JP2004050821A - 水蒸気透過防止膜およびその製造方法 - Google Patents

水蒸気透過防止膜およびその製造方法 Download PDF

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Kimio Kinoshita
木下 公男
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Abstract

【課題】水蒸気透過防止性に優れた水蒸気透過防止膜およびその製造方法を提供する。
【解決手段】有機EL素子10は、基板12上に、透明電極14、発光層16、背面電極18が積層された基本構成を有する。基板12は、樹脂基板あるいは樹脂フィルムである。透明電極14は、ITO膜である。トップエミッションタイプの場合、背面電極18は、透明電極である。基板12上に金属膜19および酸化窒化ケイ素膜20からなる水蒸気透過防止膜22が形成される。背面電極18上に酸化窒化ケイ素膜26が形成され、背面電極18および酸化窒化ケイ素膜26は水蒸気透過防止膜28を構成する。
【選択図】     図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水蒸気透過防止膜およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、有機EL(Electroluminescence)素子は、発光層が水分に非常に弱いため、水分(水蒸気)の浸入を防止することが必須である。
【0003】
このため、例えば図1に示す有機EL素子1aのように、ガラス基板2a上に形成された素子本体4aの全体を封止用メタル缶5aで覆い、乾燥剤5bを入れた状態で封止することが行われている。なお、図1中、参照符号6aは陽極透明電極を示し、参照符号7aは陰極電極を示す。しかしながら、有機EL素子1aは、ガラス基板2aおよび封止用メタル缶5aを有するために素子の小型化、軽量化が阻害される。
【0004】
このため、例えば図2に示す有機EL素子1bのように、厚みの薄い樹脂基板2bを用い、樹脂基板2bを通して水分が素子本体4bに浸入することを防止するために、樹脂基板2bと陽極透明電極6bとの間に水分の透過を防止する防止膜(水蒸気透過防止膜、防湿バリア膜)8aを設けるとともに、陰極電極7b上を封止用保護膜8bで成膜することが行われている。このような防止膜8aあるいは封止用保護膜8bとしては、酸化ケイ素膜や酸化アルミニウム膜等が広く用いられている。また、防止膜8aあるいは封止用保護膜8bに透明性が必要な場合には、窒化ケイ素膜も用いられる。
【0005】
なお、例えば図3に示す有機EL素子1cのように、発光した光を陰極電極7cの上面から放出するトップエミッション型の場合、表示装置の画素単位に配列された、陽極電極6cおよび素子本体4c、4c間を隔壁9aで仕切るとともに、陰極電極7cを透明なITO膜で形成し、さらに陰極電極7cの上に透明な封止膜8cを成膜し、さらに封止膜8c上に透明なシール層8dを形成することも行われている。図3中、参照符号2cはガラス基板を示し、参照符号9bはTFTを含む駆動回路を示す。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−68264号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した水蒸気透過防止性を有する膜を設けた従来の有機EL素子において、水蒸気透過防止性を有する各膜が必ずしも充分な水蒸気透過防止性能を発揮しない場合がある。
【0008】
この原因としては、水蒸気透過防止性を有する膜を成膜する被成膜部材である、例えば上記の樹脂基板等の表面状態によって、水蒸気透過防止性を有する膜の成膜状態が左右されるためと考えられる。この場合、水蒸気透過防止性を有する膜の厚みを大きくすることで水蒸気透過防止性を確保することも考えられるが、材料のロスや素子の嵩が大きくなる等の問題が生じる。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、水蒸気(水分)透過防止性に優れた水蒸気透過防止膜およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る水蒸気透過防止膜は、被成膜部材に成膜される水蒸気透過防止膜であって、該被成膜部材に成膜され、マイグレーション性に優れて成膜後に平滑な表面状態が得られる金属膜と、該金属膜に成膜され、水蒸気透過防止性を有する防止膜とを含むことを特徴とする。
