JP2003534298A - 咳の新規治療法 - Google Patents

咳の新規治療法

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JP2003534298A JP2001585830A JP2001585830A JP2003534298A JP 2003534298 A JP2003534298 A JP 2003534298A JP 2001585830 A JP2001585830 A JP 2001585830A JP 2001585830 A JP2001585830 A JP 2001585830A JP 2003534298 A JP2003534298 A JP 2003534298A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、カンナビノイド受容体が気道に存在することを開示し、カンナビノイド受容体は咳の抑制と機能的に関連している。局所作用性カンナビノイド薬を被験者の気道に投与することにより、全身投与したカンナビノイドに特徴的な精神活性作用を引き起こすことなく、咳を軽減することができる。その上、局所もしくは全身投与したカンナビノイド不活性化インヒビターも咳を軽減することができる。本発明は、気管支収縮が全くない抗咳効果をもたらすようにカンナビノイド薬を投与することができる条件をも規定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】技術分野 本発明は咳の発生を防止するための医薬組成物、ならびに咳を治療するための
その組成物の使用方法に関する。さらに特定すると、本発明は1種以上の直接も
しくは間接カンナビノイド受容体アゴニストを含む治療上有効な量の医薬組成物
の局所投与によって、該アゴニストの全身循環系への有意な送達を伴わずに抗咳
効果をもたらすことに関する。
【0002】背景 ***(cannabis)植物の主要活性成分である△9-テトラヒドロカンナビノール(
9-THC)の投与は動物およびヒトに咳および気管支けいれんの緩和をもたらす
ので、このことは咳の治療のためのカンナビス様(カンナビノイド)化合物の投
与の可能性を示唆している。しかし、この観察からの潜在的な治療上の価値は2
つの要因によって妨害される。第一に、カンナビノイド化合物の全身投与は顕著
な精神活性作用(例えば、記憶障害、神経不安、時間認知の変更、および習慣性
形成)をもたらす。第二に、△9-THCを投与される喘息患者の中には、この化合
物に対して奇異気管支収縮の応答をするものがある。したがって、顕著な精神活
性作用を伴わない、動物およびヒトの咳を防止もしくは緩和する化合物またはそ
の医薬製剤に対する要請が存在する。
【0003】発明の概要 一般的な態様において、本発明は咳の抑制に機能的に関連があるカンナビノイ
ド受容体の気道内における存在を開示する。さらに本発明は、局所作用性カンナ
ビノイド薬の気道内局所投与が全身的に投与されたカンナビノイドに特徴的な精
神活性作用を伴わずに咳を低下させることを教示する。またさらに本発明は、気
管支収縮が全くない抗咳効果をもたらすようにカンナビノイド薬を投与すること
ができる条件を規定する。特定すると、本発明は迷走神経の固有の収縮緊張が低
下するか排除されたときにカンナビノイド化合物が気管支収縮をもたらすことを
実証する。
【0004】 別の態様において本発明は、カンナビノイド不活性化インヒビターの、単独で
のまたはカンナビノイド受容体アゴニストと組合せた、咳を改善するための局所
または全身適用をも教示する。
【0005】 本発明の医薬組成物および方法は、咳の開始および/または上気道から中枢神
経系へのシグナル伝達を抑制する能力により特徴づけられる。詳細には、本発明
は咳のシグナル伝達の末梢抑制をもたらす。どのような理論にも拘束されないが
、本発明の医薬組成物は哺乳動物の上気道に見られるCB1カンナビノイド受容体
を活性化することによって、咳を開始する細胞内シグナル伝達カスケードを短絡
すると考えられる。本発明は局所的CB1カンナビノイド受容体の活性化によって
咳のシグナル伝達を末梢で調節するが、その場合、内在性カンナビノイドが上気
道内の出現しつつある咳シグナルを取り除くことに関与していると考えられる。
本発明は、予期せざることに、中枢に作用するカンナビミメチック(cannabimime
tic)もしくはアヘン薬に特徴的な神経不安副作用および習慣性を伴わずに、上記
の優れた望ましい抗咳効果を達成する。
【0006】 本発明は、被験者の咳を軽減もしくは防止するための方法であって、何ら有意
な精神活性作用を伴わずに、抗咳作用を持つカンナビノイド受容体アゴニストを
被験者に投与することを含む方法を提供する。被験者は動物でもヒトでもよい。
1例として、哺乳動物の咳を治療する方法は、局所投与用の製薬上許容される添
加剤中の1種以上の局所作用性カンナビノイド受容体アゴニストを有効量で上気
道内に(例えばエーロゾルにより)局所投与することを含む。
【0007】 本発明の方法において、本発明に従うカンナビノイド受容体アゴニストもしく
はその医薬組成物として、以下の一般式Iのカンナビノイド受容体アゴニストが
含まれる:
【化6】 [式中、XはN-R1もしくはOであり; Rは11〜29個の炭素原子を持つ飽和もしくは不飽和、キラルもしくは非キラル
、環式もしくは非環式、置換もしくは非置換のヒドロカルビル基であり、場合に
よって6個までの酸素もしくは硫黄原子を組み込んでおり; R1、R3およびR4は水素、アルキル(C1-4)、アルケニル(C2-4)、アルキニル
(C2-4)、シクロアルキル(C3-6)もしくは2〜4個の炭素原子を持つヒドロキシ
アルキル基から独立して選択され; R2はOHもしくはO-CO-アルキルであって、このアルキル基は1〜4個の炭素原子
を持ち; nは2〜4から選択される]。
【0008】 R2がOHで、XがN-Hの場合、これらがカルボニル基を介して結合して、ヘテロ環
構造、例えばオキサゾリジノン環を形成していてもよい。あるいは、R2がOHで、
XがN-Hの場合、これらが結合して、ヘテロ環構造、例えばモルホリン環を形成し
ていてもよい。
【0009】 特に、本発明は、以下に示す一般構造を持ちかつ式IIを有するカンナビノイド
受容体アゴニストとして活性なアミドのファミリーを想定している:
【化7】 [式中、Rは15〜29個の炭素原子を持つ飽和もしくは不飽和、置換もしくは非置換
のヒドロカルビル基であり、場合によって3個までの酸素もしくは硫黄原子を組
み込んでおり; R3およびR4は水素、アルキル(C1-4)、アルケニル(C2-4)、アルキニル(C2
-4)、シクロアルキル(C3-6)もしくは2〜4個の炭素原子を持つヒドロキシアル
キル基から独立して選択され; R2はOHもしくはO-CO-アルキルであって、このアルキル基は1〜4個の炭素原子
を持ち; nは2〜4から選択される]。
【0010】 R2がOHで、XがN-Hの場合、これらが結合してヘテロ環構造を形成していてもよ
い。
【0011】 本発明はまた、以下に示す一般構造を持ちかつ式IIIを有するカンナビノイド
受容体アゴニストとして活性なエステルのファミリーをも想定している:
【化8】 [式中、Rは15〜29個の炭素原子を持つ飽和もしくは不飽和、置換もしくは非置換
のヒドロカルビル基であり、場合によって3個までの酸素原子を組み込んでおり
; R3およびR4は水素、アルキル(C1-4)、アルケニル(C2-4)、アルキニル(C2
-4)、シクロアルキル(C3-6)もしくは2〜4個の炭素原子を持つヒドロキシアル
キル基から独立して選択され; R2はOHもしくはO-CO-アルキルであって、このアルキル基は1〜4個の炭素原子
を持ち; nは2〜4から選択される]。
【0012】 さらに本発明は、以下に示す一般構造を持ちかつ式IVを有する本発明に従う内
在性カンナビノイド不活性化のインヒビターとして活性なアミドのファミリーを
想定している:
【化9】 [式中、Rは18〜22個の炭素原子を持つポリ不飽和、置換もしくは非置換のヒドロ
カルビル基であり; R2は置換もしくは非置換シクロアルキル(C3-6)基および置換もしくは非置換
フェニル基(例えばp-ヒドロキシフェニル、p-ヒドロキシ-o-メチル-フェニル)
から独立して選択される]。
【0013】 本発明はまた、以下に示す一般構造を持ちかつ式Vを有する内在性カンナビノ
イド不活性化のインヒビターとして活性な脂肪酸誘導体のファミリーを想定して
いる:
【化10】 [式中、R1は6〜22個の炭素原子を持つ飽和もしくはポリ不飽和、置換もしくは非
置換のヒドロカルビル基であり; Xは-C=OもしくはSO2-であり; R2はハロゲンもしくはハロゲン置換メチル基である]。
【0014】 本発明の別の態様によれば、以下に例示する直接および間接作用性カンナビノ
イド受容体アゴニストを含む咳治療用の医薬組成物が開示される:アラキドニル
エタノールアミド(アナンダミド)、(R)-(+)アラキドニル-11-ヒドロキシ-21-
プロピルアミド、シス-7,10,13,16-ドコサテトラエノイルエタノールアミド、ホ
モ-デルタ-リノレイエタノールアミド、N-プロピル-アラキドニルエタノールア
ミド、N-エチル-アラキドニルエタノールアミド、および2-アラキドニルグリセ
ロール。以下に例示するカンナビノイド不活性化インヒビターを含む咳治療用の
医薬組成物も開示される:N-(4-ヒドロキシフェニル)-アラキドニルアミド、パ
ルミチルスルホニルフルオライド、およびアラキドニルトリフルオロメチルケト
ン。
【0015】 カンナビノイド受容体アゴニストおよび/またはカンナビノイド不活性化イン
ヒビター、ならびに製薬上許容される添加剤は、とりわけエーロゾル剤、スプレ
ー剤もしくは溶液剤として、吸入用、経口投与用、または静脈内などの非経口投
与用に、製剤化することができる。
【0016】 局所作用性カンナビノイド受容体アゴニストおよび/またはカンナビノイド不
活性化インヒビター、ならびに製薬上許容される添加剤は、抗炎症化合物、全身
性抗咳薬および局所麻酔薬からなる群から選択されるその他の治療薬1種以上と
