JP2004014474A - ワイヤハーネスの成形方法および成形ワイヤハーネス - Google Patents
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Abstract
【課題】成形用金型の溝内に布線した電線を確実に溝内に抑えこみ、上型の取り付け作業を容易にする。
【解決手段】多数の電線が集中分岐部から複数分岐し、これら分岐する電線の端末のコネクタの近傍を除いて成形用金型の溝内に電線群を挿入して配索形態に樹脂モールドで成形しているワイヤハーネスであって、成形用金型の下型に設けた溝内に電線群を配索した後に、樹脂成型品からなる樹脂流通用の***を設けたプロテクタを電線群の蓋としてセットし、該プロテクタで上記電線群を溝内部に抑えこんだ状態で上型で型締めし、上記下型の溝内に電線群を配索した状態で上記溝に樹脂を充填し、あるいは上型で型締めした後に上記構内に樹脂を充填し、電線群と共に上記プロテクタも樹脂でモールドしている。
【選択図】 図5
【解決手段】多数の電線が集中分岐部から複数分岐し、これら分岐する電線の端末のコネクタの近傍を除いて成形用金型の溝内に電線群を挿入して配索形態に樹脂モールドで成形しているワイヤハーネスであって、成形用金型の下型に設けた溝内に電線群を配索した後に、樹脂成型品からなる樹脂流通用の***を設けたプロテクタを電線群の蓋としてセットし、該プロテクタで上記電線群を溝内部に抑えこんだ状態で上型で型締めし、上記下型の溝内に電線群を配索した状態で上記溝に樹脂を充填し、あるいは上型で型締めした後に上記構内に樹脂を充填し、電線群と共に上記プロテクタも樹脂でモールドしている。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、ワイヤハーネスの成形方法に関し、特に、成形用金型の溝内にプロテクタを電線と共に挿入してモールドするものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車に配索するワイヤハーネスは、ワイヤハーネス組立作業台上で電線布線治具に沿って電線群を布線し、その後、布線された電線群をテープ巻きして結束し、さらに、所要箇所に車体取付用のクランプ等をバンドあるいはテープ巻して取り付けたり、所要の区間にプロテクタを取り付けている。
【0003】
上記のように組み立てられるワイヤハーネスは、作業工数が非常に多くなる等の問題がある。特に、車体取付用のクランプは各支線を所要の配索位置に保持するため多数取り付けられていると共に外部干渉材が位置する箇所はワイヤハーネスの経路規制をする必要がある箇所にはプロテクタを取り付けており、これら外装品を取り付ける手数がかかる問題がある。
【0004】
上記のように組み立てられるワイヤハーネスは、作業工数が非常に多くなる等の問題があるため、特開平6−223645号において、図12に示す成形用金型1の溝2内に電線を布線した後、樹脂でモールドする成形ワイヤハーネスが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記成形用金型による成形ワイヤハーネスの成形方法では、溝内に布線した電線が上型を型締めする前に、溝内からはみ出てしまうおそれがあるため上型を取り付けにくく、また、布線した電線が溝内からはみ出してしまうと、その都度電線を溝内に布線し直さなければならず、作業性が悪いという問題がある。
さらに、電線が溝内からはみ出した状態で上型を取り付けて型締めし、電線群を樹脂でモールドすると、成形ワイヤハーネスの樹脂被覆層から電線が露出する問題がある。
【0006】
本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、成形用金型の溝内に布線した電線を確実に溝内に抑えこみ、上型の取り付け作業を容易にすることを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、電線群を樹脂でモールドさせて所要の配索形態とするワイヤハーネスの成形方法であって、
成形用金型の下型に設けた溝内に電線群を配索した後に、樹脂流通用の***を設けた樹脂成型品のプロテクタを電線群の所要箇所に蓋としてセットし、該プロテクタで上記電線群を溝内部に抑えこんだ状態で上型で型締めし、
上記下型の溝内に電線群を配索した状態で上記溝に樹脂を充填し、あるいは上型で型締めした後に上記構内に樹脂を充填し、電線群と共に上記プロテクタも樹脂でモールドしているワイヤハーネスの成形方法を提供している。
【0008】
上記方法とすると、成形用金型の下型に設けた溝内に布線した電線を上記プロテクタを利用して溝内部に抑えこむため、布線した電線が溝からはみ出すことがなく、容易に上型で型締めすることができる。よって、電線のはみ出しによる型締め作業のやり直しを防ぎ、作業性を向上することができ、また、電線がはみ出した状態での樹脂モールドを防ぐことができる。
【0009】
上記プロテクタは電線群の上方に配置する蓋から側方に突出した取付部を備えた略T形状の平板状とし、該取付部に設けた取付穴を下型の側壁上面に突設した突起に嵌合して位置決め保持している。
上記プロテクタとすることにより、下型の溝内に布線した電線の押圧によってプロテクタが外れることがないため、電線を確実に溝内に抑えこむことができる。
【0010】
また、上記プロテクタを断面L形状とし、その直交する両側部に上記樹脂流通用の***を設けていると共に、その一側部を下型の溝側面に沿わせて配置する側面ガイド部とする一方、他側部を電線群の上部に配置する蓋部としてもよい。
【0011】
プロテクタを上記構成とすると、プロテクタの蓋部により電線群を溝内部に抑えこむ一方、側面ガイド部により電線が樹脂被覆層から露出するのを防ぐことができる。また、側面ガイド部が電線群と溝の外周面との間で固定されるため、金型にプロテクタを固定するための突起等を設ける必要がない。
