JP2004032377A - ボトルネック推定方法並びに装置および前記方法のプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】あらゆるノードに対してのアクセス権限を得る必要がなく、測定にノードの機能を使うこともなく、さらに、測定のためのパケットを送信することもなしに、ボトルネックを推定可能にすること。
【解決手段】本発明では、パッシブ測定を行うことにより、ネットワークのトポロジー情報,ルーティング情報,品質情報を取得し、これらを組み合わせることによって、前述のようなボトルネックを推定するようにした。より具体的には、ネットワーク内の信号を推定装置に取り込み、取り込まれた信号もしくはトレースルート等から、流れているパケットの情報の内、トポロジー情報,経路情報を読み取り、さらに各TCPセッションに対して、エンド−エンドのスループット,パケット損,遅延などを計算して、トポロジー情報,経路情報と組み合わせることにより、前述のようなボトルネックを推定する。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明では、パッシブ測定を行うことにより、ネットワークのトポロジー情報,ルーティング情報,品質情報を取得し、これらを組み合わせることによって、前述のようなボトルネックを推定するようにした。より具体的には、ネットワーク内の信号を推定装置に取り込み、取り込まれた信号もしくはトレースルート等から、流れているパケットの情報の内、トポロジー情報,経路情報を読み取り、さらに各TCPセッションに対して、エンド−エンドのスループット,パケット損,遅延などを計算して、トポロジー情報,経路情報と組み合わせることにより、前述のようなボトルネックを推定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通信網においてボトルネックネットワークを推定する方法並びに装置、ボトルネックネットワークであることを判定する方法並びに装置、ボトルネックネットワークであることの判定手順をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の技術は、主に二つに分類される。
一つ目は、ネットワーク内部のノードにおける帯域使用率,損失パケット数などの統計情報を収集し、これらの統計情報からボトルネックノードを推定する方法である。
【0003】
この方法は、方法そのものが簡単であり、測定のための余分なパケットも発生せず、各ノードで直接測定できるという利点がある。しかし、インターネットのように全体のネットワークが、運用主体が異なる複数のネットワークにより構成される場合、運用主体が異なるネットワークのノードにアクセスすることは困難であるため、運用主体が異なる複数のネットワークにより構成されるネットワークに、この方法を適用することは難しい。
【0004】
一方、二つ目の方法は、エンド−エンドで試験用パケットを送受信することにより、エンド−エンド経路の品質を測定し、その品質とネットワークのトポロジー情報,経路情報とを対応させることにより、ボトルネックネットワークを推定する方法である。
【0005】
この方法については、例えば、N.G.Duffield等によるInferring link loss using striped unicast probes,in Proc.IEEE Infocom 2001,Anchorage,Alaska,April 22−26,2001に記載されている。この方法は、エンド−エンドでのトラヒックの振る舞いを測定するため、ノードへのアクセス制限など特別な権限を必要としない利点がある。
【0006】
しかし、エンド−エンドでの測定のため、数多くのエンド端末に試験用パケットを送らなければならず、ネットワークの負荷を高めてしまうという問題点がある。さらに、測定精度を上げるためには、試験用パケットを短時間に多く発生させなければならず、これによりネットワークへの負荷をさらに高めてしまうという問題点がある。
【0007】
また、測定パケットをマルチキャストによって送信し、試験用パケットの数を減らす方法もある。この方法については、例えば、A.Adams等によるThe Useof End−to−End Multicast Measurements for Characterizing Internal Network Behavior,IEEE Communications Magazine,May 2000.に記載されている。
【0008】
本方法では、ユニキャストの場合と比較すれば、試験用パケットの数を減らすことが可能だが、この方法であっても、測定精度を上げるためには、試験用パケットを短時間に多く発生させなければならず、ネットワークへの負荷を高めてしまうという問題点がある。
【0009】
さらに、マルチキャストをサポートしているネットワークは限られているため、この方法では、適用できる対象が限られるという問題点がある。またさらに,現在のノードでは、マルチキャストパケットの転送処理が通常のパケットとは異なるため、マルチキャストパケットが被る品質と一般的なパケットの被る品質が異なり、推定精度が限られる可能性があるという問題点がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、従来の技術における上述のような種々の問題点を解消し、あらゆるノードに対してのアクセス権限を得る必要がなく、測定にノードの機能を使うこともなく、さらに、測定のためのパケットを送信することもないためユーザの通信に影響を与えることもなしに、通信網におけるボトルネックネットワーク、もしくはネットワーク内のボトルネックリンク(以下、これらを、ボトルネックと総称する)を推定することを可能にする技術を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明においては、パッシブ測定を行うことにより、ネットワークのトポロジー情報,ルーティング情報,品質情報を取得し、これらを組み合わせることによって、前述のようなボトルネックを推定することを最も主要な特徴とする。
【0012】
より具体的には、回線に挿入したスプリッタ,スイッチのミラーリングポートなどにより、ネットワーク内の信号を推定装置に取り込む。この取り込まれた信号は、実際に流れている通信と同じものである。計測器に取り込まれた信号もしくはトレースルート等から、流れているパケットの情報の内、トポロジー情報,経路情報を読み取り、さらに各TCPセッションに対して、TCPのシーケンス番号を解析することによりエンド−エンドのスループット,パケット損,遅延などを計算して、トポロジー情報,経路情報と組み合わせることにより、前述のようなボトルネックを推定することを最も主要な特徴とする。
