JP2004036584A - トルクコンバータ付き内燃機関のオイル流通構造 - Google Patents

トルクコンバータ付き内燃機関のオイル流通構造 Download PDF

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Yoshiaki Hori
堀 良昭
Hideyuki Tawara
俵 秀幸
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Abstract

【課題】端部にトルクコンバータが装着されたクランク軸内に、クランク軸の一端からトルクコンバータ作動油用油路とクランク軸・クランクピン潤滑油用油路とを別々に形成し、かつクランク室内で潤滑油とトルクコンバータ戻り油とが混合しないようにする。
【解決手段】上記クランク軸の一端から同クランク軸の軸線上に設けた中心孔と、同中心孔に挿入され、同中心孔をトルクコンバータの作動油用油路と、クランク軸・クランクピンの潤滑油用油路とに分ける管と、クランク室をミッション室に対して一方向弁を介してのみ連通可能な密閉構造とする隔壁とを備え、トルクコンバータからの戻り油はクランク室を経由せずに流出するようにした。
【選択図】    図7

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、4輪バギー車(荒地走行用鞍乗型車両)等に搭載されるトルクコンバータ付き内燃機関のオイル流通構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特公昭61−16866号公報に、トルクコンバータ軸に二重油路を形成した例が掲載されている。この例は軸の両端から圧油の供給・排出が可能な例である。一方、クランク軸にトルクコンバータを設け、トルクコンバータ作動油供給とクランク軸潤滑油供給とのために二重の油路を設けた場合には、クランク軸の場合には一端側からのみ給油が可能であるから、上記クランク軸潤滑油と混ざらないようにしてトルクコンバータの作動油の戻り油を排出することは困難である。
【0003】
【解決しようとする課題】
本発明は、クランク軸にトルクコンバータが装着され、クランク軸の構造上の制約から、軸の一端からのみオイル供給が可能な状態において、クランク軸内に、トルクコンバータ作動油用油路とクランク軸・クランクピン潤滑油用油路とを別々に形成し、かつ流出用油路を別々にして、クランク室内で潤滑油とトルクコンバータ戻り油とが混合しないようにすることを課題としている。
【0004】
別系統の油路を形成する理由は、トルクコンバータ作動油の必要油量および油圧に比して、クランク軸・クランクピン潤滑油の必要油量および油圧は小さいため、別系統にしない場合は、無駄が生じるからである。また、クランク室内に多量のトルクコンバータ戻り油が流入すると、クランクウエブの回転の抵抗となり、好ましくないからである。
【0005】
【課題を解決するための手段および効果】
本発明は上記課題を解決したものであって、請求項1に記載の発明は、クランク軸にトルクコンバータが設けてあるトルクコンバータ付き内燃機関のオイル流通構造において、上記クランク軸の一端から同クランク軸の軸線上に設けた中心孔と、同中心孔に挿入され、同中心孔をトルクコンバータの作動油用油路と、クランク軸・クランクピンの潤滑油用油路とに分ける管と、クランク室をミッション室に対して一方向弁を介してのみ連通可能な密閉構造とする隔壁とを備え、トルクコンバータからの戻り油はクランク室を経由せずに流出するようにしたことを特徴とするトルクコンバータ付き内燃機関のオイル流通構造。
【0006】
