JP2004240159A - スクリーン及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】広視野角と高コントラストとが両立したスクリーン及びその製造方法を提供する。
【解決手段】スクリーン基板11上の選択反射層12と拡散板17との間に複数の集光レンズが平面に配置されてなる集光レンズ群15を備え、前記集光レンズ群15と選択反射層12との間で、かつ当該集光レンズのプロジェクター光と光軸が異なる外光の射出領域に吸収層パターン14を備える。
【選択図】 図1
【解決手段】スクリーン基板11上の選択反射層12と拡散板17との間に複数の集光レンズが平面に配置されてなる集光レンズ群15を備え、前記集光レンズ群15と選択反射層12との間で、かつ当該集光レンズのプロジェクター光と光軸が異なる外光の射出領域に吸収層パターン14を備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、明光下において高コントラストの画像を広視野角で見ることができるスクリーン及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、会議等において発言者が資料を提示する方法としてオーバヘッドプロジェクターやスライドプロジェクターが広く用いられている。また、一般家庭においても液晶を用いたビデオプロジェクターや動画フィルムプロジェクターが普及しつつある。これらのプロジェクターの映写方法は光源から出力された光をライトバルブによって光変調して画像光を形成し、この画像光をレンズ等の光学系を通して出射してスクリーン上に映写するものである。
【0003】
この種のプロジェクターとしては、カラー画像を表示させることができるものがあり、光源として三原色である赤色(Red=R)、緑色(Green=G)、青色(Blue=B)を含んだ白色光を発するランプが用いられ、ライトバルブとしては透過型の液晶パネルが用いられている。このプロジェクターでは、光源から出射された白色光が、照明光学系によって赤色光、緑色光および青色光の各色の光線に分離され、これら光線が所定の光路に収束される。これら光束が液晶パネルにより画像信号に応じて空間的に変調され、変調された光束が光合成部によってカラー画像光として合成され、合成されたカラー画像光が投影レンズによりスクリーンに拡大投射される。
【0004】
また、最近、カラー画像を表示させることが可能なプロジェクターとして、光源に狭帯域三原色光源、例えばRGB三原色の各色の狭帯域光を発するレーザ発振器を用い、ライトバルブに回折格子型ライトバルブ(GLV:Grating Light Valve)を用いた装置が開発されている。このプロジェクターでは、レーザ発振器により出射された各色の光束が、画像信号に応じてGLVにより空間的に変調される。このように変調された光束は、前述したプロジェクターと同様にして、光合成部によってカラー画像光として合成され、この合成されたカラー画像光が投影レンズによりスクリーンに拡大投射される。
【0005】
このようなプロジェクターに用いられるスクリーンとしては、例えば、スクリーン前方のプロジェクター(フロントプロジェクター)から照射される画像光を反射して反射光により投影画像を見ることができるようにしたものがあるが、良好な視認性を得るために、広視野角、高コントラスト、高輝度の画像を表示することが求められている。
【0006】
ここで、視野角とは、スクリーン中央での反射輝度が1/2となる角度で、実用的には15度以上が必要とされている。このような視野角は、反射画像光を散乱させることによって大きくすることができるため、通常スクリーン表面に光を散乱させる拡散層が設けられ、この拡散層の拡散角を大きくすることによって、広視野角が図られている。
【0007】
一方、白色映像輝度(白レベル)と黒色映像輝度(黒レベル)との比で表されるコントラストは、いかにして外光の反射を抑えて黒レベルを下げるかがポイントであるが、従来のスクリーンでは部屋を暗くしないとプロジェクターで投影された映像がよく見えないほどコントラスト性能に問題があった。
【0008】
この問題を解決し部屋が明るい状態でもコントラストの高い映像を表示することが可能なスクリーンとして、投影光の通る部分を透明とし、それ以外の部分を可視光が吸収されるように着色したビーズをスクリーン基板上に複数個貼り付けたものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0009】
【特許文献1】
特開平8−137009号公報(段落[0015]〜[0016]、図3、図4)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記スクリーンでは、広視野角を確保するために屈折率の異なるビーズを適度に混在させる必要があり、さらにビーズの材料に感光性材料を用いて着色ビーズに透明層を形成しており、材料の選定や品質の安定性など実用上問題があった。
【0011】
これに対して、本出願人と同一の出願人により、波長領域に応じて選択的に光を反射する選択反射層を用いて、プロジェクターから投影される画像光を主に反射し、プロジェクター以外の例えば蛍光灯や太陽等からの光、すなわち外光は反射しないようにしたスクリーン(特願2002−070799号等)が提案されている。図5は、このスクリーンの構成例を示すもので、スクリーン基板91上に選択反射層92が形成され、選択反射層92の前面に反射光を散乱させる拡散層93が、さらに選択反射層92の背後に透過光を吸収する吸収層98が設けられている。このスクリーンにおいては、外光の影響を大幅に低減することができるため、部屋が明るい状態でもスクリーンゲインを下げることなく黒レベルを下げることができ、コントラストの高い鮮明な映像を表示することができる。
【0012】
しかしながら、このスクリーンにおいても、視野角を広げるためには拡散層93の拡散角を大きくする必要があり、一般にスクリーン上方から入射する外光は、拡散層93の拡散角が小さい場合には拡散層93を透過する割合が少ないが、拡散角を大きくすると、拡散層93を透過する割合が多くなるため選択反射層93で反射される外光の量も多くなり、黒レベルを上げることになって結果的にコントラストを低下させてしまう。これは、選択反射層92が、図6にその反射特性を示すように、画像光の波長領域以外の例えば波長aでも、すべて透過するわけではなく少し反射するためである。
【0013】
本発明は、上記問題点に対処してなされたもので、拡散層の拡散角を大きくしても、外光の影響を抑制することができ、明光下において広視野角と高コントラストと高輝度を実現することができるスクリーン及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、画像光の照射により画像を表示するスクリーンにおいて、画像光を反射する反射層と、反射層で反射した光を散乱させる拡散層と、拡散層と反射層の間に設けられ、拡散層を介して入射する光を集光する集光レンズが複数配列されてなる集光レンズ群と、集光レンズ群と反射層の間に設けられ、画像光と異なる方向から入射する光を吸収する吸収層パターンとを備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項1の発明においては、所定の入射角範囲内で入射する画像光は拡散層を透過して各集光レンズにより収束され、反射層にて反射して逆の経路を辿って拡散層により拡散される。一方、天井の照明等の画像光の入射角範囲よりも大きな角度で入射する外光は、拡散層の拡散角を大きくした場合には拡散層を透過する割合が多くなるが、透過しても各集光レンズの背後に形成されている吸収層パターンにより吸収され、反射層により反射されない。したがって、拡散層の拡散角を大きくして広視野角化を図っても、外光の拡散層透過による黒レベルの上昇を防ぐことができ、広視野角でかつ高コントラストのスクリーンを実現することが可能となる。なお、反射層は、画像光を反射するものであればよく、例えばアルミニウム等の金属材料や光輝性顔料など反射率の高い材料を用いることで、高輝度のスクリーンが得られる。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1のスクリーンにおいて、拡散層と集光レンズ群の間、及び集光レンズ群と反射層の間に、それぞれの構成材料よりも屈折率の低い層を有することを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項2のスクリーンにおいて、屈折率の低い層が接着剤を含むことを特徴とする。
