JP2003510112A - 直交偏光スペクトルイメージングの医学的応用 - Google Patents

直交偏光スペクトルイメージングの医学的応用

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ジー.ナドウ リチャード
ダブリュー.ウィンケルマン ジェイムズ
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ダブリュー.ウィンケルマン ジェイムズ
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Abstract

(57)【要約】 直交偏光スペクトル(OPS)イメージング技術の医学的応用を提示する。この技術により、血管構造、環内の血流、腺構造などの表層下現象の高コントラスト画像、ならびに固形器官の表面の高解像度画像が提供される。医学および薬学分野におけるこの技術の多くの臨床学的(診断および治療上の)応用、ならびに研究上の応用について説明する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の背景) 1.発明の分野 本発明は、直交偏光スペクトル(OPS)イメージング解析に関する。本発明
は、より詳細には、対象の微小血管および/または血管系を直接的に、かつ多く
の場合は非侵襲的に映像化し、特徴づけ、評価し、監視し、かつ/または解析す
るためのOPSイメージングの生体内の医学的および臨床学的使用に関する。本
発明は、基礎研究および臨床学的研究に向けた、さらには教育ツールとしての反
射スペクトルイメージング解析の生体外および生体内での応用にも関する。
【0002】 2.関連技術 例えば、糖尿病、高血圧症、多くの眼科学的症状、および、冠状動脈心臓疾患
を含む様々な疾病状態が、それぞれ特異な微小血管病理を生んでいる。今日まで
は、診断および/または治療に向けた人体の微小循環のイメージングは、血管が
目に見え、さらには、表面(例えば、爪郭や結膜)に近い血管床に限定されてい
た。
【0003】 例えば、末梢血管疾患、レーノー現象、糖尿病および血液病に爪郭毛細管顕微
鏡が使用されてきた(Forst,T.他、Clinical Science
(臨床科学)94:255−261(1998年);Fagrell、B.およ
びBollinger,A.、Clinical Capillaroscop
y(臨床毛細管顕微鏡):A Guide to Its Use in Cl
inical Research and Practice(臨床学的研究お
よび実務におけるその使用の手引き)、Hogrefe & Huber、シア
トル(1990年);Fagrell,B.およびIntaglietta,M
.、J.Int.Med.241:349−362(1997年))。これらの
研究は、毛細管密度、毛細管形状および血流速度に関する実験データを得るため
に行われたもので、毛細管に対する総体的な物理的測定に限定されていた。スペ
クトル測定や個別的な細胞測定は行われず、速度を評価するのにドップラ技術が
用いられていた。
【0004】 眼科学における臨床的応用に対する球状結膜管の使用は、運動上の問題により
制限されてきた(Davis,E.およびLandau,J.、Clinica
l Capillary Microscopy(臨床毛細管顕微鏡)、Tho
mas(トーマス),スプリングフィールド(1966年);Fenton,B
.M.他、Microvasc.Res.18:153−166(1979年)
;Wolf,S.他、Hypertension 23:464−467(19
94年))。
【0005】 生体顕微鏡によって観察された他のロケーションは、皮膚、唇、歯肉および舌
の微小循環を含む(Davis,E.およびLandau,J.、上掲)。
【0006】 レーザ走査共集イメージングは、生体内微小循環の反射光イメージングを可能
にする1つの新しい技術である(Bussau,L.J.他、J.Anat 1
92(Pt 2):187−194(1998年);Rajadhyaksha
,M.他、J.Invest.Dermatol.104:946−952(1
995年))。この方法は、皮膚層を区別し、皮膚内の微小循環を画像化するこ
とが可能である。しかしながら、レーザ走査共集顕微鏡を用いて得られた画像は
、正規のビデオレートの数分の1程度(16対30フレーム/秒まで)のレート
でしか収集することができず、この技術を用いた微小血管画像にはコントラスト
を高めるための蛍光ラベルが必要である(Bussau,L.J.他、上掲)。
【0007】 従来の技術を使用して人体の器官における他の器官を直接観察することは、コ
ントラストを高めるための透視や蛍光染料が必要とされることや、あるいは、特
に外科手術の際に、画像を取得するために必要な機器の大きさにより行われてこ
なかった。
【0008】 最近、反射分光に基づく生体内(in vivo)での分析に向けたいくつか
の装置が開発されている。しかし、これらの従来的な反射型装置は、いくつかの
理由で最適なものとはいえない。
【0009】 米国特許第4,998,533号(James W.Winkelman(1
991年))には、生体内分析のための1つの非侵襲的装置が開示されている。
この装置は、画像解析および反射分光を利用して細胞サイズの如き個々の細胞パ
ラメータを測定するものである。測定は、個々の細胞を見ることができる毛細管
の如き微小管の中でのみ行われる。この装置は、毛細管の中でしか測定を行わな
いため、実施された測定は、より大きな管に対する測定を正確に反映するもので
はない。その結果、ウィンケルマン(Winkelman)装置は、中枢または
真のヘマトクリット、あるいは、静脈の如き大きな血管内の全血液の容量に対す
る赤血球の容量の比率に依存する全ヘモグロビン濃度を測定することができない
【0010】 ウィンケルマン装置は、微細毛細管を流れる個々の血球をカウントすることに
よって、赤血球に対する白血球の相対的な数を測定する。ウィンケルマン装置は
、濃度を推定するために、充分に信頼できる数の白血球を蓄積することに依存す
る。ウィンケルマン装置は、血小板を映像化およびカウントすることを可能にす
る手段、ならびに毛細管血漿を映像化し、または、毛細管血漿の成分を定量化す
ることを可能にする手段を与えるものではない。また、この装置は、腫瘍細胞の
如き血液の異常成分を検出することを可能にする手段を与えない。
【0011】 他の装置は、検出領域の血管に照明源を直接当てる光照射手段を利用している
。その結果、これらの装置は、患者に対する装置の動きに対する感度が極めて高
くなる。装置または患者の動きに対する感度のこのような上昇によって、結果が
不安定になる可能性がある。この運動感度を抑制するために、これらの装置には
安定および固定化手段が必要となる。
【0012】 他の従来的な装置は、伝統的な暗視野照明技術に基づいて開発されたものであ
る。伝統的な顕微鏡において理解されるように、暗視野照明は試験体を照明する
ものの、対象に対する直接的な光を受け入れない。例えば、伝統的な暗視野イメ
ージング手法は、照射光の角度分布と、イメージングに向けて対象が集光する光
の角度分布が互いに排他するように画像面を照明する。しかし、照射光はディテ
クタの視野に対して入射するため、光学的活性組織を画像経路内に散乱させるこ
れらの装置は、画像コントラストを低下させる方位依存性の後方散乱または画像
玄輝を発生させる可能性がある。さらに、これらの装置の回転によってコントラ
ストが変化しうる。
【0013】 これまでのところ、眼の内部の微小循環の映像化および特徴付けを行う非侵襲
的方法は存在しない。主たる興味の対象は、網膜および視神経円板の微小循環で
ある。外的な眼体構造の微小循環、さらには、良性および悪性腫瘍、ならびに、
例えば様々な形の釜状血球病において生じる赤血球の泥化および凝集において発
生する循環障害の如き疾病過程に関連して生じる変化にも関心が寄せられる。
【0014】 網膜の循環は、真性糖尿病、鎌形赤血球貧血症、および、マクログロブリン血
症の如き多くの身体疾病に影響される。様々な種類の黄班変性も循環変化に影響
される。実際、網膜の微小循環に影響する他の多くの眼症状および身体症状が存
在する。緑内障は、通常は高い眼圧に関連する眼の症状である。しかし、試験し
た際に内部眼圧の上昇が認められない緑内障は、しばしばローテンション緑内障
と呼ばれる。緑内障において、視覚低下は、衝撃を最終的に視覚と解釈する脳に
伝達する視神経内の神経繊維の機能低下および死に関連する。いくつかの神経繊
維の機能低下、および、いくつかの神経繊維の死に寄与して視覚に影響を与える
視神経円板の微小循環の変化が生じる。視神経円板は、様々な種類の検眼鏡また
は眼低カメラの如き機器を使用することによって、正常な目で容易に映像化され
る。視神経円板の微小循環、周囲構造、および、この領域における微小循環に対
する治療の効果、ならびに、眼内構造の他の部分については現在のところほとん
ど把握されていない。
【0015】 現在の技術では、患者の循環系に各種染料を注入した後でのみ様々な眼内構造
の微小循環を映像化する。次いで写真を撮る。漏出する網膜管または毛細管のレ
ーザ切除の如き処理が必要な場合は、通常はレーザの隣のスクリーン上に配置さ
れる写真と、処理を行う医師の目に見えるものとを比較することによってこれを
実施する。眼体の微小循環、ならびに、他の人体の他の組織および器官の、映像
化および特徴付けを行う新しい方法が必要とされることは明らかである。
【0016】 (直交偏光スペクトル(OPS)イメージング) OPSイメージングは、反射光を用いた微小循環の映像化および特徴付けを行
う新規の方法であって、粘膜ならびに固形器官の表面の微小循環の非侵襲的イメ
ージングを可能にする。
【0017】 OPSイメージングは、そのすべてを本願に全面的に引用して援用するGro
nerおよびNadeauによる米国特許第5,983,120号(1999年
11月9日発行)、米国特許第6,104,939号(2000年8月15日発
行)、および、PCT出願WO97/15229号に記載されている。特許第5
,983,120号および第6,104,939号とWO97/15229号の
出願の両方において、GronerおよびNadeauは微小循環の高解像度画
像を使用して、白血球差(CBC+Diff)を含む全血球算定(CBC)の主
要素を直接測定および計算した。CBC+Diffは、最も頻繁に要求される診
断試験の1つで、米国では1年間に20億回も実施されている。OPSイメージ
ングと画像処理と反射分光とアルゴリズム算定との組み合わせを使用して、体内
から血液試料を採取することなく、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット、赤血球
および白血球数ならびに血小板の数を求めた。
【0018】 加えて、OPSイメージング技術を使用して、血液の血漿成分の中に存在する
非細胞成分(例えば、血液ガスおよびビリルビン)の如き他の種類の血液成分を
非侵襲的に測定した。明らかに、各種の血液および血管特性を迅速かつ非侵襲的
に定量することによって、新生児、老齢患者、火傷患者、および特別治療室の患
者に対して特定の問題をもたらしうる静脈血液試料を採取して、血液特性を確認
する必要性が払拭される。この種の装置は、患者に対する評価の試験結果を待つ
ことによる遅れをも払拭する。当該装置は、患者に快適さを与えるとともに、エ
イズ、ウィルス性肝炎、および血液によって運ばれる他の疾病に曝される危険性
を取り除く利点をも有する。非侵襲的血液検査は、現行の医療活動において実質
的な有用性をもつことになる。
【0019】 血管系の高コントラスト生体内イメージングに向けた強調OPSイメージング
システムが、米国特許同時係属出願第09/401,859号(1999年9月
12日提出)に記載されており、全面的に本願に引用して援用される。
【0020】 したがって、OPSイメージングは、血管系の完全非侵襲的生体内分析用装置
に高画質を付与する。この装置は、血球成分(赤血球、白血球および血小板)、
血液流動、血液が移動する管、および血管系を通じての血管分析の高解像度の映
像化および特徴付けを行う。さらに、この装置は、玄輝、および従来の反射分光
システムに生じる好ましくない他の人為現象を最小限に抑える。
【0021】 上記文書には、OPSイメージングについての説明が充分に記載されているが
、この技術について簡単に考察する。
【0022】 OPSイメージングでは、直線的に偏光した光を組織に照射し、照射光の平面
に直交する偏光器を介して組織を画像化する。組織内で散乱した消極光子のみが
画像に寄与する。OPSイメージングの光学的応答は直線的で、典型的には透過
分光測光によって達成される広範囲な光学密度を対象とした反射分光測光を実施
するのに利用できる。
【0023】 OPSイメージングでは、一平面において直線的に偏光した光を対象媒体に照
射しながら、この照射面に厳密に直交する平面で配向する第2の偏光器(分析器
)を介してその反射光を画像化する。画像を形成するために、光を集光し、波長
領域を隔離させるためにスペクトルフィルタに通し、直線的に偏光させる。次い
で、偏光した光をビームスプリッタにより目標の方向に反射させる。対物レンズ
により、径が約1mmの領域に光を集める。対物レンズの長さは変えることが可
能で、代表的な2つのOPSイメージングプローブは、3インチおよび8インチ
の対物レンズを備える。目標から反射した光を同じ対物レンズによって集光し、
次いでそれにより、電荷結合素子(CCD)ビデオカメラまたは相補形金属酸化
膜半導体(CMOS)ビデオカメラの如きイメージングディテクタによって、目
標内の照明領域の画像を形成する。偏光分析器はカメラの直前に配置される。効
率を最大限に高めるように偏光ビームスプリッタを選択することが可能である。
すなわち、1つの直交偏光状態が反射されるのに対して他の直交偏光状態は透過
する。
【0024】 偏光においては、偏光の状態は通常の反射ならびに単一の散乱事象に保たれる
。典型的には、効率的に光を消極するために10以上の散乱事象が必要となる(
MacKintosh,F.C.他、Phys.Rev.B 40:9342(
1989年);Schmitt,J.M.他、Applied Optics(
応用光学)31:6335(1992年))。したがって、媒体内部の比較的深
いところで生じる複合散乱(単一散乱の長さの10倍以上)からは、分析器を通
過することのできる対象からの反射光のみが発生する。この消極散乱光は、前景
においてあらゆる吸収物質を逆照射する。ヘモグロビン吸収スペクトル内の波長
が選択される場合は、透視型生体内鏡検にOPSイメージングを使用して末梢微
小循環の血管を映像化することができる。最適な微小循環のイメージングに向け
て、オキシおよびデオキシヘモグロビンの等吸収点(548nm)を中心とする
波長領域が選択された。この波長領域は、ヘモグロビンの吸収が最大になるもの
の散乱長が短いソーレ領域の等吸収点(約420nm)を用いること、または組
織の深部で複合散乱が生じるものの、ヘモグロビンの吸収はより小さな管におい
て良好なコントラストを与えるには不充分である近赤外領域の等吸収点(810
nm)を用いることの妥協点である。
【0025】 血球の映像化および特徴付けを可能にする吸収特性に関わらず、散乱光を用い
て表層化の細胞構造を観察できることが注目される。
【0026】 従来的な反射分光法は、分析物を適用した拡大拡散反射面に対して実施される
。典型的には、反射分光法は、0から3ODの変化を容易に測定できる透過分光
法に比べて、光学密度(OD)の測定範囲がはるかに制限される。反射光分光法
では、鏡面反射および光散乱によって分析物の見かけのODが低下する。反射お
よび光散乱は、分析物の化学的濃度ではなく物理的特性によるものである(Ko
rtum,G.Reflectance Spectroscopy(反射分光
法)、Springer−Velag、ニューヨーク(1969年))。
【0027】 OPSイメージングは、一部には、反射および光散乱に起因する反射分光法に
固有のある種の交絡誤差を取り除くために開発されたものである。OPSイメー
ジング技術を使用して、反射において、典型的には標準的な透過分光法でしか達
成されない広範囲なODを測定できることが研究によって証明された。
【0028】 OPSイメージングの理論的な説明は、反射光に画像を形成するには、照明の
ための散乱とコントラストのための吸収の両方が必要であることを想起すること
から始まる。連続的な媒体において、これらは典型的に一対の物質定数(係数)
の結果と見なされる(Star,W.M.他、Phys Med Biol 3
3:437−454(1988年))。散乱および吸収はともに浸透に直線的に
依存性し、反射光強度はそれらの係数の比によって与えられる(Kortum,
G.Reflectance Spectroscopy(反射分光法)、Sp
ringer−Velag、ニューヨーク(1969年))。したがって、散乱
が画像解像度を低下させるため、一般に、濁った媒体では高質のイメージングは
不可能である。しかし、OPSイメージングでは、複合散乱によってのみ反射照
明が行われる。これは、明らかに浸透深さの非直線的関数であるため、吸収から
分断される。その結果、浅いところでの吸収物質を高コントラストかつ高解像度
で映像化し、特徴づけることが可能になる。
【0029】 (OPSイメージングと生体内顕微鏡との比較) ハムスターにおいて、蛍光生体内顕微鏡(Harris,A.G.他、int
.J.Microcirc.−Clin.Exp 17:322−327(19
97年))とOPSイメージングとを比較したところ、管理条件下で虚血性損傷
後に測定した生理学的パラメータでは同等であることが証明された(Harri
s,A.G.他、The study of the microcircul
ation using orthogonal polarization
spectral imaging(直交偏光スペクトルイメージングを用いた
微小循環の研究)、Yearbook of Intensive Care
and Emergency Medicine 2000(集中治療および緊
急医療年鑑)、Ed.J.−L.Vincent、Springer−Verl
ag、ベルリン、pp705−14(2000年))、Harris,A.G.
他、Validation of OPS imaging(OPSイメージン
グの妥当性評価)、21st European Conference on
Microcirculation(21世紀微小循環欧州会議)、Ed.B
.Fagrell、Bologna、Monduzzi Editore、pp
.43−48(2000年)。
【0030】 関連する病理学的パラメータ、および微小循環の病態生理学的変化の定量を行
うOPSイメージングの能力は、覚醒時のシリアゴールデンハムスターの背側皮
膚郭室における機能的毛細管密度(FCD)によって証明された。FCDは、観
察領域毎の赤血球灌流毛細管の長さとして定められ、cm/cmで与えられる
。毛細管には、その測定でカウントされる流動赤血球が含まれるため、FCDは
栄養性組織灌流の直接的な尺度であるとともに、組織に対する酸素伝達の間接的
な尺度である(Harris,A.G.他、Am.J.Physiol.271
:H2388−2398(1996年))。ハムスターの背側皮膚郭モデルは標
準化され、虚血性/再灌流損傷を調べるのに広く使用されてきた(Id.;No
lte、D.他、Int.J.Microcirc.−Clin.Exp.15
:244−249(1995年))。
【0031】 4時間の圧迫虚血から0.5時間および2時間後に、標準的な生体内蛍光ビデ
オ顕微鏡(IVM)(Harris,A.G.他、Int.J.Microci
rc.−Clin.Exp 17:322−327(1997年))および基線
のOPSイメージングを使用して、同じ毛細管網に対してFCDを測定した(N
olte,D.他、Int J.Microcirc−Clin Exp 15
:9−16(1995))。両方の方法によって、1匹当たり全部で6つの毛細
管網を画像化し、ビデオテープに記録した(n=10)。コンピュータ支援微小
循環解析システム(CapImage(商標))(Klyscz,T.他、Bi
omed Tech(Berl)42:168−175(1997年))を使用
し、反復再生を通じて両システムからの画像を解析し、両方の方法による画像を
用いてFCDを測定した。2つのイメージング法を平等に使用してFCDを測定
した。さらに、Bland−Altman(ブランド−アルトマン)解析(Bl
and,J.M.およびAltman,D.G.、Lancet 1:307−
310(1986年))により、それらの方法が極めてよく一致しているととも
に、FCD測定全体を通じて系統的な偏りがないことが示された。
【0032】 ハムスターの背側皮膚郭微小循環の画像対に対するOPSイメージングと蛍光
法とのコントラストを直接比較した。絶対コントラストにおいて、それら2つの
方法に大きな差が認められなかった(p=0.43、対t試験)。したがって、
染料を使用しないOPSイメージングによって得られたコントラストは、IVM
によるコントラスト強調によって得られたものと同等であった。
【0033】 以下の試験では、標準的なIVMを使用して、生理学的かつ病態生理学的状態
において、CYTOSCAN(商標)A/R(Cytometrics(サイト
メトリクス)社保有の高コントラストOPSイメージング装置)に対する評価を
実施した。
【0034】 方法:覚醒時のシリアゴールデンハムスターの背側皮膚郭室モデルにおいて、
4時間の虚血前後に、管径、RBC速度および機能的毛細管密度(FCD)を測
定した。室内で成長する腫瘍においては、メラニン欠乏性黒色腫細胞を移植して
から3、6および9日後に測定を行った。ラットの肝臓においては、60分間の
虚血前後に、血管径、RBC速度および灌流シヌソイドの数を測定した。ブラン
ド−アルトマングラフを使用してデータを解析して、2つの方法(IVM対CY
TOSCAN(商標)A/R)の合致性を調べた。
【0035】 結果:すべての3つの方法において、血管RBC速度の測定については、それ
ら2つの方法が極めてよく合致していた。偏りがなく、全範囲を通じて分散形態
が一定し、許容範囲である95%の信頼区間が確保され、全データポイントの9
5%がこの範囲内にあった。灌流(perfusion)の測定(室内のFCD
、腫瘍内の機能的管密度、および肝臓における灌流シヌソイドの数)についても
、それら2つの方法の間に良好な合致性が認められた。ハムスターの室(筋肉お
よび腫瘍)では、管径の測定については良好な合致性が示されたが、IFMにつ
いては4ミクロンの偏りが認められた。それら2つの方法は2つの異なる径を測
定し(内皮細胞から内皮細胞(IFM)対RBCカラム(OPSイメージング)
)、さらに蛍光分散によって管がより大きく見えるため、これは実際に予測され
るものである。肝臓においては、管径の測定についてそれら2つの方法の間に良
好な合致性が認められた。膵臓、腸、脳および皮膚弁、ならびに創傷治癒におい
ても同様の結果を得た。
【0036】 結論:CYTOSCAN(商標)A/Rを使用して、動物モデルの様々な器官
における管径、RBC速度および灌流の厳密な微小血管測定を行うことが可能で
ある。したがって、人体においても同様の測定が可能である。
【0037】 (生体外の光学密度の定量) 局所ヘマトクリットに関する定量データは、血液ヘモグロビンを利用した透視
法によって得ることができるが、赤血球の系光ラベリングを行わない落射照明法
を使用しても得ることはできない。薄い組織切片(ラットの隔膜や精巣筋など)
において、生体内顕微鏡を使用して局所ヘマトクリットを求めるための試験が既
に行われている(Pittman,R.N.およびDuling,B.R.、J
.Appl.Physiol.38:321−327(1975年))。それら
の試験に使用された光学システムについては、ヘモグロビン溶液および/または
全血で満たされたガラス毛細管を使用して評価および検定が行われた(Pitt
man,R.N.およびDuling,B.R.、J.Appl.Physio
l.38:315−320(1975年);Lipowsky,H.H.他、M
icrovasc Res 24:42−55(1982年))。
【0038】 OPSイメージングシステムは、透視法によって得られたものと同様の血液充
填毛細管の画像を生成することが証明された(Groner,W.他、Nat.
