JP2003519794A - 末梢性ベンゾジアゼピンレセプター結合因子の同定 - Google Patents

末梢性ベンゾジアゼピンレセプター結合因子の同定

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エリック アール. スジョバーグ,
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、ミトコンドリア機能を変化する因子を同定する方法に一部関連する。本発明は、ミトコンドリア膜電位を調節する因子のスクリーニング方法を提供する。このような因子は、一般的に、末梢性ベンゾジアゼピンレセプターに結合し、そして直接結合アッセイまたは間接もしくは機能的アッセイにより検出され得る。本明細書中に提供されるスクリーニングを使用して同定された因子は、異常なミトコンドリア機能に関連する種々の疾患の予防および処置における適用を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は、一般に、ミトコンドリア機能を変更する因子をスクリーニングする
ためのアッセイに関する。より詳細には、本発明は、末梢性ベンゾジアゼピンレ
セプター(peripheral benzodiazepine recep
tor)を構成的または誘導的に過剰発現する細胞株を含む、末梢性ベンゾジア
ゼピンレセプターを結合する因子を同定する際の使用のための組成物およびスク
リーニング方法に関する。
【0002】 (発明の背景) ミトコンドリアは、高等生物の細胞における主要なエネルギー供給源である細胞
小器官である。これらの細胞小器官は、広範な一連の細胞呼吸、酸化および代謝
プロセス(代謝エネルギー生成を含む)、好気性呼吸および細胞内カルシウム調
節の直接および間接的な生化学的調節を提供する。例えば、ミトコンドリアは、
電子伝達系(ETC)活性の部位であり、これは、酸化的リン酸化を駆動し、ア
デノシン三リン酸(ATP)の形態で代謝エネルギーを生成し、そして、これは
また、細胞内カルシウムホメオスタシスにおけるミトコンドリアの中心的な役割
の基礎をなす。これらのプロセスは、ミトコンドリア膜の電気化学的電位の維持
を必要とし、そして、このような膜電位における欠損は、種々の障害を生じ得る
【0003】 増殖する細胞におけるエネルギー生成におけるそれらの役割に加えて、ミトコ
ンドリア(または少なくともミトコンドリア成分)は、プログラム細胞死(PC
D)(アポトーシスとしてもまた公知である(Newmeyerら、Cell
79:353−364,1994;Liuら、Cell 86:147−157
,1996を参照のこと))に関与する。アポトーシスは、明らかに、神経系の
正常な発達および免疫系の動作のために必要とされる。いくつかの疾患状態は、
不十分なアポトーシス(例えば、癌および自己免疫疾患)または過度のレベルの
アポトーシス(例えば、発作および神経変性)に関連している。アポトーシスの
一般的な総説、およびそこでのミトコンドリアの役割については、Greenお
よびReed,Science 281:1309−1312,1998;Gr
een,Cell 94:695−698,1998およびKromer,Na
ture Medicine 3:614−620,1997を参照のこと。
【0004】 ミトコンドリアは、細胞小器官と細胞質ゾルとの間の界面として働くミトコン
ドリア外膜、複数の部位で外膜への接着を形成するようである高度に折り畳まれ
たミトコンドリア内膜、およびこの2つのミトコンドリア膜の間の膜間腔を含む
。ミトコンドリア内膜内部の亜区画は、ミトコンドリアマトリックスと一般にい
われる(概説については、例えば、Ernsterら、1981 J.Cell
Biol.91:227sを参照のこと)。外膜は、約10キロダルトン未満
の分子量を有するイオン性溶質および非イオン性溶質を自由に透過し得るが、ミ
トコンドリア内膜は、多くの低分子(特定の陽イオンを含む)に対する選択的か
つ調節された透過性を示し、そして高分子(約10kDaを超える)に対して不
透過性である。
【0005】 ETC活性を媒介する5つのマルチサブユニットタンパク質複合体のうちの4
つ(複合体I、III、IVおよびV)は、ミトコンドリア内膜に局在する。残
りのETC複合体(複合体II)は、マトリックスに位置する。ETC内部で生
じることが公知の少なくとも3つの異なる化学反応において、プロトンは、ミト
コンドリアマトリックスから、内膜を横切って膜間腔に移動する。この荷電種の
不均衡は、「プロトン駆動力」(PMF)といわれる約220mVの電気化学的
膜電位を引き起こす。このプロトン駆動力は、しばしばΔpという表記によって
表され、そして、等式 Δp=ΔΨm−ZΔpH に従って、内膜を横切った電位(ΔΨm)およびpH差(ΔpH)の合計に対応
し、ここで、Zは、−2.303RT/Fを表す。Zの値は、ΔpおよびΔΨm
がmVで発現され、そして、ΔpHがpH単位で発現される場合、25℃で−5
9である(例えば、Ernsterら、J.Cell Biol.91:227
s,1981およびそこに引用される参考文献を参照のこと)。
【0006】 ΔΨmは、ETC複合体VによってATPを生じるアデノシン2リン酸(AD
P)のリン酸化のためのエネルギーを提供し、これは、マトリックスへのプロト
ン輸送に化学量論的に共役したプロセスである。ΔΨmはまた、ミトコンドリア
への細胞質ゾルCa2+の流入についての駆動力である。正常な代謝条件下にお
いて、内膜は、膜間腔からマトリックスへのプロトン移動に対して不透過性であ
り、ETC複合体Vを第一の手段として残し、これによって、プロトンは、マト
リックスに戻り得る。しかし、ミトコンドリア内膜の統合性が損なわれると、変
更されたミトコンドリア機能に関連した特定の疾患を付随し得るミトコンドリア
透過性遷移(MPT)の間に生じるように、プロトンは、ATPの産生なしに複
合体Vの導管を迂回し得、それによって、呼吸を脱共役する(uncoupli
ng)。MPTの間に、ΔΨmが崩壊し、そしてミトコンドリア膜が低分子(例
えば、イオン性Ca2+、Na、K、およびH)ならびに高分子(例えば
、タンパク質)の両方を溶解する透過性を選択的に調節する能力を失う。
【0007】 「変更されたミトコンドリア機能」は、任意の症状または状態をいい得、ミト
コンドリア機能に直接または間接的に関係している任意の構造または活性が、コ
ントロールまたは標準と比較して統計学的に有意な様式で変更されている、変更
されたミトコンドリア機能に関連する疾患を伴う任意の症状または状態を含む。
変更されたミトコンドリア機能は、ミトコンドリア外の構造または事象、ミトコ
ンドリアの構造または事象、ミトコンドリア遺伝子とミトコンドリア外遺伝子お
よび/またはそれらの遺伝子産物との間での直接の相互作用、あるいはこのよう
な相互作用の結果として形成され得る中間体間での相互作用の結果として生じる
構造的または機能的な変化(代謝物質、異化代謝産物、基質、前駆体、補因子な
どを含む)にその起点を有し得る。
【0008】 さらに、変更されたミトコンドリア機能は、生物学的サンプルまたは生物学的
供給源の1つ以上の細胞における、変更された呼吸、代謝活性または他の生化学
的な活性または生物物理学的な活性を含み得る。限定的ではない例として、明ら
かに損傷したETC活性は、増大したROSの生成または欠損した酸化的リン酸
化であり得るので、この明らかに損傷したETC活性は、変更されたミトコンド
リア機能に関連し得る。さらなる例として、変更されたミトコンドリア膜電位、
アポトーシス経路の誘導、ならびに細胞中の異形性の化学的および生化学的に架
橋された種の形成(酵素的な機構によるかまたは非酵素的な機構によるかにはか
かわらず)が、全て、変更されたミトコンドリア機能の指標として認識され得る
。これらのおよび他の限定的ではない変更されたミトコンドリア機能の例が、本
発明によって意図される。
【0009】 理論に束縛されることは望まないが、変更されたミトコンドリア機能は、とり
わけ、細胞内カルシウムフラックスによって、フリーラジカルの酸化を含む機構
によって、ミトコンドリアを通過する膜のシャトルおよびトランスポーター(例
えば、アデニンヌクレオチドトランスポーターまたはリンゴ酸−アスパラギン酸
(malate−aspartate)シャトル)における欠損によって、AT
Pの生合成における欠損によって、ヘキソキナーゼおよび/または他の酵素のポ
ーリンとの会合の欠損によって、または他の事象によって、例えば、ミトコンド
リア膜の電気化学的な電位の損失を伴い得る、変更された細胞内カルシウム調節
に関連し得る。変更された細胞内カルシウム調節および/またはミトコンドリア
内膜の電位の崩壊は、ミトコンドリア遺伝子、遺伝子産物、または関連する下流
の媒介因子分子および/あるいはミトコンドリア外遺伝子、遺伝子産物、または
関連する下流の媒介因子の直接的または間接的な影響によって生じ得るか、ある
いは他の公知の原因または未知の原因によって生じ得る。従って、「変更された
ミトコンドリア機能の指標」は、症状、プロセス、経路、動的な構造、状態、ま
たは他のミトコンドリアに関連している活性に直接関連している、任意の検出可
能なパラメーターであり得る。そしてこれは、被験体または生物学的な供給源に
由来する生物学的サンプル中の変更されたミトコンドリア機能の検出を可能にす
る。非制限的な理論に従って、変更されたミトコンドリア機能はまた、アポトー
シスに関与するカルシウムまたはミトコンドリア分子成分(例えば、チトクロム
c)に対する変更されたミトコンドリア浸透性またはミトコンドリア呼吸におけ
る他の変更を含み得る。
【0010】 従って、ミトコンドリア膜の電気化学的電位の損失は、フリーラジカルの酸化
のような機構の結果であり得るか、またはミトコンドリアおよび/またはミトコ
ンドリア外の遺伝子産物の直接または間接的な効果に起因し得る。ミトコンドリ
ア電位の損失は、以下のような変性疾患を含む、変更されたミトコンドリア機能
に関連した疾患の進行において重要な事象であるようである:アルツハイマー病
;糖尿病;パーキンソン病;ハンチントン病;ジストニー;レーバー遺伝性視神
経障害;精神***病;ミトコンドリア脳障害、乳酸アシドーシスおよび発作(m
itochondrial encephalopathy,lactic a
cidosis,and stroke)(MELAS);癌;乾癬;過増殖性
障害;ミトコンドリア糖尿病および難聴(MIDD)およびミオクローヌス癲癇
、ぼろぼろの赤色線維症候群(myoclonic epilepsy rag
ged red fiber syndrome)。従って、変更されたミトコ
ンドリア機能に関連した疾患は、変更されたミトコンドリア機能の指標の1以上
のレベルが、このような疾患の存在または危険がないことが既知である臨床的に
正常な被験体において見出される対応する指標レベルと、統計的に有意な様式で
異なるこれらおよび他の疾患を含む。
【0011】 欠損したミトコンドリア活性は、細胞および組織を損傷する可能性を有する高
度に反応性のフリーラジカルの生成を代替的にかまたは付加的に生じ得る。これ
らのフリーラジカルは、スーパーオキシド、パーオキシナイトライトおよびヒド
ロキシルラジカルのような反応性酸素種(ROS)、および細胞に毒性であり得
る潜在的な他の反応性種を含み得る。例えば、酸素フリーラジカル誘導性の脂質
過酸化は、多数の変性疾患および虚血(すなわち、発作)において見出されるよ
うな中枢神経系(CNS)傷害における十分に確立された病理機構である。アポ
トーシスカスケードにおけるミトコンドリアの関与が同定され(例えば、ミトコ
ンドリアのチトクロムcの放出)、従って、特定の神経変性(すなわち、CNS
)疾患の病原性に寄与するニューロンの死における要因であり得る。
【0012】 末梢性ベンゾジアゼピンレセプター(PBzRまたはPBR)は、多数の細胞
型のミトコンドリア外膜上で検出された18kDaのタンパク質である。ミトコ
ンドリア内膜と外膜との間の接触部位へのPBzRの局在化、および電圧依存性
陰イオンチャネル(VDAC、ポーリン(porin)としても公知である)の
ような特定のミトコンドリア膜タンパク質とのその明らかな会合、およびアデニ
ンヌクレオチドトランスロケーター(ANT)に基づいて、PBzRは、膜を横
切るコレステロールの輸送、ROS損害に対する保護およびイオンチャネルの調
節を含む、種々のミトコンドリアプロセスに関与している(Carayonら、
1996 Blood 87:3170;Papadopoulosら、199
7 J.Biol.Chem.51:32129;Tsankovaら、199
5 Eur.J.Pharmacol.294:601)。
【0013】 PK11195(PBRのリガンドであるイソキノロン化合物)は、いくつか
の細胞型におけるいくつかの公知のアポトーシス誘発化合物のアポトーシス誘発
効果を強化するが、それ自身によって、アポトーシスを誘導しない(Hirsc
hら、1998 Exp.Cell Res.241:426;Pavagna
nら、1999 Oncogene 18:2537)。PK11195はまた
、Bcl−2プロトオンコジーン産物の抗アポトーシス性細胞保護効果と反作用
するようであり、アポトーシスを調節する際のPBzRの役割を示唆し、これは
、有意なミトコンドリア調節の制御下であることが公知である(例えば、Gre
enら、1998 Science 281:1309およびそこに援用される
参考文献を参照のこと)。しかし、天然または組換え誘導性のPBR発現の現在
の評価は、PBRが豊富に発現されていないことを示唆していることが一部原因
で、生物学的プロセスのミトコンドリアの調節へのPBRの寄与は、識別するの
が困難である。
【0014】 従って、多数のミトコンドリア機能が種々の疾患状態において変更されるが、
PBRを含む疾患プロセスの基礎となる特定のミトコンドリア分子機能の改善を
図ることの明白な必要性が残る。このような疾患のための改善された治療法を提
供するために、ミトコンドリア機能を変更する因子が、有益であり得、そして、
このような因子を特異的に検出するアッセイが必要である。本発明は、これらの
必要を満たし、そして、他の関連した利点をさらに提供する。
【0015】 (発明の要旨) 本発明は、ミトコンドリアの機能を変更する因子を同定する方法に一部関連す
る。ハイスループットスクリーニングを含むスクリーニングアッセイのための組
