JP2004033933A - 排気ガス浄化用触媒及びその製造方法 - Google Patents

排気ガス浄化用触媒及びその製造方法 Download PDF

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櫻井 健治
Junji Ito
伊藤 淳二
Kiyoshi Ichinose
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Abstract

【課題】排気ガス有害成分、特にNOx浄化の低温活性に優れた排気ガス浄化用触媒及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】ハニカム担体上に、アルミナを含むアンダーコート層と触媒成分層とを有する排気ガス浄化用触媒である。アンダーコート層がガス拡散流路の機能を有する。アンダーコート層が孔径2μm以上の不連続な空孔を複数個有する。
上述の排気ガス浄化用触媒を製造する方法である。
焼成、乾燥、溶解及びその他の物理的・化学的処理を施した際に分解して消失する材料や、燃焼して消失する材料を、アルミナに対して1〜50%含有させた混合原料を用い、アンダーコート層に孔径2μm以上の不連続な空孔を形成する。
【選択図】    なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排気ガス浄化用触媒及びその製造方法に係り、更に詳細には、自動車等の内燃機関から排出される排気ガス中の有害成分である炭化水素(以下、「HC」と称す)、一酸化炭素(以下、「CO」と称す)及び窒素酸化物(以下、「NOx」と称す)を同時に除去する従来の三元触媒に対し、特にNOxを効率的に除去できる触媒に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車の排気ガス浄化用触媒として、理論空燃比(ストイキ)において排気ガス中のCO及びHCの酸化とNOxの還元とを同時に行なって浄化する三元触媒が用いられている。このような三元触媒としては、例えばコーディエライトなどから成る耐熱性基材にγ−アルミナから成る多孔質担体層を形成し、その多孔質担体層に、パラジウム(Pd)白金(Pt)及びロジウム(Rh)などの貴金属を担持させたものが広く知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、U−LEV(Ultra−Low Emission Vehicle;超低排出ガス車)レベルで要求される低温NOxの排出量及び高温HCの排出量は、かかる従来の三元触媒などではどうしてもクリアーできず、低温活性を更に向上させる必要がある。
【0004】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、排気ガス有害成分、特にNOx浄化の低温活性に優れた排気ガス浄化用触媒及びその製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、触媒成分層の下方に所定の機能や性質を有するアンダーコート層を設けることにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明の排気ガス浄化用触媒は、ハニカム担体上に、アルミナを含むアンダーコート層を形成し、その上に触媒成分層を形成して成る排気ガス浄化用触媒であり、このアンダーコート層がガス拡散流路の機能を有するものである。
【0007】
また、本発明の排気ガス浄化用触媒の製造方法は、上述の如き排気ガス浄化用触媒を製造する方法である。アンダーコート層を形成する際、所定の消失物をアルミナに対して1〜50%含有させ、当該アンダーコート層に孔径2μm以上の不連続な空孔を形成する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の排気ガス浄化用触媒について詳細に説明する。なお、本明細書において、「%」は特記しない限り質量百分率を表すものとする。
