JP2004022247A - 電子線管の蛍光膜およびこれを用いた電子線管を使用した表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】フリッカーが少なく、高鮮明で、コントラストの高い電子線管の蛍光膜およびこれを用いた電子線管表示装置を提案する。
【解決手段】フェースプレート22と、フェースプレート22上に蛍光体粒子24zが塗布されてなる蛍光膜と、電子ビーム32を照射する陰極と、陽極とにより構成され、前記陰極からの電子ビーム32の照射により蛍光膜の蛍光体粒子24zを発光させて映像を表示する電子線管の蛍光膜24であって、フェースプレート22上に形成された蛍光膜24が、多数の微小蛍光膜で構成され、微小蛍光膜の外周が、平均直径が1乃至8マイクロメートルにある無機化合物の粉体と、平均直径が1マイクロメートル未満の炭素微粉体の混合物から成る微小蛍光膜の高さ半分以上の高さを有するすると共に、可視光を吸収し、かつ、電気伝導性を有する障壁26により囲まれていることを特徴とする電子線管の蛍光膜である。
【選択図】 図3
【解決手段】フェースプレート22と、フェースプレート22上に蛍光体粒子24zが塗布されてなる蛍光膜と、電子ビーム32を照射する陰極と、陽極とにより構成され、前記陰極からの電子ビーム32の照射により蛍光膜の蛍光体粒子24zを発光させて映像を表示する電子線管の蛍光膜24であって、フェースプレート22上に形成された蛍光膜24が、多数の微小蛍光膜で構成され、微小蛍光膜の外周が、平均直径が1乃至8マイクロメートルにある無機化合物の粉体と、平均直径が1マイクロメートル未満の炭素微粉体の混合物から成る微小蛍光膜の高さ半分以上の高さを有するすると共に、可視光を吸収し、かつ、電気伝導性を有する障壁26により囲まれていることを特徴とする電子線管の蛍光膜である。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビデオ映像や文字映像を映し出す電子線管の蛍光膜およびこれを用いた電子線管表示装置に関し、より詳細には、隣接する蛍光膜間における散乱光を抑えた電子線管の蛍光膜およびこれを用いた電子線管表示装置に関係する。
【0002】
【従来の技術】
TVやコンピュータの情報表示装置に電子線管が用いられ、その代表として陰極線管(以下CRTという)が用いられている。CRT内部の基本構造は陽極、電子銃、蛍光膜、アルミニウム金属膜からなる。動作原理は次のようになる。電子銃内の陰極から取り出した電子線を電子銃内の電極により収束し、フェースプレートに塗布された蛍光膜に照射する。電子が照射された場所の蛍光膜は不可視な電子ビームのエネルギーを可視光に変換する。カラーCRTでは蛍光膜面から適当な距離にシャドウマスクを配置し、シャドウマスクの穴を通過した3つの電子銃からの電子ビームが対応する3色に発光するカラー蛍光膜に照射され、それぞれの異なった色に発光する蛍光膜を発光させる。蛍光膜で発光した光は、CRT内部にも向かうので、蛍光膜上にアルミニウム金属の光反射膜を置くと、蛍光膜で発光した光の全てが映像の観測者に向かうので観測側で測った蛍光膜の輝度が約2倍になる。CRTのファンネルとネック管の内壁面に導電物質を適当な厚みに塗布し、この導電膜と蛍光膜上に配置したアルミニウム膜に陽極電圧を印加すると、大容量にあるCRTの内部空間が均一陽極電界になる。陽極電位で加速された電子銃からの電子ビームは、CRT内の均一陽極電界を等速運動する。CRTの内部空間を等速運動している電子ビームに、CRTの外壁に置かれた電磁石により磁界を作用させ、上下左右に偏向させると蛍光膜の微小点が逐次発光し、眼の残像効果により蛍光膜全面が発光しているように見える。電子ビームを偏向し、走査電子ビームを蛍光膜内の微小蛍光膜面に逐次に照射するので、CRTは大きな真空空間と、真空圧に耐えるガラス厚を必要とするので、大容量と重量がCRTの欠点となる。
【0003】
CRT表示装置で、蛍光膜面を高速度で走査する電子ビームをビデオ信号で変調すると、ビデオ信号に同期した発光点の強弱が蛍光膜面に現れ、映像が映し出される。蛍光膜には単位面積当り4KWの高密度エネルギーを持った電子ビームが照射されるので、蛍光膜からは単位面積当り単位時間に1020個の光子に相当する単位時間当たり15,000cd/m2の発光が得られる。蛍光膜の温度を上げずに蛍光膜に高輝度な映像を表示できることがCRTの最大の特徴である。高輝度な映像を映すCRTは表示装置全般において優位性を持つが、特にディジタルTVの映像の表示に適しているため、ディジタルテレビの普及で他の表示装置より優位に立つことが見込まれる。
【0004】
図1は、従来の単色CRTにおける表示部の説明断面図である。
表示部10は、ガラス板からなるフェースプレート11と、フェースプレート11に塗布された蛍光体粒子12zから成る蛍光膜12と、アルミ膜13とにより概略が形成されている。符号14は図示しない電子銃から照射された電子ビームである。符号15は電子ビーム14が蛍光体粒子12zを発光させた後に出る散乱光である。表示部10に映る映像の解像力を決めるのは電子ビーム14の直径である。CRT表示装置は、図示しない電子銃より放射された電子ビーム14によって蛍光体粒子12zを発光させることにより画像を表示している。この方式によると、発光した蛍光体粒子12zから出る散乱光15により、隣接する蛍光体粒子12zも見掛け上発光したような状態になる。これにより、発光させるべき蛍光体粒子12zとそれ以外の蛍光体粒子12zにも発光した光が伝達してしまうため、画像のコントラストや、シャープネスさに欠けるCRT画面になっていた。
【0005】
図2は、従来のカラーCRT表示部の説明断面図である。カラーCRTの表示部10aもフェースプレート11に塗布された蛍光体粒子12zから成る蛍光膜12と、アルミ膜13は単色CRTの表示部と同様である。カラーCRTの場合には、蛍光膜12が、各色に発光する微小蛍光膜12dをある間隔をもって独立してフェースプレート11に配列している点が単色CRTと異なる。各色微小蛍光膜12dの間にはブラックマトリクス(以下BMと略す)膜16が置かれているが、BM膜16の厚さは蛍光膜12よりも薄く、通常1ミクロン以下であり、微小蛍光膜12d内で発光した光散乱15を近隣の微小蛍光膜12dに伝播させてしまう。さらに、BM膜16上には蛍光体粒子12zが塗布されないか、一部分が重なって塗布されるので、蛍光膜12の上に作られたアルミニウム膜13と蛍光膜12の間に大きな空間ができる。この空間が平均自由工程の長い散乱光15となるため、近隣の蛍光膜12への散乱光15の伝播を助長する。散乱光15の作用は、単色の蛍光膜12よりもカラーの蛍光膜12で強調されるので、輝度を増加させると、表示画面の白色化が進み、映像の色純度が低下してしまっていた。
【0006】
CRTの蛍光膜は、高輝度が得られる理由で、粒子径が3マイクロメートル(以下ミクロンという)前後の結晶化した蛍光体粒子を数層に配列して作られる。蛍光膜上に照射する電子ビーム径は、蛍光体粒子径よりも遥かに大きく500ミクロン前後であるので、蛍光膜上に映し出される映像の解像力は、蛍光膜上に照射した電子ビーム径で基本的に決まる。蛍光膜上の映像の解像力を決める電子銃は既に十分に開発され、要求する高解像力の映像を蛍光膜に映し出すことが可能になっている。
【0007】
表示装置のスクリーンに映し出された映像は眼で見られるので、眼に優しいことが好ましい。そこで表示装置には解像力の他に重要な要素として映像の輝度と画質がある。表示装置の画像を長時間にわたり快適に見るためには画面輝度が、眼に負担をかけないようにする必要がある。ところで、眼には明るい光をとらえるスイ状体と暗い光をとらえるカン状体があり、明るい光に対してはスイ状体だけが働き(明順応視)、暗い光に対してはカン状体だけが働く(暗順応視)ことが知られている。表示装置の画像は明るいので、画像は明順応視した眼で見ることになる。表示装置の画像を見る際は、一般に表示装置画面全体を視野内に入れるので、背景となる部屋の家具調度等も同一視野に入る。背景となる家具調度等も明順応視で見ることができるように部屋が明るくされていると、背景と画面の両方を明順応視した眼で見ることができ、眼の疲労が少なくなる。背景と画面間に順応視差があると、明順応視と暗順応視の両方の受光体が同時に使われ、時間の経過に伴い眼の疲労が大きくなってしまう。
【0008】
明順応視においては、表示装置画面の方が背景輝度より僅かに明るいと、表示装置画面上の映像を快適に見ることができる。通常、照明のある部屋の照度は平均1,500ルックスある。1,500ルックスに照明された部屋に置かれた家具調度や壁の輝度は、平均で150cdm2ある。明視の距離である25cm前後で画面を見れば、表示装置の画面輝度が170から200cd/m2である時、表示装置の観賞者は明順応視した眼で周辺の家具調度と違和感無しに映像を見ることができ、眼の疲労が少なくなる。部屋に置かれた家具調度の輝度が小さい場合、即ち部屋の照度が低いと、明順応視した眼で映像を見ると共に、同一視野に入る背景を暗順応視した眼で見ることになるので眼にかかる負担が大きく、疲れやすくなるため好ましくない。眼に負担をかけずに表示装置の画面を見るために要求される輝度は、表示装置画面と観賞者との距離により変わり、距離が離れるに従い、要求輝度は明視距離の輝度よりも増加する。200cd/m2以上の輝度を1万時間以上の長期間にわたり保持することができる表示装置はCRTだけである。
【0009】
CRTの蛍光膜面の輝度を上記した要求水準まで上昇させると、明視距離で見た時、蛍光膜全面の輝度の揺れと映像の小さな揺れ(通常フリッカーと呼ぶ)が発生する。明視距離から離れるとフリッカーは見えなくなるが、人間の眼は小さく動く映像や明るさの変動を敏感に検出する特性を持つので、観賞している映像とは関係ない蛍光膜面のフリッカーと、映像の小さなフリッカーを、例えフリッカーが明確に認知できない程に小さくとも映像の観賞者の眼は鋭敏に検出し、頭脳に伝達する。観賞に関係ない映像のフリッカーを長い時間無意識で検出していると眼の疲労が大きく、乱視などの眼の機能障害が起こるだけで無く、眼底の痛みや頭痛を伴うことがある。この理由でCRT画面のフリッカーは絶対的に避けなければならない。経験則としてCRT画面の輝度を下げるとフリッカーは抑制される。現在のHDTVでは、CRT蛍光膜面の輝度を低くし、フリッカーの問題を回避している。場合によっては、TV画面の観賞者は薄暗い部屋でTV番組を見ることがあるので、弱視や乱視などの眼の機能障害と頭脳の疲労を引き起こすおそれがある。表示装置が観賞者に目の障碍を気にせずに広く受け入れられるには、要求される高輝度でもフリッカーの無い映像を映すCRTを開発する必要があった。
【0010】
