JP2003526000A - 燃料組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 硫黄含量が１０質量ｐｐｍ未満であり、かつ、芳香族含量が２５容量％未満である、ガソリンを含む燃料組成物であって、少なくとも５容量％のオレフィンを含み、かつ、実質的にエーテルを含まないことを特徴とする燃料組成物。そのようにして形成された燃料組成物は、排気が低減され、かつ、燃料経済が改善されている。そのような組成物からの排気は、更に、それらの中に少量のエタノールを導入することにより更に低減することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 本発明は、改良された摩擦特性を有し、従って、適切な潤滑性を有し、それに
より、改良された摩耗制御及び受け入れ可能な燃焼性能を有する、超低硫黄及び
低芳香族含量の燃料組成物に関する。 モーターガソリン等の燃料は、自動車輸送に幅広く用いられている。しかしな
がら、大気汚染低減という一般的傾向により、石油会社及び乗り物製造業社は、
低減排気及び改善燃料経済性を有するシステムの開発に注目している。石油会社
は、次々に、低硫黄含量燃料を導入しているが、排気触媒系との高適合性による
。ある硫黄含量低減方法は、燃料を水素処理(hydrotreatment)することである。
比較的低い硫黄含量の燃料の問題は、硫黄含量低減が、得られる燃料の潤滑性に
悪影響することである。例えば、低硫黄燃料は、数種の水中電気ガソリンポンプ
での早期摩耗を生じ得る。低硫黄留出燃料は、また、回転燃料ポンプ及び燃料噴
射システム等のディーゼル燃料システム部品における摩擦効果が不利であること
が知られている。更に、改良燃料潤滑性は、また、改良燃料経済性を生じ得る。
水素処理方法により、燃料のオレフィン含量が低減され、これは、水素化での硫
黄除去工程間におけるオレフィンの飽和化による。オレフィン損失は、ガソリン
性能に悪影響するが、オレフィンがオクタン性能への貢献に重要だからである。
この欠点は、現在まで、メチル-t-ブチルエーテル等のオクタン価改良剤の使用
により処理されてきた。しかしながら、近年、後者の使用は環境的理由から問題
とされ、好ましくない。従って、低硫黄含量で、自動車エンジンに使用した際の
摩耗及び摩擦を最小化するための所望の潤滑性を有する燃料組成物が必要である
。それでいて、燃料のオクタン価性能を保持することが望ましい。低硫黄とは別
に、燃料中における比較的高いレベルでの芳香族の存在は、それらが特には炭化
水素の望ましくない排気を生じさせるように性能に悪影響し、また、燃焼チャン
バー堆積をもたらし、それにより、排気についての望ましくない効果が再び悪化
する。従って、燃料の潤滑性能の改善及び十分なオクタン価レベルと同時に、ま
た、それらの芳香族含量を制御して、排気についての現在及び近い将来の規定を
満たすことが重要である。結果として、同時に、高オクタン価、良好な潤滑性及
び良好な排気性能を有するモーターガソリンを製造することは困難である。

【０００２】 超低硫黄燃料の潤滑性及びオクタン性能は、エーテルの使用によらないでその
オレフィン含量を上昇させることにより、その芳香族含量を制御して、回復可能
であることを見い出した。 従って、本発明は、硫黄含量が１０質量ｐｐｍ未満であり、かつ、芳香族含量
が２５容量％未満である、ガソリンを含む燃料組成物であって、少なくとも５容
量％のオレフィンを含み、かつ、実質的にエーテルを含まないことを特徴とする
燃料組成物である。 上述したように、燃料組成物の硫黄含量は、１０質量ｐｐｍ未満であり、好ま
しくは５質量ｐｐｍ未満である。そのような低硫黄レベルは、数種の方法により
達成することができる。ベース燃料は、飽和炭化水素、オレフィン系炭化水素及
び芳香族系炭化水素の混合物を含んでいてもよく、これらは、ストレートランス
トリーム、熱的又は接触分解炭化水素供給原料、水素分解石油フラクション、触
媒改質炭化水素、又は合成炭化水素混合物から誘導することができる。典型的に
は、本発明は、ライトボイリングガソリン(light boiling gasoline)（典型的に
は５０〜２００℃で沸騰する）、特にはモーターガソリン等の燃料に適用可能で
ある。そのような燃料の硫黄含量は、例えば、接触水素脱硫法等のよく知られた
方法により、１０ｐｐｍレベル未満に低減することができる。芳香族含量が２５
容量％未満、好ましくは２０容量％未満である、超低硫黄（＜１０ｐｐｍ）ベー
ス燃料の潤滑特性は、一般に乏しい。これらの燃料は、特に、それらの中に、全
燃料の少なくとも５容量％、適切には少なくとも１０容量％及び好ましくは１０
〜２５容量％、例えば１５容量％のオレフィンが存在することにより利益を受け
る。

