JP2004003009A - 冷間鍛造用棒鋼、冷間鍛造品および製造方法 - Google Patents

冷間鍛造用棒鋼、冷間鍛造品および製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は冷間加工性に優れた冷間鍛造用棒、冷間鍛造品および製造方法に関する。
【解決手段】圧延後、フェライト単相組織で鋼組成が、質量%で、C≦0.15、Si≦0.3、Mn≦2%、Ti:0.03〜0.35%、Mo:0.05〜0.8%、更にNb≦0.08%、V≦0.15%、W≦1.5%の一種または二種以上、S:0.03〜0.1%、Pb:0.2%以下、Ca:0.005%以下、B:0.02%以下の一種または二種以上好ましくは0.5≦(C/12)/{(Ti/48)+(Mo/96)+(Nb/93)+(V/51)+(W/192)}≦1.5、残部Fe及び不可避的不純物の棒鋼。該鋼を950〜1250℃以上で加熱し、終了温度800℃で圧延後、700〜550℃を0.5℃/sec超えで冷却し、その後、冷間鍛造により所定の形状とした後、550〜700℃で10分以上保持する析出処理後、粒径が10nm未満の微細析出物を析出させる。
【選択図】      図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は冷間鍛造用棒鋼、冷間鍛造部品およびその製造方法に関し、特に部品成形に必要な冷間加工のための球状化焼鈍が不要な冷間鍛造用棒鋼とそれを素材とし、部品成形後の強度確保のための焼入れ焼戻し処理が不要な冷間鍛造品とそれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
冷間鍛造品は、機械構造用炭素鋼や機械構造用合金鋼を圧延し、球状化焼鈍にて軟質とした後、冷間鍛造、切削加工により成形され、所望の強度、靭性に応じて熱処理される。この冷間鍛造品の冷間加工性や被削性改善に関して種々の提案がなされている。
【0003】
特開平1−100221号公報は冷間加工性を向上させるため鋼のミクロ組織をフェライト+ベイナイトとすることを提案している。本提案によれば冷間加工時の加工限界は向上するもののベイナイトが転位密度の高い低温変態組織であることより冷間加工時の変形抵抗は十分低下しない。
【0004】
特開平11−246939号公報は被削性、冷間加工性を向上させるため鋼中炭素の一部を黒鉛化し、そのミクロ組織をフェライト+グラファイト+セメンタイトの三相組織とすることを提案している。
【0005】
しかしながら、球状化熱処理にかわる長時間の加熱を要する黒鉛化処理や、強度確保のための焼入れ焼戻し処理が必要で生産性が向上するわけではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、冷間鍛造時の加工性や生産性向上に関する従来技術はいずれも、最終製品の強度確保を焼入れ焼戻しなどの変態強化によるため、鋼の焼入れ性が高く圧延後、冷間加工性向上のための軟質化処理が必要であった。
【0007】
そこで、本発明は鋼の焼入れ性を低下させても析出強化により冷間鍛造品としての強度を確保することにより、圧延後の軟質化処理の省略が可能な冷間鍛造用棒鋼およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、圧延後の冷却による鋼の硬化が小さく、冷間鍛造や冷間加工のための軟質化処理が不要で、最終製品としての強度を析出強化により確保するよう鋼の成分組成、製造条件について鋭意検討を行った。
【0009】
その結果、基本成分組成を低炭素系とし圧延後、フェライト単相組織が得られるように調整した場合、球状化処理材と同等の冷間加工性が得られ、一方、冷間加工品としての強度は、Ti、Moを適当量添加し、高温保持することによる微細析出物の析出強化により確保できることを見出した。
【0010】
本発明は以上の知見を基に更に検討を加えてなされたものであり、すなわち、本発明は、
1.質量%で、C≦0.15%、Si≦0.3%、Mn≦2%、Ti:0.03〜0.35%、Mo:0.05〜0.8%、残部Fe及び不可避的不純物からなり、且つ、フェライト単相組織を有する冷間加工性および冷間加工後の被削性に優れた冷間鍛造用棒鋼。
【0011】
2.鋼組成として、更に式(1)を満足することを特徴とする1記載の冷間加工性および冷間加工後の被削性に優れた冷間鍛造用棒鋼。
