JP2004033845A - 積層塗膜形成方法及び塗装物 - Google Patents
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Abstract
【課題】ハイライト位置から見ても、シェード位置から見ても高彩度である塗膜を安定して形成することができる積層塗膜形成方法及び該方法により塗装されてなる塗装物を提供する。
【解決手段】高彩度を示す積層塗膜を形成する方法であって、被塗物の上にL値20以上のベースコート塗膜層を形成したのち、該ベースコート塗膜層の上に、集光型染料を染料質量濃度0.01質量%以上含有する塗料の塗膜層を形成することを特徴とする積層塗膜形成方法。
【選択図】 なし
【解決手段】高彩度を示す積層塗膜を形成する方法であって、被塗物の上にL値20以上のベースコート塗膜層を形成したのち、該ベースコート塗膜層の上に、集光型染料を染料質量濃度0.01質量%以上含有する塗料の塗膜層を形成することを特徴とする積層塗膜形成方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層塗膜形成方法及び塗装物に関する。さらに詳しくは、本発明は、ハイライト位置から見ても、シェード位置から見ても高彩度である塗膜を安定して形成することができる積層塗膜形成方法及び該方法により塗装されてなる塗装物に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、自動車、オートバイ、パソコン、携帯電話などの塗装物品には、高い意匠性が必要とされ、どこから見ても、彩度が高いと感じられるデザインが求められている。従来から、このようなデザインを発現するために、ベースコート層を形成したのち、微量の顔料を含有するカラークリヤー塗料をトップコート層として塗装する塗膜形成方法が用いられている。しかしこの塗膜形成方法では、顔料による白ボケ感が発生し、十分に高い彩度が感じられないという欠点があった。顔料を含有するカラークリヤー塗料の代わりに、染料を含有するカラークリヤー塗料を用いてトップコート層を形成する塗膜形成方法が知られており、通常キャンディートーンと呼ばれている。透明性の高い染料を含有するカラークリヤー塗料をトップコートに用いることにより、白ボケ感がなく、透明感が感じられ、さらに染料の発色性が良好なために、高い彩度を得ることができる。しかし、染料を含有するカラークリヤー塗料を用いてトップコート層を形成すると、ハイライト位置から見た彩度は、求められるレベルに達しているが、シェード位置から見た彩度は低く、どこから見ても彩度が高いと感じ得るデザインには達していない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ハイライト位置から見ても、シェード位置から見ても高彩度である塗膜を安定して形成することができる積層塗膜形成方法及び該方法により塗装されてなる塗装物を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、被塗物の上にL値20以上のベースコート塗膜層を形成し、該ベースコート塗膜層の上に、集光型染料を染料質量濃度0.01質量%以上含有する塗料の塗膜層を形成することにより、ハイライト位置から見ても、シェード位置から見ても高彩度である塗膜を安定して形成し得ることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)高彩度を示す積層塗膜を形成する方法であって、被塗物の上にL値20以上のベースコート塗膜層を形成し、該ベースコート塗膜層の上に、集光型染料を染料質量濃度0.01質量%以上含有する塗料の塗膜層を形成することを特徴とする積層塗膜形成方法、及び、
(2)第1項記載の積層塗膜形成方法により塗装されてなることを特徴とする塗装物、
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の積層塗膜形成方法は、高彩度を示す積層塗膜を形成する方法であって、被塗物の上にL値20以上のベースコート塗膜層を形成し、該ベースコート塗膜層の上に、集光型染料を染料質量濃度0.01質量%以上含有する塗料の塗膜層を形成する積層塗膜形成方法である。本発明方法によれば、ハイライト位置から見た場合に高彩度であるのみならず、シェード位置から見た場合にも高彩度を有する塗膜を安定的に形成することができる。
本発明方法において、被塗物の上に形成するベースコート塗膜層のL値は20以上であり、より好ましくは30以上である。ベースコート塗膜層のL値が20未満であると、塗装物の塗膜の彩度が低下するおそれがある。塗膜層のL値は、JIS Z 8722にしたがって三刺激値X、Y、Zを測定し、JIS Z 8730 6.3.2ハンターの色差式による色差として求めることができる。より簡便には、市販の色彩色差計を用いて、L値を直読することができる。
本発明方法においては、被塗物の上にベースコート塗膜層を形成し、該ベースコート塗膜層の上に、集光型染料を含有する塗料の塗膜層を形成する。ベースコート塗膜層は、被塗物にベースコート用塗料を塗布し、室温に暫時放置したのち、トップコート用塗料を塗布して焼き付ける2コート1ベーク方式により形成することができ、あるいは、被塗物にベースコート用塗料を塗布して焼付け、その上にトップコート用塗料を塗布して焼き付ける2コート2ベーク方式によっても形成することができる。
【0006】
本発明方法においては、ベースコート塗膜層の上に、集光型染料を染料質量濃度0.01質量%以上含有する塗料、より好ましくは0.05〜10質量%含有する塗料の塗膜層を形成する。染料質量濃度とは、塗料組成物の加熱残分中に占める集光型染料の割合である。集光型染料の含有量が染料質量濃度0.01質量%未満であると、塗膜のシェード位置からの彩度が低下するおそれがある。集光型染料の含有量が染料質量濃度10質量%を超えると、塗膜性能が低下するおそれがある。