本発明のトルクコンバータ付き内燃機関のオイル流通構造はこのように構成されているので、トルクコンバータの作動油と、クランク軸・クランクピンの潤滑油とをそれぞれの供給先へ必要量だけ供給し、またクランク室を、ミッション室に対して一方向弁を介してのみ連通可能な密閉構造とし、クランク軸・クランクピンの潤滑油はクランク室へ送り、トルクコンバータからの戻り油はクランク室へ入れないよう別系統油路で流出するようにしてあるので、クランク室内に供給されるクランク軸・クランクピンの潤滑油にトルクコンバータからの戻り油が混入せず、クランク室内でクランクウエブが溜まった油を掻き回すことが無く、クランク軸の回転を抵抗無くスムーズに行わせることができる。また、クランクケースにはクランク軸・クランクピンの潤滑油だけが入るようにすることができるので、クランクケースの容量を小さくすることができ、クランクケース全体を軽量化することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施形態に係る自動変速装置を備えたパワーユニットを搭載した4輪バギー車(荒地走行用鞍乗型車両)の側面図である。このバギー車は車体フレーム1の前後にそれぞれ左右一対づつの前輪2および後輪3を備え、車体フレーム1の中央部に内燃機関4と変速機5とを一体化したパワーユニット6が支持されている。パワーユニット6はクランク軸7を車体の前後方向へ向けて配置されている。クランク軸7の回転は、後述の変速機の主軸8、中間軸9、カウンタ軸10、を経て図示の出力軸11に伝達される。上記の各軸はいずれもクランク軸と平行であり、車体の前後方向へ向けて配置されている。前輪2は出力軸11の前端に連なる前輪駆動軸12によって、後輪3は出力軸11の後端に連なる後輪駆動軸13によって駆動される。車体上部には、前から順に操縦用ハンドル14、燃料タンク15、鞍型シート16が装備されている。
【0008】
図2は上記パワーユニットのクランクケース23の横断面を正面から見た図である。図には、クランク軸7、主軸8、中間軸9、カウンタ軸10、および出力軸11が示してあり、さらにシフトフォーク17、18、シフトフォークのガイド軸19、およびシフトドラム20の位置が示してある。クランク軸7の近傍にバランスウエイト軸21が設けてある。図3はクランク軸7と主軸8とを含む断面図、図4は主軸8とカウンタ軸10と出力軸11とシフトフォークのガイド軸19を含む断面展開図、図5は主軸8、中間軸9、カウンタ軸10、およびシフトフォークのガイド軸19を含む断面展開図である。これらの軸を含む断面図・断面展開図は動力伝達機構を示しているが、特に図4と図5が自動変速装置に係る部分を示している。
【0009】
図3はクランク軸7と主軸8とに関する動力伝達機構を示している。パワーユニットのクランクケース部は前から、前クランクケースカバー24、前クランクケース25、後クランクケース26、および後クランクケースカバー27から構成されている。クランク軸7は、前クランクケース25にローラ軸受43を介して、後クランクケース26にボール軸受44を介して、回転可能に支持されている。ボール軸受44は、クランク軸の軸方向位置決めのために圧入されている。クランク軸7を、前クランクケース25に、特にローラ軸受43を介して支持している理由は、プライマリ駆動ギヤ34の反力による打音の低減のためである。クランク軸7の前方延長部は前クランクケースカバー24にボール軸受45を介して支持されている。クランク軸7は前後の部分に分かれ、そのクランクウエブ7aにおいてクランクピン7bによって結合され、同クランクピン7bによって、コンロッド28が支持されている。
【0010】
クランク軸7の後端部には、クランク軸7の回転によって発電する交流発電機29と、リコイルスタータ102が装着されている。クランク軸7の交流発電機29側の端部はリコイルスタータ102側の部材を介して後クランクケースカバー27にボール軸受103によって支持され、振れ止めされている。ボール軸受103に隣接して、オイルシール104が装着され、クランク軸7側の潤滑油が、リコイルスタータ室105内へ流入しないようにしてある。
【0011】
