JP2004038003A - 投影用スクリーンおよびその製造方法 - Google Patents

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Hiroshi Hayashi
林 弘志
Masayasu Kakinuma
柿沼 正康
Hideya Nakabachi
中鉢 秀弥
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Abstract

【課題】映写環境に影響されずに、明瞭な画像を得ることができるだけでなく、画像のコントラストを向上させることにより鮮明な画像も得ることができる投影用スクリーンおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】光学薄膜12の上に迷光吸収層13が形成されている。この迷光吸収層13では、三原色波長域光および不可視波長領域の光が透過すると共に、三原色波長領域光の波長領域の近傍の迷光が吸収されるので、光学薄膜12にはスペクトルの鋭い三原色波長域光が入射する。光学薄膜12では、このスペクトルの鋭い三原色波長領域光のみが反射され、それ以外の波長領域の光は基板11に吸収される。これにより投影用スクリーン10に形成される画像のコントラストが高められる。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光源からの光を受けて画像を表示する投影用スクリーンおよびその製造方法に係り、特に反射方式の投影用スクリーンおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、会議等では発表者が資料を提示する手段としてオーバーヘッドプロジェクタやスライドプロジェクタが広く用いられ、一般家庭ではビデオプロジェクタや動画フィルムプロジェクタが普及しつつある。これらプロジェクタ装置では、光源から出力された光がライトバルブ(Light Valve )により空間的に変調されて画像光とされ、この画像光がレンズ等の照明光学系を通じて投影用スクリーン上に投影される。
【0003】
この種のプロジェクタ装置にはカラー画像を表示させることができるものがあり、光源として光の三原色である赤色(Red =R),緑色(Green =G),青色(Blue=B)を含んだ白色光を発するランプが用いられ、ライトバルブとしては透過型の液晶パネルが用いられている。このプロジェクタ装置では、光源から出射された白色光が、照明光学系によって赤色光、緑色光および青色光の各色の光線に分離され、これら光線が所定の光路に収束される。これらの光束が液晶パネルにより画像信号に応じて空間的に変調される。変調された光束が光合成部によってカラー画像光として合成され、この合成されたカラー画像光が投影レンズにより投影用スクリーンに拡大投射される。
【0004】
また、最近、カラー画像を表示させることができるプロジェクタ装置として、光源に狭帯域三原色光源、例えば三原色の各色の狭帯域光を発するレーザ発振器を用い、ライトバルブに回折格子型のライトバルブ(GLV:Grating Light Valve )を用いた装置が開発されている。このプロジェクタ装置では、レーザ発振器により出射された各色の光束が画像信号に応じてGLVにより空間的に変調される。このように変調された光束は前述したプロジェクタ装置と同様に、光合成部によってカラー画像光として合成され、この合成されたカラー画像光が投影レンズにより投影用スクリーンに拡大投射される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、プロジェクタ装置に用いられる投影用スクリーンは、その背面側から投影光を照射して前面側から見る透過方式と、前面側から投影光を照射しその反射した光を前面側から見る反射方式とに分けられる。いずれの方式においても、視認性の良好なスクリーンを実現するために、明るくて、かつ、コントラストの高い画像を得ることが望まれている。
【0006】
しかし、反射方式の投影用スクリーンを用いたフロント式のプロジェクタ装置は、自発光型ディスプレイやリアプロジェクタ装置とは異なり、例えばNDフィルタを用いて外光の映り込みを低減することができず、特に映写環境が明るい場合には、投影用スクリーン上における明暗のコントラストを高くすることが困難であるという問題があった。
【0007】