本発明の排気ガス浄化用触媒は、上述したULEVレベルの低排出量、特に低温NOx及び高温HCの低排出量を実現し得るものである。従来の触媒において、かかる低排出量が実現し難い一因としては、10−15モードの低温部分、特に15モードでNOxの未浄化部分が多く、これにより検出されるNOxピークの除去が困難であることなどが挙げられる。また仮に、このピークが除去できたとしてもストイキ領域での活性が低下することが少なくなかった。
これに対し、本発明の排気ガス浄化用触媒は、内燃機関から排出されるNOxをストイキ領域も含めて効率的に除去できる低温活性に優れた触媒性能を示すものである。
【0009】
また、現行の三元触媒では、約500℃の比較的高温部分でHCが未浄化になり易く、HCピークの除去が困難で、NOxと同様にULEVレベルへの対応は困難である。
これに対しては、OSC(酸素ストレージ能力)の向上が必要ではあるが、基本的には、NOxと同じく空隙化による排気ガス拡散性の向上や、貴金属との接触頻度の増大があれば転化率が向上すると考えられ、実際に、本発明の排気ガス浄化用触媒は、内燃機関で排出されるHCを効率的に除去できる高活性な触媒性能を示した。
【0010】
上述の如く、本発明の排気ガス浄化用触媒は、ハニカム担体上に、アルミナを含むアンダーコート層と触媒成分層とをこの順で積層形成した排気ガス浄化触媒である。かかるアンダーコート層は、ガス拡散流路の機能を有するものであって、代表的には、孔径2μm以上の不連続な複数の空孔を有する。
【0011】
ここで、従来の排気ガス浄化用触媒における排気ガス浄化の際のガスの流れを図1に示す。同図に示すように、排気ガス流路40を流れる排気ガス流▲1▼は、矢印▲2▼で示すように、ハニカム担体10上に被覆された触媒成分層30の表面を介してその内部に拡散し、触媒成分と反応して反応ガスを生成し、生成した反応ガスは矢印▲3▼で示すように触媒成分層30の表面側に拡散し、この表面から放出されて反応ガス流▲4▼となる。このように従来例では、原則として、排気ガス▲1▼は触媒成分層30の中途までしか到達せず、排気ガスないしは生成した反応ガスも触媒成分層30の排気ガス流路側にのみ拡散するので(矢印▲3▼参照)、ガスと触媒成分との接触頻度が十分ではなかった。
【0012】
これに対し、本発明の排気ガス浄化用触媒においては、図2に示すように、矢印▲3▼で示した上記同様のガス拡散以外にも、排気ガスないしは反応ガスの触媒成分層30内部からアンダーコート層20へのガス拡散が生じ(矢印▲5▼)、更に反応ガスはアンダーコート層20中にも拡散し(矢印▲6▼)、このようにアンダーコート層20はガス拡散流路として機能する。
従って、本発明の排気ガス浄化用触媒では、従来例に比し排気ガスないしは反応ガスのガス拡散性が向上しており、また、かかるガスと触媒成分との接触頻度が増大している。
【0013】
上述のような接触頻度を増大させるアンダーコート層の具体例としては、アルミナを含み、孔径2μm以上の不連続な空孔21を複数個有するアンダーコート層を挙げることができる(図2参照)。
このような不連続空孔を有するアンダーコート層を有する本発明の触媒は、通常の触媒に比し通気性に優れ、排気ガスの拡散性が良好であり、反応前後のガスを迅速に通過させることができるのみならず、アンダーコート層、触媒成分層の中層領域及び表層領域の順で通過するイレギュラーな排気ガスについても、触媒成分層の中層領域や表層領域における触媒成分(貴金属)で浄化することが可能となる。
なお、不連続空孔の孔径が2μm未満では、上述したガス拡散性の向上が不十分になることがある。
また、空孔が不連続ではなく連続していると、ハニカム担体との接合強度が弱くなり好ましくない。
【0014】
代表的には、上述した孔径2μm以上の不連続な空孔を有するアンダーコート層は、孔径2μm未満の不連続な空孔のみを有するアンダーコート層と比較すると、コート層重量当たり1.1〜5倍の嵩を有する。
従って、かかるアンダーコート層を有する本発明の排気ガス浄化用触媒は、従来の排気ガス浄化用触媒に比し、単位体積当たりの重量が小さく、軽量化が図られていることになる。