このL形状のプロテクタは前記平板形状のプロテクタと比較して、断面L形状であるとプロテクタが屈曲しにくくなるため、プロテクタを取り付けた部位の形状保持機能を向上させることができる。
【0012】
上記断面L形状のプロテクタは、外周側に沿わせる側面ガイド部に、その上端から屈折して電線群の上方に配置する蓋部と、下端から屈折して上記下型の溝底面にセットする底板部とを長さ方向に位相させて交互に設ける構成としてもよい。
【0013】
上記プロテクタであると、下型の溝内に布線した電線群を蓋部で抑えこむと共に、溝底面に当接する底板部を設けているため、溝内にセットしたプロテクタが安定し位置ズレしにくくなる。
また、プロテクタを電線群に装着してから、プロテクタと共に電線群を溝内に布線するため、電線群の布線作業を容易にすることができる。さらに、プロテクタ全体に蓋部及び底板部を設ける場合と比較して、プロテクタを電線群に装着しやすい。
また、蓋部及び底板部により、成形ワイヤハーネスの上下面における電線の露出を防ぐことができる。
さらに、プロテクタ全体に蓋部及び底板部を設ける場合と比較して、充填する樹脂の流れが良く、作業性が良い。
【0014】
上記断面L形状のプロテクタは電線群の屈曲部に配置し、外周側となる溝側面に上記側面ガイド部を沿わせて配置している。
これにより、ワイヤハーネスの屈曲部の形状を保持することができると共に、電線群を溝の中心位置に維持することが困難な屈曲部においても、上記側面ガイド部により、成形ワイヤハーネスの樹脂被覆層の外周側面から電線群が露出するのを防ぐことができる。
【0015】
上記電線群の屈曲部には、下型の溝内周面より突起を設け、該突起に上記底板部の先端面を当接させて上記プロテクタを位置決めしている。
上記構成とすることにより、プロテクタが位置ズレしたり、溝内から外れることがないため、電線を確実に溝内に抑えこむことができると共に、上記溝内周面から突出する突起により、布線した電線を溝の中心位置に保持するため、樹脂被覆層の内周側面においても電線が露出するのを防ぐことができる。
【0016】
また、本発明は、上記方法により成形されたワイヤハーネスも提供している。
上記成形ワイヤハーネスであると、コネクタ近傍を除いて配索形態に樹脂モールドしているので、分岐する電線の方向を配索方向に規制でき、車両への配索形態に保持できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、電線群Wを樹脂モールドして所要の配索形状にワイヤハーネス11を成形するための金型10を示す。
金型10は、仕様変更等にもフレキシブルに対応できるように分割されており、ワイヤハーネス11の集中分岐部11aを成形するための共用金型10aに、支線11b〜11iやグロメット部11g−2を成形するための分岐用金型10b〜10nを組み合わせて用いている。
上記集中分岐部11aでは電線群Wの集中分岐部が樹脂モールドされており、上記支線11b〜11iでは上記集中分岐部から分岐した電線群Wが樹脂モールドされている。
【0018】
共用金型(下型)10aの溝10a−1にプロテクタ(図示せず)を配置すると共に、所要の分岐用金型(下型)10i、10mの溝10i−1、10m−1にL字プロテクタ30、オフセットクランプ13、14を配置し、金型10の溝10a−1〜10n−1の端末にコネクタCが接続された電線群Wを布線した後、樹脂を充填し上型(図示せず)で型締めしてモールドすることにより、図2に示すワイヤハーネス11が成形される。
【0019】
金型10内に布線された電線群WはコネクタCとの接続部の近傍を除いて配索形態に樹脂モールドしているので、成形後のワイヤハーネスが配索形状に維持され、支線11b〜11iの分岐方向を正しく維持することできる。
なお、分岐用金型10b〜10g、10h、10j、10lの溝10b−1〜10g−1、10h−1、10j−1、10l−1の内周面を螺旋状に切り欠くことで、樹脂流れの促進を図ると共に、成形後の支線11b〜11e、11f−1、11f−3、11f−4、11g−1、11h−4、11iの屈曲性を維持し、外周面で電線が露出しないようにしている。
【0020】
詳細には、上記成形ワイヤハーネスのプロテクタを用いた部位の成形方法及び金型は下記の構成としている。
【0021】
図3に示すように、直線状の分岐用金型10fに設けた溝10f−1は、断面半円形状の溝周面に螺旋状の凹凸部を設けている。分岐用金型10fの側壁上面には、溝10f−1近傍の所要箇所にプロテクタ20を固定するための突起10f−2を設けている。
【0022】
図4に示すように、上記プロテクタ20はT形状の平板状としており、蓋部20aの長手方向の中央から側方に取付部20bが突出している。上記蓋部20aには所要の間隔をあけて樹脂流通用の***20cを設けると共に、上記取付部20bには上記分岐用金型10fの突起10f−2に嵌合する取付穴20dを設けている。
【0023】
次に、上記プロテクタ20を用いたワイヤハーネスの成形方法について説明する。
まず、図5(A)に示すように、分岐用金型10fの溝10f−1に電線群Wを布線する。
次いで、図5(B)に示すように、分岐用金型10fに設けた突起10f−2を上記プロテクタ20の取付穴20dに嵌合させてプロテクタ20を分岐用金型10fに取り付け、布線した電線群Wを溝10f−1内に抑えこむ。
【0024】
次いで、分岐用金型10fの溝10f−1の上面開口に沿って上方から樹脂を垂らし込むように充填していく。
樹脂を分岐用金型10fの溝10f−1にすべて充填した後に、分岐用金型(上型)を分岐用金型(下型)10fに被せて型締めし、充填した樹脂を硬化させる。
上記樹脂を硬化させた後、分岐用金型(下型)10fと分岐用金型(上型)を離型することで図5(C)に示すような、電線群Wを樹脂からなる樹脂被覆層でモールドした成形ワイヤハーネス11f−1が成形される。