クランク軸7の前部には、トルクコンバータ30が装着され、同トルクコンバータ30に隣接してプライマリ駆動ギヤ34がクランク軸7に相対的に回転可能に保持されている。トルクコンバータ30は、クランク軸7に固定されているポンプインペラ31と、それに対向するタービンランナ32と、ステ−タ33とを備えている。タービンランナ32が前記プライマリ駆動ギヤ34に接続されている。トルクコンバータ30への作動油は、前クランクケースカバー24からクランク軸7の中心孔に挿入された二重管の外管36と内管37との間から供給される。クランクピン7bへの潤滑油は内管37の中を経て供給される。二重管は前クランクケースカバー24にO−リングを介して弾性的に保持され、軸の偏心が吸収されている。
【0012】
主軸8の前半部外周には、管状の補助主軸38が設けてある。この補助主軸38は、前後のクランクケース25、26にボール軸受46、47を介して回転可能に支持されている。主軸8の前半部はこの補助主軸38の中心孔内を貫通すると共に、ニードル軸受48を介して同補助主軸38によって回転可能に支持され、主軸8の後部は後クランクケース26にボール軸受49を介して回転可能に支持されている。主軸8と補助主軸38とは相互に回転が可能である。
【0013】
主軸8の前部には、前記プライマリ駆動ギヤ34に常時噛み合うプライマリ従動ギヤ35が固定されている。クランク軸7の回転は、トルクコンバータ30を介してプライマリ駆動ギヤ34に伝えられ、さらにこれに噛合うプライマリ従動ギヤ35に伝えられ、これら両ギヤによる1次減速を経て、主軸8に伝達される。主軸8は内燃機関運転中には常時回転している。
【0014】
補助主軸38の前端、ボール軸受46の前には、1速用油圧式多板クラッチ39が設けてある。ボール軸受46の後には、1速用駆動ギヤA1、後退用駆動ギヤA2が補助主軸38に固定されている。1速用油圧式多板クラッチ39のインナー39aは主軸8に固定されているプライマリ従動ギヤ35と一体であり、そのアウター39bは補助主軸38に固定してある。1速用油圧式多板クラッチ39が油圧によって接続された時、プライマリ従動ギヤ35と1速用油圧式多板クラッチ39とを介して主軸8と補助主軸38とが接続され、主軸8の回転が補助主軸38の1速用駆動ギヤA1、後退用駆動ギヤA2に伝達される。
【0015】
主軸8の後端部、ボール軸受49より後には、前記1速用駆動ギヤA1より大径の、2速用駆動ギヤA3が相対的に回転可能に保持され、これに隣接して2速用油圧式多板クラッチ40が設けてある。そのインナー40aは主軸8に固定され、そのアウター40bは前記2速用駆動ギヤA3に一体回転できるように接続されている。2速用油圧式多板クラッチ39が油圧によって接続された時、主軸8の回転が2速用駆動ギヤA3に伝達される。
【0016】
1速用、2速用のクラッチを接続する際には、いずれか一方へのみ圧油を供給して接続する。1速用油圧式多板クラッチ39への作動油は、主軸8の中心孔へ前クランクケースカバー24から挿入された二重管の外管50と内管51との間から供給され、2速用油圧式多板クラッチ40への作動油は、二重管の内管51の中を経て供給される。この圧油供給先の切り換えは、ソレノイドバルブ52への通電によるバルブボデイ53内の油路の切り換えによって行われ、前記二重管に連なる前クランクケースカバー24内の油路54、55が切り換えられる。この切り換えの通電操作は、車速やスロットル開度などのパラメータに基づく電子制御装置からの指令信号によって自動的に行われる。上記二重管は前クランクケースカバー24にO−リングを介して弾性的に保持され、軸の偏心が吸収されている。
【0017】
図4は前記主軸8から、カウンタ軸10、および出力軸11への動力伝達機構を示している。カウンタ軸10は前後のクランクケース25、26にボール軸受56、57を介して回転可能に支持され、出力軸11は前クランクケースカバー24、後クランクケース26、および後クランクケースカバー27にボール軸受58、59、60を介して回転可能に支持されている。
【0018】
カウンタ軸10には、1速用従動ギヤB1と後退用従動ギヤB2が相対的に回転可能に保持され、それらの間に、前進後退選択用ドッグクラッチ41が設けてあり、シフトフォーク17による選択操作によって、ギヤB1、B2のいずれか一方をカウンタ軸10に対して固定することができる。カウンタ軸10には更に、ハイ駆動ギヤB3、ロー駆動ギヤB4、および2速用従動ギヤB5が固定されている。ハイ駆動ギヤB3はロー駆動ギヤB4より大径である。