Figure 2004003009
但し、各元素は含有量(質量%)とする。
【0012】
3.鋼組成として、更に質量%で、Nb≦0.08%、V≦0.15%、W≦1.5%の一種または二種以上を含有することを特徴とする1記載の冷間加工性および冷間加工後の被削性に優れた冷間鍛造用棒鋼。
【0013】
4.鋼組成として更に式(2)を満足することを特徴とする3記載の冷間加工性および冷間加工後の被削性に優れた冷間鍛造用棒鋼。
0.5≦(C/12)/{(Ti/48)+(Mo/96)+(Nb/93)
+(V/51)+(W/184)}≦1.5    (2)
但し、各元素は含有量(質量%)とし、含まれないものは0とする。
【0014】
5.鋼組成として更に質量%でS:0.03〜0.1%、Pb:0.2%以下、Ca:0.005%以下、B:0.02%以下の一種または二種以上を含有することを特徴とする1乃至4のいずれか一つに記載の冷間加工性および冷間加工後の被削性に優れた冷間鍛造用棒鋼。
【0015】
6.フェライト単相組織を有し、フェライト相中に粒径10nm未満の微細析出物が分散析出していることを特徴とする引張強さ700MPa以上の冷間鍛造品。
【0016】
7.鋼組成が、質量%で、C≦0.15%、Si≦0.3%、Mn≦2%、Ti:0.03〜0.35%、Mo:0.05〜0.8%、残部Fe及び不可避的不純物よりなる6記載の引張強さ700MPa以上の冷間鍛造品。
【0017】
8.鋼組成として更に式(3)を満足することを特徴とする7記載の引張強さ700MPa以上の冷間鍛造品。
Figure 2004003009
但し、各元素は含有量(質量%)とする。
【0018】
9.微細析出物がTiとMoの炭化物であることを特徴とする6乃至8のいずれか一つに記載の引張強さ700MPa以上の冷間鍛造品。
【0019】
10.鋼組成として、更に質量%で、Nb≦0.08%、V≦0.15%、W≦1.5%の一種または二種以上を含有することを特徴とする7記載の引張強さ700MPa以上の冷間鍛造品。
【0020】
11.鋼組成として、更に式(4)を満足することを特徴とする10記載の引張強さ700MPa以上の冷間鍛造品。
0.5≦(C/12)/{(Ti/48)+(Mo/96)+(Nb/93)
+(V/51)+(W/184)}≦1.5     (4)
但し、各元素は含有量(質量%)とし、含まれないものは0とする。
【0021】
12.微細析出物がTiとMoとNb、V、Wの内の少なくとも1種とを含む炭化物であることを特徴とする10または11記載の張強さ700MPa以上の冷間鍛造品。
【0022】
13.鋼組成として、更に質量%でS:0.03〜0.1%、Pb:0.2%以下、Ca:0.005%以下、B:0.02%以下の一種または二種以上を含有することを特徴とする7乃至12記載の引張強さ700MPa以上の冷間鍛造品。
【0023】
14.1乃至5のいずれか一つに記載の組成の鋼を950〜1250℃に加熱後、800℃以上で圧延を終了し、その後、700〜550℃を0.5℃/s超えで冷却することを特徴とする冷間加工性および被削性に優れた冷間鍛造用棒鋼の製造方法。
【0024】
15.1乃至5のいずれか一つに記載の組成の鋼を950〜1250℃に加熱し、800℃以上で圧延を終了後、700〜550℃を0.5℃/sec超えで冷却し、その後、冷間鍛造により所定の形状とした後、550〜700℃で10分以上保持することを特徴とする引張強さ700MPa以上の冷間鍛造品の製造方法。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明のミクロ組織、成分組成および製造条件について以下に詳細に説明する。
【0026】
1.ミクロ組織
本発明に係る棒鋼はそのミクロ組織を圧延後においてフェライト単相組織とする。また、該棒鋼を素材とする冷間鍛造品のミクロ組織は冷間鍛造後、析出処理した後においてもフェライト単相組織であって粒径10nm未満の微細析出物を含む組織とする。
【0027】
圧延後、フェライト単相組織とした場合、球状化処理材と同等の優れた冷間加工性が得られるが、さらなる冷間加工性向上のためには、フェライト単相組織の結晶粒径は50μm以下が望ましい。
【0028】
