JP2004018677A - 潤滑油添加剤組成物及び潤滑油組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】特に高負荷の過酷な条件下でも優れた潤滑性能を示す高性能の耐荷重添加剤として好適な硫黄系潤滑油添加剤組成物及び該潤滑油添加剤組成物を含む潤滑油組成物を提供する。
【解決手段】特定の有機硫黄化合物の少なくとも一種以上を含有してなる潤滑油添加剤組成物、及び前記潤滑油添加剤組成物を含む潤滑油組成物である。
【選択図】 なし
【解決手段】特定の有機硫黄化合物の少なくとも一種以上を含有してなる潤滑油添加剤組成物、及び前記潤滑油添加剤組成物を含む潤滑油組成物である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、潤滑油添加剤組成物及び潤滑油組成物に関し、さらに詳しくは、耐荷重添加剤として好適な、特定の有機硫黄化合物を含有する潤滑油添加剤組成物及び該潤滑油添加剤組成物を含む潤滑油組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、内燃機関や、自動変速機、パワーステアリング、緩衝器などの駆動系機器、ギヤなどの機械装置、切削等の金属加工においては、金属表面を摩耗から防止し、摩擦を制御して作動を円滑にするために潤滑油が用いられているが、高出力、高荷重の高負荷の過酷な条件のもとでは潤滑性能が不足し、潤滑面が摩擦摩耗し、遂には焼き付きを起こすことが知られている。このため、摩擦摩耗を減少させ、装置の寿命を延長するためには、潤滑油に良好な潤滑性能を付与する目的で、油性剤や摩擦調整剤、極圧剤、耐摩耗剤などの耐荷重添加剤が添加され、その役割は極めて重要なものとなっている。
【0003】
潤滑油の潤滑性は、液体の粘性による流体力学的効果と、有機極性化合物の金属表面への吸着と金属表面との反応による固体潤滑膜の形成による潤滑効果に大別することができる。
流体力学的効果には、潤滑油分子の分子量、分子構造及び会合性が、粘度−温度、粘度−圧力、金属表面への粘着性に関連して効果を与える。一方、固体潤滑膜を形成し、境界潤滑及び極圧潤滑時の潤滑性、すなわち、潤滑油に耐荷重性能を付与するには、油性剤や摩擦調整剤、極圧剤、耐摩耗剤などの耐荷重添加剤が効果を与える。
【0004】
したがって、これまで耐荷重添加剤として、特に硫黄系、リン系、ハロゲン系、亜鉛系などの添加剤の検討が行われてきた。しかしながら、高負荷の過酷な条件下で優れた性能を示す添加剤は、見出されていないのが現状である。また、環境への負荷低減により、今後、リン系、ハロゲン系、亜鉛系の添加剤の使用は制限される方向にあるため、リン、ハロゲン、亜鉛を含まない添加剤が望まれている。
【0005】
硫黄系の潤滑油添加剤としては、例えば特開平10−60430号、特開平11−228955号公報には、硫黄で架橋されたフェノール化合物が開示されている。また、特開2000−119676号公報には、ポリフェノール硫化物が提示され、さらに、特開2002−3878号公報には、ポリフェニルチオエーテルが開示されている。しかしながら、これらの添加剤を用いても、高負荷の過酷な条件下で優れた潤滑性能を得ることは困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下で、特に高負荷の過酷な条件下でも優れた潤滑性能を示す高性能の耐荷重添加剤として好適な硫黄系潤滑油添加剤組成物及び該潤滑油添加剤組成物を含む潤滑油組成物を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の硫黄原子含有複素環式化合物及びその酸化物が、耐荷重添加剤として優れた性能を有することを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明の要旨は下記のとおりである。
1.下記一般式(1)〜(9)
【化2】
(式中、XはS、SO又はSO2を示し、R1、R2は炭素数1〜30のアルキル基を示し、aは0〜4の整数、bは0〜4の整数、cは0〜2の整数、dは0又は1を示す。)
で表される有機硫黄化合物の少なくとも一種以上を含有してなる潤滑油添加剤組成物。
2.潤滑油添加剤が耐荷重添加剤である前記1記載の潤滑油添加剤組成物。
3.(A)潤滑油基油と、(B)前記1又は2に記載の潤滑油添加剤組成物を含むことを特徴とする潤滑油組成物。
4.前記1記載の有機硫黄化合物の含有量が0.1〜10質量%である前記3記載の潤滑油組成物。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の潤滑油添加剤組成物は、前記一般式(1)〜(9)で表される有機硫黄化合物の少なくとも一種以上を含有してなるものである。
