JP2004012939A - 表示装置及び表示パネルの駆動方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】暗コントラストを向上させることが出来る表示装置及び表示パネルの駆動方法を提供することを目的とする。
【解決手段】表示パネル内の単位発光領域を第1放電セルと、光吸収層を備えた第2放電セルにて構築し、表示画像を司る発光を担うサスティン放電を上記第1放電セルにて生起させる一方、表示画像には関与しない発光を伴う各種制御放電を上記第2放電セルにて生起させる。
【選択図】 図5
【解決手段】表示パネル内の単位発光領域を第1放電セルと、光吸収層を備えた第2放電セルにて構築し、表示画像を司る発光を担うサスティン放電を上記第1放電セルにて生起させる一方、表示画像には関与しない発光を伴う各種制御放電を上記第2放電セルにて生起させる。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、表示パネルを搭載した表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、大型で薄型のカラー表示パネルとして面放電方式交流型プラズマディスプレイパネルを搭載したプラズマディスプレイ装置が注目されている。
図1〜図3は、従来の面放電方式交流型プラズマディスプレイパネルの構成の一部を示す図である。
【0003】
プラズマディスプレイパネル(PDP)には、互いに平行に配置された前面ガラス基板1と背面ガラス基板4との間に画素毎に放電を生じさせるための構成が形成されている。前面ガラス基板1の表面が表示面となる。前面ガラス基板1の裏面側には、長手の複数の行電極対(X’,Y’)と、この行電極対(X’,Y’)を被覆する誘電体層2と、この誘電体層2の裏面を被覆するMgOからなる保護層3が順に設けられている。各行電極X’,Y’は、それぞれ、幅の広いITO等の透明導電膜からなる透明電極Xa’,Ya’と、その導電性を補う幅の狭い金属膜からなるバス電極Xb’,Yb’とから構成されている。行電極X’とY’とが放電ギャップg’を挟んで対向するように表示画面の垂直方向に交互に配置されており、各行電極対(X’,Y’)によって、マトリクス表示の1表示ライン(行)Lが構成されている。背面ガラス基板4には、行電極対X’,Y’と直交する方向に配列された複数の列電極D’と、この列電極D’間にそれぞれ平行に形成された帯状の隔壁5と、この隔壁5の側面と列電極D’を被覆するそれぞれ赤(R)、緑(G)、青(B)の蛍光材料によって形成された蛍光体層6とが設けられている。上記保護層3及び蛍光体層6間には、キセノンを含むNe−Xeガスが封入されている放電空間S’が存在する。各表示ラインLには、列電極D’及び行電極対(X’,Y’)の交差部において放電空間S’を隔壁5によって区画した、単位発光領域としての放電セルC’が形成されている。
【0004】
上記の面放電方式交流型PDPにおける画像の形成には、中間調を表示させるための方法として、1フィールドの表示期間をNビットの表示データの各ビット桁の重み付けに対応した回数だけ発光するN個のサブフィールドに分割する、いわゆる、サブフィールド法が用いられている。
このサブフィールド法において、1フィールドの表示期間が分割された各サブフィールドは、図4に示す如く、一斉リセット期間Rc、アドレス期間Wc、及びサスティン期間Icによって構成されている。一斉リセット期間Rcでは、互いに対をなす行電極X1’〜Xn’とY1’〜Yn’間にリセットパルスRPx,RPyが一斉に印加されることによって、全ての放電セルにおいて一斉にリセット放電が行われ、これによって、一旦、各放電セル内に所定量の壁電荷が形成される。次のアドレス期間Wcでは、行電極対の一方の行電極Y1’〜Yn’に、順次、走査パルスSPが印加されるとともに、列電極D1’〜Dm’に、各表示ライン毎に画像の表示データに対応した表示データパルスDP1〜DPnが印加されて、アドレス放電(選択消去放電)が生起される。このとき、各放電セルは、画像の表示データに対応して、消去放電が発生されずに壁電荷が形成されたままの発光セルと、消去放電が発生して壁電荷が消滅した非発光セルとに分けられる。次のサスティン期間Icでは、互いに対をなす行電極X1’〜Xn’とY1’〜Yn’間にサスティンパルスIPx,IPyが各サブフィールドの重み付けに対応した数だけ印加される。これによって、壁電荷が残留したままの発光セルのみが、印加されるサスティンパルスIPx,IPyの数に対応した数だけサスティン放電を繰り返す。かかるサスティン放電により、放電空間S’に封入されているキセノンXeから波長147nmの真空紫外線が放射される。かかる真空紫外線により、背面基板上に形成されている赤(R)、緑(G)、青(B)の蛍光体層が励起して可視光を発生することにより、入力映像信号に対応した画像が得られるのである。
【0005】
このようなPDPにおける画像形成においては、上記のように、アドレス放電やサスティン放電の安定化のためにその放電の開始前にリセット放電が行われる。更に、アドレス放電も各サブフィールド毎に行われる。従来のPDPでは、このリセット放電およびアドレス放電が、サスティン放電によって画像形成のための可視光を発生させる放電セルC’内において行われる。
【0006】
よって、黒等の暗い画像の表示が行われる際にも、リセット放電やアドレス放電による発光がパネルの表示面に現れて画面が明るくなってしまうために、暗コントラストが低下する場合があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、かかる問題点を解決すべく為されたものであり、暗コントラストを向上させることが出来る表示装置及び表示パネルの駆動方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明による表示装置は、入力映像信号に基づく各画素毎の画素データに応じて前記入力映像信号に対応した画像表示を行う表示装置であって、放電空間を挟んで対向配置された前面基板及び背面基板と、前記前面基板の内面に設けられている複数の行電極対と、前記背面基板の内面において前記行電極対に交叉して配列された複数の列電極とを有し、前記行電極対及び前記列電極の各交差部に第1放電セル及び光吸収層が設けられている第2放電セルからなる単位発光領域が形成されている表示パネルと、前記行電極対各々の一方の行電極に順次、走査パルスを印加しつつ前記走査パルスと同一タイミングにて前記画素データに対応した画素データパルスを1表示ライン分ずつ順次前記列電極各々に印加して前記第2放電セル内において選択的にアドレス放電を生起せしめることにより前記第1放電セルを点灯セル状態及び消灯セル状態のいずれか一方に設定するアドレス手段と、前記行電極対の各々にサスティンパルスを繰り返し印加して前記点灯セル状態にある前記第1放電セルのみでサスティン放電を生起せしめるサスティン手段と、を含む。
【0009】
又、本発明による表示パネルの駆動方法は、放電空間を挟んで対向配置された前面基板及び背面基板と、前記前面基板の内面に設けられている複数の行電極対と、前記背面基板の内面において前記行電極対に交叉して配列された複数の列電極とを有し、前記行電極対及び前記列電極の各交差部に第1放電セル及び光吸収層が設けられている第2放電セルからなる単位発光領域が形成されている表示パネルを、入力映像信号に基づく各画素毎の画素データに応じて駆動する表示パネルの駆動方法であって、前記行電極対各々の一方の行電極に順次、走査パルスを印加しつつ前記走査パルスと同一タイミングにて前記画素データに対応した画素データパルスを1表示ライン分ずつ順次前記列電極各々に印加して前記第2放電セル内において選択的にアドレス放電を生起せしめることにより前記第1放電セルを点灯セル状態及び消灯セル状態のいずれか一方に設定するアドレス行程と、前記行電極対の各々にサスティンパルスを繰り返し印加して前記点灯セル状態にある前記第1放電セルのみでサスティン放電を生起せしめるサスティン行程と、を含む。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図5は、本発明による表示装置としてのプラズマディスプレイ装置の構成を示す図である。
図5に示すように、かかるプラズマディスプレイ装置は、プラズマディスプレイパネルとしてのPDP50、奇数X電極ドライバ51、偶数X電極ドライバ52、奇数Y電極ドライバ53、偶数Y電極ドライバ54、アドレスドライバ55、及び駆動制御回路56から構成される。
【0011】
PDP50には、表示画面における垂直方向に夫々伸張している帯状の列電極D1〜Dmが形成されている。更に、PDP50には、表示画面における水平方向に夫々伸張している帯状の行電極X0、X1〜Xn及び行電極Y1〜Ynが形成されている。一対の行電極、つまり行電極対(X1、Y1)〜行電極対(Xn、Yn)各々がPDP50における第1表示ライン〜第n表示ラインを担い、各表示ラインと列電極D1〜Dm各々との各交叉部に単位発光領域、つまり画素を担う画素セルPCが形成されている。つまり、PDP50には、図5に示す如き形態にて画素セルPC1,1〜PCn,mがマトリクス状に配列されているのである。尚、行電極X0は、第1表示ラインに属する画素セルPC1,1〜PC1,m各々に含まれる。
【0012】
図6〜図8は、PDP50の内部構造の一部を抜粋して示す図である。
図7に示すように、PDP50は、互いに平行に配置された前面ガラス基板10と背面ガラス基板13との間に画素毎に放電を生じさせるための上記列電極D、行電極X及びYを含む各種構成が形成されている。前面ガラス基板10の表面が表示面となり、その裏面側に、複数の長手の行電極対(X,Y)が表示画面における水平方向(図5の左右方向)に夫々平行に配列されている。
【0013】
行電極Xは、T字形状に形成されたITO等の透明導電膜からなる透明電極Xaと、金属膜からなる黒色のバス電極Xbとによって構成されている。バス電極Xbは、表示画面における水平方向に伸張した帯状の電極である。透明電極Xaにおける幅狭の基端部が表示画面における垂直方向に伸張してバス電極Xbに接続されている。透明電極Xaは、バス電極Xb上における各列電極Dに対応した位置に夫々接続されている。すなわち、透明電極Xaは帯状のバス電極Xb上における各列電極Dに対応した位置から、対を為す行電極Y側に向けて突起した突起電極端なのである。行電極Yも同様に、T字形状に形成されたITO等の透明電極膜からなる透明電極Yaと、金属膜からなる黒色のバス電極Ybとによって構成されている。バス電極Ybは、表示画面における水平方向に伸張した帯状の電極である。透明電極Yaにおける幅狭の基端部が表示画面における垂直方向に伸張してバス電極Ybに接続されている。透明電極Yaは、バス電極Yb上における各列電極Dに対応した位置に夫々接続されている。すなわち、透明電極Yaは帯状のバス電極Yb上における各列電極Dに対応した位置から、対を為す行電極X側に向けて突起した突起電極端なのである。行電極X及びYは、前面ガラス基板10の垂直方向(図6の上下方向及び図7の左右方向)において交互に配列されている。バス電極Xb及びYbに沿って等間隔に並列されたそれぞれの透明電極Xa及びYaが、互いに対となる相手の行電極側に伸張している。これら透明電極Xa及びYa各々における幅広の先端部が、互いに所定幅の放電ギャップgを介して対向して配置されている。
【0014】
前面ガラス基板10の裏面には、図7に示すように、行電極対(X,Y)を被覆するように誘電体層11が形成されている。誘電体層11の表面における、制御放電セルC2(後述する)各々に対応した位置に、誘電体層11から背面側に向かって突出した嵩上げ誘電体層12が形成されている。嵩上げ誘電体層12は、黒色または暗色の顔料を含んだ光吸収層からなり、バス電極Xb及びYbに対して平行方向に伸張して形成されている。嵩上げ誘電体層12の表面及び嵩上げ誘電体層12が形成されていない誘電体層11の表面は、MgOからなる図示しない保護層によって被覆されている。前面ガラス基板10と放電空間を介して平行に配置された背面ガラス基板13には、図7に示すように、突起リブ17が嵩上げ誘電体層12と対向する位置に形成されている。突起リブ17は表示画面における水平方向に伸張している。また、背面ガラス基板13上には、夫々、バス電極Xb及びYbと直交する方向(垂直方向)に伸張している複数の列電極Dが、互いに所定の間隔を開けて平行に配列されている。尚、各列電極Dは、図8に示すように、透明電極Xa及びYaに対向した背面ガラス基板13上の位置に形成されている。更に、背面ガラス基板13上には、列電極Dを被覆する白色の列電極保護層(誘電体層)14が形成されている。列電極保護層14上には、第1横壁15A、第2横壁15B及び縦壁15Cからなる隔壁15が形成されている。第1横壁15Aは、前面ガラス基板10側から見て、各行電極Xのバス電極Xbと対になっているバス電極Yb側の側部に沿ってそれぞれ水平方向に伸張して形成されている。第2横壁15Bは、各行電極Yのバス電極Ybと対になっているバス電極Xb側の側部に沿ってそれぞれ第1横壁15Aと所要の間隔を空けて平行に伸張して形成されている。縦壁15Cは、バス電極Xb,Ybに沿って等間隔に配置された各透明電極Xa,Yaの間の位置においてそれぞれ垂直方向に伸張して形成されている。
【0015】
第1横壁15Aおよび縦壁15Cの高さは、嵩上げ誘電体層12の背面側を被覆している保護層と列電極Dを被覆している列電極保護層14との間の間隔と等しい。つまり、第1横壁15Aおよび縦壁15Cは共に、嵩上げ誘電体層12を被覆している保護層の背面側に当接されているのである。一方、第2横壁15Bは、その高さが第1横壁15A及び縦壁15Cの高さよりも僅かに低い。すなわち、第2横壁15Bは嵩上げ誘電体層12を被覆している保護層には当接されておらず、それ故に、第2横壁15Bと嵩上げ誘電体層12を被覆している保護層との間には、図7に示す如き隙間rが存在する。
【0016】
図6に示されるように、第1横壁15A及び縦壁15Cによって囲まれた領域が画素を担う画素セルPCとなる。画素セルPCは、更に、第2横壁15Bによって表示放電セルC1及び制御放電セルC2に区分けされる。表示放電セルC1及び制御放電セルC2各々内には放電ガスが封入されており、両者は上記隙間rを介して互いに連通されている。
【0017】
表示放電セルC1は、互いに対向する一対の透明電極Xa及びYaを含む。すなわち、表示放電セルC1内には、その画素セルPCが属する表示ラインに対応した行電極対(X、Y)における行電極Xの透明電極Xa、及び行電極Yの透明電極Yaが互いに放電ギャップgを介して対向して形成されている。例えば、第2表示ラインに属する画素セルPC2,1〜PC2,m各々の表示放電セルC1内には、行電極X2の透明電極Xaと、行電極Y2の透明電極Yaが形成されているのである。
【0018】
一方、制御放電セルC2は、突起リブ17、バス電極Xb,Yb、及び嵩上げ誘電体層12を含んでいる。尚、制御放電セルC2内に形成されているバス電極Ybは、その画素セルPCが属する表示ラインに対応した行電極対(X、Y)における行電極Yのバス電極である。又、制御放電セルC2内に形成されているバス電極Xbは、この画素セルPCが属する表示ラインの上段側に隣接した表示ラインを担う行電極Xのバス電極である。例えば、第2表示ラインに属する画素セルPC2,1〜PC2,m各々の制御放電セルC2内には、この第2表示ラインに対応した行電極Y2のバス電極Yb、及び第2表示ラインの上段側に隣接している第1表示ラインに対応した行電極Y1のバス電極Xbが形成されているのである。尚、第1表示ラインの上段には表示ラインが存在しない。そこで、PDP50においては、第1表示ラインを担う行電極Y1の上段側の隣接した位置に行電極X0を設けている。つまり、第1表示ラインに属する画素セルPC1,1〜PC1,m各々の制御放電セルC2内には、第1表示ラインに対応した行電極Y1のバス電極Ybと、行電極X0のバス電極Xbとが形成されているのである。
【0019】
各表示放電セルC1の放電空間に面する隔壁15の第1横壁15A、第2横壁15B及び縦壁15Cの各側面と列電極保護層14の表面には、これらの五つの面を覆うように蛍光体層16が形成されている。蛍光体層16としては、赤色で発光する赤色蛍光層、緑色で発光する緑色蛍光層、及び青色で発光する青色蛍光層の3系統があり、各画素セルPC毎にその割り当てが決まっている。尚、制御放電セルC2内には、このような蛍光体層は形成されていない。
【0020】
背面ガラス基板13上において、各制御放電セルC2に対応した位置には、表示画面における水平方向に沿って帯状に伸張している突起リブ17が形成されている。突起リブ17は、第2横壁15Bよりも高さが低い。突起リブ17により、各制御放電セルC2内においては、図7に示す如く列電極D及び列電極保護層14が背面ガラス基板13から持ち上げられることになる。よって、表示放電セルC1に対応した位置に形成されている列電極Dと、透明電極Xa(Ya)との間隔s1よりも、制御放電セルC2に対応した位置に形成されている列電極Dと、バス電極Xb(Yb)との間隔s2の方が小になる。尚、突起リブ17は、列電極保護層14と同一の誘電材料によって形成するようにしても良く、あるいは背面ガラス基板13上にサンドプラストやウェットエッチングなどの方法によって凹凸を形成することにより構成してもよい。
【0021】
以上の如く、PDP50には、各々が、前面ガラス基板10及び背面ガラス基板13間に形成されている隔壁15(第1横壁15A及び縦壁15C)によって密封された画素セルPC1,1〜PCn,mがマトリクス状に形成されている。この際、各画素セルPCは、互いにその放電空間が連通している表示放電セルC1及び制御放電セルC2からなり、行電極X0、X1〜Xn、行電極Y1〜Yn、及び列電極D1〜Dmを介して以下の如く駆動される。
【0022】
奇数X電極ドライバ51は、駆動制御回路56から供給されたタイミング信号に応じて、PDP50の奇数番目の行電極X、つまり行電極X1、X3、X5、・・・・、Xn−3、及びXn−1各々に、各種駆動パルス(後述する)を印加する。偶数X電極ドライバ52は、駆動制御回路56から供給されたタイミング信号に応じて、PDP50の偶数番目の行電極X、つまり行電極X0、X2、X4、・・・・、Xn−2、及びXn各々に各種駆動パルス(後述する)を印加する。奇数Y電極ドライバ53は、駆動制御回路56から供給されたタイミング信号に応じて、PDP50の奇数番目の行電極Y、つまり行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Yn−3、及びYn−1各々に各種駆動パルス(後述する)を印加する。偶数Y電極ドライバ54は、駆動制御回路56から供給されたタイミング信号に応じて、PDP50の偶数番目の行電極Y、つまり行電極Y2、Y4、・・・・、Yn−2、及びYn各々に各種駆動パルス(後述する)を印加する。アドレスドライバ55は、駆動制御回路56から供給されたタイミング信号に応じて、PDP50の列電極D1〜Dmに各種駆動パルス(後述する)を印加する。
【0023】
駆動制御回路56は、映像信号における各フィールド(フレーム)をN個のサブフィールドSF1〜SF(N)各々に分割して駆動する、いわゆるサブフィールド(サブフレーム)法に基づいてPDP50を駆動制御する。駆動制御回路56は、先ず、入力映像信号を各画素毎に輝度レベルを表す画素データに変換する。次に、かかる画素データを、各サブフィールドSF1〜SF(N)毎に発光を実施させるか否かを指定する画素駆動データビット群DB1〜DB(N)に変換してアドレスドライバ55に供給する。
【0024】
更に、駆動制御回路56は、図9に示す如き発光駆動シーケンスに従ってPDP50を駆動制御すべき各種タイミング信号を発生して、奇数X電極ドライバ51、偶数X電極ドライバ52、奇数Y電極ドライバ53及び偶数Y電極ドライバ54に供給する。
尚、図9に示す発光駆動シーケンスでは、先頭のサブフィールドSF1において、奇数行リセット行程RODD、奇数行アドレス行程WODD、偶数行リセット行程REVE、偶数行アドレス行程WEVE、プライミング行程P、サスティン行程I、及び消去行程Eが順次実行される。又、サブフィールドSF2〜SF(N)の各々では、奇数行アドレス行程WODD、偶数行アドレス行程WEVE、プライミング行程P、サスティン行程I、及び消去行程Eが順次実行される。
【0025】
