JP2004023163A - 空間分割多重通信システム、基地局、移動局、空間分割多重方法、および到来方向推定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】空間分割多重が可能な移動局の組合せの判定をより迅速かつ適切に行う。
【解決手段】空間分割多重が可能な移動局の組合せを判定するために、基地局10から指向性を持ったビームを360度回転させる。この期間中に、各移動局100は、同時に受信電力測定を行い、所定の角度単位の受信電力データを求め、基地局10に対して送信する。基地局10は、各移動局から転送された受信電力データに基づいて、空間分割多重する移動局の組合せを決定する。この際、例えば、所定の値以上の受信電力ピークの角度差が所定の角度以上である移動局同士を空間分割多重可能であると判断する。
【選択図】 図1
【解決手段】空間分割多重が可能な移動局の組合せを判定するために、基地局10から指向性を持ったビームを360度回転させる。この期間中に、各移動局100は、同時に受信電力測定を行い、所定の角度単位の受信電力データを求め、基地局10に対して送信する。基地局10は、各移動局から転送された受信電力データに基づいて、空間分割多重する移動局の組合せを決定する。この際、例えば、所定の値以上の受信電力ピークの角度差が所定の角度以上である移動局同士を空間分割多重可能であると判断する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セルラ無線および無線LAN等の無線通信システムに関し、特にマイクロセル・セルラ環境下の無線通信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、大容量・高速のデータ通信を有効に利用するブロードバンド社会へ向けて、無線通信においても広帯域伝送が求められている。また、増大する加入者を効率良く収容するとともに、限りある周波数資源を有効に利用するために、高い周波数利用効率を実現できるシステムが求められている。
【0003】
周波数利用効率を向上させるために、従来のマクロセル・セルラシステムに代わってセル半径の小さいマイクロセル・セルラシステムが有望視されている。マイクロセル・セルラシステムにおいて重要な技術がアレーアンテナである。アレーアンテナは、希望の方向にのみメインローブを向け希望しない方向には低サイドローブにより不要な電波を放射しないといったセクタアンテナ的な方法と、所望移動局方向にはメインローブを向け干渉局移動局方向にはヌルを向け、SINR(シグナル・インターフェアレンス・ノイズ・レシオ)を改善する方法がある。アレーアンテナを用いて干渉を低減することにより、システムのキャパシティが増大することが期待されている。
【0004】
システムのキャパシティを増大させる方法として、マルチプルアクセス方式にSDMA(Space−Division−Multiple−Access:空間分割多重)が用いることが知られている。これは、基地局に対して複数の移動局を空間的に多重するものである。マルチプルアクセス方式として空間分割多重を行う場合に重要なのは、どの加入者同士を空間的に多重すべきか等を決定するスロット割当許可である。アレーアンテナの干渉除去能力よりもこのスロット割当の方法をどのようにするかがよりキャパシティ増加のパフォーマンスに影響を与えるとも言える。
【0005】
ここで、従来のスロット割当の方法を簡単に説明する。
【0006】
アダプティブアレーアンテナは基地局にのみ搭載され、移動局には無指向性のアンテナを搭載する。アダプティブアレーアンテナの重み係数の学習方法としてMMSE(Minimum Mean Square Error:誤差最小化法)を評価基準としてRLS(Recursive Least Square)アルゴリズム等を用いていた。すなわち、空間分割多重される全ての移動局からの学習用のレファレンス信号(各移動局固有のランダムパターン)を同時に基地局のアレーアンテナで受信し、上記学習を行うことにより、基地局から各所望局にのみメインローブを向け他の移動局へはヌルを向けるアンテナの指向性パターンを形成する方法を行っていた。ここで、同時に空間分割多重しようとする移動局同士が近い距離に位置していると、基地局から見た2つの移動局の方向がほぼ同じになってしまい、MMSE基準のRLSアルゴリズムで学習してもこの2つの移動局を空間的に分離することが不可能であった。2つの移動局を空間的に分離できるか否かは、各移動局ごとに取得したアンテナパターンによるSINRを見ることで判断できる。近くに他の移動局が存在する移動局に対するSINRは値が低くなり(例えば0dB)、近くに他の移動局が存在せず良好な学習が行えた移動局に対するSINRは値が高くなる(例えば40dB)。したがって、このSINRを基準に空間分割多重可能か否かを判断していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、SINRをもとに判断するには、前述のように、同時に各移動局がレファレンス信号を送信しているときに、アダプティブアレーアンテナの学習(RLSによる)を行わなければならない。また、この学習にはある程度の時間が必要であるのに、その学習がうまくいかなかった場合にその学習時間が無駄になってしまう。これは、次に説明するように、特にパケットデータを扱う場合に問題となる。
【0008】
従来の方法は、電話の呼のように平均120秒継続する比較的長い呼を対象としていた。したがって、例えば7つの呼が既に空間分割多重の基準を満たして空間分割多重中である場合に、新たに1つの呼を空間分割多重可能か否かを判断するとき、既存の7つと新規の1つの移動局から同時にレファレンス信号を送信し、その信号を基地局のアレーアンテナで受信し、アレーアンテナの学習をして、各移動局ごとにSINR値を取得した。そして、新規移動局のSINRが条件を満たしていれば、空間分割多重を許可する。さらに、既存の空間分割多重中の移動局のSINRも満たしていた場合に空間分割多重を許可する方法もある。
【0009】
このように、比較的長い時間継続する呼を対象としていた場合は、空間分割多重中の複数の移動局に、更に1つの新規の移動局が加入する場合の判断をすれば十分であった。しかし、これからは、数マイクロ秒程度の短いパケットデータを空間分割多重することが求められる。
【0010】
パケットデータを扱う場合は、空間分割多重中の既存の複数の移動局に対して1つの新規に空間分割多重に加入希望の移動局が存在する、という図式はあてはまらなくなる。すなわち、パケット毎つまり短いスロット毎に、空間分割多重可能な移動局の組合わせを瞬時に知る必要がある。例えば、1つの基地局のセル範囲に移動局が100台あった場合、同時に空間分割多重可能な台数の上限が8台であった場合、その空間分割多重の候補の組合わせの数は、100C8となり膨大な組みあわせになる。これらの組合わせ毎に8台の移動局からレファレンス信号を送信して基地局でそれを受信して、アレーアンテナの学習を行い、8台ごとのSINRを計算して、それら8台の組合わせが空間分割多重可能か否かを判断することは不可能である。少なくとも、これら膨大な組合わせの中から1回で最適なものを選び出すのは不可能であった。
【0011】
この課題を解決するためには、基地局側で各移動局の情報を予め全て把握し、その情報を用いて空間分割多重する移動局を決定する方法が考えられていた。これは、基地局から見た各移動局の角度情報を基地局で蓄積し、その角度情報に基づいて、所定量以上の角度差がありうまく空間分割多重できそうな移動局を選ぶという方法である。ところが、この方法は、角度情報(方向ベクトル)のみを判断基準に用いているためにマルチパス環境下ではうまく動作しない場合がある。すなわち、移動局Aと移動局Bは角度的には十分角度差(基地局から見た角度の差)があり、空間分割多重できそうと判断しても、移動局Aの周りのビル等の影響によりマルチパスの経路が存在し、そのマルチパスの経路のうち1つは移動局Bと同じ方向から基地局へ電波が到達する場合がある。この場合には、移動局Aからの電波と移動局Bからの電波の角度差がないためうまく空間的に分離することができず、空間分割多重不可能の場合がある。