このような問題を解決するために、図7に示したように、いわゆる帯域フィルタとしての機能を有する光学薄膜112が形成された投影用スクリーン100が提案されている(特願2002−070799号)。この投影用スクリーン100は、光吸収層としての機能を有する基板111を備え、この基板111の上には光学薄膜112が形成されている。この光学薄膜112は、特定波長帯の光に対して高反射特性を有すると共に、少なくともこの特定波長域光以外の可視波長域光に対して高透過特性を有する誘電体多層膜である。この誘電体多層膜の各膜厚はマトリクス法に基づいたシミュレーションにより設計されている。光学薄膜112の上には、光学薄膜112で反射された特定波長帯の光を散乱するための光拡散層113が形成されている。
【0008】
このような構成を有する投影用スクリーン100では、プロジェクタ装置から照射された光のうち特定波長帯の光が光学薄膜112で反射され、この反射された光が光拡散層113で散乱されて画像が形成される。他方、プロジェクタ装置から照射された光のうち特定波長帯以外の光は光学薄膜112を透過し、基板111に吸収される。このように投影用スクリーン100は、光学薄膜112が帯域フィルタとして機能することにより明暗のコントラストを高めることができるので、映写環境が明るい場合でも明瞭な画像を得ることができる。
【0009】
しかしながら、投影用スクリーン100では、光学薄膜112において特定波長帯以外の光が若干反射し、この特定波長帯以外の波長領域の反射光が光拡散層113で散乱されることによって、特定波長帯以外の波長領域、特に特定波長帯近傍の領域の迷光が画像に混入するために、コントラストが低下し、鮮明な画像を得ることができなかった。
【0010】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、特定の波長領域以外の光、特に特定の波長領域の近傍の迷光が画像に混入することを防止することにより画像のコントラストを高めて、映写環境に影響されず、明瞭な画像を得ることが可能となるだけでなく、鮮明な画像も得ることができる投影用スクリーンおよびその製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明による投影用スクリーンは、基板と、基板の上に形成されると共に、特定の波長領域の光に対して高反射特性を有し、前記波長領域以外の少なくとも可視波長領域の光に対して高透過特性を有する光学薄膜と、光学薄膜の上に形成されると共に、前記波長領域の光に対する光学薄膜の反射特性を向上させる機能を有する光機能層とを備えたものである。
【0012】
本発明による投影用スクリーンの製造方法は、基板の上に、特定の波長領域の光に対して高反射特性を有し、前記波長領域以外の少なくとも可視波長領域の光に対して高透過特性を有する光学薄膜を形成する工程と、光学薄膜の上に、前記波長領域の光に対する光学薄膜の反射特性を向上させる機能を有する光機能層を形成する工程とを含むものである。
【0013】
本発明による投影用スクリーンまたはその製造方法では、光学薄膜の上に光機能層が形成され、この光機能層により特定の波長領域の光に対する光学薄膜の反射特性が向上するので、特定の波長領域以外の光、特に特定の波長領域の近傍の迷光が光学薄膜で反射することが防止され、これによってスペクトルの鋭い特定の波長領域の光により画像が形成される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施の形態に係る投影用スクリーン10の一部の断面構成を表すものである。この投影用スクリーン10はいわゆる反射方式のスクリーンである。投影用スクリーン10は基板11を備えている。基板11の上には、いわゆる帯域フィルタとしての機能を有する光学薄膜12が形成されている。この光学薄膜12の上には迷光吸収層13が形成されている。この迷光吸収層13は、光学薄膜12の帯域フィルタとしての機能を向上させるものである。これについては後述する。迷光吸収層13の上には、光拡散層14および保護膜15が順次形成されている。
【0016】
基板11は、例えば黒色塗料等を含んだ高分子材料から構成されている。高分子材料としては、例えばポリカーボネイト(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリオレフィン(PO)が挙げられる。この基板11は黒色塗料を含み黒色となっているので、光学薄膜12を透過した光を吸収する光吸収層としての機能を有しており、これによってスクリーンの黒レベルが高められ明暗のコントラストが向上する。