Med.5:1209−1213(1999年))。希釈された全血またはヘモ
グロビンの溶液で満たされたガラス毛細管に対して行った一連の測定について、
透視法とOPSイメージングによって得られた光学密度を比較した。受光素子は
同一であった。基本的に光学密度は同一であった(r=0.984)。したが
って、OPSイメージングは、落射照明法での光学密度アプローチを用いた局所
ヘマトクリットの定量に有用性を発揮することができる。
【0039】 OPSイメージングはヘモグロビンの吸収を利用してコントラストを生成する
。したがって、管には、映像化するRBCを含めなければならない。測定につい
ては、管の径が、カメラおよび光学素子の最小解像度を径を上回る必要がある。
これら特定の画像については、カメラの倍率は1マイクロメートル/ピクセルで
あった。したがって、そのシステムの解像力は、単一のRBC、および径が約5
μmの個々の毛細管を分解するのに充分なものであった。最後に、RBCと周囲
組織の間のコントラストが充分なものでなければならない。
【0040】 OPSイメージング技術は、米国特許5,983,120号および6,104
,939号(CronerおよびNadeau)に記載され、血管系の高コント
ラスト生体内イメージングに向けた強調OPSイメージングシステムは、米国特
許同時係属出願第09/401,859号(1999年9月22日提出)に記載
されているが、この画期的技術の医学的かつ臨床学的応用、ならびに研究上の応
用はまだ充分に実現されていない。
【0041】 (発明の概要) 本発明は、微小循環の映像化および特徴付けを行うOPSイメージング技術に
関する。これら新規の医学的応用は、人体および/または動物の微小血管病理に
向けた新規の臨床試験の開発につながる可能性がある。
【0042】 よって、本発明は、循環障害を検出する方法であって、(a)直交偏光スペク
トル(「OPS」)イメージングプローブを使用して、循環障害にかかっている
個体、または順肝障害にかかっている疑いのある個体の微小循環の単一取込み画
像または画像のシーケンスを取得することにおいて、(i)この個体の微小循環
系における組織に第1の偏光面に偏光する光を照射するステップと、(ii)こ
の組織から反射される少なくとも1つの画像または画像のシーケンスを取り込む
ステップであって、この第1の偏光面に実質的に直交する偏光面を有する分析器
にこの反射画像を通過させて生の反射画像を生成することによって、取込み画像
を取得するステップとを含み、かつ(b)この取込み画像を解析して微小循環の
特性を識別することによって、この循環障害を識別することを含む方法を提供す
る。
【0043】 さらに、本発明は、医学的処理の前、最中または後に個体の微小循環を監視す
る方法であって、(a)医学的処理の前、最中または後に、OPSイメージング
プローブを使用して、個体の微小循環の単一取込み画像または画像のシーケンス
を取得することにおいて、(i)この個体の微小循環系における組織に第1の偏
光面に偏光する光を照射するステップと、(ii)この組織から反射される少な
くとも1つの画像または画像のシーケンスを取り込むステップであって、この第
1の偏光面に実質的に直交する偏光面を有する分析器にこの反射画像を通過させ
て生の反射画像を生成することによって、取込み画像を取得するステップとを含
み、かつ(b)この取込み画像を解析して、医学的処理の前、最中または後に前
記個体の微小循環を監視することを含む方法を提供する。
【0044】 小さなサイズの光学プローブは、(出血性、敗血性)ショック、高血圧症、高
山病、糖尿病、鎌型赤血球貧血症、および他の多くの赤血球または白血球異常の
如き、微小循環に衝撃を与えることが知られている微小血管続発症の状態を評価
および監視する実験および臨床環境における非侵襲的診断ツールとしての使用が
容易である。非侵襲的応用に加えて、手術(移植、心臓、血管、整形、神経、形
成など)、創傷治癒、腫瘍診断および治療、ならびに集中治療時における微小循
環のイメージングおよび定量分析もOPSイメージング技術の応用である。反射
光を利用して人間の微小循環の高コントラスト画像を取得する機能により、これ
までアクセスできなかった多くの部位における毛細管密度、管(および微小管)
形態、管密度、血管痙攣、赤血球(RBC)速度、細胞形態、管径、白血球内皮
細胞間相互作用、血管運動の如き血管動態、機能的管密度、機能的毛細管密度、
血流、領域周辺比、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリットのようなパラメータの定
量が可能になる。好ましくは、OPSイメージングを用いて2つ以上のパラメー
タを測定する。これらの測定は、組織の生活能力および微小血管機能に衝撃を与
えるそれらの疾病の臨床治療の最中に灌流を評価する高精度のツールを開発する
上での手段となる。この手法を用いれば、医師は、微小血管障害の進行および発
生を追跡するとともに、微小循環に対する治療の効果を直接監視できるようにな
る。
【0045】 微小循環のOPS画像は、測定するパラメータに応じて単一取込みOPS画像
、または画像のシーケンスでありうる。
【0046】 単一取込み画像により測定することが可能なパラメータとしては、管径(管は
動脈、毛細管および静脈を含むことができる)、管形態、細胞形態、毛細管密度
、管密度、領域周辺比および血管痙攣が挙げられる。
【0047】 動的であるため、画像のシーケンスによってのみ測定可能なパラメータとして
は、赤血球速度、機能的毛細管密度、機能的管密度、血流、白血球内皮細胞間相
互作用(回転白血球および粘着(付着性)白血球を含む)、および血管運動の如
き血管動態が挙げられる。
【0048】 したがって、本発明は、米国特許第5,983,120号および第6,104
,939号に記載されているOPSイメージングプローブ装置(ここでは「標準
」プローブとも呼ばれる)、ならびに米国特許同時係属出願第09/401,8
59号(1999年9月22日提出)に記載されているOPSイメージングプロ
ーブ装置(ここでは「高コントラスト」プローブとも呼ばれる)の新規の医学的
応用に向けられる。本明細書に記載される医学的応用は、標準OPSイメージン
グシステムと高コントラストイメージングシステムの両方に適用可能であると考
えられる。しかし、多くの場合は高コントラスト画像が好ましい。
【0049】 本明細書に記載されるOPSイメージング技術は、対象者および対象動物のイ
メージング、ならびに研究および教育における生体外での応用に有用である。
【0050】 使用される装置は、光源、照明システムおよびイメージングシステムを含む。
光源は、その光源と、対象が配置される面(対象面)との間の照明経路に沿って
伝播する照射ビームを与える。照明システムは、照射ビームを高コントラスト照
明パターンに変換し、その照明パターンを表層下の対象上に投射する。その照明
パターンは、高強度部と低強度部を有する。そのイメージングシステムは、患者
の皮膚の下の血液または組織、ならびに手術時に露出する内臓器官(心臓、脳、
結腸)の血液または組織の如き表層下の対象の画像を検出する画像取込み装置を
含む。
【0051】 人間および動物において、アクセス不可能な部位または固形器官に対しては、
透過顕微鏡による生体内イメージングは不可能である。OPSイメージング法は
、小サイズの光学プローブを採用し、固形器官の表面から、また覚醒時の人間の
舌下部の如き部位からの反射により微小循環の明確な画像を生成する。したがっ
て、OPSイメージングは、正常な微小欠陥構造と病的な微小欠陥構造との違い
を明確にし、非侵襲的に機能することが可能である。疾病の診断および進行、な
らびに治療の効果を、微小血管機能の変化が記録された疾患に対して監視する。
【0052】 本発明の一実施形態では、標準または高コントラストOPSイメージングプロ
ーブを、生体内の癌の診断や予診に、または癌手術の補助手段として使用する。
【0053】 本実施形態の一態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプロ
ーブを上皮または上皮細胞間腫瘍、または前癌症状の診断に使用する。OPSイ
メージングによって診断しうる上皮または上皮細胞間腫瘍の例としては、頚部、
皮膚、食道、気管支、腸または結膜腫瘍が挙げられる。
【0054】 本実施形態の他の態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプ
ローブを使用して、癌治療の前、最中または後に腫瘍の境界または腫瘍の辺縁の
評価を行う。
【0055】 本実施形態の他の態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプ
ローブを使用して、様々な種類の腫瘍をそれらの血管構造に基づいて診断する。
【0056】 本実施形態の他の態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプ
ローブを使用して、末梢血管拡張、あるいは放射線照射対象組織に対する他の微
小血管または血管効果のような癌放射治療の効果を監視する。
【0057】 本発明の他の実施態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプ
ローブを生体内の傷治療および創傷治癒の管理に使用する。本実施形態では、様
々な種類の傷、例えば静脈性潰瘍、圧迫性潰瘍、外傷、非治癒的外科傷および火
傷の映像化、特徴付け、評価および管理にOPSイメージングプローブが使用さ
れることになる。静脈性潰瘍は、下部の循環障害の結果として生じるものである
ため、効果的な治療には微小循環に関する知識が不可欠である。
【0058】 本実施形態の他の態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプ
ローブを使用して、傷の内部または周囲の微小血管の映像化および特徴付けを行
う。
【0059】 本実施形態の他の態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプ
ローブを使用して、静脈鬱血性潰瘍または糖尿病性潰瘍における灌流微小血管密
度の映像化、特徴付けおよび定量を行う。
【0060】 本実施形態の他の態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプ
ローブを使用して、壊死組織を観察するとともに、傷に要する壊死組織切除法を
判断する。
【0061】 本実施形態の他の態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプ
ローブを使用して、傷の辺縁を評価して治癒する確率を判断する。
【0062】 本実施形態の他の態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプ
ローブを使用して、効果的に植皮を支えるために傷ついた組織の生存可能性を評
価する。
【0063】 本実施形態の他の態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプ
ローブを使用して、より正確かつ客観的に切断ラインを判断する。本実施形態の
他の態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプローブを使用し
て、異なる傷治療法を用いた傷の血管再生および治癒についての測定および比較
を行う。
【0064】 本実施形態の他の態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプ
ローブを使用して、傷の治癒を通じての毛細管分岐を監視する。
【0065】 本発明の他の実施形態では、整形手術時に標準または高コントラストOPSイ
メージングプローブを生体内で使用する。
【0066】 本実施形態の一態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプロ
ーブを使用して、形成、再建、再付着または顕微手術の最中および後に血流(灌
流)を監視する。
【0067】 本実施形態の他の態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプ
ローブを使用して、皮膚弁の周囲の健康組織と壊死または失活組織を判断する。
【0068】 本実施形態の他の態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプ
ローブを手術後に使用して、微小循環を連続的に監視するとともに、再灌流につ
いてのあらゆる潜在的な問題を特定する。再灌流の問題を早期に指摘することは
、再手術の必要性を回避するのに役立つ。
【0069】 本発明の他の実施形態では、心臓および心臓手術の分野に標準または高コント
ラストOPSイメージングプローブを生体内で使用する。
【0070】 本実施形態の一態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプロ
ーブを使用して、心臓微小循環の映像化および特徴付けを強化するとともに、「
鍵穴」手術(すなわちハートポート)や開胸術の如き心肺バイパス装置を回避す
る最小限に侵襲的な手術手順の最中の再灌流を確認する。
【0071】 本実施形態の他の態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプ
ローブを使用して、患者を心肺装置に接続したまま、心臓切開手術時における患
者の血流(微小循環)の変化を監視および検出する。したがって、OPSイメー
ジングプローブを使用して、心肺装置に接続された患者の状態変化を監視するこ
とが可能である。
【0072】 本実施形態の他の態様では、冠状動脈バイパス移植(CABG)手術時に、O
PSイメージングプローブを使用して、移植物が良好な血流を得て、下流の血管
に良好な血流が提供されているかどうかを判断することができる。すなわち、心
臓手術では、心臓に直接接触するOPSイメージングプローブを用いて、バイパ
ス手術後の毛細管への血流を監視することが可能になる。
【0073】 本実施形態の他の態様では、心臓リスクの監視にOPSイメージングプローブ
を使用する。OPSイメージングプローブを使用して微小循環の映像化および特
徴付けを行うことは、高リスクの心臓プロフィルを非侵襲的に判断するのに役立
つ。高血圧症の微小血管後遺症を調査し、それを心臓リスクの判断に利用するこ
とが可能になる。
【0074】 本実施形態の他の態様では、OPSイメージングプローブを肺組織の映像化、
特徴付けおよび評価に使用する。
【0075】 本発明の他の実施形態では、神経外科手術の前または最中に標準または高コン
トラストOPSイメージングプローブを生体内で使用する。
【0076】 本実施形態の一態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプロ
ーブを直接脳に適用して、診断的または治療的な神経外科手術の最中に、微小循
環の映像化および特徴付けを行うとともに、例えば径、流速および機能的毛細管
密度の如きパラメータを測定する。
【0077】 本発明の他の実施形態では、標準または高コントラストOPSイメージングプ
ローブを使用して、神経力欠乏症またはくも膜下出血に続く血管痙攣を検出する
【0078】 本発明の他の実施形態では、標準または高コントラストOPSイメージングプ
ローブを使用して、脳における腫瘍の境界を検出する。
【0079】 本発明の他の実施形態では、標準または高コントラストOPSイメージングプ
ローブを使用して、異なる脳腫瘍の血管構造、および微小循環の違いに基づく脳
腫瘍の判断および分類を行う。
【0080】 本発明の他の実施形態では、標準または高コントラストOPSイメージングプ
ローブを使用して、神経腫瘍による血管の変化の映像化および特徴付けを行う。
OPSイメージングプローブを使用して神経腫瘍の範囲を判断することもできる
【0081】 本発明の他の実施形態では、臓器移植時に標準または高コントラストOPSイ
メージングプローブを生体内で使用する。
【0082】 本実施形態の一態様では、臓器移植手術時に標準または高コントラストOPS
イメージングプローブを使用して、移植された組織/臓器を接続した後の灌流量
を測定する。
【0083】 本発明の他の実施形態では、末梢動脈閉塞症(PAOD)の如き血管移植手術
時に、標準または高コントラストOPSイメージングプローブを生体内で使用す
る。
【0084】 本実施形態の一態様では、血管移植手術時に標準または高コントラストOPS
イメージングプローブを使用して、移植物を接続した後の灌流量を測定する。
【0085】 本発明の他の実施形態では、整形外科手術時に、また整形治療の分野に標準ま
たは高コントラストOPSイメージングプローブを生体内で使用する。
【0086】 本実施形態の一態様では、整形外科手術時に標準または高コントラストOPS
イメージングプローブを使用して、外科的切除に向けた壊死組織の識別および観
察を行う。プローブは腫瘍が発生した部分に位置することになる。
【0087】 当該プローブを使用して骨、腱および靭帯を映像化することもできる。
【0088】 本実施形態の他の態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプ
ローブを使用して、骨膜(骨)の周囲の微小循環の映像化および特徴付けを行う
。骨折の前後に画像を撮った場合は微小循環の違いが観察された。
【0089】 本発明の他の実施形態では、胃腸病の分野ならびに胃腸(GI)または胃食道
手術に、標準または高コントラストOPSイメージングプローブを生体内で使用
する。
【0090】 本実施形態の一態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプロ
ーブを使用して、大腸の映像化および特徴付けを行い、また炎症性腸疾患、潰瘍
性大腸炎、限局性回腸炎、または微小循環に影響する他の胃腸疾患の診断および
治療を行う。プローブを直腸に挿入して、大腸の壁に直接接触させることが可能
である。
【0091】 本実施形態の他の態様では、胃腸(GI)手術時に標準または高コントラスト
OPSイメージングプローブを使用して、腸の切除の最中に結腸の映像化および
特徴付けを行うことができる。他のGI器官も映像化できる。
【0092】 本実施形態の他の態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプ
ローブを使用して、癌性GI腫瘍の境界を判断するとともに、壊死組織の映像化
および特徴付けを行うことができる。したがって、手術時に、影響を受けた組織
を胃および/または食道部からより簡単に切除できる。
【0093】 本実施形態の他の態様では、OPSイメージングプローブを使用して、例えば
炎症性腸疾患の患者における直腸の粘膜微小循環の映像化および特徴付けを行う
こともできる。
【0094】 本発明の他の実施形態では、眼科の分野に標準または高コントラストOPSイ
メージングプローブを生体内で使用する。
【0095】 本実施形態の一態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプロ
ーブを使用して、眼の微小循環の映像化および特徴付けを行う。当該映像化ツー
ルは、診断目的および治療、ならびに調査領域の循環系に対する様々な種類の治
療の効果に関する情報の提供に利用することが可能である。
【0096】 本実施形態の他の態様では、OPSイメージング技術を用いて、黄班変性、網
膜障害(網膜症)および緑内障を診断することができる。
【0097】 本実施形態の他の態様では、OPSイメージング技術を用いて、視神経円板、
網膜、強膜、結膜、およびガラス体液の変化の映像化および特徴付けを行うこと
ができる。
【0098】 本実施形態の他の態様では、OPSイメージング技術を用いて、眼の微小循環
、特に眼の強膜および/または眼房水の変化または差を観察することによる糖尿
病の早期診断および治療を行うことができる。
【0099】 本発明の他の実施形態では、OPSイメージングプローブを使用して、正常ま
たは複雑妊娠における女性の微小血管機能を監視する。
【0100】 本実施形態の一態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプロ
ーブを使用して、子癇前症(PE)による女性の複雑妊娠を検知または監視する
【0101】 本発明の他の実施形態では、新生児のモニタリングにOPSイメージングプロ
ーブを使用することができる。
【0102】 本実施形態の一態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプロ
ーブを使用して、敗血症や髄膜症のような様々な疾病状態における新生児の微小
循環の変化を定量的に測定し、よってそれらの症状を診断する。新生児のヘモグ
ロビン値を非侵襲的に監視することができる。
【0103】 本発明の他の実施形態では、OPSイメージングを用いて、高高度の研究また
は宇宙空間物理の研究を行うことができる。
【0104】 本実施形態の一態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプロ
ーブを使用して、高高度における微小循環の変化を観察および評価し、高山病を
調査、診断かつ/または治療する。
【0105】 本発明の他の実施形態では、クリティカルケアまたは集中治療にOPSイメー
ジングプローブを生体内で使用することができる。
【0106】 本実施形態の一態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプロ
ーブを重症患者に対する舌下測定または監視デバイスとして使用して、敗血症お
よびショック(出血性または敗血性)を診断、治療または予防する。
【0107】 本発明の他の実施形態では、薬品開発分野にOPSイメージングプローブを使
用する。
【0108】 本実施形態の一態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプロ
ーブを使用して、抗血管形成薬に対して腫瘍への循環が遮断されているかどうか
を判断し、あるいは血管形成薬に対して血管が器官まで延び、循環が改善されて
いるかどうかを判断し、あるいは抗高血圧症薬に対して新規の治療の作用のメカ
ニズムまたは微小血管レベルの高血圧症の原因を判断するなど、様々な薬品の微
小循環に対する効果を調べる。
【0109】 本実施形態の他の態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプ
ローブを使用して、ヘモグロビン系酸素胆持体(すなわちDCL Hb、合成ヘ
モグロビン)を調べ、例えば製品を使用した結果RBCの流量が増加しているか
どうかなど、微小循環に対するそれらの効果を判断する。
【0110】 本実施形態の他の態様では、OPSイメージングプローブを使用して、微小循
環に対する超音波円煩瑣(すなわち注入可能染料)の効果を調べることができる
【0111】 本実施形態の他の態様では、OPSイメージングプローブを使用して、注入可
能染料または他の注入可能コントラスト生成剤の血管から組織への漏出を映像化
および検出することができる。
【0112】 本発明の他の実施形態では、標準または高コントラストOPSイメージングプ