【0012】
したがって、角度情報のみに頼って空間分割多重可能か否かの判断する方法はマルチパス環境下では限界がある。さらに、各移動局の方向(方角)を取得する方法に問題がある。1つの基地局のセル範囲に例えば100台移動局が属している場合に、これら100台の移動局の方向を取得するには、到来方向推定を行わなければならないが、これを1台ずつ行っている時間的余裕はない。また、数台ずつまとめて到来方向推定を行った場合は、移動局と角度情報の対応が困難になる。
【0013】
本発明はこのような背景においてなされたものであり、その目的は、空間分割多重が可能な移動局の組合せの判定をより迅速かつ適切に行うことができる空間分割多重方法および空間分割多重通信システムを提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的はそのような空間分割多重システムを構成する基地局および移動局を提供することにある。
【0015】
本発明によるさらに他の目的は、空間分割多重システムにおいて基地局が各移動局の方向をより迅速かつ適切に推定することができる到来方向推定方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明による空間分割多重通信システムは、指向性を調整可能な送受信アンテナを有する基地局と、無指向性の送受信アンテナを有する複数の移動局と空間分割多重通信システムにおいて、前記基地局は、複数の送受信アンテナと、このアンテナの選択的に接続される受信回路および送信回路と、この受信回路および送信回路に接続されるアダプティブアレーアンテナ信号処理部と、このアダプティブアレーアンテナ信号処理部を制御する制御部とを備え、前記移動局は、送受信アンテナと、前記基地局からのビームが360度回転する期間中に同時に受信電力測定を行い、所定の角度単位の受信電力データを求める電力測定手段と、前記基地局に対して自己の受信電力データを送信する手段とを備え、前記基地局の制御部は、各移動局から転送された受信電力データに基づいて、空間分割多重する移動局の組合せを決定することを特徴とする。
【0017】
空間分割多重可能な移動局の組合せを判定するに当たって、基地局から360度回転して放射されるビームを各移動局が受信し、その受信電力を測定することにより、各移動局において、一斉に、基地局から見た角度対応に受信電力の強弱の分布状態を求めることができる。この各移動局の受信電力データを基地局が収集して、これに基づいて各移動局毎のマルチパス伝搬状況を含んだ到来方向を推定することが可能になる。その結果、空間多重可能な移動局の組合せをより適切に行うことができる。
【0018】
本発明による基地局は、空間分割多重通信システムにおける基地局であって、複数の送受信アンテナと、このアンテナの選択的に接続される受信回路および送信回路と、この受信回路および送信回路に接続されるアダプティブアレーアンテナ信号処理部と、このアダプティブアレーアンテナ信号処理部を制御する制御部とを備え、この制御部は、各移動局から転送された受信電力データに基づいて、空間分割多重する移動局の組合せを決定することを特徴とする。
【0019】
この場合、基地局は、所定の値以上の受信電力ピークの角度差が所定の角度以上である移動局同士を空間分割多重可能であると判断することができる。
【0020】
前記アダプティブアレーアンテナ信号処理部は、その一態様として、前記複数の送受信アンテナの受信信号に重み付けした信号を加算する重み処理部を複数個有し、前記制御部により空間分割多重する移動局の組合せが決定された後、当該移動局に対して同時に固有のレファレンス信号を発生させ、このとき一つの重み処理部は、空間分割多重する複数の移動局からの受信信号のうち特定の移動局のみの受信信号強度が大きくなるよう重み付け処理を行う。
【0021】
本発明による移動局は、空間分割多重通信システムにおいて基地局との間でデータを送受信する移動局であって、送受信アンテナと、前記基地局からのビームが360度回転する期間中に受信電力測定を行い、所定の角度単位の受信電力データを求める電力測定手段と、前記基地局に対して自己の受信電力データを送信する手段と、基地局から許可されたとき、与えられた期間内にデータの送受信を行う手段とを備えたことを特徴とする。
【0022】
本発明による空間分割多重通信方法は、指向性を調整可能な送受信アンテナを有する基地局と、無指向性の送受信アンテナを有する複数の移動局とにより構成される通信システムにおける空間分割多重通信方法であって、基地局から指向性を持ったビームを360度回転させるステップと、各移動局が、前記基地局からのビームが360度回転する期間中に同時に受信電力測定を行い、所定の角度単位の受信電力データを求めるステップと、各移動局から前記基地局に対して自己の受信電力データを送信するステップと、基地局が各移動局から転送された受信電力データに基づいて、空間分割多重する移動局の組合せを決定するステップとを備えたことを特徴とする。
【0023】
前記指向性を調整可能な送受信アンテナはアダプティブアレーアンテナであり、基地局が、空間分割多重する移動局の組合せに対して各移動局固有のランダムデータを送信することを要求するステップと、この要求に応じて当該移動局が自己のランダムデータを送信するステップと、このランダムデータに基づいてアダプティブアレーアンテナの重み学習を行うステップとをさらに備えてもよい。
【0024】
前記受信電力データを基地局へ送信するステップでは、所定の移動局のみが送信を行うようにしてもよい。この所定の移動局は、例えば、データの送信または受信を行おうとする移動局、あるいは、自己の受信電力測定の結果に所定の変化があった移動局である。
【0025】
本発明による到来方向推定方法は、指向性を調整可能な送受信アンテナを有する基地局において、無指向性の送受信アンテナを有する複数の移動局からの信号の到来する方向を推定する到来方向推定方法であって、基地局から指向性を持ったビームを360度回転させるステップと、前記基地局からのビームが360度回転する期間中に複数の移動局が同時に受信電力測定を行い、所定の角度単位の受信電力データを求めるステップと、各移動局から前記基地局に対して自己の受信電力データを送信するステップと、前記基地局が各移動局から転送された受信電力データに基づいて各移動局からの信号の到来する方向を推定するステップとを備えたことを特徴とする。
【0026】
基地局から360度回転して放射されるビームを各移動局が受信し、その受信電力を測定することにより、各移動局において、一斉に、基地局から見た角度対応に受信電力の強弱の分布状態を求めることができ、基地局は、この各移動局の受信電力データを収集して、これに基づいて各移動局毎のマルチパス伝搬状況を含んだ到来方向を推定することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
図1に本実施の形態におけるシステム構成を示す。本システムは1台の基地局(BS)10と、これを中心とするマイクロセル50内に位置する複数台の移動局(MS−A,B)100により構成される。このシステムの動作を説明する前に、基地局10と移動局100の構成を説明する。
【0029】
図2に本システムで用いる基地局の構成を示す。
【0030】