【0017】
光学薄膜12は、高い屈折率を有する誘電体材料からなる高屈折率膜12Hと、この高屈折率膜12Hよりも低い屈折率を有する誘電体材料からなる低屈折率膜12Lとが交互に積層された誘電体多層膜であり、この誘電体多層膜の各膜の厚さは例えば80nm以上200nm以下である。高屈折率膜12Hの誘電体材料としては例えば五酸化ニオブ(Nb2 5 )、二酸化チタン(TiO2 )あるいは五酸化タンタル(Ta2 5 )、低屈折率膜12Lの誘電体材料としては例えば二酸化シリコン(SiO2 )あるいはフッ化マグネシウム(MgF2 )が挙げられる。
【0018】
光学薄膜12の各膜厚は、マトリクス法に基づいたシミュレーションによって、例えば赤色、緑色および青色の各色の波長領域の光からなる三原色波長域光に対して高反射特性を有すると共に、この三原色波長域光の波長領域以外の少なくとも可視波長域の光に対して高透過特性を有するように設計されている。具体的には、光学薄膜12は、波長が630nm程度である赤色光、波長が540nm程度である緑色光、および波長が460nm程度である青色光のそれぞれに対して高反射特性を有し、それ以外の可視波長域の光に対して高透過特性を有するものとなっている(図2)。
【0019】
迷光吸収層13は、高い屈折率を有する誘電体材料からなる高屈折率膜13Hと、この高屈折率膜13Hよりも低い屈折率を有する誘電体材料からなる低屈折率膜13Lとが交互に積層された誘電体多層膜である。この誘電体多層膜の各膜厚は、マトリクス法に基づいたシミュレーションによって、三原色波長域光の波長領域の近傍の迷光に対して高吸収特性を有し、少なくとも三原色波長域光に対して高透過特性を有するように設計されている。具体的には、迷光吸収層13は、少なくとも波長が630nm程度である赤色光、波長が540nm程度である緑色光、および波長が460nm程度である青色光のそれぞれの波長領域の近傍の迷光に対して高吸収特性を有し、少なくとも三原色波長域光に対して高透過特性を有するものとなっている(図3)。
【0020】
このように構成される迷光吸収層13により、三原色波長域光の波長領域の近傍の迷光が吸収されるので、この迷光吸収層13を透過し光学反射膜12で入射する光は、図4に示したように、三原色波長域光のスペクトルが鋭くなる。
【0021】
光拡散層14は、例えば直径が数μm〜数mm程度の球状の複数のビーズが等間隔に配列されたものであり、これらのビーズは例えばガラスや高分子材料等の透明な材料からなる。この光拡散層14では、迷光吸収層13を透過した三原色波長域光が散乱される。これによって、視野角が大きくなり良い視野特性が得られる。なお、ビーズの配列は等間隔でなくてもよい。保護膜15は、光学薄膜12、光吸収層13および光拡散層14を保護するためのものである。
【0022】
次に、このような構成を有する投影用スクリーン10の製造方法について説明する。まず、黒色塗料を含ませた高分子材料からなる基板11を用意する。次に、例えばスパッタリング法によって、基板11の上に光学薄膜12を形成する。この光学薄膜12は誘電体多層膜とし、この誘電体多層膜を高屈折率膜12Hと、この高屈折率膜12Hより低い屈折率を有する低屈折率膜12Lとを交互に積層したものとする。このような光学薄膜12の各膜厚は、マトリクス法に基づいたシミュレーションによって、この光学薄膜12が三原色波長域光に対して高反射特性を有すると共に、この三原色波長域光の波長領域以外の少なくとも可視波長域の光に対して高透過特性を有するように設計する。
【0023】
続いて、光学薄膜12の上に、例えばスパッタリング法によって迷光吸収層13を形成する。この迷光吸収層13は誘電体多層膜とし、この誘電体多層膜は、高屈折率膜13Hと、この高屈折率膜13Hより低い屈折率を有する低屈折率膜13Lとを交互に積層したものとする。このような迷光吸収層13の各膜厚は、マトリクス法に基づいたシミュレーションによって、この迷光吸収層13が三原色波長域光の波長領域の近傍の迷光に対して高吸収特性を有し、少なくとも三原色波長域光に対して高透過特性を有するように設計する。最後に、迷光吸収層13の上に光拡散層14および保護膜15を順次形成することによって、図1に示した投影用スクリーン10が完成する。
【0024】