一般式(1)〜(9)において、R1及びR2は、炭素数1〜30のアルキル基で、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種ウンデシル基、各種ドデシル基、各種トリデシル基、各種テトラデシル基、各種ペンタデシル基、各種ヘキサデシル基、各種ヘプタデシル基、各種オクタデシル基、各種ノナデシル基、各種エイコシル基、各種ドコシル基、各種ペンタコシル基、各種トリアコンタコシル基を挙げることができる。R1及びR2のアルキル基の炭素数が30を超えると有効成分の割合が少なくなり好ましくない。好ましくは炭素数4〜20のアルキル基である。
【0009】
一般式(1)で表されるジベンゾチオフェン誘導体の好ましい例として、(ジ)ヘキシルジベンゾチオフェン、(ジ)オクチルジベンゾチオフェン、(ジ)デシルジベンゾチオフェン、(ジ)ドデシルジベンゾチオフェン、(ジ)ヘキサデシルジベンゾチオフェン、(ジ)オクタデシルジベンゾチオフェン、及びそれらのスルホキシド、並びにそれらのスルホンなどを挙げることができる。
一般式(2)で表されるベンゾチオフェン誘導体の好ましい例として、(ジ)ヘキシルベンゾチオフェン、(ジ)オクチルベンゾチオフェン、(ジ)デシルベンゾチオフェン、(ジ)ドデシルベンゾチオフェン、(ジ)ヘキサデシルベンゾチオフェン、(ジ)オクタデシルベンゾチオフェン、及びそれらのスルホキシド、並びにそれらのスルホンなどを挙げることができる。
一般式(3)で表されるチオフェン誘導体の好ましい例として、ヘキシルチオフェン、オクチルチオフェン、デシルチオフェン、ドデシルチオフェン、ヘキサデシルチオフェン、オクタデシルチオフェン、及びそれらのスルホキシド、並びにそれらのスルホンなどを挙げることができる。
【0010】
一般式(4)で表されるフェノキサチイン誘導体の好ましい例として、(ジ)ヘキシルフェノキサチイン、(ジ)オクチルフェノキサチイン、(ジ)デシルフェノキサチイン、(ジ)ドデシルフェノキサチイン、(ジ)ヘキサデシルフェノキサチイン、(ジ)オクタデシルフェノキサチイン、及びそれらのスルホキシド、並びにそれらのスルホンなどを挙げることができる。
一般式(5)で表されるフェノチアジン誘導体の好ましい例として、(ジ)ヘキシルフェノチアジン、(ジ)オクチルフェノチアジン、(ジ)デシルフェノチアジン、(ジ)ドデシルフェノチアジン、(ジ)ヘキサデシルフェノチアジン、(ジ)オクタデシルフェノチアジン、及びそれらのスルホキシド、並びにそれらのスルホンなどを挙げることができる。
一般式(6)で表されるチアントレン誘導体の好ましい例として、(ジ)ヘキシルチアントレン、(ジ)オクチルチアントレン、(ジ)デシルチアントレン、(ジ)ドデシルチアントレン、(ジ)ヘキサデシルチアントレン、(ジ)オクタデシルチアントレン、及びそれらのスルホキシド、並びにそれらのスルホンなどを挙げることができる。
【0011】
一般式(7)で表されるベンゾチアゾール誘導体の好ましい例として、(ジ)ヘキシルベンゾチアゾール、(ジ)オクチルベンゾチアゾール、(ジ)デシルベンゾチアゾール、(ジ)ドデシルベンゾチアゾール、(ジ)ヘキサデシルベンゾチアゾール、(ジ)オクタデシルベンゾチアゾール、及びそれらのスルホキシド、並びにそれらのスルホンなどを挙げることができる。
一般式(8)で表されるチアゾール誘導体の好ましい例として、(ジ)ヘキシルチアゾール、(ジ)オクチルチアゾール、(ジ)デシルチアゾール、(ジ)ドデシルチアゾール、(ジ)ヘキサデシルチアゾール、(ジ)オクタデシルチアゾール、及びそれらのスルホキシド、並びにそれらのスルホンなどを挙げることができる。
一般式(9)で表されるチアジアゾール誘導体の好ましい例として、ヘキシルチアジアゾール、オクチルチアジアゾール、デシルチアジアゾール、ドデシルチアジアゾール、ヘキサデシルチアジアゾール、オクタデシルチアジアゾール、及びそれらのスルホキシド、並びにそれらのスルホンなどを挙げることができる。
【0012】
本発明の潤滑油添加剤組成物を構成する、前記一般式(1)〜(9)で表される有機硫黄化合物の製造方法は特に制限はないが、下記の方法で効率よく製造することができる。
前記一般式(1)で表されるジベンゾチオフェン誘導体について代表的に述べるが、(2)〜(9)で表される有機硫黄化合物はそれと同様に実施すればよい。
まずジベンゾチオフェンのアルキル化物は、例えば、Tetrahedoron,Vol.52,No.27,9087(1996)に記載されているように、(a)ジベンゾチオフェンと(b)ヨウ化アルキルやトルエンスルホン酸アルキルエステルを(c)ブチルリチウムやブチルリチウム/TMEDA(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)等のルイス塩基の存在下、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ヘキサン等の溶媒中で反応させて得られる。(a)成分:(b)成分(モル比)=1:1〜10(好ましくは、1:1〜4)、(b)成分:(c)成分(モル比)=1:1〜5(好ましくは1:1〜2)の割合で仕込み、常圧で、−78℃〜溶媒の還流温度で、0.5〜12時間反応させればよい。
【0013】