ローブを使用して、以前は標準的な毛細管顕微鏡を用いて行われていたように、
爪郭における毛細管床の映像化および特徴付けを行う。
【0113】 本実施形態の一態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプロ
ーブを使用して、例えばレイノー現象、骨関節炎または全身性硬化症の如き循環
障害の患者の調査、診断および評価を行う。
【0114】 本発明の他の実施形態では、麻酔学の分野にOPSイメージングプローブを使
用する。
【0115】 本実施形態の一態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプロ
ーブを使用して、手術中の血液量低下を監視する。例えば、OPSイメージング
を使用して、例えばヘモグロビン濃度やヘマトクリットの如き麻酔患者の血液動
力学的パラメータを非侵襲的かつ連続的に監視することができる。
【0116】 本発明の他の実施形態では、標準または高コントラストOPSイメージングプ
ローブを麻酔患者に使用して、赤血球の凝集、および手術中の早期の塞栓形成を
監視する。
【0117】 本発明の他の実施形態では、標準または高コントラストOPSイメージングプ
ローブを麻酔患者に使用して、感染、出産、悪性疾患および他の深刻な疾病の二
次併発症として発生しうる患者の汎発性血管内凝固症候群(DIC)を映像化し
、特徴づけ、識別し、かつ/または監視する。
【0118】 本実施形態の一態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプロ
ーブを使用して、感染、より具体的には髄膜炎によるDICを映像化し、特徴づ
け、識別し、かつ/または監視する。
【0119】 本発明の他の実施形態では、標準または高コントラストOPSイメージングプ
ローブを使用して、炎症時または感染時に起こるような白血球内皮細胞間相互作
用の変化の映像化、特徴付け、および監視を行う。
【0120】 本発明の他の実施形態では、上記の分野(心臓病、心臓手術、傷治療、糖尿病
、高血圧症、眼科、神経外科手術、形成手術、移植、麻酔および薬理)のいずれ
かまたはすべてにおける生体外または生体内の基礎または臨床学的研究にOPS
イメージングプローブを使用する。
【0121】 本発明の他の実施形態では、医学生、および/または、例えば生理学、解剖学
、薬理学、微小循環、および微小循環に影響を与える疾病状態を学ぶ理系学生を
対象とした教育ツールとして、OPSイメージングプローブを使用する。
【0122】 前述の概略説明、および以下の詳細な説明はともに例示的かつ説明的なもので
、請求項に記載された本発明をさらに具体的に説明することを意図したものであ
ることを理解すべきである。
【0123】 (実施形態の詳細な説明) 本発明は、微小循環の映像化および特徴付けを行うOPSイメージング技術に
関する。この医学的応用は、人体および/または動物の微小血管病理に向けた新
規の臨床試験の開発につながる可能性がある。
【0124】 よって、本発明は、循環障害を検出する方法であって、(a)直交偏光スペク
トル(「OPS」)イメージングプローブを使用して、循環障害にかかっている
個体、または順肝障害にかかっている疑いのある個体の微小循環の単一取込み画
像または画像のシーケンスを取得することにおいて、(i)この個体の微小循環
系における組織に第1の偏光面に偏光する光を照射するステップと、(ii)こ
の組織から反射される少なくとも1つの画像または画像のシーケンスを取り込む
ステップであって、この第1の偏光面に実質的に直交する偏光面を有する分析器
にこの反射画像を通過させて生の反射画像を生成することによって、取込み画像
を取得するステップとを含み、かつ(b)この取込み画像を解析して微小循環の
特性を識別することによって、この循環障害を識別することを含む方法を提供す
る。
【0125】 さらに、本発明は、医学的処理の前、最中または後に個体の微小循環を監視す
る方法であって、(a)医学的処理の前、最中または後に、OPSイメージング
プローブを使用して、個体の微小循環の単一取込み画像または画像のシーケンス
を取得することにおいて、(i)この個体の微小循環系における組織に第1の偏
光面に偏光する光を照射するステップと、(ii)この組織から反射される少な
くとも1つの画像または画像のシーケンスを取り込むステップであって、この第
1の偏光面に実質的に直交する偏光面を有する分析器にこの反射画像を通過させ
て生の反射画像を生成することによって、取込み画像を取得するステップとを含
み、かつ(b)この取込み画像を解析して、医学的処理の前、最中または後に前
記個体の微小循環を監視することを含む方法を提供する。本明細書に用いられる
「組織」という言葉は、血液を包括する。
【0126】 小さなサイズの光学プローブは、(出血性、敗血性)ショック、高血圧症、高
山病、糖尿病、鎌型赤血球貧血症、および他の多くの赤血球または白血球異常の
如き、微小循環に衝撃を与えることが知られている微小血管続発症の状態を評価
および監視する実験および臨床環境における非侵襲的診断ツールとしての使用が
容易である。非侵襲的応用に加えて、手術(移植、心臓、血管、整形、神経、形
成など)、創傷治癒、腫瘍診断および治療、ならびに集中治療時における微小循
環のイメージングおよび定量分析もOPSイメージング技術の応用である。
【0127】 反射光を利用して人間の微小循環の高コントラスト画像を取得する機能により
、これまでアクセスできなかった多くの部位における毛細管密度、管(および微
小管)形態、管密度、血管痙攣、赤血球(RBC)速度、細胞形態、管径、白血
球内皮細胞間相互作用、(血管運動の如き)血管動態、機能的管密度、機能的毛
細管密度、血流、領域周辺比、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリットのような1つ
または複数のパラメータの定量が可能になる。好ましくは、OPSイメージング
を用いて2つ以上のパラメータを測定する。これらの測定は、組織の生活能力お
よび微小血管機能に衝撃を与えるそれらの疾病の臨床治療の最中に灌流を評価す
る高精度のツールを開発する上での手段となる。この手法を用いれば、医師は、
微小血管障害の進行および発生を追跡するとともに、微小循環に対する治療の効
果を直接監視できるようになる。
【0128】 本明細書に用いられる「毛細管密度」という言葉は、全観察面積に対する毛細
管の長さの比を意味するもので、cm/cmで表される。
【0129】 本明細書に用いられる「管(および/または微小管)形態」という言葉は、管
(または微小管)の物理的または構造的特徴を意味する。この言葉は個々の管ま
たは管のネットワークを指す。
【0130】 本明細書に用いられる「管密度」という言葉は、血管構造が占める面積を意味
する。管密度は、管構造が占める面積の全観察面積に対する比で表される。数字
は百分率で表される。管密度は、「血管分析指数」と称することもできる。
【0131】 本明細書に用いられる「血管痙攣」という言葉は、通常は外傷、および/また
は管に隣接する領域における管外血液の存在による管の長期的な異常狭窄を意味
する。例えば、血管痙攣としては、脳のクモ膜下出血によるものがよく知られて
いる。
【0132】 本明細書に用いられる「赤血球(RBC)速度」は、血管内の赤血球の観察速
度を意味する。
【0133】 本明細書に用いられる「細胞形態」という言葉は、白血球、赤血球および/ま
たは上皮細胞の細胞形状特性を意味する。
【0134】 本明細書に用いられる「管径」という言葉は、観察可能な血管の壁の間の距離
を意味する。
【0135】 本明細書に用いられる「白血球内皮細胞間相互作用」という言葉は、白血球と
血管の内面(内皮細胞層)の間の任意の相互作用を意味する。これらの相互作用
としては、RBC速度より小さな速度で血管の壁に沿って回転すること、ある時
間1つの場所に止まること、または管壁を通って炎症の部位に移動することを挙
げることができる。
【0136】 本明細書に用いられる「血管動態」という言葉は、管径の一時的な(時間依存
的な)変化を意味する。これは、自発的変化(すなわち血管運動)、あるいは神
経的、ホルモン的または薬理的刺激に応答する変化でありうる。さらに、所定の
刺激に対する管の正常な応答が他の要因に影響されることもある。これらの他の
要因は、血管動態に影響を及ぼすものと評されることになる。
【0137】 本明細書に用いられる「機能的管密度」という言葉は、全観察面積に対する灌
流管の長さの比を意味する。灌流管とはそこをRBCが流れるのを観察できる管
のことである。
【0138】 本明細書に用いられる「機能的毛細管密度」という言葉は、全観察面積に対す
る灌流毛細管の長さ(数)の比を意味する。灌流毛細管とはそこをRBCが流れ
るのを観察できる毛細管のことである。これはcm/cmで表される(または
数/cm)。
【0139】 本明細書に用いられる「血流」という言葉は、管を流れる赤血球の観察される
動きを意味する。
【0140】 本明細書に用いられる「領域周辺比」という言葉は、管における赤血球の凝集
または不均質性の尺度を意味する。比は、赤血球凝集体の周辺または輪郭の長さ
に対する管内に検出される赤血球凝集体の面積の比として定められる。血漿空間
のない完全灌流管は、領域周辺比がより高くなる。血漿空間または部分充填管は
、領域周辺比がより小さくなる。例えば、このパラメータを使用して鬱血流また
は凝集細胞の評価を行うことが可能である。
【0141】 本明細書に用いられる「ヘモグロビン(またはHb)濃度」という言葉は、赤
血球中に存在する鉄含有蛋白質顔料(ヘモグロビン)の濃度を意味する。赤血球
の主成分であるヘモグロビンは、身体を通じて、酸素および二酸化炭素を伝達す
るためのビヒクルとしての役割を果たす複合蛋白質である。ヘモグロビン1グラ
ム当たり1.34mlの酸素を保持する。成人の赤血球塊は約600gのヘモグ
ロビンを含み、800mlの酸素を運ぶことができる。ヘモグロビンの主たる機
能は、酸素圧が高い肺から酸素圧がより低い組織へと酸素を伝達することである
【0142】 本明細書に用いられる「ヘマトクリット」という言葉は、全血の赤血球の容量
に対する血液試料の赤血球の容量の比を意味する。それは百分率、または好まし
くは割合で表される。
【0143】 したがって、本発明は、米国特許第5,983,120号および第6,104
,939号に記載されているOPSイメージングプローブ装置(ここでは「標準
」プローブとも呼ばれる)、ならびに米国特許同時係属出願第09/401,8
59号(1999年9月22日提出)に記載されているOPSイメージングプロ
ーブ装置(ここでは「高コントラスト」プローブとも呼ばれる)の新規の医学的
応用に向けられる。本明細書に記載される医学的応用は、標準OPSイメージン
グシステムと高コントラストイメージングシステムの両方に適用可能であると考
えられる。しかし、ある特定の医学的用途では、高コントラスト画像が好ましい
【0144】 本明細書に記載されるOPSイメージング技術は、対象者および対象動物のイ
メージング、ならびに研究および教育における生体外での応用に有用である。
【0145】 使用される装置は、光源、照明システムおよびイメージングシステムを含む。
光源は、その光源と、対象が配置される面(対象面)との間の照明経路に沿って
伝播する照射ビームを与える。照明システムは、照射ビームを高コントラスト照
明パターンに変換し、その照明パターンを表層下の対象上に投射する。その照明
パターンは、高強度部と低強度部を有する。そのイメージングシステムは、患者
の皮膚の下の血液および/または組織、舌下部位からの血液および/または組織
、手術時に露出する固形器官(心臓、脳、結腸、肺)の表面からの血液および/
または組織の如き表層下の対象、あるいは上皮または上皮細胞間組織(すなわち
頚部)の画像を検出する画像取込み装置を含む。人間および動物において、アク
セス不可能な部位または固形器官に対しては、透過顕微鏡による生体内イメージ
ングは不可能である。OPSイメージング法は、小サイズの光学プローブを採用
し、固形器官の表面から、また覚醒時の人間の舌下部の如き部位からの反射によ
り微小循環の明確な画像を生成する。したがって、OPSイメージングは、正常
な微小欠陥構造と病的な微小欠陥構造との違いを明確にし、非侵襲的に機能する
ことが可能である。疾病の診断および進行、ならびに治療の効果を、微小血管機
能の変化が記録された疾患に対して監視する。
【0146】 微小循環の画像は、測定するパラメータに応じて単一取込みOPS画像、また
は画像のシーケンスでありうる。
【0147】 単一取込み画像により測定することが可能なパラメータとしては、管径(管は
動脈、毛細管および静脈を含むことができる)、管形態、細胞形態、毛細管密度
、管密度、領域周辺比および血管痙攣が挙げられる。
【0148】 動的であるため、画像のシーケンスによってのみ測定可能なパラメータとして
は、赤血球速度、機能的毛細管密度、機能的管密度、血流、白血球内皮細胞間相
互作用(回転白血球および粘着(付着性)白血球を含む)、および血管運動の如
き血管動態が挙げられる。
【0149】 以下に提示する数多くの例および実験データにより本発明を説明する。この情
報は、本発明の理解および実効化を支援するために提供されるのであって、それ
を制限するものではない。
【0150】 (癌への応用) 本発明の本実施形態では、高コントラストOPSイメージングプローブを生体
内の癌の診断や予診に、または癌手術の補助手段として使用する。
【0151】 本実施形態の一態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプロ
ーブを上皮または上皮細胞間腫瘍、または前癌症状の診断に使用する。OPSイ
メージングによって診断しうる上皮または上皮細胞間腫瘍の例としては、頚部、
皮膚、食道、気管支、腸または結膜腫瘍が挙げられる。
【0152】 頚部上皮内腫瘍(CIN)に関しては、過去50年間にわたって侵襲的頚癌の
発生および死亡率が著しく低下したが、CINの報告された発生率と実際の発生
率がともに増加しつつある。その結果、CINに対するスクリーニング技術が改
善されなければ、2000年から2004年にかけて頚癌の死亡率が20%上昇
するおそれがある。
【0153】 CINおよび頚癌に対する現行のスクリーニングは、最初はパパニコラウスミ
アに依存するため、比較的安価であるが多大な労力を要し、偽陰性誤り率が20
〜30%であることは、サンプリングが不充分であること、および/またはパパ
ニコラウスミアの読み取りが未熟であることに関係している。一方、パパニコラ
ウスミア分類「ASCUS」(より新しい「ベセスダ」分類体系に基づく有意性
未確定の異型細胞を表す)では女性に対して70〜80%の割合で発生するパパ
ニコラウスミアに対する偽陽性結果は、無益で、時間浪費的でコストの高い追従
試験(コルポスコープおよび/または生検)を必要とし、患者に余計な不安を与
えることになる。
【0154】 したがって、頚部組織を正常組織または異常組織に分類し、後者の場合は炎症
または良性HPV感染とCINとを区別するためのより確実な方法が求められる
【0155】 OPSイメージ技術により得た、優れた微小循環の画像に上皮細胞形状の碁盤
目状「モザイク」を重ねた。それらは、菱形四面体、五面体、六面体、七面体で
、極めてフラットで規則的であった。径は、RBC、ならびに同一のフィールド
における小動脈および小静脈との比較に基づいて、約10〜40ミクロンであっ
た。それらは、明らかに血管構造に重なっていた。細胞辺縁を照明した(屈折)
。細胞は極めて「フラット」であったが、それは、それらは深部の上皮ではなく
表層の上皮で、より立方体に近い基底層細胞でないことを暗示するものである。
さらに、細胞核の大きさおよび形状も区別することが可能であった。これらの特
徴は、全悪性および悪性状態の評価において特に重要である。
【0156】 構成されたシステムの焦点「面」は光学プローブの表面から150〜200ミ
クロンで、それは血管系が存在する深さに相当するという情報により、光散乱お
よび逆照明のメカニズムまたは他の効果により上層の上皮が描写されるものと理
論づけた。次いで、上皮を画像の主たる特徴とするようにOPSイメージングプ
ローブの光学素子を最適化した。したがって、OPSイメージングプローブを使
用して様々な深度の上皮画像を提供することによって、上皮内癌または早期浸食
癌を含めた上皮細胞間病変を直接診断することが可能になる。
【0157】 婦人科腫瘍学の分野では、上皮内癌の認識および治療が課題となる。現行の診
療は、通常は、乳頭腫ウィルス検出に関連することもあるパパニコラウスミア試
験を実施した後に、生検によるコルポスコピを行い、次いで切除手術を行う。こ
れは、時間を浪費するとともに、骨盤検査、細胞学的および(乳頭腫ウィルスに
対する)湿検査試験、ならびに生検材料の病理検査のために患者が何度も足を運
ばなくてはならない。また極めて高価である。
【0158】 本発明の本実施形態では、OPSイメージング技術またはその誘導技術を用い
て、前悪性および悪性上皮病変を直接的に映像化し、特徴づけ、また定量するこ
とができる。例えば、頚部の上皮内癌の場合は、目視による婦人科学的検査の直
後にOPSイメージングプローブを使用して上皮細胞層を曝露することが可能で
あった。上述の病変は、異常な大きさ、異常な形状、および異常な核細胞質比の
如き細胞特性を含む顕著な特徴を有する細胞により、規則的なパターンの崩壊と
定義づけられる。それらは、これまでは病理医による生検材料の検査を必要とし
た異常「アキテクチャ」(組織病理学用語)をもたらす。組織に焦点を合わせな
がら収集したOPS画像から組織の三次元画像を再構築することによって、前悪
性および悪性上皮病変の異常な破壊的アキテクチャを正常な細胞から区別するこ
とが可能であった。
【0159】 OPSイメージングプローブを使用して、影響を受けない頚部の正常部と「疑
わしい」領域を比較することによって直接的な診断を行うことが可能であった。
モザイクの画像解析により、モザイクの規則性の違いを特徴づけることが可能で
あった。細胞の寸法、形状および他の形態学的特徴を定量し、正常な領域と疑わ
しい領域の間、さらには異なる腫瘍種の間の血流および速度の違いを観察および
定量することができる。このことは、これまで一度も行われたことがなく、病理
学的診断は、統計的なものではなく、まだ印象や主観によるものである。言うま
でもなく、OPSイメージング技術を使用した直接的な診断は、従来の生検を排
除するものではない。
【0160】 上皮細胞間診断の取り組みには、OPSイメージングプローブを最適化するこ
とがいっそう求められる。例えば、当業者は、モザイクパターンの画像解析、異
なる倍率、異なる、そして恐らくは連続して可変的な焦点、異なる光源寸法、暗
視野に対する開口のマスキング、ならびに恐らくは上皮細胞境界および内部構造
を強調するための(恐らくは異なる角度における)上皮照明、正常領域対検査対
象異常領域の画像定量などを最適化することが必要になる。
【0161】 図1は、頚部腫瘍または頚部前癌病変のスクリーニングおよび/または診断に
使用することができる、伸長対物レンズ214(約8インチ)を有するOPSイ
メージングプローブ200の構成図である。プローブ200は、光源202、集
光レンズ204、リレーレンズ208、ディテクタ260および対物レンズ21
7を含む。1つまたは複数の帯域通過フィルタ206を光路に配置して、取得し
た画像の質を高めることができる。関連技術に従事する者ならよく知っているよ
うに、使用するフィルタの種類は画像化される対象に依存する。
【0162】 光源202は、対象の組織領域(一般には224で示される)を照明する。図
1には1つの光源が示されているが、本発明は1つの光源に限定されるものでは
なく、2つ以上の光源を使用できることを理解すべきである。複数の光源を使用
する一実施形態では、各光源を単色または多色にできる。光源202はパルス化
することが可能な光、連続的な光を与える非パルス光源、またはどちらの動作も
可能な光源でありうる。光源202は、例えばパルスキセノンアーク光またはラ
ンプ、水銀アーク光またはランプ、ハロゲン光またはランプ、タングステン光ま
たはランプ、レーザ、レーザダイオード、あるいは発光ダイオード(LED)を
含むことができる。光源202は、干渉性の光の光源、または非干渉性の光の光
源でありうる。
【0163】 折り畳み鏡またはビームスプリッタ218を使用して光源202と対象224
の間に光路を形成する。本発明の一実施形態によれば、照明ビーム209に対す
る反射率が50%の塗装板である。ビームスプリッタ218の他の実施形態は、
関連技術に従事する者によく知られている。
【0164】 好ましい実施形態において、第1の偏光器210が光源202と対象224の
間に配置される。第1の偏光器210は、光源202からの光を偏光する。対象
224と画像経路207に沿う画像取込み手段260との間に第2の偏光器また
は分析器220が配置される。偏光器210および220は、好ましくは互いに
対して90度に配向した偏光面を有する。互いに対して90度に配向した偏光面
を有する偏光器210および220の如き偏光器は、ここでは「交差偏光器」と
称する。
【0165】 好ましくは、物体224からのイメージは、複合散乱長より小さい深さから発
し、画像経路207に沿って画像取込み手段260に移動する。しかし、本発明
のイメージングシステムは、複合散乱長より大きい深さから形成される画像を取
り込むこともできる。対物レンズ217を使用して、対象224の画像を画像取
込み手段260上に拡大する。対物レンズ217を、照明経路209および画像
経路207に同軸に配置する。画像取込み手段260を対物レンズ217の拡大
画像面に配置する。対物レンズ217は、装置200の空間および画像化要件に
応じて1つまたは複数の光学素子またはレンズを備えることができることを、本
明細書の説明に基づいて当業者なら理解するであろう。
【0166】 好適な画像取込み手段260は、上記した高解像度画像を取り込むことが可能
なデバイスを含む。画像取込み手段は、解析の目的に合わせて画像のすべてまた
は一部を取り込む。好適な画像取込み手段はカメラ、フィルム媒体、感光ディテ
クタ、光電池、フォトダイオード、フォトディテクタ、あるいはCCDまたはC
MOSカメラを含むが、それに限定されない。
【0167】 画像の補正および解析を行うための画像補正および解析手段(不図示)に画像
取込み手段260を取り付けることが可能である。画像取込み手段に必要とされ
る解像度は、生体内装置によって実施される測定および分析の種類に応じたもの
とすることができる。
【0168】 好ましくは、対物レンズ217は、照明対象を映像化するのに必要な最低倍率
によって選択される1つまたは複数のレンズとすることができる。必要な倍率は
、映像化の対象となる照明組織内の対象の大きさとともに、画像に使用される画
素の大きさの関数である。
【0169】 好ましい実施形態によれば、照明経路209および画像経路207は共通の軸
を共用する。この共軸の性質は、2つ以上の目的に利用される対物レンズ217
を考慮したものである。第1に、対物レンズ217は、画像取込み手段260に
