JP2004050546A - インクジェットプリンタ及び画像形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】記録媒体にしわやカールを発生させることなく、高画質な画像を記録媒体に形成できるようにする。
【解決手段】記録媒体R上で紫外線(活性光線)の照射を受ける時のインクの温度を第二インク温度調節機構7で調節する。第二インク温度調節機構7は、マイクロ波発生手段71から発生したマイクロ波を記録媒体R上のインクに照射することで、記録媒体Rを加熱することなく、上記インクの温度を調節する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、あらゆる記録媒体、特にインク吸収性の不均一な普通紙やインク吸収性のない透明な記録媒体に対し、高画質の画像を安定に形成できるインクジェットプリンタ及び画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット方式は簡便、安価に画像を作成でき、また近年の画質の向上に伴い、各種印刷分野でも充分に対応して画像形成が可能な技術として注目を浴びている。しかし通常のインクジェット用インク組成物は印字方式から水系溶媒や非水系溶媒を主成分とした低粘性のインク組成物が一般的で、記録媒体としてはインク吸収性のあるものや、さらに高画質を得るためには専用紙が必要となる。
【0003】
これに対し、インク吸収性のないフィルムや金属などの記録媒体に固着し印字できるインク組成物としては、例えば特開平3−216379に開示されているような紫外線照射により高分子化する成分を含有したインク組成物や、米国特許5,623,001号に開示されているような色剤、紫外線硬化剤、光重合開始剤等を含んでなる紫外線硬化型インク組成物が提案されている。
【0004】
しかしながら、上述のようなインクを用いたとしても、記録媒体の種類や環境条件によって、着弾後のドット径が大きく異なり、安定な画像が得られない等の問題がある。また、従来の紫外線硬化型インクは、硬化時に収縮しやすく、特に食品包装をはじめとする軟包装に用いられる薄膜のプラスチックフィルム等に画像形成をした場合、基材ごと収縮してカールやしわが生じるなどの問題があった。そのため、この分野においては、インクジェット方式による画像形成は未だ実用化されていないのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述の問題を解決するため、本発明はあらゆる記録媒体、特にインク吸収性の不均一な普通紙やインク吸収性のない透明な材質の記録媒体に対しても、画像品質に優れ、かつしわやカールの無い印刷が可能なインクジェットプリンタ及びこれを用いた画像形成方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の問題を解決するため、請求項1に記載の発明は、活性光線の照射により硬化可能なインクを記録媒体に向けて吐出し、前記記録媒体に着弾したインクに前記活性光線を照射して画像形成を行なうインクジェットプリンタであって、前記インクを吐出する吐出口を有する記録ヘッドと、前記記録媒体に着弾したインクに前記活性光線を照射する照射手段と、前記記録媒体を、前記インクが着弾する位置から前記活性光線の照射を受ける位置まで搬送する搬送手段と、前記吐出口近傍に設けられ、該吐出口における前記インクの温度を調節するヘッド内インク温度調節手段を有する第一インク温度調節機構と、を備えるとともに、前記照射手段により前記活性光線の照射を受ける時の前記インクの温度を調節する第二インク温度調節機構を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、第二インク温度調節機構は記録媒体とインクの物性の違いを利用して、記録媒体を加熱することなく、記録媒体に着弾したインクの温度を選択的に調節する。この様にして活性光線の照射を受ける時のインクの温度を調節することで、記録媒体に着弾したインクを活性光線の照射によって効率的に硬化させることができる。よって、インク吸収性の不均一な普通紙やインク吸収性のない透明な材質の記録媒体等に対しても、高画質な画像を形成することができる。
【0008】
また、インクの温度調節の時、記録媒体は加熱されないので、熱収縮性のある材質の記録媒体に適用した場合でも、記録媒体にしわやカールを発生させることなくインクの硬化を行なうことができる。よって、記録媒体に画像が形成されてなる印刷物の品質を高くすることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインクジェットプリンタであって、前記第二インク温度調節機構は、マイクロ波を発生するマイクロ波発生手段を有し、前記記録媒体に着弾したインクに前記マイクロ波を照射することを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、マイクロ波の照射によって記録媒体上のインクの温度を調節する。これにより、インクのマイクロ波に対する誘電損失が、記録媒体のマイクロ波に対する誘電損失よりも高い系において、記録媒体を加熱することなくインクだけの温度を調節することができる。よって、請求項1に記載の発明と同様の効果を奏することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のインクジェットプリンタであって、前記第二インク温度調節機構は、空気を加熱する空気加熱手段と、前記空気加熱手段により加熱された空気を前記記録媒体に着弾したインクに送風する送風手段と、を有することを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、温風で記録媒体上のインクの温度を調節する。これにより、インクの比熱が記録媒体の比熱よりも小さい系において、記録媒体を加熱することなくインクだけの温度を調節することができる。よって、請求項1に記載の発明と同様の効果を奏することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のインクジェットプリンタであって、前記第二インク温度調節機構は、赤外線を発生する赤外線発生手段を有し、前記記録媒体に着弾したインクに前記赤外線を照射することを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、赤外線で記録媒体上のインクの温度を調節する。これにより、インクの赤外線に対する吸光度が、記録媒体の赤外線に対する吸光度よりも高い系において、記録媒体を加熱することなくインクだけの温度を調節することができる。よって、請求項1に記載の発明と同様の効果を奏することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載のインクジェットプリンタであって、前記第二インク温度調節機構は、光線を発生する光線発生手段を有し、前記記録媒体に着弾したインクに前記光線を照射するとともに、前記光線発生手段はハロゲンランプ又はキセノンランプを有することを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、ハロゲンランプ又はキセノンランプから発生した、紫外線領域より赤外線領域に至る波長領域の成分で組成される光線若しくは可視光線と赤外線とから組成される光線を照射することにより、記録媒体上のインクの温度を調節する。これにより、インクの可視光線及び赤外線に対する吸光度が、記録媒体の可視光線及び赤外線に対する吸光度よりも高い系において、記録媒体を加熱することなくインクだけの温度を調節することができる。さらに、ハロゲンランプ又はキセノンランプから発生する光線が紫外線領域の成分を含む場合には、この紫外線領域の成分によって、インクの加熱と併行してインクの硬化を行なうことができる。これらのことにより、請求項1に記載の発明と同様の効果を奏することができる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタであって、前記第一インク温度調節機構は、前記吐出口におけるインクの温度を40℃以上に調節することを特徴とする。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、吐出口におけるインクの温度を40℃以上とすることで、記録ヘッドから吐出され、記録媒体に着弾したインクは、着弾後、活性光線の照射によって効率的に硬化可能な温度に速やかに到達することができる。よって、記録媒体に高画質、高強度の画像を容易に形成できる。
【0019】
それに加えて、吐出口におけるインクの温度を40℃以上とすることで、記録ヘッドはインクの量、形状を制御しながら、安定してインクを吐出することができる。よって、画像形成の生産性を高くすることができる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタであって、前記第二インク温度調節機構は、前記活性光線の照射を受ける時の前記インクの温度を40℃以上に調節することを特徴とする。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、活性光線の照射を受ける時のインクの温度を40℃以上に調節することで、インクは活性光線の照射によって効率的に硬化することができる。よって、例えば非インク吸収性の材質からなる記録媒体に画像を形成するような場合でも、高画質、高強度で画像を形成することができる。
【0022】
請求項8に記載の発明は、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタであって、前記活性光線は紫外線であることを特徴とする。
【0023】
請求項8に記載の発明によれば、記録媒体上のインクに紫外線を照射するようにすることで、周知の組成のインクや、周知の照射手段により記録媒体に高画質、高強度の画像を形成することができる。
【0024】
請求項9に記載の発明は、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタであって、前記インクはカチオン硬化性であることを特徴とする。