成物および方法が、提供され、これらは、PBR(これは、特定の実施形態にお
いて、神経細胞であり、そして特定の他の実施形態において、造血細胞であり、
これは、PBRまたはを過剰発現する透過性処理された細胞、そこから誘導され
たミトコンドリアを含む)を過剰発現する細胞を使用する。特定の実施形態にお
いて、本発明は、PBRとPBRリガンドの間の結合相互作用を変更(例えば、
統計学的に有意な様式で増加または減少させる)する因子のスクリーニングを含
む方法に関連する。特定の他の実施形態において、本発明は、候補因子の非存在
および存在下での、ミトコンドリア膜電位、アポトーシス、Bcl−2のBcl
−2リガンドへの結合、またはPBRリガンドのPBRへの結合を比較すること
によって、ミトコンドリア機能を変更する因子をスクリーニングする工程を包含
する方法に関連する。
【0016】 したがって、末梢性ベンゾジアゼピンレセプターに結合する因子についてのス
クリーニング方法を提供することが、本発明の1つの局面であり、この方法は、
以下の工程を包含する:(a)末梢性ベンゾジアゼピンレセプターを過剰発現す
る細胞由来のミトコンドリアを含むサンプルを、末梢性ベンゾジアゼピンレセプ
ターリガンドおよび候補因子と接触させる工程;および(b)末梢性ベンゾジア
ゼピンレセプターリガンドの末梢性ベンゾジアゼピンレセプターへの結合のレベ
ルを、候補因子のない場合の結合のレベルに対して検出し、それから末梢性ベン
ゾジアゼピンレセプターに結合する因子を同定する工程。1つの実施形態におい
て、このサンプルは、末梢性ベンゾジアゼピンレセプターを過剰発現するインタ
クトな細胞を含み、そして特定のさらなる実施形態において、この細胞は、透過
化処理(permeabilize)された細胞である。特定の他のさらなる実
施形態において、この細胞は、神経細胞である。別の実施形態において、末梢性
ベンゾジアゼピンレセプターは、ミトコンドリアの末梢性ベンゾジアゼピンレセ
プターである。別の実施形態において、末梢性ベンゾジアゼピンレセプターリガ
ンドは、検出可能に標識され、そして別の実施形態において、この候補因子は、
末梢性ベンゾジアゼピンレセプターリガンドのアゴニストである。別の実施形態
において、この候補因子は、末梢性ベンゾジアゼピンレセプターリガンドのアン
タゴニストである。特定の他の実施形態において、末梢性ベンゾジアゼピンレセ
プターリガンドは、PK−11195、4−クロロジアゼパム、DAA1106
またはDAA1097である。
【0017】 別の実施形態において、本発明は、ミトコンドリア機能を変更する因子につい
てのスクリーニング方法を提供し、この方法は、以下の工程を包含する:(a)
(i)末梢性ベンゾジアゼピンレセプターを過剰発現する細胞由来のミトコンド
リアを含むサンプル、および(ii)末梢性ベンゾジアゼピンレセプターリガン
ド、ならびに必要に応じて(iii)ミトコンドリア膜電位を変更する化合物を
、候補因子の存在下で、接触させる工程;(b)サンプル中の少なくとも1つの
ミトコンドリア機能を評価する工程;および(c)ミトコンドリア機能を候補因
子の非存在下で検出されたミトコンドリア機能と比較し、それからミトコンドリ
ア機能を変更する因子を同定する工程。特定のさらなる実施形態において、ミト
コンドリア機能は、ミトコンドリア膜電位を測定することにより評価され、そし
て特定の他の実施形態において、ミトコンドリア機能は、アポトーシスレベルを
検出することにより評価される。特定のさらなる実施形態において、ミトコンド
リアは、インタクトな細胞内存在し、特定の他のさらなる実施形態において、ミ
トコンドリアは、透過化処理された細胞内に存在する。特定のさらなる実施形態
において、ミトコンドリアは、末梢性ベンゾジアゼピンレセプターを過剰発現す
る細胞内に存在し、そして特定の他のさらなる実施形態において、候補因子は、
末梢性ベンゾジアゼピンレセプターリガンドのアゴニストである。特定のさらな
る実施形態において、候補因子は、末梢性ベンゾジアゼピンレセプターリガンド
のアンタゴニストであり、そして特定の他のさらなる実施形態において、末梢性
ベンゾジアゼピンレセプターリガンドは、PK−11195、4−クロロジアゼ
パム、DAA1106またはDAA1097である。特定の実施形態において、
細胞は、神経細胞である。
【0018】 別の実施形態を見ると、本発明は、ミトコンドリアの機能を変更する因子をス
クリーニングする方法を提供し、この方法は、以下の工程を包含する:(a)候
補因子の存在下で、(i)末梢性ベンゾジアゼピンレセプターを過剰発現する細
胞、(ii)化学治療剤、および(iii)末梢性ベンゾジアゼピンレセプター
リガンドを接触させる工程;(b)この細胞中のBcl−2リガンドに結合する
Bcl−2リガンドのレベルを検出する工程;および(c)この結合レベルを、
候補因子の非存在下で検出されたBcl−2リガンドに結合するBcl−2のレ
ベルを比較し、そして、それからミトコンドリア機能を変更する因子を同定する
工程。特定のさらなる実施形態において、この細胞は、Bcl−2を過剰発現し
、そして他のさらなる実施形態において、この細胞は、神経細胞である。特定の
実施形態において、この細胞は、透過化処理される。特定の実施形態において、
この候補因子は、末梢性ベンゾジアゼピンレセプターリガンドのアゴニストであ
り、そして特定の実施形態において、この候補因子は、末梢性ベンゾジアゼピン
レセプターリガンドのアンタゴニストである。特定の実施形態において、末梢性
ベンゾジアゼピンレセプターリガンドは、PK−11195、4−クロロジアゼ
パム、DAA1106またはDAA1097である。特定の実施形態において、
ミトコンドリアの機能は、ミトコンドリア膜電位を測定することにより評価され
、そして特定の他の実施形態において、ミトコンドリアの機能は、アポトーシス
のレベルを検出することにより評価される。特定の実施形態において、アポトー
シスのレベルを比較する工程は、細胞の生体色素染色、細胞の小疱形成(cel
l blebbing)、カスパーゼ活性、DNAの断片化、シトクロムc放出
または細胞へのアネキシン結合のアッセイの定量による。特定のさらなる実施形
態によると、末梢性ベンゾジアゼピンレセプターを過剰発現する細胞は、末梢性
ベンゾジアゼピンレセプターを発現するように誘導されることが可能である。
【0019】 別の局面において、アポトーシスを優先的に変更する末梢性ベンゾジアゼピン
レセプターリガンドを同定する方法が、本発明発明によって提供され、この方法
は、以下の工程を包含する:(a)(i)末梢性ベンゾジアゼピンレセプターリ
ガンド、(ii)末梢性ベンゾジアゼピンレセプターを過剰発現するように誘導
され得る細胞、および(iii)アポトゲン(apoptogen)を、この細
胞中でアポトーシスを誘導するのに十分な条件下および時間で、接触させる工程
;ならびに(b)(i)末梢性ベンゾジアゼピンレセプターを過剰発現するよう
に誘導された細胞におけるアポトーシスレベルを、(ii)末梢性ベンゾジアゼ
ピンレセプターを過剰発現するように誘導されていない細胞におけるアポトーシ
スレベルと比較する工程であって、ここで、誘導されていない細胞におけるアポ
トーシスのレベルに対する誘導された細胞のアポトーシスレベルの減少は、末梢
性ベンゾジアゼピンレセプターリガンドが優先的にアポトーシスを変更すること
を示す。
【0020】 別の実施形態において、本発明は、ミトコンドリア機能を優先的に変更する末
梢性ベンゾジアゼピンレセプターリガンドを同定する方法を提供し、この方法は
、以下の工程を包含する:(a)(i)末梢性ベンゾジアゼピンレセプターリガ
ンド、(ii)末梢性ベンゾジアゼピンレセプターを過剰発現するように誘導さ
れ得る細胞、および(iii)ミトコンドリア機能を変更する因子を、この細胞
中の少なくとも1つの変更されたミトコンドリア機能を誘導するのに十分な条件
下および時間で、接触させる工程;そして(b)(i)末梢性ベンゾジアゼピン
レセプターを過剰発現するように誘導された細胞中の少なくとも1つのミトコン
ドリア機能のレベルを、(ii)末梢性ベンゾジアゼピンレセプターを過剰発現
するように誘導されていない細胞中の、この少なくとも1つのミトコンドリア機
能のレベルと比較する工程であって、ここで、誘導されていない細胞におけるミ
トコンドリア機能のレベルに対して誘導された細胞におけるこのミトコンドリア
機能のレベルの減少は、末梢性ベンゾジアゼピンレセプターリガンドが優先的に
ミトコンドリア機能を変更することを示す。特定のさらなる実施形態において、
末梢性ベンゾジアゼピンレセプターを過剰発現するように誘導され得る細胞は、
神経細胞由来の細胞であり、そして末梢性ベンゾジアゼピンレセプターリガンド
は、神経保護的である。
【0021】 親細胞株(これに、改変された細胞株が由来する)よりも少なくとも約10倍
多くの末梢性ベンゾジアゼピンレセプタータンパク質を発現するように改変され
た細胞株(そしてこの細胞株は、Bcl−2を過剰発現する)を提供することは
、本発明のなお別の局面である。特定の実施形態において、この細胞株は、この
細胞株が由来する親細胞株よりも少なくとも約3倍多くのBcl−2タンパク質
を発現するように改変される。特定の他の実施形態において、この親細胞株は、
神経芽細胞腫細胞株である。特定の実施形態において、この細胞株は、S11と
称される。別の実施形態において、本発明は、親細胞株(これに、改変された細
胞株が由来する)よりも少なくとも約10倍多くの末梢性ベンゾジアゼピンレセ
プタータンパク質を発現するように誘導され得るように改変された細胞株を提供
し、そしてこれは、特定の実施形態において、この細胞株が由来する親細胞株よ
りも少なくとも約3倍多くのBcl−2タンパク質を発現するように改変される
。特定の他の実施形態において、親細胞株は、神経芽細胞腫細胞株であり、そし
て特定の実施形態において、本発明の細胞株は、誘導可能なPBzRを過剰発現
するSH−SY5Y由来細胞株またはIPBR−1と称される。
【0022】 本発明のこれらおよび他の局面は、以下の詳細な説明および添付の図面を参照
することにより明らかになる。本明細書中で開示される全ての参考文献は、各々
が個々に援用されたかのように、本明細書によりその全体が参考として援用され
る。
【0023】 (発明の詳細な説明) 上記のように、本発明は、ミトコンドリア機能を変化させる薬剤を同定する際
に使用されるアッセイを提供する。このようなアッセイは、ミトコンドリアの末
梢性ベンゾジアゼピンレセプター(PBR)に対するPBRリガンドの結合に対
する効果を検出するために設計されている。本発明は、PBRを過剰発現する細
胞(特に、神経細胞、造血細胞、および他の系統の細胞)を用いてこのようなア
ッセイを実施することにより提供される予期しない利点に一部関連する。例えば
、PBRの過剰発現は、迅速でかつ過剰な量の特定の薬剤を必要としない、特定
のスクリーニングアッセイにおける驚くべき感度を提供する。したがって、本発
明の特定の実施形態に基づき、PBRを過剰発現する細胞を含むサンプルを、P
BRリガンドおよび候補薬剤と接触させ、そしてPBR結合のレベルを検出する
ハイスループットのスクリーニングアッセイを含むアッセイが提供される。本発
明の特定の他の実施形態において、PBRの過剰発現は、変化したミトコンドリ
ア機能のためのアッセイの場合における利点もまた提供する。
【0024】 PBRを過剰発現する細胞を含む「生物学的サンプル」は、コントロール細胞
(例えば、改変されていない親細胞、ビヒクルのみをトランスフェクトされたコ
ントロール細胞、mockトランスフェクト細胞、など)と比較して統計的に有
意な様式で、改変されていない細胞で観察されるPBR発現レベルよりも高いレ
ベルでPBRを発現するよう遺伝的に改変されている細胞が存在する任意の組織
または細胞調製物を含み得る。好ましくは、PBRを過剰発現する細胞は、その
由来となった改変されていない細胞よりも、少なくとも約2倍多くのPBRタン
パク質を、より好ましくは少なくとも約5倍多くのPBRタンパク質を、そして
最も好ましくはその由来となった改変されていない細胞よりも少なくとも約10
倍多くのPBRタンパク質を含む。過剰発現は、任意の標準的な組み換え技術を
用い、公開されているPBR配列(例えば、Carayonら、1996 Bl
ood 87:3170を参照のこと)を用いて達成され得る。非限定的な学説
に基づくと、PBRの過剰発現は、PBRと結合し得、そして/または本明細書
中で提供されるような1つ以上のミトコンドリア機能に対する機能的な影響を発
揮し得る候補薬剤のスクリーニングについてのより高感度のアッセイの読み出し
を提供する。
【0025】 したがって、例えば、生物学的サンプルは、正常(すなわち、健常)な個体も
しくは変化したミトコンドリア機能に関連する疾患を有する個体由来の、PBR
を過剰発現するよう遺伝的に改変された細胞か、またはこのような細胞由来のミ
トコンドリアであり得る。生物学的サンプルはまた、PBRを過剰発現するよう
遺伝的に改変された細胞であり、ここで、このような細胞が、血液サンプル、生
検試料、組織外植片、器官培養物、または被験体もしくは生物学的供給源由来の
他の任意の組織もしくは細胞調製物を獲得することによって得られるような細胞
、あるいはこのような細胞由来のミトコンドリアであり得る。被験体または生物
学的供給源は、ヒトまたは非ヒト動物、原核生物または真核生物、植物、単細胞
生物、または多細胞生物のような生物学的生物体であり得る。この被験体または
生物学的供給源はまた、初代細胞培養物かまたは以下を含むがこれらに限定され
ない培養に適合された細胞株であり得る:染色体に組み込まれた核酸配列かまた
はエピソーム性の組換え核酸配列(PBRの過剰発現の要因となる核酸配列を含
むがこれに限定されない)を含み得る遺伝的に操作された細胞株、不死化された
かまたは不死化可能な細胞株、体細胞ハイブリッドまたは細胞質ハイブリッド「
細胞質雑種(cybrid)」細胞株(例えば、米国特許第5,888,498
号)、分化したかまたは分化可能な細胞株、形質転換された細胞株など。
【0026】 特定の実施形態において、例えば、生物学的サンプルは、目的の生物学的レセ
プターをコードおよび発現する遺伝子でトランスフェクトされ得る。そして、こ
のレセプターは、公知のリガンド(例えば、サイトカイン、ホルモン、または増