図10は、先頭のサブフィールドSF1内において上記奇数X電極ドライバ51、偶数X電極ドライバ52、奇数Y電極ドライバ53、偶数Y電極ドライバ54及びアドレスドライバ55各々がPDP50に印加する各種駆動パルスとその印加タイミングを示す図である。又、図11は、サブフィールドSF2〜SF(N)の各々内において上記奇数X電極ドライバ51、偶数X電極ドライバ52、奇数Y電極ドライバ53、偶数Y電極ドライバ54及びアドレスドライバ55各々がPDP50に印加する各種駆動パルスとその印加タイミングを示す図である。 先ず、サブフィールドSF1の奇数行リセット行程RODDでは、偶数X電極ドライバ52が図10に示す如き波形を有する負電圧のリセットパルスRPXを発生して、PDP50の偶数の行電極X0、X2、X4、・・・・、Xn−2及びXnの各々に同時に印加する。リセットパルスRPXの印加後、偶数X電極ドライバ52は、図10に示す如き一定高電圧を印加しつづける。上記リセットパルスRPXの印加と同時に、奇数Y電極ドライバ53は、図10に示す如き波形を有する正電圧のリセットパルスRPYをPDP50の奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Yn−3、及びYn−1各々に同時に印加する。尚、リセットパルスRPX及びRPY各々の立ち上がり区間及び立ち下がり区間でのレベル推移は、後述するサスティンパルスIPの立ち上がり区間及び立ち下がり区間でのレベル推移よりも緩やかである。更に、リセットパルスRPYにおける立ち下がり区間でのレベル推移は、リセットパルスRPXの立ち上がり区間でのレベル推移よりも緩やかである。リセットパルスRPX及びRPYの印加に応じて、奇数表示ラインに属する画素セルPC1,1〜PC1,m、PC3,1〜PC3,m、PC5,1〜PC5,m、・・・・、及びPC(n−1)、1〜PC(n−1)、m各々の制御放電セルC2内においてリセット放電が生起される。つまり、リセットパルスRPX及びRPYの印加により、図6に示す如く制御放電セルC2内に形成されているバス電極Xb及びYb間でリセット放電が生起されるのである。この際、リセットパルスRPYの立ち上がり時において第1回目のリセット放電が生起され、その放電直後に制御放電セルC2内の嵩上げ誘電体層12の表面に壁電荷が形成される。その後、リセットパルスRPYの立ち下がり時において第2回目のリセット放電が生起され、制御放電セルC2内に形成されていた壁電荷が消滅する。尚、奇数行リセット行程RODDでは、偶数Y電極ドライバ54が、負電圧の放電防止パルスBPを上記リセットパルスRPX及びRPYと同一タイミングにてPDP50の偶数の行電極Y2、Y4、・・・・、Yn−2及びYn各々に同時に印加する。かかる放電防止パルスBPの印加後、偶数Y電極ドライバ54は、図10に示す如き一定高電圧を印加しつづける。かかる一定高電圧の印加及び放電防止パルスBPの印加により、偶数表示ラインに属する画素セルPCでの誤った放電が防止される。
【0026】
このように、上記奇数行リセット行程RODDでは、PDP50の奇数表示ラインに属する全ての画素セルPCの制御放電セルC2内から壁電荷を消滅させて、奇数表示ラインに属する全ての画素セルPCを消灯セル状態に初期化する。
次に、各サブフィールドの奇数行アドレス行程WODDでは、奇数Y電極ドライバ53が、負電圧の走査パルスSPをPDP50の奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Yn−3、及びYn−1各々に順次印加する。この間、アドレスドライバ55は、この奇数行アドレス行程WODDが属するサブフィールドSFに対応した画素駆動データビット群DBの内の奇数表示ラインに対応したものを、その論レベルに応じたパルス電圧を有する画素データパルスDPに変換する。例えば、アドレスドライバ55は、論理レベル1の画素駆動データビットを正極性の高電圧の画素データパルスDPに変換する一方、論理レベル0の画素駆動データビットを低電圧(0ボルト)の画素データパルスDPに変換する。そして、かかる画素データパルスDPを上記走査パルスSPの印加タイミングに同期して1表示ライン分ずつ列電極D1〜Dmに印加して行く。つまり、アドレスドライバ55は、奇数表示ラインに対応した画素駆動データビットDB1,1〜DB1,m、DB3,1〜DB3,m、・・・・、DB(n−1)、1〜DB(n−1)を、画素データパルスDP1,1〜DP1,m、DP3,1〜DP3,m、・・・・、DP(n−1)、1〜DP(n−1)に変換し、1表示ライン分ずつ列電極D1〜Dmに印加するのである。この際、走査パルスSPが印加され、かつ高電圧の画素データパルスDPが印加された画素セルPCの制御放電セルC2内における、列電極D及びバス電極Yb間、並びにバス電極Ya及びYb間においてアドレス放電(選択書込放電)が生起される。この際、アドレス放電の生起された制御放電セルC2内の嵩上げ誘電体層12の表面に壁電荷が形成される。一方、走査パルスSPが印加されたものの負電圧の画素データパルスDPが印加された画素セルPCの制御放電セルC2内では上記の如きアドレス放電は生起されない。よって、この画素セルPCの制御放電セルC2内には壁電荷が形成されない。
【0027】
このように、上記奇数行アドレス行程WODDでは、PDP50の奇数表示ラインに属する画素セルPCの制御放電セルC2内に、画素データ(入力映像信号)に応じて選択的に壁電荷を形成する。
次に、サブフィールドSF1の偶数行リセット行程REVEでは、奇数X電極ドライバ51が図10に示す如き波形を有する負電圧のリセットパルスRPXを発生して、PDP50の奇数の行電極X1、X3、X5、・・・・、X(n−3)及びX(n−1)の各々に同時に印加する。リセットパルスRPXの印加後、奇数X電極ドライバ51は図10に示す如き一定高電圧を印加しつづける。上記リセットパルスRPXの印加と同時に、偶数Y電極ドライバ54は、図10に示す如き波形を有する正電圧のリセットパルスRPYをPDP50の偶数の行電極Y2、Y4、Y6、・・・・、Y(n−1)、及びYn各々に同時に印加する。尚、リセットパルスRPX及びRPY各々の立ち上がり区間及び立ち下がり区間でのレベル推移は、後述するサスティンパルスIPの立ち上がり区間及び立ち下がり区間でのレベル推移よりも緩やかである。更に、リセットパルスRPYにおける立ち下がり区間でのレベル推移は、リセットパルスRPXの立ち上がり区間でのレベル推移よりも緩やかである。これらリセットパルスRPX及びRPYの印加に応じて、偶数表示ラインに属する画素セルPC2,1〜PC2,m、PC4,1〜PC4,m、PC6,1〜PC6,m、・・・・、及びPCn,1〜PCn,m各々の制御放電セルC2内のバス電極Xb及びYb間においてリセット放電が生起される。この際、リセットパルスRPYの立ち上がり時において第1回目のリセット放電が生起され、その放電直後に制御放電セルC2内の嵩上げ誘電体層12の表面に壁電荷が形成される。その後、リセットパルスRPYの立ち下がり時において第2回目のリセット放電が生起され、制御放電セルC2内に形成されていた壁電荷が消滅する。尚、偶数行リセット行程REVEでは、奇数Y電極ドライバ53が、負電圧の放電防止パルスBPを上記リセットパルスRPX及びRPYと同一タイミングにてPDP50の奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Y(n−1)各々に同時に印加する。かかる放電防止パルスBPの印加後、奇数Y電極ドライバ53は、図10に示す如き一定高電圧を印加しつづける。かかる一定高電圧の印加及び放電防止パルスBPの印加により、奇数表示ラインに属する画素セルPCでの放電が防止される。
【0028】
このように、上記偶数行リセット行程REVEでは、PDP50の偶数表示ラインに属する全ての画素セルPCの制御放電セルC2内から壁電荷を消滅させて、偶数表示ラインに属する全ての画素セルPCを消灯セル状態に初期化する。
次に、各サブフィールドの偶数行アドレス行程WEVEでは、偶数Y電極ドライバ54が、負電圧の走査パルスSPをPDP50の偶数の行電極Y2、Y4、Y6、・・・・、Yn各々に順次印加する。この間、アドレスドライバ55は、この偶数行アドレス行程WEVEが属するサブフィールドSFに対応した画素駆動データビット群DBの内の偶数表示ラインに対応したものを、その論レベルに応じたパルス電圧を有する画素データパルスDPに変換する。例えば、アドレスドライバ55は、論理レベル1の画素駆動データビットを正極性の高電圧の画素データパルスDPに変換する一方、論理レベル0の画素駆動データビットを低電圧(0ボルト)の画素データパルスDPに変換する。そして、かかる画素データパルスDPを上記走査パルスSPの印加タイミングに同期して1表示ライン分ずつ列電極D1〜Dmに印加して行く。つまり、アドレスドライバ55は、偶数表示ラインに対応した画素駆動データビットDB2,1〜DB2,m、DB4,1〜DB4,m、・・・・、DBn,1〜DB(n−1)、m各々に対応した、画素データパルスDP2,1〜DP2,m、DP4,1〜DP4,m、・・・・、DPn,1〜DPn,mを1表示ライン分ずつ列電極D1〜Dmに印加するのである。この際、走査パルスSPが印加され、かつ高電圧の画素データパルスDPが印加された画素セルPCの制御放電セルC2内における、列電極D及びバス電極Yb間、並びにバス電極Ya及びYb間においてアドレス放電(選択書込放電)が生起される。この際、アドレス放電の生起された制御放電セルC2内の嵩上げ誘電体層12の表面に壁電荷が形成される。一方、走査パルスSPが印加されたものの負電圧の画素データパルスDPが印加された画素セルPCの制御放電セルC2内では上記の如きアドレス放電は生起されない。よって、この画素セルPCの制御放電セルC2内には壁電荷が形成されない。
【0029】
このように、上記偶数行アドレス行程WEVEでは、PDP50の偶数表示ラインに属する画素セルPCの制御放電セルC2内に、画素データ(入力映像信号)に応じて選択的に壁電荷を形成する。
次に、各サブフィールドのプライミング行程Pでは、奇数Y電極ドライバ53が図10に示す如く正電圧のプライミングパルスPPYOを断続的に繰り返し、奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Y(n−1)各々に印加する。又、プライミング行程Pでは、奇数X電極ドライバ51が、図10に示すように、正電圧のプライミングパルスPPXOを断続的に繰り返し奇数の行電極X1、X3、X5、・・・・、X(n−1)各々に印加する。又、かかるプライミング行程Pでは、偶数X電極ドライバ52が、図10に示すように、正電圧のプライミングパルスPPXEを断続的に繰り返し偶数の行電極X0、X2、X4、・・・・、Xn−2及びXn各々に印加する。更に、プライミング行程Pでは、偶数Y電極ドライバ54が、正電圧のプライミングパルスPPYEを断続的に繰り返し偶数の行電極Y2、Y4、・・・・、Yn−2及びYn各々に印加する。尚、偶数の行電極X及びYに印加されるプライミングパルスPPXE及びPPYEと、奇数の行電極X及びYに印加されるプライミングパルスPPXO及びPPYOとは、図10に示す如く、その印加タイミングが互いにずれている。かかるプライミングパルスPPが印加される度に、壁電荷の形成されている制御放電セルC2のみでプライミング放電が生起される。つまり、上記奇数行アドレス行程WODD又は偶数行アドレス行程WEVEにおいて壁電荷が形成された制御放電セルC2のみで、この制御放電セルC2のバス電極Xb及びYb間でプライミング放電が生起されるのである。この際、かかるプライミング放電により生成された荷電粒子が図7に示す如き隙間rを通過して表示放電セルC1に流れ込んで、表示放電セルC1側に放電を拡張させる。従って、制御放電セルC2内においてプライミング放電が生起される度に表示放電セルC1側への放電拡張が進行し、表示放電セルC1内の誘電体層11の表面上に壁電荷が蓄積されて行く。尚、図10に示すように、プライミング行程P内において最初に印加するプライミングパルスPPは、放電遅れによる誤放電を防止すべくそれ以降に印加するプライミングパルスPPよりもそのパルス幅を広くしてある。又、プライミング行程P内での最終のプライミングパルスPPXE(又はPPYE)と同一タイミングにて、奇数Y電極ドライバ53は、図10に示す如き負電圧の拡張補助パルスKPを奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Y(n−1)各々に印加する。更に、プライミング行程P内での最終のプライミングパルスPPXOと同一タイミングにて、偶数Y電極ドライバ54は、図10に示す如き負電圧の拡張補助パルスKPを偶数の行電極Y2、Y4、・・・・、Yn−2及びYn各々に印加する。かかる負電圧の拡張補助パルスKPと正電圧のプライミングパルスPPとの同時印加に応じて、制御放電セルC2のバス電極Xb及びYb間にプライミング放電が生起されると共に、表示放電セルC1内の透明電極Xa及びYa間において微弱な放電が生起される。かかる放電により、後述するサスティン放電を生起させる際に必要充分な量の壁電荷が表示放電セルC1の誘電体層11の表面上に形成され、この表示放電セルC1を備えた画素セルPCは点灯セル状態に設定される。一方、上記奇数行アドレス行程WODD又は偶数行アドレス行程WEVEにおいて壁電荷が形成されず、それ故に、上記プライミング放電が生起されなかった表示放電セルC1内には壁電荷の形成が為されないので、この表示放電セルC1を備えた画素セルPCは消灯セル状態に設定される。尚、表示放電セルC1内の透明電極Xa及びYa間での誤った放電を防止させるべく、奇数Y電極ドライバ53は、上記拡張補助パルスKPの印加直後に、図10に示す如き正電圧の誤放電防止パルスVPを奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Yn−3、及びYn−1各々に印加する。
【0030】
このように、プライミング行程Pでは、上記奇数行アドレス行程WODD又は偶数行アドレス行程WEVEにおいて壁電荷の形成された制御放電セルC2を有する画素セルPCのみを点灯セル状態、壁電荷の形成されなかった制御放電セルC2を有する画素セルPCを消灯セル状態に設定するのである。
次に、各サブフィールドのサスティン行程Iでは、奇数Y電極ドライバ53が図10に示す如き正電圧のサスティンパルスIPYOを、このサスティン行程Iの属するサブフィールドに割り当てられている回数だけ繰り返し、奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Y(n−1)各々に印加する。偶数X電極ドライバ52は、かかるサスティンパルスIPYO各々と同一タイミングにて、正電圧のサスティンパルスIPXEをこのサスティン行程Iの属するサブフィールドに割り当てられている回数だけ繰り返し、偶数の行電極X0、X2、X4、・・・・、Xn−2及びXn各々に印加する。奇数X電極ドライバ51は、図10に示す如き正電圧のサスティンパルスIPXOをこのサスティン行程Iの属するサブフィールドに割り当てられている回数だけ繰り返し、奇数の行電極X1、X3、X5、・・・・、X(n−1)各々に印加する。更に、かかるサスティン行程Iでは、偶数Y電極ドライバ54が、正電圧のサスティンパルスIPYEをこのサスティン行程Iの属するサブフィールドに割り当てられている回数だけ繰り返し、偶数の行電極Y2、Y4、・・・・、Yn−2及びYn各々に印加する。尚、図10に示すように、上記サスティンパルスIPXE及びIPYOと、上記サスティンパルスIPXO及びIPYEとは、その印加タイミングが互いにずれている。上記サスティンパルスIPXO、IPXE、IPYO又はIPYEが印加される度に、点灯セル状態に設定された画素セルPCの表示放電セルC1内の透明電極Xa及びYa間においてサスティン放電が生起される。この際、かかるサスティン放電にて発生した紫外線により、表示放電セルC1に形成されている蛍光体層16(赤色蛍光層、緑色蛍光層、青色蛍光層)が励起し、その蛍光色に対応した光が前面ガラス基板10を介して放射される。つまり、このサスティン行程Iの属するサブフィールドに割り当てられている回数分だけ、サスティン放電に伴う発光が繰り返し生起されるのである。尚、制御放電セルC2内のバス電極Xb及びYb間での誤った放電を防止させるべく、奇数Y電極ドライバ53は、サスティン行程Iの最後尾において、図10に示す如き正電圧の誤放電防止パルスVPを奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Y(n−1)各々に印加する。
【0031】
このように、上記サスティン行程Iでは、点灯セル状態に設定された画素セルPCのみを、サブフィールドに割り当てられている回数分だけ繰り返し発光させる。
次に、各サブフィールドの消去行程Eでは、奇数Y電極ドライバ53及び偶数Y電極ドライバ54が、図10に示す如き消去パルスEPYをPDP50の行電極Y1〜Ynに印加する。更に、かかる消去パルスEPYと同時に、奇数X電極ドライバ51及び偶数X電極ドライバ52が、図10に示す如き波形を有する消去パルスEPXをPDP50の行電極X1〜Xnに印加する。尚、消去パルスEPXは、図10に示すように、その立ち下がり時のレベル推移が緩やかになっている。上記消去パルスEPY及びEPXの印加に応じて、この消去パルスEPXの立ち下がり時のタイミングにて、点灯放電セルに設定されている画素セルPCの表示放電セルC1及び制御放電セルC2各々内で消去放電が生起される。かかる消去放電により、表示放電セルC1及び制御放電セルC2各々内に形成されていた壁電荷が消滅する。すなわち、PDP50の全ての画素セルPCが消灯セル状態に推移するのである。
【0032】
上述した如き駆動により、サブフィールドSF1〜SF(N)を通して各サスティン行程Iにおいて実施された発光回数の合計に対応した中間輝度が視覚される。つまり、各サブフィールド内のサスティン行程Iにて生起されたサスティン放電に伴う放電光によって、入力映像信号に対応した表示画像が得られるのである。
【0033】
この際、図5に示すプラズマディスプレイ装置においては、表示画像に関与するサスティン放電を各画素セルPC内の表示放電セルC1にて生起させる一方、表示画像には関与しない発光を伴うリセット放電、プライミング放電及びアドレス放電は、制御放電セルC2にて生起させるようにしている。制御放電セルC2には、図7に示すように、黒色または暗色の顔料を含んだ光吸収層からなる嵩上げ誘電体層12が設けられている。よって、リセット放電、プライミング放電及びアドレス放電に伴う放電光は嵩上げ誘電体層12によって遮断されるので、この放電光が前面ガラス基板10を介して表示面に表れることはない。
【0034】
従って、図5に示すプラズマディスプレイ装置によれば、表示画像のコントラスト、特に、全体的に暗い場面に対応した画像を表示させている際の暗コントラストを高めることが可能になる。
又、図5に示すプラズマディスプレイ装置では、PDP50として、表示放電セルC1及び制御放電セルC2からなる画素セルPCがマトリクス状に配列された構造を採用している。それ故に、表示放電セルC1の上下に隣接して制御放電セルC2が配置されることになる。この際、上下に隣接している制御放電セルC2がほぼ同時期に放電すると、これら制御放電セルC2に挟まれた位置に存在する表示放電セルC1内において誤って放電が生じる場合がある。そこで、図5に示すプラズマディスプレイ装置では、図9〜図11に示すように、PDP50の全ての画素セルPCを消灯セル状態に初期化させるリセット放電を、奇数行リセット行程RODDと偶数行リセット行程REVEとで時間的に分離して実行させる。更に、画素データ(入力映像信号)に応じて選択的に画素セルPCの制御放電セルC2内に壁電荷を形成させるアドレス放電を、各サブフィールド内において奇数行アドレス行程WODDと偶数行アドレス行程WEVEとで時間的に分離して実行させるようにしている。これにより、表示放電セルC1の上下に隣接している制御放電セルC2が同時に放電することは無いので、表示放電セルC1内での誤った放電が防止されるのである。
【0035】
尚、上記実施例(図9)では先頭のサブフィールドSF1において、奇数行リセット行程RODD、奇数行アドレス行程WODD、偶数行リセット行程REVE、偶数行アドレス行程WEVE、プライミング行程P、サスティン行程I、消去行程Eなる順に駆動を行っているが、その実行順番は適宜変更し得るものである。
例えば、図12に示す如く、サブフィールドSF1では、奇数行リセット行程RODD、偶数行リセット行程REVE、奇数行アドレス行程WODD、偶数行アドレス行程WEVE、プライミング行程P、サスティン行程I、消去行程Eなる順にて駆動を実行するようにしても良い。更に、図13に示すように、サブフィールドSF1において、奇数行リセット行程RODD、奇数行アドレス行程WODD、プライミング行程P、サスティン行程IODD、消去行程E、偶数行リセット行程REVE、偶数行アドレス行程WEVE、プライミング行程P、サスティン行程IEVE、消去行程Eなる順で駆動を実行するようにしても良い。すなわち、奇数表示ラインに対するリセット行程、アドレス行程、プライミング行程、サスティン行程、消去行程を順次実行してから、偶数表示ラインに対するリセット行程、アドレス行程、プライミング行程、サスティン行程、消去行程を実行するのである。
【0036】