【0025】
請求項9に記載の発明によれば、活性光線の照射時に、カチオン重合反応によって硬化するカチオン硬化インクを記録媒体に吐出することで、空気中の酸素に阻害されることなく記録媒体上のインクを硬化させることができる。よって、容易に高画質、高強度の画像を形成することができる。
【0026】
請求項10に記載の発明は、活性光線の照射により硬化可能なインクを記録ヘッドから記録媒体に向けて吐出し、前記記録媒体に着弾したインクに前記活性光線を照射して画像形成を行なう画像形成方法であって、前記記録ヘッドから吐出される時の前記インクの温度を調節するとともに、前記活性光線の照射を受ける時の前記インクの温度を調節することを特徴とする。
【0027】
請求項10に記載の発明によれば、記録媒体に着弾したインクの、活性光線の照射を受ける時の温度を調節することを特徴とすることで、請求項1に記載の発明と同様の効果を奏することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のインクジェットプリンタに係る実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0029】
図1、図2に示すように、インクジェットプリンタAは、搬送手段1、画像形成部2、UVランプ3、ガイド部材4、第一インク温度調節機構6、第二インク温度調節機構7、媒体温度センサ8、制御手段30等を備えて構成される。
【0030】
なお、本実施形態では、給紙源がロール状に巻かれたロール紙を適用する例を示し、このロール紙を「記録媒体R」と表現する。また、この記録媒体Rとしては、上記ロール紙に限らず、例えばカットシートであってもよく、紙の種類は適宜変更可能である。さらに、記録媒体Rとして、紙以外の材質のものであってもよく、例えば樹脂製のフィルムであってもよい。また、記録媒体Rは、シート状に限られるものではなく、板状であってもよい。
【0031】
また、本実施形態では、記録媒体に着弾したインクを硬化させるために、活性光線としてUV−A,UV−B,UV−Cといった紫外線(UV)を照射する場合を例に取って説明する。活性光線として紫外線を適用することで、後述するように既知の組成のインクや既知の照射手段によって高画質、高強度の画像を記録媒体Rの印刷面に形成することができる。ここで、活性光線とは紫外線、電子線、X線といった高い量子エネルギーを有する波動のことを指す。
【0032】
搬送手段1は、搬送ローラ1a、1bを有して構成される。搬送ローラ1a、1bは、画像形成部2によって記録媒体Rに対して画像形成が行なわれる領域の前後の位置に互いに離間して配置されている。搬送ローラ1a、1bは互いに同じ方向に回転駆動し、記録媒体Rを搬送方向Fに搬送する。
【0033】
ガイド部材4は、記録媒体Rの幅と同じ又はその幅より大きな幅を有する板状の部材である。このガイド部材4は、記録ヘッド21に対向して配置されて記録ヘッド21により印刷が行われる記録媒体Rを非印刷面側から支持し、かつ、該記録媒体Rを搬送方向Fにガイドするものである。なお、「非印刷面」とは、記録媒体Rの印刷面の反対側の面、すなわち印刷が行われない面である。
【0034】
なお、詳細には、ガイド部材4のうち記録ヘッド21に対向して配置される部分はプラテン4aとなっている。このプラテン4aの裏側には吸引室(非図示)が設けられているとともに、該吸引室に連通する複数の小孔からなる吸引口(非図示)が設けられ、記録ヘッド21による印刷時に、このプラテン4aは記録媒体Rの非印刷面を吸引保持している。
【0035】
制御手段30は、インターフェイス31、CPU32、メモリ33を備えて構成され、インクジェットプリンタAの各構成要素を制御する。また、制御手段30は、後述するように、第一インク温度調節機構6のヘッド内インク温度制御手段及び第二インク温度調節機構7の媒体側インク温度制御手段としても作動する。
【0036】
インターフェイス31は、CPU32、メモリ33とインクジェットプリンタAの各構成要素とを仲介する構成要素であり、上記各構成要素と電気的に接続されている。メモリ33には、インクの物性に係る各種データ、インクジェットプリンタの各部の動作に関する各種制御プログラムや制御データなどが書き込まれている。さらに、メモリ33には記録媒体R上に形成される画像データ等の各種データを記憶する記憶領域とCPU32が各種演算を行なう際にプログラムやデータを一時格納するための作業領域なども備えられている。
【0037】
CPU32は、メモリ33に格納されている各種プログラムの中から指定されたプログラムを、メモリ33内の作業領域に展開し、各センサからの入力信号に応じて、プログラムに従った各種処理を実行する。
【0038】
画像形成部2には、インクジェット方式の記録ヘッド21と、該記録ヘッド21を備えるキャリッジ22と、該キャリッジ22の移動を案内するキャリッジレール23とが備えて構成されており、記録ヘッド21から記録媒体Rに向けてインクを吐出することで記録媒体Rに画像を形成する。画像形成部2は、後述するようにして記録媒体Rにインクが着弾し、硬化した後の総インク膜厚が2〜20μmとなるような構成であることが好ましい。
【0039】
総インク膜厚が2μmを下回る場合、可視光がインク膜を容易に透過するため、形成された画像は明瞭さを欠くこととなる。一方、総インク膜厚が20μmを超える場合には、記録媒体Rのカールやしわを発生させたり、画像形成により作成された印刷物の質感、こしを記録媒体R本来の質感、こしから大きく変化させたりして印刷物の品質を低下させるという問題が生じる。
【0040】
記録ヘッド21、21、…は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(B)等の各色のインクを吐出できるよう、記録媒体Rに吐出されるインクの色数に応じた個数がキャリッジ22に設置される。記録ヘッド21には、インクが不図示のチューブやインクカートリッジによって供給される。このインクは、常温において高粘性を有し、加熱により低粘性を有する。さらに、このインクは、UVの照射を受けたとき、カチオン化学種の生成に伴なって進行する重合反応で硬化するカチオン硬化性を具備する。インクがカチオン硬化性であることで、ラジカル硬化性インクの様に空気中の酸素による重合阻害は回避され、UV照射によって容易且つ効率的に硬化することができる。なお、インクの組成、調合の詳細は後述する。
【0041】
キャリッジ22は記録ヘッド21を備え、連結部22aを介してキャリッジレール23に接続されている。キャリッジレール23は、記録媒体Rの搬送方向Fに略直交して延在するレールであって、搬送方向Fと略直交する方向(図1紙面において表側から裏側若しくは裏側から表側に向かう方向)にキャリッジ22を案内するものである。なお、このキャリッジレール23の延在する方向を「走査方向」と称して、以下の説明を行う。
【0042】
記録媒体Rに印刷が行われる場合には、キャリッジ22がキャリッジレール23に案内されるとともに走査方向に移動しながら、記録ヘッド21から記録媒体Rにインクが吐出されるようになっている。
【0043】
記録ヘッド21は、図3、図4に示すように、インクが注入されるインク入口部17と、インクを吐出する複数の吐出口15と、インク入口部17から吐出口15までインクを導くヘッド内供給路11と、ヘッド内供給路11のインク温度を検出するヘッド温度センサ19と、ヘッド内供給路11の外部の少なくとも一部からインクを加熱する面ヒーター16と、ヘッド内供給路11の内部の少なくとも一部でインクを加熱するヘッドヒーター13とが設けられている。なお、ヘッドヒーター13、面ヒーター16、ヘッド温度センサ19の詳細については後述する。
【0044】
インク入口部17は、図4(a)、(b)に示すように、記録ヘッド21の側部から内部に向かって先細る漏斗形状に形成されている。このインク入口部17は、インク供給路(図示省略)と接続されており、インクタンク(図示省略)からインク供給路を介してインクが供給される。
【0045】
吐出口15は、記録ヘッド21の下面(ノズル面15a)に備えられており、この下面のセンターラインに沿って等間隔に並ぶよう配置されている。
【0046】
ヘッド内供給路11は、インク入口部17から吐出口15までインクを導く過程で、一旦インクを収納するインク収納部18と、インク収納部18から吐出口15までインクを導くインクノズル12とを備えている。
【0047】
インク収納部18は、先方(図4(a)では左)に向かって細くなる側面視台形形状に形成されている。このインク収納部18には、インク入口部17の先端が後面に接続され、インク収納部18とインク入口部の両者を連通している。
【0048】
また、このインク収納部18には、吐出口15までインクを導くインクノズル12が、各吐出口に対応するように複数、ノズル面15aと対向する下面に設けられている。つまり、インクノズル12は、インク入口部17から流れ込むインクの流れ方向に沿うように、等間隔で並んで配置されている。
【0049】
このように、インクの流れ方向に沿うようにインクノズル12を配置した場合、インク入口部17から離れた位置にあるインクノズル12に流れ込むインクの圧力が弱まってしまい、安定した吐出を行えないおそれがある。このため、本実施の形態では、インク収納部18の形状を先方に向かって細くなる側面視台形形状に形成することで、各インクノズルに流れ込むインクの圧力がばらつくことを防止している。
【0050】
各々のインクノズル12には図示しない吐出手段が設けられている。吐出手段は、記録媒体Rに形成される画像の画像データに基づく制御手段30の制御によって作動し、吐出口15からインクを吐出するための原動力を発生させる。
【0051】
ここで、本実施形態では、吐出口15から吐出するインクの量が2〜15plであることが好ましい。吐出するインクの量が2plを下回る場合には、画像形成に要するインク吐出の回数が著しく多くなり、画像形成の生産性が低くなる。一方、吐出口15から吐出するインクの量が15plを上回る場合には、インクが記録媒体Rに着弾して形成されるインクドットが大きく、形状制御が困難なものとなり、形成される画像の画質を低いものとする。