殖因子)を有するレセプターであり得るか、または公知ではないリガンドに対す
る「孤児の(orphaned)」レセプターであり得る。このような実施形態
についてさらにいうと、1つ以上の公知のリガンドまたは目的のレセプターと相
互作用し得ると考えられる他の化合物(例えば、サイトカイン、ホルモン、増殖
因子、抗体、神経伝達物質、レセプターアクチベーター、レセプターインヒビタ
ー、イオンチャネルモジュレーター、イオンポンプモジュレーター、刺激薬、薬
物毒素、または生物学的に関連する活性を有することが公知であるかもしくは有
すると考えられる任意の他の化合物)は、必要に応じて本発明の方法に従ってサ
ンプルと接触させられ得る。
【0027】 本発明によって企図される特定の実施形態によると、細胞は、透過化された細
胞であり得る。このような細胞として、細胞膜の選択的透過性の欠如を引き起こ
すような方法で処理された細胞が挙げられる。例えば、カルシウムイオノフォア
の使用の代替として、細胞外環境のカルシウムカチオンが細胞内へ拡散するのを
可能にするような方法で細胞を透過化することが望ましくあり得る。さらに別の
実施形態において、本発明の方法に従って試験される特定の候補薬剤は、細胞膜
を通過し得ず、その結果、透過化された細胞は、このような薬剤の潜在的な効果
のための適切な試験細胞を提供する。当業者は、細胞を透過化する方法(例えば
、例示目的であって限定を意図せずにいうと、界面活性剤(surfactan
t)、界面活性剤(detergent)、リン脂質、リン脂質結合タンパク質
、酵素、ウイルス膜融合タンパク質などの使用を通じた方法;浸透圧活性剤の使
用を通じた方法;化学的な架橋剤を使用することによる方法;エレクトロポレー
ションなどを含む物理化学的な方法による方法、または他の透過化方法による方
法)を熟知している。
【0028】 したがって、例えば、細胞は、任意の種々の公知の技術(例えば、細胞の溶解
および膜の可溶化に用いられる濃度以下(すなわち、臨界ミセル濃度以下)の濃
度での、1つ以上の界面活性剤(例えば、ジギトニン、Triton X−10
TM、NP−40TM、オクチルグルコシドなど)への曝露)を用いて透過化
され得る。特定の一般的なトランスフェクト用薬剤(例えば、DOTAP)もま
た用いられ得る。ATPもまた、インタクトな細胞を透過化するために用いられ
得、定着液として一般的に用いられる低濃度の化学物質(例えば、ホルムアルデ
ヒド)もまた用いられ得る。したがって、本発明の特定の実施形態において、イ
ンタクトな細胞を用いることが好ましく、そして特定の他の実施形態において、
透過化された細胞の使用が好ましくあり得る。
【0029】 用語「スクリーニング」は、PBRへのPBRリガンドの結合またはBcl−
2へのBcl−2リガンドの結合を変化させる(例えば、適切なコントロールと
比較して統計的に有意な様式で、増加または減少させる)か、もしくは(例えば
、ネガティブまたはポジティブな様式で)ミトコンドリア機能を変化させる薬剤
を同定するための本発明の使用をいう。簡単にいうと、細胞またはミトコンドリ
アPBRを含むその一部が、候補薬剤で処理される。次いで、PBRリガンドの
結合に対する効果がモニターされ、そして薬剤の送達に用いるビヒクルのみで処
理されたコントロールサンプルと比較される。検出は、直接的(例えば、競合結
合アッセイを用いる検出)であり得るか、または間接的(例えば、ミトコンドリ
ア機能またはBcl−2リガンドへのBcl−2の結合を検出するアッセイに基
く検出)であり得る。
【0030】 (直接的結合アッセイ) 本明細書中で提供される特定のアッセイは、PBRへのPBRリガンドの結合
に対する候補薬剤の効果を直接的にモニターするために設計される。このような
アッセイは、一般に競合結合アッセイであり得、このアッセイにおいて、PBR
リガンドへのPBRの検出可能な結合を可能にするのに十分な条件および時間の
下、PBRおよびPBRリガンドが接触される。このアッセイは、候補薬剤の存
在下および非存在下で実施され、そしてPBRへのPBRリガンドの結合に対す
る候補薬剤の効果が評価される。PBRに結合する薬剤は、PBRリガンドのP
BRへの結合において検出可能な減少または増加を引き起こし得る。
【0031】 本明細書中で提供されるアッセイにおける使用のためのPBRは、精製されて
いるか、またはサンプル中に存在し得る。好ましくは、PBRは、ミトコンドリ
ア内に、より好ましくはミトコンドリア含有細胞またはそのフラクション(例え
ば、膜含有フラクション)内に存在し、そしてPBRリガンドとの接触は、リガ
ンドの存在下で細胞をインキュベートすることにより達成される。好ましい細胞
として、PBRを過剰発現するよう改変された神経細胞の初代培養物および神経
細胞株(例えば、神経芽細胞腫細胞株SH−Sy5Y(ATCC、Manass
as、VA))を含む神経細胞が挙げられるがこれらに限定されない。他の好ま
しい細胞として、PBRを過剰発現する造血細胞、特に培養に適合された造血細
胞株(ただし、ジャーカットヒトTリンパ芽球腫細胞株を除く)が挙げられる(
Carayonら、1996 Blood 87:3170)。周知の多数の他
の細胞、細胞型、および細胞株は、本発明にしたがって用いられ得、そして本明
細書中で提供されるようなPBRを過剰発現するような細胞が特に好ましい。適
切な細胞はまた、例えば、細胞質雑種(例えば、共通の核成分を含むが、異なる
個体由来のミトコンドリアを有する細胞質ハイブリッド細胞)であり得る。細胞
質雑種を調製および使用するための方法は、米国特許第5,888,438号、
公開されたPCT出願WO 95/26973およびWO 98/17826、
KingおよびAttardi(Science 246:500−503、1
989)、Chomynら(Mol.Cell.Biol.11:2236−2
244,1991)、Millerら(J.Neurochem.67:189
7−1907、1996)、Swerdlowら(Annals of Neu
rology 40:663−671、1996),Cassarinoら(B
iochim.Biophys.Acta 1362:77−86、1997)
、Swerdlowら(Neurology 49:918−925、1997
)、Sheehanら(J.Neurochem.68:1221−1233、
1997)およびSheehanら(J.Neurosci.17:4612−
4622、1997)に記載される。
【0032】 任意のPBRリガンドが、このようなアッセイにおいて用いられ得る。PBR
リガンドは、任意の標準的な結合アッセイを用いてPBRに検出可能かつ特異的
に結合する化合物である。PBRリガンドがPBRに特異的に結合するか否かは
、リガンドの特異的な結合を決定することによって決定され得る。この結合は、
非標識リガンドの非存在下でPBRと結合する検出可能に標識されたリガンドの
量から100倍モル過剰な非標識リガンドの存在下でPBRとの結合を維持する
検出可能に標識されたリガンドの量を引いた量で定義され、そしてPBRへの特
異的な結合が、このリガンドの無関係なレセプターへの結合として決定される特
異的な結合の値よりも統計的に有意な様式で大きい。好ましくは、PBRリガン
ドは容易に検出可能であるか、または、例えば、1つ以上の公知の標識部分を有
する共有結合性の修飾によって容易に検出可能に標識され得る。公知のPBRリ
ガンドとして、例えば、4’クロロジアゼパム(Ro5−4864)および1−
(2−クロロフェニル)−N−メチル−N−(1−メチルプロピル)−3−イソ
キノリンカルボキサミド(PK−11195)が挙げられるような種々の化合物
が存在する。他のPBRリガンドとしては、N−(2,5−ジメトキシ−ベンジ
ル)−N−(5−フルオロ−2−フェノキシフェニル)アセトアミド(DAA1
106:Funakoshiら、1999 Res.Commun.Mol.P
athol.Pharmacol.105:35−41;Chakiら、199
9 Eur.Parmacol.371:197−204)およびN−(4−ク
ロロ−2−フェノキシフェニル)−N−(2−イソプロポキシベンジル)アセト
アミド(DAA1097:Okuyamaら、1999 Life Sci.6
4:1455−64)が挙げられる。
【0033】 好ましくは、PBRリガンドは標識されて、結合の検出を容易にされる。任意
の適切な標識が用いられ得、これらとしては、放射活性基、色素、発光基、蛍光
基、ビオチンまたは酵素もしくは基質が挙げられる。リガンドへの標識の付加は
、任意の標準的な技術によって達成され得、そしてこのような技術は、当業者に
明らかである。PBRリガンドとのPBRの接触は、候補薬剤の非存在下(例え
ば、当業者に公知であり、そして本明細書中で提供される潜在的なインヒビター
の非存在下)で検出可能な結合を可能にする任意の条件下で実施され得る。
【0034】 候補薬剤の効果を評価するために、接触は、候補薬剤の存在下で実施され得、
そして生じるPBRリガンドへのPBRの結合は、候補薬剤の非存在下での結合
レベルと比較される。候補薬剤は、本質的にペプチド、ポリヌクレオチド、また
は非ペプチド低分子のような任意の化合物であり得る。結合の検出は、任意の適
切な技術によって行なわれ得る。PBRリガンドが標識されるような実施形態に
おいて、結合は、PBRと結合した標識の量を検出することによってアッセイさ
れ得る。候補薬剤の存在下で検出されるシグナルは、候補薬剤の非存在下で獲得
される参照シグナルと比較される。検出される標識の量において統計的に有意な
変化を引き起こす薬剤は、リガンドと結合しているPBRを変化させる、つまり
、ミトコンドリア膜の浸透性を変化させる。
【0035】 (ミトコンドリア機能を検出するアッセイ) 本明細書中に提供されるほかのアッセイは、ミトコンドリア機能に影響を及ぼ
す公知のPBRリガンドの能力に対する候補薬剤の効果を評価することによって
、本明細書中に提供される少なくとも1つのミトコンドリア機能を変化させる薬
剤を同定する。このようなアッセイにおいて、ミトコンドリアは、PBRリガン
ドおよび少なくとも1つのミトコンドリア機能に影響を及ぼす化合物(例えば、
ミトコンドリア膜の電位を変化させる化合物)と接触させられる。あるいは、例
えば、化学療法剤、アポトーゲン(apoptogen)、イオノフォア、カル
シウムカチオン、ATP生成物からの酸化的リン酸化の脱共役剤、またはミトコ
ンドリアの状態に直接的かまたは間接的に変化をもたらす任意の他の薬剤が、ミ
トコンドリア膜の電位を変化させる化合物に代えて用いられ得る。候補薬剤の非
存在下において、PBRリガンドは、ミトコンドリア膜の電位を破壊し、アポト
ーシスを誘導する。候補薬剤の効果は、当該分野で公知であり、そして本明細書
中に提供される適切な方法にしたがい(例えば、膜の電位を決定することによる
か、またはアポトーシスを測定することにより)、少なくとも1つのミトコンド
リア機能に対する効果を決定することによって、容易にアッセイされ得る。した
がって、ミトコンドリア機能を変化させる(例えば、増加させるかまたは減少さ
せる)任意のこのような効果は、周知の技術を用いて容易にアッセイされ得る。
【0036】 このようなアッセイにおいて使用するためのミトコンドリアは、単離され得る
か、またはPBR過剰発現細胞中に存在し得、この細胞は、上記のような細胞質
雑種であり得るが、その必要はない。化学療法剤を用いるアッセイのために、好
ましい細胞は、Bcl−2も過剰発現する。本明細書中に記載されるような任意
のPBRリガンドは、このようなアッセイにおいて使用され得る。
【0037】 特定の条件下において、変化したミトコンドリアの細胞内カルシウム調節(例
えば、カルシウムに対する変化したミトコンドリア膜浸透性)の特徴を持ち得る
ミトコンドリアの状態は、プログラムされた細胞死かまたは「アポトーシス」を
誘導する「アポトーゲン」と呼ばれる組成物に生物学的サンプルを曝露すること
により、誘導され得る。種々のアポトーゲンは当業者に公知であり(例えば、G
reenら、1998 Science 281:1309およびこの文献で列
挙される参考文献を参照のこと)、そして例示であり限定目的ではなく、以下を
含み得る:腫瘍壊死因子α(TNF−α);Fasリガンド;グルタメート;N
−メチル−D−アスパルテート(NMDA);インターロイキン−3(IL−3
);ハービマイシンA(Manciniら、1997 J.Cell.Biol
.138:449−469);パラコート(Costantiniら、1995
Toxicology 99:1−2);エチレングリコール;プロテインキ
ナーゼインヒビター(例えば、スタウロスポリン、カルホスチンC、カフェイン
酸フェネチルエステル、塩化ケレリスリン、ゲニステイン);1−(5−イソキ
ノリンスルホニル)−2−メチルピペラジン;N−[((p−ブロモシンナミル
)アミノ)エチル]−5−5−イソキノリンスルホンアミド;KN−93;ケル
シチン(quercitin);d−エリスロ−スフィンゴシン誘導体(例えば
、セラミド(例えば、C−セラミド));UV照射;イオノフォア(例えば、
イオノマイシンおよびバリノマイシン);MAPキナーゼインデューサー(例え
ば、アニソマイシン、アナンダミン);細胞周期ブロッカー(例えば、アフィジ
コリン、コルセミド、5−フルオロウラシル、ホモハリングトニン);アセチル
コリンエステラーゼインヒビター(例えば、ベルベリン);抗エストロゲン(例
えば、タモキシフェン);酸化促進剤(例えば、tert−ブチルペルオキシド
、過酸化水素);遊離ラジカル(例えば、酸化硝酸);無機金属イオン(例えば
、カルシウム);DNA合成インヒビター(例えば、アクチノマイシンDを含み
、そしてまた、DNAトポイソメラーゼインヒビター、例えば、エトポシドを含
む);DNAインターカレーター(例えば、ドキソルビシン、硫酸ブレオマイシ
ン、ヒドロキシ尿素、メトトレキセート、ミトマイシンC、カンプトテシン、ダ
ウノルビシン);タンパク質合成インヒビター(例えば、シクロヘキシミド、プ
ロマイシン、ラパマイシン);微小管の形成または安定性に影響を及ぼす薬剤(
例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、コルチシン、4−ヒドロキシフェニ
ルレチンアミド、パクリタキセル;Badタンパク質、Bidタンパク質および
Baxタンパク質(例えば、Jurgenmeierら、1998 Proc.
