JP2004022581A - エピタキシャル成長による半導体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】Si基板と、エピタキシャル成長させる材質との間の格子不整合の問題を解消することができる半導体の製造方法を提供する。
【解決手段】Si基板にc−BPの膜をバッファー層として成形し、そのバッファー層の上に3C−SiC又はc−GaNをエピタキシャル成長させて、半導体を製造する。また、Si基板の上にc−BPの膜をバッファー層として成形し、そのc−BPの膜の上にアモルファスSiC又はGaNの膜を形成する。そのとき、アモルファスSiC又はGaNの膜を300〜600℃の温度で形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】Si基板にc−BPの膜をバッファー層として成形し、そのバッファー層の上に3C−SiC又はc−GaNをエピタキシャル成長させて、半導体を製造する。また、Si基板の上にc−BPの膜をバッファー層として成形し、そのc−BPの膜の上にアモルファスSiC又はGaNの膜を形成する。そのとき、アモルファスSiC又はGaNの膜を300〜600℃の温度で形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エピタキシャル成長による半導体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、c−BP半導体の製造方法は公知である。従来のc−BP半導体は、Si基板の上にc−BPの膜をエピタキシャル成長させることにより製造されるものである。
【0003】
他方、3C−SiC半導体の製造方法も、公知である。3C−SiC半導体は、Si基板の表面を炭化水素ガスにより炭化処理した後、シランやプロパンガスなどによって3C−SiCをエピタキシャル成長させることにより製造されるものである。
【0004】
また、短波長LED等に用いられるGaN半導体の製造方法も、従来公知である。GaN半導体は、サファイアやSi基板の表面上にGaNの単結晶膜をエピタキシャル成長させることにより製造されるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
Si基板の表面にSiCの膜をエピタキシャル成長により形成する場合、基板となるSiと、その上に成長させるSiCとの間には格子不整合がある。そのために、ミスフィット転位による結晶欠陥が多数発生し、デバイス作成時の問題となる。
【0006】
また、GaN膜をエピタキシャル成長させる場合は、基板となるサファイアやSiと、その上に成長させるGaNとの間に、格子不整合がある。そのために、ミスフィット転位や熱膨張差による結晶欠陥が多数発生し、デバイス作成時の問題となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、基板の材質と、エピタキシャル成長させる材質との間の格子不整合の問題を解消することができる、半導体の製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決手段を例示すると、次のとおりである。
【0009】
(1)Si基板の表面にバッファー層(緩衝層)としてc−BP(立方晶リン化ホウ素)の膜をエピタキシャル成長により形成することを特徴とする半導体の製造方法。
【0010】
(2)Si基板の上にc−BP(立方晶リン化ホウ素)の膜をバッファー層として成形し、さらに、その上に3C−SiC及び/又はc−GaNの膜をエピタキシャル成長により形成することを特徴とする半導体の製造方法。
【0011】
(3)Si基板の上にc−BP(立方晶リン化ホウ素)の膜をバッファー層として成形し、そのc−BPの膜の上にアモルファスSiC又はアモルファスGaNの膜を形成することを特徴とする半導体の製造方法。
【0012】
(4)アモルファスSiC又はアモルファスGaNの膜を300〜600℃の温度で形成する前述の半導体の製造方法。
【0013】
(5)減圧状態でc−BP(立方晶リン化ホウ素)の膜を形成することを特徴とする前述の半導体の製造方法。