又、上記実施例(図9〜図13)においては、PDP50の各画素セルを画素データに応じた壁電荷の形成状態に設定する為の画素データ書込方法として、画素データに応じて選択的に各画素セルにアドレス放電を生起せしめて壁電荷を形成させる選択書込アドレス法を採用した場合について述べた。しかしながら、本願発明においては、この画素データ書込方法として、予め全ての画素セル内に壁電荷を形成しておき、アドレス放電によって選択的に画素セル内の壁電荷を消去する、いわゆる選択消去アドレス法を採用した場合についても同様に適用可能である。
【0037】
図14は、選択消去アドレス法を採用した場合の発光駆動シーケンスを示す図である。
図14に示す発光駆動シーケンスでは、先頭のサブフィールドSF1において、奇数行リセット行程RODD’、奇数行アドレス行程WODD’、偶数行リセット行程REVE’、偶数行アドレス行程WEVE’、プライミング行程P’、サスティン行程I’、壁電荷移動行程T、及び消去行程E’を順次実行する。又、サブフィールドSF2〜SF(N)の各々では、奇数行アドレス行程WODD’、偶数行アドレス行程WEVE’、プライミング行程P’、サスティン行程I’、壁電荷移動行程T、及び消去行程E’を順次実行する。
【0038】
図15は、サブフィールドSF1の上記奇数行リセット行程RODD’、奇数行アドレス行程WODD’、偶数行リセット行程REVE’、偶数行アドレス行程WEVE’、プライミング行程P’、サスティン行程I’、壁電荷移動行程T及び消去行程E’にてPDP50に印加される各種駆動パルスとその印加タイミングを示す図である。又、図16は、サブフィールドSF2〜SF(N)各々の奇数行アドレス行程WODD’、偶数行アドレス行程WEVE’、プライミング行程P’、サスティン行程I’、壁電荷移動行程T及び消去行程E’にてPDP50に印加される各種駆動パルスとその印加タイミングを示す図である。
【0039】
先ず、サブフィールドSF1の奇数行リセット行程RODD’では、偶数X電極ドライバ52が図15に示す如き波形を有する負電圧のリセットパルスRPX1を発生して、PDP50の偶数の行電極X0、X2、X4、・・・・、Xn−2及びXn各々に同時に印加する。かかるリセットパルスRPX1と同時に、奇数Y電極ドライバ53は、図15に示す如き波形を有する正電圧のリセットパルスRPY1をPDP50の奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Yn−3、及びYn−1各々に同時に印加する。リセットパルスRPX1及びRPY1の印加に応じて、奇数表示ラインに属する画素セルPC1,1〜PC1,m、PC3,1〜PC3,m、PC5,1〜PC5,m、・・・・、及びPC(n−1),1〜PC(n−1),m各々の制御放電セルC2内のバス電極Xb及びYb間においてリセット放電が生起される。かかるリセット放電により制御放電セルC2内の嵩上げ誘電体層12の表面に壁電荷が形成される。尚、この間、偶数表示ラインに属する画素セルPC内での誤った放電を防止すべく、偶数Y電極ドライバ54が、負電圧の放電防止パルスBP1を偶数の行電極Y2、Y4、・・・・、Yn−2及びYn各々に同時に印加する。上記リセットパルスRPX1の印加直後に、偶数X電極ドライバ52は、図15に示す如き波形を有する正電圧のリセットパルスRPX2を偶数の行電極X0、X2、X4、・・・・、Xn−2及びXn各々に同時に印加する。かかるリセットパルスRPX2の印加により奇数表示ラインに属する画素セルPC1,1〜PC1,m、PC3,1〜PC3,m、PC5,1〜PC5,m、・・・・、及びPC(n−1),1〜PC(n−1),m各々の制御放電セルC2内のバス電極Xb及びYb間において再びリセット放電が生起される。かかるリセット放電により、制御放電セルC2内の嵩上げ誘電体層12の表面に形成される壁電荷の量が増加する。尚、この間、偶数表示ラインに属する画素セルPC内での誤った放電を防止すべく、偶数Y電極ドライバ54が、図15に示す如き正電圧の放電防止パルスBP2を偶数の行電極Y2、Y4、・・・・、Yn−2及びYn各々に同時に印加する。上記リセットパルスRPX2が印加された直後、奇数Y電極ドライバ53は、図15に示す如き正電圧のリセットパルスRPY2をPDP50の奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Yn−3、及びYn−1各々に同時に印加する。かかるリセットパルスRPY2の印加により奇数表示ラインに属する画素セルPC1,1〜PC1,m、PC3,1〜PC3,m、PC5,1〜PC5,m、・・・・、及びPC(n−1),1〜PC(n−1),m各々の制御放電セルC2内のバス電極Xb及びYb間において再びリセット放電が生起される。かかるリセット放電により、制御放電セルC2内の嵩上げ誘電体層12の表面に形成される壁電荷の量が更に増加する。
【0040】
このように、上記奇数行リセット行程RODD’では、PDP50の奇数表示ラインに属する全ての画素セルPCの制御放電セルC2内に壁電荷を形成させて、奇数表示ラインに属する全ての画素セルPCを点灯セル状態に初期化する。
次に、図15及び図16に示される各サブフィールドの奇数行アドレス行程WODD’では、奇数Y電極ドライバ53が、負電圧の走査パルスSPをPDP50の奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Yn−3、及びYn−1各々に順次印加する。この間、アドレスドライバ55は、この奇数行アドレス行程WODD’が属するサブフィールドSFに対応した画素駆動データビット群DBの内の奇数表示ラインに対応したものを、その論レベルに応じたパルス電圧を有する画素データパルスDPに変換する。例えば、アドレスドライバ55は、論理レベル1の画素駆動データビットを正極性の高電圧の画素データパルスDPに変換する一方、論理レベル0の画素駆動データビットを低電圧(0ボルト)の画素データパルスDPに変換する。そして、かかる画素データパルスDPを上記走査パルスSPの印加タイミングに同期して1表示ライン分ずつ列電極D1〜Dmに印加して行く。つまり、アドレスドライバ55は、奇数表示ラインに対応した画素駆動データビットDB1,1〜DB1,m、DB3,1〜DB3,m、・・・・、DB(n−1),、1〜DB(n−1)を、画素データパルスDP1,1〜DP1,m、DP3,1〜DP3,m、・・・・、DP(n−1),、1〜DP(n−1)に変換し、1表示ライン分ずつ列電極D1〜Dmに印加するのである。この際、走査パルスSPが印加され、かつ高電圧の画素データパルスDPが印加された画素セルPCの制御放電セルC2内における、列電極D及びバス電極Yb間、並びにバス電極Ya及びYb間においてアドレス放電(選択消去放電)が生起される。この際、アドレス放電の生起された制御放電セルC2内では、その嵩上げ誘電体層12の表面に形成されていた壁電荷が消滅する。一方、走査パルスSPが印加されたものの負電圧の画素データパルスDPが印加された画素セルPCの制御放電セルC2内では上記の如きアドレス放電は生起されない。よって、かかる制御放電セルC2はその直前までの状態(壁電荷が存在する状態、又は壁電荷が存在しない状態)を維持する。
【0041】
このように、奇数行アドレス行程WODD’では、PDP50の奇数表示ラインに属する画素セルPCの制御放電セルC2内に形成されていた壁電荷を、画素データ(入力映像信号)に応じて選択的に消去している。
次に、サブフィールドSF1の偶数行リセット行程REVE’では、奇数X電極ドライバ51が図15に示す如き波形を有する負電圧のリセットパルスRPX1を発生して、PDP50の奇数の行電極X1、X3、X5、・・・・、X(n−1)各々に同時に印加する。かかるリセットパルスRPX1と同時に、偶数Y電極ドライバ54は、図15に示す如き波形を有する正電圧のリセットパルスRPY1を発生してPDP50の偶数の行電極Y2、Y4、・・・・、Yn−2及びYn各々に同時に印加する。リセットパルスRPX1及びRPY1の印加に応じて、偶数表示ラインに属する画素セルPC2,1〜PC2,m、PC4,1〜PC4,m、PC6,1〜PC6,m、・・・・、及びPCn,1〜PCn,m各々の制御放電セルC2内のバス電極Xb及びYb間においてリセット放電が生起される。かかるリセット放電により制御放電セルC2内の嵩上げ誘電体層12の表面に壁電荷が形成される。尚、この間、奇数表示ラインに属する画素セルPC内での誤った放電を防止すべく、奇数Y電極ドライバ53が、負電圧の放電防止パルスBP1を奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Yn−3、及びYn−1各々に同時に印加する。上記リセットパルスRPX1の印加直後に、偶数X電極ドライバ51は、図15に示す如き波形を有する正電圧のリセットパルスRPX2を奇数の行電極X1、X3、X5、・・・・、X(n−1)各々に同時に印加する。かかるリセットパルスRPX2の印加により偶数表示ラインに属する画素セルPC2,1〜PC2,m、PC4,1〜PC4,m、PC6,1〜PC6,m、・・・・、及びPCn,1〜PCn,m各々の制御放電セルC2内のバス電極Xb及びYb間において再びリセット放電が生起される。かかるリセット放電により、制御放電セルC2内の嵩上げ誘電体層12の表面に形成される壁電荷の量が増加する。尚、この間、奇数表示ラインに属する画素セルPC内での誤った放電を防止すべく、奇数Y電極ドライバ53が、図15に示す如き正電圧の放電防止パルスBP2を奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Yn−3、及びYn−1各々に同時に印加する。上記リセットパルスRPX2が印加された直後、偶数Y電極ドライバ54は、図15に示す如き正電圧のリセットパルスRPY2を偶数の行電極Y2、Y4、・・・・、Yn−2及びYn各々に同時に印加する。かかるリセットパルスRPY2の印加により偶数表示ラインに属する画素セルPC2,1〜PC2,m、PC4,1〜PC4,m、PC6,1〜PC6,m、・・・・、及びPCn,1〜PCn,m各々の制御放電セルC2内のバス電極Xb及びYb間において再びリセット放電が生起される。かかるリセット放電により、制御放電セルC2内の嵩上げ誘電体層12の表面に形成される壁電荷の量が更に増加する。
【0042】
このように、偶数行リセット行程REVE’では、PDP50の偶数表示ラインに属する全ての画素セルPCの制御放電セルC2内に壁電荷を形成させて、この偶数表示ラインに属する全ての画素セルPCを点灯セル状態に初期化する。
次に、図15及び図16に示される各サブフィールドの偶数行アドレス行程WEVE’では、偶数Y電極ドライバ54が、負電圧の走査パルスSPをPDP50の偶数の行電極Y2、Y4、Y6、・・・・、Yn各々に順次印加する。この間、アドレスドライバ55は、この偶数行アドレス行程WEVEが属するサブフィールドSFに対応した画素駆動データビット群DBの内の偶数表示ラインに対応したものを、その論レベルに応じたパルス電圧を有する画素データパルスDPに変換する。例えば、アドレスドライバ55は、論理レベル1の画素駆動データビットを正極性の高電圧の画素データパルスDPに変換する一方、論理レベル0の画素駆動データビットを低電圧(0ボルト)の画素データパルスDPに変換する。そして、かかる画素データパルスDPを上記走査パルスSPの印加タイミングに同期して1表示ライン分ずつ列電極D1〜Dmに印加して行く。つまり、アドレスドライバ55は、偶数表示ラインに対応した画素駆動データビットDB2,1〜DB2,m、DB4,1〜DB4,m、・・・・、DBn,1〜DB(n−1),m各々に対応した、画素データパルスDP2,1〜DP2,m、DP4,1〜DP4,m、・・・・、DPn,1〜DPn,mを1表示ライン分ずつ列電極D1〜Dmに印加するのである。この際、走査パルスSPが印加され、かつ高電圧の画素データパルスDPが印加された画素セルPCの制御放電セルC2内における、列電極D及びバス電極Yb間、並びにバス電極Ya及びYb間においてアドレス放電(選択消去放電)が生起される。この際、アドレス放電の生起された制御放電セルC2内では、その嵩上げ誘電体層12の表面に形成されていた壁電荷が消滅する。一方、走査パルスSPが印加されたものの負電圧の画素データパルスDPが印加された画素セルPCの制御放電セルC2内では上記の如きアドレス放電は生起されない。よって、かかる制御放電セルC2はその直前までの状態(壁電荷が存在する状態、又は壁電荷が存在しない状態)を維持する。
【0043】
このように、上記偶数行アドレス行程WEVE’では、PDP50の偶数表示ラインに属する画素セルPCの制御放電セルC2内に形成されていた壁電荷を、画素データ(入力映像信号)に応じて選択的に消滅させるのである。
次に、各サブフィールドのプライミング行程Pでは、奇数Y電極ドライバ53が図15に示す如く正電圧のプライミングパルスPPYOを断続的に繰り返し、奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Y(n−1)各々に印加する。又、プライミング行程Pでは、奇数X電極ドライバ51が、図15に示すように、正電圧のプライミングパルスPPXOを断続的に繰り返し奇数の行電極X1、X3、X5、・・・・、X(n− 1)各々に印加する。又、かかるプライミング行程Pでは、偶数X電極ドライバ52が、図15に示すように、正電圧のプライミングパルスPPXEを断続的に繰り返し偶数の行電極X0、X2、X4、・・・・、Xn−2及びXn各々に印加する。更に、プライミング行程Pでは、偶数Y電極ドライバ54が、正電圧のプライミングパルスPPYEを断続的に繰り返し偶数の行電極Y2、Y4、・・・・、Yn−2及びYn各々に印加する。尚、偶数の行電極X及びYに印加されるプライミングパルスPPXE及びPPYEと、奇数の行電極X及びYに印加されるプライミングパルスPPXO及びPPYOとは、図15に示すようにその印加タイミングが互いにずれている。かかるプライミングパルスPPが印加される度に、壁電荷の形成されている制御放電セルC2のみでプライミング放電が生起される。つまり、上記偶数行アドレス行程WEVE’の終了段階において壁電荷が残留したままとなっている制御放電セルC2のみで、この制御放電セルC2のバス電極Xb及びYb間でプライミング放電が生起されるのである。この際、かかるプライミング放電により生成された荷電粒子が図7に示す如き隙間rを通過して表示放電セルC1に流れ込んで、表示放電セルC1側に放電を拡張させる。従って、制御放電セルC2内においてプライミング放電が生起される度に表示放電セルC1側への放電拡張が進行し、表示放電セルC1内の誘電体層11の表面上に壁電荷が蓄積されて行く。尚、図15に示すように、プライミング行程P内において最初に印加するプライミングパルスPPは、放電遅れによる誤放電を防止すべくそれ以降に印加するプライミングパルスPPよりもそのパルス幅を広くしてある。又、プライミング行程P内での最終のプライミングパルスPPXE(又はPPYE)と同一タイミングにて、奇数Y電極ドライバ53は、図15に示す如き負電圧の拡張補助パルスKPを奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Y(n−1)各々に印加する。更に、プライミング行程P内での最終のプライミングパルスPPXOと同一タイミングにて、偶数Y電極ドライバ54は、図15に示す如き負電圧の拡張補助パルスKPを偶数の行電極Y2、Y4、・・・・、Yn−2及びYn各々に印加する。かかる負電圧の拡張補助パルスKPと正電圧のプライミングパルスPPとの同時印加に応じて、制御放電セルC2のバス電極Xb及びYb間にプライミング放電が生起されると共に、表示放電セルC1内の透明電極Xa及びYa間において微弱な放電が生起される。かかる放電により、後述するサスティン放電を生起させる際に必要充分な量の壁電荷が表示放電セルC1の誘電体層11の表面上に形成され、この表示放電セルC1を備えた画素セルPCは点灯セル状態に設定される。一方、上記奇数行アドレス行程WODD’又は偶数行アドレス行程WEVE’において壁電荷が消去されたが故に、上記プライミング放電が生起されなかった表示放電セルC1内には壁電荷が形成されないので、この表示放電セルC1を備えた画素セルPCは消灯セル状態に設定される。尚、表示放電セルC1内の透明電極Xa及びYa間での誤った放電を防止させるべく、奇数Y電極ドライバ53は、上記拡張補助パルスKPの印加直後に、図15に示す如き正電圧の誤放電防止パルスVPを奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Y(n−1)各々に印加する。
【0044】
このように、プライミング行程Pでは、上記奇数行アドレス行程WODD’又は偶数行アドレス行程WEVE’にて壁電荷の消去されなかった制御放電セルC2を有する画素セルPCのみを点灯セル状態、壁電荷の消去された制御放電セルC2を有する画素セルPCを消灯セル状態に設定するのである。
次に、各サブフィールドのサスティン行程Iでは、奇数Y電極ドライバ53が図15に示す如き正電圧のサスティンパルスIPYOを、このサスティン行程Iの属するサブフィールドに割り当てられている回数だけ繰り返し、奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Y(n−1)各々に印加する。偶数X電極ドライバ52は、かかるサスティンパルスIPYO各々と同一タイミングにて、正電圧のサスティンパルスIPXEをこのサスティン行程Iの属するサブフィールドに割り当てられている回数だけ繰り返し、偶数の行電極X0、X2、X4、・・・・、Xn−2及びXn各々に印加する。奇数X電極ドライバ51は、図15に示す如き正電圧のサスティンパルスIPXOをこのサスティン行程Iの属するサブフィールドに割り当てられている回数だけ繰り返し、奇数の行電極X1、X3、X5、・・・・、X(n−1)各々に印加する。更に、かかるサスティン行程Iでは、偶数Y電極ドライバ54が、正電圧のサスティンパルスIPYEをこのサスティン行程Iの属するサブフィールドに割り当てられている回数だけ繰り返し、偶数の行電極Y2、Y4、・・・・、Yn−2及びYn各々に印加する。尚、図15に示すように、上記サスティンパルスIPXE及びIPYOと、上記サスティンパルスIPXO及びIPYEとは、その印加タイミングが互いにずれている。上記サスティンパルスIPXO、IPXE、IPYO又はIPYEが印加される度に、点灯セル状態に設定された画素セルPCの表示放電セルC1内の透明電極Xa及びYa間においてサスティン放電が生起される。この際、かかるサスティン放電にて発生した紫外線により、表示放電セルC1に形成されている蛍光体層16(赤色蛍光層、緑色蛍光層、青色蛍光層)が励起し、その蛍光色に対応した光が前面ガラス基板10を介して放射される。つまり、このサスティン行程Iの属するサブフィールドに割り当てられている回数分だけ、サスティン放電に伴う発光が繰り返し生起されるのである。尚、制御放電セルC2内のバス電極Xb及びYb間での誤った放電を防止させるべく、奇数Y電極ドライバ53は、サスティン行程Iの最後尾において、正電圧の誤放電防止パルスVPを奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Y(n−1)各々に印加する。
【0045】
このように、サスティン行程Iでは、上記プライミング行程Pの終了段階において点灯セル状態に設定されている画素セルPCのみを、そのサスティン行程Iが属するサブフィールドに割り当てられている回数分だけ繰り返し発光させる。
次に、各サブフィールドの壁電荷移動行程Tでは、偶数X電極ドライバ52が図15に示す如き負電圧の壁電荷移動パルスMPXE1を、偶数の行電極X0、X2、X4、・・・・、Xn−2及びXn各々に同時に印加する。又、かかる壁電荷移動パルスMPXE1と同時に、奇数Y電極ドライバ53は、図15に示す如き正電圧の壁電荷移動パルスMPYOを奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Yn−3、及びYn−1各々に同時に印加する。これら壁電荷移動パルスMPXE1及び壁電荷移動パルスMPYOの印加に応じて、奇数表示ラインに属する画素セルPC各々の制御放電セルC2のバス電極Xb及びYb間において移動放電が生起される。更に、この間、奇数X電極ドライバ51は、図15に示す如き正電圧の壁電荷移動パルスMPXO1を奇数の行電極X1、X3、X5、・・・・、X(n−1)各々に同時に印加する。これにより、奇数表示ラインに属する画素セルPC各々の内で、点灯セル状態に設定されている画素セルPCの表示放電セルC1内に形成されていた壁電荷が図7に示す如き隙間rを介して制御放電セルC2側に移動する。壁電荷移動パルスMPXO1の印加後、奇数X電極ドライバ51は、図15に示す如き負電圧の壁電荷移動パルスMPXO2を奇数の行電極X1、X3、X5、・・・・、X(n−1)各々に同時に印加する。又、かかる壁電荷移動パルスMPXO2と同一タイミングにて、偶数Y電極ドライバ54が、図15に示す如き正電圧の壁電荷移動パルスMPYEを偶数の行電極Y2、Y4、・・・・、Yn−2及びYn各々に同時に印加する。これら壁電荷移動パルスMPXO2及び壁電荷移動パルスMPYEの印加に応じて、偶数表示ラインに属する画素セルPC各々の制御放電セルC2のバス電極Xb及びYb間において移動放電が生起される。更に、この間、偶数X電極ドライバ52は、図15に示す如き正電圧の壁電荷移動パルスMPXE2を偶数の行電極X0、X2、X4、・・・・、Xn−2及びXn各々に同時に印加する。これにより、偶数表示ラインに属する画素セルPC各々の内で、点灯セル状態に設定されている画素セルPCの表示放電セルC1内に形成されていた壁電荷が図7に示す如き隙間rを介して制御放電セルC2側に移動する。