また、アンダーコート層の嵩が高くなるほど、ガス拡散流路としての機能は増強されるが、5倍を超えて嵩が高くなると、ハニカム担体に対する接合強度が低下しまうことがある。
【0015】
また、上述の如きアンダーコート層においては、孔径2μm以上の不連続空孔が、当該アンダーコート層の全空孔面積の5〜20%を占有していることが好ましい。
この占有率が5%未満では、排気ガスの拡散面での空孔本来の効果が薄れてしまうことがあり、逆に20%を超えると、拡散性には優れるものの、耐久性の面などで不安材料が残る。
なお、このような空孔面積や占有率は、SEM(走査型電子顕微鏡)による層断面の観察により測定することができる。
【0016】
上述のように、本発明において、アンダーコート層はアルミナを必須成分として含有するが、アルミナ種については特に限定されるものではなく、排気ガス浄化用触媒で通常用いられているものであればよく、例えば、β−アルミナ、γ−アルミナ及びθ−アルミナなどを用いることができる。
【0017】
また、かかるアンダーコート層には、アルミナ以外の他の成分を含有させることが可能であり、例えば、OSC性能を有するOストレージ材を含ませることが好ましく、これにより、HC浄化効率、特に高温HCの浄化効率を向上することができる。
上述のように、本発明の触媒において、排気ガスは触媒成分層の表面からその内部に進入し、更にアンダーコート層に進入してガス拡散する経路のみならず、これとは逆にアンダーコート層から進入して触媒成分層の表面から抜け出ていく経路によってもガス拡散するので、本発明の触媒はガス拡散性が改善されており、触媒反応速度、即ち転化率(浄化率)が向上している。このように、アンダーコート層は上記2つの経路によるガス拡散に供されるが、かかる層内にOストレージ材が存在すると、その機能であるOの吸収及び放出が迅速に行われるようになり、HC浄化効率が向上するだけではなく、車両加速時などに排気ガスがリッチ状態になったときでもNOx転化率を高くすることができる。
【0018】
上述のOストレージ材としては、OSC性能、即ち酸素貯蔵能を有する限り特に限定されるものではないが、セリウム(Ce)とジルコニウム(Zr)との複合酸化物、Ceとプラセオジウム(Pr)との複合酸化物又は双方の複合酸化物の混合物を好ましく用いることできる。なお、上記2種の複合酸化物は、OSC性能を発揮する温度域が異なるので、車両の運転条件を考慮して両者を適切な割合で混合すれば、広い温度域でOSC性能を享受することができるようになる。
また、アンダーコート層中の含有量としては、CeとZrとの複合酸化物と、CeとPrとの複合酸化物との合計が、当該アンダーコート層の重量に対して1〜50%となるようにすることが好ましい。
この合計含有量1%未満では、所望のOSC性能が得られず、50%を超えると、アルミナが欠乏してハニカム担体や触媒成分層との接合強度が低下することがある。
【0019】
次に、アンダーコート層上に形成する触媒成分層について説明する。
この触媒成分層は、排気ガスの浄化機能を発揮する触媒成分、具体的にはPt、Pd又はRh及びこれらの任意の混合物を含んでいれば特に限定されるものではない。例えば、アルミナなどの高比表面積を有する無機質基材や、上述のようなOストレージ材を混入することも可能である。
また、触媒成分層を2層以上の多層構造で形成することも可能であり、更には使用目的に応じて層別に機能分化させることなども可能である。例えば、アンダーコート層に接する触媒成分層(中層)を形成し、更にその上に触媒成分層(表層)を形成してもよい。なお、この場合、中層には少なくともPtを含有させ、表層にはRhを含有させることが、耐硫黄被毒を緩和するという点で好ましい。
【0020】
また、本発明の触媒で使用するハニカム担体としては、特に限定されるものではなく、従来公知のものを例示することができ、具体的には、コージェライトやシリカなどのセラミックス製のものや、フェライト系ステンレスなどの金属製のものを使用することができる。
【0021】
次に、本発明の排気ガス浄化用触媒の製造方法について説明する。
本発明の製造方法は、上述したアンダーコート層の形成方法に特徴があり、それ以外の処理や工程は、従来公知の排気ガス浄化用触媒の製造方法と同様である。