【0013】
すなわち、本発明に係るボトルネック推定方法は、パケット網におけるボトルネックネットワークあるいはリンクを推定するボトルネック推定方法であって、ネットワークのトポロジー情報を取得し、経路情報を取得し、品質情報(ユーザのサービス品質に関する指標もしくはネットワークの性能に関する指標)を受動的に取得し、前記トポロジー情報上に前記経路情報および品質情報を対応付けることにより、ボトルネックとなっているネットワークあるいはリンクを推定することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係るボトルネック推定方法は、前記ネットワークのトポロジー情報並びに経路情報の取得に加えて、端末間のセッションの品質を定期的に計測し、その計測情報をセッションごとの統計値(セッション品質統計値)として一時的に記憶し、ネットワークのトポロジー情報および経路情報を用いて、リンク内に収容されている各セッションのセッション品質統計値を各リンクごとに集計して統計情報として記憶し、あるリンクもしくはネットワークに対応付けられた統計情報の時系列的な変動が、ある閾値よりも大きく低下したネットワークあるいはリンクをボトルネックネットワークあるいはボトルネックリンクと判定することを特徴とする。
【0015】
一方、本発明に係るボトルネック推定装置は、パケット網におけるボトルネックネットワークあるいはリンクを推定するボトルネック推定装置であって、ネットワークのトポロジー情報並びに経路情報を取得する手段と、品質情報を受動的に取得する手段と、前記トポロジー情報上に経路情報および品質情報を対応付けることにより、ボトルネックとなっているネットワークあるいはリンクを推定するする手段を有することを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係るボトルネック推定装置は、ネットワークのトポロジー情報並びに経路情報の取得手段に加えて、端末間のセッションの品質を定期的に計測し、その計測情報をセッションごとの統計値(セッション品質統計値)として一時的に記憶する手段と、ネットワークのトポロジー情報および経路情報を用いて、リンク内に収容されている各セッションのセッション品質統計値を各リンクごとに集計し統計情報として記憶する手段と、あるリンクもしくはネットワークに対応付けられた統計情報の時系列的な変動が、ある閾値よりも大きく低下したネットワークあるいはリンクをボトルネックネットワークあるいはボトルネックリンクと推定する手段を有することを特徴とする。
【0017】
なお、前述の各請求項に示したボトルネック推定方法は、これをコンピュータのプログラム制御により実行させることが可能なものであり、本発明は、このようなプログラム並びにこのプログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として商品化することも可能なものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面により詳細に説明する。なお、説明を簡略化するため、ルーティングプロトコルがOSPF、セッション品質統計値としてTCPスループットであることを前提にするが、その他のルーティングプロトコル、これ以外の品質統計値を用いる場合についても、同様の実施形態が可能である。
【0019】
図1は、本発明のボトルネックネットワーク推定方法の一処理動作例を示すフローチャートであり、図2は、本発明のボトルネックネットワーク推定装置(以下、単に推定装置ともいう)の一実施例を示すブロック図である。
図2に示すように、推定装置は、パケット読み取り部1,トポロジー情報・経路情報作成部2,時間管理・トポロジー情報・経路情報管理部3,TCPセッション情報作成部4,TCP品質情報作成部5,リンク,ネットワーク単位集計・品質情報保存部6,品質情報比較判定部7,結果表示部8から構成される。
【0020】
1. 一つの推定装置使用の場合:
AS(1個のルーティングポリシーを持ったネットワークのかたまりで、主にインターネットサービス提供者(ISP)がそれに当る)内に一つの推定装置を設置する場合について、図1のフローチャートに従って説明する。なお、文中の括弧内の番号は、フローチャートのステップ(ブロック)番号に相当する。
【0021】
図3に示すような、バックボーンエリアとエリア1〜エリア3で構成されているネットワークを考える。ここでは、本発明に係る推定装置がエリア1に属しているとする。なお、図3で白丸がルーター、黒丸が推定装置を示している。
推定装置は、図2におけるパケット読み取り部1でケーブル内に流れるパケットを読み取る。この際、OSPFのパケットおよびTCPのパケットのみを取り込み(ステップ1)、タイムスタンプを付加し、OSPFのパケットおよびTCPのパケット以外は破棄する。
【0022】
まず、トポロジー情報・経路情報作成部2で、OSPFのパケットを保存し、保存されたパケットからトポロジー情報(ネットワーク構成)および経路情報を構成する(ステップ2)。
図3に示すような構成の場合、推定装置が属しているエリア1については、各ルーターのトポロジー情報が得られるが、他のエリアに対しては、各エリアに所属しているルーター,ホストの情報は分かるが、エリア内部でのトポロジー情報,経路情報はわからない。そのため、エリア2,エリア3については、ネットワークをひとまとまりとして扱う。OSPFパケットは、常時キャプチャする。
【0023】
推定装置内に、トポロジー情報および経路情報を構成した後は、TCPセッション情報作成部4において、パケット読み取り部1でキャプチャされ、タイムスタンプが付与されたTCPパケットを保存し、まず最初に読み出されたTCPパケットのタイムスタンプ値をタイマt=0とする(ステップ3)。
TCPパケットを読み出し(ステップ4)、以後、新たなTCPパケットのタイムスタンプ値と最初に読み出されたパケットのタイムスタンプ値の差をタイマに加算していくことになる。TCPセッション情報作成部4にて、読み出されたパケットが、あらかじめ与えられた周期T内で新しいTCPセッションかどうかを判定する(ステップ5)。
【0024】
新しいTCPセッションであれば、発着IPアドレス,発着ポート番号,パケットをキャプチャした時刻,パケットのバイト数を記録し、すでに構成してあるトポロジー情報,経路情報とともにTCP品質情報作成部5に送られ記憶される(ステップ6)。