集光型染料は、天然光又は人工光を吸光し、吸光した光を蛍光に変換して発光する染料である。このような集光型染料としては、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸と2,6−ジ置換アニリンとを縮合させた化学構造などを有する染料が知られ、ビーエーエスエフ社から、ルモゲンFシリーズとして、黄色、橙色、赤色、紫色などの染料が販売されている。本発明方法においては、集光型染料は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。図1は、集光型赤色染料の吸光と発光のスペクトルの一例である。本図に見られるように、多くの場合、発光は吸光より長い波長を有する。本発明方法において、ベースコート用塗料及び集光型染料含有塗料に用いる塗膜形成樹脂に特に制限はなく、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、繊維素系樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂などを挙げることができる。これらの塗膜形成樹脂は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。塗膜形成樹脂は、非架橋のラッカータイプとして用いることができ、あるいは、アミノ樹脂、(ブロック)ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物などの架橋形成樹脂と組み合わせて架橋硬化型として用いることもできる。
【0007】
本発明方法において、ベースコート用塗料又は集光型染料含有塗料には、光輝材を配合することができる。使用する光輝材に特に制限はなく、例えば、ノンリーフィング型アルミニウムフレーク、ニッケルフレーク、銅フレーク、チタンフレーク、ガラスフレークなどのフレーク、パールマイカ、着色パールマイカなどのマイカ粉末、シリカフレーク、アルミナフレークなどの偏光性顔料、金属、二酸化チタンなどで被覆されたガラスフレーク顔料、着色アルミニウムフレーク顔料、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料、金属酸化物被覆シリカフレーク顔料、微粒子酸化チタン顔料、板状酸化鉄などを挙げることができる。
本発明方法において、ベースコート用塗料及び集光型染料含有塗料には、必要に応じて、その他の着色顔料や、各種の添加剤などを配合することができる。着色顔料としては、例えば、アゾレーキ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、キノフタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料などの有機系顔料や、黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、二酸化チタンなどの無機系顔料などを挙げることができる。添加剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール、蓚酸アニリド系などの紫外線吸収剤、ベンゾフェノール系などの酸化防止剤、シリコーン系などのレベリング剤、ワックス、有機ベントナイトなどの粘性制御剤、硬化触媒などを挙げることができる。
【0008】
本発明方法において、ベースコート用塗料及び集光型染料含有塗料は、有機溶剤に溶解した溶液として使用される。有機溶剤としては、例えば、芳香族炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤などを挙げることができる。これらの有機溶剤は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明方法において、ベースコート用塗料及び集光型染料含有塗料の塗装方法に特に制限はないが、霧化式塗装機を用い、エアスプレー方式、エアレススプレー方式、静電方式などの塗装方法を好適に用いることができる。
本発明方法を適応する被塗物に特に制限はなく、例えば、鉄、アルミニウム、マグネシウム、これらの合金を含む金属類、ガラス、コンクリートなどの無機材料、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド、アクリル樹脂、ポリエステル、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体などの樹脂成形品、各種FRPなどのプラスチック材料、木材、紙などを挙げることができる。これら被塗物には、必要に応じて、プライマーやプレコート処理などを施すことができる。
【0009】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例において、L値と彩度は下記の方法により測定した。
(1)L値
色彩測色計[ミノルタ(株)、CR200]を用いて測定する。
(2)ハイライト位置からの彩度
マルチアングル分光測色計[X−Rite社、MA68II]を用い、光源D65にて入射角45度で入射し、正反射光からみて入射角の方向へ15度の彩度(chroma)を測定する。彩度70以上であれば、ハイライト位置からの彩度として十分な値である。
(2)シェード位置からの彩度
マルチアングル分光測色計[X−Rite社、MA68II]を用い、光源D65にて入射角45度で入射し、正反射光からみて入射角の方向へ110度の彩度(chroma)を測定する。彩度80以上であれば、シェード位置からの彩度として十分な値である。
【0010】
製造例1(ベースコート用塗料Aの調製)
アクリル樹脂[大日本インキ化学工業(株)、アクリディックA−190、加熱残分50質量%]25質量部、酸化チタン[テイカ(株)、JR602]21質量部及び有機赤色顔料[チバスペシャリティーケミカルズ社、イルガジンDPPレッドBO]3質量部を、ガラスビーズを分散媒体とするグラインドミルで粒径が10μm以下になるまで分散し、着色ペーストを作製した。