対する対物レンズとして作用する。換言すれば、それは、対象224から発する
画像ビームを画像取込み手段260上に集める。第2に、対物レンズ217は、
高コントラスト照明パターンを対象面に集める役割を果たす。照明ビーム209
の高強度部は、画像取込み手段260の視野(FOV)の外側に導かれる。
【0170】 対物レンズ217と画像取りこみ手段260の光学特性の組み合わせが、デバ
イス200のFOVを決定づける。画像取込み手段のFOVは、その対物レンズ
(ここでは対物レンズ217)の開口数、入射ひとみ、射出ひとみ、および画像
取込み手段260を備えたディテクタの面積を含む多くのパラメータによって制
限されることになる。
【0171】 疾病頻度および癌検査の規則性から、また頸部上皮が厚く、土台がフラットで
規則的であることから頚部は特に重要な目標であるが、他の上皮細胞間病変、お
よび基底層および基底膜を通じての上皮悪性種の上皮直下の延長部もこの診断ア
プローチに対する好適な目標である。例えば、良性の活性母斑と悪性の黒色腫の
違いは、深刻な診断上のジレンマをもたらし、通常は生検を要することになる。
本発明のOPSイメージング技術により、当該皮膚病変、またはそれらの前癌前
駆体を直接診断および区別することが可能になる。着色病変を個体の身体に対し
て目視により記録し、保管画像および定量測定値を「基線」として利用すること
が可能である。
【0172】 本実施形態の他の態様では、高コントラストOPSイメージングプローブを使
用して、癌治療の前、最中または後に腫瘍の境界または腫瘍の辺縁の評価を行う
。例えば、OPSイメージングを用いて、裸眼の皮膚科医には臨床上見えない真
の皮膚癌の辺縁の映像化および特徴付けを行うことができる。これにより、さら
なる手術の必要性を回避することができるようになる。
【0173】 本実施形態の他の態様では、高コントラストOPSイメージングプローブを使
用して、様々な種類の腫瘍をそれらの血管構造に基づいて診断する。
【0174】 本実施形態の他の態様では、高コントラストOPSイメージングプローブを使
用して、末梢血管拡張(平滑血管の膨張)のような癌放射治療の効果を監視する
。高コントラストOPSイメージングプローブを使用して、放射量の変化に伴う
灌流微小管密度の変化の如き、放射線照射対象組織に対する他の微小血管または
血管効果を調べることも可能である。
【0175】 (創傷治療および創傷治癒管理への応用) この実施形態では、OPSイメージングプローブは、静脈性潰瘍(慢性の静脈
機能不全や糖尿病に起因する)、褥瘡性潰瘍(床ずれということもあり、慢性的
な圧迫により血流が阻害された際に形成され、酸素や栄養が遮断されると共に組
織の潰瘍形成や壊死を生ずる)、外傷性創傷(事故や暴行事件の間に受ける創傷
)、未治癒の手術創傷(外科的処置の間に受けた切開であって予測される時間枠
内に治癒しないもの)、熱傷性創傷などの様々なタイプの創傷に対する映像化、
特徴付け、評価並びに管理において使用される。静脈性潰瘍は背後にある循環上
の問題の結果として形成されるため、有効な処置をするには微循環に関する知見
が不可欠である。
【0176】 本実施形態の以下の態様の各々において、毛細血管密度、血管(および微小血
管)の形態、血管密度、血管れん縮、赤血球(RBC)速度、細胞形態、血管の
直径、白血球内皮細胞間の相互作用、血管動態(例えば血管運動)、機能血管密
度、機能毛細血管密度、血流、エリア内対周辺比、ヘモグロビン濃度、ヘマトク
リット値、などの1つまたは複数のパラメータを定量的に決定することがある。
決定するパラメータは2つ以上であることが好ましい。
【0177】 本実施形態の一態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプロ
ーブは、創傷内および創傷の周囲の微小血管を映像化しかつ特徴付けるために使
用される。
【0178】 本実施形態の別の態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプ
ローブは、静脈うっ血性潰瘍や糖尿病潰瘍内の灌流のある微小血管密度を映像化
し、特徴付けし、かつ定量化するために使用される。糖尿病患者の慢性的な創傷
にOPSイメージングを使用すると、無関係な皮膚と比較して創傷ベッドや隣接
する組織内での微小血管の相対的な欠乏が観察される。
【0179】 本実施形態の別の態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプ
ローブは、壊死した組織を観察すると共に、創傷により必要となる壊死組織切除
の程度を決定するために使用される。
【0180】 本実施形態の別の態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプ
ローブは、創傷の辺縁を評価し将来治癒に至る可能性を決定するために使用され
る。
【0181】 本実施形態の別の態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプ
ローブは、創傷組織の生存度を評価し、皮膚移植の成功を支援するために使用さ
れる。
【0182】 本実施形態の別の態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプ
ローブは、切断線をより正確かつより客観的に決定するために使用される。
【0183】 本実施形態の別の態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプ
ローブは、様々な創傷治癒治療を用いた創傷に関する血管再生および治癒を測定
し比較するために使用される。
【0184】 本実施形態の別の態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプ
ローブは、創傷治癒の間での毛細血管の「成長(budding)」(すなわち
、新たな毛細血管の創生)を監視するために使用される。
【0185】 以下の試験において、OPSイメージングは、皮膚の微循環を映像化しかつ特
徴付けるために使用した。本試験の目的は、正常状態および疾病状態にある(こ
の場合では、創傷治癒の過程にある)、皮膚内で微小血管測定を行うためのOP
Sイメージングの使用の有効性を標準の蛍光ビデオ顕微鏡観察法と対照して確認
すること(Groner,W.他、Nat.Med.5:1209−1213(
1999年))にあった。皮膚科学的に病的な状態のいくつかは微小血管系の変
化に関連しているため、皮膚の微循環を評価することは重要な臨床的意味を有し
ていることは明らかである。皮膚の微循環に対する定量的分析により、血管の異
常、創傷治癒中の血管形成、並びに皮膚弁創生後の血流低下を特定することが可
能となる。
【0186】 材料および方法:実験は無毛の(SKH−1hr)マウス(n=9)の耳に対
して実施した。円形の創傷はBondarおよび共同研究者(Bondar,I
.他、Res.Ex.Med.191:379−388(1991年))に従っ
て生成させた。OPSイメージングデバイス(CYTOSCAN(商標)A/R
)は、コンピュータ制御のXYプレートを利用できるように生体内顕微鏡に装着
した。基線並びに創傷生成の後、4日後、7日後、10日後および15日後に正
確に同じ関心領域内において生体内蛍光顕微鏡観察法(IVM)とOPSイメー
ジングの両方を用いて観察を実施した。IVMによる測定では、FITC−De
xtran i.v.の3%溶液0.02mlを血漿マーカとして使用した。両
機器から取得した画像はコンピュータ支援型分析システム(CapImage(
商標))(Klyscz,T.他、Biomed.Tech.(Berl)42
:168−175(1997年))を用いたビデオテープ再生の間に分析した。
細動脈の直径、細静脈の直径、赤血球速度および機能毛細血管密度(FCD)の
測定は、基線状態以外に創傷治癒の間にも実施した。
【0187】 結論:OPSイメージングにより、IVMにより達成される光学コントラスト
に匹敵する光学コントラストを有するような皮膚微循環に関する高品質な画像が
得られた。さらに、OPSイメージングを使用することにより、創傷治癒の生理
学的状態の間および創傷治癒の過程中において血管の直径、細静脈のRBC速度
および機能毛細血管密度に対する正確な定量測定が可能となった。機器の小型化
および可搬性、並びに蛍光色素を必要とせずに取得した画像の品質により、OP
Sイメージングがヒトの皮膚での診断的測定に使用するための大きな可能性を提
供できることが示唆される。
【0188】 別の試験では、OPSイメージングを用いて創傷により誘発される血管形成が
観察された。
【0189】 概説:創傷に関連する外傷は、先ず組織に対して自らの修復を開始させるシグ
ナルを作成する。この初期の外傷により炎症が始まり、これにより一連の分子の
シグナルが生じて血管形成を促す。Conheimは最近の歴史において、創傷
に続いて起こる血管構造の初期変化を記述した最初の一人である(Conhei
m,J.、The pathology of the circulatio
n,Section 1 in Lectures in General P
athology:A Handbook for Practitioner
s and Students,trans.by A.B.McKee,ed
..、New Sydenham Society、London.V.126
,129,133、pp.xvii−528、1889−1890(1889年
))。さらに最近になって、ClarkおよびClarkにより、血管形成が創
傷の治癒の開始における重要なステップであることが示唆されている(Clar
k,E.R.およびClark,E.L.、Am J Anat 64:251
−299(1939年))。
【0190】 創傷治癒を研究する際に広く使用されている実験モデルの1つとしてウィンド
ウチャンバがある。HashimotoおよびPrewittはウサギの耳にチ
ャンバを配置し、治癒しつつある創傷に関してこのモデルで生じる変化の記録を
とった(Hashimoto,H.他、Int.J.Microcirc:Cl
in.Exp.5:303−310(1987年))。Dewhirst他(D
ewhirst他、Rad.Res.112:581−591(1987年))
などの多数の研究者がラットの背側皮膚ひだ内にウィンドウチャンバを配置して
おり、この配置が早期の血管形成の試験に関する優秀なモデルであることを示し
ている。しかし、こうしたチャンバはヒトに関して臨床的に使用することはでき
ない。本試験では、血管形成のシミュレーションのために創傷を用いた同様の原
理を利用した。
【0191】 血管形成の評価のための再現性のあるモデルがあれば、がん患者における血管
形成を阻止するための具体的な治療の有効度の検定など、多様な臨床的状況にお
いて有益となろう。Auerbach他(Pharmacol Therape
utics 51:1−11(1991年))は、最新のレビューにおいて、血
管形成に対する理解が創傷治癒の知識を向上させるのに重要であることを指摘し
ている。同様に、Folkmanは、血管形成を理解することにより正常な血管
形成を抑制するように治療を展開させることが可能となることを提唱している(
Folkman,Adv.Cancer Res.19:351−358(19
74年))。本試験の目的はヒトにおける創傷の厚み全体の周囲にある微小血管
の発生を特徴付けることであった。
【0192】 材料および方法:被検者は前腕の掌側に局部麻酔を受け、続いて下側の脂肪ま
たは筋膜にまで及ぶような全厚で4mm直径の皮膚パンチバイオプシーを行った
。創傷は、抗生物質軟膏剤を付け包帯を施した。創傷は1日おきにビデオカメラ
付き手術顕微鏡やCYTOSCAN(商標)A/Rなどの様々な光学装置を用い
て調べた。各観察日において、包帯を取り外して、バイオプシー辺縁の周りを時
計方向に動かしながら皮膚の創傷に隣接する組織を各箇所当たり数秒間録画した
。創傷辺縁を完全に一巡りするには概ね5分が必要であった。このビデオ画像は
アナログ形式またはディジタル形式のいずれかにより格納した。
【0193】 分析にあたり、4つの等級を備える半定量的スケールを設定した。等級0は血
管分節および色調の完全な欠落により特徴付けられる。等級1は、創傷に隣接す
る組織内で明瞭に見分けられる極めて少数の微小血管がピンク色または赤色で散
在することにより特徴付けられる。等級2は、端部において見られる短く垂直な
微小血管ループが優先的な向きや微小な枝分かれをもたず、整然としていないこ
とを特徴としている。等級3は全体として湾曲しているが創傷の縁から放射方向
の外側に延びるように向き始めているより長い微小血管により特徴付けられる。
いくつかの極小の枝分かれも見られた。等級4は、太陽光線のように相互接続し
たループまたは吻合構造を有するように放射方向に整列した長い微小血管から構
成されている。限定的な枝分かれのいくつかも観察された。半定量的スケールを
定義し終えた後、盲式観察者により画像を観察し、これら詳細な基準を用いて画
像を採点した。
【0194】 結果:観察した血管パターンの等級分けは明確に定義された基準に基づいた再
現性があった。変動係数は概ね10%以下であった。血管等級が平均で1.5ま
で上昇するのには数日間しかかからなかった。創傷に続いて5日未満で2.0の
採点値が達成された。平均等級の2.0から2.5までの変化はこれより緩やか
であり、創傷後概ね10日を要した。次いで、新たに形成された血管が出現し、
急速に広がると共に放射方向に整列し始め、これにより、丸1日たたないうちに
等級3.0が達成された。初めの創傷後直ぐに採点値1.0が達成されていた。
【0195】 糖尿病や静脈潰瘍を有する患者では微小血管構造も観察された。治療に先立ち
数週間の保存的な非外科的治療の間に、CYTOSCAN(商標)A/Rを使用
して各患者に対してビデオ顕微鏡観察法を実施し、血管等級のパターンを観察し
た。最も困難な創傷では、創傷に隣接して血管分布像の全体的な欠如が見られた
(等級1)。特に糖尿病患者では、創傷と直ぐ隣りあった皮膚表面で見いだせる
微小血管の数は極めて少なかった。治癒に至りつつある創傷では、明瞭な向きは
示さないものの微小血管の数がやや増加していた(等級2)。創傷の臨床的好転
と並行して、微小血管の延長および優先的な微小血管方向の出現(等級3および
4)が見られた。
【0196】 考察:創傷に誘発された血管形成に対する半定量的評価では、生体内顕微鏡観
察法が可能であるCYTOSCAN(商標)A/Rなどの機器を使用して評価が
可能となるものと見られる。数百年間にわたり、多くの研究者により様々な種類
の創傷に関連する微小血管が観察されてきた。しかし、必要とする装置が大規模
でありかつ複雑であったため、患者での臨床試験は極めて困難であった。実験動
物の場合であっても、生体内顕微鏡観察法は困難である。OPSイメージングに
より、生体の微小血管系の顕微鏡画像に対する収集が大幅に容易となる。従事者
がこれらの臨床試験に関するビデオ顕微鏡観察法プロトコルを正確に実施できる
ようになるまでに要する従事者の訓練も最小で済む。
【0197】 以下の症例報告では、OPSイメージングを用いて熱傷創傷の微循環を評価し
た。
【0198】 概説:深部の第2度と第3度の熱傷の選択処置は早期の切除および移植を目指
したものである。こうした積極的な外科的治療に必須なものとして、熱傷部位の
正確な診断がある。このことから、早期の方針決定の根幹として熱傷創傷の重篤
度を正確に評価することの重要性が強調される。創傷の外見に基づく臨床検査で
はこうした処置に対する確固たる方法となっていないだけでなく、臨床経験豊富
な熱傷外科医が実施した熱傷の臨床評価であっても必ずしも常に満足の行くもの
ではないことが報告されている(Robson,M.C.他、Clin.Pla
st.Surg.19:663−671(1992年);Heimbach,D
.M.他、J.Trauma.24:373−378(1984年))。したが
って、補助的な診断技法があれば外科医が熱傷の重篤度を正確に分析するのに役
立つ可能性があり、したがって、外科医がベッドサイドで迅速に判断するのに役
立つ可能性がある。しかし、技術的革新のすべてをもってしても、今までのとこ
ろではこうした応用に関する理想的なデバイスは未だにルーチンとしては確立さ
れていない。
【0199】 最近になって、直交偏光スペクトル(OPS)イメージングという新規の顕微
鏡技法が導入されている(Groner,W.他、Nat.Med.5:120
9−1212(1999年);Messmer,K.,ed.、Orthogo
nal Polarization Spectral imaging:a
New Tool for the Observation and Mea
surement of the Human Microcirculati
on、Prog.Appl.Microcirc.,Karger,Basel
(2000年)、pp1−117)。OPSイメージングは、動物やヒトの臓器
の微循環を直接映像化するために使用することが可能な一方法を提供している。
OPSイメージングは波長が548nmの偏光させた反射光を使用して蛍光色素
を用いずに微小血管で運ばれるヘモグロビンを映像化しており、これにより光毒
性の影響を回避できる(Saetzler,R.K.他、J.Histoche
m.Cytochem.45:505−513(1997年))。OPSイメー
ジング技法は機能毛細血管密度の測定に関して、同測定に対する標準方法である
蛍光生体内顕微鏡観察法に照らして有効であることが確認されている(Harr
is,A.他、J.Vasc.Res.(In Press)(2000年))
。機能毛細血管密度は、毛細血管組織の灌流を反映しているパラメータであり、
観察面積当たりの赤血球灌流がある毛細血管の長さとして得られる(Harri
s,A.G.、Am.J.Physiol.271:H2388−H2398(
1996年))。
【0200】 ヒトの熱傷での組織の血流はいくつかの試験の課題となってきており、熱によ
り損傷を受けた皮膚における皮膚血流の低下の程度はその破壊のレベルと相関関
係にあるという仮説が立てられている(Micheels,J.他、Scand
.J.Plast.Reconstr.Surg.18:65−73(1984
年);Alsbjorn,B.他、Scand.J.Plast.Recons
tr.Surg 18:75−79(1984年);O′Reilly,T.J
.他、J.Burn.Care Rehabil.10:1−6(1989年)
)。しかし、ヒトの熱傷における微循環を直接映像化することは、方法論的な困
難のため未だ可能ではなかった。本症例試験では、熱傷創傷における微循環を評
価するための新規の技法としてOPSイメージングを導入した。
【0201】 患者:患者は左手に熱傷を負った年齢が26歳の男性患者であった。この熱傷
は料理中に沸騰した油により被ったものであり、救急治療室に来る前に速やかに
冷水で水洗してあった。初めに失活した組織を切除した後、臨床観察により第2
度の熱傷と診断された。水泡は開放していたが無傷のままであった。この熱傷は
、水性乳濁液内で半流動性オイルの局所的な1%スルファジアジン銀を用いて保
存的に処置し、また各指は柔らかなガーゼ包帯で別々に包んだ。熱傷後の最初の
48時間は手を挙上させておくと共に、疼痛のコントロールのため鎮痛薬を経口
投与した。
【0202】 試験プロトコル:OPSイメージング技法は、CYTOSCAN(商標)A/
Rという名称の小型で使いやすいデバイスに組み込まれている(Cytomet
rics Inc.、Philadelphia,PA)。インフォームドコン
セントを得た後、OPSイメージングを用いて受傷後の第3日から微循環の観察
を実施し始めた。測定は、当方の外来患者クリニックにおいて一定の室温(27
℃)で実施した。局所薬剤を除去するため無菌の食塩水で洗浄することにより創
傷部をきれいにした後、概ね10分間にわたり、指部を含め手の背側表面の位置
でOPSイメージングプローブを6箇所の様々な関心部位にあてた。微循環の画
像はスーパーVHSビデオテープ(Sony、Cologne、Germany
)上に録画した。ディスポーザブルの無菌のプラスチック製キャップで覆ったO
PSイメージングプローブの動作距離は概ね2mmとした。プローブと組織の間
には無菌の超音波用ジェルを塗り、屈折率整合を改善させる役割をさせた。概ね
5分の持続時間を要したOPSイメージングプローブの施行の間に患者が痛みや
不快感を示すことはなかった。特注のホルダの助けにより観察中にプローブが動
かないようにし、さらに、毛細血管の循環が圧迫されないようにした。微循環の
測定は、引き続き熱傷後の第6日、12日、20日、23日、26日および30
日に実施し、常に受傷部分内の同じ部位に対して反復した。微循環の定量分析は
、ビデオテープの再生の間にCapImage(商標)コンピュータ・プログラ
ムを用いてオフラインで実施した(Klyscz,T.他、Biomed.Te
ch.(Berl.)42:168−175(1997年))。機能毛細血管密
度は、連続するビデオシーケンスよりディジタル化した単一の画像から評価した
。この評価には、焦点が合っており灌流する赤血球として明瞭に特定が可能であ
った毛細血管を含めた。データは、臨床毛細血管観察装置の試験において前述し
たように、観察面積当たりの灌流がある毛細血管の数[n/cm]として得ら
れる(Bollinger,A.およびFagrell,B.、Clinica
l Capillaroscopy−A Guide to its Use
in Clinical Research and Practice,To
ronto,Hofgrefe & Huber Publishers、pp
.1−166(1990年)。
【0203】 結果:OPSイメージングにより、254倍の画面上での全拡大率を用いて熱
傷創傷の微循環に対する高品質な画像が作成された。毛細血管形態は明瞭に識別
でき、またこれらの画像から赤血球灌流のある毛細血管の数の定量分析が可能と
なった。受傷後第3日に測定した機能毛細血管密度(FCD)は、11.2±4
.6n/mm(平均値±SEM)であった。治癒の初期フェーズの間では、微
循環の変化は、ゆっくりとしているが安定したFCDの上昇により特徴付けられ
、熱傷後第12日からは著しい上昇を示す(16.6±6.9)。第23日の時
点で測定された最大のFCD(48.2±19.7)は、この時点から減少をし
始め、観察の最後において最終的に25.2±10.3n/mmまで達した。
患者はこの測定を充分に我慢でき、また治癒途中の創傷内に自らの毛細血管が見
られることに熱狂していた。ディジタル式面積測定法による計算で受傷日時点で
122cmの表面積を示していた創傷は、傷跡を残すことなく3週間以内に無
併発性の治癒を示した。
【0204】 考察:熱損傷の重篤度を精密かつできる限り早期に決定できることは、外科的
治療を計画するため、すなわち患者の機能および美容上の成果を最適とするため
には不可欠である(Kao,C.C.およびGarner W.L.、Plas
t.Reconstr.Surg.105:2482−2492(2000年)
;Heimbach,D.他、World J.Surg.16:10−15(
1992年);Germann,G.他、Pediatr.Surg.Int.