共に投与することができる。
【0017】 本発明の1以上の実施形態を、添付図面および以下の記載により詳しく説明す
る。本発明のその他の構成、目的および効果は以下の記載および図面、ならびに
特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0018】 本明細書中に引用するすべての刊行物、特許、特許出願、GenBank配列およびA
TCC寄託物はすべての目的のために参照により組み入れるものとする。
【0019】詳細な説明 本発明は、(1)アナンダミドおよびその他のカンナビノイド(式I、II、お
よびIIIで示されるもの)の局所投与;ならびに/または(2)カンナビノイド
不活性化を抑制することによって上気道中の内在性もしくは外部から添加したカ
ンナビノイドのレベルを上昇させる薬物(式IVおよびVで示されるもの)の局所
もしくは全身投与、によって、咳を軽減するための方法を提供する。
【0020】定義 別に定義しない限り、本明細書で使用するすべての技術および科学用語は本発
明が属する分野の当業者に共通して理解される意味を有する。本明細書で使用す
る以下の用語は別に特定しない限りそれ自体に帰する意味を有する。
【0021】 「医薬組成物の投与」とは、この用語の一般的な使用法を含み、医薬組成物の
性質および好ましい投与部位を考慮に入れて、医薬を患者に与えるためのあらゆ
る適切な手段をさす。例えば1実施形態において、本発明の医薬組成物は肺中に
吸入される。
【0022】 本明細書中で用いる「軽減する」とは、咳に関係した損傷、病理、容態もしく
は症状を治療もしくは軽減するうえでの何らかの成功をさす。これらとして、寛
解;症状の減退、つまり症状、損傷、病理もしくは容態を患者にとってより耐え
やすくすること;症状もしくは容態の頻度もしくは持続期間の減少;患者の肉体
的もしくは精神的満足感の向上;ならびに咳の症状もしくは容態の開始の防止、
などのあらゆる客観的もしくは主観的パラメーターが含まれる。症状の治療もし
くは軽減はどのような客観的もしくは主観的パラメーターに基づいてもよく、例
えば患者の観察、診察、または単純に患者の満足感の向上などが含まれる。
【0023】 本明細書中で用いる「アナンダミド」とは、カンナビノイド受容体を活性化し
、ハシッシュおよびマリファナの活性成分である△9-テトラヒドロカンナビノー
ルの薬理学的効果を模倣する内在性の脂質である、アラキドニルエタノールアミ
ド(例えば米国特許第5,631,297号参照)をさす。アナンダミド類似体(等価物
)は例えば米国特許第5,977,180号;WO 99/60987号;WO 99/64389号に記載され
ている。また例えば米国特許第6,028,084号;第6,013,648号;第5,990,170号;
第5,925,672号;第5,747,524号;第5,596,106号;EP 0 570 920号;WO 94-12466
号も参照されたい。
【0024】 本明細書中で用いる「局所作用性カンナビノイド」とは、一般式I、II、もし
くはIIIのカンナビノイドをさす。これらのカンナビノイド類似体(等価物)は
例えば米国特許第5,635,530号および第5,618,955号に記載されている。
【0025】 本明細書中で用いる「直接カンナビノイド受容体アゴニスト」とは、CB1型カ
ンナビノイド受容体に結合して活性化する化合物をさす。
【0026】 本明細書中で用いる「間接カンナビノイド受容体アゴニスト」、「カンナビノ
イド不活性化のインヒビター」もしくは「カンナビノイド不活性化インヒビター
」とは、カンナビノイド化合物の不活性化のための輸送および/または分解を阻
止することによって、結果的にカンナビノイド物質をその作用部位に蓄積させる
化合物をさす。
【0027】 本明細書中で用いる「内在性カンナビノイド」とは、カンナビノイド受容体の
内在性アゴニストもしくはその等価物をさす。カンナビノイド受容体は例えば米
国特許第6,013,648号に記載されている。内在性アゴニストとして例えば2-アラ
キドニルグリセロールもしくはアナンダミドが含まれる。米国特許第6,028,084
号;第6,017,919号;第596,106号;第5,990,170号;ならびにSeltzman(1999) Cu
rr. Med. Chem. 6:685-704も参照されたい。
【0028】 本明細書中で用いる「咳」とは、カンナビノイド受容体アゴニストとして作用
することができ、内在性もしくは外部から添加されたカンナビノイド物質の不活
性化輸送(例えば細胞内輸送)を抑制し、かつ/または、アナンダミド加水分解
を抑制することが可能な医薬組成物の投与によって軽減し得る、咳の行為、また
は咳の誘因と関係した心理学的もしくは生理学的知覚をさす。用語「咳」は広義
に定義され、この容態を発生させる特定の疾患もしくは原因に限定されるもので
はない。
【0029】 本発明は何らかの特定の作用機序に限定されるものではないが、以下にさらに
詳細に記載するように、一つの実施形態において、本発明は、局所作用性カンナ
ビノイド受容体アゴニストの投与、および/または、カンナビノイド物質の不活
性化輸送を抑制し、かつ/またはカンナビノイド物質のアナンダミド加水分解を
抑制するカンナビノイド不活性化インヒビターの投与を想定している。
【0030】 語句「カンナビノイド不活性化を抑制する」とは、細胞外の遊離カンナビノイ
ド物質の量のどのような測定可能な増加量をも意味する。本発明はどの特定の作
用機序にも限定されるものではないが、不活性化の抑制は、医薬組成物が細胞膜
によるカンナビノイド物質の不活性化取込みを抑制するかまたはアナンダミド加
水分解を抑制することによって、達成することができる。
【0031】 用語「製薬上許容される添加剤」とは、一般的な使用法を含み、あらゆる好適
な医薬用添加剤が含まれる。これらとして例えば、水、生理食塩水、リン酸緩衝
溶液、ハンクス液、リンゲル液、デキストロース/生理食塩水、グルコース液、
ラクトース液もしくはショ糖液、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナト
リウム、グリセロールモノステアレート、グリセロール、プロピレングリコール
、エタノールなどが含まれる。
【0032】 用語「医薬として有効な」および「治療上有効な」とは、カンナビノイドもし
くはカンナビノイド様受容体の刺激から生じるヒトもしくは動物における咳の抑
制または予防の十分なレベルをさす。用語「治療上有効な量」およびその文法上
の変形は、局所(例えばエーロゾルによる)もしくは全身(例えば経口による)
に送達されたときに所望の治療効果をもたらすのに十分な活性化合物の量をさす
【0033】一般的方法 本発明の方法では、局所作用性カンナビノイドの供給、カンナビノイドの不活
性化輸送の抑制、および/またはアナンダミド加水分解の抑制によって咳を軽減
することができる化合物を使用する。これらの方法において有用な多様な化合物
の例を本明細書に記載する。これらの化合物を同定するためのルーチンな方法の
例を本明細書に記載する。カンナビノイドの不活性化輸送の抑制を確認するため
のルーチンな方法の例は、2000年7月6日付けの特許出願U.S.S.N 09/612,326中に
見出だすことができ、その全体を参照により本明細書に組み入れるものとする。
【0034】 当業者であれば、本発明の方法において有用な化合物(例えばアラキドニルエ
タノールアミド)は各種の手法および方法論を使用して合成できることを認識す
るであろう。これらは例えば以下の科学文献および特許文献に十分記載されてい
る;例えばOrganic Syntheses Collective Volumes, Gilmanら(編)John Wiley
& Sons, Inc., NY;Venuti (1989) Pharm Res. 6:867-873。本発明は当分野で
知られた任意の方法もしくはプロトコルと組合せて実施することができるが、そ
れらは科学文献および特許文献に十分記載されている。したがって、本発明の方
法に関する特定の方法論および実施例を説明する前に、2、3の一般的技法のみを
記載することとする。
【0035】本発明の方法において有用な局所作用性カンナビノイドを設計するための構造的 指針およびスクリーニング試験 本発明の方法では、咳を軽減することが可能な化合物を含む医薬組成物が投与
される。これらの化合物はカンナビノイド受容体を局所的に活性化することによ
って作用する。代表的な局所作用性化合物はアナンダミドである。
【0036】 内在性カンナビノイド脂質であるアナンダミド(アラキドニル-エタノールア
ミド)の、咳および気管支けいれんの抑制における生物学的作用は、アナンダミ
ドによるCB1受容体の活性化を介するものと考えられる。こうした作用は、局所
作用性カンナビノイドの存在下でCB1およびCB2受容体アンタゴニストを使用する
本明細書に記載の研究によって理論化される。この実験を以下でさらに詳細に記
載する。
【0037】 さらに、本明細書に記載するように、当分野で容認された動物モデルを使用す
ることによって、本発明の方法は咳を軽減することが証明された。特に、カンナ
ビノイドおよびその抗咳効果はモルモット、ラットおよびネコにおいて見られた
(Gordon, R.ら(1976) Eur. J. Pharmacol. Vol.35(2):309-313)。要約すると
、これらの代表的技法および指針は、本発明の方法において医薬組成物として有
用な化合物を選択するための明確なパラメーターを提供する。
【0038】 内在的に見出だすことができるアナンダミドなどのカンナビノイドは、全身的
にまたは気道への局所適用によって投与したとき、咳および気管支平滑筋収縮の
強い抑制をもたらす。図2A-Cは、トウガラシの刺激成分であるカプサイシンの投
与後のモルモットの気管支けいれんおよび咳のレベルの棒グラフを示す。同様の
データがラットにおいても得られた(気管内投与:10 mg/動物、最大気管支け
いれんの41±6%;30 mg/動物、55±12%;100 mg/動物、81±19%;平均±s.
