JP2003525206A - 低用量IL−1βによる網膜異形成を伴わない光受容細胞の救済を誘発する方法 - Google Patents

低用量IL−1βによる網膜異形成を伴わない光受容細胞の救済を誘発する方法

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クラッセン,ヘンリー
ホワイトレイ,シモン,ジェイ.
ヤング,マイケル,ジェイ.
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ザ スキーペンズ アイ リサーチ インスティテュート インコーポレイテッド
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、<50μg/ml、好ましくは<10μg/mlの低用量のIL−1βが、網膜異形成や眼内炎症などのIL−1βによる破壊的な後遺症を最小限に抑えながら、光受容細胞などのニューロン細胞の救済を誘発しうるという発見に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (関連出願の相互参照) 本出願は、1999年5月6月に出願した米国仮出願60/132855から
優先権を主張する。これを参考としてここに記載する。
【0002】 (連邦政府委託研究または開発に関する陳述)
【0003】 (発明の分野) 本発明は、光受容細胞および疾患または損傷を受けやすいその他のニューロン
細胞を救済する方法に関する。
【0004】 (発明の背景) 研究者たちは、損傷または病理学的過程によるニューロン細胞死のために発現
する多くの神経学的障害の原因の研究に長年にわたり焦点を合わせてきた。研究
分野の一つは、網膜光受容細胞(PRC)であった。網膜光受容細胞は、極めて
特殊な細胞タイプであり、広範囲な微環境での損傷や様々な特異的な遺伝子異常
の影響を受けやすい(J.Stoneら、など)。げっ歯類およびヒトの両方において
、光受容細胞の変性に関連のある突然変異には、PRC外部セグメントに対して
特異的な遺伝子(Allikmetsら、Bird、Kohlら、など)または隣接する網膜色素
上皮細胞(PRE)およびブルッフ膜の支持的役割に対して重要な遺伝子(Mull
en、Chaitinら、Weberら、S.M. Stoneら、Cayouetteら、など)が関与している
ことが多い。特異的突然変異によるPRCアポトーシス(細胞死)のきっかけとな
る分子イベントは、現在のところ、完全には解明されていない(Adler、Travis
、Cideciら、Jomaryら、J. Stoneら、など)。
【0005】 PRC変性の原因は数多くあるものの、アポトーシス過程が効果的に改善また
は回避されるモデルはほとんど開発されていない。これらのモデルの中で注目に
値するものは、遺伝子治療が生殖細胞レベルで効果を示した形質転換マウス種で
ある(Chenら、Hafeziら、Tsangら、など)。しかしながら、形質転換法は、た
とえ効果的であっても、既存疾患を阻止する手段とはならない。
【0006】 もう一つの方法は、外因性栄養因子の使用を検討することであった。ラット実
験では、数多くのファミリーの代表(成長因子、サイトカインおよびニューロト
ロピン)を含む様々な組換え遺伝子製品によりPRC生存率が上昇しうることが
証明された(Faktorovichら、1990年および1992年;LaVailら)。これらの中で
最も効果的であったものは、酸性線維芽細胞成長因子(αFGF)、塩基性線維
芽細胞成長因子(bFGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、毛様体神経栄
養因子(CNTF)およびインターロイキン−1ベータ(IL−1β)である。
現在まで、局所的損傷による外因性および内因性誘導の両方によるbFGFとP
RCの救済の関連付けに対して、特に注目が寄せられてきた(Faktorovichら、1
990年および1992年;LaVailら;Rakoczyら、Hackettら、Wenら、Fontaineら、Ak
imotoら、など)。しかしながら、現在のところ、栄養因子の有用性は、破壊的
な副作用のため、限定されている。
【0007】 例えば、もう一つの損傷関連メディエーターであるインターロイキン−1ベー
タ(IL−1β)は、光損傷を受けた光受容細胞の救済に関連があることが明ら
かになっている。しかしながら、多量のIL−1βを投与したところ、このサイ
トカインの強力な炎症前駆作用に関連があると思われる、網膜細胞構築の広範な
破壊が生じた(LaVailら、IL−1β 0.5μg/μlを1.0μl大量硝子体内注