12:321−326(1997年))。早期の熱傷創傷切除および移植皮膚に
よる閉鎖によりいくつかの利点が得られる(Heimbach,D.他、Wor
ld J.Surg.16:10−15(1992年);Engrav,L.H
.他、J.Trauma.23:1001−1004(1983年);Gray
,D.T.他、Am.J.Surg.144:76−80(1982年);Sc
hiller,W.R.他、J.Trauma.43:35−39(1997年
))。しかし、臨床上の評価は不正確であることが多く経験豊富な熱傷外科医の
場合であっても64%を上回らないものと推定されている(Heimbach,
D.他(前掲))。臨床的観察の限界のため、ここ数十年にわたり関心が臨床的
観察を支援すること、特に合併症を起こさずに治癒する熱傷と手術を要する熱傷
とを識別することが可能なデバイスおよび方法に寄せられてきたことは驚くには
当たらない。熱傷を等級分けするためには、生体色素、フルオレセイン蛍光測定
法、核磁気共鳴イメージングなどの多くの様式が利用可能である(Heimba
ch,D.他(前掲))。しかし、これまでのところ、これらの技法はどれも広
範な臨床応用には適用できていない。この理由の1つとして、これら侵襲的なア
プローチのうちのいくつかで生じるような追加的な損傷がある。しかし、その主
たる理由は、レーザドップラ(LD)技法の場合を除いて、これらの技法により
信頼できる結果が得られることが証明されていないことにある。レビューの際に
は、Heimbach,D.他、World J.Surg.16:10−15
(1992年)、並びにShakespeare,P.G.、Burns 18
:287−295(1992年)を参照されたい。
【0205】 LD技法は、ヒトの熱傷における皮膚破壊の範囲を評価するために、Mich
eelsおよび共同研究者によって最初に使用された(Micheels,J.
他、Scand.J.Plast.Reconstr.Surg.18:65−
73(1984年))。こうした検査にLDを使用する原理は、皮膚血流の量が
破壊のレベルと相関関係にあるという仮説にある(O′Reilly,T.J.
他、J.Burn.Care Rehabil.10:1−6(1989年))
。Bravermanの記載によれば、皮膚の栄養素成分は皮膚表面下1〜2m
mに位置する皮膚乳頭ループにより形成される(Braverman,I.M.
、Microcirculation 4:329−340(1997年))。
したがって、乳頭ループが破壊されると(皮膚の深部熱傷の場合のように)、微
循環性血流の停止状態、あるいは少なくとも血流の低下が現れることにならざる
を得ない。
【0206】 この状況でLD測定は、熱傷部位の重篤度に関する予測的記述を得ることがで
きるような血流量のデータを取得するのに有用となり得る。LD測定はすでに臨
床検査で使用されており、成人患者(Alsbjorn,B.他、Scand.
J.Plast.Reconstr.Surg.18:75−79(1984年
);O′Reilly,T.J.他、J.Burn.Care Rehabil
.10:1−6(1989年);Schiller,W.R.他、J.Trau
ma.43:35−39(1997年);Green,M.他、J.Burn.
Care Rehabil.9:57−62(1988年);Niazi,Z.
B.他、Burns.19:485−489(1993年);Yeong,E.
K.他、J Trauma.40:956−961(1996年))、並びに小
児(Atiles,L.他、J.Burn.Care Rehabil.16:
596−601(1995年))において、熱傷血流と臨床上の最終的結末との
有意な関係が証明されている。しかし、こうした有望な成果はあるものの、動き
や動揺があると分析が困難な測定となったり、測定が役に立たないものとなるこ
ともあるため、LDの使用には患者が興奮することなくかつ協力的であるという
制約がある(Micheels,J.、Scand.J.Plast.Reco
nstr.Surg.18:65−73(1984年);Park,D.H.他
、Plast.Reconstr.Surg.101:1516−1523(1
998年))。さらに、測定は患者や検査スタッフにとっては比較的時間がかか
ると報告されているため(Micheels,J.、Scand.J.Plas
t.Reconstr.Surg.18:65−73(1984年))、患者の
すべてがこの種の検査に適応するとは限らない。また、追加的なスタッフが必要
であり、患者の治療コストが紛れもなく上昇するということは重要である。さら
に、LD技法の制約として、プローブにより皮膚面に加える力があり、このこと
は測定自体が試験中のパラメータに影響を及ぼすことを意味している(Obei
d,A.N.他、J.Med.Eng.Technol.14:178−181
(1990年))。
【0207】 最終的に治癒した創傷に対するLDを用いた臨床試験では、熱傷後最初の数日
間に平均灌流レベルの着実な増加が見られた。一方、熱傷創傷がより深かった場
合では、血流の回復にこのような明瞭なパターンは検出できなかった(O′Re
illy,T.J.他、J.Burn.Care Rehabil.10:1−
6(1989年);Green,M.他、J.Burn.Care Rehab
il.9:57−62(1988年);Atiles,L.他、J.Burn.
Care Rehabil.16:596−601(1995年))。こうした
試験から、皮膚の微小血管に生じた損傷の程度が熱傷治癒における制約要因の1
つであることが明白となった。
【0208】 熱傷に続く微小血管網の流体力学的な変化についても、生体内蛍光顕微鏡観察
法およびコントラスト強調用の蛍光剤を用いて動物モデルで試験がなされた(B
oykin,J.V.他、Plast.Reconstr.Surg.66:1
91−198(1980年))。これらの試験は熱傷受傷後の微循環の動的な変
化の詳細観察を考慮したものであったが、この種の試験はこれまでのところ実験
室に限られている。
【0209】 この症例報告では、ヒトの熱傷創傷の微循環を先ずOPSイメージングによっ
て評価した。本技法により、治癒過程において皮膚および真皮の微循環を反復し
て直接かつ非侵襲的に映像化することができる。本試験は数分内に実施され、患
者はLDを使用した試験で必要となるような指定された環境条件に対する順応期
間をとることを容赦された(Micheels,J.他(前掲))。OPSイメ
ージングプローブの表面を接触させる必要がないため圧迫アーチファクトが排除
されている。LD測定と異なり、OPSイメージングを使用すると、熱傷創傷内
の個々の毛細血管が映像化され、これらの形態を精査し、さらにビデオ録画から
治癒過程における動態を定量的に評価できた。
【0210】 OPSイメージングから取得した微循環データは、治癒過程において、LDを
用いた灌流データに対する以前の試験で報告されていたのと同様の回復がFCD
に生じていることが示した(O′Reilly,T.J.他、J.Burn.C
are Rehabil.10:1−6(1989年);Heimbach,D
.他、World J.Surg 16:10−15(1992年);Gree
n,M.他、J.Burn.Care Rehabil.9:57−62(19
88年))。LD測定から、灌流と熱傷創傷の治癒の可能性との相関関係が得れ
られている場合には、FCDも熱傷部位が治癒に至るか否かを予測するための有
用なパラメータとなる可能性が高い。
【0211】 ここで報告した患者で得られた結果により、OPSイメージングが熱傷創傷内
の機能毛細血管密度を定量的に評価するための信頼できるツールを提供できるこ
とが示された。このデバイスは操作が容易であり、持ち運び可能であり、かつ特
殊な機能を必要としない。その上、プローブをプラスチック製の無菌フォイルで
包むことができるため、手術中での測定も可能となる。OPSイメージングを使
用した熱傷内の微循環の評価に関するこれらの結果は期待がもてるものと思われ
、また、本技法により熱損傷の病態生理学において微循環の動態に関する知見が
発展することになると期待される。その上、OPSイメージングは、臨床的観察
と協同させることにより、熱傷部位の重篤度を評価するための有望な診断ツール
になると思われる。
【0212】 (形成外科分野での応用) 本発明のこの実施形態では、高コントラストOPSイメージングプローブを形
成外科手術中に生体内で使用する。
【0213】 本実施形態の以下の態様の各々において、毛細血管密度、血管(および微小血
管)の形態、血管密度、血管れん縮、赤血球(RBC)速度、細胞形態、血管の
直径、白血球・内皮細胞間の相互作用、血管動態(例えば血管運動)、機能血管
密度、機能毛細血管密度、エリア内対周辺比、血流、ヘモグロビン濃度、ヘマト
クリット値、などの1つまたは複数のパラメータを定量的に決定することがある
。決定するパラメータは2つ以上であることが好ましい。
【0214】 本実施形態の一態様では、高コントラストOPSイメージングプローブは、形
成手術、再建手術、再付着手術または顕微手術の間、並びにこれらの手術後にお
ける血流(灌流)を監視するために使用される。
【0215】 本実施形態の別の態様では、高コントラストOPSイメージングプローブは、
皮膚弁の周りでの健康組織を、壊死した(すなわち、死んだ)組織に対して決定
するために使用される。皮膚弁再建では、対象者自身の組織を使用して腫瘍の外
科的除去または外傷の間に失われた組織の再建または置き換えを行う。形成外科
医は術中並び術後の双方において弁に対する血流(灌流)を監視し、確実に組織
内に適度の灌流を存在させることが重要である。この処置は機能毛細血管密度測
定、RBC速度および直径を用いることにより達成可能である。
【0216】 以下の試験では、OPSイメージングを用いて皮膚弁灌流を監視した。技術の
最近の進歩はあるものの、ヒトの皮膚弁の灌流不全を高信頼に検出するための監
視システムは目下のところ存在していない。しかし、移植した組織内での灌流不
足を発見するための客観的な方法の必要性は大きい。OPSイメージングにより
、偏光を使用して微循環を直接映像化しかつ特徴付けることができる。この試験
の目的は、皮膚弁内の微小血管測定に関するOPSイメージングの有効性を確認
することにあった。この確認は微循環を定量的に測定するための標準的技法であ
る生体内蛍光顕微鏡観察法(IFM)と対照して実施した。
【0217】 材料および方法:オスの無毛マウス(hr/hr)の既成の皮膚弁モデルを使
用した(Galla,T.J.他、Br.J.Plastic Surg.45
:578−585(1992年))。弁創生(n=9)の後、弁創生に続く1時
間目、6時間目および24時間目においてOPSイメージングおよびIFMの両
者を用いた皮膚微循環の検査を実施した。IFM測定ではFITC−Dextr
an(5mg/kgBW)の適用が不可欠であったが、OPSイメージングでは
不可欠ではない。この2つの技法を比較するため、同一の関心領域を連続して監
視した。弁に対しては遠位部分から基部まで走査した。総数で60箇所の関心領
域を各時点のビデオテープに取り込んだ。機能毛細血管密度(FCD)はCap
Image(商標)コンピュータ・プログラムを使用してオフラインで測定した
。手順はすべてイソフルランの全身麻酔下で実施した。
【0218】 結果:OPSイメージングを使用することにより、トレーサ(FITC−De
xtran)を用いずに皮膚弁微循環を映像化しかつ特徴付けることが可能であ
った。これらの画像からFCDの定量分析が実現できた。FCDの値は弁の基部
と比べて弁の遠位部分で有意に低かった(171.8±34.7対62.0±2
5.6、平均値±SD;1hデータ)。OPSイメージングとIFMの比較によ
り、すべての時点においてFCDの値(p<0.001、スピアマンの順位和検
定)に有意の相関関係が示された。Bland−Altmanのプロットにより
、この2方法間で良好な一致を示した。
【0219】 考察:OPSイメージングにより皮膚弁灌流の定量分析が可能となる。マウス
皮膚弁に対する有効確認試験の成果を受けてさらに、ヒトにおいてもOPSイメ
ージングが首尾よく使用できることを試験によって証明する必要がある。この新
規の技法を再建外科手術で実施すれば、皮膚弁微循環の機能に関する知見が進む
と共に、術中および術後での皮膚弁灌流の監視のための新規のツールを提供でき
るであろう。
【0220】 本実施形態の別の態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプ
ローブは、皮膚弁および筋肉皮弁、並びに合併症を示している遊離皮弁における
微循環を映像化しかつ特徴付けるために使用される。例えば、問題とした遊離皮
弁において、OPSイメージングを使用した毛細血管内の赤血球フローの直接観
察により弁が生存可能であることが示された。
【0221】 本実施形態の別の態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプ
ローブは形成手術や顕微手術の後に微循環を監視しかつ再灌流でのすべての潜在
的問題を特定するために使用される。再灌流の問題が早期に示されるため、手術
の反復を要しないようにすることに役立てることができる。
【0222】 (心臓への応用) 本発明のこの実施形態では、高コントラストOPSイメージングプローブを、
循環器科分野及び/または心臓手術分野において生体内で使用する。
【0223】 本実施形態の以下の態様の各々において、毛細血管密度、血管(および微小血
管)の形態、血管密度、血管れん縮、赤血球(RBC)速度、細胞形態、血管の
直径、白血球内皮細胞間相互作用、血管動態(例えば血管運動)、機能血管密度
、機能毛細血管密度、血流、エリア内対周辺比、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリ
ット値、などの1つまたは複数のパラメータを定量的に決定することがある。決
定するパラメータは2つ以上であることが好ましい。
【0224】 以下の試験において、局限性に誘発された虚血の間で心外膜微循環を検出し、
映像化し、かつ特徴付けるためにOPSイメージングが使用可能であるか否かを
確認するために、心外膜安定化デバイスを用いて拍動中のブタの心臓にOPSイ
メージングを適用した。
【0225】 方法:8匹のブタ(体重70kg)に全身麻酔下で正中胸骨切開術を施した。
心臓を露出させた後、心外膜吸引デバイス(Octopus,Medtroni
c Inc.)をつけた。この吸引デバイスの2本のフォーク様の延長部分を左
冠動脈前下行枝(LAD)の最上部に配置し、400mmHgの吸引を施すこと
により心筋エリアを安定化した。この安定化した領域にOPSイメージングプロ
ーブを配置し、心外膜微小血管を映像化した。このエリアに対する限局性虚血は
、近位LADの周りに単一繊維の止血帯縫合を用いて達成させた。
【0226】 結果:8匹すべてにおいて心外膜の微小血管画像を収集することができた。半
定量的分析によりLADの閉塞による微小血管血流の減少が示された。
【0227】 結論:OPSイメージングを局所的心筋壁固定具と共に使用することにより、
心外膜の微循環を映像化しかつ特徴付けることができる。得られた画像から、心
外膜血流の変化を定量化し、かつ限局性の虚血の間の微循環変化を一意に評価す
ることが可能となる。拍動している心臓に対して心外膜の微循環の変化を検出し
かつ映像化する能力は特に興味深く、また冠動脈血管再生の間で有用なツールと
なり得る。
【0228】 本実施形態の一態様では、高コントラストOPSイメージングプローブは、「
キーホール」サージャリ(すなわち、Heartport)や開胸術などの心臓
肺バイパス装置を回避している侵襲性を最小とした心臓外科処置の間で再灌流を
確認できるように、心臓の微循環の映像化および特徴付けを高めるために使用さ
れる。
【0229】 本実施形態の別の態様では、高コントラストOPSイメージングプローブは、
開放心臓手術中の患者を心肺装置にかけている間で患者の血流(微循環)の変化
を監視しかつ検出するために使用される。監視中、OPSイメージングプローブ
は、患者の口腔内に配置する。血流の差の観察は、心肺装置にかけるように患者
を配置した後、並びに装置を遮断した後において手術開始前と比較して実施した
。白血球が観察できるような場合では、血管の出現の増加も観察された。詳細に
は、心肺装置に患者をかける時間が長いほど、微循環の流れがそれだけ悪化する
。したがって、心肺装置にかけている間だけでなく、装置を外した場合について
も、患者の進捗を監視するのにOPSイメージングプローブを使用することが可
能である。
【0230】 以下の試験において、OPSイメージングは、心臓手術を受けている患者の微
小血管変化を直接映像化しかつ特徴付けるために使用した。
【0231】 方法:心肺バイパス(CPB)手術を受けている12人の男性患者(平均年齢
61.1歳)に対してOPSイメージングを使用し、CPBの間に微小血管灌流
の変化を検査した。白血球内皮細胞間の相互作用についても検査した。麻酔の導
入直後(T1)、CPBの早期フェーズ(T2)、CPBの晩期フェーズ(T3
)、および再灌流後1時間後(T4)において、舌下粘膜から収集した画像で微
小血管の直径(DIA[μm])、赤血球速度(VEL[mm/s])、並びに
機能毛細血管密度(FCD[cm/cm])を測定した。
【0232】 結果:DIAはT3およびT4時点で有意に増加した。VELはT2時点で低
下し、T3時点で増加した。FCDについては有意の変化はなかった(表1)。
【0233】
【表1】
【0234】 中央値(25%〜75%);p<0.05対T1
【0235】 結論:このデータによりCPB中の微循環変化に関する証拠が提供される。し
かし、FCDの低下のみが有意でなかったため、無併発性のCPB中は栄養性血