【0014】
(6)アモルファスSiC又はアモルファスGaNの膜の上に、さらに3C−SiC又はc−GaNの膜をエピタキシャル成長により形成することを特徴とする前述の半導体の製造方法。
【0015】
【発明の実施の形態】
基板と、その上にエピタキシャル成長させる膜との間にファッバー層を介在させて、基板と膜との格子定数の違いによる結晶欠陥を抑制することは、すでに知られている。たとえば、Si基板の表面を炭化水素ガスで炭化し、これをバッファー層としてSiCを成長させることができる。しかし、この手法によると、基板中のSi原子が炭化処理により基板表面に持ち去られ、Si基板中に空孔が生じ、Si基板が荒れてしまう現象が見られる。エピタキシャル成長は基板の結晶性を成膜層も受け継ぐために、良質な結晶を得る上で基板の荒れは避けるべきである。また、その基板の荒れはデバイス作製時の電気抵抗にもなり得る。そこで、基板の荒れをもたらさない適当な物質によるバッファー層を設けることが望まれる。
【0016】
本発明は、このような実情を勘案して、エピタキシャル成長による半導体製造方法を改良したものである。
【0017】
閃亜鉛鉱型結晶であるc−BPの格子定数と、基板のSiの格子定数とは、格子定数と比較して16.4%の違いがあるものの、c−BPは、Si上にヘテロエピタキシャル成長できる。さらに、c−BPは導電性を有し、デバイス作製時に有利となる。Si基板上にc−BPをエピタキシャル成長させることにより、c−BPの格子定数に近い立方晶炭化ケイ素(3C−SiC)の結晶がミスフィット転位を抑制した状態でヘテロエピタキシャルが可能になる。
【0018】
ところで、c−BPは、Pを含む材料であるので、その蒸気圧の高さゆえに融点より低い温度で分解する。そのため、3C−SiCをエピタキシャル成長させる上で必要となる温度や圧力雰囲気に至るまでに、c−BP表面から分解が開始し、ヘテロエピタキシャル成長をする上で障害となりやすい。本発明は、このような障害を回避できる方法を提供するものである。
【0019】
また、サファイヤやSi基板の上に成長したGaNは、Wurtzite結晶であり、明確な劈開面を持たないため、レーザー素子としては使用できない。GaN単結晶は、物理的には準安定状態として、Siと同様のZinc−blend構造を持つ。したがって、Si基板を用いて格子定数の違いによる結晶欠陥を抑制しつつ、超格子構造を形成することにより、劈開面を有するc−GaN単結晶膜を成長することが可能である。超格子構造を達成する方法として、格子不整合を緩和させる中間層(バッファー層)を形成することができる。
【0020】
c−GaNや3C−SiCをSi基板上に成長させる際に、緩衝中間層(バッファー層)としてSiと同じ立方晶であるc−BPの中間層を形成する。c−BPの格子定数は前述の通りSiのそれと比較して16.4%もの不整合が存在するにも拘わらず、Si基板上にエピタキシャル成長する。c−GaNの格子定数とは僅か0.6%の不整合である。従って、c−BPを中間バッファー層に用いることにより、格子定数の近いc−GaN単結晶膜を成長させることが可能となる。
【0021】
すでに述べたように、本発明によれば、c−BPがリン原子(P)を含む材料であっても、それが、融点より低い温度で分解して、その上に形成する結晶層の成長を阻害してしまうことを回避できる。この点について説明する。
【0022】
Si基板上にc−BP膜を成長させた後、有機金属原料を用いて、300〜900℃の低温にて、3C−SiCの単結晶膜を数nm〜1μm程度成長させ、次いで800〜1100℃の温度にてc−GaNの結晶成長を行う。3C−SiC単結晶膜をc−BP上に低温度にて成長させる。それにより、Si基板と同じ立方晶を維持したまま、c−BPの分解を抑制するキャップ層として作用し、Si基板上へのc−GaNの成膜が達成される。3C−SiC膜をさらに厚く形成すれば、それだけでSiC半導体として利用できる。
【0023】
このようにして製作される結晶について電気的評価を説明すると、3C−SiC層はn型を呈し、そのキャリア密度は1.0×1017〜2.0×1020cm−3であり、極めて低抵抗である。