【0025】
上記構成とすると、成形用金型の分岐用金型10fの溝10f−1内に布線した電線群Wを上記プロテクタ20により溝内部に抑えこむため、布線した電線群Wが溝10f−1からはみ出すことがなく、容易に分岐用金型(上型)で型締めすることができる。よって、電線のはみ出しによる型締め作業のやり直しを防ぎ、作業性を向上することができ、また、電線がはみ出した状態での樹脂モールドを防ぐことができる。
【0026】
なお、上記プロテクタ20を用いたワイヤハーネスの成形方法は分岐用金型10fに限らず、直線状の分岐用金型10b〜10e、10g、10h、10j、10lにおいても可能である。
また、樹脂の充填順序として、上型を型締めする前に樹脂を垂らし込む代わりに、型締め後に樹脂注入口(図示せず)から樹脂を充填注入してもよい。
【0027】
図6乃至図8は本発明の第2実施形態を示す。
上記分岐用金型10iの溝10i−1は断面四角形状であり、所要の曲率で屈曲している。分岐用金型10iの両端からは直線状の分岐用金型10f、10jが延在しており、該分岐用金型10f、10jの溝10f−1、10j−1は断面半円形状とし、その溝周面に螺旋状の凹凸部を設けている。
上記分岐用金型10iの溝10i−1の内周面10i−1aにはV形状の凸部10i−1cを一定のピッチで設けており、該凸部10i−1cの上面を面取りしてテーパ形状としている。また、外周面10i−1bからは、プロテクタ30から突出する車体係止用ロック部33を挿入するためのロック部挿入溝10i−1dが延出している。
【0028】
図7に示すように、分岐用金型10iの溝10i−1にセットするプロテクタ30は、溝10i−1と同じ曲率で屈曲する側面ガイド部31の上端から屈折する蓋部32を設けた断面L形状としている。上記側面ガイド部31はプロテクタ30を上記溝10i−1に嵌め込んだ状態で、溝10i−1の外周面10i−1bに沿う形状としている。また、上記蓋部32には***32aを間隔をあけて穿設している。
また、上記側面ガイド部31からはプロテクタ30の外周側に向けて車体係止用ロック部33が突出している。該車体係止用ロック部33は、2つの接続片33aを介してプロテクタ30と一体となっており、ボックスの一端を開口33bとし、ボックス内にはボデー等に係止する係止爪(図示せず)を設けている。
【0029】
次に、上記プロテクタ30を用いた支線11f’の成形方法を説明する。
まず、図8(A)に示すように、分岐用金型(下型)10f、10i、10jの溝10f−1、10i−1、10j−1に電線群Wを布線する。溝10i−1では内周面10i−1aから突出する凸部10i−1cを電線群Wに当接させて、電線群Wが内周面10i−1aに沿わないように布線している。
【0030】
次いで、図8(B)に示すように、分岐用金型(下型)10iの溝10i−1にプロテクタ30の側面ガイド部31を溝10i−1の外周面10i−1bに沿わせ、蓋部32により布線した電線群Wを溝10i−1内に抑えこむと共に、車体係止用ロック部33をロック部挿入溝10i−1dに挿入する。
【0031】
次いで、上記溝10f−1、10i−1、10j−1の上面開口に沿って上方から樹脂を垂らし込むように充填していく。溝10i−1に未発泡樹脂のウレタンを充填する一方、溝10f−1、10j−1には発泡ウレタンを充填している。
【0032】
上記樹脂を溝10f−1、10i−1、10j−1にすべて充填した後に、分岐用金型(上型)を分岐用金型(下型)10f、10i、10jに被せて型締めし、充填した樹脂を硬化させる。
上記樹脂を硬化させた後、分岐用金型(下型)10f、10i、10jと分岐用金型(上型)を離型することで図8(C)に示すような、電線群Wがモールド樹脂に埋設された支線11f’が成形される。
【0033】
上記構成とすると、プロテクタ30の蓋部32により電線群Wを溝10i−1内部に抑えこむため、分岐用金型(上型)の型締め作業を容易にすることができる。また、側面ガイド部31が電線群Wと溝10i−1の外周面10i−1bとの間で固定されるため、金型10にプロテクタ30を固定するための突起等を設ける必要がない。
【0034】
また、屈曲している溝10i−1において、内周面10i−1aから突出する凸部10i−1cにより、布線した電線群Wが内周面10i−1aに沿うことなく溝10i−1の中央位置に保持されると共に、外周面10i−1bには側面ガイド部31を位置させているため、樹脂被覆層の外周面で電線wが露出するのを防ぐことができる。
【0035】
また、電線群Wをモールドすると同時にプロテクタ30も一体的にモールドすることによりプロテクタ30の取付作業を省略しているので、作業工数を低減することもできる。さらに、上記プロテクタ30には車体係止用ロック部33を一体成形しており、電線wと共に樹脂モールドしているため、ワイヤハーネス成形後にロック部を取り付ける必要がなく、部品点数の削減及び作業工程の削減を図ることができる。
【0036】
また、支線11f−2’は電線wと共に樹脂成型品からなるプロテクタ30を樹脂モールドしており、かつモールド樹脂として未発泡樹脂を用いているため、屈曲部の形状を保持することができる。これに対し、その他の支線は発泡樹脂により成形しているため、屈曲が可能であり配索作業を容易にすることができる。
【0037】
さらに、プロテクタ30に設けた***32aを通してプロテクタ30の外面側にも上記樹脂をまわり込ませるため、分岐用金型10iの溝10i−1内全体に樹脂を充填することができ、樹脂被覆層が確実に外装保護材の役割を果たすことができる。また、***32aに樹脂が充填されて、プロテクタ30と樹脂との結合力を増強させることができる。
また、上記***32aを通して樹脂が溝10i−1内に拡がるため、充填速度を促進させ作業性を向上することができる。