【0017】
請求項2、3の発明においては、拡散層、集光レンズ群及び反射層の光学特性のみを考慮すればよく、スクリーン設計が容易となる。なお、拡散層と集光レンズ群との間、及び集光レンズ群と反射層との間に設けられる層は、可視波長領域の光を透過するもので、拡散層、集光レンズ及び反射層を構成する材料よりも屈折率の低いものであればよく、それらを接着するものであればなおよい。
【0018】
請求項4の発明は、請求項1のスクリーンにおいて、集光レンズ群がレンチキュラレンズであることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1のスクリーンにおいて、集光レンズ群がマイクロレンズアレイであることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1のスクリーンにおいて、集光レンズが透明な円柱形のロッドあるいは球形のビーズであることを特徴とする。
【0019】
請求項4〜6の発明においては、拡散層を介して入射する光を集光することが可能となる。なお、レンチキュラレンズは、かまぼこ型レンズがその長手方向と直交する方向に連なった形態を有し、レンチキュラレンズの背面に形成される吸収層パターンはストライプ状となる。かまぼこ型レンズの長手方向がスクリーンの横方向となっている場合には、スクリーンに対して上方から入射する外光、例えば天井の照明からの光を吸収層パターンに吸収させることが可能となる。一方、かまぼこ型レンズの長手方向がスクリーンの縦方向となっている場合には、スクリーンに対して横方向から入射する外光、例えば窓から入射する太陽光を吸収層パターンに吸収させることが可能となる。透明な円柱形のロッドを配列しても、レンチキュラレンズと同様の作用効果が得られる。また、集光レンズ群としてマイクロレンズアレイを用いた場合には、上下左右から入射する外光を吸収層パターンに吸収させることが可能となる。マイクロレンズアレイの代わりに多数のビーズを用いても同様の効果が得られる。
【0020】
請求項7の発明は、請求項1のスクリーンにおいて、集光レンズの配列ピッチが1画素より小さいことを特徴とする。これにより、画質の良好なスクリーンを得ることが可能となる。
【0021】
請求項8の発明は、請求項1のスクリーンにおいて、反射層が、画像光に対応する特定波長領域の光に対して高反射特性を有し、少なくとも前記特定波長領域を除く可視波長領域の光に対して高透過特性を有することを特徴とする。
請求項9の発明は、請求項8のスクリーンにおいて、反射層が、高屈折率層とこれより屈折率の低い低屈折率層を交互に積層した光学多層膜からなることを特徴とする。
請求項10の発明は、請求項8のスクリーンにおいて、反射層を透過した光を吸収する吸収層を備えたことを特徴とする。
請求項11の発明は、請求項8のスクリーンにおいて、特定波長領域が、赤色光の波長領域、緑色光の波長領域及び青色光の波長領域を含むことを特徴とする。
【0022】
請求項8〜11の発明においては、画像光と略同じ方向から外光が入射しても、反射層が画像光の波長領域、例えばRGB三原色波長領域を除く波長領域の外光成分をほとんど反射しないため、反射層が可視波長領域のすべての光を反射する場合と比較して、よりいっそう外光の影響を低減して黒レベルを下げることができ、明光下においてさらに高コントラストの画像を表示することが可能となる。
【0023】
請求項12の発明は、画像光の照射により画像を表示するスクリーンの製造方法において、集光レンズが複数配列されてなる集光レンズ群の収束する光の入射側に拡散層を形成する拡散層形成工程と、集光レンズ群の収束する光の射出側に光吸収剤を含有する感光性樹脂層を形成する工程と、感光性樹脂層に拡散層及び集光レンズ群を介して光を所定の位置から照射して露光する露光工程と、感光性樹脂層の露光された部分を除去して吸収層パターンを形成する工程と、集光レンズ群の吸収層パターンが形成された面に反射層を形成する反射層形成工程とを含むことを特徴とする。
【0024】
請求項13の発明は、請求項12のスクリーンの製造方法において、拡散層形成工程が、集光レンズ群及び拡散層の構成材料より屈折率の低い接着剤を用いて、集光レンズ群に拡散層となる拡散板を貼り合わせる工程を含むことを特徴とする。
請求項14の発明は、請求項12のスクリーンの製造方法において、露光工程での前記所定の位置が、画像光の照射位置に合わせて設定されることを特徴とする。
請求項15の発明は、請求項12のスクリーンの製造方法において、反射層形成工程が、集光レンズ群及び反射層の構成材料より屈折率の低い接着剤を用いて、集光レンズ群に反射層が形成された基板を貼り合わせる工程を含むことを特徴とする。
請求項16の発明は、請求項12のスクリーンの製造方法において、集光レンズ群が、レンチキュラレンズあるいはマイクロレンズアレイであることを特徴とする。
【0025】
請求項12〜16の発明においては、広視野角、高コントラスト、高輝度の性能を備えたスクリーンを容易に製造することが可能となる。
【0026】
請求項17の発明は、請求項12のスクリーンの製造方法において、反射層が、画像光に対応する特定波長領域の光に対して高反射特性を有し、少なくとも前記特定波長領域を除く可視波長領域の光に対して高透過特性を有することを特徴とする。
請求項18の発明は、請求項17のスクリーンの製造方法において、反射層が、高屈折率層とこれより屈折率の低い低屈折率層を交互に積層した光学多層膜からなることを特徴とする。
請求項19の発明は、請求項17のスクリーンの製造方法において、反射層が、吸収層を備えた基板上に形成されることを特徴とする。
【0027】
請求項17〜19の発明においては、さらに高コントラストの性能に優れたスクリーンを容易に製造することが可能となる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態における構成を示す断面図である。図1に示すように、スクリーン10は、スクリーン基板11上に選択反射層12と、接着層13と、吸収層パターン14と、レンチキュラレンズ15と、接着層16と、拡散板17とを備え、スクリーン基板11の裏面に吸収層18を備えている。
【0029】
スクリーン基板11は、スクリーンの支持体となるものであり、スクリーンとしての強度を有するものであれば、種々の材料を用いることができるが、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリオレフィン(PO)等のポリマーにより構成することができる。
【0030】
選択反射層12は、プロジェクター光の波長領域、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)の三原色波長領域の光を反射し、三原色波長領域以外の波長領域の光を透過する特性を有する光学薄膜であり、例えば本出願人と同一の出願人により提案された光学多層膜(特願2002−070799号等)が用いられる。この光学多層膜は高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層されてなり、図6に示すように三原色波長領域のような特定波長領域の光を選択的に反射するように設計されている。
【0031】
なお、選択反射層12に代えてアルミニウム等の反射率の高い金属材料や光輝性顔料などの光を反射する材料を用いた可視光領域の反射層としても、本発明による広視野角化と高コントラスト化とを両立させる効果は得られる。このような反射層は、スクリーン基板11の表面に蒸着法や塗布法等により形成することができる。また、この他にも、金属薄膜や金属板、もしくは金属蒸着フィルムをスクリーン基板11に貼着してもよい。また、スクリーン基板11を反射性材料で構成してもよい。
【0032】
吸収層パターン14は、可視光を吸収する特性をもった層であり、レンチキュラレンズ15の平坦面(裏側)に所定のマージンで設けられたストライプ状の光吸収膜である。それぞれのストライプはレンチキュラレンズ15のかまぼこ型レンズの長手方向に平行で所定の幅をもった直線の帯状膜であり、レンチキュラレンズ15のおもて面凹凸形状の凹部ほぼ直下に位置する。詳しくは、この吸収層パターン14の幅及び位置は、スクリーン10使用時にプロジェクター光と光軸が異なる外光がレンチキュラレンズ15から射出される領域であり、この外光は吸収層パターン14によって吸収される。また、逆に光吸収膜が存在しない部分はスクリーン10正面からの光がレンチキュラレンズ15で集光され射出される領域であり、当該光は選択反射層12に到達する。