アクリル樹脂[大日本インキ化学工業(株)、アクリディックA−190、加熱残分50質量%]20質量部、セルロースアセテートブチレート[イーストマンケミカルズ社、CAB531−1]30質量%酢酸エチル溶液5質量部、上記の着色ペーストを順次加えて、撹拌した。次に、ポリイソシアネート化合物[住化バイエルウレタン(株)、スミジュールN−75、加熱残分75質量%]7.5質量部を加え、さらにキシレン/酢酸イソブチル(質量比50/50)混合溶剤18.5質量部を加えて撹拌し、ベースコート用塗料Aを調製した。
製造例2(ベースコート用塗料Bの調製)
アクリル樹脂[大日本インキ化学工業(株)、アクリディックA−190、加熱残分50質量%]40質量部、酸化チタン[テイカ(株)、JR602]7質量部、有機赤色顔料[チバスペシャリティーケミカルズ社、イルガジンDPPレッドBO]10質量部及びカーボンブラック[デグサ・ヒュルスジャパン(株)、FW200]0.2質量部を、ガラスビーズを分散媒体とするグラインドミルで粒径が10μm以下になるまで分散し、着色ペーストを作製した。
アクリル樹脂[大日本インキ化学工業(株)、アクリディックA−190、加熱残分50質量%]5質量部、セルロースアセテートブチレート[イーストマン ケミカルズ社、CAB531−1]30質量%酢酸エチル溶液5質量部、上記の着色ペーストを順次加えて、撹拌した。次に、ポリイソシアネート化合物[住化バイエルウレタン(株)、スミジュールN−75、加熱残分75質量%]7.5質量部を加え、さらにキシレン/酢酸イソブチル(質量比50/50)混合溶剤25.3質量部を加えて撹拌し、ベースコート用塗料Bを調製した。
参考例1(ベースコート用塗料Cの調製)
アクリル樹脂[大日本インキ化学工業(株)、アクリディックA−190、加熱残分50質量%]25質量部及びカーボンブラック[デグサ・ヒュルスジャパン(株)、FW200]1.8質量部を、ガラスビーズを分散媒体とするグラインドミルで粒径が10μm以下になるまで分散し、着色ペーストを作製した。
アクリル樹脂[大日本インキ化学工業(株)、アクリディックA−190、加熱残分50質量%]20質量部、セルロースアセテートブチレート[イーストマンケミカルズ社、CAB531−1]30質量%酢酸エチル溶液5質量部、上記の着色ペーストを順次加えて、撹拌した。次に、ポリイソシアネート化合物[住化バイエルウレタン(株)、スミジュールN−75、加熱残分75質量%]7.5質量部を加え、さらにキシレン/酢酸イソブチル(質量比50/50)混合溶剤40.7質量部を加えて撹拌し、ベースコート用塗料Cを調製した。
ベースコート用塗料A〜Cの配合組成を、第1表に示す。
【0011】
【表1】
【0012】
製造例3(トップコート用塗料Aの調製)
集光型赤色染料[ビーエーエスエフ社、ルモゲンFレッド300]1質量部とトルエン20質量部を混合、撹拌し、染料溶解液を作製した。この染料溶解液をアクリル樹脂[大日本インキ化学工業(株)、アクリディックA−190、加熱残分50質量%]60質量部に加えて撹拌し、次に、ポリイソシアネート化合物[住化バイエルウレタン(株)、スミジュールN−75、加熱残分75質量%]10質量部を加えて撹拌し、さらにキシレン/酢酸イソブチル(質量比50/50)混合溶剤9質量部を加えて撹拌し、トップコート用塗料Aを調製した。
参考例2(トップコート用塗料Bの調製)
赤色染料[ゼネカ(株)、ランプロノールレッド2BR]1質量部とメチルエチルケトン10質量部を混合、撹拌し、染料溶解液を作製した。この染料溶解液をアクリル樹脂[大日本インキ化学工業(株)、アクリディックA−190、加熱残分50質量%]60質量部に加えて撹拌し、次に、ポリイソシアネート化合物[住化バイエルウレタン(株)、スミジュールN−75、加熱残分75質量%]10質量部を加えて撹拌し、さらにキシレン/酢酸イソブチル(質量比50/50)混合溶剤19質量部を加えて撹拌し、トップコート用塗料Bを調製した。
参考例3(トップコート用塗料Cの調製)
アクリル樹脂[大日本インキ化学工業(株)、アクリディックA−190、加熱残分50質量%]10質量部及び有機赤色顔料[チバスペシャリティーケミカルズ社、クロモフタルレッドA3B]1質量部を、ガラスビーズを分散媒体とするグラインドミルで粒径が10μm以下になるまで分散し、着色ペーストを作製した。
この着色ペーストをアクリル樹脂[大日本インキ化学工業(株)、アクリディックA−190、加熱残分50質量%]50質量部に加えて撹拌し、次に、ポリイソシアネート化合物[住化バイエルウレタン(株)、スミジュールN−75、加熱残分75質量%]10質量部を加えて撹拌し、さらにキシレン/酢酸イソブチル(質量比50/50)混合溶剤29質量部を加えて撹拌し、トップコート塗料Cを調整した。
【0013】
製造例4(トップコート用塗料Dの調製)
集光型赤色染料[ビーエーエスエフ社、ルモゲンFレッド300]1質量部とトルエン20質量部を混合、撹拌し、染料溶解液を作製した。また、アクリル樹脂[大日本インキ化学工業(株)、アクリディックA−190、加熱残分50質量%]10質量部及び有機赤色顔料[チバスペシャリティーケミカルズ社、クロモフタルレッドA3B]1質量部を、ガラスビーズを分散媒体とするグラインドミルで粒径が10μm以下になるまで分散し、着色ペーストを作製した。
アクリル樹脂[大日本インキ化学工業(株)、アクリディックA−190、加熱残分50質量%]50質量部に上記の染料溶解液と着色ペーストを順次加えて撹拌し、次に、ポリイソシアネート化合物[住化バイエルウレタン(株)、スミジュールN−75、加熱残分75質量%]10質量部を加えて撹拌し、さらにキシレン/酢酸イソブチル(質量比50/50)混合溶剤8質量部を加えて撹拌し、トップコート用塗料Dを調整した。
製造例5(トップコート用塗料Eの調製)
集光型赤色染料[ビーエーエスエフ社、ルモゲンFレッド300]1質量部とトルエン20質量部を混合、撹拌し、第一の染料溶解液を作製した。また、赤色染料[ゼネカ(株)、ランプロノールレッド2BR]1質量部とメチルエチルケトン5質量部を混合、撹拌し、第二の染料溶解液を作製した。