2002年1月に出版された材料化学物理誌 (Journal of Materials Chemistry and Physics)の73巻144から150ページに記載された内容によると、CRTの蛍光膜面のフリッカーは、電子が照射された蛍光体粒子から必然的に放射される二次電子の捕集に関係する。フェースプレートに付けられた透明伝導膜上に蛍光膜を3層以下で塗布し、蛍光膜下の透明伝導膜に陽極電圧を印加すると、蛍光膜内の蛍光体粒子は高い陽極電界に置かれ、透明伝導膜により蛍光膜面から二次電子が有効に取り除かれる。その結果、要求される蛍光膜面の輝度でも蛍光膜面のフリッカーを消すことができる。
【0011】
現在のCRTの蛍光膜は、電気的に絶縁体であるガラス基板のフェースプレート上に直接塗布することにより形成されている。陽極はファンネル内壁面に塗布された炭素膜であり、フェースプレートとは直角に配置されている。従って強い陽極電界が印加されるのは蛍光膜周辺の蛍光体粒子だけで、蛍光膜の大部分の蛍光体粒子には弱い陽極電界しか印加されていない。電気的に浮遊している蛍光体粒子表面の二次電子は、二次電子量が少ない時には、積算された二次電子を陽極で捕集することができる。この捕集の際に、二次電子の大きな塊である電子雲の移動が画面の大きなフリッカーとなって観察される。小さな電子雲の変動が小さな映像のフリッカーとなる。このようにしてあらわれるフリッカーの大きさは、蛍光膜に電子ビームを照射する条件で決まり、電子ビーム量が増加すると共に大きくなる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
フリッカー発生をなくした高輝度蛍光膜上の映像で問題になるのは、映像のシャープネスおよび、映像のコントラストの低下とカラーCRTの場合には映像の白色化があげられる。CRTの蛍光膜面の輝度が高いと、蛍光膜面の映像の端がにじみ、映像の輪郭がぼけると同時に、電子ビームが照射されていない部分も明るく発光してしまう。この結果、映像が映る蛍光膜内の背景輝度が増加する。映像のコントラストは蛍光膜内の背景輝度と映像輝度の比で与えられるので、映像のコントラストが低下することになる。カラー蛍光膜での蛍光膜内の背景輝度の増加には基本三原色の発光が混合する結果、映像が白色化し、色純度の高い鮮明なカラー映像を高輝度で得ることができない。このようなことから、通常はコントラストを向上させる目的で蛍光膜面の輝度を下げている。現在では、輝度を下げた高解像力CRTが提供され、コントラストが向上した映像を見ることができるようになったが、既に説明したように低輝度画面の映像を見ることによる眼と頭脳の疲労という課題に対しては何らの解決手段もなされていない。
このように、CRTの蛍光膜面の輝度を要求水準まで増加させても、コントラストの高い鮮明で色純度の高い映像が得られるCRTが求められていた。
【0013】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するべく、本発明者が研究した結果、上記した映像の輪郭のぼけとコントラストの低下は、解像力を決める電子ビーム径とは関係なく、蛍光膜内にある蛍光体粒子による光散乱に原因していることが明らかになった。蛍光膜には蛍光膜の輝度に関係なく光散乱が存在しているが、光散乱については眼が補正してしまうため光散乱への対策は特に重要視されていなかった。
眼は光強度がある閾値以下になると眼は光強度の差を検出できなくなるという特性がある。この特性を利用して、散乱光の水準を所定の閾値以下に下げることにより、コントラストを最大にする蛍光膜輝度を経験的に設定することができる。しかしながらこれは本質的な解決ではないので、蛍光膜の映像の画質を印刷画質に近づけることは出来ない。蛍光膜に表示される画質そのものを改善するには、光学に基づいた本質的部分から解決しなければならない。
【0014】
蛍光膜を構成する蛍光体粒子は微小であるが、各粒子は一個の結晶の光学特性を持つ。蛍光体の各粒子は、発光中心が高い遷移確率を持つ理由で非対称性の高い結晶を使うので、異常に大きな光屈折率を持つ。例えば、青と緑の蛍光体の基体結晶は硫化亜鉛である。硫化亜鉛の屈折率は2.39である。この値はダイヤモンドの2.42と変わらない。赤色蛍光体の基体結晶である硫酸化イットリウムの光屈折率は不明であるが、薄膜での実験では硫化亜鉛の光屈折率の値と近似していることが知られている。非常に高い光屈折率により蛍光体粒子に入射する光の40%は粒子表面で反射し、残りの60%の光が粒子に入る。CRTの蛍光膜には先に説明したように100億個の蛍光体粒子が無作為に配列しているので、蛍光膜に入射した光は蛍光膜内に存在する膨大な数の蛍光体粒子表面で無作為方向に反射して散乱(拡散散乱)する。
【0015】
本発明者は、更に種々の検討を重ねた結果、蛍光体粒子は可視光に吸収帯を持たないので、蛍光体粒子に入射した可視光は内部反射を繰り返しながら、全て蛍光体粒子外に出てくること。および、粒子外に出た光は他の蛍光体粒子の表面で反射と入射を繰り返すので、拡散散乱の距離は蛍光膜で発光した光では強調されること。そして、蛍光膜内で発光した光は蛍光膜内で拡散散乱が強調された後に観賞者の眼に届くことから、映像は広い視野角を与えることを見出した。
また、拡散した光は垂直方向だけでなく、蛍光膜の水平方向にも同程度に進み、水平方向への拡散は、観賞者側では映像の輪郭のぼけと、蛍光膜内の背景輝度の増加となることも見出した。さらに、輪郭のぼけと、蛍光膜内の背景輝度の増加は映像を不鮮明にする事を発見した。以上のことから、発明者は蛍光膜内での光散乱の広がりを最小にする蛍光膜を作ることにより、映像の輪郭ぼけとコントラストの低下を最小限に抑えられることに想到した。
【0016】
すなわち、フェースプレートと、該フェースプレート上に蛍光体粒子が塗布されてなる蛍光膜と、電子ビームを照射する陰極と、陽極とにより構成され、前記陰極からの電子ビームの照射により蛍光膜の蛍光体粒子を発光させて映像を表示する電子線管の蛍光膜であって、前記フェースプレート上に形成された蛍光膜が、多数の微小蛍光膜で構成され、当該微小蛍光膜の外周が、微小蛍光膜の高さ半分以上の高さを有する障壁により囲まれていることを特徴とする電子線管の蛍光膜である。
これにより、微小蛍光膜からの散乱光が隣接する微小蛍光膜に影響を与えないので、高鮮明な映像を表示することができる。
【0017】
また、前記障壁が可視光を吸収し、かつ、電気伝導性を有する材料により形成するのが好ましい。
さらに、前記障壁を平均直径が1乃至8マイクロメートルにある無機化合物の粉体と、平均直径が1マイクロメートル未満の炭素微粉体の混合物により形成するのが望ましい。
これらによれば、微小蛍光膜からの散乱光が隣接する微小蛍光膜に与える影響をさらに好適に抑えることができる。
【0018】
さらにまた、前記障壁は、ブラックマトリクスと一体に形成されていることが好ましい。
これによれば、微小蛍光膜からの散乱光が隣接する微小蛍光膜に影響を与えないので、高鮮明な映像を表示する電子線管の蛍光膜とすることができる。
【0019】
また、フェースプレートと、該フェースプレート上に蛍光体粒子が塗布されてなる蛍光膜と、電子ビームを照射する陰極と、陽極とにより構成され、前記陰極からの電子ビームの照射により蛍光膜の蛍光体粒子を発光させて映像を表示する電子線管表示装置であって、以上に説明したいずれかに記載の蛍光膜を備えていることを特徴とする電子線管表示装置である。
これによれば、フリッカーがなく、かつ、高鮮明な映像を表示する電子線管表示装置とすることができる。
【0020】
蛍光膜の光散乱の広がりは、蛍光膜を構成する蛍光体粒子の層数と散乱光の平均自由工程が関係する。蛍光体粒子層数が多くなると光散乱の距離が広がる。同じ層数でも蛍光体粒子の充填が粗であると散乱光の平均自由工程が長くなり光散乱の距離が広がる。先ず蛍光体粒子は最密充填で理想的に出来ている場合を考える。通常CRTの操作条件では、電子の蛍光体粒子への突入距離は蛍光体粒子径よりも遥かに短いので、蛍光膜で発光する蛍光体粒子は、電子銃側からみて第一層に配列した蛍光体粒子のみである。発光粒子とCRTのフェースプレート間に介在する蛍光体粒子は発光に関与せず、発光した光の光散乱体として働く。CRTのフェースプレートに蛍光体粒子を一層で配列すれば、発光に関与せず、光散乱媒体として働く蛍光体粒子が蛍光膜中に無くなる結果、蛍光膜中での光散乱を最小に出来る。しかし、一層の配列では蛍光体粒子間に隙間があり、この隙間部分は電子ビームがフェースプレートのガラスに直接に当り、発光に関与しないので、蛍光膜の輝度が著しく低下する。蛍光膜の輝度を最大にするには、電子銃側から見てフェースプレートに隙間無く蛍光体粒子を配列する。1990年に講談社から出版された著書、Cathodoluminescenceの116ページ、7.1.5章1990に記載されている理論によれば、その様な最小蛍光膜層数は蛍光体粒子を1.4層に配列して作られるものとされている。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る電子線管表示装置の好適な実施の形態について図面と共に詳細に説明することにする。本実施の形態においては電子線管表示装置としてCRT表示装置についてのみを説明するが、本発明にかかる電子線管の蛍光膜は、CRT表示装置のみではなく、例えば、FED等の他の電子線管表示装置についてもCRTの蛍光膜と同様である。したがって、本発明における電子線管とはCRTのみに限定されるものではないのはもちろんである。
【0022】
CRT表示装置には大きく分けて、単色CRT表示装置とカラーCRT表示装置がある。先ず蛍光膜の構造が簡単な単色CRT表示装置について説明する。図3は、本発明に係るCRT表示装置の蛍光膜の説明図である。
図3におけるCRT表示装置の表示部20は、フェースプレート22と、フェースプレート22に塗布された蛍光体粒子24zから成る蛍光膜24と、隣接する蛍光体粒子24zを隔てる障壁26と、蛍光膜24を覆うアルミ膜28とにより概略が構成されている。本明細書においては、フェースプレート22と障壁26とアルミ膜28とにより囲まれた空間を蛍光膜ピクセル30と呼ぶことにする。また、符号32は図示しない電子銃から照射された電子ビームである。
【0023】
図3に示すように、蛍光膜24で散乱光の広がりを蛍光膜24内の各蛍光膜ピクセル30内に閉じ込めると、蛍光膜ピクセル30内の輝度に関係なく、その蛍光膜ピクセル30から近隣の蛍光膜ピクセル30への散乱光の伝播は無くなる。蛍光膜30内の散乱光が蛍光膜ピクセル30内に閉じ込められるので、蛍光膜30全体の背景輝度は蛍光膜ピクセル30内の輝度に無関係となる。その結果、蛍光膜ピクセル30が高輝度になっても、隣接する蛍光膜ピクセル30内の蛍光体粒子24zが発光しないため、表示部20に映された映像のぼけが無くなり、映像のコントラストは蛍光膜30の輝度増加で大きくなり、単色CRTの表示部20に写真や印刷図面と同等な画質を持った映像を映し出すことができる。
