JP2004035122A - 物流計画立案装置と立案方法とプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】輸送コストと併せて在庫コストを考慮して、物流コスト全体を最小とする物流計画を立案する。また、中継点や複数の納入元に立ち寄って混載することによって物流コストが下げられる場合には、混載を積極的に活用する計画を立案する。
【解決手段】1から3の各ファイルを読み込み、輸送経路計画部4、経路輸送用算出部6、物流コストを最小化する輸送経路と納入回数を探索するエンジン8によって、物流コストが最小となる輸送経路と納入回数が決定される。輸送経路計画部4では、輸送経路を仮に作成する。探索エンジン8は、仮に作成された輸送経路について物流コストが最小となる納入回数を算出する処理を繰り返し、算出された輸送経路と納入回数の中から、物流コストが最小となる輸送経路と納入回数を決定する。
【選択図】 図15
【解決手段】1から3の各ファイルを読み込み、輸送経路計画部4、経路輸送用算出部6、物流コストを最小化する輸送経路と納入回数を探索するエンジン8によって、物流コストが最小となる輸送経路と納入回数が決定される。輸送経路計画部4では、輸送経路を仮に作成する。探索エンジン8は、仮に作成された輸送経路について物流コストが最小となる納入回数を算出する処理を繰り返し、算出された輸送経路と納入回数の中から、物流コストが最小となる輸送経路と納入回数を決定する。
【選択図】 図15
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、部品や製品等の経済的価値を有する財物の物流計画を作成する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば自動車の生産系では、部品工場で部品を生産して部品を自動車組立工場に輸送し、自動車組立工場ではその部品を組み立てて自動車を生産し生産された自動車を出荷する活動を反復継続的に繰り返している。自動車組立工場では部品の納入を反復継続的に必要としている。あるいは、ビールの流通系では、ビール工場でビールを生産してそのビールを営業拠点に輸送し、営業拠点では輸送されたビールを販売する活動を反復継続して繰り返している。ビールの営業拠点ではビールの納入を反復継続的に必要としている。
物流網を構成する拠点間で荷を輸送するときに、最小の輸送コストで荷を輸送するための計画を立案する技術が、特開平11−102394号公報に開示されている。この技術を用いることで、輸送コストを最小化することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の技術によって輸送コストを最小化することができても、それによって物流コストが最小化されるわけでない。例えば、自動車部品工場aから自動車組立工場Aに1日あたり合計の占有体積にして30m3の部品を納入する場合を考える。輸送コストのみを考えれば、30m3積載できる輸送用トラックを用いて30m3の部品を一度に納入するのが最も合理的である。しかしながら、自動車組み立て工場が必要な時に必要なだけの部品を確保するのに要するコスト(ここでは物流コストという)を考慮すると、上記の納入が合理的であることが保障されない。
【0004】
一度にまとめて納入することは、一度にまとめて財物を購入することに相当する。即ち、将来に必要とする財物を先行して購入することに相当する。先行して財物を購入するためには投資が必要であり、投資にはコストが必要とされる。例えば、1日に1個1万円の部品を用いて生産を行い翌日に販売する場合、1日1個を購入する方式を採用すれば、いずれの日でも1万円を投資しているだけであり、1万円に対する利息がコストとなる。それに対して1月分をまとめて購入すると、最初に30万円の先行投資を必要とし、平均しても15万円の先行投資が必要とされる。先行投資に対するコストは15倍となる。納入回数は、財物を先行して購入するために必要な投資額に影響し、投資コストを変化させる。
一度にまとめて納入すれば、大きな保管スペースが必要とされる。先の例でいえば、1日1個を購入するようにすれば1個分の保管スペースを確保すればよいのに対し、30個をまとめて納入する場合には30個分の保管スペースを必要とする。まとめて納入すれば、輸送コストが安価となる反面、保管スペースを確保するコストが増大する。
一度にまとめて納入すれば、納入間隔は長期化する。需要の変動がある場合、納入間隔が長期化するほど、増大する需要に備えて在庫しておく必要量が増大する。先の例でいえば、1日に一度納入する方式であれば、需要が倍になることを想定しても1個の在庫を余分に確保しておけばよいのに対し、30日に一度納入する方式であれば、需要が倍になることを想定すれば30個の在庫を余分に確保しておかなければならない。余分に在庫することは、前記した先行投資コストを増大させ、保管スペースを確保するためのコストを増大させる。
上記の例では、便宜上理解しやすいように、1日に一度納入する場合と30日に一度納入する場合を対比して説明したが、1日に多数回に分けて納入する場合と1日に一度納入する場合でも、物流コストは変わってくる。
【0005】
物流網に中継点を設けることが多い。中継点を設けると、空荷で走行したり積載効率が低い状態で走行する機会を減少させることができる。あるいは、複数の納入元に立ち寄って混載することによって、多回数で納入することと積載効率を高めて輸送コストを低減させることを両立させることができる。しかしながら、従来の技術では、輸送コストを、輸送距離や輸送荷量によって計算しており、中継点を利用したり複数の納入元に立ち寄ったりして荷を混載し、積載効率を高めることによって輸送コストが低減されるという実情を反映していない。このために従来の技術では、中継点が利用される場合でも、あるいは複数の納入元に立ち寄って混載することができる場合でも、輸送コストを最小化させるためにそれぞれの納入元で最大に積載して納入先に直送する輸送計画が立案され、混載する計画が立案されにくい。
従来の技術は、一度にまとめて輸送することによって輸送コストを下げる輸送計画を立案しているため、混載する輸送計画を立案しないし、混載することによって多回数で納入される計画を立案しないし、多回数で納入することによって先行投資コストや保管コスト等の在庫コストを圧縮する計画を立案しない。
【0006】
本発明の1つの目的は、単に輸送コストのみを考えるだけでなく、財物の納入を反復継続的に必要とする納入先で、必要なときに必要なだけの財物を確保するのに要するコスト(ここでいう物流コスト)を考慮し、物流コストを最小とする物流計画を立案する技術を実現することである。
本発明の他の1つの目的は、中継点や複数の納入元に立ち寄って混載することによって在庫コストや輸送コストが下げられる場合には、混載を積極的に活用して物流コストを低減する計画を立案する技術を実現することである。
【0007】
【課題を解決するための手段と作用】本発明は、物流計画立案装置に具現化することができる。この物流計画立案装置は、財物の納入元から、財物の納入を反復継続的に必要とする納入先に、輸送用移動体に財物を積載して反復継続的に輸送して納入する物流計画を立案する。本発明の物流計画立案装置は、計画単位期間に納入先が必要とする財物量を記憶している財物量記憶手段と、一度に納入する納入量または計画単位期間の納入回数を変数として、当該納入量または納入回数によるときに、納入先で財物を在庫することに伴うコストと財物の輸送に要するコストを合計した物流コストを計算する手段と、計算された物流コストを最小とする納入量または納入回数を演算する手段とを有する。
【0008】
本発明の物流計画立案装置では、財物の輸送に要するコストの他に、納入先で財物を在庫することに伴うコストをも含めて物流コストを計算する。一度にまとめて輸送すると輸送コストが下げられる反面、先行投資コストや保管コストが増大する要素等も加味する。本発明の物流計画立案装置では、計画単位期間の納入回数(これを裏から見ると一度に納入する納入量となる。)を変数とし、先行投資コストや保管コスト等を含む在庫コストと輸送コストを合計した物流コストを計算し、物流コストを最小とする納入回数(従って一度に納入する納入量)を演算する。一度にまとめて輸送する輸送コストに一度にまとめて納入することに伴う在庫コストを加えた物流コスト、2回に分けて輸送する輸送コストに2回に分けて納入することに伴う在庫コストを加えた物流コスト、3回に分けて輸送する輸送コストに3回に分けて納入することに伴う在庫コストを加えた物流コスト等を比較し、物流コストが最小となる納入回数を演算する。
本発明の物流計画立案装置によると、財物を必要とする納入先において、必要な時に必要なだけの財物を確保するのに要するトータルコストが最小となる納入回数(または一度に納入する納入量)が演算され、製品を安価に提供することが可能となる。
【0009】
納入先で財物を在庫することに伴うコストが、財物を先行して購入するための投資コストを含むことが好ましい。輸送コストに比して財物の経済的価値が高い場合には、特に重要である。
【0010】
納入先で財物を在庫することに伴うコストが、財物を保管するスペースを確保するためのコストを含むことが好ましい。輸送コストに比してスペース費用が高い場合、例えば土地代が高い日本のような場合には、特に重要である。
【0011】
納入先で財物を在庫することに伴うコストが、需要変動に備えて納入先で財物を在庫しておくためのコストを含むことが好ましい。需要が急増する可能性がある場合には、特に重要である。需要が急増する可能性がある場合には、輸送コストが割高になっても、納入間隔を短くして需要急増に迅速に対応できるようにしておくと、需要急増に備えて在庫しておく必要のある在庫量が圧縮されて在庫コストが減少することから、結果として物流コストが低減することがある。
なお納入間隔が長い場合、需要の減少時には過大在庫が発生し、先行投資をするコストや過大在庫を保管するスペースのコストが増大する。先行投資コストや保管スペースコストを計算する場合には、需要減少時の過大在庫の影響を織り込んで計算することが好ましい。
【0012】
納入先で財物を在庫することに伴うコストが、計画単位期間に同一経路で納入される財物輸送量に反比例して計算されることが好ましい。
例えば、納入元aから納入先Aに1日に輸送量にして10m3の財物が納入され、納入元bから納入先Aに1日に10m3の財物が納入される場合、納入元aから納入先Aに1日1回10m3の財物が直接に納入される場合には、10m3の財物輸送量に反比例する在庫コストを計算し、納入元aからの10m3の財物と納入元bからの10m3の財物が混載して納入される場合には、合計した20m3の財物輸送量に反比例する在庫コストを計算する。後者の場合、2回に分けて納入することができることから、納入元aからは毎回5m3の財物が納入されることになる。混載して納入される財物輸送量が増大するほど、多回数で納入することが可能となり、一度の納入量を小さくして在庫コストを低減することができる。計画単位期間に同一経路で納入される財物輸送量に反比例させて在庫コストを計算すると、実情に合った在庫コストを簡単に計算することができる。
【0013】
複数の納入元と中継点と納入先がある場合に、中継点を経由する少なくとも1つの経路と中継点を経由しない少なくとも1つの経路を算出する手段と、算出された経路の計画単位期間の財物輸送量を算出する手段をさらに備えており、納入先で財物を在庫することに伴うコストが、計画単位期間に同一経路で納入される財物輸送量に反比例して計算されることが好ましい。
この場合、中継点を利用して混載することによって在庫コストが下げられる場合にはそれを織り込んだ検討がなされるため、中継点を利用して混載することによって物流コストが下げられる物流計画がある場合にはその計画が採用される。
【0014】
複数の納入元がある場合に、複数の納入元に立ち寄って混載する少なくとも1つの経路を算出する手段と、算出された経路の計画単位期間の財物輸送量を算出する手段をさらに備えており、納入先で財物を在庫することに伴うコストが、計画単位期間に同一経路で納入される財物輸送量に反比例して計算されることが好ましい。
この場合、複数の納入元に立ち寄って混載することによって在庫コストが下げられる場合にはそれを織り込んだ検討がなされ、複数の納入元に立ち寄って混載することによって物流コストが下げられる物流計画がある場合にはその計画が採用される。
【0015】
財物の輸送に要するコストが、計画単位期間の経路別財物輸送量と輸送用移動体の積載量から算出される輸送用移動体の必要数を利用して計算されることが好ましい。
実際の輸送コストは、輸送距離や輸送時間や輸送荷量に対してリニアな関係になく、輸送用移動体の必要数に応じてステップ的に変化する。10m3積載できる輸送用移動体を利用する場合、9m3の輸送荷量の輸送コストと10m3の輸送荷量の輸送コストには大差がないのに(ともに1台ですむ。)、10m3の輸送荷量の輸送コストと11m3の輸送荷量の輸送コストには大差が存在する(後者では2台または2回を必要する。)。
輸送用移動体の必要数を利用して輸送コストを計算すると、正確な輸送コストが計算されるのみならず、中継点を利用して混載したり、あるいは複数の納入元に立ち寄って混載することによって積載効率が上がって輸送コストが下げられる場合にはそれを織り込んだ検討がなされ、混載を活用することによって輸送コストが下げられる物流計画がある場合にはその計画が採用される。
【0016】
複数の納入元と中継点と納入先がある場合に、中継点を経由する少なくとも1つの経路と中継点を経由しない少なくとも1つの経路を算出する手段が付加されており、財物の輸送に要するコストが経路毎に算出されることが好ましい。
この場合、中継点を利用して混載することによって輸送コストが下げられる場合にはそれを織り込んだ検討がなされ、中継点を利用して混載することによって物流コストが下げられる物流計画がある場合にはその計画が採用される。
【0017】
中継点間を移動する往路輸送量と復路輸送量のうちの大きい方の輸送量によって、その中継点間の往復の輸送コストを計算するが好ましい。
往路輸送と復路輸送がともに存在する場合、輸送量が大きい方の片道分の輸送コストをかければ反対方向の輸送コストはほとんどかからないことが知られている(どのみち戻ってこなければならず、輸送しながら戻るときと空荷で戻るときのコスト差は小さい。)。中継点を利用すると、中継点間で往復する輸送量を増やすことができ、余分なコストをかけないで輸送できる機会が増える。
往路輸送量と復路輸送量のうちの大きい方の輸送量によって輸送コストを計算するようにすると、中継点で双方向に輸送することによって輸送コストを圧縮する計画が立案される。また、実情に合った輸送コストが計算される。
【0018】
運行時間を規格化しておき、輸送用移動体毎の運行時間が規格化された時間に近似する輸送時間計画を計算する手段が付加されていることが好ましい。
運行時間を規格化しておくと、運行作業に従事する者の勤務時間等を合理的に調整することができ、運用しやすい計画が立案される。
【0019】
輸送用移動体が運行時間内に立ち寄る納入元と中継点と納入先の立ち寄り回数を規格化しておき、規格化された立ち寄り回数の制約下で輸送用移動体の担当経路を計算する手段が付加されていることが好ましい。
