有したリポソーム水溶液の膜物性試験)
植物(トウモロコシ)由来のスフィンゴ糖脂質ならびにβ―グルカンを含有するリポソーム水溶液を用いて、リポソーム二分子膜に及ぼす影響について二分子膜の微視的測定により検討を行った。
植物(トウモロコシ)由来のスフィンゴ糖脂質0.05%およびβ―グルカン0.03%を含有するリポソームと大豆レシチン(濃度:1.0%)より成るリポソーム、ならびに界面活性剤リポソーム(界面活性剤:DDAB 濃度1.0%)の3種類のリポソーム分散液を作成し、これらの溶液を用いて蛍光偏光度の測定により各リポソーム二分子膜の微視的粘性を蛍光偏光度を測定する事により行った。その結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
表1に示した結果から明らかなように、一般に界面活性剤及びレシチン(大豆)から形成されるリポソームの二分子膜の膜粘性に比べ、植物(トウモロコシ)由来スフィンゴ糖脂質とβ―グルカンを含有したリポソーム水溶液(corn shingolipid complex)の二分子膜の膜粘性の方が高い値を示すことがわかり、従って、レシチンからなるリポソームより強固な膜を有するリポソームであることが明らかとなった。
【0051】
実施例2(クリームによるラジカルスカベンジ効果試験)
植物(トウモロコシ)由来スフィンゴ糖脂質(以下、「コーンスフィンゴ糖脂質」と略称する)と酵母抽出物(β―グルカン)、ならびに海洋深層水を配合したクリームを被験者10人の腕に塗布し、ラジカルスカベンジ効果を評価した。
【0052】
(処方例)
(W / W%)
酵母抽出物(β−グルカン) 0.03
コーンスフィンゴ糖脂質 各濃度
海洋深層水(逆浸透膜濾過済み) 50.0
ホホバ油 10.0
リン脂質 0.5
グリセリン脂肪酸エステル 2.0
高級アルコール 3.0
多価アルコール脂肪酸エステル 0.5
カルボキシビニルポリマー 0.05
グリセリン 7.0
1,3−ブチレングリコール 7.0
L−アルギニン 0.1
保湿剤(ベタイン) 0.5
防腐剤(安息香酸エステル) 0.5
精製水 全量を100に調整
【0053】
製造方法は、定法に従い調製し、クリームとした。
【0054】
なお、ここで用いた海洋深層水(逆浸透膜濾過済み)とは、海洋深層水原水を逆浸透膜濾過によって処理された水である。
定法に従い作成した上記クリーム(バルク)2gを上腕に塗布した後、表皮を採取し、その表皮を用いてFe2+を触媒としてH2O2の分解をしてin vitroでヒドロキシラジカルを発生させ測定を行った。その結果を表2に示す。
【0055】
【表2】
【0056】
表2に示した結果から明らかなように、コーンスフィンゴ糖脂質を含有したリポソーム水溶液を用いることによって、従来のリポソーム単独水溶液に比べ、より短い時間で抗酸化効果を有することがわかった。
【0057】
実施例3(クリームによるしわへの効果試験)
実施例2に示した処方の、酵母抽出物(β―グルカン)、コーンスフィンゴ糖脂質(濃度:0.01%)、ならびに海洋深層水を配合したクリームを被験者10人の顔に塗布し、目視、ならびに画像解析により、しわの改善効果の評価をおこなった。
【0058】
なお、ここで用いた海洋深層水(逆浸透膜濾過済み)とは、海洋深層水原水を逆浸透膜濾過によって処理された水である。
【0059】
(評価方法)
定法に従い作成した上記クリームを被験者の顔に塗布し、packman SFL等級システムを用いて2人の評価者が個々に、20人の患者の口と目周辺部位のシワを評価した。
【0060】
また30人の被験者の皮膚表面のシリコンレプリカを作成し、そのうちの10個をランダムに選び、画像解析によりしわの改善効果を評価した。その結果を表3に示す。
【0061】
【表3】
【0062】
表3に示した結果から明らかなように、β―グルカンのみを配合したリポソーム分散液では約4週間で効果が出てきたのに比べ、コーンスフィンゴ糖脂質を配合したβ―グルンカン含有リポソーム分散液を用いることによって、より短い時間で改善効果が見られ、またその効果が持続的であることが見出された。
【0063】
【発明の効果】