【0052】
ここで、本実施形態に適用されるインクは、溶剤を含まないか、含んでもわずかなため、従来のインクジェット用インクに比較して粘性が高く、常温で吐出することは困難である。そこで、吐出口15におけるインクの温度は、後述するように第一インク温度調節機構6によって制御される。吐出口15におけるインクの温度はインクの物性等に基づいて適宜設定されるが、その値は40℃以上100℃以下とする事が好ましい。
【0053】
吐出口15におけるインクの温度を40℃以上とすることで、インクは十分に低粘性化し、吐出口15から制御手段30による制御通りの量、形状で吐出される。その上、吐出口15におけるインクの温度が40℃以上であることで、記録媒体Rに着弾したインクは、UV照射によって効率的に硬化可能な温度に速やかに到達できる。一方、インクノズル12に備えられた吐出手段は高温条件に弱いという問題点があるが、吐出口15におけるインクの温度を100℃以下とすることで、吐出手段の損傷を回避してインクジェットプリンタAの維持管理に係る労力や経費を軽減することができる。
【0054】
次に、第一インク温度調節機構6について説明する。第一インク温度調節機構6は、記録ヘッド21内の吐出口15におけるインクの温度を制御することにより、インクを安定した低粘性状態で吐出できるように維持するものである。図2に示すように、第一インク温度調節機構6は、概略して、記録ヘッド21の構成要素を兼ねるヘッド内インク温度調節手段(面ヒーター16、ヘッドヒーター13)及びヘッド内インク温度検出手段(ヘッド温度センサ19)と、ヘッド内インク温度制御手段(ここでは制御手段30が相当する)とを備えている。
【0055】
ここで、第一インク温度調節機構6による吐出口15におけるインクの温度の制御幅は設定温度±5℃、好ましくは設定温度±2℃、更に好ましくは設定温度±1℃である。吐出口15におけるインクの温度の制御幅を上記の様にすることで、吐出口15から安定した量、形状でのインク吐出が可能となる。
【0056】
ヘッド温度センサ(ヘッド内インク温度検出手段)19は、インク入口部17から流入してきたインクの温度を検出するために、インク入口部17近傍、つまりインク収納部18の後面から内部に向かって延出した状態に設けられている。
【0057】
面ヒーター16は、記録ヘッド21内部でヘッド内供給路11を覆うようにコ字状に形成されている。面ヒーター16は、ヘッド内供給路11のインクを加熱し低粘性化する。
【0058】
ヘッドヒーター13は、円柱形状に形成され、インク収納部18下部でインクノズル12の並びに沿った状態となるように、インク収納部18の先端から後端に掛け渡されている。そして、このヘッドヒーター13によって、各吐出口15、15、…から吐出されるインクの各温度が吐出に最適な温度となるように、インクは加熱される。
【0059】
このように、ヘッドヒーター13は、インク収納部18下部でインクノズル12の並びに沿った状態であるため、各インクノズル12に流入する前のインクの各温度がばらつくことなく加熱することができる。
【0060】
ヘッド内インク温度制御手段(ここでは制御手段30が相当する)は、図2に示すように、インターフェイス31、CPU32、メモリ33等から構成される。メモリ33には、画像形成に適用される各種インクの温度−粘性特性や各種インクの吐出に適した粘性範囲といったデータ、及び吐出口15における温度を推定するためのプログラム等が記憶されている。
【0061】
CPU32は、ヘッド温度センサ19が検知したインク温度に関して、メモリ33に記憶されているプログラムに基づいて演算を行なうことで、吐出口15における温度を推定する。さらに、CPU32はメモリ33に記憶されているインクの温度−粘性特性及びインクの吐出に適した粘性範囲について比較演算を行なってインクの温度範囲を決定する。吐出口15における温度と、上述の様にして決定された温度範囲とついてCPU32は比較演算を行ない、その演算結果に基づいて面ヒーター16及びヘッドヒーター13の電流値、電圧値をインターフェイス31を介して制御する。こうして、記録ヘッド21内部のインクの温度が調節される。
【0062】
UVランプ(照射手段)3は、画像形成部2での工程の後に、インクの着弾した記録媒体Rの印刷面にUVを照射する。このUVランプ3は、記録ヘッド21及び後述するマイクロ波発生手段71よりも搬送方向F側の位置に、連結部3aを介してキャリッジレール23に固定されている。
【0063】
UVランプ3において、紫外線の光源としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ブラックライト、冷陰極管、LED等が適用可能である。また、UVランプ3は、光源から発生した光線のうち、赤外線等の熱線を選択的に遮断する周知のフィルタを備えることとしてもよい。上記フィルタを備えることで、記録媒体RがUV照射時に加熱されてしわ・カールが発生することを効果的に防止できる。
【0064】
UVランプ3によりUVの照射を受ける時のインクの温度は、第二インク温度調節機構7によって後述するようにして調節されている。ここで、記録媒体Rに着弾したインクの温度は、インクのUV照射時の反応性に基づいて適宜決定されるが、40℃以上とする事が好ましい。UVランプ3によってUVが照射されるときのインクの温度を40℃以上とすることで、カチオン硬化性である上記インクは空気中の湿気に阻害されることなく、効率的に硬化することができる。
【0065】
また、UVランプ3から記録媒体R上のインクにUVが照射されるタイミングは、着弾後0.001〜2.0秒とすることが好ましい。記録媒体Rへの着弾からUV照射までの時間が0.001秒に満たない場合には、インクは記録媒体R上で十分にレベリングすることができず、インクの着弾により形成されるインクドットの形状を制御できない。よって、形成された画像の画質を低下させる。一方、記録媒体Rへの着弾からUV照射までの時間が2.0秒を超える場合には、インクは記録媒体R上でにじむため、この場合にも形成された画像の画質は低下する。また、UVランプ3から記録媒体R上のインクにUVが照射されるタイミングは、着弾後0.001〜1.0秒とすることがさらに好ましい。
【0066】
次に、第二インク温度調節機構7について説明する。第二インク温度調節機構7は、非接触的な手段により、記録媒体Rを加熱することなく、記録ヘッド21から吐出されて記録媒体Rに着弾したインクの温度を調節する。こうして第二インク温度調節機構はUVランプ3によってUV照射を受ける時のインクの温度が、UV照射によって効率的に硬化できる温度となるよう調節を行なう。
【0067】
第二インク温度調節機構7は、マイクロ波発生手段(媒体側インク温度調節手段)71、媒体温度センサ(媒体側インク温度検出手段)8、媒体側インク温度制御手段(本実施形態では制御手段30)を備えて構成される。
【0068】
マイクロ波発生手段71は、クライストロン、マグネトロン、ガン・ダイオード等の周知のマイクロ波発振機と、該マイクロ波発振機で発生したマイクロ波を記録媒体Rのインクが着弾した領域に導く導波管とを備えて構成され、記録ヘッド21とUVランプ3との間の部位に、キャリッジレール23に固定した形態で設置される。
【0069】
上記マイクロ波発信機で発生するマイクロ波に対するインクの誘電損失が記録媒体Rの上記マイクロ波に対する誘電損失よりも高い場合、マイクロ波発生手段71から記録媒体Rのインクが着弾した領域にマイクロ波を照射することで、記録媒体Rを加熱することなく、インクだけを選択的に加熱することができる。このことにより、記録媒体Rが熱収縮性の材質である場合にも、記録媒体Rのしわやカールを発生させることなく、インクの温度をUV照射により効率的に硬化可能な温度に調節することが可能となる。
【0070】
また、記録媒体R上のインクにマイクロ波を照射することで、インクを非接触的に加熱することができる。このことで、記録媒体Rに傷を付けたり記録媒体R上のインクに接触痕を形成したりすることなくインクの加熱を行なうことができる。よって、画像形成により作成された印刷物の品質を高くすることができる。
【0071】
なお、マイクロ波発生手段71から照射するマイクロ波の周波数及びエネルギー量は、インク、記録媒体Rの物性と経済性を考慮して適宜決定される。
【0072】
媒体温度センサ8は、マイクロ波発生手段71とUVランプ3との間の部位にキャリッジレール23に固定した形態で設置される構成要素であり、記録媒体RのUVランプ3によるUV照射を受けている領域若しくは該領域の近傍に着弾しているインクの温度を非接触的な手段で測定する構成要素である。媒体温度センサ8は記録媒体R及びインクが放射する赤外線を検知する赤外線センサを備えており、この赤外線により得られた温度データを制御手段30に送信する構成となっている。
【0073】
媒体温度センサ8により記録媒体R上のインクの温度を測定する方法としては、例えば、記録媒体Rのインクが着弾した領域の一部の温度を媒体温度センサ8で検知することとしてもよいし、上記領域を媒体温度センサ8でほぼ全幅にわたって掃引することとしてもよい。媒体温度センサ8により記録媒体R上のインクの温度を測定する方法は、周知の方法から測定精度と経済性とを考慮して適宜選択される。
【0074】
なお、上述の第二インク温度調節機構7は、マイクロ波に対する誘電損失が高いインクと、マイクロ波に対する誘電損失が該インクよりも低い記録媒体Rとを組み合わせた系において有効な構成として、マイクロ波発生手段71を媒体側インク温度調節手段として有する構成としたが、本発明に適用される第二インク温度調節機構7は上述の例に限らない。
【0075】
本発明において、第二インク温度調節機構7は、例えば空気を加熱する空気加熱手段と、空気加熱手段で加熱された空気を記録媒体R上のインクに向けて送風する送風手段と、を媒体側インク温度調節手段に相当する構成要素として有することとしてもよい。比熱の低い組成のインクと、該インクよりも比熱の高い記録媒体Rとを組み合わせた系の場合、上記送風手段から記録媒体R上のインクに向けて加熱された空気を送風することで、非接触的な手段により、インクだけを選択的に加熱することが可能である。