【0033】
また、プロジェクターからの光L1は実際には投射レンズを通して投射されるため、スクリーンへの入射角度は図1のようにスクリーン10に対して垂直入射ばかりでなく、ある角度範囲をもっている。そのため、その角度範囲に合わせて吸収層パターン14を決定することが望ましい。すなわち、スクリーン10へのプロジェクター光の入射角度に応じて吸収層パターン14を形成するとよく、例えばスクリーン10の中央部から周辺部にいくにしたがって吸収層パターンが徐々にずれていくようにすればよい。あるいは、吸収層パターンを一定としてプロジェクター光の入射角度範囲を考慮した適正なマージン寸法とするパターン設計を行ってもよい。
【0034】
レンチキュラレンズ15は、微小半円筒型レンズ(かまぼこ型レンズ)がその長手方向に対して直角方向に連なった形態を有する集光レンズ群であり、スクリーン基板11上の選択反射層12を覆うように配置されている。また、材質としてはプロジェクターで使用する波長域の光を透過する性質のものであれば特に制約はなく、ガラスやプラスチックなど通常のレンズ構成材料であればよく、このレンズのピッチは1画素よりも狭くなっている。
【0035】
レンチキュラレンズ15のスクリーン10上の配置として、外光の入射方向に対応させると効率的に高コントラスト化が図れる。例えば、外光がスクリーン10に対して上方から入射してくる場合には、前記かまぼこ型レンズの長手方向(図1において紙面垂直方向)がスクリーン10上において横方向とし、外光がスクリーン10に対して横方向から入射してくる場合には、前記かまぼこ型レンズの長手方向がスクリーン10上において縦方向となるようにするとよい。
なお、レンチキュラレンズ15に代えて、マイクロレンズアレイとしても本発明と同様の効果を得ることができる。この場合、スクリーン10に対して上下左右どの方向からの外光の入射があっても画像光への影響を排除できる。
【0036】
拡散板17は片面の表面が凹凸形状となっており、その構成材料はプロジェクターで使用する波長域の光を透過する性質のものであれば特に制約はなく、拡散板として通常使用されるガラスやプラスチックなどでよい。例えばエポキシ樹脂からなる。選択反射層12で反射された光は拡散板17を透過して射出される際に拡散し、視聴者はこの拡散した反射光を観察することで自然な画像を視認することができるようになる。拡散板17における拡散角はその視認性を決める重要な要因であり、拡散板を構成する材料の屈折率や表面の凹凸形状などを調整することによってその拡散角を増大させる。
また、プロジェクターの光源がレーザである場合にはスクリーン上のぎらつきであるスペックルパターンの発生を防止するために拡散板17の表面形状パターンをランダムにするとよい。
【0037】
接着層13は、選択反射層12とレンチキュラレンズ15とを貼り合わせる層であり、選択反射層12及びレンチキュラレンズ15を構成する材料よりも低屈折率の層である。また、接着層16は、レンチキュラレンズ15と拡散板17とを貼り合わせる層であり、レンチキュラレンズ15及び拡散板17を構成する材料よりも低屈折率の層である。接着層13、16は同じ材質でもよく、低屈折率の透明接着剤により必要な構成部分を貼り合わせた後に硬化させて形成すればよい。
【0038】
なお、接着層13、16は、選択反射層12とレンチキュラレンズ15、あるいはレンチキュラレンズ15と拡散板17とが実用上はがれない程度にくっつける粘着層であってもよい。
また、選択反射層12とレンチキュラレンズ15、あるいはレンチキュラレンズ15と拡散板17との間は必ずしも前記接着剤(粘着剤も含む)で充填されている必要はなく、一部分の貼り合わせまたは他の手段で接着力が確保されていれば、その部分を空気層としてもよい。
【0039】
吸収層18は、選択反射層12を透過した光を吸収させるためのもので、例えば、スクリーン基板11の選択反射層12を成膜する面とは反対の裏面に黒色の樹脂フィルムを貼り合わせる、もしくはスクリーン基板11の表面または裏面に黒色塗料を塗布する、あるいはスクリーン基板11中にカーボン粉末等の黒色微粒子を分散させる、などの方法により形成することができる。なお、この吸収層18は、選択反射層12の代わりに可視光を均一に反射する反射層を用いた場合には不要となる。
【0040】
つぎに、本発明に係るスクリーン10の製造方法について図2を参照して説明する。
(s1)スクリーン基板としてPETフィルムからなるスクリーン基板11を用意し、当該スクリーン基板11の一方の表面に選択反射層12を蒸着やスパッタリング等の真空薄膜形成方法や、溶剤を用いた塗布方法等により成膜する。真空薄膜形成方法による場合には、例えば、ACスパッタリング法により高屈折率層としてTiO2、Nb2O5、Ta2O5等の高屈折率材料と、低屈折率層としてSiO2、MgF2等の低屈折率材料とを交互に積層して形成する。またこのとき、使用される光の波長域に応じて各層の膜厚設計を行っておく。あるいは、塗布方法による場合には、高屈折率層及び低屈折率層として、例えば、屈折率の異なる熱硬化性樹脂を用いるようにする。また、スクリーン基板11の裏面に黒色塗料も塗布して吸収層18を形成する。
【0041】
(s2)レンチキュラレンズ15の凹凸の有る面(おもて面)に低屈折率の透明接着剤(EPOXY TECHNOLOGY社製EPOTEK396)を塗布し、その上に拡散板17の凹凸の有る面とは反対面を接触面として搭載した後に当該接着剤を硬化させてレンチキュラレンズ15と拡散板17とを貼り合わせる接着層16とする(図2(a))。
【0042】
(s3)レンチキュラレンズ15の裏面に黒色の光吸収剤を含有した感光性樹脂を塗布し、感光性樹脂層19を形成する(図2(b))。
(s4)スクリーン正面のプロジェクター照射位置から所定の光を拡散板17側からレンチキュラレンズ15に照射することにより、当該光はレンチキュラレンズ15により集光され、レンチキュラレンズ15の射出領域の感光性樹脂層19を露光させる(図2(c))。
(s5)所定の現像液で現像することにより感光性樹脂層19の露光部分は除去され、吸収層パターン14が形成される(図2(d))。
【0043】
(s6)ステップs2と同じ方法によりレンチキュラレンズ15裏面(一部吸収層パターン14)と選択反射層12とを貼り合わせる接着層13を形成し、本発明に係るスクリーン10とする。
なお、ステップs4の露光の際には、想定されるプロジェクター照射位置の範囲内で露光用の照射位置を前後させればよい。
【0044】
上記スクリーン10によって、例えば、グレーティング・ライト・バルブ(GLV)を用いた回折格子型プロジェクターのようなRGB光源からの光を投射した場合にスクリーン10上で広視野角で、かつコントラストが高く、外光の映り込みのない良好な映像が鑑賞できるようになる。
【0045】
すなわち、図1において、拡散板17の拡散角の増大(広視野角化)に伴って当該拡散板17を透過する外光L91の量は増加するが、上記の通り、レンチキュラレンズ15のスクリーン10上の配置、及び吸収層パターン14のレンチキュラレンズ15に対する配置を工夫することにより当該外光を効率的に吸収することが可能となる。
その結果、スクリーン10の正面からの光L1は、拡散板17を透過し、レンチキュラレンズ15で集光されて選択反射層12に到達し、当該選択反射層12にて光L1に含まれる外光成分の大部分は透過されつつ映像に関わる特定波長領域の光のみ選択的に反射され、その反射光は再びレンチキュラレンズ15を透過し、拡散板17表面にて拡散され視野角の広い画像光として視聴者に供される。一方、照明など上方からスクリーン10に照射する外光L91は、拡散板17を透過し、レンチキュラレンズ15で集光されるが、光L1と光軸が異なるため吸収層パターン14に到達し、当該吸収層パターン14にて吸収される。したがって、上記反射光である画像光への外光の影響を高いレベルで排除することができ、従来にない広視野角化と高コントラスト化との両立が可能となる。
【0046】
図3は、本発明の第2の実施の形態における構成を示す断面図である。第2の実施の形態のスクリーン20の構成は、図1においてレンチキュラレンズ15を円柱ロッド形状の集光レンズ群25としたもので、それ以外は第1の実施の形態における構成と同じで、スクリーン基板21上に選択反射層22と、接着層23と、吸収層パターン24と、集光レンズ群25と、接着層26と、拡散板27とを備え、スクリーン基板21の裏面に吸収層28を備えている。