【0024】
また、c−BPなどのPを含む材料が融点より低い温度で分解して、ヘテロエピタキシャルの障害となることを回避するための別の方法を説明する。c−BPをエピタキシャル成長させた後、300〜600℃の比較的低温にてSiCもしくはGaNのアモルファス層を100nm以下程度の厚みをもつように成長させ、次いで基板の温度を750〜900℃まで上昇させて、3C−SiCの結晶成長を行う。このように比較的低温でSiCを形成することによって、c−BPの分解を抑制でき、良質なヘテロエピタキシャル結晶を得ることができる。このとき、低温成長層はc−BPと雰囲気ガスに対する遮蔽膜として働いていると考えられる。3C−SiCに代えて、c−GaNの結晶成長を行っても同じである。
【0025】
短波長LED、短波長半導体レーザー素子、高周波半導体素子などに用いられるGaN単結晶膜の製造方法において、基板となるSi上にGaN単結晶膜をエピタキシャル成長させる際に、Si基板上に閃亜鉛鉱型結晶のBP又は3C−SiCの結晶膜をバッファー層(緩衝膜)として用いる。そうすることにより、c−GaNの結晶欠陥を大幅に減少させることができる。
【0026】
本発明の好ましい1つの実施形態においては、基板の上にバッファー層を介して立方晶炭化ケイ素(3C−SiC)をエピタキシャル成長させることにより、3C−SiC半導体を製造する。たとえば、まず基板となるSi上に立方晶リン化ホウ素(c−BP)をバッファー層として成膜し、そのあと、そのバッファー層の上に3C−SiCの膜をエピタキシャル成長させる。
【0027】
また、c−BP膜の上にアモルファスSiC又はGaNの膜を形成することもできる。たとえば、Si基板の上にc−BPの膜をエピタキシャル成長により形成したあとに、そのc−BPの膜の上にアモルファスSiC又はGaNの膜を形成する。そのとき、とくにアモルファスSiC又はGaNの成膜温度が300〜600℃であるのが好ましい。
【0028】
本発明の別の好ましい実施形態においては、立方晶リン化ホウ素(c−BP)といった高い蒸気圧を持つ材料をエピタキシャル成長させるときに、減圧状態にする。つまり、基板となるSi上にc−BPをエピタキシャル成長させる上で、減圧炉でも成長可能とする。そのため減圧雰囲気においてものリン(P)原料の適正分圧を保つ。例えば、ホスフィン(PH3)の分圧が100〜101となるよ うに調整する。この制御で高品質のc−BPを得ることができる。
【0029】
【実施例】
以下、本発明の好適な実施例を説明する。
【0030】
実施例1
まず、図1を参照して、本発明の実施例1を説明する。矢印に従って、製造工程が順に進んでいく。
【0031】
(1)まず、Si基板(100)もしくは(111)を水素雰囲気中で1000℃以上加熱する。そうすることにより。基板表面の自然酸化膜を除去する。
【0032】
(2)次に、B2H6及びPH3を供給して、基板を800〜1000℃まで昇 温して0.07〜1μm程度の膜厚になるまでc−BPの結晶成長を実施する。
【0033】
(3)そのあと、PH3を供給しつつ、200〜500℃まで降温し、PH3の供給を停止し、モノメチルシラン(CH3SiH3)を供給して、SiCの低温層を数nm〜100nm程度成膜する。
【0034】
(4)次は、基板温度を500〜900℃まで昇温し、低温層のアニールと同時に3C−SiC単結晶膜を数nm〜1μm程度成膜する。
【0035】
(5)そのあと、モノメチルシランの供給を停止し、基板の温度を800〜1100℃に保持し、トリメチルガリウム((CH3)3Ga)とメチルヒドラジン(CH3NHNH2)を供給し、c−GaNを1μm以上成膜する。
【0036】
このように(1)〜(5)の工程を経て半導体を製造すると、c−BPをSi基板上に成長させた後、3C−SiCの成長層を形成することで、c−BP単結晶膜の分解を抑制でき、c−GaNの超格子成膜を得ることが出来た。
【0037】