【0024】
散乱光の広がりを各蛍光膜ピクセル30内に閉じ込めるには、蛍光膜ピクセル30の周囲を光吸収材料の障壁26で囲むと良い。障壁26に到達した光は障壁26で吸収され、近隣の蛍光膜ピクセル30に伝播しない。障壁26の高さは蛍光膜20の高さの半分程度の高さでも良いが、蛍光膜20の高さと同じもしくはやや高くすれば、蛍光膜ピクセル30は障壁26内に埋められた状態になるので、蛍光膜ピクセル30内に光を閉じ込める効果が高くなり好都合である。ただし、障壁26の高さが蛍光膜20の高さよりも遥かに高いと、蛍光膜20の形成を困難にするので、蛍光膜20を製造する上ではあまり好ましくない。
【0025】
障壁26の材料として好適なものは、可視光を吸収する材料が好ましく、一般的には黒色の材料がこれにあてはまる。障壁26の材料はCRTの製造工程に在る加熱工程においても分解せず、また高真空中でガスを発生しない材料を選択する。したがって、有機化合物は除かれ、障壁16への使用可能な材料は無機化合物となる。
【0026】
更に、蛍光膜ピクセル30を囲む障壁26の材料は、光吸収を持つだけでなく、伝導性を有していると好都合である。伝導性を持った障壁26の材料で蛍光膜ピクセル30を囲むと、各蛍光膜ピクセル30を囲んだ障壁26は、フェースプレート22の上で互いに連結しているので電気的に連続となる。したがって障壁26の一端を陽極に接続すると、フェースプレート22の全面に均一に分布する障壁26の全てが陽極と同電位になり、フェースプレート22の全域の蛍光体粒子24に均等に強い陽極電界を印加することができる。電子ビーム32が照射された蛍光膜ピクセル30からは二次電子が放射されるが、強い陽極電界下に置かれた各蛍光体粒子24の表面にある二次電子は、蛍光体粒子24の表面に滞留することなく、障壁26の電極により効率良く捕集され、残りの二次電子は陽極により加速され、蛍光体粒子24に再突入する。その結果、蛍光体粒子24の表面の二次電子は全て取り除かれ、映像のフリッカーは消える。
このように伝導性を有する障壁26を採用することにより、蛍光膜塗布の難しいフェースプレート22の上の伝導透明膜を使わず、フェースプレート22のガラス基板上に直接に蛍光膜20を塗布することができ、映像のフリッカーが除去できる。
【0027】
障壁26の材料はCRTの製造工程の加熱で酸化しないか、酸化してもその酸化物が伝導性を持つ材料が好ましい。そのような黒色無機材料に炭素の粉体があげられる。なお、障壁26に使用可能な材料は炭素粉に限定されるものではない。例えば単色に発光する蛍光膜20では、発光する光だけを吸収し、伝導性を持った有色無機化合物も採用することができる。
【0028】
蛍光膜ピクセル30が電子ビーム32の径と同じかそれよりも大きいと、映像の解像力は電子ビーム32の径よりも大きくなり、蛍光膜ピクセル30の組み合わせで解像力が決まり、解像力の向上には限界があるので好ましくない。シャープネスがしっかりとした映像を得るには、電子ビーム32の径よりも小さい蛍光膜ピクセル30が必要である。電子ビーム32の径内に2個の蛍光膜ピクセル30が入ると、映像の解像力は電子ビーム32の径の3/2倍になる。電子ビーム32の径内に3つの蛍光膜ピクセル30が入ると解像力は電子ビーム32の径の4/3倍になる。一般に、映像の解像力は式1で求めることができる。式1中のnは電子ビームの径内に入る蛍光ピクセルの個数である。
【式1】
【0029】
蛍光膜ピクセル30の形は特に制限がなく、円形であっても、角型であっても、また短冊形であっても、蛍光膜に映される映像の解像力が確保できるならば差し支えない。
【0030】
図4は本発明に係るカラーCRTの表示部の説明断面図である。カラーCRTの表示部20における構成要素のうち、図3と同じ構成のものについては、図3と同符号を付することにより説明を省略する。カラーCRTの表示部20の場合、BM膜34を蛍光膜24の高さと同じかやや高くし、微小蛍光膜を囲んで障壁26とすれば、散乱光は微小蛍光膜の内部に閉じ込められる。カラーCRTの表示部20の場合、蛍光膜24は可視の全域に発光する光を利用するので、障壁26の材料には可視光の全てを吸収する黒色の体色を持った材料を使う。障壁26の材料はCRTの製造工程における加熱工程においても分解せず、また高真空中でガスを発生しない材料であることが好ましく、有機化合物は除かれ、無機化合物が用いられる。障壁26の材料は、光吸収だけでなく、伝導性を付与すると、障壁26は電子の照射された蛍光膜24から必要量の二次電子を捕集する働きを持つと同時に、陽極が残余二次電子を加速して蛍光体粒子に再突入させるので、表示画面からフリッカーが消える。このような無機材料として、炭素の微粉体を利用することができる。
【0031】
カラーCRTの表示部20の場合、三色に発光する蛍光膜24が一組になったトライアドが、映像のシャープネスを決める。トライアドの大きさは電子ビーム32の径よりも小さくするのが一般的である。カラー映像の解像力とトライアド径の関係は式1で表され、通常トライアド径は電子ビーム32の径の三分の一(1/3)以下に取られる。トライアド内の微小蛍光膜の形には制限がなく、円形蛍光膜のデルタ配置であっても、角型蛍光膜の配列であっても、また短冊形蛍光膜の配列であっても、カラーCRTの表示部20に映されるカラー映像の解像力が確保できるならば差し支えない。以下の記述では各色の微小蛍光膜をも含めて蛍光膜ピクセル30として記述している。
【0032】
蛍光膜ピクセル30を取り囲む障壁26に微粉体からなる炭素膜を使い、障壁26の高さを蛍光膜24の厚さと同等かこれより僅かに高くすると、厚い炭素膜でできた障壁26の内部から排出される脱ガスの排除が問題となる。脱ガスの排除は炭素膜を薄くすることにより解決する。障壁26の炭素膜を薄くするには、障壁26を炭素微粉体だけで作らず、基本となる障壁26を蛍光体粒子24zに近似した無機粉体の粒子で構成し、それぞれの無機粒子表面を一様厚の炭素微粉体で覆えば、障壁26の炭素膜厚を実質的に薄く形成することができる。無機粉体の粒子の表面を炭素微粉体で覆うには、両粉体を乾式、又は湿式ボールミル等の混合機を用いて混合することにより行う。炭素微粉体の粒子径は1ミクロン未満の粒径であり、無機粉体の粒子径は数ミクロンあるので、混合した粉体では無機粉体の粒子表面を炭素微粉体粒子が覆う状態になる。炭素微粉体の材料として、通常のCRTの製造で使用するアクアダック(商品名)を使用できる。無機粉体の粒子表面を覆う炭素膜の厚みは混合比により制御すると、混合粉体は炭素単独と同じ光吸収係数を待つと同時に、良好な伝導性をも持ち合わせている。この混合粉体を使い蛍光膜ピクセル30を囲む障壁26を作ると、高真空中での脱ガスの問題を緩和できる。
【0033】
混合粉体に使用できる無機粉体材料には、大気中で化学的に安定な材料であるだけでなく、CRTの製造工程にある加熱工程における450℃前後の温度においても物理的に安定な材料である必要がある。使用済み混合粉体を再生し、再利用できるとCRTの製造単価を低減する点で有利である。再生する混合粉体中の炭素は600℃から700℃の加熱による燃焼で取り除けるので、無機粉体材料は炭素の燃焼温度以上でも安定な材料であることが望まれる。炭素を除いた後の無機粉体材料は、粒子表面を清浄にする目的で、酸などで軽くエッチングするので、無機酸に対して小さな溶解度を持つことが望ましい。そのような無機粉体材料として、硫酸化イットリウム、酸化アルミニウム、酸化チタン等がある。この他の材料としては、単価の低い硫化亜鉛なども使用できる。
【0034】
炭素微粉体と無機粉体材料の混合比は、無機粉体材料の粒子径と粒子形状により異なるが、脱ガスの問題については無機粉体材料に対し、炭素微粉体が重量比で20%以下である時に良好な結果が得られる。より好ましい混合比は炭素微粉体が0.05から10重量%の範囲であり、更に好ましい混合比は、炭素微粉体が0.1から3重量%の範囲である。蛍光膜ピクセル30の障壁26をフェースプレート22の上に形成するには、上記範囲内の混合比で調合された混合粉体をスラリー状にし、通常のCRTの製造に使うBM膜34の形成と同じ方法で、BM膜34の膜厚のみを変えて作る。障壁26が乾燥した後に、必要な蛍光体粒子24をフェースプレート22の上に塗布し、フォトリソグラフィー法を適用し、障壁26に蛍光体粒子24を埋めるようにして蛍光体ピクセル30を形成する。
【0035】
このようにして光を吸収する伝導体で作られた障壁26に埋められるようにして形成した蛍光膜ピクセル30を全面に塗布したフェースプレート22と、ファンネルをフリットガラスにより接合し、更に電子銃をネック管端に設置して、通常のCRT製造工程を経てCRTを製造する。このようにして作られたCRTを使用した表示装置をNTSCの操作条件で、又はPCモニターの操作条件で稼動すると、高輝度な映像を明視距離で見てもフリッカーが無く、シャープネスがしっかりし、コントラストの高い映像を表示することができ、紙に印刷した画質や、医療診断に使うフィルムの画像と略同等な画質の映像が単色蛍光膜面に映し出される。また、カラーCRTにおいては、高輝度でも色純度が高く、かつ、白色化しない、カラー写真のように鮮明なカラー映像を映し出すことができる。
【0036】
【実施例1】
CRTには単色CRTとカラーCRTがあり、それぞれの製造手順は次のようになっている。
1 フェースプレート上に蛍光膜ピクセル障壁の作成
2 蛍光体を障壁内に塗布
3 蛍光膜の上にアルミニウム膜の作成
4 フェースプレートとファンネルの接合
5 電子銃の設置
6 排気
7 CRTの完成
障壁26は両者に共通であり、2以下の工程は従来のCRTの製造工程と同一である。したがって実施例1においては障壁26の形成方法について詳細に説明する。
【0037】
先ずフェースプレート22上に障壁26のネガティブパターンとなる蛍光膜24の半分以上の厚さのPVA膜40を塗布しなければならない。本発明に係る蛍光膜に用いる障壁26の形成に要求されるPVA膜40の厚さは3ミクロン前後である。このように厚いPVA膜40は、フェースプレート22が平坦なガラス板を使用した表示装置であるならば、印刷法で容易に塗布することができるが、CRTのフェースプレート22のように曲面を有するガラス板である場合には印刷法は使えないため、回転塗布法により塗布する。PVA水溶液の塗布も可能であるが、PVA膜40の厚みの制御が困難である。本実施例においては蛍光体粒子24zの粒子径と同径な無機粉体とPVAを混合したPVAスラリー42を用いて塗布する。本実施例では、硫酸化イットリウム粉体によるPVAスラリー42を使うが、使用材料は硫酸化イットリウム粉体に限定されず、粉体である他の無機化合物を使用しても差し支えない。