【0038】
図9乃至図11は、本発明の第3実施形態を示す。
本実施形態に使用するプロテクタ30’は、分岐用金型10iの溝外周面10i−1bに沿わせる側面ガイド部31’に、その上端から屈折して電線群Wの上方に配置する蓋部32’と、下端から屈折して溝底面10i−1eにセットする底板部34’とを長さ方向に位相させて交互に設ける構成としている。蓋部32’及び底板部34’には所定の間隔をあけて***32a’、34a’を穿設している。また、上記プロテクタ30と同様、側面ガイド部31’から車体係止用ロック部33’が突出している。
【0039】
次に、上記プロテクタ30’を用いた支線11f”の成形方法について説明する。
まず、図10及び図11に示すように、分岐用金型10iの溝10i−1に布線する箇所の電線群Wを上記プロテクタ30’の蓋部32’と底板部34’との間に挿通し、電線群Wをプロテクタ30’と共に分岐用金型(下型)10iの溝10i−1に布線する。
【0040】
次いで、上記溝10f−1、10i−1、10j−1の上面開口に沿って上方から樹脂を垂らし込むように充填し、分岐用金型(上型)を分岐用金型(下型)10f、10i、10jに被せて型締めし、充填した樹脂を硬化させる。
上記樹脂を硬化させた後、分岐用金型(下型)10f、10i、10jと分岐用金型(上型)を離型することで電線群Wが樹脂被覆層に埋設された支線11f”が成形される。
【0041】
プロテクタ30’を上記構成とすると、分岐用金型10の溝10i−1内に布線した電線群Wを蓋部32’で抑えこむと共に、溝底面10i−1eに当接する底板部34’を設けているため、溝10i−1内にセットしたプロテクタ30’が安定し位置ズレしにくくなる。
また、プロテクタ30’を電線群Wに装着してから、プロテクタ30’と共に電線群Wを溝10i−1内に布線するため、電線群Wの布線作業を容易にすることができる。さらに、プロテクタ全体に蓋部及び底板部を設ける場合と比較して、プロテクタを電線群Wに装着しやすい。
また、蓋部32’及び底板部34’により、成形ワイヤハーネスの上下面における電線wの露出を防ぐことができる。
さらに、プロテクタ全体に蓋部及び底板部を設ける場合と比較して、充填する樹脂の流れが良く、作業性が良い。
【0042】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、成形用金型の下型に設けた溝内に布線した電線を上記プロテクタにより溝内部に抑えこむため、布線した電線が溝からはみ出すことがなく、容易に上型で型締めすることができる。よって、電線のはみ出しによる型締め作業のやり直しを防ぎ、作業性を向上することができ、また、電線がはみ出した状態での樹脂モールドを防ぐことができる。
【0043】
上記プロテクタをL形状とすると、プロテクタの蓋部により電線群を溝内部に抑えこむ一方、側面ガイド部により電線が樹脂被覆層から露出するのを防ぐことができる。また、側面ガイド部が電線群と溝の外周面との間で固定されるため、金型にプロテクタを固定するための突起等を設ける必要がない。
また、平面からなるプロテクタと比較して、断面L形状であるとプロテクタが屈曲しにくくなるため、プロテクタを取り付けた部位の形状保持機能を向上させることができる。
【0044】
上記断面L形状のプロテクタを側面ガイド部に、その上端から屈折して電線群の上方に配置する蓋部と、下端から屈折して上記下型の溝底面にセットする底板部とを長さ方向に位相させて交互に設ける構成とすると、下型の溝内に布線した電線群を蓋部で抑えこむと共に、底板部が溝底面に当接して溝内にセットしたプロテクタが安定し位置ズレしにくくなる。
また、プロテクタを電線群に仮取り付けしてから、プロテクタと共に電線群を溝内に布線すると、電線群の布線作業を容易にすることができる。さらに、プロテクタ全体に蓋部及び底板部を設ける場合と比較して、プロテクタを電線群に装着しやすい。
また、蓋部及び底板部により、成形ワイヤハーネスの上下面における電線の露出を防ぐことができる。
さらに、プロテクタ全体に蓋部及び底板部を設ける場合と比較して、充填する樹脂の流れが良く、作業性が良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施形態の金型(下型)の上面図である。
【図2】成形ワイヤハーネスの上面図である。
【図3】第1実施形態の分岐用金型を示す斜視図である。
【図4】第1実施形態のプロテクタを示す斜視図である。
【図5】第1実施形態のワイヤハーネス成形工程を示す図面である。
【図6】第2実施形態の分岐用金型を示す斜視図である。
【図7】第2実施形態のプロテクタを示す斜視図である。
【図8】第2実施形態のワイヤハーネス成形工程を示す図面である。
【図9】第3実施形態のプロテクタを示す斜視図である。
【図10】第3実施形態のワイヤハーネス成形工程の第1工程を示す図面である。
【図11】第3実施形態のワイヤハーネス成形工程の第2工程を示す図面である。
【図12】従来例を示す図面である。
【符号の説明】
10 金型
10a 共用金型
10a−1〜n−1 溝
10b〜n 分岐用金型
10f−2 突起
10i−1a 内周面
10i−1c 凸部
10i−1d ロック部用溝
11 成形ワイヤハーネス
11a 集中分岐部
11b〜i 支線
11g−2 グロメット部
13、14 オフセット・クランプ
20 プロテクタ
20a 蓋部
20b 取付部
20c ***
20d 取付穴
30、30’ プロテクタ
31、31’ 側面ガイド部
32、32’ 蓋部
32a、32a’、34a’ ***
33 車体係止用ロック部
34’ 底板部
【発明が属する技術分野】