冷間鍛造し、析出処理後の組織をフェライト単相に規定するのは、延性・靭性はフェライト組織が最も良好なためであり、その他の組織の場合、Cが消費され微細析出物による十分な析出強化が得られず引張強さ700MPa以上の強度が得られないためである。
【0029】
本発明においてフェライト単相組織とは、断面組織観察(200倍の光学顕微鏡組織観察)でフェライト面積率95%以上、好ましくは98%以上とする。
【0030】
冷間加工後の析出処理により、フェライト単相組織中に微細析出物を分散析出させた場合、圧延後の組織がフェライト単相組織であっても焼入れ焼戻し材と同等の優れた強度が得られる。
【0031】
本発明では微細析出物は粒径10nm未満とする。析出物の粒径が10nm以上の場合、引張強さ700MPa以上が得られず、冷間鍛造品として強度が低い。
【0032】
微細析出物の粒径は小さいほど強度向上に有効で、望ましくは5nm、更に望ましくは3nm以下とし、そのような微細析出物としてTi、Moを含む炭化物(Ti−Mo系炭化物)や、Ti、Moに更にNb、V、Wの一種または二種以上を含む炭化物(Ti−Mo−(Nb、V、W)系炭化物)が好ましい。
【0033】
Moは拡散速度が遅く、Tiとともに析出する場合、析出物の成長速度が低下し、微細な析出物が得やすく、顕著な析出強化が得られる。
【0034】
これらの微細析出物の分布形態は特に規定しないが、母相中に均一分散(分散析出)することが望ましい。
【0035】
また、本発明において、微細析出物の大きさは、全析出物の90%以上で満足すれば良く、目的とする引張強さ700MPa以上が得られる。但し、10nm以上の大きさの析出物は析出物形成元素を消費し、強度に悪影響をあたえるため、50nm以下とすることが好ましい。
【0036】
上述した析出物とは別に少量のFe炭化物を含有しても本発明の効果は損なわれない。しかしながら、平均粒径が1μm以上のFe炭化物を多量に含む場合、靭性を阻害する。
【0037】
そこで本発明においては含有されるFe炭化物の大きさの上限は1μmで、含有率は全体の1%以下が望ましい。
【0038】
微細析出物の全析出物に占める割合は、以下の方法により求める。電子顕微鏡試料を、ツインジェット法を用いた電解研磨法で作成し、加速電圧200kVで観察する。その際、微細析出物が母相に対して計測可能なコントラストになるように母相の結晶方位を制御し、析出物の数え落としを最低限にするために焦点を正焦点からずらしたデフォーカス法で観察を行う。
【0039】
また、析出物粒子の計測を行った領域の試料の厚さは電子エネルギー損失分光法を用いて、弾性散乱ピークと非弾性散乱ピーク強度を測定することで評価する。
【0040】
この方法により、粒子数の計測と試料厚さの計測を同じ領域について実行することができる。粒子数および粒子径の測定は試料の0.5×0.5μmの領域4箇所について行い、1μm当たりに分布する析出物を粒径ごとの個数として算出する。
【0041】
この値と試料厚さから、析出物の1μm当たりに分布する粒子径ごとの個数を算出し、径が10nm未満の析出物について、測定した全析出物に占める割合を算出する。
【0042】
冷間鍛造品は自動車その他の輸送機材、建機用としては、引張強さ700MPa以上が要求されることが多く、また、700MPa未満では、既存の機械構造用鋼であっても球状化焼鈍処理など要せずに冷間鍛造が可能なため本発明は引張強さ700MPa以上とする。
【0043】
2.成分組成
本発明鋼は上述したミクロ組織で目的とする性能が得られるが、以下の成分組成が好ましい。
【0044】

Cは圧延後の組織をフェライト単相とするために0.15%以下にする。また、0.15%を超えて含有すると微細析出物が粗大化し、強度が低下する。より好ましくは、0.03%以上、0.12%以下である。
【0045】
Si
Siは脱酸のため添加するが、0.3%を越えるとフェライトに固溶し、冷間加工時の変形抵抗が増大するため0.3%以下とする。より好ましくは、0.15%以下である。
【0046】
Mn
Mnは強度向上に有効なため添加するが、2%を超えると冷間加工性を劣化させるので2%以下とする。より好ましくは、0.5%以上、1.8%以下である。
【0047】
Ti
TiはMoとともにTi−Mo系炭化物を含む析出物を微細に析出させ、強度を向上させるため添加する。引張強度700MPa以上を確保するため0.03%以上とし、一方、0.20%を超えて添加すると析出物が粗大化し、強度が低下するため0.03〜0.35%とする。より好ましくは、0.03〜0.20%である。