【0047】
集光レンズ群25は、円柱ロッド形状の集光レンズがその長手方向に対して直角方向に連なった形態を有する集光レンズ群であり、スクリーン基板21上の選択反射層22を覆うように配置されている。また、材質としてはガラスやプラスチックなど通常のレンズ構成材料であればよく、このレンズのピッチは1画素よりも狭くなっている。
【0048】
また、スクリーン20上の配置は、第1の実施の形態のレンチキュラレンズ15と同様であり、外光がスクリーン20に対して上方から入射してくる場合には、前記円柱ロッド形状の集光レンズの長手方向(図3において紙面垂直方向)がスクリーン20上において横方向とし、外光がスクリーン20に対して横方向から入射してくる場合には、前記円柱ロッド形状の集光レンズの長手方向がスクリーン20上において縦方向となるようにするとよい。
なお、円柱ロッド形状の集光レンズに代えて、ビーズ状の集光レンズとしても本発明と同様の効果を得ることができる。この場合、スクリーン20に対して上下左右どの方向からの外光の入射があっても画像光への影響を排除できる。
【0049】
また、吸収層パターン24は、第1の実施の形態と同様に可視光を吸収する特性をもった層であり、集光レンズ群25の選択反射層22側で、集光レンズが円柱ロッド形状である場合には当該集光レンズ群25を構成する集光レンズ間に設けられたストライプ状の光吸収膜である。また、集光レンズがビーズ形状である場合には当該ビーズの頂点付近以外の領域が光吸収膜となる。詳しくは、この光吸収膜の幅及び位置は、スクリーン20使用時にプロジェクター光と光軸が異なる外光が集光レンズ群25から射出される領域であり、この外光は光吸収膜によって吸収される。また、逆に光吸収膜が存在しない部分はスクリーン20正面からの光が集光レンズ群25で集光され射出される領域であり、当該光は選択反射層22に到達する。
【0050】
つぎに、本発明に係るスクリーン20の製造方法について図4を参照して説明する。なお、以下には第1の実施の形態の製造工程とは内容が異なる工程、すなわちレンチキュラレンズ15に代えて集光レンズ群25とする工程についてのみ説明する。それ以外の工程は第1の実施の形態における製造工程(ステップs1、s6)と同様である。また、ここでは円柱ロッド形状の集光レンズを例にとり説明するが、ビーズ形状の集光レンズの場合も同様の製造方法である。
【0051】
(s22)円柱ロッド形状の集光レンズを平面上に隙間なく並べて集光レンズ群25とし、その上面(おもて面)に低屈折率の透明接着剤(EPOXY TECHNOLOGY社製EPOTEK396)を塗布し、その上に拡散板27の凹凸の有る面とは反対面を接触面として搭載した後に当該接着剤を硬化させて集光レンズ群25と拡散板27とを貼り合わせる接着層26とする(図4(a))。
(s23)集光レンズ群25の裏面に黒色の光吸収剤を含有した感光性樹脂を塗布し、感光性樹脂層29を形成する(図4(b))。
(s24)スクリーン正面のプロジェクター照射位置から所定の光を拡散板27側から集光レンズ群25に照射することにより、当該光は集光レンズ群25により集光され、集光レンズ群25の射出領域の感光性樹脂層29を露光させる(図4(c))。
(s25)所定の現像液で現像することにより感光性樹脂層29の露光部分は除去され、所定パターンの吸収層パターン24が形成される(図4(d))。
【0052】
上記スクリーン20によって、第1の実施の形態のスクリーン10と同様の効果が得られる。
すなわち、図3において、拡散板27の拡散角の増大(広視野角化)に伴って当該拡散板27を透過する外光L92の量は増加するが、集光レンズ群25のスクリーン20上の配置、及び吸収層パターン24の集光レンズ群25に対する配置を工夫することにより当該外光を効率的に吸収することが可能となり、従来にない広視野角化と高コントラスト化との両立が可能となる。
【0053】
【発明の効果】
上述したように、請求項1の発明によれば、集光レンズ群のスクリーン上の配置、及び吸収層パターンの集光レンズ群に対する配置を調整することにより、スクリーン正面以外の角度からスクリーンに入射する光を吸収層パターンで吸収することができ、広視野角化と高コントラスト化との両立ができる。
【0054】
請求項2、3の発明によれば、拡散板、集光レンズ群、反射層それぞれを介する層を相対的に低屈折率層とすることにより、スクリーン設計が容易となる。
【0055】
請求項4〜6の発明によれば、集光レンズ群としてレンチキュラレンズ、マイクロレンズアレイ、円柱形ロッド列、あるいはビーズ群を用いることにより、拡散層を介して入射する光を集光し、その集光位置によって、画像光と外光を分別することができる。
【0056】
請求項7の発明によれば、集光レンズの配列ピッチを1画素より小さくすることにより、画質の良好なスクリーンを得ることができる。
【0057】
請求項8〜11の発明によれば、画像光の波長領域の光を主に反射し、それ以外の波長領域の光を透過する選択反射層を備えることにより、可視波長領域のすべての光を反射する反射層を備えた場合と比較して、よりいっそう外光の影響を低減して黒レベルを下げることができ、明光下においてさらに高コントラストの画像を表示することができる。
【0058】
請求項12〜16の発明によれば、集光レンズ群のスクリーン上の配置、及び吸収層パターンの集光レンズ群に対する配置を調整することにより広視野角化と高コントラスト化との両立が可能なスクリーンを簡便に作製できる。
【0059】
請求項17〜19の発明のよれば、反射層として選択反射層とすることにより、画像光への外光の影響を高いレベルで排除することができ、従来にない高視野角化と高コントラスト化とが両立したスクリーンを作製できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のスクリーンにおける構成を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるスクリーンの製造工程図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態のスクリーンにおける構成を示す断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態におけるスクリーンの製造工程図である。
【図5】選択反射層を有するスクリーンの構成例を示す断面図である。
【図6】選択反射層の反射特性を示す概略図である。
【符号の説明】
10,20,90…スクリーン、11,21,91…スクリーン基板、12,22,92…選択反射層、13,16,23,26…接着層、14,24…吸収層パターン、15…レンチキュラレンズ、17,27,93…拡散板、18,28,98…吸収層、25…集光レンズ群、19,29…感光性樹脂層、L1,L2…プロジェクター光、L91,L92…外光、UV…紫外光
【発明の属する技術分野】
本発明は、明光下において高コントラストの画像を広視野角で見ることができるスクリーン及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、会議等において発言者が資料を提示する方法としてオーバヘッドプロジェクターやスライドプロジェクターが広く用いられている。また、一般家庭においても液晶を用いたビデオプロジェクターや動画フィルムプロジェクターが普及しつつある。これらのプロジェクターの映写方法は光源から出力された光をライトバルブによって光変調して画像光を形成し、この画像光をレンズ等の光学系を通して出射してスクリーン上に映写するものである。
【0003】
この種のプロジェクターとしては、カラー画像を表示させることができるものがあり、光源として三原色である赤色(Red=R)、緑色(Green=G)、青色(Blue=B)を含んだ白色光を発するランプが用いられ、ライトバルブとしては透過型の液晶パネルが用いられている。このプロジェクターでは、光源から出射された白色光が、照明光学系によって赤色光、緑色光および青色光の各色の光線に分離され、これら光線が所定の光路に収束される。これら光束が液晶パネルにより画像信号に応じて空間的に変調され、変調された光束が光合成部によってカラー画像光として合成され、合成されたカラー画像光が投影レンズによりスクリーンに拡大投射される。
【0004】