【0019】
出力軸11にはハイ従動ギヤC1とロー従動ギヤC2とが相対的に回転可能に保持され、それらの間にはハイロー選択用ドッグクラッチ42が設けてあり、シフトフォーク18による選択操作によって、いずれか一方を出力軸に固定することができる。シフトフォーク17、18はいずれもガイド軸19によって支持されている。シフトフォーク17、18に設けられたシフタピン17a、18aの先端は、図2に示したシフトドラム20に、それぞれのシフタピン専用の溝として設けられたカム溝20a、20bに挿入されている。シフトドラム20の回動は、車両のハンドル14に設けてあるシフトレバー(図示せず)に連なる操作ケーブル(図示せず)を介して、搭乗者によって手動で操作される。
【0020】
カウンタ軸10に相対的に回転可能に保持されている1速用従動ギヤB1は補助主軸38の1速用駆動ギヤA1に常時噛合っている。カウンタ軸10に相対的に回転可能に保持されている後退用従動ギヤB2は、後述する回転方向転換用ギヤM1、M2を介して補助主軸38の後退用駆動ギヤA2と常時噛合っている。カウンタ軸10に固定されているハイ駆動ギヤB3およびロー駆動ギヤB4は、それぞれ出力軸11に相対的に回転可能に保持されている前記ハイ従動ギヤC1およびロー従動ギヤC2に常時噛合っている。2速用従動ギヤB5は、主軸8の2速用駆動ギヤA3と常時噛合っている。
【0021】
図5は主軸8から、中間軸9を経てカウンタ軸10へ至る動力伝達機構を示している。中間軸9は前後のクランクケース25、26に支持されている。中間軸9には回転方向転換用ギヤM1、M2が相対的に回転可能に保持されている。回転方向転換用ギヤM1、M2は、ボス部が共通のアイドルギヤである。ギヤM2はギヤM1より小径である。回転方向転換用ギヤM1は補助主軸38に固定されている後退用駆動ギヤA2と常時噛合い、回転方向転換用ギヤM2はカウンタ軸10の後退用従動ギヤB2に常時噛合っている。
【0022】
変速作用の説明表現の都合上、油圧式多板クラッチの1速用クラッチ39の選択を「1速」、2速用クラッチ40の選択を「2速」、前進後退選択用ドッグクラッチ41の1速用従動ギヤB1側選択を「前進」、後退用従動ギヤB2側選択を「後退」、ハイロー選択用ドッグクラッチ42のハイ従動ギヤC1側選択を「ハイギヤ」、ロー従動ギヤC2側選択を「ローギヤ」と表示する。
【0023】
油圧式クラッチとドッグクラッチの組み合せ選択肢は6通りあり、車両速度の遅いものから速いものへ順に並べれば次のようになり、それぞれの選択肢において稼働するギヤ列も併せて示してある。
1.前進の場合:
(a)1速・前進・ローギヤ:A1―B1―B4―C2、
(b)1速・前進・ハイギヤ:A1―B1―B3―C1、
(c)2速・ローギヤ:   A3―B5―B4―C2、
(d)2速・ハイギヤ:   A3―B5―B3―C1。
2.後退の場合:
(a)1速・後退・ローギヤ:A2―M1―M2―B2―B4―C2、
(b)1速・後退・ハイギヤ:A2―M1―M2―B2―B3―C1。
【0024】
図2において、クランク室61とミッション室62とは隔壁63によって仕切られ、この隔壁63と前クランクケース25と後クランクケース26とによって、クランク室61はいわゆる密閉クランク室となっている。クランク室61とミッション室62との間の下部の連通部には一方向弁64が設けられ、ピストン下降の際に上昇するクランク室61内の圧力に押されて、クランク室61内のオイルが一方向弁64を経由してミッション室62へ流出するようになっている。
【0025】
