JP2004004252A - 真正性確認用媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材2にホログラム等の光回折構造層からなる真正性確認用部材3の有る部分3bを背景とし、無い部分3aで文字等の記録部を構成することにより、ホログラム等の視認性を確保しながらも、個別情報の印字を可能にした。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホログラムもしくは回折格子等の光回折構造を背景とし、この背景中の、光回折構造の存在しない部分、即ち、非光回折構造部を記録部とした真正性確認用要素を、基材の最表面や基材上の保護層の下層等に有する、真正性確認用媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
偽造の対象となりやすい物品には、個々に異なる番号や文字等の個別情報を付して偽造の防御策としていることがある。そのような物品としては、例えば、預貯金用カードもしくはクレジットカード等のカード類、著名商品、または各種の著作物等がある。
【0003】
個別情報としては、一連番号や個人の氏名、住所、生年月日等があるものの、個別情報の中味は、同種の物品に付された個別情報から推定可能であるために、さらに書体やインキの工夫を行なって、偽造に対する防御性を高めることがよく行なわれている。
【0004】
特開2000−263910には、紙カード、プラスチックシート等の媒体上に固有番号としてのソフトウェアのID番号をオンデマンドホログラムにて印字した認証番号印刷媒体の発明が記載されており、個別情報の偽造に対する防御性が、一見、ホログラムにより増加したかのように見えるが、面積のごく狭いホログラムを用いてID番号が形成されているため、肝心のホログラムの画像の視認性が充分確保されず、従って、真正なホログラムとの比較が事実上困難であるから、ホログラムとしたことによる偽造の防御性が向上したものとは言えない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明においては、個別情報の印字に際して、ホログラム等の光回折構造を利用しながらも、ホログラムの画像の視認性を確保し、真正なホログラムとの比較が可能で、偽造の防御性が向上した真正性確認用媒体を提供することを課題とするものである。
【0006】
【課題を解決する手段】
発明者が種々検討した結果、背景となるホログラムの一部を文字状に除去した形態のものは、除去部分が小さいため、ホログラムの視認性が損なわれない上、個別情報の印字にホログラムを利用しながらも、偽造の防御性を高めることが可能であることが判明し、本発明に到達することができた。
【0007】
第1の発明は、光回折構造層からなる背景部、および前記光回折構造層を有しない部分を含む記録部とから構成された真正性確認用部材を、基材の一部に有することを特徴とする真正性確認用媒体に関するものである。
第2の発明は、光回折構造層からなる背景部、および前記光回折構造層を有しない部分からなる記録部とから構成された真正性確認用部材を、基材の一部に有することを特徴とする真正性確認用媒体に関するものである。
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記記録部が網点、もしくは幅を有する線からなることを特徴とする真正性確認用媒体に関するものである。
第4の発明は、第3の発明において、前記記録部は縁取り部を伴なっており、前記縁取り部は、前記記録部の前記網点、もしくは前記幅を有する線とは、位相の異なる網点、もしくは幅を有する線からなることを特徴とする真正性確認用媒体に関するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の真正性確認用媒体が、その好ましい具体例の一つである預貯金用カード、もしくはクレジットカード等のカード類である一実施例を示す図である。図1において、真正性確認用媒体の一種である真正性確認用カード1は、基材2の上面等に、真正性確認用部材3が積層された、もしくは基材2の上面と真正性確認用部材3の上面とが同一平面となるよう、埋め込まれて積層されたものである。これらの積層された構造には、さらに上面に、真正性確認用部材3の観察もしくは真正性確認用部材3が有する情報の読取りに支障のない限り、透明な保護層が付加されて積層されていてもよい。
【0009】
真正性確認用部材3は、図示の例では、やや縦長の長方形状を有しており、光回折構造層、具体的にはホログラム層、もしくは回折格子層で構成され、通常、ホログラムもしくは回折格子パターンからなる視認し得る模様を有している。真正性確認用部材3の形状および大きさは任意であるが、ホログラムもしくは回折格子パターンの視認性を確保する意味で、数mm以上であることが好ましく、より好ましくは10mm以上である。