また、最近、カラー画像を表示させることが可能なプロジェクターとして、光源に狭帯域三原色光源、例えばRGB三原色の各色の狭帯域光を発するレーザ発振器を用い、ライトバルブに回折格子型ライトバルブ(GLV:Grating Light Valve)を用いた装置が開発されている。このプロジェクターでは、レーザ発振器により出射された各色の光束が、画像信号に応じてGLVにより空間的に変調される。このように変調された光束は、前述したプロジェクターと同様にして、光合成部によってカラー画像光として合成され、この合成されたカラー画像光が投影レンズによりスクリーンに拡大投射される。
【0005】
このようなプロジェクターに用いられるスクリーンとしては、例えば、スクリーン前方のプロジェクター(フロントプロジェクター)から照射される画像光を反射して反射光により投影画像を見ることができるようにしたものがあるが、良好な視認性を得るために、広視野角、高コントラスト、高輝度の画像を表示することが求められている。
【0006】
ここで、視野角とは、スクリーン中央での反射輝度が1/2となる角度で、実用的には15度以上が必要とされている。このような視野角は、反射画像光を散乱させることによって大きくすることができるため、通常スクリーン表面に光を散乱させる拡散層が設けられ、この拡散層の拡散角を大きくすることによって、広視野角が図られている。
【0007】
一方、白色映像輝度(白レベル)と黒色映像輝度(黒レベル)との比で表されるコントラストは、いかにして外光の反射を抑えて黒レベルを下げるかがポイントであるが、従来のスクリーンでは部屋を暗くしないとプロジェクターで投影された映像がよく見えないほどコントラスト性能に問題があった。
【0008】
この問題を解決し部屋が明るい状態でもコントラストの高い映像を表示することが可能なスクリーンとして、投影光の通る部分を透明とし、それ以外の部分を可視光が吸収されるように着色したビーズをスクリーン基板上に複数個貼り付けたものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0009】
【特許文献1】
特開平8−137009号公報(段落[0015]〜[0016]、図3、図4)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記スクリーンでは、広視野角を確保するために屈折率の異なるビーズを適度に混在させる必要があり、さらにビーズの材料に感光性材料を用いて着色ビーズに透明層を形成しており、材料の選定や品質の安定性など実用上問題があった。
【0011】
これに対して、本出願人と同一の出願人により、波長領域に応じて選択的に光を反射する選択反射層を用いて、プロジェクターから投影される画像光を主に反射し、プロジェクター以外の例えば蛍光灯や太陽等からの光、すなわち外光は反射しないようにしたスクリーン(特願2002−070799号等)が提案されている。図5は、このスクリーンの構成例を示すもので、スクリーン基板91上に選択反射層92が形成され、選択反射層92の前面に反射光を散乱させる拡散層93が、さらに選択反射層92の背後に透過光を吸収する吸収層98が設けられている。このスクリーンにおいては、外光の影響を大幅に低減することができるため、部屋が明るい状態でもスクリーンゲインを下げることなく黒レベルを下げることができ、コントラストの高い鮮明な映像を表示することができる。
【0012】
しかしながら、このスクリーンにおいても、視野角を広げるためには拡散層93の拡散角を大きくする必要があり、一般にスクリーン上方から入射する外光は、拡散層93の拡散角が小さい場合には拡散層93を透過する割合が少ないが、拡散角を大きくすると、拡散層93を透過する割合が多くなるため選択反射層93で反射される外光の量も多くなり、黒レベルを上げることになって結果的にコントラストを低下させてしまう。これは、選択反射層92が、図6にその反射特性を示すように、画像光の波長領域以外の例えば波長aでも、すべて透過するわけではなく少し反射するためである。
【0013】
本発明は、上記問題点に対処してなされたもので、拡散層の拡散角を大きくしても、外光の影響を抑制することができ、明光下において広視野角と高コントラストと高輝度を実現することができるスクリーン及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、画像光の照射により画像を表示するスクリーンにおいて、画像光を反射する反射層と、反射層で反射した光を散乱させる拡散層と、拡散層と反射層の間に設けられ、拡散層を介して入射する光を集光する集光レンズが複数配列されてなる集光レンズ群と、集光レンズ群と反射層の間に設けられ、画像光と異なる方向から入射する光を吸収する吸収層パターンとを備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項1の発明においては、所定の入射角範囲内で入射する画像光は拡散層を透過して各集光レンズにより収束され、反射層にて反射して逆の経路を辿って拡散層により拡散される。一方、天井の照明等の画像光の入射角範囲よりも大きな角度で入射する外光は、拡散層の拡散角を大きくした場合には拡散層を透過する割合が多くなるが、透過しても各集光レンズの背後に形成されている吸収層パターンにより吸収され、反射層により反射されない。したがって、拡散層の拡散角を大きくして広視野角化を図っても、外光の拡散層透過による黒レベルの上昇を防ぐことができ、広視野角でかつ高コントラストのスクリーンを実現することが可能となる。なお、反射層は、画像光を反射するものであればよく、例えばアルミニウム等の金属材料や光輝性顔料など反射率の高い材料を用いることで、高輝度のスクリーンが得られる。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1のスクリーンにおいて、拡散層と集光レンズ群の間、及び集光レンズ群と反射層の間に、それぞれの構成材料よりも屈折率の低い層を有することを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項2のスクリーンにおいて、屈折率の低い層が接着剤を含むことを特徴とする。
【0017】
請求項2、3の発明においては、拡散層、集光レンズ群及び反射層の光学特性のみを考慮すればよく、スクリーン設計が容易となる。なお、拡散層と集光レンズ群との間、及び集光レンズ群と反射層との間に設けられる層は、可視波長領域の光を透過するもので、拡散層、集光レンズ及び反射層を構成する材料よりも屈折率の低いものであればよく、それらを接着するものであればなおよい。
【0018】
請求項4の発明は、請求項1のスクリーンにおいて、集光レンズ群がレンチキュラレンズであることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1のスクリーンにおいて、集光レンズ群がマイクロレンズアレイであることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1のスクリーンにおいて、集光レンズが透明な円柱形のロッドあるいは球形のビーズであることを特徴とする。
【0019】
請求項4〜6の発明においては、拡散層を介して入射する光を集光することが可能となる。なお、レンチキュラレンズは、かまぼこ型レンズがその長手方向と直交する方向に連なった形態を有し、レンチキュラレンズの背面に形成される吸収層パターンはストライプ状となる。かまぼこ型レンズの長手方向がスクリーンの横方向となっている場合には、スクリーンに対して上方から入射する外光、例えば天井の照明からの光を吸収層パターンに吸収させることが可能となる。一方、かまぼこ型レンズの長手方向がスクリーンの縦方向となっている場合には、スクリーンに対して横方向から入射する外光、例えば窓から入射する太陽光を吸収層パターンに吸収させることが可能となる。透明な円柱形のロッドを配列しても、レンチキュラレンズと同様の作用効果が得られる。また、集光レンズ群としてマイクロレンズアレイを用いた場合には、上下左右から入射する外光を吸収層パターンに吸収させることが可能となる。マイクロレンズアレイの代わりに多数のビーズを用いても同様の効果が得られる。
【0020】
請求項7の発明は、請求項1のスクリーンにおいて、集光レンズの配列ピッチが1画素より小さいことを特徴とする。これにより、画質の良好なスクリーンを得ることが可能となる。
【0021】
請求項8の発明は、請求項1のスクリーンにおいて、反射層が、画像光に対応する特定波長領域の光に対して高反射特性を有し、少なくとも前記特定波長領域を除く可視波長領域の光に対して高透過特性を有することを特徴とする。