入)。従来技術により、IL−1βを硝子体内および眼内投与すると、マクロフ
ァージ単核/多形核白血球の増加を介して、血管血液網膜関門(BRB)の崩壊
を伴う網膜炎症反応が生じることが明らかになった。したがって、IL−1βは
、主にヒト網膜炎の病的発生における因子であるとみなされ(Bamforthら、1997
年および1997a年)、実験的網膜炎を誘発するのに用いられている。これらの従
来技術において得られたIL−1β投与による破壊的な後遺症に関する知見から
、治療効果が明らかに限定されていることを考慮し、ニューロン細胞救済の現象
におけるその役割を検討することは断念した。
【0008】 驚くべきことであるが、IL−1βを十分に低用量で使用した場合、その神経
保護的な役割は催炎作用にまさっているという1番目の証拠をここに提示する。
【0009】 (簡単な発明の要約) 本発明は、IL−1βを十分に低用量で使用した場合、光受容細胞の救済が誘
発され、以前に50〜1000倍の高用量で観察された破壊的な後遺症が最小限
に抑えられるという発見に関する。本発明では、その破壊的な後遺症を軽減また
は阻止するようにデザインされた、低用量ながら十分な細胞救済作用を示すIL
−1を用いる。詳細には、本発明は、異栄養性部位における神経組織の実質的な
異形成を引き起こすことなくニューロン細胞を救済させるのに効果的である、十
分に低用量のインターロイキン−1ベータ(IL−1β)から成る組成物を、少
なくとも1つの異栄養性神経細胞部位に局所投与して、異栄養性神経細胞部位の
ニューロン細胞を救済する方法に関する。
【0010】 (発明の詳細な説明) 本発明は、異栄養神経組織部位のニューロン細胞を救済するとともに、高用量
のIL−1βの有害な副作用を阻止または最小限におさえるのに効果的な低用量
のインターロイキン−1ベータ(IL−1β)を異栄養神経組織部位に局所投与
する方法に関する。詳細には、異栄養部位の神経組織の実質的な異形成または損
傷を引き起こさずに、ニューロン細胞を救済するのに効果的な低用量のIL−1
βから成る組成物を局所投与する方法に関する。異栄養神経組織部位は、異栄養
網膜、脊髄欠損または損傷、脳卒中による脳病変またはCNS内の病変部位また
は損傷部位などである。「異栄養」という用語は、損傷組織だけではなく、遺伝
的または病原的な病変組織を包括する。
【0011】 異栄養網膜の治療の場合、低用量(<約50μg/ml)のIL−1βを投与する
と、網膜ロゼットや網膜ひだなどの異形成および外顆粒層(ONL)におけるそ
の他の形成異常を実質的に引き起こすことなく、そうでなければアポトーシスに
至る運命の網膜光受容細胞を救済することができる。「救済」とは、残りの機能
的ニューロン細胞の保護、すなわち、これらの細胞におけるプログラムされた細
胞死(アポトーシス)の阻止または遅延を意味する。
【0012】 IL−1βの投与量は、好ましくは<約50μg/ml、より好ましくは<約20
μg/ml、好都合には<10μg/mlである。低用量IL−1βの濃度は、0.01
〜10μg/mlの範囲内としてもよい。これらの投与量は、ヒト組換えIL−1β
(R&D Systems, USA)の特異的作用を参考にしている。投与する特殊なIL−1
βの濃度特異的作用を調整することは、当業者の権限内である。
【0013】 低用量IL−1βの眼への局所投与時には、硝子体内注入を用いてもよい。例
として、約0.1〜10μl、好ましくは0.5〜2μlを大量投与する。脊髄治
療時には髄腔内注入、脳病変治療時には頭蓋内注入を用いてもよい。また、低用
量IL−1βの組成物は、直接的な注入または適用により、異栄養神経部位に局
所投与してもよい。代替方法として、神経組織部位またはその周辺領域への到達
時にのみ、≦50μg/mlのIL−1βが放出されるようにデザインされた経口製
剤または静注製剤などの標的を定めた薬物送達溶媒を用いることもできる。代替
方法として、本組成物の局所投与は、異栄養神経組織部位において長時間にわた
り≦50μg/mlのIL−1βを局所的に放出する徐放性の薬物送達溶媒を用いて
行うこともできる。
【0014】 IL−1βは、単離・精製された製品または組換え製品である。必ずというわ
けではないが、使用するIL−1βは治療対象と同一の動物種に由来しているこ
とが好ましい。しかしながら、本発明にしたがって哺乳類の治療を行う場合には
、どのような哺乳類のIL−1βを用いてもよい。
【0015】 一般的な神経保護剤としての低用量IL−1βの使用は、それが遺伝、変性性
、外傷後性、虚血性または毒性であるにかかわらず、中枢神経系内のニューロン
欠損に関連する症状に適用することができる。本発明の本方法による治療から利