【0038】
表1は、障壁を形成する際の使用材料の混合比を示している。
【表1】
PVAスラリー42の混合比は表1の値に限定されず、他の混合比で作られたPVAスラリー42としてもよい。ただし、硫酸化イットリウム粉体の混合量が増加するに従い露光したパターンの広がりと膜の切れが悪くなる事は注意しなければならない。
図5は障壁の形成工程の概略を示す説明図である。図5に基いて、障壁26の製造工程について説明する。
表1示した混合比によりPVAスラリー42を作り、回転塗布台を用いて回転数150rpm前後で30秒間回転して14インチCRTのフェースプレート22(a)にPVAスラリー42液を塗布し、乾燥させ、PVAスラリー42をPVA膜40にする(b)。乾燥したPVA膜40にシャドウマスクの穴を透過した紫外線を照射し、PVA膜40を露光する(c)。露光後、加圧水を用いて現像すると、露光した部分のPVA膜40aはフェースプレート22の上に接着して残る。一方、露光されなかった部分のPVA膜40bは取り除かれる。フェースプレート22の上に残ったPVA膜40が蛍光膜ピクセル30を取り囲む障壁26のネガティブ像である(d)。
【0039】
障壁26を形成する材料は次のようにして準備する。100グラムの硫酸化イットリウム粉体と5グラムのコロイド黒鉛、10グラムの純水を混合してペーストを作る。このペーストを90℃に加熱した乾燥機で乾燥する。乾燥物は乳鉢やボールミルなどで粉砕する。粉砕してから100メッシュの篩を使って、塊を取り除く。篩を通過した粉体は、表面が黒鉛の粉末で覆われた粉体である。この粉体20グラムと純水40グラム、珪酸カリの水溶液0.01グラムを混合してスラリー43を作る。このスラリーを障壁26のネガティブ像のあるフェースプレート22の上に回転数250rpmで回転する塗布機を使用して塗布すると、障壁26のネガティブ像内にスラリー43が塗布される。スラリー43を乾燥させると、黒鉛で覆われた粉体43aとなる。スラリー43を乾燥させた後、過マンガン酸溶液、過酸化水素溶液などの酸化剤溶液で現像すると、ネガティブ像を形成しているPVA膜40のみが酸化され、フェースプレート22から脱落する。水洗後には黒鉛で覆われた粉体43aで作られた障壁26だけが残る。乾燥したフェースプレート22に蛍光体粒子24zを塗布してから、通常のCRTの製造作業工程を加えると、障壁26で囲まれた蛍光膜20を有するCRTが完成する。
【0040】
スラリー43による障壁26は次の方法でも作ることが出来る。硫酸化イットリウム粉体を直接にコロイド黒鉛の溶液に添加し、この懸濁液を良く攪拌してから、障壁26のネガティブ像が形成されたフェースプレート22の上に塗布する。乾燥後、酸化剤溶液で現像すると、ネガティブ像を形成しているPVA膜40のみが酸化され、フェースプレート22から脱落する。水洗後には乾燥したスラリー(黒鉛で覆われた粉体)43aで作られた障壁26だけが残る。この方法を用いても、スラリー42で障壁26を作ることができる。
【0041】
【実施例2】
図3に基づいて説明する。
黒鉛で覆われた粉体43aによる障壁26を持ったフェースプレート22を用いた、単色のCRTは次のようにして作られる。白色に発光する蛍光体には各種があるが、ユーロピウムとテルビウムで共付活した白色に発光する硫酸化イットリウム蛍光体で作るのが最も望ましい。表2は本実施例におけるPVAスラリーの配合表である。
【表2】
硫酸化イットリウム蛍光体とPVAからなるスラリーを、表4に示した配合で調合し、スラリー43を作り、回転塗布台により障壁26が形成されたフェースプレート22の上に塗布し、乾燥させる。蛍光体粒子24zが乾燥したフェースプレート22を、蛍光体粒子24zを塗布した面とは反対側のフェースプレート22の前面から、フェースプレート22のガラスを通して一様な強度分布を持った紫外線をフェースプレート22全面に照射して露光する。障壁26の内側に塗布された蛍光体粒子24zは感光し、フェースプレート22に付着する。障壁26の上に塗布された蛍光体粒子24zは障壁26が露光UVを吸収するので露光されず、フェースプレート22に付着しない。露光後のフェースプレート22を通常のCRTの現像条件で現像すると、黒色の障壁26に囲まれた蛍光体粒子24zがフェースプレート22の上に残る。この状態でも鮮明な映像を表示することができる蛍光膜24とすることができるが、更に映像の輝度を増加させるには、この蛍光体粒子24zの上に通常のアルミニウム膜28の形成方法により、アルミニウム膜28を前記蛍光体粒子24zの上に形成し、表示部20が完成する。これ以後は通常の単色CRTの製造工程を経て本発明に係る単色CRTを製造することができる。
【0042】
単色のCRTの製造で、電子ビーム32の集束法を変えると、電子ビーム32の集束を密にすることができる。電子ビーム32の収束は、予備(前段とも呼ぶ)収束と本収束に分かれる。予備収束電極は、加熱ヒーター、陰極、第一グリット、第二グリットからなり、陰極から電子ビーム32を引き出し、引き出した電子ビーム32をゆるく収束する。本収束は予備収束された電子ビーム32を、表示部20面で所望の大きさに収束する。本収束の方法には、多数の電極の組み合わせからなる静電収束と、電子顕微鏡等で用いられている磁気収束がある。表示部20上の電子ビーム32の径を密に収束するには磁気収束が適している。単色のCRTの場合、陽極電圧は一定であるので、電磁石の代わりに駆動回路の電力を使わない永久磁石を使うと、密な収束効果と消費電力の低減を図ることができる。CRT装置の電力消費は、偏向コイルの消費電力が最も大きくなっているため、偏向コイルの消費電力を低減させればCRT装置の消費電力の低減に大きく貢献することができる。電子ビーム32を偏向する偏向コイルからの磁界強度は電子ビーム32と偏向コイルとの距離で決まり、距離が短い程磁界強度は強くなる。電子ビーム32と偏向コイルとの距離はネック管直径で決まり、ネック管直径が細いほど偏向コイルの消費電力は少なくなる。ネック管径はそこに納める電子銃の直径で一般に決まる。電子ビーム32の直径は通常0.5mm以下であるので、電子銃の直径を数ミリメートルまで細くしても電子ビーム32の直径に影響ない。
【0043】
さらに予備収束電極の直径を縮小していくと、ネック管径を決めるのは電子銃の直径ではなくなり、CRT容器内を排気する排気管の直径となる。排気管径を考慮すれば、ネック管径は8ミリメートル程度まで減少できる。ネック管の先端の所定位置に予備収束電極からなる単電子銃を取り付ける。その後通常のCRT製造工程を適用し、CRT内部を高真空に排気し、脱ガス、陰極の活性化、ゲッターの部分活性化を行った後に、排気管を加熱により融解してCRTを封じ、排気台から切り離す。ゲッターの活性化後、通常のエイジング操作を加えると、単色に発光するCRTが得られる。2個の永久磁石リングをネック管外に配置し、電子ビーム32の収束位置に固定する。このようにして作られたCRTを使った表示装置をNTSCの操作条件で、又はPCモニターの操作条件で稼動すると、明視距離で見て、高輝度でもフリッカーが無く、映像のシャープネスが高く、映像のコントラストが高い紙に印刷したと同等な映像もしくは、医療診断に使うフィルムの画像と同等な映像が単色蛍光膜面に映し出される。
【0044】
【実施例3】
図4に基づいて説明する。
カラーCRTの製造は、基本三原色に発光する3種類の蛍光体粒子24zを塗布する事と、それぞれの蛍光体粒子24zを選択的に発光させる3つの電子銃の配設、シャドウマスクの配設を除けば、単色のCRTの製造と変わらない。各色に発光するカラーの微小蛍光膜24dを取り囲む障壁26を、前述した単色CRTの蛍光膜ピクセル30の障壁26と同じ材料を使い、同じ方法でCRTのフェースプレート22の上に作る。これに赤色蛍光体粒子24zaを通常の方法で塗布・露光し、現像すると障壁26で囲まれた赤色蛍光膜24aが所定位置に形成される。次いで、緑色蛍光体粒子24zbを塗布し、上記した方法を繰り返すと、障壁26で囲まれた緑色蛍光膜24bが所定位置に形成される。最後に青色蛍光体粒子24zcを上記した方法を繰り返して塗布すると、他の2色の蛍光膜24a、24bと同様に障壁26で囲まれた青色蛍光膜24cが所定位置に形成される。以上に説明した手順によって散乱光を吸収する障壁26で外周縁を囲んだ3原色蛍光体が塗布されたフェースプレート22ができる。その後通常のCRT製造工程を経て、CRT内部を高真空に排気し、脱ガス、陰極の活性化、ゲッターの部分的な活性化を行った後に、排気管を加熱により融解して封じ、CRTを排気台から切り離してカラーCRTを得ることができる。このCRTを使った表示装置をNTSCの操作条件で、又はPCモニターの操作条件でビデオ映像を映すと、輝度に関係なく、フリッカーの無い、映像の輪郭の切れがはっきりとしていると共に、映像のコントラストが高く、色が白色化しない色純度の高い、鮮明なカラー写真と同等なカラー映像を表示することができる。
【0045】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明に係る電子線管の蛍光膜およびこれを用いた電子線管表示装置は、蛍光膜内で起こる光散乱の広がりを蛍光膜の最小単位内に閉じ込めると同時に、蛍光膜内の各蛍光体粒子に高い陽極電界を印加する結果、蛍光膜の輝度水準に関係なく、また画素を表示するフレーム周期にも関係なく、電子線管表示装置のスクリーン全面に現れるフリッカーと、映像に現れる小さなフリッカーを取り除くだけでなく、シャープネスが高く、コントラストの高い印刷された文字や医療診断に使われる白黒写真と同質の映像を電子線管表示装置のスクリーンに映し出す。カラー画面においては上記した特徴の外に、高輝度でも色度が白色化しない、カラー写真と同等な色純度の高い鮮明なカラー映像を電子線管表示装置のスクリーンに映し出すことができる等といった著効を奏するので、表示装置産業に与える効果は顕著である。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の単色の蛍光膜を示す説明図である。
【図2】従来のカラーの蛍光膜を示す説明図である。
【図3】本は発明にかかる単色の蛍光膜を示す説明図である。
【図4】本発明に係るカラーの蛍光膜を示す説明図である。
【図5】蛍光膜の製造手順の概略を示す説明図である。
【符号の説明】
20 表示部
22 フェースプレート
24 蛍光膜
26 障壁
28 アルミ膜
30 蛍光膜ピクセル
32 電子ビーム
34 BM膜
40 PVA膜
42 PVAスラリー