【0046】
このように、壁電荷移動行程Tでは、点灯セル状態に設定されている画素セルPCの表示放電セルC1内に形成されていた壁電荷を、制御放電セルC2側に移動させる。
次に、各サブフィールドの消去行程E’では、奇数Y電極ドライバ53は、図15に示す如き波形を有する正電圧の消去パルスEPYを奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Yn−3、及びYn−1各々に同時に印加する。尚、図15に示すように、消去パルスEPYにおける立ち下がり時のレベル推移は立ち上がり時のそれよりも緩やかである。かかる消去パルスEPYと同一タイミングにて、奇数X電極ドライバ51は、図15に示す如き正電圧の消去パルスEPXを奇数の行電極X1、X3、X5、・・・・、Xn−3、及びXn−1各々に同時に印加する。これら消去パルスEPY及びEPXの印加に応じて、奇数表示ラインに属する表示放電セルC1の内で壁電荷の残留している表示放電セルC1の透明電極Xa及びYb間において消去放電が生起され、この壁電荷が消去される。尚、この間、制御放電セルC2内での誤った放電を防止すべく、偶数Y電極ドライバ54は、図15に示す如き正電圧の誤放電防止パルスVPを偶数の行電極Y2、Y4、・・・・、Yn−2及びYn各々に印加する。かかる誤放電防止パルスVPの印加直後に、偶数Y電極ドライバ54は、図15に示す如き波形を有する正電圧の消去パルスEPYを偶数の行電極Y2、Y4、・・・・、Yn−2及びYn各々に印加する。かかる消去パルスEPYと同一タイミングにて、偶数X電極ドライバ52は、図15に示す如き正電圧の消去パルスEPXを偶数の行電極X0、X2、X4、・・・・、Xn−2及びXn各々に同時に印加する。これら消去パルスEPY及びEPXの印加に応じて、偶数表示ラインに属する表示放電セルC1の内で壁電荷の残留している表示放電セルC1の透明電極Xa及びYb間において消去放電が生起され、この壁電荷が消去される。尚、この間、制御放電セルC2内での誤った放電を防止すべく、奇数Y電極ドライバ53は、図15に示す如き正電圧の誤放電防止パルスVPを奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Yn−3、及びYn−1各々に印加する。
【0047】
このように、消去行程E’では、PDP50の全ての表示放電セルC1内に残留している壁電荷を消去して、全ての画素セルPCを消灯セル状態に推移させるのである。
上述した如き駆動により、サブフィールドSF1〜SF(N)を通して各サスティン行程Iにおいて実施された発光回数の合計に対応した中間輝度が視覚される。つまり、各サブフィールド内のサスティン行程Iにて生起されたサスティン放電に伴う放電光によって、入力映像信号に対応した表示画像が得られるのである。
【0048】
この際、図14〜図16に示す如き選択消去アドレス法を採用した駆動によっても、表示画像には関与しない発光を伴うリセット放電、プライミング放電及びアドレス放電を、光吸収層からなる嵩上げ誘電体層12を備えた制御放電セルC2にて生起させるようにしている。よって、選択消去アドレス法を採用した場合にも同様に、リセット放電、プライミング放電及びアドレス放電に伴う放電光が前面ガラス基板10を介して表示面に表れることはないので、暗コントラストを高めることが可能になる。
【0049】
又、上記図10及び図11に示す駆動では、プライミング行程P内において拡張補助パルスKPの印加による最終のプライミング放電が終了してから、サスティン行程Iにて最初のサスティン放電を生起させるようにしているが、これらの放電を同時に実施することも可能である。
図17及び図18は、かかる点に鑑みて為された各種駆動パルスとその印加タイミングの他の一例を示す図である。
【0050】
尚、図17及び図18においては、プライミング行程PIを除く、各行程内において印加される各種駆動パルスとその印加タイミングは、図10及び図11に示されるものと同一である。
図17及び図18に示されるプライミング行程PIでは、奇数Y電極ドライバ53が正電圧のプライミングパルスPPYOを断続的に繰り返し奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Y(n−1)各々に印加する。又、奇数X電極ドライバ51が、正電圧のプライミングパルスPPXOを断続的に繰り返し奇数の行電極X1、X3、X5、・・・・、X(n−1)各々に印加する。又、偶数X電極ドライバ52が、正電圧のプライミングパルスPPXEを断続的に繰り返し偶数の行電極X0、X2、X4、・・・・、Xn−2及びXn各々に印加する。更に、偶数Y電極ドライバ54が、正電圧のプライミングパルスPPYEを断続的に繰り返し偶数の行電極Y2、Y4、・・・・、Yn−2及びYn各々に印加する。尚、偶数の行電極X及びYに印加されるプライミングパルスPPXE及びPPYEと、奇数の行電極X及びYに印加されるプライミングパルスPPXO及びPPYOとは、その印加タイミングが互いにずれている。
【0051】
ところが、プライミング行程PIでは、図17及び図18に示すように、最終のプライミングパルスPPXEと最終のプライミングパルスPPXOとが同一タイミングにて印加される。更に、この間、奇数Y電極ドライバ53及び偶数Y電極ドライバ54が、図17及び図18に示されるが如き負電圧の共通放電パルスCPを全ての行電極Y1〜Ynに同時に印加している。共通放電パルスCP及び最終のプライミングパルスPPXE及びPPXOの印加によれば、壁電荷の形成されている制御放電セルC2で最終のプライミング放電が生起されると共に、プライミング放電によって壁電荷の形成された表示放電セルC1において第1回目のサスティン放電が生起されるのである。尚、このように最終のプライミング放電と、第1回目のサスティン放電とが同時に生起されることにより、サスティン行程Iにおいて最初に生起されるサスティン放電は2回目のサスティン放電となる。
【0052】
又、選択消去アドレス法を採用した駆動(図14〜図16)においても、同様に、各サブフィード内における最終のプライミング放電と最初のサスティン放電とを同時に生起させることが可能である。
図19及び図20は、選択消去アドレス法を採用した駆動時において、各サブフィールド内における最終のプライミング放電と最初のサスティン放電とを同時に生起させる場合に、PDP50に印加される各種駆動パルスとその印加タイミングを示す図である。尚、図19及び図20に示される駆動では、プライミング行程PIを除く各行程内において印加される各種駆動パルスとその印加タイミングは、図15及び図16に示されるものと同一である。
【0053】
図19及び図20に示されるプライミング行程PIでは、奇数Y電極ドライバ53が正電圧のプライミングパルスPPYOを断続的に繰り返し、奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Y(n−1)各々に印加する。又、奇数X電極ドライバ51が、正電圧のプライミングパルスPPXOを断続的に繰り返し奇数の行電極X1、X3、X5、・・・・、X(n−1)各々に印加する。又、偶数X電極ドライバ52が、正電圧のプライミングパルスPPXEを断続的に繰り返し偶数の行電極X0、X2、X4、・・・・、Xn−2及びXn各々に印加する。更に、偶数Y電極ドライバ54が、正電圧のプライミングパルスPPYEを断続的に繰り返し偶数の行電極Y2、Y4、・・・・、Yn−2及びYn各々に印加する。尚、偶数の行電極X及びYに印加されるプライミングパルスPPXE及びPPYEと、奇数の行電極X及びYに印加されるプライミングパルスPPXO及びPPYOとは、その印加タイミングが互いにずれている。
【0054】
ところが、プライミング行程PIでは、図19及び図20に示すように、最終のプライミングパルスPPXEと最終のプライミングパルスPPXOとが同一タイミングにて印加される。更に、この間、奇数Y電極ドライバ53及び偶数Y電極ドライバ54が、図19及び図20に示されるが如き負電圧の共通放電パルスCPを全ての行電極Y1〜Ynに同時に印加している。共通放電パルスCP及び最終のプライミングパルスPPXE及びPPXOの印加によれば、壁電荷の形成されている制御放電セルC2で最終のプライミング放電が生起されると共に、プライミング放電によって壁電荷の形成された表示放電セルC1において第1回目のサスティン放電が生起される。
【0055】
図21は、選択書込アドレス法を採用してPDP50を駆動する際における1フィールド(フレーム)での駆動パターンを示す図である。図21に示すように、かかる駆動パターンは、最低輝度に対応した第1駆動パターン〜最高輝度に対応した第(N+1)駆動パターンまでの(N+1)種類の駆動パターンからなる。尚、図21に示される二重丸は、そのサブフィールドのアドレス行程(WODD、WEVE)においてアドレス放電(選択書込放電)を生起させ、このサブフィールドのサスティン行程において画素セルPCを繰り返し発光させることを示す。一方、二重丸の付されていないサブフィールドではアドレス放電(選択書込放電)を生起させないので、このサブフィールドのサスティン行程では画素セルPCは消灯状態となる。従って、例えば図21に示される第1駆動パターンによれば、SF1〜SF(N)を通して画素セルPCが一切発光しないので、最低輝度となる黒表示が表現される。又、第3駆動パターンによれば、SF1及びSF2各々のサスティン行程のでみ画素セルPCが発光するので、SF1のサスティン行程に割り当てられている発光回数と、SF2のサスティン行程に割り当てられている発光回数との合計回数に対応した中間輝度が表現される。
【0056】
又、図22は、選択消去アドレス法を採用してPDP50を駆動する際における1フィールド(フレーム)での駆動パターンを示す図である。図22に示すように、かかる駆動パターンは、最低輝度に対応した第1駆動パターン〜最高輝度に対応した第(N+1)駆動パターンまでの(N+1)種類の駆動パターンからなる。尚、図22に示される黒丸は、そのサブフィールドのアドレス行程(WODD、WEV E)においてアドレス放電(選択消去放電)を生起させて制御放電セルC2内に形成されていた壁電荷を消滅させて画素セルPCを消灯状態にすることを示す。一方、白丸は、このサブフィールドのサスティン行程において画素セルPCを繰り返し発光させることを示す。従って、例えば図21に示される第1駆動パターンによれば、SF1〜SF(N)を通して画素セルPCが一切発光しないので、最低輝度となる黒表示が表現される。又、第3駆動パターンによれば、SF1及びSF2各々のサスティン行程のでみ画素セルPCが発光するので、SF1のサスティン行程に割り当てられている発光回数と、SF2のサスティン行程に割り当てられている発光回数との合計回数に対応した中間輝度が表現される。駆動制御回路56は、図21又は図22に示されるが如き(N+1)種類の駆動パターンの内から、入力映像信号によって表される輝度レベルに応じた1つを選択して実行する。つまり、図21又は図22に示されるが如き駆動状態となるように、入力映像信号に応じて上記画素駆動データビットDB1〜DB(N)を生成してアドレスドライバ55に供給するのである。かかる駆動により、入力映像信号によって表される輝度レベルを(N+1)階調の中間輝度で表現することが可能になる。
【0057】
尚、上記実施例においては、N個のサブフィールドによって表される2N通りの駆動パターンの内から図21又は図22に示す如き(N+1)種類の駆動パターンのみを用いてPDP50を(N+1)階調階調する場合について説明したが、2N階調駆動する際にも同様に適用可能である。
図23は、選択消去アドレス法を採用してPDP50を2N階調駆動する際における発光駆動シーケンスを示す図である。
【0058】
図23に示される発光駆動シーケンスでは、各サブフィールド内において、奇数行リセット行程RODD’、奇数行アドレス行程WODD’、偶数行リセット行程REVE’、偶数行アドレス行程WEVE’、プライミング行程P’、サスティン行程I’、壁電荷移動行程T、及び消去行程E’を順次実行する。尚、各行程内においてPDP50に印加される各種駆動パルスと、その印加タイミングは図15に示されるものと同一である。尚、選択書込アドレス法を採用してPDP50を2N階調駆動する際には、先頭のサブフィールドSF1においてのみで、奇数行リセット行程RODD及び偶数行リセット行程REVEを実行する。
【0059】
【発明の効果】
以上の如く、本発明においては、表示パネル内の単位発光領域(画素セルPC)を第1放電セル(表示放電セルC1)及び光吸収層を備えた第2放電セル(制御放電セルC2)にて構築している。そして、表示画像を司る発光を担うサスティン放電を上記第1放電セルにて生起させる一方、表示画像には関与しない発光を伴う各種制御放電を上記第2放電セルにて生起させるようにしている。
【0060】
よって、本発明によれば、リセット放電及びアドレス放電の如き制御放電に伴う放電光がパネル表示面に現れることは無いので、表示画像のコントラスト、特に、全体的に暗い場面に対応した画像を表示させている際の暗コントラストを向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の面放電方式交流型プラズマディスプレイパネルの構成の一部を示す図である。
【図2】図1に示されるV−V線上での断面を示す図である。
【図3】図1に示されるW−W線上での断面を示す図である。
【図4】1サブフィールド内においてプラズマディスプレイパネルに印加される各種駆動パルスとその印加タイミングを示す図である。
【図5】本発明による表示装置としてのプラズマディスプレイ装置の構成を示す図である。
【図6】図5に示されるプラズマディスプレイ装置に搭載されているPDP50の表示面側からPDP50を眺めた平面図である。
【図7】図6に示されるV−V線上での断面を示す図である。
【図8】PDP50の表示面の斜め上方向からPDP50を眺め図である。
【図9】選択書込アドレス法を採用してPDP50を駆動する際の発光駆動シーケンスの一例を示す図である。
【図10】図9に示す発光駆動シーケンスに従って先頭のサブフィールドSF1においてPDP50に印加される各種駆動パルスとその印加タイミングを示す図である。
【図11】図9に示す発光駆動シーケンスに従ってサブフィールドSF2以降の各サブフィールドにおいてPDP50に印加される各種駆動パルスとその印加タイミングを示す図である。
【図12】選択書込アドレス法を採用してPDP50を駆動する際の発光駆動シーケンスの他の一例を示す図である。
【図13】選択書込アドレス法を採用してPDP50を駆動する際の発光駆動シーケンスの更に他の一例を示す図である。
【図14】選択消去アドレス法を採用してPDP50を駆動する際の発光駆動シーケンスの一例を示す図である。
【図15】図14に示す発光駆動シーケンスに従って先頭のサブフィールドSF1においてPDP50に印加される各種駆動パルスとその印加タイミングを示す図である。
【図16】図14に示す発光駆動シーケンスに従ってサブフィールドSF2以降の各サブフィールドにおいてPDP50に印加される各種駆動パルスとその印加タイミングを示す図である。
【図17】図9に示す発光駆動シーケンスに従って先頭のサブフィールドSF1においてPDP50に印加される各種駆動パルスとその印加タイミングの他の一例を示す図である。
【図18】図9に示す発光駆動シーケンスに従ってサブフィールドSF2以降の各サブフィールドにおいてPDP50に印加される各種駆動パルスとその印加タイミングの他の一例を示す図である。
【図19】図14に示す発光駆動シーケンスに従って先頭のサブフィールドSF1においてPDP50に印加される各種駆動パルスとその印加タイミングの他の一例を示す図である。
【図20】図14に示す発光駆動シーケンスに従ってサブフィールドSF2以降の各サブフィールドにおいてPDP50に印加される各種駆動パルスとその印加タイミングの他の一例を示す図である。
【図21】選択書込アドレス法を採用してPDP50を(N+1)階調駆動する際における各フィールド内での駆動パターンの一例を示す図である。
【図22】選択消去アドレス法を採用してPDP50を(N+1)階調駆動する際における各フィールド内での駆動パターンの一例を示す図である。
【図23】PDP50を2N階調駆動する際に用いられる発光駆動シーケンスの一例を示す図である。
【符号の説明】
50 PDP
51 奇数X電極ドライバ
52 偶数X電極ドライバ
53 奇数Y電極ドライバ
54 偶数Y電極ドライバ
55 アドレスドライバ
56 駆動制御回路
C1 表示放電セル
C2 制御放電セル
PC 画素セル
【発明が属する技術分野】
本発明は、表示パネルを搭載した表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、大型で薄型のカラー表示パネルとして面放電方式交流型プラズマディスプレイパネルを搭載したプラズマディスプレイ装置が注目されている。
図1〜図3は、従来の面放電方式交流型プラズマディスプレイパネルの構成の一部を示す図である。
【0003】
プラズマディスプレイパネル(PDP)には、互いに平行に配置された前面ガラス基板1と背面ガラス基板4との間に画素毎に放電を生じさせるための構成が形成されている。前面ガラス基板1の表面が表示面となる。前面ガラス基板1の裏面側には、長手の複数の行電極対(X’,Y’)と、この行電極対(X’,Y’)を被覆する誘電体層2と、この誘電体層2の裏面を被覆するMgOからなる保護層3が順に設けられている。各行電極X’,Y’は、それぞれ、幅の広いITO等の透明導電膜からなる透明電極Xa’,Ya’と、その導電性を補う幅の狭い金属膜からなるバス電極Xb’,Yb’とから構成されている。行電極X’とY’とが放電ギャップg’を挟んで対向するように表示画面の垂直方向に交互に配置されており、各行電極対(X’,Y’)によって、マトリクス表示の1表示ライン(行)Lが構成されている。背面ガラス基板4には、行電極対X’,Y’と直交する方向に配列された複数の列電極D’と、この列電極D’間にそれぞれ平行に形成された帯状の隔壁5と、この隔壁5の側面と列電極D’を被覆するそれぞれ赤(R)、緑(G)、青(B)の蛍光材料によって形成された蛍光体層6とが設けられている。上記保護層3及び蛍光体層6間には、キセノンを含むNe−Xeガスが封入されている放電空間S’が存在する。各表示ラインLには、列電極D’及び行電極対(X’,Y’)の交差部において放電空間S’を隔壁5によって区画した、単位発光領域としての放電セルC’が形成されている。
【0004】
上記の面放電方式交流型PDPにおける画像の形成には、中間調を表示させるための方法として、1フィールドの表示期間をNビットの表示データの各ビット桁の重み付けに対応した回数だけ発光するN個のサブフィールドに分割する、いわゆる、サブフィールド法が用いられている。
このサブフィールド法において、1フィールドの表示期間が分割された各サブフィールドは、図4に示す如く、一斉リセット期間Rc、アドレス期間Wc、及びサスティン期間Icによって構成されている。一斉リセット期間Rcでは、互いに対をなす行電極X1’〜Xn’とY1’〜Yn’間にリセットパルスRPx,RPyが一斉に印加されることによって、全ての放電セルにおいて一斉にリセット放電が行われ、これによって、一旦、各放電セル内に所定量の壁電荷が形成される。次のアドレス期間Wcでは、行電極対の一方の行電極Y1’〜Yn’に、順次、走査パルスSPが印加されるとともに、列電極D1’〜Dm’に、各表示ライン毎に画像の表示データに対応した表示データパルスDP1〜DPnが印加されて、アドレス放電(選択消去放電)が生起される。このとき、各放電セルは、画像の表示データに対応して、消去放電が発生されずに壁電荷が形成されたままの発光セルと、消去放電が発生して壁電荷が消滅した非発光セルとに分けられる。次のサスティン期間Icでは、互いに対をなす行電極X1’〜Xn’とY1’〜Yn’間にサスティンパルスIPx,IPyが各サブフィールドの重み付けに対応した数だけ印加される。これによって、壁電荷が残留したままの発光セルのみが、印加されるサスティンパルスIPx,IPyの数に対応した数だけサスティン放電を繰り返す。かかるサスティン放電により、放電空間S’に封入されているキセノンXeから波長147nmの真空紫外線が放射される。かかる真空紫外線により、背面基板上に形成されている赤(R)、緑(G)、青(B)の蛍光体層が励起して可視光を発生することにより、入力映像信号に対応した画像が得られるのである。