図6はクランク軸7とオイルポンプ軸90と一方向弁64とを含むパワーユニットの縦断面図、図7は図6の部分拡大図であり、クランク軸7の前半部およびその周辺を示している。図中の矢印はオイルの流れ方向である。図6において、前クランクケースカバー24の前側には、オイルフィルタ65が装着されている。オイルフィルタ65を経由して、前クランクケースカバー24側から、クランク軸7の前部のトルクコンバータ30へ向かう作動油は、前クランクケースカバー24側からクランク軸7の中心孔80に挿入された二重管の外管36と内管37との間から供給され、図7に示されるように、内管37、クランク軸7、シール66、67に囲まれた空間から、クランク軸7の径方向油路69を経てトルクコンバータ30へ入る。
【0026】
トルクコンバータ30から流出したオイルは、軸受部を潤滑した後、図7に示されるクランク軸7の径方向油路70、71を経由し、内管37、クランク軸7、シール67、68で囲まれた空間へ流出し、更にクランク軸7の径方向油路72、クランク軸7と前クランクケース25間の円環状小室73、前クランクケースに設けられた油路74を通り、図6に示されるチェックバルブ75、および流出油路76を経て、ミッション室62の下部空間62aへ流出する。前記クランク軸7と前クランクケース25との間に形成されている円環状小室73の前後の環状隙間には、軸受部密閉用オイルシール78、小室外側オイルシール79が装着され、前後の環状隙間からのオイル漏れを防いでいる。上記円環状小室73、油路74、チェックバルブ75を、パワーユニットの正面側から見た位置は、後述の図9に示してある。
【0027】
トルクコンバータ30が正常な作動をするためには、トルクコンバータ30内の作動油が、ある一定値以上の圧力を保っていることが必要である。作動油流出経路の末尾にチェックバルブ75が設けてあるのは、その上流側の圧力、即ちトルクコンバータ30内の作動油の圧力を所定値以上に保持するためである。更にこのチェックバルブによって、内燃機関を長期間放置した時にも、トルクコンバータ内のオイルが流出しないという効果がある。
【0028】
クランクピン7bへ向かう潤滑油は、前クランクケースカバー24側からクランク軸中心孔80に挿入された内管37の内側を通り、クランク軸中心孔80の端部の油路、およびクランク軸径方向斜め油路81を経由して供給される。シリンダの内側やピストンの下部の潤滑は、オイル噴出装置82から噴出するオイルジェットによって行われる(オイル噴出装置82へ向かう油路は図示していない)。
【0029】
上記クランク軸の径方向斜め油路81、およびオイル噴出装置82を経由して供給されたオイルはいずれも、所要箇所を潤滑した後、クランク室61の中で、図2および図6に示されるクランク室の下部空間61aに落ちる。前述のようにこのクランク室61は密閉クランク室であり、固定部と回転部との間の軸受部の隙間は、前側は前記軸受部密閉用オイルシール78によって、後側は軸受部密閉用オイルシール84によって密封されている。したがってピストン下降時の圧力上昇によって、クランク室の下部空間61aのオイルは一方向弁64を経由してミッション室62の下部空間62aへ押し出され、前記のチェックバルブ75から流出したオイルと合流する。
【0030】
図8はカウンタ軸10、出力軸11、シフトフォークのガイド軸19、シフトドラム20、オイルポンプ軸90、およびストレーナ85を含むパワーユニットの縦断面図である。図中の矢印はオイルの流れ方向を示す。ストレーナ85の前方に設置されているオイルポンプは後側オイルポンプ88と前側オイルポンプ89とが同一のオイルポンプ軸90に装着された2連式のオイルポンプである。後側オイルポンプ88はストレーナ上部空間87に連なっている。ストレーナ85の周辺の正面形状は、図2に示されている。
【0031】
図9は前クランクケースカバーと前クランクケースとの間の上記ポンプ等を正面から見た図、図10は前クランクケースカバーの前面のオイルフィルタ等を正面から見た図である。図9の円弧状矢印は、トルクコンバータのポンプインペラ31の回転方向を示している。図6および図9に示されるように、オイルポンプ軸90はクランク軸7に装着されたスプロケット91とオイルポンプ軸90に装着されたスプロケット92とこの間に掛け渡されたチェーン93を介して駆動される。