ここで、光学薄膜12および迷光吸収層13を設計するときに用いるマトリクス法に基づいたシミュレーションの概要について説明する。このシミュレーションでは、例えば基板の上に形成された誘電体多層膜をモデルとして用いる。この誘電体多層膜のモデルにおいて、誘電体多層膜の表面に光源から或る角度で所定の光が入射すると仮定すると、誘電体多層膜の各膜の境界で多重反射が生じるが、このように多重反射した光は、光源の波長や誘電体多層膜の各膜の厚さおよび屈折率に依存して互いに干渉し合う。
【0025】
このような誘電体多層膜のモデルにマトリクス法を適用する。具体的には、光の波長や、基板の厚さおよび屈折率、誘電体多層膜の各膜の厚さおよび屈折率、誘電体多層膜の表面への入射光の角度などをパラメータとして用い、マクスウェル方程式やスネルの法則などの光学法則が誘電体多層膜の各膜での境界条件を満足するようにマトリクス演算を行う。これによって、所定の光に対する誘電体多層膜の透過率および反射率等の光学特性が求められ、誘電体多層膜の設計を行うことができる。
【0026】
このような構成を有する投影用スクリーン10は、例えばフロント式のプロジェクタ装置20のスクリーンとして用いられる。図5は、このプロジェクタ装置20の概略構成を表すものである。プロジェクタ装置20は、光源として三原色の各色の波長領域からなる三原色狭帯域光を出射するレーザ発振器21を備えている。レーザ発振器21は、例えば波長が642nmである赤色光を出射するレーザ発振器21R、波長が532nmである緑色光を出射するレーザ発振器21G、波長が457nmである青色光を出射するレーザ発振器21Bから構成されている。
【0027】
また、プロジェクタ装置20は、レーザ発振器21から出射された光を画像光として投影用スクリーン10に導くための照明光学系として、コリメータレンズ22、シリンドリカルレンズ23、GLV24、体積型ホログラム素子25、ガルバノミラー26および投影レンズ27を備えている。コリメータレンズ22は、赤色光用のコリメータレンズ22R、緑色光用のコリメータレンズ22G、および、青色光用のコリメータレンズ22Bから構成される。GLV24は、赤色光用のリボン列24R、緑色光用のリボン列24G、および青色光用のリボン列24Bを備えている。体積型ホログラム素子25は、第1体積型ホログラム素子25aおよび第2体積型ホログラム素子25bから構成されている。
【0028】
なお、プロジェクタ装置20では、レーザ発振器21Rから出射された赤色光、レーザ発振器21Gから出射された緑色光、レーザ発振器21Bから出射された青色光のそれぞれが、コリメータレンズ22では各色用のコリメータレンズ22R,22G,22Bに入射するように、GLV24では各色用のリボン列24R,24G,24Bに入射するようにこれらの構成要素が配置されている。
【0029】
このような構成を有するプロジェクタ装置20では、レーザ発振器21から出射された赤色光、緑色光および青色光の各光は、コリメータレンズ22を透過することにより平行光となる。このコリメータレンズ22により平行光となった三原色波長域光は、シリンドリカルレンズ23の作用によりGLV24に集光される。これら集光した三原色波長域光は、GLV24の各リボン列が画像信号に応じて独立に駆動されることによって空間的に変調される。
【0030】
GLV24の作用により変調された三原色波長域光は、シリンドリカルレンズ23の作用により体積型ホログラム素子25に集光される。この体積型ホログラム素子25では、第1体積型ホログラム素子25aにより赤色光が回折され、第2体積型ホログラム素子25bにより青色光および赤色光が同じ方向に回折される。また、第1体積型ホログラム素子25aおよび第2体積型ホログラム素子25bでは、緑色光が回折されずに直進して透過し、赤色光と同じ方向に出射される。このようにして体積型ホログラム素子25の作用により、赤色光、緑色光および青色光の各色の光が合成されて、同じ方向に出射される。同じ方向に合波された三原色波長域光は、ガルバノミラー26により所定の方向に走査され、投影レンズ27を介して投影用スクリーン10の前面に投射される。
【0031】
投影用スクリーン10では、プロジェクタ装置20から投射された三原色波長域光とともに外光が、保護膜15および光拡散層14を通過し、迷光吸収層13に入射する。この迷光吸収層13は、図3に示したような光学特性を有するので、この迷光吸収層13により三原色波長域光の波長領域の近傍の迷光が吸収されると共に、三原色波長域光および不可視波長域の光が透過する。これにより光学薄膜12に入射する三原色波長域光のスペクトルが鋭くなる。