e.m.、n=3)。モルモットにカプサイシンの前にアナンダミドを全身投与したと
きは、この化合物によってこの応答が抑制された(図2B)。同様の結果がラット
においても得られた(カプサイシン、10 mg/動物、気管内投与:最大気管支け
いれんの37.2±4.2%;アナンダミド 1 mg/kg、i.v.後にカプサイシン、14±7
%;n=3)。この効果は選択的CB1カンナビノイドアンタゴニストSR141716Aによ
って完全に逆転されたが、CB2アンタゴニストSR144528の最大用量ではわずかに
低下しただけだった。Calignanoら(1998) Nature 394, 277-281に記載されてい
るように、マウスの侵害受容を抑制するがCB1カンナビノイド受容体とは相互作
用しない、アナンダミドの構造類似体であるパルミチルエタノールアミドは、カ
プサイシン誘発気管支けいれんの緩和に無効であった。意識のあるモルモットに
エーロゾルとして与えたとき、カプサイシンは上気道内のC線維活性を刺激して
咳を誘発する。図2Cに示すように、全身的アナンダミドはカプサイシンで誘発さ
れる咳を低下させたが、これはCB1カンナビノイド受容体の遮断によって妨げら
れた結果である。重要なのは、エーロゾル化したアナンダミドも強力な抗咳効果
をもたらし(図2C)、これはカンナビノイド中毒の視覚的徴候を伴わなかったこ
とである。
【0039】 アナンダミドは、試験した最高用量(5 mg/kg)を除いて、直接の気管支運動
作用を示さなかった。最高用量では、この化合物は小さな気管支収縮を惹起した
(最大値の11.8±5.9%;平均±s.e.m.、n=5)。この応答をさらに研究するた
めに、迷走神経によって与えられる気管支収縮緊張を消失させた麻酔げっ歯類に
おいてアナンダミドの効果を試験した。その効果を図3A-Eに示す。迷走神経の影
響を消失させるための迷走神経切断およびアトロピン(コリン作動性アンタゴニ
スト)投与の後、アナンダミドの全身投与は、図3Aに示すように、モルモットお
よびラットにおいてSR141716Aの存在下および不在下で用量依存的気管支収縮を
もたらした(i.v.;1 mg/kg、最大気管支けいれんの0±0%;3 mg/kg、12±1.7
%;5 mg/kg、18.3±1.2%;n=3)。気管カテーテルによってモルモットの気管
支中にアナンダミドを注入する(図3B)か、またはモルモットの摘出した肺実質
組織片に投与した(図3C-E)場合にも、同様の効果が観察された。図3Cはモルモ
ット実質組織片における筋張力へのアナンダミドの効果およびCB1アンタゴニス
トSR141716Aによるその逆転を示す代表的なトレーシングである。図3Dはヒスタ
ミンに応答する図3Cの同一の肺組織片の代表的なトレーシングである。図3Eはア
ナンダミドによる肺実質組織の収縮およびSR141716Aによる拮抗作用を示す。モ
ルモット肺組織片におけるアナンダミド応答の遅い開始は、例えばDevane, W.ら
(1992) Science 258, 1946-1949に記載されるような、その他の摘出された組織
において得られた結果と一致している。ただし、この標本におけるアナンダミド
の低い効力は、限られた組織浸透および/または急速な不活性化が原因である可
能性がある。
【0040】 この可能性と一致して、アナンダミド輸送のインヒビターであるN-(4-ヒドロ
キシフェニル)-アラキドンアミドは、モルモットの摘出肺組織片においてアナン
ダミド誘発収縮を増強した(アナンダミド、50 μM、0.336±0.07ダイン/mg(組
織);アナンダミド+N-(4-ヒドロキシフェニル)-アラキドンアミド、28 μM、0.
638±0.06ダイン/mg(組織);P<0.05、n=6)。CB1アンタゴニストSR141716Aは
in vivoおよびin vitroでアナンダミド気管支収縮を阻止した(図3A-E)が、CB2
アンタゴニストSR144528はそうした効果を示さなかった。カンナビノイドアゴニ
ストHU210にも気管投与後にモルモットの気管支筋収縮を惹起する効力があった
(0.1 mg/動物、最大気管支けいれんの10.0±0.6%;1 mg/動物、30±1.2%;
10 mg/動物、60±2.2%;30 mg/動物、100%;n=6)。
【0041】 アナンダミドはバニロイド受容体を活性化すると主張されてきた。しかし、バ
ニロイドアンタゴニストであるカプサゼピンは、カプサイシン応答を完全に抑止
した用量(0.2 mg/kg、i.v.)でアナンダミド誘発気管支けいれんに何の効果も
及ぼさなかった。これらの結果は、迷走神経興奮性緊張の消失がCB1カンナビノ
イド受容体により仲介されるアナンダミドの気管支収縮活性を出現させたことを
示している。
【0042】 アナンダミドが局所投与後に気管支筋収縮性に影響を及ぼす能力は、この化合
物が気道内に存在するCB1カンナビノイド受容体を活性化することによってその
効果を発揮することを示唆している。この可能性を試験するため、ラットCB1カ
ンナビノイド受容体タンパク質の細胞内C末端に対する抗体を使用して、電子顕
微鏡によって、ラット肺中のCB1カンナビノイド受容体の超微細構造所在位置を
調べた。免疫金染色によって、カンナビノイド受容体は、図4A-Cに示すように気
管支および細気管支の平滑筋細胞内か、または縦走および輪状平滑筋層間(そこ
では、いくつかの軸索がグリア被膜中に一緒にパックされている)(図4D-E)に
分布する神経線維上に存在することが明らかになった。すべての束構造がCB1カ
ンナビノイド受容体陽性軸索を少なくとも1つ含んでいた。
【0043】 詳細な評価(91の軸索から成る20の束が少なくとも25の連続切片にわたってい
た)から、軸索の36%がカンナビノイド受容体抗体で標識されたことが明らかに
なった。カンナビノイド受容体を標識する金粒子は、放出部位または前終末セグ
メントのいずれかで、軸索原形質膜の内面に付着していた。これは我々の抗体が
CB1カンナビノイド受容体タンパク質の細胞内C末端を認識するという事実と一致
している。カンナビノイド受容体の免疫反応性を有する軸索終末は平滑筋細胞に
近接(0.2-0.5 mm)しており、少数の濃密コア小胞と共に多数の小さい無顆粒小
胞を含有していた(図4A-B)。いくつかの場合、カンナビノイド受容体の免疫反
応性は原形質膜に集積した小胞のクラスターの近傍にあり、これはおそらく神経
伝達物質放出部位に相当する可能性が大きい(図4C)。
【0044】 CB1カンナビノイド受容体がノルアドレナリン作動性および/または非ノルア
ドレナリン作動性線維上に局在するかどうかを判定するため、CB1カンナビノイ
ド受容体の免疫金染色と、交感神経細胞内の同時伝達物質である神経ペプチドY
(NPY)の免疫ペルオキシダーゼ染色と、の組合せを使用した。我々はNPYをもつ
軸索の63%がCB1受容体陽性でもあることを見出した(図4F-G)。しかし重要な
ことは、多くのNPY陰性軸索上に十分な標識が観察されたことで、これはノルア
ドレナリン作動性および/または非ノルアドレナリン作動性神経の両方がカンナ
ビノイド受容体を発現しうることを示唆している。
【0045】 カンナビノイド受容体が、独占的ではないにしても、主として気道神経の軸索
終末に見られるという知見は、アナンダミドが接合前(prejunctional)機序によ
って咳および気管支平滑筋緊張を調節することを示唆している。実際、気道内の
興奮性神経伝達の抑制は、カプサイシンにより誘発される咳および気管支けいれ
んに対抗するアナンダミドの能力についてのわずかばかりの説明を提供しうる。
この解釈は、末梢組織および中枢神経系において神経伝達物質の放出を抑制する
アナンダミドおよびその他のカンナビノイドアゴニストの能力によってさらに支
持される。コリン作動性制御を欠如している動物においてアナンダミドの収縮作
用の根底にある作用機序は現在のところ不明である。CB1カンナビノイド受容体
とNPYとの共局在と矛盾しない1つの可能性は、アナンダミドが気管支拡張性の
媒介物質の放出を抑制するということである。あるいは、アナンダミドが平滑筋
上のカンナビノイド受容体と相互作用するのかもしれない。肺平滑筋内にCB1カ
ンナビノイド受容体の免疫反応性を検出できなかったことは、使用した技法の感
度が不十分だったこと、または使用した抗体によっては認識されない変異型受容
体が平滑筋内に存在したことに起因したのかもしれない。興味深いことに、ノー
ザンブロット分析から、肺中の肺胞II型細胞が2種類のCB1カンナビノイド受容体
mRNA種を発現することが示唆される。
【0046】 内在性カンナビノイドが気道の応答性を調節するという可能性を試験するため
、モルモットの気管支けいれんおよび咳へのCB1およびCB2アンタゴニストの固有
の効果を判定した。SR141716AによるCB1カンナビノイド受容体の遮断は気管支運
動それ自体には何の影響もなかったが、気管カテーテル(図5A-B)またはi.v.注
射によるカプサイシンの投与によって誘発される気管支収縮および咳を顕著に増
強した(30 mg/kg;カプサイシンのみ、最大気管支けいれんの55.3±8.2%;SR1
41716A[0.5 mg/kg、i.v.]後にカプサイシン、92.3±3.4%;P<0.05、n=3)。C
B2アンタゴニストSR144528はこうした効果を持たなかった。CB1アンタゴニスト
の気管支運動作用はその逆アゴニスト特性によって説明し得るが、2種類の証拠
は、この薬物が進行中のカンナビノイド調節に対抗することで作用したことを示
唆する。第一に、カプサイシンの不在下でCB1アンタゴニストに見られる効果の
欠如は逆アゴニスト挙動とは整合しない。第二に、エレクトロスプレー正イオン
化質量分析(MS)と連結された高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による分析
から、アナンダミドはラット肺組織内でCa2+イオン活性化機構によって合成され
ることが明らかになった(図6A-B)。ラット肺膜は、平均して、Ca2+キレーター