本発明によれば、植物(トウモロコシ)由来のスフィンゴ糖脂質とβ−グルカンを化粧料に含有させることで、皮膚上に細胞間脂質と類似の構造を有する脂質膜を形成する。また細胞間脂質に類似したリポソームへ内包させたβ−グルカンの徐放化が可能となり、それによりバリアー能の強化、さらには従来用いられている保湿・湿潤成分(尿素、グリセリンなど)に比べ高い保湿効果を継続的に有する、感触の優れた化粧料を提供することができる。
【0064】
動物由来の成分を用いないため、BSEの心配のない皮膚化粧料を提供することができる。
【0065】
また、植物(トウモロコシ)由来のスフィンゴ糖脂質は皮膚中に存在する脂質と類似の構造を有することから、肌への安全性の高い化粧料の提供も可能となる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、植物(トウモロコシ)由来のスフィンゴ糖脂質を含有する皮膚化粧料組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、皮膚化粧料組成物には、さまざまな動物由来の成分を含有するものが知られている。
【0003】
たとえば、ヒト、ウシ、ブタ、ヒツジ等の胎盤から得られる水抽出エキスであるプラセンタエキスは、古くから医薬品及び化粧品分野で用いられてきた原料の一つである。特にウシ胎盤から得られたウシ胎盤抽出液は、広く化粧品分野において美白剤の有効成分として用いられている。
【0004】
また、牛、豚、魚類由来のコラーゲンは、皮膚に対して潤い向上効果、保護効果、繊維芽細胞増殖効果を有する成分として皮膚化粧料に配合されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年において我が国でもいわゆる狂牛病(BSE)の発生が報告されてから、動物由来、特にウシ由来の成分を配合した化粧品が、消費者に忌避されるようになった。したがって、動物由来、特にウシ由来の成分を配合せずに、従来と同等の性能を有する皮膚化粧料の開発が急務である。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、安全性を確保するために、動物由来の成分を配合せずに、バリアー能および感触性に優れた皮膚化粧料組成物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、糖脂質である植物(トウモロコシ)由来スフィンゴ糖脂質と糖鎖を有するβ−グルカンは、おなじ由来のグルコース基の相互作用により、より結合性が高く、リポソーム二分子膜表面の膜粘性の向上につながることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は下記事項を要点とするものである。
(1) 植物(トウモロコシ)由来のスフィンゴ糖脂質およびβ−グルカンを含むことを特徴とする皮膚化粧料組成物。
(2) 植物(トウモロコシ)由来のスフィンゴ糖脂質およびβ−グルカンを含有するリポソームを含むことを特徴とする皮膚化粧料組成物。
(3) 植物(トウモロコシ)由来のスフィンゴ糖脂質を含有するリポソーム分散液、β−グルカンおよび海洋深層水を含むことを特徴とする皮膚化粧料組成物。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0010】
本発明の皮膚化粧料組成物に配合される植物(トウモロコシ)由来のスフィンゴ糖脂質とは、とうもろこしZea mats Linne (Gramineae)の胚芽から抽出、精製したスフィンゴ糖脂質であり、グリコシルセラミド(セルブロシド)ならびにステリルグリコシドを含むものである。
【0011】
本発明における植物(トウモロコシ)由来のスフィンゴ糖脂質の作用は、加齢に伴う経表皮水分喪失の増加の制御、および皮膚刺激緩和作用が上げられる。また、スフィンゴ糖脂質に含有されるセレブロシドは、細胞間脂質の重要な前駆体成分であり、角質層のバリヤー機能の向上効果も期待される。
【0012】
本発明で使用する植物由来スフィンゴ糖脂質は、その構成成分であるセレブロシドとステリルグリコシドの配合比率を1:1にすることで、リポソーム単独で調製された化粧料に比べ、高いバリヤー能を示すことが可能となり、高い保湿効果も期待できる。
【0013】