即ち、この製造方法では、所定の消失物をアンダーコートに対して1〜50%の割合で混入し、この混合原料をスラリー化してハニカム担体上に被覆し、更に乾燥・焼成したり、乾燥や焼成後に適当な溶剤に浸漬することなどにより、上述のアンダーコート層を形成する。
上記消失物の含有量(混入量)が1%未満では、所望のガス拡散性や触媒成分との接触頻度を得ることができず、50%を超えると、拡散性には優れるものの、層の剥離を生じたり、耐久性が不十分になることがある。
【0022】
ここで、かかる消失物は、焼成、乾燥、溶解及びその他の物理的・化学的処理を施した際に分解して消失する材料、化合物、組成物及び混合物や、燃焼して消失する材料、化合物、組成物及び混合物を意味しており、上述の乾燥、焼成及び溶剤浸漬などの際に消失するので、アンダーコート層に上記不連続空孔が形成される。
このような消失物としては、上述の性質を有する限り特に限定されるものではなく、活性炭、その他各種の有機化合物を例示することができる。
【0023】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明する。なお、実施例1の触媒は、下記で詳細に説明するが、アンダーコート層を嵩高く設定した触媒であり、従来の触媒に比べて軽量であるという利点を有する。
【0024】
(実施例1)
[内層(アンダーコート層)の形成]
活性アルミナ粉末と活性炭をゾルに添加し、ポット容器に入れてボールミルにて1hr粉砕した。この内層スラリー液をコージェライト質モノリス担体(0.94L、2ミル 900 セル/平方インチ)に塗布し、空気流にてセル内の余剰のスラリーを除去・乾燥し、600℃で1時間焼成し、モノリス担体上に内層を形成した。コート重量は70g/Lであった。
【0025】
[触媒成分層(中層)の形成]
適量のジニトロジアミン酸Pt溶液に活性アルミナを添加し、1hr攪拌した。150℃で12hr乾燥させ粉砕した後、400℃で1hrの焼成を行い、その後に冷却して、Pt担持粉末Aを得た。
次に、適量のジニトロジアミン酸Pt溶液にCeとZrの複合酸化粉末を添加して1hr攪拌した。150℃で1hr乾燥させて粉砕した後、400℃焼成を1hr行い冷却してPt担持粉末Bを得た。
更に、上記粉末A及びBの2種類のPt担持粉末とアルミナゾルと硝酸を加えてボールミルで攪拌した。これを上述の内層上に塗布し、空気流にてセル内の余剰のスラリーを除去・乾燥し、400℃で1時間焼成し、中層を形成した。コート重量は84.5g/Lであった。
【0026】
[触媒成分層(表層)の形成]
適量の硝酸Rh水溶液にアルミナが主体の粉末を添加し1hr攪拌した。150℃で12hr乾燥させ粉砕後、400℃で1hr焼成を行った。その後冷却して、Rh担持粉末を得た。
適量のジニトロジアミン酸Pt溶液に活性アルミナを添加し、1hr攪拌した。150℃で12hr乾燥させ粉砕後、400℃1hr焼成を行い、その後静置冷却して、Pt担持粉末を得た。
このようにして得られたPt担持粉末及びRh担持粉末と、硝酸、アルミナゾルをボールミルで1hr振動粉砕した。得られたスラリー液を中層上に塗布し、空気流にてセル内の余剰のスラリーを除去・乾燥し、400℃で1時間焼成し、表層を形成した。コート重量は60.5g/Lであった。
以上のようにして、ハニカム担体(モノリス担体)上に、内層、中層及び表層を形成した本例の触媒を得た。なお、かかる本例の触媒におけるPt担持量は0.53g/L、Rh担持量は0.177g/Lであった。
【0027】
(比較例1)
[内層(アンダーコート層)の形成]
活性アルミナ粉末をこのゾルに添加し、ポット容器に入れて中型振動ミルにて1hr粉砕した。この内層スラリー液をコージェライト質モノリス担体(0.94L、2ミル 900セル/平方インチ)に塗布し、空気流にてセル内の余剰のスラリーを除去・乾燥し、600℃で1時間焼成した。コート重量は70g/Lであった。
[中層の形成]
実施例1の中層と同じスラリーを用いてコートし、中層を形成した。
[表層の形成]