アクリル樹脂[大日本インキ化学工業(株)、アクリディックA−190、加熱残分50質量%]60質量部に上記の第一の染料溶解液と第二の染料溶解液を順次加えて撹拌し、次に、ポリイソシアネート化合物[住化バイエルウレタン(株)、スミジュールN−75、加熱残分75質量%]10質量部を加えて撹拌し、さらにキシレン/酢酸イソブチル(質量比50/50)混合溶剤3質量部を加えて撹拌し、トップコート塗料Eを調整した。
製造例6(トップコート用塗料Fの調製)
集光型赤色染料[ビーエーエスエフ社、ルモゲンFレッド300]0.1質量部とトルエン20質量部を混合、撹拌し、染料溶解液を作製した。この染料溶解液をアクリル樹脂[大日本インキ化学工業(株)、アクリディックA−190、加熱残分50質量%]60質量部に加えて撹拌し、次に、ポリイソシアネート化合物[住化バイエルウレタン(株)、スミジュールN−75、加熱残分75質量%]10質量部を加えて撹拌し、さらにキシレン/酢酸イソブチル(質量比50/50)混合溶剤9.9質量部を加えて撹拌し、トップコート用塗料Fを調製した。
トップコート用塗料A〜Fの配合組成を、第2表に示す。
【0014】
【表2】
【0015】
実施例1
寸法7cm×12cm、厚さ3mmのABS基材試験片[日本A&L(株)、クララスチックMVF]を、イソプロピルアルコールを用いて脱脂し、被塗物とした。この被塗物に、ベースコート用塗料Aを、乾燥膜厚30μmとなるようにエアスプレーで塗装した。トップコート用塗料を塗装することなく、室温にて10分間放置したのち、75℃で30分間焼き付け、ベースコート塗装板を得た。このベースコート塗装板のL値は、70であった。
上記と同様にして調整した被塗物に、ベースコート塗料Aを乾燥膜厚30μmとなるようにエアスプレーで塗装し、室温にて10分間放置した。次いで、トップコート用塗料Aを乾燥膜厚25μmとなるようにエアスプレーで塗装し、室温にて10分間放置したのち、75℃で30分間焼き付け、塗装板を得た。得られた塗装板のハイライト位置からの彩度は86であり、シェード位置からの彩度は100であった。
実施例2
トップコート用塗料Aの代わりにトップコート用塗料Dを用いた以外は、実施例1と同様にして塗装板を作製した。得られた塗装板のハイライト位置からの彩度は82であり、シェード位置からの彩度は90であった。
実施例3
トップコート用塗料Aの代わりにトップコート用塗料Eを用いた以外は、実施例1と同様にして塗装板を作製した。得られた塗装板のハイライト位置からの彩度は83であり、シェード位置からの彩度は92であった。
実施例4
実施例1と同様にして調整した被塗物に、ベースコート用塗料Bを、乾燥膜厚30μmとなるようにエアスプレーで塗装した。トップコート用塗料を塗装することなく、室温にて10分間放置したのち、75℃で30分間焼き付け、ベースコート塗装板を得た。このベースコート塗装板のL値は、40であった。
実施例1と同様にして調整した被塗物に、ベースコート塗料Bを乾燥膜厚30μmとなるようにエアスプレーで塗装し、室温にて10分間放置した。次いで、トップコート用塗料Aを乾燥膜厚25μmとなるようにエアスプレーで塗装し、室温にて10分間放置したのち、75℃で30分間焼き付け、塗装板を得た。得られた塗装板のハイライト位置からの彩度は78であり、シェード位置からの彩度は88であった。
実施例5
トップコート用塗料Aの代わりにトップコート用塗料Fを用いた以外は、実施例1と同様にして塗装板を作製した。得られた塗装板のハイライト位置からの彩度は72であり、シェード位置からの彩度は81であった。
【0016】
比較例1
トップコート用塗料Aの代わりにトップコート用塗料Bを用いた以外は、実施例1と同様にして塗装板を作製した。得られた塗装板のハイライト位置からの彩度は80であり、シェード位置からの彩度は70であった。
比較例2
トップコート用塗料Aの代わりにトップコート用塗料Cを用いた以外は、実施例1と同様にして塗装板を作製した。得られた塗装板のハイライト位置からの彩度は73であり、シェード位置からの彩度は76であった。
比較例3
実施例1と同様にして調整した被塗物に、ベースコート用塗料Cを、乾燥膜厚30μmとなるようにエアスプレーで塗装した。トップコート用塗料を塗装することなく、室温にて10分間放置したのち、75℃で30分間焼き付け、ベースコート塗装板を得た。このベースコート塗装板のL値は、18であった。
実施例1と同様にして調整した被塗物に、ベースコート塗料Cを乾燥膜厚30μmとなるようにエアスプレーで塗装し、室温にて10分間放置した。次いで、トップコート用塗料Aを乾燥膜厚25μmとなるようにエアスプレーで塗装し、室温にて10分間放置したのち、75℃で30分間焼き付け、塗装板を得た。得られた塗装板のハイライト位置からの彩度は20であり、シェード位置からの彩度は30であった。
実施例1〜5及び比較例1〜3の結果を、第3表に示す。
【0017】
【表3】
【0018】
第3表に見られるように、L値が40又は70のベースコート塗膜層の上に、集光型染料を染料質量濃度0.27質量%、2.53質量%又は2.60質量%含有するトップコート用塗料の塗膜層を形成した実施例1〜5の塗装板は、ハイライト位置からの彩度も、シェード位置からの彩度も、十分に大きい値を有している。
これに対して、ベースコート塗膜層のL値が70であっても、集光型染料を含まないトップコート用塗料を塗装した比較例1と比較例2の塗装物は、ハイライト位置からの彩度は十分であるが、シェード位置からの彩度が不足している。L値が18のベースコート塗膜層の上に、集光型染料を染料質量濃度2.60質量%含有するトップコート用塗料を塗装した比較例3の塗装物は、ハイライト位置からの彩度も、シェード位置からの彩度も著しく低い。
【0019】
【発明の効果】