【0048】
Mo
MoはTiとともにTi−Mo系炭化物を含む析出物を微細に析出させ、強度を向上させるため添加する。引張強度700MPa以上を確保するため0.05%以上とし、一方、0.8%を超えて添加するとベイナイト等の低温変態相を形成し、微細析出物による析出強化が不足し、強度が低下するため0.05〜0.8%とする。より好ましくは、0.15〜0.45%である。
【0049】
(C/12)/{(Ti/48)+(Mo/96)}
本パラメータは、析出物の大きさに影響を与えるもので、0.5以上、1.5以下とした場合、粒径10nm未満の微細析出物の形成が容易となる。さらに好ましくは、0.7以上1.2以下である。
【0050】
微細なTi−Mo系炭化物では、炭化物中のTi、Moは原子比で2.0≧Ti/Mo≧0.2、更に微細な場合は1.5≧Ti/Mo≧0.7であることが観察された。
【0051】
更に、特性を向上させる場合、Nb、V、Wの一種または二種以上を添加することが好ましい。
【0052】
Nb
NbはTiとともに微細析出物を形成して強度上昇に寄与する。また組織を微細化し、結晶粒の整粒により延性を向上させる。0.08%を超えると析出物が粗大化するとともに、結晶粒が過度に微細化し、延性が低下するため0.08%以下とする。より好ましくは、0.04%以下である。
【0053】

VはTiと微細析出物を形成するが、0.15%を超えると析出物が粗大化するようになるため、0.15%以下とする。より好ましくは、0.10%以下である。
【0054】

WはTiと微細析出物を形成するが、1.5%を超えると析出物が粗大化するようになるため、1.5%以下とする。より好ましくは、1.0%以下である。
【0055】
(C/12)/{(Ti/48)+(Mo/96)+(Nb/93)+(V/51)+(W/184)}
本パラメータはこれらの元素を添加した場合に析出物の大きさに影響を与えるもので、0.5以上、1.5以下とした場合、粒径10nm未満の微細析出物の形成が容易となる。さらに好ましくは、0.7以上1.2以下である。
【0056】
微細なTi−Mo−(Nb、V、W)系炭化物では、炭化物中で2.0≧(Ti+Nb+V)/(Mo+W)≧0.2、更に微細な炭化物では1.5≧(Ti+Nb+V)/(Mo+W)≧0.7であった。
【0057】
本発明において、被削性を向上させる場合、S:0.03〜0.1%、Pb0.2%以下、Ca:0.005%以下、B:0.02%以下の一種または二種以上を添加する。また、本発明鋼では上記添加元素以外の残部はFe及び不可避不純物とするが、脱酸剤としてAlを0.1%以下添加することができる。
【0058】
また、強度、延性を向上させる場合、Ni、Crの一種または二種をNi≦2%、Cr≦2%の範囲で添加しても構わない。冷間加工性を更に向上させる場合には、不可避不純物であるP、NをP≦0.040%、N≦0.0080%に規制することが望ましい。
【0059】
これらの元素の添加の有無により本発明の効果が損なわれることはない。
【0060】
3.製造条件
図1に本発明鋼による冷間鍛造部品の概略製造工程図を示す。S1は棒鋼製造工程、S2は搬送工程、S3は製品仕上げ過程で、製品仕上げ過程(S3)の析出処理で微細析出物を析出させ引張強さ700MPa以上とする。
【0061】
以下に上述した成分組成の鋼の望ましい製造工程について詳細に説明する。
【0062】
圧延加熱温度
圧延加熱温度は950〜1250℃とする。圧延後、球状化処理をしない圧延ままの棒鋼(以下、圧延材)の冷間加工、切削において、従来鋼(S45C)の球状化処理材と同等の特性が得られるよう、圧延時に溶解時から残存する炭化物を固溶させる。
【0063】
圧延加熱温度を950℃未満とした場合、仕上までの圧延荷重が大きくなりすぎて圧延が不可能である。また、1250℃を超えると、析出物が再溶解するため、微細析出物が析出し、強度が上昇するため、冷間鍛造性が悪化する。よって、加熱温度は、950〜1250℃とする。
【0064】
圧延終了温度
圧延終了温度は材質均一性に影響を与え、800℃未満では圧延荷重が高く真円度が劣化するため800℃以上とする。
【0065】
冷却速度