【0032】
この迷光吸収層13を透過した三原色波長域光および不可視波長域の光は、光学薄膜12に入射する。この光学薄膜12では、図2に示したような反射特性を有するので三原色波長域光のみが反射し、その他の光は基板11に吸収される。すなわち、光学薄膜12ではスペクトルが鋭い三原色波長域光のみが反射されることにより、それ以外の波長領域の光のスペクトルが大きく減少する(図4)。このように光学薄膜12で反射した三原色波長域光は、迷光吸収層13を透過し、光拡散層14に入射する。この光拡散層14では、迷光吸収層13を透過した三原色波長域光が散乱され、スクリーンの前面に画像が形成される。
【0033】
以上のようにして、プロジェクタ装置20から投射される三原色波長域光とともに外光がスクリーンに入射しても、外光に起因した画像のコントラストの低下および外光の映り込みが防止されることにより明瞭な画像が得られる。特に、迷光吸収層13により三原色波長域光の波長領域の近傍の迷光が吸収され、三原色波長域光に対する光学薄膜12の反射特性が高められることから、スペクトルの鋭い三原色波長域光により画像が形成されるので、明瞭でかつ鮮明な画像が得られる。
【0034】
このように本実施の形態では、光学薄膜12の上に迷光吸収層13が形成され、この迷光吸収層13により、三原色波長域光の波長領域の近傍の迷光が吸収されるので、光学薄膜12に入射する三原色波長域光のスペクトルが鋭くなる。このスペクトルが鋭い三原色波長域光のみが光学薄膜12で反射し、この三原色波長域光のみからなる反射光により画像が形成されることから、映写環境の明るさに影響されず、明瞭な画像を得ることができるだけでなく鮮明な画像も得ることができる。
【0035】
〔変形例〕
上記実施の形態では、光学薄膜12の上に迷光吸収層13を形成するようにしたが、図6に示したように、光選択補助層31を形成するようにしてもよい。この光選択補助層31は、減法混色の三原色であるシアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の各色のドットが面内方向に配列されたものである。これらのドットは、例えば透過型染料の染料材料を用いて印刷法等により、所定の形状、大きさ、密度、配列で形成される。具体的には、ドットは、大きさが10μm〜数mmであり、シアン、マゼンタ、イエローの順で規則的に配列される。
【0036】
このような光選択補助層31を備えた投影用スクリーン30を上記実施の形態で用いたプロジェクタ装置20に適用する。プロジェクタ装置20から光の三原色(R,G,B)波長域光を照射すると、光選択補助層31において、シアンのドットでは緑色光および青色光が反射され赤色光が透過し、マゼンタのドットでは赤色光および青色光が反射され緑色光が透過し、イエローのドットでは赤色光と緑色光が反射され青色光が透過する。このとき、光選択補助層31では光の三原色波長域光以外の波長領域の光は透過する。このように各色のドットに対応する領域のそれぞれで、光の三原色波長域光のみが選択的に反射されることにより、特に光の三原色波長域光の波長領域の近傍の迷光が光学薄膜12で反射することが防止されるので、光選択補助層31を透過した三原色波長域光のスペクトルは鋭くなる。
【0037】
この光選択補助層31を透過したスペクトルの鋭い三原色波長域光およびその他の波長領域の光が光学薄膜12に入射する。この光学薄膜12では三原色波長域光のみが反射され、その他の光は基板11に吸収される。光学薄膜12で反射された三原色波長域光は、光選択補助層31を透過し、光拡散層14に入射する。この光拡散層14では、光選択補助層31を透過した三原色波長域光が散乱され、スクリーンの前面に画像が形成される。
【0038】
このように本変形例では、光学薄膜12の上に光選択補助層31が形成され、この光選択補助層31を減法混色の三原色であるシアン、マゼンタおよびイエローの各色のドットが面内方向に配列された構成としたので、各色のドットに対応する領域のそれぞれで、光の三原色波長域光のみが選択的に反射されることにより、特に光の三原色波長域光の波長領域の近傍の迷光が光学薄膜12にて反射されることが防止される。これによって光学薄膜12に入射する三原色波長域光のスペクトルが鋭くなる。このスペクトルが鋭い三原色波長域光のみが光学薄膜12で反射されるので、この光の三原色波長域光のみからなる反射光により画像が形成されるので、映写環境の明るさに影響されず、明瞭な画像を得ることができるだけでなく鮮明な画像も得ることができる。