【0076】
また、第二インク温度調節機構7は、媒体側インク温度調節手段として赤外線ランプを有した赤外線発生手段を有し、この赤外線発生手段で発生した赤外線を記録媒体R上のインクに照射する構成としてもよい。このような構成の第二インク温度調節機構7は、赤外線に対する吸光度の高いインクと、赤外線に対する吸光度の低い記録媒体Rの系において、インクだけを選択的、且つ非接触的に加熱する事ができる。
【0077】
また、第二インク温度調節機構7は、媒体側インク温度調節手段として紫外線領域より赤外線領域に至る波長領域の成分で組成される光線、若しくは可視光線と赤外線とで組成される光線を発生する光線発生手段を有し、この光線発生手段で発生した光線を記録媒体R上のインクに照射する構成としてもよい。ここで、光線発生手段は、光源としてキセノンランプ又はハロゲンランプを適用することとする。このような構成の第二インク温度調節機構7は、可視光線及び赤外線に対する吸光度の高いインクと、可視光線及び赤外線に対する吸光度の低い記録媒体Rの系において、インクだけを選択的、且つ非接触的に加熱する事ができる。それに加えて、光線発生手段が発生する光線が紫外線領域の成分を含む場合、この紫外線領域の成分により、記録媒体R上のインクの加熱と併行してインクの硬化を行なうことができる。こうして、媒体側インク温度調節手段と照射手段とを共通の構成要素で構成できるようにすることで、キセノンランプ又はハロゲンランプと、UVランプ3とを用い、インクの硬化を2段階の紫外線照射で行なうことができる。また、媒体側インク温度調節手段と照射手段とを共通の構成要素で構成できるようにすることで、インクジェットプリンタAを、UVランプ3の設置を省略した構成とすることもできる。
【0078】
この他にも、第二インク温度調節機構7に適用される媒体側インク温度調節手段は、インクと記録媒体の物性の違いを利用して、インクだけを選択的、且つ非接触的に加熱可能であればいかなる構成としてもよい。
【0079】
制御手段30は、既に述べたようにインターフェイス31、CPU32、メモリ33を有して構成される。インターフェイス31はマイクロ波発生手段71及び媒体温度センサ8と電気的に接続されており、これらの構成要素とCPU32、メモリ33との間でのデータや信号の授受を仲介する。メモリ33は、媒体温度センサ8が送信する温度データから、記録媒体R上のインクのUVランプ3によりUV照射を受ける時の温度を算出するためのプログラムや、UV照射を受けたとき効率的に硬化するためのインクの温度条件のデータ等が記憶されている。
【0080】
CPU32は媒体温度センサ8から送信される温度データに関して、上記プログラムに基づいて演算を行なって記録媒体R上のインクの、UVランプ3によりUV照射を受ける時の温度を算出する。さらにCPU32は、この算出した温度と、インクをUV照射によって速やかに硬化させるための温度条件のデータとに基づいてマイクロ波発生手段71から記録媒体Rに向けて照射されるマイクロ波のエネルギー量を制御する。このようにして、制御手段30はインクがUV照射を受ける時の温度を調節する。
【0081】
次に、本発明に係るインクジェットプリンタAによって画像が形成される記録媒体Rについて説明する。記録媒体Rは、従来のインクジェットプリンタで用いられる材質はもちろん、従来インクジェット方式による画像形成が難しかった材質、例えば透明や不透明なプラスチック、紙等のインク吸収性の不均一な材質、インク吸収性のない材質、といった材質も適用できる。
【0082】
本発明に係るインクジェットプリンタAで画像が形成される記録媒体Rの材質としては、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ−ρ−フェニレンスルフィド、ポリエーテルエステル、ポリ塩化ビニル,ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロンといったプラスチックからなるフィルムが好ましい。
【0083】
また、これらのプラスチックの原料となるモノマーのうち、2種類以上が共重合して形成された共重合体や、これらのプラスチックを2種類以上混合して組成されたブレンド物、さらには、これらのプラスチックをなす2種類以上の高分子同士が互いに架橋して形成された高分子化合物からなる材質等も記録媒体Rとして適用可能である。さらに、樹脂被覆紙、顔料入り不透明フィルム、発泡フィルム等のといった周知の非透明材質も記録媒体Rとして適用可能である。
【0084】
上述の各種素材の中で、延伸したポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリプロプレン、ナイロンが透明性、寸法安定性、剛性、環境負荷、コストの面で特に好ましい。
【0085】
上述の各種素材から形成された記録媒体Rの厚みは2〜100μmが好ましく、6〜50μmがさらに好ましい。記録媒体Rの厚みが2μmを下回る場合、画像形成によって作成される印刷物の強度が著しく低くなり、機械的衝撃によって破損しやすくなるため、包装材や広告媒体に適用できないという問題が生じる。一方、記録媒体Rの厚みが100μmを上回る場合には、印刷物を包装材に適用するとき、内容物を上記印刷物で包装するための設備が特殊なものになり、包装に係るコストが高くなるという問題が生ずる。また上記プラスチックフィルムは、厚みが6〜50μmのものがさらに好ましい。
【0086】
また、記録媒体Rは、インクを着弾させて画像形成する時の良好な塗布性や、例えば包装材として加工する際の接着強度を調整するために、周知の方法でコロナ放電処理や、易接着処理などの表面処理を施すことが好ましい。
【0087】
次に、本発明に係るインクジェットプリンタAに適用されるインクについて説明する。本発明に適用されるインクは、インクを発色させるための色材と、活性光線である紫外線の照射によってインクを硬化させる硬化システムを構成する重合性化合物及び開始剤を含んで構成される。
【0088】
さらに、例えば媒体側インク温度調節手段にマイクロ波発生手段71を適用する場合、本発明に適用されるインクの組成は、上記マイクロ波発生手段71から照射されるマイクロ波に対する誘電損失が、記録媒体Rの上記マイクロ波に対する誘電損失よりも著しく高くなるように決定する。インクを上述のような組成にすることで、インクが記録媒体Rに着弾した状態でマイクロ波発生手段71によるマイクロ波の照射を受けたとき、記録媒体Rは加熱されずにインクだけが選択的に加熱されることとなる。
【0089】
UV照射によりインクを硬化させるためにインクに含まれる硬化システムとしては、周知の重合性化合物及び開始剤が適用できる。硬化システムのタイプとしては、ラジカル重合性のタイプ、光酸発生剤、光塩基発生剤を開始剤として適用するタイプ、光誘導型交互共重合性のタイプ等がこれまでに知られている。これらのタイプの硬化システムの詳細は『光硬化技術−樹脂・開始剤の選定と配合条件および硬化度の測定・評価−』(技術情報協会発行)等の文献で周知となっており、上記文献に掲載されている化合物をそのままインクに適用することが可能である。
【0090】
UV硬化性のインクに適用される硬化システムとしては、ラジカル重合系とカチオン重合系の2者が良く用いられるが、開始剤を必要としない光誘導型交互共重合タイプも用いることが可能である。またこれらの硬化システムを複合させたハイブリッド型の硬化システムを適用することも可能である。
【0091】
ここで、本発明においては、光酸発生剤が開始剤として作用し、カチオン重合反応により重合性化合物の重合が進行するカチオン重合系の硬化システムを含んだカチオン硬化性インクをインクとして適用することが好ましい。カチオン硬化性インクは、空気中の酸素による重合阻害を受けない点で、他のタイプの硬化システムを適用したインクに対して優位である。
【0092】
本発明に適用されるカチオン硬化性のインクとしては、重合性化合物としてオキセタン化合物、エポキシ化合物或いはビニルエーテル化合物を含んだものが適用可能である。以下、本発明に適用されるインクに含まれる重合性化合物の詳細について述べる。
【0093】
芳香族エポキシドとして好ましいものは、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジまたはポリグリシジルエーテルであり、例えばビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、ならびにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド等が挙げられる。
【0094】
脂環式エポキシドとしては、少なくとも1個のシクロへキセンまたはシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することによつて得られる、シクロヘキセンオキサイドまたはシクロペンテンオキサイド含有化合物が好ましい。
【0095】
脂肪族エポキシドの好ましいものとしては、脂肪族多価アルコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル等があり、その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテルまたは1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリンあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド等が挙げられる。
【0096】
これらのエポキシドのうち、速硬化性を考慮すると、芳香族エポキシドおよび脂環式エポキシドが好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。本発明では、上記エポキシドの1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0097】
ビニルエーテル化合物としては、例えばエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−O−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