次いで、上記のジベンゾチオフェンのアルキル化物のスルホキシド、スルホンへの酸化反応は、例えば、J.Am.Chem.Soc.,74,2021(1952)やJ.Chem.Soc.,Chem.Commun.,4,1995,473に記載されているように、(a)ジベンゾチオフェンのアルキル化物と(b)過酸化水素を(c)ぎ酸や酢酸等の有機酸類の存在下、ヘキサン、トルエン等の溶媒中で行わせる。
【0014】
スルホキシドを得ようとする場合、(a)成分:(b)成分(モル比)=1:1、(b)成分:(c)成分(質量比)=1:1〜20(好ましくは1:1〜5)の割合で仕込み、常圧で、−78℃〜室温で、0.5〜24時間反応させればよい。
スルホンを得ようとする場合、(a)成分:(b)成分(モル比)=1:2〜5、(b)成分:(c)成分(質量比)=1:1〜20(好ましくは1:1〜5)の割合で仕込み、常圧で、−78℃〜室温で、0.5〜24時間反応させればよい。
【0015】
上記の有機硫黄化合物は、そのまま潤滑油添加剤として使用できるが、一般に、希釈剤に配合して潤滑油添加剤組成物として使用される。その希釈剤として鉱油や合成油を使用することができる。ここで、鉱油として、例えば、パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油、芳香族系鉱油などの潤滑油やガソリン、灯油、軽油などの燃料油を挙げることができる。合成油として、ポリフェニルエーテル、アルキルナフタレン、エステル油、グリコール油、ポリα−オレフィンなどを挙げることができる。
このような本発明の潤滑油添加剤組成物は、特に、極圧剤、耐摩耗剤、摩擦調整剤などの耐荷重添加剤として、優れた機能を発揮する。
【0016】
次に、本発明の潤滑油組成物は、(A)潤滑油基油と、(B)前述の本発明の潤滑油添加剤組成物を含むものである。
前記(A)成分の潤滑油基油としては、通常、鉱油や合成油が用いられる。この鉱油や合成油の種類、その他については特に制限はなく、鉱油としては、例えば、溶剤精製、水添精製などの通常の精製法により得られるパラフィン基鉱油、中間基鉱油又はナフテン系鉱油などが挙げられる。
【0017】
また、合成油としては、例えば、ポリブテン、ポリオレフィン〔α−オレフィン(共)重合体〕、各種のエステル(例えば、ポリオールエステル、二塩基酸エステル)、各種のエーテル(例えば、ポリフェニルエーテル)、アルキルベンゼン、アルキルナフタレンなどが挙げられる。
本発明においては、基油として、上記鉱油を一種用いてもよく、二種以上組み合わせて用いてもよい。また、上記合成油を一種用いてもよく、二種以上組み合わせて用いてもよい。さらには、鉱油一種以上と合成油一種以上とを組み合わせて用いてもよい。
前記基油の粘度としては、潤滑油組成物の用途に応じて適宜選定されるが、通常100℃の動粘度で2〜35mm2/s、好ましくは3〜25mm2/sの範囲である。
【0018】
本発明の潤滑油組成物においては、前述の有機硫黄化合物の含有量が、通常0.01〜10質量%、好ましくは0.01〜5質量%の範囲で選定される。この含有量が0.01質量%未満では耐荷重添加剤としての機能が充分に発揮されにくいし10質量%を超えるとその量の割には効果の向上が認められず、むしろ経済的に不利になる場合がある。
本発明の潤滑油組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、従来から潤滑油に慣用されている各種添加剤、例えば金属系清浄剤、無灰系清浄分散剤、粘度指数向上剤、酸化防止剤、防錆剤、腐食防止剤、消泡剤、他の極圧剤、耐摩耗剤、摩擦調整剤などを適宜添加することができる。
【0019】
金属系清浄剤としては、例えば、カルシウムスルホネート、マグネシウムスルホネート、バリウムスルホネート、カルシウムフェネート、バリウムフェネートなどが挙げられ、これらは、通常0.1〜5質量%の割合で使用される。無灰系清浄分散剤としては、例えば、コハク酸イミド系、コハク酸アミド系、ベンジルアミン系、エステル系のものなどが挙げられ、これらは、通常0.5〜7質量%の割合で使用される。
粘度指数向上剤としては、例えばポリメタクリレート系、ポリイソブチレン系、エチレン−プロピレン共重合体系、スチレン−ブタジエン水添共重合体系のものなどが挙げられ、これらは、通常0.5〜35質量%の割合で使用される。酸化防止剤としては、例えばアルキル化ジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキル化−α−ナフチルアミンなどのアミン系酸化防止剤、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)などのフェノール系酸化防止剤などが挙げられ、これは、通常0.05〜2質量%の割合で使用される。
【0020】
防錆剤としては、例えばアルケニルコハク酸やその部分エステルなどが、腐食防止剤としては、例えばベンゾトリアゾールやベンゾイミダゾールなどが、消泡剤としては、例えばジメチルポリシロキサンやポリアクリレートなどが挙げられ、これらは適宜添加することができる。
本発明の潤滑油組成物は、極圧性、耐摩耗性、摩擦特性などに優れ、例えば自動車の内燃機関用潤滑油、駆動系潤滑油、ギヤ油、軸受油、変速機油、緩衝器油、金属加工油及びその他の工業用潤滑油として好適に用いることができる。
