JP2004036720A - バッキングプレート - Google Patents

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Abstract

【課題】生産性や製造コストに悪影響を及ぼすことなく、十分な制振効果を発揮することのできるバッキングプレートを提供すること。
【解決手段】鋳鉄粉の燒結体によって形成された板材21と鋼板22を厚み方向に重合させてバッキングプレート11を一体的に形成する。燒結体中に分布する黒鉛を利用してバッキングプレート11に入射される振動音を散乱および減衰させ、同時に、板材21と鋼板22の接合部の界面で振動音の伝達を減衰させる。また、鋼板22の材質や形状を調整することでバッキングプレート11に必要とされる機械的な強度や靱性を確保し、板材21と鋼板22を拡散接合で一体化することで、溶接や接着等を始めとする格別な接合工程を省き、バッキングプレート11の多層化に伴う生産性の低下や製造コストの増大を抑制する。
【選択図】    図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用ディスクブレーキ等のブレーキライニングを取り付けるためのバッキングプレートの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用ディスクブレーキ等のバッキングプレートに制振機能を与えるための構成としては、例えば、バッキングプレートをハニカム構造としたものが特開平9−296835として提案され、バッキングプレートに制振材薄膜を貼ったものが特開平5−44749として提案されている。また、積層構造のシムをディスクブレーキのピストンとバッキングプレートとの間に介装したものが特開平8−232998として提案されている。この他にも、燒結鉄のみでバッキングプレートを形成したものが特開平10−231872として提案され、鋳鉄素材から削り出した片状黒鉛鋳鉄でバッキングプレートを形成したものが特開昭61−64850として公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平9−296835等で提案されるハニカム構造のものは構成が複雑であって生産性の点で問題があり、バッキングプレートも厚めとなる欠点がある。
【0004】
これに対し、特開平5−44749等で開示されたものは構造が簡単であり、生産性には優れるが、制振材薄膜を利用した振動音の減衰効果が必ずしも十分ではない。
【0005】
また、特開平8−232998のものではディスクブレーキのピストンとバッキングプレートとの間にシムを介装しているが、振動の発生源となるブレーキライニングと独立して離れた位置にシムが装着されているため、十分な制振効果が発揮されない問題がある。
【0006】
特開平10−231872のように燒結鉄のみでバッキングプレートを形成する場合には、燒結鉄の気孔率を増加させることで制振効果を得る必要があるため、機械的な強度や靱性の点で難点があり、また、素材自体が多孔質であるため耐食性の点でも問題が残る。
【0007】
更に、特開昭61−64850等で開示された加工法を適用した場合には、鋳鉄素材から片状黒鉛鋳鉄を削り出すための切削加工に手間が掛かり、特に、自動車ディスクブレーキのバッキングプレート等においては、キャリパキャリアに対する取付部となる突出部に高い寸法精度が要求されるため、生産性が低くなるといった問題がある。また、材料となる片状黒鉛鋳鉄の靱性が低く、十分な耐久性が保証できなくなるといった可能性もある。靱性を向上させるためには、基地組織をベイナイトやマルテンサイトに変態させる必要があり、コストが割高となってしまう。
【0008】
【発明の目的】
そこで、本発明の目的は、前記従来技術の欠点を解消し、生産性や製造コストに悪影響を及ぼすことなく、十分な制振効果を発揮することのできるバッキングプレートを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ブレーキライニングを取り付けるためのバッキングプレートであり、前記目的を達成するため、特に、
鋳鉄粉の燒結体によって形成された板材と鋼板とを厚み方向に重合させて一体的に形成したことを特徴とする構成を有する。
プレートを提供することにある。
【0010】
鋳鉄粉の燒結体には黒鉛が略均一に分布しており、基地組織と黒鉛の部分のヤング率が著しく相違するため、この板材に振動音が入射されると、黒鉛の部分に衝突した振動音が散乱および減衰されて燒結体に吸収される。また、板材と鋼板との接合部には異種素材の材料による界面が形成されるので、この界面によっても振動音の伝達作用が減衰される。これらの相乗効果により、ブレーキライニングの振動による騒音、いわゆる、ブレーキ鳴きを抑制するに足る制振効果が達成される。
しかも、板材と重合する鋼板を配備しているので、この鋼板の材質や形状を調整することで、バッキングプレートに必要とされる機械的な強度や靱性を容易に確保することができる。