益を得うる特異的疾患には、脳卒中、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎
縮性側索硬化症(ALS)、脳外傷、脳性麻痺、様々な小脳性運動失調症および
脊髄外傷がある。また、低用量IL−1βは、一般的な手術の補助療法、特にC
NS腫瘍治療の補助療法として、正常ニューロン細胞の神経保護を促進して、侵
襲的措置または細胞破壊的な方法の使用よりも優れた効果を発揮する。
【0016】 低用量IL−1βの治療の影響を受けやすい網膜異栄養症の例には、全てのタ
イプの色素性網膜炎、全ての錐体異栄養症、全ての既知または未知のRPEに基
づく異栄養症、黄斑などのその他の網膜変性が含まれる。緑内障、網膜剥離およ
びその他の視神経症では、網膜神経節細胞の消失も発現する。これらの疾患も、
低用量IL−1βの局所投与により改善しうる。網膜剥離の場合、IL−1βの
投与は、網膜再剥離前あるいは網膜再剥離と同時に網膜PRCを保護するための
補助療法となるものと考えられる。
【0017】 また、低用量IL−1βの局所投与は、a)破壊性炎症性の後遺症を減少させ
る補助的な治療法(細胞毒性Tリンパ球またはNK細胞活性を選択的に阻害する
方法など)、あるいは、b)神経保護作用を増強させる補助的な治療法(転写因
子NFkBの発現、NFkB遺伝子産物の機能または選択的な「ダウンストリー
ム」神経保護遺伝子を直接的または間接的に操作する方法など)と併用しても有
用である。
【0018】 また、本発明は、包装材料およびその包装材料に含まれる局所投与部位である
異栄養性神経組織部位のニューロン細胞を救済するのに効果を示すIL−1βを
構成する組成物から成る工業製品も包括している。この組成物は、<約50μg/
mlの低用量IL−1βから構成されることが好ましい。この包装材料は、この組
成物は、その局所投与部位である異栄養性神経組織部位に残存するニューロン細
胞を救済し、投与により生じた異栄養性神経組織部位の神経組織の異形成を最低
限に抑えるために用いうることを示すラベルから構成される。網膜異栄養症の治
療を目的とする場合、この包装材料には、この組成物は、実質的な網膜異栄養症
を引き起こさずに、光受容細胞を救済するために使用するものであると記載また
は通告してもよい。
【0019】 本発明は、以下の非限定的な実例を用いて詳細に説明する。本発明は、開示さ
れる実施例に限定されないが、請求項に記載される本発明の精神および範囲内に
属する全ての変形形態を包括する。
【0020】 実施例I 方法材料
【0021】 Royal College of Surgeon (RCS)ラット:3〜4週齢の異栄養有色ラッ
ト(rdyp+)、異栄養ピンク色眼ラット(rdyp)およびコンジェニックラ
ット(rdy+p)。NIHおよびARVO実験動物ガイドラインにしたがって、
動物を馴化させた。RCSラットは、アポトーシスおよび光受容細胞変性による
先天性網膜異栄養症のモデルである(Tsoら)。
【0022】 実験操作 硝子体内注入は、シグマコート(登録商標)でコーティングされた細い勾配付
きの平型のガラス製微量ピペットを用いて行った。このピペットをポリエチレン
製チューブを介して10μlハミルトンシリンジに接続し、この器具にPBSを
充填した。注入前に、ピペットにエアロックを取りつけ、濃度希釈を防止した。
【0023】 実験例1では、3種のRCSラット、すなわち、異栄養有色ラット、異栄養ア
ルビノラットまたは非異栄養コンジェニックラットを用いた。全てのラットは、
3週齢であった。
【0024】 各動物種のそれぞれ3匹に対して、3用量(0.5、2および5μg/ml)のい
ずれか1つの用量のIL−1βまたはPBSを左眼硝子体に1μl大量注入した
。合計36匹に対して投与を行った。IL−1βはマウス由来であった(R&D Sy
stems, USA)。注入4週間後、動物に過剰用量(2g/kg体重)のペントバルビタ
ールナトリウムを投与して安楽死させ、眼を摘出した。摘出眼は、4℃で1晩か
けて2%グルタルアルデヒド/1%パラホルムアルデヒド中で液浸固定した。次
に、前房部分(角膜、虹彩、水晶体など)を剥離し廃棄した。アイカップを凍結
保護のために30%ショ糖/PBS溶液に移し入れて1晩放置し、OCT(Tiss
ue-Tek(登録商標))に包埋し、低温切出しのために凍結させた。視神経が存在
する眼中央部から厚さ6μmの切片を切り出し、ヘマトキシリンおよびエオシン
(H&E)で染色した。次に、スライドを観察し、光受容細胞数を計数した。
【0025】 実験例2では、4週齢の異栄養有色RCSラットに対して、IL−1β(5μ
g/ml;n=5)またはbFGF(1000μg/ml;n=5)のいずれかを、硝子体