【0021】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、潤滑油の耐荷重試験及び耐摩耗試験は、以下に示す要領に従って行った。
(1)耐荷重試験
ASTM D 2783に準拠して、回転数1,800rpm、室温の条件で行い、最大非焼付荷重(LNL)と融着荷重(WL)から、荷重摩耗指数(LWI)を求めた。この値が大きいほど、耐荷重性が良好である。
(2)耐摩耗試験
ASTM D 2783に準拠して、荷重294N、回転数1,200rpm、油温50℃、試験時間30分の条件で行い、1/2インチ球3個の摩耗痕径を平均して、平均摩耗痕径を算出した。
(3)銅板腐食試験
JIS K 2513に準拠して、よく磨いた銅板を約30ミリリットルの試料に浸し、100℃、3時間保持した後、これを取り出し、銅板腐食標準と比較して試料の銅に対する腐食性を判定した。
【0022】
製造例1
乾燥したTHF(テトラヒドロフラン)400ミリリットルにジベンゾチオフェン18.4g(0.1モル)を溶解し、ドライアイス/メタノールで冷却した。n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.6モル/リットル)200ミリリットルを滴下し、反応混合物を室温に昇温し5時間攪拌した。再びドライアイス/メタノールで冷却した後、ヨウ化ヘキシル127.2g(0.6モル)を滴下した。反応混合物を室温に昇温し10時間攪拌した。反応終了後,反応混合物中に氷水1Lを入れ,反応生成物を塩化メチレンで抽出した。塩化メチレン層を1N塩酸水で中和し,硫酸マグネシウムで乾燥した。塩化メチレンを留去して,ヘキシルジベンゾチオフェン27gを得た。
【0023】
製造例2
製造例1の方法で得たヘキシルジベンゾチオフェン8gをヘキサン200ミリリットルに溶かし,30%過酸化水素水3.4gとぎ酸10gを加え,室温で8時間攪拌した。ヘキサン層を分離し,ヘキサンを留去して,ヘキシルジベンゾチオフェンスルホキシド8gを得た。
製造例3
製造例1の方法で得たヘキシルジベンゾチオフェン8gをヘキサン200ミリリットルに溶かし,30%過酸化水素水10gとぎ酸20gを加え,室温で16時間攪拌した。ヘキサン層を分離し,ヘキサンを留去して,ヘキシルジベンゾチオフェンスルホン8gを得た。
【0024】
製造例4
ヨウ化ヘキシルの代わりにヨウ化ドデシル177.8g(0.6モル)を使用した以外は,実施例1と同様に反応を行った。ドデシルジベンゾチオフェン35gを得た。
製造例5
ジベンゾチオフェンの代わりにベンゾチオフェン13.4g(0.1モル)を使用した以外は,実施例1と同様に反応を行った。ヘキシルベンゾチオフェン29gを得た。
【0025】
製造例6
製造例5の方法で得たヘキシルベンゾチオフェン11gをヘキサン200ミリリットルに溶かし,30%過酸化水素水15gとぎ酸30gを加え,室温で8時間攪拌した。ヘキサン層を分離し,ヘキサンを留去して,ヘキシルベンゾチオフェンスルホン10gを得た。
製造例7
ジベンゾチオフェンの代わりにベンゾチアゾール13.5g(0.1モル)を使用した以外は,実施例1と同様に反応を行った。ヘキシルベンゾチアゾール28gを得た。
【0026】
製造例8
市販のオクチルチオフェンをそのまま使用した。
製造例9
市販のオクチルチオフェン9gをヘキサン200ミリリットルに溶かし,30%過酸化水素水15gとぎ酸30gを加え,室温で8時間攪拌した。ヘキサン層を分離し,ヘキサンを留去して,オクチルチオフェンスルホン8gを得た。
【0027】
実施例1〜9
150ニュートラル留分の鉱油に製造例1〜9で得られた化合物1質量%を配合し,潤滑油組成物を調製した。この潤滑油組成物の性能を耐荷重性試験,耐荷重性試験,銅板腐食試験により評価した。その結果を第1表に示す。
比較例1
150ニュートラル留分の鉱油そのもので耐荷重性試験,耐荷重性試験,銅板腐食試験を行った。その結果を第1表に示す。
比較例2
150ニュートラル留分の鉱油に市販のZnDTP1質量%を配合し,潤滑油組成物を調製した。この潤滑油組成物の性能を耐荷重性試験,耐荷重性試験,銅板腐食試験により評価した。その結果を第1表に示す。
比較例3
150ニュートラル留分の鉱油に市販のTCP(トリクレジルフォスフェート)1質量%を配合し,潤滑油組成物を調製した。この潤滑油組成物の性能を耐荷重性試験,耐荷重性試験,銅板腐食試験により評価した。その結果を第1表に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
第1表から、本発明の潤滑油添加剤組成物は、最大非焼付荷重及び荷重摩耗指数が大きく、代表的な耐荷重添加剤であるTCP、ZnDTPよりも優れた性能を示すことが分かる。また、耐摩耗性能でも優れていることが分かる。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、特に高負荷の過酷な条件下でも優れた潤滑性能を示す高性能の耐荷重添加剤として好適な硫黄系潤滑油添加剤組成物及び該潤滑油添加剤組成物を含む潤滑油組成物を提供することができる。