また、燒結体を形成する鋳鉄粉自体の特性、つまり、前述した基地組織と黒鉛との相互作用を利用して制振効果を得るようにしているので、燒結鉄のみでバッキングプレートを形成する場合(特開平10−231872)とは違って燒結鉄の気孔率を過度に増加させる必要がなく、気孔率の増加によって生じる機械的な強度や靱性の低下、および、多孔質であるが故の耐食性の低下といった問題も回避される。
【0011】
鋳鉄粉の燒結体によって形成された板材と鋼板とは拡散接合によって一体化されていることが望ましい。
【0012】
鋳鉄粉の燒結体によって形成された板材と鋼板とを固相のまま加熱して圧力を加えるだけの簡単な操作で原子間の結合力を利用して両者を一体化することができるので、十分な接合強度を得ることができ、また、溶接や接着等を始めとする格別な接合工程を設ける必要もないので、バッキングプレートの多層化に伴う生産性の低下や製造コストの増大を最小限度に抑制することができる。
【0013】
また、重合して一体化された板材と鋼板のうち、板材側の露出した表面をブレーキライニングの取付面とすることが望ましい。
【0014】
このような構成を適用することにより、鋳鉄粉の燒結体によって形成された板材の表裏が鋼板とブレーキライニングとで挟み込まれた積層構造となり、鋳鉄粉の燒結体から成る板材の耐食性が向上する。
【0015】
更に、板材側の露出した表面をブレーキライニングの取付面とする際、板材の接合側面積がブレーキライニングの接合側面積よりも大きく形成されている場合には、ブレーキライニングと重合しない部分の板材の表面を含めてブレーキライニングの取り付けに用いられる接着剤で被覆するとよい。
【0016】
ブレーキライニングの接合側面積が板材の接合側面積よりも小さい場合であっても板材の表面を完全に被覆することができるので、鋳鉄粉の燒結体から成る板材の耐食性を保証することができる。また、ブレーキライニングの接着工程を利用して板材側の露出した表面を被覆するようにしているので、作業工程の煩雑化といった弊害も発生しない。
【0017】
また、接着剤を利用した被覆に代え、板材の接合側面積をブレーキライニングの接合側面積と同等に構成するようにしてもよい。
【0018】
板材の表面がブレーキライニングで被覆される結果、鋳鉄粉の燒結体から成る板材の耐食性が保証される。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、自動車に装備されるディスクブレーキの一般的な構造について示した斜視図である。ディスクブレーキ1は、概略において、キャリパ2とキャリパキャリア3、および、ピストン4とブレーキパッド5,6、ならびに、ブレーキディスク7によって構成される。
【0020】
ピストン4はピストン本体4aとピストンカップ4b,4cとから成り、キャリパ2に固設されたシリンダハウジング8に内嵌され、ブレーキホースを介して車両側から供給されるブレーキオイルを駆動源としてブレーキパッド5,6と接離する方向に駆動される。
【0021】
ブレーキパッド5,6の各々は、それぞれブレーキライニング10とバッキングプレート11とによって構成され、バッキングプレート11の本体部11aの一側にブレーキライニング10が接着剤で固着されている。
【0022】
更に、バッキングプレート11の本体部11aの上下にはキャリパキャリア3およびキャリパ2に対しての取付部となる突出部11b,11cが一体に設けられ、この突出部11b,11cの部分がキャリパキャリア3の柱状突起3b,3cとキャリパ2の周壁部12との間で摺動自在に挟み込まれる。従って、ブレーキパッド5,6はキャリパキャリア3に対してピストン4と同じ方向性で移動自在に保持されることになる。
【0023】
一方、キャリパ2のボルト通し穴14にはボルト13が余裕をもって挿通され、更に、このボルト13にゴム等の弾性体から成るスリーブ15を環装してから、ボルト13の先端部がキャリパキャリア3の柱状突起3bに設けられた雌ネジ部に固定される。つまり、キャリパ2はキャリパキャリア3に対してピストン4およびブレーキパッド5,6と同方向に所定量だけ移動を許容されていることになる。
【0024】
これにより、ブレーキパッド5のブレーキライニング10のみがブレーキディスク7に片当たりする問題が解消され、ブレーキパッド5,6のブレーキライニング10,10によってブレーキディスク7の表裏を確実に挾圧することが可能となる。
【0025】
これらのパーツを装着したキャリパキャリア3は、ボルト16を介して車両側に固定され、ブレーキパッド5,6のブレーキライニング10,10をブレーキディスク7の表裏に位置させた状態で、ブレーキディスク7と一定の位置関係を保持される。
【0026】
なお、符号17,18はブレーキパッド5,6のガタツキを防止するためにキャリパキャリア3とブレーキパッド5,6との間に介装されるバネ部材、また、符号19はブレーキパッド6に重合されるリテーナ、符号20はブレーキディスク7を保護するためのダストカバーである。