内注入(0.5〜5.0μl、好ましくは1.0〜2.0μlを大量注入)した。
IL−1βおよびbFGFは、ヒト組換え型であった(それぞれR&D Systems, U
SAおよびPromega)。注入4週間後、動物に過剰用量のペントバルビタールナト
リウムを投与して安楽死させ、眼を摘出した。摘出眼は、4℃で1晩かけて4%
パラホルムアルデヒド中で液浸固定した。アイカップを剥離し、凍結保護のため
に30%ショ糖/PBS溶液に移し入れて1晩放置し、OCT(Tissue-Tek(登
録商標))に包埋し、低温切出しのために凍結させた。眼中央部から厚さ6μm
の切片を切出し、H&E染色し、光受容細胞数を計数した。実験例2で得られた切片
について、赤血球を除く全ての造血細胞のマーカーであるCD45の免疫染色を
行った(1:50;Pharmingen, USA)。CD45染色は、Cy3免疫蛍光法を
用いて視覚化した(1:150;Jackson、USA)。
【0026】 IL−1β注入後の炎症反応の徴候を観察するために、さらに3週齢の異栄養
有色RCSラット3匹に対して、IL−1β(5μg/ml)を右眼硝子体内に注入
した。左眼は、時間をマッチングさせた対照とした。注入24、48および72
時間目に動物を安楽死させ、眼を摘出し、4℃で1晩かけて4%パラホルムアル
デヒド中で液浸固定した。摘出眼を半側切断し、その半分はヒストレジン(Leic
a Instruments GmbH, Germany)で処理し、もう半分は低温切出しのためにCD
45免疫組織化学法により処理した。さらに、別の動物に対して、IL−1β(
5μg/ml)またはbFGF(1000μg/ml)を注入し、4週間後に安楽死させ
、前記の方法で眼の処理を行った。
【0027】 計数に関するプロトコール 図1は、それぞれの網膜の光受容細胞数の計数に用いるサンプリング過程の立
体図である。光受容細胞プロファイルの数は、6つの網膜領域(上部周辺、上部
、上部中央、下部中央、下部および下部周辺)のそれぞれに対して、3つの50
μmビンを用いて計数した。各眼について、3つの切片の分析を行った。各領域
に対して合計9サンプル、各眼に対して合計54サンプルの分析を行った。最初
のサンプルは鼻側切片の上部領域、最後のサンプルは、側頭側切片の下部領域か
ら採取した。採取した全ての切片には、視神経が含まれており、比較的中央に位
置していた。
【0028】 分析 光受容細胞数に対する全てのIL−1β濃度および擬似注入の影響をANOV
Aを用いて比較した。この統計的検討は、bFGFに対するIL−1βの影響を
比較するのにも用いた。
【0029】 結果IL−1βによる用量依存的な光受容細胞の救済 図2A−Bは、様々な薬剤を投与した異栄養有色ラットにおける平均光受容細
胞数を示している。図2Aは、異栄養有色ラットから成る5つの投与群における
50μm当たりの平均光受容細胞数を示している。IL−1β 5μg/ml投与群で
は、他の全ての投与群に比べて、光受容細胞数が有意に多かった(*=p<0.0
5;Student-Newman-Keuls post-hoc検定)。IL−1β 2μg/ml投与群では、
無投与群に比べて、光受容細胞数が有意に多かった(+=p<0.05;Student
-Newman-Keuls post-hoc検定)。IL−1β 0.5μg/ml投与群では、媒質投
与群または無投与群に比べて、光受容細胞数が有意に多かった(‡=p<0.0
5;Student-Newman-Keuls post-hoc検定)。
【0030】 図2Bは、全ての投与群における網膜の各領域(上部領域から下部周辺領域)
に含まれる50μm当たりの平均光受容細胞数を示している。各領域についてANO
VA検定を行ったところ、網膜上部周辺領域(*=p=0.0009;df4、11;
F=10.748)および下部周辺領域(+=p=0.0029:df4、11;
F=7.962)では、IL−1βによる光受容細胞数の有意な増加が認められ
た。上部周辺領域については、5μg/ml投与群では、他の全ての投与群に比べて
、光受容細胞数が有意に多かった(*=p<0.05;Student-Newman-Keuls pos
t-hoc検定)。下部周辺領域については、5μg/ml投与群では、無投与群、媒質
投与群およびIL−1β 0.5μg/ml投与群に比べて、光受容細胞数が有意に
多かったのに対し、2μg/ml投与群では、無投与処置群に比べて光受容細胞数が
有意に多かった(*=p<0.05;Student-Newman-Keuls post-hoc検定)。
【0031】 要約すると、注入後4週間目に有色RCSラットの眼を観察したところ、IL
−1β注入眼では、生存光受容細胞数に統計学的有意差が認められた(p<0.
