JP2004035882A - 粒状物トラップ改良のための過塩基化金属塩ディーゼル燃料添加剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】ディーゼルエンジン粒状物トラップの操作を改善し、燃料中で安定な燃料添加剤組成物を提供すること。
【解決手段】ディーゼル燃料に添加して燃料中に1〜25 ppmの金属を与えるようにしたときに、ディーゼルエンジン粒状物トラップの操作を改善するのに有効な燃料添加剤金属塩組成物において、酸性有機化合物の油溶性または油分散性過塩基化金属塩を少なくとも1種含み、前記塩組成物が塩のアニオン成分を中和するのに必要とする金属よりも化学量論的に過剰の5〜85質量%の金属を含有し、金属がCa、Fe、Mg、Sr、Na、Ti、Zr、Mn、ZnおよびCeからなる群から選ばれる前記組成物。
【解決手段】ディーゼル燃料に添加して燃料中に1〜25 ppmの金属を与えるようにしたときに、ディーゼルエンジン粒状物トラップの操作を改善するのに有効な燃料添加剤金属塩組成物において、酸性有機化合物の油溶性または油分散性過塩基化金属塩を少なくとも1種含み、前記塩組成物が塩のアニオン成分を中和するのに必要とする金属よりも化学量論的に過剰の5〜85質量%の金属を含有し、金属がCa、Fe、Mg、Sr、Na、Ti、Zr、Mn、ZnおよびCeからなる群から選ばれる前記組成物。
Description
【0001】
【技術分野】
本発明は、新規な燃料添加剤組成物に関する。さらに詳細には、本発明は、ディーゼル燃料の燃焼からの放出物の性質を改善するのに高度に有効であると判明した金属塩添加剤組成物に関する。これらの添加剤は、数ある中でディーゼルエンジンの排気系において使用する粒状物トラップ類の性能を改善するのにとりわけ有効である。
【0002】
【背景技術】
排気流中に取付けられて排気中の粒状物を“捕捉”即ち捕集してこれら粒状物の大気への放出を防止するための粒状物トラップを備えたディーゼルエンジンは、次の数年内に、より多くの使用が期待されている。
粒状物トラップ無しで作動するディーゼルエンジンは、未燃焼炭化水素(HC)類、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)類および粒状物を放出し、これらの放出物は、すべて現行のまたは提案された規制を受ける。これら汚染物の制御問題は、粒状物と窒素酸化物類間でのかね合いが存在するので、複雑である:低窒素酸化物放出を得るように燃焼条件を改変させると、粒状物は増大する。粒状物トラップは、粒状物放出の度合を軽減するために使用する。
現在、ディーゼルトラップと窒素酸化物類を使用する装置とのような組合せ技術は、現実に即した空気清浄目的を満たすことが求められているようである。この粒状物低減方式は、タイミング変更および排気ガス再循環のようなNOx低減において利用できる技術が粒状物とのかね合いを求めているので、必要であろう。NOx、未燃焼炭化水素および一酸化炭素の低放出を合理的な時間に亘って粒状物を制御しながら達成させるということは、技術的挑戦を提供し続けている。
【0003】
ディーゼル粒状物、その作用および制御は、相当な懸念ごとおよび論争の集中点である。その化学的、環境的インパクトは、複雑な問題を提供している。一般に、ディーゼル粒状物質は、主として、吸着された炭化水素、硫酸塩および水性種を含む炭素および金属化合物の固形粒子である。吸着種の中には、アルデヒド類および多環式芳香族炭化水素類が存在する。これら有機物の幾つかは、潜在的な発癌物質または変異誘発物質であることが報告されている。未燃焼炭化水素類は、特徴的なディーゼル臭に関連しており、ホルムアルデヒドおよびアクロレインのようなアルデヒド類を含む。ナノ粒子制御の必要性は、トラップ使用の要求に至っているようである。
残念なことに、トラップの設計またはサイズを改変することによって単純に粒状物の回収を増大させた場合、トラップ内の逆圧蓄積速度が増大し、燃料消費量の増大および貧弱な操縦性をもたらす。さらにまた、各種汚染物の制御は、1つの汚染物を低減させることが時には他の汚染物レベルを増大させることに相関しているようである。燃焼率を向上させ、より完全な酸化を達成することによって、不完全燃焼に由来する汚染物の低減は達成できるが、NOxはこれらの条件下では典型的に増大する。
ディーゼルトラップ(触媒型または非触媒型であれ)が、とりわけNOxを制御するための努力がなされている場合の粒状物制御のために必要であることは明白である。
【0004】
ディーゼルトラップ類の使用およびこれらトラップ改良の必要性は、多大な研究、並びに多数の特許および技術刊行物をもたらしている。トラップ類は、金属またはセラミックから典型的に構築され、排気からの粒状物を捕集し且つ炭素質付着物(一定の間隔で焼払わなければならない)の酸化によって生ずる熱に耐え得るものである。
この焼払い、即ち、再生は、トラップの操作温度が十分に高い場合には、それ自体で生じ得る。しかしながら、典型的な状況においては、排気温度は十分に一定して高くなく、トラップ温度を電気的に加熱する或いはその洗浄コート(washcoat)上で触媒を使用して粒状物の燃焼温度を下げるような二次的手段も完全には成功していない。
ディーゼルエンジン粒状物トラップの操作を改善するための有機金属塩および複合体の使用は、例えば、1994年9月6日発行の米国特許第5,344,467号に開示されており、この米国特許は、有機金属複合体と酸化防止剤の併用を教示している。この有機金属複合体は、ディーゼル燃料に可溶性または分散性であり、炭化水素鎖に結合させた少なくとも2個の官能基を含有する有機化合物から誘導されている。
【0005】
1999年7月22日に公開されたWO99/36488号は、少なくとも1種の鉄を含有する燃料可溶性または燃料分散性種を少なくとも1種のアルカリ土類金属含有燃料可溶性または燃料分散性種との相乗的組合せにおいて含有する燃料添加剤組成物を開示している。この金属添加剤の組合せは、ディーゼル粒状物フィルタートラップの操作を改善すると説明している。
また、本発明の要旨は、1990年8月7日に発行された米国特許第4,946,609号に関連しており、この米国特許は、ディーゼルエンジンにおいて使用する潤滑油用の添加剤としてのフェロセン、フェロセン誘導体および有機酸の鉄塩のような鉄化合物の使用を開示している。潤滑油中の鉄化合物の存在がディーゼル粒子フィルターの再生を容易にすると教示している。
1994年5月26日に公開されたWO94/11467号は、トラップからの未燃焼炭化水素類および一酸化炭素の放出を低減させるのに十分な量の白金族金属の燃料−可溶性組成物を含む燃料添加剤の使用によるディーゼルトラップ操作の改良方法を開示している。白金族金属は、白金、パラジウム、ロジウムまたはイリジウムを含む。
【0006】
【発明の開示】
本発明は、有意量の過塩基化金属含有量を有するある種の過塩基化油溶性金属塩添加剤組成物がディーゼルエンジン粒状物トラップの操作(operation)を改善するのに燃料中で安定な添加剤系であり有効であるという発見に基づく。
本発明によれば、ディーゼル燃料に添加して燃料中に質量で2〜10 ppmまたは5〜10 ppmのような1〜25 ppmの金属を与えるようにしたときにディーゼルエンジン粒状物トラップの操作を改善するのに有効な燃料添加剤過塩基化金属塩組成物が論じられ、この組成物は、酸性有機化合物の油溶性または油分散性金属塩を少なくとも1種含み、上記塩組成物が上記塩のアニオン成分を中和するのに必要とする金属よりも化学量論的に過剰の5〜85質量%、好ましくは5〜25質量%、5〜50質量%または20〜50質量%の金属を含有し、金属がCa、Fe、Mg、Sr、Na、Ti、Zr、Mn、ZnおよびCeからなる群から選ばれることを特徴とする。セリウムおよび鉄が好ましい。
本発明の金属塩組成物からの1〜25 ppmの金属を含有する改良されたディーゼル燃料油は、本発明のさらなる実施態様を構成する。適切な燃料油を以下に説明する。
さらなる実施態様は、ディーゼルエンジンに本発明の添加剤組成物を含有するディーゼル燃料組成物を供給することによるディーゼルエンジン粒状物トラップ操作の改良方法を含む。
適切な溶媒中の本発明の添加剤組成物の安定な溶液または分散液も、本発明のさらなる実施態様を構成する。そのような添加剤濃縮物は、20〜80%の活性物質を含有するであろう。活性物質は、燃料中に1〜25 ppmの金属を与えるような量で溶媒中に存在する。そのような溶液または分散液は、広い温度範囲に亘って安定なままである。
【0007】
上記の安定な添加剤溶液または分散液を調製するのに使用する溶媒は、通常液体の石油または合成炭化水素もしくは酸素化炭化水素、またはヘキサノール、2−エチルヘキサノールもしくはイソデシルアルコール溶媒のようなアルコール溶媒として一般に特徴付けられる。典型的な例としては、灯油、水素処理灯油、イソパラフィンおよびパラフィン系溶媒、ナフテン系脂肪族炭化水素溶媒、芳香族溶媒、ダイマー類およびより高級のオリゴマー類、またはプロピレン、ブテンおよび同様なオレフィン類、並びにこれらの混合物がある。“ソルベッソ(Solvesso)”、“バーソル(Varsol)”、“ノルパール(Norpar)”および“イソパール(Isopar)”のような市販製品も適し得る。そのような溶媒類は、炭素および水素以外の官能基も、そのような基が上記添加剤組成物の性能に悪影響を与えない限り含有し得る。好ましいのは、イソパラフィンおよびパラフィン系炭化水素溶媒である。溶媒は、好ましくは20℃よりも高い、より好ましくは40℃よりも高い、最も好ましくは55℃よりも高い引火点を有する。
本発明において有用な金属塩を形成するのに適する金属類は、カルシウム、鉄、マグネシウム、ストロンチウム、ナトリウム、チタン、ジルコニウム、マンガン、亜鉛およびセリウムを含む。
過塩基化塩は、塩アニオンに対して化学量論的に過剰の金属種を含有する。この過剰の金属は、酸化物、水酸化物または混合酸性塩を含む1種または組合せ形で存在し得る。格子様多核金属複合体も存在し得る。
【0008】
過塩基化塩においては、過剰の金属は、意図的にまたは意図しないで、塩形成の主反応過程において導入することができ、或いは、主反応過程後に、後処理により導入することも可能である。元素状金属、酸化物および水酸化物が、過塩基化過程における一般的な供給源である。とりわけ鉄系添加剤においては、その混合物は、フェロセンおよびDE 10043144C1に記載されている化合物のような有機金属鉄化合物と混合物した鉄塩であり得る。
本発明の1つの実施態様においては、上記添加剤をディーゼル燃料と直接の添加により或いは他の添加剤との濃縮物の1部として混合し、そのディーゼル燃料を使用し、排気系粒状物トラップを備えたディーゼルエンジンを操作する。上記添加剤を含有するディーゼル燃料を、燃料タンク内に収容し、燃料が燃焼しているディーゼルエンジンに伝送し、上記添加剤により、排気系の粒状物トラップに集めた排気粒子の点火温度を低下させる。もう1つの実施態様においては、上述の操作手順を使用するが、添加剤混合物を、ディーゼルエンジンによって駆動する装置(例えば、自動車、バス、トラック等)のボード上で、ディーゼル燃料から離れた別の燃料添加剤ディスペンサー内に維持する。この添加剤を、ディーゼル燃料タンクの再充填中にディーゼル燃料と混合またはブレンドする。典型的には、添加剤を炭化水素溶媒中の溶液の形で分配する。この後者の実施態様においては、添加剤は、燃料添加剤ディスペンサー内に維持し、ディーゼル燃料と混合する燃料添加剤濃縮物の1部を構成し得る。他の方法は、添加剤混合物を吸気または排気マニホールド中に添加するか或いは添加剤をディーゼル駆動車両のタンクに充填する前の燃料貯蔵器において燃料に添加することを含む。
【0009】
上記金属塩化合物の有機成分は、好ましくは、少なくとも1個のヒドロカルビル基を、例えば、芳香環上の置換基として含有する。本明細書において使用するときの用語“ヒドロカルビル”は、当該基が水素および炭素原子から主としてなり、分子の残余に炭素原子を介して結合していることを意味するが、その基の実質的炭化水素特性を逸脱するには不十分な割合での他の元素または基の存在を除外するものではない。有利には、本発明に従って使用するヒドロカルビル基は、線状または枝分れであり得る脂肪族基、好ましくはアルキルまたはアルキレン基、とりわけアルキル基である。上記有機成分中の総炭素原子数は、少なくとも所望の油溶性または油分散性を与えるに十分であるべきである。
本発明の金属塩において使用するフェノール類は、硫化しなくてもよく、或いは、好ましくは硫化し得る。さらに、本明細書において使用するときの用語“フェノール”は、2個以上のヒドロキシル基(例えば、アルキルカテコール類)または縮合芳香環(例えば、アルキルナフトール類)を含有するフェノール類;化学反応によって変性したフェノール類、例えば、アルキレン橋掛け型フェノールおよびマンニッヒ塩基縮合フェノール類;並びにサリゲニンタイプフェノール類(フェノールとアルデヒドの塩基性条件下での反応により生成させた)を含む。
【0010】
好ましいフェノールは、下記の式から誘導し得る:
【化1】
式中、Rはヒドロカルビル基を示し、yは1〜4を示す。yが1よりも大である場合、そのヒドロカルビル基は、同一または異なるものであり得る。
これらのフェノール類は、しばしば、硫化形で使用される。硫化ヒドロカルビルフェノール類は、下記の式によって典型的に示し得る:
【化2】
式中、xは、一般に1〜4である。ある場合には、2個よりも多いフェノール分子をSxブリッジによって結合させ得る。