請求項9の発明は、請求項8のスクリーンにおいて、反射層が、高屈折率層とこれより屈折率の低い低屈折率層を交互に積層した光学多層膜からなることを特徴とする。
請求項10の発明は、請求項8のスクリーンにおいて、反射層を透過した光を吸収する吸収層を備えたことを特徴とする。
請求項11の発明は、請求項8のスクリーンにおいて、特定波長領域が、赤色光の波長領域、緑色光の波長領域及び青色光の波長領域を含むことを特徴とする。
【0022】
請求項8〜11の発明においては、画像光と略同じ方向から外光が入射しても、反射層が画像光の波長領域、例えばRGB三原色波長領域を除く波長領域の外光成分をほとんど反射しないため、反射層が可視波長領域のすべての光を反射する場合と比較して、よりいっそう外光の影響を低減して黒レベルを下げることができ、明光下においてさらに高コントラストの画像を表示することが可能となる。
【0023】
請求項12の発明は、画像光の照射により画像を表示するスクリーンの製造方法において、集光レンズが複数配列されてなる集光レンズ群の収束する光の入射側に拡散層を形成する拡散層形成工程と、集光レンズ群の収束する光の射出側に光吸収剤を含有する感光性樹脂層を形成する工程と、感光性樹脂層に拡散層及び集光レンズ群を介して光を所定の位置から照射して露光する露光工程と、感光性樹脂層の露光された部分を除去して吸収層パターンを形成する工程と、集光レンズ群の吸収層パターンが形成された面に反射層を形成する反射層形成工程とを含むことを特徴とする。
【0024】
請求項13の発明は、請求項12のスクリーンの製造方法において、拡散層形成工程が、集光レンズ群及び拡散層の構成材料より屈折率の低い接着剤を用いて、集光レンズ群に拡散層となる拡散板を貼り合わせる工程を含むことを特徴とする。
請求項14の発明は、請求項12のスクリーンの製造方法において、露光工程での前記所定の位置が、画像光の照射位置に合わせて設定されることを特徴とする。
請求項15の発明は、請求項12のスクリーンの製造方法において、反射層形成工程が、集光レンズ群及び反射層の構成材料より屈折率の低い接着剤を用いて、集光レンズ群に反射層が形成された基板を貼り合わせる工程を含むことを特徴とする。
請求項16の発明は、請求項12のスクリーンの製造方法において、集光レンズ群が、レンチキュラレンズあるいはマイクロレンズアレイであることを特徴とする。
【0025】
請求項12〜16の発明においては、広視野角、高コントラスト、高輝度の性能を備えたスクリーンを容易に製造することが可能となる。
【0026】
請求項17の発明は、請求項12のスクリーンの製造方法において、反射層が、画像光に対応する特定波長領域の光に対して高反射特性を有し、少なくとも前記特定波長領域を除く可視波長領域の光に対して高透過特性を有することを特徴とする。
請求項18の発明は、請求項17のスクリーンの製造方法において、反射層が、高屈折率層とこれより屈折率の低い低屈折率層を交互に積層した光学多層膜からなることを特徴とする。
請求項19の発明は、請求項17のスクリーンの製造方法において、反射層が、吸収層を備えた基板上に形成されることを特徴とする。
【0027】
請求項17〜19の発明においては、さらに高コントラストの性能に優れたスクリーンを容易に製造することが可能となる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態における構成を示す断面図である。図1に示すように、スクリーン10は、スクリーン基板11上に選択反射層12と、接着層13と、吸収層パターン14と、レンチキュラレンズ15と、接着層16と、拡散板17とを備え、スクリーン基板11の裏面に吸収層18を備えている。
【0029】
スクリーン基板11は、スクリーンの支持体となるものであり、スクリーンとしての強度を有するものであれば、種々の材料を用いることができるが、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリオレフィン(PO)等のポリマーにより構成することができる。
【0030】
選択反射層12は、プロジェクター光の波長領域、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)の三原色波長領域の光を反射し、三原色波長領域以外の波長領域の光を透過する特性を有する光学薄膜であり、例えば本出願人と同一の出願人により提案された光学多層膜(特願2002−070799号等)が用いられる。この光学多層膜は高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層されてなり、図6に示すように三原色波長領域のような特定波長領域の光を選択的に反射するように設計されている。
【0031】
なお、選択反射層12に代えてアルミニウム等の反射率の高い金属材料や光輝性顔料などの光を反射する材料を用いた可視光領域の反射層としても、本発明による広視野角化と高コントラスト化とを両立させる効果は得られる。このような反射層は、スクリーン基板11の表面に蒸着法や塗布法等により形成することができる。また、この他にも、金属薄膜や金属板、もしくは金属蒸着フィルムをスクリーン基板11に貼着してもよい。また、スクリーン基板11を反射性材料で構成してもよい。
【0032】
吸収層パターン14は、可視光を吸収する特性をもった層であり、レンチキュラレンズ15の平坦面(裏側)に所定のマージンで設けられたストライプ状の光吸収膜である。それぞれのストライプはレンチキュラレンズ15のかまぼこ型レンズの長手方向に平行で所定の幅をもった直線の帯状膜であり、レンチキュラレンズ15のおもて面凹凸形状の凹部ほぼ直下に位置する。詳しくは、この吸収層パターン14の幅及び位置は、スクリーン10使用時にプロジェクター光と光軸が異なる外光がレンチキュラレンズ15から射出される領域であり、この外光は吸収層パターン14によって吸収される。また、逆に光吸収膜が存在しない部分はスクリーン10正面からの光がレンチキュラレンズ15で集光され射出される領域であり、当該光は選択反射層12に到達する。
【0033】
また、プロジェクターからの光L1は実際には投射レンズを通して投射されるため、スクリーンへの入射角度は図1のようにスクリーン10に対して垂直入射ばかりでなく、ある角度範囲をもっている。そのため、その角度範囲に合わせて吸収層パターン14を決定することが望ましい。すなわち、スクリーン10へのプロジェクター光の入射角度に応じて吸収層パターン14を形成するとよく、例えばスクリーン10の中央部から周辺部にいくにしたがって吸収層パターンが徐々にずれていくようにすればよい。あるいは、吸収層パターンを一定としてプロジェクター光の入射角度範囲を考慮した適正なマージン寸法とするパターン設計を行ってもよい。
【0034】
レンチキュラレンズ15は、微小半円筒型レンズ(かまぼこ型レンズ)がその長手方向に対して直角方向に連なった形態を有する集光レンズ群であり、スクリーン基板11上の選択反射層12を覆うように配置されている。また、材質としてはプロジェクターで使用する波長域の光を透過する性質のものであれば特に制約はなく、ガラスやプラスチックなど通常のレンズ構成材料であればよく、このレンズのピッチは1画素よりも狭くなっている。
【0035】
レンチキュラレンズ15のスクリーン10上の配置として、外光の入射方向に対応させると効率的に高コントラスト化が図れる。例えば、外光がスクリーン10に対して上方から入射してくる場合には、前記かまぼこ型レンズの長手方向(図1において紙面垂直方向)がスクリーン10上において横方向とし、外光がスクリーン10に対して横方向から入射してくる場合には、前記かまぼこ型レンズの長手方向がスクリーン10上において縦方向となるようにするとよい。
なお、レンチキュラレンズ15に代えて、マイクロレンズアレイとしても本発明と同様の効果を得ることができる。この場合、スクリーン10に対して上下左右どの方向からの外光の入射があっても画像光への影響を排除できる。
【0036】
拡散板17は片面の表面が凹凸形状となっており、その構成材料はプロジェクターで使用する波長域の光を透過する性質のものであれば特に制約はなく、拡散板として通常使用されるガラスやプラスチックなどでよい。例えばエポキシ樹脂からなる。選択反射層12で反射された光は拡散板17を透過して射出される際に拡散し、視聴者はこの拡散した反射光を観察することで自然な画像を視認することができるようになる。拡散板17における拡散角はその視認性を決める重要な要因であり、拡散板を構成する材料の屈折率や表面の凹凸形状などを調整することによってその拡散角を増大させる。