0001;F=9.488;df=4、91;図2A参照)。IL−1β高用量群
(5μg/ml)では、他の全ての投与群に比べて、光受容細胞数が有意に多かった
(有意水準5%でのStudent-Newman-Keuls post-hoc検定)。IL−1β中用量
群(2μg/ml)および低用量群(0.5μg/ml)では、無投与群に比べて、多く
の光受容細胞が救済された(Student-Newman-Keuls post-hoc検定)。また、I
L−1β低用量群でも、媒質投与群に比べて、光受容細胞数の増加が認められた
。媒質投与群では、有意な影響は認められなかった(Student-Newman-Keuls pos
t-hoc検定)。
【0032】 これらの影響は、網膜の各領域の細胞数を比較した場合にも、依然としてある
程度顕著であった(図2B)。IL−1β高用量群(5μg/ml)では、網膜上部
および下部周囲領域の両方において、光受容細胞数が有意に多かった。2つのI
L−1β低用量群(0.5または2μg/ml)でも、光受容細胞の増加傾向が見ら
れ、それぞれのケースにおける程度には高用量群で見られた程度との漸増的な関
連性が認められた。しかしながら、これらの投与群のいずれにおいても、特定の
領域における有意な影響は認められなかった。
【0033】 緩衝液のみを硝子体内注入した場合には何の影響も認められなかったことから
(有意ではなかったものの)、ピンク色眼ラットとの比較を目的として、媒質注
入眼のPRC数をベースライン値として用いた(結果については図3A−B参照
)。このアプローチを用いたところ、異栄養ピンク色眼RCSラットの眼におけ
るPRC数は依然として有意であった(p<0.0006;F=6.507;df=
3、68;図3A)。図3Aは、異栄養アルビノラットから成る4つの投与群に
おける50μm当たりの平均光受容細胞数を示している。IL−1β 5μg/ml投
与群では、媒質投与群またはIL−1β 0.5μg/ml投与群に比べて、光受容
細胞数が有意に多かった(*=p<0.05;Student-Newman-Keuls post-hoc検
定)。IL−1β 2μg/ml投与群では、媒質投与群に比べて、光受容細胞数が
有意に多かった(+=p<0.05;Student-Newman-Keuls post-hoc検定)。
【0034】 2つのIL−1β高用量群では、両群において、媒質投与群に比べて、光受容
細胞数が有意に多かった;IL−1β最高用量群では、最低用量群に比べて、救
済された光受容細胞数が有意に多かった(Student-Newman-Keuls post-hoc検定
)。これらの影響は、網膜の各領域における違いにも反映された(図3B)。図
3Bは、全ての投与群における、網膜の各領域(上部領域から下部周辺領域)に
含まれる50μm当たりの平均光受容細胞数を示している。各領域についてAN
OVA検定を行ったところ、網膜下部領域(+=p=0.0278;df=3、8
;F=5.196)および網膜下部周囲領域(*=p=0.0425;df=3、8
;F=4.363)には、IL−1βによる光受容細胞数の有意な増加が認めら
れた。網膜下部領域および下部周辺領域の両方について、5μg/ml投与群では、
媒質投与群に比べて、光受容細胞数が有意に多かった(*および+=p<0.05
;Student-Newman-Keuls post-hoc検定)。
【0035】 しかしながら、この場合にも、網膜領域間に傾向性が認められたものの、各領
域の分析において有意な影響が認められたのは周辺領域のみであった。詳細には
、下部領域(p=0.0278;F=5.196;df=3、8)および下部周辺
領域(p=0.0425;F=4.363;df=3、8)ではIL−1β投与の
影響が認められ、最高用量群では、媒質投与群に比べて、光受容細胞数が有意に
多かった(Student-Newman-Keuls post-hoc検定)。
【0036】IL−1βおよびbFGFに誘発される光受容細胞の救済の比較 図4A−C(H&E染色しヒストレジン包埋した異栄養有色RCSラットの網膜
切片)に示すように、IL−1βおよびbFGFは、両方とも、顕著なPRCの
救済と関連していた。図4Aは、媒質注入4週間目における媒質注入眼の例であ
る。実質的な光受容細胞の消失が認められ、外顆粒層(ONL)では厚さにして
細胞2〜3個の減少が認められる。図4Bは、最高用量(5μg/ml)のIL−1
β注入後4週目の例であり、ONLの良好な保存状態が認められる。図4Cは、
bFGF注入後4週間目のbFGF注入眼の例であり、IL−1β注入眼と同等
の救済レベルが認められる。
【0037】 このように、IL−1β最高用量群(5μg/ml)では、緩衝液注入対照に比べ
て、有意な光受容細胞数の増加が認められた(ANOVA;p<0.0001;
F=21.646;df=2、72)。さらに、6つの網膜領域全てにおいて、光
受容細胞数は多かった。また、2つの低用量群(2μg/mlおよび0.5μg/ml)
でも、PRC救済が誘発された。
【0038】 最大効果の観点から、bFGFと比較すると、IL−1βは明らかな利点(p
<0.0001;F=20.675;df=2、87;データ提示せず)を示した
ものの、結果はこれらの2つの分子に対して同等であった。ここではbFGFに
ヘパリンを添加しなかった点に注意することが重要である。したがって、今回得
られたbFGFデータは、LaVailらの先の報告とは一致していない。
【0039】 さらに、本試験では、低用量IL−1βの用量反応相関も検討した。図2およ