この場合、例えば2直勤務の納入先のいずれの直で受け入れ作業を担当するかといった問題を単純に決定することが可能となり、運用しやすい計画が立案される。
【0020】
本発明は、物流計画立案方法に具現化することもできる。本発明の方法は、財物の納入元から財物の納入を反復継続的に必要とする納入先に、輸送用移動体に財物を積載して反復継続的に輸送して納入する物流計画を立案する。本発明の方法は、計算機に下記の工程、即ち、計画単位期間に納入先が必要とする財物量を読み取らせる工程と、一度に納入する納入量または計画単位期間の納入回数を変数とし、当該納入量または納入回数によるときに、納入先で財物を在庫することに伴うコストと財物の輸送に要するコストを合計した物流コストを計算させる工程と、計算された物流コストを最小とする納入量または納入回数を出力させる工程を実行させる。上記の方法、並びに下記の方法の作用効果は、対応する装置の説明からおのずと明らかであり、重複説明を省略する。
【0021】
財物を先行して購入するための投資コストを含むようにして在庫コストを計算することが好ましい。
あるいは、財物を保管するスペースを確保するためのコストを含むようにして在庫コストを計算することが好ましい。
あるいは、需要変動に備えて納入先で財物を在庫しておくためのコストを含むようにして在庫コストを計算することが好ましい。
そして、計画単位期間に同一経路で納入される財物輸送量に反比例するようにして財物の在庫コストを計算することが好ましい。
【0022】
複数の納入元と中継点と納入先がある場合に、計算機によって中継点を経由する少なくとも1つの経路と中継点を経由しない少なくとも1つの経路を算出する工程と、計算機によって算出された経路の計画単位期間の財物輸送量を算出する工程をさらに備えており、計算機で計算される納入先で財物を在庫することに伴うコストが、計画単位期間に同一経路で納入される財物輸送量に反比例して計算されるようにすることが好ましい。
あるいは複数の納入元がある場合に、計算機によって複数の納入元に立ち寄って混載する少なくとも1つの経路を算出する工程と、計算機によって算出された経路の計画単位期間の財物輸送量を算出する工程をさらに備えており、計算機で計算される納入先で財物を在庫することに伴うコストが、計画単位期間に同一経路で納入される財物輸送量に反比例して計算されるようにすることが好ましい。
【0023】
計算機で計算される財物の輸送に要するコストが、計画単位期間の経路別財物輸送量と輸送用移動体の積載量から算出される輸送用移動体の必要数を利用して計算されることが好ましい。
あるいは、複数の納入元と中継点と納入先がある場合に、計算機によって中継点を経由する少なくとも1つの経路と中継点を経由しない少なくとも1つの経路を算出する工程が付加されており、計算機によって計算される財物の輸送に要するコストが、経路毎に算出されることが好ましい。
計算機によって、中継点同士を移動する往路輸送量と復路輸送量のうちの大きい方の輸送量に基づいてその中継点間の往復の輸送コストを計算することが好ましい。
【0024】
運行時間を規格化しておき、輸送用移動体毎の運行時間が規格化された時間に近似する輸送時間計画を計算する工程が付加されていることが好ましい。
あるいは、輸送用移動体が運行時間内に立ち寄る納入元と中継点と納入先の立ち寄り回数を規格化しておき、規格化された立ち寄り回数の制約下で輸送用移動体の担当経路を計算する工程が付加されていることが好ましい。
【0025】
本発明は、物流計画を立案するプログラムに具現化することもできる。本発明のプログラムは、財物の納入元から財物の納入を反復継続的に必要とする納入先に財物を輸送する計画を立案する。本発明のプログラムは、計算機に下記の処理、即ち、計画単位期間に納入先が必要とする財物量を読み取らせる処理と、一度に納入する納入量または計画単位期間の納入回数を変数とし、当該納入量または納入回数によるときに、納入先で財物を在庫することに伴うコストと財物の輸送に要するコストを合計した物流コストを計算させる処理と、計算された物流コストを最小とする納入量または納入回数を演算させる処理とを実行させる。上記のプログラム、並びに下記のプログラムの作用効果は、対応する装置の説明からおのずと明らかであり、重複説明を省略する。
【0026】
このプログラムでは、計画単位期間に同一経路で納入される財物輸送量に反比例するように在庫コストを計算することが好ましい。
複数の納入元と中継点と納入先がある場合に、中継点を経由する少なくとも1つの経路と中継点を経由しない少なくとも1つの経路を算出する処理と、算出された経路の計画単位期間の財物輸送量を算出する処理とを計算機に実行させ、納入先で財物を在庫することに伴うコストが、計画単位期間に同一経路で納入される財物輸送量に反比例して計算されることが好ましい。
あるいは、複数の納入元がある場合に、複数の納入元に立ち寄って混載する少なくとも1つの経路を算出する処理と、算出された経路の計画単位期間の財物輸送量を算出する処理とを計算機に実行させ、納入先で財物を在庫することに伴うコストが、計画単位期間に同一経路で納入される財物輸送量に反比例して計算されることが好ましい。
【0027】
財物の輸送に要するコストが、計画単位期間の経路別財物輸送量と輸送用移動体の積載量から算出される輸送用移動体の必要数を利用して計算されることが好ましい。
中継点を経由する少なくとも1つの経路と中継点を経由しない少なくとも1つの経路を算出する処理を実行させ、財物の輸送に要するコストを経路毎に算出することが好ましい。
中継点同士を移動する往路輸送量と復路輸送量のうちの大きい方の輸送量に基づいてその中継点間の往復の輸送コストを計算させることが好ましい。
【0028】
計算機に規格化された運行時間を記憶しておき、輸送用移動体毎の運行時間が規格化された運行時間に近似する輸送時間計画を計算する処理を計算機にさらに実行させることが好ましい。
計算機に規格化された立ち寄り回数を記憶しておき、規格化された立ち寄り回数の制約下で、輸送用移動体が運行時間内に立ち寄る納入元と中継点と納入先を計算する処理を計算機にさらに実行させることが好ましい。
【0029】
【発明の実施の形態】最初に、以下に説明する実施例の主要な特徴を最初に列記する。
(形態1)複数の納入元がある場合に複数の納入元に立ち寄って混載する少なくとも1つの経路を算出する手段を備え、財物の輸送に要するコストが経路毎に算出されることを特徴とする物流計画立案装置。
(形態2)計算機によって複数の納入元に立ち寄って混載する少なくとも1つの経路を算出する工程を備え、財物の輸送に要するコストが経路毎に算出されることを特徴とする物流計画立案方法。
(形態3)計算機に、複数の納入元に立ち寄って混載する少なくとも1つの経路を算出する処理と、財物の輸送に要するコストを経路毎に算出する処理を実行される物流計画立案プログラム。
(形態4) 需要減少時に発生する過大在庫を、先行して購入する投資コストに換算する手段を持つ物流計画立案装置。
(形態5) 需要減少時に発生する過大在庫を、先行して購入する投資コストに計算機で換算する工程を持つ物流計画立案方法。
(形態6) 計算機に、需要減少時に発生する過大在庫を、先行して購入する投資コストに換算する処理を実行させる物流計画立案プログラム。
(形態7) 需要減少時に発生する過大在庫を保管するスペースの確保費用を計算する手段を持つ物流計画立案装置。
(形態8) 需要減少時に発生する過大在庫を保管するスペースの確保費用を計算機で計算する工程を持つ物流計画立案方法。
(形態9) 計算機に、需要減少時に発生する過大在庫を保管するスペースの確保費用を計算する処理を実行させる物流計画立案プログラム。
(形態10) 納入元と中継点と納入先のそれぞれに対する計画単位期間の立ち寄り回数を規格化しておき、その規格化された範囲内で最適回数を探索する手段を備える物流計画立案装置。
(形態11) 納入元と中継点と納入先のそれぞれに対する計画単位期間の立ち寄り回数を規格化しておき、計算機によって規格化された範囲内で最適回数を探索する工程を備える物流計画立案方法。
(形態12) 納入元と中継点と納入先のそれぞれに対する計画単位期間の立ち寄り回数を規格化しておき、計算機によって規格化された範囲内で最適回数を探索する処理を実行させる物流計画立案プログラム。
【0030】
【実施例】
(第1実施例) 最初に実施例の全体を示すために、詳細が単純化された実施例の説明をする。詳細な実施例は実施例2に示される。
図1は、納入元(部品工場)から納入先(自動車工場)に反復継続して財物(自動車部品)を納入する場合を示す。自動車工場では、部品を使用して自動車を生産する活動を継続的に進めており、部品の在庫量はのこぎり刃状に変化する。(A)は従来技術で立案される物流計画を示し、輸送用移動体(トラック)10の積載量Wに合わせて部品を満載して輸送する計画が立案される。納入の時間間隔(t3−t1)の間に使用される部品量と、トラック10の積載量Wが等しければ、部品は過不足なく納入される。(A)の場合、部品輸送に必要なコストは最小に押さえられる。従来の技術では最小輸送コストで部品を輸送する物流計画が立案される。
【0031】
(A)の場合、平均してV円(平均的に在庫されている部品量W/2に部品単価を乗じた額)が在庫されている。V円の価値の在庫をしておくためには、その金利に相当するコストが発生する(V円を借りていれば金利が実際に発生し、自己資金であれば金利分を逸失する。これはコストに他ならない。)。
また(A)の場合、納入直後にW量の部品を保管するスペースが必要とされ、その保管スペースを確保するためのコストが発生する。部品を貸し倉庫に保管する場合には、賃貸料にかかるコストが直接的に明らかとなる。
【0032】
(B)は、計画単位期間の部品必要量Wを2回に分けて輸送する場合を示す。2回に分けて輸送することから輸送コスト自体は増大する。
しかしながら平均部品在庫量は半減し、在庫部品の経済的価値も半分(V/2)ですむ。(A)と(B)を比較すると明らかに、(A)の方式ではt1の時点でW量分の部品を購入する必要があるのに対し、(B)の方式ではt1の時点でその半分の部品を購入すればよい。その差は、(A)の場合には時刻t2〜t3までの部品を時刻t1で先行して購入するのに対し、(B)の場合には時刻t2〜t3までの部品を時刻t1で先行して購入する必要がないのに起因する。経済的価値ある部品を先行して購入するために必要とされる投資のためのコストは納入回数(納入間隔、または一度の納入量)に依存して変化し、納入回数が多いほど、先行して購入するのに必要な投資コストは小さくなる。先行投資をするためのコストは、一度の納入量(または納入間隔)に比例し、納入回数に反比例する。
2回に分けて納入する場合、W/2量の部品を保管するスペースさえあれば良く、保管スペースの確保のためのコストも半減する。
同種のことが、3回に分けて輸送する場合、4回に分けて輸送する場合にもいえる。
【0033】
そこで本実施例では、輸送コストだけでなく、部品を先行して購入するのに必要な投資コストと保管スペースの確保に必要なコストとの合計で計算される在庫コストをも考慮し、全体のコストを考察対象とする。納入先で必要なときに必要なだけの部品を確保するために必要とされるコストには、輸送コストだけでなく、部品を先行して購入するのに必要な投資コストと、保管スペースの確保に必要なコストの全体コストが必要とされるので、これらの総和を物流コストとして考察対象とする。
【0034】
図1の(C)は、横軸に計画単位期間内の納入回数をとり、縦軸にコストを取っている。c2は輸送コストを示し、輸送回数を増やして小分けして納入するほど、計画単位期間に必要とされる輸送コストは増大する。c1は在庫コスト(先行して購入するための投資コスト+保管スペースの確保のためのコスト)を示し、納入回数を増やして小分けして納入するほど在庫コストは圧縮される。c3は両者を合計した物流コストを示し、c4回に分けて納入するときに物流コストが最小となることを例示している。
この場合、計画単位期間にc4回に分けて納入するときに、必要な時に必要なだけの部品を納入先で確保するのに必要なコストは最小となる。
【0035】
需要変動が予想される場合、需要の急増に対応できるだけの部品を余分に在庫する必要がある。(A)の場合、計画単位期間に1回しか納入されないことから、部品の使用ペースが2倍になることを想定すると、常時W量の部品を余分に在庫しておく必要がある。これに対して、(B)の場合、部品の使用ペースが2倍になることを想定しても、W/2量の部品を余分に在庫しておけば足りる。時刻t2での部品納入量をふやすことができるからである。需要の増大に備えておくための在庫量にも納入間隔が影響する。
(A)の場合、需要の増大に備えて在庫しておかなければならないW量の部品に対して先行購入のコストと保管スペース確保のコストがかかる。納入間隔の間に使用されるW量の部品を確保するのに、平均してW/2量の部品に対する先行購入コストと保管スペースの確保コストがかかることになる。(B)の場合、需要の増大に備えて在庫しておかなければならない部品量はW/2ですみ、W/2に対する先行購入のコストと保管スペースの確保のコストで足りる。納入間隔の間に使用されるW/2量の部品を確保するのに、平均してW/4量の部品に対する先行購入のコストと保管スペースの確保のコストですむことになる。
需要変動がある場合には、需要変動に備えて在庫しておかなければならない在庫に対する在庫コストを加味して物流コストを計算することが好ましい。
【0036】
需要が減少すると過大在庫となる。即ち、先行して購入した期間が長大なものとなり、より短い周期で納入していれば少なくすんでいたはずの投資コストに比して大きな投資コストとなってしまう。保管コストも過大在庫に対して増大してしまう。
需要変動がある場合には、需要減少時に生じる過大在庫を、先行投資コストと保管スペースのコストに換算して物流コストを計算するのが好ましい。
【0037】
図1では、単一の納入元と単一の納入先の間で本技術を適用した。そのために納入回数を増やすほど、輸送コストが増大した。
図2では、複数の納入元から共通の納入先に輸送する場合を示す。(A)は、従来の技術で立案される物流計画を例示しており、各納入元から部品を満載して直送される。輸送コスト自体は最小となる。
これに対して(B)は、中継点を利用して中継点と納入先の間の財物(部品)の輸送量を増大させた場合を示している。この場合、(A)でも(B)でも、納入先に大型トラックが計画単位期間に2度納入することになり、(A)でも(B)でも輸送コストは大して変わらない(中継点までは近距離であり、輸送コストは無視できるとする。)。この場合(A)でも(B)でも、輸送コストは大して変わらないのに、財物ア(納入元aから納入される部品)や財物イ(納入元bから納入される部品)を先行して購入するコストや、財物アや財物イを保管するスペースを確保するための在庫コストは半減される。
中継点を利用して中継点と納入先間の計画単位期間の財物輸送量を増やすと、輸送コストを上げないで多回数で輸送することが可能となり、輸送コストを増大させないようにしながら物流コストを低減することが可能となる。
【0038】