EGTA(1 mM)の存在下でタンパク質1 mgにつきアナンダミド 0.6±0.2 pmolを、
そしてCa2+(3 mM)の存在下でタンパク質1 mgにつきアナンダミド 1.6±0.2 pm
olを産生した(平均+s.e.m.、n=4;EGTAおよびCa2+間でP<0.05;スチューデ
ントのt検定)(図6C)。モルモット肺膜は、EGTAの存在下でタンパク質1 mgに
つきアナンダミド 0.9±0.3 pmolを、そしてCa2+の存在下でタンパク質1 mgにつ
きアナンダミド 8.8±1.2 pmolを産生した(n=4;P<0.0001;スチューデント
のt検定)。
【0047】 アナンダミドはN-アラキドニルホスファチジルエタノールアミン(NAPE)の酵
素的切断に由来すると考えられるが、その生合成は、Di Marzo, V.ら(1994) Nat
ure, 372, 686-691;Sugiura, T.ら(1996) Eur. J. Biochem., 240, 53-62;Cad
as, H.ら(1997) J. Neurosci., 17, 1226-1242に記載されているように、Ca2+
存性N-アシルトランスフェラーゼ活性によって触媒される。エレクトロスプレー
負イオン化HPLC/MSを使用して、ラット肺膜の脂質抽出物中に以下の2分子種のNA
PEが同定された:図7Aに示すアルク-1-パルミトエニル-2-アラキドニル-sn-グリ
セロ-ホスホエタノールアミン-N-アラキドニル(NAPE1)、および図7Bに示すア
ルク-1-ステアリル-2-アラキドニル-sn-グリセロ-ホスホエタノールアミン-N-ア
ラキドニル(NAPE2)。同定は、(1)妥当な質量の脱プロトン化分子の出現(N
APE1:質量/電荷比(m/z)1009;およびNAPE2、m/z 1039);ならびに(2)合成
NAPEのものと同様の、これらの成分のクロマトグラフィー挙動、に基づくもので
あった(図7C-D)。NAPE1およびNAPE2はCa2+依存的にラット肺膜によって合成さ
れた。膜は、EGTA(1 mM)と共にインキュベートしたとき、1.5±0.02 pmolのNA
PE1と検出不能レベルのNAPE2を、そしてCa2+(3 mM)と共にインキュベートした
とき、4.4±0.5 pmolのNAPE1と3.1±0.6 pmolのNAPE2を産生した(n=4;EGTAお
よびCa2+間でP<0.05)(図7E-F)。モルモット肺膜もNAPE1およびNAPE2をCa2+
依存的に合成した。アナンダミドおよびそのリン脂質前駆物質の生合成のための
Ca2+活性化機構のげっ歯類肺内での存在は、気道調節における内在性カンナビノ
イドの役割を支持する。これはまた、アナンダミド不活性化のインヒビター(式
IVおよびVの化合物)がアナンダミドをその作用部位に集積させる能力によって
咳の抑制および気管支拡張をもたらすことを示唆する。
【0048】 これらの結果は、局在的に放出されたアナンダミドなどのカンナビノイド化合
物によるCB1カンナビノイド受容体の活性化が、咳および気管支収縮性の制御に
関与していることを証明している。しかし、カンナビノイドがどのようにして気
管支収縮性への制御を発揮するかは、気管支筋の状態に依存するらしい。カプサ
イシンで気管支けいれんが誘発されている間など、筋肉が収縮している場合は、
アナンダミドはおそらく、興奮性神経伝達物質および神経ペプチドの接合前放出
を抑制することによって、この収縮に対抗するらしい。反対に、迷走神経の緊縮
作用の除去後に見られるような、平滑筋が弛緩している場合は、アナンダミドは
気管支収縮をもたらすらしい。
【0049】 要約すると、これらの結果は、迷走神経緊張が弱体化していない動物の気道内
へのカンナビノイド薬の局所適用が咳の抑制をもたらすことを示唆している。こ
れらの効果は気道神経の末梢終末に存在するCB1カンナビノイド受容体の活性化
によって仲介される。さらに、これらの結果は、内在性カンナビノイド不活性化
のインヒビターの局所または全身投与も咳の抑制をもたらすことを示唆している
。本実験で使用した動物モデルはヒトにおける抗咳作用/治療を予測させるので
、病的咳誘発症状に苦しめられているヒト患者において同等の咳抑制効果がもた
らされるものと期待される。こうした症状として、限定するものではないが、持
続性の乾いた咳、癌により誘発される咳、およびアンギオテンシン変換酵素(AC
E)インヒビターにより誘発される咳が含まれる。
【0050】 本発明は、上気道内の末梢作用によって咳を軽減もしくは予防するうえで活性
がある直接もしくは間接カンナビノイド受容体アゴニスト1種以上を投与するこ
とによって哺乳動物の咳を治療する方法を開示する。この方法は、咳を軽減もし
くは予防する量の、以下に記載する一般式I、II、III、IV、もしくはVの化合物
1種以上を含む医薬組成物を動物に投与するステップを含む。
【0051】 式I:
【化11】 [式中、XはN-R1もしくはOであり; Rは11〜29個の炭素原子を持つ飽和もしくは不飽和、キラルもしくは非キラル
、環式もしくは非環式、置換もしくは非置換のヒドロカルビル基であり、場合に
よって6個までの酸素もしくは硫黄原子を組み込んでおり; R1、R3およびR4は水素、アルキル(C1-4)、アルケニル(C2-4)、アルキニル
(C2-4)、シクロアルキル(C3-6)もしくは2〜4個の炭素原子を持つヒドロキシ
アルキル基から独立して選択され; R2はOHもしくはO-CO-アルキルであって、このアルキル基は1〜4個の炭素原子
を持ち; nは2〜4から選択される]。
【0052】 R2がOHで、XがN-Hの場合、これらはカルボニル基を介して結合して、ヘテロ環
構造、例えばオキサゾリジノン環を形成していてもよい。あるいは、R2がOHで、
XがN-Hの場合、これらは結合して、ヘテロ環構造、例えばモルホリン環を形成し
ていてもよい。
【0053】 式II:
【化12】 [式中、Rは15〜29個の炭素原子を持つ飽和もしくは不飽和、置換もしくは非置換
ヒドロカルビル基であり、場合によって3個までの酸素もしくは硫黄原子を組み
込んでおり; R3およびR4は水素、アルキル(C1-4)、アルケニル(C2-4)、アルキニル(C2
-4)、シクロアルキル(C3-6)もしくは2〜4個の炭素原子を持つヒドロキシアル
キル基から独立して選択され; R2はOHもしくはO-CO-アルキルであって、このアルキル基は1〜4個の炭素原子
を持ち; nは2〜4から選択される]。
【0054】 R2がOHで、XがN-Hの場合、これらはカルボニル基を介して結合して、ヘテロ環
構造を形成していてもよい。
【0055】 式III:
【化13】 [式中、Rは15〜29個の炭素原子を持つ飽和もしくは不飽和、置換もしくは非置換
のヒドロカルビル基であり、場合によって3個までの酸素原子を組み込んでおり
; R3およびR4は水素、アルキル(C1-4)、アルケニル(C2-4)、アルキニル(C2
-4)、シクロアルキル(C3-6)もしくは2〜4個の炭素原子を持つヒドロキシアル
キル基から独立して選択され; R2はOHもしくはO-CO-アルキルであって、このアルキル基は1〜4個の炭素原子
を持ち; nは2〜4から選択される]。
【0056】 式IV:
【化14】 [式中、Rは18〜22個の炭素原子を持つポリ不飽和、置換もしくは非置換のヒドロ
カルビル基であり; R2は置換もしくは非置換シクロアルキル(C3-6)基および置換もしくは非置換
フェニル基(例えばp-ヒドロキシフェニル、p-ヒドロキシ-o-メチル-フェニル)
から独立して選択される]。
【0057】 式V:
【化15】 [式中、R1は6〜22個の炭素原子を持つ飽和もしくはポリ不飽和、置換もしくは非
置換のヒドロカルビル基であり; Xは-C=OもしくはSO2-であり; R2はハロゲンもしくはハロゲン置換メチル基である]。
【0058】医薬製剤 本発明の方法において使用する医薬組成物は、例えば非経口、局所、経口投与
などの当分野で知られたあらゆる手段によって、またはエーロゾルもしくは経皮
のような局所投与によって投与することができる。容態、疾患、咳の程度もしく
は原因、患者の全般的医学的状態、それらに基づく好ましい投与方法、などに応
じて、医薬組成物を各種の単位剤形として任意の方法で製剤化し、投与すること
ができる。本発明の方法を実施するための投薬レジメ、製剤化および投与を決定
する常套手段は特許および科学文献に十分記載されている。例えばRemington's
Pharmaceutical Sciences, Maack Publishing Co, Easton PAの最新版を参照さ
れたい。
【0059】 医薬製剤は医薬の製造分野で知られたどのような方法によっても調製すること
ができる。本発明の薬理学的組成物に抗炎症化合物などのその他の活性薬物を含
ませることができる。製薬上許容される化合物に、その組成物を安定化させるか
、またはその薬物および/もしくは医薬組成物の吸収を増加もしくは減少させる
作用をする生理学的に許容される化合物を含ませることができる。製剤に製造上
好適な非毒性の製薬上許容される添加剤を混合してもよい。
【0060】 経口投与用の医薬製剤は、当分野で周知の製薬上許容される担体を適切な用量
で使用して、製剤化することができる。こうした担体は患者が摂取するのに好適
な、錠剤、丸剤、粉剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、トローチ剤、ゲル剤、シロ
ップ剤、スラリー剤、懸濁液剤その他の単位剤形として医薬を製剤化することを
可能にする。経口用の医薬製剤は、本発明のカンナビノイドと固体賦形剤とを組
み合わせ、場合により得られた混合物を磨砕し、所望ならば他の好適な化合物を
添加した後、顆粒混合物を加工して、錠剤もしくは糖衣錠のコアを作製すること
によって、取得することができる。炭水化物もしくはタンパク質充填剤などの好
適な添加剤として、例えばラクトース、ショ糖、マンニトールもしくはソルビト
ールなどの糖類;トウモロコシ、コムギ、コメ、ジャガイモもしくはその他の植