【0098】
これらのビニルエーテル化合物のうち、硬化性、密着性、表面硬度を考慮すると、ジ又はトリビニルエーテル化合物が好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。本発明では、上記ビニルエーテル化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0099】
本発明で用いられるオキセタン化合物は、オキセタン環を有する化合物のことであり、特開2001−220526、特開2001−310937に紹介されているような公知のあらゆるオキセタン化合物を使用できる。
【0100】
オキセタン環を5個以上有する化合物を使用すると、組成物の粘性が高くなるため、取扱いが困難になったり、又組成物のガラス転移温度が高くなるため、得られる硬化物の粘着性が十分でなくなってしまうという問題が生じる。よって、本発明で使用するオキセタン環を有する化合物は、オキセタン環を1〜4個有する化合物が好ましい。
【0101】
1個のオキセタン環を有する化合物としては、下記一般式(1)で示される化合物等が挙げられる。
【化1】
Figure 2004050546
【0102】
式(1)において、Rは、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基或いはブチル基等の炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜6個のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル基又はチエニル基である。Rは、メチル基、エチル基、プロピル基或いはブチル基等の炭素数1〜6個のアルキル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基或いは3−ブテニル基等の炭素数2〜6個のアルケニル基、フェニル基、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基或いはフェノキシエチル基等の芳香環を有する基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基或いはブチルカルボニル基等の炭素数2〜6個のアルキルカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基或いはブトキシカルボニル基等の炭素数2〜6個のアルコキシカルボニル基、又はエチルカルバモイル基、プロピルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基或いはペンチルカルバモイル基等の炭素数2〜6個のN−アルキルカルバモイル基等である。本発明で使用するオキセタン化合物としては、1個のオキセタン環を有する化合物を使用することが、得られる組成物が粘着性に優れ、低粘性で作業性に優れるため、特に好ましい。
【0103】
次に、2個のオキセタン環を有する化合物としては、下記一般式(2)で示される化合物等が挙げられる。
【化2】
Figure 2004050546
【0104】
式(2)において、Rは、前記一般式(1)におけるものと同様の基である。Rは、例えば、エチレン基、プロピレン基或いはブチレン基等の線状或いは分枝状アルキレン基、ポリ(エチレンオキシ)基或いはポリ(プロピレンオキシ)基等の線状或いは分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基、プロペニレン基、メチルプロペニレン基或いはブテニレン基等の線状或いは分枝状不飽和炭化水素基、カルボニル基、カルボニル基を含むアルキレン基、カルボキシル基を含むアルキレン基、又はカルバモイル基を含むアルキレン基等である。
【0105】
又、Rは、下記式(3)、(4)及び(5)で示される基から選択される多価基でもある。
【化3】
Figure 2004050546
【0106】
式(3)において、Rは、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基或いはブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基或いはブトキシ基等の炭素数1〜4個のアルコキシ基、塩素原子或いは臭素原子等のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、低級アルコキシカルボキシル基、カルボキシル基、又はカルバモイル基である。
【0107】
【化4】
Figure 2004050546
式(4)において、Rは、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、NH、SO、SO、C(CF又はC(CHである。
【0108】
【化5】
Figure 2004050546
式(5)において、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基或いはブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、又はアリール基である。nは、0〜2000の整数である。Rはメチル基、エチル基、プロピル基或いはブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、又はアリール基である。
【0109】
は、下記式(6)で示される基から選択される基でもある。
【化6】
Figure 2004050546
式(6)において、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、又はアリール基である。mは、0〜100の整数である。
【0110】
2個のオキセタン環を有する化合物の具体例としては、下記式(7)及び(8)で示される化合物等が挙げられる。
【化7】
Figure 2004050546
式(7)で示される化合物は、式(2)において、Rがエチル基、Rがカルボキシル基である化合物である。
【0111】
【化8】
Figure 2004050546
式(8)で示される化合物は、一般式(2)において、Rがエチル基であり、Rが式(5)においてR及びRがメチル基、nが1となる置換基である化合物である。
【0112】
2個のオキセタン環を有する化合物において、上記した化合物以外の好ましい例としては、下記一般式(9)で示される化合物がある。式(9)において、Rは、前記一般式(1)におけるものと同様の基である。
【化9】
Figure 2004050546
【0113】
3〜4個のオキセタン環を有する化合物としては、下記一般式(10)で示される化合物等が挙げられる。
【化10】
Figure 2004050546
式(10)において、Rは、前記一般式(1)におけるものと同様の基である。Rは、例えば下記式(11)〜(13)で示される基等の炭素数1〜12の分枝状アルキレン基、下記式(14)で示される基等の分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基又は下記式(15)で示される基等の分枝状ポリシロキシ基等が挙げられる。jは、3又は4である。
【化11】
Figure 2004050546
式(11)において、R10はメチル基、エチル基又はプロピル基等の低級アルキル基である。
【0114】
【化12】
Figure 2004050546
【化13】
Figure 2004050546
【化14】
Figure 2004050546
式(14)において、pは1〜10の整数である。
【化15】
Figure 2004050546
【0115】
3〜4個のオキセタン環を有する化合物の具体例としては、下記式(16)で示される化合物等が挙げられる。
【化16】
Figure 2004050546
【0116】
さらに、上記した以外の1〜4個のオキセタン環を有する化合物の例としては、下記式(17)で示される化合物がある。
【化17】
Figure 2004050546
式(17)において、Rは式(1)におけるものと同様の基であり、Rは式(6)におけるものと同様の基である。R11はメチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基又はトリアルキルシリル基であり、rは1〜4である。
【0117】
本発明で使用するオキセタン化合物の好ましい具体例としては、以下に示す化合物がある。
【化18】
Figure 2004050546
【化19】
Figure 2004050546
【化20】
Figure 2004050546
【0118】
上記オキセタン環を有する化合物の製造方法は特に限定されず、従来知られた方法に従えばよい。上記製造方法は、例えばパティソン(D.B.Pattison,J.Am.Chem.Soc.,3455,79(1957))が開示している、ジオールからのオキセタン環合成法等がある。又、これら以外にも、分子量1000〜5000程度の高分子量を有する、1〜4個のオキセタン環を有する化合物も挙げられる。
【0119】
これらの例として、例えば以下の化合物が挙げられる。
【化21】
Figure 2004050546
ここで、pは20〜200である。
【0120】
【化22】
Figure 2004050546
ここで、qは15〜100である。
【0121】
【化23】
Figure 2004050546
ここで、sは20〜200である。
【0122】
本発明においては、インク硬化の際の記録媒体Rの収縮を抑える目的で、光重合性化合物として少なくとも1種のオキセタン化合物と、エポキシ化合物及びビニルエーテル化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物とを含有することが好ましい。
【0123】