図2の(B)では、中継点を利用して納入先に到着する経路単位で見たときの計画単位期間の財物輸送量を増大させる。経路毎の計画単位期間の財物輸送量が増大すれば、輸送コストを増大させないで納入回数を増大させることができる。トラックの積載量が一定であれば、経路の計画単位期間の財物輸送量に比例して納入回数が増えることになり、毎回の納入量に含まれる同一部品の納入量は納入回数に反比例して減少する。中継点を利用して混載を誘導し、同一経路から納入される財物輸送量を増大させることによって、財物を先行して購入する投資のためのコストと、財物を保管するスペースを確保するための在庫コストは圧縮される。したがって、在庫コストは、同一経路から納入される財物輸送量に反比例する。
【0039】
図2の(B)では、中継点を利用して混載を促進した。中継点がなくても、図2の(c)に模式的に示すように、同一輸送用移動体が複数の納入元に立ち寄って混載してから納入先に納入する方式を採用することによって混載を推進することができる。図2の(C)の場合、それぞれ1日に1回納入する納入元a,b,cを巡って混載することによって、1日に3回に分けて納入することが可能となることを例示している。それぞれの納入元a,b,cから1日に1回納入する輸送コストも、納入元a,b,cを巡って1日に3回納入するコストも大差ないのに対し、在庫コストは、1日に3回納入することによって1/3に圧縮される。
【0040】
中継点を利用して混載する方式、あるいは複数の納入元に立ち寄って混載する方式を許容すると、納入先で財物を在庫することに伴うコストは計画単位期間に同一経路で納入される財物輸送量に反比例することから、在庫コストを圧縮する物流計画が立案される。
また、中継点を経由する少なくとも1つの経路と中継点を経由しない少なくとも1つの経路を算出し、算出された経路の計画単位期間の財物輸送量を算出するようにすると、中継して混載する場合と混載しないで直行する場合が対比され、より合理的な物流計画が立案される。
【0041】
中継点を利用して混載する方式、あるいは複数の納入元に立ち寄って混載する方式を許容すると、上記したようにして在庫コストが圧縮される可能性が生じるだけでなく、積載効率が増大して輸送コスト自体が圧縮される可能性がある。この場合、輸送コストと在庫コストとの双方が圧縮される物流計画が立案される。
【0042】
図3は、財物を先行して購入するのに要する投資コストと、計画単位期間に同一経路で納入される財物輸送量の関係を示している。通常のトラックの積載量は一定であることから、同一経路で納入される財物輸送量が増加するほど納入回数は増やされ、各種類の財物の毎回の納入量は納入回数に反比例して減少する。
財物を先行して購入するのに要する投資コストは、計画単位期間に同一経路で納入される財物輸送量に反比例し、各種類の財物の毎回の納入量に比例する。即ち、各種類の財物の計画単位期間の必要量を納入回数で除した値に各財物の単価を乗じた額に比例する。
【0043】
図4は、在庫する財物の保管スペースの確保に必要なコストの計算式を示し、各種類の財物の計画単位期間の必要量を納入回数で除した値に各財物の保管スペース確保単価を乗じた額に比例する。
図5は、需要増大に備えて財物を先行購入するのに必要な投資コストの計算式を示し、(発注〜納入までの期間×財物の使用増大量/計画単位期間)に部品単価を乗じた額に比例する。発注〜納入までの期間は納入回数に反比例する。
図6は、納入先で財物を在庫するために必要な総コストを示し、図3から図5のコストの総和に相当する。図3から図5のコストのいずれもが納入回数に反比例することから、在庫コストは納入回数に反比例する。その納入回数は、計画単位期間の経路別財物輸送量に比例することから、混載して経路別財物輸送量を増大させることによって在庫コストは圧縮される。混載しないで1日に1回輸送するものを、混載することによって1日n回輸送するようにすると、在庫コストは1/nに圧縮される。
【0044】
中継点を利用すると混載を促進することができ、混載することによって在庫コストが圧縮される。本実施例では、在庫コストを含む物流コストを最小とする輸送計画が探索されることから、中継点を活用する計画が立案される。
図7の(A)は、従来の輸送コストの計算方法を示し、輸送距離と輸送時間と輸送荷量によって輸送コストを計算する。混載しても輸送コストは変化しないために、混載する輸送計画は立案されない。
本実施例では、経路毎の輸送量と輸送用移動体の積載量から必要とされる輸送用移動体の台数を求め、その台数を利用して輸送コストを計算する。輸送距離や輸送時間は、輸送便1回(あるいは1台)あたりの単価に反映される。
図7の(C)の横軸は、経路毎の輸送量を示し、必要とされる輸送用移動体の台数が同一であれば、輸送コストは変わらないとしている。即ち、輸送コストは輸送量に対してリニアに増大せず、ステップ的に変動する。このほうが実際のコストに良く近似する。
図7の(C)のc5は2台目の積載量がわずかであり、c6まで輸送量が増えてもコストが増えないことを例示している。この場合、図7の(A)の納入元aからの輸送量がc5であり、それに納入元bからの輸送量を加えたものが輸送量c6であるとすれば、図7の(B)に示すように、中継点を利用して納入元aからの輸送量と納入元bからの輸送量を混載したほうが安価に輸送できることが分かる。中継点がない場合でも、納入元aから納入元bに立ち寄ってから納入するようにすることで安価に輸送できることが分かる。
図7の(C)に例示するステップ的な輸送コストを組み入れることによって、実際に適応した輸送コストが計算され、混載することによって安価に輸送できる場合には混載して安価に輸送する輸送計画が立案される。
【0045】
図8の(A)は中継しないで直送する輸送ルートを例示している。(B)は中継する輸送ルートを示している。中継すると、中継点間で往復する輸送量を増大させられることが分かる。
往路輸送と復路輸送がともに存在する場合、輸送量が大きい方の片道分の輸送コストをかければ反対方向の輸送コストはほとんどかからないことが知られている(どのみち戻ってこなければならず、輸送しながら戻るときと空荷で戻るときのコスト差は小さい。)。中継点を利用すると、中継点間で往復する輸送量を増やすことができ、余分なコストをかけないで輸送できる機会が増える。
往路輸送量と復路輸送量のうちの大きい方の輸送量によって往復の輸送コストを計算するようにすると、図8(A)では復路輸送が計算されないために、輸送コストが高価となる。(B)では、中継点間で双方向に輸送し、復路の輸送コストは安価であるとして輸送コストが計算されることから、安価な輸送コストが計算される。往路輸送量と復路輸送量のうちの大きい方の輸送量による輸送コストを評価対象として輸送計画を立案すると、(A)に代わって(B)が立案されやすい。また、実情に合った輸送コストが計算される。
輸送量が大きい方の片道分の輸送コストをかければ反対方向の輸送コストはほぼゼロであるとして物流計画を立案すると、輸送コストの観点でも中継点を利用して混載する計画が立案されやすくなり、また、混載する方が在庫コストが圧縮されることから、中継点を活用して混載しながら効率的に輸送する計画が立案されやすくなる。
【0046】
図9は、納入元a,b,c,dから納入先A,Bに、図示する量の財物を計画単位期間毎に納入する必要がある場合を例示している。ここでは中継点α,βが利用可能である。各納入元から納入先への財物量は、表90から明らかになったものであり、例えば、納入元aから納入先Aにはx1m3の財物が輸送されることがわかる。
図10と図11は、様々な輸送経路の候補のうちの二つの候補(図10では候補1、図11では候補2)を例示している。本実施例では、計算機で、実現可能な様々な輸送経路を仮定し、仮定された輸送経路毎に物流コストを計算し、物流コストを最小とする輸送経路を求める。計算機は、複数の輸送元に立ち寄って混載して輸送する経路も計算する。
図12は、図10の候補1を利用する場合の経路毎の輸送量を示し、図13は、図11の候補2を利用する場合の経路毎の輸送量を示している。
図12と図13に例示する経路と輸送量が与えられると、計画単位期間内の納入回数を変数として、在庫コストと輸送コストを計算することが可能となる。各経路に対して、納入回数を変数として、在庫コストと輸送コストを加算した物流コストを計算することができる。そこで、経路毎に物流コストを最小とする納入回数を演算することができ、経路毎に納入回数を工夫することで最小化された物流コストを計算することができる。経路毎の最小物流コストを比較することで、物流コストを最小とする輸送経路を計算して探索することができる。
【0047】
図14は、探索された輸送経路と納入回数を例示しており、図13の候補2ではなく図12の候補1の輸送経路によるほうが物流コストを安価に抑えることができ、経路毎の輸送量を、分母に示す納入回数で納入するときに、物流コストが最小化されることを例示している。
【0048】
物流コストが最小となる輸送経路と納入回数を探索する技術によって、中継点を新設するための最適な立地場所を検討することもできる。この場合は、実際には存在しない仮想の複数の中継点を候補の立地場所に設置して、これらの中継点の候補の立地場所を通る仮想の経路を生成する。生成された仮想の経路を用いて複数の仮想の輸送経路を構成する。これらの仮想輸送経路を候補の輸送経路として、上述した輸送経路の探索方法と同様に、仮想輸送経路の候補の中から物流コストを最小とする輸送経路を求める。
上述のような物流コストが最小となる輸送経路と輸送回数を探索する技術を用いることで、中継点を新設するための最適な立地場所を検討することが的確に支援される。また、予め仮想の中継点の候補を複数設けておくことで、一回の計算の中で最適な立地場所を検討することができる。したがって、仮想の中継点の候補を一つずつ設けて最小な物流コストを算出し、算出した最小物流コストの結果を設けた中継点の全てについて比較して検討する方法に比して、格段に計算時間が節約される。
【0049】
図15は本実施例に係る物流計画立案装置のシステム構成を示している。
道路地図情報ファイル1は、道路情報と渋滞情報を記憶している。拠点位置情報ファイル3は、納入元と中継点と納入先の位置情報を記憶している。
時間距離計算部2は、道路地図情報ファイル1と拠点位置情報ファイル3とから、拠点間の距離と、走行に要する時間を計算する。拠点間の距離と走行時間とから、トラック1台の拠点間の輸送単価が計算される。本実施例では、輸送単価と、必要なトラックの台数または輸送回数によって、輸送コストを計算する。
【0050】
拠点−トラック能力情報ファイル5には、どの拠点にどのトラックが配置されており、それぞれのトラックにはどれだけ積載することができるか(輸送能力)の情報を記憶している。積載能力は、容積と重量で制約され、いずれかの積載能力を超える計画は立案されない。
輸送コスト情報ファイル7には、トラック毎の輸送コストを計算するのに必要な情報が記憶されている。輸送コストは輸送単価から算出される。前記したように、輸送単価は、拠点間の走行時間と距離とから計算される。この関係はトラックの種類毎に相違する。また、拠点間の移動に高速代が必要となる場合があり、高速代も輸送単価に影響する。トラック1台分の拠点間の輸送単価を計算するのに必要な情報として、拠点間の走行時間と距離と高速代の情報が輸送コスト情報ファイル7に記憶されている。
財物量情報ファイル9には、図9の表90に例示したデータ、即ち、計画単位期間の間に「どの納入元からどの納入先にどの財物をどれだけ納入する必要があるか」を示すデータが記憶されている。
集約メリット情報ファイル11には、財物を集約することで安価となる各種の情報が記憶されている。例えば、図7の(C)に示したように、輸送量c5でもc6でも輸送コストは大差ないために、財物を集約してc6の輸送量にした方がコスト上は有利であるといった情報を記憶している。あるいは、図8の(B)に例示したように、往復輸送経路を導入すると、復路の輸送コストが安価になるという情報を記憶している。本実施例では、中継点間を移動する往路輸送量と復路輸送量のうちの大きい方の輸送量によってその中継点間の往復の輸送コストを計算する。即ち、少ないほうの輸送コストはゼロであるとする。これにかえて割引料金を適用することがあり、この場合には、割引に関する情報が集約メリット情報ファイル11に記憶される。
【0051】
多回数メリット情報ファイル13には、計画単位期間の納入回数を増やすことによって、先行して購入するための投資コストや保管スペースの確保のコストが圧縮されることを示す情報が記憶されている。投資のための金利情報や、保管スペースの賃貸料といった情報が記憶されている。
【0052】
この装置が運転を開始すると、物流計画立案処理が開始される。図16は、物流計画立案処理の手順を示している。ステップS2に示すように、上記した各ファイルに記憶されているデータが計算機に読みこまれて、それ以降の処理を実行可能とする。
【0053】
輸送経路計画部4から詳細ダイヤ作成部12までは、計算機によって構成されている。正確には、そのために作成されたプログラムにしたがって計算機が作動することで一連の処理が実行される。
輸送経路計画部4は、図16のステップS4の処理を実行し、図9の表90に示した財物量データから、図10と図11に例示したような輸送経路の候補を計算して作りだす。
経路輸送量算出部20は、図16のステップS6の処理を実行し、図12と図13に例示した経路毎の輸送量を計算する。
【0054】
物流コストを最小化する輸送経路と納入回数を探索するエンジン8によって、図16のステップS8からS12の処理が繰り返される。ステップS8では、仮定された候補の輸送経路と経路毎の輸送量(図12と図13に例示されている)から、納入回数を1回、2回、3回・・と増やしながら、物流コストを計算する。納入回数が少ないほど輸送コストは圧縮される。逆に、納入回数が多いほど在庫コストは圧縮される。ステップS8によって、物流コストを最小とする納入回数が演算され、そのときの最小物流コストが算出される。
図16のステップS10では、所定の回数だけ、ステップS4からS8の処理を繰り返させる。ステップS4では、繰り返すたびに、新しい輸送経路の候補を作りだす。この段階では遺伝的アルゴリズム等の最適解探索法で用いられる候補作成手法が応用される。
ステップS4からS8の処理を多数回にわたって繰り返すことによって、計画単位期間内の物流コストを最小化する最適な輸送経路と納入回数が決定される(ステップS12)。物流コストを最小化する輸送経路と納入回数を探索するエンジン8は、ステップS4からS8の処理を多数回にわたって繰り返し、図10と図11に例示したような候補の輸送経路について検討することで、最終的に物流コストを最小にする輸送経路と納入回数を算出する。
探索エンジン8で最適納入回数を探索する際に、納入回数を規格化しておいてもよい。例えば、偶数回に規格化したり、あるいは、2の累乗倍(2,4,8,16・・)に規格化することができる。規格化することで、出荷や入荷作業のスケジューリングが格段にやりやすくなる。
【0055】
納入便分割部10は、図16のステップS14において、物流コストを最小化する輸送経路と納入回数から、1回に納入される納入量を計算する。その一例が図14に示され、例えば、中継点αから納入先Aには2回に分けて納入され、毎回には、(納入元aから納入先Aに納入する部品量x1と、納入元cから納入先Aに納入する部品量x5と、納入元dから納入先Aに納入する部品量x7)の半量を納入することによって、物流コストを最小に押さえられることが例示されている。