また、プロジェクターの光源がレーザである場合にはスクリーン上のぎらつきであるスペックルパターンの発生を防止するために拡散板17の表面形状パターンをランダムにするとよい。
【0037】
接着層13は、選択反射層12とレンチキュラレンズ15とを貼り合わせる層であり、選択反射層12及びレンチキュラレンズ15を構成する材料よりも低屈折率の層である。また、接着層16は、レンチキュラレンズ15と拡散板17とを貼り合わせる層であり、レンチキュラレンズ15及び拡散板17を構成する材料よりも低屈折率の層である。接着層13、16は同じ材質でもよく、低屈折率の透明接着剤により必要な構成部分を貼り合わせた後に硬化させて形成すればよい。
【0038】
なお、接着層13、16は、選択反射層12とレンチキュラレンズ15、あるいはレンチキュラレンズ15と拡散板17とが実用上はがれない程度にくっつける粘着層であってもよい。
また、選択反射層12とレンチキュラレンズ15、あるいはレンチキュラレンズ15と拡散板17との間は必ずしも前記接着剤(粘着剤も含む)で充填されている必要はなく、一部分の貼り合わせまたは他の手段で接着力が確保されていれば、その部分を空気層としてもよい。
【0039】
吸収層18は、選択反射層12を透過した光を吸収させるためのもので、例えば、スクリーン基板11の選択反射層12を成膜する面とは反対の裏面に黒色の樹脂フィルムを貼り合わせる、もしくはスクリーン基板11の表面または裏面に黒色塗料を塗布する、あるいはスクリーン基板11中にカーボン粉末等の黒色微粒子を分散させる、などの方法により形成することができる。なお、この吸収層18は、選択反射層12の代わりに可視光を均一に反射する反射層を用いた場合には不要となる。
【0040】
つぎに、本発明に係るスクリーン10の製造方法について図2を参照して説明する。
(s1)スクリーン基板としてPETフィルムからなるスクリーン基板11を用意し、当該スクリーン基板11の一方の表面に選択反射層12を蒸着やスパッタリング等の真空薄膜形成方法や、溶剤を用いた塗布方法等により成膜する。真空薄膜形成方法による場合には、例えば、ACスパッタリング法により高屈折率層としてTiO2、Nb2O5、Ta2O5等の高屈折率材料と、低屈折率層としてSiO2、MgF2等の低屈折率材料とを交互に積層して形成する。またこのとき、使用される光の波長域に応じて各層の膜厚設計を行っておく。あるいは、塗布方法による場合には、高屈折率層及び低屈折率層として、例えば、屈折率の異なる熱硬化性樹脂を用いるようにする。また、スクリーン基板11の裏面に黒色塗料も塗布して吸収層18を形成する。
【0041】
(s2)レンチキュラレンズ15の凹凸の有る面(おもて面)に低屈折率の透明接着剤(EPOXY TECHNOLOGY社製EPOTEK396)を塗布し、その上に拡散板17の凹凸の有る面とは反対面を接触面として搭載した後に当該接着剤を硬化させてレンチキュラレンズ15と拡散板17とを貼り合わせる接着層16とする(図2(a))。
【0042】
(s3)レンチキュラレンズ15の裏面に黒色の光吸収剤を含有した感光性樹脂を塗布し、感光性樹脂層19を形成する(図2(b))。
(s4)スクリーン正面のプロジェクター照射位置から所定の光を拡散板17側からレンチキュラレンズ15に照射することにより、当該光はレンチキュラレンズ15により集光され、レンチキュラレンズ15の射出領域の感光性樹脂層19を露光させる(図2(c))。
(s5)所定の現像液で現像することにより感光性樹脂層19の露光部分は除去され、吸収層パターン14が形成される(図2(d))。
【0043】
(s6)ステップs2と同じ方法によりレンチキュラレンズ15裏面(一部吸収層パターン14)と選択反射層12とを貼り合わせる接着層13を形成し、本発明に係るスクリーン10とする。
なお、ステップs4の露光の際には、想定されるプロジェクター照射位置の範囲内で露光用の照射位置を前後させればよい。
【0044】
上記スクリーン10によって、例えば、グレーティング・ライト・バルブ(GLV)を用いた回折格子型プロジェクターのようなRGB光源からの光を投射した場合にスクリーン10上で広視野角で、かつコントラストが高く、外光の映り込みのない良好な映像が鑑賞できるようになる。
【0045】
すなわち、図1において、拡散板17の拡散角の増大(広視野角化)に伴って当該拡散板17を透過する外光L91の量は増加するが、上記の通り、レンチキュラレンズ15のスクリーン10上の配置、及び吸収層パターン14のレンチキュラレンズ15に対する配置を工夫することにより当該外光を効率的に吸収することが可能となる。
その結果、スクリーン10の正面からの光L1は、拡散板17を透過し、レンチキュラレンズ15で集光されて選択反射層12に到達し、当該選択反射層12にて光L1に含まれる外光成分の大部分は透過されつつ映像に関わる特定波長領域の光のみ選択的に反射され、その反射光は再びレンチキュラレンズ15を透過し、拡散板17表面にて拡散され視野角の広い画像光として視聴者に供される。一方、照明など上方からスクリーン10に照射する外光L91は、拡散板17を透過し、レンチキュラレンズ15で集光されるが、光L1と光軸が異なるため吸収層パターン14に到達し、当該吸収層パターン14にて吸収される。したがって、上記反射光である画像光への外光の影響を高いレベルで排除することができ、従来にない広視野角化と高コントラスト化との両立が可能となる。
【0046】
図3は、本発明の第2の実施の形態における構成を示す断面図である。第2の実施の形態のスクリーン20の構成は、図1においてレンチキュラレンズ15を円柱ロッド形状の集光レンズ群25としたもので、それ以外は第1の実施の形態における構成と同じで、スクリーン基板21上に選択反射層22と、接着層23と、吸収層パターン24と、集光レンズ群25と、接着層26と、拡散板27とを備え、スクリーン基板21の裏面に吸収層28を備えている。
【0047】
集光レンズ群25は、円柱ロッド形状の集光レンズがその長手方向に対して直角方向に連なった形態を有する集光レンズ群であり、スクリーン基板21上の選択反射層22を覆うように配置されている。また、材質としてはガラスやプラスチックなど通常のレンズ構成材料であればよく、このレンズのピッチは1画素よりも狭くなっている。
【0048】
また、スクリーン20上の配置は、第1の実施の形態のレンチキュラレンズ15と同様であり、外光がスクリーン20に対して上方から入射してくる場合には、前記円柱ロッド形状の集光レンズの長手方向(図3において紙面垂直方向)がスクリーン20上において横方向とし、外光がスクリーン20に対して横方向から入射してくる場合には、前記円柱ロッド形状の集光レンズの長手方向がスクリーン20上において縦方向となるようにするとよい。
なお、円柱ロッド形状の集光レンズに代えて、ビーズ状の集光レンズとしても本発明と同様の効果を得ることができる。この場合、スクリーン20に対して上下左右どの方向からの外光の入射があっても画像光への影響を排除できる。
【0049】
また、吸収層パターン24は、第1の実施の形態と同様に可視光を吸収する特性をもった層であり、集光レンズ群25の選択反射層22側で、集光レンズが円柱ロッド形状である場合には当該集光レンズ群25を構成する集光レンズ間に設けられたストライプ状の光吸収膜である。また、集光レンズがビーズ形状である場合には当該ビーズの頂点付近以外の領域が光吸収膜となる。詳しくは、この光吸収膜の幅及び位置は、スクリーン20使用時にプロジェクター光と光軸が異なる外光が集光レンズ群25から射出される領域であり、この外光は光吸収膜によって吸収される。また、逆に光吸収膜が存在しない部分はスクリーン20正面からの光が集光レンズ群25で集光され射出される領域であり、当該光は選択反射層22に到達する。
【0050】
つぎに、本発明に係るスクリーン20の製造方法について図4を参照して説明する。なお、以下には第1の実施の形態の製造工程とは内容が異なる工程、すなわちレンチキュラレンズ15に代えて集光レンズ群25とする工程についてのみ説明する。それ以外の工程は第1の実施の形態における製造工程(ステップs1、s6)と同様である。また、ここでは円柱ロッド形状の集光レンズを例にとり説明するが、ビーズ形状の集光レンズの場合も同様の製造方法である。
【0051】