【0027】
これらの構成要素のうちブレーキパッド5,6のブレーキライニング10,10の部分は回転中のブレーキディスク7と直接的に接触して振動を発生する振動源となる部分である。特に、ブレーキディスク7の一部に錆などが発生していてブレーキディスク7とブレーキライニング10,10との間の摩擦が周期的に変動するような場合においては、ブレーキライニング10,10が著しく振動して異音を発生させるブレーキ鳴きという現象が発生する場合がある。
【0028】
このため、ブレーキライニング10,10を接着固定するバッキングプレート11,11には振動音の伝達を抑制する制振機能が強く要求されている。
【0029】
次に、図2を参照して本実施形態のバッキングプレート11とブレーキライニング10の構造について説明する。図2(a)はブレーキライニング10を取り付けたバッキングプレート11をブレーキライニング10の取付面側から見た平面図、また、図2(b)は図2(a)における矢視A−Aの部分を示した断面図である。
【0030】
バッキングプレート11は、鋳鉄粉の燒結体によって形成された板材21と、この板材21に対して厚み方向に重合された鋼板22とによって構成される。
【0031】
この実施形態では、鋳鉄粉として炭素3.3%,シリコン2.2%,マンガン0.75%,燐0.03%,硫黄0.10%のねずみ鋳鉄粉(粒径0.3mm)を用いて圧粉体を作成し、この圧粉体を鋼板22の上に置いて1100℃で焼成し、気孔率5%の燒結体から成る板材21とすると同時に、この板材21を拡散接合によって鋼板22と一体化してバッキングプレート11を形成した。
【0032】
鋳鉄粉の粒径は黒鉛の粒径を上回っている必要があり、最低でも0.1mm以上とすることが望ましい。
【0033】
板材21を形成する燒結体の気孔率は僅かに5%であり、課題を解決するための手段の項でも既に述べた通り、燒結体中の黒鉛を利用して振動音の散乱および減衰の作用を達成しているため、この気孔率を大きくしなくても必要とされる制振効果を達成することができる。燒結体の気孔率を低く抑えているため、特開平10−231872等に見られるような気孔率の増加に伴う強度や靱性の低下、および、多孔質であるが故の耐食性の低下といった問題も回避されている。
【0034】
燒結体によって形成された板材21と鋼板22は原子間の結合力を利用した拡散接合によって一体化されているため十分な接合強度を得ることができ、また、溶接や接着等を始めとする格別な接合工程を設ける必要がなく焼成の工程と同時に接合作業を行うことができるので、バッキングプレート11の多層化に伴う生産性の低下や製造コストの増大も最小限度に抑制される。
【0035】
更に、燒結体によって形成された板材21と鋼板22との接合部には異種素材の材料による界面が形成されるので、この界面によっても振動音の伝達作用が減衰されて制振効果が増長される相乗効果がある。
【0036】
鋼板22の部分には、バッキングプレート11に全体として必要とされる機械的な強度を満たすに足る性能が、材質と形状および厚みの面から付与されている。
【0037】
そして、ブレーキライニング10は、前述のようにして構成されたバッキングプレート11に対し、板材21の露出した表面、つまり、鋼板22が重合された面とは反対側の面を取付面として、接着剤を固着手段として一体的に取り付けられる。
【0038】
板材21にブレーキライニング10を接着する際には、実際にブレーキライニング10を取り付ける本体部11aのみならず、ブレーキライニング10とは重合しない突出部11b,11c等の部分をも含めて板材21の露出した表面に接着剤を塗布するようにしているので、ブレーキライニング10と重合しない部分の板材21の表面にも接着剤による被覆層23が形成される。
【0039】
従って、図2(a)および図2(b)に示される例のように板材21の接合側面積がブレーキライニング10の接合側面積よりも大きく形成されている場合であっても、板材21の表面が直接外部に露出することはなく、鋳鉄粉の燒結体から成る板材21の耐食性が確実に保証される。また、ブレーキライニング10の接着工程を利用して板材21の露出した表面を被覆するようにしているので、錆止のための格別の塗装工程等は必要なく、作業工程の煩雑化といった弊害も発生しない。
【0040】
このようにして製作されたバッキングプレート11と従来型の鋼板のみから成るバッキングプレートを単体の状態で試験器にかけて振動音の減衰率を測定したところ、実施形態のものは従来型のものに対して4倍強の減衰率の向上が確認された。
【0041】
また、実施形態のバッキングプレート11と従来型の鋼板のみから成るバッキングプレートを各々図1に示されるようなディスクブレーキ1に装着し、車載状態で複数の条件下でブレーキ鳴きの発生率を測定したところ、従来例の発生率25%に対し実施形態での発生率は2%となり、ブレーキ鳴きの発生率の軽減化が確認された。
【0042】