圧延終了後の冷却速度は冷却中に微細析出物を析出させないよう析出温度範囲の700〜550℃を微細析出物が得られる限界冷却速度である0.5℃/sec超えの速度で冷却する。
【0066】
析出処理
圧延材を冷間鍛造や切削加工により部品形状とした後、析出処理により引張強さ700MPa以上とする。析出処理においては母相をフェライト単相とし、強度向上に寄与する微細析出物を析出させることが必要で、加熱温度は550℃未満ではベイナイトが生成し、700℃を超えると析出物が粗大化するため550〜700℃とする。
【0067】
また、微細なTi、Moなどの炭化物を十分に生成、析出させるため該温度域において10分以上保持する。
【0068】
【実施例】
表1に示す組成の鋼(No.1〜11)を150kg真空溶解炉にて溶製し、圧延を1150℃加熱、920℃仕上げで行い、その後1℃/secで室温まで冷却し36mmφの棒鋼とした。No.11は従来材でS45Cである。
【0069】
No.1〜10は圧延まま、No.11は圧延後、球状化処理したものから冷間据えこみ加工用の試験片(直径14mm、高さ/直径比:1.5)を採取し、同心円状溝突付きダイスを取りつけた拘束圧縮盤により圧縮加工時の変形抵抗、割れ発生限界加工率を平均歪速度0.01/secで調査した。また引張試験により強度も調査した。
【0070】
変形抵抗は平均歪が1.5(圧下率70%)の荷重を拘束係数と変形前の初期面積で除して求めた。割れ発生限界加工率は実際に割れの発生した圧下率とした。
【0071】
尚、変形抵抗、割れ発生限界加工率は部品鍛造時の鍛造工具寿命、割れ発生不良率と相関があることが知られている。
【0072】
更に、被削性をドリル切削試験により評価した。上記圧縮試験採取材の残部を25mm径まで冷間引抜き加工し、30mm厚に切断したものを試験材として、JIS高速度工具鋼SKH51の6mmφのストレートドリルで送り0.15mm/rev、回転数745rpm、1断面当たり5箇所の貫通穴を開け、ドリルが切削不能になるまでの総穴数で評価した。
【0073】
また、25mm径まで冷間引抜き加工後、鋼No.1〜7のものは析出処理として525〜725℃で約15分保持し、鋼No.8のものは焼入れ焼戻しし、引張試験、組織観察を行った。
【0074】
組織観察は断面を光学顕微鏡で観察するとともに、析出物を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、組成をエネルギー分散型X線分光装置(EDX)により求めた。
【0075】
表2に試験結果を示す。No.1〜6が本発明例、No.7〜10が比較例、No.11が既存の冷間鍛造用鋼(従来例)である。
【0076】
表から明らかなように、No.1〜6の圧延材の引張強さは従来材の球状化処理材と同等で、変形抵抗、限界加工率、ドリル切削加工性および析出処理後の強度の全てにおいてNo.11の従来材と同等の特性が得られている。
【0077】
No.7は析出温度が本発明範囲外で高いため、析出処理後、フェライト+パーライト組織となり、また、析出物の粒径も大きいため引張強さが700MPa以下と本発明範囲外である。
【0078】
No.8は析出温度が本発明範囲外で低いため、析出処理後、ベイナイト組織となり、Cが固溶されたため、析出強化が不足し引張強さが700MPa以下と本発明範囲外である。
【0079】
No.9はCが本発明範囲外で高いため圧延材の引張強さが高く、変形抵抗、限界加工率、ドリル寿命が従来材に及ばない。また、析出処理後の析出物が大きく十分な析出強化が得られず、従来材より強度が低い。
【0080】
No.10はSiが本発明範囲外で高いため圧延材の引張強さが高く、変形抵抗、限界加工率、ドリル寿命が従来材に及ばない。また、Moを含まないため微細析出物が生成されず、従来材より強度が低い。
【0081】
【表1】
Figure 2004003009
【0082】
【表2】
Figure 2004003009
【0083】
【発明の効果】
本発明によれば、圧延後の球状化処理や、冷間加工後の焼入れ焼戻し処理を行うことなく、球状化処理材と同等の優れた冷間加工性で且つ冷間加工後の析出処理により引張強さ700MPa以上となる冷間鍛造品の素材となる棒鋼およびその製造方法が得られ、産業上極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明鋼の製造工程の一例を示す図。