(s22)円柱ロッド形状の集光レンズを平面上に隙間なく並べて集光レンズ群25とし、その上面(おもて面)に低屈折率の透明接着剤(EPOXY TECHNOLOGY社製EPOTEK396)を塗布し、その上に拡散板27の凹凸の有る面とは反対面を接触面として搭載した後に当該接着剤を硬化させて集光レンズ群25と拡散板27とを貼り合わせる接着層26とする(図4(a))。
(s23)集光レンズ群25の裏面に黒色の光吸収剤を含有した感光性樹脂を塗布し、感光性樹脂層29を形成する(図4(b))。
(s24)スクリーン正面のプロジェクター照射位置から所定の光を拡散板27側から集光レンズ群25に照射することにより、当該光は集光レンズ群25により集光され、集光レンズ群25の射出領域の感光性樹脂層29を露光させる(図4(c))。
(s25)所定の現像液で現像することにより感光性樹脂層29の露光部分は除去され、所定パターンの吸収層パターン24が形成される(図4(d))。
【0052】
上記スクリーン20によって、第1の実施の形態のスクリーン10と同様の効果が得られる。
すなわち、図3において、拡散板27の拡散角の増大(広視野角化)に伴って当該拡散板27を透過する外光L92の量は増加するが、集光レンズ群25のスクリーン20上の配置、及び吸収層パターン24の集光レンズ群25に対する配置を工夫することにより当該外光を効率的に吸収することが可能となり、従来にない広視野角化と高コントラスト化との両立が可能となる。
【0053】
【発明の効果】
上述したように、請求項1の発明によれば、集光レンズ群のスクリーン上の配置、及び吸収層パターンの集光レンズ群に対する配置を調整することにより、スクリーン正面以外の角度からスクリーンに入射する光を吸収層パターンで吸収することができ、広視野角化と高コントラスト化との両立ができる。
【0054】
請求項2、3の発明によれば、拡散板、集光レンズ群、反射層それぞれを介する層を相対的に低屈折率層とすることにより、スクリーン設計が容易となる。
【0055】
請求項4〜6の発明によれば、集光レンズ群としてレンチキュラレンズ、マイクロレンズアレイ、円柱形ロッド列、あるいはビーズ群を用いることにより、拡散層を介して入射する光を集光し、その集光位置によって、画像光と外光を分別することができる。
【0056】
請求項7の発明によれば、集光レンズの配列ピッチを1画素より小さくすることにより、画質の良好なスクリーンを得ることができる。
【0057】
請求項8〜11の発明によれば、画像光の波長領域の光を主に反射し、それ以外の波長領域の光を透過する選択反射層を備えることにより、可視波長領域のすべての光を反射する反射層を備えた場合と比較して、よりいっそう外光の影響を低減して黒レベルを下げることができ、明光下においてさらに高コントラストの画像を表示することができる。
【0058】
請求項12〜16の発明によれば、集光レンズ群のスクリーン上の配置、及び吸収層パターンの集光レンズ群に対する配置を調整することにより広視野角化と高コントラスト化との両立が可能なスクリーンを簡便に作製できる。
【0059】
請求項17〜19の発明のよれば、反射層として選択反射層とすることにより、画像光への外光の影響を高いレベルで排除することができ、従来にない高視野角化と高コントラスト化とが両立したスクリーンを作製できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のスクリーンにおける構成を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるスクリーンの製造工程図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態のスクリーンにおける構成を示す断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態におけるスクリーンの製造工程図である。
【図5】選択反射層を有するスクリーンの構成例を示す断面図である。
【図6】選択反射層の反射特性を示す概略図である。
【符号の説明】
10,20,90…スクリーン、11,21,91…スクリーン基板、12,22,92…選択反射層、13,16,23,26…接着層、14,24…吸収層パターン、15…レンチキュラレンズ、17,27,93…拡散板、18,28,98…吸収層、25…集光レンズ群、19,29…感光性樹脂層、L1,L2…プロジェクター光、L91,L92…外光、UV…紫外光
Claims (19)
- 画像光の照射により画像を表示するスクリーンにおいて、
前記画像光を反射する反射層と、
前記反射層で反射した光を散乱させる拡散層と、
前記拡散層と反射層の間に設けられ、前記拡散層を介して入射する光を集光する集光レンズが複数配列されてなる集光レンズ群と、
前記集光レンズ群と反射層の間に設けられ、前記画像光と異なる方向から入射する光を吸収する吸収層パターンと
を備えたことを特徴とするスクリーン。 - 前記拡散層と集光レンズ群の間、及び集光レンズ群と反射層の間に、それぞれの構成材料よりも屈折率の低い層を有することを特徴とする請求項1記載のスクリーン。
- 前記屈折率の低い層が接着剤を含むことを特徴とする請求項2記載のスクリーン。
- 前記集光レンズ群がレンチキュラレンズであることを特徴とする請求項1記載のスクリーン。
- 前記集光レンズ群がマイクロレンズアレイであることを特徴とする請求項1記載のスクリーン。
- 前記集光レンズが透明な円柱形のロッドあるいは球形のビーズであることを特徴とする請求項1記載のスクリーン。
- 前記集光レンズの配列ピッチが1画素より小さいことを特徴とする請求項1記載のスクリーン。
- 前記反射層が、画像光に対応する特定波長領域の光に対して高反射特性を有し、少なくとも前記特定波長領域を除く可視波長領域の光に対して高透過特性を有することを特徴とする請求項1記載のスクリーン。
- 前記反射層が、高屈折率層とこれより屈折率の低い低屈折率層を交互に積層した光学多層膜からなることを特徴とする請求項8記載のスクリーン。
- 前記反射層を透過した光を吸収する吸収層を備えたことを特徴とする請求項8記載のスクリーン。
- 前記特定波長領域が、赤色光の波長領域、緑色光の波長領域及び青色光の波長領域を含むことを特徴とする請求項8記載のスクリーン。
- 画像光の照射により画像を表示するスクリーンの製造方法において、
集光レンズが複数配列されてなる集光レンズ群の収束する光の入射側に拡散層を形成する拡散層形成工程と、
前記集光レンズ群の収束する光の射出側に光吸収剤を含有する感光性樹脂層を形成する工程と、
前記感光性樹脂層に前記拡散層及び集光レンズ群を介して光を所定の位置から照射して露光する露光工程と、
前記感光性樹脂層の露光された部分を除去して吸収層パターンを形成する工程と、
前記集光レンズ群の吸収層パターンが形成された面に反射層を形成する反射層形成工程と
を含むことを特徴とするスクリーンの製造方法。 - 前記拡散層形成工程が、前記集光レンズ群及び拡散層の構成材料より屈折率の低い接着剤を用いて、前記集光レンズ群に拡散層となる拡散板を貼り合わせる工程を含むことを特徴とする請求項12記載のスクリーンの製造方法。
- 前記露光工程での前記所定の位置が、画像光の照射位置に合わせて設定されることを特徴とする請求項12記載のスクリーンの製造方法。
- 前記反射層形成工程が、前記集光レンズ群及び反射層の構成材料より屈折率の低い接着剤を用いて、前記集光レンズ群に反射層が形成された基板を貼り合わせる工程を含むことを特徴とする請求項12記載のスクリーンの製造方法。
- 前記集光レンズ群が、レンチキュラレンズあるいはマイクロレンズアレイであることを特徴とする請求項12記載のスクリーンの製造方法。
- 前記反射層が、画像光に対応する特定波長領域の光に対して高反射特性を有し、少なくとも前記特定波長領域を除く可視波長領域の光に対して高透過特性を有することを特徴とする請求項12記載のスクリーンの製造方法。
- 前記反射層が、高屈折率層とこれより屈折率の低い低屈折率層を交互に積層した光学多層膜からなることを特徴とする請求項17記載のスクリーンの製造方法。
- 前記反射層が、吸収層を備えた基板上に形成されることを特徴とする請求項17記載のスクリーンの製造方法。
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- 2003-02-06 JP JP2003029133A patent/JP2004240159A/ja active Pending
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