前記潤滑油添加剤組成物を含む本発明の潤滑油組成物は、極圧性、耐摩耗性、摩擦特性などに優れており、各種用途に好適に用いられる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、潤滑油添加剤組成物及び潤滑油組成物に関し、さらに詳しくは、耐荷重添加剤として好適な、特定の有機硫黄化合物を含有する潤滑油添加剤組成物及び該潤滑油添加剤組成物を含む潤滑油組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、内燃機関や、自動変速機、パワーステアリング、緩衝器などの駆動系機器、ギヤなどの機械装置、切削等の金属加工においては、金属表面を摩耗から防止し、摩擦を制御して作動を円滑にするために潤滑油が用いられているが、高出力、高荷重の高負荷の過酷な条件のもとでは潤滑性能が不足し、潤滑面が摩擦摩耗し、遂には焼き付きを起こすことが知られている。このため、摩擦摩耗を減少させ、装置の寿命を延長するためには、潤滑油に良好な潤滑性能を付与する目的で、油性剤や摩擦調整剤、極圧剤、耐摩耗剤などの耐荷重添加剤が添加され、その役割は極めて重要なものとなっている。
【0003】
潤滑油の潤滑性は、液体の粘性による流体力学的効果と、有機極性化合物の金属表面への吸着と金属表面との反応による固体潤滑膜の形成による潤滑効果に大別することができる。
流体力学的効果には、潤滑油分子の分子量、分子構造及び会合性が、粘度−温度、粘度−圧力、金属表面への粘着性に関連して効果を与える。一方、固体潤滑膜を形成し、境界潤滑及び極圧潤滑時の潤滑性、すなわち、潤滑油に耐荷重性能を付与するには、油性剤や摩擦調整剤、極圧剤、耐摩耗剤などの耐荷重添加剤が効果を与える。
【0004】
したがって、これまで耐荷重添加剤として、特に硫黄系、リン系、ハロゲン系、亜鉛系などの添加剤の検討が行われてきた。しかしながら、高負荷の過酷な条件下で優れた性能を示す添加剤は、見出されていないのが現状である。また、環境への負荷低減により、今後、リン系、ハロゲン系、亜鉛系の添加剤の使用は制限される方向にあるため、リン、ハロゲン、亜鉛を含まない添加剤が望まれている。
【0005】
硫黄系の潤滑油添加剤としては、例えば特開平10−60430号、特開平11−228955号公報には、硫黄で架橋されたフェノール化合物が開示されている。また、特開2000−119676号公報には、ポリフェノール硫化物が提示され、さらに、特開2002−3878号公報には、ポリフェニルチオエーテルが開示されている。しかしながら、これらの添加剤を用いても、高負荷の過酷な条件下で優れた潤滑性能を得ることは困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下で、特に高負荷の過酷な条件下でも優れた潤滑性能を示す高性能の耐荷重添加剤として好適な硫黄系潤滑油添加剤組成物及び該潤滑油添加剤組成物を含む潤滑油組成物を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の硫黄原子含有複素環式化合物及びその酸化物が、耐荷重添加剤として優れた性能を有することを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明の要旨は下記のとおりである。
1.下記一般式(1)〜(9)
【化2】
(式中、XはS、SO又はSO2を示し、R1、R2は炭素数1〜30のアルキル基を示し、aは0〜4の整数、bは0〜4の整数、cは0〜2の整数、dは0又は1を示す。)
で表される有機硫黄化合物の少なくとも一種以上を含有してなる潤滑油添加剤組成物。
2.潤滑油添加剤が耐荷重添加剤である前記1記載の潤滑油添加剤組成物。
3.(A)潤滑油基油と、(B)前記1又は2に記載の潤滑油添加剤組成物を含むことを特徴とする潤滑油組成物。
4.前記1記載の有機硫黄化合物の含有量が0.1〜10質量%である前記3記載の潤滑油組成物。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の潤滑油添加剤組成物は、前記一般式(1)〜(9)で表される有機硫黄化合物の少なくとも一種以上を含有してなるものである。
一般式(1)〜(9)において、R1及びR2は、炭素数1〜30のアルキル基で、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種ウンデシル基、各種ドデシル基、各種トリデシル基、各種テトラデシル基、各種ペンタデシル基、各種ヘキサデシル基、各種ヘプタデシル基、各種オクタデシル基、各種ノナデシル基、各種エイコシル基、各種ドコシル基、各種ペンタコシル基、各種トリアコンタコシル基を挙げることができる。R1及びR2のアルキル基の炭素数が30を超えると有効成分の割合が少なくなり好ましくない。好ましくは炭素数4〜20のアルキル基である。
【0009】