本発明は、ワイヤハーネスの成形方法に関し、特に、成形用金型の溝内にプロテクタを電線と共に挿入してモールドするものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車に配索するワイヤハーネスは、ワイヤハーネス組立作業台上で電線布線治具に沿って電線群を布線し、その後、布線された電線群をテープ巻きして結束し、さらに、所要箇所に車体取付用のクランプ等をバンドあるいはテープ巻して取り付けたり、所要の区間にプロテクタを取り付けている。
【0003】
上記のように組み立てられるワイヤハーネスは、作業工数が非常に多くなる等の問題がある。特に、車体取付用のクランプは各支線を所要の配索位置に保持するため多数取り付けられていると共に外部干渉材が位置する箇所はワイヤハーネスの経路規制をする必要がある箇所にはプロテクタを取り付けており、これら外装品を取り付ける手数がかかる問題がある。
【0004】
上記のように組み立てられるワイヤハーネスは、作業工数が非常に多くなる等の問題があるため、特開平6−223645号において、図12に示す成形用金型1の溝2内に電線を布線した後、樹脂でモールドする成形ワイヤハーネスが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記成形用金型による成形ワイヤハーネスの成形方法では、溝内に布線した電線が上型を型締めする前に、溝内からはみ出てしまうおそれがあるため上型を取り付けにくく、また、布線した電線が溝内からはみ出してしまうと、その都度電線を溝内に布線し直さなければならず、作業性が悪いという問題がある。
さらに、電線が溝内からはみ出した状態で上型を取り付けて型締めし、電線群を樹脂でモールドすると、成形ワイヤハーネスの樹脂被覆層から電線が露出する問題がある。
【0006】
本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、成形用金型の溝内に布線した電線を確実に溝内に抑えこみ、上型の取り付け作業を容易にすることを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、電線群を樹脂でモールドさせて所要の配索形態とするワイヤハーネスの成形方法であって、
成形用金型の下型に設けた溝内に電線群を配索した後に、樹脂流通用の***を設けた樹脂成型品のプロテクタを電線群の所要箇所に蓋としてセットし、該プロテクタで上記電線群を溝内部に抑えこんだ状態で上型で型締めし、
上記下型の溝内に電線群を配索した状態で上記溝に樹脂を充填し、あるいは上型で型締めした後に上記構内に樹脂を充填し、電線群と共に上記プロテクタも樹脂でモールドしているワイヤハーネスの成形方法を提供している。
【0008】
上記方法とすると、成形用金型の下型に設けた溝内に布線した電線を上記プロテクタを利用して溝内部に抑えこむため、布線した電線が溝からはみ出すことがなく、容易に上型で型締めすることができる。よって、電線のはみ出しによる型締め作業のやり直しを防ぎ、作業性を向上することができ、また、電線がはみ出した状態での樹脂モールドを防ぐことができる。
【0009】
上記プロテクタは電線群の上方に配置する蓋から側方に突出した取付部を備えた略T形状の平板状とし、該取付部に設けた取付穴を下型の側壁上面に突設した突起に嵌合して位置決め保持している。
上記プロテクタとすることにより、下型の溝内に布線した電線の押圧によってプロテクタが外れることがないため、電線を確実に溝内に抑えこむことができる。
【0010】
また、上記プロテクタを断面L形状とし、その直交する両側部に上記樹脂流通用の***を設けていると共に、その一側部を下型の溝側面に沿わせて配置する側面ガイド部とする一方、他側部を電線群の上部に配置する蓋部としてもよい。
【0011】
プロテクタを上記構成とすると、プロテクタの蓋部により電線群を溝内部に抑えこむ一方、側面ガイド部により電線が樹脂被覆層から露出するのを防ぐことができる。また、側面ガイド部が電線群と溝の外周面との間で固定されるため、金型にプロテクタを固定するための突起等を設ける必要がない。
このL形状のプロテクタは前記平板形状のプロテクタと比較して、断面L形状であるとプロテクタが屈曲しにくくなるため、プロテクタを取り付けた部位の形状保持機能を向上させることができる。
【0012】
上記断面L形状のプロテクタは、外周側に沿わせる側面ガイド部に、その上端から屈折して電線群の上方に配置する蓋部と、下端から屈折して上記下型の溝底面にセットする底板部とを長さ方向に位相させて交互に設ける構成としてもよい。
【0013】
上記プロテクタであると、下型の溝内に布線した電線群を蓋部で抑えこむと共に、溝底面に当接する底板部を設けているため、溝内にセットしたプロテクタが安定し位置ズレしにくくなる。
また、プロテクタを電線群に装着してから、プロテクタと共に電線群を溝内に布線するため、電線群の布線作業を容易にすることができる。さらに、プロテクタ全体に蓋部及び底板部を設ける場合と比較して、プロテクタを電線群に装着しやすい。
また、蓋部及び底板部により、成形ワイヤハーネスの上下面における電線の露出を防ぐことができる。
さらに、プロテクタ全体に蓋部及び底板部を設ける場合と比較して、充填する樹脂の流れが良く、作業性が良い。
【0014】
上記断面L形状のプロテクタは電線群の屈曲部に配置し、外周側となる溝側面に上記側面ガイド部を沿わせて配置している。
これにより、ワイヤハーネスの屈曲部の形状を保持することができると共に、電線群を溝の中心位置に維持することが困難な屈曲部においても、上記側面ガイド部により、成形ワイヤハーネスの樹脂被覆層の外周側面から電線群が露出するのを防ぐことができる。
【0015】
上記電線群の屈曲部には、下型の溝内周面より突起を設け、該突起に上記底板部の先端面を当接させて上記プロテクタを位置決めしている。