本発明に適用されるインクに含まれるカチオン性光重合開始剤としては、例えば、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が用いられる(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメ−ジング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)。本発明に好適な化合物の例を以下に挙げる。第1に、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨ−ドニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの芳香族オニウム化合物のB(C ,PF ,AsF ,SbF ,CFSO 塩を挙げることができる。対アニオンとしてボレート化合物をもつものが酸発生能力が高く好ましい。オニウム化合物の具体的な例を以下に示す。
【化24】
Figure 2004050546
【0124】
第2に、スルホン酸を発生するスルホン化物を挙げることができる。具体的な化合物を以下に例示する。
【化25】
Figure 2004050546
【0125】
第3に、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物も用いることができる。以下に具体的な化合物を例示する。
【化26】
Figure 2004050546
【0126】
第4に、鉄アレン錯体を挙げることができる。
【化27】
Figure 2004050546
【0127】
本発明に適用されるインクは、特開平8−248561号、特開平9−034106号等の文献で既に公知となっている酸増殖剤を含有することが好ましい。ここで、酸増殖剤とは、活性光線の照射で発生した酸により新たに酸を発生する物質である。酸増殖剤を用いることで、インクを吐出口15から吐出する時の安定性を向上させることができる。
【0128】
また、本発明に適用されるインクには、吐出安定性を向上させる目的で、熱塩基発生剤を添加する。熱塩基発生剤の添加は、特に吐出量の多い白インクを吐出する場合に有効である。また、インクジェット方式による画像形成では、他の画像形成方法に較べて形成した画像のインク膜厚が厚くなる傾向があり、インク硬化時に起こるインク収縮によって記録媒体Rのカールやしわが発生し易いという問題点があるが、インクに熱塩基発生剤を添加することでこのカールやしわを著しく低減させることができる。
【0129】
従来、軟包装印刷やラベル印刷分野においては、記録媒体に発生するしわや吐出安定性の観点から、活性光線硬化型インクジェット方式による画像形成が実用化されるまでには至っていなかったが、本発明の構成とすることにより、それらの分野でも十分効果を発揮するものである。
【0130】
熱塩基発生剤としては、例えば、加熱により脱炭酸して分解する反応性を有する有機酸と塩基の塩や、分子内求核置換反応、ロッセン転位、ベックマン転位といった反応により分解してアミン類を放出する化合物等、加熱により何らかの反応を起こして塩基を放出するものが好ましく用いられる。
【0131】
具体的には、英国特許第998,949号記載のトリクロロ酢酸の塩、米国特許第4,060,420号に記載のアルファースルホニル酢酸の塩、特開昭59−157637号に記載のプロピール酸類の塩、2−カルボキシカルボキサミド誘導体、特開昭59−168440号に記載の塩基成分に有機塩基の他にアルカリ金属、アルカリ土類金属を用いた熱分解性酸との塩、特開昭59−180537号に記載のロッセン転位を利用したヒドロキサムカルバメート類、加熱によりニトリルを生成する特開昭59−195237号に記載のアルドキシムカルバメート類等が挙げられる。その他、英国特許第998,945号、米国特許第3,220,846号、英国特許第279,480号、特開昭50−22625号、特開昭61−32844号、特開昭61−51139号、特開昭61−52638号、特開昭61−51140号、特開昭61−53634号、特開昭61−53640号、特開昭61−55644号、特開昭61−55645号等に記載の熱塩基発生剤が有用である。
【0132】
インクに添加する熱塩基発生剤として、更に具体的に例を挙げると、トリクロロ酢酸グアニジン、トリクロロ酢酸メチルグアニジン、トリクロロ酢酸カリウム、フェニルスルホニル酢酸グアニジン、p−クロロフェニルスルホニル酢酸グアニジン、p−メタンスルホニルフェニルスルホニル酢酸グアニジン、フェニルプロピオール酸カリウム、フェニルプロピオール酸グアニジン、フェニルプロピオール酸セシウム、p−クロロフェニルプロピオール酸グアニジン、p−フェニレン(ビス)フェニルプロピオール酸グアニジン、フェニルスルホニル酢酸テトラメチルアンモニウム、フェニルプロピオール酸テトラメチルアンモニウムがある。上記の熱塩基発生剤は広い範囲で用いることができる。
【0133】
本発明に係る色材としては、重合性化合物の主成分に溶解または分散できる色材が使用出来るが、耐候性の点から顔料が好ましい。本発明で好ましく用いることのできる顔料を、以下に列挙する。
C.I.Pigment Yellow−1、3、12、13、14、17、81、83、87、95、109、42、180
C.I.Pigment Orange−16、36、38、
C.I.Pigment Red−5、22、38、48:1、48:2、48:4、49:1、53:1、57:1、63:1、144、146、185、101、184、221、254、202
C.I.Pigment Violet−19、23、
C.I.Pigment Blue−15:1、15:3、15:4、18、60、27、29、
C.I.Pigment Green−7、36、
C.I.Pigment White−6、18、21、
C.I.Pigment Black−7、
【0134】
また、本発明においては、記録媒体Rに透明な材質を適用する場合、記録媒体Rでの色の隠蔽性を上げる為に、白インクを用いることが好ましい。特に、軟包装印刷、ラベル印刷においては、白インクを用いることが好ましいが、前述した吐出安定性、記録媒体Rのカール・しわの発生の観点から、自ずと使用量に関しては制限がある。
【0135】
上述の顔料を分散させるための分散媒体は、本発明では有機溶剤または重合性化合物を適用可能である。ここで、本発明に適用されるインクは、吐出口15から吐出され、記録媒体Rに着弾した直後に硬化するため、分散媒体として有機溶剤を多く含有すると、この溶剤が硬化したインク内部に残留し、記録媒体Rの劣化や臭気といった問題を生ずる。そのため、本発明に適用されるインクは、有機溶剤を含有しないか、有機溶剤の含有量を低く抑え、重合性化合物を分散溶媒の主成分とすることが好ましい。また、上記重合性化合物としては、周知のモノマーの中で最も粘性の低いモノマーを選択することが分散適性上さらに好ましい
【0136】
また、顔料の分散媒体への分散を効果的に行なうため、顔料の分散を行う際に分散剤を添加することも可能である。分散剤としては、高分子分散剤を用いることが好ましく、例えばAvecia社のSolsperseシリーズの高分子分散剤が適用可能である。また、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。これらの分散剤および分散助剤は、顔料100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。
【0137】
インクを上述の組成で調合する時、顔料の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等を用いることができる。
【0138】
顔料の分散は、顔料粒子の平均粒径を0.08〜0.5μmとなるようにして行なうことが好ましい。顔料粒子の平均粒径が0.5μmを超える場合、インクの透過性が低くなり、記録媒体Rに形成される画像の画質を低下させるという問題が生じる。また、顔料粒子の平均粒径が0.08μmを下回ると、インクの調合に係る経費が増大するという問題が生じる。
【0139】
また、顔料粒子の最大粒径は0.3〜10μmとすることが好ましく、0.3〜3μmとすることがさらに好ましい。顔料粒子の最大粒径が10μmを超える場合、インクが吐出口で詰まりやすくなるという問題が生じる。一方、顔料粒子の最大粒径が0.3μmを下回る場合には、インクの調合に係る経費が増大するという問題が生じる。
【0140】
インクを調合する時の顔料、分散剤、分散媒体の選定や、分散条件及びろ過条件の設定は、顔料粒子の平均粒径及び最大粒径が上述の範囲となることを条件として適宜決される。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性および硬化の感度を維持することができる。
【0141】
また、本発明に係るインクにおいて、色材濃度はインク全体に対して1〜10質量%であることが好ましい。色材濃度が1質量%を下回る場合には、インクが記録媒体R上で効果的に発色せず、形成された画像が不明瞭になるという問題が生じる。一方、色材濃度が10質量%を超える場合には、記録媒体R上でインクが速やかに硬化せず、画像の強度や画質を低下させるという問題が生じる。
【0142】
本発明に係るインクには、上記説明した以外に様々な添加剤を用いることができる。例えば、界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類を添加することが出来る。
【0143】
記録媒体Rとの密着性を改善するため、極微量の有機溶剤を添加することも有効である。この場合、耐溶剤性や臭気の問題が起こらない範囲での添加が有効であり、その使用量は0.1〜5質量%の範囲とすることが好ましい。有機溶剤の添加量が0.1質量%を下回る場合には、インクが記録媒体Rと効果的に密着せず、形成された画像の強度が低くなる。一方、有機溶剤の添加量が5質量%を超える場合には、有機溶剤による記録媒体Rの侵食や臭気等の問題が生じる。また、有機溶剤の添加量は0.1〜3質量%とすることがさらに好ましい。
【0144】
次に、本発明に係るインクジェットプリンタAにおいて、記録媒体Rが給紙されてから排紙されるまでの動作を説明する。
【0145】