この発明の化粧料において、植物(トウモロコシ)由来のスフィンゴ糖脂質は、粉末あるいは固形状態のものを0.001〜0.1%配合するのが好ましい。配合量が0.001%未満であると植物(トウモロコシ)由来のスフィンゴ糖脂質特有のバリヤー能やそれに伴う保湿作用が有効に発揮されず、配合量が0.1%を越えると、変色、変臭などの安定性に影響を及ぼす可能性があり、好ましくない。
【0014】
なお、本発明の皮膚化粧料組成物において、植物(トウモロコシ)由来のスフィンゴ糖脂質はリポソーム分散液に含有させたものであるが、リポソーム分散液に植物(トウモロコシ)由来のスフィンゴ糖脂質を加えることにより、化粧料組成物が有効成分等の皮膚に対する親和性の点で好ましい。
【0015】
本発明における植物(トウモロコシ)由来のスフィンゴ糖脂質を含有するリポソーム分散液とは、コーンスフィンゴ糖脂質とリポソーム形成基材を同時に含有した分散液であり、リポソーム調製法には特に制限はなく、これまで知られている種々のリポソーム調製法が利用できる。例えば、植物(トウモロコシ)由来スフィンゴ糖脂質と下記膜形成基材を加え、超音波処理をすればよい。
【0016】
その際の植物(トウモロコシ)由来スフィンゴ糖脂質の最適添加量は、リポソーム分散液あたり、0.001〜0.01重量%が好ましい。
【0017】
リポソームの膜形成基剤としては、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、リゾホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、卵黄レシチン、大豆レシチン等の天然もしくは合成のリン脂質または水素添加リン脂質、コレステロール、コレステロールのアルキルエステル等のコレステロール類、フィトステロール、フィトステロールのアルキルエステル、グリセロ糖脂質、セチルガラクトサイドのようなアシルグルコシド、ジアルキル類合成界面活性剤、N−アシル−スフィンゴシンまたはその硫酸エステル、N−アシルスフィンゴ糖脂質、N−高級アシルグルタチオンの1種または2種以上の混合物が挙げられる。
【0018】
本発明化粧料組成物は、上記の植物(トウモロコシ)由来のスフィンゴ糖脂質を含有するリポソーム分散液にβ−グルカンを併用したものである。
【0019】
本発明におけるβ−グルカンとは、分子量が15〜40万、好ましくは20〜30万からなる物であり、D‐グルコピラノースの縮重合体で、デンプン、グリコーゲン、セルロースなど、天然に広汎に存在するβ型の多糖である。また、グリコシド結合の位置により1→3,1→4,1→6結合が区別される。
【0020】
β−グルカンを含有する物質としては、例えば、酵母、酵母抽出液等を挙げることができるが、β−グルカンを含有するものであれば特に限定されない。
【0021】
本発明における、β−グルカンは0.001〜0.04%程度配合すればよい。β−グルカンの配合量が0.001%未満では、β―グルカン特有の免疫機能向上効果が有効に発揮されず、また0.04%を超えて配合すると、変色、変臭などの安定性に影響を及ぼす可能性があり、好ましくない。
【0022】
β−グルカンは、植物(トウモロコシ)由来のスフィンゴ糖脂質を含有するリポソーム分散液にβ−グルカンを配合してもよいし、植物(トウモロコシ)由来のスフィンゴ糖脂質とβ−グルカンを用いてリポソーム分散液としてもよい。
【0023】
β−グルカンは、分子運動性の高い高次構造を有し、T細胞、補体系などの免疫増強に関わる種種の細胞や活性化や増量が報告されており、多彩な生物活性を持っているが、その一方で、物質、分子レベルでの作用機構の解析は、ほとんどなされていない。しかし、皮膚免疫で主要な働きをするのは表皮ランゲルハンス細胞であり、これは、外部からの侵入等があると、その情報をT細胞に伝えるという抗原提示機能を持つ。
【0024】
したがって、このT細胞の活性化に密接な関係のあるβ−グルカンを化粧料に配合することは、従来の表皮を中心としたケアによる老化防止とは異なり、生体系そのものの免疫機能の向上を示すものである。また、全ての酵母、酵母抽出液がこれらの性質全ての機能を持つわけではないので、この酵母、酵母抽出液に皮膚への浸透性の高い海洋深層水、ならびに保湿、柔軟効果を有する有効成分、ならびに抗酸化力を有する成分を配合することで皮膚免疫機能の向上および保護が示される。