【0056】
詳細ダイヤ作成部12は、図16のステップS16において、納入回数等に基づいて、輸送用移動体毎に、何時にどこを出発して何時にどこに到着するかを示す時刻の計画を作成する。経路と納入回数は既に決められており、どの経路のいつの納入をどの輸送用移動体に分担させるかを決定する。
【0057】
詳細ダイヤの決定段階では、輸送用移動体が仕事をはじめてから仕事を終了するまでの時間(運行時間)が、直当たりの稼動時間の約数に近似するように決定する。直当たりの稼動時間が8時間であれば、整数で割り切れる2時間、4時間、8時間のいずれかに近似する時間計画を優先して探索する。即ち、2時間、4時間、8時間といった規格化された時間に良く近似する時刻計画を作成する。運行時間が規格化されていると、勤務シフトが組みやすく、運用しやすい。
【0058】
また、詳細ダイヤの決定段階では、輸送用移動体が運行時間内に立ち寄る納入元と中継点と納入先の立ち寄り回数を規格化しておき、規格化された立ち寄り回数の制約下で輸送用移動体の担当経路を計算することが好ましい。
この場合、例えば2直勤務の納入先のいずれの直で受け入れ作業を担当するかといった問題を単純に決定することが可能となり、運用しやすい計画が立案される。
【0059】
結果表示部14では、決定された輸送経路と納入回数と、作成された詳細なダイヤが表示される。表示は通常、デジタル地図描画、ダイヤグラム表示、スケジュールのガントチャート表示等の、視覚的に理解が容易な方法でなされる。
これらの表示が運行作業に従事する者に示されることで、各輸送用移動体の日々の実際の輸送業務が行われる。
【0060】
データ出力部15では、外部システムや外部機器等へ、決定された輸送経路と輸送回数、作成された詳細ダイヤのデータが出力される。
例えば、部品を生産している納入元に設置されているシステムにこれらのデータが出力されることで、納入元はいつまでにどのくらいの量の部品を生産しておくべきかを把握できることになる。
【0061】
(第2実施例)次に、詳細な実施例を示す。
図17は、ある物流網を例示している。この物流網には、a,b,c,d,ef,gの7つの納入元と、A,B,Cの3つの納入先が存在する。また、α,βの2つの中継点が存在する。この物流網では、納入先Aには納入元a,b,c,d,eから、納入先Bには納入元c,e,f,gから、納入先Cには納入元e,f,gから財物が納入される。
それぞれの納入元には、計画単位期間内に納入先へ納入する財物量が決められている。図17に示すように、納入元aからは納入先Aへ40m3、納入元bからは納入先Aへ40m3、納入元cからは納入先Aへ20m3、納入先Bへ30m3、納入元dは納入先Aへ20m3、納入元eからは納入先Aへ40m3、納入先Bへ50m3、納入先Cへ40m3、納入元fからは納入先Bへ40m3、納入先Cへ60m3、納入元gからは納入先Bへ30m3、納入先Cへ60m3の財物が計画単位期間内に納入される。
この財物量の情報は、図15の財物量データベース9に記憶されており、図18にデータの例が示されている。
【0062】
図15の各ファイル(1から13)に記憶されたデータが計算機に読み込まれ、当該物流エリアにおける物流計画立案処理が開始される(図16のステップS2)。
【0063】
図15の輸送経路計画部4で、輸送経路が計画される(図16のステップS4)。輸送経路は、図18に示された財物量データから、候補の輸送経路を計算して作り出す。
図19に、候補の輸送経路が作成される前段階として、候補の輸送経路に含まれる納入元と中継点が選択された例を示す。納入先Aに対する納入元c,dから納入される財物は中継点αに集約され、納入先Bに対する納入元c,gから納入される財物は中継点βに集約され、納入先Cに対する納入元eから納入される財物は中継点βを中継する。したがって、納入先Aには納入元a,b,c,eと中継点αから、納入先Bには納入元e,fと中継点βから、納入先Cには納入元f,gと中継点βから財物が納入されるという選択がなされている。
図19のように各納入先に対する納入元と中継点が選択されると、図20のような候補の輸送経路が作成される。選択された納入元や中継点と、納入先との位置等の関係から、最も適切な輸送経路が候補の輸送経路として仮に作成される。輸送経路(1)では、輸送用移動体が納入先Aを出発して、納入元a,e、中継点α、納入元bに立寄って集荷し、納入先Aに戻ってくる。輸送経路(2)では、輸送用移動体が納入先Bを出発して、納入元f,eに立寄って集荷し、納入先Bに戻ってくる。輸送経路(3)では、輸送用移動体が中継点βを出発して納入先Bに納入する。輸送経路(4)では、輸送用移動体が納入先Cを出発して、納入元g、中継点βに立寄って集荷し、納入先Cに戻ってくる。輸送経路(5)では、輸送用移動体が納入元fを出発して納入先Cに納入する。
【0064】
図20のような候補の輸送経路が作成されると、経路毎の輸送量が計算される(図16のステップS6)。
図21に、図20の候補の輸送経路の経路毎の輸送量の計算結果を示す。図18に示された財物量データから、納入元c,dから納入先Aに納入される財物量(それぞれ20m3)が中継点αで集約されて40m3となっている。納入元c,gから納入先Bに納入される財物量(それぞれ30m3)が中継点βで集約されて60m3となっている。
【0065】
候補の輸送経路の中から、物流コストが最小となる輸送経路と納入回数が探索される(図16のステップS8)。例えば、図20の候補の輸送経路に対して、納入回数を1回、2回、3回・・・と増やしながら、物流コストを計算する。物流コストは、輸送コストと在庫コストとから計算される。例えば、図15の輸送コスト情報ファイルから、輸送コストとして走行距離の単価が1km当たり1,000円、走行時間の単価が1時間当たり2,500円、高速代が拠点間の距離が50km以上の経路について1km当たり20円という情報が与えられ、多回数メリット情報ファイル13から、投資のための金利が1%、保管スペースの賃貸料が1m3当たり200円という情報が与えられているとする。これらの情報から、図1の(C)のc4で示されるように、輸送コストと在庫コストとを合計した物流コストが最小となる納入回数が探索される。
【0066】
予め設定された所定の回数だけ、候補の輸送経路と納入回数を探索する処理が繰り返し行われる(図16のステップS10)。繰り返すたびに、新しい輸送経路が作り出され、その輸送経路についての最適な納入回数が算出される。
所定の回数だけ探索処理が行われると、探索された全ての輸送経路と納入回数の中から、輸送コストが最小となる輸送経路と納入回数が決定される(図16のステップS12)。
図22に、図20の候補の輸送経路が最適な輸送経路として決定され、最適な納入回数が算出された場合を例示する。輸送経路(1)の納入回数は4回、輸送経路(2)の納入回数は4回、輸送経路(3)の納入回数は2回、輸送経路(4)の納入回数は2回、輸送経路(5)の納入回数は2回として算出されている。
【0067】
輸送コストが最小となる輸送経路と納入回数が決定されたら、1回に納入される輸送量が計算される(図16のステップS14)。
図22に示すように、1回に納入される輸送量は、輸送経路(1)においては、納入元aから10m3、納入元eから10m3、中継点αから10m3、納入元bから10m3、輸送経路(2)においては、納入元fから10m3、納入元eから12.5m3、輸送経路(3)においては、中継点βから30m3、輸送経路(4)においては、納入元gから30m3、中継点βから20m3、輸送経路(5)においては、納入元fから30m3と計算されている。
【0068】
以上のように、物流コストが最小となる輸送経路と輸送回数が決定され、1回に納入される輸送量が計算されたら、どの経路といつの納入をどの輸送用移動体に分担させるかを決定し、詳細ダイヤを作成する(図16のステップS16)。
詳細ダイヤが作成されると、物流計画立案処理が終了する。
【0069】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【0070】
【発明の効果】
以上のように、本発明の技術によって、単に輸送コストのみを考えるだけでなく、在庫コストをも併せて考慮することで、財物の納入を反復継続的に必要とする納入先で、必要なときに必要なだけの財物を確保するのに要する物流コスト全体を最小とする物流計画が立案される。
また、本発明の技術によって、中継点や複数の納入元に立ち寄って混載することによって在庫コストや輸送コストが下げられる場合には、混載を積極的に活用して物流コストを低減する計画が立案される。
このように物流コストを抑える計画を立案することで、結果としてより安価に製品を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】単一の納入元と単一の納入先の間で財物を納入する場合を例示する図である。
【図2】複数の納入先から共通の納入先に財物を納入する場合を例示する図である。
【図3】財物を先行購入するのに要する投資コストを示す図である。
【図4】在庫スペースの確保に必要なコストの計算式を示す図である。
【図5】需要増大に備えて部品を財物を先行購入するのに必要なコストの計算式を示す図である。
【図6】納入先で財物を在庫するために必要な総コストを示す図である。
【図7】中継点を経由して納入先に財物を納入する場合を例示する図である。
【図8】中継点を経由して納入先に財物を納入する場合を例示する図である。
【図9】納入元から納入先への輸送量を示す図である。
【図10】輸送経路の候補を例示する図である。
【図11】輸送経路の候補を例示する図である。
【図12】輸送経路の候補を利用する場合の輸送量を例示する図である。
【図13】輸送経路の候補を利用する場合の輸送量を例示する図である。
【図14】探索された輸送経路と納入回数を例示する図である。
【図15】物流計画立案装置のシステム構成を示す図である。
【図16】物流計画立案処理の手順を示す図である。
【図17】ある物流網を例示する図である。
【図18】財物量データを例示する図である。
【図19】候補の輸送経路に含まれる納入元と中継点が選択された例を示す図である。
【図20】輸送経路の候補を例示する図である。
【図21】輸送経路の候補の経路毎の輸送量の計算結果を例示する図である。
【図22】候補の輸送経路の納入回数と1回当たりの納入量を示す図である。
【符号の説明】
1 :道路地図情報ファイル、
3 :拠点位置情報ファイル、
5 :拠点−トラック能力情報ファイル、
7 :輸送コスト情報ファイル、
9 :財物量情報ファイル、
11:集約メリット情報ファイル、
13:多回数メリット情報ファイル、
15:データ出力部、
2 :時間距離計算部、
4 :輸送経路計画部、
6 :経路輸送量算出部、
8 :物流コストを最小化する輸送経路と納入回数を探索するエンジン、
10:納入便分割部、
12:詳細ダイヤ作成部、
14:結果表示部
【発明の属する技術分野】本発明は、部品や製品等の経済的価値を有する財物の物流計画を作成する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば自動車の生産系では、部品工場で部品を生産して部品を自動車組立工場に輸送し、自動車組立工場ではその部品を組み立てて自動車を生産し生産された自動車を出荷する活動を反復継続的に繰り返している。自動車組立工場では部品の納入を反復継続的に必要としている。あるいは、ビールの流通系では、ビール工場でビールを生産してそのビールを営業拠点に輸送し、営業拠点では輸送されたビールを販売する活動を反復継続して繰り返している。ビールの営業拠点ではビールの納入を反復継続的に必要としている。
物流網を構成する拠点間で荷を輸送するときに、最小の輸送コストで荷を輸送するための計画を立案する技術が、特開平11−102394号公報に開示されている。この技術を用いることで、輸送コストを最小化することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の技術によって輸送コストを最小化することができても、それによって物流コストが最小化されるわけでない。例えば、自動車部品工場aから自動車組立工場Aに1日あたり合計の占有体積にして30m3の部品を納入する場合を考える。輸送コストのみを考えれば、30m3積載できる輸送用トラックを用いて30m3の部品を一度に納入するのが最も合理的である。しかしながら、自動車組み立て工場が必要な時に必要なだけの部品を確保するのに要するコスト(ここでは物流コストという)を考慮すると、上記の納入が合理的であることが保障されない。
【0004】
一度にまとめて納入することは、一度にまとめて財物を購入することに相当する。即ち、将来に必要とする財物を先行して購入することに相当する。先行して財物を購入するためには投資が必要であり、投資にはコストが必要とされる。例えば、1日に1個1万円の部品を用いて生産を行い翌日に販売する場合、1日1個を購入する方式を採用すれば、いずれの日でも1万円を投資しているだけであり、1万円に対する利息がコストとなる。それに対して1月分をまとめて購入すると、最初に30万円の先行投資を必要とし、平均しても15万円の先行投資が必要とされる。先行投資に対するコストは15倍となる。納入回数は、財物を先行して購入するために必要な投資額に影響し、投資コストを変化させる。
一度にまとめて納入すれば、大きな保管スペースが必要とされる。先の例でいえば、1日1個を購入するようにすれば1個分の保管スペースを確保すればよいのに対し、30個をまとめて納入する場合には30個分の保管スペースを必要とする。まとめて納入すれば、輸送コストが安価となる反面、保管スペースを確保するコストが増大する。
一度にまとめて納入すれば、納入間隔は長期化する。需要の変動がある場合、納入間隔が長期化するほど、増大する需要に備えて在庫しておく必要量が増大する。先の例でいえば、1日に一度納入する方式であれば、需要が倍になることを想定しても1個の在庫を余分に確保しておけばよいのに対し、30日に一度納入する方式であれば、需要が倍になることを想定すれば30個の在庫を余分に確保しておかなければならない。余分に在庫することは、前記した先行投資コストを増大させ、保管スペースを確保するためのコストを増大させる。
上記の例では、便宜上理解しやすいように、1日に一度納入する場合と30日に一度納入する場合を対比して説明したが、1日に多数回に分けて納入する場合と1日に一度納入する場合でも、物流コストは変わってくる。
【0005】
物流網に中継点を設けることが多い。中継点を設けると、空荷で走行したり積載効率が低い状態で走行する機会を減少させることができる。あるいは、複数の納入元に立ち寄って混載することによって、多回数で納入することと積載効率を高めて輸送コストを低減させることを両立させることができる。しかしながら、従来の技術では、輸送コストを、輸送距離や輸送荷量によって計算しており、中継点を利用したり複数の納入元に立ち寄ったりして荷を混載し、積載効率を高めることによって輸送コストが低減されるという実情を反映していない。このために従来の技術では、中継点が利用される場合でも、あるいは複数の納入元に立ち寄って混載することができる場合でも、輸送コストを最小化させるためにそれぞれの納入元で最大に積載して納入先に直送する輸送計画が立案され、混載する計画が立案されにくい。