【0005】
このようなPDPにおける画像形成においては、上記のように、アドレス放電やサスティン放電の安定化のためにその放電の開始前にリセット放電が行われる。更に、アドレス放電も各サブフィールド毎に行われる。従来のPDPでは、このリセット放電およびアドレス放電が、サスティン放電によって画像形成のための可視光を発生させる放電セルC’内において行われる。
【0006】
よって、黒等の暗い画像の表示が行われる際にも、リセット放電やアドレス放電による発光がパネルの表示面に現れて画面が明るくなってしまうために、暗コントラストが低下する場合があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、かかる問題点を解決すべく為されたものであり、暗コントラストを向上させることが出来る表示装置及び表示パネルの駆動方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明による表示装置は、入力映像信号に基づく各画素毎の画素データに応じて前記入力映像信号に対応した画像表示を行う表示装置であって、放電空間を挟んで対向配置された前面基板及び背面基板と、前記前面基板の内面に設けられている複数の行電極対と、前記背面基板の内面において前記行電極対に交叉して配列された複数の列電極とを有し、前記行電極対及び前記列電極の各交差部に第1放電セル及び光吸収層が設けられている第2放電セルからなる単位発光領域が形成されている表示パネルと、前記行電極対各々の一方の行電極に順次、走査パルスを印加しつつ前記走査パルスと同一タイミングにて前記画素データに対応した画素データパルスを1表示ライン分ずつ順次前記列電極各々に印加して前記第2放電セル内において選択的にアドレス放電を生起せしめることにより前記第1放電セルを点灯セル状態及び消灯セル状態のいずれか一方に設定するアドレス手段と、前記行電極対の各々にサスティンパルスを繰り返し印加して前記点灯セル状態にある前記第1放電セルのみでサスティン放電を生起せしめるサスティン手段と、を含む。
【0009】
又、本発明による表示パネルの駆動方法は、放電空間を挟んで対向配置された前面基板及び背面基板と、前記前面基板の内面に設けられている複数の行電極対と、前記背面基板の内面において前記行電極対に交叉して配列された複数の列電極とを有し、前記行電極対及び前記列電極の各交差部に第1放電セル及び光吸収層が設けられている第2放電セルからなる単位発光領域が形成されている表示パネルを、入力映像信号に基づく各画素毎の画素データに応じて駆動する表示パネルの駆動方法であって、前記行電極対各々の一方の行電極に順次、走査パルスを印加しつつ前記走査パルスと同一タイミングにて前記画素データに対応した画素データパルスを1表示ライン分ずつ順次前記列電極各々に印加して前記第2放電セル内において選択的にアドレス放電を生起せしめることにより前記第1放電セルを点灯セル状態及び消灯セル状態のいずれか一方に設定するアドレス行程と、前記行電極対の各々にサスティンパルスを繰り返し印加して前記点灯セル状態にある前記第1放電セルのみでサスティン放電を生起せしめるサスティン行程と、を含む。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図5は、本発明による表示装置としてのプラズマディスプレイ装置の構成を示す図である。
図5に示すように、かかるプラズマディスプレイ装置は、プラズマディスプレイパネルとしてのPDP50、奇数X電極ドライバ51、偶数X電極ドライバ52、奇数Y電極ドライバ53、偶数Y電極ドライバ54、アドレスドライバ55、及び駆動制御回路56から構成される。
【0011】
PDP50には、表示画面における垂直方向に夫々伸張している帯状の列電極D1〜Dmが形成されている。更に、PDP50には、表示画面における水平方向に夫々伸張している帯状の行電極X0、X1〜Xn及び行電極Y1〜Ynが形成されている。一対の行電極、つまり行電極対(X1、Y1)〜行電極対(Xn、Yn)各々がPDP50における第1表示ライン〜第n表示ラインを担い、各表示ラインと列電極D1〜Dm各々との各交叉部に単位発光領域、つまり画素を担う画素セルPCが形成されている。つまり、PDP50には、図5に示す如き形態にて画素セルPC1,1〜PCn,mがマトリクス状に配列されているのである。尚、行電極X0は、第1表示ラインに属する画素セルPC1,1〜PC1,m各々に含まれる。
【0012】
図6〜図8は、PDP50の内部構造の一部を抜粋して示す図である。
図7に示すように、PDP50は、互いに平行に配置された前面ガラス基板10と背面ガラス基板13との間に画素毎に放電を生じさせるための上記列電極D、行電極X及びYを含む各種構成が形成されている。前面ガラス基板10の表面が表示面となり、その裏面側に、複数の長手の行電極対(X,Y)が表示画面における水平方向(図5の左右方向)に夫々平行に配列されている。
【0013】
行電極Xは、T字形状に形成されたITO等の透明導電膜からなる透明電極Xaと、金属膜からなる黒色のバス電極Xbとによって構成されている。バス電極Xbは、表示画面における水平方向に伸張した帯状の電極である。透明電極Xaにおける幅狭の基端部が表示画面における垂直方向に伸張してバス電極Xbに接続されている。透明電極Xaは、バス電極Xb上における各列電極Dに対応した位置に夫々接続されている。すなわち、透明電極Xaは帯状のバス電極Xb上における各列電極Dに対応した位置から、対を為す行電極Y側に向けて突起した突起電極端なのである。行電極Yも同様に、T字形状に形成されたITO等の透明電極膜からなる透明電極Yaと、金属膜からなる黒色のバス電極Ybとによって構成されている。バス電極Ybは、表示画面における水平方向に伸張した帯状の電極である。透明電極Yaにおける幅狭の基端部が表示画面における垂直方向に伸張してバス電極Ybに接続されている。透明電極Yaは、バス電極Yb上における各列電極Dに対応した位置に夫々接続されている。すなわち、透明電極Yaは帯状のバス電極Yb上における各列電極Dに対応した位置から、対を為す行電極X側に向けて突起した突起電極端なのである。行電極X及びYは、前面ガラス基板10の垂直方向(図6の上下方向及び図7の左右方向)において交互に配列されている。バス電極Xb及びYbに沿って等間隔に並列されたそれぞれの透明電極Xa及びYaが、互いに対となる相手の行電極側に伸張している。これら透明電極Xa及びYa各々における幅広の先端部が、互いに所定幅の放電ギャップgを介して対向して配置されている。
【0014】
前面ガラス基板10の裏面には、図7に示すように、行電極対(X,Y)を被覆するように誘電体層11が形成されている。誘電体層11の表面における、制御放電セルC2(後述する)各々に対応した位置に、誘電体層11から背面側に向かって突出した嵩上げ誘電体層12が形成されている。嵩上げ誘電体層12は、黒色または暗色の顔料を含んだ光吸収層からなり、バス電極Xb及びYbに対して平行方向に伸張して形成されている。嵩上げ誘電体層12の表面及び嵩上げ誘電体層12が形成されていない誘電体層11の表面は、MgOからなる図示しない保護層によって被覆されている。前面ガラス基板10と放電空間を介して平行に配置された背面ガラス基板13には、図7に示すように、突起リブ17が嵩上げ誘電体層12と対向する位置に形成されている。突起リブ17は表示画面における水平方向に伸張している。また、背面ガラス基板13上には、夫々、バス電極Xb及びYbと直交する方向(垂直方向)に伸張している複数の列電極Dが、互いに所定の間隔を開けて平行に配列されている。尚、各列電極Dは、図8に示すように、透明電極Xa及びYaに対向した背面ガラス基板13上の位置に形成されている。更に、背面ガラス基板13上には、列電極Dを被覆する白色の列電極保護層(誘電体層)14が形成されている。列電極保護層14上には、第1横壁15A、第2横壁15B及び縦壁15Cからなる隔壁15が形成されている。第1横壁15Aは、前面ガラス基板10側から見て、各行電極Xのバス電極Xbと対になっているバス電極Yb側の側部に沿ってそれぞれ水平方向に伸張して形成されている。第2横壁15Bは、各行電極Yのバス電極Ybと対になっているバス電極Xb側の側部に沿ってそれぞれ第1横壁15Aと所要の間隔を空けて平行に伸張して形成されている。縦壁15Cは、バス電極Xb,Ybに沿って等間隔に配置された各透明電極Xa,Yaの間の位置においてそれぞれ垂直方向に伸張して形成されている。
【0015】
第1横壁15Aおよび縦壁15Cの高さは、嵩上げ誘電体層12の背面側を被覆している保護層と列電極Dを被覆している列電極保護層14との間の間隔と等しい。つまり、第1横壁15Aおよび縦壁15Cは共に、嵩上げ誘電体層12を被覆している保護層の背面側に当接されているのである。一方、第2横壁15Bは、その高さが第1横壁15A及び縦壁15Cの高さよりも僅かに低い。すなわち、第2横壁15Bは嵩上げ誘電体層12を被覆している保護層には当接されておらず、それ故に、第2横壁15Bと嵩上げ誘電体層12を被覆している保護層との間には、図7に示す如き隙間rが存在する。
【0016】
図6に示されるように、第1横壁15A及び縦壁15Cによって囲まれた領域が画素を担う画素セルPCとなる。画素セルPCは、更に、第2横壁15Bによって表示放電セルC1及び制御放電セルC2に区分けされる。表示放電セルC1及び制御放電セルC2各々内には放電ガスが封入されており、両者は上記隙間rを介して互いに連通されている。
【0017】
表示放電セルC1は、互いに対向する一対の透明電極Xa及びYaを含む。すなわち、表示放電セルC1内には、その画素セルPCが属する表示ラインに対応した行電極対(X、Y)における行電極Xの透明電極Xa、及び行電極Yの透明電極Yaが互いに放電ギャップgを介して対向して形成されている。例えば、第2表示ラインに属する画素セルPC2,1〜PC2,m各々の表示放電セルC1内には、行電極X2の透明電極Xaと、行電極Y2の透明電極Yaが形成されているのである。
【0018】
一方、制御放電セルC2は、突起リブ17、バス電極Xb,Yb、及び嵩上げ誘電体層12を含んでいる。尚、制御放電セルC2内に形成されているバス電極Ybは、その画素セルPCが属する表示ラインに対応した行電極対(X、Y)における行電極Yのバス電極である。又、制御放電セルC2内に形成されているバス電極Xbは、この画素セルPCが属する表示ラインの上段側に隣接した表示ラインを担う行電極Xのバス電極である。例えば、第2表示ラインに属する画素セルPC2,1〜PC2,m各々の制御放電セルC2内には、この第2表示ラインに対応した行電極Y2のバス電極Yb、及び第2表示ラインの上段側に隣接している第1表示ラインに対応した行電極Y1のバス電極Xbが形成されているのである。尚、第1表示ラインの上段には表示ラインが存在しない。そこで、PDP50においては、第1表示ラインを担う行電極Y1の上段側の隣接した位置に行電極X0を設けている。つまり、第1表示ラインに属する画素セルPC1,1〜PC1,m各々の制御放電セルC2内には、第1表示ラインに対応した行電極Y1のバス電極Ybと、行電極X0のバス電極Xbとが形成されているのである。
【0019】
各表示放電セルC1の放電空間に面する隔壁15の第1横壁15A、第2横壁15B及び縦壁15Cの各側面と列電極保護層14の表面には、これらの五つの面を覆うように蛍光体層16が形成されている。蛍光体層16としては、赤色で発光する赤色蛍光層、緑色で発光する緑色蛍光層、及び青色で発光する青色蛍光層の3系統があり、各画素セルPC毎にその割り当てが決まっている。尚、制御放電セルC2内には、このような蛍光体層は形成されていない。
【0020】
背面ガラス基板13上において、各制御放電セルC2に対応した位置には、表示画面における水平方向に沿って帯状に伸張している突起リブ17が形成されている。突起リブ17は、第2横壁15Bよりも高さが低い。突起リブ17により、各制御放電セルC2内においては、図7に示す如く列電極D及び列電極保護層14が背面ガラス基板13から持ち上げられることになる。よって、表示放電セルC1に対応した位置に形成されている列電極Dと、透明電極Xa(Ya)との間隔s1よりも、制御放電セルC2に対応した位置に形成されている列電極Dと、バス電極Xb(Yb)との間隔s2の方が小になる。尚、突起リブ17は、列電極保護層14と同一の誘電材料によって形成するようにしても良く、あるいは背面ガラス基板13上にサンドプラストやウェットエッチングなどの方法によって凹凸を形成することにより構成してもよい。
【0021】
以上の如く、PDP50には、各々が、前面ガラス基板10及び背面ガラス基板13間に形成されている隔壁15(第1横壁15A及び縦壁15C)によって密封された画素セルPC1,1〜PCn,mがマトリクス状に形成されている。この際、各画素セルPCは、互いにその放電空間が連通している表示放電セルC1及び制御放電セルC2からなり、行電極X0、X1〜Xn、行電極Y1〜Yn、及び列電極D1〜Dmを介して以下の如く駆動される。
【0022】
奇数X電極ドライバ51は、駆動制御回路56から供給されたタイミング信号に応じて、PDP50の奇数番目の行電極X、つまり行電極X1、X3、X5、・・・・、Xn−3、及びXn−1各々に、各種駆動パルス(後述する)を印加する。偶数X電極ドライバ52は、駆動制御回路56から供給されたタイミング信号に応じて、PDP50の偶数番目の行電極X、つまり行電極X0、X2、X4、・・・・、Xn−2、及びXn各々に各種駆動パルス(後述する)を印加する。奇数Y電極ドライバ53は、駆動制御回路56から供給されたタイミング信号に応じて、PDP50の奇数番目の行電極Y、つまり行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Yn−3、及びYn−1各々に各種駆動パルス(後述する)を印加する。偶数Y電極ドライバ54は、駆動制御回路56から供給されたタイミング信号に応じて、PDP50の偶数番目の行電極Y、つまり行電極Y2、Y4、・・・・、Yn−2、及びYn各々に各種駆動パルス(後述する)を印加する。アドレスドライバ55は、駆動制御回路56から供給されたタイミング信号に応じて、PDP50の列電極D1〜Dmに各種駆動パルス(後述する)を印加する。
【0023】
駆動制御回路56は、映像信号における各フィールド(フレーム)をN個のサブフィールドSF1〜SF(N)各々に分割して駆動する、いわゆるサブフィールド(サブフレーム)法に基づいてPDP50を駆動制御する。駆動制御回路56は、先ず、入力映像信号を各画素毎に輝度レベルを表す画素データに変換する。次に、かかる画素データを、各サブフィールドSF1〜SF(N)毎に発光を実施させるか否かを指定する画素駆動データビット群DB1〜DB(N)に変換してアドレスドライバ55に供給する。
【0024】
更に、駆動制御回路56は、図9に示す如き発光駆動シーケンスに従ってPDP50を駆動制御すべき各種タイミング信号を発生して、奇数X電極ドライバ51、偶数X電極ドライバ52、奇数Y電極ドライバ53及び偶数Y電極ドライバ54に供給する。
尚、図9に示す発光駆動シーケンスでは、先頭のサブフィールドSF1において、奇数行リセット行程RODD、奇数行アドレス行程WODD、偶数行リセット行程REVE、偶数行アドレス行程WEVE、プライミング行程P、サスティン行程I、及び消去行程Eが順次実行される。又、サブフィールドSF2〜SF(N)の各々では、奇数行アドレス行程WODD、偶数行アドレス行程WEVE、プライミング行程P、サスティン行程I、及び消去行程Eが順次実行される。
【0025】
図10は、先頭のサブフィールドSF1内において上記奇数X電極ドライバ51、偶数X電極ドライバ52、奇数Y電極ドライバ53、偶数Y電極ドライバ54及びアドレスドライバ55各々がPDP50に印加する各種駆動パルスとその印加タイミングを示す図である。又、図11は、サブフィールドSF2〜SF(N)の各々内において上記奇数X電極ドライバ51、偶数X電極ドライバ52、奇数Y電極ドライバ53、偶数Y電極ドライバ54及びアドレスドライバ55各々がPDP50に印加する各種駆動パルスとその印加タイミングを示す図である。 先ず、サブフィールドSF1の奇数行リセット行程RODDでは、偶数X電極ドライバ52が図10に示す如き波形を有する負電圧のリセットパルスRPXを発生して、PDP50の偶数の行電極X0、X2、X4、・・・・、Xn−2及びXnの各々に同時に印加する。リセットパルスRPXの印加後、偶数X電極ドライバ52は、図10に示す如き一定高電圧を印加しつづける。上記リセットパルスRPXの印加と同時に、奇数Y電極ドライバ53は、図10に示す如き波形を有する正電圧のリセットパルスRPYをPDP50の奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Yn−3、及びYn−1各々に同時に印加する。尚、リセットパルスRPX及びRPY各々の立ち上がり区間及び立ち下がり区間でのレベル推移は、後述するサスティンパルスIPの立ち上がり区間及び立ち下がり区間でのレベル推移よりも緩やかである。更に、リセットパルスRPYにおける立ち下がり区間でのレベル推移は、リセットパルスRPXの立ち上がり区間でのレベル推移よりも緩やかである。リセットパルスRPX及びRPYの印加に応じて、奇数表示ラインに属する画素セルPC1,1〜PC1,m、PC3,1〜PC3,m、PC5,1〜PC5,m、・・・・、及びPC(n−1)、1〜PC(n−1)、m各々の制御放電セルC2内においてリセット放電が生起される。つまり、リセットパルスRPX及びRPYの印加により、図6に示す如く制御放電セルC2内に形成されているバス電極Xb及びYb間でリセット放電が生起されるのである。この際、リセットパルスRPYの立ち上がり時において第1回目のリセット放電が生起され、その放電直後に制御放電セルC2内の嵩上げ誘電体層12の表面に壁電荷が形成される。その後、リセットパルスRPYの立ち下がり時において第2回目のリセット放電が生起され、制御放電セルC2内に形成されていた壁電荷が消滅する。尚、奇数行リセット行程RODDでは、偶数Y電極ドライバ54が、負電圧の放電防止パルスBPを上記リセットパルスRPX及びRPYと同一タイミングにてPDP50の偶数の行電極Y2、Y4、・・・・、Yn−2及びYn各々に同時に印加する。かかる放電防止パルスBPの印加後、偶数Y電極ドライバ54は、図10に示す如き一定高電圧を印加しつづける。かかる一定高電圧の印加及び放電防止パルスBPの印加により、偶数表示ラインに属する画素セルPCでの誤った放電が防止される。
【0026】
このように、上記奇数行リセット行程RODDでは、PDP50の奇数表示ラインに属する全ての画素セルPCの制御放電セルC2内から壁電荷を消滅させて、奇数表示ラインに属する全ての画素セルPCを消灯セル状態に初期化する。
次に、各サブフィールドの奇数行アドレス行程WODDでは、奇数Y電極ドライバ53が、負電圧の走査パルスSPをPDP50の奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Yn−3、及びYn−1各々に順次印加する。この間、アドレスドライバ55は、この奇数行アドレス行程WODDが属するサブフィールドSFに対応した画素駆動データビット群DBの内の奇数表示ラインに対応したものを、その論レベルに応じたパルス電圧を有する画素データパルスDPに変換する。例えば、アドレスドライバ55は、論理レベル1の画素駆動データビットを正極性の高電圧の画素データパルスDPに変換する一方、論理レベル0の画素駆動データビットを低電圧(0ボルト)の画素データパルスDPに変換する。そして、かかる画素データパルスDPを上記走査パルスSPの印加タイミングに同期して1表示ライン分ずつ列電極D1〜Dmに印加して行く。つまり、アドレスドライバ55は、奇数表示ラインに対応した画素駆動データビットDB1,1〜DB1,m、DB3,1〜DB3,m、・・・・、DB(n−1)、1〜DB(n−1)を、画素データパルスDP1,1〜DP1,m、DP3,1〜DP3,m、・・・・、DP(n−1)、1〜DP(n−1)に変換し、1表示ライン分ずつ列電極D1〜Dmに印加するのである。この際、走査パルスSPが印加され、かつ高電圧の画素データパルスDPが印加された画素セルPCの制御放電セルC2内における、列電極D及びバス電極Yb間、並びにバス電極Ya及びYb間においてアドレス放電(選択書込放電)が生起される。この際、アドレス放電の生起された制御放電セルC2内の嵩上げ誘電体層12の表面に壁電荷が形成される。一方、走査パルスSPが印加されたものの負電圧の画素データパルスDPが印加された画素セルPCの制御放電セルC2内では上記の如きアドレス放電は生起されない。よって、この画素セルPCの制御放電セルC2内には壁電荷が形成されない。
【0027】