【0025】
これまでの「皮膚老化防止化粧料」は、(季節的変化による)肌荒れや、皮膚機能の一時的な低下により生じる皮膚トラブル等を中心に作用するものであったが、近年増加する敏感肌人間等の生体系全体の失調に起因する肌荒れには、その人の生体系全体のバランスを改善する必要がある。そこで、本発明のβ―グルカンを配合した皮膚化粧料組成物は、免疫系に作用し、生体系のバランスを肌機能内部より改善するものである。
しかし、本発明で用いる「酵母・酵母抽出物」は、従来より皮膚保湿効果や美容効果、さらにはサプリメント等への配合も行われているものであり、したがって、人体への影響は非常に緩和なものである。
【0026】
このような高機能を有する2種の原料・スフィンゴ糖脂質とβ―グルカンを組み合わせることにより、皮膚表面のバリヤー機能に優れ、かつ免疫活性化が期待される新規皮膚化粧料の開発が可能となった。
【0027】
この他、リポソームの安定化もしくは相転移温度の改善のために多価アルコール、高級アルコール、高級脂肪酸等を必要に応じて配合することができる。
【0028】
また、全ての酵母、酵母抽出液がこれらの性質全ての機能を持つわけではないので、この酵母、酵母抽出液に皮膚への浸透性の高い海洋深層水、ならびに保湿、柔軟効果を有する有効成分、ならびに抗酸化力を有する成分を配合することで皮膚免疫機能の向上および保護が示される。
【0029】
本発明における海洋深層水とは、表面海水が沈降していて層を形成しているもので、低温かつ清浄で栄養塩に富む固有水であり、その取水海域としては、例えば高知県室戸岬沖1000〜4000m、好ましくは2000〜3000mであり、取水深度は250〜500m、好ましくは300〜400mである。
【0030】
海洋深層水は、数多くのミネラルを含有していることから、保湿性に優れ、浸透性に優れていることから、皮膚化粧料組成物に配合した場合、有効成分の皮膚内への浸透を促進する働きがあるものと考えられる。
【0031】
海洋深層水の配合量としては、50〜99%、好ましくは50〜90%である。
【0032】
本発明の皮膚化粧料組成物は、例えば乳液、クリーム、化粧水、パック、洗顔料、マッサージ料、ジェルなどの化粧品並びにボディ用化粧料や医薬部外品等とすることができる。また、これらの化粧料の調整法は、常法に従えばよい。さらに本発明の皮膚化粧料組成物の剤形は任意であり、たとえば、可溶化系乳化剤形あるいは分散剤の剤形を採用することができる。
【0033】
上記した必須成分の他に、通常の化粧料に配合される下記成分、例えば、油剤、炭化水素類、ロウ類、脂肪酸、合成エステル類、アルコール類、粉体、界面活性剤、増粘剤、保湿剤、防腐剤、香料、顔料、薬剤、水、低級アルコール、高分子化合物、ゲル化剤、酸化防止剤、美容成分等を本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択して用いることができる。
【0034】
油脂類としては、例えばホホバ油、ヒマシ油、オリーブ油、大豆油、ヤシ油、パーム油、カカオ油、ミンク油、タートル油等を挙げることができる。
【0035】
炭化水素類としては、例えば流動パラフィン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、スクワラン等を挙げることができる。
【0036】
ロウ類としては、ミツロウ、ラノリン、カルナバロウ、キャンデリラロウ等を挙げることができる。
【0037】
脂肪酸としては、例えばミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸等を挙げることができる。
【0038】
合成エステル類としては、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、モノステアリン酸プロピレングリコール、乳酸ミリスチル、リンゴ酸イソステアリル、モノステアリン酸グリセリン、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム塩等を挙げることができる。
【0039】