上記各式において、Rで示されるヒドロカルビル基は、有利には5〜100個、好ましくは5〜40個、とりわけ9〜12個の炭素原子を有するアルキル基であり、R基全体における平均炭素原子数は、適切な油中での溶解性を確保するために少なくとも9個である。好ましいアルキル基は、ノニル(トリプロピレン)基である。
以下の説明においては、ヒドロカルビル置換フェノール類は、便宜上、アルキルフェノールとして説明する。
硫化フェノールまたはフェナートを調製するのに使用する硫化剤は、アルキルフェノールモノマー基間に −(S)x−ブリッジ基を導入する任意の化合物または元素であり得、xは一般に1〜4である。即ち、反応は、元素状イオウまたはそのハライド、例えば、二塩化イオウ、好ましくは一塩化イオウによって行い得る。元素状イオウを使用する場合には、硫化反応は、アルキルフェノール化合物を50〜250℃、好ましくは少なくとも100℃で加熱することによって実施できる。元素状イオウの使用は、上述したような−(S)x−ブリッジ基の混合物を典型的に与える。ハロゲン化イオウを使用する場合には、硫化反応は、アルキルフェノール化合物を−10〜120℃、好ましくは少なくとも60℃で処理することによって実施できる。反応は、適切な希釈剤の存在下において実施できる。その希釈剤は、有利には、実質的に不活性な有機希釈剤、例えば、鉱油またはアルカンを含む。いずれにしろ、反応は、実質的な反応を行うのに十分な時間で実施する。一般的には、当量の硫化剤当り0.1〜5モルのアルキルフェノール物質を使用するのが好ましい。元素状イオウを硫化剤として使用する場合、塩基性触媒、例えば、水酸化ナトリウムまたは有機アミン、好ましくは複素環アミン(例えば、モルホリン)を使用することが望ましい。
硫化方法の詳細は、当業者にとって周知である。
【0011】
製造する方法にかかわらず、過塩基性金属化合物を調製するのに有用な硫化アルキルフェノール類は、希釈剤および未反応アルキルフェノール類を一般に含み、硫化アルキルフェノールの質量基準で、一般に2〜20質量%、好ましくは4〜14質量%、最も好ましくは6〜12質量%のイオウを含有する。
上述したように、本明細書において使用するときの用語“フェノール”は、例えばアルデヒドとの化学反応によって変性したフェノール類およびマンニッヒ塩基縮合フェノール類も含む。
フェノール類を変性し得るアルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、プロピオンアルデヒドおよびブチルアルデヒドがある。好ましいアルデヒドはホルムアルデヒドである。使用するのに適するアルデヒド変性フェノール類は、例えば、米国特許第5,259,967号に記載されている。
マンニッヒ塩基縮合フェノール類は、フェノール、アルデヒドおよびアミンの反応により調製する。適切なマンニッヒ塩基縮合フェノール類の例は、GB−A−2,121,432号に記載されている。
一般に、フェノール類は、上述した置換基以外の置換基を、そのような置換基がフェノール類の界面活性剤特性を有意に低下させない限り含み得る。そのような置換基の例は、メトキシ基およびハロゲン原子である。
【0012】
本発明のサリチル酸塩において使用するサリチル酸類は、硫化させなくても硫化させてもよく、化学的に変性でき、および/または、例えば、フェノールについて上述したようなさらなるの置換基を含有し得る。上述したのと同様な方法が、ヒドロカルビル置換サリチル酸の硫化においても使用でき、当業者にとって周知である。サリチル酸類は、フェノキシド類のコルベ−シュミット(Kolbe−Schmitt)法によるカルボキシル化によって典型的に調製され、この場合、カルボキシル化されていないフェノールとの混合物で一般に得られる(通常、希釈剤中で)。
本発明に従う過塩基化清浄剤を誘導することのできる油溶性サリチル酸における好ましい置換基は、上記フェノールの説明におけるRによって示される置換基である。アルキル置換サリチル酸類においては、そのアルキル基は、有利には5〜100個、好ましくは9〜30個、とりわけ14〜20個の炭素原子を含有する。
【0013】
本発明の金属スルホン酸塩において使用するスルホン酸は、ヒドロカルビル置換、とりわけアルキル置換芳香族炭化水素類、例えば、蒸留および/または抽出による石油の分別によって或いは芳香族炭化水素のアルキル化によって得られる炭化水素類のスルホン化によって典型的に得られる。例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、ビフェニル、またはこれらのハロゲン誘導体、例えば、クロロベンゼン、クロロトルエンもしくはクロロナフタレンをアルキル化することによって得られる炭化水素類である。芳香族炭化水素類のアルキル化は、触媒の存在下に、例えば、ハロパラフィン類;パラフィン類の脱水素化によって得ることのできるオレフィン類;およびポリオレフィン類、例えば、エチレン、プロピレンおよび/またはブテンのポリマー類のような3〜100個以上の炭素原子を有するアルキル化剤によって実施できる。これらのアルキルアリールスルホン酸類は、7〜100個以上の炭素原子を通常含有する。これらのスルホン酸は、取得するための原料にもよるが、好ましくは、アルキル置換芳香族成分当り16〜80個或いは12〜40個の炭素原子を含有する。
これらのアルキルアリールスルホン酸を中和してスルホン酸塩を調製する場合、炭化水素溶媒および/または希釈剤オイル、並びに促進剤および粘度調節剤も反応混合物中に含ませ得る。
本発明に従って使用できるも1つのタイプのスルホン酸は、アルキルフェノールスルホン酸を含む。そのようなスルホン酸は、硫化させ得る。硫化させても硫化させなくても、これらのスルホン酸類は、フェノール類の界面活性剤特性に匹敵する界面活性剤特性よりはむしろスルホン酸類の界面活性剤特性に匹敵する界面活性剤特性を有するものと信じている。
本発明に従って使用するのに適するスルホン酸類は、アルケニルスルホン酸のようなアルキルスルホン酸も含む。そのような化合物においては、そのアルキル基は、適切には9〜100個、有利には12〜80個、とりわけ16〜60個の炭素原子を含有する。
【0014】
本発明に従って使用し得るカルボン酸は、モノ−およびジカルボン酸類を含む。好ましいモノカルボン酸は、1〜30個、とりわけ8〜24個の炭素原子を含有するモノカルボン酸である。(本明細書がカルボン酸中の炭素原子数を示す場合、カルボキシル基内の炭素原子もその数に含ませる)。モノカルボン酸の例は、イソオクタン酸、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸およびベヘン酸である。他の例は、タル油脂肪酸、大豆酸およびナタネ油から誘導された酸である。イソオクタン酸は、必要に応じて、ExxonMobil Chemical社から商品名“Cekanoic”として市販されているC8酸異性体混合物の形で使用し得る。他の適切な酸は、α−炭素原子での第3級置換を有する酸類およびカルボキシル基を別にして2個よりも多い炭素原子を有するジカルボン酸である。さらに、35個よりも多い、例えば、36〜100個の炭素原子を有するジカルボン酸も適している。不飽和カルボン酸類は硫化させ得る。サリチル酸類はカルボキシル基を含有するけれども、本発明の目的においては、界面活性剤の別の群であるとみなし、カルボン酸界面活性剤とはみなさない。(サリチル酸は、ヒドロキシル基を含有するけれども、フェノール界面活性剤ともみなさない)。
他の酸類は、C36ダイマー酸のような脂肪酸を二量化することによって形成させた酸類、およびC12〜C90、C12〜C40またはC12〜C24無水コハク酸加水分解生成物またはポリアルケニル−無水マレイン酸反応生成物から誘導された酸類である。
好ましいのは、ナフテン(脂環式)群の炭化水素に関連したモノカルボン酸であるナフテン酸類の金属塩である。これらのナフテン酸類は、ナフテン群の炭化水素のモノカルボン酸類として定義される。その一般式は、R(CH2)nCOOHとして示し得、式中、Rは1個以上の環からなる環状成分である。これらの環は。通常5員(シクロペンテン)であり、アルキル化し得る。
【0015】
本発明に従う金属塩添加剤を調製するのに使用できる他の化合物の例としては、次の化合物およびそれらの誘導体がある:ナフテン酸類、とりわけ1個以上のアルキル基を含有するナフテン酸類;ジアルキルホスホン酸類、ジアルキルチオホスホン酸、およびジアルキルジチオホスホン酸類;高分子量(好ましくはエトキシ化)アルコール類;ジチオカルバミド酸類;チオホスフィン類;および分散剤類がある。これらのタイプの界面活性剤は、当業者にとって周知である。ヒドロカルビル置換カルボキシルアルキレン結合フェノールタイプの界面活性剤類、アルキレン基がヒドロキシ基およびさらなるカルボン酸基で置換されているアルキレンジカルボン酸のジヒドロカルビルエステル類、または芳香族成分が少なくとも1個のヒドロカルビル置換フェノールと少なくとも1個のカルボキシフェノールを含むアルキレン結合ポリ芳香族分子も、本発明における使用に適している;そのような界面活性剤類は、EP−A−708,171号に記載されている。
【0016】
本明細書において使用するとき、用語“ヒドロカルビル”は、分子の残余に直接結合した炭素原子を有し且つ炭化水素または主として炭化水素特性を有する基を称する。例としては、脂肪族基(例えば、アルキルまたはアルケニル)、脂環式基(例えば、シクロアルキルまたはシクロアルケニル)、芳香族基、および脂環式置換芳香族基、並びに芳香族置換の脂肪族基および脂環式基のような炭化水素基がある。脂肪族基は有利には飽和型である。これらの基は、非炭化水素置換基を含有し得るが、それらの基がヒドロカルビル基の主たる炭化水素特性を変化させないことを条件とする。例としては、ケト、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、アルコキシおよびアシルがある。ヒドロカルビル基を置換する場合、1個(モノ)の置換基が好ましい。
好ましいのは、下記の式の酸化合物から誘導された金属塩類である:
【化3】
(式中、R1、R2、R3およびR4は、水素または1〜30個の炭素原子(C1〜C30)を有するヒドロカルビルであるが、R1、R2、R3またはR4の少なくとも2個はC1〜C30ヒドロカルビルであり;R5は、1〜120個の炭素原子を有するヒドロカルビルであり;mおよびnは、各々、零または上記カルボキシレート中の総炭素原子数が125を越えないような整数であり得る)。
上記の式は、鎖長中に少なくとも1〜30個の炭素原子を有する側鎖を少なくとも2個有するカルボン酸を表すことを意図しており、好ましくは、R1とR2の双方は、上記カルボキシレートがネオカルボキシレートである、即ち、4個の他の炭素原子に結合したカルボニル炭素に対してアルファである炭素原子を有するようなヒドロカルビルであり、ネオカルボン酸鉄類が好ましい。用語ヒドロカルビルは、主として炭素と水素からなり、必要に応じて酸素または窒素で置換された芳香族または脂肪族基、好ましくは、脂肪族、とりわけ直鎖または枝分れ鎖のアルキルまたは置換アルキル(置換基が窒素または酸素である)に当てはまることを意図している。最も好ましくは、上記カルボキシレートはネオデカン酸塩であり、金属は好ましくは鉄である。
【0017】
R5成分の適切な例は、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、ブタジエン、イソプレン、1−ヘキセン、1−オクテン等のような2〜10個の炭素原子を有するモノ−およびジ−オレフィン類のホモ−またはインターポリマー(例えば、コポリマー、ターポリマー)から形成されたヒドロカルビル基である。典型的には、これらのオレフィン類は1−モノオレフィン類である。このヒドロカルビルは、そのようなホモ−またはインターポリマー類のハロゲン化(例えば、塩素化または臭素化)アナログ類から或いはポリエーテル類からも誘導し得る。
上記ヒドロカルビルは、主として飽和型である。上記ヒドロカルビルは、本質的に主として脂肪族、即ち、6個以下の炭素原子を有する非脂肪族成分(シクロアルキル、シクロアルケニルまたは芳香族)基を置換基中の10個の炭素原子毎に1個しか含有しない。しかしながら、通常、上記ヒドロカルビルは、50個の炭素原子毎にそのような非脂肪族基を1個しか含有せず、多くの場合、置換基はそのような非脂肪族基を全く含有しない;即ち、典型的な置換基は、純粋に脂肪族である。典型的には、これらの純粋脂肪族ヒドロカルビルは、アルキルまたはアルケニル基である。
R5成分の好ましい源は、35〜75質量%のブテン分と30〜60質量%のイソブテン分を含むC4製油所流の三塩化アルミニウムまたは三フッ化ホウ素のようなルイス酸触媒の存在下での重合によって得られるポリ(イソブテン)類である。これらのポリブテン類は、形状 −C(CH3)2CH2−のモノマー繰返し単位を主として含有する。
【0018】
ディーゼルタイプ圧縮点火エンジンにおいて使用するのに適する沸点範囲および粘度を有する任意の燃料を本発明において使用できる。
そのような燃料油としては、原油精製において軽質(灯油またはジェット燃料)留分から重燃料油留分までの留分として得ることのできる石油系燃料油を称する“中留出物”燃料油がある。これらの燃料油は、大気圧または真空留出物、分解ガス油、または直留および熱および/または接触分解留出物の任意の割合の混合物も含み得る。例としては、灯油、ジェット燃料、ディーゼル燃料、加熱用オイル、ビスブレーキングガス油、軽質循環油、真空ガス油および水素化分解流がある。そのような中留出物燃料油は、ASTM D86に従って測定したとき、通常、一般に100℃〜500℃の範囲、とりわけ150℃〜400℃の温度範囲で沸騰する。ディーゼル燃料は、ASTM D 2622−87によって測定したとき、好ましくは0.1質量%未満のイオウ、より好ましくは0.05質量%未満或いは0.005質量%未満または0.001質量%未満のイオウを含む。