【0011】
本発明者が鋭意検討した結果、例えば有機EL素子の樹脂基板等の被成膜部材に水蒸気透過防止性を有する防止膜を成膜した場合、被成膜部材表面の凹凸が大きいと防止膜の水蒸気透過防止性が低下することを見出した。そして、表面が平滑な被成膜部材に防止膜を成膜すると水蒸気透過防止性が向上することがわかった。
【0012】
この場合、前記金属膜は、ITO(Indium Tin Oxide)、酸化スズ、酸化インジウムまたは酸化亜鉛のいずれかよりなる膜を用いることができる。また、前記防止膜は、酸化窒化ケイ素(SiOxNy)、二酸化ケイ素、酸化アルミニウムまたは窒化ケイ素のいずれかからなる膜を用いることができる。
【0013】
この場合、前記被成膜部材が樹脂材料で形成されていると、被成膜部材が水分透過性を有すること、また、被成膜部材部材の表面の凹凸が一般に大きいために、さらに、成膜過程で成膜表面の粗度がさらに大きくなるおそれを有するため、より好適に上記の効果を発現することができる。
【0014】
また、この場合、前記被成膜部材の表面の粗さが平均粗度として0.9nm以上あり、または、前記被成膜部材の表面の凹凸の最大高低差が50nm以上あると、より好適に本発明の効果を得ることができる。
【0015】
また、本発明に係る水蒸気透過防止膜の製造方法は、上記の水蒸気透過防止膜の製造方法であって、イオンプレーティング法によって金属膜を成膜することを特徴とする。
【0016】
これにより、例えばスパッタ法により成膜する場合に比べて、表面の平滑性のより大きい金属膜を得ることができるため、好適である。
【0017】
また、この場合、防止膜をイオンプレーティング法で形成してもよい。
【0018】
この場合、前記被成膜部は、連続フィルムを用いてもよい。
【0019】
また、この場合、前記連続フィルムの、イオンプレーティング法による成膜がされる第1の面に対向する第2の面は、フィルム支持部に接した状態であるようにすると、前記連続フィルムが前記フィルム支持部を介して冷却され、前記連続フィルムの温度上昇を抑えることができて好適である。そのために、イオンプレーティング法で成膜する場合の放電電流を上げることができ、成膜速度を上昇させて処理効率を向上させることが可能になる。
【0020】
また、この場合、前記連続フィルムは、フィルム送出部から前記フィルム支持部に供給され、さらにフィルム収納部に収納されるようにすると、前記連続フィルムに連続的に成膜することが可能となり、成膜を効率的に行う事が可能となる。
【0021】
また、この場合、前記フィルム支持部が冷却されていると、前記連続フィルムを効率的に冷却することが可能となる。そのために、さらに、イオンプレーティング法で成膜する場合の放電電流を上げることができ、成膜速度を上昇させて処理効率を向上させることが可能になる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明に係る水蒸気透過防止膜およびその製造方法の好適な実施の形態(以下、本実施の形態例という。)について、水蒸気透過防止膜が適用される素子として有機EL素子を例にとり、以下に説明する。
【0023】
本実施の形態例に係る水蒸気透過防止膜を有する有機EL素子について、図4を参照して説明する。
【0024】
有機EL素子10は、図4に示すように、基板12上に、透明電極(陽極電極)14、発光層16、背面電極(陰極電極)18が積層された基本構成を有する。なお、図示しないが、通常、発光層16と透明電極14との間に正孔輸送層が設けられ、発光層16と背面電極18との間に電子輸送層が設けられる。
【0025】
基板12は、被成膜部材であり、例えば、PC(ポリカーボネート)やPET(ポリエチレンテレフタレート)等の樹脂からなる樹脂基板あるいは樹脂フィルムである。このような基板12は、ガラス基板等と異なり、水分(水蒸気)透過性を有する。このため、水分の浸入による発光層16の劣化を防止するために、基板12に水分透過防止性を付与する必要がある。また、このような樹脂材料からなる基板12は、具体的データについては後述するようにガラス基板に比べると表面が粗い。すなわち、基板12は、水蒸気の浸入を防止することが求められ、かつ粗い表面状態にある被成膜部材ということができる。基板12は、樹脂フィルムの場合、例えば0.1〜0.5mm程度の厚みに形成される。