実施例1の表層と同じスラリーを用いてコートし、表層を形成した。
以上のようにして、ハニカム担体上に、内層、中層及び表層を形成した本例の触媒を得た。この触媒のPt担持量は0.53g/L、Rh担持量は0.177g/Lであった。
【0028】
<触媒の耐久処理>
実施例1及び比較例1の触媒に対し、以下の条件で触媒耐久を行った。
エンジン:日産自動車製6気筒3000cc
温度:850℃(触媒温度)
時間:100時間
【0029】
<評価試験>
実施例1及び比較例1の触媒につき、以下の条件下でのNOx転化率及びHC転化率を測定し、触媒の性能を評価した。得られた結果を図3〜図5に示す。
車両:エキスパート(重量1250kg)
エンジン:QG18DE
モード:10−15モード
触媒位置:マニホールド直下
【0030】
<触媒解析>
実施例1及び比較例1の触媒に対し、以下の条件で触媒分析を行った。
各触媒のSEM写真を撮影する。約2000倍で空孔のあるものと無いものとの差が明確になるので、ここではこの近傍の倍率で解析を行った。
かかるSEM写真の画像解析を各々行うことで、空孔の個数及び割合を算出した。なお、画像解析において、殆どの空孔は円形でないが、その空孔面積と同じ面積の円が存在するとみなし、その直径を粒径分布に当てはめてヒストグラム解析し、その結果を図6及び図7に示す。また、触媒構造の特徴を表1に示す。
【0031】
【表1】
Figure 2004033933
【0032】
次に、実施例1及び比較例1の触媒における内層(アンダーコート層)のSEM写真を図8及び図9に示す。
これらの図より、実施例1の触媒は比較例1の触媒に比べて空孔が多いことが分かる。また表1より、2μm以上の空孔の個数も全く異なることが分かる。
両触媒は、空孔を生成させる活性炭を用いたか否かで異なるだけで、これ以外は同じ材質と同じ量で作成した触媒であり、図3〜5において、本発明の範囲に属する実施例1の触媒のNOx添加率及びHC転化率が高いのは、この活性炭の添加により生成された空孔に起因していると考えるのが自然である。
【0033】
更に表1より、実施例1の触媒は比較例1のものに比べて2倍以上の嵩比率を持つ触媒であることが分かる。複数の空孔を伴った嵩のあるアンダーコート層が、排気ガスの拡散性や貴金属との接触頻度に何らかの影響を及ぼし、NOx転化率、HC転化率を共に上昇させたものと考えられる。よって、結果として、いわゆるウインドウ領域の拡張に繋がったと推測される。
【0034】
表1より、実施例1の触媒の全空孔における2μm以上の空孔の割合は13面積%であり、比較例1の触媒では0面積%であった。図6及び図7からもおおよその値は読み取れる。
実施例1の触媒性能が優れているとする、ゆえんはおおよそ次の通りである。
実施例1の触媒のように2μm以上の比較的大きな空孔が存在すると、排ガスの攪拌性能が向上したり、貴金属分子との接触回数が増加することは既に記載した通りであるが、これ以外にも触媒の低温活性が向上したり、上述した複数の現象が同時に発生する相乗効果が、空孔の占有率によっては期待できるためと考えられる。実際、図3〜図5に示すように、NOx転化率、HC添加率ともに上昇が認められている。
【0035】
また、この実施例1の触媒は、活性炭をアンダーコート層の重量に対して1%〜50%の割合で含有させて調製したものだが、SEM写真(図8及び図9)から観察する限りこのレベルの含有量で、比較例1との差は十分現れる。また、剥離して層が破壊したような形跡も認められない。更に、図3〜5から実施例1の触媒が望ましい結果を生ずることは明白である。
よって、上記の活性炭含有量を採用すれば、アンダーコート層自体にある一定の耐久性や強度を保持させつつ、貴金属との接触頻度の向上や排ガス拡散性の向上という効果が得られると考えられる。
【0036】
(実施例2)
[内層(アンダーコート層)の形成]
活性アルミナ粉末、活性炭及びCe0.70−Pr0.30−Oをアルミナゾルに添加し、ポット容器に入れてボールミルにて1hr粉砕した。この内層スラリー液をコージェライト質モノリス担体(0.94L、2ミル 900 セル/平方インチ)に塗布し、空気流にてセル内の余剰のスラリーを除去・乾燥し、600℃で1時間焼成し、モノリス担体上に内層を形成した。コート重量は70g/Lであった。