従来の技術は、一度にまとめて輸送することによって輸送コストを下げる輸送計画を立案しているため、混載する輸送計画を立案しないし、混載することによって多回数で納入される計画を立案しないし、多回数で納入することによって先行投資コストや保管コスト等の在庫コストを圧縮する計画を立案しない。
【0006】
本発明の1つの目的は、単に輸送コストのみを考えるだけでなく、財物の納入を反復継続的に必要とする納入先で、必要なときに必要なだけの財物を確保するのに要するコスト(ここでいう物流コスト)を考慮し、物流コストを最小とする物流計画を立案する技術を実現することである。
本発明の他の1つの目的は、中継点や複数の納入元に立ち寄って混載することによって在庫コストや輸送コストが下げられる場合には、混載を積極的に活用して物流コストを低減する計画を立案する技術を実現することである。
【0007】
【課題を解決するための手段と作用】本発明は、物流計画立案装置に具現化することができる。この物流計画立案装置は、財物の納入元から、財物の納入を反復継続的に必要とする納入先に、輸送用移動体に財物を積載して反復継続的に輸送して納入する物流計画を立案する。本発明の物流計画立案装置は、計画単位期間に納入先が必要とする財物量を記憶している財物量記憶手段と、一度に納入する納入量または計画単位期間の納入回数を変数として、当該納入量または納入回数によるときに、納入先で財物を在庫することに伴うコストと財物の輸送に要するコストを合計した物流コストを計算する手段と、計算された物流コストを最小とする納入量または納入回数を演算する手段とを有する。
【0008】
本発明の物流計画立案装置では、財物の輸送に要するコストの他に、納入先で財物を在庫することに伴うコストをも含めて物流コストを計算する。一度にまとめて輸送すると輸送コストが下げられる反面、先行投資コストや保管コストが増大する要素等も加味する。本発明の物流計画立案装置では、計画単位期間の納入回数(これを裏から見ると一度に納入する納入量となる。)を変数とし、先行投資コストや保管コスト等を含む在庫コストと輸送コストを合計した物流コストを計算し、物流コストを最小とする納入回数(従って一度に納入する納入量)を演算する。一度にまとめて輸送する輸送コストに一度にまとめて納入することに伴う在庫コストを加えた物流コスト、2回に分けて輸送する輸送コストに2回に分けて納入することに伴う在庫コストを加えた物流コスト、3回に分けて輸送する輸送コストに3回に分けて納入することに伴う在庫コストを加えた物流コスト等を比較し、物流コストが最小となる納入回数を演算する。
本発明の物流計画立案装置によると、財物を必要とする納入先において、必要な時に必要なだけの財物を確保するのに要するトータルコストが最小となる納入回数(または一度に納入する納入量)が演算され、製品を安価に提供することが可能となる。
【0009】
納入先で財物を在庫することに伴うコストが、財物を先行して購入するための投資コストを含むことが好ましい。輸送コストに比して財物の経済的価値が高い場合には、特に重要である。
【0010】
納入先で財物を在庫することに伴うコストが、財物を保管するスペースを確保するためのコストを含むことが好ましい。輸送コストに比してスペース費用が高い場合、例えば土地代が高い日本のような場合には、特に重要である。
【0011】
納入先で財物を在庫することに伴うコストが、需要変動に備えて納入先で財物を在庫しておくためのコストを含むことが好ましい。需要が急増する可能性がある場合には、特に重要である。需要が急増する可能性がある場合には、輸送コストが割高になっても、納入間隔を短くして需要急増に迅速に対応できるようにしておくと、需要急増に備えて在庫しておく必要のある在庫量が圧縮されて在庫コストが減少することから、結果として物流コストが低減することがある。
なお納入間隔が長い場合、需要の減少時には過大在庫が発生し、先行投資をするコストや過大在庫を保管するスペースのコストが増大する。先行投資コストや保管スペースコストを計算する場合には、需要減少時の過大在庫の影響を織り込んで計算することが好ましい。
【0012】
納入先で財物を在庫することに伴うコストが、計画単位期間に同一経路で納入される財物輸送量に反比例して計算されることが好ましい。
例えば、納入元aから納入先Aに1日に輸送量にして10m3の財物が納入され、納入元bから納入先Aに1日に10m3の財物が納入される場合、納入元aから納入先Aに1日1回10m3の財物が直接に納入される場合には、10m3の財物輸送量に反比例する在庫コストを計算し、納入元aからの10m3の財物と納入元bからの10m3の財物が混載して納入される場合には、合計した20m3の財物輸送量に反比例する在庫コストを計算する。後者の場合、2回に分けて納入することができることから、納入元aからは毎回5m3の財物が納入されることになる。混載して納入される財物輸送量が増大するほど、多回数で納入することが可能となり、一度の納入量を小さくして在庫コストを低減することができる。計画単位期間に同一経路で納入される財物輸送量に反比例させて在庫コストを計算すると、実情に合った在庫コストを簡単に計算することができる。
【0013】
複数の納入元と中継点と納入先がある場合に、中継点を経由する少なくとも1つの経路と中継点を経由しない少なくとも1つの経路を算出する手段と、算出された経路の計画単位期間の財物輸送量を算出する手段をさらに備えており、納入先で財物を在庫することに伴うコストが、計画単位期間に同一経路で納入される財物輸送量に反比例して計算されることが好ましい。
この場合、中継点を利用して混載することによって在庫コストが下げられる場合にはそれを織り込んだ検討がなされるため、中継点を利用して混載することによって物流コストが下げられる物流計画がある場合にはその計画が採用される。
【0014】
複数の納入元がある場合に、複数の納入元に立ち寄って混載する少なくとも1つの経路を算出する手段と、算出された経路の計画単位期間の財物輸送量を算出する手段をさらに備えており、納入先で財物を在庫することに伴うコストが、計画単位期間に同一経路で納入される財物輸送量に反比例して計算されることが好ましい。
この場合、複数の納入元に立ち寄って混載することによって在庫コストが下げられる場合にはそれを織り込んだ検討がなされ、複数の納入元に立ち寄って混載することによって物流コストが下げられる物流計画がある場合にはその計画が採用される。
【0015】
財物の輸送に要するコストが、計画単位期間の経路別財物輸送量と輸送用移動体の積載量から算出される輸送用移動体の必要数を利用して計算されることが好ましい。
実際の輸送コストは、輸送距離や輸送時間や輸送荷量に対してリニアな関係になく、輸送用移動体の必要数に応じてステップ的に変化する。10m3積載できる輸送用移動体を利用する場合、9m3の輸送荷量の輸送コストと10m3の輸送荷量の輸送コストには大差がないのに(ともに1台ですむ。)、10m3の輸送荷量の輸送コストと11m3の輸送荷量の輸送コストには大差が存在する(後者では2台または2回を必要する。)。
輸送用移動体の必要数を利用して輸送コストを計算すると、正確な輸送コストが計算されるのみならず、中継点を利用して混載したり、あるいは複数の納入元に立ち寄って混載することによって積載効率が上がって輸送コストが下げられる場合にはそれを織り込んだ検討がなされ、混載を活用することによって輸送コストが下げられる物流計画がある場合にはその計画が採用される。
【0016】
複数の納入元と中継点と納入先がある場合に、中継点を経由する少なくとも1つの経路と中継点を経由しない少なくとも1つの経路を算出する手段が付加されており、財物の輸送に要するコストが経路毎に算出されることが好ましい。
この場合、中継点を利用して混載することによって輸送コストが下げられる場合にはそれを織り込んだ検討がなされ、中継点を利用して混載することによって物流コストが下げられる物流計画がある場合にはその計画が採用される。
【0017】
中継点間を移動する往路輸送量と復路輸送量のうちの大きい方の輸送量によって、その中継点間の往復の輸送コストを計算するが好ましい。
往路輸送と復路輸送がともに存在する場合、輸送量が大きい方の片道分の輸送コストをかければ反対方向の輸送コストはほとんどかからないことが知られている(どのみち戻ってこなければならず、輸送しながら戻るときと空荷で戻るときのコスト差は小さい。)。中継点を利用すると、中継点間で往復する輸送量を増やすことができ、余分なコストをかけないで輸送できる機会が増える。
往路輸送量と復路輸送量のうちの大きい方の輸送量によって輸送コストを計算するようにすると、中継点で双方向に輸送することによって輸送コストを圧縮する計画が立案される。また、実情に合った輸送コストが計算される。
【0018】
運行時間を規格化しておき、輸送用移動体毎の運行時間が規格化された時間に近似する輸送時間計画を計算する手段が付加されていることが好ましい。
運行時間を規格化しておくと、運行作業に従事する者の勤務時間等を合理的に調整することができ、運用しやすい計画が立案される。
【0019】
輸送用移動体が運行時間内に立ち寄る納入元と中継点と納入先の立ち寄り回数を規格化しておき、規格化された立ち寄り回数の制約下で輸送用移動体の担当経路を計算する手段が付加されていることが好ましい。
この場合、例えば2直勤務の納入先のいずれの直で受け入れ作業を担当するかといった問題を単純に決定することが可能となり、運用しやすい計画が立案される。
【0020】
本発明は、物流計画立案方法に具現化することもできる。本発明の方法は、財物の納入元から財物の納入を反復継続的に必要とする納入先に、輸送用移動体に財物を積載して反復継続的に輸送して納入する物流計画を立案する。本発明の方法は、計算機に下記の工程、即ち、計画単位期間に納入先が必要とする財物量を読み取らせる工程と、一度に納入する納入量または計画単位期間の納入回数を変数とし、当該納入量または納入回数によるときに、納入先で財物を在庫することに伴うコストと財物の輸送に要するコストを合計した物流コストを計算させる工程と、計算された物流コストを最小とする納入量または納入回数を出力させる工程を実行させる。上記の方法、並びに下記の方法の作用効果は、対応する装置の説明からおのずと明らかであり、重複説明を省略する。
【0021】
財物を先行して購入するための投資コストを含むようにして在庫コストを計算することが好ましい。
あるいは、財物を保管するスペースを確保するためのコストを含むようにして在庫コストを計算することが好ましい。
あるいは、需要変動に備えて納入先で財物を在庫しておくためのコストを含むようにして在庫コストを計算することが好ましい。
そして、計画単位期間に同一経路で納入される財物輸送量に反比例するようにして財物の在庫コストを計算することが好ましい。
【0022】
複数の納入元と中継点と納入先がある場合に、計算機によって中継点を経由する少なくとも1つの経路と中継点を経由しない少なくとも1つの経路を算出する工程と、計算機によって算出された経路の計画単位期間の財物輸送量を算出する工程をさらに備えており、計算機で計算される納入先で財物を在庫することに伴うコストが、計画単位期間に同一経路で納入される財物輸送量に反比例して計算されるようにすることが好ましい。
あるいは複数の納入元がある場合に、計算機によって複数の納入元に立ち寄って混載する少なくとも1つの経路を算出する工程と、計算機によって算出された経路の計画単位期間の財物輸送量を算出する工程をさらに備えており、計算機で計算される納入先で財物を在庫することに伴うコストが、計画単位期間に同一経路で納入される財物輸送量に反比例して計算されるようにすることが好ましい。
【0023】
計算機で計算される財物の輸送に要するコストが、計画単位期間の経路別財物輸送量と輸送用移動体の積載量から算出される輸送用移動体の必要数を利用して計算されることが好ましい。
あるいは、複数の納入元と中継点と納入先がある場合に、計算機によって中継点を経由する少なくとも1つの経路と中継点を経由しない少なくとも1つの経路を算出する工程が付加されており、計算機によって計算される財物の輸送に要するコストが、経路毎に算出されることが好ましい。
計算機によって、中継点同士を移動する往路輸送量と復路輸送量のうちの大きい方の輸送量に基づいてその中継点間の往復の輸送コストを計算することが好ましい。
【0024】
運行時間を規格化しておき、輸送用移動体毎の運行時間が規格化された時間に近似する輸送時間計画を計算する工程が付加されていることが好ましい。
あるいは、輸送用移動体が運行時間内に立ち寄る納入元と中継点と納入先の立ち寄り回数を規格化しておき、規格化された立ち寄り回数の制約下で輸送用移動体の担当経路を計算する工程が付加されていることが好ましい。
【0025】
本発明は、物流計画を立案するプログラムに具現化することもできる。本発明のプログラムは、財物の納入元から財物の納入を反復継続的に必要とする納入先に財物を輸送する計画を立案する。本発明のプログラムは、計算機に下記の処理、即ち、計画単位期間に納入先が必要とする財物量を読み取らせる処理と、一度に納入する納入量または計画単位期間の納入回数を変数とし、当該納入量または納入回数によるときに、納入先で財物を在庫することに伴うコストと財物の輸送に要するコストを合計した物流コストを計算させる処理と、計算された物流コストを最小とする納入量または納入回数を演算させる処理とを実行させる。上記のプログラム、並びに下記のプログラムの作用効果は、対応する装置の説明からおのずと明らかであり、重複説明を省略する。
【0026】
このプログラムでは、計画単位期間に同一経路で納入される財物輸送量に反比例するように在庫コストを計算することが好ましい。
複数の納入元と中継点と納入先がある場合に、中継点を経由する少なくとも1つの経路と中継点を経由しない少なくとも1つの経路を算出する処理と、算出された経路の計画単位期間の財物輸送量を算出する処理とを計算機に実行させ、納入先で財物を在庫することに伴うコストが、計画単位期間に同一経路で納入される財物輸送量に反比例して計算されることが好ましい。
あるいは、複数の納入元がある場合に、複数の納入元に立ち寄って混載する少なくとも1つの経路を算出する処理と、算出された経路の計画単位期間の財物輸送量を算出する処理とを計算機に実行させ、納入先で財物を在庫することに伴うコストが、計画単位期間に同一経路で納入される財物輸送量に反比例して計算されることが好ましい。
【0027】
財物の輸送に要するコストが、計画単位期間の経路別財物輸送量と輸送用移動体の積載量から算出される輸送用移動体の必要数を利用して計算されることが好ましい。
中継点を経由する少なくとも1つの経路と中継点を経由しない少なくとも1つの経路を算出する処理を実行させ、財物の輸送に要するコストを経路毎に算出することが好ましい。
中継点同士を移動する往路輸送量と復路輸送量のうちの大きい方の輸送量に基づいてその中継点間の往復の輸送コストを計算させることが好ましい。