上記構成とすることにより、プロテクタが位置ズレしたり、溝内から外れることがないため、電線を確実に溝内に抑えこむことができると共に、上記溝内周面から突出する突起により、布線した電線を溝の中心位置に保持するため、樹脂被覆層の内周側面においても電線が露出するのを防ぐことができる。
【0016】
また、本発明は、上記方法により成形されたワイヤハーネスも提供している。
上記成形ワイヤハーネスであると、コネクタ近傍を除いて配索形態に樹脂モールドしているので、分岐する電線の方向を配索方向に規制でき、車両への配索形態に保持できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、電線群Wを樹脂モールドして所要の配索形状にワイヤハーネス11を成形するための金型10を示す。
金型10は、仕様変更等にもフレキシブルに対応できるように分割されており、ワイヤハーネス11の集中分岐部11aを成形するための共用金型10aに、支線11b〜11iやグロメット部11g−2を成形するための分岐用金型10b〜10nを組み合わせて用いている。
上記集中分岐部11aでは電線群Wの集中分岐部が樹脂モールドされており、上記支線11b〜11iでは上記集中分岐部から分岐した電線群Wが樹脂モールドされている。
【0018】
共用金型(下型)10aの溝10a−1にプロテクタ(図示せず)を配置すると共に、所要の分岐用金型(下型)10i、10mの溝10i−1、10m−1にL字プロテクタ30、オフセットクランプ13、14を配置し、金型10の溝10a−1〜10n−1の端末にコネクタCが接続された電線群Wを布線した後、樹脂を充填し上型(図示せず)で型締めしてモールドすることにより、図2に示すワイヤハーネス11が成形される。
【0019】
金型10内に布線された電線群WはコネクタCとの接続部の近傍を除いて配索形態に樹脂モールドしているので、成形後のワイヤハーネスが配索形状に維持され、支線11b〜11iの分岐方向を正しく維持することできる。
なお、分岐用金型10b〜10g、10h、10j、10lの溝10b−1〜10g−1、10h−1、10j−1、10l−1の内周面を螺旋状に切り欠くことで、樹脂流れの促進を図ると共に、成形後の支線11b〜11e、11f−1、11f−3、11f−4、11g−1、11h−4、11iの屈曲性を維持し、外周面で電線が露出しないようにしている。
【0020】
詳細には、上記成形ワイヤハーネスのプロテクタを用いた部位の成形方法及び金型は下記の構成としている。
【0021】
図3に示すように、直線状の分岐用金型10fに設けた溝10f−1は、断面半円形状の溝周面に螺旋状の凹凸部を設けている。分岐用金型10fの側壁上面には、溝10f−1近傍の所要箇所にプロテクタ20を固定するための突起10f−2を設けている。
【0022】
図4に示すように、上記プロテクタ20はT形状の平板状としており、蓋部20aの長手方向の中央から側方に取付部20bが突出している。上記蓋部20aには所要の間隔をあけて樹脂流通用の***20cを設けると共に、上記取付部20bには上記分岐用金型10fの突起10f−2に嵌合する取付穴20dを設けている。
【0023】
次に、上記プロテクタ20を用いたワイヤハーネスの成形方法について説明する。
まず、図5(A)に示すように、分岐用金型10fの溝10f−1に電線群Wを布線する。
次いで、図5(B)に示すように、分岐用金型10fに設けた突起10f−2を上記プロテクタ20の取付穴20dに嵌合させてプロテクタ20を分岐用金型10fに取り付け、布線した電線群Wを溝10f−1内に抑えこむ。
【0024】
次いで、分岐用金型10fの溝10f−1の上面開口に沿って上方から樹脂を垂らし込むように充填していく。
樹脂を分岐用金型10fの溝10f−1にすべて充填した後に、分岐用金型(上型)を分岐用金型(下型)10fに被せて型締めし、充填した樹脂を硬化させる。
上記樹脂を硬化させた後、分岐用金型(下型)10fと分岐用金型(上型)を離型することで図5(C)に示すような、電線群Wを樹脂からなる樹脂被覆層でモールドした成形ワイヤハーネス11f−1が成形される。
【0025】
上記構成とすると、成形用金型の分岐用金型10fの溝10f−1内に布線した電線群Wを上記プロテクタ20により溝内部に抑えこむため、布線した電線群Wが溝10f−1からはみ出すことがなく、容易に分岐用金型(上型)で型締めすることができる。よって、電線のはみ出しによる型締め作業のやり直しを防ぎ、作業性を向上することができ、また、電線がはみ出した状態での樹脂モールドを防ぐことができる。
【0026】
なお、上記プロテクタ20を用いたワイヤハーネスの成形方法は分岐用金型10fに限らず、直線状の分岐用金型10b〜10e、10g、10h、10j、10lにおいても可能である。
また、樹脂の充填順序として、上型を型締めする前に樹脂を垂らし込む代わりに、型締め後に樹脂注入口(図示せず)から樹脂を充填注入してもよい。
【0027】
図6乃至図8は本発明の第2実施形態を示す。
上記分岐用金型10iの溝10i−1は断面四角形状であり、所要の曲率で屈曲している。分岐用金型10iの両端からは直線状の分岐用金型10f、10jが延在しており、該分岐用金型10f、10jの溝10f−1、10j−1は断面半円形状とし、その溝周面に螺旋状の凹凸部を設けている。
上記分岐用金型10iの溝10i−1の内周面10i−1aにはV形状の凸部10i−1cを一定のピッチで設けており、該凸部10i−1cの上面を面取りしてテーパ形状としている。また、外周面10i−1bからは、プロテクタ30から突出する車体係止用ロック部33を挿入するためのロック部挿入溝10i−1dが延出している。
【0028】
図7に示すように、分岐用金型10iの溝10i−1にセットするプロテクタ30は、溝10i−1と同じ曲率で屈曲する側面ガイド部31の上端から屈折する蓋部32を設けた断面L形状としている。上記側面ガイド部31はプロテクタ30を上記溝10i−1に嵌め込んだ状態で、溝10i−1の外周面10i−1bに沿う形状としている。また、上記蓋部32には***32aを間隔をあけて穿設している。