一般式(1)で表されるジベンゾチオフェン誘導体の好ましい例として、(ジ)ヘキシルジベンゾチオフェン、(ジ)オクチルジベンゾチオフェン、(ジ)デシルジベンゾチオフェン、(ジ)ドデシルジベンゾチオフェン、(ジ)ヘキサデシルジベンゾチオフェン、(ジ)オクタデシルジベンゾチオフェン、及びそれらのスルホキシド、並びにそれらのスルホンなどを挙げることができる。
一般式(2)で表されるベンゾチオフェン誘導体の好ましい例として、(ジ)ヘキシルベンゾチオフェン、(ジ)オクチルベンゾチオフェン、(ジ)デシルベンゾチオフェン、(ジ)ドデシルベンゾチオフェン、(ジ)ヘキサデシルベンゾチオフェン、(ジ)オクタデシルベンゾチオフェン、及びそれらのスルホキシド、並びにそれらのスルホンなどを挙げることができる。
一般式(3)で表されるチオフェン誘導体の好ましい例として、ヘキシルチオフェン、オクチルチオフェン、デシルチオフェン、ドデシルチオフェン、ヘキサデシルチオフェン、オクタデシルチオフェン、及びそれらのスルホキシド、並びにそれらのスルホンなどを挙げることができる。
【0010】
一般式(4)で表されるフェノキサチイン誘導体の好ましい例として、(ジ)ヘキシルフェノキサチイン、(ジ)オクチルフェノキサチイン、(ジ)デシルフェノキサチイン、(ジ)ドデシルフェノキサチイン、(ジ)ヘキサデシルフェノキサチイン、(ジ)オクタデシルフェノキサチイン、及びそれらのスルホキシド、並びにそれらのスルホンなどを挙げることができる。
一般式(5)で表されるフェノチアジン誘導体の好ましい例として、(ジ)ヘキシルフェノチアジン、(ジ)オクチルフェノチアジン、(ジ)デシルフェノチアジン、(ジ)ドデシルフェノチアジン、(ジ)ヘキサデシルフェノチアジン、(ジ)オクタデシルフェノチアジン、及びそれらのスルホキシド、並びにそれらのスルホンなどを挙げることができる。
一般式(6)で表されるチアントレン誘導体の好ましい例として、(ジ)ヘキシルチアントレン、(ジ)オクチルチアントレン、(ジ)デシルチアントレン、(ジ)ドデシルチアントレン、(ジ)ヘキサデシルチアントレン、(ジ)オクタデシルチアントレン、及びそれらのスルホキシド、並びにそれらのスルホンなどを挙げることができる。
【0011】
一般式(7)で表されるベンゾチアゾール誘導体の好ましい例として、(ジ)ヘキシルベンゾチアゾール、(ジ)オクチルベンゾチアゾール、(ジ)デシルベンゾチアゾール、(ジ)ドデシルベンゾチアゾール、(ジ)ヘキサデシルベンゾチアゾール、(ジ)オクタデシルベンゾチアゾール、及びそれらのスルホキシド、並びにそれらのスルホンなどを挙げることができる。
一般式(8)で表されるチアゾール誘導体の好ましい例として、(ジ)ヘキシルチアゾール、(ジ)オクチルチアゾール、(ジ)デシルチアゾール、(ジ)ドデシルチアゾール、(ジ)ヘキサデシルチアゾール、(ジ)オクタデシルチアゾール、及びそれらのスルホキシド、並びにそれらのスルホンなどを挙げることができる。
一般式(9)で表されるチアジアゾール誘導体の好ましい例として、ヘキシルチアジアゾール、オクチルチアジアゾール、デシルチアジアゾール、ドデシルチアジアゾール、ヘキサデシルチアジアゾール、オクタデシルチアジアゾール、及びそれらのスルホキシド、並びにそれらのスルホンなどを挙げることができる。
【0012】
本発明の潤滑油添加剤組成物を構成する、前記一般式(1)〜(9)で表される有機硫黄化合物の製造方法は特に制限はないが、下記の方法で効率よく製造することができる。
前記一般式(1)で表されるジベンゾチオフェン誘導体について代表的に述べるが、(2)〜(9)で表される有機硫黄化合物はそれと同様に実施すればよい。
まずジベンゾチオフェンのアルキル化物は、例えば、Tetrahedoron,Vol.52,No.27,9087(1996)に記載されているように、(a)ジベンゾチオフェンと(b)ヨウ化アルキルやトルエンスルホン酸アルキルエステルを(c)ブチルリチウムやブチルリチウム/TMEDA(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)等のルイス塩基の存在下、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ヘキサン等の溶媒中で反応させて得られる。(a)成分:(b)成分(モル比)=1:1〜10(好ましくは、1:1〜4)、(b)成分:(c)成分(モル比)=1:1〜5(好ましくは1:1〜2)の割合で仕込み、常圧で、−78℃〜溶媒の還流温度で、0.5〜12時間反応させればよい。
【0013】
次いで、上記のジベンゾチオフェンのアルキル化物のスルホキシド、スルホンへの酸化反応は、例えば、J.Am.Chem.Soc.,74,2021(1952)やJ.Chem.Soc.,Chem.Commun.,4,1995,473に記載されているように、(a)ジベンゾチオフェンのアルキル化物と(b)過酸化水素を(c)ぎ酸や酢酸等の有機酸類の存在下、ヘキサン、トルエン等の溶媒中で行わせる。
【0014】