本発明の塗膜形成方法によれば、ハイライト位置から見た場合に高彩度であるのみならず、シェード位置から見た場合も高彩度を有する塗膜を安定的に得ることができる。本発明の塗装物は、どこから見ても彩度が高いと感じられ、デザイン性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、集光型赤色染料の吸光と発光のスペクトルの一例である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層塗膜形成方法及び塗装物に関する。さらに詳しくは、本発明は、ハイライト位置から見ても、シェード位置から見ても高彩度である塗膜を安定して形成することができる積層塗膜形成方法及び該方法により塗装されてなる塗装物に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、自動車、オートバイ、パソコン、携帯電話などの塗装物品には、高い意匠性が必要とされ、どこから見ても、彩度が高いと感じられるデザインが求められている。従来から、このようなデザインを発現するために、ベースコート層を形成したのち、微量の顔料を含有するカラークリヤー塗料をトップコート層として塗装する塗膜形成方法が用いられている。しかしこの塗膜形成方法では、顔料による白ボケ感が発生し、十分に高い彩度が感じられないという欠点があった。顔料を含有するカラークリヤー塗料の代わりに、染料を含有するカラークリヤー塗料を用いてトップコート層を形成する塗膜形成方法が知られており、通常キャンディートーンと呼ばれている。透明性の高い染料を含有するカラークリヤー塗料をトップコートに用いることにより、白ボケ感がなく、透明感が感じられ、さらに染料の発色性が良好なために、高い彩度を得ることができる。しかし、染料を含有するカラークリヤー塗料を用いてトップコート層を形成すると、ハイライト位置から見た彩度は、求められるレベルに達しているが、シェード位置から見た彩度は低く、どこから見ても彩度が高いと感じ得るデザインには達していない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ハイライト位置から見ても、シェード位置から見ても高彩度である塗膜を安定して形成することができる積層塗膜形成方法及び該方法により塗装されてなる塗装物を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、被塗物の上にL値20以上のベースコート塗膜層を形成し、該ベースコート塗膜層の上に、集光型染料を染料質量濃度0.01質量%以上含有する塗料の塗膜層を形成することにより、ハイライト位置から見ても、シェード位置から見ても高彩度である塗膜を安定して形成し得ることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)高彩度を示す積層塗膜を形成する方法であって、被塗物の上にL値20以上のベースコート塗膜層を形成し、該ベースコート塗膜層の上に、集光型染料を染料質量濃度0.01質量%以上含有する塗料の塗膜層を形成することを特徴とする積層塗膜形成方法、及び、
(2)第1項記載の積層塗膜形成方法により塗装されてなることを特徴とする塗装物、
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の積層塗膜形成方法は、高彩度を示す積層塗膜を形成する方法であって、被塗物の上にL値20以上のベースコート塗膜層を形成し、該ベースコート塗膜層の上に、集光型染料を染料質量濃度0.01質量%以上含有する塗料の塗膜層を形成する積層塗膜形成方法である。本発明方法によれば、ハイライト位置から見た場合に高彩度であるのみならず、シェード位置から見た場合にも高彩度を有する塗膜を安定的に形成することができる。
本発明方法において、被塗物の上に形成するベースコート塗膜層のL値は20以上であり、より好ましくは30以上である。ベースコート塗膜層のL値が20未満であると、塗装物の塗膜の彩度が低下するおそれがある。塗膜層のL値は、JIS Z 8722にしたがって三刺激値X、Y、Zを測定し、JIS Z 8730 6.3.2ハンターの色差式による色差として求めることができる。より簡便には、市販の色彩色差計を用いて、L値を直読することができる。
本発明方法においては、被塗物の上にベースコート塗膜層を形成し、該ベースコート塗膜層の上に、集光型染料を含有する塗料の塗膜層を形成する。ベースコート塗膜層は、被塗物にベースコート用塗料を塗布し、室温に暫時放置したのち、トップコート用塗料を塗布して焼き付ける2コート1ベーク方式により形成することができ、あるいは、被塗物にベースコート用塗料を塗布して焼付け、その上にトップコート用塗料を塗布して焼き付ける2コート2ベーク方式によっても形成することができる。
【0006】
本発明方法においては、ベースコート塗膜層の上に、集光型染料を染料質量濃度0.01質量%以上含有する塗料、より好ましくは0.05〜10質量%含有する塗料の塗膜層を形成する。染料質量濃度とは、塗料組成物の加熱残分中に占める集光型染料の割合である。集光型染料の含有量が染料質量濃度0.01質量%未満であると、塗膜のシェード位置からの彩度が低下するおそれがある。集光型染料の含有量が染料質量濃度10質量%を超えると、塗膜性能が低下するおそれがある。
集光型染料は、天然光又は人工光を吸光し、吸光した光を蛍光に変換して発光する染料である。このような集光型染料としては、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸と2,6−ジ置換アニリンとを縮合させた化学構造などを有する染料が知られ、ビーエーエスエフ社から、ルモゲンFシリーズとして、黄色、橙色、赤色、紫色などの染料が販売されている。本発明方法においては、集光型染料は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。図1は、集光型赤色染料の吸光と発光のスペクトルの一例である。本図に見られるように、多くの場合、発光は吸光より長い波長を有する。本発明方法において、ベースコート用塗料及び集光型染料含有塗料に用いる塗膜形成樹脂に特に制限はなく、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、繊維素系樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂などを挙げることができる。これらの塗膜形成樹脂は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。塗膜形成樹脂は、非架橋のラッカータイプとして用いることができ、あるいは、アミノ樹脂、(ブロック)ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物などの架橋形成樹脂と組み合わせて架橋硬化型として用いることもできる。