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビデオ映像や文字映像を映し出す電子線管の蛍光膜およびこれを用いた電子線管表示装置に関し、より詳細には、隣接する蛍光膜間における散乱光を抑えた電子線管の蛍光膜およびこれを用いた電子線管表示装置に関係する。
【0002】
【従来の技術】
TVやコンピュータの情報表示装置に電子線管が用いられ、その代表として陰極線管(以下CRTという)が用いられている。CRT内部の基本構造は陽極、電子銃、蛍光膜、アルミニウム金属膜からなる。動作原理は次のようになる。電子銃内の陰極から取り出した電子線を電子銃内の電極により収束し、フェースプレートに塗布された蛍光膜に照射する。電子が照射された場所の蛍光膜は不可視な電子ビームのエネルギーを可視光に変換する。カラーCRTでは蛍光膜面から適当な距離にシャドウマスクを配置し、シャドウマスクの穴を通過した3つの電子銃からの電子ビームが対応する3色に発光するカラー蛍光膜に照射され、それぞれの異なった色に発光する蛍光膜を発光させる。蛍光膜で発光した光は、CRT内部にも向かうので、蛍光膜上にアルミニウム金属の光反射膜を置くと、蛍光膜で発光した光の全てが映像の観測者に向かうので観測側で測った蛍光膜の輝度が約2倍になる。CRTのファンネルとネック管の内壁面に導電物質を適当な厚みに塗布し、この導電膜と蛍光膜上に配置したアルミニウム膜に陽極電圧を印加すると、大容量にあるCRTの内部空間が均一陽極電界になる。陽極電位で加速された電子銃からの電子ビームは、CRT内の均一陽極電界を等速運動する。CRTの内部空間を等速運動している電子ビームに、CRTの外壁に置かれた電磁石により磁界を作用させ、上下左右に偏向させると蛍光膜の微小点が逐次発光し、眼の残像効果により蛍光膜全面が発光しているように見える。電子ビームを偏向し、走査電子ビームを蛍光膜内の微小蛍光膜面に逐次に照射するので、CRTは大きな真空空間と、真空圧に耐えるガラス厚を必要とするので、大容量と重量がCRTの欠点となる。
【0003】
CRT表示装置で、蛍光膜面を高速度で走査する電子ビームをビデオ信号で変調すると、ビデオ信号に同期した発光点の強弱が蛍光膜面に現れ、映像が映し出される。蛍光膜には単位面積当り4KWの高密度エネルギーを持った電子ビームが照射されるので、蛍光膜からは単位面積当り単位時間に1020個の光子に相当する単位時間当たり15,000cd/m2の発光が得られる。蛍光膜の温度を上げずに蛍光膜に高輝度な映像を表示できることがCRTの最大の特徴である。高輝度な映像を映すCRTは表示装置全般において優位性を持つが、特にディジタルTVの映像の表示に適しているため、ディジタルテレビの普及で他の表示装置より優位に立つことが見込まれる。
【0004】
図1は、従来の単色CRTにおける表示部の説明断面図である。
表示部10は、ガラス板からなるフェースプレート11と、フェースプレート11に塗布された蛍光体粒子12zから成る蛍光膜12と、アルミ膜13とにより概略が形成されている。符号14は図示しない電子銃から照射された電子ビームである。符号15は電子ビーム14が蛍光体粒子12zを発光させた後に出る散乱光である。表示部10に映る映像の解像力を決めるのは電子ビーム14の直径である。CRT表示装置は、図示しない電子銃より放射された電子ビーム14によって蛍光体粒子12zを発光させることにより画像を表示している。この方式によると、発光した蛍光体粒子12zから出る散乱光15により、隣接する蛍光体粒子12zも見掛け上発光したような状態になる。これにより、発光させるべき蛍光体粒子12zとそれ以外の蛍光体粒子12zにも発光した光が伝達してしまうため、画像のコントラストや、シャープネスさに欠けるCRT画面になっていた。
【0005】
図2は、従来のカラーCRT表示部の説明断面図である。カラーCRTの表示部10aもフェースプレート11に塗布された蛍光体粒子12zから成る蛍光膜12と、アルミ膜13は単色CRTの表示部と同様である。カラーCRTの場合には、蛍光膜12が、各色に発光する微小蛍光膜12dをある間隔をもって独立してフェースプレート11に配列している点が単色CRTと異なる。各色微小蛍光膜12dの間にはブラックマトリクス(以下BMと略す)膜16が置かれているが、BM膜16の厚さは蛍光膜12よりも薄く、通常1ミクロン以下であり、微小蛍光膜12d内で発光した光散乱15を近隣の微小蛍光膜12dに伝播させてしまう。さらに、BM膜16上には蛍光体粒子12zが塗布されないか、一部分が重なって塗布されるので、蛍光膜12の上に作られたアルミニウム膜13と蛍光膜12の間に大きな空間ができる。この空間が平均自由工程の長い散乱光15となるため、近隣の蛍光膜12への散乱光15の伝播を助長する。散乱光15の作用は、単色の蛍光膜12よりもカラーの蛍光膜12で強調されるので、輝度を増加させると、表示画面の白色化が進み、映像の色純度が低下してしまっていた。
【0006】
CRTの蛍光膜は、高輝度が得られる理由で、粒子径が3マイクロメートル(以下ミクロンという)前後の結晶化した蛍光体粒子を数層に配列して作られる。蛍光膜上に照射する電子ビーム径は、蛍光体粒子径よりも遥かに大きく500ミクロン前後であるので、蛍光膜上に映し出される映像の解像力は、蛍光膜上に照射した電子ビーム径で基本的に決まる。蛍光膜上の映像の解像力を決める電子銃は既に十分に開発され、要求する高解像力の映像を蛍光膜に映し出すことが可能になっている。
【0007】
表示装置のスクリーンに映し出された映像は眼で見られるので、眼に優しいことが好ましい。そこで表示装置には解像力の他に重要な要素として映像の輝度と画質がある。表示装置の画像を長時間にわたり快適に見るためには画面輝度が、眼に負担をかけないようにする必要がある。ところで、眼には明るい光をとらえるスイ状体と暗い光をとらえるカン状体があり、明るい光に対してはスイ状体だけが働き(明順応視)、暗い光に対してはカン状体だけが働く(暗順応視)ことが知られている。表示装置の画像は明るいので、画像は明順応視した眼で見ることになる。表示装置の画像を見る際は、一般に表示装置画面全体を視野内に入れるので、背景となる部屋の家具調度等も同一視野に入る。背景となる家具調度等も明順応視で見ることができるように部屋が明るくされていると、背景と画面の両方を明順応視した眼で見ることができ、眼の疲労が少なくなる。背景と画面間に順応視差があると、明順応視と暗順応視の両方の受光体が同時に使われ、時間の経過に伴い眼の疲労が大きくなってしまう。
【0008】
明順応視においては、表示装置画面の方が背景輝度より僅かに明るいと、表示装置画面上の映像を快適に見ることができる。通常、照明のある部屋の照度は平均1,500ルックスある。1,500ルックスに照明された部屋に置かれた家具調度や壁の輝度は、平均で150cdm2ある。明視の距離である25cm前後で画面を見れば、表示装置の画面輝度が170から200cd/m2である時、表示装置の観賞者は明順応視した眼で周辺の家具調度と違和感無しに映像を見ることができ、眼の疲労が少なくなる。部屋に置かれた家具調度の輝度が小さい場合、即ち部屋の照度が低いと、明順応視した眼で映像を見ると共に、同一視野に入る背景を暗順応視した眼で見ることになるので眼にかかる負担が大きく、疲れやすくなるため好ましくない。眼に負担をかけずに表示装置の画面を見るために要求される輝度は、表示装置画面と観賞者との距離により変わり、距離が離れるに従い、要求輝度は明視距離の輝度よりも増加する。200cd/m2以上の輝度を1万時間以上の長期間にわたり保持することができる表示装置はCRTだけである。
【0009】
CRTの蛍光膜面の輝度を上記した要求水準まで上昇させると、明視距離で見た時、蛍光膜全面の輝度の揺れと映像の小さな揺れ(通常フリッカーと呼ぶ)が発生する。明視距離から離れるとフリッカーは見えなくなるが、人間の眼は小さく動く映像や明るさの変動を敏感に検出する特性を持つので、観賞している映像とは関係ない蛍光膜面のフリッカーと、映像の小さなフリッカーを、例えフリッカーが明確に認知できない程に小さくとも映像の観賞者の眼は鋭敏に検出し、頭脳に伝達する。観賞に関係ない映像のフリッカーを長い時間無意識で検出していると眼の疲労が大きく、乱視などの眼の機能障害が起こるだけで無く、眼底の痛みや頭痛を伴うことがある。この理由でCRT画面のフリッカーは絶対的に避けなければならない。経験則としてCRT画面の輝度を下げるとフリッカーは抑制される。現在のHDTVでは、CRT蛍光膜面の輝度を低くし、フリッカーの問題を回避している。場合によっては、TV画面の観賞者は薄暗い部屋でTV番組を見ることがあるので、弱視や乱視などの眼の機能障害と頭脳の疲労を引き起こすおそれがある。表示装置が観賞者に目の障碍を気にせずに広く受け入れられるには、要求される高輝度でもフリッカーの無い映像を映すCRTを開発する必要があった。
【0010】
2002年1月に出版された材料化学物理誌 (Journal of Materials Chemistry and Physics)の73巻144から150ページに記載された内容によると、CRTの蛍光膜面のフリッカーは、電子が照射された蛍光体粒子から必然的に放射される二次電子の捕集に関係する。フェースプレートに付けられた透明伝導膜上に蛍光膜を3層以下で塗布し、蛍光膜下の透明伝導膜に陽極電圧を印加すると、蛍光膜内の蛍光体粒子は高い陽極電界に置かれ、透明伝導膜により蛍光膜面から二次電子が有効に取り除かれる。その結果、要求される蛍光膜面の輝度でも蛍光膜面のフリッカーを消すことができる。
【0011】
現在のCRTの蛍光膜は、電気的に絶縁体であるガラス基板のフェースプレート上に直接塗布することにより形成されている。陽極はファンネル内壁面に塗布された炭素膜であり、フェースプレートとは直角に配置されている。従って強い陽極電界が印加されるのは蛍光膜周辺の蛍光体粒子だけで、蛍光膜の大部分の蛍光体粒子には弱い陽極電界しか印加されていない。電気的に浮遊している蛍光体粒子表面の二次電子は、二次電子量が少ない時には、積算された二次電子を陽極で捕集することができる。この捕集の際に、二次電子の大きな塊である電子雲の移動が画面の大きなフリッカーとなって観察される。小さな電子雲の変動が小さな映像のフリッカーとなる。このようにしてあらわれるフリッカーの大きさは、蛍光膜に電子ビームを照射する条件で決まり、電子ビーム量が増加すると共に大きくなる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