物からのデンプン;メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースも
しくはカルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース;ならびにアラ
ビアゴムおよびトラガカントなどのガム;さらに例えばゼラチンおよびコラーゲ
ンなどのタンパク質が含まれる。架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸
もしくはその塩(アルギン酸ナトリウムなど)の崩壊剤または可溶化剤を添加し
てもよい。
【0061】 糖衣錠コアには濃縮糖溶液などの好適なコーティング剤を被覆する。これらに
アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレ
ングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー液、ならびに好適な有機
溶媒もしくは溶媒混合物を含ませてもよい。製品の識別または活性成分の量(す
なわち投薬量)の特定化のために、錠剤もしくは糖衣錠コーティングに色素もし
くは顔料を添加してもよい。例えばゼラチン製のプッシュフィット(push-fit)カ
プセルや、ゼラチンとグリセロールもしくはソルビトールなどのコーティング剤
で作製した軟質密閉カプセルを使用して、本発明の医薬製剤を経口的に使用する
こともできる。プッシュフィットカプセルに充填剤またはラクトースもしくはデ
ンプンなどの結合剤、タルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、
および場合によって安定剤と混合した活性薬物を含有させることができる。軟質
カプセルでは、安定剤を含むか含まない脂肪油、液状パラフィンもしくは液状ポ
リエチレングリコールなどの好適な液体に活性薬物を溶解もしくは懸濁させるこ
とができる。
【0062】 水性懸濁液には水性懸濁液の製造に好適な添加剤との混合物として活性薬物(
例えばN-(4-ヒドロキシフェニル)アラキドンアミド)を含有させることができる
。こうした添加剤として以下のものが含まれる:懸濁化剤、例えばカルボキシメ
チルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセル
ロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガムおよ
びアカシアガム;分散もしくは湿潤剤、例えば天然に存在するホスファチド(例
えばレシチン)、アルキレンオキサイドと脂肪酸との縮合生成物(例えばポリオ
キシエチレンステアレート)、エチレンオキサイドと長鎖脂肪族アルコールとの
縮合生成物(例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール)、エチレンオキサイ
ドと脂肪酸およびヘキシトールから誘導された部分エステルとの縮合生成物(例
えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート)、またはエチレンオキサ
イドと脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導された部分エステルとの縮合生
成物(例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)。水性懸濁液にp-
ヒドロキシ安息香酸エチルもしくはn-プロピルなどの保存剤1種以上、着色剤1
種以上、香味剤1種以上およびショ糖、アスパルテームもしくはサッカリンなど
の甘味剤1種以上をも含ませることができる。製剤をオスモル濃度について調節
することができる。
【0063】 油性の医薬は疎水性活性成分の投与のために特に有用である。油性懸濁液剤は
落花生油、オリーブ油、ゴマ油もしくはココナッツ油などの植物油、または液体
パラフィンなどの鉱油、あるいはこれらの混合物に活性薬物(例えばN-(4-ヒド
ロキシフェニル)アラキドンアミド)を懸濁させることによって製剤化すること
ができる。例えば、生物学的利用能を増大させ、かつ経口投与された疎水性医薬
化合物の個体間および個体内のばらつきを低下させるために精油もしくは精油成
分を使用することを記載している米国特許第5,716,928号を参照されたい(米国
特許第5,858,401号も参照)。油性懸濁液剤に蜜蝋、硬質パラフィンもしくはセ
チルアルコールなどの増粘剤を含ませてもよい。食味のよい経口製剤を提供する
ため、グリセロール、ソルビトールもしくはショ糖などの甘味剤を添加してもよ
い。こうした製剤はアスコルビン酸などの抗酸化剤の添加によって保存すること
ができる。注射用油性ビヒクルの例について、Minto (1997) J. Pharmacol. Exp
. Ther. 281:93-102を参照されたい。
【0064】 本発明の医薬製剤を水中油エマルジョンの形態にすることもできる。その油相
は上記の植物油もしくは鉱油、またはそれらの混合物とすることができる。好適
な乳化剤として以下のものが含まれる:アカシアガムおよびトラガカントガムな
どの天然に存在するガム;大豆レシチンなどの天然に存在するホスファチド;ソ
ルビタンモノオレエートなどの、脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導され
るエステルもしくは部分エステル;ならびにこれらの部分エステルとエチレンオ
キサイドとの縮合生成物、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートなど。
エマルジョンにシロップ剤およびエリキシル剤などのように甘味剤および香味剤
を含ませてもよい。こうした製剤に粘滑剤、保存剤もしくは着色剤を含ませるこ
ともできる。
【0065】 水の添加によって水性懸濁液を調製するのに適した分散可能な粉剤および顆粒
剤は、分散剤、懸濁化剤および/または湿潤剤ならびに1種以上の保存剤と混合
して製剤化することができる。好適な分散剤もしくは湿潤剤および懸濁化剤は上
記の文献に例示されている。追加の添加剤、例えば甘味剤、香味剤および着色剤
を存在させてもよい。
【0066】 本発明の方法では、医薬化合物を吸入、粉末およびエーロゾル製剤などで鼻内
もしくは気管内経路で投与することもできる(ステロイド吸入剤の例について、
Rohatagi (1995) J. Clin. Pharmacol. 35:1187-1193;Tjwa (1995) Ann. Aller
gy Asthma Immunol. 75:107-111参照)。例えばエーロゾル製剤をジクロロジフ
ルオロメタン、プロパン、窒素などの加圧された許容される噴射剤中に入れるこ
とができる。また、これらをネブライザーもしくはアトマイザー中などの非加圧
製品のための医薬として製剤化することもできる。典型的には、こうした投与は
水性の薬理学的に許容されるバッファーを用いて行う。
【0067】 本発明の方法では、医薬化合物を、アプリケータースティック(applicator st
icks)、溶液、懸濁液、エマルジョン、ゲル、クリーム、軟膏、ペースト、ゼリ
ー、ペイント、粉末、およびエーロゾルなどに製剤化して、局所経路によって経
皮的に送達することができる。
【0068】 本発明の方法においては、医薬化合物を体内で徐々に放出させるためのマイク
ロスフェアとして送達することもできる。例えば、マイクロスフェアを薬物の皮
内注射によって投与し、これを皮下で徐々に放出させることができる(Rao (199
5) J. Biomater Sci. Polym. Ed.7:623-645参照)。生分解性で注入可能なゲル
製剤として、例えばGao (1995) Pharm. Res. 12:857-863(1995)を参照されたい
。あるいは経口投与用のマイクロスフェアとして、例えばEyles (1997) J. Phar
m. Pharmacol. 49:669-674を参照されたい。経皮および皮内経路は両方とも何週
間もしくは何ヶ月間もの恒常的送達をもたらす。
【0069】 本発明の方法では、医薬化合物を塩として提供することができ、限定するもの
ではないが、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸その他を含
む多くの酸を用いて形成することができる。塩は対応する遊離塩基形態よりも水
性またはその他のプロトン性溶媒中に可溶性である傾向がある。その他の場合、
好ましい製剤は、使用前にバッファーと混合される、4.5〜5.5のpH範囲の1 mM〜
50 mMヒスチジン、0.1%〜2%ショ糖、2%〜7%マンニトール中の凍結乾燥粉末
でありうる。
【0070】 本発明の方法において、医薬化合物を静脈(IV)投与などによって非経口に投
与することができる。これらの製剤は普通、製薬上許容される担体中に溶解させ
た活性成分の溶液を含むこととなる。使用することができる許容されるビヒクル
および溶媒は水およびリンゲル液、等張塩化ナトリウムである。その上、溶媒も
しくは懸濁媒体として滅菌不揮発性油を慣例的に使用することができる。この目
的のため、合成モノおよびジグリセリドを含むどのようなブランドの不揮発性油
でも使用することができる。さらに、注射用製剤中でオレイン酸などの脂肪酸も
同様に使用することができる。これらの溶液は無菌で、一般的に望ましくない物
質を含まない。これらの製剤は周知の滅菌技術で滅菌することができる。製剤を
生理学的条件に近似させるのに必要な、pH調整剤および緩衝剤、毒性調整剤など
の製薬上許容される補助物質、例えば酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カ
リウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウムなど、を含ませることができる。これ
らの製剤中の活性成分の濃度は、広範囲に変更し得るもので、選択した特定の投
与様式および患者の要請にしたがって、主として液体量、粘度、体重などに基づ