このように、上記奇数行アドレス行程WODDでは、PDP50の奇数表示ラインに属する画素セルPCの制御放電セルC2内に、画素データ(入力映像信号)に応じて選択的に壁電荷を形成する。
次に、サブフィールドSF1の偶数行リセット行程REVEでは、奇数X電極ドライバ51が図10に示す如き波形を有する負電圧のリセットパルスRPXを発生して、PDP50の奇数の行電極X1、X3、X5、・・・・、X(n−3)及びX(n−1)の各々に同時に印加する。リセットパルスRPXの印加後、奇数X電極ドライバ51は図10に示す如き一定高電圧を印加しつづける。上記リセットパルスRPXの印加と同時に、偶数Y電極ドライバ54は、図10に示す如き波形を有する正電圧のリセットパルスRPYをPDP50の偶数の行電極Y2、Y4、Y6、・・・・、Y(n−1)、及びYn各々に同時に印加する。尚、リセットパルスRPX及びRPY各々の立ち上がり区間及び立ち下がり区間でのレベル推移は、後述するサスティンパルスIPの立ち上がり区間及び立ち下がり区間でのレベル推移よりも緩やかである。更に、リセットパルスRPYにおける立ち下がり区間でのレベル推移は、リセットパルスRPXの立ち上がり区間でのレベル推移よりも緩やかである。これらリセットパルスRPX及びRPYの印加に応じて、偶数表示ラインに属する画素セルPC2,1〜PC2,m、PC4,1〜PC4,m、PC6,1〜PC6,m、・・・・、及びPCn,1〜PCn,m各々の制御放電セルC2内のバス電極Xb及びYb間においてリセット放電が生起される。この際、リセットパルスRPYの立ち上がり時において第1回目のリセット放電が生起され、その放電直後に制御放電セルC2内の嵩上げ誘電体層12の表面に壁電荷が形成される。その後、リセットパルスRPYの立ち下がり時において第2回目のリセット放電が生起され、制御放電セルC2内に形成されていた壁電荷が消滅する。尚、偶数行リセット行程REVEでは、奇数Y電極ドライバ53が、負電圧の放電防止パルスBPを上記リセットパルスRPX及びRPYと同一タイミングにてPDP50の奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Y(n−1)各々に同時に印加する。かかる放電防止パルスBPの印加後、奇数Y電極ドライバ53は、図10に示す如き一定高電圧を印加しつづける。かかる一定高電圧の印加及び放電防止パルスBPの印加により、奇数表示ラインに属する画素セルPCでの放電が防止される。
【0028】
このように、上記偶数行リセット行程REVEでは、PDP50の偶数表示ラインに属する全ての画素セルPCの制御放電セルC2内から壁電荷を消滅させて、偶数表示ラインに属する全ての画素セルPCを消灯セル状態に初期化する。
次に、各サブフィールドの偶数行アドレス行程WEVEでは、偶数Y電極ドライバ54が、負電圧の走査パルスSPをPDP50の偶数の行電極Y2、Y4、Y6、・・・・、Yn各々に順次印加する。この間、アドレスドライバ55は、この偶数行アドレス行程WEVEが属するサブフィールドSFに対応した画素駆動データビット群DBの内の偶数表示ラインに対応したものを、その論レベルに応じたパルス電圧を有する画素データパルスDPに変換する。例えば、アドレスドライバ55は、論理レベル1の画素駆動データビットを正極性の高電圧の画素データパルスDPに変換する一方、論理レベル0の画素駆動データビットを低電圧(0ボルト)の画素データパルスDPに変換する。そして、かかる画素データパルスDPを上記走査パルスSPの印加タイミングに同期して1表示ライン分ずつ列電極D1〜Dmに印加して行く。つまり、アドレスドライバ55は、偶数表示ラインに対応した画素駆動データビットDB2,1〜DB2,m、DB4,1〜DB4,m、・・・・、DBn,1〜DB(n−1)、m各々に対応した、画素データパルスDP2,1〜DP2,m、DP4,1〜DP4,m、・・・・、DPn,1〜DPn,mを1表示ライン分ずつ列電極D1〜Dmに印加するのである。この際、走査パルスSPが印加され、かつ高電圧の画素データパルスDPが印加された画素セルPCの制御放電セルC2内における、列電極D及びバス電極Yb間、並びにバス電極Ya及びYb間においてアドレス放電(選択書込放電)が生起される。この際、アドレス放電の生起された制御放電セルC2内の嵩上げ誘電体層12の表面に壁電荷が形成される。一方、走査パルスSPが印加されたものの負電圧の画素データパルスDPが印加された画素セルPCの制御放電セルC2内では上記の如きアドレス放電は生起されない。よって、この画素セルPCの制御放電セルC2内には壁電荷が形成されない。
【0029】
このように、上記偶数行アドレス行程WEVEでは、PDP50の偶数表示ラインに属する画素セルPCの制御放電セルC2内に、画素データ(入力映像信号)に応じて選択的に壁電荷を形成する。
次に、各サブフィールドのプライミング行程Pでは、奇数Y電極ドライバ53が図10に示す如く正電圧のプライミングパルスPPYOを断続的に繰り返し、奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Y(n−1)各々に印加する。又、プライミング行程Pでは、奇数X電極ドライバ51が、図10に示すように、正電圧のプライミングパルスPPXOを断続的に繰り返し奇数の行電極X1、X3、X5、・・・・、X(n−1)各々に印加する。又、かかるプライミング行程Pでは、偶数X電極ドライバ52が、図10に示すように、正電圧のプライミングパルスPPXEを断続的に繰り返し偶数の行電極X0、X2、X4、・・・・、Xn−2及びXn各々に印加する。更に、プライミング行程Pでは、偶数Y電極ドライバ54が、正電圧のプライミングパルスPPYEを断続的に繰り返し偶数の行電極Y2、Y4、・・・・、Yn−2及びYn各々に印加する。尚、偶数の行電極X及びYに印加されるプライミングパルスPPXE及びPPYEと、奇数の行電極X及びYに印加されるプライミングパルスPPXO及びPPYOとは、図10に示す如く、その印加タイミングが互いにずれている。かかるプライミングパルスPPが印加される度に、壁電荷の形成されている制御放電セルC2のみでプライミング放電が生起される。つまり、上記奇数行アドレス行程WODD又は偶数行アドレス行程WEVEにおいて壁電荷が形成された制御放電セルC2のみで、この制御放電セルC2のバス電極Xb及びYb間でプライミング放電が生起されるのである。この際、かかるプライミング放電により生成された荷電粒子が図7に示す如き隙間rを通過して表示放電セルC1に流れ込んで、表示放電セルC1側に放電を拡張させる。従って、制御放電セルC2内においてプライミング放電が生起される度に表示放電セルC1側への放電拡張が進行し、表示放電セルC1内の誘電体層11の表面上に壁電荷が蓄積されて行く。尚、図10に示すように、プライミング行程P内において最初に印加するプライミングパルスPPは、放電遅れによる誤放電を防止すべくそれ以降に印加するプライミングパルスPPよりもそのパルス幅を広くしてある。又、プライミング行程P内での最終のプライミングパルスPPXE(又はPPYE)と同一タイミングにて、奇数Y電極ドライバ53は、図10に示す如き負電圧の拡張補助パルスKPを奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Y(n−1)各々に印加する。更に、プライミング行程P内での最終のプライミングパルスPPXOと同一タイミングにて、偶数Y電極ドライバ54は、図10に示す如き負電圧の拡張補助パルスKPを偶数の行電極Y2、Y4、・・・・、Yn−2及びYn各々に印加する。かかる負電圧の拡張補助パルスKPと正電圧のプライミングパルスPPとの同時印加に応じて、制御放電セルC2のバス電極Xb及びYb間にプライミング放電が生起されると共に、表示放電セルC1内の透明電極Xa及びYa間において微弱な放電が生起される。かかる放電により、後述するサスティン放電を生起させる際に必要充分な量の壁電荷が表示放電セルC1の誘電体層11の表面上に形成され、この表示放電セルC1を備えた画素セルPCは点灯セル状態に設定される。一方、上記奇数行アドレス行程WODD又は偶数行アドレス行程WEVEにおいて壁電荷が形成されず、それ故に、上記プライミング放電が生起されなかった表示放電セルC1内には壁電荷の形成が為されないので、この表示放電セルC1を備えた画素セルPCは消灯セル状態に設定される。尚、表示放電セルC1内の透明電極Xa及びYa間での誤った放電を防止させるべく、奇数Y電極ドライバ53は、上記拡張補助パルスKPの印加直後に、図10に示す如き正電圧の誤放電防止パルスVPを奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Yn−3、及びYn−1各々に印加する。
【0030】
このように、プライミング行程Pでは、上記奇数行アドレス行程WODD又は偶数行アドレス行程WEVEにおいて壁電荷の形成された制御放電セルC2を有する画素セルPCのみを点灯セル状態、壁電荷の形成されなかった制御放電セルC2を有する画素セルPCを消灯セル状態に設定するのである。
次に、各サブフィールドのサスティン行程Iでは、奇数Y電極ドライバ53が図10に示す如き正電圧のサスティンパルスIPYOを、このサスティン行程Iの属するサブフィールドに割り当てられている回数だけ繰り返し、奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Y(n−1)各々に印加する。偶数X電極ドライバ52は、かかるサスティンパルスIPYO各々と同一タイミングにて、正電圧のサスティンパルスIPXEをこのサスティン行程Iの属するサブフィールドに割り当てられている回数だけ繰り返し、偶数の行電極X0、X2、X4、・・・・、Xn−2及びXn各々に印加する。奇数X電極ドライバ51は、図10に示す如き正電圧のサスティンパルスIPXOをこのサスティン行程Iの属するサブフィールドに割り当てられている回数だけ繰り返し、奇数の行電極X1、X3、X5、・・・・、X(n−1)各々に印加する。更に、かかるサスティン行程Iでは、偶数Y電極ドライバ54が、正電圧のサスティンパルスIPYEをこのサスティン行程Iの属するサブフィールドに割り当てられている回数だけ繰り返し、偶数の行電極Y2、Y4、・・・・、Yn−2及びYn各々に印加する。尚、図10に示すように、上記サスティンパルスIPXE及びIPYOと、上記サスティンパルスIPXO及びIPYEとは、その印加タイミングが互いにずれている。上記サスティンパルスIPXO、IPXE、IPYO又はIPYEが印加される度に、点灯セル状態に設定された画素セルPCの表示放電セルC1内の透明電極Xa及びYa間においてサスティン放電が生起される。この際、かかるサスティン放電にて発生した紫外線により、表示放電セルC1に形成されている蛍光体層16(赤色蛍光層、緑色蛍光層、青色蛍光層)が励起し、その蛍光色に対応した光が前面ガラス基板10を介して放射される。つまり、このサスティン行程Iの属するサブフィールドに割り当てられている回数分だけ、サスティン放電に伴う発光が繰り返し生起されるのである。尚、制御放電セルC2内のバス電極Xb及びYb間での誤った放電を防止させるべく、奇数Y電極ドライバ53は、サスティン行程Iの最後尾において、図10に示す如き正電圧の誤放電防止パルスVPを奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Y(n−1)各々に印加する。
【0031】
このように、上記サスティン行程Iでは、点灯セル状態に設定された画素セルPCのみを、サブフィールドに割り当てられている回数分だけ繰り返し発光させる。
次に、各サブフィールドの消去行程Eでは、奇数Y電極ドライバ53及び偶数Y電極ドライバ54が、図10に示す如き消去パルスEPYをPDP50の行電極Y1〜Ynに印加する。更に、かかる消去パルスEPYと同時に、奇数X電極ドライバ51及び偶数X電極ドライバ52が、図10に示す如き波形を有する消去パルスEPXをPDP50の行電極X1〜Xnに印加する。尚、消去パルスEPXは、図10に示すように、その立ち下がり時のレベル推移が緩やかになっている。上記消去パルスEPY及びEPXの印加に応じて、この消去パルスEPXの立ち下がり時のタイミングにて、点灯放電セルに設定されている画素セルPCの表示放電セルC1及び制御放電セルC2各々内で消去放電が生起される。かかる消去放電により、表示放電セルC1及び制御放電セルC2各々内に形成されていた壁電荷が消滅する。すなわち、PDP50の全ての画素セルPCが消灯セル状態に推移するのである。
【0032】
上述した如き駆動により、サブフィールドSF1〜SF(N)を通して各サスティン行程Iにおいて実施された発光回数の合計に対応した中間輝度が視覚される。つまり、各サブフィールド内のサスティン行程Iにて生起されたサスティン放電に伴う放電光によって、入力映像信号に対応した表示画像が得られるのである。
【0033】
この際、図5に示すプラズマディスプレイ装置においては、表示画像に関与するサスティン放電を各画素セルPC内の表示放電セルC1にて生起させる一方、表示画像には関与しない発光を伴うリセット放電、プライミング放電及びアドレス放電は、制御放電セルC2にて生起させるようにしている。制御放電セルC2には、図7に示すように、黒色または暗色の顔料を含んだ光吸収層からなる嵩上げ誘電体層12が設けられている。よって、リセット放電、プライミング放電及びアドレス放電に伴う放電光は嵩上げ誘電体層12によって遮断されるので、この放電光が前面ガラス基板10を介して表示面に表れることはない。
【0034】
従って、図5に示すプラズマディスプレイ装置によれば、表示画像のコントラスト、特に、全体的に暗い場面に対応した画像を表示させている際の暗コントラストを高めることが可能になる。
又、図5に示すプラズマディスプレイ装置では、PDP50として、表示放電セルC1及び制御放電セルC2からなる画素セルPCがマトリクス状に配列された構造を採用している。それ故に、表示放電セルC1の上下に隣接して制御放電セルC2が配置されることになる。この際、上下に隣接している制御放電セルC2がほぼ同時期に放電すると、これら制御放電セルC2に挟まれた位置に存在する表示放電セルC1内において誤って放電が生じる場合がある。そこで、図5に示すプラズマディスプレイ装置では、図9〜図11に示すように、PDP50の全ての画素セルPCを消灯セル状態に初期化させるリセット放電を、奇数行リセット行程RODDと偶数行リセット行程REVEとで時間的に分離して実行させる。更に、画素データ(入力映像信号)に応じて選択的に画素セルPCの制御放電セルC2内に壁電荷を形成させるアドレス放電を、各サブフィールド内において奇数行アドレス行程WODDと偶数行アドレス行程WEVEとで時間的に分離して実行させるようにしている。これにより、表示放電セルC1の上下に隣接している制御放電セルC2が同時に放電することは無いので、表示放電セルC1内での誤った放電が防止されるのである。
【0035】
尚、上記実施例(図9)では先頭のサブフィールドSF1において、奇数行リセット行程RODD、奇数行アドレス行程WODD、偶数行リセット行程REVE、偶数行アドレス行程WEVE、プライミング行程P、サスティン行程I、消去行程Eなる順に駆動を行っているが、その実行順番は適宜変更し得るものである。
例えば、図12に示す如く、サブフィールドSF1では、奇数行リセット行程RODD、偶数行リセット行程REVE、奇数行アドレス行程WODD、偶数行アドレス行程WEVE、プライミング行程P、サスティン行程I、消去行程Eなる順にて駆動を実行するようにしても良い。更に、図13に示すように、サブフィールドSF1において、奇数行リセット行程RODD、奇数行アドレス行程WODD、プライミング行程P、サスティン行程IODD、消去行程E、偶数行リセット行程REVE、偶数行アドレス行程WEVE、プライミング行程P、サスティン行程IEVE、消去行程Eなる順で駆動を実行するようにしても良い。すなわち、奇数表示ラインに対するリセット行程、アドレス行程、プライミング行程、サスティン行程、消去行程を順次実行してから、偶数表示ラインに対するリセット行程、アドレス行程、プライミング行程、サスティン行程、消去行程を実行するのである。
【0036】
又、上記実施例(図9〜図13)においては、PDP50の各画素セルを画素データに応じた壁電荷の形成状態に設定する為の画素データ書込方法として、画素データに応じて選択的に各画素セルにアドレス放電を生起せしめて壁電荷を形成させる選択書込アドレス法を採用した場合について述べた。しかしながら、本願発明においては、この画素データ書込方法として、予め全ての画素セル内に壁電荷を形成しておき、アドレス放電によって選択的に画素セル内の壁電荷を消去する、いわゆる選択消去アドレス法を採用した場合についても同様に適用可能である。
【0037】
図14は、選択消去アドレス法を採用した場合の発光駆動シーケンスを示す図である。
図14に示す発光駆動シーケンスでは、先頭のサブフィールドSF1において、奇数行リセット行程RODD’、奇数行アドレス行程WODD’、偶数行リセット行程REVE’、偶数行アドレス行程WEVE’、プライミング行程P’、サスティン行程I’、壁電荷移動行程T、及び消去行程E’を順次実行する。又、サブフィールドSF2〜SF(N)の各々では、奇数行アドレス行程WODD’、偶数行アドレス行程WEVE’、プライミング行程P’、サスティン行程I’、壁電荷移動行程T、及び消去行程E’を順次実行する。
【0038】
図15は、サブフィールドSF1の上記奇数行リセット行程RODD’、奇数行アドレス行程WODD’、偶数行リセット行程REVE’、偶数行アドレス行程WEVE’、プライミング行程P’、サスティン行程I’、壁電荷移動行程T及び消去行程E’にてPDP50に印加される各種駆動パルスとその印加タイミングを示す図である。又、図16は、サブフィールドSF2〜SF(N)各々の奇数行アドレス行程WODD’、偶数行アドレス行程WEVE’、プライミング行程P’、サスティン行程I’、壁電荷移動行程T及び消去行程E’にてPDP50に印加される各種駆動パルスとその印加タイミングを示す図である。
【0039】
先ず、サブフィールドSF1の奇数行リセット行程RODD’では、偶数X電極ドライバ52が図15に示す如き波形を有する負電圧のリセットパルスRPX1を発生して、PDP50の偶数の行電極X0、X2、X4、・・・・、Xn−2及びXn各々に同時に印加する。かかるリセットパルスRPX1と同時に、奇数Y電極ドライバ53は、図15に示す如き波形を有する正電圧のリセットパルスRPY1をPDP50の奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Yn−3、及びYn−1各々に同時に印加する。リセットパルスRPX1及びRPY1の印加に応じて、奇数表示ラインに属する画素セルPC1,1〜PC1,m、PC3,1〜PC3,m、PC5,1〜PC5,m、・・・・、及びPC(n−1),1〜PC(n−1),m各々の制御放電セルC2内のバス電極Xb及びYb間においてリセット放電が生起される。かかるリセット放電により制御放電セルC2内の嵩上げ誘電体層12の表面に壁電荷が形成される。尚、この間、偶数表示ラインに属する画素セルPC内での誤った放電を防止すべく、偶数Y電極ドライバ54が、負電圧の放電防止パルスBP1を偶数の行電極Y2、Y4、・・・・、Yn−2及びYn各々に同時に印加する。上記リセットパルスRPX1の印加直後に、偶数X電極ドライバ52は、図15に示す如き波形を有する正電圧のリセットパルスRPX2を偶数の行電極X0、X2、X4、・・・・、Xn−2及びXn各々に同時に印加する。かかるリセットパルスRPX2の印加により奇数表示ラインに属する画素セルPC1,1〜PC1,m、PC3,1〜PC3,m、PC5,1〜PC5,m、・・・・、及びPC(n−1),1〜PC(n−1),m各々の制御放電セルC2内のバス電極Xb及びYb間において再びリセット放電が生起される。かかるリセット放電により、制御放電セルC2内の嵩上げ誘電体層12の表面に形成される壁電荷の量が増加する。尚、この間、偶数表示ラインに属する画素セルPC内での誤った放電を防止すべく、偶数Y電極ドライバ54が、図15に示す如き正電圧の放電防止パルスBP2を偶数の行電極Y2、Y4、・・・・、Yn−2及びYn各々に同時に印加する。上記リセットパルスRPX2が印加された直後、奇数Y電極ドライバ53は、図15に示す如き正電圧のリセットパルスRPY2をPDP50の奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Yn−3、及びYn−1各々に同時に印加する。かかるリセットパルスRPY2の印加により奇数表示ラインに属する画素セルPC1,1〜PC1,m、PC3,1〜PC3,m、PC5,1〜PC5,m、・・・・、及びPC(n−1),1〜PC(n−1),m各々の制御放電セルC2内のバス電極Xb及びYb間において再びリセット放電が生起される。かかるリセット放電により、制御放電セルC2内の嵩上げ誘電体層12の表面に形成される壁電荷の量が更に増加する。
【0040】