【0028】
計算機に規格化された運行時間を記憶しておき、輸送用移動体毎の運行時間が規格化された運行時間に近似する輸送時間計画を計算する処理を計算機にさらに実行させることが好ましい。
計算機に規格化された立ち寄り回数を記憶しておき、規格化された立ち寄り回数の制約下で、輸送用移動体が運行時間内に立ち寄る納入元と中継点と納入先を計算する処理を計算機にさらに実行させることが好ましい。
【0029】
【発明の実施の形態】最初に、以下に説明する実施例の主要な特徴を最初に列記する。
(形態1)複数の納入元がある場合に複数の納入元に立ち寄って混載する少なくとも1つの経路を算出する手段を備え、財物の輸送に要するコストが経路毎に算出されることを特徴とする物流計画立案装置。
(形態2)計算機によって複数の納入元に立ち寄って混載する少なくとも1つの経路を算出する工程を備え、財物の輸送に要するコストが経路毎に算出されることを特徴とする物流計画立案方法。
(形態3)計算機に、複数の納入元に立ち寄って混載する少なくとも1つの経路を算出する処理と、財物の輸送に要するコストを経路毎に算出する処理を実行される物流計画立案プログラム。
(形態4) 需要減少時に発生する過大在庫を、先行して購入する投資コストに換算する手段を持つ物流計画立案装置。
(形態5) 需要減少時に発生する過大在庫を、先行して購入する投資コストに計算機で換算する工程を持つ物流計画立案方法。
(形態6) 計算機に、需要減少時に発生する過大在庫を、先行して購入する投資コストに換算する処理を実行させる物流計画立案プログラム。
(形態7) 需要減少時に発生する過大在庫を保管するスペースの確保費用を計算する手段を持つ物流計画立案装置。
(形態8) 需要減少時に発生する過大在庫を保管するスペースの確保費用を計算機で計算する工程を持つ物流計画立案方法。
(形態9) 計算機に、需要減少時に発生する過大在庫を保管するスペースの確保費用を計算する処理を実行させる物流計画立案プログラム。
(形態10) 納入元と中継点と納入先のそれぞれに対する計画単位期間の立ち寄り回数を規格化しておき、その規格化された範囲内で最適回数を探索する手段を備える物流計画立案装置。
(形態11) 納入元と中継点と納入先のそれぞれに対する計画単位期間の立ち寄り回数を規格化しておき、計算機によって規格化された範囲内で最適回数を探索する工程を備える物流計画立案方法。
(形態12) 納入元と中継点と納入先のそれぞれに対する計画単位期間の立ち寄り回数を規格化しておき、計算機によって規格化された範囲内で最適回数を探索する処理を実行させる物流計画立案プログラム。
【0030】
【実施例】
(第1実施例) 最初に実施例の全体を示すために、詳細が単純化された実施例の説明をする。詳細な実施例は実施例2に示される。
図1は、納入元(部品工場)から納入先(自動車工場)に反復継続して財物(自動車部品)を納入する場合を示す。自動車工場では、部品を使用して自動車を生産する活動を継続的に進めており、部品の在庫量はのこぎり刃状に変化する。(A)は従来技術で立案される物流計画を示し、輸送用移動体(トラック)10の積載量Wに合わせて部品を満載して輸送する計画が立案される。納入の時間間隔(t3−t1)の間に使用される部品量と、トラック10の積載量Wが等しければ、部品は過不足なく納入される。(A)の場合、部品輸送に必要なコストは最小に押さえられる。従来の技術では最小輸送コストで部品を輸送する物流計画が立案される。
【0031】
(A)の場合、平均してV円(平均的に在庫されている部品量W/2に部品単価を乗じた額)が在庫されている。V円の価値の在庫をしておくためには、その金利に相当するコストが発生する(V円を借りていれば金利が実際に発生し、自己資金であれば金利分を逸失する。これはコストに他ならない。)。
また(A)の場合、納入直後にW量の部品を保管するスペースが必要とされ、その保管スペースを確保するためのコストが発生する。部品を貸し倉庫に保管する場合には、賃貸料にかかるコストが直接的に明らかとなる。
【0032】
(B)は、計画単位期間の部品必要量Wを2回に分けて輸送する場合を示す。2回に分けて輸送することから輸送コスト自体は増大する。
しかしながら平均部品在庫量は半減し、在庫部品の経済的価値も半分(V/2)ですむ。(A)と(B)を比較すると明らかに、(A)の方式ではt1の時点でW量分の部品を購入する必要があるのに対し、(B)の方式ではt1の時点でその半分の部品を購入すればよい。その差は、(A)の場合には時刻t2〜t3までの部品を時刻t1で先行して購入するのに対し、(B)の場合には時刻t2〜t3までの部品を時刻t1で先行して購入する必要がないのに起因する。経済的価値ある部品を先行して購入するために必要とされる投資のためのコストは納入回数(納入間隔、または一度の納入量)に依存して変化し、納入回数が多いほど、先行して購入するのに必要な投資コストは小さくなる。先行投資をするためのコストは、一度の納入量(または納入間隔)に比例し、納入回数に反比例する。
2回に分けて納入する場合、W/2量の部品を保管するスペースさえあれば良く、保管スペースの確保のためのコストも半減する。
同種のことが、3回に分けて輸送する場合、4回に分けて輸送する場合にもいえる。
【0033】
そこで本実施例では、輸送コストだけでなく、部品を先行して購入するのに必要な投資コストと保管スペースの確保に必要なコストとの合計で計算される在庫コストをも考慮し、全体のコストを考察対象とする。納入先で必要なときに必要なだけの部品を確保するために必要とされるコストには、輸送コストだけでなく、部品を先行して購入するのに必要な投資コストと、保管スペースの確保に必要なコストの全体コストが必要とされるので、これらの総和を物流コストとして考察対象とする。
【0034】
図1の(C)は、横軸に計画単位期間内の納入回数をとり、縦軸にコストを取っている。c2は輸送コストを示し、輸送回数を増やして小分けして納入するほど、計画単位期間に必要とされる輸送コストは増大する。c1は在庫コスト(先行して購入するための投資コスト+保管スペースの確保のためのコスト)を示し、納入回数を増やして小分けして納入するほど在庫コストは圧縮される。c3は両者を合計した物流コストを示し、c4回に分けて納入するときに物流コストが最小となることを例示している。
この場合、計画単位期間にc4回に分けて納入するときに、必要な時に必要なだけの部品を納入先で確保するのに必要なコストは最小となる。
【0035】
需要変動が予想される場合、需要の急増に対応できるだけの部品を余分に在庫する必要がある。(A)の場合、計画単位期間に1回しか納入されないことから、部品の使用ペースが2倍になることを想定すると、常時W量の部品を余分に在庫しておく必要がある。これに対して、(B)の場合、部品の使用ペースが2倍になることを想定しても、W/2量の部品を余分に在庫しておけば足りる。時刻t2での部品納入量をふやすことができるからである。需要の増大に備えておくための在庫量にも納入間隔が影響する。
(A)の場合、需要の増大に備えて在庫しておかなければならないW量の部品に対して先行購入のコストと保管スペース確保のコストがかかる。納入間隔の間に使用されるW量の部品を確保するのに、平均してW/2量の部品に対する先行購入コストと保管スペースの確保コストがかかることになる。(B)の場合、需要の増大に備えて在庫しておかなければならない部品量はW/2ですみ、W/2に対する先行購入のコストと保管スペースの確保のコストで足りる。納入間隔の間に使用されるW/2量の部品を確保するのに、平均してW/4量の部品に対する先行購入のコストと保管スペースの確保のコストですむことになる。
需要変動がある場合には、需要変動に備えて在庫しておかなければならない在庫に対する在庫コストを加味して物流コストを計算することが好ましい。
【0036】
需要が減少すると過大在庫となる。即ち、先行して購入した期間が長大なものとなり、より短い周期で納入していれば少なくすんでいたはずの投資コストに比して大きな投資コストとなってしまう。保管コストも過大在庫に対して増大してしまう。
需要変動がある場合には、需要減少時に生じる過大在庫を、先行投資コストと保管スペースのコストに換算して物流コストを計算するのが好ましい。
【0037】
図1では、単一の納入元と単一の納入先の間で本技術を適用した。そのために納入回数を増やすほど、輸送コストが増大した。
図2では、複数の納入元から共通の納入先に輸送する場合を示す。(A)は、従来の技術で立案される物流計画を例示しており、各納入元から部品を満載して直送される。輸送コスト自体は最小となる。
これに対して(B)は、中継点を利用して中継点と納入先の間の財物(部品)の輸送量を増大させた場合を示している。この場合、(A)でも(B)でも、納入先に大型トラックが計画単位期間に2度納入することになり、(A)でも(B)でも輸送コストは大して変わらない(中継点までは近距離であり、輸送コストは無視できるとする。)。この場合(A)でも(B)でも、輸送コストは大して変わらないのに、財物ア(納入元aから納入される部品)や財物イ(納入元bから納入される部品)を先行して購入するコストや、財物アや財物イを保管するスペースを確保するための在庫コストは半減される。
中継点を利用して中継点と納入先間の計画単位期間の財物輸送量を増やすと、輸送コストを上げないで多回数で輸送することが可能となり、輸送コストを増大させないようにしながら物流コストを低減することが可能となる。
【0038】
図2の(B)では、中継点を利用して納入先に到着する経路単位で見たときの計画単位期間の財物輸送量を増大させる。経路毎の計画単位期間の財物輸送量が増大すれば、輸送コストを増大させないで納入回数を増大させることができる。トラックの積載量が一定であれば、経路の計画単位期間の財物輸送量に比例して納入回数が増えることになり、毎回の納入量に含まれる同一部品の納入量は納入回数に反比例して減少する。中継点を利用して混載を誘導し、同一経路から納入される財物輸送量を増大させることによって、財物を先行して購入する投資のためのコストと、財物を保管するスペースを確保するための在庫コストは圧縮される。したがって、在庫コストは、同一経路から納入される財物輸送量に反比例する。
【0039】
図2の(B)では、中継点を利用して混載を促進した。中継点がなくても、図2の(c)に模式的に示すように、同一輸送用移動体が複数の納入元に立ち寄って混載してから納入先に納入する方式を採用することによって混載を推進することができる。図2の(C)の場合、それぞれ1日に1回納入する納入元a,b,cを巡って混載することによって、1日に3回に分けて納入することが可能となることを例示している。それぞれの納入元a,b,cから1日に1回納入する輸送コストも、納入元a,b,cを巡って1日に3回納入するコストも大差ないのに対し、在庫コストは、1日に3回納入することによって1/3に圧縮される。
【0040】
中継点を利用して混載する方式、あるいは複数の納入元に立ち寄って混載する方式を許容すると、納入先で財物を在庫することに伴うコストは計画単位期間に同一経路で納入される財物輸送量に反比例することから、在庫コストを圧縮する物流計画が立案される。
また、中継点を経由する少なくとも1つの経路と中継点を経由しない少なくとも1つの経路を算出し、算出された経路の計画単位期間の財物輸送量を算出するようにすると、中継して混載する場合と混載しないで直行する場合が対比され、より合理的な物流計画が立案される。
【0041】
中継点を利用して混載する方式、あるいは複数の納入元に立ち寄って混載する方式を許容すると、上記したようにして在庫コストが圧縮される可能性が生じるだけでなく、積載効率が増大して輸送コスト自体が圧縮される可能性がある。この場合、輸送コストと在庫コストとの双方が圧縮される物流計画が立案される。
【0042】
図3は、財物を先行して購入するのに要する投資コストと、計画単位期間に同一経路で納入される財物輸送量の関係を示している。通常のトラックの積載量は一定であることから、同一経路で納入される財物輸送量が増加するほど納入回数は増やされ、各種類の財物の毎回の納入量は納入回数に反比例して減少する。
財物を先行して購入するのに要する投資コストは、計画単位期間に同一経路で納入される財物輸送量に反比例し、各種類の財物の毎回の納入量に比例する。即ち、各種類の財物の計画単位期間の必要量を納入回数で除した値に各財物の単価を乗じた額に比例する。
【0043】
図4は、在庫する財物の保管スペースの確保に必要なコストの計算式を示し、各種類の財物の計画単位期間の必要量を納入回数で除した値に各財物の保管スペース確保単価を乗じた額に比例する。
図5は、需要増大に備えて財物を先行購入するのに必要な投資コストの計算式を示し、(発注〜納入までの期間×財物の使用増大量/計画単位期間)に部品単価を乗じた額に比例する。発注〜納入までの期間は納入回数に反比例する。
図6は、納入先で財物を在庫するために必要な総コストを示し、図3から図5のコストの総和に相当する。図3から図5のコストのいずれもが納入回数に反比例することから、在庫コストは納入回数に反比例する。その納入回数は、計画単位期間の経路別財物輸送量に比例することから、混載して経路別財物輸送量を増大させることによって在庫コストは圧縮される。混載しないで1日に1回輸送するものを、混載することによって1日n回輸送するようにすると、在庫コストは1/nに圧縮される。
【0044】
中継点を利用すると混載を促進することができ、混載することによって在庫コストが圧縮される。本実施例では、在庫コストを含む物流コストを最小とする輸送計画が探索されることから、中継点を活用する計画が立案される。
図7の(A)は、従来の輸送コストの計算方法を示し、輸送距離と輸送時間と輸送荷量によって輸送コストを計算する。混載しても輸送コストは変化しないために、混載する輸送計画は立案されない。
本実施例では、経路毎の輸送量と輸送用移動体の積載量から必要とされる輸送用移動体の台数を求め、その台数を利用して輸送コストを計算する。輸送距離や輸送時間は、輸送便1回(あるいは1台)あたりの単価に反映される。
図7の(C)の横軸は、経路毎の輸送量を示し、必要とされる輸送用移動体の台数が同一であれば、輸送コストは変わらないとしている。即ち、輸送コストは輸送量に対してリニアに増大せず、ステップ的に変動する。このほうが実際のコストに良く近似する。
図7の(C)のc5は2台目の積載量がわずかであり、c6まで輸送量が増えてもコストが増えないことを例示している。この場合、図7の(A)の納入元aからの輸送量がc5であり、それに納入元bからの輸送量を加えたものが輸送量c6であるとすれば、図7の(B)に示すように、中継点を利用して納入元aからの輸送量と納入元bからの輸送量を混載したほうが安価に輸送できることが分かる。中継点がない場合でも、納入元aから納入元bに立ち寄ってから納入するようにすることで安価に輸送できることが分かる。
図7の(C)に例示するステップ的な輸送コストを組み入れることによって、実際に適応した輸送コストが計算され、混載することによって安価に輸送できる場合には混載して安価に輸送する輸送計画が立案される。
【0045】
図8の(A)は中継しないで直送する輸送ルートを例示している。(B)は中継する輸送ルートを示している。中継すると、中継点間で往復する輸送量を増大させられることが分かる。