【0026】
透明電極14は、透明性を有する金属膜が用いられ、このような金属膜としては一般的には、ITO膜が用いられる。透明電極14は、例えば150nm程度の厚みに形成される。
【0027】
発光層16は、蛍光体等の発光体を含む有機物からなる層である。
【0028】
背面電極18は、発光した光が基板12側から放射されるボトムエミッションタイプの場合は、通常アルミニウムに代表される金属膜が用いられる。これに対して発光した光が背面電極18側から放射されるトップエミッションタイプの場合、背面電極18は、例えばITO膜等の透明電極が用いられる。背面電極18は、例えば150μm程度の厚みに形成される。
【0029】
有機EL素子10は、基板12と透明電極14との間にさらに金属膜19と酸化窒化ケイ素(SiOxNy)膜(防止膜)20が設けられており、金属膜19および酸化窒化ケイ素膜20が本発明の水蒸気透過防止膜22を構成する。酸化窒化ケイ素膜20は、例えば30〜100nm程度の厚みに形成される。
【0030】
また、背面電極18の上に酸化窒化ケイ素膜26を成膜することにより、本発明の水蒸気透過防止膜28が設けられている。すなわち、背面電極18は、陽極電極としての役割と酸化窒化ケイ素膜26が成膜される膜(金属膜)としての役割とを兼ねている。酸化窒化ケイ素膜26は例えば30〜100nm程度の厚みに形成される。
【0031】
本実施の形態例に係る水蒸気透過防止膜22、28は、成膜時のマイグレーション(表面拡散)性に優れるITO材料を用いてITO膜が形成されるため、ITO膜は表面の粗い基板12上に形成されているにも関わらず、平滑な表面を有する。そして、平滑な表面を有するITO膜の上に水蒸気透過防止性に優れる酸化窒化ケイ素膜が形成されている。この点については、さらに後述する。
【0032】
この場合、酸化窒化ケイ素膜20、26が成膜される膜(金属膜)18、19は、ITO膜に変えて、酸化スズ膜、酸化インジウム膜、酸化亜鉛膜等を用いてもよい。また、防止膜としては、酸化窒化ケイ素膜20、26に変えて、二酸化ケイ素膜、酸化アルミニウム膜等を用いてもよく、また、透明性が必要な場合は窒化ケイ素膜を用いてもよい。
【0033】
なお、水蒸気透過防止膜22については、透明電極14であるITO膜に本発明の金属膜としての機能のみを持たせる場合であれば、基板12の下面側に、好適にはITO膜を基板12の側に向けて水蒸気透過防止膜を設けてもよい。また、水蒸気透過防止膜28については、発光層16と背面電極18との間に金属膜および酸化窒化ケイ素膜(防止膜)からなる層を設ける構成としてもよい。
【0034】
水蒸気透過防止膜22、28をはじめとする上記の各膜は、イオンプレーティング法、スパッタ法、電子円蒸着法等の各種のPVD法あるいはCVD法を用いて、基板12上に順次成膜することにより、形成することができる。この場合、より好ましくは、イオンプレーティング法により水蒸気透過防止膜22、28を形成する。
【0035】
イオンプレーティングを好適に実施することができるイオンプレーティング装置について図5を参照してその装置構成および作用を説明する。
【0036】
図5に示すイオンプレーティング装置30では、圧力勾配型のプラズマガン32からプラズマビームPBが真空容器(成膜室)34中に照射される。真空容器(成膜室)34の下部には、ハース36が配設されており、ハース36の貫通孔THに成膜材料ロッド38が挿入される。プラズマビームPBはハース36に入射するが、このとき、ハース36が適当な正電位に制御されることにより、プラズマビームPBは確実にハース36に導かれる。プラズマビームPBによって加熱された成膜材料ロッド38は、上端を蒸発されつつ供給装置40によって徐々に突き上げられる。ハース36と対向して真空容器34の上部には搬送機構WHによって搬送された基板Wが配置される。蒸発した成膜材料粒子は、プラズマビームPB中でイオン化され、イオン化した成膜材料粒子が基板Wの表面に付着し、これにより基板Wが成膜される。なお、図5中、ハース36の周囲には永久磁石およびコイルが配置されており、これらによりカスプ状磁場が形成され、ハース36に入射するプラズマビームPBの向きが制御される。
【0037】