流が十分保持されていると見られる。
【0236】 以下に記載する別の試験では、ヒトの人工心肺中での心外膜微循環の変化を映
像化しかつ特徴付けるためにOPSイメージングを使用した。
【0237】 方法:予備的試験では、OPSイメージングは全身麻酔下で正中胸骨切開術を
受け、様々な心臓処置のために人工心肺の配置を受けた3人のヒトに使用した。
すべての患者について、血液性心筋保護液を用いた心筋保護灌流の各周期中にL
ADより灌流を受けている部位を映像化した。心臓表面から直接取得した画像に
おいて微小血管直径(DIA[mm])および赤血球速度(VEL[mm/s]
)を測定した。
【0238】 結果:OPSイメージングを用いることにより、すべての患者で心外膜の微小
血管画像を取得した。細動脈および細静脈の直径は、10〜70mの範囲であっ
た。赤血球速度はこれらの血管において心筋保護溶液を用いている間で最大で0
.6mm/secに達した。動脈および細動脈が収縮および拡張していることか
ら、血管運動の証拠も検出された。赤血球の流れが明瞭でない部位が多く検出さ
れており、これは心筋層のこの部分には心筋保護溶液が到達していなかったこと
を示している。
【0239】 結論:このデータにより、ヒトに心筋保護溶液を使用したときのヒトの心臓の
表面の第1の生体内顕微鏡画像が提供される。これまでに実施した半定量的分析
により、微小血管の血流に著しい差があることが示唆される。OPSイメージン
グは、ヒトの心臓の微小血管の変化を直接評価できるため、心臓手術中で極めて
重要となることがある。
【0240】 本実施形態の別の態様では、OPSイメージングプローブは、冠動脈バイパス
移植(CABG)手術中に移植により提供された部位が充分な血流を得ているか
否かを判定するためにも使用することができる。すなわち、心臓外科医は心臓に
直接接触させるようにしてOPSイメージングプローブを使用して、バイパス手
術後の毛細血管への血流を監視することが可能となる。
【0241】 本実施形態の別の態様では、OPSイメージングプローブは、心臓の先天性欠
損を修復するための心臓手術の間に患者の微循環を監視するために使用すること
ができる。例えば、小児の心臓手術中において心室中隔欠損(VSD)を修復す
る間に2乳児の心臓表面を画像化するためにOPSイメージングプローブは使用
されてきた。OPSイメージングプローブは、大きなペン程の大きさを有してお
り、プローブは心臓の表面にあてがった。プローブは手持ち式とし、高分解能モ
ニタ上で観察される画像に応答して手動で焦点合わせした。画像は、開放心臓手
術に関連する虚血の間に心臓を保護するために使用する心筋保護溶液(Bret
tschneider溶液)を用いている間に録画した。最初は、心臓がまだ<
20拍動/分で拍動しており、続いて心筋保護期間になった。生体内顕微鏡画像
の定量化のためには、定評のあるCapImage(商標)分析プログラムを使
用した。
【0242】 OPSイメージングを用いることにより、心臓の表面から画像を取得すること
、並びに観察された微小血管の直径を算出することが可能となった。Brett
schneider溶液は赤血球を含んでいないにも関わらず、血管内に残留す
る赤血球のために血管の映像化が可能であった。一般に、心筋保護溶液は微小血
管の大多数に到達していたが、いくつかの微小血管は赤血球のカラムを含んでい
て赤血球の流れが明瞭でないため、これらの微小血管には到達しなかった。した
がって、心臓のうち心筋保護溶液が及んでいない部位は、手術誘発性の虚血から
未保護のままであった。その上、心筋保護溶液を用いている間に細動脈において
、70μm〜32μmの範囲の直径変化を伴う著しい血管運動が観察された。
【0243】 したがって、これらの知見、並びに以前の報告に鑑みて、本実施形態のさらに
別の態様では、OPSイメージングは、任意の心臓手術処置の間に心筋保護溶液
灌流を用いた場合に、その有効性を定性的かつ定量的に評価するために使用する
ことができる。さらに、血管運動の様な微小血管の現象をOPSイメージング技
術を用いて試験することができる。
【0244】 本実施形態の別の態様では、OPSイメージングプローブは任意のタイプの心
臓手術の間で患者の微循環を監視するために使用することができる。使用できる
手術の例としては、心臓弁の交換や心臓弁の修復のための手術などがある。
【0245】 本実施形態の別の態様では、OPSイメージングプローブは心臓リスクを監視
するために使用することができる。微循環を映像化しかつ特徴付けるためにOP
Sイメージングプローブを使用することにより、高リスクの心臓プロフィールを
非侵襲的に決定するのに役立てることができる。高血圧による微小血管の続発症
を調べることができ、また心臓リスクの決定の際に使用することができる。
【0246】 (呼吸器医学への応用) 本実施形態では、肺組織の映像化、特徴付けおよび評価の際にOPSイメージ
ングプローブを使用する。
【0247】 本実施形態の以下の態様の各々において、毛細血管密度、血管(および微小血
管)の形態、血管密度、血管れん縮、赤血球(RBC)速度、細胞形態、血管の
直径、白血球内皮細胞間の相互作用、血管動態(例えば血管運動)、機能血管密
度、機能毛細血管密度、血流、エリア内対周辺比、ヘモグロビン濃度、ヘマトク
リット値、などの1つまたは複数のパラメータを定量的に決定することがある。
決定するパラメータは2つ以上であることが好ましい。
【0248】 CYTOSCAN(商標)A/Rを用いてブタの肺を、5倍の光学倍率を有す
る対物レンズと10倍の光学倍率を有する対物レンズという2つの対物レンズに
より映像化した。10倍のA/Rを用いることにより、隅の血管(肺胞周辺の血
管)、並びに肺胞内でガス交換を行っている毛細血管などかなり細部が観察され
た。肺自体を覆っている薄い膜を通して複数の血管も映像化された。5倍のA/
Rの場合では、肺胞をさらに明瞭に映像化できたが、「隅の」血管はこの場合に
は小さすぎて(概ね10〜15マイクロメートル)ほとんど定量化できなかった
。10倍に対して5倍で観察した場合に精細度がより大きくなるのは、この2つ
の対物レンズ間で被写界深度が異なることによっている。
【0249】 (脳外科への応用) 本発明のこの実施形態では、高コントラストOPSイメージングプローブを、
脳外科手術の前または脳外科手術中において生体内で使用する。
【0250】 本実施形態の以下の態様の各々において、毛細血管密度、血管(および微小血
管)の形態、血管密度、血管れん縮、赤血球(RBC)速度、細胞形態、血管の
直径、白血球内皮細胞間の相互作用、血管動態(例えば血管運動)、機能血管密
度、機能毛細血管密度、血流、エリア内対周辺比、ヘモグロビン濃度、ヘマトク
リット値、などの1つまたは複数のパラメータを定量的に決定することがある。
決定するパラメータは2つ以上であることが好ましい。
【0251】 本実施形態の一態様では、高コントラストOPSイメージングプローブは診断
上または治療上の脳外科手術の間で脳に対して直接適用し、皮質または軟膜の微
循環を観察すると共に、血管の直径、フロー速度、機能毛細血管密度などのパラ
メータを測定する。
【0252】 特別に用意したOPSイメージングデバイスを用いることにより、麻酔をかけ
たヒトにおいて脳外科手術前に軟膜の微循環を画像化した。外科医が脳表面上の
光ガイドを位置決めしかつ安定したビデオ録画を得るために画像ガイドを適所に
保持できるようにするため、3つの回転軸を有するステンレス鋼製の手術用アー
ムを開発した。このアームは多数の固定用ノブを捻ることにより剛性とすること
が可能である。手術前に、このアームをOPSイメージャと共に手術台のレール
に固定した。このアームは内視鏡を覆うために使用される無菌フォイルにより覆
い、このフォイルをさらに光ガイドを覆っている無菌のTeflon製スリーブ
に取り付けた。開頭術に続いて、軟膜の表面上にイメージャをゆっくりと位置決
めした。外科医は脳の微循環をTVモニタ上で観察することができた。
【0253】 静態像を見ることは困難であるが、ビデオ再生の間で、毛細血管を通って一列
になって流れる赤血球の観察が可能であった。血管は細動脈、毛細血管または細
静脈であることが容易に特定可能であった。ビデオ画像は、本来は生体内顕微鏡
観察法により得たビデオ画像を分析するために開発された市販の画像処理ソフト
ウェアを用いて赤血球の流れを定量化するのに充分な品質を有していた(Kly
scz,T.他、Biomed.Tech.(Berl.)42:168−17
5(1997年))。この他ヒトの食道および胃内の微循環層に対する同様に明
瞭な画像も取得された。
【0254】 本実施形態の別の態様では、高コントラストOPSイメージングプローブは、
動脈瘤やくも膜下出血に続く血管れん縮を検出するために使用される。
【0255】 本実施形態の別の態様では、高コントラストOPSイメージングプローブは、
脳内での腫瘍の境界を検出するために使用される。脳腫瘍は、典型的には、脳の
表面に位置しておらず、したがって腫瘍を見ることはできない。OPSイメージ
ングの別の脳外科的応用では、手術中にOPSイメージングプローブを用いて腫
瘍の上に位置している「正常」組織内の機能毛細血管密度の変化を検出すること
ができ、したがって脳腫瘍辺縁を評価するために使用することができる。
【0256】 OPSイメージング技術を使用して、ヒトの脳腫瘍における微循環の異常が観
察された。したがって、本実施形態の別の態様では、高コントラストOPSイメ
ージングプローブは、血管構造および様々な脳腫瘍の微循環の差に基づいて脳腫
瘍を判別しタイプ分けするために使用することができる。
【0257】 ヒトの腫瘍の微循環は、腫瘍低酸素性および血管形成が重要であるため、極め
て研究が進んでいる分野の1つである。以下の試験では、OPSイメージングは
、手術中の11人の患者(年齢55.9±5.17歳;平均値±SEM)におい
てヒトの脳腫瘍の微循環を映像化しかつ特徴付けるために使用した。脳内の腫瘍
が表面に位置していることからこれらの患者を選別した。このことから、腫瘍お
よび周辺組織に対する処置を最小にしながら腫瘍の微循環が観察可能であった。
様々な部位を無作為に映像化することによって、患者の健康な皮質と腫瘍との間
でその微循環を比較した。
【0258】 良性の髄膜腫(n=5)、多形性グリア芽細胞腫(n=4)および転移(n=
2)という3つのタイプの脳腫瘍を調べた。髄膜腫では、正常の場合と比較して
極めてバックグラウンドが暗く、ほとんど血流がなく、血管パターンが無秩序か
つ拡張していた。グリア芽細胞腫では、バックグラウンドは正常の場合と同様で
あり、血流は低下しており、かつ正常の場合と比べて血管が少なかった。転移で
は、正常の場合と比較して極めてバックグラウンドが暗く、ほとんど血流がなく
、かつ血管パターンが無秩序であった。この試験により、OPSイメージングを
用いて手術中に、脳腫瘍内の病的な微循環に対する原位置での特定が可能である
ことが分かった。
【0259】 微循環パラメータはコンピュータ支援型微循環分析システム(CapImag
e(商標)、Dr.Zeintl Ingenieurburo、Heidel
berg、Germany)を使用して評価した。微循環パラメータ(赤血球速
度(RBCV)、機能血管密度(部位ごとの血管の全長)など)において様々な
脳腫瘍と健康な皮質との間で有意の差が見られた。グリア芽細胞腫のRBCVは
0.40±0.10mm/sであり、これに対して細動脈では1.59±0.3
2、また細静脈では0.64±0.09であった。部位ごとの血管長さP(血管
密度)では健康な皮質と様々な腫瘍タイプとの間で差(p<0.05)が見られ
、髄膜腫(対照;腫瘍):68.10±5.65cm/cm;41.75±6
.39;多形性グリア芽細胞腫(対照;腫瘍):88.47±5.70;50.
02±6.91;転移(対照;腫瘍):72.96±17.04;25.04±
6.02)であった。この試験によりヒトの脳腫瘍微循環の第1の録画を表した
。OPSイメージングにより病原および脳腫瘍に対して可能な治療法に関するよ
り深い洞察が提供されるものと期待される。
【0260】 以下の試験により、ヒトの脳の微循環に対するOPSイメージングを使用した
術中観察を報告する。
【0261】 ヒトの脳微循環に対する知見の1つは主として、組織学的な試験(Hunzi
ker,O.、J.Geront.34:345−50(1979年);Cra
igie,E.H.、Bid.Rev.20:133−146(1945年))
から導かれるか、あるいは動物における生体対象の観察から得た結論(Uhl,
E.他、Stroke 30:873−879(1999年))から導かれる。
小型の手持ち式デバイス(CYTOSCAN(商標)A/R)によるOPSイメ
ージング法の実施により今では、脳外科処置中でのヒトの脳微循環の観察が可能
である(Groner,W.他、Nature Medicine 5:120
9−1213(1999年))。本技法は組織を直線偏光で照らすことに基づい
ており、一方その反射光は直交偏光分析器を使用して画像化している。蛍光色素
を用いる必要はない。この試験の目的は脳外科処置中におけるOPSイメージン
グの実用可能性を検証すると共に、ヒトの皮質性微循環に関する基本定量データ
を正常状態および病的状態で収集することにあった。
【0262】 患者および方法:本試験は現地の倫理委員会により承認を受けると共に、手術
に先立ち各患者からインフォームドコンセントを得た。今までに、12名の患者
(男性患者6名、女性患者6名)が本試験を受けている。4名の患者は偶発的脳
内動脈瘤の手術を受けており、これを対照群として扱った。3名の患者は頭蓋内
動脈瘤の破裂によるくも膜下出血(SAH)を起こしており、動脈瘤をクリッピ
ングするための手術を受けた。5名の患者は脳腫瘍の手術を受けた。平均年齢は
47.3±9.7歳であった。患者のうちで、以前に手術を経験したものはいな
かった。これらの手術は、スフェンタニル(麻酔の誘導ごと1μg/kg b.
w.)、propofol(400〜700mg/h)、remifentan
il(0.25〜0.5ng/kg/min)による標準的措置を用いて全身麻
酔下で実施した。さらに、すべての患者には、頭蓋開口術を行う前にデキサメタ
ゾンを8mgと20%マンニトールを250mlを与えた。SAHを起こした患
者にもニモジピンの連続輸液(0.5〜2mg/h)を行った。手術中は全身性
パラメータをルーチンで測定した。
【0263】 術中測定:生体内顕微鏡観察は倍率が5倍のレンズとCCDカメラとを備えた
CYTOSCAN(商標)A/Rを用いて実施した。このシステムの技術的詳細
は様々な箇所に記載がある(Groner,W.他、Nature Medic
ine 5:1209−1213(1999年))。このデバイスは無菌のプラ
スチック製キャップ(CYTOLENS(商標)、Cytometrics I
nc.、Philadelpha、PA)および無菌のプラスチック製フォイル
により覆われており、このデバイスは測定中にプローブを脳表面上に安定して位
置決めすることを可能とするLeylaレトラクタに適応させた。皮質性の微小
血管のオンライン観察は、硬膜を開いた直ぐ後で、動脈瘤のクリッピングまたは
腫瘍の切除のそれぞれの前に実施した。手術の終了時点の硬膜を閉じる前に第2
の測定を実施した。第1の測定と第2の測定の間の時間差は、外科的アプローチ
の種類および困難さに応じて様々となる。各患者において、皮質の表面上の少な
くとも5箇所の関心位置(SOI)を無作為に選択した。各SOIにつき30秒
間走査し、オフライン評価のために画像をビデオテープに記憶させた。術中のシ
フトおよび脳組織の切除のために、同一の血管分節を評価することは可能ではな
かった。微循環パラメータの評価はコンピュータ支援型の微循環分析システム(
CapImage(商標)、Dr.Zeintl Ingenieurburo
、Heidelberg、Germany)を用いて260倍の最終倍率で実施
した(Klyscz,T.他、Biomed.Tech(Berl)42:16
8−175(1997年))。血管の直径[μm]、細動脈と細静脈の赤血球速
度[mm/s]、並びに機能毛細血管密度[cm−1]を測定した。後者は観察
時点で赤血球の灌流があるすべての毛細血管の長さ(1cm当たり)と定義さ
れる。
【0264】 結果は以下の通りであった: 皮質血管の形態:OPSシステムでは、典型的な構造、毛細血管およびドレイ
ン用細静脈を有する細動脈は明瞭に識別することができた(図2および3)。毛
細血管は、不規則ではあるがほとんど円形をなすように見られた。特定の面積範
囲内の毛細血管の数は様々であり、細静脈と細動脈の接合の近傍では数が減少し
ている。SAHの血管外遊出では、くも膜下スペース内に赤血球が観察された(
図4)。これらの患者では、細動脈での分節性血管れん縮が検出され、これによ
り血管の直径が50%まで縮小するに至った。細動脈のいくつかでは、この血管
れん縮は1分節にのみ限局していたが、別の細動脈では多重れん縮により血管が
真珠弦(pearl string)様の外見となった(図4)。さらに、SA
Hの患者、並びに脳腫瘍の患者の腫瘍切除の境界位置においては、当***管内皮
の変化が観察された(図5)。これらの血管では、管腔の血管表面に沿って不透
明な層が観察され、このため赤血球の流れの低下を生じさせる腔内スペースの縮
小が起きていた。
【0265】 表面に到達するような腫瘍の場合では、新生した腫瘍血管を正常な脳微循環か
ら識別することが可能であった。腫瘍血管は不規則で蛇行した形状で、しばしば
正弦波状をしており、特定部位の血管が間にある正常な微循環と集塊を形成して
いた(図6)。これらの腫瘍血管は細静脈と密着していたが、この部位の細動脈
とは明らかな関連は見られなかった。
【0266】 機能毛細血管密度:初期の機能毛細血管密度は、対照患者では94.7±9.