基地局10は、複数のアンテナ11a,11b,…11nを配置したアレーアンテナ部と、各アンテナを送受信用に切り替えるスイッチ13a,13b,…13nと、各スイッチに接続される受信RF部12rxa,12rxb,…12rxn、および、送信RF部12txa,12txb,…12txn、これらの受信RF部および送信RF部に接続されるアダプティブアレーアンテナ信号処理部14、ならびに、このアダプティブアレーアンテナ信号処理部14に接続され、送受信信号の処理および本システム各部の制御を行う制御部15により構成される。このような基地局10の構成自体は公知のものである。
【0031】
図3に、アダプティブアレーアンテナ信号処理部14の受信系の内部構成例を示す。この例では、アダプティブアレーアンテナ信号処理部14は同時に動作する同様構成の8個の重み処理部140−1〜140−8を有する。これらの重み処理部は、制御部15により制御されるとともに、その出力は制御部15に与えられる。
【0032】
各重み処理部は、重み係数算出および記憶部143と、各受信RF部の出力に重み係数を乗算する複数の乗算器141a〜141nと、これらの出力を加算する加算器142とを有する。重み係数算出および記憶部143は、後述する初期設定時に受信信号とレファレンス信号145とに基づいて各乗算器に与える重み係数を決定するとともに、図4に示すように、各移動局についての重み係数(W1a〜W1n,W2a〜W2n,…W8a〜W8n)をデータテーブル30として記憶する。レファレンス信号とは、各移動局に固有の信号であり、移動局の重み学習用に用いられる既知のデータである。このような既知のデータとしては、例えば、相互に異なるランダムパターンデータを用いることができる。8個の重み処理部140−1〜140−8は、最大8個までの移動局に対して同時に対応できることを意味している。図4に示した重み係数は、図示しないアダプティブアレーアンテナ信号処理部14の送信系においても利用される。
【0033】
図5に本実施の形態における移動局100の構成を示す。この移動局100は、携帯通信端末であり、ここでは携帯電話機を例として説明する。移動局100は、1本のアンテナ200を持ち、送受共用で当該アンテナを使用する。アンテナ200には、スイッチ(SW)201を介して受信RF部202および送信RF部203が接続され、これらのRF部はさらに変復調等を行うデジタル信号処理部DSP(Digital Signal Processor)204と接続されている。DSP204は、スピーカ205、マイク206、イヤレシーバ207、および制御部208に接続されている。制御部208はさらに、表示部209、入力操作部211、ROM213、RAM214等に接続されている。制御部208は中央処理装置(CPU)などから構成される。入力操作部211は携帯端末の各種キーやボタン、ジョグダイヤル等に相当する。ROM213には本実施の形態の後述する動作を実現するための制御プログラムが格納されている。ROM213は、フラッシュROMのような書き込み可能なメモリを含んでもよい。
【0034】
さて、このようなシステム構成において、本実施の形態における具体的な動作を説明する。
【0035】
図6に、本実施の形態で使用するフレームフォーマットを示す。フレーム60は、その先頭から順次、フレーム同期信号領域61、受信電力測定領域62、受信電力データ転送領域63、および複数のデータ通信用領域64−1〜64−7からなる。この例では、データ通信用領域64−1〜64−7は7個(7つのスロット)を用意しているが、これに限るものではない。各データ通信用領域64は、ポーリング領域641,既知信号領域642、アップリンクデータ領域643およびダウンリンクデータ領域644からなる。この例ではフレーム60の長さは2msである。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
【0036】
フレーム同期信号領域61は、各移動局がフレーム同期を行うためのレファレンス信号を基地局が送信する領域である。受信電力測定領域62は、この領域において基地局が、受信電力測定用のビームを−180度から+180度までスキャンするための領域である。各移動局はフレーム同期を行っているので、全ての移動局がこの同じ領域62で受信電力測定を行い、時間軸上での電力の推移をサンプリングし、その結果を保存する。この受信電力測定は、図5に示した移動局100ではそのデジタル信号処理部204で行われる。受信電力データ転送領域63は、各移動局が測定した受信電力データを基地局に送信するための領域である。この領域63における基地局のアンテナ指向性は一時的に無指向性とされ、各移動局から基地局へのデータの送信は時分割で行われる。どの移動局がどの分割時間領域で送信を行うかは予め定めておくことができる。あるいは、予め定めておかない場合、”早い者勝ち”として”負けた”者はリトライを行うようにしてもよい。領域64は、ポーリング領域641,既知信号送信領域642、アップリンクデータ領域、およびダウンリンクデータ領域の各領域(サブ領域)からなる。これらの各サブ領域における動作については後述する。
【0037】
ここで、受信電力測定領域62における基地局での受信電力測定用ビームの360度スキャンの具体例について説明する。図2に示した基地局10の8個の重み処理部140−1〜140−8に対して、制御部15からアダプティブアレーの重みを決定することにより、図7に示すような指向性をもったビームを形成できる。また、このビームを自由に望ましい方向に向けることが可能である。この図7は、アンテナを30本用いたときの円形アレーアンテナのビームの例であり、0度方向にビームを向けている場合に相当している。送信時には、0度以外の方向へはほとんど電波を放射しない。受信時には0度の方向からの受信感度がピークとなる。前述のように、このビームは受信電力測定領域62(図6)の時間を使って、等速度で360度スキャンされる。図1の例では、図示した0度の方角からビーム52が半時計回りにスキャンされる。但し、回転方向は時計回りであってもよい。基地局10から見て、移動局Aは90度の方角にあり、移動局Bは270度の方角にある。したがって、両移動局A,Bでの受信電力データはそれぞれ、図8、図9のグラフのようになる。このグラフにおいて、横軸は角度(受信電力測定領域内の時間の経過に相当)を示し、縦軸は当該移動局の受信電力[dB]を示している。図8のグラフでは90度の位置に受信電力のピーク81があり、図9のグラフでは270度の位置に受信電力のピーク82があることが分かる。
【0038】
各移動局は受信電力データ測定領域で測定された受信電力データを所定の分解能(例えば1度単位)でサンプリングし、その値をデジタル化して一時記憶する。さらに、図10(a)に模式的に示すように、このデータに移動局の識別情報である移動局IDを付加して、基地局宛に送信する。これに代えて、移動局IDととも二、特徴的な電力値の角度およびその電力値データのみを送信するようにしてもよい。図10(b)に示した例では、移動局IDとともに、受信電力がピーク(極大)となる点(1つとは限らない)の角度およびそのピーク値を送信する場合のデータ構造を示している。なお、受信電力データ転送領域63内においてどの時分割領域でどの移動局からのデータを受信するかが基地局に既知の場合には、移動局からの移動局IDの送信は必ずしも必要ではない。
【0039】
受信電力データ転送領域では、セル内のすべての移動局が自己の受信電力データを送信しなければならない、という訳ではない。例えば、今回の受信電力測定結果が前回の受信電力測定結果と殆ど変わらないというような場合、その移動局は今回の受信電力測定結果の送信を省略するようにしてもよい。また、送受信をしなくてよい移動局についても測定結果の送信を省略することができる。