また、上記側面ガイド部31からはプロテクタ30の外周側に向けて車体係止用ロック部33が突出している。該車体係止用ロック部33は、2つの接続片33aを介してプロテクタ30と一体となっており、ボックスの一端を開口33bとし、ボックス内にはボデー等に係止する係止爪(図示せず)を設けている。
【0029】
次に、上記プロテクタ30を用いた支線11f’の成形方法を説明する。
まず、図8(A)に示すように、分岐用金型(下型)10f、10i、10jの溝10f−1、10i−1、10j−1に電線群Wを布線する。溝10i−1では内周面10i−1aから突出する凸部10i−1cを電線群Wに当接させて、電線群Wが内周面10i−1aに沿わないように布線している。
【0030】
次いで、図8(B)に示すように、分岐用金型(下型)10iの溝10i−1にプロテクタ30の側面ガイド部31を溝10i−1の外周面10i−1bに沿わせ、蓋部32により布線した電線群Wを溝10i−1内に抑えこむと共に、車体係止用ロック部33をロック部挿入溝10i−1dに挿入する。
【0031】
次いで、上記溝10f−1、10i−1、10j−1の上面開口に沿って上方から樹脂を垂らし込むように充填していく。溝10i−1に未発泡樹脂のウレタンを充填する一方、溝10f−1、10j−1には発泡ウレタンを充填している。
【0032】
上記樹脂を溝10f−1、10i−1、10j−1にすべて充填した後に、分岐用金型(上型)を分岐用金型(下型)10f、10i、10jに被せて型締めし、充填した樹脂を硬化させる。
上記樹脂を硬化させた後、分岐用金型(下型)10f、10i、10jと分岐用金型(上型)を離型することで図8(C)に示すような、電線群Wがモールド樹脂に埋設された支線11f’が成形される。
【0033】
上記構成とすると、プロテクタ30の蓋部32により電線群Wを溝10i−1内部に抑えこむため、分岐用金型(上型)の型締め作業を容易にすることができる。また、側面ガイド部31が電線群Wと溝10i−1の外周面10i−1bとの間で固定されるため、金型10にプロテクタ30を固定するための突起等を設ける必要がない。
【0034】
また、屈曲している溝10i−1において、内周面10i−1aから突出する凸部10i−1cにより、布線した電線群Wが内周面10i−1aに沿うことなく溝10i−1の中央位置に保持されると共に、外周面10i−1bには側面ガイド部31を位置させているため、樹脂被覆層の外周面で電線wが露出するのを防ぐことができる。
【0035】
また、電線群Wをモールドすると同時にプロテクタ30も一体的にモールドすることによりプロテクタ30の取付作業を省略しているので、作業工数を低減することもできる。さらに、上記プロテクタ30には車体係止用ロック部33を一体成形しており、電線wと共に樹脂モールドしているため、ワイヤハーネス成形後にロック部を取り付ける必要がなく、部品点数の削減及び作業工程の削減を図ることができる。
【0036】
また、支線11f−2’は電線wと共に樹脂成型品からなるプロテクタ30を樹脂モールドしており、かつモールド樹脂として未発泡樹脂を用いているため、屈曲部の形状を保持することができる。これに対し、その他の支線は発泡樹脂により成形しているため、屈曲が可能であり配索作業を容易にすることができる。
【0037】
さらに、プロテクタ30に設けた***32aを通してプロテクタ30の外面側にも上記樹脂をまわり込ませるため、分岐用金型10iの溝10i−1内全体に樹脂を充填することができ、樹脂被覆層が確実に外装保護材の役割を果たすことができる。また、***32aに樹脂が充填されて、プロテクタ30と樹脂との結合力を増強させることができる。
また、上記***32aを通して樹脂が溝10i−1内に拡がるため、充填速度を促進させ作業性を向上することができる。
【0038】
図9乃至図11は、本発明の第3実施形態を示す。
本実施形態に使用するプロテクタ30’は、分岐用金型10iの溝外周面10i−1bに沿わせる側面ガイド部31’に、その上端から屈折して電線群Wの上方に配置する蓋部32’と、下端から屈折して溝底面10i−1eにセットする底板部34’とを長さ方向に位相させて交互に設ける構成としている。蓋部32’及び底板部34’には所定の間隔をあけて***32a’、34a’を穿設している。また、上記プロテクタ30と同様、側面ガイド部31’から車体係止用ロック部33’が突出している。
【0039】
次に、上記プロテクタ30’を用いた支線11f”の成形方法について説明する。
まず、図10及び図11に示すように、分岐用金型10iの溝10i−1に布線する箇所の電線群Wを上記プロテクタ30’の蓋部32’と底板部34’との間に挿通し、電線群Wをプロテクタ30’と共に分岐用金型(下型)10iの溝10i−1に布線する。
【0040】
次いで、上記溝10f−1、10i−1、10j−1の上面開口に沿って上方から樹脂を垂らし込むように充填し、分岐用金型(上型)を分岐用金型(下型)10f、10i、10jに被せて型締めし、充填した樹脂を硬化させる。
上記樹脂を硬化させた後、分岐用金型(下型)10f、10i、10jと分岐用金型(上型)を離型することで電線群Wが樹脂被覆層に埋設された支線11f”が成形される。
【0041】
プロテクタ30’を上記構成とすると、分岐用金型10の溝10i−1内に布線した電線群Wを蓋部32’で抑えこむと共に、溝底面10i−1eに当接する底板部34’を設けているため、溝10i−1内にセットしたプロテクタ30’が安定し位置ズレしにくくなる。
また、プロテクタ30’を電線群Wに装着してから、プロテクタ30’と共に電線群Wを溝10i−1内に布線するため、電線群Wの布線作業を容易にすることができる。さらに、プロテクタ全体に蓋部及び底板部を設ける場合と比較して、プロテクタを電線群Wに装着しやすい。