フリッカー発生をなくした高輝度蛍光膜上の映像で問題になるのは、映像のシャープネスおよび、映像のコントラストの低下とカラーCRTの場合には映像の白色化があげられる。CRTの蛍光膜面の輝度が高いと、蛍光膜面の映像の端がにじみ、映像の輪郭がぼけると同時に、電子ビームが照射されていない部分も明るく発光してしまう。この結果、映像が映る蛍光膜内の背景輝度が増加する。映像のコントラストは蛍光膜内の背景輝度と映像輝度の比で与えられるので、映像のコントラストが低下することになる。カラー蛍光膜での蛍光膜内の背景輝度の増加には基本三原色の発光が混合する結果、映像が白色化し、色純度の高い鮮明なカラー映像を高輝度で得ることができない。このようなことから、通常はコントラストを向上させる目的で蛍光膜面の輝度を下げている。現在では、輝度を下げた高解像力CRTが提供され、コントラストが向上した映像を見ることができるようになったが、既に説明したように低輝度画面の映像を見ることによる眼と頭脳の疲労という課題に対しては何らの解決手段もなされていない。
このように、CRTの蛍光膜面の輝度を要求水準まで増加させても、コントラストの高い鮮明で色純度の高い映像が得られるCRTが求められていた。
【0013】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するべく、本発明者が研究した結果、上記した映像の輪郭のぼけとコントラストの低下は、解像力を決める電子ビーム径とは関係なく、蛍光膜内にある蛍光体粒子による光散乱に原因していることが明らかになった。蛍光膜には蛍光膜の輝度に関係なく光散乱が存在しているが、光散乱については眼が補正してしまうため光散乱への対策は特に重要視されていなかった。
眼は光強度がある閾値以下になると眼は光強度の差を検出できなくなるという特性がある。この特性を利用して、散乱光の水準を所定の閾値以下に下げることにより、コントラストを最大にする蛍光膜輝度を経験的に設定することができる。しかしながらこれは本質的な解決ではないので、蛍光膜の映像の画質を印刷画質に近づけることは出来ない。蛍光膜に表示される画質そのものを改善するには、光学に基づいた本質的部分から解決しなければならない。
【0014】
蛍光膜を構成する蛍光体粒子は微小であるが、各粒子は一個の結晶の光学特性を持つ。蛍光体の各粒子は、発光中心が高い遷移確率を持つ理由で非対称性の高い結晶を使うので、異常に大きな光屈折率を持つ。例えば、青と緑の蛍光体の基体結晶は硫化亜鉛である。硫化亜鉛の屈折率は2.39である。この値はダイヤモンドの2.42と変わらない。赤色蛍光体の基体結晶である硫酸化イットリウムの光屈折率は不明であるが、薄膜での実験では硫化亜鉛の光屈折率の値と近似していることが知られている。非常に高い光屈折率により蛍光体粒子に入射する光の40%は粒子表面で反射し、残りの60%の光が粒子に入る。CRTの蛍光膜には先に説明したように100億個の蛍光体粒子が無作為に配列しているので、蛍光膜に入射した光は蛍光膜内に存在する膨大な数の蛍光体粒子表面で無作為方向に反射して散乱(拡散散乱)する。
【0015】
本発明者は、更に種々の検討を重ねた結果、蛍光体粒子は可視光に吸収帯を持たないので、蛍光体粒子に入射した可視光は内部反射を繰り返しながら、全て蛍光体粒子外に出てくること。および、粒子外に出た光は他の蛍光体粒子の表面で反射と入射を繰り返すので、拡散散乱の距離は蛍光膜で発光した光では強調されること。そして、蛍光膜内で発光した光は蛍光膜内で拡散散乱が強調された後に観賞者の眼に届くことから、映像は広い視野角を与えることを見出した。
また、拡散した光は垂直方向だけでなく、蛍光膜の水平方向にも同程度に進み、水平方向への拡散は、観賞者側では映像の輪郭のぼけと、蛍光膜内の背景輝度の増加となることも見出した。さらに、輪郭のぼけと、蛍光膜内の背景輝度の増加は映像を不鮮明にする事を発見した。以上のことから、発明者は蛍光膜内での光散乱の広がりを最小にする蛍光膜を作ることにより、映像の輪郭ぼけとコントラストの低下を最小限に抑えられることに想到した。
【0016】
すなわち、フェースプレートと、該フェースプレート上に蛍光体粒子が塗布されてなる蛍光膜と、電子ビームを照射する陰極と、陽極とにより構成され、前記陰極からの電子ビームの照射により蛍光膜の蛍光体粒子を発光させて映像を表示する電子線管の蛍光膜であって、前記フェースプレート上に形成された蛍光膜が、多数の微小蛍光膜で構成され、当該微小蛍光膜の外周が、微小蛍光膜の高さ半分以上の高さを有する障壁により囲まれていることを特徴とする電子線管の蛍光膜である。
これにより、微小蛍光膜からの散乱光が隣接する微小蛍光膜に影響を与えないので、高鮮明な映像を表示することができる。
【0017】
また、前記障壁が可視光を吸収し、かつ、電気伝導性を有する材料により形成するのが好ましい。
さらに、前記障壁を平均直径が1乃至8マイクロメートルにある無機化合物の粉体と、平均直径が1マイクロメートル未満の炭素微粉体の混合物により形成するのが望ましい。
これらによれば、微小蛍光膜からの散乱光が隣接する微小蛍光膜に与える影響をさらに好適に抑えることができる。
【0018】
さらにまた、前記障壁は、ブラックマトリクスと一体に形成されていることが好ましい。
これによれば、微小蛍光膜からの散乱光が隣接する微小蛍光膜に影響を与えないので、高鮮明な映像を表示する電子線管の蛍光膜とすることができる。
【0019】
また、フェースプレートと、該フェースプレート上に蛍光体粒子が塗布されてなる蛍光膜と、電子ビームを照射する陰極と、陽極とにより構成され、前記陰極からの電子ビームの照射により蛍光膜の蛍光体粒子を発光させて映像を表示する電子線管表示装置であって、以上に説明したいずれかに記載の蛍光膜を備えていることを特徴とする電子線管表示装置である。
これによれば、フリッカーがなく、かつ、高鮮明な映像を表示する電子線管表示装置とすることができる。
【0020】
蛍光膜の光散乱の広がりは、蛍光膜を構成する蛍光体粒子の層数と散乱光の平均自由工程が関係する。蛍光体粒子層数が多くなると光散乱の距離が広がる。同じ層数でも蛍光体粒子の充填が粗であると散乱光の平均自由工程が長くなり光散乱の距離が広がる。先ず蛍光体粒子は最密充填で理想的に出来ている場合を考える。通常CRTの操作条件では、電子の蛍光体粒子への突入距離は蛍光体粒子径よりも遥かに短いので、蛍光膜で発光する蛍光体粒子は、電子銃側からみて第一層に配列した蛍光体粒子のみである。発光粒子とCRTのフェースプレート間に介在する蛍光体粒子は発光に関与せず、発光した光の光散乱体として働く。CRTのフェースプレートに蛍光体粒子を一層で配列すれば、発光に関与せず、光散乱媒体として働く蛍光体粒子が蛍光膜中に無くなる結果、蛍光膜中での光散乱を最小に出来る。しかし、一層の配列では蛍光体粒子間に隙間があり、この隙間部分は電子ビームがフェースプレートのガラスに直接に当り、発光に関与しないので、蛍光膜の輝度が著しく低下する。蛍光膜の輝度を最大にするには、電子銃側から見てフェースプレートに隙間無く蛍光体粒子を配列する。1990年に講談社から出版された著書、Cathodoluminescenceの116ページ、7.1.5章1990に記載されている理論によれば、その様な最小蛍光膜層数は蛍光体粒子を1.4層に配列して作られるものとされている。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る電子線管表示装置の好適な実施の形態について図面と共に詳細に説明することにする。本実施の形態においては電子線管表示装置としてCRT表示装置についてのみを説明するが、本発明にかかる電子線管の蛍光膜は、CRT表示装置のみではなく、例えば、FED等の他の電子線管表示装置についてもCRTの蛍光膜と同様である。したがって、本発明における電子線管とはCRTのみに限定されるものではないのはもちろんである。
【0022】
CRT表示装置には大きく分けて、単色CRT表示装置とカラーCRT表示装置がある。先ず蛍光膜の構造が簡単な単色CRT表示装置について説明する。図3は、本発明に係るCRT表示装置の蛍光膜の説明図である。
図3におけるCRT表示装置の表示部20は、フェースプレート22と、フェースプレート22に塗布された蛍光体粒子24zから成る蛍光膜24と、隣接する蛍光体粒子24zを隔てる障壁26と、蛍光膜24を覆うアルミ膜28とにより概略が構成されている。本明細書においては、フェースプレート22と障壁26とアルミ膜28とにより囲まれた空間を蛍光膜ピクセル30と呼ぶことにする。また、符号32は図示しない電子銃から照射された電子ビームである。
【0023】
図3に示すように、蛍光膜24で散乱光の広がりを蛍光膜24内の各蛍光膜ピクセル30内に閉じ込めると、蛍光膜ピクセル30内の輝度に関係なく、その蛍光膜ピクセル30から近隣の蛍光膜ピクセル30への散乱光の伝播は無くなる。蛍光膜30内の散乱光が蛍光膜ピクセル30内に閉じ込められるので、蛍光膜30全体の背景輝度は蛍光膜ピクセル30内の輝度に無関係となる。その結果、蛍光膜ピクセル30が高輝度になっても、隣接する蛍光膜ピクセル30内の蛍光体粒子24zが発光しないため、表示部20に映された映像のぼけが無くなり、映像のコントラストは蛍光膜30の輝度増加で大きくなり、単色CRTの表示部20に写真や印刷図面と同等な画質を持った映像を映し出すことができる。
【0024】
散乱光の広がりを各蛍光膜ピクセル30内に閉じ込めるには、蛍光膜ピクセル30の周囲を光吸収材料の障壁26で囲むと良い。障壁26に到達した光は障壁26で吸収され、近隣の蛍光膜ピクセル30に伝播しない。障壁26の高さは蛍光膜20の高さの半分程度の高さでも良いが、蛍光膜20の高さと同じもしくはやや高くすれば、蛍光膜ピクセル30は障壁26内に埋められた状態になるので、蛍光膜ピクセル30内に光を閉じ込める効果が高くなり好都合である。ただし、障壁26の高さが蛍光膜20の高さよりも遥かに高いと、蛍光膜20の形成を困難にするので、蛍光膜20を製造する上ではあまり好ましくない。
【0025】
障壁26の材料として好適なものは、可視光を吸収する材料が好ましく、一般的には黒色の材料がこれにあてはまる。障壁26の材料はCRTの製造工程に在る加熱工程においても分解せず、また高真空中でガスを発生しない材料を選択する。したがって、有機化合物は除かれ、障壁16への使用可能な材料は無機化合物となる。
【0026】
更に、蛍光膜ピクセル30を囲む障壁26の材料は、光吸収を持つだけでなく、伝導性を有していると好都合である。伝導性を持った障壁26の材料で蛍光膜ピクセル30を囲むと、各蛍光膜ピクセル30を囲んだ障壁26は、フェースプレート22の上で互いに連結しているので電気的に連続となる。したがって障壁26の一端を陽極に接続すると、フェースプレート22の全面に均一に分布する障壁26の全てが陽極と同電位になり、フェースプレート22の全域の蛍光体粒子24に均等に強い陽極電界を印加することができる。電子ビーム32が照射された蛍光膜ピクセル30からは二次電子が放射されるが、強い陽極電界下に置かれた各蛍光体粒子24の表面にある二次電子は、蛍光体粒子24の表面に滞留することなく、障壁26の電極により効率良く捕集され、残りの二次電子は陽極により加速され、蛍光体粒子24に再突入する。その結果、蛍光体粒子24の表面の二次電子は全て取り除かれ、映像のフリッカーは消える。