【0040】
上述のようにして基地局で各移動局からその受信電力データが取得されると、基地局は、ポーリング領域において、空間分割多重(SDMA)可能な移動局の組み合せを決定し、その組み合せに対して、アップリンクを行わせるために基地局はポーリング情報を送信する。このポーリング情報には、空間分割多重する組合わせの移動局の番号が含まれている。このような移動局の番号は、既知の方法により、各移動局に割り当てられている。各移動局はこのポーリング情報を参照し、自己が該当した場合は、アダプティブアレーアンテナの重み学習用のレファレンス信号(各移動局で固有のランダムデータ)とアップリンクデータを送信する。基地局では、各移動局のレファレンス信号を受信し、前述のMMSE基準のRLSアルゴリズムによりアレーアンテナの重みの学習を行い、その重みを用いて各移動局のアップリンクデータを受信する。また、その同じ重みを用いて下り方向のダウンリンク領域で基地局から各移動局へダウンリンクデータを送信する。
【0041】
図7に示したフレームフォーマットから分かるように、本実施の形態では、1つのフレーム内にこのSDMA可能なスロットを例えば7スロット(すなわち7つのデータ通信用領域64−1〜64−7)用意しているので、1フレームで7回異なった組合わせの空間分割多重が可能となる。
【0042】
次に、マルチパス環境下で基地局が空間分割多重可能な移動局の組合わせを判断する方法について説明する。
【0043】
空間分割多重可能な組合わせの決定方法として一番簡単なものは、例えば受信電力データから取得できるピーク値を角度に換算したものが互いに所定の角度(たとえば10度)以上離れているものは空間分割多重可能である、という判断基準を用いるものである。更に、マルチパス環境に対応するために、マルチパスが原因と思われるある一定値以上の電力をもつピークと10度以上角度差があることを条件に付け加えても良い。例えば、図11(a)に示した例では、ある移動局の受信電力データ(破線)がマルチパスの影響で90度付近と270度付近の2方向でピーク91,92を有し、他の移動局の受信電力データ(実線)は90度付近でピーク93を有する。この場合、実線の移動局のピーク93は、点線の移動局の一番大きなピーク92とは、角度差が10度以上離れているので、空間的に分割できそうであるが、両移動局は共に90度付近で、互いに10度以上の角度差のないピーク91,93を有する。したがって、両移動局を同じスロット内の空間分割多重の対象とすることはできないと判断する。一方、マルチパス環境下で各移動局の受信電力に複数のピークが生じていても、10度以上の角度差がある孤立したピークが存在する場合には、その方向を利用して空間分割多重を行うことができる。例えば、図11(b)に示すように、実線で示した移動局のグラフが180度付近にもピーク94を有する場合を考える。この場合、このピーク94は他の移動局のピーク91、92のいずれとも孤立している(角度差が10度以上ある)ので、ピーク94とピーク92の方向を用いて両移動局を空間分割多重を行うことが可能である。
【0044】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、種々の変形、変更が可能である。例えば、図6に示したフレームの具体的な構成はあくまで本発明を説明するための例示であり、本発明はその細部に限定されるものではない。また、説明のために挙げた具体的な数値も単なる例示である。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、基地局から360度回転させたビームに対して移動局側で受信電力の測定を同時に行い、その受信電力データを基地局側で集計、判断することにより、短時間に到来方向の判定を行うことができる。特に、マルチパス伝搬状況を含んだ到来方向推定を行うことができるので、空間分割多重が可能な移動局の組合せの判定をより迅速かつ適切に行うことができる。その結果、パケットデータを扱う通信システムに適用して好適である。すなわち、短いパケット単位で瞬時に空間分割多重可能な移動局の組合せを選ぶことができ、その結果として、マイクロセル・セルラシステムのキャパシティの増大に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるシステム構成を示す図である。
【図2】図1のシステムで用いる基地局の構成例を示すブロック図である。
【図3】図2に示した基地局内のアダプティブアレーアンテナ信号処理部の受信系の内部構成例を示す図である。
【図4】図3内の重み係数算出および記憶部が保持する各移動局についての重み係数のデータテーブルを示す図である。
【図5】図1のシステム内の移動局の構成例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態で使用するフレームフォーマットを示す図である。
【図7】本発明の実施の形態における基地局のアダプティブアレーによる指向性をもったビームの説明図である。
【図8】本発明の実施の形態における受信電力測定領域での移動局Aの受信電力データを表すグラフである。
【図9】本発明の実施の形態における受信電力測定領域での移動局Bの受信電力データを表すグラフである。
【図10】本発明の実施の形態における受信電力データ転送領域で基地局へ転送されるデータの構成例(a)(b)を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態における空間多重可能な移動局の判断手法について説明するためのグラフである。
【符号の説明】
10…基地局(BS)、11a〜11n…アンテナ、13a〜13n…スイッチ、12rxa,12rxb,…12rxn…受信RF部、2txa,12txb,…12txn…送信RF部、14…アダプティブアレーアンテナ信号処理部、15…制御部、30…データテーブル、52…ビーム、100…移動局(MS)
【発明の属する技術分野】
本発明は、セルラ無線および無線LAN等の無線通信システムに関し、特にマイクロセル・セルラ環境下の無線通信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、大容量・高速のデータ通信を有効に利用するブロードバンド社会へ向けて、無線通信においても広帯域伝送が求められている。また、増大する加入者を効率良く収容するとともに、限りある周波数資源を有効に利用するために、高い周波数利用効率を実現できるシステムが求められている。
【0003】
周波数利用効率を向上させるために、従来のマクロセル・セルラシステムに代わってセル半径の小さいマイクロセル・セルラシステムが有望視されている。マイクロセル・セルラシステムにおいて重要な技術がアレーアンテナである。アレーアンテナは、希望の方向にのみメインローブを向け希望しない方向には低サイドローブにより不要な電波を放射しないといったセクタアンテナ的な方法と、所望移動局方向にはメインローブを向け干渉局移動局方向にはヌルを向け、SINR(シグナル・インターフェアレンス・ノイズ・レシオ)を改善する方法がある。アレーアンテナを用いて干渉を低減することにより、システムのキャパシティが増大することが期待されている。
【0004】
システムのキャパシティを増大させる方法として、マルチプルアクセス方式にSDMA(Space−Division−Multiple−Access:空間分割多重)が用いることが知られている。これは、基地局に対して複数の移動局を空間的に多重するものである。マルチプルアクセス方式として空間分割多重を行う場合に重要なのは、どの加入者同士を空間的に多重すべきか等を決定するスロット割当許可である。アレーアンテナの干渉除去能力よりもこのスロット割当の方法をどのようにするかがよりキャパシティ増加のパフォーマンスに影響を与えるとも言える。