上記イオンプレーティング装置30は、成膜材料ロッド38がITO等の導電性材料の場合は、ハース36に導かれたプラズマビームPBによって成膜材料ロッド38自体が加熱されることにより、成膜材料が蒸発する。一方、成膜材料ロッド38が酸化ケイ素、窒化ケイ素等の導電性の低い材料の場合、加熱開始時にプラズマビームPBが成膜材料ロッド38に入射しないため、ハース36を導電性材料で形成することで、プラズマビームPBで加熱されたハース36を介して成膜材料ロッド38が加熱される。
【0038】
例えば樹脂フィルムからなる基板上に形成されるITO膜の成膜条件は、例えば、放電電流が160A、キャリアAr導入口42から導入されるArガス流量が120sccm、窒素酸素導入口41から導入されるOガス流量が10sccm、成膜時圧力が3mmTorr(0.4kPa)、基板温度が室温である。成膜したITO膜の厚みは、100〜150nmが適している。
【0039】
ITO膜上に形成される酸化窒化ケイ素膜の成膜条件は、例えば、成膜材料ロッド38が酸化ケイ素の場合、放電電流が120A、Arガス流量が40sccm、Nガス流量が200sccm、成膜時圧力が3mmTorr(0.4kPa)、基板温度が室温である。成膜した酸化窒化ケイ素膜の厚みは、30〜100nmが適している。
【0040】
上記の各成膜条件により、樹脂フィルムからなる基板上に、ITO膜および酸化窒化ケイ素膜からなる本実施の形態例の水蒸気透過防止膜を成膜したときの水蒸気透過防止膜の水蒸気透過度(正確には、樹脂フィルムを含む全体の水蒸気透過度)を測定した結果、水蒸気透過度は0.01g/m・day以下、すなわち、用いた測定装置の定量限界以下であった。
【0041】
参考例として、本実施の形態例の水蒸気透過防止膜の場合と同様の条件で、ITO膜を設けることなく酸化窒化ケイ素膜のみを基板上に直接形成し、酸化窒化ケイ素膜の水蒸気透過度(正確には、樹脂フィルムを含む全体の水蒸気透過度)を測定した結果、水蒸気透過度は0.1g/m・dayであった。
【0042】
上記の本実施の形態例に係る水蒸気透過防止膜の防止膜が成膜される被成膜材料であるITO膜および参考例の水蒸気透過防止膜(酸化窒化ケイ素膜)が成膜される被成膜材料である樹脂フィルムのそれぞれの表面の粗さをそれぞれ40μm角の範囲で調べた。なお、表面の粗さの指標として平均粗度(Ra)および凹凸の最大高低差を用い、いずれも原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope)で測定した。
【0043】
本実施の形態例の場合、樹脂フィルム上に成膜されたITO膜の表面の平均粗度(Ra)は0.8nmであり、表面の凹凸の最大高低差は10.5nmであった。これに対して、参考例の場合、樹脂フィルムの表面の平均粗度(Ra)は1.04nmであり、表面の凹凸の最大高低差は53.8nmであった。ちなみに、ガラス基板については、表面の平均粗度(Ra)は約0.2nmであり、表面の凹凸の最大高低差は約8nmであった。
【0044】
以上の知見より考察すると、従来あるいは参考例の場合、表面の粗い樹脂フィルムの上に防止膜を直接成膜したときは、防止膜を形成する酸化窒素ケイ素等の粒子の樹脂フィルム上でのマイグレーションが樹脂フィルムの凹凸により阻害されて均質な防止膜を得ることができず、このとき、樹脂フィルムの極端な凹凸の上に形成した酸化窒素ケイ素膜の部位の膜厚が極端に薄くなり例えば孔欠陥を生じる等の理由により、防止膜の水蒸気透過防止性が低下するものと考えられる。一方、本実施の形態例によれば、表面が粗い基板の上に、マイグレーション性に優れるITO材料により成膜されたITO膜の表面が平滑に形成され、さらにそのITO膜の上に水分透過防止性に優れる防止膜が成膜されるため、これら従来あるいは参考例の不具合が軽減されたものと考えられる。
【0045】
また、前記イオンプレーティング装置30は、図6に示す、イオンプレーティング装置30Aのように変更して用いることが可能であり、前記イオンプレーティング30を用いた場合と同様に前記金属膜および防止膜を形成することが可能である。ただし図中、先に説明した部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0046】
図6を参照するに、イオンプレーティング装置30Aは、大別して前記ハース36およびプラズマガン32を含むプラズマ発生部50と、被成膜部材を保持する成膜部60からなる。
【0047】
前記成膜部60の概略は、当該成膜部60は、前記真空容器34の外壁によって画成され、内部には略円筒状の、成膜用ロール部61、フィルム送出用ロール部62およびフィルム巻取り用ロール部63が設置されている。