【0010】
図示の例では、真正性確認用部材3は、さらに、下部に「ABCD」の文字を有している。「ABCD」の文字は、円で囲んだ一部を、右側に引出して拡大して示すように、光回折構造層が存在する部分3bを背景とし、例えば、光回折構造層の無い部分のみにより文字3aの形状が構成されているものである。
【0011】
上記の「ABCD」の文字は、光回折構造層の無い部分のみで文字3aの形状が構成されたものとして説明したが、文字3aは、図2に示すように、光回折構造層が存在する部分3bを背景とし、光回折構造層が小円形に切除された形状の網点(ここでの網点は光回折構造層の無い部分である。)の集まりで構成されていてもよい。従って、文字3aを構成する各網点の間には光回折構造が存在する部分3bを有するから、文字3aは光回折構造層の無い部分のみならず、光回折構造層が存在する部分を含んで構成されていてもよいものである。
【0012】
真正性確認用部材3における文字3aは、図3(a)に示すように、光回折構造層が有限の幅を有する線の形状で除かれたものの集合として構成されていてもよい。図3(a)においては、光回折構造層が存在する部分3bを背景とし、ピッチが線の幅の2倍である線群(万線と言う。)で文字3a(図中の「A」で示す。)が構成されており、かつ、文字「A」の「Λ」の部分および「−」の部分の周囲には縁取り部3a’を有し、しかも、縁取り部3a’も、文字3aを構成する万線とピッチ、線の幅、および線の角度が等しい万線で構成されており、ただし、位相が文字3aの部分とは1/2ピッチずれているものである。
【0013】
図3(b)は、上記の図3(a)に示す文字3aもしくは縁取り部3a’を見やすくするための確認用万線シート4を示すものである。確認用万線シート4における万線は、光回折構造層と同様な素材で形成され得るが、単に、透明フィルムに黒色等の線が印刷等により並べて形成されたものであってよい。図3(b)に示す確認用万線シート4は、図3(a)における文字3aおよび縁取り部3a’を構成する万線と同じピッチ、線の幅、および線の角度の万線で構成されている。
【0014】
図3(c)および図3(d)は、いずれも、図3(a)に示す真正性確認用部材3上に、図3(b)に示す確認用万線シート4を重ねた状態を示す図である。
【0015】
例えば、確認用万線シート4が、確認用万線シート4の万線(確認用万線シート4に関しては、線が存在する部分とする。)が、文字3aの万線と同じ角度となるよう、かつ、文字3aの光回折構造層が存在しない部分に一致するよう重ねると、文字3aが連続した幅太の線で構成されたように見える(図3(c))。
【0016】
また、確認用万線シート4をずらして、確認用万線シート4の万線が、縁取り部3a’の万線と同じ角度となるよう、かつ、縁取り部3a’の光回折構造層が存在しない部分に一致するよう重ねられると、縁取り部3a’が連続した幅太の線で構成されたように見える(図3(d))。
【0017】
なお、図3におけるように、文字3aを万線で構成するのに替えて、文字3aおよび縁取り部3a’を、光回折構造層が網点状に除かれたものの集合で構成し、ただし、文字3aと縁取り部3a’の各々の網点の位相を異ならせてもよい。あるいは、文字3aおよび縁取り部3a’のいずれか一方を万線で構成し、他方を網点で構成してもよい。確認用シートは万線で構成してもよいが、網点で構成することもできる。
【0018】
以上の説明においては、光回折構造層3の有無により文字3aを構成した例を示したが、文字以外に、数字、バーコード、もしくは記号等の他、任意の図柄も構成することが可能である。また、網点や万線、特に網点を用いれば、図柄として階調のある画像を構成することが可能であり、これらが構成された部分を記録部と称することとする。階調のある画像であれば、顔写真や指紋等を構成することもできる。なお、先の説明で、万線は、ピッチが線の幅の2倍である線群を指すものとしたが、階調のある画像を形成する目的であれば、各線の幅を、ピッチの範囲内で変化させることにより、階調のある画像を構成することができる。
【0019】
文字や上記の記録部の大きさは、真正性確認用部材3の大きさと、必要とされる文字数、記録部の視認性等から決めることができ、原則的には任意に決めてよい。例えば、文字3aを視認可能とするには、文字3aの大きさが、0.2mm以上であることが好ましい。逆に、文字3aの大きさを0.2mm未満とすれば、肉眼での読み取りが困難であるので、文字3aの存在を隠蔽することができる。この場合、光学的に拡大する等して読み取るか、機械読み取りを行えばよい。
【0020】
図1を引用した説明で、真正性確認用部材3は、ホログラム層、もしくは回折格子層の光回折構造層で構成される旨を述べたが、より具体的には、図4(a)に示すように、光回折構造層3は、観察側、即ち、図の上面側より、例えば、光回折構造形成層31、光反射性層32、および接着剤層33が順に積層した積層構造を有している。光回折構造層3は、接着剤層33により基材2に積層され、光回折構造層3の無い部分で文字3aが構成され、もしくは光回折構造層3の無い部分を含んで文字3aが構成されている。