び3に示すように、本試験で得られたPRC救済レベルは、硝子体内投与量と正
の相関を示した。注意すべきことであるが、低用量IL−1βは、LaVailらが用
いたよりも100〜1000倍低い用量であったにもかかわらず、有意なPRC
救済レベルと関連があった。より重要なことであるが、本実験で用いた低用量の
IL−1βは、LaVailらが高用量のIL−1βまたはbFGFを使用した後に観
察された合併症である網膜異形成(ロゼット、網膜ひだおよびその他の網膜外顆
粒層の局所的な破壊)を引き起こすことはなかった。
【0040】IL−1β硝子体内投与による炎症反応の一時性 本試験では、最高用量(5μg/ml)のIL−1βを硝子体内投与した場合の炎
症反応の程度および継続期間を調べるために、投与後期間早期に動物の観察を行
った。
【0041】 投与後24時間目、網膜内および注入部位周辺(上部周辺領域)の硝子体には
、かなりの白血球浸潤が認められた。この浸潤は、数多くの小さなCD45陽性
(CD45+)細胞から構成されていた(図5A−B)。これとは対照的に、こ
の測定時点では、注入部位から離れた網膜に含まれていたCD45+細胞は比較
的少なかった(図5C−D)。(図5は、IL−1β注入後24時間目における
CD45染色(AおよびC)およびH&E染色(BおよびD)した異栄養有色RC
Sラットの網膜低温切片を示している。白血球浸潤は、注入領域および上部周辺
領域(AおよびB)で極めて顕著に認められるが、網膜中央領域(CおよびD)
ではそれほど顕著ではない)
【0042】 注入後48時間までに、網膜の白血球浸潤は顕著に増加した(図6A−D)。
(図6は、IL−1β注入後48時間目におけるCD45染色(AおよびC)お
よびH&E染色(BおよびD)したRCSラットの網膜低温切片を示している。白
血球浸潤は、網膜全体において高レベルに達した。網膜中央領域(CおよびD)
では、24時間目からの最大変化が認められ、白血球数のかなりの増加が認めら
れる)
【0043】 注入後72時間目には、CD45+細胞数は落ち着きはじめた。これは、中央
領域でも認められたが、網膜周辺領域において特に顕著であった(図7A−D)
。(図7は、IL−1β注入後72時間目におけるVD45染色(AおよびC)
およびH&E染色(BおよびD)したRCSラットの網膜低温切片を示している。
網膜周辺領域(AおよびB)および網膜中央領域(CおよびD)の両方では、白
血球数が減少しはじめた。しかしながら、依然として、かなり多くのCD45+
細胞が認められる(A&C))。
【0044】 注入後4週目には、IL−1β注入眼の硝子体または網膜に残存するCD45
+細胞は認められなかった(図8B)。この測定時点では、bFGF注入眼でも
CD45+細胞は認められなかった(図8C)。(図8A−Cは、CD45染色
した異栄養有色RCSラットの網膜低温切片を示している。図8Aは注入後4週
目の媒質注入眼、図8Bは注入後4週間目のIL−1β注入眼、図8Cは注入後
4週目のbFGF注入眼を示している。全てのケースにおいて、CD45は低レ
ベルであり、このことは、浸潤している白血球が極めて少ないことを示している
【0045】 ここに提示した結果から、外因性IL−1βおよびbFGFの両方は、ラット
において、実質的な光受容細胞の救済を誘発することがわかる。しかしながら、
これらの結果は、低用量IL−1βが、従来技術において高用量注入時に見られ
た随伴性網膜異形成を引き起こさずに、PRCを救済するということを初めて示
した結果である。「低用量」IL−1βとは、<約50μg/ml、好ましくは<2
0μg/ml、好都合には<10μg/mlの局所投与時の濃度を指す。これらの濃度は
、ヒト組換え型IL−1β(R&D Systems, USA)の特異的作用を参考にしている
【0046】 ここに記載した低用量IL−1βの投与は、bFGF投与時よりも100〜1
000倍も低い濃度で光受容細胞を救済する強力な誘発物質である(Faktorovic
hら、1990年)。
【0047】 神経栄養因子としてのbFGFの役割(Echenstein、など)は、炎症カスケー
ドにおけるIL−1βの役割(Dimarello)と同様に、十分に確立されている。
炎症前駆シグナルにより、新たなサイトカインおよび創傷修復にとって重要な栄
養因子の発現が誘発されるという機序は、解明されはじめたところである。この
流れにおいて、IL−1βは、CNSを含む様々な設定におけるbFGFの強力
な誘発物質である(Aravjoら、Riveraら)。IL−1βの存在により、グリア細
胞によるbFGF産生は促進される。これにより、ここで観察されるように、I
L−1βは低用量であっても神経保護作用を示すということの一つの可能性のあ
る説明が得られる。
【0048】 さらに、IL−1βまたはbFGFの硝子体内注入は、網膜における単核細胞
の発現率を増加させることが観察されている(Faktorovish、1990年;LaVailら
)。単核細胞、特に活性化マクロファージは、IL−βおよびbFGFの両方を
分泌する(Avronら、Bairdら)。また、これらの因子は、一度存在すれば、それ
自身の発現を誘発する能力があるという証拠もある(Mauvielら、Flott-Rahmeら
)。したがって、(a)どちらかの因子(IL−1βまたはbFGF)を網膜周
囲領域に局所投与すると、両方の因子の濃度の増加が誘発され、(b)in vivo
では、1つの因子の作用は、ある程度、もう1つの因子の存在を反映するものと
考えられる。
【0049】 興味深いことであるが、IL−1βおよびbFGFは、両方とも、様々な動物