位置合わせされた記録媒体Rは、搬送ローラ1aにより画像形成部2へ搬送される。このとき、記録媒体Rは、ガイド部材4により非印刷面側が支持されるとともに搬送方向Fにガイドされる。なお、この記録媒体Rは、ガイド部材4により非印刷面側が支持されるが、上述したようにプラテン4aによって吸引保持された状態となっている。
【0146】
そして、非印刷面が支持されている記録媒体Rの印刷面に、記録ヘッド21により画像形成が行われる。記録媒体Rの非印刷面がプラテン4aにより吸引保持された状態で、キャリッジ22の動作に付随して記録ヘッド21が走査方向に移動しながら、制御手段30の画像データに基づく制御によって記録媒体Rの印刷面にインクを吐出することで、画像形成が進行する。画像形成中、インクが記録ヘッド21の吐出口15から吐出される時の温度は、インクが制御手段30の制御通りの量、形状で吐出口15から吐出可能な粘性を具備するよう、第一インク温度調節機構6によって調節される。
【0147】
画像形成部2において画像形成が行われた後の記録媒体Rは、記録ヘッド21より搬送方向Fの下流側、すなわちマイクロ波発生手段71の直下の領域へと搬送される。インクが着弾した記録媒体Rは、上記領域でマイクロ波発生手段71から発生したマイクロ波の照射を受ける。ここで、マイクロ波発生手段71により照射されるマイクロ波の周波数に対して、インクは記録媒体Rよりも高い誘電損失を有すしている。そのため、マイクロ波の照射によって、記録媒体Rは加熱されず、インクが選択的に加熱されることとなる。マイクロ波発生手段71から発生するマイクロ波のエネルギー量は、媒体温度センサ8が送信する温度データに基づき、制御手段30によって制御される。
【0148】
記録媒体RはさらにUVランプ3の直下へと搬送される。引き続き、UVランプ3の直下に搬送された記録媒体R、言い換えればインクが着弾した記録媒体Rに、UVランプ3からUVが照射される。記録媒体R上のインクはマイクロ波発生手段71によるマイクロ波照射によって加熱され、UV照射によって効率的に硬化する温度に調節されている。そのため、上記インクは適度にライニングした後、UV照射によって速やかに硬化する。
【0149】
こうしてUV照射によるインク硬化の工程を経た記録媒体Rは、さらに搬送され、排紙ガイド(図示しない)を通過して印刷物として排紙される。
【0150】
次に、本発明に係るインクジェットプリンタAにより記録媒体Rに画像形成を施した実施例について説明する。
【0151】
〔実施例1〕
画像形成に先立ち、以下の配合で各色の顔料分散物の作成を行なった。
ブラック顔料分散物(K1)
ピグメントブラック7                  15.0
質量部分散剤                          1.5質量部
アロンオキセタンOXT−221(重合性化合物、東亜合成社製)80.5質量部
アクリル系樹脂                      3.0質量部
シアン顔料分散物(C1)
ピグメントブルー15:3                15.0質量部
分散剤                          1.5質量部
アロンオキセタンOXT−221(重合性化合物、東亜合成社製)80.5質量部
アクリル系樹脂                      3.0質量部
マゼンタ顔料分散物(M1)
ピグメントレッド184                 15.0質量部
分散剤                          1.5質量部
アロンオキセタンOXT−221(重合性化合物、東亜合成社製)80.5質量部
アクリル系樹脂                      3.0質量部
イエロー顔料分散物(Y1)
ピグメントイエロー180                15.0質量部
分散剤                          1.5質量部
アロンオキセタンOXT−221(重合性化合物、東亜合成社製)80.5質量部
アクリル系樹脂                      3.0質量部
白色顔料分散物(W1)
ピグメントホワイト6                  15.0質量部
分散剤                          1.5質量部
アロンオキセタンOXT−221(重合性化合物、東亜合成社製)80.5質量部
アクリル系樹脂                      3.0質量部
【0152】
これらの顔料分散物を用い、表1に示すように各色のインクを配合することで、濃ブラック(K)、濃シアン(C)、濃マゼンタ(M)、濃イエロー(Y)、淡シアン(Lc)、淡マゼンタ(Lm)の各色インク組成物を得た。尚、各インクの組成は、各成分の質量%で表した。
【表1】
Figure 2004050546
【0153】
インクは、顔料分散物以外の全ての材料を配合し、十分に溶解したことを確認してから、前記の顔料分散物を少しづつ加え、ディゾルバーを用い十分に攪拌した後、0.8μmのフィルターにてろ過を行った。また、ろ過に先立ち、前処理として10μmにフィルターによるプレろ過を行った。ろ過工程では圧損の発生も少なく、十分なろ過速度が得られた。次いでインクを50℃に加温・攪拌しながら、減圧することにより、溶解している空気および水分を取り除き、インクとした。
【0154】
上述の様にして調合したインクを適用し、インクジェットプリンタAによる画像形成を行なった。記録媒体Rには長尺のOPP(Oiented polypropylene)フィルムを適用した。OPPフィルムは印刷面側の濡れ指数が42mN/mとなるよう、予めコロナ処理を施した。
【0155】
記録ヘッド21には2〜15plのマルチサイズドットを720×720dpi(1インチ、即ち2.54cm当たりのドット数)の解像度で吐出できる形態のものを適用し、吐出口15におけるインクの温度は第一インク温度調節機構6によって50℃に維持した。
【0156】
第二インク温度調節機構7の媒体側インク温度調節手段には、マイクロ波発生手段71を適用した。マイクロ波発生手段71から記録媒体R上のインクにマイクロ波を照射する条件は、該インクが、UVランプ3でUV照射を受けるときの温度が45℃となるように設定した。UVランプ3のUV光源にはハイベック社製特注品の冷陰極菅(電源/1kw未満、最高照度(ピーク波長)/15mW/cm(308nm))を適用した。インクが、記録媒体Rに着弾してからUV照射を受けるまでの所要時間は0.15秒とした。
【0157】
記録媒体R上のインクにUVランプから照射されるUVの照射エネルギー及びピーク波長は40mJ/cm、308nmであった。硬化したインクのトータル膜厚は2.3〜13μmであった。
【0158】
また、記録媒体R上にカラー画像を形成後、画像の上からW(白)インクを重なるように吐出し、硬化させることで、透明なフィルム上でも鮮明なカラー画像が得られた。
【0159】
〔実施例2〕
実施例2では、第二インク温度調節機構7の媒体側インク温度調節手段として、ヒーターからなる空気加熱手段と、送風手段と、を有した系を適用した。送風手段から記録媒体R上のインクに送風される空気の温度及び風量は、UVランプ3によりUV照射を受ける時のインクの温度が45℃となるように設定した。第二インク温度調節機構7以外の構成要素に係る条件については、実施例1と揃えた。
【0160】
〔実施例3〕
実施例3では、第二インク温度調節機構7の媒体側インク温度調節手段として、赤外線ランプを有した赤外線発生手段を適用した。赤外線発生手段から記録媒体R上のインクに照射する赤外線の波長領域及びエネルギー量は、UVランプ3によりUV照射を受ける時のインクの温度が45℃となるように設定した。第二インク温度調節機構7以外の構成要素に係る条件については、実施例1と揃えた。
【0161】
〔実施例4〕
実施例4では、第二インク温度調節機構7の媒体側インク温度調節手段に、可視光線と赤外線とからなる光線を発生するハロゲンランプを有した光線発生手段を適用した。ハロゲンランプから記録媒体R上のインクに照射する光線の波長領域及びエネルギー量は、UVランプ3によりUV照射を受ける時のインクの温度が45℃となるように設定した。第二インク温度調節機構7以外の構成要素に係る条件については、実施例1と揃えた。
【0162】
〔実施例5〕
実施例5では、3種類の材質からなる記録媒体R、R、…について画像形成を行なった。記録媒体Rの材質としては、ONy(Oriented nylon)フィルム、PET(Polyethylene terephthalate)フィルム、PVC(Polyvinylchloride)を適用した。上記3種類のフィルムにはそれぞれコロナ処理を施して記録媒体Rとした。コロナ処理後の印刷面側の濡れ指数は、ONyフィルムで48mN/m、PETフィルムで53mN/m、PVCフィルムで45mN/mであった。記録媒体R以外の構成要素に係る条件については、実施例1と揃えた。
【0163】
〔実施例6〕
実施例6では、比較例として、第二インク温度調節機構によるインクの温度調節を行なわずに画像形成を行なった。第二インク温度調節機構7以外の構成要素に係る条件については、実施例1と揃えた。
【0164】
〔実施例7〕
実施例7では、比較例として、吐出口15におけるインクの温度が30℃に維持されるよう、第一インク温度調節機構6によるインクの温度調節を行なった。第一インク温度調節機構6以外の構成要素に係る条件については、実施例1と揃えた。
【0165】
実施例1〜実施例7について記録媒体Rに形成された画像の評価を行なった。各実施例についての画像の評価の結果を表2に示す。
【表2】
Figure 2004050546
各実施例における実施項目および凡例は下記の通りである。
【0166】
「文字品質」は、Y、M、C、K各色のインクを用いて記録媒体Rに6ポイントMS明朝体文字を印字し、文字のガサツキをルーペで拡大して目視することで評価した。評価のうち、◎は「ガサツキなし」を示す。○は「僅かにガサツキが見える」を示す。△は「ガサツキが見られるが、文字として判別可能であり、ぎりぎりで実用に適す」を示す。×は「ガサツキがひどく、文字がかすれているため、実用に適さない」を示す。n.e.は「評価不能」を示す。
【0167】