【0039】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形が可能である。例えば、上記実施の形態では光学薄膜12の上に迷光吸収層13を形成するようにしたが、この迷光吸収層13の上または下に、上記変形例で用いた光選択補助層31を形成するようにしてもよい。また、上記実施の形態では、高分子材料に黒色塗料を含ませることにより基板11を黒色として三原色波長域光以外の光を吸収させるようにしたが、例えば基板11の裏側に別途黒色塗料からなる光吸収層を形成し、この光吸収層により三原色波長域光以外の光を吸収させるようにしてもよい。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の投影用スクリーンおよびその製造方法によれば、光学薄膜の上に光機能層を形成し、この光機能層により特定の波長領域の光に対する光学薄膜の反射特性を向上させるようにしたので、特定の波長領域以外の光、特に特定の波長領域の近傍の迷光が光学薄膜で反射することが防止され、映写環境が明るい場合でも、特定の波長領域の光のスペクトルが鋭くなり、この波長領域の光により画像を形成することが可能となる。よって、画像のコントラストが高められ、映写環境に影響されずに、明瞭な画像を得ることができると共に、鮮明な画像を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る投影用スクリーンの概略構成図である。
【図2】図1に示した投影用スクリーンを構成する光学薄膜の光学特性を表すものである。
【図3】図1に示した投影用スクリーンを構成する迷光吸収層の光学特性を表すものである。
【図4】図1に示した投影用スクリーンの光学特性を表すものである。
【図5】図1に示した投影用スクリーンを用いたプロジェクタ装置の概略構成図である。
【図6】投影用スクリーンの変形例の概略構成図である。
【図7】投影用スクリーンの比較例の概略構成図である。
【符号の説明】
10,30・・・ 投影用スクリーン、11・・・ 基板、12・・・ 光学薄膜、12H,13H・・・ 高屈折率膜、12L,13L・・・ 低屈折率膜、13・・・ 迷光吸収層、14・・・ 光拡散層、15・・・ 保護膜、20・・・ プロジェクタ装置、21,21R,21G,21B・・・ レーザ発振器、22,22R,22G,22B・・・ コリメータレンズ、23・・・ シリンドリカルレンズ、24・・・ GLV、24R,24G,24B・・・ リボン列、25・・・ 体積型ホログラム素子、25a・・・ 第1体積型ホログラム素子、25b・・・ 第2体積型ホログラム素子、26・・・ ガルバノミラー、27・・・ 投影レンズ、31・・・ 光選択補助層

Claims (28)

  1. 基板と、
    前記基板の上に形成されると共に、特定の波長領域の光に対して高反射特性を有し、前記波長領域以外の少なくとも可視波長領域の光に対して高透過特性を有する光学薄膜と、
    前記光学薄膜の上に形成されると共に、前記波長領域の光に対する前記光学薄膜の反射特性を向上させる機能を有する光機能層と
    を備えたことを特徴とする投影用スクリーン。
  2. 前記光機能層は、前記波長領域の近傍の迷光に対して高吸収特性を有し、少なくとも前記波長領域の光に対して高透過特性を有する迷光吸収層である
    ことを特徴とする請求項1記載の投影用スクリーン。
  3. 前記迷光吸収層は、高い屈折率を有する高屈折率膜と、前記高屈折率膜よりも低い屈折率を有する低屈折率膜とが交互に積層された誘電体多層膜である
    ことを特徴とする請求項2記載の投影用スクリーン。
  4. 前記誘電体多層膜の各膜の厚さはマトリクス法に基づいたシミュレーションにより設計されている
    ことを特徴とする請求項3記載の投影用スクリーン。
  5. 前記光機能層は、シアン、マゼンタおよびイエローの各色のドットが面内方向に配列された光選択補助層である
    ことを特徴とする請求項1記載の投影用スクリーン。
  6. 前記光学薄膜は、高い屈折率を有する高屈折率膜と、前記高屈折率膜より低い屈折率を有する低屈折率膜とが交互に積層された誘電体多層膜であり、前記誘電体多層膜のそれぞれの膜の厚さが80nm以上200nm以下である