【0005】
ここで、従来のスロット割当の方法を簡単に説明する。
【0006】
アダプティブアレーアンテナは基地局にのみ搭載され、移動局には無指向性のアンテナを搭載する。アダプティブアレーアンテナの重み係数の学習方法としてMMSE(Minimum Mean Square Error:誤差最小化法)を評価基準としてRLS(Recursive Least Square)アルゴリズム等を用いていた。すなわち、空間分割多重される全ての移動局からの学習用のレファレンス信号(各移動局固有のランダムパターン)を同時に基地局のアレーアンテナで受信し、上記学習を行うことにより、基地局から各所望局にのみメインローブを向け他の移動局へはヌルを向けるアンテナの指向性パターンを形成する方法を行っていた。ここで、同時に空間分割多重しようとする移動局同士が近い距離に位置していると、基地局から見た2つの移動局の方向がほぼ同じになってしまい、MMSE基準のRLSアルゴリズムで学習してもこの2つの移動局を空間的に分離することが不可能であった。2つの移動局を空間的に分離できるか否かは、各移動局ごとに取得したアンテナパターンによるSINRを見ることで判断できる。近くに他の移動局が存在する移動局に対するSINRは値が低くなり(例えば0dB)、近くに他の移動局が存在せず良好な学習が行えた移動局に対するSINRは値が高くなる(例えば40dB)。したがって、このSINRを基準に空間分割多重可能か否かを判断していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、SINRをもとに判断するには、前述のように、同時に各移動局がレファレンス信号を送信しているときに、アダプティブアレーアンテナの学習(RLSによる)を行わなければならない。また、この学習にはある程度の時間が必要であるのに、その学習がうまくいかなかった場合にその学習時間が無駄になってしまう。これは、次に説明するように、特にパケットデータを扱う場合に問題となる。
【0008】
従来の方法は、電話の呼のように平均120秒継続する比較的長い呼を対象としていた。したがって、例えば7つの呼が既に空間分割多重の基準を満たして空間分割多重中である場合に、新たに1つの呼を空間分割多重可能か否かを判断するとき、既存の7つと新規の1つの移動局から同時にレファレンス信号を送信し、その信号を基地局のアレーアンテナで受信し、アレーアンテナの学習をして、各移動局ごとにSINR値を取得した。そして、新規移動局のSINRが条件を満たしていれば、空間分割多重を許可する。さらに、既存の空間分割多重中の移動局のSINRも満たしていた場合に空間分割多重を許可する方法もある。
【0009】
このように、比較的長い時間継続する呼を対象としていた場合は、空間分割多重中の複数の移動局に、更に1つの新規の移動局が加入する場合の判断をすれば十分であった。しかし、これからは、数マイクロ秒程度の短いパケットデータを空間分割多重することが求められる。
【0010】
パケットデータを扱う場合は、空間分割多重中の既存の複数の移動局に対して1つの新規に空間分割多重に加入希望の移動局が存在する、という図式はあてはまらなくなる。すなわち、パケット毎つまり短いスロット毎に、空間分割多重可能な移動局の組合わせを瞬時に知る必要がある。例えば、1つの基地局のセル範囲に移動局が100台あった場合、同時に空間分割多重可能な台数の上限が8台であった場合、その空間分割多重の候補の組合わせの数は、100C8となり膨大な組みあわせになる。これらの組合わせ毎に8台の移動局からレファレンス信号を送信して基地局でそれを受信して、アレーアンテナの学習を行い、8台ごとのSINRを計算して、それら8台の組合わせが空間分割多重可能か否かを判断することは不可能である。少なくとも、これら膨大な組合わせの中から1回で最適なものを選び出すのは不可能であった。
【0011】
この課題を解決するためには、基地局側で各移動局の情報を予め全て把握し、その情報を用いて空間分割多重する移動局を決定する方法が考えられていた。これは、基地局から見た各移動局の角度情報を基地局で蓄積し、その角度情報に基づいて、所定量以上の角度差がありうまく空間分割多重できそうな移動局を選ぶという方法である。ところが、この方法は、角度情報(方向ベクトル)のみを判断基準に用いているためにマルチパス環境下ではうまく動作しない場合がある。すなわち、移動局Aと移動局Bは角度的には十分角度差(基地局から見た角度の差)があり、空間分割多重できそうと判断しても、移動局Aの周りのビル等の影響によりマルチパスの経路が存在し、そのマルチパスの経路のうち1つは移動局Bと同じ方向から基地局へ電波が到達する場合がある。この場合には、移動局Aからの電波と移動局Bからの電波の角度差がないためうまく空間的に分離することができず、空間分割多重不可能の場合がある。
【0012】
したがって、角度情報のみに頼って空間分割多重可能か否かの判断する方法はマルチパス環境下では限界がある。さらに、各移動局の方向(方角)を取得する方法に問題がある。1つの基地局のセル範囲に例えば100台移動局が属している場合に、これら100台の移動局の方向を取得するには、到来方向推定を行わなければならないが、これを1台ずつ行っている時間的余裕はない。また、数台ずつまとめて到来方向推定を行った場合は、移動局と角度情報の対応が困難になる。
【0013】
本発明はこのような背景においてなされたものであり、その目的は、空間分割多重が可能な移動局の組合せの判定をより迅速かつ適切に行うことができる空間分割多重方法および空間分割多重通信システムを提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的はそのような空間分割多重システムを構成する基地局および移動局を提供することにある。
【0015】
本発明によるさらに他の目的は、空間分割多重システムにおいて基地局が各移動局の方向をより迅速かつ適切に推定することができる到来方向推定方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明による空間分割多重通信システムは、指向性を調整可能な送受信アンテナを有する基地局と、無指向性の送受信アンテナを有する複数の移動局と空間分割多重通信システムにおいて、前記基地局は、複数の送受信アンテナと、このアンテナの選択的に接続される受信回路および送信回路と、この受信回路および送信回路に接続されるアダプティブアレーアンテナ信号処理部と、このアダプティブアレーアンテナ信号処理部を制御する制御部とを備え、前記移動局は、送受信アンテナと、前記基地局からのビームが360度回転する期間中に同時に受信電力測定を行い、所定の角度単位の受信電力データを求める電力測定手段と、前記基地局に対して自己の受信電力データを送信する手段とを備え、前記基地局の制御部は、各移動局から転送された受信電力データに基づいて、空間分割多重する移動局の組合せを決定することを特徴とする。
【0017】
空間分割多重可能な移動局の組合せを判定するに当たって、基地局から360度回転して放射されるビームを各移動局が受信し、その受信電力を測定することにより、各移動局において、一斉に、基地局から見た角度対応に受信電力の強弱の分布状態を求めることができる。この各移動局の受信電力データを基地局が収集して、これに基づいて各移動局毎のマルチパス伝搬状況を含んだ到来方向を推定することが可能になる。その結果、空間多重可能な移動局の組合せをより適切に行うことができる。
【0018】