このように伝導性を有する障壁26を採用することにより、蛍光膜塗布の難しいフェースプレート22の上の伝導透明膜を使わず、フェースプレート22のガラス基板上に直接に蛍光膜20を塗布することができ、映像のフリッカーが除去できる。
【0027】
障壁26の材料はCRTの製造工程の加熱で酸化しないか、酸化してもその酸化物が伝導性を持つ材料が好ましい。そのような黒色無機材料に炭素の粉体があげられる。なお、障壁26に使用可能な材料は炭素粉に限定されるものではない。例えば単色に発光する蛍光膜20では、発光する光だけを吸収し、伝導性を持った有色無機化合物も採用することができる。
【0028】
蛍光膜ピクセル30が電子ビーム32の径と同じかそれよりも大きいと、映像の解像力は電子ビーム32の径よりも大きくなり、蛍光膜ピクセル30の組み合わせで解像力が決まり、解像力の向上には限界があるので好ましくない。シャープネスがしっかりとした映像を得るには、電子ビーム32の径よりも小さい蛍光膜ピクセル30が必要である。電子ビーム32の径内に2個の蛍光膜ピクセル30が入ると、映像の解像力は電子ビーム32の径の3/2倍になる。電子ビーム32の径内に3つの蛍光膜ピクセル30が入ると解像力は電子ビーム32の径の4/3倍になる。一般に、映像の解像力は式1で求めることができる。式1中のnは電子ビームの径内に入る蛍光ピクセルの個数である。
【式1】
【0029】
蛍光膜ピクセル30の形は特に制限がなく、円形であっても、角型であっても、また短冊形であっても、蛍光膜に映される映像の解像力が確保できるならば差し支えない。
【0030】
図4は本発明に係るカラーCRTの表示部の説明断面図である。カラーCRTの表示部20における構成要素のうち、図3と同じ構成のものについては、図3と同符号を付することにより説明を省略する。カラーCRTの表示部20の場合、BM膜34を蛍光膜24の高さと同じかやや高くし、微小蛍光膜を囲んで障壁26とすれば、散乱光は微小蛍光膜の内部に閉じ込められる。カラーCRTの表示部20の場合、蛍光膜24は可視の全域に発光する光を利用するので、障壁26の材料には可視光の全てを吸収する黒色の体色を持った材料を使う。障壁26の材料はCRTの製造工程における加熱工程においても分解せず、また高真空中でガスを発生しない材料であることが好ましく、有機化合物は除かれ、無機化合物が用いられる。障壁26の材料は、光吸収だけでなく、伝導性を付与すると、障壁26は電子の照射された蛍光膜24から必要量の二次電子を捕集する働きを持つと同時に、陽極が残余二次電子を加速して蛍光体粒子に再突入させるので、表示画面からフリッカーが消える。このような無機材料として、炭素の微粉体を利用することができる。
【0031】
カラーCRTの表示部20の場合、三色に発光する蛍光膜24が一組になったトライアドが、映像のシャープネスを決める。トライアドの大きさは電子ビーム32の径よりも小さくするのが一般的である。カラー映像の解像力とトライアド径の関係は式1で表され、通常トライアド径は電子ビーム32の径の三分の一(1/3)以下に取られる。トライアド内の微小蛍光膜の形には制限がなく、円形蛍光膜のデルタ配置であっても、角型蛍光膜の配列であっても、また短冊形蛍光膜の配列であっても、カラーCRTの表示部20に映されるカラー映像の解像力が確保できるならば差し支えない。以下の記述では各色の微小蛍光膜をも含めて蛍光膜ピクセル30として記述している。
【0032】
蛍光膜ピクセル30を取り囲む障壁26に微粉体からなる炭素膜を使い、障壁26の高さを蛍光膜24の厚さと同等かこれより僅かに高くすると、厚い炭素膜でできた障壁26の内部から排出される脱ガスの排除が問題となる。脱ガスの排除は炭素膜を薄くすることにより解決する。障壁26の炭素膜を薄くするには、障壁26を炭素微粉体だけで作らず、基本となる障壁26を蛍光体粒子24zに近似した無機粉体の粒子で構成し、それぞれの無機粒子表面を一様厚の炭素微粉体で覆えば、障壁26の炭素膜厚を実質的に薄く形成することができる。無機粉体の粒子の表面を炭素微粉体で覆うには、両粉体を乾式、又は湿式ボールミル等の混合機を用いて混合することにより行う。炭素微粉体の粒子径は1ミクロン未満の粒径であり、無機粉体の粒子径は数ミクロンあるので、混合した粉体では無機粉体の粒子表面を炭素微粉体粒子が覆う状態になる。炭素微粉体の材料として、通常のCRTの製造で使用するアクアダック(商品名)を使用できる。無機粉体の粒子表面を覆う炭素膜の厚みは混合比により制御すると、混合粉体は炭素単独と同じ光吸収係数を待つと同時に、良好な伝導性をも持ち合わせている。この混合粉体を使い蛍光膜ピクセル30を囲む障壁26を作ると、高真空中での脱ガスの問題を緩和できる。
【0033】
混合粉体に使用できる無機粉体材料には、大気中で化学的に安定な材料であるだけでなく、CRTの製造工程にある加熱工程における450℃前後の温度においても物理的に安定な材料である必要がある。使用済み混合粉体を再生し、再利用できるとCRTの製造単価を低減する点で有利である。再生する混合粉体中の炭素は600℃から700℃の加熱による燃焼で取り除けるので、無機粉体材料は炭素の燃焼温度以上でも安定な材料であることが望まれる。炭素を除いた後の無機粉体材料は、粒子表面を清浄にする目的で、酸などで軽くエッチングするので、無機酸に対して小さな溶解度を持つことが望ましい。そのような無機粉体材料として、硫酸化イットリウム、酸化アルミニウム、酸化チタン等がある。この他の材料としては、単価の低い硫化亜鉛なども使用できる。
【0034】
炭素微粉体と無機粉体材料の混合比は、無機粉体材料の粒子径と粒子形状により異なるが、脱ガスの問題については無機粉体材料に対し、炭素微粉体が重量比で20%以下である時に良好な結果が得られる。より好ましい混合比は炭素微粉体が0.05から10重量%の範囲であり、更に好ましい混合比は、炭素微粉体が0.1から3重量%の範囲である。蛍光膜ピクセル30の障壁26をフェースプレート22の上に形成するには、上記範囲内の混合比で調合された混合粉体をスラリー状にし、通常のCRTの製造に使うBM膜34の形成と同じ方法で、BM膜34の膜厚のみを変えて作る。障壁26が乾燥した後に、必要な蛍光体粒子24をフェースプレート22の上に塗布し、フォトリソグラフィー法を適用し、障壁26に蛍光体粒子24を埋めるようにして蛍光体ピクセル30を形成する。
【0035】
このようにして光を吸収する伝導体で作られた障壁26に埋められるようにして形成した蛍光膜ピクセル30を全面に塗布したフェースプレート22と、ファンネルをフリットガラスにより接合し、更に電子銃をネック管端に設置して、通常のCRT製造工程を経てCRTを製造する。このようにして作られたCRTを使用した表示装置をNTSCの操作条件で、又はPCモニターの操作条件で稼動すると、高輝度な映像を明視距離で見てもフリッカーが無く、シャープネスがしっかりし、コントラストの高い映像を表示することができ、紙に印刷した画質や、医療診断に使うフィルムの画像と略同等な画質の映像が単色蛍光膜面に映し出される。また、カラーCRTにおいては、高輝度でも色純度が高く、かつ、白色化しない、カラー写真のように鮮明なカラー映像を映し出すことができる。
【0036】
【実施例1】
CRTには単色CRTとカラーCRTがあり、それぞれの製造手順は次のようになっている。
1 フェースプレート上に蛍光膜ピクセル障壁の作成
2 蛍光体を障壁内に塗布
3 蛍光膜の上にアルミニウム膜の作成
4 フェースプレートとファンネルの接合
5 電子銃の設置
6 排気
7 CRTの完成
障壁26は両者に共通であり、2以下の工程は従来のCRTの製造工程と同一である。したがって実施例1においては障壁26の形成方法について詳細に説明する。
【0037】
先ずフェースプレート22上に障壁26のネガティブパターンとなる蛍光膜24の半分以上の厚さのPVA膜40を塗布しなければならない。本発明に係る蛍光膜に用いる障壁26の形成に要求されるPVA膜40の厚さは3ミクロン前後である。このように厚いPVA膜40は、フェースプレート22が平坦なガラス板を使用した表示装置であるならば、印刷法で容易に塗布することができるが、CRTのフェースプレート22のように曲面を有するガラス板である場合には印刷法は使えないため、回転塗布法により塗布する。PVA水溶液の塗布も可能であるが、PVA膜40の厚みの制御が困難である。本実施例においては蛍光体粒子24zの粒子径と同径な無機粉体とPVAを混合したPVAスラリー42を用いて塗布する。本実施例では、硫酸化イットリウム粉体によるPVAスラリー42を使うが、使用材料は硫酸化イットリウム粉体に限定されず、粉体である他の無機化合物を使用しても差し支えない。
【0038】
表1は、障壁を形成する際の使用材料の混合比を示している。
【表1】
PVAスラリー42の混合比は表1の値に限定されず、他の混合比で作られたPVAスラリー42としてもよい。ただし、硫酸化イットリウム粉体の混合量が増加するに従い露光したパターンの広がりと膜の切れが悪くなる事は注意しなければならない。
図5は障壁の形成工程の概略を示す説明図である。図5に基いて、障壁26の製造工程について説明する。
表1示した混合比によりPVAスラリー42を作り、回転塗布台を用いて回転数150rpm前後で30秒間回転して14インチCRTのフェースプレート22(a)にPVAスラリー42液を塗布し、乾燥させ、PVAスラリー42をPVA膜40にする(b)。乾燥したPVA膜40にシャドウマスクの穴を透過した紫外線を照射し、PVA膜40を露光する(c)。露光後、加圧水を用いて現像すると、露光した部分のPVA膜40aはフェースプレート22の上に接着して残る。一方、露光されなかった部分のPVA膜40bは取り除かれる。フェースプレート22の上に残ったPVA膜40が蛍光膜ピクセル30を取り囲む障壁26のネガティブ像である(d)。
【0039】