【0007】
本発明方法において、ベースコート用塗料又は集光型染料含有塗料には、光輝材を配合することができる。使用する光輝材に特に制限はなく、例えば、ノンリーフィング型アルミニウムフレーク、ニッケルフレーク、銅フレーク、チタンフレーク、ガラスフレークなどのフレーク、パールマイカ、着色パールマイカなどのマイカ粉末、シリカフレーク、アルミナフレークなどの偏光性顔料、金属、二酸化チタンなどで被覆されたガラスフレーク顔料、着色アルミニウムフレーク顔料、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料、金属酸化物被覆シリカフレーク顔料、微粒子酸化チタン顔料、板状酸化鉄などを挙げることができる。
本発明方法において、ベースコート用塗料及び集光型染料含有塗料には、必要に応じて、その他の着色顔料や、各種の添加剤などを配合することができる。着色顔料としては、例えば、アゾレーキ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、キノフタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料などの有機系顔料や、黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、二酸化チタンなどの無機系顔料などを挙げることができる。添加剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール、蓚酸アニリド系などの紫外線吸収剤、ベンゾフェノール系などの酸化防止剤、シリコーン系などのレベリング剤、ワックス、有機ベントナイトなどの粘性制御剤、硬化触媒などを挙げることができる。
【0008】
本発明方法において、ベースコート用塗料及び集光型染料含有塗料は、有機溶剤に溶解した溶液として使用される。有機溶剤としては、例えば、芳香族炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤などを挙げることができる。これらの有機溶剤は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明方法において、ベースコート用塗料及び集光型染料含有塗料の塗装方法に特に制限はないが、霧化式塗装機を用い、エアスプレー方式、エアレススプレー方式、静電方式などの塗装方法を好適に用いることができる。
本発明方法を適応する被塗物に特に制限はなく、例えば、鉄、アルミニウム、マグネシウム、これらの合金を含む金属類、ガラス、コンクリートなどの無機材料、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド、アクリル樹脂、ポリエステル、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体などの樹脂成形品、各種FRPなどのプラスチック材料、木材、紙などを挙げることができる。これら被塗物には、必要に応じて、プライマーやプレコート処理などを施すことができる。
【0009】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例において、L値と彩度は下記の方法により測定した。
(1)L値
色彩測色計[ミノルタ(株)、CR200]を用いて測定する。
(2)ハイライト位置からの彩度
マルチアングル分光測色計[X−Rite社、MA68II]を用い、光源D65にて入射角45度で入射し、正反射光からみて入射角の方向へ15度の彩度(chroma)を測定する。彩度70以上であれば、ハイライト位置からの彩度として十分な値である。
(2)シェード位置からの彩度
マルチアングル分光測色計[X−Rite社、MA68II]を用い、光源D65にて入射角45度で入射し、正反射光からみて入射角の方向へ110度の彩度(chroma)を測定する。彩度80以上であれば、シェード位置からの彩度として十分な値である。
【0010】
製造例1(ベースコート用塗料Aの調製)
アクリル樹脂[大日本インキ化学工業(株)、アクリディックA−190、加熱残分50質量%]25質量部、酸化チタン[テイカ(株)、JR602]21質量部及び有機赤色顔料[チバスペシャリティーケミカルズ社、イルガジンDPPレッドBO]3質量部を、ガラスビーズを分散媒体とするグラインドミルで粒径が10μm以下になるまで分散し、着色ペーストを作製した。
アクリル樹脂[大日本インキ化学工業(株)、アクリディックA−190、加熱残分50質量%]20質量部、セルロースアセテートブチレート[イーストマンケミカルズ社、CAB531−1]30質量%酢酸エチル溶液5質量部、上記の着色ペーストを順次加えて、撹拌した。次に、ポリイソシアネート化合物[住化バイエルウレタン(株)、スミジュールN−75、加熱残分75質量%]7.5質量部を加え、さらにキシレン/酢酸イソブチル(質量比50/50)混合溶剤18.5質量部を加えて撹拌し、ベースコート用塗料Aを調製した。
製造例2(ベースコート用塗料Bの調製)