いて選択されることとなる。静脈内投与の場合は、製剤は注射用滅菌水性もしく
は油脂性懸濁液などの注射用滅菌製品とすることができる。この懸濁液は好適な
分散剤もしくは湿潤剤および懸濁化剤を使用して製剤化することができる。注射
用滅菌製品は1,3-ブタンジオールの溶液などの非経口的に許容される非毒性の希
釈剤もしくは溶媒中の懸濁液であってもよい。
【0071】 別の実施形態において、本発明の製剤は、細胞膜と融合するかエンドサイトー
シスされるリポソームの使用(例えば、細胞の表面膜タンパク質受容体に結合し
、その結果としてエンドサイトーシスされる、リポソームに結合されたまたは直
接オリゴヌクレオチドに結合されたリガンドを利用する)によって送達すること
ができる。リポソームの使用によって、特にリポソーム表面が標的細胞に特異的
なリガンドを保有するか、そうでなければ特定の器官に優先的に指向される場合
、in vivoで活性成分の送達を標的細胞に集中させることができる。例えば米国
特許第6,063,400号;第6,007,839号;Al-Muhammed (1996) J. Microencapsul. 1
3:293-306;Chonn (1995) Curr. Opin. Biotechnol. 6:698-708;Ostro (1989)
Am. J. Hosp. Pharm. 46:1576-1587を参照されたい。
【0072】 本発明の方法においては、咳を軽減するのに十分な量の医薬組成物を投与する
。これを達成するのに十分な医薬組成物の量は「治療上有効な用量」と定義され
る。これを使用するのに有効な投薬計画および量、すなわち「投薬レジメ」は、
疾病の病期および/または重篤度、容態もしくはその他の咳の原因、咳の重症度
、患者の一般的な健康状態、患者の肉体的状態、年令などを含む、多様な要因に
応じて決められることとなる。患者の投薬レジメを算定するにあたって、投与様
式も考慮に入れられる。
【0073】 投薬レジメは当分野で周知の薬物動態学的パラメーター、すなわち活性薬物の
吸収速度、生物学的利用能、代謝、クリアランスなどをも考慮に入れる(例えば
Hidalgo-Aragones (1996) J. Steroid Biochem. Mol. Biol. 58:611-617;Groni
ng (1996) Pharmazie 51:337-341;Fotherby (1996) Contraception 54:59-69;
Johnson (1995) J. Pharm. Sci. 84:1144-1146;Rohatagi (1995) Pharmazie 50
:610-613;Brophy (1983) Eur. J. Clin. Pharmacol. 24:103-108;最新版のRem
ington、前掲を参照されたい)。現在の技術水準では、医師が個別の患者、活性
薬物および治療する疾患もしくは容態のそれぞれについて投薬レジメを決定する
ことが可能である。医薬として使用される同様の組成物について提供された指針
は、本発明の方法を実施する投薬レジメ(例えば、投与される任意のCB1カンナ
ビノイド受容体活性化剤の投薬スケジュールおよび投薬量)を決定する指針とし
て使用することができる。
【0074】 患者が必要としかつ容認し得る投薬量および頻度に応じて、製剤は1回もしく
は複数回投与することができる。製剤は咳を効果的に治療するのに十分な量の活
性薬物を提供しなければならない。一実施例において、製薬上許容される添加剤
中のアナンダミドなどのカンナビノイド化合物の濃度は水性溶液中で1回あたり
約0.1〜100 mgである。別の例において、N-(4-ヒドロキシフェニル)アラキドン
アミドの経口投与用の典型的な医薬製剤は、1日量が約0.5〜約20 mg/kg(体重)
/日である。別の実施形態において、投薬量は約1〜約4 mg/kg(患者の体重)/
日を使用する。特に、血流中への全身投与とは対照的に、肺空隙などの解剖学的
に隔離された部位に薬物を投与する場合には、より低用量を使用することができ
る。局所投与においては実質的により高用量を使用することができる。非経口投
与用の製剤を調製するための実際の方法は、当業者には公知であるか自明であり
、上記のRemingtonの文献などにさらに詳細に記載されている。Nieman "Recepto
r Mediated Antisteroid Action," Agarwalら(1987)編, De Gruyter, New York
も参照されたい。
【0075】 これ以上詳述しなくても、当業者であれば、前記の説明を使用して、本発明を
最大限利用することができるものと確信する。以下の実施例は説明のためのもの
であって、いかなる場合にも本開示を限定するものではない。
【0076】実施例1 化学合成 アナンダミドおよびその他の脂肪酸エタノールアミドは、Giuffrida, A.ら(19
98) FEBS Lett., 422, 373-376に記載された標準的手順に従って合成することが
できる。2-アラキドニルグリセロールおよびその他のモノアシルグリセリドの合
成は、B. Serdarevich, (1967) Journal of the Oil Chemist Society, 44, 381
-393に記載されたようにして行うことができる。薬物をジメチルスルホキシド(
DMSO)に溶解し、10%DMSOを含有する生理食塩水で投与した。
【0077】実施例2 生物学的アッセイ 気管支けいれん: Dunkin-Hartleyモルモット(Charles-River、体重200〜40
0 g)またはWistarラット(Charles-River、体重200〜300 g)をペントバルビタ
ール(40 mg/kg、腹腔内)およびフェンタニル(25 mg/kg、筋内)で麻酔した。
気道閉塞および全身血圧を測定するため、気管および頚動脈にカテーテルを入れ
た。薬物を投与するため、頸静脈にカテーテルを入れた。自発呼吸を阻止するた
め、臭化パンクロニウム(4 mg/kg、静脈内)を投与した。60拍動/分で作動す
るげっ歯類用ベンチレータ(U. Basile, Comerio, Italy)を使用して、動物を
室内空気で換気した。1回拍出量は3〜7 mlとした。気管カテーテルのサイドア
ームによって気管支けいれん変換器に接続された差圧変換器(U. Basile)を使
用することによって、気道抵抗を測定した。気管支けいれんは最大応答に対する
パーセントとして表し、これは各実験の前後に気管カテーテルをクランプするこ
とによって測定した。10%ジメチルスルホキシドを含有する生理食塩水中に薬物
を溶解し、頸静脈から注入した。応答はそのピークで評価した。記録器(U. Bas
ile)に接続した圧力変換器で、動脈血圧を連続的に測定した。気管支筋系への
迷走神経の影響を排除するため、いくつかの実験では、迷走神経を両側で離断し
、硫酸アトロピン(2 mg/kg、i.v.)を投与した。
【0078】 : Bolser, D.C.ら (1995) Eur. J. Pharmacol., 276, R1-R3に記載される
ように、意識があるモルモットをエーロゾル化したカプサイシン(0.3 mM)に個
別に4分間曝露し、この間曝露チャンバー内に設置したマイクロホンを使用する
ことによって咳を記録した。各動物を1回のみカプサイシンで処置した。エーロ
ゾルはAir Lister Basic装置(Hatu, Italy)で調製し、放出流速を6 L/分に調
節した。
【0079】 摘出肺組織片: 基本的にSamhoun, M.N.ら (1984) Prostaglandins, 27, 711
-724に記載されるようにして、モルモット実質組織片を調製した。クレブスバッ
ファー(mMで:NaCl, 118;KCl, 4;K2HPO4, 1.2;MgSO4, 1.2;CaCl2, 2.5;Na
HCO3, 25.0;グルコース, 11.2;7 mM 硫酸アトロピンおよび15 mM インドメタ
シンを補充)を含有する37℃の10-ml器官浴に組織片を入れて、酸素/二酸化炭
素混合物(95/5%)で通気した。等尺性力変換器(U. Basile)によって筋収縮
を記録し、ダイン/mg(新鮮組織)で表した。
【0080】実施例3 電子顕微鏡検査 ラット3匹から肺を取り出し、4%パラホルムアルデヒド、0.2%ピクリン酸お
よび0.05%グルタルアルデヒドを含有するリン酸緩衝(PB、0.1 M)固定液で潅
流し、さらに24時間固定した。Katona, I.ら (1999) J. Neurosci., 19, 4544-4
558に記載されるようにして、免疫組織化学的分析を実施した。ウサギC末端抗CB
1および抗NPY抗体をそれぞれ1:5000および1:20,000の希釈率で使用した。NPY抗
体の特異性は、Csiffary, A.ら (1990) Brain Res. 506, 215-222に既に報告が
ある。
【0081】実施例4 膜の調製および脂質の抽出 Desarnaud, F.ら (1995) J. Biol. Chem., 270, 6030-6035の記載にしたがっ
て、肺粒子画分を調製した。CaCl2(3 mM)もしくはEGTA(1 mM)および膜タン
パク質2mg/mlを含有するTrisバッファー(50 mM、pH7.4)中、37℃で1時間イン
キュベーションを実施した。冷メタノールの添加によって反応を停止させ、クロ
ロホルムで脂質を抽出した。HPLC/MS分析の前に、Cadas, H.ら (1997) J. Neuro
sci., 17, 1226-1242に記載されているように、シリカゲルカラムクロマトグラ
フィーによってアナンダミドおよびNAPEを分画した。
【0082】実施例5 高速液体クロマトグラフィー/質量分析(HPLC/MS) アナンダミドの同定および定量は、Giuffrida, A., Rodriguez de Fonseca, F
.ら (2000) Anal. Biochem., 280,87-93に記載されたアイソトープ希釈法を使用