種に存在するものの、損傷に関連したPRCの救済は、比較的軽度の微小環境で
の損傷に伴い、網膜内でbFGFの顕著な発現が起こる動物であるラットにおい
て、特に顕著である(Wenら、Caoら)。bFGFの役割に対するケースは広範囲
に及んでおり、IL−1βの偏在性、効力および栄養因子(bFGFを含む)を
アップレギュレートする能力から、IL−1βは低用量であったとしてもPRC
救済に顕著に寄与するものと示唆される。
【0050】IL−1βの細胞に対する影響 サイトカインのIL−1ファミリーは、FGFファミリーとかなりの配列相同
性を共有しており、両方のファミリーは共通する祖先遺伝子の複製により生じた
ものと提言されている(Zhangら)。IL−1βは、炎症カスケード早期におい
て主要な役割を果たす分泌型のIL−1ファミリーメンバーである(Dinarello
)。典型的な状況下では、過剰増殖による炎症はそれ自体が組織損傷の原因であ
るものの(Geigerら、Jeohnら、Anderssonら、Theofilopoulosら)、炎症反応は
、組織再生および修復の初期過程であるとみなすこともできる。この流れにおい
ては、IL−1βの神経毒性作用と神経保護作用が矛盾していると考えなくても
よい。
【0051】 現在まで、一連の研究では、IL−1βは神経病理学的過程に関連付けられて
きた(Jeohnら、Rothwellら、Toulmondら、Downenら、Downenら、Pearsonら)。
IL−1βは、様々な他の薬剤の破壊的な影響を増強する。特に、IL−1βと
酸化窒素(NO)の併用時には、培養ニューロンに対する細胞毒性が生じる(Ch
aoら、1996年;Huら)。数人の研究者らが、in vitro(Gahringら)およびin vi
vo(LaVail:Klusmanら;Wangら)におけるこのサイトカインのいくつかの神経
保護作用を報告しているものの、IL−1βの破壊的な影響を伴うことがわかっ
ている。これとは対照的に、今回得られた結果は、低用量のIL−1βは、投与
部位である神経組織の実質的な異形成を引き起こさずに、主要な神経保護作用を
発揮することを示す初めての結果である。
【0052】 IL−1βが神経保護作用を発揮する機序には、IL−1RI受容体(Ohtsuk
iら)、転写因子であるNFkB(Yuら)、含蓄的にではあるが「ダウンストリ
ーム」遺伝子の発現が関与しているものと考えられる。また、興味深いことであ
るが、NFkBは、活性化マクロファージによる数多くの炎症前駆サイトカイン
の発現にも関与しており(Kellyら)、そのいくつかは神経保護にも関与してい
た(Carlsonら、Klusmanら)。
【0053】 したがって、IL−1βが有する多くの機能の一つは、炎症反応それ自体を含
む様々な有害な刺激に直面した時に細胞生存を促進する役割を果たす細胞の反応
である、早期警告またはストレスシグナルの機能であると考えられる(Netaら、
Leeら、Galcheva-Gargovaら、Hanら)。おそらく機能不良のためにこの保護モー
ドに入らなかった細胞は、炎症反応の増強に伴い、細胞死増加のリスクにさらさ
れたであろうと考えられる。78中枢神経系(CNS)のニューロン(PRC細胞
により例示)は、置換の影響を受けにくいため、低用量IL−1βに反応し、顕
著な抗アポトーシス反応を示す。このサイトカインのその他の影響に関しては、
おそらく増幅カスケードの一環として複数の新しい遺伝子が誘発されることによ
り、保護反応が生じるものと考えられる。
【0054】光受容細胞の救済 低用量IL−1βによるPRC生存の促進は、遺伝的エラーにより、広範な光
受容細胞アポトーシスおよび重度の視力障害を引き起こす網膜異形成症に対して
特に興味深い(Bird;Stone Jら)。
【0055】 ここに教示した低用量IL−1β投与の有効性にとっては重大ではないものの
、観察されたPRC救済作用は既存の光受容細胞の生存延長を示していると考え
られる。参考文献
【図面の簡単な説明】
【図1】 それぞれの網膜の光受容細胞数の計数に用いるサンプリング過程
の立体図である。
【図2A−B】 様々な薬剤を投与した異栄養有色ラットにおける平均光受
容細胞数を示している。
【図3A−B】 様々な薬剤を投与した異栄養アルビノラットにおける平均
PRC数を示している。
【図4A−D】 H&E染色しヒストレジン包埋した異栄養有色RCSラット
の網膜切片を示している。
【図5】 IL−1β注入後24時間目におけるCD45染色(AおよびC
)およびH&E染色(BおよびD)した異栄養有色RCSラットの網膜低温切片を
示している。
【図6A−D】 IL−1β注入後48時間目におけるCD45染色(Aお
よびC)およびH&E染色(BおよびD)したRCSラットの網膜低温切片を示し
ている。
【図7A−D】 IL−1β注入後72時間目におけるCD45染色(Aお
よびC)およびH&E染色(BおよびD)したRCSラットの網膜低温切片を示し
ている。
【図8A−C】 媒質(A)、IL−1β(B)またはbFGF注入後にお
けるCD45染色した異栄養有色RCSラットの網膜低温切片を示している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ホワイトレイ,シモン,ジェイ. アメリカ合衆国 02174 マサチューセッ ツ州 アーリントン ティール ストリー ト 48 アパートメント 1 (72)発明者 ヤング,マイケル,ジェイ. アメリカ合衆国 01930 マサチューセッ ツ州 グロースター ザ ハイツ 1002 Fターム(参考) 4C084 AA02 BA44 DA13 MA58 NA14 ZA012 ZA332 4H045 AA30 BA10 CA40 DA03 EA20