このように、上記奇数行リセット行程RODD’では、PDP50の奇数表示ラインに属する全ての画素セルPCの制御放電セルC2内に壁電荷を形成させて、奇数表示ラインに属する全ての画素セルPCを点灯セル状態に初期化する。
次に、図15及び図16に示される各サブフィールドの奇数行アドレス行程WODD’では、奇数Y電極ドライバ53が、負電圧の走査パルスSPをPDP50の奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Yn−3、及びYn−1各々に順次印加する。この間、アドレスドライバ55は、この奇数行アドレス行程WODD’が属するサブフィールドSFに対応した画素駆動データビット群DBの内の奇数表示ラインに対応したものを、その論レベルに応じたパルス電圧を有する画素データパルスDPに変換する。例えば、アドレスドライバ55は、論理レベル1の画素駆動データビットを正極性の高電圧の画素データパルスDPに変換する一方、論理レベル0の画素駆動データビットを低電圧(0ボルト)の画素データパルスDPに変換する。そして、かかる画素データパルスDPを上記走査パルスSPの印加タイミングに同期して1表示ライン分ずつ列電極D1〜Dmに印加して行く。つまり、アドレスドライバ55は、奇数表示ラインに対応した画素駆動データビットDB1,1〜DB1,m、DB3,1〜DB3,m、・・・・、DB(n−1),、1〜DB(n−1)を、画素データパルスDP1,1〜DP1,m、DP3,1〜DP3,m、・・・・、DP(n−1),、1〜DP(n−1)に変換し、1表示ライン分ずつ列電極D1〜Dmに印加するのである。この際、走査パルスSPが印加され、かつ高電圧の画素データパルスDPが印加された画素セルPCの制御放電セルC2内における、列電極D及びバス電極Yb間、並びにバス電極Ya及びYb間においてアドレス放電(選択消去放電)が生起される。この際、アドレス放電の生起された制御放電セルC2内では、その嵩上げ誘電体層12の表面に形成されていた壁電荷が消滅する。一方、走査パルスSPが印加されたものの負電圧の画素データパルスDPが印加された画素セルPCの制御放電セルC2内では上記の如きアドレス放電は生起されない。よって、かかる制御放電セルC2はその直前までの状態(壁電荷が存在する状態、又は壁電荷が存在しない状態)を維持する。
【0041】
このように、奇数行アドレス行程WODD’では、PDP50の奇数表示ラインに属する画素セルPCの制御放電セルC2内に形成されていた壁電荷を、画素データ(入力映像信号)に応じて選択的に消去している。
次に、サブフィールドSF1の偶数行リセット行程REVE’では、奇数X電極ドライバ51が図15に示す如き波形を有する負電圧のリセットパルスRPX1を発生して、PDP50の奇数の行電極X1、X3、X5、・・・・、X(n−1)各々に同時に印加する。かかるリセットパルスRPX1と同時に、偶数Y電極ドライバ54は、図15に示す如き波形を有する正電圧のリセットパルスRPY1を発生してPDP50の偶数の行電極Y2、Y4、・・・・、Yn−2及びYn各々に同時に印加する。リセットパルスRPX1及びRPY1の印加に応じて、偶数表示ラインに属する画素セルPC2,1〜PC2,m、PC4,1〜PC4,m、PC6,1〜PC6,m、・・・・、及びPCn,1〜PCn,m各々の制御放電セルC2内のバス電極Xb及びYb間においてリセット放電が生起される。かかるリセット放電により制御放電セルC2内の嵩上げ誘電体層12の表面に壁電荷が形成される。尚、この間、奇数表示ラインに属する画素セルPC内での誤った放電を防止すべく、奇数Y電極ドライバ53が、負電圧の放電防止パルスBP1を奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Yn−3、及びYn−1各々に同時に印加する。上記リセットパルスRPX1の印加直後に、偶数X電極ドライバ51は、図15に示す如き波形を有する正電圧のリセットパルスRPX2を奇数の行電極X1、X3、X5、・・・・、X(n−1)各々に同時に印加する。かかるリセットパルスRPX2の印加により偶数表示ラインに属する画素セルPC2,1〜PC2,m、PC4,1〜PC4,m、PC6,1〜PC6,m、・・・・、及びPCn,1〜PCn,m各々の制御放電セルC2内のバス電極Xb及びYb間において再びリセット放電が生起される。かかるリセット放電により、制御放電セルC2内の嵩上げ誘電体層12の表面に形成される壁電荷の量が増加する。尚、この間、奇数表示ラインに属する画素セルPC内での誤った放電を防止すべく、奇数Y電極ドライバ53が、図15に示す如き正電圧の放電防止パルスBP2を奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Yn−3、及びYn−1各々に同時に印加する。上記リセットパルスRPX2が印加された直後、偶数Y電極ドライバ54は、図15に示す如き正電圧のリセットパルスRPY2を偶数の行電極Y2、Y4、・・・・、Yn−2及びYn各々に同時に印加する。かかるリセットパルスRPY2の印加により偶数表示ラインに属する画素セルPC2,1〜PC2,m、PC4,1〜PC4,m、PC6,1〜PC6,m、・・・・、及びPCn,1〜PCn,m各々の制御放電セルC2内のバス電極Xb及びYb間において再びリセット放電が生起される。かかるリセット放電により、制御放電セルC2内の嵩上げ誘電体層12の表面に形成される壁電荷の量が更に増加する。
【0042】
このように、偶数行リセット行程REVE’では、PDP50の偶数表示ラインに属する全ての画素セルPCの制御放電セルC2内に壁電荷を形成させて、この偶数表示ラインに属する全ての画素セルPCを点灯セル状態に初期化する。
次に、図15及び図16に示される各サブフィールドの偶数行アドレス行程WEVE’では、偶数Y電極ドライバ54が、負電圧の走査パルスSPをPDP50の偶数の行電極Y2、Y4、Y6、・・・・、Yn各々に順次印加する。この間、アドレスドライバ55は、この偶数行アドレス行程WEVEが属するサブフィールドSFに対応した画素駆動データビット群DBの内の偶数表示ラインに対応したものを、その論レベルに応じたパルス電圧を有する画素データパルスDPに変換する。例えば、アドレスドライバ55は、論理レベル1の画素駆動データビットを正極性の高電圧の画素データパルスDPに変換する一方、論理レベル0の画素駆動データビットを低電圧(0ボルト)の画素データパルスDPに変換する。そして、かかる画素データパルスDPを上記走査パルスSPの印加タイミングに同期して1表示ライン分ずつ列電極D1〜Dmに印加して行く。つまり、アドレスドライバ55は、偶数表示ラインに対応した画素駆動データビットDB2,1〜DB2,m、DB4,1〜DB4,m、・・・・、DBn,1〜DB(n−1),m各々に対応した、画素データパルスDP2,1〜DP2,m、DP4,1〜DP4,m、・・・・、DPn,1〜DPn,mを1表示ライン分ずつ列電極D1〜Dmに印加するのである。この際、走査パルスSPが印加され、かつ高電圧の画素データパルスDPが印加された画素セルPCの制御放電セルC2内における、列電極D及びバス電極Yb間、並びにバス電極Ya及びYb間においてアドレス放電(選択消去放電)が生起される。この際、アドレス放電の生起された制御放電セルC2内では、その嵩上げ誘電体層12の表面に形成されていた壁電荷が消滅する。一方、走査パルスSPが印加されたものの負電圧の画素データパルスDPが印加された画素セルPCの制御放電セルC2内では上記の如きアドレス放電は生起されない。よって、かかる制御放電セルC2はその直前までの状態(壁電荷が存在する状態、又は壁電荷が存在しない状態)を維持する。
【0043】
このように、上記偶数行アドレス行程WEVE’では、PDP50の偶数表示ラインに属する画素セルPCの制御放電セルC2内に形成されていた壁電荷を、画素データ(入力映像信号)に応じて選択的に消滅させるのである。
次に、各サブフィールドのプライミング行程Pでは、奇数Y電極ドライバ53が図15に示す如く正電圧のプライミングパルスPPYOを断続的に繰り返し、奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Y(n−1)各々に印加する。又、プライミング行程Pでは、奇数X電極ドライバ51が、図15に示すように、正電圧のプライミングパルスPPXOを断続的に繰り返し奇数の行電極X1、X3、X5、・・・・、X(n− 1)各々に印加する。又、かかるプライミング行程Pでは、偶数X電極ドライバ52が、図15に示すように、正電圧のプライミングパルスPPXEを断続的に繰り返し偶数の行電極X0、X2、X4、・・・・、Xn−2及びXn各々に印加する。更に、プライミング行程Pでは、偶数Y電極ドライバ54が、正電圧のプライミングパルスPPYEを断続的に繰り返し偶数の行電極Y2、Y4、・・・・、Yn−2及びYn各々に印加する。尚、偶数の行電極X及びYに印加されるプライミングパルスPPXE及びPPYEと、奇数の行電極X及びYに印加されるプライミングパルスPPXO及びPPYOとは、図15に示すようにその印加タイミングが互いにずれている。かかるプライミングパルスPPが印加される度に、壁電荷の形成されている制御放電セルC2のみでプライミング放電が生起される。つまり、上記偶数行アドレス行程WEVE’の終了段階において壁電荷が残留したままとなっている制御放電セルC2のみで、この制御放電セルC2のバス電極Xb及びYb間でプライミング放電が生起されるのである。この際、かかるプライミング放電により生成された荷電粒子が図7に示す如き隙間rを通過して表示放電セルC1に流れ込んで、表示放電セルC1側に放電を拡張させる。従って、制御放電セルC2内においてプライミング放電が生起される度に表示放電セルC1側への放電拡張が進行し、表示放電セルC1内の誘電体層11の表面上に壁電荷が蓄積されて行く。尚、図15に示すように、プライミング行程P内において最初に印加するプライミングパルスPPは、放電遅れによる誤放電を防止すべくそれ以降に印加するプライミングパルスPPよりもそのパルス幅を広くしてある。又、プライミング行程P内での最終のプライミングパルスPPXE(又はPPYE)と同一タイミングにて、奇数Y電極ドライバ53は、図15に示す如き負電圧の拡張補助パルスKPを奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Y(n−1)各々に印加する。更に、プライミング行程P内での最終のプライミングパルスPPXOと同一タイミングにて、偶数Y電極ドライバ54は、図15に示す如き負電圧の拡張補助パルスKPを偶数の行電極Y2、Y4、・・・・、Yn−2及びYn各々に印加する。かかる負電圧の拡張補助パルスKPと正電圧のプライミングパルスPPとの同時印加に応じて、制御放電セルC2のバス電極Xb及びYb間にプライミング放電が生起されると共に、表示放電セルC1内の透明電極Xa及びYa間において微弱な放電が生起される。かかる放電により、後述するサスティン放電を生起させる際に必要充分な量の壁電荷が表示放電セルC1の誘電体層11の表面上に形成され、この表示放電セルC1を備えた画素セルPCは点灯セル状態に設定される。一方、上記奇数行アドレス行程WODD’又は偶数行アドレス行程WEVE’において壁電荷が消去されたが故に、上記プライミング放電が生起されなかった表示放電セルC1内には壁電荷が形成されないので、この表示放電セルC1を備えた画素セルPCは消灯セル状態に設定される。尚、表示放電セルC1内の透明電極Xa及びYa間での誤った放電を防止させるべく、奇数Y電極ドライバ53は、上記拡張補助パルスKPの印加直後に、図15に示す如き正電圧の誤放電防止パルスVPを奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Y(n−1)各々に印加する。
【0044】
このように、プライミング行程Pでは、上記奇数行アドレス行程WODD’又は偶数行アドレス行程WEVE’にて壁電荷の消去されなかった制御放電セルC2を有する画素セルPCのみを点灯セル状態、壁電荷の消去された制御放電セルC2を有する画素セルPCを消灯セル状態に設定するのである。
次に、各サブフィールドのサスティン行程Iでは、奇数Y電極ドライバ53が図15に示す如き正電圧のサスティンパルスIPYOを、このサスティン行程Iの属するサブフィールドに割り当てられている回数だけ繰り返し、奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Y(n−1)各々に印加する。偶数X電極ドライバ52は、かかるサスティンパルスIPYO各々と同一タイミングにて、正電圧のサスティンパルスIPXEをこのサスティン行程Iの属するサブフィールドに割り当てられている回数だけ繰り返し、偶数の行電極X0、X2、X4、・・・・、Xn−2及びXn各々に印加する。奇数X電極ドライバ51は、図15に示す如き正電圧のサスティンパルスIPXOをこのサスティン行程Iの属するサブフィールドに割り当てられている回数だけ繰り返し、奇数の行電極X1、X3、X5、・・・・、X(n−1)各々に印加する。更に、かかるサスティン行程Iでは、偶数Y電極ドライバ54が、正電圧のサスティンパルスIPYEをこのサスティン行程Iの属するサブフィールドに割り当てられている回数だけ繰り返し、偶数の行電極Y2、Y4、・・・・、Yn−2及びYn各々に印加する。尚、図15に示すように、上記サスティンパルスIPXE及びIPYOと、上記サスティンパルスIPXO及びIPYEとは、その印加タイミングが互いにずれている。上記サスティンパルスIPXO、IPXE、IPYO又はIPYEが印加される度に、点灯セル状態に設定された画素セルPCの表示放電セルC1内の透明電極Xa及びYa間においてサスティン放電が生起される。この際、かかるサスティン放電にて発生した紫外線により、表示放電セルC1に形成されている蛍光体層16(赤色蛍光層、緑色蛍光層、青色蛍光層)が励起し、その蛍光色に対応した光が前面ガラス基板10を介して放射される。つまり、このサスティン行程Iの属するサブフィールドに割り当てられている回数分だけ、サスティン放電に伴う発光が繰り返し生起されるのである。尚、制御放電セルC2内のバス電極Xb及びYb間での誤った放電を防止させるべく、奇数Y電極ドライバ53は、サスティン行程Iの最後尾において、正電圧の誤放電防止パルスVPを奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Y(n−1)各々に印加する。
【0045】
このように、サスティン行程Iでは、上記プライミング行程Pの終了段階において点灯セル状態に設定されている画素セルPCのみを、そのサスティン行程Iが属するサブフィールドに割り当てられている回数分だけ繰り返し発光させる。
次に、各サブフィールドの壁電荷移動行程Tでは、偶数X電極ドライバ52が図15に示す如き負電圧の壁電荷移動パルスMPXE1を、偶数の行電極X0、X2、X4、・・・・、Xn−2及びXn各々に同時に印加する。又、かかる壁電荷移動パルスMPXE1と同時に、奇数Y電極ドライバ53は、図15に示す如き正電圧の壁電荷移動パルスMPYOを奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Yn−3、及びYn−1各々に同時に印加する。これら壁電荷移動パルスMPXE1及び壁電荷移動パルスMPYOの印加に応じて、奇数表示ラインに属する画素セルPC各々の制御放電セルC2のバス電極Xb及びYb間において移動放電が生起される。更に、この間、奇数X電極ドライバ51は、図15に示す如き正電圧の壁電荷移動パルスMPXO1を奇数の行電極X1、X3、X5、・・・・、X(n−1)各々に同時に印加する。これにより、奇数表示ラインに属する画素セルPC各々の内で、点灯セル状態に設定されている画素セルPCの表示放電セルC1内に形成されていた壁電荷が図7に示す如き隙間rを介して制御放電セルC2側に移動する。壁電荷移動パルスMPXO1の印加後、奇数X電極ドライバ51は、図15に示す如き負電圧の壁電荷移動パルスMPXO2を奇数の行電極X1、X3、X5、・・・・、X(n−1)各々に同時に印加する。又、かかる壁電荷移動パルスMPXO2と同一タイミングにて、偶数Y電極ドライバ54が、図15に示す如き正電圧の壁電荷移動パルスMPYEを偶数の行電極Y2、Y4、・・・・、Yn−2及びYn各々に同時に印加する。これら壁電荷移動パルスMPXO2及び壁電荷移動パルスMPYEの印加に応じて、偶数表示ラインに属する画素セルPC各々の制御放電セルC2のバス電極Xb及びYb間において移動放電が生起される。更に、この間、偶数X電極ドライバ52は、図15に示す如き正電圧の壁電荷移動パルスMPXE2を偶数の行電極X0、X2、X4、・・・・、Xn−2及びXn各々に同時に印加する。これにより、偶数表示ラインに属する画素セルPC各々の内で、点灯セル状態に設定されている画素セルPCの表示放電セルC1内に形成されていた壁電荷が図7に示す如き隙間rを介して制御放電セルC2側に移動する。
【0046】
このように、壁電荷移動行程Tでは、点灯セル状態に設定されている画素セルPCの表示放電セルC1内に形成されていた壁電荷を、制御放電セルC2側に移動させる。
次に、各サブフィールドの消去行程E’では、奇数Y電極ドライバ53は、図15に示す如き波形を有する正電圧の消去パルスEPYを奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Yn−3、及びYn−1各々に同時に印加する。尚、図15に示すように、消去パルスEPYにおける立ち下がり時のレベル推移は立ち上がり時のそれよりも緩やかである。かかる消去パルスEPYと同一タイミングにて、奇数X電極ドライバ51は、図15に示す如き正電圧の消去パルスEPXを奇数の行電極X1、X3、X5、・・・・、Xn−3、及びXn−1各々に同時に印加する。これら消去パルスEPY及びEPXの印加に応じて、奇数表示ラインに属する表示放電セルC1の内で壁電荷の残留している表示放電セルC1の透明電極Xa及びYb間において消去放電が生起され、この壁電荷が消去される。尚、この間、制御放電セルC2内での誤った放電を防止すべく、偶数Y電極ドライバ54は、図15に示す如き正電圧の誤放電防止パルスVPを偶数の行電極Y2、Y4、・・・・、Yn−2及びYn各々に印加する。かかる誤放電防止パルスVPの印加直後に、偶数Y電極ドライバ54は、図15に示す如き波形を有する正電圧の消去パルスEPYを偶数の行電極Y2、Y4、・・・・、Yn−2及びYn各々に印加する。かかる消去パルスEPYと同一タイミングにて、偶数X電極ドライバ52は、図15に示す如き正電圧の消去パルスEPXを偶数の行電極X0、X2、X4、・・・・、Xn−2及びXn各々に同時に印加する。これら消去パルスEPY及びEPXの印加に応じて、偶数表示ラインに属する表示放電セルC1の内で壁電荷の残留している表示放電セルC1の透明電極Xa及びYb間において消去放電が生起され、この壁電荷が消去される。尚、この間、制御放電セルC2内での誤った放電を防止すべく、奇数Y電極ドライバ53は、図15に示す如き正電圧の誤放電防止パルスVPを奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Yn−3、及びYn−1各々に印加する。
【0047】
このように、消去行程E’では、PDP50の全ての表示放電セルC1内に残留している壁電荷を消去して、全ての画素セルPCを消灯セル状態に推移させるのである。
上述した如き駆動により、サブフィールドSF1〜SF(N)を通して各サスティン行程Iにおいて実施された発光回数の合計に対応した中間輝度が視覚される。つまり、各サブフィールド内のサスティン行程Iにて生起されたサスティン放電に伴う放電光によって、入力映像信号に対応した表示画像が得られるのである。
【0048】
この際、図14〜図16に示す如き選択消去アドレス法を採用した駆動によっても、表示画像には関与しない発光を伴うリセット放電、プライミング放電及びアドレス放電を、光吸収層からなる嵩上げ誘電体層12を備えた制御放電セルC2にて生起させるようにしている。よって、選択消去アドレス法を採用した場合にも同様に、リセット放電、プライミング放電及びアドレス放電に伴う放電光が前面ガラス基板10を介して表示面に表れることはないので、暗コントラストを高めることが可能になる。
【0049】
又、上記図10及び図11に示す駆動では、プライミング行程P内において拡張補助パルスKPの印加による最終のプライミング放電が終了してから、サスティン行程Iにて最初のサスティン放電を生起させるようにしているが、これらの放電を同時に実施することも可能である。
図17及び図18は、かかる点に鑑みて為された各種駆動パルスとその印加タイミングの他の一例を示す図である。
【0050】
尚、図17及び図18においては、プライミング行程PIを除く、各行程内において印加される各種駆動パルスとその印加タイミングは、図10及び図11に示されるものと同一である。