なお、比較のために、3C−SiC層を成長させない、すなわち上記操作(3)から(5)を除いた条件で、c−GaN結晶を成長させた。このようにSiC膜によりc−BP膜のキャップを行わなかったものにおいては、広範囲のc−GaN単結晶を成膜することが出来ず、また隣及び硼素の不純物により高品質なc−GaN結晶膜を得ることが出来なかった。
【0038】
c−BPをキャップするためのSiC層は、100nm以下程度の低温アモルファス層でも所望の効果が得られた。
【0039】
c−GaNの成膜には、有機金属原料のほか、窒素源としてNH3でも可能で ある。
【0040】
実施例2
図2〜3を参照して、本発明の実施例2を説明する。
【0041】
図2に示す所定の温度で、3C−SiCの膜をヘテロエピタキシャル成長により形成する。
【0042】
(1)まず、基板(Si)を水素雰囲気中で1000℃以上加熱することにより、基板表面の自然酸化膜を除去する。
【0043】
(2)そのあと、800〜1000℃まで昇温し、B2H6およびPH3を供給 して、c−BPの結晶成長を行って、1μm程度の厚みに成膜する。
【0044】
(3)さらに、PH3を供給しつつ、300〜600℃まで降温してから、P H3の供給を止め、モノメチルシラン(CH3SiH3)を供給し、SiCの低温 成長層を50nm程度以下の厚みに成膜する。
【0045】
(4)次は、750〜900℃まで昇温し、モノメチルシラン(CH3SiH3)を供給し、3C−SiCの結晶成長を5μm以上の厚みに成膜する。
【0046】
前述の工程(1)〜(4)を経て製造されたものと比較するために、c−BPの結晶成長後のSiC低温成長層を設けないものを作製し、結晶性を比較検討した。
【0047】
前述のようにSi(100)を基板として作製した結晶を、X線回折によって評価した結果を図3に示す。
【0048】
図3からも明らかなように、c−BPをSi基板に成長させた後、SiCの低温成長層を設けることにより、c−BPの変質を抑制でき、高品質なヘテロエピタキシャル結晶を得ることができた。これに対し、SiCの低温成長層を設けなかったもの(比較例)は、3C−SiCのヘテロエピタキシャルが確認できなかった。
【0049】
実施例3
図4を参照して、本発明の実施例3を説明する。
【0050】
P原料ガスの分圧を100〜101Torrとなるように、炉へのP原料ガス流量を定める。そうすることにより、減圧雰囲気においても、BとPの比が1:1の高品質なc−BPを得る。
【0051】
その手順の一例は、次のとおりである。
【0052】
(1)炉の圧力を30L/minの水素気流中で50Torrまで下げる。
【0053】
(2)基板のSi(100)もしくは(111)を水素雰囲気中で1000℃以上加熱することにより、基板表面の自然酸化膜を除去する。
【0054】
(3)成長温度である800〜1000℃程度に設定する。
【0055】
(4)ホスフィン(PH3)の分圧が100〜101Torrとなるようにホス フィン100%換算で3L/min流し、ジボラン(B2H6)を100%換算で1cc/min流して、c−BPの低音成長層を100nm以下の厚みに成長させる。
【0056】
(5)B2H6供給を止め、PH3を流しながら降温する。
【0057】
このように、P原料ガスの分圧を100〜101Torrとなるように、炉へのP原料ガス流量を定めることにより、減圧雰囲気においても、BとPの比が1:1の高品質なc−BPを得ることが可能となった。ついで、3C−SiCを成長させることにより、ミスフィット転位が抑制された高品位な3C−SiC結晶を得ることができた。
【0058】
また、GaN単結晶についても、前述の(1)〜(5)の手順で同様の実験をしたところ、同様の効果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1による半導体製造方法を示す説明図。
【図2】本発明の実施例2による半導体製造方法を示す説明図。
【図3】図2に示す製造方法で製造された半導体のX線回折によるSiC低温成長層の効果を示すグラフ。
【図4】本発明の実施例3による半導体製造方法を示す説明図。
【発明の属する技術分野】