「色混じり(にじみ)」は隣り合う各色ドットをルーペで拡大し、にじみ具合を目視することで評価した。評価のうち、◎は「隣り合うドット形状が真円を保ち、にじみがない」を示す。○は「隣り合うドット形状はほぼ真円を保ち、ほとんどにじみがない」を示す。△は「隣り合うドットが少しにじんでいてドット形状が少しくずれているが、ぎりぎりで実用に適す」を示す。×は「隣り合うドットがにじんで混じりあっており、実用に適さない」を示す。n.e.は「評価不能」を示す。
【0168】
「画像形成部の硬化性」は、記録媒体R上にベタ塗りを施し、このベタ塗りを施した領域のパッチ部分に手で触れることにより触感で評価した。評価のうち、○は「完全に硬化し、痕はつかない」を示す。△は「表面は硬化しているが、内部が硬化しておらず、柔らかい」を示す。×は「未硬化で、触るとベタベタする」を示す。n.e.は「評価不能」を示す。
【0169】
表2に示すように、実施例1〜実施例5では、「文字品質」及び「色混じり(にじみ)」の評価は◎又は○であり、特に実施例5において、第二インク温度調節機構7の媒体側インク温度調節手段にマイクロ波発生手段71を適用し、記録媒体Rの材質にPETを適用した場合には、「文字品質」及び「色混じり(にじみ)」の評価はいずれも◎であった。また、実施例1〜実施例5では、「硬化性」の評価はいずれも○であった。
【0170】
一方、比較例として、記録媒体R上のインクの加熱を行なわなかった実施例6では「文字品質」、「色混じり(にじみ)」、「硬化性」の評価はいずれも×であった。また、吐出口15におけるインクの温度を30℃に維持した実施例7では、インクは吐出口15から安定して吐出されず、記録媒体R上に画像を形成することができなかったので各項目はn.e.となった。
【0171】
実施例1〜実施例7の結果より、本発明に係るインクジェットプリンタAでは、プラスチックフィルムのような材質からなる記録媒体Rに高画質、高強度を具備した画像を形成できることが明らかになった。
【0172】
このように、本発明に係るインクジェットプリンタA及び画像形成方法では、第二インク温度調節機構7によって、UVランプ3でUV照射を受ける時のインクの温度を調節することで、記録媒体R上でインクを効率的に硬化させることができる。このことで、プラスチックフィルムのような非インク吸収性の材質や、紙のようなインク吸収性が均一でない材質からなる記録媒体Rに対しても、高画質、高強度を具備した高品質の画像を形成できる。
【0173】
また、インクの温度の制御は、記録媒体Rを加熱することなく選択的に行なわれるので、記録媒体Rが熱収縮性の材質からなる場合でもインクの硬化に伴なう記録媒体Rのしわ・カールの発生を防ぐことができる。これらのことより、本発明に係るインクジェットプリンタA及び画像形成方法によれば、記録媒体Rに画像を形成することで作製される印刷物の品質を高くすることができる。
【0174】
なお、本発明に係るインクジェットプリンタAの形態は上述の例に限らない。
【0175】
照射手段であるUVランプ3の設置形態は図1に描図した例に限らない。例えば、図1の例の他にも、特開昭60−132767号に開示されている形態でUVランプ3を設置することとしてもよい。この文献に開示されている形態では、UVランプ3、3は記録ヘッド21の走査方向両側に配置される形態でキャリッジ22に設置される。この様にUVランプ3を設置することで、UV照射はインク着弾後、一定時間を置いて行われることになる。
【0176】
その他にも、米国特許第6,145,979号で開示されているように、UVランプ3を照射を行なう位置とは異なる位置に設置し、このUVランプ3で発生した紫外線を、光ファイバーを用いて誘導したり、上記紫外線をコリメートした状態で記録ヘッド21側面に設けた鏡面に当てたりして、記録媒体Rのインクが着弾した領域へ導くこととしてもよい。
【0177】
さらに、UV照射を2段階に分け、まずインク着弾後0.001〜2.0秒の間に前述の方法で活性光線を照射し、且つ、記録媒体Rの一定の領域にインクを着弾させた後、更にUVを照射する方法も好ましい形態の1つである。この様にしてUVの照射を2段階に分けることで、インク硬化の際に起こる記録媒体Rの収縮によるしわ・カールの発生を効果的に抑えることができる。
【0178】
また、本発明に係るインクジェットプリンタ及び画像形成方法は、記録媒体R上のインクに照射する活性光線として紫外線を適用するものに限らない。本発明に係るインクジェットプリンタA及び画像形成方法では、可視光線、電子線、X線といった活性光線を用いて記録媒体R上のインクを硬化させることとしてもよい。
【0179】
例えば、本発明に係るインクジェットプリンタAおよび画像形成方法は、電子線を記録媒体R上のインクに照射する構成としてもよい。活性光線として電子線を適用することで、重合開始剤を含まない安価なインクを適用した場合でも、速やかにインクドットを硬化させることができる。よって、記録媒体Rに高画質な画像を、高生産性かつ安価に形成することができる。
【0180】
【発明の効果】
本発明によれば、記録媒体に着弾したインクの、活性光線照射を受ける時の温度を調節することで、記録媒体に着弾したインクを活性光線の照射によって効率よく硬化させることができる。よって、インク吸収性の不均一な材質や、インク吸収性のない材質を記録媒体に適用した場合でも、高画質、高強度な優れた画像品質の画像を記録媒体に形成することができる。
【0181】
また、記録媒体上のインクの温度を調節する時、温度調節はインクだけに対して選択的に行なわれ、この時記録媒体は加熱されないので、熱収縮等に伴なう記録媒体のしわ・カールの発生を防止することができる。よって、記録媒体に画像が形成された印刷物を、高い品質で作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインクジェットプリンタAの概略を示す要部側面図である。
【図2】インクジェットプリンタAの概略を示す要部ブロック図である。
【図3】インクジェットプリンタAに適用される記録ヘッド21の斜視図である。
【図4】インクジェットプリンタAに適用される記録ヘッド21の正断面図(a)及び側断面図(b)である。
【符号の説明】
1    搬送手段
2    画像形成部
3    UVランプ(照射手段)
6    第一インク温度調節機構
7    第二インク温度調節機構
8    媒体温度センサ(媒体側インク温度検出手段)
13  ヘッドヒーター(ヘッド内インク温度調節手段)
15  吐出口
16  面ヒーター(ヘッド内インク温度調節手段)
19  ヘッド温度センサ(ヘッド内インク温度検出手段)
21  記録ヘッド
30  制御手段(ヘッド内インク温度制御手段、媒体側インク温度制御手段)
71  マイクロ波発生手段(媒体側インク温度調節手段)
A     インクジェットプリンタ
R     記録媒体

Claims (10)

  1. 活性光線の照射により硬化可能なインクを記録媒体に向けて吐出し、前記記録媒体に着弾したインクに前記活性光線を照射して画像形成を行なうインクジェットプリンタであって、
    前記インクを吐出する吐出口を有する記録ヘッドと、
    前記記録媒体に着弾したインクに前記活性光線を照射する照射手段と、
    前記記録媒体を、前記インクが着弾する位置から前記活性光線の照射を受ける位置まで搬送する搬送手段と、
    前記吐出口近傍に設けられ、該吐出口における前記インクの温度を調節するヘッド内インク温度調節手段を有する第一インク温度調節機構と、を備えるとともに、
    前記照射手段により前記活性光線の照射を受ける時の前記インクの温度を調節する第二インク温度調節機構を備えることを特徴とするインクジェットプリンタ。
  2. 前記第二インク温度調節機構は、マイクロ波を発生するマイクロ波発生手段を有し、前記記録媒体に着弾したインクに前記マイクロ波を照射することを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
  3. 前記第二インク温度調節機構は、空気を加熱する空気加熱手段と、前記空気加熱手段により加熱された空気を前記記録媒体に着弾したインクに送風する送風手段と、を有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
  4. 前記第二インク温度調節機構は、赤外線を発生する赤外線発生手段を有し、前記記録媒体に着弾したインクに前記赤外線を照射することを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
  5. 前記第二インク温度調節機構は、光線を発生する光線発生手段を有し、前記記録媒体に着弾したインクに前記光線を照射するとともに、
    前記光線発生手段はハロゲンランプ又はキセノンランプを有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
  6. 前記第一インク温度調節機構は、前記吐出口におけるインクの温度を40℃以上に調節することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
  7. 前記第二インク温度調節機構は、前記活性光線の照射を受ける時の前記インクの温度を40℃以上に調節することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
  8. 前記活性光線は紫外線であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
  9. 前記インクはカチオン硬化性であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
  10. 活性光線の照射により硬化可能なインクを記録ヘッドから記録媒体に向けて吐出し、前記記録媒体に着弾したインクに前記活性光線を照射して画像形成を行なう画像形成方法であって、
    前記記録ヘッドから吐出される時の前記インクの温度を調節するとともに、
    前記活性光線の照射を受ける時の前記インクの温度を調節することを特徴とする画像形成方法。
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