更に、プレートに一定の歪みを与えた際の曲げ強度の比較では、鋼板のみから成る従来例のバッキングプレートの曲げ強度100%に対して実施形態の曲げ強度95%が確認され、バッキングプレート11の一部を鋳鉄粉の燒結体によって形成された板材21に代替しても実質的な強度の遜色はなく、実用上十分な剛性が確保されていることが確認された。
【0043】
また、実車での耐久試験の結果、実施形態のバッキングプレート11の一部が燒結体の板材21によって形成されているにも関わらず、この板材21の表裏が鋼板22とブレーキライニング10および接着剤による被覆層23によって覆われていることから、鋼板のみから成る従来例のバッキングプレートと同等の高い耐食性を備えていることが分かった。
【0044】
図3は本発明を適用した他の実施形態のバッキングプレート11’について示したもので、図3(a)はブレーキライニング24を取り付けたバッキングプレート11’をブレーキライニング24の取付面側から見た平面図、また、図3(b)は図3(a)における矢視B−Bの部分を示した断面図である。
【0045】
鋳鉄粉の燒結体によって形成された板材21’と鋼板22’とから成るバッキングプレート11’の構造に関しては図2を参照して説明したバッキングプレート11と同様であり、本体部11a’および取付部となる突出部11b’,11c’を備えている。つまり、このバッキングプレート11’は、図1に示されるようなディスクブレーキ1に対して図2のバッキングプレート11と互換して利用することが可能な形状を備えたバッキングプレートである。
【0046】
図2で示した実施形態との相違は、ブレーキライニング24の本体部24aの周りに肉薄の外周部24bを一体に形成することによって、ブレーキライニング24の取付部の形状をバッキングプレート11’(板材21’)の表面形状に合わせた点にある。ブレーキディスク7と直接的に摺接する本体部24aの寸法および形状に関しては図2で示したブレーキライニング10と同一である。
【0047】
このようにして、ブレーキライニング24の取付部の周りに外周部24bを一体に形成した結果、バッキングプレート11’の一部を構成する板材21’の接合側面積はブレーキライニング24の取付部の表面積と同等となり、板材21’の露出した表面、つまり、鋼板22’が重合された面とは反対側の面にブレーキライニング24を接着した段階で、板材21’の露出した表面の全てがブレーキライニング24によって被覆されることになる。
【0048】
板材21’の表裏が鋼板22’とブレーキライニング24によって完全に覆われる結果、鋳鉄粉の燒結体によって形成された板材21’の部分について、図2に示したバッキングプレート11の板材21と同等、もしくは、それ以上の耐食性が実現されることになる。
【0049】
以上、本発明のバッキングプレートをディスクブレーキのバッキングプレートに適用することによってブレーキライニングに生じる振動音の伝達の抑制とブレーキ鳴きの発生率を軽減した例について述べたが、この実施形態で開示した制振技術、つまり、鋳鉄粉の燒結体によって形成された板材と鋼板とを厚み方向に重合して一体化することで制振効果と機械的強度に優れた制振板を得るといった技術思想は、制振効果と機械的強度を同時に要求される機械要素、例えば、ブレーキローターやブレーキドラムあるいはデフケース等において振動音の発生する部分等に対しても容易に転用することが可能である。
【0050】
【発明の効果】
本発明は、鋳鉄粉の燒結体によって形成された板材と鋼板とを厚み方向に重合させてバッキングプレートを一体的に形成するようにしたので、バッキングプレートに入射される振動音を鋳鉄粉の燒結体中に分布する黒鉛を利用して散乱および減衰させることができ、しかも、板材と鋼板との接合部には異種素材の材料による界面が形成されるので、この界面によって振動音の伝達作用が更に減衰され、ブレーキライニングの振動による騒音やブレーキ鳴きの発生を効果的に抑制することができる。
更に、鋳鉄粉の燒結体から成る板材と重合させて鋼板を一体的に配備しているので、鋼板の材質や形状を調整することでバッキングプレートに必要とされる機械的な強度や靱性を容易に確保することができる。
また、燒結鉄のみでバッキングプレートを形成する場合とは違って燒結鉄の気孔率を過度に増加させる必要がなく、気孔率の増加によって生じる機械的な強度や靱性の低下、および、多孔質であるが故の耐食性の低下といった問題も回避される。
【0051】
しかも、鋳鉄粉の燒結体によって形成された板材と鋼板とは拡散接合によって一体化されているので十分な接合強度を得ることができ、また、溶接や接着等を始めとする格別な接合工程を設けて板材と鋼板を接合してバッキングプレートを製造する必要もないので、バッキングプレートの多層化に伴う生産性の低下や製造コストの増大を最小限度に抑制することができる。
【0052】
また、重合して一体化された板材と鋼板のうち、板材側の露出した表面をブレーキライニングの取付面としているので、鋳鉄粉の燒結体によって形成された板材の表裏が鋼板とブレーキライニングとで挟み込まれた積層構造となり、鋳鉄粉の燒結体から成る板材の耐食性が向上し、鋼板のみから成るバッキングプレートと同程度の耐食性が得られる。