アクリル樹脂[大日本インキ化学工業(株)、アクリディックA−190、加熱残分50質量%]40質量部、酸化チタン[テイカ(株)、JR602]7質量部、有機赤色顔料[チバスペシャリティーケミカルズ社、イルガジンDPPレッドBO]10質量部及びカーボンブラック[デグサ・ヒュルスジャパン(株)、FW200]0.2質量部を、ガラスビーズを分散媒体とするグラインドミルで粒径が10μm以下になるまで分散し、着色ペーストを作製した。
アクリル樹脂[大日本インキ化学工業(株)、アクリディックA−190、加熱残分50質量%]5質量部、セルロースアセテートブチレート[イーストマン ケミカルズ社、CAB531−1]30質量%酢酸エチル溶液5質量部、上記の着色ペーストを順次加えて、撹拌した。次に、ポリイソシアネート化合物[住化バイエルウレタン(株)、スミジュールN−75、加熱残分75質量%]7.5質量部を加え、さらにキシレン/酢酸イソブチル(質量比50/50)混合溶剤25.3質量部を加えて撹拌し、ベースコート用塗料Bを調製した。
参考例1(ベースコート用塗料Cの調製)
アクリル樹脂[大日本インキ化学工業(株)、アクリディックA−190、加熱残分50質量%]25質量部及びカーボンブラック[デグサ・ヒュルスジャパン(株)、FW200]1.8質量部を、ガラスビーズを分散媒体とするグラインドミルで粒径が10μm以下になるまで分散し、着色ペーストを作製した。
アクリル樹脂[大日本インキ化学工業(株)、アクリディックA−190、加熱残分50質量%]20質量部、セルロースアセテートブチレート[イーストマンケミカルズ社、CAB531−1]30質量%酢酸エチル溶液5質量部、上記の着色ペーストを順次加えて、撹拌した。次に、ポリイソシアネート化合物[住化バイエルウレタン(株)、スミジュールN−75、加熱残分75質量%]7.5質量部を加え、さらにキシレン/酢酸イソブチル(質量比50/50)混合溶剤40.7質量部を加えて撹拌し、ベースコート用塗料Cを調製した。
ベースコート用塗料A〜Cの配合組成を、第1表に示す。
【0011】
【表1】
【0012】
製造例3(トップコート用塗料Aの調製)
集光型赤色染料[ビーエーエスエフ社、ルモゲンFレッド300]1質量部とトルエン20質量部を混合、撹拌し、染料溶解液を作製した。この染料溶解液をアクリル樹脂[大日本インキ化学工業(株)、アクリディックA−190、加熱残分50質量%]60質量部に加えて撹拌し、次に、ポリイソシアネート化合物[住化バイエルウレタン(株)、スミジュールN−75、加熱残分75質量%]10質量部を加えて撹拌し、さらにキシレン/酢酸イソブチル(質量比50/50)混合溶剤9質量部を加えて撹拌し、トップコート用塗料Aを調製した。
参考例2(トップコート用塗料Bの調製)
赤色染料[ゼネカ(株)、ランプロノールレッド2BR]1質量部とメチルエチルケトン10質量部を混合、撹拌し、染料溶解液を作製した。この染料溶解液をアクリル樹脂[大日本インキ化学工業(株)、アクリディックA−190、加熱残分50質量%]60質量部に加えて撹拌し、次に、ポリイソシアネート化合物[住化バイエルウレタン(株)、スミジュールN−75、加熱残分75質量%]10質量部を加えて撹拌し、さらにキシレン/酢酸イソブチル(質量比50/50)混合溶剤19質量部を加えて撹拌し、トップコート用塗料Bを調製した。
参考例3(トップコート用塗料Cの調製)
アクリル樹脂[大日本インキ化学工業(株)、アクリディックA−190、加熱残分50質量%]10質量部及び有機赤色顔料[チバスペシャリティーケミカルズ社、クロモフタルレッドA3B]1質量部を、ガラスビーズを分散媒体とするグラインドミルで粒径が10μm以下になるまで分散し、着色ペーストを作製した。
この着色ペーストをアクリル樹脂[大日本インキ化学工業(株)、アクリディックA−190、加熱残分50質量%]50質量部に加えて撹拌し、次に、ポリイソシアネート化合物[住化バイエルウレタン(株)、スミジュールN−75、加熱残分75質量%]10質量部を加えて撹拌し、さらにキシレン/酢酸イソブチル(質量比50/50)混合溶剤29質量部を加えて撹拌し、トップコート塗料Cを調整した。
【0013】
製造例4(トップコート用塗料Dの調製)
集光型赤色染料[ビーエーエスエフ社、ルモゲンFレッド300]1質量部とトルエン20質量部を混合、撹拌し、染料溶解液を作製した。また、アクリル樹脂[大日本インキ化学工業(株)、アクリディックA−190、加熱残分50質量%]10質量部及び有機赤色顔料[チバスペシャリティーケミカルズ社、クロモフタルレッドA3B]1質量部を、ガラスビーズを分散媒体とするグラインドミルで粒径が10μm以下になるまで分散し、着色ペーストを作製した。
アクリル樹脂[大日本インキ化学工業(株)、アクリディックA−190、加熱残分50質量%]50質量部に上記の染料溶解液と着色ペーストを順次加えて撹拌し、次に、ポリイソシアネート化合物[住化バイエルウレタン(株)、スミジュールN−75、加熱残分75質量%]10質量部を加えて撹拌し、さらにキシレン/酢酸イソブチル(質量比50/50)混合溶剤8質量部を加えて撹拌し、トップコート用塗料Dを調整した。
製造例5(トップコート用塗料Eの調製)
集光型赤色染料[ビーエーエスエフ社、ルモゲンFレッド300]1質量部とトルエン20質量部を混合、撹拌し、第一の染料溶解液を作製した。また、赤色染料[ゼネカ(株)、ランプロノールレッド2BR]1質量部とメチルエチルケトン5質量部を混合、撹拌し、第二の染料溶解液を作製した。
アクリル樹脂[大日本インキ化学工業(株)、アクリディックA−190、加熱残分50質量%]60質量部に上記の第一の染料溶解液と第二の染料溶解液を順次加えて撹拌し、次に、ポリイソシアネート化合物[住化バイエルウレタン(株)、スミジュールN−75、加熱残分75質量%]10質量部を加えて撹拌し、さらにキシレン/酢酸イソブチル(質量比50/50)混合溶剤3質量部を加えて撹拌し、トップコート塗料Eを調整した。
製造例6(トップコート用塗料Fの調製)