Natl.Acad.Sci.USA 95:4997−5002およびこの文
献で列挙されている参考文献を参照のこと);カルシウムおよび無機リン酸(K
roemerら、1998 Ann.Rev.Physiol.60:619)
【0038】 アッセイ成分の接触の後に、ミトコンドリア機能が評価される。好ましくは、
ミトコンドリア機能は、ミトコンドリア膜電位またはアポトーシスをアッセイす
ることによって評価される。ミトコンドリア膜電位は当業者に馴染みの方法にし
たがって決定され得る。このような方法として、指標化合物(例えば、蛍光指標
、光的学なプローブおよび/または感度の高いpHならびにイオン感受性電極)
の検出および/または測定が挙げられるがこれらに限定されない(例えば、Er
nsterら、1981 J.Cell Biol.91:227および列挙さ
れる参考文献を参照のこと;また、Haugland、1996 Handbo
ok of Fluorescent Probes and Researc
h Chemicals−第6版、Molecular Probes、Eug
ene、OR、266−274頁および589−594頁を参照のこと)。多く
のこのような指標は当該分野で公知であり、そして適切な指標として、蛍光プロ
ーブ2−,4−ジメチルアミノスチリル−N−メチルピリジニウム(DASPM
I)、テトラメチルローダミンエステル(例えば、テトラメチルローダミンメチ
ルエステル、TMRM;テトラメチルローダミンエチルエステル、TMRE)な
らびに関連の化合物(例えば、Haugland、1996、前出)が挙げられ
る。このようなプローブは、ミトコンドリア内での蓄積、ミトコンドリア膜電位
に依存し、かつ比例するプロセスの後に定量化され得る(例えば、Murphy
ら、1998 Mitochondria & Free Radicals
in Neurodegenerative Diseases、Beal、H
owellおよびBodis−Wollner編、Wiley−Liss、Ne
w York、159−186頁、およびこの文献で列挙されている参考文献;
ならびにMolecular Probes On−line Handboo
k of Fluorescent Probes and Research
Chemicals、http://www.probes.com/han
dbook/toc.htmlを参照のこと)。他の用いられ得る蛍光指標化合
物としては、ローダミン123、ローダミンBヘキシルエステル、DiOC
3)、JC−1[5,5’,6,6’−テトラクロロ−1,1’3,3’―テト
ラエチルベンジミダゾールカルボシアニンヨード](Cossarizzaら、
1993 Biochem.Biophys.Res.Comm.197:40
;Reersら、1995 Meth.Enzymol.260:406を参照
のこと)、rhod−2(米国特許第5,049,673号を参照のこと;前述
の全ての化合物はMolecular Probes、Eugene、Oreg
onから入手可能である)およびローダミン800(Lambda Physi
k、GmbH、Gottingen、Germany;Sakanoueら、1
997 J.Biochem.121:29を参照のこと)が挙げられるがこれ
らに限定されない。
【0039】 ミトコンドリア膜電位はまた、非蛍光的な手段、例えば、TTP(テトラフェ
ニルホスホニウムイオン)およびTTP感受性電極を用いることによっても測定
され得る(Kamoら、1979 J.Membrane Biol.49:1
05;PorterおよびBrand、1995 Am.H.Physiol.
269:R1213)。当業者は、ΔΨmを測定するための適切な指標化合物ま
たは他の適切な手段を選択し得る。
【0040】 別の非限定的な例として、膜電位は、分光光度的かまたは傾向的な定量化と組
み合わせたマトリクスの容量および/またはピリジンヌクレオチド酸化還元測定
を用いて、検出可能な荷電溶質に対するミトコンドリアの浸透性の間接的な測定
から付加的にかまたは代替的に算出され得る。膜電位依存性のミトコンドリア内
膜を介する基質の交換拡散の測定はまた、膜電位の間接的な測定を提供する(例
えば、Quinn、1976、The Molecular Biology
of Cell Membrane、University Park Pre
ss Baltimore、Maryland、200−217頁、およびこの
文献で列挙されている参考文献)。あるいは、ミトコンドリア膜電位は、同時係
属中の出願(表題「エネルギー移動を用いた細胞内状態およびプロセスのアッセ
イのための組成物および方法」、米国仮出願第60/140,433号)に記載
される方法を用いて測定され得る。「電位を維持し得る」とは、このようなミト
コンドリアが、検出可能な、電位感受性の、または電位差測定的な化合物(例え
ば、蛍光色素ローダミン123、DASPMI[2,4−ジメチルアミノスチリ
ル−N−メチルピリジニウム]、TMRM[テトラメチルローダミンメチルエス
テル]または他の適切な化合物(例えば、Scheffler、Mitocho
ndria、1999 Wiley−Liss、NY、198−202頁を参照
のこと;Haugland、1996もまた参照のこと))の蓄積を可能にする
のに十分な膜電位を有することを意味する。
【0041】 あるいは、任意の種々のアポトーシスアッセイが用いられ得る。例えば、多く
の細胞型におけるアポトーシスは、変化した形態学的外見(例えば、細胞膜の小
疱形成、細胞形状の変化、基質接着特性の喪失、または光学顕微鏡を用いて当業
者により容易に検出され得る他の形態学的な変化)を引き起こす。別の例として
、アポトーシスを引き起こした細胞は、染色体の断片化および分解を生じ、これ
は顕微鏡により、および/または当業者に公知のDNA特異的またはクロマチン
特異的色素(蛍光色素を含む)の使用を通じて明らかにされ得る。このような細
胞はまた、変化した膜浸透特性を生じ得、生物色素(例えば、ヨウ化プロピジウ
ム、トリパンブルー)または細胞外環境に漏出した乳酸脱水素酵素の検出の使用
を通じて容易に検出され得る。DNAに対する損傷はまた、電気泳動技術を用い
てアッセイされ得る(例えば、Morrisら、BioTechniques
26:282−289、1999を参照のこと)。形態学的な変化、浸透性の変
化、および関連する変化によりアポトーシス細胞を検出するためのこれらおよび
他の手段は、当業者に明らかである。
【0042】 別のアポトーシスアッセイにおいて、細胞膜の内側リーフレットから外側リー
フレットへの細胞膜ホスファチジルセリン(PS)の転位は、PS特異的タンパ
ク質アネキシンによる外側リーフレットの結合を測定することにより定量化され
得る(Martinら、J.Exp.Med.182:1545−1556、1
995;Fadokら、J.Immunol.148:2207−2216、1
992)。好ましい形式において、細胞膜PSの外面化は、標識されたアネキシ
ン誘導体(例えば、アネキシン−フルオレセインイソチオシアネート結合体(ア
ネキシン−FITC、Oncogene Rsearch Products、
Cambridge、MA))を用いて、96ウェルプレート上で評価される。
【0043】 別のアポトーシスアッセイにおいて、アポトーシス細胞においてミトコンドリ
アから漏出したミトコンドリアタンパク質、シトクロムCの定量化は、容易に決
定され得るアポトーシスの指標を提供し得る(Liuら、Cell 86:14
7−157、1996)。このようなシトクロムCの定量化は、分光光度的に、
免疫化学的に、または特異的なタンパク質の存在を検出するための他の十分構築
された方法によって行なわれ得る。アポトーシス刺激(例えば、イオノマイシン
、周知のカルシウムイオノフォア)のチャレンジをされた細胞におけるミトコン
ドリアからのシトクロムCの遊離の次に、種々の免疫学的方法が続く。アフィニ
ティーキャプチャーと組み合わせたマトリクス支援レーザー脱離イオン化飛行時
間質量(MALDI−TOF)スペクトルは、このような分析に特に適切である
。というのも、アポシトクロムCおよびホロシトクロムCは、それら固有の分子
量に基き識別され得るからである。例えば、SELDIシステム(Cipher
gen、Palo Alto、USA)は、イオノマイシン処理細胞におけるミ
トコンドリアからのシトクロムC遊離についてのミトコンドリア保護剤による阻
害を追跡するために用いられ得る。このアプローチにおいて、固体支持体に固定
化されたシトクロムC特異的抗体が、可溶性細胞抽出物中に存在する遊離シトク
ロムCを補足するために用いられ得る。次いで補足されたタンパク質は、エネル
ギー吸収分子(EAM)のマトリクス中に入れられ、そしてパルス状のレーザー
励振を用いて固体支持体表面から脱離される。このタンパク質の分子量は、SE
LDI質量分析計の検出器までの飛行時間により決定される。
【0044】 別のアポトーシスアッセイにおいて、カスパーゼとして公知のアポトーシス活
性化プロテアーのゼファミリーの特定のプロテアーゼ活性の誘導(Thornb
erryおよびLazebnik、Science 281:1312−131
6、1998)が、例えば、特異的に認識されるタンパク質基質のカスパーゼ媒
介性の切断の決定により測定される。これらの基質としては、例えば、ポリ(A
DPリボース)ポリメラーゼ(PARP)または他の天然に存在するかもしくは
合成された、当該分野で公知のカスパーゼにより切断されるペプチドおよびタン
パク質が挙げられ得る(例えば、Ellerbyら、J.Neurosci.1
7:6165−6178、1997)。標識された合成ペプチドZ−Tyr−V
al−Ala−Asp−AFC(ここで、「Z」は、ベンゾイルカルボニル部分
を示し、そしてAFCは、7−アミノ−4−トリフルオロメチルクマリン(Kl
uckら、1997 Scince 275:1132−1136、1997;
Nicholsonら、Nature 376:37−43、1995)を示す
)は、このような基質の1つである。カスパーゼ−3に対する別の標識された合
成ペプチド基質は、プロテアーゼに対する認識/切断部位を含むペプチドリンカ
ーを介して互いに結合している2つの蛍光タンパク質からなる(Xuら、Nuc
leic.Acids Res.26:2034−2035、1998)。他の
基質として、U1−70kDaおよびDNA−pKcsのような核タンパク質が
挙げられる(RosenおよびCasciola−Rosen、J.Cell.
Biochem.64:50−454、1997;Cohen、Biochem
.J.326:1−16、1997)。
【0045】 なお別のアポトーシスアッセイにおいて、細胞集団中の死細胞に対する生細胞
の割合、または細胞集団中の死細胞の割合は、アポトーシスの最終結果の測定と
して決定され得る。生細胞は、当業者に公知の多数の技術のいずれかを用いて死
細胞から区別され得る。非限定例として、生体(vital)色素(例えば、ヨ
ウ化プロピジウムまたはトリパンブルー)を用いて、アポトゲン(apopto
gen)および本発明に従う化合物を用いて処理した細胞の集団中の死細胞の割
合を決定し得る。
【0046】 当業者は、アポトーシスを定量するための他の適切な技術が存在し得ることを
容易に認識し、そしてアポトーシスの誘導および動態に対する因子の作用を決定
する目的のためのこのような技術の使用は、本明細書に開示されたアッセイの範
囲内にある。
【0047】 本研究の特定の実施形態に従って、本明細書において提供されるようなミトコ
ンドリア機能を優先的に変化させるためのこのようなリガンドの能力に従ってP
BRリガンドを特徴付けるための方法が提供される。特定の好ましい実施形態に
おいて、これは、アポトーシスを優先的に変化させるためのこのようなリガンド
の能力を含む。この理論に制約されることを望んでいるのではなく、これらの実
施形態および関連した実施形態において、全てのPBRリガンドが正確に同じ方
法においてPBRと相互作用するわけではなく、そして少なくともいくつかのP
BRリガンドもまたPBR以外の細胞内構成成分と相互作用し得ると考えられる
。例えば、PBRの構造は、分子間の相互作用のための多数の別個の露出した部
位を提供すると考えられ、その結果、種々のPBRリガンドは異なる部位でPB
Rに結合し得るか、または直接的もしくは間接的に影響し得る(例えば、Lia
uzunら,1999 J.Biol.Chem.273:2146を参照のこ
と)。同様に、条件が、PBRおよび他の細胞内構成成分と相互作用し得る所定
のPBRが実際にPBRと相互作用するのを可能するか否かは、PBRの量的存
在(例えば、利用可能)に一部依存し得る。従って、ミトコンドリアの機能を「
優先的に」変化させるか、またはアポトーシスを「優先的に」変化させるPBR
リガンドとは、PBRを過剰発現するよう誘導され得そしてPBRを過剰発現す
るよう誘導された細胞において、PBRの過剰発現について非誘導状態にあるこ
のような細胞と比較して、このような変化(例えば、少なくとも1つのミトコン
ドリア機能またはアポトーシスにおける統計学的に有意な増加または減少)を差
示的に誘導するリガンドをいう。
【0048】 背景として、自発的なPBRの過剰発現は、多数の原発性腫瘍(例えば、神経
膠腫、Blackら,Cancer 1990 65:93−97;肝細胞癌、
Venturiniら,1998 Life Science 63:1269
−1280;乳癌、Hardwickら,1999 Cancer Res.5
9:831−842;リンパ腫、Lairdら,1989 Eur.J.Pha
rmacol.171:25−35;卵巣癌,Batraら,1998 Int
.J Oncol.1998 12:1295−8;星状細胞腫、Mietti
nenら,1995 Cancer Res.12:2691−2695)にお
いて検出されている。本発明は、悪性の可能性および/または転移の可能性に関
連するこのようなPBRの過剰発現が、特定の化学療法剤に対するこのような腫
瘍の耐性の根底に存在し得るという非限定例的な可能性を熟考し、そして、本明
細書において提供され、かつ実施例においてさらに記載されるように、誘導性の
PBR過剰発現がPBRリガンド間で区別がなされるのを可能にするという驚く
べき発見を提供する。従って、本発明は、異なる化学療法剤(PBRリガンドで
あり得る薬剤を含む)の作用機構の間で、このような機構におけるPBRの相対
的な重要性を決定することによって(すなわち、ミトコンドリア機能(例えば、
アポトーシス)の優先的変化を同定する方法を提供することによって)、区別す
るための機会を提供する。従って、本発明は、ミトコンドリア機能(例えば、ア
ポトーシス)に対するPBRリガンドの効力に関し、ここで、化学療法剤(例え
ば、アポトゲン)に対する不応状態が、本発明の方法および組成物に従う適切な
PBRリガンドの選択を通して有用に予測されてそして克服される癌細胞の性質
であり得る。
【0049】 (BCL−2相互作用を検出するアッセイ) bcl−2遺伝子は、bcl−2が過剰発現される特定の型のリンパ性癌(B
細胞リンパ腫)における原因因子として最初に同定され、これは、B細胞につい
て異常なより長い寿命を生じる。このより長い寿命は、これらの細胞に、明白な
悪性腫瘍およびリンパ性腫瘍の増殖を生じるさらなる変異を蓄積させるようであ
る(Bcl−2ファミリーのタンパク質の総括に関して、Davies,Tre
nds in Neuroscience 18:355−358,1995;
Kroemer,Nature Med.3:614−620,1997;W0
95/13292;W095/00160;および米国特許第5,015,56
8号を参照のこと)。Bcl−2の生化学的機能は公知ではない(すなわち、こ
のBcl−2が酵素、レセプターまたはシグナル伝達分子として作用するか否か
は明白ではない)が、このBcl−2は、外側のミトコンドリア膜、核膜、およ
び小胞体に局在することが公知である。
【0050】 本発明の状況下で、特定の細胞株(例えば、以下により詳細に記載されるよう
なSH−SY5Y由来PBR過剰発現クローンS11)において、PBR遺伝子
を用いたトランスフェクションが、Bcl−2発現レベルの増加を伴うことが見
出されている。さらに、モデル癌細胞株(例えば、ジャーカット細胞およびヒト