することにより、エレクトロスプレー正イオン化MSに連結させた逆相HPLCで行っ
た。Agilent HP1100モデル質量分析計とインターフェース接続しかつ20℃に維持
したC18 Bondapakカラム(300x3.9 mm I.D.、5 mm)(Waters)上での逆相HPLC
によって、NAPE種を精製した。HPLCの条件は、流速1 ml/分で水中のメタノー
ルの線状勾配(30分でメタノール75%から100%)とした。これらの条件下で、
異なるNAPE種が27〜29分の保持時間で1群のピークとしてカラムから溶出された
。エレクトロスプレーイオン源を負イオン化モードに設定し、Vcapを5 kVに設定
し、かつフラグメンター電圧を200 Vに設定して、MS分析を実施した。乾燥用ガ
スとして流速12 L/分の窒素を使用した。乾燥用ガス温度を350℃に、そしてネ
ブライザー圧を30 PSIに設定した。定量目的のために、フルスキャンデータから
診断イオン(脱プロトン化分子イオン、(M-H)-)を抽出し、外部標準(1-パルミ
チル-2-オレイル-sn-グリセロ-ホスホエタノールアミン-N-アラキドニル、Avant
i Polar Lipids)との比較によって定量した。
【0083】実施例6 データ分析 結果を平均±s.e.m.で表す。スチューデントのt検定または分散分析、続いて
ダネット(Dunnett)検定を使用して、グループ間の差異の有意性を評価した。
【0084】 本明細書に引用したすべての刊行物、Genebank照会番号、特許、特許出願は、
すべての目的のために参照により組み入れるものとする。本発明の実施形態をい
くつか記載してきた。それでも、本発明の精神および範囲から逸脱することなく
、各種の改変を行なうことができると理解すべきである。したがって、他の実施
形態は特許請求の範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 カンナビノイド化合物および内在性カンナビノイド不活性化のインヒビターの
化学構造を示す図である(A-C)。 Aは、本発明の直接作用性カンナビノイド化合物の一般的化学構造を示す。 Bは、代表的なカンナビノイド不活性化インヒビター(アナンダミド輸送のイ
ンヒビター)の一般的化学構造を示す。 Cは、別の代表的なカンナビノイド不活性化インヒビター(アナンダミド加水
分解のインヒビター)の一般的化学構造を示す。
【図2】 アナンダミドが、末梢CB1型カンナビノイド受容体を活性化することによって
、モルモットにおいてカプサイシン誘発気管支けいれんおよび咳を抑制すること
を示すデータを要約した棒グラフである(A-C)。結果は、各条件につきn=3
として、平均±s.e.m.で表示してある。星印はp<0.01を示す。 Aは、モルモットの気管支平滑筋に及ぼすカプサイシン(Caps、mg/kg、静脈
内i.v.)の収縮効果およびバニロイド受容体アンタゴニストカプサゼピン(Cpz
、0.2 mg/kg、i.v.)によるその拮抗作用を示す棒グラフである。 Bは、CB1アンタゴニストSR141716A(SR1、0.5 mg/kg、i.v.)もしくはCB2ア
ンタゴニストSR144528(SR2、0.3 mg/kg、i.v.)の存在下もしくは不在下でのカ
プサイシン(30 mg/kg)誘発気管支けいれんに対するアナンダミド(AEA、mg/kg
、i.v.)の用量依存性抑制効果を示す棒グラフである。 Cは、SR141716A(0.5 mg/kg、i.v.)もしくはSR144528(0.3 mg/kg、i.v.)
の存在下もしくは不在下でのカプサイシン誘発咳に対するアナンダミドの抑制効
果を示すデータを要約した棒グラフである。
【図3】 迷走神経を切断しアトロピン処理したモルモットにおいて、アナンダミドが末
梢CB1カンナビノイド受容体の活性化によって気管支収縮をもたらすことを示す
、棒グラフおよび代表的な筋張力のトレーシングを示す図である(A-E)。星
印はp<0.01を示す。 Aは、CB1アンタゴニストSR141716A(SR1、0.2 mg/kg、i.v.)の存在下もしく
は不在下での気管支平滑筋に対するアナンダミド(AEA、mg/kg、i.v.)の用量依
存性効果を要約する棒グラフである(各条件につきn=6)。 Bは、SR141716A(SR1、0.3 mg/kg、i.v.)の不在下もしくは存在下での気管
支平滑筋に対するアナンダミド(1動物あたり5〜30 mg、気管内 )の用量依存
性効果を要約する棒グラフである(各条件につきn=6)。アナンダミドの15分前
にSR141716Aを投与した。 Cは、モルモット実質組織片の等張筋張力に対するアナンダミド(100μM)の
効果およびCB1アンタゴニストSR141716A(1μM)によるその逆転を示す代表的な
トレーシングである。 Dは、比較のために示す、ヒスタミン(His、10μM)に対する図3Cの同一の肺
組織片の応答である。上方への偏差は肺組織片の反復洗浄に起因している。 Eは、アナンダミド(μM)の存在下での肺実質組織片の用量依存性収縮およ
びSR141716A(1μM)によるこの効果の拮抗作用を要約する棒グラフである(各
条件につきn=6)。
【図4】 ラット肺の軸索終末および前終末セグメントへのCB1カンナビノイド受容体の
局在を示す図である(A-G)。 A-Bは、細気管支内の軸索終末の連続切片上の、細矢印で示した、CB1カンナ
ビノイド受容体を標識する銀増感金粒子を示す。電子透過性の小さい小胞および
濃密コアの大きい小胞(太矢印)を含有する軸索終末はコラーゲンマトリックス
中に包埋され、気管支平滑筋細胞(BSM)によって包囲されている。 Cは、いくつかの場合において、カンナビノイド受容体標識が小胞クラスター
の近傍(矢印)に観察されることを示しており、これは推定上の神経伝達物質放
出部位を示す。 D-Eは、外来性の層中の連続切片がグリア被膜中に一緒にパックされた複数
の軸索終末を明らかにすることを示す。 F-Gは、カンナビノイド受容体と神経ペプチドY(NPY)の免疫反応性の共局
在を示す。CB1受容体の免疫金標識は、電子濃密NPY免疫反応性で満たされた、a1
およびa2で表示した軸索終末の膜上に見ることができる。Nは推定上のシュヴァ
ン(Schwann)細胞の核を示す。目盛線:0.2μm(図4Bおよび4Eの目盛りは図4Aお
よび4Dと同一である)。
【図5】 カプサイシン誘発気管支けいれんおよび咳に対するCB1アンタゴニストSR14171
6Aの固有の効果を示す棒グラフである(A-B)。結果は平均±s.e.m.として表
示してあり、各条件につきn=6である。星印はP<0.05を示す。 Aは、CB1アンタゴニストSR141716A(0.2 mg/kg、i.v.)の不在下もしくは存
在下でのカプサイシン(mg/動物、気管内)の気管支収縮効果を要約する棒グラ
フである。 Bは、SR141716A(0.2 mg/kg、i.v.)の不在下もしくは存在下でのカプサイシ
ン(0.3μM、4分エーロゾル)の咳誘発効果を要約する棒グラフである。
【図6】 ラット肺組織におけるアナンダミドのCa2+依存的生合成を示す図である(A-
C)。 A-Bは、内在性アナンダミド(質量/電荷比 m/z=370、Na+付加物、[M+Na+ ])、および内部標準としてサンプルにそれぞれ添加した合成[2H4]アナンダミド
(m/z=374、[M+Na+])に特徴的な選択イオンについての代表的な高速液体クロ
マトグラフィー/質量分析トレーシングである。 Cは、ラット肺膜におけるアナンダミド生合成に対するEGTA(1 mM)もしくは
Ca2+(3 mM)の効果を要約した棒グラフである。Ca2+はアナンダミド生成を顕著
に刺激した(平均±s.e.m.、*P<0.05、n=4)。
【図7】 ラット肺組織におけるアナンダミド前駆物質の構造およびCa2+依存的生合成を
示す図である(A-F)。 A-Bは、それぞれ、2種の推定上のアナンダミド前駆物質、アルク-1-パルミ
トエニル-2-アラキドニル-sn-グリセロ-ホスホエタノールアミン-N-アラキドニ
ル(NAPE1)およびアルク-1-ステアリル-2-アラキドニル-sn-グリセロ-ホスホエ
タノールアミン-N-アラキドニル(NAPE2)の化学構造を示す。 C-Dは、それぞれ、NAPE1(m/z=1009、脱プロトン化分子イオン、[M-H]-
およびNAPE2(m/z=1039、[M-H]-)に特徴的な選択イオンについての代表的な高
速液体クロマトグラフィー/質量分析トレーシングである。 E-Fは、それぞれ、NAPE1およびNAPE2の生合成が、EGTAに比較して、Ca2+(3
mM)とのインキュベーションによって顕著に刺激された(平均±s.e.m.、*P=0
.05、n=4)ことを要約する棒グラフである。NAPE2はカラムから二重線として溶
出されたので、定量のために両ピーク下の面積を1つにまとめた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 45/00 A61K 45/00 A61P 11/14 A61P 11/14 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE ,DK,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD, GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,I S,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK ,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG, MK,MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,P T,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL ,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US, UZ,VN,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 4C076 AA93 BB01 BB13 BB27 CC15 FF68 4C084 AA19 MA02 MA13 MA52 MA56 MA65 NA10 ZA621 ZA622 4C206 AA02 CB12 GA03 GA26 GA31 JA06 KA01 MA03 MA05 MA33 MA72 MA76 MA85 NA10 ZA62