【0048】
前記フィルム送出用ロール部62に巻き付けられている被成膜部材、例えば樹脂材料からなる、連続フィルムである、フィルムWaは、前記フィルム巻き取り用ロール部63を回転させることで、前記前記フィルム送出用ロール部62から引き出されるようにして、前記成膜用ロール部61の側壁であるL部に接するように供給され、当該フィルムWa上に金属膜や防止膜などの成膜が完了すると、前記フィルム巻き取り用ロール部63に巻き取られるように収納される。
【0049】
また、2層の膜を成膜するときは、前記送出用ロール部62を回転させて、前記送出用ロール部62に前記フィルムWaが巻き取られるように収納される。
【0050】
前記フィルムWaの第1の面は前記ハース36に面しており、当該第1の面上のD部に、例えばITO膜からなる金属膜や、また、例えば酸化窒化ケイ素膜からなる防止膜の成膜が行われる。
【0051】
この場合、前記フィルム送出用ロール部62および前記フィルム巻取り用ロール部63に引っ張られる方向に前記フィルムWaに力が加わり、前記フィルムWaの前記第1の面に対向する第2の面は、前記成膜用ロール部61に前記L部で接触している。そのため、前記フィルムWaは前記成膜用ロール部のL部を介して冷却され、前記フィルムWaの、前記第1の面のD部での成膜時の温度上昇を抑えることが可能になる。
【0052】
そのため、成膜時の放電電流を、上昇させることが可能となり、成膜レートが上がって処理効率を増大させることが可能となる。
【0053】
さらに、前記成膜用ロール部61には、冷却機構が設けられており、前記成膜用ロール部61を冷却する構造になっている。例えば、前記成膜用ロール部61には、導入路65および排出路66を介して、循環装置64が接続される。
【0054】
前記循環装置64は熱交換媒体を、前記成膜用ロール部61内部に循環させる。前記成膜用ロール部61の内部には、図示しない流路が形成されており、前記流路を熱交換媒体が循環することにより、前記成膜用ロール部61が冷却される構造となっている。
【0055】
この場合、前記成膜用ロール部61が冷却されることにより、さらに前記フィルム61を冷却する効率が上がり、成膜時の放電電流をさらに上昇させることが可能となる。例えば、前記放電電流を250Aまで増大させることで、さらに成膜レートが上がって処理効率を増大させることが可能となる。
【0056】
また、このように、前記フィルム送出用ロール部62、成膜用ロール部61およびフィルム巻き取り用ロール部63を用いて被成膜部材に連続的に成膜を行うことで、成膜の効率が上がって、効率よく成膜処理を行う事が可能となる。
【0057】
以上説明したように、本実施の形態例に係る水蒸気透過防止膜は、平滑な表面状態を有する金属膜の上に防止膜を成膜するため、水蒸気透過防止性に優れた水蒸気透過防止膜を得ることができる。この場合、基板の表面の粗さが平均粗度として0.9nm以上あり、または、基板の表面の凹凸の最大高低差が50nm以上あると、より好適である。なお、金属膜および防止膜の合計の膜厚が400nm以下、より好ましくは300nm以下であると、より好適に本発明の効果を奏する。
【0058】
また、本実施の形態例に係る水蒸気透過防止膜は、イオンプレーティング法によって成膜されており、この場合、ハースには10〜20Vの低い電圧しかかからないため基板に入射する粒子のエネルギもそれと同等程度に小さい(10〜20eV程度)と考えられる。このため、例えば反跳Ar(アルゴン)のような数百eVのエネルギを持つ粒子が基板に入射するようなスパッタ法により成膜する場合に比べて、表面の平滑性のより良好な金属膜を得ることができる。
【0059】
本実施の形態例では、有機EL素子に用いられる水蒸気透過防止膜を例にとって説明したが、本発明は、上記の作用効果を奏する限り、有機EL素子以外にも用いることができ、例えば、食品包装、梱包用フィルムや、水蒸気透過防止性を必要とする医療関係器具、部品等に適用することが可能である。なお、水蒸気透過防止膜を成膜する被成膜部材は、表面の粗いものや水蒸気透過性の大きいものに限定されない。
【0060】
【発明の効果】
本発明に係る水蒸気透過防止膜によれば、被成膜部材に成膜される水蒸気透過防止膜であって、被成膜部材上に成膜され、マイグレーション性に優れて成膜後に平滑な表面状態が得られる金属膜と、金属膜上に成膜され、水蒸気透過防止性を有する防止膜とを含むため、水蒸気透過防止性に優れた水蒸気透過防止膜を得ることができる。