往路輸送と復路輸送がともに存在する場合、輸送量が大きい方の片道分の輸送コストをかければ反対方向の輸送コストはほとんどかからないことが知られている(どのみち戻ってこなければならず、輸送しながら戻るときと空荷で戻るときのコスト差は小さい。)。中継点を利用すると、中継点間で往復する輸送量を増やすことができ、余分なコストをかけないで輸送できる機会が増える。
往路輸送量と復路輸送量のうちの大きい方の輸送量によって往復の輸送コストを計算するようにすると、図8(A)では復路輸送が計算されないために、輸送コストが高価となる。(B)では、中継点間で双方向に輸送し、復路の輸送コストは安価であるとして輸送コストが計算されることから、安価な輸送コストが計算される。往路輸送量と復路輸送量のうちの大きい方の輸送量による輸送コストを評価対象として輸送計画を立案すると、(A)に代わって(B)が立案されやすい。また、実情に合った輸送コストが計算される。
輸送量が大きい方の片道分の輸送コストをかければ反対方向の輸送コストはほぼゼロであるとして物流計画を立案すると、輸送コストの観点でも中継点を利用して混載する計画が立案されやすくなり、また、混載する方が在庫コストが圧縮されることから、中継点を活用して混載しながら効率的に輸送する計画が立案されやすくなる。
【0046】
図9は、納入元a,b,c,dから納入先A,Bに、図示する量の財物を計画単位期間毎に納入する必要がある場合を例示している。ここでは中継点α,βが利用可能である。各納入元から納入先への財物量は、表90から明らかになったものであり、例えば、納入元aから納入先Aにはx1m3の財物が輸送されることがわかる。
図10と図11は、様々な輸送経路の候補のうちの二つの候補(図10では候補1、図11では候補2)を例示している。本実施例では、計算機で、実現可能な様々な輸送経路を仮定し、仮定された輸送経路毎に物流コストを計算し、物流コストを最小とする輸送経路を求める。計算機は、複数の輸送元に立ち寄って混載して輸送する経路も計算する。
図12は、図10の候補1を利用する場合の経路毎の輸送量を示し、図13は、図11の候補2を利用する場合の経路毎の輸送量を示している。
図12と図13に例示する経路と輸送量が与えられると、計画単位期間内の納入回数を変数として、在庫コストと輸送コストを計算することが可能となる。各経路に対して、納入回数を変数として、在庫コストと輸送コストを加算した物流コストを計算することができる。そこで、経路毎に物流コストを最小とする納入回数を演算することができ、経路毎に納入回数を工夫することで最小化された物流コストを計算することができる。経路毎の最小物流コストを比較することで、物流コストを最小とする輸送経路を計算して探索することができる。
【0047】
図14は、探索された輸送経路と納入回数を例示しており、図13の候補2ではなく図12の候補1の輸送経路によるほうが物流コストを安価に抑えることができ、経路毎の輸送量を、分母に示す納入回数で納入するときに、物流コストが最小化されることを例示している。
【0048】
物流コストが最小となる輸送経路と納入回数を探索する技術によって、中継点を新設するための最適な立地場所を検討することもできる。この場合は、実際には存在しない仮想の複数の中継点を候補の立地場所に設置して、これらの中継点の候補の立地場所を通る仮想の経路を生成する。生成された仮想の経路を用いて複数の仮想の輸送経路を構成する。これらの仮想輸送経路を候補の輸送経路として、上述した輸送経路の探索方法と同様に、仮想輸送経路の候補の中から物流コストを最小とする輸送経路を求める。
上述のような物流コストが最小となる輸送経路と輸送回数を探索する技術を用いることで、中継点を新設するための最適な立地場所を検討することが的確に支援される。また、予め仮想の中継点の候補を複数設けておくことで、一回の計算の中で最適な立地場所を検討することができる。したがって、仮想の中継点の候補を一つずつ設けて最小な物流コストを算出し、算出した最小物流コストの結果を設けた中継点の全てについて比較して検討する方法に比して、格段に計算時間が節約される。
【0049】
図15は本実施例に係る物流計画立案装置のシステム構成を示している。
道路地図情報ファイル1は、道路情報と渋滞情報を記憶している。拠点位置情報ファイル3は、納入元と中継点と納入先の位置情報を記憶している。
時間距離計算部2は、道路地図情報ファイル1と拠点位置情報ファイル3とから、拠点間の距離と、走行に要する時間を計算する。拠点間の距離と走行時間とから、トラック1台の拠点間の輸送単価が計算される。本実施例では、輸送単価と、必要なトラックの台数または輸送回数によって、輸送コストを計算する。
【0050】
拠点−トラック能力情報ファイル5には、どの拠点にどのトラックが配置されており、それぞれのトラックにはどれだけ積載することができるか(輸送能力)の情報を記憶している。積載能力は、容積と重量で制約され、いずれかの積載能力を超える計画は立案されない。
輸送コスト情報ファイル7には、トラック毎の輸送コストを計算するのに必要な情報が記憶されている。輸送コストは輸送単価から算出される。前記したように、輸送単価は、拠点間の走行時間と距離とから計算される。この関係はトラックの種類毎に相違する。また、拠点間の移動に高速代が必要となる場合があり、高速代も輸送単価に影響する。トラック1台分の拠点間の輸送単価を計算するのに必要な情報として、拠点間の走行時間と距離と高速代の情報が輸送コスト情報ファイル7に記憶されている。
財物量情報ファイル9には、図9の表90に例示したデータ、即ち、計画単位期間の間に「どの納入元からどの納入先にどの財物をどれだけ納入する必要があるか」を示すデータが記憶されている。
集約メリット情報ファイル11には、財物を集約することで安価となる各種の情報が記憶されている。例えば、図7の(C)に示したように、輸送量c5でもc6でも輸送コストは大差ないために、財物を集約してc6の輸送量にした方がコスト上は有利であるといった情報を記憶している。あるいは、図8の(B)に例示したように、往復輸送経路を導入すると、復路の輸送コストが安価になるという情報を記憶している。本実施例では、中継点間を移動する往路輸送量と復路輸送量のうちの大きい方の輸送量によってその中継点間の往復の輸送コストを計算する。即ち、少ないほうの輸送コストはゼロであるとする。これにかえて割引料金を適用することがあり、この場合には、割引に関する情報が集約メリット情報ファイル11に記憶される。
【0051】
多回数メリット情報ファイル13には、計画単位期間の納入回数を増やすことによって、先行して購入するための投資コストや保管スペースの確保のコストが圧縮されることを示す情報が記憶されている。投資のための金利情報や、保管スペースの賃貸料といった情報が記憶されている。
【0052】
この装置が運転を開始すると、物流計画立案処理が開始される。図16は、物流計画立案処理の手順を示している。ステップS2に示すように、上記した各ファイルに記憶されているデータが計算機に読みこまれて、それ以降の処理を実行可能とする。
【0053】
輸送経路計画部4から詳細ダイヤ作成部12までは、計算機によって構成されている。正確には、そのために作成されたプログラムにしたがって計算機が作動することで一連の処理が実行される。
輸送経路計画部4は、図16のステップS4の処理を実行し、図9の表90に示した財物量データから、図10と図11に例示したような輸送経路の候補を計算して作りだす。
経路輸送量算出部20は、図16のステップS6の処理を実行し、図12と図13に例示した経路毎の輸送量を計算する。
【0054】
物流コストを最小化する輸送経路と納入回数を探索するエンジン8によって、図16のステップS8からS12の処理が繰り返される。ステップS8では、仮定された候補の輸送経路と経路毎の輸送量(図12と図13に例示されている)から、納入回数を1回、2回、3回・・と増やしながら、物流コストを計算する。納入回数が少ないほど輸送コストは圧縮される。逆に、納入回数が多いほど在庫コストは圧縮される。ステップS8によって、物流コストを最小とする納入回数が演算され、そのときの最小物流コストが算出される。
図16のステップS10では、所定の回数だけ、ステップS4からS8の処理を繰り返させる。ステップS4では、繰り返すたびに、新しい輸送経路の候補を作りだす。この段階では遺伝的アルゴリズム等の最適解探索法で用いられる候補作成手法が応用される。
ステップS4からS8の処理を多数回にわたって繰り返すことによって、計画単位期間内の物流コストを最小化する最適な輸送経路と納入回数が決定される(ステップS12)。物流コストを最小化する輸送経路と納入回数を探索するエンジン8は、ステップS4からS8の処理を多数回にわたって繰り返し、図10と図11に例示したような候補の輸送経路について検討することで、最終的に物流コストを最小にする輸送経路と納入回数を算出する。
探索エンジン8で最適納入回数を探索する際に、納入回数を規格化しておいてもよい。例えば、偶数回に規格化したり、あるいは、2の累乗倍(2,4,8,16・・)に規格化することができる。規格化することで、出荷や入荷作業のスケジューリングが格段にやりやすくなる。
【0055】
納入便分割部10は、図16のステップS14において、物流コストを最小化する輸送経路と納入回数から、1回に納入される納入量を計算する。その一例が図14に示され、例えば、中継点αから納入先Aには2回に分けて納入され、毎回には、(納入元aから納入先Aに納入する部品量x1と、納入元cから納入先Aに納入する部品量x5と、納入元dから納入先Aに納入する部品量x7)の半量を納入することによって、物流コストを最小に押さえられることが例示されている。
【0056】
詳細ダイヤ作成部12は、図16のステップS16において、納入回数等に基づいて、輸送用移動体毎に、何時にどこを出発して何時にどこに到着するかを示す時刻の計画を作成する。経路と納入回数は既に決められており、どの経路のいつの納入をどの輸送用移動体に分担させるかを決定する。
【0057】
詳細ダイヤの決定段階では、輸送用移動体が仕事をはじめてから仕事を終了するまでの時間(運行時間)が、直当たりの稼動時間の約数に近似するように決定する。直当たりの稼動時間が8時間であれば、整数で割り切れる2時間、4時間、8時間のいずれかに近似する時間計画を優先して探索する。即ち、2時間、4時間、8時間といった規格化された時間に良く近似する時刻計画を作成する。運行時間が規格化されていると、勤務シフトが組みやすく、運用しやすい。
【0058】
また、詳細ダイヤの決定段階では、輸送用移動体が運行時間内に立ち寄る納入元と中継点と納入先の立ち寄り回数を規格化しておき、規格化された立ち寄り回数の制約下で輸送用移動体の担当経路を計算することが好ましい。
この場合、例えば2直勤務の納入先のいずれの直で受け入れ作業を担当するかといった問題を単純に決定することが可能となり、運用しやすい計画が立案される。
【0059】
結果表示部14では、決定された輸送経路と納入回数と、作成された詳細なダイヤが表示される。表示は通常、デジタル地図描画、ダイヤグラム表示、スケジュールのガントチャート表示等の、視覚的に理解が容易な方法でなされる。
これらの表示が運行作業に従事する者に示されることで、各輸送用移動体の日々の実際の輸送業務が行われる。
【0060】
データ出力部15では、外部システムや外部機器等へ、決定された輸送経路と輸送回数、作成された詳細ダイヤのデータが出力される。
例えば、部品を生産している納入元に設置されているシステムにこれらのデータが出力されることで、納入元はいつまでにどのくらいの量の部品を生産しておくべきかを把握できることになる。
【0061】
(第2実施例)次に、詳細な実施例を示す。
図17は、ある物流網を例示している。この物流網には、a,b,c,d,ef,gの7つの納入元と、A,B,Cの3つの納入先が存在する。また、α,βの2つの中継点が存在する。この物流網では、納入先Aには納入元a,b,c,d,eから、納入先Bには納入元c,e,f,gから、納入先Cには納入元e,f,gから財物が納入される。
それぞれの納入元には、計画単位期間内に納入先へ納入する財物量が決められている。図17に示すように、納入元aからは納入先Aへ40m3、納入元bからは納入先Aへ40m3、納入元cからは納入先Aへ20m3、納入先Bへ30m3、納入元dは納入先Aへ20m3、納入元eからは納入先Aへ40m3、納入先Bへ50m3、納入先Cへ40m3、納入元fからは納入先Bへ40m3、納入先Cへ60m3、納入元gからは納入先Bへ30m3、納入先Cへ60m3の財物が計画単位期間内に納入される。
この財物量の情報は、図15の財物量データベース9に記憶されており、図18にデータの例が示されている。
【0062】
図15の各ファイル(1から13)に記憶されたデータが計算機に読み込まれ、当該物流エリアにおける物流計画立案処理が開始される(図16のステップS2)。
【0063】
図15の輸送経路計画部4で、輸送経路が計画される(図16のステップS4)。輸送経路は、図18に示された財物量データから、候補の輸送経路を計算して作り出す。
図19に、候補の輸送経路が作成される前段階として、候補の輸送経路に含まれる納入元と中継点が選択された例を示す。納入先Aに対する納入元c,dから納入される財物は中継点αに集約され、納入先Bに対する納入元c,gから納入される財物は中継点βに集約され、納入先Cに対する納入元eから納入される財物は中継点βを中継する。したがって、納入先Aには納入元a,b,c,eと中継点αから、納入先Bには納入元e,fと中継点βから、納入先Cには納入元f,gと中継点βから財物が納入されるという選択がなされている。
図19のように各納入先に対する納入元と中継点が選択されると、図20のような候補の輸送経路が作成される。選択された納入元や中継点と、納入先との位置等の関係から、最も適切な輸送経路が候補の輸送経路として仮に作成される。輸送経路(1)では、輸送用移動体が納入先Aを出発して、納入元a,e、中継点α、納入元bに立寄って集荷し、納入先Aに戻ってくる。輸送経路(2)では、輸送用移動体が納入先Bを出発して、納入元f,eに立寄って集荷し、納入先Bに戻ってくる。輸送経路(3)では、輸送用移動体が中継点βを出発して納入先Bに納入する。輸送経路(4)では、輸送用移動体が納入先Cを出発して、納入元g、中継点βに立寄って集荷し、納入先Cに戻ってくる。輸送経路(5)では、輸送用移動体が納入元fを出発して納入先Cに納入する。
【0064】
図20のような候補の輸送経路が作成されると、経路毎の輸送量が計算される(図16のステップS6)。
図21に、図20の候補の輸送経路の経路毎の輸送量の計算結果を示す。図18に示された財物量データから、納入元c,dから納入先Aに納入される財物量(それぞれ20m3)が中継点αで集約されて40m3となっている。納入元c,gから納入先Bに納入される財物量(それぞれ30m3)が中継点βで集約されて60m3となっている。
【0065】