T細胞リンパ腫細胞株)におけるBcl−2の過剰発現は、アポトーシス発生剤
(apoptogenic agent)を用いて処理した場合に、これらの細
胞がアポトーシスに入ることから保護することが見出されている。このBcl−
2の保護効果は、細胞を化学療法剤にPBRリガンドと組み合せて曝露すること
によって克服され得、化学療法剤自体でもPBRリガンド自体でも、Bcl−2
の作用を克服しない。従って、Bcl−2リガンドへのBcl−2の結合を調節
する薬剤についてスクリーニングするアッセイを用いて、少なくとも1つのミト
コンドリア機能(例えば、ミトコンドリアの膜電位)を変化させる薬剤を同定し
得る。
【0051】 このようなスクリーニングにおいて、例えば、ミトコンドリアを含みそしてP
BRを過剰発現する細胞を、化学療法剤およびPBRリガンドと接触させる。次
いで、この細胞におけるBcl−2リガンドへのBcl−2の結合レベルを、ア
ッセイする。候補薬剤の存在下でのこのような結合レベルを、候補薬剤非存在下
での結合レベルと比較する。Bcl−2とリガンドとの相互作用を変化させる因
子は、一般に、ミトコンドリアの膜電位を変化させる。サンプルとして使用する
のに適切な細胞は、上記に記載される;好ましい細胞は、Bcl−2を過剰発現
する。PBRリガンドは、一般に上記のようである。化学療法剤は、細胞死を誘
導する任意の薬剤であり得、そして好ましくは、アポトーシスを誘導する薬剤で
ある。化学療法剤の例としては、抗新生物剤であるロニダミン(lonidam
ine)、シスプラチン、ドキソルビシン、シクロフォスファミドが挙げられ、
そしてまた、本明細書において提供されるようなアポトゲンが挙げられ得る。
【0052】 (治療適用) 上記のアッセイを用いて同定された因子は、ミトコンドリアの機能の変化に関
連した疾患および障害に罹患している患者、または潜在的に発症する素因のある
患者に対する、治療的(remedial)作用、治療的(therapeut
ic)効果、待機的効果、リハビリテーション効果、予防的(preventa
tive)効果、および/または予防的(prophylactic)効果を有
し得る。このような疾患は、以下によって特徴付けられ得る:異常な活性、過剰
な活性、非効率的な活性、または有害な活性(例えば、生物学的分子および高分
子(例えば、タンパク質およびペプチドならびにそれらの誘導体、炭水化物およ
びオリゴ糖ならびにそれらの誘導体(糖結合体(例えば、糖タンパク質および糖
脂質)を含む)、脂質、核酸、ならびに補因子(イオン、メディエーター、前駆
体、異化代謝産物などを含む))の取り込み、放出、活性、隔離、輸送、代謝、
異化、合成、貯蔵またはプロセシングにおける欠陥)。
【0053】 このような疾患および障害としては、例として以下が挙げられるがこれらに限
定されない:慢性神経変性障害(例えば、アルツハイマー病(AD)およびパー
キンソン病(PD));自己免疫疾患;糖尿病(I型およびII型を含む);ミ
トコンドリア関連疾患(ミトコンドリアの構造異常を伴う先天性筋ジストロフィ
ー、重篤なmtDNAの枯渇を伴う致死性乳児型ミオパシーおよびmtDNAの
中程度の減少を伴う良性の「後発症(later−onset)」ミオパシー、
MELAS(ミトコンドリア性脳障害、乳酸アシドーシスおよび発作)ならびに
MIDD(ミトコンドリア性糖尿病および難聴)を含むがこれらに限定されない
);MERFF(ミオクローヌスてんかん欠損赤筋線維症候群(myoclon
ic epilepsy ragged red fiber syndrom
e);関節炎;NARP(ニューロパシー;運動失調;色素性網膜炎);MNG
IE(ミオパシーおよび外眼筋麻痺症;ニューロパシー;胃腸;脳障害)、LH
ON(レーバー遺伝性視神経萎縮),キーンズ・セイアー疾患;ピアソン症候群
;PEO(進行性外眼筋麻痺症);ウルフラム症候群;DIDMOAD(尿崩症
、糖尿病、視神経萎縮,難聴);ライエル症候群;失調症;精神***病;ならび
に過剰増殖性障害(例えば、癌、腫瘍および乾癬)。
【0054】 治療目的のために投与される薬剤は、好ましくは、薬学的組成物において処方
される。薬学的組成物は、生理学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤と組み合
せて1つ以上のこのような薬剤を含む。このような組成物は、固体、液体または
ガス(エアロゾル)の形態であり得る。あるいは、本発明の組成物は、凍結乾燥
物として処方され得る。薬剤はまた、周知技術を用いてリポソーム内にカプセル
化され得る。本発明の範囲内における薬学的組成物はまた、他の構成成分を含み
得、この成分は、生物学的に活性または不活性であり得る。このような構成成分
としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:緩衝液(例えば、中性
の緩衝化生理食塩水またはリン酸緩衝化生理食塩水)、炭水化物(例えば、グル
コース、マンノース、スクロースまたはデキストラン)、マンニトール、タンパ
ク質、ポリペプチドまたはアミノ酸(例えば、グリシン)、酸化防止剤、キレー
ト化剤(例えば、EDTAまたはグルタチオン)、安定化剤、色素、香料、およ
び懸濁剤、ならびに/あるいは保存剤。
【0055】 ペプチドまたはタンパク質の因子について、薬学的組成物は、その因子をコー
ドするポリヌクレオチドを代わりに含み得、その結果、この因子はインサイチュ
で生じる。このような組成物において、このDNAは、当業者に公知の種々の送
達系のいずれかの中に存在し得、この送達系としては、核酸発現系、細菌発現系
およびウイルス発現系、そして哺乳動物発現系が挙げられる。このような発現系
中にDNAを組み込むための技術は、当業者に周知である。DNAはまた、例え
ば、Ulmerら,Science 259:1745−1749,1993に
おいて記載され、そしてCohen,Science 259:1691−16
92,1993によって総括されるように、「裸」であり得る。裸のDNAの取
り込みは、DNAを生分解性ビーズ上にコートすることによって増加され得、こ
のビーズは、細胞中に効果的に輸送させる。
【0056】 当業者に公知の任意の適切なキャリアは、本明細書に記載される薬学的組成物
中に使用され得る。治療用途のためのキャリアおよび賦形剤は、周知であり、例
えば、Remingtons Phanmaceutical Science
s,Mack Publishing Co.(A.R.Gennaro編、1
985)において記載される。一般に、キャリアの型は、投与様式に基づいて選
択される。本発明の組成物は、例えば以下を含む適切な投与様式において処方さ
れ得る:局所投与、経口投与、経鼻投与、クモ膜下投与、直腸投与、膣内投与、
舌下投与、あるいは、皮下、静脈内、筋内、胸骨内、海綿体内、道内または尿道
内の注射または注入を含む非経口投与。非経口投与(例えば、皮下注射)につい
て、キャリアは、好ましくは、水、生理食塩水、アルコール、脂肪、ワックス、
または緩衝液を含む。経口投与について、上記のキャリアまたは固体キャリア(
例えば、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サ
ッカリンナトリウム、タルカム、セルロース、カオリン、グリセリン、デンプン
デキストリン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、エチルセ
ルロース、グルコース、スクロース、および/またはカルボン酸マグネシウム)
のいずれかが、使用され得る。
【0057】 組成物(例えば、経口投与または注射による送達のための)は、液体の形態(
例えば、エリキシル剤、シロップ剤、溶液、乳濁液または懸濁液)であり得る。
液体の薬学的組成物は、例えば、以下の1つ以上を含み得る:滅菌希釈液(例え
ば、注射用蒸留水、食塩水、好ましくは生理食塩水(physiologica
l saline)、リンガー溶液、等張性食塩水(isotonic sod
ium chloride)、不揮発性油(例えば、溶媒または懸濁媒体として
供給され得る合成モノグリセリドもしくは合成ジグリセリド、ポリエチレングリ
コール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の溶媒);抗菌剤(例えば
、ベンジルアルコールまたはメチルパラベン);抗酸化剤(例えば、アスコルビ
ン酸または亜硫酸水素ナトリウム);キレート化剤(例えば、エチレンジアミン
四酢酸);緩衝液(例えば、酢酸塩、、クエン酸塩またはリン酸塩)、ならびに
張度の調整のための薬剤(例えば、塩化ナトリウムまたはデキストロース)。非
経口調製物は、アンプル、使い捨ての注射器、またはガラスもしくはプラスチッ
ク製の複数回投与用バイアルに封入され得る。経口投与を意図する場合、好まし
い組成物は、ΔΨmを変化させる1つ以上の薬剤、1つ以上の甘味料、保存剤、
色素/着色料または香味相乗剤を含む。注射によって投与することを意図する組
成物において、1つ以上の界面活性剤、保存剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、緩衝
液、安定化剤または等張化剤が含まれ得る。生理食塩水の使用が好ましく、そし
て注射可能な薬学的組成物は、好ましくは、滅菌されている。
【0058】 非経口投与または経口投与のいずれかを意図する液体の組成物は、ΔΨmに影
響する量の薬剤を含むべきであり、その結果、適切な投薬量が得られる(例えば
、少なくとも0.01重量%の薬剤)。経口投与を意図する場合、この量は、こ
の組成物の0.1重量%と約70重量%との間で変化され得る。好ましい経口的
組成物は、このような薬剤(単数または複数)の約4%と約50%との間を含む
。好ましい組成物および調製物は、非経口投薬量単位が活性化合物の0.01重
量%と1重量%との間を含むように調製される。
【0059】 特定の局所適用について、周知の組成物を用いたクリーム剤またはローション
剤のような処方が好ましい。例えば、キャリアは、水溶液、乳濁液、軟膏剤また
はゲル基剤であり得、例えば、1つ以上のペトロラタム、ラノリン、ポリエチレ
ングリコール、蜜蝋、鉱物油、希釈剤(例えば、水もしくはアルコール)、乳化
剤、または安定化剤を含む。濃化剤もまた、局所投与のための薬学的組成物中に
存在し得る。経皮投与を意図する場合、組成物は、経皮パッチまたはイオン浸透
療法デバイス中に存在し得る。局所処方物は、ΔΨmに影響する約0.1%w/
v〜約10%w/v(単位容量あたりの重量)の薬剤濃度を含み得る。
【0060】 この組成物は、(例えば、直腸内で溶けて薬剤を放出する座剤の形態において
)直腸投与が意図され得る。直腸投与のための組成物は、適切な無刺激性賦形剤
のような油性基剤を含み得る。このような基剤としては、例えば、ラノリン、カ
カオ脂およびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0061】 本明細書において記載されるこれらの組成物は、徐放(すなわち、投与後に化
合物の緩徐な放出をもたらすカプセルまたはスポンジのような処方物)のために
処方され得る。このような組成物は一般に、周知の技術を用いて調製され得、そ
して例えば、経口埋め込み、直腸埋め込み、または皮下埋め込みによってか、ま
たは所望の標的部位での埋め込みによって投与され得る。徐放性処方物は、キャ
リアマトリクス中に分散され、そして/または速度制御膜によって囲まれたレザ
バー内に含まれる薬剤を含み得る。このような処方物の内で使用のためのキャリ
アは、生体適合性であり、そしてまた、生体分解性であり得る;好ましくはこの
処方物は、比較的一定なレベルの活性構成成分の放出を提供する。徐放性処方中
に含まれる活性化合物の量は、埋め込み部位、放出の速度および期待された持続
時間ならびに処置または予防される状態の性質に依存する。
【0062】 薬学的組成物の内で、ΔΨmに影響する薬剤は、種々の化合物のいずれかに連
結され得る。例えば、このような薬剤は、標的部位へのこの薬剤の送達を容易に
する標的化成分(例えば、モノクローナル抗体もしくはポリクローナル抗体、タ
ンパク質またはリポソーム)に連結され得る。本明細書において使用されるよう
に、「標的化成分」とは、薬剤に連結された場合に標的細胞または組織へのこの
薬剤の輸送を増強し、これによって、この薬剤の局所濃度を増加する、任意の物
質(例えば、化合物または細胞)であり得る。標的化成分としては、抗体もしく
はそのフラグメント、レセプター、リガンドおよび標的組織の細胞に結合するか
または標的組織の周辺の細胞に結合する他の分子が挙げられる。公知の標的化成
分としては、例えば、血清ホルモン、細胞表面抗原に対する抗体、レクチン、接
着分子、腫瘍細胞表面結合リガンド、ステロイド、コレステロール、リンフォカ
イン、フィブリン溶解性酵素ならびに所望の標的部位に結合する薬剤物およびタ
ンパク質が挙げられる。抗体標的化薬剤は、インタクトな(全)分子、そのフラ
グメント、またはその機能的等価物であり得る。抗体フラグメントの例としては
、F(ab’)2フラグメント、−Fab’フラグメント、Fabフラグメント
およびF[v]フラグメントであり、これらは、従来の方法によってか、または
遺伝子工学もしくはタンパク質工学によって産生され得る。連結は、一般に共有
結合であり、そして、例えば、直接縮合もしくは他の反応によってか、または二
官能性リンカーもしくは多官能性リンカーによって達成され得る。標的化成分は
、その薬剤が治療上の利点が発揮されることが期待される細胞または組織に基づ
いて選択され得る。
【0063】 薬学的組成物は、処置される(または、予防される)この疾患に適切な様式で
投与され得る。適切な投与量および投与の適切な持続時間ならびに頻度は、この
患者の状態、この患者の疾患の型および重症度、活性成分の特定の形態、ならび
に投与方法のようなこのような要因によって決定される。一般に、適切な投与量
および処置レジメンは、治療上の利点および/または予防上の利点(例えば、改
善された臨床的結果(例えば、より頻回の完全緩解もしくは部分的緩解、より長
い無疾患(disease−free)、および/または全体的な生存))を提
供するのに十分な量の薬剤(単数または複数)を提供する。適切な投与量は、一
般に、実験モデルおよび/または臨床試験を用いて決定され得る。一般に、効果
的な治療を提供するのに十分な最少投与量の使用が、好ましい。患者は、一般に
。処置または予防される状態に適切なアッセイを用いて治療の有効性についてモ
ニターされ得、これは当業者に精通している。
【0064】 (種特異的薬剤) 特定の実施形態において、本発明は、種特異的薬剤を同定するためのスクリー
ニングアッセイを提供する。「種特異的薬剤」とは、ミトコンドリアの機能(例
えば、1つの供給源(例えば、種)のミトコンドリアの膜電位)を変化させるが
、第2の供給源のミトコンドリアの膜電位に実質的に影響しない。代表的に、こ
の薬剤は、他の種に対する効果の少なくとも2倍である、1つの種に対する効果
を有するべきである。本明細書において提供されるこのスクリーニングアッセイ
を用いて、異なる生物学的供給源から得た細胞および/またはミトコンドリアを
使用してこのような薬剤を同定し得る。
【0065】 本発明のこの実施形態を用いて、例えば、異なる種由来の(例えば、トリパノ
ゾーマ(Ashkenaziら,Science 281:1305−1308
,1998)、ならびに他の真核動物の病原体および寄生生物(昆虫を含むがこ
れに限定されない)における)ミトコンドリアのΔΨの衰退を選択的に誘導する
薬剤を同定し得るが、この薬剤は、これらの哺乳動物宿主の細胞において見出さ
れるミトコンドリアのΔΨの衰退を誘導しない薬剤を同定し得る。このような薬
剤は、このような病原体および寄生生物の予防上または治療上の管理に有用であ
ると期待される。
【0066】 別の例の目的で、原生動物亜界の一門(公式に胞子虫類と呼ばれる)のメンバ
ーは、細胞内に寄生する病原性原虫の多種多様な群を含む。いくつかのメンバー
(Babesia,TnieileriaおよびEimeriaを含む)は、経
済的に重大な動物疾患を引き起こし、そして他のメンバー(例えば、Toxop
lasme gondiiおよびCryptosporidium spp.)