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 異栄養性神経組織の実質的な異形成を引き起こすことなく、
    ニューロン細胞の救済に効果を示す低用量のインターロイキン1−β(IL−1
    β)から成る組成物を、少なくとも1つの異栄養性神経組織部位に局所投与する
    ことから成る、異栄養性神経組織部位におけるニューロン細胞の救済方法
  2. 【請求項2】 少なくとも1つの異栄養性神経組織部位が異栄養性網膜であ
    る、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記組成物が濃度≦約50μg/mlのIL−1βから成る、請
    求項1または請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記組成物が濃度≦約20μg/mlのIL−1βから成る、請
    求項1または請求項2記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記組成物が濃度≦約10μg/mlのIL−1βから成る、請
    求項1または請求項2記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記組成物が濃度約0.1〜10μg/mlのIL−1βから成
    る、請求項1または請求項2記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記組成物が濃度≦約50μg/mlのIL−1β溶液から成り
    、前記組成物を約0.1〜10μlの容積で硝子体内投与する、請求項2記載の
    方法。
  8. 【請求項8】 前記組成物が濃度≦約20μg/mlのIL−1β溶液から成
    り、前記組成物を約0.1〜10μlの容積で硝子体内投与する、請求項2記載
    の方法。
  9. 【請求項9】 前記組成物が濃度≦約10μg/mlのIL−1β溶液から成り
    、前記組成物を約0.1〜10μlの容積で硝子体内投与する、請求項2記載の
    方法。
  10. 【請求項10】 網膜異栄養症が、色素性網膜炎、錐状体異栄養症、網膜色
    素上皮(RPE)に基づく異栄養症、網膜変性、黄斑変性、網膜神経節細胞消失
    、緑内障、視神経症および網膜剥離から成るグループから選択されたメンバーの
    結果である、請求項2記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記組成物の局所投与において、神経組織部位または周辺
    領域への到達時のみに≦50μg/mlのIL−1βを局所的に放出する、標的が定
    められた薬物送達溶媒を用いる、請求項1または請求項2記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記組成物の局所投与において、異栄養性神経組織部位に
    おいて長時間にわたり≦50μg/mlのIL−1βを局所的に放出する、徐放性の
    薬物送達溶媒を用いる、請求項1または請求項2記載の方法。
  13. 【請求項13】 包装材料および前記包装材料に含まれる組成物から成り、
    前記組成物がその局所部位である異栄養性神経組織部位のニューロン細胞の救済
    に効果を示し、前記組成物が≦約50μg/mlの範囲における低用量のIL−1β
    から成り、前記包装材料が、前記組成物はその局所投与部位である異栄養性神経
    組織部位に残存するニューロン細胞を救済し、前記投与により生じる前記部位の
    神経組織の異形成を最小限に抑えるために用いうると記載したラベルから成る、
    工業製品。
  14. 【請求項14】 前記異栄養性神経組織部位が異栄養性網膜である、請求項
    12記載の工業製品。
  15. 【請求項15】 包装材料および前記包装材料に含まれる組成物から成り、
    前記組成物がその局所投与部位である少なくとも1つの網膜の実質的な異形成を
    引き起こすことなく、光受容細胞を救済するのに効果を示す低用量のIL−1β
    から成り、前記低用量のIL−1βが≦約50μg/mlであり、前記包装材料が、
    網膜へのIL−1β投与により生じる実質的な網膜異形成を最小限に抑えながら
    、異栄養性網膜内の少なくとも1個の光受容細胞を救済する方法において、異栄
    養性網膜を有する者に対して、前記組成物を投与するという指示から成る、工業
    製品。
  16. 【請求項16】 前記異栄養性網膜が、色素性網膜炎、錐状体異栄養症、網
    膜色素上皮(RPE)に基づく異栄養症、網膜変性、黄斑変性、網膜神経節細胞
    消失、緑内障、視神経症および網膜剥離から成るグループから選択されたメンバ
    ーの結果である、請求項14または請求項15記載の工業製品。
  17. 【請求項17】 前記異栄養性神経部位が疾病または損傷を有する脊髄であ
    る、請求項1記載の方法。
  18. 【請求項18】 前記異栄養性神経部位が疾病または損傷を有するCNS部
    位である、請求項1記載の方法。
  19. 【請求項19】 前記異栄養性神経部位が脳病変である、請求項1記載の方
    法。
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