【0037】
[触媒成分層(中層)の形成]
適量のジニトロジアミン酸Pt溶液に活性アルミナを添加し、1hr攪拌した。150℃で12hr乾燥させ粉砕した後、400℃で1hrの焼成を行い、その後に冷却して、Pt担持粉末Cを得た。
次に、適量のジニトロジアミン酸Pt溶液にCeとZrの複合酸化粉末を添加して1hr攪拌した。150℃で1hr乾燥させて粉砕した後、400℃焼成を1hr行い冷却してPt担持粉末Dを得た。
更に、上記粉末A及びBの2種類のPt担持粉末とアルミナゾルと硝酸を加えてボールミルで攪拌した。これを上述の内層上に塗布し、空気流にてセル内の余剰のスラリーを除去・乾燥し、400℃で1時間焼成し、中層を形成した。コート重量は84.5g/Lであった。
【0038】
[触媒成分層(表層)の形成]
適量の硝酸Rh水溶液にアルミナが主体の粉末を添加し1hr攪拌した。150℃で12hr乾燥させ粉砕後、400℃で1hr焼成を行った。その後冷却して、Rh担持粉末を得た。
適量のジニトロジアミン酸Pt溶液に活性アルミナを添加し、1hr攪拌した。150℃で12hr乾燥させ粉砕後、400℃1hr焼成を行い、その後静置冷却して、Pt担持粉末を得た。
このようにして得られたPt担持粉末及びRh担持粉末と、硝酸、アルミナゾルをボールミルで1hr振動粉砕した。得られたスラリー液を中層上に塗布し、空気流にてセル内の余剰のスラリーを除去・乾燥し、400℃で1時間焼成し、表層を形成した。コート重量は60.5g/Lであった。
以上のようにして、ハニカム担体(モノリス担体)上に、内層、中層及び表層を形成した本例の触媒を得た。なお、かかる本例の触媒におけるPt担持量は0.53g/L、Rh担持量は0.177g/Lであった。
【0039】
(実施例3)
[内層(アンダーコート層)の形成]
活性アルミナ粉末、活性炭、Ce0.7−Pr0.3−O及びCe0.68−Zr0.32−Oをアルミナゾルに添加し、ポット容器に入れてボールミルにて1hr粉砕した。この内層スラリー液をコージェライト質モノリス担体(0.94L、2ミル 900 セル/平方インチ)に塗布し、空気流にてセル内の余剰のスラリーを除去・乾燥し、600℃で1時間焼成し、モノリス担体上に内層を形成した。コート重量は70g/Lであった。
更に、中層及び表層につき実施例2と同様の操作を繰り返し、内層、中層及び表層を備える本例の触媒を調製した。なお、この触媒におけるPt担持量は0.53g/L、Rh担持量は0.177g/Lであった。
【0040】
(比較例2)
[内層(アンダーコート層)の形成]
活性アルミナ粉末とCe0.7−Pr0.3−Oをこのゾルに添加し、ポット容器に入れて中型振動ミルにて1hr粉砕した。この内層スラリー液をコージェライト質モノリス担体(0.94L、2ミル 900セル/平方インチ)に塗布し、空気流にてセル内の余剰のスラリーを除去・乾燥し、600℃で1時間焼成した。コート重量は70g/Lであった。
更に、中層及び表層につき実施例2と同様の操作を繰り返し、内層、中層及び表層を備える本例の触媒を調製した。なお、この触媒におけるPt担持量は0.53g/L、Rh担持量は0.177g/Lであった。
【0041】
<触媒耐久、評価試験、解析>
以上のようにして得られた実施例2及び3、比較例2の触媒につき、上述の実施例1などと同様の耐久、評価及び解析を行った。
NOx転化率の測定結果を図10及び図11、HC転化率の測定結果を図12及び図13に示し、触媒構造などを表2に示す。
【0042】
【表2】
Figure 2004033933
【0043】
実施例2の触媒と比較例2の触媒とを対比したところ、上述した実施例1の触媒と比較例1の触媒との関係とほぼ同じ傾向が見られ、本発明の範囲に属する実施例2の触媒の方が、空孔が多くて嵩高く、NOx転化率にも優れ、排ガスのガス拡散性や排ガスと貴金属(触媒成分)との接触頻度が向上しており、更には上述した相乗効果を得られる可能性があることが分かった。
【0044】