    ことを特徴とする請求項1記載の投影用スクリーン。
  7. 前記高屈折率膜がNb2 5 、TiO2 またはTa2 5 からなる
    ことを特徴とする請求項6記載の投影用スクリーン。
  8. 前記低屈折率膜がSiO2 またはMgF2 からなる
    ことを特徴とする請求項7記載の投影用スクリーン。
  9. 前記光学薄膜を透過した透過光が吸収される光吸収層を備えた
    ことを特徴とする請求項1記載の投影用スクリーン。
  10. 前記光吸収層は黒色塗料を含む
    ことを特徴とする請求項9記載の投影用スクリーン。
  11. 前記光吸収層を前記基板が兼ねている
    ことを特徴とする請求項10記載の投影用スクリーン。
  12. 前記基板は高分子材料からなる
    ことを特徴とする請求項11記載の投影用スクリーン。
  13. 前記高分子材料は、ポリカーボネイト、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、またはポリオレフィンである
    ことを特徴とする請求項12記載の投影用スクリーン。
  14. 前記波長領域は、赤色光の波長領域、緑色光の波長領域および青色光の波長領域を含む
    ことを特徴とする請求項1記載の投影用スクリーン。
  15. 基板の上に、特定の波長領域の光に対して高反射特性を有し、前記波長領域以外の少なくとも可視波長領域の光に対して高透過特性を有する光学薄膜を形成する工程と、
    前記光学薄膜の上に、前記波長領域の光に対する前記光学薄膜の反射特性を向上させる機能を有する光機能層を形成する工程と
    を含むことを特徴とする投影用スクリーンの製造方法。
  16. 前記光機能層を、前記波長領域の近傍の迷光に対して高吸収特性を有し、少なくとも前記波長領域の光に対して高透過特性を有する迷光吸収層とする
    ことを特徴とする請求項15記載の投影用スクリーンの製造方法。
  17. 前記迷光吸収層を、高い屈折率を有する高屈折率膜と、前記高屈折率膜より低い屈折率を有する低屈折率膜とを交互に積層させた誘電体多層膜とする
    ことを特徴とする請求項16記載の投影用スクリーンの製造方法。
  18. 前記誘電体多層膜の各膜の厚さをマトリクス法に基づいたシミュレーションにより設計する
    ことを特徴とする請求項17記載の投影用スクリーンの製造方法。
  19. 前記光機能層を、シアン、マゼンタおよびイエローの各色のドットを面内方向に配列させた光選択補助層とする
    ことを特徴とする請求項15記載の投影用スクリーンの製造方法。
  20. 前記光学薄膜を、高い屈折率を有する高屈折率膜と、前記高屈折率膜よりも低い屈折率を有する低屈折率膜とを交互に積層させた誘電体多層膜とし、前記誘電体多層膜のそれぞれの膜の厚さを80nm以上200nm以下とする
    ことを特徴とする請求項15記載の投影用スクリーンの製造方法。
  21. 前記高屈折率膜をNb2 5 、TiO2 またはTa2 5 により形成する
    ことを特徴とする請求項20記載の投影用スクリーンの製造方法。
  22. 前記低屈折率膜をSiO2 またはMgF2 により形成する
    ことを特徴とする請求項21記載の投影用スクリーンの製造方法。
  23. 前記光学薄膜を透過した透過光を吸収する光吸収層を形成する工程を含む
    ことを特徴とする請求項15記載の投影用スクリーンの製造方法。
  24. 前記光吸収層は黒色塗料を含む
    ことを特徴とする請求項23記載の投影用スクリーンの製造方法。
  25. 前記光吸収層を前記基板が兼ねる
    ことを特徴とする請求項24記載の投影用スクリーンの製造方法。
  26. 前記基板を高分子材料により形成する
    ことを特徴とする請求項25記載の投影用スクリーンの製造方法。
  27. 前記高分子材料を、ポリカーボネイト、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォンまたはポリオレフィンとする
    ことを特徴とする請求項26記載の投影用スクリーンの製造方法。
  28. 前記波長領域は、赤色光の波長領域、緑色光の波長領域および青色光の波長領域を含む
    ことを特徴とする請求項15記載の投影用スクリーンの製造方法。
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