キャプチャされたパケットが,周期T内で既出のTCPセッションとTCPセッション情報作成部4で判定された場合には、TCP品質情報作成部5にて,キャプチャしたパケットのバイト数を加算し(ステップ14)、fin/rstであるかを判定する(ステップ15)。fin/rstではない場合には、次のパケットを読み取る(ステップ4)。
【0025】
fin/rstであった場合には、TCP品質情報作成部にて、synからfin/rstまでの時間を計測し(ステップ16)、総バイト数をこの時間で割り、TCPセッションスループットを算出し記憶する(ステップ17)。品質統計値としてのスループット,RTT,パケット損失率の測定については、例えば特開2001−94573号公報「トラヒックの品質の測定装置」に記載の方法に従って計測を行う。
【0026】
このときは、図1のフローチャートにおけるステップ14からステップ17がそれぞれの品質情報に応じた処理に置き換わり、合わせてステップ10,ステップ11も、それぞれの品質情報に応じた処理に置き換わる。品質情報がパケット損失率,同時接続セッション数の場合についてのフローチャートの置き換え部分については、図7,図8に示す。
常時、トポロジー情報,経路情報に変更がないかどうか判定し(ステップ7)、変化があった場合には、トポロジー情報,経路情報を更新し、タイマtを0として(ステップ8)、既に記憶したTCPセッション情報を削除する。
【0027】
リンク,ネットワーク単位集計・品質情報保存部6において、タイマtがTになるまで(ステップ9)、トポロジー情報,経路情報が更新されなかった場合には、計測されたスループットを各リンクごとに集計し、各リンクごとにそのリンクに収容されるスループットの分散あるいは変動係数を求めて記憶し(ステップ10)、品質情報比較判定部にて、前周期の変動係数あるいは分散との差が閾値よりも大きいあるいは変動係数あるいは分散そのものが閾値よりも小さいかどうか判定し(ステップ11)、結果表示部8にて、そのリンクをボトルネックリンクとして表示する(ステップ12)。
【0028】
その後、時間管理・トポロジー情報・経路情報管理部3で、タイマは周期Tだけ減らし(ステップ13)、再度TCPセッション情報作成部4にて、新しいTCPセッションかどうかの判定を行う(ステップ4〜5)。
ここで、計測されたスループットを各リンクごとに集計する方法を、図4を用いて説明する。図4において、A,B,C,Dはルーターを示し、1,2,3,4はリンクを示している。
【0029】
ここで、以下のような経路を有するTCPセッションが存在する場合を考える。TCPセッションa(リンク2→3→4),TCPセッションb(リンク3→4),TCPセッションc(リンク4→1),TCPセッションd(リンク1→2→3)。なお、a,b,c,dはセッションを示し、括弧内は経路情報を示している。
【0030】
TCPセッションa,b,c,dのスループットをそれぞれTha,Thb,Thc,Thdとする。また、ここで、計測されたスループットを各リンクごとに集計するとは,リンク1に収容されるTCPセッションはc,dの2つ、リンク2に収容されるTCPセッションはa,dの2つ、リンク3に収容されるTCPセッションはa,b,dの3つ、リンク4に収容されるTCPセッションはa,b,cの3つを集計することである。
【0031】
例えば、リンク4について考えると、スループットTha,Thb,Thcの変動係数を各周期ごとに求め、前周期の値と比較して、予め与えられた閾値よりも大きく低下したリンクをボトルネックとして表示するものである。
これらの処理を、図1のフローチャートに従って繰り返し行う。
【0032】
1.1 品質情報としてパケット損失率を選択した場合の変更点:
図7にフローチャートを示す。以下に、品質情報としてスループットを選択した場合と異なるところのみを説明する。図7のステップ18では、発着IPアドレス,発着ポート番号,キャプチャしたパケットのシーケンス番号,経路情報を記憶する。
【0033】
ステップ19では、TCPパケット数,パケット損失数をリンクごとに集計し、損失率を計算し記憶する。ステップ20では、損失率が閾値を超えているかを判定する。ステップ21では、到着パケット数,損失パケット数ともに初期化する。
ステップ5の判定でNであった場合、キャプチャしたパケット数をセッションごとに加算し、シーケンス番号を記憶しておく(ステップ22)。次に、ステップ23において、シーケンス番号に逆転がないかを判定する。逆転があった場合には、パケット損失数を加算する(ステップ24)。
【0034】
1.2 品質情報として同時接続セッション数を選択した場合の変更点:
図8にフローチャートを示す。図8においてはステップ14,ステップ17は無い。しかし、ステップ25,ステップ26がステップ10,ステップ11に取って代わる。
ここで、同時接続セッション数の平均値の求め方を説明する。
【0035】
各TCPセッションは、synのタイムスタンプおよびfin/rstのタイムスタンプを持っている。これらTCPセッションを各リンクごとに集計し、図9のように、各セッションの開始,終了時点ごと(ここでは、同時接続区間と呼ぶ)に同時に接続されている接続セッション数Niを計数し,同時接続区間の時間tiを計算し、これらから平均同時接続セッション数N*をリンクあるいはネットワークごとに以下の式で求める。
【0036】
【数1】
【0037】
1.3 品質情報として遅延時間を選択した場合の変更点:
図10にフローチャートを示す。図10内のステップ29におけるRTTの計算方法については、Hao Jiang 等による:Passive Estimation of TCP Round−Trip Times,To appear at the ACM Computer Communications Review,July 2002.あるいは、Martin,H.Stele, 等による Analysis of Internet delay times. In Pearson, Murray and Tony McGregor (eds).Proc PAM2000: The First Passive and Active Measurement Workshop, (Hamilton, New Zealand, April, 2000)141−148.に詳細に説明されている。
【0038】
2. 複数の推定装置使用の場合:
一つの推定装置使用の場合は、ASの管理者すなわちISPの管理者が自網においてボトルネックがないかどうかを管理するために行うものであるのに対して、複数の推定装置使用の場合は、複数のISPの網を管理する場合に行うものである。
【0039】