本発明による基地局は、空間分割多重通信システムにおける基地局であって、複数の送受信アンテナと、このアンテナの選択的に接続される受信回路および送信回路と、この受信回路および送信回路に接続されるアダプティブアレーアンテナ信号処理部と、このアダプティブアレーアンテナ信号処理部を制御する制御部とを備え、この制御部は、各移動局から転送された受信電力データに基づいて、空間分割多重する移動局の組合せを決定することを特徴とする。
【0019】
この場合、基地局は、所定の値以上の受信電力ピークの角度差が所定の角度以上である移動局同士を空間分割多重可能であると判断することができる。
【0020】
前記アダプティブアレーアンテナ信号処理部は、その一態様として、前記複数の送受信アンテナの受信信号に重み付けした信号を加算する重み処理部を複数個有し、前記制御部により空間分割多重する移動局の組合せが決定された後、当該移動局に対して同時に固有のレファレンス信号を発生させ、このとき一つの重み処理部は、空間分割多重する複数の移動局からの受信信号のうち特定の移動局のみの受信信号強度が大きくなるよう重み付け処理を行う。
【0021】
本発明による移動局は、空間分割多重通信システムにおいて基地局との間でデータを送受信する移動局であって、送受信アンテナと、前記基地局からのビームが360度回転する期間中に受信電力測定を行い、所定の角度単位の受信電力データを求める電力測定手段と、前記基地局に対して自己の受信電力データを送信する手段と、基地局から許可されたとき、与えられた期間内にデータの送受信を行う手段とを備えたことを特徴とする。
【0022】
本発明による空間分割多重通信方法は、指向性を調整可能な送受信アンテナを有する基地局と、無指向性の送受信アンテナを有する複数の移動局とにより構成される通信システムにおける空間分割多重通信方法であって、基地局から指向性を持ったビームを360度回転させるステップと、各移動局が、前記基地局からのビームが360度回転する期間中に同時に受信電力測定を行い、所定の角度単位の受信電力データを求めるステップと、各移動局から前記基地局に対して自己の受信電力データを送信するステップと、基地局が各移動局から転送された受信電力データに基づいて、空間分割多重する移動局の組合せを決定するステップとを備えたことを特徴とする。
【0023】
前記指向性を調整可能な送受信アンテナはアダプティブアレーアンテナであり、基地局が、空間分割多重する移動局の組合せに対して各移動局固有のランダムデータを送信することを要求するステップと、この要求に応じて当該移動局が自己のランダムデータを送信するステップと、このランダムデータに基づいてアダプティブアレーアンテナの重み学習を行うステップとをさらに備えてもよい。
【0024】
前記受信電力データを基地局へ送信するステップでは、所定の移動局のみが送信を行うようにしてもよい。この所定の移動局は、例えば、データの送信または受信を行おうとする移動局、あるいは、自己の受信電力測定の結果に所定の変化があった移動局である。
【0025】
本発明による到来方向推定方法は、指向性を調整可能な送受信アンテナを有する基地局において、無指向性の送受信アンテナを有する複数の移動局からの信号の到来する方向を推定する到来方向推定方法であって、基地局から指向性を持ったビームを360度回転させるステップと、前記基地局からのビームが360度回転する期間中に複数の移動局が同時に受信電力測定を行い、所定の角度単位の受信電力データを求めるステップと、各移動局から前記基地局に対して自己の受信電力データを送信するステップと、前記基地局が各移動局から転送された受信電力データに基づいて各移動局からの信号の到来する方向を推定するステップとを備えたことを特徴とする。
【0026】
基地局から360度回転して放射されるビームを各移動局が受信し、その受信電力を測定することにより、各移動局において、一斉に、基地局から見た角度対応に受信電力の強弱の分布状態を求めることができ、基地局は、この各移動局の受信電力データを収集して、これに基づいて各移動局毎のマルチパス伝搬状況を含んだ到来方向を推定することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
図1に本実施の形態におけるシステム構成を示す。本システムは1台の基地局(BS)10と、これを中心とするマイクロセル50内に位置する複数台の移動局(MS−A,B)100により構成される。このシステムの動作を説明する前に、基地局10と移動局100の構成を説明する。
【0029】
図2に本システムで用いる基地局の構成を示す。
【0030】
基地局10は、複数のアンテナ11a,11b,…11nを配置したアレーアンテナ部と、各アンテナを送受信用に切り替えるスイッチ13a,13b,…13nと、各スイッチに接続される受信RF部12rxa,12rxb,…12rxn、および、送信RF部12txa,12txb,…12txn、これらの受信RF部および送信RF部に接続されるアダプティブアレーアンテナ信号処理部14、ならびに、このアダプティブアレーアンテナ信号処理部14に接続され、送受信信号の処理および本システム各部の制御を行う制御部15により構成される。このような基地局10の構成自体は公知のものである。
【0031】
図3に、アダプティブアレーアンテナ信号処理部14の受信系の内部構成例を示す。この例では、アダプティブアレーアンテナ信号処理部14は同時に動作する同様構成の8個の重み処理部140−1〜140−8を有する。これらの重み処理部は、制御部15により制御されるとともに、その出力は制御部15に与えられる。
【0032】
各重み処理部は、重み係数算出および記憶部143と、各受信RF部の出力に重み係数を乗算する複数の乗算器141a〜141nと、これらの出力を加算する加算器142とを有する。重み係数算出および記憶部143は、後述する初期設定時に受信信号とレファレンス信号145とに基づいて各乗算器に与える重み係数を決定するとともに、図4に示すように、各移動局についての重み係数(W1a〜W1n,W2a〜W2n,…W8a〜W8n)をデータテーブル30として記憶する。レファレンス信号とは、各移動局に固有の信号であり、移動局の重み学習用に用いられる既知のデータである。このような既知のデータとしては、例えば、相互に異なるランダムパターンデータを用いることができる。8個の重み処理部140−1〜140−8は、最大8個までの移動局に対して同時に対応できることを意味している。図4に示した重み係数は、図示しないアダプティブアレーアンテナ信号処理部14の送信系においても利用される。
【0033】
図5に本実施の形態における移動局100の構成を示す。この移動局100は、携帯通信端末であり、ここでは携帯電話機を例として説明する。移動局100は、1本のアンテナ200を持ち、送受共用で当該アンテナを使用する。アンテナ200には、スイッチ(SW)201を介して受信RF部202および送信RF部203が接続され、これらのRF部はさらに変復調等を行うデジタル信号処理部DSP(Digital Signal Processor)204と接続されている。DSP204は、スピーカ205、マイク206、イヤレシーバ207、および制御部208に接続されている。制御部208はさらに、表示部209、入力操作部211、ROM213、RAM214等に接続されている。制御部208は中央処理装置(CPU)などから構成される。入力操作部211は携帯端末の各種キーやボタン、ジョグダイヤル等に相当する。ROM213には本実施の形態の後述する動作を実現するための制御プログラムが格納されている。ROM213は、フラッシュROMのような書き込み可能なメモリを含んでもよい。
【0034】
さて、このようなシステム構成において、本実施の形態における具体的な動作を説明する。
【0035】