本発明は、エピタキシャル成長による半導体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、c−BP半導体の製造方法は公知である。従来のc−BP半導体は、Si基板の上にc−BPの膜をエピタキシャル成長させることにより製造されるものである。
【0003】
他方、3C−SiC半導体の製造方法も、公知である。3C−SiC半導体は、Si基板の表面を炭化水素ガスにより炭化処理した後、シランやプロパンガスなどによって3C−SiCをエピタキシャル成長させることにより製造されるものである。
【0004】
また、短波長LED等に用いられるGaN半導体の製造方法も、従来公知である。GaN半導体は、サファイアやSi基板の表面上にGaNの単結晶膜をエピタキシャル成長させることにより製造されるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
Si基板の表面にSiCの膜をエピタキシャル成長により形成する場合、基板となるSiと、その上に成長させるSiCとの間には格子不整合がある。そのために、ミスフィット転位による結晶欠陥が多数発生し、デバイス作成時の問題となる。
【0006】
また、GaN膜をエピタキシャル成長させる場合は、基板となるサファイアやSiと、その上に成長させるGaNとの間に、格子不整合がある。そのために、ミスフィット転位や熱膨張差による結晶欠陥が多数発生し、デバイス作成時の問題となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、基板の材質と、エピタキシャル成長させる材質との間の格子不整合の問題を解消することができる、半導体の製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決手段を例示すると、次のとおりである。
【0009】
(1)Si基板の表面にバッファー層(緩衝層)としてc−BP(立方晶リン化ホウ素)の膜をエピタキシャル成長により形成することを特徴とする半導体の製造方法。
【0010】
(2)Si基板の上にc−BP(立方晶リン化ホウ素)の膜をバッファー層として成形し、さらに、その上に3C−SiC及び/又はc−GaNの膜をエピタキシャル成長により形成することを特徴とする半導体の製造方法。
【0011】
(3)Si基板の上にc−BP(立方晶リン化ホウ素)の膜をバッファー層として成形し、そのc−BPの膜の上にアモルファスSiC又はアモルファスGaNの膜を形成することを特徴とする半導体の製造方法。
【0012】
(4)アモルファスSiC又はアモルファスGaNの膜を300〜600℃の温度で形成する前述の半導体の製造方法。
【0013】
(5)減圧状態でc−BP(立方晶リン化ホウ素)の膜を形成することを特徴とする前述の半導体の製造方法。
【0014】
(6)アモルファスSiC又はアモルファスGaNの膜の上に、さらに3C−SiC又はc−GaNの膜をエピタキシャル成長により形成することを特徴とする前述の半導体の製造方法。
【0015】
【発明の実施の形態】
基板と、その上にエピタキシャル成長させる膜との間にファッバー層を介在させて、基板と膜との格子定数の違いによる結晶欠陥を抑制することは、すでに知られている。たとえば、Si基板の表面を炭化水素ガスで炭化し、これをバッファー層としてSiCを成長させることができる。しかし、この手法によると、基板中のSi原子が炭化処理により基板表面に持ち去られ、Si基板中に空孔が生じ、Si基板が荒れてしまう現象が見られる。エピタキシャル成長は基板の結晶性を成膜層も受け継ぐために、良質な結晶を得る上で基板の荒れは避けるべきである。また、その基板の荒れはデバイス作製時の電気抵抗にもなり得る。そこで、基板の荒れをもたらさない適当な物質によるバッファー層を設けることが望まれる。
【0016】
本発明は、このような実情を勘案して、エピタキシャル成長による半導体製造方法を改良したものである。
【0017】
閃亜鉛鉱型結晶であるc−BPの格子定数と、基板のSiの格子定数とは、格子定数と比較して16.4%の違いがあるものの、c−BPは、Si上にヘテロエピタキシャル成長できる。さらに、c−BPは導電性を有し、デバイス作製時に有利となる。Si基板上にc−BPをエピタキシャル成長させることにより、c−BPの格子定数に近い立方晶炭化ケイ素(3C−SiC)の結晶がミスフィット転位を抑制した状態でヘテロエピタキシャルが可能になる。