1cm−1(平均値±SEM)、腫瘍患者では、79.1±5.7であった。S
AH患者では、これ以外の患者の場合と比べて初期値がより小さく、平均値が6
1.7±12.5に達していた。すべての患者において、機能毛細血管密度は第
1の測定と比べて手術の終了時点で上昇しており(図7)、このうちSAH患者
の動脈瘤手術後において最も顕著な上昇が観察された。
【0267】 血管の直径:観察された血管の直径は、細動脈/小動脈では10〜150μm
の範囲であり、また細静脈/小静脈では10〜210μmの範囲であった。血管
は無作為に選んでいるため、手術の開始時点と終了時点で同一の血管分節を測定
することは可能ではない。したがって、特定の血管の実際の変化はわれわれの観
察からは導き出せなかった。したがって、平均値ではなくデータ分布を提示して
いる(図8)。SAH患者における分節性の微小血管れん縮を除けば、手術の途
中で血管直径の分布に著しい変化は観察されなかった。
【0268】 赤血球速度:ラインシフト図表をCapImage(商標)システムに組み合
わせることにより、2mm/sまでのRBC速度の測定が可能である。多くの皮
質性血管、特に細動脈では、RBC速度はこの値を超えているため、正確な値は
収集できない。このため、RBC速度は6等級に分類されており、各時点ごとに
特定のRBC速度を有する血管分類の百分率を提供している(図9)。RBC速
度が大きすぎて測定できない血管は、2mm/sを超える速度分類に含めた。わ
れわれのデータから、3つの患者群のすべてにおいて、2mm/sを超えるRB
C速度を有する血管数は手術の終了時点において増加しており、そのうちSAH
後の動脈瘤手術において最も顕著な変化を示したことが分かる。
【0269】 考察:OPSイメージングシステムによるこの経験から、CYTOSCAN(
商標)A/Rがヒトの皮質性微循環を術中に観察するのに適当なデバイスである
ことが分かる。脳毛細血管、細動脈および細静脈について映像化したが、微循環
パラメータの定量分析も収集した。しかし、倍率が大きい場合のいくつかの患者
では、心拍動の伝達ではなく主に呼吸によって起こる脳の動きがあり、画像の質
が優れていても微循環パラメータに対する術後のオフライン定量化に悪影響を及
ぼしていた。光の反射性によって機能を果たしているシステムでは、半透明で薄
い軟膜をもつ脳が検査対象臓器として理想的であるが、画像の品質は根底にある
病変に大きく左右される。偶発的な動脈瘤や腫瘍の患者では画質が良好または優
良であったが、くも膜下出血の患者では赤血球の血管外遊出や脳の腫脹のために
映像化に悪影響があった。赤血球の血管外遊出に加えて、細動脈(10〜95μ
m)や小動脈(100〜150μm)において明瞭な微小血管れん縮を観察する
ことができた。これら微小血管れん縮は、正常な経頭蓋ドプラ値を有すると共に
手術時点で血管れん縮の臨床徴候を示していない患者において観察された。この
術中知見が、疾病過程の後期において臨床的に重要な血管れん縮を起こすことに
関して予後で重要となり得るか否かについては、今後評価する必要があろう。
【0270】 さらに、微小血管内皮に関連する不透明層は、SAH患者、並びに脳腫瘍患者
の切除境界でも観察された。この観察の基にある病理は分かっていない。この知
見は内皮の腫脹、あるいは内皮の内側表面に沿った血漿タンパクからなる厚層の
いずれかを意味しており、腔内スペースの縮小を生じさせるものと推測すること
ができる。この結果、特定の血管での赤血球の流れが低下する。
【0271】 脳毛細血管、細動脈および細静脈を術中に映像化するだけでなく、微循環パラ
メータの定量分析も取得される。すべての患者において、FCDは手術の終了時
点でより高くなっていることが分かった。この理由は恐らく、動脈瘤患者におけ
る脳脊髄液の排出によるか、脳腫瘍患者における腫瘍塊の量低下によるかのいず
れかにより頭蓋内の圧力が低下したことによるものである。結果的に脳組織が弛
緩したことは、RBC速度が2mm/sを超える微小血管(特に細静脈)の数が
増加したことの理由にもなり得る。本質的に観察者によるSOIの選択によって
決まる血管の平均直径の場合と異なり、機能毛細血管密度および赤血球速度は定
量的な選択パラメータに主として影響されず一定していると思われる。
【0272】 OPSイメージングは脳腫瘍手術における有用なツールの1つとなると期待さ
れる。
【0273】 本実施形態の別の態様では、高コントラストOPSイメージングプローブは、
神経性外傷の血管への影響を直接映像化しかつ特徴付けると共に、神経性外傷の
程度を判定するために使用される。
【0274】 以下の試験において、ラットにおける皮質の管理下衝撃損傷後に、皮質の灌流
低下に続いて過灌流が生じることが分かった。
【0275】 脳灌流が障害されることにより、外傷性脳損傷に続き組織損傷が起こる。この
長期的な試験により、皮質の管理下衝撃損傷(CCII)に続いて、レーザドッ
プラ流量計およびOPSイメージングを使用した生体内顕微鏡観察法(CYTO
SCAN(商標)A/R)を利用して皮質の灌流低下の持続を調べた。
【0276】 方法:CCII前、CCII後30分、4時間、24時間、並びに、48時間
において、6匹のラットにおいて外傷半球全体にわたりレーザドップラプローブ
を50×0.2mmステップで移動させることにより挫傷周辺や外傷未受傷の皮
質の灌流を決定した。細動脈および細静脈の直径およびフロー速度は、同じラッ
トにおいて直交偏光スペクトルイメージングを用いて評価した。
【0277】 結果:CCII後4時間の時点では、皮質の灌流は、外傷前のレベルと比べて
有意に33%(p<0.05)だけ低下した。paCOの正常値は(平均値:
42.1±1.0mmHg)であるが、皮質の灌流はCCII後24時間および
48時間において、それぞれ43%と107%(p<0.005)だけ有意に増
加した。生体内顕微鏡観察法により対応する変化が明らかとなった。外傷後早期
のフェーズでは、血管の直径は細動脈において24%縮小したが、細静脈の直径
は不変のままであった。フロー速度の変化はほとんどが細静脈に生じており、フ
ロー速度は39%低下した。晩期フェーズでは、血管の直径は細動脈では+39
%、また細静脈では+75%、有意に増加した(p<0.005)。細静脈では
、フロー速度が測定可能な値を超えており、細動脈においてすべての時点で決定
された速度と同じであった。
【0278】 結論:CCIIに続く早期フェーズ内に見られる皮質の灌流低下は、長期に持
続する過灌流フェーズが後に続くに連れて反転すると見られる。これらの知見は
組織メディエータ(アシドーシス、NO、セロトニン)の変化による可能性があ
る。
【0279】 (臓器移植への応用) 本発明のこの実施形態では、高コントラストOPSイメージングプローブを、
臓器移植の間において生体内で使用する。
【0280】 本実施形態の一態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプロ
ーブは、移植手術の間で、移植された組織/臓器を接続した後に灌流の量を決定
するために使用される。例えば、肝臓、肺、膵臓、腸、腎臓、心臓を含め移植し
た任意の臓器を画像化することができる。肝臓移植以外では灌流を評価すること
が困難となるため肝臓移植手術の間では(例えば、腎臓移植の場合と異なり)、
この画像化が特に有用となる。肝臓では、灌流のある洞様構造の数を測定するこ
とが可能である。OPSプローブは臓器の移植部分に直接配置することができる
【0281】 毛細血管密度、血管(および微小血管)の形態、血管密度、血管れん縮、赤血
球(RBC)速度、細胞形態、血管の直径、白血球内皮細胞間の相互作用、血管
動態(例えば血管運動)、機能血管密度、機能毛細血管密度、血流、エリア内対
周辺比、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値、などの1つまたは複数のパラメ
ータを定量的に決定することがある。決定するパラメータは2つ以上であること
が好ましい。
【0282】 (血管移植) 本発明のこの実施形態では、標準または高コントラストOPSイメージングプ
ローブを、末梢動脈閉塞疾患(PAOD)などの血管移植の間で生体内で使用す
る。
【0283】 本実施形態の以下の態様の各々において、毛細血管密度、血管(および微小血
管)の形態、血管密度、血管れん縮、赤血球(RBC)速度、細胞形態、血管の
直径、白血球内皮細胞間の相互作用、血管動態(例えば血管運動)、機能血管密
度、機能毛細血管密度、血流、エリア内対周辺比、ヘモグロビン濃度、ヘマトク
リット値、などの1つまたは複数のパラメータを定量的に決定することがある。
決定するパラメータは2つ以上であることが好ましい。
【0284】 本実施形態の一態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプロ
ーブは、血管移植手術の間において血管移植を接続した後に灌流の量を決定する
ために使用される。
【0285】 (整形外科手術への応用) 本発明のこの実施形態では、標準または高コントラストOPSイメージングプ
ローブを、整形外科手術の間、並びに整形外科診療分野において生体内で使用す
る。
【0286】 本実施形態の一態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプロ
ーブは、整形外科手術の間で、外科的に除去する壊死組織を発見し観察するため
に使用される。プローブの位置は外傷を受けた部位上にすることになる。
【0287】 このプローブは骨、腱および靱帯を映像化するためにも使用することができる
【0288】 本実施形態の別の態様では、標準または高コントラストOPSイメージングプ
ローブは、骨膜(骨)の周りの微循環を映像化しかつ特徴付けるために使用され
る。画像を骨折の前後で撮影すると微循環の差が観察される。
【0289】 毛細血管密度、血管(および微小血管)の形態、血管密度、血管れん縮、赤血
球(RBC)速度、細胞形態、血管の直径、白血球内皮細胞間の相互作用、血管
動態(例えば血管運動)、機能血管密度、機能毛細血管密度、血流、エリア内対
周辺比、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値、などの1つまたは複数のパラメ
ータを定量的に決定することがある。決定するパラメータは2つ以上であること
が好ましい。
【0290】 (胃腸への適用) 本発明のこの実施形態では、標準または高コントラストO直交偏光スペクトル
イメージングイメージングプローブが、胃腸病および胃腸(GI)または胃食道
の外科手術分野で生体内で用いられる。
【0291】 本実施形態の以下の態様の各々においては、毛細血管密度、血管(および微細
血管)の形態、血管密度、血管痙攣、赤血球(RBC)速度、細胞の形態、血管
径、白血球内皮細胞間相互作用、血管動態(血管運動など)、機能的血管密度、
機能的毛細血管密度、血流、面積対周囲の比、ヘモグロビン濃度、およびヘマト
クリット値等の1つまたは複数のパラメータが定量的測定されてよい。好適には
2つ以上のパラメータが測定される。
【0292】 本実施形態の一態様によれば、標準または高コントラスト直交偏光スペクトル
イメージングプローブを用いて大腸が映像化されかつ特徴付けられ、また炎症性
腸疾患(IBD)、潰瘍性大腸炎、クローン病、または他の胃腸疾患が診断かつ
治療される。直交偏光スペクトルイメージングはクローン病と潰瘍性大腸炎とを
区別するのに用いることができ、したがって、正確な診断の一助となる。このプ
ローブを直腸に挿入し、大腸の壁に直接接触させることができる。
【0293】 以下の試験では、マウスモデルを用いて結腸の微小循環を映像化しかつ特徴付
けするために、直交偏光スペクトルイメージング(CYTOSCAN(商標)A
/R)と生体内蛍光顕微鏡とを比較した。この試験では、条件の管理下でかつD
SS由来大腸炎を誘発させた後、Balb/cマウスの結腸微小循環を調べた(
試験した各群はn=7)。微小循環のパラメータとして、結腸(漿膜/筋)の外
壁のほか管腔壁(粘膜)に関して後毛細血管静脈径、赤血球速度、および機能的
毛細血管密度を分析した。両方法の一致を検証するために、直線回帰、スピアマ
ンの相関係数およびBland−Altmanプロットを検証した。
【0294】 対照群および大腸炎群において、測定したすべてのパラメータは2つの方法に
で有意に相関した。直交偏光スペクトルイメージングは、蛍光線量を用いること
なく、結腸の微小循環を映像化しかつ特徴付けするのに用いることができ、かつ
生理学的および病態生理学的条件下のマウス結腸の関連する微小循環を定量的に
測定することを可能にすることが実証された。得られた結果は、IVMに関して
得られた結果と有意に相関しているこが明らかとなった。直交偏光スペクトルイ
メージングはIVMに比して、品質および鮮明度が優れていた。
【0295】 次の試験では、直交偏光スペクトルイメージングは腸間膜大動脈遮断したブタ
の微小循環シャントを検出した。
【0296】 虚血および再灌流障害に起因する微小循環の変化は、大動脈遮断(AoX)後
に「還流なし」現象および臓器不全を起こすと考えられる。これまでは、微小循
環の生体内観察は生体内顕微鏡を用いて齧歯動物においてのみ可能であった。こ
の試験では、AoX後のブタ回腸漿膜微小循環を直交偏光スペクトルイメージン
グを用いて観察した。
【0297】 ブタ6匹を麻酔し、血流を完全に監視した。超音波プローブを上腸間膜動脈(
SMA)周囲に置いた。60分間安定させた後、SAMの上を45分間AoXを
行った。基線の間、AoX5分後、および2時間の再灌流後に、OPSイメージ
ングを用いて回腸漿膜の微小循環を観察した。CapImage(商標)ソフト
ウェアを用いてビデオ画像をコンピュータ分析した。画像化された微小循環領域
(3/ブタ)当たりの灌流された血管の数は、基線の9±1.79から遮断開放
5分後の10.5±1.378で変化はみられなかったが、SMAの流れは2倍
近くになった。再灌流2時間後、灌流された血管の数は5±2.1と有意になっ
た(p<0.05)。AoX5分後および再灌流120分後のRBC速度は、基
線に比して有意に低かった(p<0.05)。これらの結果は、上腸間動脈流は
増大したにもかかわらず、AoX後の回腸の微小循環の毛細血管密度およびRB
C速度は低くなったことを示している。このような結果は、「還流なし」現象中
にシャント経路が存在することを示唆するものである。
【0298】 次の試験では、エンドトキシン由来の回腸粘膜アシドーシスがブタの絨毛微小
循環障害に関与していることが直交偏光スペクトルイメージングを用いて明らか
となった。
【0299】 次の省略形を用いることにする。PA−cath.とは、平均肺動脈圧および
心拍出量を測定するための肺動脈カテーテルである。ECGとは、心拍数を監視
するための心電図である。Flow V.portaeとは、超音波流量プロー
ブによって測定されたV.門上の(over the V.porta)局所的
血流である。A.fem.−cath.とは、血圧を測定し、かつ血液サンプル
を採取するための大腿動脈の動脈経路である。pCO−センサとは、回腸内の
腸粘膜壁の局所的pCOを連続して測定するための光ファイバ腸粘膜センサで
ある。CYTOSCAN(商標)A/Rとは、回腸内の胃腸粘膜の微小循環を映
像化しかつ特徴付けするための直交偏光スペクトルイメージング装置である。
【0300】 序:胃腸粘膜−動脈のpCO−gap(Δr−aPCO)の血圧測定を用
いて、胃腸の灌流を監視し、粘膜のアシドーシスを示すことが可能である(Fr
iddian−Green,R.G.,Br.J.Anaesth.74:59
1−606(1995年);Brinkman,A.他、Intensive
Care Med.24:542−556(1988年))。しかし、いくつか
の異なる病態生理学的条件が、局所的血流量、酸素の送達および消費量、ならび
にCO産性およびの細胞のエネルギー代謝の障害(disturbencie
s)の変化等の局所的なpCOのホメオスタシスに影響を及ぼしてしまう(S
chlichtig,R.他、J.Crit.Care 11:51−56(1
996年);Vandermeer,T.J.他、Crit.Care Med
23:1217−1226(1995年)。腸管粘膜の微小循環をその場で映
像化するのに適した機器が市販されていなかったために、Δr−aPCOおよ
び回腸粘膜アシドーシスの増大を進展するための絨毛微小循環の役割に関して、
大きな種の動物モデルを用いた長期試験はこれまで行われなかった。直交偏向ス
ペクトル(O直交偏光スペクトルイメージング)イメージングに基づく新しい非
侵襲的方法であるCYTOSCAN(商標)A/Rによって、これまでアクセス
不可能であったこの部位の映像化、特徴付け、および記録が可能となった。
【0301】 したがって、この試験の目的は、ブタの内毒性ショック亢進における粘膜の腸
管アシドーシスの進展への絨毛の微小循環の影響を分析し、かつこの分析結果と
局所的血流量とを比較することにある。また、胃腸の微小循環分析のためのCY
TOSCAN(商標)A/Rの適用性および実行可能性を考察する。
【0302】 (材料と方法) (1)動物モデル:これまでブタの細胞内毒素モデルについては詳細に記載さ
れている(Santak,B.他、Br.J.Pharmacol 124:1
689−1697(1998年))。この実験では、ブタ16例(平均体重は4
8kg)を試験した。すべてのブタに麻酔し、機械的に換気を行った。熱希釈法
を用いて平均的な肺動脈圧および心拍出量を測定するために、右頸静脈を介して
肺動脈カテーテルを挿入した。大腿動脈の1つには、血圧を連続して記録しかつ
血液を採取するためにカテーテルを挿置した。乳酸加リンガー溶液(10ml/
kg/時)を静注して体液平衡を維持した。
【0303】 正中切開を行い、あらかじめ校正したドプラ超音波流量プローブ(Trans
onic Systems、Ithaca、NY)を門脈周囲に挿置した。T2
06流量計(Transonic Systems)を用いて血流を連続的に記
録した。モニタ(Paratrend 7;Pfizer)に接続された光ファ
イバCOセンサ(Multiparameter Intravascula
r Sensor;Pfizer、Karlsruhe)を挿入し、かつCYT
OSCAN(商標)A/Rを用いて回腸の微小循環の生体内映像を記録するため
に回腸フィステル形成術を行った。
【0304】 機器を設置後、基線測定の前に安定させるために8時間そのままにした。
【0305】 (2)プロトコル:内毒素(ENX)群(n=10)と偽群(n=6)との2
群に動物を無作為割付けした。内毒素(大腸菌リポ多糖体B0111:B4株[
Difco Laboratories]、5%デキストロースに20mg/l
に溶解)または生食水の静注を開始した。平均肺動脈圧(MPAP)が50mm
Hgに達した後、MPAPが35〜50mmHgの中等度の肺高血圧症に調整さ
れるまで、内毒素の注入率を増大させた。ヒドロキシエチルスターチ(HES)
を注入して、血流動態を安定させかつ平均動脈圧(MAP)を60mmHgより
上に保った。また、内毒素または生食水の注入開始から12時間後および24時
間後に、回腸粘膜の微小循環の血流力学またはΔr−aPCOの測定のほかC
YTOSCAN(商標)A/Rの記録を行った。測定の最後に、塩化カリウム注
入を用いて動物を殺処分した。
【0306】 回腸粘膜のpCOと動脈のpCOとの差を用いてΔr−aPCOを算出
した。各測定時、CYTOSCAN(商標)A/Rを用いて、無作為に選択した
回腸粘膜の位置からの絨毛の微小循環の各々の1分間の連続画像6枚(6 vi
deo sequence)を記録した。すべての絨毛を数え、灌流されたもの
、異構造的に灌流されたもの(すなわち、同じ絨毛において灌流された毛細血管
と灌流されていない毛細血管の両方が存在した状態)、および灌流されていない
ものとに半定量的に分類した。技術的な困難のため、偽群の2つの動物の微小循
環は記録しなかった。
【0307】 (3)統計学的分析:特に指定した場合を除き、示したすべての値は平均範囲
および四分位範囲である。複数の比較を行うために、ランクに応じて変化するF
riedman repeated measures分析法およびStude
nt−Newman−Keuls検定を用いて、群間差を試験した。p<0.0
5を有意であるとみなした。障害を有さないサンプルについては、Mann−W
hitney−Rank−Sum−Testを用いて群間差を分析した。
【0308】 結果:噴門出力(cardiac output)の上昇を有意に維持しつつ
、内毒素によって平均動脈血圧は基線から内毒素血症を発症して12時間後およ
び24時間後まで有意に連続的に低下したが、偽群の動物では影響は認められな
かった(表2)。
【0309】
【表2】
【0310】 #p<0.05対基線;§p<0.05ETX単独対Sham
【0311】 表2 偽処置および内毒素処置を施したブタの噴門出力(cardiac o
utput:CO)の時間依存変動と平均動脈血圧(MAP)。EXTは、内毒
素群(n=10):基線データの記録の後に内毒素注入を受けた動物、Sham
は、偽処置群(n=6):上述と同様の処置を施されてはいるが内毒素のかわり
に生食水注入を受けた動物。
【0312】 門脈の血流量は両群ともに変化せず、群間差はみられなかった(図10)。内