もまた、ヒト疾患(特に免疫無防備状態の個体において)を引き起こす。アコン
プレキシカン(acomplexican)は、これらが、ミトコンドリアのゲ
ノムと推定プラスチドゲノムとの両方を含むような、これらの染色体外のDNA
エレメントの点で独特である(総括として、Feagin,Annu.Rev.
Microbiol.48:81−104,1994を参照のこと)。おそらく
、最もよく研究されたアコンプレキシカンは、マラリアを引き起こすPlasm
odiumの種である。抗マラリア剤は、Plasmodiumミトコンドリア
の機能に特異的に影響する薬剤を含み(Petersら,Ann.Trop.M
ed.Parsitol.78:567−579,1984;Bascoら,J
.Eukaryot.Microbiol.41:179−183,1994)
、そしてこのような薬剤の1つ、アトバクオンは、Plasmodium yo
elii由来のミトコンドリアのΔΨを衰退させるが、哺乳動物のミトコンドリ
アのΔΨに作用しない(Srivastavaら,J.Biol.Chem.2
72:3961−3966,1997)。従って、本明細書において提供される
アッセイを用いて、新規抗マラリア剤(例えば、哺乳動物のミトコンドリアでは
なく、PlasmodiumのミトコンドリアのΔΨの衰退を引き起こす化合物
)について化合物のライブラリーをスクリーニングし得る。
【0067】 別の例として、本明細書において提供されるスクリーニング方法を用いて、所
望する植物(例えば、農作物)でなはく所望しない植物(例えば、雑草)由来か
、または所望する昆虫(例えば、ハチ)もしくは所望する植物ではなく所望しな
い昆虫(特に、Lepidopteraファミリーのメンバーおよび他の農作物
に有害な昆虫)のミトコンドリアのΔΨの衰退を選択的に誘導する薬剤を同定し
得る。このような薬剤は、このような所望しない植物および昆虫の管理および制
御に有用であることが期待される。培養した昆虫細胞(例えば、Spodopt
era frugiperda由来のSf9細胞株およびSf21細胞株、なら
びにTrichopolusia ni由来のHIGH FIVETM細胞株(
これらの3細胞株は、Invitrogen,Carlsbad,CAより入手
可能である)を含む)は、本発明の特定のこのような実施形態における、ミトコ
ンドリアの供給源であり得る。
【0068】 以下の実施例は、本発明を例示するものであって、本発明を限定することを意
図するものではない。当業者は、日常的な実験を介して、本明細書に記載される
特定の物質および手順に対する多数の等価物を認識し得るか、または確認する。
このような等価物は、本明細書の範囲内であるとみなされる。
【0069】 (実施例) (実施例1) (PBRへのPBRリガンドの結合) 本実施例は、細胞膜においてPBRに結合するPBRリガンドの検出を示す。
【0070】 標準的な分子生物学試薬および方法論を、例えば、Ausubelら(Cur
rent Protocols in Molecular Biology,
Greene Publishing,1987);およびSambrookら
、(Molecular Cloning:A Laboratory Man
ual,Cold Spring Harbor Press,1989)に記
載されるように使用した。全ての試薬は、他に示さない限りSigma(St.
Louis,MO)由来であった。全長PBzR cDNA(末梢性ベンゾジア
ゼピンレセプター,GENBANK登録番号NM_000714;1991 E
ur.J.Biochem.195:305−311;例えば、Carayon
ら、1996 Blood 87:3170を参照のこと)を、ヒト胎盤cDN
Aから増幅し、そして供給業者の推奨に従って、センス方向およびアンチセンス
方向において、pcDNA3.1(Invitrogen,Carlsbad,
CA)にクローニングした。SY5Y神経芽細胞およびジャーカットTリンパ
芽球(lymphoblastoid)細胞(ATCC,Manassas,V
A)を、それぞれセンス方向においてPBR遺伝子を含むベクターで、そして別
々にPBRアンチセンス構築物でトランスフェクトした。安定なコロニーを、G
418を使用して選択し、そして標準的な細胞培養技術に従って単離し、そして
細胞膜を、5mM EDTAを含むPBS中で細胞を収穫し、遠心分離によって
細胞をペレット化し、そして結合緩衝液(25 mM Tris,10mM M
gCl,pH7.5)中に細胞ペレットを再懸濁することによって調製した。
38μgの膜タンパク質を含む細胞膜調製物のアリコートを、100μMトリチ
ウム化PK−11195を補充した結合緩衝液(86Ci/mmol;New
England Nuclear,Boston,MA)中でインキュベートし
た。混合物を60分間氷中でインキュベートし、そして結合していないリガンド
をGF/Cガラスファイバー濾過によって除去した。
【0071】 図1に示す結果は、PBRリガンドが細胞膜に特異的に結合することを示して
いる。ベクター単独(すなわち、PBR配列を欠く)について得られた結果は、
ネイティブのトランスフェクトされていない細胞において観察される結合のレベ
ルと同様である。トランスフェクトされたジャーカット細胞(ATCC)および
6nM PK−11195を使用する同様の実験に対する結果を、図2に示す。
【0072】 ネイティブのSY5Y細胞および安定にPBRでトランスフェクトされたSY
5Y細胞について得た飽和結合曲線をそれぞれ図3Aおよび3Bに示す。これら
の曲線は、ネイティブの細胞についてのK(6.9nM)が、トランスフェク
トされた細胞についてのK(3.8nM)と同様であることを示す。結合最大
(pmol/mg、BMAX)はネイティブ細胞において(1.8pmol/m
g)よりも安定なPBR発現細胞において約10倍高い(25±1.5pmol
/mg)。
【0073】 飽和結合曲線をまた、PBRを安定に発現するジャーカット細胞について得た
(図4)。各アッセイポイントは20μgの膜タンパク質を含み、これはほとん
どリガンドの消耗なしにたやすく検出可能なシグナルを生じた。100μMのR
O−05−4864 (4−クロロジアゼパム)を非特異的結合のために使用し
た。6nM PK−11195で、シグナル:ノイズ比(総結合:非特異的結合
)は、約4:1であった。この曲線は、1部位結合モデルに適合し、そして約3
nMのKを有し、このことは正しいレセプター折り畳みを示した。BMAX
、約9pmol/mgタンパク質であった。
【0074】 PK−11195結合をまた、PBRで安定にトランスフェクトした一連の単
離されたSY5Yコロニーについて評価した。結合アッセイを、非特異的結合に
ついて、6nMトリチウム化PK−11195および100μMのRO−05−
4864(4−クロロジアゼパム)で実施した。各アッセイは、10μgの膜タ
ンパク質を含んでいた。コロニーは、特異的結合の範囲(クローンS11の場合
において20倍大きい特異的結合まで)を提示した(図5)。バックグランドの
カウントはクローン間で有意には変わらず、そしてシグナル:ノイズは、S11
については約20:1、上記のような安定なコロニーについては約5:1、そし
てネイティブST5Y細胞については約2:1であった。
【0075】 (実施例2) (PBzR結合の特徴) PBzRの発現を示すために、ネオマイシン耐性細胞を、放射標識したPK−
11195を使用する放射リガンド結合アッセイによって特徴付けした。PK−
11195は、PBzRに対して特異的でありかつCNS GABAチャンネル
または中枢ベンゾジアゼピンレセプターと相互作用しないイソキノリンである
(Le Furら、Life Sciences 33:449−457,19
83)。初めに、耐性細胞を、リガンド結合実験において分析した。リガンド結
合アッセイを、5mM EDTAを含むPBSを用いて細胞を収集し、そして細
胞がもはやトリパンブルーを排除しないように、氷冷した25mM Tris
pH7.5、10mM MgCl中にその細胞を懸濁することによって、実施
した。結合されたリガンドを、GF/Cガラスファイバーフィルターを使用して
遊離リガンドから分離する。表1は、プールされたSY5Y細胞およびジャーカ
ット細胞中の非線形回帰によって解析した飽和結合曲線から得られたK値およ
びBMAX値を示している。
【0076】
【表1】 過剰発現細胞株からのKは、ネイティブSH−SY5Y細胞株に非常に似て
おり、そして報告された値2〜4nMは、過剰発現されたレセプターが適切に折
り畳まれていることを示す(Le Furら、1983)。各細胞株に置いて、
PBzRは、ネイティブ細胞株と比べて劇的に過剰発現される(プールされたP
BzRを過剰発現するSH−SY5Y細胞の場合、10倍)。この実験からのデ
ータはまた、ネイティブSY5Y細胞株におけるシグナル対ノイズ比が2:1で
あり、対してプールされたPBzRを過剰発現するSY5Y細胞においては7:
1であることを示す。プールされたPBzRを過剰発現するジャーカット株は、
4:1である。従って、この過剰発現細胞株は、ネイティブ細胞株よりも化合物
ライブラリーのスクリーニングについてかなり大きな感度を提供する。改善され
たシグナル対ノイズ比は、置換アッセイ(例えば、ハイスループット置換アッセ
イ)について好ましい。なぜならこれは、代表的な作用濃度PK−11195(
0.3〜0.5nM)は、ネイティブ細胞株において視覚的に検出不可能なシグ
ナルを生じるからである。
【0077】 さらなる実験を実施して、PBzRへのリガンドの結合をさらに特徴付けした
。[H]PK−11195結合の特異性を、PK−11195およびRO 0
5−4864(4−クロロジアゼパム)(公知のpBdzリガンド)がS11
PBzR過剰発現クローンに結合する[H]PK−11195を置換する能力
を試験することによって試験した。このことを実施例3において記載する。結果
を図6に示す。図6(A)は、1データポイントあたり10μg S11タンパ
ク質を使用してPK−11195飽和結合を示す。図6(B)は、固定濃度(0
.5nM)において、[H]PK−11195結合が0μgから25μgまで
のS11タンパク質の増加に伴い増加したことを示す。図6(C)に示すように
、RO 05−4864およびPK−11195の両方が、1データポイントあ
たり6μgのS11タンパク質を使用して[H]PK−11195を置換し;
PK−11195についてのIC50値は5.36nM Rであり、そしてR
O 05−4864についてのIC50値は36.8nM Rであった。
【0078】 化合物ライブラリー由来の化合物を、PBzRリガンド結合アッセイにおいて
スクリーニングした。結果を、図7に示す。
【0079】 (実施例3) (S11細胞におけるPBzRのミトコンドリア局在化およびミトコンドリア
機能に対する影響) PBzRは、通常ミトコンドリアに局在するので、PBzR過剰発現がミトコ
ンドリア性かまたは異所性か否か決定することが重要であった。PBzRの亜細
胞局在化を、StorrieおよびMadden(1990 Meths.En
zvmol.182:203−225)に記載されるようなメトリザミド勾配を
使用してPBzRを過剰発現するSY5Y細胞から(または空のベクターでトラ
ンスフェクトされたコントロール細胞から)の亜細胞オルガネラを分画すること
で決定した。3つの膜画分を単離し、そしてそれらがポスト核上清(post−
nuclear supernatant)(PNS)、リソソームおよびミト
コンドリアに局在化されることが公知の活性についてを高まっていることを見出
した。ミトコンドリア画分を、シトクロムCオキシダーゼ活性において10倍そ
して特異的PK−11195結合において少なくとも5倍に濃縮した。画分のウ
ェスタンブロットを、ミトコンドリアETC複合体IV反応性抗体を使用してプ
ローブし、これは、全ての画分においていくつらのミトコンドリア混入を示した
が、ミトコンドリア画分において5〜7倍の濃縮を示した。PBzRのC末端ペ
プチドに指向されるポリクローナル抗体を開発した(PBzRに対する他の抗体
は、例えばBlovision,Inc.,Palo Alto,CAおよびR
&D Systems,Minneapolis,MNから市販されている)。
この抗体を使用して、図8に示すように上の画分のウェスタンブロットをプロー
ブした。
【0080】 図8に示す結果に従って、抗体は、プールされ、選択された(例えば、オリゴ
クローナル)PBzR過剰発現細胞のミトコンドリア画分において見出したがベ
クターコントロールでは見出されなかった18kDタンパク質と独占的に反応し
た。ネイティブSY5Y細胞は、検出可能なPK−11195結合を示したが、
レセプター濃度は、過剰発現する細胞においての法が10倍高かった。これは空
のベクターでトランスフェクトされたコントロール細胞のミトコンドリア画分由
来の検出可能なシグナルの明らかな欠失が原因である。
【0081】 クローン細胞株を単離するために、SY5Yネオマイシン耐性コロニーを、ク
ローニングリングを使用して単離し、そして12ウェルプレートから増殖させた
。図9は、単離された細胞株S1,S2,S3,S4,S5,S6,S7,S8
,S9,およびS11において、6nM濃度の[H]PK−11195での特
異的PK−11195結合の範囲を示す。
【0082】 図1に記載されるように、[H]PK−11195の特異的結合によって証
明されるようなPBzR発現レベルにおける増加は、6nMの[H]PK−1
1195を使用するアッセイにおいて、本質的に過剰発現なし〜S11の場合の
少なくとも約20倍の過剰発現の値の範囲であった。S11 SY5Yクローン
を使用する飽和結合曲線は、プールされた過剰発現体において25pMol/m
gのレセプター濃度を示した。固定濃度0.35nMの[H]PK−1119
5での置換結合曲線を、未標識のPK−11195およびRO−05−4864
を使用して実施した。S11細胞株をPBzRの供給源として使用した。この曲
線の例を図6(C)に示した。
【0083】 末梢性ベンゾジアゼピンレセプターの過剰発現を、上記のポリクローナル抗体
を使用するウエスタンイムノブロット分析によって図10に示すように、クロー
ンS11細胞、SH−SY5Y由来S11細胞、PBRを過剰発現する(および
Bcl−2を過剰発現する)S11細胞のミトコンドリアに局在化した。S11
細胞ミトコンドリアは、カルシウム取り込み研究が記載の方法に従って実行され
る場合、ベクターコントロール細胞ミトコンドリアよりかなり多いカルシウムを
取り込み得た(Fiskumら、2000 Meths.Enzymol.32
2:222−234;Murphyら、1996 Proc.Nat.Acad
.Sci.USA 93:9893,1996)。ベクターコントロール細胞の
カルシウム取り込み能力は200iMであり、一方、S11細胞のカルシウム取
り込み能力は400μMであった。
【0084】 亜細胞画分研究を、S11細胞株に対して上記のように実施し、そしてミトコ
ンドリアETC複合体IV活性(Birch−Machinら、1993 Me
ths.Toxicol.2:58)、PK−1195結合および抗VDAC(
Calbiochem,San Diego,CA)を用いるウェスタンブロッ
ト分析について分析した。そして抗PBzR抗体は、過剰発現されたPBzRが