【0018】
ところで、c−BPは、Pを含む材料であるので、その蒸気圧の高さゆえに融点より低い温度で分解する。そのため、3C−SiCをエピタキシャル成長させる上で必要となる温度や圧力雰囲気に至るまでに、c−BP表面から分解が開始し、ヘテロエピタキシャル成長をする上で障害となりやすい。本発明は、このような障害を回避できる方法を提供するものである。
【0019】
また、サファイヤやSi基板の上に成長したGaNは、Wurtzite結晶であり、明確な劈開面を持たないため、レーザー素子としては使用できない。GaN単結晶は、物理的には準安定状態として、Siと同様のZinc−blend構造を持つ。したがって、Si基板を用いて格子定数の違いによる結晶欠陥を抑制しつつ、超格子構造を形成することにより、劈開面を有するc−GaN単結晶膜を成長することが可能である。超格子構造を達成する方法として、格子不整合を緩和させる中間層(バッファー層)を形成することができる。
【0020】
c−GaNや3C−SiCをSi基板上に成長させる際に、緩衝中間層(バッファー層)としてSiと同じ立方晶であるc−BPの中間層を形成する。c−BPの格子定数は前述の通りSiのそれと比較して16.4%もの不整合が存在するにも拘わらず、Si基板上にエピタキシャル成長する。c−GaNの格子定数とは僅か0.6%の不整合である。従って、c−BPを中間バッファー層に用いることにより、格子定数の近いc−GaN単結晶膜を成長させることが可能となる。
【0021】
すでに述べたように、本発明によれば、c−BPがリン原子(P)を含む材料であっても、それが、融点より低い温度で分解して、その上に形成する結晶層の成長を阻害してしまうことを回避できる。この点について説明する。
【0022】
Si基板上にc−BP膜を成長させた後、有機金属原料を用いて、300〜900℃の低温にて、3C−SiCの単結晶膜を数nm〜1μm程度成長させ、次いで800〜1100℃の温度にてc−GaNの結晶成長を行う。3C−SiC単結晶膜をc−BP上に低温度にて成長させる。それにより、Si基板と同じ立方晶を維持したまま、c−BPの分解を抑制するキャップ層として作用し、Si基板上へのc−GaNの成膜が達成される。3C−SiC膜をさらに厚く形成すれば、それだけでSiC半導体として利用できる。
【0023】
このようにして製作される結晶について電気的評価を説明すると、3C−SiC層はn型を呈し、そのキャリア密度は1.0×1017〜2.0×1020cm−3であり、極めて低抵抗である。
【0024】
また、c−BPなどのPを含む材料が融点より低い温度で分解して、ヘテロエピタキシャルの障害となることを回避するための別の方法を説明する。c−BPをエピタキシャル成長させた後、300〜600℃の比較的低温にてSiCもしくはGaNのアモルファス層を100nm以下程度の厚みをもつように成長させ、次いで基板の温度を750〜900℃まで上昇させて、3C−SiCの結晶成長を行う。このように比較的低温でSiCを形成することによって、c−BPの分解を抑制でき、良質なヘテロエピタキシャル結晶を得ることができる。このとき、低温成長層はc−BPと雰囲気ガスに対する遮蔽膜として働いていると考えられる。3C−SiCに代えて、c−GaNの結晶成長を行っても同じである。
【0025】
短波長LED、短波長半導体レーザー素子、高周波半導体素子などに用いられるGaN単結晶膜の製造方法において、基板となるSi上にGaN単結晶膜をエピタキシャル成長させる際に、Si基板上に閃亜鉛鉱型結晶のBP又は3C−SiCの結晶膜をバッファー層(緩衝膜)として用いる。そうすることにより、c−GaNの結晶欠陥を大幅に減少させることができる。
【0026】
本発明の好ましい1つの実施形態においては、基板の上にバッファー層を介して立方晶炭化ケイ素(3C−SiC)をエピタキシャル成長させることにより、3C−SiC半導体を製造する。たとえば、まず基板となるSi上に立方晶リン化ホウ素(c−BP)をバッファー層として成膜し、そのあと、そのバッファー層の上に3C−SiCの膜をエピタキシャル成長させる。