図17及び図18に示されるプライミング行程PIでは、奇数Y電極ドライバ53が正電圧のプライミングパルスPPYOを断続的に繰り返し奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Y(n−1)各々に印加する。又、奇数X電極ドライバ51が、正電圧のプライミングパルスPPXOを断続的に繰り返し奇数の行電極X1、X3、X5、・・・・、X(n−1)各々に印加する。又、偶数X電極ドライバ52が、正電圧のプライミングパルスPPXEを断続的に繰り返し偶数の行電極X0、X2、X4、・・・・、Xn−2及びXn各々に印加する。更に、偶数Y電極ドライバ54が、正電圧のプライミングパルスPPYEを断続的に繰り返し偶数の行電極Y2、Y4、・・・・、Yn−2及びYn各々に印加する。尚、偶数の行電極X及びYに印加されるプライミングパルスPPXE及びPPYEと、奇数の行電極X及びYに印加されるプライミングパルスPPXO及びPPYOとは、その印加タイミングが互いにずれている。
【0051】
ところが、プライミング行程PIでは、図17及び図18に示すように、最終のプライミングパルスPPXEと最終のプライミングパルスPPXOとが同一タイミングにて印加される。更に、この間、奇数Y電極ドライバ53及び偶数Y電極ドライバ54が、図17及び図18に示されるが如き負電圧の共通放電パルスCPを全ての行電極Y1〜Ynに同時に印加している。共通放電パルスCP及び最終のプライミングパルスPPXE及びPPXOの印加によれば、壁電荷の形成されている制御放電セルC2で最終のプライミング放電が生起されると共に、プライミング放電によって壁電荷の形成された表示放電セルC1において第1回目のサスティン放電が生起されるのである。尚、このように最終のプライミング放電と、第1回目のサスティン放電とが同時に生起されることにより、サスティン行程Iにおいて最初に生起されるサスティン放電は2回目のサスティン放電となる。
【0052】
又、選択消去アドレス法を採用した駆動(図14〜図16)においても、同様に、各サブフィード内における最終のプライミング放電と最初のサスティン放電とを同時に生起させることが可能である。
図19及び図20は、選択消去アドレス法を採用した駆動時において、各サブフィールド内における最終のプライミング放電と最初のサスティン放電とを同時に生起させる場合に、PDP50に印加される各種駆動パルスとその印加タイミングを示す図である。尚、図19及び図20に示される駆動では、プライミング行程PIを除く各行程内において印加される各種駆動パルスとその印加タイミングは、図15及び図16に示されるものと同一である。
【0053】
図19及び図20に示されるプライミング行程PIでは、奇数Y電極ドライバ53が正電圧のプライミングパルスPPYOを断続的に繰り返し、奇数の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Y(n−1)各々に印加する。又、奇数X電極ドライバ51が、正電圧のプライミングパルスPPXOを断続的に繰り返し奇数の行電極X1、X3、X5、・・・・、X(n−1)各々に印加する。又、偶数X電極ドライバ52が、正電圧のプライミングパルスPPXEを断続的に繰り返し偶数の行電極X0、X2、X4、・・・・、Xn−2及びXn各々に印加する。更に、偶数Y電極ドライバ54が、正電圧のプライミングパルスPPYEを断続的に繰り返し偶数の行電極Y2、Y4、・・・・、Yn−2及びYn各々に印加する。尚、偶数の行電極X及びYに印加されるプライミングパルスPPXE及びPPYEと、奇数の行電極X及びYに印加されるプライミングパルスPPXO及びPPYOとは、その印加タイミングが互いにずれている。
【0054】
ところが、プライミング行程PIでは、図19及び図20に示すように、最終のプライミングパルスPPXEと最終のプライミングパルスPPXOとが同一タイミングにて印加される。更に、この間、奇数Y電極ドライバ53及び偶数Y電極ドライバ54が、図19及び図20に示されるが如き負電圧の共通放電パルスCPを全ての行電極Y1〜Ynに同時に印加している。共通放電パルスCP及び最終のプライミングパルスPPXE及びPPXOの印加によれば、壁電荷の形成されている制御放電セルC2で最終のプライミング放電が生起されると共に、プライミング放電によって壁電荷の形成された表示放電セルC1において第1回目のサスティン放電が生起される。
【0055】
図21は、選択書込アドレス法を採用してPDP50を駆動する際における1フィールド(フレーム)での駆動パターンを示す図である。図21に示すように、かかる駆動パターンは、最低輝度に対応した第1駆動パターン〜最高輝度に対応した第(N+1)駆動パターンまでの(N+1)種類の駆動パターンからなる。尚、図21に示される二重丸は、そのサブフィールドのアドレス行程(WODD、WEVE)においてアドレス放電(選択書込放電)を生起させ、このサブフィールドのサスティン行程において画素セルPCを繰り返し発光させることを示す。一方、二重丸の付されていないサブフィールドではアドレス放電(選択書込放電)を生起させないので、このサブフィールドのサスティン行程では画素セルPCは消灯状態となる。従って、例えば図21に示される第1駆動パターンによれば、SF1〜SF(N)を通して画素セルPCが一切発光しないので、最低輝度となる黒表示が表現される。又、第3駆動パターンによれば、SF1及びSF2各々のサスティン行程のでみ画素セルPCが発光するので、SF1のサスティン行程に割り当てられている発光回数と、SF2のサスティン行程に割り当てられている発光回数との合計回数に対応した中間輝度が表現される。
【0056】
又、図22は、選択消去アドレス法を採用してPDP50を駆動する際における1フィールド(フレーム)での駆動パターンを示す図である。図22に示すように、かかる駆動パターンは、最低輝度に対応した第1駆動パターン〜最高輝度に対応した第(N+1)駆動パターンまでの(N+1)種類の駆動パターンからなる。尚、図22に示される黒丸は、そのサブフィールドのアドレス行程(WODD、WEV E)においてアドレス放電(選択消去放電)を生起させて制御放電セルC2内に形成されていた壁電荷を消滅させて画素セルPCを消灯状態にすることを示す。一方、白丸は、このサブフィールドのサスティン行程において画素セルPCを繰り返し発光させることを示す。従って、例えば図21に示される第1駆動パターンによれば、SF1〜SF(N)を通して画素セルPCが一切発光しないので、最低輝度となる黒表示が表現される。又、第3駆動パターンによれば、SF1及びSF2各々のサスティン行程のでみ画素セルPCが発光するので、SF1のサスティン行程に割り当てられている発光回数と、SF2のサスティン行程に割り当てられている発光回数との合計回数に対応した中間輝度が表現される。駆動制御回路56は、図21又は図22に示されるが如き(N+1)種類の駆動パターンの内から、入力映像信号によって表される輝度レベルに応じた1つを選択して実行する。つまり、図21又は図22に示されるが如き駆動状態となるように、入力映像信号に応じて上記画素駆動データビットDB1〜DB(N)を生成してアドレスドライバ55に供給するのである。かかる駆動により、入力映像信号によって表される輝度レベルを(N+1)階調の中間輝度で表現することが可能になる。
【0057】
尚、上記実施例においては、N個のサブフィールドによって表される2N通りの駆動パターンの内から図21又は図22に示す如き(N+1)種類の駆動パターンのみを用いてPDP50を(N+1)階調階調する場合について説明したが、2N階調駆動する際にも同様に適用可能である。
図23は、選択消去アドレス法を採用してPDP50を2N階調駆動する際における発光駆動シーケンスを示す図である。
【0058】
図23に示される発光駆動シーケンスでは、各サブフィールド内において、奇数行リセット行程RODD’、奇数行アドレス行程WODD’、偶数行リセット行程REVE’、偶数行アドレス行程WEVE’、プライミング行程P’、サスティン行程I’、壁電荷移動行程T、及び消去行程E’を順次実行する。尚、各行程内においてPDP50に印加される各種駆動パルスと、その印加タイミングは図15に示されるものと同一である。尚、選択書込アドレス法を採用してPDP50を2N階調駆動する際には、先頭のサブフィールドSF1においてのみで、奇数行リセット行程RODD及び偶数行リセット行程REVEを実行する。
【0059】
【発明の効果】
以上の如く、本発明においては、表示パネル内の単位発光領域(画素セルPC)を第1放電セル(表示放電セルC1)及び光吸収層を備えた第2放電セル(制御放電セルC2)にて構築している。そして、表示画像を司る発光を担うサスティン放電を上記第1放電セルにて生起させる一方、表示画像には関与しない発光を伴う各種制御放電を上記第2放電セルにて生起させるようにしている。
【0060】
よって、本発明によれば、リセット放電及びアドレス放電の如き制御放電に伴う放電光がパネル表示面に現れることは無いので、表示画像のコントラスト、特に、全体的に暗い場面に対応した画像を表示させている際の暗コントラストを向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の面放電方式交流型プラズマディスプレイパネルの構成の一部を示す図である。
【図2】図1に示されるV−V線上での断面を示す図である。
【図3】図1に示されるW−W線上での断面を示す図である。
【図4】1サブフィールド内においてプラズマディスプレイパネルに印加される各種駆動パルスとその印加タイミングを示す図である。
【図5】本発明による表示装置としてのプラズマディスプレイ装置の構成を示す図である。
【図6】図5に示されるプラズマディスプレイ装置に搭載されているPDP50の表示面側からPDP50を眺めた平面図である。
【図7】図6に示されるV−V線上での断面を示す図である。
【図8】PDP50の表示面の斜め上方向からPDP50を眺め図である。
【図9】選択書込アドレス法を採用してPDP50を駆動する際の発光駆動シーケンスの一例を示す図である。
【図10】図9に示す発光駆動シーケンスに従って先頭のサブフィールドSF1においてPDP50に印加される各種駆動パルスとその印加タイミングを示す図である。
【図11】図9に示す発光駆動シーケンスに従ってサブフィールドSF2以降の各サブフィールドにおいてPDP50に印加される各種駆動パルスとその印加タイミングを示す図である。
【図12】選択書込アドレス法を採用してPDP50を駆動する際の発光駆動シーケンスの他の一例を示す図である。
【図13】選択書込アドレス法を採用してPDP50を駆動する際の発光駆動シーケンスの更に他の一例を示す図である。
【図14】選択消去アドレス法を採用してPDP50を駆動する際の発光駆動シーケンスの一例を示す図である。
【図15】図14に示す発光駆動シーケンスに従って先頭のサブフィールドSF1においてPDP50に印加される各種駆動パルスとその印加タイミングを示す図である。
【図16】図14に示す発光駆動シーケンスに従ってサブフィールドSF2以降の各サブフィールドにおいてPDP50に印加される各種駆動パルスとその印加タイミングを示す図である。
【図17】図9に示す発光駆動シーケンスに従って先頭のサブフィールドSF1においてPDP50に印加される各種駆動パルスとその印加タイミングの他の一例を示す図である。
【図18】図9に示す発光駆動シーケンスに従ってサブフィールドSF2以降の各サブフィールドにおいてPDP50に印加される各種駆動パルスとその印加タイミングの他の一例を示す図である。
【図19】図14に示す発光駆動シーケンスに従って先頭のサブフィールドSF1においてPDP50に印加される各種駆動パルスとその印加タイミングの他の一例を示す図である。
【図20】図14に示す発光駆動シーケンスに従ってサブフィールドSF2以降の各サブフィールドにおいてPDP50に印加される各種駆動パルスとその印加タイミングの他の一例を示す図である。
【図21】選択書込アドレス法を採用してPDP50を(N+1)階調駆動する際における各フィールド内での駆動パターンの一例を示す図である。
【図22】選択消去アドレス法を採用してPDP50を(N+1)階調駆動する際における各フィールド内での駆動パターンの一例を示す図である。
【図23】PDP50を2N階調駆動する際に用いられる発光駆動シーケンスの一例を示す図である。
【符号の説明】
50 PDP
51 奇数X電極ドライバ
52 偶数X電極ドライバ
53 奇数Y電極ドライバ
54 偶数Y電極ドライバ
55 アドレスドライバ
56 駆動制御回路
C1 表示放電セル
C2 制御放電セル
PC 画素セル
Claims (20)
- 入力映像信号に基づく各画素毎の画素データに応じて前記入力映像信号に対応した画像表示を行う表示装置であって、
放電空間を挟んで対向配置された前面基板及び背面基板と、前記前面基板の内面に設けられている複数の行電極対と、前記背面基板の内面において前記行電極対に交叉して配列された複数の列電極とを有し、前記行電極対及び前記列電極の各交差部に第1放電セル及び光吸収層が設けられている第2放電セルからなる単位発光領域が形成されている表示パネルと、
前記行電極対各々の一方の行電極に順次、走査パルスを印加しつつ前記走査パルスと同一タイミングにて前記画素データに対応した画素データパルスを1表示ライン分ずつ順次前記列電極各々に印加して前記第2放電セル内において選択的にアドレス放電を生起せしめることにより前記第1放電セルを点灯セル状態及び消灯セル状態のいずれか一方に設定するアドレス手段と、
前記行電極対の各々にサスティンパルスを繰り返し印加して前記点灯セル状態にある前記第1放電セルのみでサスティン放電を生起せしめるサスティン手段と、を含むことを特徴とする表示装置。 - 前記アドレス手段は、前記アドレス放電が生起された後に前記行電極対の各々に交互にプライミングパルスを印加して前記アドレス放電の生起された前記第1放電セルのみをプライミング放電せしめることにより前記第1放電セル内に形成されている壁電荷を前記第2放電セル内に移動させて前記第2放電セルを前記点灯セル状態にするプライミング手段を含むことを特徴とする請求項1記載の表示装置。
- 前記単位発光領域各々の前記放電空間は隔壁によって互いに密封されていることを特徴とする讃求項1記載の表示装置。
- 前記単位発光領域内における前記第1放電セル及び前記第2放電セル間は前記隔壁よりも高さが低い横壁によって仕切られており、前記横壁と前記前面基板との間に形成される隙間によって前記放電空間が連通していることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
- 前記第1放電セル内のみに放電によって発光する蛍光体層が形成されていることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
- 前記行電極対を構成する行電極各々は水平方向に伸張して形成されているバス電極と、前記バス電極上における前記列電極各々に対応した位置から他方の行電極側に向けて夫々突起して形成されている突起電極端とを備え、
前記第1放電セルは前記行電極対を担う前記行電極各々の前記突起電極端を含み、
前記第2放電セルは前記行電極対における一方の行電極の前記バス電極と、前記行電極対に隣接する前記行電極対における一方の行電極の前記バス電極とを含むことを特徴とする請求項1記載の表示装置。 - 前記アドレス手段による前記アドレス放電に先立って前記行電極対の一方の行電極と隣接する行電極対の一方の行電極との間にリセットパルスを印加して第2放電セル内においてリセット放電を生起せしめるリセット手段を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の表示装置。
- 前記リセット手段は、奇数表示ラインに属する前記第2放電セルにおいて生起させる前記リセット放電と偶数表示ラインに属する前記第2放電セルにおいて生起させる前記リセット放電とを時間的に分離して実行することを特徴とする請求項7記載の表示装置。
- 前記アドレス手段は、奇数表示ラインに属する前記第2放電セルにおいて生起させる前記アドレス放電と偶数表示ラインに属する前記第2放電セルにおいて生起させる前記アドレス放電とを時間的に分離して実行することを特徴とする請求項1記載の表示装置。
- 前記リセットパルスは、前記サスティンパルスに比して立ち上がり区間及び立下り区間でのレベル推移が緩やかな波形を有することを特徴とする請求項7記載の表示装置。
- 前記サスティン手段による前記サスティン放電の終了後、前記行電極対の一方の行電極に第1消去パルスを印加すると共に前記行電極対の他方の行電極に第2消去パルスを印加することにより前記第1放電セル及び前記第2放電セル内において消去放電を生じせしめる消去手段を更に有することを特徴とする請求項1記載の表示装置。
- 前記サスティン手段による前記サスティン放電の終了後、前記行電極対の一方の行電極に壁電荷移動パルスを印加して放電させることにより、壁電荷の形成されている前記第1放電セルから前記第2放電セル内に前記壁電荷を移動させて前記第2放電セルを前記点灯セル状態に設定する壁電荷移動手段と、
前記壁電荷移動手段による壁電荷の移動動作後、前記行電極対を担う行電極各々に消去パルスを印加することにより前記第1放電セル内においてのみで消去放電を生起せしめる消去手段と、を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の表示装置。 - 放電空間を挟んで対向配置された前面基板及び背面基板と、前記前面基板の内面に設けられている複数の行電極対と、前記背面基板の内面において前記行電極対に交叉して配列された複数の列電極とを有し、前記行電極対及び前記列電極の各交差部に第1放電セル及び光吸収層が設けられている第2放電セルからなる単位発光領域が形成されている表示パネルを、入力映像信号に基づく各画素毎の画素データに応じて駆動する表示パネルの駆動方法であって、
前記行電極対各々の一方の行電極に順次、走査パルスを印加しつつ前記走査パルスと同一タイミングにて前記画素データに対応した画素データパルスを1表示ライン分ずつ順次前記列電極各々に印加して前記第2放電セル内において選択的にアドレス放電を生起せしめることにより前記第1放電セルを点灯セル状態及び消灯セル状態のいずれか一方に設定するアドレス行程と、
前記行電極対の各々にサスティンパルスを繰り返し印加して前記点灯セル状態にある前記第1放電セルのみでサスティン放電を生起せしめるサスティン行程と、を含むことを特徴とする表示パネルの駆動方法。 - 前記アドレス行程は、前記アドレス放電が生起された後に前記行電極対の各々に交互にプライミングパルスを印加して前記アドレス放電の生起された前記第1放電セルのみをプライミング放電せしめることにより前記第1放電セル内に形成されている壁電荷を前記第2放電セル内に移動させて前記第2放電セルを前記点灯セル状態にするプライミング行程を含むことを特徴とする請求項13記載の表示パネルの駆動方法。
- 前記アドレス行程に先立って前記行電極対の一方の行電極と隣接する行電極対の一方の行電極にリセットパルスを印加することにより前記第2放電セル内においてリセット放電を生起せしめるリセット行程を備えたことを特徴とする請求項13記載の表示パネルの駆動方法。
- 前記リセット行程は、奇数表示ラインに属する前記第2放電セル各々に対して前記リセット放電を生起せしめる奇数リセット行程と、偶数表示ラインに属する前記第2放電セル各々に対して前記リセット放電を生起せしめる偶数リセット行程と、からなることを特徴とする請求項13記載の表示パネルの駆動方法。
- 前記アドレス行程は、奇数表示ラインに属する前記第2放電セル各々に対して前記アドレス放電を生起せしめる奇数アドレス行程と、偶数表示ラインに属する前記第2放電セル各々に対して前記アドレス放電を生起せしめる偶数アドレス行程と、からなることを特徴とする請求項13記載の表示パネルの駆動方法。
- 前記リセットパルスは、前記サスティンパルスに比して立ち上がり区間及び立下り区間でのレベル推移が緩やかな波形を有することを特徴とする請求項13記載の表示パネルの駆動方法。
- 前記サスティン行程の終了後に、前記行電極対の一方の行電極に第1消去パルスを印加すると共に前記行電極対の他方の行電極に第2消去パルスを印加することにより前記第1放電セル及び前記第2放電セル内において消去放電を生じせしめる消去行程を更に含むことを特徴とする請求項13記載の表示パネルの駆動方法。
- 前記サスティン行程の終了後に、前記行電極対の一方の行電極に壁電荷移動パルスを印加して放電させることにより壁電荷の形成されている前記第1放電セルから前記第2放電セル内に前記壁電荷を移動させて前記第2放電セルを前記点灯セル状態に設定する壁電荷移動行程と、
前記行電極対を担う行電極各々に消去パルスを印加することにより前記第1放電セル内においてのみで消去放電を生起せしめる消去行程と、を更に含むことを特徴とする請求項13記載の表示パネルの駆動方法。
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