好ましい植物系燃料油は、モノカルボン酸類、例えば、10〜25個の炭素原子を含有する酸類のトリグリセリドであり、下記に示す一般式を典型的に有する:
【化4】
(式中、Rは、飽和または不飽和であり得る10〜25個の炭素原子を有する脂肪族基である)。
一般に、そのようなオイルは、多数の酸のグリセリドを含有し、その数およびタイプはそのオイルの植物源によって変化する。
また、適切な燃料油としては、1〜50質量%、1〜25質量%または1〜5質量%の植物油類またはタル油脂肪酸のような脂肪酸のメチルエステルの石油系ディーゼル燃料油との混合物もある。また、適切な界面活性剤と海上ディーゼルエンジンにおいて使用した残留燃料油を含有する水とアルコール類でエマルジョン化した燃料も適している。
油類の例は、タル油、ナタネ油、コリアンダー油、大豆油、大豆油、コーン油、綿実油、ひまわり油、ひまし油、オリーブ油、ピーナツ油、トウモロコシ油、アーモンド油、パーム核油、ココナツ油、カラシ実油、牛脂および魚油である。ナタネ油は、グリセリンと部分的にエステル化した脂肪酸の混合物であり、大量に入手でき押圧による簡単な方法で菜種から取得できるので、好ましい。
【0019】
植物系燃料油のさらなる好ましい例は、植物または動物油の脂肪酸のメチルエステルのようなアルキルエステル類である。そのようなエステル類は、エステル交換によって製造することができる。
脂肪酸の低級アルキルエステル類としては、例えば、商業的混合物として次のものが考えられる:12〜22個の炭素原子を有する脂肪酸、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトオレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、ペトロセリン酸(petroselic acid)、リシノール酸、エレオステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコサン酸、ガドレイン酸、ドコサン酸またはエルカ酸(これらは、50〜150、とりわけ90〜125のヨウ素価を有する)のエチル−、プロピル−、ブチル−、とりわけメチルエステル類。特に有益な特性を有する混合物は、主として、即ち、少なくとも50質量%までの、16〜22個の炭素原子と1個、2個または3個の二重結合を有する脂肪酸のメチルエステルを含有する混合物である。好ましい脂肪酸の低級アルキルエステルは、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸およびエルカ酸のメチルエステルである。
上述した種類の商業的混合物は、例えば、天然油脂類の低級脂肪族アルコール類とのエステル交換による開裂およびエステル化によって得られている。脂肪酸の低級アルキルエステル類の製造においては、例えば、ひまわり油、ナタネ油、コリアンダー油、ひまし油、大豆油、綿実油、ピーナツ油、コーン油または牛脂のような高ヨウ素価を有する油脂類から出発するのが有利である。脂肪酸成分が18個の炭素原子を有する不飽和脂肪酸から80質量%以上誘導される新たな種類のナタネ油をベースとする脂肪酸の低級アルキルエステルが好ましい。
植物系燃料油として最も好ましいのは、ナタネメチルエステルである。
【0020】
本発明のディーゼル燃料組成物は、当業者にとって周知の他の添加剤類を含有し得る。これらの添加剤としては、染料、セタン改良剤、アルキル化コハク酸および無水コハク酸のような錆抑制剤、静菌剤、ガム抑制剤、金属不活化剤、解乳化剤、上部シリンダー潤滑剤、氷結防止剤、酸化防止剤、およびポリアルキレンアミン類およびポリアルケニルスクシンイミド類のような窒素含有無灰分清浄剤がある。
また、本発明の金属添加剤を、低イオウ燃料において現在一般的に使用されている各種潤滑添加剤と組合せて使用してもよい。そのような潤滑添加剤としては、グリセリンモノオレートのようなC2〜C50カルボン酸の1価または多価アルコールのエステル類、多塩基酸のC1〜C5の1価アルコール類とのエステル類、二量化カルボン酸のエステル類、ポリカルボン酸類と1,2−エポキシエタンおよび1,2−エポキシプロパンのようなエポキシド類との反応生成物、および植物油脂肪酸メチルエステル類のような脂肪酸から誘導された潤滑添加剤がある。
さらなる例は、上述のC2〜C50カルボン酸のエステル類を、アシル化剤をアミノ化合物と反応させることによって調製した少なくとも10個の炭素原子を含むヒドロカルビル置換基を有するアシル化窒素化合物(ポリイソブテニル(C80〜C500)無水コハク酸と3〜7個のアミノ窒素原子を有するエチレンポリアミン類との反応生成物のような)を含む無灰分清浄剤と混合して調製した潤滑添加剤である。
【0021】
他の潤滑添加剤は、上述のエステル類と、エチレンから誘導された単位以外に下記の式の単位を有するエチレン不飽和エステルコポリマーとの組合せである:
−CR1R2−CHR3−
(式中、R1は水素またはメチルを示し;R2はCOOR4を示し、R4は直鎖または枝分れ(R4が2個以上の炭素原子を含有する場合)の1〜9個の炭素原子を有するアルキル基を示し、或いはR2はOOCR5を示し、R5はR4またはHを示し;R3はHまたはCOOR4を示す)。
例としては、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−プロピオン酸ビニルコポリマーおよび5〜40%のビニルエステルが存在する他のコポリマーがある。
上述のエステル類の代替物として、或いは上述のエステル類と併用するものとして、潤滑添加剤は、上記エステル潤滑添加剤または植物系燃料油に関して開示したタイプの1種以上のカルボン酸類を含む。そのような酸は、飽和または不飽和の直鎖または枝分れモノ−またはポリカルボン酸であり得、式R1(COOH)x (xは1〜4であり、R1はC2〜C50ヒドロカルビルである)によって包括され得る。例としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミルスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、エライジン酸、パルミトオレイン酸、ペタオセリン(petaoselic)酸、リシノール酸、リノール酸、リノレン酸、エイコサン酸、タル油脂肪酸および脱水素ひまし油脂肪酸がある。ポリカルボン酸は、リノール酸またはオレイン酸のような不飽和脂肪酸の二量化によって生成させたダイマーのようなダイマー酸であり得る。
【0022】
他の潤滑添加剤は、下記の式のヒドロキシアミン類である:
【化5】
(式中、R1は、1個以上の二重結合またはアルキル基を有し且つ4〜50個の炭素原子を含有するアルケニル基、または下記の式:
【化6】
の基を示し;R2、R3、R4、R5、R6およびR7の各々は、個々に、水素または低級アルキル基を示し;R8は、1個以上の二重結合またはアルキル基を有し且つ4〜50個の炭素原子を含有するアルケニル基を示し;R9は、2〜35個、例えば、2〜6個の炭素原子を含有するアルキレン基を示し;p、qおよびvの各々は、1〜4の整数であり;a、bおよびcの各々は、0であり得るが、a、bまたはcの少なくとも1つは1〜75の整数である)。
また、本発明の添加剤を、シロキサンブロックコポリマーのようなシリコン含有発泡防止剤または硝酸2−エチルヘキシルのようなセタン改良剤のようなディーゼル性能添加剤と組合せて使用してもよい:
本発明の添加剤は、下記のような寒冷流動添加剤と組合せても使用できる:
線状ジエンの末端−末端重合によって得ることのできる少なくとも1つの結晶化性ブロックと、少なくとも1つの非結晶化性ブロック(この非結晶化性ブロックは、線状ジエンの1,2−配置重合、枝分れジエンの重合またはそのような重合の混合によって得ることができる)を含む油溶性水素化ブロックジエンポリマー;または、下記の(A)〜(F)に示す他の寒冷流動改良剤。
【0023】
(A) エチレン不飽和エステルコポリマー、とりわけ、エチレンから誘導された単位以外に下記の式の単位を有するコポリマー:
−CR3R4−CHR5−
(式中、R3は水素またはメチルを示し;R4はCOOR6を示し、R6は直鎖または枝分れ(R6が3個以上の炭素原子を含有する場合)の1〜9個の炭素原子を有するアルキル基を示し、或いはR4はOOCR7を示し、R7はR6またはHを示し;R5はHまたはCOOR6を示す)。
これらのコポリマーは、エチレンとエチレン系不飽和エステルのコポリマー、またはその誘導体を含み得る。1つの例は、エチレンと、飽和アルコールと不飽和カルボン酸のエステルとのコポリマーであるが、好ましくは、そのエステルは、不飽和アルコールと飽和カルボン酸とのエステルである。エチレン−ビニルエステルコポリマーが有益である;エチレン−酢酸ビニル、エチレン−プロピオン酸ビニル、エチレン−ヘキサン酸ビニルまたはエチレン−オクタン酸ビニルのコポリマーが好ましい。
米国特許第3,961,916号に開示されているように、流動改良剤組成物は、ワックス生長抑制剤と核形成剤を含み得る。理論によって拘束することは望まないが、本出願人等は、本発明の添加剤組成物の成分(i)が主として核形成剤として作用し、抑制剤の存在による利益を得るものと信じている。この核形成剤は、例えば、上述したようなエチレン−不飽和エステル、とりわけ、最大14000、有利には最大10000、好ましくは2000〜6000、より好ましくは2000〜5500の分子量(ポリスチレン標準に対してのゲル透過クロマトグラフィーにより測定したMn)および7.5〜35モル%、好ましくは10〜20モル%、より好ましくは10〜17モル%のエステル含有量を有するEVACであり得る。
本発明の範囲には、さらなる核形成剤、例えば、1200〜20000範囲の数平均分子量および0.3〜10モル%、有利には3.5〜7.0モル%のビニルエステル含有量を有するエチレン−不飽和エステル(とりわけ酢酸ビニル)コポリマーも含まれる。
【0024】
(B) コームポリマー
そのようなポリマーは、ヒドロカルビル基を含有する分岐がポリマー主鎖からペンダントしているポリマー類であり、”Comb−Like Polymers. Structure and Properties”, N.A. Plate and V.P. Shibaev, J. Poly. Sci. Macromolecular Revs., 8, p 117 to 253 (1974)に説明されている。一般に、コームポリマーは、ポリマー主鎖からペンダントした1つ以上の長鎖ヒドロカルビル分岐、例えば、10〜30個の炭素原子を通常有するオキシヒドロカルビル分岐を有し、これらの分岐はポリマー主鎖に直接または間接的に結合している。間接結合の例は挿入原子または基を介しての結合であり、その結合は、共有結合および/または塩におけるようなイオン価結合を含み得る。
上記コームポリマーは、少なくとも6個、好ましくは少なくとも10個の原子を含有する側鎖を有する単位を、有利には少なくとも25モル%、好ましくは40モル%、より好ましくは少なくとも50モル%含むホモポリマーまたはコポリマーである。
【0025】
好ましいコームポリマーの例としては、下記の一般式のポリマーを挙げることができる:
【化7】
(式中、D = R11、COO R11、OCOR11、R12COO R11、またはO R11;
E = H、CH3、D、またはR12;
G = HまたはD;
J = H、R12、R12COO R11、またはアリールもしくは複素環基;
K = H、COO R12、OCO R12、OR12、またはCOOH;
L = H、R12、COO R12、OCOR12、COOH、またはアリール;
R11 ≧ C10ヒドロカルビル;
R12 ≧ C1ヒドロカルビルまたはヒドロカルビレン;
であり;mおよびnはモル画分を示し、mは有限であり好ましくは1.0〜0.4の範囲内であり、nは1未満好ましくは0〜0.6の範囲内である)。
R11は、有利には、10〜30個の炭素原子を有するヒドロカルビル基を示し、また、R12は、有利には、1〜30個の炭素原子を有するヒドロカルビルまたはヒドロカルビレン基を示す。
上記コームポリマーは、所望または必要に応じて、他のモノマーから誘導された単位を含有し得る。
これらのコームポリマー類は、無水マレイン酸、フマル酸またはイタコン酸と、他のエチレン系不飽和モノマー(例えば、スチレンのようなα−オレフィン)または不飽和エステル(例えば、酢酸ビニル)とのコポリマー;またはフマル酸またはイタコン酸のホモポリマーであり得る。本質的ではないが、等モル量のコモノマーを使用するのが好ましいが、2対1および1対2範囲のモル割合が適している。例えば無水マレイン酸と共重合させ得るオレフィン類の例としては、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセンおよび1−オクタデセンがある。
【0026】
上記コームポリマーの酸または無水物基は任意の適切な方法でエステル化し得、無水マレイン酸またはフマル酸を少なくとも50%エステル化することは好ましいが、本質的ではない。使用できるアルコール類の例としては、n−デカン−1−オール、n−ドデカン−1−オール、n−テトラデカン−1−オール、n−ヘキサデカン−1−オール、およびn−オクタデカン−1−オールがある。アルコール類は、鎖当り1個までのメチル分岐も含み得、例えば、1−メチルペンタデカン−1−オールまたは2−メチルトリデカン−1−オールがある。アルコールは、直鎖アルコールと1個のメチル枝分れアルコールの混合物であり得る。
商業的に入手可能なアルコール混合物よりはむしろ純粋アルコールを使用するのが好ましいが、混合物を使用する場合、上記のR12はアルキル基中の平均炭素原子数を示す;1または2位置に分岐を含有するアルコール類を使用する場合には、R12はアルコールの直鎖の主鎖セグメントを示す。