【0027】
また、c−BP膜の上にアモルファスSiC又はGaNの膜を形成することもできる。たとえば、Si基板の上にc−BPの膜をエピタキシャル成長により形成したあとに、そのc−BPの膜の上にアモルファスSiC又はGaNの膜を形成する。そのとき、とくにアモルファスSiC又はGaNの成膜温度が300〜600℃であるのが好ましい。
【0028】
本発明の別の好ましい実施形態においては、立方晶リン化ホウ素(c−BP)といった高い蒸気圧を持つ材料をエピタキシャル成長させるときに、減圧状態にする。つまり、基板となるSi上にc−BPをエピタキシャル成長させる上で、減圧炉でも成長可能とする。そのため減圧雰囲気においてものリン(P)原料の適正分圧を保つ。例えば、ホスフィン(PH3)の分圧が100〜101となるよ うに調整する。この制御で高品質のc−BPを得ることができる。
【0029】
【実施例】
以下、本発明の好適な実施例を説明する。
【0030】
実施例1
まず、図1を参照して、本発明の実施例1を説明する。矢印に従って、製造工程が順に進んでいく。
【0031】
(1)まず、Si基板(100)もしくは(111)を水素雰囲気中で1000℃以上加熱する。そうすることにより。基板表面の自然酸化膜を除去する。
【0032】
(2)次に、B2H6及びPH3を供給して、基板を800〜1000℃まで昇 温して0.07〜1μm程度の膜厚になるまでc−BPの結晶成長を実施する。
【0033】
(3)そのあと、PH3を供給しつつ、200〜500℃まで降温し、PH3の供給を停止し、モノメチルシラン(CH3SiH3)を供給して、SiCの低温層を数nm〜100nm程度成膜する。
【0034】
(4)次は、基板温度を500〜900℃まで昇温し、低温層のアニールと同時に3C−SiC単結晶膜を数nm〜1μm程度成膜する。
【0035】
(5)そのあと、モノメチルシランの供給を停止し、基板の温度を800〜1100℃に保持し、トリメチルガリウム((CH3)3Ga)とメチルヒドラジン(CH3NHNH2)を供給し、c−GaNを1μm以上成膜する。
【0036】
このように(1)〜(5)の工程を経て半導体を製造すると、c−BPをSi基板上に成長させた後、3C−SiCの成長層を形成することで、c−BP単結晶膜の分解を抑制でき、c−GaNの超格子成膜を得ることが出来た。
【0037】
なお、比較のために、3C−SiC層を成長させない、すなわち上記操作(3)から(5)を除いた条件で、c−GaN結晶を成長させた。このようにSiC膜によりc−BP膜のキャップを行わなかったものにおいては、広範囲のc−GaN単結晶を成膜することが出来ず、また隣及び硼素の不純物により高品質なc−GaN結晶膜を得ることが出来なかった。
【0038】
c−BPをキャップするためのSiC層は、100nm以下程度の低温アモルファス層でも所望の効果が得られた。
【0039】
c−GaNの成膜には、有機金属原料のほか、窒素源としてNH3でも可能で ある。
【0040】
実施例2
図2〜3を参照して、本発明の実施例2を説明する。
【0041】
図2に示す所定の温度で、3C−SiCの膜をヘテロエピタキシャル成長により形成する。
【0042】
(1)まず、基板(Si)を水素雰囲気中で1000℃以上加熱することにより、基板表面の自然酸化膜を除去する。
【0043】
(2)そのあと、800〜1000℃まで昇温し、B2H6およびPH3を供給 して、c−BPの結晶成長を行って、1μm程度の厚みに成膜する。
【0044】
(3)さらに、PH3を供給しつつ、300〜600℃まで降温してから、P H3の供給を止め、モノメチルシラン(CH3SiH3)を供給し、SiCの低温 成長層を50nm程度以下の厚みに成膜する。
【0045】
(4)次は、750〜900℃まで昇温し、モノメチルシラン(CH3SiH3)を供給し、3C−SiCの結晶成長を5μm以上の厚みに成膜する。
【0046】