【0021】
このような、光回折構造形成層31、光反射性層32、および接着剤層33が順に積層した積層構造からなる光回折構造層3を基材2上に適用するには、光回折構造転写シートを用いて、転写により行うことが好ましい。光回折構造転写シートは、光回折構造層3を転写シート基材に剥離可能に積層したもので、図4(b)に示すように、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムのような機械的強度や耐熱性の優れたプラスチックフィルムを転写シート基材34とし、その上に、必要に応じ、剥離層35を設けた後、光回折構造形成層31、光反射性層32、および接着剤層33を順に積層して製造されたものである。
【0022】
剥離層35は、ここでは、転写の際に光回折構造層に接着したまま、転写シート基材から剥離するものであるが、転写シート基材側に強固に接着した構成とすることもできる。また、剥離性層35は、転写シート基材34と光回折構造形成層31とが剥離性を有していれば、省いてもよい。光回折構造形成層31は、ホログラムもしくは回折格子を微細凹凸として形成したもので、転写シート基材上に剥離層34を形成した後、賦型可能な樹脂組成物の層を積層し、積層時もしくは積層後に、ホログラムもしくは回折格子の微細凹凸を型押し等により形成したものである。光反射性層32は、ホログラムもしくは回折格子等の光解説構造の視認性を高めるための層で、金属反射層か、もしくは光回折構造形成層とは屈折率の異なる透明性層である。また、接着剤層33は、転写の際に通常加えられる熱および圧力により、光回折構造層3を基材と接着させるためのものである。
【0023】
上記のような光回折構造転写シートを使用して転写することにより、図5(a)に示すように、観察側、即ち、図の上面側より、剥離層34、光回折構造形成層31、光反射性層32、および接着剤層33が積層した積層構造を有する真正性確認用カード(媒体)を得ることができる。転写する際に、入力情報に基づいて、転写を行わない部分を残すことにより、記録部が形成される。
【0024】
このように、転写を行わない部分を残すことにより、記録部を形成するには、転写を点状に加熱する手段、代表的にはサーマルヘッドを用いて転写を行えばよく、このほか、レーザー光を用いて行うこともできる。また、入力情報としては、種々のものがあり得るが、転写する対象毎に個別の情報を選択することができるので、例えば、カード類であれば、カード保持者に関する個人情報やカードの一連番号等の、カード毎に異なる情報を選択することができ、以降にも説明するように対象物に特有な事項に関する情報であり得る。
【0025】
光回折構造転写シートを使用する際に、上記のように、基材上に転写して、最終の形態とする以外に、ラベル用シートを準備し、ラベル用シートの表面に、光回折構造転写シートを使用して転写し、光回折構造層が転写され、また、転写を行わない部分を残すことにより、記録部が形成されたラベルを一旦作成し、そのラベルを基材2に貼り付けることもできる。ここで、ラベル用シート8は、図5(b)に示すように、例えば、図の上面側より、ラベル基材5、粘着剤層6、および剥離性シート7が積層された構造からなるものであり、ラベル用シート8のラベル基材5上に対して、転写が行なわれる。ラベル用シートとしては、市販のグレードラベルを使用することができる。
【0026】
本発明の真正性確認用媒体3を基材2の一部に適用する際の基材2としては、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリスチレン系、アクリル、ポリプロピレン、もしくはポリエチレンなどの樹脂のほか、アルミニウム、もしくは銅などの金属、紙、樹脂含浸紙、もしくはラテックス含浸紙等の素材の単独、もしくは複合体からなるフィルム、シート、もしくは板状物等を用いることができる。耐熱性が要求される場合、基材2として、非晶質ポリエステル樹脂、もしくは非晶質ポリエステル樹脂とポリカーボネート樹脂のブレンド樹脂等のフィルム、シート、もしくは板状物等も用いることができる。
【0027】
基材2の厚さは、材質によっても異なるが、通常、10μm〜5mm程度の範囲である。基材2が磁気カードの機能を有する場合、基材2をISO規格に準拠したものとする場合には、その厚さは0.76mmである。そして、基材2をポリ塩化ビニル(以下、PVC)で構成する場合、通常、厚さ280μmの白色PVCシートをコアシートとして2枚重ね、その両側にそれぞれ厚さ100μmの透明PVCシートをオーバーシートとして重ねて、熱プレスなどにより積層する4層構成の基材(合計厚さ0.76mm)が用いられている。4層構成の基材2の場合、真正性確認用媒体3を積層する位置は、コアシートのオーバーシート側、オーバーシートのコアシート側、もしくはオーバーシートの露出面が適当である。