以上、本発明を若干の実施例により詳細に説明したが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形が可能である。
例えば、上記実施例は本発明の三元触媒への適用について検討を行ったものであるが、これに限定されるものではなく、NOx浄化触媒、HC吸着触媒などにも本発明を適用できるのは勿論である。
【0045】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、触媒成分層の下方に所定の機能や性質を有するアンダーコート層を設けることとしたため、排気ガス有害成分、特にNOx浄化の低温活性に優れた排気ガス浄化用触媒及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の排気ガス浄化用触媒における排気ガス浄化の際のガスの流れを示す断面図である。
【図2】本発明の排気ガス浄化用触媒における排気ガス浄化の際のガスの流れを示す断面図である。
【図3】排気ガス浄化用触媒のNOx転化率を示すヒストグラムである。
【図4】排気ガス浄化用触媒のNOx転化率を示すヒストグラムである。
【図5】排気ガス浄化用触媒のHC転化率を示すヒストグラムである。
【図6】実施例1の排気ガス浄化用触媒における空孔分布を示すヒストグラムである。
【図7】比較例1の排気ガス浄化用触媒における空孔分布を示すヒストグラムである。
【図8】実施例1の排気ガス浄化用触媒のSEM写真(×2000)である。
【図9】比較例1の排気ガス浄化用触媒のSEM写真(×2000)である。
【図10】排気ガス浄化用触媒のNOx転化率を示す棒グラフである。
【図11】排気ガス浄化用触媒のNOx転化率を示す棒グラフである。
【図12】排気ガス浄化用触媒のHC転化率を示す棒グラフである。
【図13】排気ガス浄化用触媒のHC転化率を示す棒グラフである。
【符号の説明】
10  ハニカム担体
20  アンダーコート層
21  空孔
30  触媒成分層
40  排気ガス流路

Claims (8)

  1. ハニカム担体上に、アルミナを含むアンダーコート層と触媒成分層とを有する排気ガス浄化用触媒であって、
    上記アンダーコート層がガス拡散流路の機能を有することを特徴とする排気ガス浄化用触媒。
  2. ハニカム担体上に、アルミナを含むアンダーコート層と触媒成分とを有する排気ガス浄化用触媒であって、
    上記アンダーコート層が、孔径2μm以上の不連続な空孔を複数個有することを特徴とする排気ガス浄化用触媒。
  3. 上記不連続空孔を有するアンダーコート層は、孔径2μm未満の不連続な空孔のみを有するアンダーコート層に対し、コート層重量当たり1.1〜5倍の嵩を有することを特徴とする請求項2に記載の排気ガス浄化用触媒。
  4. 上記孔径2μm以上の不連続空孔が、上記アンダーコート層の全空孔面積の5〜20%を占めることを特徴とする請求項2又は3に記載の排気ガス浄化用触媒。
  5. 上記アンダーコート層が、更にOストレージ材を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の排気ガス浄化用触媒。
  6. 上記Oストレージ材が、CeとZrとの複合酸化物及び/又はCeとPrとの複合酸化物であることを特徴とする請求項5に記載の排気ガス浄化用触媒。
  7. 上記CeとZrとの複合酸化物と、CeとPrとの複合酸化物との含有量の合計が、上記アンダーコート層の重量に対して1〜50%であることを特徴とする請求項6に記載の排気ガス浄化用触媒。
  8. 請求項1〜7のいずれか1つの項に記載の排気ガス浄化用触媒を製造するに当たり、
    焼成、乾燥、溶解及びその他の物理的・化学的処理を施した際に分解して消失する材料、及び/又は燃焼して消失する材料を、アンダーコート層に対して1〜50%含有させた混合原料を用いて、上記アンダーコート層に孔径2μm以上の不連続な空孔を形成することを特徴とする排気ガス浄化用触媒の製造方法。
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