スルホキシドを得ようとする場合、(a)成分:(b)成分(モル比)=1:1、(b)成分:(c)成分(質量比)=1:1〜20(好ましくは1:1〜5)の割合で仕込み、常圧で、−78℃〜室温で、0.5〜24時間反応させればよい。
スルホンを得ようとする場合、(a)成分:(b)成分(モル比)=1:2〜5、(b)成分:(c)成分(質量比)=1:1〜20(好ましくは1:1〜5)の割合で仕込み、常圧で、−78℃〜室温で、0.5〜24時間反応させればよい。
【0015】
上記の有機硫黄化合物は、そのまま潤滑油添加剤として使用できるが、一般に、希釈剤に配合して潤滑油添加剤組成物として使用される。その希釈剤として鉱油や合成油を使用することができる。ここで、鉱油として、例えば、パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油、芳香族系鉱油などの潤滑油やガソリン、灯油、軽油などの燃料油を挙げることができる。合成油として、ポリフェニルエーテル、アルキルナフタレン、エステル油、グリコール油、ポリα−オレフィンなどを挙げることができる。
このような本発明の潤滑油添加剤組成物は、特に、極圧剤、耐摩耗剤、摩擦調整剤などの耐荷重添加剤として、優れた機能を発揮する。
【0016】
次に、本発明の潤滑油組成物は、(A)潤滑油基油と、(B)前述の本発明の潤滑油添加剤組成物を含むものである。
前記(A)成分の潤滑油基油としては、通常、鉱油や合成油が用いられる。この鉱油や合成油の種類、その他については特に制限はなく、鉱油としては、例えば、溶剤精製、水添精製などの通常の精製法により得られるパラフィン基鉱油、中間基鉱油又はナフテン系鉱油などが挙げられる。
【0017】
また、合成油としては、例えば、ポリブテン、ポリオレフィン〔α−オレフィン(共)重合体〕、各種のエステル(例えば、ポリオールエステル、二塩基酸エステル)、各種のエーテル(例えば、ポリフェニルエーテル)、アルキルベンゼン、アルキルナフタレンなどが挙げられる。
本発明においては、基油として、上記鉱油を一種用いてもよく、二種以上組み合わせて用いてもよい。また、上記合成油を一種用いてもよく、二種以上組み合わせて用いてもよい。さらには、鉱油一種以上と合成油一種以上とを組み合わせて用いてもよい。
前記基油の粘度としては、潤滑油組成物の用途に応じて適宜選定されるが、通常100℃の動粘度で2〜35mm2/s、好ましくは3〜25mm2/sの範囲である。
【0018】
本発明の潤滑油組成物においては、前述の有機硫黄化合物の含有量が、通常0.01〜10質量%、好ましくは0.01〜5質量%の範囲で選定される。この含有量が0.01質量%未満では耐荷重添加剤としての機能が充分に発揮されにくいし10質量%を超えるとその量の割には効果の向上が認められず、むしろ経済的に不利になる場合がある。
本発明の潤滑油組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、従来から潤滑油に慣用されている各種添加剤、例えば金属系清浄剤、無灰系清浄分散剤、粘度指数向上剤、酸化防止剤、防錆剤、腐食防止剤、消泡剤、他の極圧剤、耐摩耗剤、摩擦調整剤などを適宜添加することができる。
【0019】
金属系清浄剤としては、例えば、カルシウムスルホネート、マグネシウムスルホネート、バリウムスルホネート、カルシウムフェネート、バリウムフェネートなどが挙げられ、これらは、通常0.1〜5質量%の割合で使用される。無灰系清浄分散剤としては、例えば、コハク酸イミド系、コハク酸アミド系、ベンジルアミン系、エステル系のものなどが挙げられ、これらは、通常0.5〜7質量%の割合で使用される。
粘度指数向上剤としては、例えばポリメタクリレート系、ポリイソブチレン系、エチレン−プロピレン共重合体系、スチレン−ブタジエン水添共重合体系のものなどが挙げられ、これらは、通常0.5〜35質量%の割合で使用される。酸化防止剤としては、例えばアルキル化ジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキル化−α−ナフチルアミンなどのアミン系酸化防止剤、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)などのフェノール系酸化防止剤などが挙げられ、これは、通常0.05〜2質量%の割合で使用される。
【0020】
防錆剤としては、例えばアルケニルコハク酸やその部分エステルなどが、腐食防止剤としては、例えばベンゾトリアゾールやベンゾイミダゾールなどが、消泡剤としては、例えばジメチルポリシロキサンやポリアクリレートなどが挙げられ、これらは適宜添加することができる。
本発明の潤滑油組成物は、極圧性、耐摩耗性、摩擦特性などに優れ、例えば自動車の内燃機関用潤滑油、駆動系潤滑油、ギヤ油、軸受油、変速機油、緩衝器油、金属加工油及びその他の工業用潤滑油として好適に用いることができる。
【0021】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、潤滑油の耐荷重試験及び耐摩耗試験は、以下に示す要領に従って行った。
(1)耐荷重試験