これらのコームポリマー類は、とりわけ、フマレートまたはイタコネートポリマー、および、例えば、EP−A−153176号、EP−A−153177号、EP−A−225688号、およびWO 91/16407号に記載されているようなコポリマーであり得る。
【0027】
とりわけ好ましいフマレートコームポリマーは、例えば、フマル酸と酢酸ビニルの等モル混合物を溶液共重合させ、得られるコポリマーを好ましくは直鎖アルコールであるアルコールまたはアルコール混合物と反応させることによって調製したアルキル基が12〜20個の炭素原子を有するアルキルフマレートと酢酸ビニルのコポリマー、とりわけアルキル基が14個の炭素原子を有する或いはアルキル基がC14/C16アルキル基の混合物であるポリマーである。混合物を使用する場合、その混合物は、有利には、直鎖のC14とC16アルコールの質量で1:1の混合物である。さらにまた、C14エステルと混合C14/C16エステルとの混合物も有利に使用できる。そのような混合物においては、C14対C14/C16の比は、質量で、有利には1:1〜4:1、好ましくは2:1〜7:2、最も好ましくは約3:1の範囲である。とりわけ好ましいコームポリマーは、蒸気相浸透圧法で測定したとき、1,000〜100,000、とりわけ1,000〜30,000の数平均分子量を有するポリマーである。
他の適切なコームポリマー類は、α−オレフィン類のポリマーおよびコポリマー類、スチレンと無水マレイン酸のエステル化コポリマー、およびスチレンとフマル酸のエステル化コポリマーである;2種以上のコームポリマーの混合物も本発明に従って使用でき、上述したように、そのような使用は有利であり得る。コームポリマー類の他の例は、炭化水素ポリマー類、例えば、エチレンと少なくとも1種のα−オレフィン(α−オレフィンは、好ましくは、最大20個の炭素原子を有し、例えば、n−デセン−1およびn−ドデセン−1である)とのコポリマー類である。好ましくは、そのようなコポリマーの数平均分子量は、GPCにより測定して、少なくとも30,000である。これらの炭化水素コポリマー類は、当該技術における公知の方法によって、例えば、チーグラータイプの触媒を使用して調製することができる。
【0028】
(C) 極性窒素化合物
そのような化合物は、式 >NR13を有する置換基を1個以上、好ましくは2個以上担持する油溶性極性窒素化合物であり、式中、R13は8〜40個の原子を含有するヒドロカルビル基を示し、その置換基または1個以上の置換基はそれから誘導されたカチオンの形であり得る。この油溶性極性窒素化合物は、概して、燃料中で、ワックス結晶生長抑制剤として作用し得る化合物である。この化合物は、例えば、1種以上の下記の化合物を含む:
少なくとも1モル割合のヒドロカルビル置換アミンを1モル割合の1〜4個のカルボン酸基を有するヒドロカルビル酸またはその無水物と反応させることによって調製したアミン塩および/またはアミド;式 >N R13の置換基は式 −NR13R14であり、R13は上記で定義したとおりであり、R14は水素またはR13を示すが、R13およびR14は同一または異なるものであり得、これらの置換基は上記化合物のアミン塩および/またはアミド基の1部を構成する。
30〜300個、好ましくは50〜150個の総炭素原子数を有するエステル/アミド類も使用し得る。これらの窒素化合物は、米国特許第4,211,534号に記載されている。適切なアミン類は、主として、C12〜C40の第1級、第2級、第3級もしくは第4級アミン類またはこれらの混合物であるが、より短鎖のアミン類も、得られる窒素化合物が油溶性であり、通常、約30〜300個の総炭素原子数を有する限り、使用できる。窒素化合物は、好ましくは、少なくとも1つの直鎖のC8〜C40、好ましくはC14〜C24アルキルセグメントを含有する。
【0029】
適切なアミン類としては、第1級、第2級、第3級または第4級アミンがあるが、好ましくは第2級アミンである。第3級および第4級アミンのみがアミン塩を形成する。アミン類の例としては、テトラデシルアミン、ココアミンおよび水素化牛脂アミンがある。第2級アミンの例としては、ジオクタセジル(dioctacedyl)アミンおよびメチルベヘニルアミンがある。天然物質から誘導されたアミン類のようなアミン混合物も適している。好ましいアミンは第2級水素化牛脂アミンであり、そのアルキル基は、約4%のC14、31%のC16および59%のC18からなる水素化牛脂から誘導されている。
上記窒素化合物を調製するのに適するカルボン酸類およびその無水物の例としては、エチレンジアミンテトラ酢酸、並びに環状骨格系のカルボン酸類、例えば、シクロへキサン−1,2−ジカルボン酸、シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、シクロペンタン−1,2−ジカルボン酸およびナフタレンジカルボン酸、並びにジアルキルスピロビスラクトンのような1,4−ジカルボン酸類がある。一般に、これらの酸は、環状成分内に約5〜13個の炭素原子を有する。本発明において有用な好ましい酸類は、ベンゼンジカルボン酸類、例えば、フタル酸、イソフタル酸およびテレフタル酸である。フタル酸およびその無水物がとりわけ好ましい。とりわけ好ましい化合物は、1モル部の無水フタル酸を2モル部のジ水素化牛脂アミンと反応させることによって調製したアミド−アミン塩である。もう1つの好ましい化合物は、このアミド−アミン塩を脱水素させて調製したジアミドである。
他の例は、置換コハク酸のモノアミドのアミン塩のような長鎖アルキルまたはアルキレン置換ジカルボン酸誘導体であり、これらの例は、当該技術において公知であり、例えば、米国特許第4,147,520号に記載されている。適切なアミン類は、上述したアミン類であり得る。
他の例は、縮合物、例えば、EP−A−327427号に記載されている縮合物である。
【0030】
(D) 環状系上に下記の一般式の置換基を少なくとも2個担持する環状系を含有する化合物:
−A−NR15R16
上記式中、Aは、必要に応じて1個以上のヘテロ原子によって遮断された線状または枝分れ鎖脂肪族ヒドロカルビレン基であり;R15およびR16は、同一または異なるものであり、各々個々に、必要に応じて1個以上のヘテロ原子によって遮断された9〜40個の原子を含有するヒドロカルビル基であり、各置換基は同一または異なるものであり、その化合物は必要に応じてその塩の形にある。有利には、Aは、1〜20個の炭素原子を有し、好ましくはメチレンまたはポリメチレン基である。そのような化合物は、WO 93/04148号に記載されている。
【0031】
(E) 炭化水素ポリマー
適切な炭化水素ポリマー類の例は、下記の一般式のポリマー類である:
【化8】
(式中、T = HまたはR21であり、R21 = C1〜C40ヒドロカルビルであり、U = H、Tまたはアリールであり、vおよびwはモル画分を示し、vは1.0〜0.0の範囲にあり、wは0.0〜1.0の範囲にある)。
炭化水素ポリマー類の例は、WO 91/11488号に記載されている。
好ましいコポリマーは、少なくとも30,000の数平均分子量を有するエチレンα−オレフィンコポリマーである。好ましくは、α−オレフィンは、最大で28個の炭素原子を有する。そのようなオレフィン類の例は、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、n−オクテン−1、イソオクテン−1、n−デセン−1、およびn−ドデセン−1である。また、コポリマーは、少量の、例えば、10質量%までの他の共重合性モノマー、例えば、α−オレフィン以外のオレフィン類および非共役ジエン類も含み得る。好ましいコポリマーは、エチレン−プロピレンコポリマーである。
エチレン α−オレフィンコポリマーの数平均分子量は、上述したように、ポリスチレン標準に対してゲル透過クロマトグラフィー(GPL)で測定したとき、少なくとも30,000、有利には少なくとも60,000、好ましくは少なくとも80,000である。機能的には上限がないが、混合の困難性が約150,000以上の分子量における粘度増大から生ずる。好ましい分子量範囲は、60,000および80,000から120,000までの範囲である。
【0032】
有利には、上記コポリマーは、50〜85%のモルエチレン含有量を有する。より有利には、エチレン含有量は57〜80%の範囲にあり、エチレン含有量は、好ましくは58〜73%、より好ましくは62〜71%、最も好ましくは65〜70%の範囲にある。好ましいエチレン−α−オレフィンコポリマーは、62〜71モル%のエチレン含有量と60,000〜120,000範囲の数平均分子量を有するエチレンプロピレンコポリマーである;とりわけ好ましいコポリマーは、62〜71%のエチレン含有量と80,000〜100,000の分子量を有するエチレン−プロピレンコポリマーである。
これらのコポリマーは、当該技術における公知の任意の方法により、例えば、チーグラータイプの触媒を使用して調製することができる。これらのポリマー類は、高結晶性ポリマーが低温で燃料油中に比較的不溶性であるので、実質的に非晶質であるべきである。
他の適切な炭化水素ポリマー類としては、蒸気相浸透圧法で測定したとき、最大7500、有利には1,000〜6,000、好ましくは2,000〜5,000の数平均分子量を有する低分子量エチレン−α−オレフィンコポリマーがある。適切なα−オレフィンは、上述したようなものまたはスチレンであるが、ここでも、プロピレンが好ましい。有利には、そのエチレン含有量は60〜77モル%であるが、エチレン−プロピレンコポリマーにおいては、86モル%までのエチレンも有利に使用できる。
【0033】
(F) ポリアルキレン化合物
その例は、ポリオキシアルキレンエステル類、エーテル類、エステル/エーテル類およびこれらの混合物、とりわけ、少なくとも1個、好ましくは少なくとも2個のC10〜C30線状アルキル基と5,000まで、好ましくは200〜5,000の分子量を有するポリオキシアルキレングリコール基と含み、このポリオキシアルキレングリコール中のアルキル基は1〜4個の炭素原子を含有する化合物である。これらの物質は、EP−A−0061895号の要旨を構成している。他のそのような添加剤は、米国特許第4,491,455号に記載されている。
好ましいエステル類、エーテル類またはエステル/エーテル類は、下記の一般式を有するものである:
R31−O(D)−O−R32
上記式中、R31およびR32は、同一または異なるものであり得、(a) n−アルキル−、(b) n−アルキル−CO−、(c) n−アルキル−O−CO(CH2)x−、または(d) n−アルキル−O−CO(CH2)x−CO−を示し;xは、例えば、1〜30であり;上記アルキル基は、線状であって、10〜30個の炭素原子を含有し;Dは、実質的に線状であるポリオキシメチレン、ポリオキシエチレンまたはポリオキシトリメチレン成分のようなアルキレン基が1〜4個の炭素原子を有する上記グリコールのポリアルキレンセグメントを示し、ある程度の低級アルキル側鎖による分岐(ポリオキシプロピレングリコールにおけるように)が存在し得るが、当該グリコールは実質的に線状であることが好ましい。Dは、窒素も含有し得る。
【0034】
適切なグリコール類の例は、100〜5,000、好ましくは200〜2,000の分子量を有する実質的に線状のポリエチレングリコール(PEG)およびポリプロピレングリコール(PPG)である。エステル類も好ましく、10〜30個の炭素原子を含有する脂肪酸が上記グリコール類と反応させてエステル添加剤を調製するのに有用である。C18〜C24脂肪酸、とりわけベヘン酸を使用するのが好ましい。これらのエステル類は、ポリエトキシ化脂肪酸またはポリエトキシ化アルコールをエステル化することによっても調製できる。
ポリオキシアルキレンジエステル類、ジエーテル類、エーテル/エステル類およびこれらの混合物は添加剤として適しており、ジエステル類は、少量のモノエーテル類およびモノエステル類(これらは、製造工程中にしばしば形成される)も存在するときに、狭い沸騰範囲の留出物において使用するのが好ましい。好ましいのは、多量のジアルキル化合物を存在させることである。とりわけ、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリエチレン/ポリプロピレングリコール混合物のステアリン酸またはベヘン酸ジエステルは、好ましい。
ポリオキシアルキレン化合物の他の例は、日本特許公報第2−51477号および第3−34790号に記載されている化合物、並びにEP−A−117108号およびEP−A−326356号に記載されているエステル化アルコキシ化アミン類である。
【0035】
実施例
C18牛脂酸の過塩基化第2鉄塩を、空気流を使用して間接的に付着物を測定するXUD9エンジン試験において評価し、その結果を、0.1 mmの注入針一定揚程における空気流損失のパーセントとして表した。報告値が高いほど、付着物レベルは悪い。また、ネオデカン酸の中性鉄塩も試験した。両塩を標準ディーゼル燃料およびポリイソブテニルスクシンイミド燃料清浄剤を含有する同じ燃料中で試験した。結果を下記の表に示す。
表
【技術分野】
本発明は、新規な燃料添加剤組成物に関する。さらに詳細には、本発明は、ディーゼル燃料の燃焼からの放出物の性質を改善するのに高度に有効であると判明した金属塩添加剤組成物に関する。これらの添加剤は、数ある中でディーゼルエンジンの排気系において使用する粒状物トラップ類の性能を改善するのにとりわけ有効である。
【0002】
【背景技術】