候補の輸送経路の中から、物流コストが最小となる輸送経路と納入回数が探索される(図16のステップS8)。例えば、図20の候補の輸送経路に対して、納入回数を1回、2回、3回・・・と増やしながら、物流コストを計算する。物流コストは、輸送コストと在庫コストとから計算される。例えば、図15の輸送コスト情報ファイルから、輸送コストとして走行距離の単価が1km当たり1,000円、走行時間の単価が1時間当たり2,500円、高速代が拠点間の距離が50km以上の経路について1km当たり20円という情報が与えられ、多回数メリット情報ファイル13から、投資のための金利が1%、保管スペースの賃貸料が1m3当たり200円という情報が与えられているとする。これらの情報から、図1の(C)のc4で示されるように、輸送コストと在庫コストとを合計した物流コストが最小となる納入回数が探索される。
【0066】
予め設定された所定の回数だけ、候補の輸送経路と納入回数を探索する処理が繰り返し行われる(図16のステップS10)。繰り返すたびに、新しい輸送経路が作り出され、その輸送経路についての最適な納入回数が算出される。
所定の回数だけ探索処理が行われると、探索された全ての輸送経路と納入回数の中から、輸送コストが最小となる輸送経路と納入回数が決定される(図16のステップS12)。
図22に、図20の候補の輸送経路が最適な輸送経路として決定され、最適な納入回数が算出された場合を例示する。輸送経路(1)の納入回数は4回、輸送経路(2)の納入回数は4回、輸送経路(3)の納入回数は2回、輸送経路(4)の納入回数は2回、輸送経路(5)の納入回数は2回として算出されている。
【0067】
輸送コストが最小となる輸送経路と納入回数が決定されたら、1回に納入される輸送量が計算される(図16のステップS14)。
図22に示すように、1回に納入される輸送量は、輸送経路(1)においては、納入元aから10m3、納入元eから10m3、中継点αから10m3、納入元bから10m3、輸送経路(2)においては、納入元fから10m3、納入元eから12.5m3、輸送経路(3)においては、中継点βから30m3、輸送経路(4)においては、納入元gから30m3、中継点βから20m3、輸送経路(5)においては、納入元fから30m3と計算されている。
【0068】
以上のように、物流コストが最小となる輸送経路と輸送回数が決定され、1回に納入される輸送量が計算されたら、どの経路といつの納入をどの輸送用移動体に分担させるかを決定し、詳細ダイヤを作成する(図16のステップS16)。
詳細ダイヤが作成されると、物流計画立案処理が終了する。
【0069】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【0070】
【発明の効果】
以上のように、本発明の技術によって、単に輸送コストのみを考えるだけでなく、在庫コストをも併せて考慮することで、財物の納入を反復継続的に必要とする納入先で、必要なときに必要なだけの財物を確保するのに要する物流コスト全体を最小とする物流計画が立案される。
また、本発明の技術によって、中継点や複数の納入元に立ち寄って混載することによって在庫コストや輸送コストが下げられる場合には、混載を積極的に活用して物流コストを低減する計画が立案される。
このように物流コストを抑える計画を立案することで、結果としてより安価に製品を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】単一の納入元と単一の納入先の間で財物を納入する場合を例示する図である。
【図2】複数の納入先から共通の納入先に財物を納入する場合を例示する図である。
【図3】財物を先行購入するのに要する投資コストを示す図である。
【図4】在庫スペースの確保に必要なコストの計算式を示す図である。
【図5】需要増大に備えて部品を財物を先行購入するのに必要なコストの計算式を示す図である。
【図6】納入先で財物を在庫するために必要な総コストを示す図である。
【図7】中継点を経由して納入先に財物を納入する場合を例示する図である。
【図8】中継点を経由して納入先に財物を納入する場合を例示する図である。
【図9】納入元から納入先への輸送量を示す図である。
【図10】輸送経路の候補を例示する図である。
【図11】輸送経路の候補を例示する図である。
【図12】輸送経路の候補を利用する場合の輸送量を例示する図である。
【図13】輸送経路の候補を利用する場合の輸送量を例示する図である。
【図14】探索された輸送経路と納入回数を例示する図である。
【図15】物流計画立案装置のシステム構成を示す図である。
【図16】物流計画立案処理の手順を示す図である。
【図17】ある物流網を例示する図である。
【図18】財物量データを例示する図である。
【図19】候補の輸送経路に含まれる納入元と中継点が選択された例を示す図である。
【図20】輸送経路の候補を例示する図である。
【図21】輸送経路の候補の経路毎の輸送量の計算結果を例示する図である。
【図22】候補の輸送経路の納入回数と1回当たりの納入量を示す図である。
【符号の説明】
1 :道路地図情報ファイル、
3 :拠点位置情報ファイル、
5 :拠点−トラック能力情報ファイル、
7 :輸送コスト情報ファイル、
9 :財物量情報ファイル、
11:集約メリット情報ファイル、
13:多回数メリット情報ファイル、
15:データ出力部、
2 :時間距離計算部、
4 :輸送経路計画部、
6 :経路輸送量算出部、
8 :物流コストを最小化する輸送経路と納入回数を探索するエンジン、
10:納入便分割部、
12:詳細ダイヤ作成部、
14:結果表示部
Claims (33)
- 財物の納入元から、財物の納入を反復継続的に必要とする納入先に、輸送用移動体に財物を積載して反復継続的に輸送して納入する物流計画を立案する装置であり、
計画単位期間に納入先が必要とする財物量を記憶している財物量記憶手段と、一度に納入する納入量または計画単位期間の納入回数を変数として、当該納入量または納入回数によるときに、納入先で財物を在庫することに伴うコストと財物の輸送に要するコストを合計した物流コストを計算する手段と、
計算された物流コストを最小とする納入量または納入回数を演算する手段
とを有する物流計画立案装置。 - 納入先で財物を在庫することに伴うコストが、財物を先行して購入するための投資コストを含むことを特徴とする請求項1の物流計画立案装置。
- 納入先で財物を在庫することに伴うコストが、財物を保管するスペースを確保するためのコストを含むことを特徴とする請求項1の物流計画立案装置。
- 納入先で財物を在庫することに伴うコストが、需要変動に備えて納入先で財物を在庫しておくためのコストを含むことを特徴とする請求項1の物流計画立案装置。
- 納入先で財物を在庫することに伴うコストが、計画単位期間に同一経路で納入される財物輸送量に反比例して計算されることを特徴とする請求項1から4のいずれかの物流計画立案装置。
- 複数の納入元と中継点と納入先がある場合に、中継点を経由する少なくとも1つの経路と、中継点を経由しない少なくとも1つの経路を算出する手段と、
算出された経路の計画単位期間の財物輸送量を算出する手段をさらに備え、
納入先で財物を在庫することに伴うコストが、計画単位期間に同一経路で納入される財物輸送量に反比例して計算されることを特徴とする請求項1から5のいずれかの物流計画立案装置。 - 複数の納入元がある場合に、複数の納入元に立ち寄って混載する少なくとも1つの経路を算出する手段と、
算出された経路の計画単位期間の財物輸送量を算出する手段をさらに備え、
納入先で財物を在庫することに伴うコストが、計画単位期間に同一経路で納入される財物輸送量に反比例して計算されることを特徴とする請求項1から6のいずれかの物流計画立案装置。 - 財物の輸送に要するコストが、計画単位期間の経路別財物輸送量と輸送用移動体の積載量から算出される輸送用移動体の必要数を利用して計算されることを特徴とする請求項1から7のいずれかの物流計画立案装置。
- 複数の納入元と中継点と納入先がある場合に、中継点を経由する少なくとも1つの経路と、中継点を経由しない少なくとも1つの経路を算出する手段が付加されており、
財物の輸送に要するコストが、経路毎に算出されることを特徴とする請求項8の物流計画立案装置。 - 中継点間を移動する往路輸送量と復路輸送量のうちの大きい方の輸送量によって、その中継点間の往復の輸送コストを計算することを特徴とする請求項9の物流計画立案装置。
- 運行時間を規格化しておき、輸送用移動体毎の運行時間が規格化された時間に近似する輸送時間計画を計算する手段が付加されている請求項1から10の物流計画立案装置。
- 輸送用移動体が運行時間内に立ち寄る納入元と中継点と納入先の立ち寄り回数を規格化しておき、規格化された立ち寄り回数の制約下で輸送用移動体の担当経路を計算する手段が付加されている請求項1から10の物流計画立案装置。
- 財物の納入元から、財物の納入を反復継続的に必要とする納入先に、輸送用移動体に財物を積載して反復継続的に輸送して納入する物流計画を立案する方法であり、
計算機に、計画単位期間に納入先が必要とする財物量を読み取らせる工程と、計算機に、一度に納入する納入量または計画単位期間の納入回数を変数とし、当該納入量または納入回数によるときに、納入先で財物を在庫することに伴うコストと財物の輸送に要するコストを合計した物流コストを計算させる工程と、
計算機から、計算された物流コストを最小とする納入量または納入回数を出力させる工程
とを有する物流計画立案方法。 - 計算機で計算される納入先で財物を在庫することに伴うコストが、財物を先行して購入するための投資コストを含むことを特徴とする請求項13の物流計画立案方法。
- 計算機で計算される納入先で財物を在庫することに伴うコストが、財物を保管するスペースを確保するためのコストを含むことを特徴とする請求項13の物流計画立案方法。
- 計算機で計算される納入先で財物を在庫することに伴うコストが、需要変動に備えて納入先で財物を在庫しておくためのコストを含むことを特徴とする請求項13の物流計画立案方法。
- 計算機で計算される納入先で財物を在庫することに伴うコストが、計画単位期間に同一経路で納入される財物輸送量に反比例して計算されることを特徴とする請求項13から16のいずれかの物流計画立案方法。
- 複数の納入元と中継点と納入先がある場合に、計算機によって中継点を経由する少なくとも1つの経路と、中継点を経由しない少なくとも1つの経路を算出する工程と、
計算機によって算出された経路の計画単位期間の財物輸送量を算出する工程をさらに備え、
計算機で計算される納入先で財物を在庫することに伴うコストが、計画単位期間に同一経路で納入される財物輸送量に反比例して計算されることを特徴とする請求項13から17のいずれかの物流計画立案方法。 - 複数の納入元がある場合に、計算機によって複数の納入元に立ち寄って混載する少なくとも1つの経路を算出する工程と、
計算機によって算出された経路の計画単位期間の財物輸送量を算出する工程をさらに備え、
計算機で計算される納入先で財物を在庫することに伴うコストが、計画単位期間に同一経路で納入される財物輸送量に反比例して計算されることを特徴とする請求項13から18のいずれかの物流計画立案方法。 - 計算機で計算される財物の輸送に要するコストが、計画単位期間の経路別財物輸送量と輸送用移動体の積載量から算出される輸送用移動体の必要数を利用して計算されることを特徴とする請求項13から19のいずれかの物流計画立案方法。
- 複数の納入元と中継点と納入先がある場合に、計算機によって中継点を経由する少なくとも1つの経路と、中継点を経由しない少なくとも1つの経路を算出する工程が付加されており、
計算機によって計算される財物の輸送に要するコストが、経路毎に算出されることを特徴とする請求項20の物流計画立案方法。 - 計算機によって中継点同士を移動する往路輸送量と復路輸送量のうちの大きい方の輸送量に基づいてその中継点間の往復の輸送コストを計算することを特徴とする請求項21の物流計画立案方法。
- 運行時間を規格化しておき、輸送用移動体毎の運行時間が規格化された時間に近似する輸送時間計画を計算する工程が付加されている請求項13から22の物流計画立案方法。
- 輸送用移動体が運行時間内に立ち寄る納入元と中継点と納入先の立ち寄り回数を規格化しておき、規格化された立ち寄り回数の制約下で輸送用移動体の担当経路を計算する工程が付加されている請求項13から22の物流計画立案方法。
- 財物の納入元から財物の納入を反復継続的に必要とする納入先に財物を輸送する計画を立案するプログラムであり、計算機に、
計画単位期間に納入先が必要とする財物量を読み取らせる処理と、
一度に納入する納入量または計画単位期間の納入回数を変数とし、当該納入量または納入回数によるときに、納入先で財物を在庫することに伴うコストと財物の輸送に要するコストを合計した物流コストを計算させる処理と、
計算された物流コストを最小とする納入量または納入回数を演算させる処理
とを実行させる物流計画立案プログラム。 - 計算機で計算される納入先で財物を在庫することに伴うコストが、計画単位期間に同一経路で納入される財物輸送量に反比例して計算されることを特徴とする請求項25の物流計画立案プログラム。
- 複数の納入元と中継点と納入先がある場合に、中継点を経由する少なくとも1つの経路と、中継点を経由しない少なくとも1つの経路を算出する処理と、
算出された経路の計画単位期間の財物輸送量を算出する処理とを計算機に実行させ、
納入先で財物を在庫することに伴うコストが、計画単位期間に同一経路で納入される財物輸送量に反比例して計算されることを特徴とする請求項25または26の物流計画立案プログラム。 - 複数の納入元がある場合に、複数の納入元に立ち寄って混載する少なくとも1つの経路を算出する処理と、
算出された経路の計画単位期間の財物輸送量を算出する処理とを計算機に実行させ、
納入先で財物を在庫することに伴うコストが、計画単位期間に同一経路で納入される財物輸送量に反比例して計算されることを特徴とする請求項25から27のいずれかの物流計画立案プログラム。 - 財物の輸送に要するコストが、計画単位期間の経路別財物輸送量と輸送用移動体の積載量から算出される輸送用移動体の必要数を利用して計算されることを特徴とする請求項25から28のいずれかの物流計画立案プログラム。
- 複数の納入元と中継点と納入先がある場合に、中継点を経由する少なくとも1つの経路と、中継点を経由しない少なくとも1つの経路を算出する処理を実行させ、
財物の輸送に要するコストを経路毎に算出することを特徴とする請求項29の物流計画立案プログラム。 - 計算機に、中継点同士を移動する往路輸送量と復路輸送量のうちの大きい方の輸送量に基づいてその中継点間の往復の輸送コストを計算させることを特徴とする請求項30の物流計画立案プログラム。
- 計算機に規格化された運行時間を記憶しておき、輸送用移動体毎の運行時間が規格化された運行時間に近似する輸送時間計画を計算する処理を計算機にさらに実行させる請求項26から31の物流計画立案プログラム。
- 計算機に規格化された立ち寄り回数を記憶しておき、規格化された立ち寄り回数の制約下で、輸送用移動体が運行時間内に立ち寄る納入元と中継点と納入先を計算する処理を計算機にさらに実行させる請求項26から31の物流計画立案プログラム。
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