【0061】
また、本発明に係る水蒸気透過防止膜の製造方法によれば、上記の水蒸気透過防止膜の製造方法であって、イオンプレーティング法によって金属膜および防止膜を成膜するため、例えばスパッタ法により成膜する場合に比べて、表面の平滑性のより大きい金属膜を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の有機EL素子の一例の概略構成を示す図である。
【図2】従来の有機EL素子の他の一例の概略構成を示す図である。
【図3】従来の有機EL素子のさらに他の一例の概略構成を示す図である。
【図4】本実施の形態例に係る水蒸気透過防止膜を設けた有機EL素子の概略構成を示す図である。
【図5】本実施の形態例に係る水蒸気透過防止膜をイオンプレーティング法で形成するために用いるイオンプレーティング装置の概略構成を示す図である。
【図6】図5に示したイオンプレーティング装置の変更例である。
【符号の説明】
10 有機EL素子
12 基板
14 透明電極
16 発光層
18 背面電極
19 金属膜
20、26 酸化窒化ケイ素膜
22、28 水蒸気透過防止膜
24 ITO膜
30,30A イオンプレーティング装置
32 プラズマガン
34 真空容器
36 ハース
38 成膜材料ロッド
40 供給装置
41 窒素酸素導入口
42 キャリアAr導入口
W 基板
Wa フィルム
50 プラズマ発生部
60 成膜部
61 成膜用ロール部
62 フィルム送出用ロール部
63 フィルム巻き取り用ロール部
64 循環装置
65,66 流路

Claims (12)

  1. 被成膜部材に成膜される水蒸気透過防止膜であって、
    該被成膜部材に成膜され、マイグレーション性に優れて成膜後に平滑な表面状態が得られる金属膜と、該金属膜に成膜され、水蒸気透過防止性を有する防止膜とを含むことを特徴とする水蒸気透過防止膜。
  2. 前記金属膜は、ITO、酸化スズ、酸化インジウムまたは酸化亜鉛のいずれかよりなることを特徴とする請求項1記載の水蒸気透過防止膜。
  3. 前記防止膜は、酸化窒化ケイ素、二酸化ケイ素、酸化アルミニウムまたは窒化ケイ素のいずれかよりなることを特徴とする請求項1または2記載の水蒸気透過防止膜。
  4. 前記被成膜部材が樹脂材料で形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の水蒸気透過防止膜。
  5. 前記被成膜部材の表面の粗さが平均粗度として0.9nm以上あることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の水蒸気透過防止膜。
  6. 前記被成膜部材の表面の凹凸の最大高低差が50nm以上あることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の水蒸気透過防止膜。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の水蒸気透過防止膜の製造方法であって、イオンプレーティング法によって前記金属膜を成膜することを特徴とする水蒸気透過防止膜の製造方法。
  8. イオンプレーティング法によって前記防止膜を成膜することを特徴とする請求項7記載の水蒸気透過防止膜の製造方法。
  9. 前記被成膜部材は、連続フィルムからなることを特徴とする請求項7または8記載の水蒸気透過防止膜の製造方法。
  10. 前記連続フィルムの、イオンプレーティング法による成膜がされる第1の面に対向する第2の面は、フィルム支持部に接した状態であることを特徴とする請求項9記載の水蒸気透過防止膜の製造方法。
  11. 前記連続フィルムは、フィルム送出部から前記フィルム支持部に供給され、さらにフィルム収納部に収納されることを特徴とする請求項10記載の水蒸気透過防止膜の製造方法。
  12. 前記フィルム支持部が冷却されていることを特徴とする請求項10または11記載の水蒸気透過防止膜の製造方法。
JP2003146243A 2002-05-30 2003-05-23 水蒸気透過防止膜およびその製造方法 Pending JP2004050821A (ja)

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