障壁26を形成する材料は次のようにして準備する。100グラムの硫酸化イットリウム粉体と5グラムのコロイド黒鉛、10グラムの純水を混合してペーストを作る。このペーストを90℃に加熱した乾燥機で乾燥する。乾燥物は乳鉢やボールミルなどで粉砕する。粉砕してから100メッシュの篩を使って、塊を取り除く。篩を通過した粉体は、表面が黒鉛の粉末で覆われた粉体である。この粉体20グラムと純水40グラム、珪酸カリの水溶液0.01グラムを混合してスラリー43を作る。このスラリーを障壁26のネガティブ像のあるフェースプレート22の上に回転数250rpmで回転する塗布機を使用して塗布すると、障壁26のネガティブ像内にスラリー43が塗布される。スラリー43を乾燥させると、黒鉛で覆われた粉体43aとなる。スラリー43を乾燥させた後、過マンガン酸溶液、過酸化水素溶液などの酸化剤溶液で現像すると、ネガティブ像を形成しているPVA膜40のみが酸化され、フェースプレート22から脱落する。水洗後には黒鉛で覆われた粉体43aで作られた障壁26だけが残る。乾燥したフェースプレート22に蛍光体粒子24zを塗布してから、通常のCRTの製造作業工程を加えると、障壁26で囲まれた蛍光膜20を有するCRTが完成する。
【0040】
スラリー43による障壁26は次の方法でも作ることが出来る。硫酸化イットリウム粉体を直接にコロイド黒鉛の溶液に添加し、この懸濁液を良く攪拌してから、障壁26のネガティブ像が形成されたフェースプレート22の上に塗布する。乾燥後、酸化剤溶液で現像すると、ネガティブ像を形成しているPVA膜40のみが酸化され、フェースプレート22から脱落する。水洗後には乾燥したスラリー(黒鉛で覆われた粉体)43aで作られた障壁26だけが残る。この方法を用いても、スラリー42で障壁26を作ることができる。
【0041】
【実施例2】
図3に基づいて説明する。
黒鉛で覆われた粉体43aによる障壁26を持ったフェースプレート22を用いた、単色のCRTは次のようにして作られる。白色に発光する蛍光体には各種があるが、ユーロピウムとテルビウムで共付活した白色に発光する硫酸化イットリウム蛍光体で作るのが最も望ましい。表2は本実施例におけるPVAスラリーの配合表である。
【表2】
硫酸化イットリウム蛍光体とPVAからなるスラリーを、表4に示した配合で調合し、スラリー43を作り、回転塗布台により障壁26が形成されたフェースプレート22の上に塗布し、乾燥させる。蛍光体粒子24zが乾燥したフェースプレート22を、蛍光体粒子24zを塗布した面とは反対側のフェースプレート22の前面から、フェースプレート22のガラスを通して一様な強度分布を持った紫外線をフェースプレート22全面に照射して露光する。障壁26の内側に塗布された蛍光体粒子24zは感光し、フェースプレート22に付着する。障壁26の上に塗布された蛍光体粒子24zは障壁26が露光UVを吸収するので露光されず、フェースプレート22に付着しない。露光後のフェースプレート22を通常のCRTの現像条件で現像すると、黒色の障壁26に囲まれた蛍光体粒子24zがフェースプレート22の上に残る。この状態でも鮮明な映像を表示することができる蛍光膜24とすることができるが、更に映像の輝度を増加させるには、この蛍光体粒子24zの上に通常のアルミニウム膜28の形成方法により、アルミニウム膜28を前記蛍光体粒子24zの上に形成し、表示部20が完成する。これ以後は通常の単色CRTの製造工程を経て本発明に係る単色CRTを製造することができる。
【0042】
単色のCRTの製造で、電子ビーム32の集束法を変えると、電子ビーム32の集束を密にすることができる。電子ビーム32の収束は、予備(前段とも呼ぶ)収束と本収束に分かれる。予備収束電極は、加熱ヒーター、陰極、第一グリット、第二グリットからなり、陰極から電子ビーム32を引き出し、引き出した電子ビーム32をゆるく収束する。本収束は予備収束された電子ビーム32を、表示部20面で所望の大きさに収束する。本収束の方法には、多数の電極の組み合わせからなる静電収束と、電子顕微鏡等で用いられている磁気収束がある。表示部20上の電子ビーム32の径を密に収束するには磁気収束が適している。単色のCRTの場合、陽極電圧は一定であるので、電磁石の代わりに駆動回路の電力を使わない永久磁石を使うと、密な収束効果と消費電力の低減を図ることができる。CRT装置の電力消費は、偏向コイルの消費電力が最も大きくなっているため、偏向コイルの消費電力を低減させればCRT装置の消費電力の低減に大きく貢献することができる。電子ビーム32を偏向する偏向コイルからの磁界強度は電子ビーム32と偏向コイルとの距離で決まり、距離が短い程磁界強度は強くなる。電子ビーム32と偏向コイルとの距離はネック管直径で決まり、ネック管直径が細いほど偏向コイルの消費電力は少なくなる。ネック管径はそこに納める電子銃の直径で一般に決まる。電子ビーム32の直径は通常0.5mm以下であるので、電子銃の直径を数ミリメートルまで細くしても電子ビーム32の直径に影響ない。
【0043】
さらに予備収束電極の直径を縮小していくと、ネック管径を決めるのは電子銃の直径ではなくなり、CRT容器内を排気する排気管の直径となる。排気管径を考慮すれば、ネック管径は8ミリメートル程度まで減少できる。ネック管の先端の所定位置に予備収束電極からなる単電子銃を取り付ける。その後通常のCRT製造工程を適用し、CRT内部を高真空に排気し、脱ガス、陰極の活性化、ゲッターの部分活性化を行った後に、排気管を加熱により融解してCRTを封じ、排気台から切り離す。ゲッターの活性化後、通常のエイジング操作を加えると、単色に発光するCRTが得られる。2個の永久磁石リングをネック管外に配置し、電子ビーム32の収束位置に固定する。このようにして作られたCRTを使った表示装置をNTSCの操作条件で、又はPCモニターの操作条件で稼動すると、明視距離で見て、高輝度でもフリッカーが無く、映像のシャープネスが高く、映像のコントラストが高い紙に印刷したと同等な映像もしくは、医療診断に使うフィルムの画像と同等な映像が単色蛍光膜面に映し出される。
【0044】
【実施例3】
図4に基づいて説明する。
カラーCRTの製造は、基本三原色に発光する3種類の蛍光体粒子24zを塗布する事と、それぞれの蛍光体粒子24zを選択的に発光させる3つの電子銃の配設、シャドウマスクの配設を除けば、単色のCRTの製造と変わらない。各色に発光するカラーの微小蛍光膜24dを取り囲む障壁26を、前述した単色CRTの蛍光膜ピクセル30の障壁26と同じ材料を使い、同じ方法でCRTのフェースプレート22の上に作る。これに赤色蛍光体粒子24zaを通常の方法で塗布・露光し、現像すると障壁26で囲まれた赤色蛍光膜24aが所定位置に形成される。次いで、緑色蛍光体粒子24zbを塗布し、上記した方法を繰り返すと、障壁26で囲まれた緑色蛍光膜24bが所定位置に形成される。最後に青色蛍光体粒子24zcを上記した方法を繰り返して塗布すると、他の2色の蛍光膜24a、24bと同様に障壁26で囲まれた青色蛍光膜24cが所定位置に形成される。以上に説明した手順によって散乱光を吸収する障壁26で外周縁を囲んだ3原色蛍光体が塗布されたフェースプレート22ができる。その後通常のCRT製造工程を経て、CRT内部を高真空に排気し、脱ガス、陰極の活性化、ゲッターの部分的な活性化を行った後に、排気管を加熱により融解して封じ、CRTを排気台から切り離してカラーCRTを得ることができる。このCRTを使った表示装置をNTSCの操作条件で、又はPCモニターの操作条件でビデオ映像を映すと、輝度に関係なく、フリッカーの無い、映像の輪郭の切れがはっきりとしていると共に、映像のコントラストが高く、色が白色化しない色純度の高い、鮮明なカラー写真と同等なカラー映像を表示することができる。
【0045】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明に係る電子線管の蛍光膜およびこれを用いた電子線管表示装置は、蛍光膜内で起こる光散乱の広がりを蛍光膜の最小単位内に閉じ込めると同時に、蛍光膜内の各蛍光体粒子に高い陽極電界を印加する結果、蛍光膜の輝度水準に関係なく、また画素を表示するフレーム周期にも関係なく、電子線管表示装置のスクリーン全面に現れるフリッカーと、映像に現れる小さなフリッカーを取り除くだけでなく、シャープネスが高く、コントラストの高い印刷された文字や医療診断に使われる白黒写真と同質の映像を電子線管表示装置のスクリーンに映し出す。カラー画面においては上記した特徴の外に、高輝度でも色度が白色化しない、カラー写真と同等な色純度の高い鮮明なカラー映像を電子線管表示装置のスクリーンに映し出すことができる等といった著効を奏するので、表示装置産業に与える効果は顕著である。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の単色の蛍光膜を示す説明図である。
【図2】従来のカラーの蛍光膜を示す説明図である。
【図3】本は発明にかかる単色の蛍光膜を示す説明図である。
【図4】本発明に係るカラーの蛍光膜を示す説明図である。
【図5】蛍光膜の製造手順の概略を示す説明図である。
【符号の説明】
20 表示部
22 フェースプレート
24 蛍光膜
26 障壁
28 アルミ膜
30 蛍光膜ピクセル
32 電子ビーム
34 BM膜
40 PVA膜
42 PVAスラリー
Claims (7)
- フェースプレートと、該フェースプレート上に蛍光体粒子が塗布されてなる蛍光膜と、電子ビームを照射する陰極と、陽極とにより構成され、前記陰極からの電子ビームの照射により蛍光膜の蛍光体粒子を発光させて映像を表示する電子線管の蛍光膜であって、
前記フェースプレート上に形成された蛍光膜が、多数の微小蛍光膜で構成され、当該微小蛍光膜の外周が、微小蛍光膜の高さ半分以上の高さを有する障壁により囲まれていることを特徴とする電子線管の蛍光膜。 - 前記障壁は、可視光を吸収し、かつ、電気伝導性を有する材料により形成されていることを特徴とする請求項1記載の電子線管の蛍光膜。
- 前記障壁は、平均直径が1乃至8マイクロメートルにある無機化合物の粉体と、平均直径が1マイクロメートル未満の炭素微粉体の混合物により形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電子線管の蛍光膜。
- 前記障壁は、ブラックマトリクスと一体に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3いずれか一項に記載の電子線管の蛍光膜。
- 前記蛍光体粒子がカラー蛍光体であることを特徴とする請求項1乃至4いずれか一項に記載の電子線管の蛍光膜。
- 前記蛍光体粒子が単色の蛍光体のみから成ることを特徴とする請求項1乃至3いずれか一項に記載の電子線管の蛍光膜。
- フェースプレートと、該フェースプレート上に蛍光体粒子が塗布されてなる蛍光膜と、電子ビームを照射する陰極と、陽極とにより構成され、前記陰極からの電子ビームの照射により蛍光膜の蛍光体粒子を発光させて映像を表示する電子線管表示装置であって、
請求項1乃至6いずれか一項に記載の蛍光膜を備えていることを特徴とする電子線管表示装置。
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