また、蓋部32’及び底板部34’により、成形ワイヤハーネスの上下面における電線wの露出を防ぐことができる。
さらに、プロテクタ全体に蓋部及び底板部を設ける場合と比較して、充填する樹脂の流れが良く、作業性が良い。
【0042】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、成形用金型の下型に設けた溝内に布線した電線を上記プロテクタにより溝内部に抑えこむため、布線した電線が溝からはみ出すことがなく、容易に上型で型締めすることができる。よって、電線のはみ出しによる型締め作業のやり直しを防ぎ、作業性を向上することができ、また、電線がはみ出した状態での樹脂モールドを防ぐことができる。
【0043】
上記プロテクタをL形状とすると、プロテクタの蓋部により電線群を溝内部に抑えこむ一方、側面ガイド部により電線が樹脂被覆層から露出するのを防ぐことができる。また、側面ガイド部が電線群と溝の外周面との間で固定されるため、金型にプロテクタを固定するための突起等を設ける必要がない。
また、平面からなるプロテクタと比較して、断面L形状であるとプロテクタが屈曲しにくくなるため、プロテクタを取り付けた部位の形状保持機能を向上させることができる。
【0044】
上記断面L形状のプロテクタを側面ガイド部に、その上端から屈折して電線群の上方に配置する蓋部と、下端から屈折して上記下型の溝底面にセットする底板部とを長さ方向に位相させて交互に設ける構成とすると、下型の溝内に布線した電線群を蓋部で抑えこむと共に、底板部が溝底面に当接して溝内にセットしたプロテクタが安定し位置ズレしにくくなる。
また、プロテクタを電線群に仮取り付けしてから、プロテクタと共に電線群を溝内に布線すると、電線群の布線作業を容易にすることができる。さらに、プロテクタ全体に蓋部及び底板部を設ける場合と比較して、プロテクタを電線群に装着しやすい。
また、蓋部及び底板部により、成形ワイヤハーネスの上下面における電線の露出を防ぐことができる。
さらに、プロテクタ全体に蓋部及び底板部を設ける場合と比較して、充填する樹脂の流れが良く、作業性が良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施形態の金型(下型)の上面図である。
【図2】成形ワイヤハーネスの上面図である。
【図3】第1実施形態の分岐用金型を示す斜視図である。
【図4】第1実施形態のプロテクタを示す斜視図である。
【図5】第1実施形態のワイヤハーネス成形工程を示す図面である。
【図6】第2実施形態の分岐用金型を示す斜視図である。
【図7】第2実施形態のプロテクタを示す斜視図である。
【図8】第2実施形態のワイヤハーネス成形工程を示す図面である。
【図9】第3実施形態のプロテクタを示す斜視図である。
【図10】第3実施形態のワイヤハーネス成形工程の第1工程を示す図面である。
【図11】第3実施形態のワイヤハーネス成形工程の第2工程を示す図面である。
【図12】従来例を示す図面である。
【符号の説明】
10 金型
10a 共用金型
10a−1〜n−1 溝
10b〜n 分岐用金型
10f−2 突起
10i−1a 内周面
10i−1c 凸部
10i−1d ロック部用溝
11 成形ワイヤハーネス
11a 集中分岐部
11b〜i 支線
11g−2 グロメット部
13、14 オフセット・クランプ
20 プロテクタ
20a 蓋部
20b 取付部
20c ***
20d 取付穴
30、30’ プロテクタ
31、31’ 側面ガイド部
32、32’ 蓋部
32a、32a’、34a’ ***
33 車体係止用ロック部
34’ 底板部
Claims (7)
- 電線群を樹脂でモールドさせて所要の配索形態とするワイヤハーネスの成形方法であって、
成形用金型の下型に設けた溝内に電線群を配索した後に、樹脂流通用の***を設けた樹脂成型品のプロテクタを電線群の所要箇所に蓋としてセットし、該プロテクタで上記電線群を溝内部に抑えこんだ状態で上型で型締めし、
上記下型の溝内に電線群を配索した状態で上記溝に樹脂を充填し、あるいは上型で型締めした後に上記構内に樹脂を充填し、電線群と共に上記プロテクタも樹脂でモールドしているワイヤハーネスの成形方法。 - 上記プロテクタは電線群の上方に配置する蓋から側方に突出した取付部を備えた略T形状の平板からなり、該取付部に設けた取付穴を下型の側壁上面に突設した突起に嵌合して位置決め保持している請求項1に記載のワイヤハーネスの成形方法。
- 上記プロテクタは断面L形状で、その直交する両側部に上記樹脂流通用の***を設けていると共に、その一側部を下型の溝側面に沿わせて配置する側面ガイド部とする一方、他側部を電線群の上部に配置する蓋部としている請求項1に記載のワイヤハーネスの成形方法。
- 上記プロテクタは、外周側に沿わせる側面ガイド部に、その上端から屈折して電線群の上方に配置する蓋部と、下端から屈折して上記下型の溝底面にセットする底板部とを長さ方向に位相させて交互に設けている請求項3に記載のワイヤハーネスの成形方法。
- 上記プロテクタは電線群の屈曲部に配置し、外周側となる溝側面に上記側面ガイド部を沿わせて配置している請求項4に記載のワイヤハーネスの成形方法。
- 上記電線群の屈曲部には、下型の溝内周面より突起を設け、該突起に上記底板部の先端面を当接させて上記プロテクタを位置決めしている請求項5に記載のワイヤハーネスの成形方法。
- 請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の方法により成形されたワイヤハーネス。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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