排気流中に取付けられて排気中の粒状物を“捕捉”即ち捕集してこれら粒状物の大気への放出を防止するための粒状物トラップを備えたディーゼルエンジンは、次の数年内に、より多くの使用が期待されている。
粒状物トラップ無しで作動するディーゼルエンジンは、未燃焼炭化水素(HC)類、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)類および粒状物を放出し、これらの放出物は、すべて現行のまたは提案された規制を受ける。これら汚染物の制御問題は、粒状物と窒素酸化物類間でのかね合いが存在するので、複雑である:低窒素酸化物放出を得るように燃焼条件を改変させると、粒状物は増大する。粒状物トラップは、粒状物放出の度合を軽減するために使用する。
現在、ディーゼルトラップと窒素酸化物類を使用する装置とのような組合せ技術は、現実に即した空気清浄目的を満たすことが求められているようである。この粒状物低減方式は、タイミング変更および排気ガス再循環のようなNOx低減において利用できる技術が粒状物とのかね合いを求めているので、必要であろう。NOx、未燃焼炭化水素および一酸化炭素の低放出を合理的な時間に亘って粒状物を制御しながら達成させるということは、技術的挑戦を提供し続けている。
【0003】
ディーゼル粒状物、その作用および制御は、相当な懸念ごとおよび論争の集中点である。その化学的、環境的インパクトは、複雑な問題を提供している。一般に、ディーゼル粒状物質は、主として、吸着された炭化水素、硫酸塩および水性種を含む炭素および金属化合物の固形粒子である。吸着種の中には、アルデヒド類および多環式芳香族炭化水素類が存在する。これら有機物の幾つかは、潜在的な発癌物質または変異誘発物質であることが報告されている。未燃焼炭化水素類は、特徴的なディーゼル臭に関連しており、ホルムアルデヒドおよびアクロレインのようなアルデヒド類を含む。ナノ粒子制御の必要性は、トラップ使用の要求に至っているようである。
残念なことに、トラップの設計またはサイズを改変することによって単純に粒状物の回収を増大させた場合、トラップ内の逆圧蓄積速度が増大し、燃料消費量の増大および貧弱な操縦性をもたらす。さらにまた、各種汚染物の制御は、1つの汚染物を低減させることが時には他の汚染物レベルを増大させることに相関しているようである。燃焼率を向上させ、より完全な酸化を達成することによって、不完全燃焼に由来する汚染物の低減は達成できるが、NOxはこれらの条件下では典型的に増大する。
ディーゼルトラップ(触媒型または非触媒型であれ)が、とりわけNOxを制御するための努力がなされている場合の粒状物制御のために必要であることは明白である。
【0004】
ディーゼルトラップ類の使用およびこれらトラップ改良の必要性は、多大な研究、並びに多数の特許および技術刊行物をもたらしている。トラップ類は、金属またはセラミックから典型的に構築され、排気からの粒状物を捕集し且つ炭素質付着物(一定の間隔で焼払わなければならない)の酸化によって生ずる熱に耐え得るものである。
この焼払い、即ち、再生は、トラップの操作温度が十分に高い場合には、それ自体で生じ得る。しかしながら、典型的な状況においては、排気温度は十分に一定して高くなく、トラップ温度を電気的に加熱する或いはその洗浄コート(washcoat)上で触媒を使用して粒状物の燃焼温度を下げるような二次的手段も完全には成功していない。
ディーゼルエンジン粒状物トラップの操作を改善するための有機金属塩および複合体の使用は、例えば、1994年9月6日発行の米国特許第5,344,467号に開示されており、この米国特許は、有機金属複合体と酸化防止剤の併用を教示している。この有機金属複合体は、ディーゼル燃料に可溶性または分散性であり、炭化水素鎖に結合させた少なくとも2個の官能基を含有する有機化合物から誘導されている。
【0005】
1999年7月22日に公開されたWO99/36488号は、少なくとも1種の鉄を含有する燃料可溶性または燃料分散性種を少なくとも1種のアルカリ土類金属含有燃料可溶性または燃料分散性種との相乗的組合せにおいて含有する燃料添加剤組成物を開示している。この金属添加剤の組合せは、ディーゼル粒状物フィルタートラップの操作を改善すると説明している。
また、本発明の要旨は、1990年8月7日に発行された米国特許第4,946,609号に関連しており、この米国特許は、ディーゼルエンジンにおいて使用する潤滑油用の添加剤としてのフェロセン、フェロセン誘導体および有機酸の鉄塩のような鉄化合物の使用を開示している。潤滑油中の鉄化合物の存在がディーゼル粒子フィルターの再生を容易にすると教示している。
1994年5月26日に公開されたWO94/11467号は、トラップからの未燃焼炭化水素類および一酸化炭素の放出を低減させるのに十分な量の白金族金属の燃料−可溶性組成物を含む燃料添加剤の使用によるディーゼルトラップ操作の改良方法を開示している。白金族金属は、白金、パラジウム、ロジウムまたはイリジウムを含む。
【0006】
【発明の開示】
本発明は、有意量の過塩基化金属含有量を有するある種の過塩基化油溶性金属塩添加剤組成物がディーゼルエンジン粒状物トラップの操作(operation)を改善するのに燃料中で安定な添加剤系であり有効であるという発見に基づく。
本発明によれば、ディーゼル燃料に添加して燃料中に質量で2〜10 ppmまたは5〜10 ppmのような1〜25 ppmの金属を与えるようにしたときにディーゼルエンジン粒状物トラップの操作を改善するのに有効な燃料添加剤過塩基化金属塩組成物が論じられ、この組成物は、酸性有機化合物の油溶性または油分散性金属塩を少なくとも1種含み、上記塩組成物が上記塩のアニオン成分を中和するのに必要とする金属よりも化学量論的に過剰の5〜85質量%、好ましくは5〜25質量%、5〜50質量%または20〜50質量%の金属を含有し、金属がCa、Fe、Mg、Sr、Na、Ti、Zr、Mn、ZnおよびCeからなる群から選ばれることを特徴とする。セリウムおよび鉄が好ましい。
本発明の金属塩組成物からの1〜25 ppmの金属を含有する改良されたディーゼル燃料油は、本発明のさらなる実施態様を構成する。適切な燃料油を以下に説明する。
さらなる実施態様は、ディーゼルエンジンに本発明の添加剤組成物を含有するディーゼル燃料組成物を供給することによるディーゼルエンジン粒状物トラップ操作の改良方法を含む。
適切な溶媒中の本発明の添加剤組成物の安定な溶液または分散液も、本発明のさらなる実施態様を構成する。そのような添加剤濃縮物は、20〜80%の活性物質を含有するであろう。活性物質は、燃料中に1〜25 ppmの金属を与えるような量で溶媒中に存在する。そのような溶液または分散液は、広い温度範囲に亘って安定なままである。
【0007】
上記の安定な添加剤溶液または分散液を調製するのに使用する溶媒は、通常液体の石油または合成炭化水素もしくは酸素化炭化水素、またはヘキサノール、2−エチルヘキサノールもしくはイソデシルアルコール溶媒のようなアルコール溶媒として一般に特徴付けられる。典型的な例としては、灯油、水素処理灯油、イソパラフィンおよびパラフィン系溶媒、ナフテン系脂肪族炭化水素溶媒、芳香族溶媒、ダイマー類およびより高級のオリゴマー類、またはプロピレン、ブテンおよび同様なオレフィン類、並びにこれらの混合物がある。“ソルベッソ(Solvesso)”、“バーソル(Varsol)”、“ノルパール(Norpar)”および“イソパール(Isopar)”のような市販製品も適し得る。そのような溶媒類は、炭素および水素以外の官能基も、そのような基が上記添加剤組成物の性能に悪影響を与えない限り含有し得る。好ましいのは、イソパラフィンおよびパラフィン系炭化水素溶媒である。溶媒は、好ましくは20℃よりも高い、より好ましくは40℃よりも高い、最も好ましくは55℃よりも高い引火点を有する。
本発明において有用な金属塩を形成するのに適する金属類は、カルシウム、鉄、マグネシウム、ストロンチウム、ナトリウム、チタン、ジルコニウム、マンガン、亜鉛およびセリウムを含む。
過塩基化塩は、塩アニオンに対して化学量論的に過剰の金属種を含有する。この過剰の金属は、酸化物、水酸化物または混合酸性塩を含む1種または組合せ形で存在し得る。格子様多核金属複合体も存在し得る。
【0008】
過塩基化塩においては、過剰の金属は、意図的にまたは意図しないで、塩形成の主反応過程において導入することができ、或いは、主反応過程後に、後処理により導入することも可能である。元素状金属、酸化物および水酸化物が、過塩基化過程における一般的な供給源である。とりわけ鉄系添加剤においては、その混合物は、フェロセンおよびDE 10043144C1に記載されている化合物のような有機金属鉄化合物と混合物した鉄塩であり得る。
本発明の1つの実施態様においては、上記添加剤をディーゼル燃料と直接の添加により或いは他の添加剤との濃縮物の1部として混合し、そのディーゼル燃料を使用し、排気系粒状物トラップを備えたディーゼルエンジンを操作する。上記添加剤を含有するディーゼル燃料を、燃料タンク内に収容し、燃料が燃焼しているディーゼルエンジンに伝送し、上記添加剤により、排気系の粒状物トラップに集めた排気粒子の点火温度を低下させる。もう1つの実施態様においては、上述の操作手順を使用するが、添加剤混合物を、ディーゼルエンジンによって駆動する装置(例えば、自動車、バス、トラック等)のボード上で、ディーゼル燃料から離れた別の燃料添加剤ディスペンサー内に維持する。この添加剤を、ディーゼル燃料タンクの再充填中にディーゼル燃料と混合またはブレンドする。典型的には、添加剤を炭化水素溶媒中の溶液の形で分配する。この後者の実施態様においては、添加剤は、燃料添加剤ディスペンサー内に維持し、ディーゼル燃料と混合する燃料添加剤濃縮物の1部を構成し得る。他の方法は、添加剤混合物を吸気または排気マニホールド中に添加するか或いは添加剤をディーゼル駆動車両のタンクに充填する前の燃料貯蔵器において燃料に添加することを含む。
【0009】
上記金属塩化合物の有機成分は、好ましくは、少なくとも1個のヒドロカルビル基を、例えば、芳香環上の置換基として含有する。本明細書において使用するときの用語“ヒドロカルビル”は、当該基が水素および炭素原子から主としてなり、分子の残余に炭素原子を介して結合していることを意味するが、その基の実質的炭化水素特性を逸脱するには不十分な割合での他の元素または基の存在を除外するものではない。有利には、本発明に従って使用するヒドロカルビル基は、線状または枝分れであり得る脂肪族基、好ましくはアルキルまたはアルキレン基、とりわけアルキル基である。上記有機成分中の総炭素原子数は、少なくとも所望の油溶性または油分散性を与えるに十分であるべきである。
本発明の金属塩において使用するフェノール類は、硫化しなくてもよく、或いは、好ましくは硫化し得る。さらに、本明細書において使用するときの用語“フェノール”は、2個以上のヒドロキシル基(例えば、アルキルカテコール類)または縮合芳香環(例えば、アルキルナフトール類)を含有するフェノール類;化学反応によって変性したフェノール類、例えば、アルキレン橋掛け型フェノールおよびマンニッヒ塩基縮合フェノール類;並びにサリゲニンタイプフェノール類(フェノールとアルデヒドの塩基性条件下での反応により生成させた)を含む。
【0010】
好ましいフェノールは、下記の式から誘導し得る:
【化1】
式中、Rはヒドロカルビル基を示し、yは1〜4を示す。yが1よりも大である場合、そのヒドロカルビル基は、同一または異なるものであり得る。
これらのフェノール類は、しばしば、硫化形で使用される。硫化ヒドロカルビルフェノール類は、下記の式によって典型的に示し得る:
【化2】
式中、xは、一般に1〜4である。ある場合には、2個よりも多いフェノール分子をSxブリッジによって結合させ得る。
上記各式において、Rで示されるヒドロカルビル基は、有利には5〜100個、好ましくは5〜40個、とりわけ9〜12個の炭素原子を有するアルキル基であり、R基全体における平均炭素原子数は、適切な油中での溶解性を確保するために少なくとも9個である。好ましいアルキル基は、ノニル(トリプロピレン)基である。
以下の説明においては、ヒドロカルビル置換フェノール類は、便宜上、アルキルフェノールとして説明する。
硫化フェノールまたはフェナートを調製するのに使用する硫化剤は、アルキルフェノールモノマー基間に −(S)x−ブリッジ基を導入する任意の化合物または元素であり得、xは一般に1〜4である。即ち、反応は、元素状イオウまたはそのハライド、例えば、二塩化イオウ、好ましくは一塩化イオウによって行い得る。元素状イオウを使用する場合には、硫化反応は、アルキルフェノール化合物を50〜250℃、好ましくは少なくとも100℃で加熱することによって実施できる。元素状イオウの使用は、上述したような−(S)x−ブリッジ基の混合物を典型的に与える。ハロゲン化イオウを使用する場合には、硫化反応は、アルキルフェノール化合物を−10〜120℃、好ましくは少なくとも60℃で処理することによって実施できる。反応は、適切な希釈剤の存在下において実施できる。その希釈剤は、有利には、実質的に不活性な有機希釈剤、例えば、鉱油またはアルカンを含む。いずれにしろ、反応は、実質的な反応を行うのに十分な時間で実施する。一般的には、当量の硫化剤当り0.1〜5モルのアルキルフェノール物質を使用するのが好ましい。元素状イオウを硫化剤として使用する場合、塩基性触媒、例えば、水酸化ナトリウムまたは有機アミン、好ましくは複素環アミン(例えば、モルホリン)を使用することが望ましい。
硫化方法の詳細は、当業者にとって周知である。
【0011】
製造する方法にかかわらず、過塩基性金属化合物を調製するのに有用な硫化アルキルフェノール類は、希釈剤および未反応アルキルフェノール類を一般に含み、硫化アルキルフェノールの質量基準で、一般に2〜20質量%、好ましくは4〜14質量%、最も好ましくは6〜12質量%のイオウを含有する。