Claims (15)

  1. 質量%で、C≦0.15%、Si≦0.3%、Mn≦2%、Ti:0.03〜0.35%、Mo:0.05〜0.8%、残部Fe及び不可避的不純物からなり、且つ、フェライト単相組織を有する冷間加工性および冷間加工後の被削性に優れた冷間鍛造用棒鋼。
  2. 鋼組成として、更に式(1)を満足することを特徴とする請求項1記載の冷間加工性および冷間加工後の被削性に優れた冷間鍛造用棒鋼。
    Figure 2004003009
    但し、各元素は含有量(質量%)とする。
  3. 鋼組成として、更に質量%で、Nb≦0.08%、V≦0.15%、W≦1.5%の一種または二種以上を含有することを特徴とする請求項1記載の冷間加工性および冷間加工後の被削性に優れた冷間鍛造用棒鋼。
  4. 鋼組成として更に式(2)を満足することを特徴とする請求項3記載の冷間加工性および冷間加工後の被削性に優れた冷間鍛造用棒鋼。
    0.5≦(C/12)/{(Ti/48)+(Mo/96)+(Nb/93)
    +(V/51)+(W/184)}≦1.5     (2)
    但し、各元素は含有量(質量%)とし、含まれないものは0とする。
  5. 鋼組成として更に質量%でS:0.03〜0.1%、Pb:0.2%以下、Ca:0.005%以下、B:0.02%以下の一種または二種以上を含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の冷間加工性および冷間加工後の被削性に優れた冷間鍛造用棒鋼。
  6. フェライト単相組織を有し、フェライト相中に粒径10nm未満の微細析出物が分散析出していることを特徴とする引張強さ700MPa以上の冷間鍛造品。
  7. 鋼組成が、質量%で、C≦0.1%、Si≦0.3%、Mn≦2%、Ti:0.03〜0.20%、Mo:0.05〜0.6%、残部Fe及び不可避的不純物よりなる請求項6記載の引張強さ700MPa以上の冷間鍛造品。
  8. 鋼組成として更に式(3)を満足することを特徴とする請求項7記載の引張強さ700MPa以上の冷間鍛造品。
    Figure 2004003009
    但し、各元素は含有量(質量%)とする。
  9. 微細析出物がTiとMoの炭化物であることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一つに記載の引張強さ700MPa以上の冷間鍛造品。
  10. 鋼組成として、更に質量%で、Nb≦0.08%、V≦0.15%、W≦1.5%の一種または二種以上を含有することを特徴とする請求項7記載の引張強さ700MPa以上の冷間鍛造品。
  11. 鋼組成として、更に式(4)を満足することを特徴とする請求項10記載の引張強さ700MPa以上の冷間鍛造品。
    0.5≦(C/12)/{(Ti/48)+(Mo/96)+(Nb/93)
    +(V/51)+(W/184)}≦1.5     (4)
    但し、各元素は含有量(質量%)とし、含まれないものは0とする。
  12. 微細析出物がTiとMoとNb、V、Wの内の少なくとも1種とを含む炭化物であることを特徴とする請求項10または11記載の張強さ700MPa以上の冷間鍛造品。
  13. 鋼組成として、更に質量%でS:0.03〜0.1%、Pb:0.2%以下、Ca:0.005%以下、B:0.02%以下の一種または二種以上を含有することを特徴とする請求項7乃至12記載の引張強さ700MPa以上の冷間鍛造品。
  14. 請求項1乃至5のいずれか一つに記載の組成の鋼を950〜1250℃に加熱後、800℃以上で圧延を終了し、その後、700〜550℃を0.5℃/sec超えで冷却することを特徴とする冷間加工性および被削性に優れた冷間鍛造用棒鋼の製造方法。
  15. 請求項1乃至5のいずれか一つに記載の組成の鋼を950〜1250℃に加熱し、800℃以上で圧延を終了後、700〜550℃を0.5℃/sec超えで冷却し、その後、冷間鍛造により所定の形状とした後、550〜700℃で10分以上保持することを特徴とする引張強さ700MPa以上の冷間鍛造品の製造方法。
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