前述の工程(1)〜(4)を経て製造されたものと比較するために、c−BPの結晶成長後のSiC低温成長層を設けないものを作製し、結晶性を比較検討した。
【0047】
前述のようにSi(100)を基板として作製した結晶を、X線回折によって評価した結果を図3に示す。
【0048】
図3からも明らかなように、c−BPをSi基板に成長させた後、SiCの低温成長層を設けることにより、c−BPの変質を抑制でき、高品質なヘテロエピタキシャル結晶を得ることができた。これに対し、SiCの低温成長層を設けなかったもの(比較例)は、3C−SiCのヘテロエピタキシャルが確認できなかった。
【0049】
実施例3
図4を参照して、本発明の実施例3を説明する。
【0050】
P原料ガスの分圧を100〜101Torrとなるように、炉へのP原料ガス流量を定める。そうすることにより、減圧雰囲気においても、BとPの比が1:1の高品質なc−BPを得る。
【0051】
その手順の一例は、次のとおりである。
【0052】
(1)炉の圧力を30L/minの水素気流中で50Torrまで下げる。
【0053】
(2)基板のSi(100)もしくは(111)を水素雰囲気中で1000℃以上加熱することにより、基板表面の自然酸化膜を除去する。
【0054】
(3)成長温度である800〜1000℃程度に設定する。
【0055】
(4)ホスフィン(PH3)の分圧が100〜101Torrとなるようにホス フィン100%換算で3L/min流し、ジボラン(B2H6)を100%換算で1cc/min流して、c−BPの低音成長層を100nm以下の厚みに成長させる。
【0056】
(5)B2H6供給を止め、PH3を流しながら降温する。
【0057】
このように、P原料ガスの分圧を100〜101Torrとなるように、炉へのP原料ガス流量を定めることにより、減圧雰囲気においても、BとPの比が1:1の高品質なc−BPを得ることが可能となった。ついで、3C−SiCを成長させることにより、ミスフィット転位が抑制された高品位な3C−SiC結晶を得ることができた。
【0058】
また、GaN単結晶についても、前述の(1)〜(5)の手順で同様の実験をしたところ、同様の効果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1による半導体製造方法を示す説明図。
【図2】本発明の実施例2による半導体製造方法を示す説明図。
【図3】図2に示す製造方法で製造された半導体のX線回折によるSiC低温成長層の効果を示すグラフ。
【図4】本発明の実施例3による半導体製造方法を示す説明図。
Claims (6)
- Si基板の表面にバッファー層としてc−BP(立方晶リン化ホウ素)の膜をエピタキシャル成長により形成することを特徴とする半導体の製造方法。
- Si基板の上にc−BPの膜をバッファー層として形成し、さらに、その上に3C−SiC及び/又はc−GaNの膜をエピタキシャル成長により形成することを特徴とする半導体の製造方法。
- Si基板の上にc−BPの膜をバッファー層として成形し、そのc−BPの膜の上にアモルファスSiC又はアモルファスGaNの膜を形成することを特徴とする半導体の製造方法。
- アモルファスSiC又はアモルファスGaNの膜を300〜600℃の温度で形成することを特徴とする請求項3に記載の半導体の製造方法。
- 減圧状態でc−BPの膜を形成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体の製造方法。
- アモルファスSiC又はアモルファスGaNの膜の上に、さらに3C−SiCまたはc−GaNの膜をエピタキシャル成長により形成することを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の半導体の製造方法。
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- 2002-06-12 JP JP2002171382A patent/JP2004022581A/ja active Pending
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