上述したように、本明細書において使用するときの用語“フェノール”は、例えばアルデヒドとの化学反応によって変性したフェノール類およびマンニッヒ塩基縮合フェノール類も含む。
フェノール類を変性し得るアルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、プロピオンアルデヒドおよびブチルアルデヒドがある。好ましいアルデヒドはホルムアルデヒドである。使用するのに適するアルデヒド変性フェノール類は、例えば、米国特許第5,259,967号に記載されている。
マンニッヒ塩基縮合フェノール類は、フェノール、アルデヒドおよびアミンの反応により調製する。適切なマンニッヒ塩基縮合フェノール類の例は、GB−A−2,121,432号に記載されている。
一般に、フェノール類は、上述した置換基以外の置換基を、そのような置換基がフェノール類の界面活性剤特性を有意に低下させない限り含み得る。そのような置換基の例は、メトキシ基およびハロゲン原子である。
【0012】
本発明のサリチル酸塩において使用するサリチル酸類は、硫化させなくても硫化させてもよく、化学的に変性でき、および/または、例えば、フェノールについて上述したようなさらなるの置換基を含有し得る。上述したのと同様な方法が、ヒドロカルビル置換サリチル酸の硫化においても使用でき、当業者にとって周知である。サリチル酸類は、フェノキシド類のコルベ−シュミット(Kolbe−Schmitt)法によるカルボキシル化によって典型的に調製され、この場合、カルボキシル化されていないフェノールとの混合物で一般に得られる(通常、希釈剤中で)。
本発明に従う過塩基化清浄剤を誘導することのできる油溶性サリチル酸における好ましい置換基は、上記フェノールの説明におけるRによって示される置換基である。アルキル置換サリチル酸類においては、そのアルキル基は、有利には5〜100個、好ましくは9〜30個、とりわけ14〜20個の炭素原子を含有する。
【0013】
本発明の金属スルホン酸塩において使用するスルホン酸は、ヒドロカルビル置換、とりわけアルキル置換芳香族炭化水素類、例えば、蒸留および/または抽出による石油の分別によって或いは芳香族炭化水素のアルキル化によって得られる炭化水素類のスルホン化によって典型的に得られる。例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、ビフェニル、またはこれらのハロゲン誘導体、例えば、クロロベンゼン、クロロトルエンもしくはクロロナフタレンをアルキル化することによって得られる炭化水素類である。芳香族炭化水素類のアルキル化は、触媒の存在下に、例えば、ハロパラフィン類;パラフィン類の脱水素化によって得ることのできるオレフィン類;およびポリオレフィン類、例えば、エチレン、プロピレンおよび/またはブテンのポリマー類のような3〜100個以上の炭素原子を有するアルキル化剤によって実施できる。これらのアルキルアリールスルホン酸類は、7〜100個以上の炭素原子を通常含有する。これらのスルホン酸は、取得するための原料にもよるが、好ましくは、アルキル置換芳香族成分当り16〜80個或いは12〜40個の炭素原子を含有する。
これらのアルキルアリールスルホン酸を中和してスルホン酸塩を調製する場合、炭化水素溶媒および/または希釈剤オイル、並びに促進剤および粘度調節剤も反応混合物中に含ませ得る。
本発明に従って使用できるも1つのタイプのスルホン酸は、アルキルフェノールスルホン酸を含む。そのようなスルホン酸は、硫化させ得る。硫化させても硫化させなくても、これらのスルホン酸類は、フェノール類の界面活性剤特性に匹敵する界面活性剤特性よりはむしろスルホン酸類の界面活性剤特性に匹敵する界面活性剤特性を有するものと信じている。
本発明に従って使用するのに適するスルホン酸類は、アルケニルスルホン酸のようなアルキルスルホン酸も含む。そのような化合物においては、そのアルキル基は、適切には9〜100個、有利には12〜80個、とりわけ16〜60個の炭素原子を含有する。
【0014】
本発明に従って使用し得るカルボン酸は、モノ−およびジカルボン酸類を含む。好ましいモノカルボン酸は、1〜30個、とりわけ8〜24個の炭素原子を含有するモノカルボン酸である。(本明細書がカルボン酸中の炭素原子数を示す場合、カルボキシル基内の炭素原子もその数に含ませる)。モノカルボン酸の例は、イソオクタン酸、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸およびベヘン酸である。他の例は、タル油脂肪酸、大豆酸およびナタネ油から誘導された酸である。イソオクタン酸は、必要に応じて、ExxonMobil Chemical社から商品名“Cekanoic”として市販されているC8酸異性体混合物の形で使用し得る。他の適切な酸は、α−炭素原子での第3級置換を有する酸類およびカルボキシル基を別にして2個よりも多い炭素原子を有するジカルボン酸である。さらに、35個よりも多い、例えば、36〜100個の炭素原子を有するジカルボン酸も適している。不飽和カルボン酸類は硫化させ得る。サリチル酸類はカルボキシル基を含有するけれども、本発明の目的においては、界面活性剤の別の群であるとみなし、カルボン酸界面活性剤とはみなさない。(サリチル酸は、ヒドロキシル基を含有するけれども、フェノール界面活性剤ともみなさない)。
他の酸類は、C36ダイマー酸のような脂肪酸を二量化することによって形成させた酸類、およびC12〜C90、C12〜C40またはC12〜C24無水コハク酸加水分解生成物またはポリアルケニル−無水マレイン酸反応生成物から誘導された酸類である。
好ましいのは、ナフテン(脂環式)群の炭化水素に関連したモノカルボン酸であるナフテン酸類の金属塩である。これらのナフテン酸類は、ナフテン群の炭化水素のモノカルボン酸類として定義される。その一般式は、R(CH2)nCOOHとして示し得、式中、Rは1個以上の環からなる環状成分である。これらの環は。通常5員(シクロペンテン)であり、アルキル化し得る。
【0015】
本発明に従う金属塩添加剤を調製するのに使用できる他の化合物の例としては、次の化合物およびそれらの誘導体がある:ナフテン酸類、とりわけ1個以上のアルキル基を含有するナフテン酸類;ジアルキルホスホン酸類、ジアルキルチオホスホン酸、およびジアルキルジチオホスホン酸類;高分子量(好ましくはエトキシ化)アルコール類;ジチオカルバミド酸類;チオホスフィン類;および分散剤類がある。これらのタイプの界面活性剤は、当業者にとって周知である。ヒドロカルビル置換カルボキシルアルキレン結合フェノールタイプの界面活性剤類、アルキレン基がヒドロキシ基およびさらなるカルボン酸基で置換されているアルキレンジカルボン酸のジヒドロカルビルエステル類、または芳香族成分が少なくとも1個のヒドロカルビル置換フェノールと少なくとも1個のカルボキシフェノールを含むアルキレン結合ポリ芳香族分子も、本発明における使用に適している;そのような界面活性剤類は、EP−A−708,171号に記載されている。
【0016】
本明細書において使用するとき、用語“ヒドロカルビル”は、分子の残余に直接結合した炭素原子を有し且つ炭化水素または主として炭化水素特性を有する基を称する。例としては、脂肪族基(例えば、アルキルまたはアルケニル)、脂環式基(例えば、シクロアルキルまたはシクロアルケニル)、芳香族基、および脂環式置換芳香族基、並びに芳香族置換の脂肪族基および脂環式基のような炭化水素基がある。脂肪族基は有利には飽和型である。これらの基は、非炭化水素置換基を含有し得るが、それらの基がヒドロカルビル基の主たる炭化水素特性を変化させないことを条件とする。例としては、ケト、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、アルコキシおよびアシルがある。ヒドロカルビル基を置換する場合、1個(モノ)の置換基が好ましい。
好ましいのは、下記の式の酸化合物から誘導された金属塩類である:
【化3】
(式中、R1、R2、R3およびR4は、水素または1〜30個の炭素原子(C1〜C30)を有するヒドロカルビルであるが、R1、R2、R3またはR4の少なくとも2個はC1〜C30ヒドロカルビルであり;R5は、1〜120個の炭素原子を有するヒドロカルビルであり;mおよびnは、各々、零または上記カルボキシレート中の総炭素原子数が125を越えないような整数であり得る)。
上記の式は、鎖長中に少なくとも1〜30個の炭素原子を有する側鎖を少なくとも2個有するカルボン酸を表すことを意図しており、好ましくは、R1とR2の双方は、上記カルボキシレートがネオカルボキシレートである、即ち、4個の他の炭素原子に結合したカルボニル炭素に対してアルファである炭素原子を有するようなヒドロカルビルであり、ネオカルボン酸鉄類が好ましい。用語ヒドロカルビルは、主として炭素と水素からなり、必要に応じて酸素または窒素で置換された芳香族または脂肪族基、好ましくは、脂肪族、とりわけ直鎖または枝分れ鎖のアルキルまたは置換アルキル(置換基が窒素または酸素である)に当てはまることを意図している。最も好ましくは、上記カルボキシレートはネオデカン酸塩であり、金属は好ましくは鉄である。
【0017】
R5成分の適切な例は、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、ブタジエン、イソプレン、1−ヘキセン、1−オクテン等のような2〜10個の炭素原子を有するモノ−およびジ−オレフィン類のホモ−またはインターポリマー(例えば、コポリマー、ターポリマー)から形成されたヒドロカルビル基である。典型的には、これらのオレフィン類は1−モノオレフィン類である。このヒドロカルビルは、そのようなホモ−またはインターポリマー類のハロゲン化(例えば、塩素化または臭素化)アナログ類から或いはポリエーテル類からも誘導し得る。
上記ヒドロカルビルは、主として飽和型である。上記ヒドロカルビルは、本質的に主として脂肪族、即ち、6個以下の炭素原子を有する非脂肪族成分(シクロアルキル、シクロアルケニルまたは芳香族)基を置換基中の10個の炭素原子毎に1個しか含有しない。しかしながら、通常、上記ヒドロカルビルは、50個の炭素原子毎にそのような非脂肪族基を1個しか含有せず、多くの場合、置換基はそのような非脂肪族基を全く含有しない;即ち、典型的な置換基は、純粋に脂肪族である。典型的には、これらの純粋脂肪族ヒドロカルビルは、アルキルまたはアルケニル基である。
R5成分の好ましい源は、35〜75質量%のブテン分と30〜60質量%のイソブテン分を含むC4製油所流の三塩化アルミニウムまたは三フッ化ホウ素のようなルイス酸触媒の存在下での重合によって得られるポリ(イソブテン)類である。これらのポリブテン類は、形状 −C(CH3)2CH2−のモノマー繰返し単位を主として含有する。
【0018】
ディーゼルタイプ圧縮点火エンジンにおいて使用するのに適する沸点範囲および粘度を有する任意の燃料を本発明において使用できる。
そのような燃料油としては、原油精製において軽質(灯油またはジェット燃料)留分から重燃料油留分までの留分として得ることのできる石油系燃料油を称する“中留出物”燃料油がある。これらの燃料油は、大気圧または真空留出物、分解ガス油、または直留および熱および/または接触分解留出物の任意の割合の混合物も含み得る。例としては、灯油、ジェット燃料、ディーゼル燃料、加熱用オイル、ビスブレーキングガス油、軽質循環油、真空ガス油および水素化分解流がある。そのような中留出物燃料油は、ASTM D86に従って測定したとき、通常、一般に100℃〜500℃の範囲、とりわけ150℃〜400℃の温度範囲で沸騰する。ディーゼル燃料は、ASTM D 2622−87によって測定したとき、好ましくは0.1質量%未満のイオウ、より好ましくは0.05質量%未満或いは0.005質量%未満または0.001質量%未満のイオウを含む。
好ましい植物系燃料油は、モノカルボン酸類、例えば、10〜25個の炭素原子を含有する酸類のトリグリセリドであり、下記に示す一般式を典型的に有する:
【化4】
(式中、Rは、飽和または不飽和であり得る10〜25個の炭素原子を有する脂肪族基である)。
一般に、そのようなオイルは、多数の酸のグリセリドを含有し、その数およびタイプはそのオイルの植物源によって変化する。
また、適切な燃料油としては、1〜50質量%、1〜25質量%または1〜5質量%の植物油類またはタル油脂肪酸のような脂肪酸のメチルエステルの石油系ディーゼル燃料油との混合物もある。また、適切な界面活性剤と海上ディーゼルエンジンにおいて使用した残留燃料油を含有する水とアルコール類でエマルジョン化した燃料も適している。
油類の例は、タル油、ナタネ油、コリアンダー油、大豆油、大豆油、コーン油、綿実油、ひまわり油、ひまし油、オリーブ油、ピーナツ油、トウモロコシ油、アーモンド油、パーム核油、ココナツ油、カラシ実油、牛脂および魚油である。ナタネ油は、グリセリンと部分的にエステル化した脂肪酸の混合物であり、大量に入手でき押圧による簡単な方法で菜種から取得できるので、好ましい。
【0019】
植物系燃料油のさらなる好ましい例は、植物または動物油の脂肪酸のメチルエステルのようなアルキルエステル類である。そのようなエステル類は、エステル交換によって製造することができる。