まずはじめに、全体の構成図を図5に示す。1.節とは、推定装置が各エリアに一つずつあることの他に、マネージャと呼ぶ推定装置を統合する装置がある点が異なる。本節では,各エリアに一つずつ推定装置があるために、AS内のすべてのリンクの情報が把握できるようになる。
【0040】
各推定装置の処理は、1.節とマネージャによるタイマ同期を除いて同じである。マネージャが各推定装置の処理結果を収集し、さらに各推定装置が所属するエリアでトポロジー情報,経路情報が更新されたかどうかを各推定装置に問い合わせることにより検出する。
【0041】
図6は、本発明のボトルネック推定装置を統合するマネージャの一実施例を示すブロック図である。各推定装置での処理結果の情報を推定結果収集部11で収集する。得られたトポロジー情報,経路情報をそれぞれトポロジー情報再構成部12,経路情報再構成部13にて再構成し、AS内のすべてのトポロジー情報,ルーター間の経路情報を構成する。
【0042】
さらに各リンクごとに収容されているTCPセッションのスループット情報を再構成されたトポロジー情報,経路情報と組み合わせ、品質情報比較判定部15でボトルネックリンクを推定する。
【0043】
なお、上記実施例は本発明の一例を示すものであり、本発明はこれに限定されるべきものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、適宜の変更・改良を行ってもよいことはいうまでもない。
【0044】
例えば、前述のように、各請求項に示したボトルネック推定方法は、これをコンピュータのプログラム制御により実行させることが可能であり、本発明の権利範囲は、このようなプログラム並びにこのプログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体にも及ぶものである。
【0045】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、あらゆるノードに対してのアクセス権限を得る必要が無く、測定にノードの機能を使うこともなく、測定のためのパケットを送信することもなく、ユーザの通信に影響を与えることもなしに、ネットワーク内のボトルネックリンクおよびボトルネックネットワークの推定が可能となるという顕著な効果を奏するものである。
【0046】
さらに、得られた測定結果を基に、ボトルネックリンクあるいはボトルネックネットワークにのみ試験パケットを送ることにより、ボトルネックリンクの特定を行うことができる。本発明により、初めから試験パケットを使用する方法と比較して、ネットワークに負荷を与えず、効率よくかつ精度良く、ボトルネックリンクを特定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のボトルネックネットワーク推定方法の一処理動作例を示すフローチャートである。
【図2】本発明のボトルネックネットワーク推定装置の一実施例を示すブロック図である。
【図3】本発明のボトルネックネットワーク推定装置をAS内でひとつ設置するときの前提となるネットワーク構成図である。
【図4】本発明のボトルネックネットワーク推定方法における計測されたスループットを各リンクごとに集計する方法を説明するためのネットワーク構成図である。
【図5】本発明のボトルネックネットワーク推定装置をAS内で複数設置するときの前提となるネットワーク構成図である。
【図6】本発明のボトルネックネットワーク推定装置でのマネージャの一実施例を示すブロック図である。
【図7】品質情報がパケット損失率のときのフローチャートである。
【図8】品質情報が同時接続セッション数のときのフローチャートである。
【図9】平均同時接続セッション数の説明図である。
【図10】品質情報が遅延時間のときのフローチャートである。
【符号の説明】
1 パケット読み取り部
2 トポロジー情報・経路情報作成部
3 時間管理・トポロジー情報・経路情報管理部
4 TCPセッション情報作成部
5 TCP品質情報作成部
6 リンク,ネットワーク単位集計・品質情報保存部
7 品質情報比較判定部
8 結果表示部
11 推定結果収集部
12 トポロジー情報再構成部
13 経路情報再構成部
14 品質情報,トポロジー情報,経路情報統合部
15 品質情報比較判定部
16 トポロジー情報,経路情報変更検出部
17 タイマ同期部
【発明の属する技術分野】
本発明は、通信網においてボトルネックネットワークを推定する方法並びに装置、ボトルネックネットワークであることを判定する方法並びに装置、ボトルネックネットワークであることの判定手順をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の技術は、主に二つに分類される。
一つ目は、ネットワーク内部のノードにおける帯域使用率,損失パケット数などの統計情報を収集し、これらの統計情報からボトルネックノードを推定する方法である。
【0003】
この方法は、方法そのものが簡単であり、測定のための余分なパケットも発生せず、各ノードで直接測定できるという利点がある。しかし、インターネットのように全体のネットワークが、運用主体が異なる複数のネットワークにより構成される場合、運用主体が異なるネットワークのノードにアクセスすることは困難であるため、運用主体が異なる複数のネットワークにより構成されるネットワークに、この方法を適用することは難しい。
【0004】
一方、二つ目の方法は、エンド−エンドで試験用パケットを送受信することにより、エンド−エンド経路の品質を測定し、その品質とネットワークのトポロジー情報,経路情報とを対応させることにより、ボトルネックネットワークを推定する方法である。
【0005】
この方法については、例えば、N.G.Duffield等によるInferring link loss using striped unicast probes,in Proc.IEEE Infocom 2001,Anchorage,Alaska,April 22−26,2001に記載されている。この方法は、エンド−エンドでのトラヒックの振る舞いを測定するため、ノードへのアクセス制限など特別な権限を必要としない利点がある。
【0006】
しかし、エンド−エンドでの測定のため、数多くのエンド端末に試験用パケットを送らなければならず、ネットワークの負荷を高めてしまうという問題点がある。さらに、測定精度を上げるためには、試験用パケットを短時間に多く発生させなければならず、これによりネットワークへの負荷をさらに高めてしまうという問題点がある。
【0007】
また、測定パケットをマルチキャストによって送信し、試験用パケットの数を減らす方法もある。この方法については、例えば、A.Adams等によるThe Useof End−to−End Multicast Measurements for Characterizing Internal Network Behavior,IEEE Communications Magazine,May 2000.に記載されている。