S11細胞株においてミトコンドリアに対する送達について標的化されたことを
明らかに示した。これは、PBzRについての通常の亜細胞局在化部位であるの
で、S11神経芽腫由来の安定にトランスフェクトされたPBzRを過剰発現す
る細胞株は、PBzRの生理学的な機能を規定するために有用なモデルを提供す
るようである。
【0085】 PK−11195処理は、低いレベルのBcl−2発現の有するベクターコン
トロール細胞によって放出されるシトクロムcと等価のレベルまでの、カルシウ
ム誘導性透過性遷移(図11)の際のS11ミトコンドリアからのシトクロムC
の放出(Andreyevら、1998 FEBS Lett.439:373
の方法を使用して決定する)を生じた。このことは、PBRとBcl−2との間
の機能性関連について明らかな証拠を提供する。図12に示されるように、S1
1細胞を、PK−11195誘導性細胞死から保護した。S11細胞およびベク
ターコントロール細胞を、図12中の各バーの下の値(マイクロモルとして表さ
れる)で示されるような、PK−11195濃度の範囲で24時間処理した(9
6ウェルプレートにおいて1ウェルあたり4×10細胞、10%FCSを含む
DMEMにおいて)。細胞生存性を、製造業者の指示に従ってヨウ化プロピジウ
ム(propidium iodide)染色細胞、およびFmaxTMプレー
トリーダー(Molecular Devices,Sunnyvale,CA
)で蛍光を計量することによって決定した。非生存ベクターコントロール細胞の
パーセントは、約10%(0μMおよび20μM PK−11195)から約4
0%(100μM PK−11195)に増加した。非生存S11細胞のパーセ
ントは、100μMのPK−11195で、20%未満であった。
【0086】 (実施例4) (S11細胞におけるカスパーゼ) カスパーゼはアポトーシスにより活性化されるプロテアーゼであり、そして細
胞におけるカスパーゼ誘導は、細胞がプログラムされた細胞死(アポトーシス)
を受けていることをしばしば示す。アポトーシスは、種々の化合物(エトポシド
を含む)によって誘導され得る。S11細胞またはベクターコントロール細胞を
96ウェルプレートにおいて30,000細胞/ウェルでプレートし、そして2
0時間増殖させた。培地を吸引し、そして細胞を、6時間、培地において指示し
た濃度のエトポシドで処理したかまたは処理せず、そしてPK11195で処理
したかまたは処理しなかった。同時に、培地を吸引して、そしてカスパーゼ活性
を23μM DEVD(カスパーゼ3によって切断される場合に蛍光性であるペ
プチド)を添加して0.03%ジギトニンを含むPBS中で測定した。蛍光を、
速度論的アッセイを使用してFmaxTM96ウェルプレートリーダー(Mol
ecular Devices,Sunnyvale,CA)において測定した
。細胞の総数についてヨウ化プロピジウム染色を使用して測定し、そしてそれを
使用して各ウェルにおける細胞の総数について正規化した。図13に示されるよ
うに、2〜6μMのエトポシドで、カスパーゼ活性化は、ベクターコントロール
よりも高い速度でS11細胞において生じた。
【0087】 図14は、S11細胞および空のベクターでトランスフェクトされたコントロ
ール細胞における、セラミド誘導性カスパーゼ活性化およびエトポシド誘導性カ
スパーゼ活性化の示差的影響を示した。エトポシド処理およびセラミド処理は、
上記のとおりであった。図14に示し、図13の結果と一致するように、エトポ
シドは、ベクターコントロールにおいてよりもS11細胞において大きいカスパ
ーゼ活性化を生じた。しかし、C2−セラミドは、80μMおよび100μMの
濃度でS11細胞においてよりもベクターコントロール細胞においてさらに大き
なカスパーゼの活性化を生じた。
【0088】 (実施例5) (コントロール細胞およびS11細胞におけるBCL−2レベル) この一連の実験について、膜画分を、上記(例えば、実施例3)のようにS1
1細胞からおよび空のベクタートランスフェクトされたSY5Yコントロール細
胞から精製した。これは、Bcl−2とS11細胞におけるPBzRの過剰発現
との関係を決定するためであった。4つの画分を得、そして上記のようにミトコ
ンドリアETC複合体IV活性およびウェスタンブロットにおけるVDACの抗
VDAC(ポリンとしてもまた公知の、抗電圧依存性アニオンチャンネル)抗体
検出(図15)を使用して、ミトコンドリア画分の精製程度をアッセイした。複
合体IV活性の結果を表2に示す。ここには、複合体IV活性をA/分−mgと
して示す:
【0089】
【表2】
【0090】 同様に調製された亜細胞画分を使用して、供給者の指示に従って、Santa
Cruz Bioscience,Inc.(Santa Cruz,CA)
から得た抗Bcl−2モノクローナル抗体を使用するウェスタンブロット分析に
よって、S11細胞およびベクターコントロール細胞におけるBcl−2レベル
を研究した。図16に示すように、S11細胞におけるPBzRの過剰発現は、
ミトコンドリア画分における増加したBcl−2レベルと相互関係を示す。図1
7および18に示すように、複合体IV活性に対して正規化した場合、Bcl−
2レベルは、S11ミトコンドリアにおいて増加したが、供給業者の指示に従っ
て抗Bcl−XL抗体(Santa Cruz Bioscience)を使用
するブロット分析によって検出されたBcl−XLレベルは、増加しなかった。
しかし、S11細胞における増加したBcl−2レベルは、PBzR過剰発現と
厳密に相互関係をするようではなく(図18)、ミトコンドリアETC複合体I
V活性について正規化されたミトコンドリア画分をプローブするため抗VDAC
および抗Bcl−2を使用するブロッティングデータを示し(図18A)、亜細
胞分画に使用したホモジネートに結合するPBzRリガンド(PK−11195
)において検出された差異と密には類似しなかった(図18B)。
【0091】 (実施例6) (誘導性PBzR過剰発現細胞株) 本実施例は、誘導性PBzR過剰発現細胞株(IPBR−1と示される、テト
ラサイクリン誘導性PBzR過剰発現SH−SY5Y由来細胞株を含む)の産物
および特徴付けを記載する。標準的な分子生物学試薬および方法論を、例えば、
Ausubelら、(Current Protocols in Molec
ular Biology,Greene Publishing,1987)
;およびSambrookら、(Molecular Cloning:A L
aboratory Manual,Cold Spring Harbor
Press,1989)に記載されるように使用した。SY5Y神経芽細胞を、
供給業者(ATCC,Manassas,VA)の推奨に従って、成長させそし
て維持した。そしてテトラサイクリンレプレッサーを、pcDNA6/TRベク
ター(Invitrogen,Carlsbad,CA)およびベクターに添付
される指示書に従ってブラスチジン選択を使用して細胞の中に安定に組み込んだ
。次いで、Tetクローンを、改変型pcDNA4/TOベクター(Invi
trogen)を用いて安定にトランスフェクトした。このベクターのマルチク
ローニング部位に、末梢性ベンゾジアゼピンレセプター(GENBANK登録番
号NM_000714;1991 Eur.J.Biochem.195:30
5−311)の全長コード配列(ヒト胎盤cDNAライブラリからPCRにより
増幅した)が、供給業者のプロトコールを使用して最初に連結した。生じた構築
物は、テトラサイクリン調節性プロモーターの制御下でPBzRコード配列を含
んだ。コロニーを、ゼオシン(zeocin)耐性について選択し、そして個々
のクローン集団を単離した。
【0092】 抗PBzR抗体(実施例3を参照のこと)および抗シトクロムc抗体(San
ta Cruz Biosciences,Inc.,Santa Cruz,
CA)を用いるテトラサイクリンに誘導されるトランスフェクタントの2重標識
免疫蛍光分析は、ミトコンドリアに局在化されたPBzRを示し、ミトコンドリ
アに局在化されたPBzRは、テトラサイクリン非誘導性の細胞において率直に
明白ではなかった。3つの単離したクローンを、図5に上記した手順を使用して
誘導細胞および非誘導細胞へのトリチウムPK−11195結合を比較すること
でテトラサイクリン誘導性PBzR発現について分析した(図19)。図19は
、対応する非誘導細胞と比較して誘導細胞の3つのクローン集団のそれぞれへの
PBzRリガンド結合の明らかな増加を示す。
【0093】 アポトゲン駆動(C−セラミド、80μM、8時間)カスパーゼ活性に対す
るテトラサイクリン誘導性PBzR過剰発現の効果を、選択されたオリゴクロー
ナルテトラサイクリン誘導性PBzR過剰発現SH−SY5Y由来細胞株におい
て試験した(図20)。これらの細胞における誘導性PBzR過剰発現は、非誘
導細胞と比較してセラミド刺激カスパーゼ活性化に対する耐性の状態を促進した
(処理についての実施例4を参照のこと)(図20)。PBzR過剰発現の誘導
は、指示濃度で他のアポトゲン(ドキソルビシン)(4μM、8時間)にさらし
た後、誘導性クローンのうちの1つ(IPBR−1と呼ばれるテトラサイクリン
誘導性PBzR過剰発現SH−SY5Y由来細胞株)におけるカスパーゼ活性化
の程度を同様に調節した(図21)。図22に示されるように、IPBR−1細
胞におけるPBzR過剰発現の誘導は、第3のアポトゲンである、NOおよびO ドナーSIN−1(3−モルホリノシドノンイミン、HCl;Calbino
chem;100〜400μM)に応答するカスパーゼに対する耐性に関係があ
った。カスパーゼ応答はまた、アポトーシスカスケードにおいて推定されたカス
パーゼの役割と一致して、細胞生存性測定に関係があった(図22)。逆に、カ
スパーゼ活性における減少は、他のアポトゲン(タプシガルシン)にさらした後
、テトラサイクリン誘導性IPBR−1 PBzR過剰発現株において検出され
なかった。このことは、この薬剤によるアポトーシスの開始についての明確な機
構を示唆した。メトリザミド勾配上で単離され、そして(上記のように)ミトコ
ンドリアETC複合体IV活性に基づいて正規化されたIPBR−1ミトコンド
リア画分のウェスタンブロット分析は、PBzR発現において劇的な増加を確認
した。しかし、Bcl−2発現レベルにおける認識可能な変化は、PBzR過剰
発現の誘導を伴わなかった。
【0094】 化学療法薬剤であるドキソルビシン(Sigma,St.Louis,MO)
での処理に応答するカスパーゼの活性化をまた、テトラサイクリン誘導性IPB
R−1細胞およびテトラサイクリン非誘導性IPBR−1細胞において比較した
。この細胞は、PBzRリガンドであるPK−11195または4−クロロジア
ゼパムの1つでか(図23)あるいは他のPBzRリガンドで処理されていた。
他のPBzRリガンドとは異なり、4−クロロジアゼパムは、カスパーゼのドキ
ソルビシン誘導性活性化に対する防御効果を、用量依存様式で、誘導性細胞に付
与するが非誘導性細胞には付与しないことを示した(図23)。従って、本発明
は、末梢性ベンゾジアゼピンリガンドが、そのリガンドが優先的にアポトーシス
を変えるか否か、そしてそのリガンドがミトコンドリア機能を優先的に変えるか
否かに基づいて識別され得るという、予期しなかった知見を提供する。データは
また、ベンゾジアゼピン関連PBRリガンドが、有効な抗アポトーシス薬剤とし
て作用し得ることを示す。このリガンドは、特定の神経病理学的状態および/ま
たは慢性炎症状態の処置において有益であり得る 上述から、本発明の特定の実施形態が本明細書中で例示の目的のために記載さ
れてきたが、本発明の精神および範囲から逸脱せずに、種々の改変がなされ得る
ことが理解される。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲によるもの以外、
限定されない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、細胞膜におけるPBRレセプターに対するPBRリガンド結合の検出
を示す棒グラフである。SY5Y神経芽細胞腫細胞を、ベクター単独でトランス
フェクトし、これはPBRをコードする遺伝子を含むか、またはアンチセンスの
配向でPBR遺伝子を含む。細胞膜タンパク質を、トリチウム化したPK−11
195とインキュベートし、そして、特異的な結合のレベルを100μgあたり
のcpmとして評価した。カラム1は、ベクター単独についての結果を示し、カ
ラム2は、PBRをコードするベクターについて検出された結合を示し、そして
、カラム3は、アンチセンスの配向でPBRを含むベクターについての結果を示
す。
【図2】 図2は、細胞膜におけるPBRレセプターに対するPBRリガンド結合の検出
を示す棒グラフである。ジャーカット細胞をベクター単独またはヒトPBRをコ
ードする遺伝子を含むベクターでトランスフェクトした。細胞膜タンパク質をト
リチウム化したPK−11195とインキュベートし、そして、特異的な結合の
レベルを1mgのタンパク質あたりのdpmとして評価した。カラム1は、トラ
ンスフェクトされていない細胞についての結果を示し、カラム2は、PBRをコ
ードするベクターについて検出された結合を示し、そして、カラム3は、ベクタ
ー単独についての結果を示す。
【図3】 図3Aおよび3Bは、ネイティブ(図3A)またはPBRでトランスフェクト
したSY5Y細胞中のトリチウム化したPK−11195についての飽和結合曲
線を示すグラフである。特異的結合(dpm)を、示されるように、遊離のPK
−11195の一連のレベルで評価した。
【図4】 図4は、ジャーカット細胞におけるトリチウム化したPK−11195につい
ての飽和結合曲線を示すグラフである。特異的結合(dpm)を、示されるよう
に、遊離のPK−11195の一連のレベルで評価した。
【図5】 図5は、PBRで安定してトランスフェクトした一連の単離されたSY5Yコ
ロニーについて観察されたPK−11195の特異的結合を比較する棒グラフで
ある。特異的結合(dpm/10μgタンパク質)を各コロニーについて評価し
た。
【図6】 図6は、PK−11195結合を示す3つのグラフからなる。図6(A)は、
PK−11195飽和結合を示す。図6(B)は、[H]PK−11195の
固定した濃度において、増加するS11タンパク質と共に結合が増加したことを
示す。図6(C)は、RO05−4864(4−クロロジアゼパム)およびPL
−11195の両方が[H]PK−11195と置換したことを示す。
【図7】 図7は、PBzRリガンド結合アッセイにおいてスクリーニングされた化合物
の表である。
【図8】 図8は、PBzRのC末端ペプチドに対する抗体の結合を示すウエスタンブロ
ットである。抗体でプローブした亜細胞画分は、PNS、リソソーム、およびミ
トコンドリアである。
【図9】 図9は、SY5Yネオマイシン耐性コロニーへの特異的なPK−11195の
結合を示す棒グラフである。
【図10】 図10は、末梢性ベンゾジアゼピンレセプターの過剰発現が、S11細胞のミ
トコンドリアに局在化することを示す。4つの画分を分析した:ホモジネート、
PNS、リソソーム、およびミトコンドリア。
【図11】 図11は、急性のPK−1195処理が、カルシウム誘導の透過性遷移の際の