脂肪酸の低級アルキルエステル類としては、例えば、商業的混合物として次のものが考えられる:12〜22個の炭素原子を有する脂肪酸、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトオレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、ペトロセリン酸(petroselic acid)、リシノール酸、エレオステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコサン酸、ガドレイン酸、ドコサン酸またはエルカ酸(これらは、50〜150、とりわけ90〜125のヨウ素価を有する)のエチル−、プロピル−、ブチル−、とりわけメチルエステル類。特に有益な特性を有する混合物は、主として、即ち、少なくとも50質量%までの、16〜22個の炭素原子と1個、2個または3個の二重結合を有する脂肪酸のメチルエステルを含有する混合物である。好ましい脂肪酸の低級アルキルエステルは、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸およびエルカ酸のメチルエステルである。
上述した種類の商業的混合物は、例えば、天然油脂類の低級脂肪族アルコール類とのエステル交換による開裂およびエステル化によって得られている。脂肪酸の低級アルキルエステル類の製造においては、例えば、ひまわり油、ナタネ油、コリアンダー油、ひまし油、大豆油、綿実油、ピーナツ油、コーン油または牛脂のような高ヨウ素価を有する油脂類から出発するのが有利である。脂肪酸成分が18個の炭素原子を有する不飽和脂肪酸から80質量%以上誘導される新たな種類のナタネ油をベースとする脂肪酸の低級アルキルエステルが好ましい。
植物系燃料油として最も好ましいのは、ナタネメチルエステルである。
【0020】
本発明のディーゼル燃料組成物は、当業者にとって周知の他の添加剤類を含有し得る。これらの添加剤としては、染料、セタン改良剤、アルキル化コハク酸および無水コハク酸のような錆抑制剤、静菌剤、ガム抑制剤、金属不活化剤、解乳化剤、上部シリンダー潤滑剤、氷結防止剤、酸化防止剤、およびポリアルキレンアミン類およびポリアルケニルスクシンイミド類のような窒素含有無灰分清浄剤がある。
また、本発明の金属添加剤を、低イオウ燃料において現在一般的に使用されている各種潤滑添加剤と組合せて使用してもよい。そのような潤滑添加剤としては、グリセリンモノオレートのようなC2〜C50カルボン酸の1価または多価アルコールのエステル類、多塩基酸のC1〜C5の1価アルコール類とのエステル類、二量化カルボン酸のエステル類、ポリカルボン酸類と1,2−エポキシエタンおよび1,2−エポキシプロパンのようなエポキシド類との反応生成物、および植物油脂肪酸メチルエステル類のような脂肪酸から誘導された潤滑添加剤がある。
さらなる例は、上述のC2〜C50カルボン酸のエステル類を、アシル化剤をアミノ化合物と反応させることによって調製した少なくとも10個の炭素原子を含むヒドロカルビル置換基を有するアシル化窒素化合物(ポリイソブテニル(C80〜C500)無水コハク酸と3〜7個のアミノ窒素原子を有するエチレンポリアミン類との反応生成物のような)を含む無灰分清浄剤と混合して調製した潤滑添加剤である。
【0021】
他の潤滑添加剤は、上述のエステル類と、エチレンから誘導された単位以外に下記の式の単位を有するエチレン不飽和エステルコポリマーとの組合せである:
−CR1R2−CHR3−
(式中、R1は水素またはメチルを示し;R2はCOOR4を示し、R4は直鎖または枝分れ(R4が2個以上の炭素原子を含有する場合)の1〜9個の炭素原子を有するアルキル基を示し、或いはR2はOOCR5を示し、R5はR4またはHを示し;R3はHまたはCOOR4を示す)。
例としては、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−プロピオン酸ビニルコポリマーおよび5〜40%のビニルエステルが存在する他のコポリマーがある。
上述のエステル類の代替物として、或いは上述のエステル類と併用するものとして、潤滑添加剤は、上記エステル潤滑添加剤または植物系燃料油に関して開示したタイプの1種以上のカルボン酸類を含む。そのような酸は、飽和または不飽和の直鎖または枝分れモノ−またはポリカルボン酸であり得、式R1(COOH)x (xは1〜4であり、R1はC2〜C50ヒドロカルビルである)によって包括され得る。例としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミルスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、エライジン酸、パルミトオレイン酸、ペタオセリン(petaoselic)酸、リシノール酸、リノール酸、リノレン酸、エイコサン酸、タル油脂肪酸および脱水素ひまし油脂肪酸がある。ポリカルボン酸は、リノール酸またはオレイン酸のような不飽和脂肪酸の二量化によって生成させたダイマーのようなダイマー酸であり得る。
【0022】
他の潤滑添加剤は、下記の式のヒドロキシアミン類である:
【化5】
(式中、R1は、1個以上の二重結合またはアルキル基を有し且つ4〜50個の炭素原子を含有するアルケニル基、または下記の式:
【化6】
の基を示し;R2、R3、R4、R5、R6およびR7の各々は、個々に、水素または低級アルキル基を示し;R8は、1個以上の二重結合またはアルキル基を有し且つ4〜50個の炭素原子を含有するアルケニル基を示し;R9は、2〜35個、例えば、2〜6個の炭素原子を含有するアルキレン基を示し;p、qおよびvの各々は、1〜4の整数であり;a、bおよびcの各々は、0であり得るが、a、bまたはcの少なくとも1つは1〜75の整数である)。
また、本発明の添加剤を、シロキサンブロックコポリマーのようなシリコン含有発泡防止剤または硝酸2−エチルヘキシルのようなセタン改良剤のようなディーゼル性能添加剤と組合せて使用してもよい:
本発明の添加剤は、下記のような寒冷流動添加剤と組合せても使用できる:
線状ジエンの末端−末端重合によって得ることのできる少なくとも1つの結晶化性ブロックと、少なくとも1つの非結晶化性ブロック(この非結晶化性ブロックは、線状ジエンの1,2−配置重合、枝分れジエンの重合またはそのような重合の混合によって得ることができる)を含む油溶性水素化ブロックジエンポリマー;または、下記の(A)〜(F)に示す他の寒冷流動改良剤。
【0023】
(A) エチレン不飽和エステルコポリマー、とりわけ、エチレンから誘導された単位以外に下記の式の単位を有するコポリマー:
−CR3R4−CHR5−
(式中、R3は水素またはメチルを示し;R4はCOOR6を示し、R6は直鎖または枝分れ(R6が3個以上の炭素原子を含有する場合)の1〜9個の炭素原子を有するアルキル基を示し、或いはR4はOOCR7を示し、R7はR6またはHを示し;R5はHまたはCOOR6を示す)。
これらのコポリマーは、エチレンとエチレン系不飽和エステルのコポリマー、またはその誘導体を含み得る。1つの例は、エチレンと、飽和アルコールと不飽和カルボン酸のエステルとのコポリマーであるが、好ましくは、そのエステルは、不飽和アルコールと飽和カルボン酸とのエステルである。エチレン−ビニルエステルコポリマーが有益である;エチレン−酢酸ビニル、エチレン−プロピオン酸ビニル、エチレン−ヘキサン酸ビニルまたはエチレン−オクタン酸ビニルのコポリマーが好ましい。
米国特許第3,961,916号に開示されているように、流動改良剤組成物は、ワックス生長抑制剤と核形成剤を含み得る。理論によって拘束することは望まないが、本出願人等は、本発明の添加剤組成物の成分(i)が主として核形成剤として作用し、抑制剤の存在による利益を得るものと信じている。この核形成剤は、例えば、上述したようなエチレン−不飽和エステル、とりわけ、最大14000、有利には最大10000、好ましくは2000〜6000、より好ましくは2000〜5500の分子量(ポリスチレン標準に対してのゲル透過クロマトグラフィーにより測定したMn)および7.5〜35モル%、好ましくは10〜20モル%、より好ましくは10〜17モル%のエステル含有量を有するEVACであり得る。
本発明の範囲には、さらなる核形成剤、例えば、1200〜20000範囲の数平均分子量および0.3〜10モル%、有利には3.5〜7.0モル%のビニルエステル含有量を有するエチレン−不飽和エステル(とりわけ酢酸ビニル)コポリマーも含まれる。
【0024】
(B) コームポリマー
そのようなポリマーは、ヒドロカルビル基を含有する分岐がポリマー主鎖からペンダントしているポリマー類であり、”Comb−Like Polymers. Structure and Properties”, N.A. Plate and V.P. Shibaev, J. Poly. Sci. Macromolecular Revs., 8, p 117 to 253 (1974)に説明されている。一般に、コームポリマーは、ポリマー主鎖からペンダントした1つ以上の長鎖ヒドロカルビル分岐、例えば、10〜30個の炭素原子を通常有するオキシヒドロカルビル分岐を有し、これらの分岐はポリマー主鎖に直接または間接的に結合している。間接結合の例は挿入原子または基を介しての結合であり、その結合は、共有結合および/または塩におけるようなイオン価結合を含み得る。
上記コームポリマーは、少なくとも6個、好ましくは少なくとも10個の原子を含有する側鎖を有する単位を、有利には少なくとも25モル%、好ましくは40モル%、より好ましくは少なくとも50モル%含むホモポリマーまたはコポリマーである。
【0025】
好ましいコームポリマーの例としては、下記の一般式のポリマーを挙げることができる:
【化7】
(式中、D = R11、COO R11、OCOR11、R12COO R11、またはO R11;
E = H、CH3、D、またはR12;
G = HまたはD;
J = H、R12、R12COO R11、またはアリールもしくは複素環基;
K = H、COO R12、OCO R12、OR12、またはCOOH;
L = H、R12、COO R12、OCOR12、COOH、またはアリール;
R11 ≧ C10ヒドロカルビル;
R12 ≧ C1ヒドロカルビルまたはヒドロカルビレン;
であり;mおよびnはモル画分を示し、mは有限であり好ましくは1.0〜0.4の範囲内であり、nは1未満好ましくは0〜0.6の範囲内である)。
R11は、有利には、10〜30個の炭素原子を有するヒドロカルビル基を示し、また、R12は、有利には、1〜30個の炭素原子を有するヒドロカルビルまたはヒドロカルビレン基を示す。
上記コームポリマーは、所望または必要に応じて、他のモノマーから誘導された単位を含有し得る。
これらのコームポリマー類は、無水マレイン酸、フマル酸またはイタコン酸と、他のエチレン系不飽和モノマー(例えば、スチレンのようなα−オレフィン)または不飽和エステル(例えば、酢酸ビニル)とのコポリマー;またはフマル酸またはイタコン酸のホモポリマーであり得る。本質的ではないが、等モル量のコモノマーを使用するのが好ましいが、2対1および1対2範囲のモル割合が適している。例えば無水マレイン酸と共重合させ得るオレフィン類の例としては、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセンおよび1−オクタデセンがある。
【0026】
上記コームポリマーの酸または無水物基は任意の適切な方法でエステル化し得、無水マレイン酸またはフマル酸を少なくとも50%エステル化することは好ましいが、本質的ではない。使用できるアルコール類の例としては、n−デカン−1−オール、n−ドデカン−1−オール、n−テトラデカン−1−オール、n−ヘキサデカン−1−オール、およびn−オクタデカン−1−オールがある。アルコール類は、鎖当り1個までのメチル分岐も含み得、例えば、1−メチルペンタデカン−1−オールまたは2−メチルトリデカン−1−オールがある。アルコールは、直鎖アルコールと1個のメチル枝分れアルコールの混合物であり得る。
商業的に入手可能なアルコール混合物よりはむしろ純粋アルコールを使用するのが好ましいが、混合物を使用する場合、上記のR12はアルキル基中の平均炭素原子数を示す;1または2位置に分岐を含有するアルコール類を使用する場合には、R12はアルコールの直鎖の主鎖セグメントを示す。
これらのコームポリマー類は、とりわけ、フマレートまたはイタコネートポリマー、および、例えば、EP−A−153176号、EP−A−153177号、EP−A−225688号、およびWO 91/16407号に記載されているようなコポリマーであり得る。
【0027】
とりわけ好ましいフマレートコームポリマーは、例えば、フマル酸と酢酸ビニルの等モル混合物を溶液共重合させ、得られるコポリマーを好ましくは直鎖アルコールであるアルコールまたはアルコール混合物と反応させることによって調製したアルキル基が12〜20個の炭素原子を有するアルキルフマレートと酢酸ビニルのコポリマー、とりわけアルキル基が14個の炭素原子を有する或いはアルキル基がC14/C16アルキル基の混合物であるポリマーである。混合物を使用する場合、その混合物は、有利には、直鎖のC14とC16アルコールの質量で1:1の混合物である。さらにまた、C14エステルと混合C14/C16エステルとの混合物も有利に使用できる。そのような混合物においては、C14対C14/C16の比は、質量で、有利には1:1〜4:1、好ましくは2:1〜7:2、最も好ましくは約3:1の範囲である。とりわけ好ましいコームポリマーは、蒸気相浸透圧法で測定したとき、1,000〜100,000、とりわけ1,000〜30,000の数平均分子量を有するポリマーである。