アルコール類としては、エタノール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ラウリルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等を挙げることができる。これらのアルコール類は、通常0〜25w/wt%の割合で配合することができる。
【0040】
界面活性剤としては、例えばグリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ライルル硫酸ナトリウム、ピログルタミン酸イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ジアルキルスルホコハク酸、臭化セチルピリジニウム、塩化−N−オクタデシルトリメチルアンモニウム、モノアルキルリン酸、N−アシルグルタミン、N−アシルグルタミン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン還元ラノリン等が挙げられる。これらの界面活性剤は、通常0〜10w/w%の割合で配合することができる。
【0041】
増粘剤としては、たとえばカルボキシビニルポリマー、メチルポリシロキサン、デキストラン、カルボキシメチルセルロース、カラギーナン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。これらの増粘剤は、通常0〜25w/w%の割合で配合することができる。
【0042】
保湿剤としては、たとえばグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ピログルタミン酸、アセチルグルタミン酸、ヒアルロン酸、プロシアニジン等を挙げることができる。これらの保湿剤は、通常0〜5w/w%の割合で配合される。
【0043】
防腐剤としては、例えば安息香酸、サリチル酸、デヒドロ酢酸あるいはそれらの塩類、パラオキシ安息香酸エステル類のフェノール類、トリクロサンハロカルバン等を挙げることができる。通常、これらの防腐剤は、0〜0.3w/w%の割合で配合することができる。
【0044】
香料は、通常化粧料に用いられるものであれば、どのような香料を用いてもよい。
【0045】
顔料としては、たとえば酸化鉄、二酸化チタン、酸化亜鉛、カオリン、タルク等が挙げられる。これらの顔料は、通常0〜5w/w%の割合で配合することができる。
【0046】
薬剤としては、たとえば小麦胚芽油、ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンE、アスコルビン酸−2−リン酸マグネシウムあるいはナトリウム、D−パントテールアルコール、グリチルリチン酸ジカリウム、グルタチオン、UV−吸収剤、キレート剤、植物抽出物、微生物代謝物/抽出物等を挙げることができる。これらの薬剤は、通常0〜5w/w%の割合で配合することができる。
【0047】
水としては、水道水、ミネラルウォーター、かん水、海水、超純水、極地氷由来水、含鉱水、精製水等を挙げることができる。これらの水は任意の割合で配合することができる。
【0048】
【実施例】
実施例1
(植物由来スフィンゴ糖脂質を含有したリポソーム水溶液の膜物性試験)
植物(トウモロコシ)由来のスフィンゴ糖脂質ならびにβ―グルカンを含有するリポソーム水溶液を用いて、リポソーム二分子膜に及ぼす影響について二分子膜の微視的測定により検討を行った。
植物(トウモロコシ)由来のスフィンゴ糖脂質0.05%およびβ―グルカン0.03%を含有するリポソームと大豆レシチン(濃度:1.0%)より成るリポソーム、ならびに界面活性剤リポソーム(界面活性剤:DDAB 濃度1.0%)の3種類のリポソーム分散液を作成し、これらの溶液を用いて蛍光偏光度の測定により各リポソーム二分子膜の微視的粘性を蛍光偏光度を測定する事により行った。その結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
表1に示した結果から明らかなように、一般に界面活性剤及びレシチン(大豆)から形成されるリポソームの二分子膜の膜粘性に比べ、植物(トウモロコシ)由来スフィンゴ糖脂質とβ―グルカンを含有したリポソーム水溶液(corn shingolipid complex)の二分子膜の膜粘性の方が高い値を示すことがわかり、従って、レシチンからなるリポソームより強固な膜を有するリポソームであることが明らかとなった。