【０００３】 この目的のために使用することができるオレフィンは、適切には、Ｃ_3-10モノ
オレフィンであり、及び好ましくはαオレフィンである。従って、オレフィンは
、ペンタ−１−エン、ヘキサ−１−エン、ヘプタ−１−エン、オクタ−１−エン
、ノナ−１−エン及びデカ−１−エンからなる群より選ばれる１種又は２種以上
であってもよい。 一般に、ベース燃料としてガソリンを含む燃料組成物は蒸発損失を受け易く、
揮発性炭化水素及び他の有機物の放出は、環境問題の原因となる。そのような揮
発損失は、分配システムにおいて、燃料補給(fuelling)の間、乗り物を運転して
いる間（走行損失）、及び乗り物を駐車している間（ダイアーナル損失）でさえ
生じ得る。そのような炭化水素及び有機物の環境中への放出は、オゾン生成に貢
献し、また、例えばベンゼン等の毒性成分の直接的原因となり得る。ガソリンの
揮発性は、通常、ガソリン組成物の蒸気圧により測定され、工業的規格は、いわ
ゆるセタバップ手段(ASTM D5191-96)によるＲＶＰ（リード蒸気圧）である。Ｒ
ＶＰ値が低くなればなるほど、そのような組成物からの放出が低くなるとされて
いる。

【０００４】 アメリカ合衆国等の数種の国々では、酸素含有有機化合物の形態で存在してい
てもよい酸素を燃料中に導入することが法律上求められる。エタノールは、その
ような化合物の１つである。しかしながら、ＳＡＥ発行物“自動車燃料”, Keit
h Owen及びTrevor Coley編集（１９９５年）の第１１章によれば、エタノールは
、実際、それを含有するガソリン組成物のＲＶＰを劇的に上昇させる。従って、
蒸発放出の上昇に加え、エタノールの存在により、また、運転性能及び駆動性能
問題が生じることが予期される。驚くべきことに、本発明の燃料組成物は、更に
、それらにエタノールを添加することにより利益を受け、また、例えば、走行損
失及びダイアーナル損失による放出が低減されることを見い出した。 この目的のために使用することができるエタノールの量は、全燃料組成物の０
．５容量％より高く、適切には１．０容量％より高く、及び好ましくは、１．５
〜１０．０容量％であり、より好ましくは５〜１０容量％である。この手段にお
いて、エタノール添加に関連するＲＶＰ欠点を低減することができる。 従って、更なる態様によれば、本発明は、硫黄含量が１０質量ｐｐｍ未満であ
り、かつ、芳香族含量が２５容量％未満である、ガソリンを含む燃料組成物であ
って、少なくとも５容量％のオレフィン及び０．５容量％より多くのエタノール
を含み、かつ、実質的にエーテルを含まないことを特徴とする燃料組成物である
。

【０００５】 本発明の特徴は、ガソリン組成物のＲＶＰに対するエタノールの報告されてい
る悪影響を低減するオレフィンの能力にある。このオレフィンの能力は、今まで
認識されていなかった。従って、エタノール添加に関連するＲＶＰ欠点は、本発
明のガソリン組成物を用いることにより、少なくとも０．６９ｋＰａ（0.1 psi
）低減することができる。この低減は、絶対項(absolute terms)においては些細
なものであると思われるかもしれないが、燃料の全体的蒸発損失の観点では、そ
れは、重要な低減である。世界中の現在の環境的立法措置では、燃料の硫黄含量
及び芳香族含量を進行的に低減し、また、組成物の効率的燃焼に適切な揮発性を
確実なものとするのと同時にＲＶＰを最小化する傾向にあるので、工業界への利
益があまりにも明白である。 本発明の燃料組成物は、種々の成分をベース燃料へブレンドすることにより製
造することができる。全てのオレフィン及び芳香族は、これらがベース燃料へ容
易に溶解及び混和するので、その燃料製造の間の精製工程でブレンドすることが
できる。エタノールのブレンドは、そのベース燃料における溶解性にもかかわら
ず、分配時点で行って、パイプラインを介して輸送されるそのようなエタノール
含有組成物を認めていない数種の国々においける要求と適合させる必要があるか
もしれない。 従って、本発明により、比較的良好な潤滑性及び高オクタン価性能を有し、低
乗り物排気を達成する燃料を提供する。