【0032】
図2および図6に示されるミッション室62の下部空間62aに落ち、図2および図8に示されるストレーナ下部空間86に流入したオイルは、オイルポンプの作動によって、ストレーナ85を経由して、ストレーナ上部空間87へ入り、図8のストレーナ上部空間87に連なる後側オイルポンプ88によって吸引され、図6に示される後側ポンプ吐出管94からオイルタンク(図示されず)へ吐出される。上記オイルタンク内のオイルは、前側オイルポンプ89によって、図8に示される吸入管95から吸引され、図6に示される前側ポンプ吐出管96経由で、図6および図10に示される前記オイルフィルタ65へ送られる。前側ポンプ吐出管96から分岐した分岐管97につながる圧力制御弁98(図6、図9)によって、オイルフィルタ65へ送り込まれるオイルの圧力は、所定値に保持される。
【0033】
オイルフィルタ65へ送り込まれ、そこで浄化されて排出されたオイルの一部は、前述のように、クランク軸内の二重管へ送られ、トルクコンバータ30の作動油、クランク軸外周部の軸受の潤滑油、クランクピン7bの潤滑油となる。他の一部はクランクケースカバー24、27やクランクケース25、26内に形成された油路を通じてミッション室62内の各回転軸の軸受部へ潤滑油として送られる。更に他の一部は、図10に示されるリニヤソレノイドバルブ52Aおよびシフトソレノイドバルブ52Bが装着されているバルブボデイ53を経由して、1速・2速切り換えのために、1速用油圧式多板クラッチ39または2速用油圧式多板クラッチ40へ加圧用として送られる。上記ソレノイドバルブは、電子制御装置によって通電ON/OFF制御される。
【0034】
図6において、オイルポンプ軸90の前端に接続されているのは水ポンプ99であり、水ポンプ軸100はオイルポンプ軸90と同軸回転する。水ポンプ吐出水は、吐出口101を経由して、冷却のためにシリンダ周囲へ送られる。
【0035】
以上詳述したように、本実施形態のトルクコンバータ付き内燃機関においては、クランク軸にトルクコンバータが装着され、クランク軸の構造上の制約から、軸の一端からのみオイル供給が可能な状態において、クランク軸内に、トルクコンバータ作動油用油路とクランク軸・クランクピン潤滑油用油路とを別々に形成し、クランク室を密閉化し、クランク室内への給油量をクランク回りが必要とする最低限の量に制限して、クランク系全体のオイル給油量を少なくし、さらにこれによって、クランクケースの容量を小さくし、クランクケース全体の軽量化を図っている。
【0036】
また、トルクコンバータ戻り油油路を、クランク軸・クランクピン潤滑油用油路とは別系統の油路にすることによって、クランク室内の潤滑油にトルクコンバータ戻り油が混入しないようにし、またクランク室を経由しない油路で流出するようにしてあるので、クランク室内でクランクウエブが溜まった油を掻き回すことがなく、したがって、クランクウエブの撹拌によるフリクションの影響を無く、クランク軸の回転を抵抗無くスムーズに行えるようにしている。
【0037】
またトルクコンバータからの専用の戻り油路の終端部にチェックバルブを設け、トルクコンバータの作動油圧力をトルクコンバータが必要とするする一定値以上に保持するようにして、トルクコンバータの伝達効率の向上を図っている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る自動変速装置を備えたパワーユニットを搭載した4輪バギー車(荒地走行用鞍乗型車両)の側面図である。
【図2】上記パワーユニットのクランクケース23の横断面を正面から見た図である。
【図3】クランク軸7と主軸8とを含む断面図である。
【図4】主軸8とカウンタ軸10と出力軸11とシフトフォークのガイド軸19を含む断面展開図である。
【図5】主軸8、中間軸9、カウンタ軸10、およびシフトフォークのガイド軸19を含む断面展開図である。
【図6】クランク軸7と一方向弁64とを含むパワーユニットの縦断面図である。
【図7】図6の部分拡大図である。