【0051】
実施例2(クリームによるラジカルスカベンジ効果試験)
植物(トウモロコシ)由来スフィンゴ糖脂質(以下、「コーンスフィンゴ糖脂質」と略称する)と酵母抽出物(β―グルカン)、ならびに海洋深層水を配合したクリームを被験者10人の腕に塗布し、ラジカルスカベンジ効果を評価した。
【0052】
(処方例)
(W / W%)
酵母抽出物(β−グルカン) 0.03
コーンスフィンゴ糖脂質 各濃度
海洋深層水(逆浸透膜濾過済み) 50.0
ホホバ油 10.0
リン脂質 0.5
グリセリン脂肪酸エステル 2.0
高級アルコール 3.0
多価アルコール脂肪酸エステル 0.5
カルボキシビニルポリマー 0.05
グリセリン 7.0
1,3−ブチレングリコール 7.0
L−アルギニン 0.1
保湿剤(ベタイン) 0.5
防腐剤(安息香酸エステル) 0.5
精製水 全量を100に調整
【0053】
製造方法は、定法に従い調製し、クリームとした。
【0054】
なお、ここで用いた海洋深層水(逆浸透膜濾過済み)とは、海洋深層水原水を逆浸透膜濾過によって処理された水である。
定法に従い作成した上記クリーム(バルク)2gを上腕に塗布した後、表皮を採取し、その表皮を用いてFe2+を触媒としてH2O2の分解をしてin vitroでヒドロキシラジカルを発生させ測定を行った。その結果を表2に示す。
【0055】
【表2】
【0056】
表2に示した結果から明らかなように、コーンスフィンゴ糖脂質を含有したリポソーム水溶液を用いることによって、従来のリポソーム単独水溶液に比べ、より短い時間で抗酸化効果を有することがわかった。
【0057】
実施例3(クリームによるしわへの効果試験)
実施例2に示した処方の、酵母抽出物(β―グルカン)、コーンスフィンゴ糖脂質(濃度:0.01%)、ならびに海洋深層水を配合したクリームを被験者10人の顔に塗布し、目視、ならびに画像解析により、しわの改善効果の評価をおこなった。
【0058】
なお、ここで用いた海洋深層水(逆浸透膜濾過済み)とは、海洋深層水原水を逆浸透膜濾過によって処理された水である。
【0059】
(評価方法)
定法に従い作成した上記クリームを被験者の顔に塗布し、packman SFL等級システムを用いて2人の評価者が個々に、20人の患者の口と目周辺部位のシワを評価した。
【0060】
また30人の被験者の皮膚表面のシリコンレプリカを作成し、そのうちの10個をランダムに選び、画像解析によりしわの改善効果を評価した。その結果を表3に示す。
【0061】
【表3】
【0062】
表3に示した結果から明らかなように、β―グルカンのみを配合したリポソーム分散液では約4週間で効果が出てきたのに比べ、コーンスフィンゴ糖脂質を配合したβ―グルンカン含有リポソーム分散液を用いることによって、より短い時間で改善効果が見られ、またその効果が持続的であることが見出された。
【0063】
【発明の効果】
本発明によれば、植物(トウモロコシ)由来のスフィンゴ糖脂質とβ−グルカンを化粧料に含有させることで、皮膚上に細胞間脂質と類似の構造を有する脂質膜を形成する。また細胞間脂質に類似したリポソームへ内包させたβ−グルカンの徐放化が可能となり、それによりバリアー能の強化、さらには従来用いられている保湿・湿潤成分(尿素、グリセリンなど)に比べ高い保湿効果を継続的に有する、感触の優れた化粧料を提供することができる。
【0064】
動物由来の成分を用いないため、BSEの心配のない皮膚化粧料を提供することができる。
【0065】
また、植物(トウモロコシ)由来のスフィンゴ糖脂質は皮膚中に存在する脂質と類似の構造を有することから、肌への安全性の高い化粧料の提供も可能となる。
Claims (3)
- 植物(トウモロコシ)由来のスフィンゴ糖脂質およびβ−グルカンを含むことを特徴とする皮膚化粧料組成物。
- 植物(トウモロコシ)由来のスフィンゴ糖脂質およびβ−グルカンを含有するリポソームを含むことを特徴とする皮膚化粧料組成物。
- 植物(トウモロコシ)由来のスフィンゴ糖脂質を含有するリポソーム分散液、β−グルカンおよび海洋深層水を含むことを特徴とする皮膚化粧料組成物。
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