【0053】
更に、板材の接合側面積がブレーキライニングの接合側面積よりも大きく形成されている場合には、ブレーキライニングと重合しない部分の板材の表面を含めてブレーキライニングの取り付けに用いられた接着剤で被覆するようにしたので、ブレーキライニングの接合側面積が板材の接合側面積よりも小さい場合であっても板材の表面を完全に被覆することができ、鋳鉄粉の燒結体から成る板材の耐食性を確実に保証することができる。また、ブレーキライニングの接着工程を利用して板材側の露出した表面を被覆するようにしているので、錆止塗装のために作業工程が煩雑化するといった弊害も発生しない。
【0054】
また、板材の接合側面積をブレーキライニングの接合側面積と同等に構成して板材の表裏を鋼板とブレーキライニングで被覆した構成では、鋳鉄粉の燒結体から成る板材をバッキングプレートの一部として利用しているにも関わらず、鋼板のみから成るバッキングプレートと同等の耐食性が保証される。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動車に装備されるディスクブレーキの一般的な構造について示した斜視図である。
【図2】本発明を適用した一実施形態のバッキングプレートの構造について示した図で、図2(a)はブレーキライニングを取り付けたバッキングプレートをブレーキライニングの取付面側から見た平面図、また、図2(b)は図2(a)における矢視A−Aの部分を示した断面図である。
【図3】本発明を適用した他の一実施形態のバッキングプレートの構造について示した図で、図3(a)はブレーキライニングを取り付けたバッキングプレートをブレーキライニングの取付面側から見た平面図、また、図3(b)は図3(a)における矢視B−Bの部分を示した断面図である。
【符号の説明】
1 ディスクブレーキ
2 キャリパ
3 キャリパキャリア
3b,3c 柱状突起
4 ピストン
4a ピストン本体
4b,4c ピストンカップ
5,6 ブレーキパッド
7 ブレーキディスク
8 シリンダハウジング
9 ブリーダプラグ
10 ブレーキライニング
11 バッキングプレート
11’ バッキングプレート
11a 本体部
11a’ 本体部
11b,11c 突出部
11b’,11c’ 突出部
12 周壁部
13 ボルト
14 ボルト通し穴
15 スリーブ
16 ボルト
17,18 バネ部材
19 リテーナ
20 ダストカバー
21 鋳鉄粉の燒結体によって形成された板材
22 鋼板
23 接着剤による被覆層
24 ブレーキライニング
24a 本体部
24b 外周部

Claims (5)

  1. ブレーキライニングを取り付けるためのバッキングプレートであって、
    鋳鉄粉の燒結体によって形成された板材と鋼板とを厚み方向に重合させて一体的に形成したことを特徴とするバッキングプレート。
  2. 前記板材と前記鋼板とが拡散接合によって一体化されていることを特徴とする請求項1記載のバッキングプレート。
  3. 前記板材の露出した表面が前記ブレーキライニングの取付面とされていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のバッキングプレート。
  4. 前記板材の接合側面積が前記ブレーキライニングの接合側面積よりも大きく形成され、前記ブレーキライニングと重合しない部分の板材の表面が前記ブレーキライニングの取り付けに用いられた接着剤によって被覆されていることを特徴とする請求項3記載のバッキングプレート。
  5. 前記板材の接合側面積が前記ブレーキライニングの接合側面積と同等にされていることを特徴とする請求項3記載のバッキングプレート。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010009824A1 (de) * 2008-07-24 2010-01-28 Becorit Gmbh Bremsbelag für eine scheibenbremse und bremsbelagsystem
DE102013113546A1 (de) * 2013-12-05 2015-06-11 Knorr-Bremse Systeme für Nutzfahrzeuge GmbH Bremsbelag mit einer Dämpfungseinrichtung für eine Scheibenbremse, eine Scheibenbremse mit einem solchen Bremsbelag und Verfahren zum Optimieren einer Dämpfungseinrichtung eines solchen Bremsbelags

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