他の適切なコームポリマー類は、α−オレフィン類のポリマーおよびコポリマー類、スチレンと無水マレイン酸のエステル化コポリマー、およびスチレンとフマル酸のエステル化コポリマーである;2種以上のコームポリマーの混合物も本発明に従って使用でき、上述したように、そのような使用は有利であり得る。コームポリマー類の他の例は、炭化水素ポリマー類、例えば、エチレンと少なくとも1種のα−オレフィン(α−オレフィンは、好ましくは、最大20個の炭素原子を有し、例えば、n−デセン−1およびn−ドデセン−1である)とのコポリマー類である。好ましくは、そのようなコポリマーの数平均分子量は、GPCにより測定して、少なくとも30,000である。これらの炭化水素コポリマー類は、当該技術における公知の方法によって、例えば、チーグラータイプの触媒を使用して調製することができる。
【0028】
(C) 極性窒素化合物
そのような化合物は、式 >NR13を有する置換基を1個以上、好ましくは2個以上担持する油溶性極性窒素化合物であり、式中、R13は8〜40個の原子を含有するヒドロカルビル基を示し、その置換基または1個以上の置換基はそれから誘導されたカチオンの形であり得る。この油溶性極性窒素化合物は、概して、燃料中で、ワックス結晶生長抑制剤として作用し得る化合物である。この化合物は、例えば、1種以上の下記の化合物を含む:
少なくとも1モル割合のヒドロカルビル置換アミンを1モル割合の1〜4個のカルボン酸基を有するヒドロカルビル酸またはその無水物と反応させることによって調製したアミン塩および/またはアミド;式 >N R13の置換基は式 −NR13R14であり、R13は上記で定義したとおりであり、R14は水素またはR13を示すが、R13およびR14は同一または異なるものであり得、これらの置換基は上記化合物のアミン塩および/またはアミド基の1部を構成する。
30〜300個、好ましくは50〜150個の総炭素原子数を有するエステル/アミド類も使用し得る。これらの窒素化合物は、米国特許第4,211,534号に記載されている。適切なアミン類は、主として、C12〜C40の第1級、第2級、第3級もしくは第4級アミン類またはこれらの混合物であるが、より短鎖のアミン類も、得られる窒素化合物が油溶性であり、通常、約30〜300個の総炭素原子数を有する限り、使用できる。窒素化合物は、好ましくは、少なくとも1つの直鎖のC8〜C40、好ましくはC14〜C24アルキルセグメントを含有する。
【0029】
適切なアミン類としては、第1級、第2級、第3級または第4級アミンがあるが、好ましくは第2級アミンである。第3級および第4級アミンのみがアミン塩を形成する。アミン類の例としては、テトラデシルアミン、ココアミンおよび水素化牛脂アミンがある。第2級アミンの例としては、ジオクタセジル(dioctacedyl)アミンおよびメチルベヘニルアミンがある。天然物質から誘導されたアミン類のようなアミン混合物も適している。好ましいアミンは第2級水素化牛脂アミンであり、そのアルキル基は、約4%のC14、31%のC16および59%のC18からなる水素化牛脂から誘導されている。
上記窒素化合物を調製するのに適するカルボン酸類およびその無水物の例としては、エチレンジアミンテトラ酢酸、並びに環状骨格系のカルボン酸類、例えば、シクロへキサン−1,2−ジカルボン酸、シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、シクロペンタン−1,2−ジカルボン酸およびナフタレンジカルボン酸、並びにジアルキルスピロビスラクトンのような1,4−ジカルボン酸類がある。一般に、これらの酸は、環状成分内に約5〜13個の炭素原子を有する。本発明において有用な好ましい酸類は、ベンゼンジカルボン酸類、例えば、フタル酸、イソフタル酸およびテレフタル酸である。フタル酸およびその無水物がとりわけ好ましい。とりわけ好ましい化合物は、1モル部の無水フタル酸を2モル部のジ水素化牛脂アミンと反応させることによって調製したアミド−アミン塩である。もう1つの好ましい化合物は、このアミド−アミン塩を脱水素させて調製したジアミドである。
他の例は、置換コハク酸のモノアミドのアミン塩のような長鎖アルキルまたはアルキレン置換ジカルボン酸誘導体であり、これらの例は、当該技術において公知であり、例えば、米国特許第4,147,520号に記載されている。適切なアミン類は、上述したアミン類であり得る。
他の例は、縮合物、例えば、EP−A−327427号に記載されている縮合物である。
【0030】
(D) 環状系上に下記の一般式の置換基を少なくとも2個担持する環状系を含有する化合物:
−A−NR15R16
上記式中、Aは、必要に応じて1個以上のヘテロ原子によって遮断された線状または枝分れ鎖脂肪族ヒドロカルビレン基であり;R15およびR16は、同一または異なるものであり、各々個々に、必要に応じて1個以上のヘテロ原子によって遮断された9〜40個の原子を含有するヒドロカルビル基であり、各置換基は同一または異なるものであり、その化合物は必要に応じてその塩の形にある。有利には、Aは、1〜20個の炭素原子を有し、好ましくはメチレンまたはポリメチレン基である。そのような化合物は、WO 93/04148号に記載されている。
【0031】
(E) 炭化水素ポリマー
適切な炭化水素ポリマー類の例は、下記の一般式のポリマー類である:
【化8】
(式中、T = HまたはR21であり、R21 = C1〜C40ヒドロカルビルであり、U = H、Tまたはアリールであり、vおよびwはモル画分を示し、vは1.0〜0.0の範囲にあり、wは0.0〜1.0の範囲にある)。
炭化水素ポリマー類の例は、WO 91/11488号に記載されている。
好ましいコポリマーは、少なくとも30,000の数平均分子量を有するエチレンα−オレフィンコポリマーである。好ましくは、α−オレフィンは、最大で28個の炭素原子を有する。そのようなオレフィン類の例は、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、n−オクテン−1、イソオクテン−1、n−デセン−1、およびn−ドデセン−1である。また、コポリマーは、少量の、例えば、10質量%までの他の共重合性モノマー、例えば、α−オレフィン以外のオレフィン類および非共役ジエン類も含み得る。好ましいコポリマーは、エチレン−プロピレンコポリマーである。
エチレン α−オレフィンコポリマーの数平均分子量は、上述したように、ポリスチレン標準に対してゲル透過クロマトグラフィー(GPL)で測定したとき、少なくとも30,000、有利には少なくとも60,000、好ましくは少なくとも80,000である。機能的には上限がないが、混合の困難性が約150,000以上の分子量における粘度増大から生ずる。好ましい分子量範囲は、60,000および80,000から120,000までの範囲である。
【0032】
有利には、上記コポリマーは、50〜85%のモルエチレン含有量を有する。より有利には、エチレン含有量は57〜80%の範囲にあり、エチレン含有量は、好ましくは58〜73%、より好ましくは62〜71%、最も好ましくは65〜70%の範囲にある。好ましいエチレン−α−オレフィンコポリマーは、62〜71モル%のエチレン含有量と60,000〜120,000範囲の数平均分子量を有するエチレンプロピレンコポリマーである;とりわけ好ましいコポリマーは、62〜71%のエチレン含有量と80,000〜100,000の分子量を有するエチレン−プロピレンコポリマーである。
これらのコポリマーは、当該技術における公知の任意の方法により、例えば、チーグラータイプの触媒を使用して調製することができる。これらのポリマー類は、高結晶性ポリマーが低温で燃料油中に比較的不溶性であるので、実質的に非晶質であるべきである。
他の適切な炭化水素ポリマー類としては、蒸気相浸透圧法で測定したとき、最大7500、有利には1,000〜6,000、好ましくは2,000〜5,000の数平均分子量を有する低分子量エチレン−α−オレフィンコポリマーがある。適切なα−オレフィンは、上述したようなものまたはスチレンであるが、ここでも、プロピレンが好ましい。有利には、そのエチレン含有量は60〜77モル%であるが、エチレン−プロピレンコポリマーにおいては、86モル%までのエチレンも有利に使用できる。
【0033】
(F) ポリアルキレン化合物
その例は、ポリオキシアルキレンエステル類、エーテル類、エステル/エーテル類およびこれらの混合物、とりわけ、少なくとも1個、好ましくは少なくとも2個のC10〜C30線状アルキル基と5,000まで、好ましくは200〜5,000の分子量を有するポリオキシアルキレングリコール基と含み、このポリオキシアルキレングリコール中のアルキル基は1〜4個の炭素原子を含有する化合物である。これらの物質は、EP−A−0061895号の要旨を構成している。他のそのような添加剤は、米国特許第4,491,455号に記載されている。
好ましいエステル類、エーテル類またはエステル/エーテル類は、下記の一般式を有するものである:
R31−O(D)−O−R32
上記式中、R31およびR32は、同一または異なるものであり得、(a) n−アルキル−、(b) n−アルキル−CO−、(c) n−アルキル−O−CO(CH2)x−、または(d) n−アルキル−O−CO(CH2)x−CO−を示し;xは、例えば、1〜30であり;上記アルキル基は、線状であって、10〜30個の炭素原子を含有し;Dは、実質的に線状であるポリオキシメチレン、ポリオキシエチレンまたはポリオキシトリメチレン成分のようなアルキレン基が1〜4個の炭素原子を有する上記グリコールのポリアルキレンセグメントを示し、ある程度の低級アルキル側鎖による分岐(ポリオキシプロピレングリコールにおけるように)が存在し得るが、当該グリコールは実質的に線状であることが好ましい。Dは、窒素も含有し得る。
【0034】
適切なグリコール類の例は、100〜5,000、好ましくは200〜2,000の分子量を有する実質的に線状のポリエチレングリコール(PEG)およびポリプロピレングリコール(PPG)である。エステル類も好ましく、10〜30個の炭素原子を含有する脂肪酸が上記グリコール類と反応させてエステル添加剤を調製するのに有用である。C18〜C24脂肪酸、とりわけベヘン酸を使用するのが好ましい。これらのエステル類は、ポリエトキシ化脂肪酸またはポリエトキシ化アルコールをエステル化することによっても調製できる。
ポリオキシアルキレンジエステル類、ジエーテル類、エーテル/エステル類およびこれらの混合物は添加剤として適しており、ジエステル類は、少量のモノエーテル類およびモノエステル類(これらは、製造工程中にしばしば形成される)も存在するときに、狭い沸騰範囲の留出物において使用するのが好ましい。好ましいのは、多量のジアルキル化合物を存在させることである。とりわけ、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリエチレン/ポリプロピレングリコール混合物のステアリン酸またはベヘン酸ジエステルは、好ましい。
ポリオキシアルキレン化合物の他の例は、日本特許公報第2−51477号および第3−34790号に記載されている化合物、並びにEP−A−117108号およびEP−A−326356号に記載されているエステル化アルコキシ化アミン類である。
【0035】
実施例
C18牛脂酸の過塩基化第2鉄塩を、空気流を使用して間接的に付着物を測定するXUD9エンジン試験において評価し、その結果を、0.1 mmの注入針一定揚程における空気流損失のパーセントとして表した。報告値が高いほど、付着物レベルは悪い。また、ネオデカン酸の中性鉄塩も試験した。両塩を標準ディーゼル燃料およびポリイソブテニルスクシンイミド燃料清浄剤を含有する同じ燃料中で試験した。結果を下記の表に示す。
表
Claims (18)
- ディーゼル燃料に添加して燃料中に1〜25 ppmの金属を与えるようにしたときに、ディーゼルエンジン粒状物トラップの操作を改善するのに有効な燃料添加剤金属塩組成物において、
酸性有機化合物の油溶性または油分散性過塩基化金属塩を少なくとも1種含み、前記塩組成物が塩のアニオン成分を中和するのに必要とする金属よりも化学量論的に過剰の5〜85質量%の金属を含有し、金属がCa、Fe、Mg、Sr、Na、Ti、Zr、Mn、ZnおよびCeからなる群から選ばれることを特徴とする前記組成物。 - 前記塩が、スルホン酸塩類、フェナート類、硫化フェナート類、チオホスホン酸塩類、サリチル酸塩類、ナフテン酸塩類およびカルボン酸塩類からなる群から選ばれる請求項1記載の組成物。
- 金属がセリウムまたは鉄である請求項1記載の組成物。
- 前記過剰の金属が酸化物、炭酸塩または水酸化物の形である請求項1記載の組成物。
- 金属が鉄であり、その塩がネオカルボン酸塩またはナフテン酸塩である請求項1記載の組成物。
- 前記過剰の金属が20〜50質量%の量で存在する請求項1記載の組成物。
- 前記塩がカルボン酸塩である請求項1記載の組成物。
- 前記塩がネオカルボン酸塩またはナフテン酸塩である請求項1記載の組成物。
- 前記塩がネオデカン酸鉄である請求項1記載の組成物。
- 燃料中に1〜25 ppmの金属が存在するような有効量の請求項1記載の組成物を含有するディーゼル燃料組成物。
- 前記塩が、スルホン酸塩類、フェナート類、硫化フェナート類、サリチル酸塩類、ナフテン酸塩類およびカルボン酸塩類からなる群から選ばれる請求項10記載の組成物。
- 金属がセリウムまたは鉄である請求項10記載の組成物。
- 前記過剰の金属が酸化物、炭酸塩または水酸化物の形である請求項10記載の組成物。
- 金属がセリウムであり、その塩がネオカルボン酸塩またはナフテン酸塩である請求項10記載の組成物。
- 前記過剰の金属が20〜50質量%の量で存在する請求項10記載の組成物。
- 前記塩がカルボン酸塩である請求項10記載の組成物。
- 前記塩がネオカルボン酸塩またはナフテン酸塩である請求項10記載の組成物。
- 前記塩がネオデカン酸鉄である請求項10記載の組成物。
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