【0028】
光回折構造層3におけるホログラム、もしくは回折格子パターンは、公知の種々の方法で作成することができる。例えば、所定の原画像をコンピュータ上で作成し、この原画像を用いて、任意の方向に回折光を発生し得る回折格子を、コンピュータグラフィックホログラム(略称;CGH)の技術により作成すればよく、表面に回折格子もしくはホログラムに基づく微細な凹凸が形成された原型を得た後、原型、もしくは原型より得られた複製用型を用いて大量複製することができる。複製用型は、感光性樹脂を用いて製造された樹脂型や、エッチング性基板上に製造されたものを、金属メッキを繰返して行なう等により得る金属型であってよい。
【0029】
大量複製は、好ましくは、流動性の電離放射線硬化性樹脂(通常は、紫外線硬化性樹脂)を透明フィルム等のフィルム上に塗布した上に、複製用凹凸型の微細凹凸を有する型面を接触させ、接触を保ったまま、電離放射線(紫外線硬化性樹脂であれば紫外線)を照射して電離放射線硬化性樹脂を硬化させる等により行なうことが好ましく、この方法により、ホログラム、もしくは回折格子パターンの微細凹凸が複製された電離放射線硬化性樹脂の硬化樹脂膜(光回折構造が形成された層、即ち光回折構造形成層31である。)が、透明フィルム上に積層された積層体を得ることができる。
【0030】
光回折構造形成層31の微細凹凸の面には、通常、Al等の反射性の金属薄膜や、硬化樹脂膜とは光の屈折率が異なる素材の薄膜からなる光反射性層32を微細凹凸に沿って積層形成し、ホログラムもしくは回折格子パターンの視認性を高める。
【0031】
フィルム、光回折構造形成層31、および光反射性層32が順に積層した積層体の光反射性層32上には、感熱接着剤層等の接着剤層33を積層しておき、被着体との接着性を持たせる。ここで、フィルムと光回折構造形成層31との間が剥離性を有していれば、フィルム、光回折構造形成層31、光反射性層32、および接着剤層33が順に積層された積層体を転写シートとして使用することができる。フィルムと光回折構造形成層31との間の剥離性を確保する目的で、フィルムと光回折構造形成層31との間に剥離性層34を設け、フィルムと剥離性層34との間で剥離可能としてもよい。
【0032】
本発明は基本的には、以上に述べた構造を有するものであるが、真正性確認用部材(=光回折構造層)3が積層された基材2は、次のような要素を備えていることがあり得る。図1を引用して説明したカード類の場合、基材2は、通常、磁気記録層を備えていることが多い。磁気記録層は、通常、5〜10mm幅程度のストライプ状のものであって、例えば、基材2の表面もしくは内部に、磁気塗料を用いて塗布して直接に設ける、薄いプラスチックシートに塗布し、ストライプ状にカットして貼る、もしくは、仮の基材シートに剥離可能に積層して準備された磁気記録層転写シートを用いた転写により形成する。
【0033】
真正性確認用部材3が積層された基材2は、カードを含めた一般的な情報記録体として使用する場合、磁気記録層を備えていることが好ましいが、磁気記録層の機能を、光学記録層やICモジュール等で置き換えてもよい。ただし、光学記録層やICモジュールが備わっていても、汎用性のある磁気記録層を備えていることが好ましい。
【0034】
また、一般的な情報記録体として使用する場合、真正性確認用部材3が積層された基材2には、適宜な文字が印刷等により施されていてもよい。文字で表現する内容としては、カードの場合であれば、その発行会社、カードの名称、発行番号、有効期限、保持者の氏名、もしくは注意書等がある。これらのうちの幾つか、例えば、発行番号、有効期限、および保持者の氏名を、エンボス加工による凹凸により形成してあってもよい。なお、発行番号や保持者の氏名等の個別情報は真正性確認用部材の記録部の情報と一致させたり、必ずしも一致していなくても対応させることができる。このほか、基材2には、真正性確認用媒体1を装飾するための着色や模様が施されていてもよく、通常、印刷により行なわれる。
【0035】
本発明の真正性確認用媒体1は、ID(本人確認)用のカードであってよく、具体的には、銀行等の預貯金カード、クレジットカード、運転免許証、各種の会員証、身分証明書等であり得る。また、必ずしもカード形態ではない受験票、パスポート等であってもよい。この場合、真正性確認用部材の記録部には、保持者の氏名、年齢、住所等の個人情報や発行番号が記録されることが好ましく、顔写真や指紋等の画像情報もあり得る。
【0036】