【0008】
本方法では、ユニキャストの場合と比較すれば、試験用パケットの数を減らすことが可能だが、この方法であっても、測定精度を上げるためには、試験用パケットを短時間に多く発生させなければならず、ネットワークへの負荷を高めてしまうという問題点がある。
【0009】
さらに、マルチキャストをサポートしているネットワークは限られているため、この方法では、適用できる対象が限られるという問題点がある。またさらに,現在のノードでは、マルチキャストパケットの転送処理が通常のパケットとは異なるため、マルチキャストパケットが被る品質と一般的なパケットの被る品質が異なり、推定精度が限られる可能性があるという問題点がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、従来の技術における上述のような種々の問題点を解消し、あらゆるノードに対してのアクセス権限を得る必要がなく、測定にノードの機能を使うこともなく、さらに、測定のためのパケットを送信することもないためユーザの通信に影響を与えることもなしに、通信網におけるボトルネックネットワーク、もしくはネットワーク内のボトルネックリンク(以下、これらを、ボトルネックと総称する)を推定することを可能にする技術を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明においては、パッシブ測定を行うことにより、ネットワークのトポロジー情報,ルーティング情報,品質情報を取得し、これらを組み合わせることによって、前述のようなボトルネックを推定することを最も主要な特徴とする。
【0012】
より具体的には、回線に挿入したスプリッタ,スイッチのミラーリングポートなどにより、ネットワーク内の信号を推定装置に取り込む。この取り込まれた信号は、実際に流れている通信と同じものである。計測器に取り込まれた信号もしくはトレースルート等から、流れているパケットの情報の内、トポロジー情報,経路情報を読み取り、さらに各TCPセッションに対して、TCPのシーケンス番号を解析することによりエンド−エンドのスループット,パケット損,遅延などを計算して、トポロジー情報,経路情報と組み合わせることにより、前述のようなボトルネックを推定することを最も主要な特徴とする。
【0013】
すなわち、本発明に係るボトルネック推定方法は、パケット網におけるボトルネックネットワークあるいはリンクを推定するボトルネック推定方法であって、ネットワークのトポロジー情報を取得し、経路情報を取得し、品質情報(ユーザのサービス品質に関する指標もしくはネットワークの性能に関する指標)を受動的に取得し、前記トポロジー情報上に前記経路情報および品質情報を対応付けることにより、ボトルネックとなっているネットワークあるいはリンクを推定することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係るボトルネック推定方法は、前記ネットワークのトポロジー情報並びに経路情報の取得に加えて、端末間のセッションの品質を定期的に計測し、その計測情報をセッションごとの統計値(セッション品質統計値)として一時的に記憶し、ネットワークのトポロジー情報および経路情報を用いて、リンク内に収容されている各セッションのセッション品質統計値を各リンクごとに集計して統計情報として記憶し、あるリンクもしくはネットワークに対応付けられた統計情報の時系列的な変動が、ある閾値よりも大きく低下したネットワークあるいはリンクをボトルネックネットワークあるいはボトルネックリンクと判定することを特徴とする。
【0015】
一方、本発明に係るボトルネック推定装置は、パケット網におけるボトルネックネットワークあるいはリンクを推定するボトルネック推定装置であって、ネットワークのトポロジー情報並びに経路情報を取得する手段と、品質情報を受動的に取得する手段と、前記トポロジー情報上に経路情報および品質情報を対応付けることにより、ボトルネックとなっているネットワークあるいはリンクを推定するする手段を有することを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係るボトルネック推定装置は、ネットワークのトポロジー情報並びに経路情報の取得手段に加えて、端末間のセッションの品質を定期的に計測し、その計測情報をセッションごとの統計値(セッション品質統計値)として一時的に記憶する手段と、ネットワークのトポロジー情報および経路情報を用いて、リンク内に収容されている各セッションのセッション品質統計値を各リンクごとに集計し統計情報として記憶する手段と、あるリンクもしくはネットワークに対応付けられた統計情報の時系列的な変動が、ある閾値よりも大きく低下したネットワークあるいはリンクをボトルネックネットワークあるいはボトルネックリンクと推定する手段を有することを特徴とする。
【0017】
なお、前述の各請求項に示したボトルネック推定方法は、これをコンピュータのプログラム制御により実行させることが可能なものであり、本発明は、このようなプログラム並びにこのプログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として商品化することも可能なものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面により詳細に説明する。なお、説明を簡略化するため、ルーティングプロトコルがOSPF、セッション品質統計値としてTCPスループットであることを前提にするが、その他のルーティングプロトコル、これ以外の品質統計値を用いる場合についても、同様の実施形態が可能である。
【0019】
図1は、本発明のボトルネックネットワーク推定方法の一処理動作例を示すフローチャートであり、図2は、本発明のボトルネックネットワーク推定装置(以下、単に推定装置ともいう)の一実施例を示すブロック図である。
図2に示すように、推定装置は、パケット読み取り部1,トポロジー情報・経路情報作成部2,時間管理・トポロジー情報・経路情報管理部3,TCPセッション情報作成部4,TCP品質情報作成部5,リンク,ネットワーク単位集計・品質情報保存部6,品質情報比較判定部7,結果表示部8から構成される。
【0020】
1. 一つの推定装置使用の場合:
AS(1個のルーティングポリシーを持ったネットワークのかたまりで、主にインターネットサービス提供者(ISP)がそれに当る)内に一つの推定装置を設置する場合について、図1のフローチャートに従って説明する。なお、文中の括弧内の番号は、フローチャートのステップ(ブロック)番号に相当する。