ASTM D 2783に準拠して、回転数1,800rpm、室温の条件で行い、最大非焼付荷重(LNL)と融着荷重(WL)から、荷重摩耗指数(LWI)を求めた。この値が大きいほど、耐荷重性が良好である。
(2)耐摩耗試験
ASTM D 2783に準拠して、荷重294N、回転数1,200rpm、油温50℃、試験時間30分の条件で行い、1/2インチ球3個の摩耗痕径を平均して、平均摩耗痕径を算出した。
(3)銅板腐食試験
JIS K 2513に準拠して、よく磨いた銅板を約30ミリリットルの試料に浸し、100℃、3時間保持した後、これを取り出し、銅板腐食標準と比較して試料の銅に対する腐食性を判定した。
【0022】
製造例1
乾燥したTHF(テトラヒドロフラン)400ミリリットルにジベンゾチオフェン18.4g(0.1モル)を溶解し、ドライアイス/メタノールで冷却した。n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.6モル/リットル)200ミリリットルを滴下し、反応混合物を室温に昇温し5時間攪拌した。再びドライアイス/メタノールで冷却した後、ヨウ化ヘキシル127.2g(0.6モル)を滴下した。反応混合物を室温に昇温し10時間攪拌した。反応終了後,反応混合物中に氷水1Lを入れ,反応生成物を塩化メチレンで抽出した。塩化メチレン層を1N塩酸水で中和し,硫酸マグネシウムで乾燥した。塩化メチレンを留去して,ヘキシルジベンゾチオフェン27gを得た。
【0023】
製造例2
製造例1の方法で得たヘキシルジベンゾチオフェン8gをヘキサン200ミリリットルに溶かし,30%過酸化水素水3.4gとぎ酸10gを加え,室温で8時間攪拌した。ヘキサン層を分離し,ヘキサンを留去して,ヘキシルジベンゾチオフェンスルホキシド8gを得た。
製造例3
製造例1の方法で得たヘキシルジベンゾチオフェン8gをヘキサン200ミリリットルに溶かし,30%過酸化水素水10gとぎ酸20gを加え,室温で16時間攪拌した。ヘキサン層を分離し,ヘキサンを留去して,ヘキシルジベンゾチオフェンスルホン8gを得た。
【0024】
製造例4
ヨウ化ヘキシルの代わりにヨウ化ドデシル177.8g(0.6モル)を使用した以外は,実施例1と同様に反応を行った。ドデシルジベンゾチオフェン35gを得た。
製造例5
ジベンゾチオフェンの代わりにベンゾチオフェン13.4g(0.1モル)を使用した以外は,実施例1と同様に反応を行った。ヘキシルベンゾチオフェン29gを得た。
【0025】
製造例6
製造例5の方法で得たヘキシルベンゾチオフェン11gをヘキサン200ミリリットルに溶かし,30%過酸化水素水15gとぎ酸30gを加え,室温で8時間攪拌した。ヘキサン層を分離し,ヘキサンを留去して,ヘキシルベンゾチオフェンスルホン10gを得た。
製造例7
ジベンゾチオフェンの代わりにベンゾチアゾール13.5g(0.1モル)を使用した以外は,実施例1と同様に反応を行った。ヘキシルベンゾチアゾール28gを得た。
【0026】
製造例8
市販のオクチルチオフェンをそのまま使用した。
製造例9
市販のオクチルチオフェン9gをヘキサン200ミリリットルに溶かし,30%過酸化水素水15gとぎ酸30gを加え,室温で8時間攪拌した。ヘキサン層を分離し,ヘキサンを留去して,オクチルチオフェンスルホン8gを得た。
【0027】
実施例1〜9
150ニュートラル留分の鉱油に製造例1〜9で得られた化合物1質量%を配合し,潤滑油組成物を調製した。この潤滑油組成物の性能を耐荷重性試験,耐荷重性試験,銅板腐食試験により評価した。その結果を第1表に示す。
比較例1
150ニュートラル留分の鉱油そのもので耐荷重性試験,耐荷重性試験,銅板腐食試験を行った。その結果を第1表に示す。
比較例2
150ニュートラル留分の鉱油に市販のZnDTP1質量%を配合し,潤滑油組成物を調製した。この潤滑油組成物の性能を耐荷重性試験,耐荷重性試験,銅板腐食試験により評価した。その結果を第1表に示す。
比較例3
150ニュートラル留分の鉱油に市販のTCP(トリクレジルフォスフェート)1質量%を配合し,潤滑油組成物を調製した。この潤滑油組成物の性能を耐荷重性試験,耐荷重性試験,銅板腐食試験により評価した。その結果を第1表に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
第1表から、本発明の潤滑油添加剤組成物は、最大非焼付荷重及び荷重摩耗指数が大きく、代表的な耐荷重添加剤であるTCP、ZnDTPよりも優れた性能を示すことが分かる。また、耐摩耗性能でも優れていることが分かる。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、特に高負荷の過酷な条件下でも優れた潤滑性能を示す高性能の耐荷重添加剤として好適な硫黄系潤滑油添加剤組成物及び該潤滑油添加剤組成物を含む潤滑油組成物を提供することができる。
前記潤滑油添加剤組成物を含む本発明の潤滑油組成物は、極圧性、耐摩耗性、摩擦特性などに優れており、各種用途に好適に用いられる。
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