【図8】カウンタ軸10、出力軸11、シフトフォークのガイド軸19、シフトドラム20およびストレーナ85を含むパワーユニットの縦断面図である。
【図9】前クランクケースカバーと前クランクケースとの間のポンプ等を正面から見た図である。
【図10】前クランクケースカバーの前面のオイルフィルタ等を正面から見た図である。
【符号の説明】
A1…1速用駆動ギヤ、A2…後退用駆動ギヤ、A3…2速用駆動ギヤ、B1…1速用従動ギヤ、B2…後退用従動ギヤ、B3…ハイ駆動ギヤ、B4…ロー駆動ギヤ、B5…2速用従動ギヤ、C1…ハイ従動ギヤ、C2…ロー従動ギヤ、M1…回転方向転換用ギヤ、M2…回転方向転換用ギヤ、1…車体フレーム、2…前輪、3…後輪、4…内燃機関、5…変速機、6…パワーユニット、7…クランク軸、7a…クランクウエブ、7b…クランクピン、8…主軸、9…中間軸、10…カウンタ軸、11…出力軸、12…前輪駆動軸、13…後輪駆動軸、14…操縦用ハンドル、15…燃料タンク、16…鞍型シート、17…シフトフォーク、18…シフトフォーク、19…ガイド軸、20…シフトドラム、20a,20b…カム溝、21…バランスウエイト軸、23…クランクケース、24…前クランクケースカバー、25…前クランクケース、26…後クランクケース、27…後クランクケースカバー、28…コンロッド、29…交流発電機、30…トルクコンバータ、31…ポンプインペラ、32…タービンランナ、33…ステータ、34…プライマリ駆動ギヤ、35…プライマリ従動ギヤ、36…外管、37…内管、38…補助主軸、39…1速用油圧式多板クラッチ、39a…インナー、39b…アウター、40…2速用油圧式多板クラッチ、40a…インナー、40b…アウター、41…前進後退選択用ドッグクラッチ、42…ハイロー選択用ドッグクラッチ、43…ローラ軸受、44…ボール軸受、45…ボール軸受、46…ボール軸受、47…ボール軸受、48…ニードル軸受、49…ボール軸受、50…外管、51…内管、52…ソレノイドバルブ、52A…リニヤソレノイドバルブ、52B…シフトソレノイドバルブ、53…バルブボデイ、54…油路、55…油路、56…ボール軸受、57…ボール軸受、58…ボール軸受、59…ボール軸受、60…ボール軸受、61…クランク室、61a…クランク室の下部空間、62…ミッション室、62a…ミッション室の下部空間、63…隔壁、64…一方向弁、65…オイルフィルタ、66…シール、67…シール、68…シール、69…径方向油路、70…径方向油路、71…径方向油路、72…径方向油路、73…円環状小室、74…油路、75…チェックバルブ、76…流出油路、78…軸受部密閉用オイルシール、79…小室外側オイルシール、80…中心孔、81…クランク軸径方向斜め油路、82…オイル噴出装置、84…軸受部密閉用オイルシール、85…ストレーナ、86…ストレーナ下部空間、87…ストレーナ上部空間、88…後側オイルポンプ、89…前側オイルポンプ、90…オイルポンプ軸、91…スプロケット、92…スプロケット、93…チェーン、94…後側ポンプ吐出管、95…吸入管、96…前側ポンプ吐出管、97…分岐管、98…圧力制御弁、99…水ポンプ、100…水ポンプ軸 、101…吐出口、102…リコイルスタータ、103…ボール軸受、104…オイルシール、105…リコイルスタータ室。

Claims (1)

  1. クランク軸にトルクコンバータが設けてあるトルクコンバータ付き内燃機関のオイル流通構造において、
    上記クランク軸の一端から同クランク軸の軸線上に設けた中心孔と、
    同中心孔に挿入され、同中心孔をトルクコンバータの作動油用油路と、クランク軸・クランクピンの潤滑油用油路とに分ける管と、
    クランク室をミッション室に対して一方向弁を介してのみ連通可能な密閉構造とする隔壁とを備え、
    トルクコンバータからの戻り油はクランク室を経由せずに流出するようにしたことを特徴とするトルクコンバータ付き内燃機関のオイル流通構造。
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