S11ミトコンドリアからのチトクロムCの放出を起こすことを示す。
【図12】 図12は、S11細胞がPK−11195誘導の細胞死から保護されているこ
とを示す棒グラフである。
【図13】 図13は、S11細胞が、ベクターコントロールよりもエトポシド誘導のカス
パーゼ活性に対して、より感受性であることを示す棒グラフである。
【図14】 図14は、S11およびベクターコントロール細胞における、セラミドおよび
エトポシド誘導のカスパーゼ活性化の差次的な効果を示す棒グラフである。
【図15】 図15は、S11およびベクターコントロール亜細胞画分:ホモジネート、P
NS、リソソーム、およびミトコンドリアに結合する抗VDAC抗体を示す。
【図16】 図16は、S11細胞におけるPBzRの過剰発現が、増加したBcl−2レ
ベルと相関することを示す。図16(A)は、PBzR発現を示し、そして、図
16(B)は、Bcl−2レベルを示す。
【図17】 図17は、Bcl−XLレベルではなく、Bcl−2レベルが、複合体IV活
性に対して基準化されたS11ミトコンドリアにおいて増加したことを示す。図
17(A)、抗Bcl−2;図17(B)、抗Bcl−XL。
【図18】 図18は、S11細胞における増加したBcl−2レベルおよびPBzR過剰
発現を示す。
【図19】 図19は、IPBR−1誘導性PBzR過剰発現SH−SY5Y由来の細胞に
おける誘導性PBzRの発現を示す。
【図20】 図20は、IPBR−1細胞におけるCセラミド誘導のカスパーゼ活性化に
対する誘導されたPBzR過剰発現の効果を示す。
【図21】 図21は、IPBR−1細胞におけるドキソルビシン誘導のカスパーゼ活性化
に対する誘導されたPBzR過剰発現の効果を示す。
【図22】 図22は、IPBR−1細胞におけるSIN−1誘導のカスパーゼ活性化およ
び細胞生存度に対する誘導されたPBzR過剰発現の効果を示す。
【図23】 図23は、誘導されたIPBR−1細胞におけるドキソルビシン誘導のカスパ
ーゼ活性化に対する4−クロロジアゼパムの保護的効果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C12N 15/09 C12N 15/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ, VN,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 2G045 BB05 BB50 CB01 FB03 FB08 FB12 GC22 4B024 AA01 AA11 BA63 CA04 DA02 EA04 GA11 HA01 4B063 QA18 QQ08 QR32 QR55 QS31 4B065 AA90X AA99Y AB01 AC14 BA02 CA24 CA44 CA46

Claims (42)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 末梢性ベンゾジアゼピンレセプターに結合する因子のスクリ
    ーニング方法であって、該方法が、以下の工程: (a)末梢性ベンゾジアゼピンレセプターを過剰発現する細胞由来のミトコン
    ドリアを含むサンプルを末梢性ベンゾジアゼピンレセプターリガンドおよび候補
    因子と接触させる工程;および (b)該末梢性ベンゾジアゼピンレセプターリガンドの該末梢性ベンゾジアゼ
    ピンレセプターへの結合レベルを、候補因子のない場合の結合レベルに対して検
    出し、それから末梢性ベンゾジアゼピンレセプターに結合する因子を同定する工
    程、 を包含する、方法。
  2. 【請求項2】 前記サンプルが、末梢性ベンゾジアゼピンレセプターを過剰
    発現するインタクトな細胞を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記細胞が、透過化処理された細胞である、請求項2に記載
    の方法。
  4. 【請求項4】 前記細胞が、神経細胞である、請求項2に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記末梢性ベンゾジアゼピンレセプターが、ミトコンドリア
    の末梢性ベンゾジアゼピンレセプターである、請求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記末梢性ベンゾジアゼピンレセプターリガンドが、検出可
    能に標識される、請求項1に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記候補因子が、前記末梢性ベンゾジアゼピンレセプターリ
    ガンドのアゴニストである、請求項1に記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記候補因子が、前記末梢性ベンゾジアゼピンレセプターリ
    ガンドのアンタゴニストである、請求項1に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記末梢性ベンゾジアゼピンレセプターリガンドが、PK−
    11195、4−クロロジアゼパム、DAA1106またはDAA1097から
    なる群より選択される、請求項1に記載の方法。
  10. 【請求項10】 ミトコンドリア機能を変更する因子のスクリーニング方法
    であって、該方法が以下の工程: (a)以下を、候補因子の存在下で接触させる工程: (i)末梢性ベンゾジアゼピンレセプターを過剰発現する細胞由来のミトコ
    ンドリアを含むサンプル、および (ii)末梢性ベンゾジアゼピンレセプターリガンド; (b)該サンプル中の少なくとも1つのミトコンドリア機能を評価する工程;
    ならびに (c)該ミトコンドリア機能を、該候補因子の非存在下で検出されたミトコン
    ドリア機能と比較し、これからミトコンドリア機能を変更する因子を同定する工
    程、 を包含する、方法。
  11. 【請求項11】 ミトコンドリア機能を変更する因子をスクリーニングする
    方法であって、該方法が、以下の工程: (a)以下を、候補因子の存在下で接触させる工程: (i)末梢性ベンゾジアゼピンレセプターを過剰発現する細胞由来のミトコ
    ンドリアを含むサンプル、 (ii)ミトコンドリア膜電位を変化する化合物、および (iii)末梢性ベンゾジアゼピンレセプターリガンド; (b)該サンプル中の少なくとも1つのミトコンドリア機能を評価する工程;
    ならびに (c)ミトコンドリア機能を、該候補因子の非存在下で検出されたミトコンド
    リア機能と比較し、そしてそれからミトコンドリア機能を変更する因子を同定す
    る工程、 を包含する、方法。
  12. 【請求項12】 前記ミトコンドリア機能が、ミトコンドリア膜電位を測定
    することによって評価される、請求項10または11のいずれかに記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記ミトコンドリア機能が、アポトーシスのレベルを検出
    することによって評価される、請求項10または11のいずれかに記載の方法。
  14. 【請求項14】 前記ミトコンドリアが、インタクトな細胞内に存在する、
    請求項10または11のいずれかに記載の方法。
  15. 【請求項15】 前記ミトコンドリアが、透過化処理された細胞内に存在す
    る、請求項10または請求項11のいずれかに記載の方法。
  16. 【請求項16】 前記ミトコンドリアが、末梢性ベンゾジアゼピンレセプタ
    ーを過剰発現する細胞内に存在する、請求項10または請求項11のいずれかに
    記載の方法。
  17. 【請求項17】 前記候補因子が、末梢性ベンゾジアゾピンレセプターリガ
    ンドのアゴニストである、請求項10または請求項11のいずれかに記載の方法
  18. 【請求項18】 前記候補因子が、末梢性ベンゾジアゾピンレセプターリガ
    ンドのアンタゴニストである、請求項10または請求項11のいずれかに記載の
    方法。
  19. 【請求項19】 前記末梢性ベンゾジアゼピンレセプターリガンドが、PK
    −11195、4−クロロジアゼパム、DAA1106およびDAA1097か
    らなる群より選択される、請求項10または請求項11のいずれかに記載の方法
  20. 【請求項20】 前記細胞が、神経細胞である、請求項10または請求項1
    1のいずれかに記載の方法。
  21. 【請求項21】 ミトコンドリア機能を変更する因子のスクリーニング方法
    であって、該方法が、以下の工程: (a)以下を、候補因子の存在下で接触させる工程: (i)末梢性ベンゾジアゼピンレセプターを過剰発現する細胞、 (ii)化学治療剤、および (iii)末梢性ベンゾジアゼピンレセプターリガンド; (b)該細胞中のBcl−2リガンドに結合するBcl−2のレベルを検出す
    る工程;ならびに (c)該結合レベルを、該候補因子の非存在下で検出されたBcl−2リガン
    ドに結合するBcl−2のレベルと比較し、そしてそれから、ミトコンドリア機
    能を変更する因子を同定する工程、 を包含する、方法。
  22. 【請求項22】 前記細胞が、Bcl−2を過剰発現する、請求項21に記
    載の方法。
  23. 【請求項23】 前記細胞が、神経細胞である、請求項21に記載の方法。
  24. 【請求項24】 前記細胞が、透過化処理される、請求項21に記載の方法
  25. 【請求項25】 前記候補因子が、末梢性ベンゾジアゼピンレセプターリガ
    ンドのアゴニストである、請求項21に記載の方法。
  26. 【請求項26】 前記候補因子が、末梢性ベンゾジアゼピンレセプターリガ
    ンドのアンタゴニストである、請求項21に記載の方法。
  27. 【請求項27】 前記末梢性ベンゾジアゼピンレセプターリガンドが、PK
    −11195、4−クロロジアゼパム、DAA1106およびDAA1097か
    らなる群より選択される、請求項21に記載の方法。
  28. 【請求項28】 前記ミトコンドリア機能が、ミトコンドリア膜電位を測定
    することにより評価される、請求項21に記載の方法。
  29. 【請求項29】 前記ミトコンドリア機能が、アポトーシスのレベルを検出
    することにより評価される、請求項21に記載の方法。
  30. 【請求項30】 請求項29に記載の方法であって、ここで、前記アポトー
    シスのレベルを比較する工程が、前記細胞の生体色素染色、細胞の小疱形成、カ
    スパーゼ活性、DNAの断片化、シトクロムc放出、および該細胞に対するアネ
    キシン結合からなる群より選択されるアッセイの定量による、方法。
  31. 【請求項31】 請求項1、10、11または21のいずれか1項に記載の
    方法であって、ここで末梢性ベンゾジアゼピンレセプターを過剰発現する前記細
    胞が、該末梢性ベンゾジアゼピンレセプターを発現するように誘導され得る、方
    法。
  32. 【請求項32】 アポトーシスを優先的に変更する末梢性ベンゾジアゼピン
    レセプターリガンドを同定するための方法であって、該方法が以下: (a)以下: (i)末梢性ベンゾジアゼピンレセプターリガンド、 (ii)末梢性ベンゾジアゼピンレセプターを過剰発現するように誘導され
    得る細胞、および (iii)アポトゲン、 を、該細胞中でアポトーシスを誘導するに十分な条件下および時間で、接触させ
    る工程;ならびに (b)(i)末梢性ベンゾジアゼピンレセプターを過剰発現するように誘導さ
    れた該細胞におけるアポトーシスのレベルを、(ii)末梢性ベンゾジアゼピン
    レセプターを発現するように誘導されていない該細胞におけるアポトーシスのレ
    ベルと比較する工程であって、ここで、該誘導されていない細胞における該アポ
    トーシスのレベルに対して該誘導された細胞におけるアポトーシスの減少したレ
    ベルは、該末梢性ベンゾジアゼピンレセプターリガンドが、優先的にアポトーシ
    スを変更することを示す、工程、 を包含する、方法。
  33. 【請求項33】 ミトコンドリアの機能を優先的に変更する末梢性ベンゾジ
    アゼピンレセプターリガンドを同定するための方法であって、該方法が以下: (a)以下: (i)末梢性ベンゾジアゼピンレセプターリガンド、 (ii)末梢性ベンゾジアゼピンレセプターを過剰発現するように誘導され
    得る細胞、および (iii)ミトコンドリア機能を変更する因子、 を、該細胞における少なくとも1つの変更されたミトコンドリア機能を誘導する
    のに十分な条件下および時間で、接触させる工程;ならびに (b)(i)末梢性ベンゾジアゼピンレセプターを過剰発現するように誘導さ
    れた該細胞における少なくとも1つのミトコンドリア機能のレベルを、(ii)
    末梢性ベンゾジアゼピンレセプターを過剰発現するように誘導されていない該細
    胞における該少なくとも1つのミトコンドリア機能のレベルを比較する工程であ
    って、ここで、該誘導されていない細胞におけるミトコンドリア機能のレベルに
    対して該誘導された細胞におけるミトコンドリア機能の減少したレベルは、該末
    梢性ベンゾジアゼピンレセプターリガンドが、優先的にミトコンドリア機能を変
    更することを示す、工程、 を包含する、方法。
  34. 【請求項34】 請求項32または請求項33のいずれかに記載の方法であ
    って、ここで、末梢性ベンゾジアゼピンレセプターを過剰発現するように誘導さ
    れ得る前記細胞が、神経細胞由来であり、そして前記末梢性ベンゾジアゼピンレ
    セプターリガンドが、神経保護的である、方法。
  35. 【請求項35】 改変された細胞株であって、該細胞株は、該細胞が由来す
    る、親細胞株よりも少なくとも約10倍多く末梢性ベンゾジアゼピンレセプター
    タンパク質を発現し、Bcl−2を過剰発現する、細胞株。
  36. 【請求項36】 請求項35に記載の細胞株であって、該細胞株が由来する
    親細胞よりも少なくとも約3倍多くBcl−2タンパク質を発現するように改変
    される、細胞株。
  37. 【請求項37】 前記親細胞株が、神経芽細胞腫細胞株である、請求項35
    に記載の細胞株。
  38. 【請求項38】 S11と称される、請求項35に記載の細胞株。
  39. 【請求項39】 改変された細胞株であって、該細胞株は、該細胞株が由来
    する親細胞株よりも少なくとも約10倍多く末梢性ベンゾジアゼピンレセプター
    タンパク質を発現するように誘導され得る、細胞株。
  40. 【請求項40】 請求項39に記載の細胞株であって、該細胞株が由来する
    親細胞株よりも少なくとも約3倍多くBcl−2タンパク質を発現するように改
    変される、細胞株。
  41. 【請求項41】 前記親細胞株が、神経芽細胞腫細胞株である、請求項39
    に記載の細胞株。
  42. 【請求項42】 誘導可能なPBzRを過剰発現するSH−SY5Y由来細
    胞株またはIPBR−1と称される、請求項39に記載の細胞株。
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