【0021】
図3に示すような、バックボーンエリアとエリア1〜エリア3で構成されているネットワークを考える。ここでは、本発明に係る推定装置がエリア1に属しているとする。なお、図3で白丸がルーター、黒丸が推定装置を示している。
推定装置は、図2におけるパケット読み取り部1でケーブル内に流れるパケットを読み取る。この際、OSPFのパケットおよびTCPのパケットのみを取り込み(ステップ1)、タイムスタンプを付加し、OSPFのパケットおよびTCPのパケット以外は破棄する。
【0022】
まず、トポロジー情報・経路情報作成部2で、OSPFのパケットを保存し、保存されたパケットからトポロジー情報(ネットワーク構成)および経路情報を構成する(ステップ2)。
図3に示すような構成の場合、推定装置が属しているエリア1については、各ルーターのトポロジー情報が得られるが、他のエリアに対しては、各エリアに所属しているルーター,ホストの情報は分かるが、エリア内部でのトポロジー情報,経路情報はわからない。そのため、エリア2,エリア3については、ネットワークをひとまとまりとして扱う。OSPFパケットは、常時キャプチャする。
【0023】
推定装置内に、トポロジー情報および経路情報を構成した後は、TCPセッション情報作成部4において、パケット読み取り部1でキャプチャされ、タイムスタンプが付与されたTCPパケットを保存し、まず最初に読み出されたTCPパケットのタイムスタンプ値をタイマt=0とする(ステップ3)。
TCPパケットを読み出し(ステップ4)、以後、新たなTCPパケットのタイムスタンプ値と最初に読み出されたパケットのタイムスタンプ値の差をタイマに加算していくことになる。TCPセッション情報作成部4にて、読み出されたパケットが、あらかじめ与えられた周期T内で新しいTCPセッションかどうかを判定する(ステップ5)。
【0024】
新しいTCPセッションであれば、発着IPアドレス,発着ポート番号,パケットをキャプチャした時刻,パケットのバイト数を記録し、すでに構成してあるトポロジー情報,経路情報とともにTCP品質情報作成部5に送られ記憶される(ステップ6)。
キャプチャされたパケットが,周期T内で既出のTCPセッションとTCPセッション情報作成部4で判定された場合には、TCP品質情報作成部5にて,キャプチャしたパケットのバイト数を加算し(ステップ14)、fin/rstであるかを判定する(ステップ15)。fin/rstではない場合には、次のパケットを読み取る(ステップ4)。
【0025】
fin/rstであった場合には、TCP品質情報作成部にて、synからfin/rstまでの時間を計測し(ステップ16)、総バイト数をこの時間で割り、TCPセッションスループットを算出し記憶する(ステップ17)。品質統計値としてのスループット,RTT,パケット損失率の測定については、例えば特開2001−94573号公報「トラヒックの品質の測定装置」に記載の方法に従って計測を行う。
【0026】
このときは、図1のフローチャートにおけるステップ14からステップ17がそれぞれの品質情報に応じた処理に置き換わり、合わせてステップ10,ステップ11も、それぞれの品質情報に応じた処理に置き換わる。品質情報がパケット損失率,同時接続セッション数の場合についてのフローチャートの置き換え部分については、図7,図8に示す。
常時、トポロジー情報,経路情報に変更がないかどうか判定し(ステップ7)、変化があった場合には、トポロジー情報,経路情報を更新し、タイマtを0として(ステップ8)、既に記憶したTCPセッション情報を削除する。
【0027】
リンク,ネットワーク単位集計・品質情報保存部6において、タイマtがTになるまで(ステップ9)、トポロジー情報,経路情報が更新されなかった場合には、計測されたスループットを各リンクごとに集計し、各リンクごとにそのリンクに収容されるスループットの分散あるいは変動係数を求めて記憶し(ステップ10)、品質情報比較判定部にて、前周期の変動係数あるいは分散との差が閾値よりも大きいあるいは変動係数あるいは分散そのものが閾値よりも小さいかどうか判定し(ステップ11)、結果表示部8にて、そのリンクをボトルネックリンクとして表示する(ステップ12)。
【0028】
その後、時間管理・トポロジー情報・経路情報管理部3で、タイマは周期Tだけ減らし(ステップ13)、再度TCPセッション情報作成部4にて、新しいTCPセッションかどうかの判定を行う(ステップ4〜5)。
ここで、計測されたスループットを各リンクごとに集計する方法を、図4を用いて説明する。図4において、A,B,C,Dはルーターを示し、1,2,3,4はリンクを示している。
【0029】
ここで、以下のような経路を有するTCPセッションが存在する場合を考える。TCPセッションa(リンク2→3→4),TCPセッションb(リンク3→4),TCPセッションc(リンク4→1),TCPセッションd(リンク1→2→3)。なお、a,b,c,dはセッションを示し、括弧内は経路情報を示している。
【0030】
TCPセッションa,b,c,dのスループットをそれぞれTha,Thb,Thc,Thdとする。また、ここで、計測されたスループットを各リンクごとに集計するとは,リンク1に収容されるTCPセッションはc,dの2つ、リンク2に収容されるTCPセッションはa,dの2つ、リンク3に収容されるTCPセッションはa,b,dの3つ、リンク4に収容されるTCPセッションはa,b,cの3つを集計することである。
【0031】
例えば、リンク4について考えると、スループットTha,Thb,Thcの変動係数を各周期ごとに求め、前周期の値と比較して、予め与えられた閾値よりも大きく低下したリンクをボトルネックとして表示するものである。
これらの処理を、図1のフローチャートに従って繰り返し行う。
【0032】
1.1 品質情報としてパケット損失率を選択した場合の変更点:
図7にフローチャートを示す。以下に、品質情報としてスループットを選択した場合と異なるところのみを説明する。図7のステップ18では、発着IPアドレス,発着ポート番号,キャプチャしたパケットのシーケンス番号,経路情報を記憶する。
【0033】
ステップ19では、TCPパケット数,パケット損失数をリンクごとに集計し、損失率を計算し記憶する。ステップ20では、損失率が閾値を超えているかを判定する。ステップ21では、到着パケット数,損失パケット数ともに初期化する。
ステップ5の判定でNであった場合、キャプチャしたパケット数をセッションごとに加算し、シーケンス番号を記憶しておく(ステップ22)。次に、ステップ23において、シーケンス番号に逆転がないかを判定する。逆転があった場合には、パケット損失数を加算する(ステップ24)。