図6に、本実施の形態で使用するフレームフォーマットを示す。フレーム60は、その先頭から順次、フレーム同期信号領域61、受信電力測定領域62、受信電力データ転送領域63、および複数のデータ通信用領域64−1〜64−7からなる。この例では、データ通信用領域64−1〜64−7は7個(7つのスロット)を用意しているが、これに限るものではない。各データ通信用領域64は、ポーリング領域641,既知信号領域642、アップリンクデータ領域643およびダウンリンクデータ領域644からなる。この例ではフレーム60の長さは2msである。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
【0036】
フレーム同期信号領域61は、各移動局がフレーム同期を行うためのレファレンス信号を基地局が送信する領域である。受信電力測定領域62は、この領域において基地局が、受信電力測定用のビームを−180度から+180度までスキャンするための領域である。各移動局はフレーム同期を行っているので、全ての移動局がこの同じ領域62で受信電力測定を行い、時間軸上での電力の推移をサンプリングし、その結果を保存する。この受信電力測定は、図5に示した移動局100ではそのデジタル信号処理部204で行われる。受信電力データ転送領域63は、各移動局が測定した受信電力データを基地局に送信するための領域である。この領域63における基地局のアンテナ指向性は一時的に無指向性とされ、各移動局から基地局へのデータの送信は時分割で行われる。どの移動局がどの分割時間領域で送信を行うかは予め定めておくことができる。あるいは、予め定めておかない場合、”早い者勝ち”として”負けた”者はリトライを行うようにしてもよい。領域64は、ポーリング領域641,既知信号送信領域642、アップリンクデータ領域、およびダウンリンクデータ領域の各領域(サブ領域)からなる。これらの各サブ領域における動作については後述する。
【0037】
ここで、受信電力測定領域62における基地局での受信電力測定用ビームの360度スキャンの具体例について説明する。図2に示した基地局10の8個の重み処理部140−1〜140−8に対して、制御部15からアダプティブアレーの重みを決定することにより、図7に示すような指向性をもったビームを形成できる。また、このビームを自由に望ましい方向に向けることが可能である。この図7は、アンテナを30本用いたときの円形アレーアンテナのビームの例であり、0度方向にビームを向けている場合に相当している。送信時には、0度以外の方向へはほとんど電波を放射しない。受信時には0度の方向からの受信感度がピークとなる。前述のように、このビームは受信電力測定領域62(図6)の時間を使って、等速度で360度スキャンされる。図1の例では、図示した0度の方角からビーム52が半時計回りにスキャンされる。但し、回転方向は時計回りであってもよい。基地局10から見て、移動局Aは90度の方角にあり、移動局Bは270度の方角にある。したがって、両移動局A,Bでの受信電力データはそれぞれ、図8、図9のグラフのようになる。このグラフにおいて、横軸は角度(受信電力測定領域内の時間の経過に相当)を示し、縦軸は当該移動局の受信電力[dB]を示している。図8のグラフでは90度の位置に受信電力のピーク81があり、図9のグラフでは270度の位置に受信電力のピーク82があることが分かる。
【0038】
各移動局は受信電力データ測定領域で測定された受信電力データを所定の分解能(例えば1度単位)でサンプリングし、その値をデジタル化して一時記憶する。さらに、図10(a)に模式的に示すように、このデータに移動局の識別情報である移動局IDを付加して、基地局宛に送信する。これに代えて、移動局IDととも二、特徴的な電力値の角度およびその電力値データのみを送信するようにしてもよい。図10(b)に示した例では、移動局IDとともに、受信電力がピーク(極大)となる点(1つとは限らない)の角度およびそのピーク値を送信する場合のデータ構造を示している。なお、受信電力データ転送領域63内においてどの時分割領域でどの移動局からのデータを受信するかが基地局に既知の場合には、移動局からの移動局IDの送信は必ずしも必要ではない。
【0039】
受信電力データ転送領域では、セル内のすべての移動局が自己の受信電力データを送信しなければならない、という訳ではない。例えば、今回の受信電力測定結果が前回の受信電力測定結果と殆ど変わらないというような場合、その移動局は今回の受信電力測定結果の送信を省略するようにしてもよい。また、送受信をしなくてよい移動局についても測定結果の送信を省略することができる。
【0040】
上述のようにして基地局で各移動局からその受信電力データが取得されると、基地局は、ポーリング領域において、空間分割多重(SDMA)可能な移動局の組み合せを決定し、その組み合せに対して、アップリンクを行わせるために基地局はポーリング情報を送信する。このポーリング情報には、空間分割多重する組合わせの移動局の番号が含まれている。このような移動局の番号は、既知の方法により、各移動局に割り当てられている。各移動局はこのポーリング情報を参照し、自己が該当した場合は、アダプティブアレーアンテナの重み学習用のレファレンス信号(各移動局で固有のランダムデータ)とアップリンクデータを送信する。基地局では、各移動局のレファレンス信号を受信し、前述のMMSE基準のRLSアルゴリズムによりアレーアンテナの重みの学習を行い、その重みを用いて各移動局のアップリンクデータを受信する。また、その同じ重みを用いて下り方向のダウンリンク領域で基地局から各移動局へダウンリンクデータを送信する。
【0041】
図7に示したフレームフォーマットから分かるように、本実施の形態では、1つのフレーム内にこのSDMA可能なスロットを例えば7スロット(すなわち7つのデータ通信用領域64−1〜64−7)用意しているので、1フレームで7回異なった組合わせの空間分割多重が可能となる。
【0042】
次に、マルチパス環境下で基地局が空間分割多重可能な移動局の組合わせを判断する方法について説明する。
【0043】
空間分割多重可能な組合わせの決定方法として一番簡単なものは、例えば受信電力データから取得できるピーク値を角度に換算したものが互いに所定の角度(たとえば10度)以上離れているものは空間分割多重可能である、という判断基準を用いるものである。更に、マルチパス環境に対応するために、マルチパスが原因と思われるある一定値以上の電力をもつピークと10度以上角度差があることを条件に付け加えても良い。例えば、図11(a)に示した例では、ある移動局の受信電力データ(破線)がマルチパスの影響で90度付近と270度付近の2方向でピーク91,92を有し、他の移動局の受信電力データ(実線)は90度付近でピーク93を有する。この場合、実線の移動局のピーク93は、点線の移動局の一番大きなピーク92とは、角度差が10度以上離れているので、空間的に分割できそうであるが、両移動局は共に90度付近で、互いに10度以上の角度差のないピーク91,93を有する。したがって、両移動局を同じスロット内の空間分割多重の対象とすることはできないと判断する。一方、マルチパス環境下で各移動局の受信電力に複数のピークが生じていても、10度以上の角度差がある孤立したピークが存在する場合には、その方向を利用して空間分割多重を行うことができる。例えば、図11(b)に示すように、実線で示した移動局のグラフが180度付近にもピーク94を有する場合を考える。この場合、このピーク94は他の移動局のピーク91、92のいずれとも孤立している(角度差が10度以上ある)ので、ピーク94とピーク92の方向を用いて両移動局を空間分割多重を行うことが可能である。