Claims (34)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 咳を軽減する方法であって、かかる治療を必要とする被験者
    の上気道に、式I: 【化1】 [式中、XはN-R1もしくはOであり; Rは11〜29個の炭素原子を有する飽和もしくは不飽和、キラルもしくは非キラ
    ル、環式もしくは非環式、置換もしくは非置換のヒドロカルビル基であり; R1、R3およびR4は水素、アルキル(C1-4)、アルケニル(C2-4)、アルキニル
    (C2-4)、シクロアルキル(C3-6)もしくは2〜4個の炭素原子を有するヒドロキ
    シアルキル基から独立して選択され; R2はOHもしくはO-CO-アルキルであって、該アルキル基は1〜4個の炭素原子を
    有し; nは2〜4から選択される] で表されるカンナビノイド化合物を局所投与することを含む上記方法。
  2. 【請求項2】 Rが1〜4個の酸素もしくは硫黄原子を含む、請求項1に記載
    の方法。
  3. 【請求項3】 R2がOH、XがN-Hであって、これらがカルボニル基を介して結
    合してヘテロ環構造を形成している、請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 ヘテロ環構造がオキサゾリジノン環およびモルホリン環から
    なる群から選択される、請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 咳を軽減する方法であって、かかる治療を必要とする被験者
    の上気道に、式II: 【化2】 [式中、Rは15〜29個の炭素原子を有する飽和もしくは不飽和、置換もしくは非置
    換のヒドロカルビル基であり; R3およびR4は水素、アルキル(C1-4)、アルケニル(C2-4)、アルキニル(C2
    -4)、シクロアルキル(C3-6)もしくは2〜4個の炭素原子を有するヒドロキシア
    ルキル基から独立して選択され; R2はOHもしくはO-CO-アルキルであって、該アルキル基は1〜4個の炭素原子を
    有し; nは2〜4から選択される] で表されるカンナビノイド化合物を局所投与することを含む上記方法。
  6. 【請求項6】 Rが1〜3個の酸素もしくは硫黄原子を含む、請求項5に記載
    の方法。
  7. 【請求項7】 R2がOH、XがN-Hであって、これらが結合してヘテロ環構造を
    形成している、請求項5に記載の方法。
  8. 【請求項8】 咳を軽減する方法であって、かかる治療を必要とする被験者
    の上気道に、式III: 【化3】 [式中、Rは15〜29個の炭素原子を有する飽和もしくは不飽和、置換もしくは非置
    換のヒドロカルビル基であり; R3およびR4は水素、アルキル(C1-4)、アルケニル(C2-4)、アルキニル(C2
    -4)、シクロアルキル(C3-6)もしくは2〜4個の炭素原子を有するヒドロキシア
    ルキル基から独立して選択され; R2はOHもしくはO-CO-アルキルであって、該アルキル基は1〜4個の炭素原子を
    有し; nは2〜4から選択される] で表されるカンナビノイド化合物を局所投与することを含む上記方法。
  9. 【請求項9】 Rが1〜3個の酸素を含む、請求項8に記載の方法。
  10. 【請求項10】 咳を軽減する方法であって、式IV: 【化4】 [式中、Rは18〜22個の炭素原子を有するポリ不飽和、置換もしくは非置換のヒド
    ロカルビル基であり; R2は置換もしくは非置換のシクロアルキル(C3-6)基および置換もしくは非置
    換のフェニル基から独立して選択される] で表される内在性カンナビノイド不活性化のインヒビターを、かかる治療を必要
    とする被験者の上気道に局所投与するか、または該被験者に全身投与することを
    含む上記方法。
  11. 【請求項11】 前記フェニル基がp-ヒドロキシフェニルおよびp-ヒドロキ
    シ-o-メチル-フェニルからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
  12. 【請求項12】 咳を軽減する方法であって、式V: 【化5】 [式中、R1は6〜22個の炭素原子を有する飽和もしくはポリ不飽和、置換もしくは
    非置換のヒドロカルビル基であり; Xは-C=OもしくはSO2-であり; R2はハロゲンもしくはハロゲン置換メチル基である] で表される内在性カンナビノイド不活性化のインヒビターを、かかる治療を必要
    とする被験者の上気道に局所投与するか、または該被験者に全身投与することを
    含む上記方法。
  13. 【請求項13】 咳の原因が気道刺激および/または感染の結果生じる持続
    性の乾いた咳、アンギオテンシン変換酵素(ACE)インヒビターが誘発する咳、
    あるいは癌が誘発する咳である、請求項1に記載の方法。
  14. 【請求項14】 式I、II、IIIのカンナビノイド化合物またはこれらの任
    意の組合せを投与することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
  15. 【請求項15】 式I、II、IIIのカンナビノイド化合物またはこれらの任
    意の組合せを投与することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
  16. 【請求項16】 咳を軽減する方法であって、かかる治療を必要とし、かつ
    その気道反応性の迷走神経制御が機能している患者の上気道に、式I、II、III
    のカンナビノイド化合物またはこれらの任意の組合せを局所投与することを含む
    方法。
  17. 【請求項17】 上気道のCB1カンナビノイド受容体を選択的に活性化する
    方法であって、かかる治療を必要とする被験者に式I、II、IIIのカンナビノイ
    ド化合物またはこれらの任意の組合せを局所投与することを含む上記方法。
  18. 【請求項18】 咳の軽減治療を必要とする患者の上気道に局所投与するこ
    とを含む咳の軽減方法であって、カンナビノイド化合物が輸送もしくは加水分解
    による代謝不活性化に対して感受性であり、臨床上重大な全身的副作用を発生さ
    せない、上記方法。
  19. 【請求項19】 式Iのカンナビノイドがアラキドニルエタノールアミド(
    アナンダミド)、(R)-(+)アラキドニル-11-ヒドロキシ-21-プロピルアミド、シ
    ス-7,10,13,16-ドコサテトラエノイルエタノールアミド、ホモ-デルタ-リノレイ
    エタノールアミド、およびN-プロピル-アラキドニルエタノールアミドからなる
    群から選択される、請求項1に記載の方法。
  20. 【請求項20】 式IVのカンナビノイド不活性化インヒビターが4-(ヒドロ
    キシフェニル)-アラキドニルアミドである、請求項10に記載の方法。
  21. 【請求項21】 式Vのカンナビノイド不活性化インヒビターがパルミチル
    スルホニルフルオライドもしくはアラキドニルトリフルオロメチルケトンである
    、請求項12に記載の方法。
  22. 【請求項22】 咳を軽減する方法であって、かかる治療を必要とする被験
    者の上気道に式I、II、IIIのカンナビノイド化合物またはこれらの任意の組合
    せを含む医薬組成物を局所投与することを含む上記方法。
  23. 【請求項23】 式IV、Vのカンナビノイド不活性化インヒビターまたはこ
    れらの任意の組合せを含む医薬組成物を局所もしくは全身投与することをさらに
    含む、請求項22に記載の方法。
  24. 【請求項24】 医薬組成物が式I、II、III、IV、Vの化合物またはこれら
    の任意の組合せを含む、請求項23に記載の方法。
  25. 【請求項25】 医薬組成物が局所送達用に製剤化されている、請求項22
    に記載の方法。
  26. 【請求項26】 局所送達用製剤がエーロゾルによるものである、請求項2
    5に記載の方法。
  27. 【請求項27】 医薬組成物が局所送達用に製剤化されている、請求項23
    に記載の方法。
  28. 【請求項28】 局所送達用製剤がエーロゾルによるものである、請求項2
    7に記載の方法。
  29. 【請求項29】 医薬組成物が全身送達用に製剤化されている、請求項23
    に記載の方法。
  30. 【請求項30】 全身送達用製剤が経口投与もしくは静脈投与によるもので
    ある、請求項29に記載の方法。
  31. 【請求項31】 式I、II、IIIの局所作用性カンナビノイドまたはこれら
    の任意の組合せを含み、該カンナビノイドが咳を軽減し、かつ臨床上重大な副作
    用を発生させない、医薬組成物。
  32. 【請求項32】 製薬上許容される添加剤をさらに含む、請求項31に記載
    の医薬組成物。
  33. 【請求項33】 式IV、Vのカンナビノイド不活性化インヒビターまたはこ
    れらの任意の組合せを含み、該カンナビノイド不活性化インヒビターが咳を軽減
    し、かつ臨床上重大な副作用を発生させない、医薬組成物。
  34. 【請求項34】 製薬上許容される添加剤をさらに含む、請求項33に記載
    の医薬組成物。
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