【0034】
1.2 品質情報として同時接続セッション数を選択した場合の変更点:
図8にフローチャートを示す。図8においてはステップ14,ステップ17は無い。しかし、ステップ25,ステップ26がステップ10,ステップ11に取って代わる。
ここで、同時接続セッション数の平均値の求め方を説明する。
【0035】
各TCPセッションは、synのタイムスタンプおよびfin/rstのタイムスタンプを持っている。これらTCPセッションを各リンクごとに集計し、図9のように、各セッションの開始,終了時点ごと(ここでは、同時接続区間と呼ぶ)に同時に接続されている接続セッション数Niを計数し,同時接続区間の時間tiを計算し、これらから平均同時接続セッション数N*をリンクあるいはネットワークごとに以下の式で求める。
【0036】
【数1】
【0037】
1.3 品質情報として遅延時間を選択した場合の変更点:
図10にフローチャートを示す。図10内のステップ29におけるRTTの計算方法については、Hao Jiang 等による:Passive Estimation of TCP Round−Trip Times,To appear at the ACM Computer Communications Review,July 2002.あるいは、Martin,H.Stele, 等による Analysis of Internet delay times. In Pearson, Murray and Tony McGregor (eds).Proc PAM2000: The First Passive and Active Measurement Workshop, (Hamilton, New Zealand, April, 2000)141−148.に詳細に説明されている。
【0038】
2. 複数の推定装置使用の場合:
一つの推定装置使用の場合は、ASの管理者すなわちISPの管理者が自網においてボトルネックがないかどうかを管理するために行うものであるのに対して、複数の推定装置使用の場合は、複数のISPの網を管理する場合に行うものである。
【0039】
まずはじめに、全体の構成図を図5に示す。1.節とは、推定装置が各エリアに一つずつあることの他に、マネージャと呼ぶ推定装置を統合する装置がある点が異なる。本節では,各エリアに一つずつ推定装置があるために、AS内のすべてのリンクの情報が把握できるようになる。
【0040】
各推定装置の処理は、1.節とマネージャによるタイマ同期を除いて同じである。マネージャが各推定装置の処理結果を収集し、さらに各推定装置が所属するエリアでトポロジー情報,経路情報が更新されたかどうかを各推定装置に問い合わせることにより検出する。
【0041】
図6は、本発明のボトルネック推定装置を統合するマネージャの一実施例を示すブロック図である。各推定装置での処理結果の情報を推定結果収集部11で収集する。得られたトポロジー情報,経路情報をそれぞれトポロジー情報再構成部12,経路情報再構成部13にて再構成し、AS内のすべてのトポロジー情報,ルーター間の経路情報を構成する。
【0042】
さらに各リンクごとに収容されているTCPセッションのスループット情報を再構成されたトポロジー情報,経路情報と組み合わせ、品質情報比較判定部15でボトルネックリンクを推定する。
【0043】
なお、上記実施例は本発明の一例を示すものであり、本発明はこれに限定されるべきものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、適宜の変更・改良を行ってもよいことはいうまでもない。
【0044】
例えば、前述のように、各請求項に示したボトルネック推定方法は、これをコンピュータのプログラム制御により実行させることが可能であり、本発明の権利範囲は、このようなプログラム並びにこのプログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体にも及ぶものである。
【0045】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、あらゆるノードに対してのアクセス権限を得る必要が無く、測定にノードの機能を使うこともなく、測定のためのパケットを送信することもなく、ユーザの通信に影響を与えることもなしに、ネットワーク内のボトルネックリンクおよびボトルネックネットワークの推定が可能となるという顕著な効果を奏するものである。
【0046】
さらに、得られた測定結果を基に、ボトルネックリンクあるいはボトルネックネットワークにのみ試験パケットを送ることにより、ボトルネックリンクの特定を行うことができる。本発明により、初めから試験パケットを使用する方法と比較して、ネットワークに負荷を与えず、効率よくかつ精度良く、ボトルネックリンクを特定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のボトルネックネットワーク推定方法の一処理動作例を示すフローチャートである。
【図2】本発明のボトルネックネットワーク推定装置の一実施例を示すブロック図である。
【図3】本発明のボトルネックネットワーク推定装置をAS内でひとつ設置するときの前提となるネットワーク構成図である。
【図4】本発明のボトルネックネットワーク推定方法における計測されたスループットを各リンクごとに集計する方法を説明するためのネットワーク構成図である。
【図5】本発明のボトルネックネットワーク推定装置をAS内で複数設置するときの前提となるネットワーク構成図である。
【図6】本発明のボトルネックネットワーク推定装置でのマネージャの一実施例を示すブロック図である。
【図7】品質情報がパケット損失率のときのフローチャートである。
【図8】品質情報が同時接続セッション数のときのフローチャートである。
【図9】平均同時接続セッション数の説明図である。
【図10】品質情報が遅延時間のときのフローチャートである。
【符号の説明】
1 パケット読み取り部
2 トポロジー情報・経路情報作成部
3 時間管理・トポロジー情報・経路情報管理部
4 TCPセッション情報作成部
5 TCP品質情報作成部
6 リンク,ネットワーク単位集計・品質情報保存部
7 品質情報比較判定部
8 結果表示部
11 推定結果収集部
12 トポロジー情報再構成部
13 経路情報再構成部
14 品質情報,トポロジー情報,経路情報統合部
15 品質情報比較判定部
16 トポロジー情報,経路情報変更検出部
17 タイマ同期部
Claims (20)