本発明の真正性確認用媒体1は、紙幣、商品券、株券、証券、預金通帳、乗車券、航空券等、あるいは、交通機関や公衆電話用のプリペイドカード、購入の度に一定の度数を印字する度数印字カード(「ポイントカード」と呼ばれる。)でもあり得る。これらには金額、発行者、発行番号、もしくは注意書等の情報がもともと記録されている。これらに特有な情報としては、券面に印刷等により表示されている金額や使用条件(乗車区間等)を挙げることができ、これらを真正性確認用部材の記録部の情報とすることが好ましい。真正性確認用部材3の記録部が有する情報と基材2が有する情報とが同一であると、確認が容易であるが、このように記録部の情報と基材に付した情報とを一致させることは、他のいずれの適用例においても行うことが好ましい。
【0037】
本発明の真正性確認用媒体1は、必ずしも情報を有していない種々の物品を基材2として構成され得る。種々の物品とは、例えば、高級腕時計、貴金属、宝飾品等の、いわゆるブランド品と言われる、世界的に著名な高級商品、それらの収納箱やケース等の物品であり、これらは通常、高価なものであるので、偽造の対象となりやすいものである。場合により、商品にぶら下げられるタグも、真正性確認用媒体3、もしくは本発明の真正性確認用媒体1で構成することができる。
【0038】
音楽ソフト、映像ソフト、コンピュータソフト、もしくはゲームソフト等が記録された記憶媒体、それらのケース等の物品も、これらを基材2として、本発明の真正性確認用媒体1とすることができる。基材2として使用し得るこれらのものは、必ずしも高価なものとは限らないが、不正に大量複製されて市販されると、正規品の販売元が重大な損害を被る恐れがあるものである。
【0039】
電気器具、電子機器、もしくは自動車等に使用される消耗品類、医薬品、もしくはその他の工業製品も、需要が多いものは偽造品が出回る恐れがある。例えば、広く普及しているインクジェットプリンタの交換用インキカートリッジが例示される。これらの消耗品自体、あるいはそれらを収納した包装箱や包装袋等を基材2として、本発明の真正性確認用部材を適用することができる。あるいは既に説明したラベル用シートを利用してもよい。記録部の情報としては、製造番号、ロット番号等の管理情報、商品の種別(色等)、もしくは対象機種等の情報があり得る。
【0040】
なお、対象となる物品によっては、真正性確認用媒体1を、それらの物品の表面もしくは表面近傍への積層によって適用するほか、吊り下げ、釘止め、針金止め、もしくは縫い付け等の積層以外の方式によって適用してもよい。
【0041】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、光回折構造層中に、光回折構造層を有しない部分で形成された記録部を有しているので、光回折構造の視認性が確保され、偽造の防御性が向上した真正性確認用媒体を提供することができる。
請求項2の発明によれば、光回折構造層中に、光回折構造層を有する部分と有しない部分とが併用されて形成された記録部を有しているので、光回折構造の視認性が確保され、偽造の防御性が向上した真正性確認用媒体を提供することができる。
請求項3の発明によれば、請求項1または請求項2の発明の効果に加え、記録部が網点、もしくは幅を有する線から構成された、より複雑な記録部を有する真正性確認用媒体を提供することができる。
請求項4の発明によれば、請求項3の発明の効果に加え、縁取り部が加わっているので、真正性の確認がより確実に行える真正性確認用媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】真正性確認用媒体がカードである例を示す平面図である。
【図2】真正性確認用部材を説明する平面図である。
【図3】万線で構成された真正性確認用媒体および確認用シートの平面図である。
【図4】真正性確認用媒体の積層構造および転写シートを示す断面図である。
【図5】具体的に適用される真正性確認用部材を示す断面図である。
【符号の説明】
1 真正性確認用カード(真正性確認用媒体)
2 基材
3 真正性確認用部材(光回折構造層)
4 確認用万線シート
8 ラベル用シート(5;ラベル基材、6;粘着剤層、7;剥離性シート)
Claims (4)
- 光回折構造層からなる背景部、および前記光回折構造層を有しない部分を含む記録部とから構成された真正性確認用部材を、基材の一部に有することを特徴とする真正性確認用媒体。
- 光回折構造層からなる背景部、および前記光回折構造層を有しない部分からなる記録部とから構成された真正性確認用部材を、基材の一部に有することを特徴とする真正性確認用媒体。
- 前記記録部が網点、もしくは幅を有する線からなることを特徴とする請求項1または請求項2記載の真正性確認用媒体。
- 前記記録部は縁取り部を伴なっており、前記縁取り部は、前記記録部の前記網点、もしくは前記幅を有する線とは、位相の異なる網点、もしくは幅を有する線からなることを特徴とする請求項3記載の真正性確認用媒体。
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