【０００６】 本発明を、更に、以下の実施例を参照して説明する。実施例において使用する
超低硫黄モーターガソリンを、精製ストリームのブレンドから製造した。このガ
ソリン中へ、商業的化学物質から製造したオレフィン系炭化水素混合物をブレン
ドして、ガソリン中にみられるものに似せた。得られたガソリン−オレフィンブ
レンドを、ＦＩＡにより分析して、その中のオレフィン及び芳香族のレベルを測
定し、これらのブレンドの性能を、標準自動車ガソリン条件下で後述するＨＦＲ
Ｒ技術を用いて評価した。比較のために、硫黄レベルが高いベース燃料も使用し
た。種々の分析及び性能結果を以下の表とした。 本発明の燃料組成物の耐摩耗性能及び潤滑性能を、いわゆる高周波往復リグ試
験（これ以降においては“ＨＦＲＲ”と称する）により測定した。ＨＦＲＲ試験
は、直径６ｍｍの負荷上方ボールからなり、それが静止下方プレートに振動する
。摩擦抵抗及び接触抵抗の双方について試験中モニターした。試験は、主として
、CEC F-06-A-96として公表されている標準手段により行い、その中においては
、２N（２００ｇ）の負荷をかけ、ストローク長さは１ｍｍとし、往復周波数は
５０Ｈｚとし、サンプル温度は２５℃とした。周囲温度及び湿度を、特定の範囲
内に制御し、摩耗傷直径の計算値を1.4 kPaの標準水蒸気圧に補正した。試験ボ
ールは、グレード28(ANSIB 3.12)、AISI E-52100スチール(ロックウェル硬度"C"
スケール(HRC)数58-66(ISO 6508))及び表面仕上げ0.05μmR_a未満であり、下方プ
レートは、アニールロッドに適合させたAISI E-52000スチールで、ビッカース硬
度"HV30"スケール数190-210(ISO 6507/1)を有していた。それを回転させ、往復(
lap)させ、ポリッシュして、表面仕上げ0.02μmR_aとした。

【０００７】表１：ＨＦＲＲ試験条件の概要

【０００８】表２：ＦＩＡ分析 *紫外線蛍光法(ASTM D5453-93)により測定

【０００９】表３：ＨＦＲＲ試験結果

【００１０】表４：オレフィン及び硫黄含量が上昇したモーターガソリンのＨＦＲＲ摩耗傷（ μｍ） 上記結果は、硫黄含量及び芳香族含量の低減が潤滑性に悪影響することを示す
。それらは、また、この悪化が、燃料のオレフィン含量を上昇させることにより
、逆戻りすることを示す。

【００１１】 ＲＶＰに関し、試験ベース燃料Ａを、以下の表５に示す組成に従って製造し、
ここで、値（％）は容量による。表５

【００１２】 ＲＶＰ試験結果を以下の表６に記載する：表６

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ペイス ステュアート イギリス オックスフォード オーエック ス１ ４ティーゼット ジョン タウル クローズ ヴァーシティー プレイス 19 (72)発明者 シロウィッツ アラン マーク アメリカ合衆国 ニュージャージー州 08904 ハイランド パーク ノース シ ックスス アベニュー 15 Ｆターム(参考） 4H013 CB02 CD02

Claims (10)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 硫黄含量が１０質量ｐｐｍ未満であり、かつ、芳香族含量が
   ２５容量％未満である、ガソリンを含む燃料組成物であって、少なくとも５容量
   ％のオレフィンを含み、かつ、実質的にエーテルを含まないことを特徴とする燃
   料組成物。
2. 【請求項２】 硫黄含量が５質量ｐｐｍ未満である請求項１に記載の燃料組
   成物。
3. 【請求項３】 芳香族含量が２０容量％未満である請求項１又は２に記載の
   燃料組成物。
4. 【請求項４】 燃料組成物の全容量をベースとして少なくとも１０容量％の
   オレフィンを含む請求項１〜３のいずれか１項に記載の燃料組成物。
5. 【請求項５】 燃料組成物の全容量をベースとして１０〜２５容量％のオレ
   フィンを含む請求項１〜４のいずれか１項に記載の燃料組成物。
6. 【請求項６】 燃料組成物中に存在するオレフィンが１種又は２種以上のＣ _3-10 オレフィンを含む請求項１〜５のいずれか１項に記載の燃料組成物。
7. 【請求項７】 燃料組成物中に存在するオレフィンが、ペンタ−１−エン、
   ヘキサ−１−エン、ヘプタ−１−エン、オクタ−１−エン、ノナ−１−エン及び
   デカ−１−エンからなる群より選ばれる１種又は２種以上である請求項１〜６の
   いずれか１項に記載の燃料組成物。
8. 【請求項８】 硫黄含量が１０質量ｐｐｍ未満であり、かつ、芳香族含量が
   ２５容量％未満である、ガソリンを含む低減ＲＶＰの燃料組成物であって、少な
   くとも５容量％のオレフィン及び０．５容量％より多くのエタノールを含み、か
   つ、実質的にエーテルを含まないことを特徴とする燃料組成物。
9. 【請求項９】 燃料組成物中に存在するエタノールの量が、燃料組成物の全
   質量をベースとして１．５〜１０．０質量％の範囲内にある請求項８に記載の燃
   料組成物。
10. 【請求項１０】 ＲＶＰ値が６２ｋＰａ（9 p.s.i.）未満である請求項８又
    は９に記載の燃料組成物。