集光型赤色染料[ビーエーエスエフ社、ルモゲンFレッド300]0.1質量部とトルエン20質量部を混合、撹拌し、染料溶解液を作製した。この染料溶解液をアクリル樹脂[大日本インキ化学工業(株)、アクリディックA−190、加熱残分50質量%]60質量部に加えて撹拌し、次に、ポリイソシアネート化合物[住化バイエルウレタン(株)、スミジュールN−75、加熱残分75質量%]10質量部を加えて撹拌し、さらにキシレン/酢酸イソブチル(質量比50/50)混合溶剤9.9質量部を加えて撹拌し、トップコート用塗料Fを調製した。
トップコート用塗料A〜Fの配合組成を、第2表に示す。
【0014】
【表2】
【0015】
実施例1
寸法7cm×12cm、厚さ3mmのABS基材試験片[日本A&L(株)、クララスチックMVF]を、イソプロピルアルコールを用いて脱脂し、被塗物とした。この被塗物に、ベースコート用塗料Aを、乾燥膜厚30μmとなるようにエアスプレーで塗装した。トップコート用塗料を塗装することなく、室温にて10分間放置したのち、75℃で30分間焼き付け、ベースコート塗装板を得た。このベースコート塗装板のL値は、70であった。
上記と同様にして調整した被塗物に、ベースコート塗料Aを乾燥膜厚30μmとなるようにエアスプレーで塗装し、室温にて10分間放置した。次いで、トップコート用塗料Aを乾燥膜厚25μmとなるようにエアスプレーで塗装し、室温にて10分間放置したのち、75℃で30分間焼き付け、塗装板を得た。得られた塗装板のハイライト位置からの彩度は86であり、シェード位置からの彩度は100であった。
実施例2
トップコート用塗料Aの代わりにトップコート用塗料Dを用いた以外は、実施例1と同様にして塗装板を作製した。得られた塗装板のハイライト位置からの彩度は82であり、シェード位置からの彩度は90であった。
実施例3
トップコート用塗料Aの代わりにトップコート用塗料Eを用いた以外は、実施例1と同様にして塗装板を作製した。得られた塗装板のハイライト位置からの彩度は83であり、シェード位置からの彩度は92であった。
実施例4
実施例1と同様にして調整した被塗物に、ベースコート用塗料Bを、乾燥膜厚30μmとなるようにエアスプレーで塗装した。トップコート用塗料を塗装することなく、室温にて10分間放置したのち、75℃で30分間焼き付け、ベースコート塗装板を得た。このベースコート塗装板のL値は、40であった。
実施例1と同様にして調整した被塗物に、ベースコート塗料Bを乾燥膜厚30μmとなるようにエアスプレーで塗装し、室温にて10分間放置した。次いで、トップコート用塗料Aを乾燥膜厚25μmとなるようにエアスプレーで塗装し、室温にて10分間放置したのち、75℃で30分間焼き付け、塗装板を得た。得られた塗装板のハイライト位置からの彩度は78であり、シェード位置からの彩度は88であった。
実施例5
トップコート用塗料Aの代わりにトップコート用塗料Fを用いた以外は、実施例1と同様にして塗装板を作製した。得られた塗装板のハイライト位置からの彩度は72であり、シェード位置からの彩度は81であった。
【0016】
比較例1
トップコート用塗料Aの代わりにトップコート用塗料Bを用いた以外は、実施例1と同様にして塗装板を作製した。得られた塗装板のハイライト位置からの彩度は80であり、シェード位置からの彩度は70であった。
比較例2
トップコート用塗料Aの代わりにトップコート用塗料Cを用いた以外は、実施例1と同様にして塗装板を作製した。得られた塗装板のハイライト位置からの彩度は73であり、シェード位置からの彩度は76であった。
比較例3
実施例1と同様にして調整した被塗物に、ベースコート用塗料Cを、乾燥膜厚30μmとなるようにエアスプレーで塗装した。トップコート用塗料を塗装することなく、室温にて10分間放置したのち、75℃で30分間焼き付け、ベースコート塗装板を得た。このベースコート塗装板のL値は、18であった。
実施例1と同様にして調整した被塗物に、ベースコート塗料Cを乾燥膜厚30μmとなるようにエアスプレーで塗装し、室温にて10分間放置した。次いで、トップコート用塗料Aを乾燥膜厚25μmとなるようにエアスプレーで塗装し、室温にて10分間放置したのち、75℃で30分間焼き付け、塗装板を得た。得られた塗装板のハイライト位置からの彩度は20であり、シェード位置からの彩度は30であった。
実施例1〜5及び比較例1〜3の結果を、第3表に示す。
【0017】
【表3】
【0018】
第3表に見られるように、L値が40又は70のベースコート塗膜層の上に、集光型染料を染料質量濃度0.27質量%、2.53質量%又は2.60質量%含有するトップコート用塗料の塗膜層を形成した実施例1〜5の塗装板は、ハイライト位置からの彩度も、シェード位置からの彩度も、十分に大きい値を有している。
これに対して、ベースコート塗膜層のL値が70であっても、集光型染料を含まないトップコート用塗料を塗装した比較例1と比較例2の塗装物は、ハイライト位置からの彩度は十分であるが、シェード位置からの彩度が不足している。L値が18のベースコート塗膜層の上に、集光型染料を染料質量濃度2.60質量%含有するトップコート用塗料を塗装した比較例3の塗装物は、ハイライト位置からの彩度も、シェード位置からの彩度も著しく低い。
【0019】
【発明の効果】
本発明の塗膜形成方法によれば、ハイライト位置から見た場合に高彩度であるのみならず、シェード位置から見た場合も高彩度を有する塗膜を安定的に得ることができる。本発明の塗装物は、どこから見ても彩度が高いと感じられ、デザイン性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、集光型赤色染料の吸光と発光のスペクトルの一例である。
Claims (2)
- 高彩度を示す積層塗膜を形成する方法であって、被塗物の上にL値20以上のベースコート塗膜層を形成し、該ベースコート塗膜層の上に、集光型染料を染料質量濃度0.01質量%以上含有する塗料の塗膜層を形成することを特徴とする積層塗膜形成方法。
- 請求項1記載の積層塗膜形成方法により塗装されてなることを特徴とする塗装物。
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