【0044】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、種々の変形、変更が可能である。例えば、図6に示したフレームの具体的な構成はあくまで本発明を説明するための例示であり、本発明はその細部に限定されるものではない。また、説明のために挙げた具体的な数値も単なる例示である。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、基地局から360度回転させたビームに対して移動局側で受信電力の測定を同時に行い、その受信電力データを基地局側で集計、判断することにより、短時間に到来方向の判定を行うことができる。特に、マルチパス伝搬状況を含んだ到来方向推定を行うことができるので、空間分割多重が可能な移動局の組合せの判定をより迅速かつ適切に行うことができる。その結果、パケットデータを扱う通信システムに適用して好適である。すなわち、短いパケット単位で瞬時に空間分割多重可能な移動局の組合せを選ぶことができ、その結果として、マイクロセル・セルラシステムのキャパシティの増大に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるシステム構成を示す図である。
【図2】図1のシステムで用いる基地局の構成例を示すブロック図である。
【図3】図2に示した基地局内のアダプティブアレーアンテナ信号処理部の受信系の内部構成例を示す図である。
【図4】図3内の重み係数算出および記憶部が保持する各移動局についての重み係数のデータテーブルを示す図である。
【図5】図1のシステム内の移動局の構成例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態で使用するフレームフォーマットを示す図である。
【図7】本発明の実施の形態における基地局のアダプティブアレーによる指向性をもったビームの説明図である。
【図8】本発明の実施の形態における受信電力測定領域での移動局Aの受信電力データを表すグラフである。
【図9】本発明の実施の形態における受信電力測定領域での移動局Bの受信電力データを表すグラフである。
【図10】本発明の実施の形態における受信電力データ転送領域で基地局へ転送されるデータの構成例(a)(b)を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態における空間多重可能な移動局の判断手法について説明するためのグラフである。
【符号の説明】
10…基地局(BS)、11a〜11n…アンテナ、13a〜13n…スイッチ、12rxa,12rxb,…12rxn…受信RF部、2txa,12txb,…12txn…送信RF部、14…アダプティブアレーアンテナ信号処理部、15…制御部、30…データテーブル、52…ビーム、100…移動局(MS)
Claims (12)
- 指向性を調整可能な送受信アンテナを有する基地局と、無指向性の送受信アンテナを有する複数の移動局と空間分割多重通信システムにおいて、
前記基地局は、
複数の送受信アンテナと、このアンテナの選択的に接続される受信回路および送信回路と、
この受信回路および送信回路に接続されるアダプティブアレーアンテナ信号処理部と、
このアダプティブアレーアンテナ信号処理部を制御する制御部とを備え、
前記移動局は、
送受信アンテナと、
前記基地局からのビームが360度回転する期間中に同時に受信電力測定を行い、所定の角度単位の受信電力データを求める電力測定手段と、
前記基地局に対して自己の受信電力データを送信する手段とを備え、
前記基地局の制御部は、各移動局から転送された受信電力データに基づいて、空間分割多重する移動局の組合せを決定する
ことを特徴とする空間分割多重通信システム。 - 空間分割多重通信システムにおける基地局であって、
複数の送受信アンテナと、このアンテナの選択的に接続される受信回路および送信回路と、
この受信回路および送信回路に接続されるアダプティブアレーアンテナ信号処理部と、
このアダプティブアレーアンテナ信号処理部を制御する制御部とを備え、
この制御部は、各移動局から転送された受信電力データに基づいて、空間分割多重する移動局の組合せを決定する
ことを特徴とする基地局。 - 所定の値以上の受信電力ピークの角度差が所定の角度以上である移動局同士を空間分割多重可能であると判断する請求項2記載の基地局。
- 前記アダプティブアレーアンテナ信号処理部は、前記複数の送受信アンテナの受信信号に重み付けした信号を加算する重み処理部を複数個有し、前記制御部により空間分割多重する移動局の組合せが決定された後、当該移動局に対して同時に固有のレファレンス信号を発生させ、このとき一つの重み処理部は、空間分割多重する複数の移動局からの受信信号のうち特定の移動局のみの受信信号強度が大きくなるよう重み付け処理を行うことを特徴とする請求項2記載の基地局。
- 空間分割多重通信システムにおいて基地局との間でデータを送受信する移動局であって、
送受信アンテナと、
前記基地局からのビームが360度回転する期間中に受信電力測定を行い、所定の角度単位の受信電力データを求める電力測定手段と、
前記基地局に対して自己の受信電力データを送信する手段と、
基地局から許可されたとき、与えられた期間内にデータの送受信を行う手段と
を備えたことを特徴とする移動局。 - 指向性を調整可能な送受信アンテナを有する基地局と、無指向性の送受信アンテナを有する複数の移動局とにより構成される通信システムにおける空間分割多重通信方法であって、
基地局から指向性を持ったビームを360度回転させるステップと、
各移動局が、前記基地局からのビームが360度回転する期間中に同時に受信電力測定を行い、所定の角度単位の受信電力データを求めるステップと、
各移動局から前記基地局に対して自己の受信電力データを送信するステップと、
基地局が各移動局から転送された受信電力データに基づいて、空間分割多重する移動局の組合せを決定するステップと、
を備えたことを特徴とする空間分割多重方法。 - 所定の値以上の受信電力ピークの角度差が所定の角度以上である移動局同士を空間分割多重可能であると判断する請求項6記載の空間分割多重方法。
- 前記指向性を調整可能な送受信アンテナはアダプティブアレーアンテナであり、
基地局が、空間分割多重する移動局の組合せに対して各移動局固有のランダムデータを送信することを要求するステップと、
この要求に応じて当該移動局が自己のランダムデータを送信するステップと、このランダムデータに基づいてアダプティブアレーアンテナの重み学習を行うステップと
をさらに備えたことを特徴とする請求項7記載の空間分割多重方法。 - 前記受信電力データを基地局へ送信するステップでは、所定の移動局のみが送信を行うことを特徴とする請求項6記載の空間分割多重方法。
- 前記所定の移動局は、データの送信または受信を行おうとする移動局である請求項9記載の空間分割多重方法。
- 前記所定の移動局は、自己の受信電力測定の結果に所定の変化があった移動局である請求項9記載の空間分割多重方法。
- 指向性を調整可能な送受信アンテナを有する基地局において、無指向性の送受信アンテナを有する複数の移動局からの信号の到来する方向を推定する到来方向推定方法であって、
基地局から指向性を持ったビームを360度回転させるステップと、
前記基地局からのビームが360度回転する期間中に複数の移動局が同時に受信電力測定を行い、所定の角度単位の受信電力データを求めるステップと、
各移動局から前記基地局に対して自己の受信電力データを送信するステップと、
前記基地局が各移動局から転送された受信電力データに基づいて各移動局からの信号の到来する方向を推定するステップと、
を備えたことを特徴とする到来方向推定方法。
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