- パケット網におけるボトルネックネットワークあるいはリンクを推定するボトルネック推定方法であって、
ネットワークのトポロジー情報を取得し、経路情報を取得し、
品質情報(ユーザのサービス品質に関する指標もしくはネットワークの性能に関する指標)を受動的に取得し、
前記トポロジー情報上に前記経路情報および品質情報を対応付けることにより、ボトルネックとなっているネットワークあるいはリンクを推定する
ことを特徴とするボトルネック推定方法。 - 前記ネットワークのトポロジー情報並びに経路情報の取得に加えて、
端末間のセッションの品質を定期的に計測し、
その計測情報をセッションごとの統計値(セッション品質統計値)として一時的に記憶し、
ネットワークのトポロジー情報および経路情報を用いて、リンク内に収容されている各セッションのセッション品質統計値を各リンクごとに集計して統計情報として記憶し、
あるリンクもしくはネットワークに対応付けられた統計情報の時系列的な変動が、ある閾値よりも大きく低下したネットワークあるいはリンクをボトルネックネットワークあるいはボトルネックリンクと判定する
ことを特徴とする請求項1に記載のボトルネック推定方法。 - 前記品質情報として少なくともスループット,パケット損,同時接続セッション数,RTT(round trip time)あるいは遅延時間を含むことを特徴とする請求項2に記載のボトルネック推定方法。
- 請求項2に記載のボトルネック推定方法におけるネットワークのトポロジー情報取得方法であって、
少なくともトレースルートを含むトポロジー情報を取得するためのパケットを送信することを特徴とするトポロジー情報取得方法。 - 請求項2に記載のボトルネック推定方法におけるネットワークの経路情報取得方法であって、
少なくともトレースルートを含む経路情報を取得するためのパケットを送信することを特徴とする経路情報取得方法。 - 請求項2に記載のボトルネック推定方法におけるネットワークのトポロジー情報取得方法であって、
ルーターから直接トポロジー情報を取得することを特徴とするトポロジー情報取得方法。 - 請求項2に記載のボトルネック推定方法におけるネットワークの経路情報取得方法であって、
ルーターから直接経路情報を取得することを特徴とする経路情報取得方法。 - 請求項2に記載のボトルネック推定方法におけるネットワークのトポロジー情報取得方法であって、
ネットワークを流れるパケットをキャプチャし、ルーチング情報を含んだパケットからルーチングプロトコルを解析することにより、トポロジー情報を取得することを特徴とするトポロジー情報取得方法。 - 請求項2に記載のボトルネック推定方法におけるネットワークの経路情報取得方法であって、
ネットワークを流れるパケットをキャプチャし、その中のルーチング情報を含んだパケットからルーチングプロトコルを解析することにより、経路情報を取得することを特徴とする経路情報取得方法。 - パケット網におけるボトルネックネットワークあるいはリンクを推定するボトルネック推定装置であって、
ネットワークのトポロジー情報並びに経路情報を取得する手段と、
品質情報を受動的に取得する手段と、
前記トポロジー情報上に経路情報および品質情報を対応付けることにより、ボトルネックとなっているネットワークあるいはリンクを推定するする手段
を有すること特徴とするボトルネック推定装置。 - ネットワークのトポロジー情報並びに経路情報の取得手段に加えて、
端末間のセッションの品質を定期的に計測し、その計測情報をセッションごとの統計値(セッション品質統計値)として一時的に記憶する手段と、
ネットワークのトポロジー情報および経路情報を用いて、リンク内に収容されている各セッションのセッション品質統計値を各リンクごとに集計し統計情報として記憶する手段と、
あるリンクもしくはネットワークに対応付けられた統計情報の時系列的な変動が、ある閾値よりも大きく低下したネットワークあるいはリンクをボトルネックネットワークあるいはボトルネックリンクと推定する手段
を有することを特徴とする請求項10に記載のボトルネック推定装置。 - 品質情報として少なくともスループット,パケット損,同時接続セッション数,RTT(round trip time)あるいは遅延時間を含むことを特徴とする請求項11に記載のボトルネック推定装置。
- 請求項11に記載のボトルネック推定装置におけるネットワークのトポロジー情報取得装置であって、
少なくともトレースルートを含むトポロジー情報を取得するためのパケットを送信する手段を有することを特徴とするトポロジー情報取得装置。 - 請求項11に記載のボトルネック推定装置におけるネットワークの経路情報取得装置であって、
少なくともトレースルートを含む経路情報を取得するためのパケットを送信する手段を有することを特徴とする経路情報取得装置。 - 請求項11に記載のボトルネック推定装置におけるネットワークのトポロジー情報取得装置であって、
ルーターから直接トポロジー情報を取得する手段を有することを特徴とするトポロジー情報取得装置。 - 請求項11に記載のボトルネック推定装置におけるネットワークの経路情報取得装置であって、
ルーターから直接経路情報を取得する手段を有することを特徴とする経路情報取得装置。 - 請求項11に記載のボトルネック推定装置におけるネットワークのトポロジー情報取得装置であって、
ネットワークを流れるパケットをキャプチャし、ルーチング情報を含んだパケットからルーチングプロトコルを解析する手段を有し、
この解析手段の解析結果に基づき、トポロジー情報を取得することを特徴とするトポロジー情報取得装置。 - 請求項11に記載のボトルネック推定装置におけるネットワークの経路情報取得装置であって、
ネットワークを流れるパケットをキャプチャし、ルーチング情報を含んだパケットからルーチングプロトコルを解析する手段を有し、
この解析手段の解析結果に基づき、経路情報を取得することを特徴とする経路情報取得装置。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載されたボトルネック推定方法の各ステップを実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
- 複数のASで構成されるパケット網におけるボトルネックネットワークを推定するボトルネック推定装置を管理する装置であって、
時刻同期機能を有し、
前記各ASごとに請求項1〜3のいずれか1項に記載のボトルネック推定方法によってトポロジー情報,ルーティング情報,ボトルネックネットワーク推定結果を収集し、それらを一つの管理装置で統合する管理装置。
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