毒素群では(Δr−aPCO)は基線から12時間後および24時間後では有
意に上昇し、心拍出量は有意に上昇を維持したが、偽群では影響はみられなかっ
た(図11)。
【0313】 図12および図13は、試験中の回腸粘膜の微小循環の変化を示している。内
毒素群において、基線では、すべての絨毛は灌流されたが、内毒素を12時間注
入すると微小循環はかなり不均質になる。すなわち、絨毛の半分は灌流されなか
ったか、または異構造的に灌流されたが、偽群では、分類された絨毛の5%のみ
が灌流されなかった(p<0.05)。実質的には、24時間後の内毒素群でも
同じパターンが観察された。
【0314】 考察:この試験の目的は、ヒトにおける敗血症性ショックの臨床徴候を模倣し
た長期間のブタ内毒素血症亢進の間に、大循環(macrocirculati
on)および微小循環が回腸粘膜のアシドーシスの発達に及ぼす影響を比較する
ことであった。
【0315】 これまでの試験はブタにおける内毒素血症中の回腸粘膜のアシドーシスを示し
たものであるが局所的血流量は維持され、したがって微小循環の変化が予想され
た。残念ながら今まで、小腸粘膜微小循環の変化をその場で映像化かつ特徴付け
するための実験のセッティングに組み入れることができる市販の機器は存在しな
かった。このため、毛細血管の鏡検と比較した場合、CYTOSCAN(商標)
A/Rは最適な製品であり、安価かつ使用が簡単で、動物から回腸を分離する必
要はない。この技術は毛細血管の灌流に影響を及ぼすため、組織にプローブを強
く押しつけ過ぎないようにするためにこの技術を用いるべきである。
【0316】 重要な知見は、内毒素血症を発症してそれぞれ12時間後および24時間後の
絨毛微小循環の明白な異構造である。この知見のため低倍率を用い、ある視野に
おいてできるだけ多くの絨毛を識別することがが有利であった。さらに、内毒素
血症中には絨毛内で毛細血管網の減少が観察されたが、これは他の識者も敗血症
性ショックのより小さな動物モデルで認め、かつ毛細血管密度の減少として記載
されている(Farquhar I.他、J.Surg.Res.61:190
−196(1996年))。残念ながら、このような変化を計量化するための単
純かつ時間のかからない(time−sparing)装置は存在しない。分析
ソフトウェアの運動制御機構では補正できない腸管運動があるため、絨毛血管内
の流速の測定は不可能であった。
【0317】 これに加えて、微小循環の変化は明白であったため、灌流された絨毛と灌流さ
れなかった絨毛との比較が評価の中心となった。
【0318】 このような変化には、粘膜内のアシドーシスを示す内毒素群においてpCO ギャップの有意な上昇を伴った(Leverve,X.M.、Intensiv
e Care Med.25:890−892(1999年))。変化のない門
脈の血流、すなわち十分に維持された微小循環の酸素の利用可能性を考慮すると
、Δr−aPCOの漸進的上昇は、主として絨毛の毛細血管灌流によるもので
ある。この知見は、粘膜アシドーシスのpCO−gapを小さくするには動脈
の血液供給を少なくとも60〜70%低減することが必要であると主張するKn
ichwitzらにより最近発表されたCrit.Care Med.26:1
550−1557(1998年)のデータと非常に対照的なものである。
【0319】 結論として、CYTOSCAN(商標)A/Rに組み込まれた直交偏光スペク
トルイメージングを用いることによって、両方の腸管壁の門脈血流が充分に保た
れている場合であっても、長期ブタ内毒素性ショック亢進モデルでは、回腸粘膜
アシドーシスの進展は絨毛微小循環の大きな変化に関与していることが明らかと
なった。
【0320】 本実施形態の別の特徴では、胃腸(GI)の手術中に直交偏光スペクトルイメ
ージングプローブを用いて、腸切除中に結腸の映像化および特徴付けを行うこと
ができる。
【0321】 また本実施形態の別の態様では、直交偏光スペクトルイメージングプローブを
用いて、癌性のGI腫瘍の境界を測定し、かつ壊死組織の映像化および特徴付け
をすることができる。したがって、影響を受けた組織の胃および/または食道領
域からの切除は、手術中に容易に達成される。
【0322】 また本実施形態の別の態様では、直交偏光スペクトルイメージングプローブを
用いて、例えば、炎症性腸疾患(IBD)患者の直腸粘膜の微小循環を映像化お
よび特徴付けをすることができる。
【0323】 微小循環はIBDに関与しているという有力な証拠がある。直交偏光スペクト
ルイメージングを用いて、健常ボランティア11例およびIBD患者25例を対
象に直腸粘膜の微小循環を映像化および特徴付けした。このうち数例(健常3例
、IBD患者6例)を選択して、画像を定量化するためによく知られている画像
分析アルゴリズムを適用した。また、生検採取中に従来の内視鏡を用いて顕微鏡
画像を撮影した。直交偏光スペクトルイメージングによって撮影される直腸粘膜
の詳細な映像化が可能となり、患者もよく耐えることができた。赤血球運動およ
び毛細血管小静脈において観察される。粘膜が新生されかつ形成される腺窩粘膜
がはっきりと識別される。正常な直腸粘膜の特徴は、六角形の毛細血管の輪に取
り囲まれた高くなった腺窩が血管パターンがはっきりしていることである。健常
ボランティアの直腸微小循環とIBD患者の直腸微小循環との間には大きな違い
が見られた。このはっきりした粘膜および毛細血管の構造は、腺窩がこれ以上は
識別できない程度にまで完全に変形し、毛細血管は膨張し、通常よりも蛇行して
いた。多角体−認識アルゴリズム(Euler−numberとして表される)
を用いた画像分析では、正常群(15.7)重症群(−434)および中等度群
(−36.3)のIBDの間には結果に大きな差が認められた。
【0324】 本実施形態の別の特徴では、直交偏光スペクトルイメージングプローブを用い
て、肝および膵等の固い組織の微小循環の評価および特徴付けを行うことができ
る。腎、小腸、胆嚢、腸間膜、膀胱、横隔膜、胃および食道等の腸管内の他の器
官は、直交偏光スペクトルイメージングを用いて同様に映像化することができる
。また、回腸造瘻術において直交偏光スペクトルイメージングプローブを用い、
回腸内の絨毛および絨毛の微小循環を映像化することができる。
【0325】 次の試験の目的は、ラット肝を対象にした正常な条件および病態生理学的条件
下において、標準的な生体内蛍光顕微鏡(IFM)に対して直交偏光スペクトル
イメージングを検証することにある。
【0326】 背景:動物においてIMFを用いて肝の微小循環を定量分析することによって
、虚血/再灌流障害に関するわれわれの知識が高められた。しかし、器具のサイ
ズおよびコントラストの強調のための蛍光金属(fluochrome)の必要
性のために、ヒト肝の微小循環を観察することができない。直交偏光スペクトル
イメージングは、蛍光色素を必要とすることなく、微小循環を映像化するのに用
いることができる最近導入された技術である。この技術は、小さくかつ携帯型の
装置であり、かつ臨床的設定(clinical setting)のヒト肝の
微小循環を試験するために使用することができる可能性がある。しかし、臨床使
用に実施する前に、微小循環のパラメータを定量的に測定する能力を検証する必
要がある。
【0327】 方法:Spraque−Dawleyラット(n=9)の肝を摘出し、肺温虚
血を20分間誘導した前後に、同じ微小循環領域に直交偏光スペクトルイメージ
ングおよびIMFを用いて画像を撮影した。後にコンピュータを用いてオフライ
ン分析するために画像をビデオテープに録画した。
【0328】 結果:直交偏光スペクトルイメージングを用いて、正弦の灌流率(sinus
oidal perfusion rate)、血管径および細静脈の赤血球速
度を正確に定量化することができる。相関係数は有意であり、Bland−Al
tman分析では、2つの方法を用いて基線時のほか再灌流中に得られたデータ
からはよく一致(good agreement)していることが明らかとなっ
た。
【0329】 結果:生理学的および病態生理学的の両方の条件下のラット肝では、直交偏光
スペクトルイメージングを用いて肝微小循環を映像化し、かつ微小循環パラメー
タを定量的に測定することができる。このため、ヒト肝の微小循環を定量的に測
定するために直交偏光スペクトルイメージングを使用できる可能性がある。相関
パラメータおよびBland−Altman分析から分かるように、直交偏光ス
ペクトルイメージングおよびそのような測定のための標準的方法、すなわち生体
内蛍光顕微鏡から得られたデータでは統計学的に有意な有意な一致がみられる。
蛍光法とは対照的に、直交偏光スペクトルイメージングはコントラストを強調す
るのに蛍光色素を必要としないために、直交偏光スペクトルイメージングを用い
てヒトの微小循環を映像化することができる。また、直交偏光スペクトルイメー
ジング装置は小さいので、臨床的設定の間、例えば、移植手術中に用意に用いる
ことができる。
【0330】 肝移植後に最も頻発する合併症の1つは、肝微小循環の重篤な変質の結果生じ
る移植の不全症である。したがって、ヒト肝の血流を評価する能力は臨床的に非
常に重要である。
【0331】 また、ラット膵を画像化するために、次の検証試験は直交偏光スペクトルイメ
ージングを用いて行った。移植および手術中のヒト膵の毛細血管の灌流の定量化
は、実験室の試験結果と相関し、かつ急性膵炎および膵の虚血/再灌流による損
傷の病態整理について新たな知見を提供することができる。
【0332】 材料と方法:ラット8例(n=8)に麻酔し、前述のように監視した。横方向
に切開した後、短い胃動脈を縛り解剖した。次にこの膵までアクセスするために
、胃のより大きな湾曲部からより大きな綱を摘出した。実施したマイクロサージ
カル技術は既に詳細に記載されている(Hoffman他、Res.Exp.M
ed.(Berl.)195:125−144(1995年))。間接授動を行
った後、膵および付いている脾臓を可動ステージ上に静かに摘出し、薄いプラス
チック箔を用いて覆い、空気に触れて乾燥しないようにした。毛細血管網を映像
化するために、plasmamakerのFITC(フルオレセインイソチオシ
アネート、Sigma−Aldrich Chemie、Deisenhofe
n、Germany)を用いて標識を付けた0.3mlの5%ウシ血清アルブミ
ンを静注した。2つの技術を用いて毛細血管の灌流を比較するために、肝の場合
と同じ設定を用いた。各動物では、IVMおよび直交偏光スペクトルイメージン
グを用いて同一の6つの微小循環領域を評価した。観察領域当たりの赤血球で灌
流された毛細血管の長さ(cm/cm)として定義される機能的毛細血管密度
を、CapImage(商標)コンピュータプログラムを用いて記録した画像の
オフラインコンピュータ評価により分析した。
【0333】 結果と考察:膵の毛細血管の典型的なハチの巣状の網目は、CYTOSCAN
T(商標)A/Rを用いて映像化することができる。直交偏光スペクトルイメー
ジングの定量分析からは機能的毛細血管密度の平均は385.4±45cm/c
となることが明らかとなり、これはこれまでの蛍光顕微鏡を用いた試験と一
致している。Bland−Altman分析から分かるように、これらの値は、
平均するとIVM画像から得られたわずか2.2%(8.7cm/cm)未満
であった。
【0334】 また、95%信頼区間該であったのは2つのデータポイントのみであり、回帰
線は中央値と一致している。したがって、基線条件下のラット膵のFCDを測定
するための2つの方法(IVMおよび直交偏光スペクトルイメージング)の間に
は非常によい一致があることは明白である。IVMおよびCYTOSCANT(
商標)A/Rを用いて得られた画像のコントラストおよび品質は、質的に同じで
あり、したがって画像分析に必要な時間は両技術に対して比較可能であった。
【0335】 したがって、直交偏光スペクトルイメージングは基線中の膵の毛細血管の灌流
の定量分析に適した器具である。ヒトの手術および移植中の膵の微小循環の科学
的および臨床的評価にとって、CYTOSCANT(商標)A/Rは有用な装置
である。膵の灌流障害は虚血後の器官への損傷の程度を示すものであるため(H
offman他、Res.Exp.Med.(Berl.)195:125−4
4(1995年);Hoffman他、Microsc.Res.Tech.3
7:557−571(1997年))、FCDの測定は膵の状態を監視するため
の有用な診断パラメータである。
【0336】 (眼への適用) 本発明のこの実施形態では、眼科分野の生体内に標準的または高コントラスト
の直交偏光スペクトルイメージングプローブを用いた。
【0337】 この実施形態の次の態様の各々では、毛細血管密度、血管(および微細血管)
の形態、血管密度、血管痙攣、赤血球(RBC)速度、細胞の形態、血管径、白
血球内皮細胞間相互作用、血管動態(血管運動など)、機能的血管密度、機能的
毛細血管密度、血流、面積対周囲の比、ヘモグロビン濃度、およびヘマトクリッ
ト値等の1つまたは複数のパラメータが定量的測定されてよい。好適には2つ以
上のパラメータが測定される。
【0338】 本発明の一態様によれば、高コントラスト直交偏光スペクトルイメージングプ
ローブを用いて、眼球内部の微小循環(特に、網膜微小循環)が映像化されかつ
特徴付けされる。一実施形態では、直交偏光スペクトルイメージングは非接触法
(non−contact method)に利用することができる。この実施
形態では、弛緩状態の眼(無限領域に焦点がある)が焦点が合い、かつ網膜への
直交偏光スペクトルイメージング光線を画像化するように装置の光が設定される
。また選択的には、特別な診断用の角膜コンタクトレンズを用いる場合のように
、イメージングプローブを直接接触させた状態で用いることができる。このよう
な映像化装置は、診断用および治療に用いることができる。
【0339】 好適な一実施形態では、眼底撮影装置、特定の眼内部位を治療するための適切
な波長の光線を伝達するレーザ、および直交偏光スペクトルイメージングが機能
的に統合されている。診断用および治療のほかに、試験される領域の循環系への
種々の薬剤の有効性に関する情報を提供するために、この種の装置を用いること
ができる。
【0340】 正確に測定するために、測定されかつ治療されるか、または検査されかつ再検
査される眼内の正確な領域(地点)を再度容易に見付ける必要がある。このため
、センタリング、トラッキングおよびグリッドを行う装置をこのシステムに組み
入れてよい。優れた眼球運動があるにもかかわらず、評価を行いかつ治療する領
域を装置に対して常に同じ位置にあることを可能にするには、このトラッキング
装置が重要である。
【0341】 また、このような装置の最適化において、倍率に関係なく血管および病変等の
大きさを表示する記録装置を組み入れることも重要である。現在、直接接触する
装置として外部で(externally)用いられる場合に、この装置によっ
て映像化される領域は約0.5mmである。検査される眼のdioptic p
owerおよび使用される場合には角膜コンタクトレンズの能力に応じて、眼内
領域の大きさは多少変動すると思われる。
【0342】 所望の波長の光を最小で用いて画像を定められるように、イメージ増倍(im
age intensification)を組み込むことができる。理想的に
は、この画像はカラーおよびリアルタイムのものである。この装置は微小循環の
病理学的問題を迅速に診断することを可能にしている。永久的に記録するために
アルタイムのビデオおよび写真の撮影が可能である。疾患の光化学療法等のレー
ザまたは他のタイプの迅速な治療をリアルタイムで行うことができる。
【0343】 この装置の最適化には、次の特徴のいくつかまたはすべてを含んでいる。すな
わち、これにはセンタリング装置、同じ地点または領域を映像化する方法、眼球
運動を追跡し、かつ常に同じ位置にある装置、それぞれの倍率で血管の大きさを
表示する記憶装置、すなわち校正装置、画像強調装置、および画像の大きさを拡
大する倍率手段である。カラー画像は任意のものである。
【0344】 この実施形態の別の態様では、直交偏光スペクトルイメージング技術を用いて
、黄斑変性、すなわち網膜疾患(網膜症)および緑内障を診断することができる
【0345】 この実施形態の別の特徴では、直交偏光スペクトルイメージング技術を用いて
、視神経円板、網膜、強膜、および硝子体液の変化を映像化することができる。
【0346】 この実施形態の別の態様では、眼微小循環、特に眼球の強膜および/または房
水の変化および差を見ることによって糖尿病の早期診断および治療のために直交
偏光スペクトルイメージング技術を用いることができる。
【0347】 この実施形態の別の特徴では、直交偏光スペクトルイメージング技術を用いて
、内頸動脈(ICA)手術の間の眼を分析することができる。次の試験の目的は
、直交偏光スペクトルイメージングを用いた内頸動脈(ICA)および外頸動脈
(ECA)の血流領域の微小循環の手術中の映像化および定量分析である。
【0348】 材料と方法:手術中の15例を対象に、CYTOSCAN(商標)A/Rを用
いて、眼の前部(強膜)の微小血管の灌流を映像化し、かつ定量化した。FCD
、毛細血管径、および血流速度を測定した。(I)制御条件下、(II)ECA
虚血中、(III)ICA虚血中、(IV)閉塞灌流中、(V)閉塞を取り除い
た後(虚血)、またはECAの再灌流後、および(VI)ICA中、(VII)
再灌流して5分後、および(8)再灌流して20分後に、微小血管網の同側のI
CA閉塞領域および反対側を対象に、DCD、毛細血管径および血流速度を測定
した。
【0349】 結果:シャント植え込み中の一時的な虚血によって、虚血前の基線値に比して
、栄養(nutritive)の眼の毛細血管の灌流は約50%と有意な低下が
みられた。さらに、この短い虚血の期間は、毛細血管密度の有意な減少に関与し
ていた。単純な短いECA虚血と比較した場合、この変化はICAおよびECA
をクランプした後に一層著しいものであった。一方、ICAの虚血後のシャント
の再灌流の特徴はIおよびIIIの場合に比して、FCD、毛細血管径およびR
BC速度が有意に上昇したことであった(p<0.05、対になった標本のt検
定(paired t−test))。シャント除去中の一時的虚血の新生によ
り、シャント植え込み中と同様の灌流の不足が生じた。一方、虚血後の迅速な再
灌流(VI)は、FCD、毛細血管径およびRBC速度の有意な上昇に関与して
いた(p<0.05)。また、灌流の増大は、再灌流フェーズ(phase)の
シャント灌流中および反対側(contralateral)の眼で再灌流20
分後の両方で明白ではないものの観察された。
【0350】 結論:直交偏光スペクトルイメージングを使用すれば、最初に眼微小循環を直
接映像化しかつ定量化することが可能になる。これにより、迅速かつ信頼できる
手術中の虚血の監視(灌流の不足)が可能となり、再灌流は頸動脈の再形成中の
脳微小循環を変化させた。毛細血管の鬱血および閉塞等の眼微小循環の障害は、
短いICA虚血およびECA虚血のすぐ後に生じる振動する血流と同じく、虚血
誘導の微小循環障害がすぐに発現することを示している。再形成中のICA灌流
領域で灌流を適切に保てば、同側および反対側の眼微小循環は有意に改善し、か
つ保護される。
【0351】 (妊娠中の適用) 本発明のこの実施形態では、正常な妊娠中および合併症を伴う妊娠中に直交偏
光スペクトルイメージングプローブを用いて、女性の微小循環機能が監視される
【0352】 本発明の以下の態様の各々では、毛細血管密度、血管(および微細血管)の形
態、血管密度、血管痙攣、赤血球(RBC)速度、細胞の形態、血管径、白血球
内皮細胞間相互作用、血管動態(血管運動など)、機能的血管密度、機能的毛細
血管密度、血流、面積対周囲の比、ヘモグロビン濃度、およびヘマトクリット値
等の1つまたは複数のパラメータが定量的測定されてよい。好適には2つ以上の
パラメータが測定される。
【0353】 本発明の一態様では、標準または高コントラストの直交偏光スペクトルイメー
ジングプローブを用いて、子癇前症(PE)を合併した女性が監視される。ここ
で用いられているように、「子癇前症」とは現在または最近の妊娠の合併症であ
り、その特徴は蛋白尿および/または浮腫を伴う高血圧である。子癇前症は内皮
細胞の機能不全を伴う全身性疾患である。PEがどのように皮膚の微小循環に影
響を及ぼすかを調べるために、微小血管の機能を直交偏光スペクトルイメージン
グを用いて試験した。
【0354】 次の試験の目的は、妊娠中および子癇前症を発症した妊娠中の微小循環機能を
生体内で調べることにある。
【0355】 要約:子癇前症の妊娠女性10例および正常血圧の妊娠女性10例を対象に、
皮膚の微小循環を調べた。直交偏光スペクトルイメージングを用いて爪郭の静脈
閉塞を試験中に、休息時の赤血球速度(rCBV)および局所的な交換神経性の
静脈−細動脈の反射作用(VAR)を直交偏光スペクトルイメージングを用いて
試験した。レーザドップラフラックスメータを用いて、静脈閉塞時、動脈閉塞時
および休息時の皮膚微小循環の機能を評価した。
【0356】 レーザドプラフラックスメータを用いた結果、正常血圧群と子癇前症群との間
に差はみられなかった。概して、休息時および静脈閉塞中に両群間に絶対速度の
差はみられなかったが、直交偏光スペクトルイメージングを用いたところ、対照
群の84%(74〜89)、に比して、子癇前症を発症した両群ともに静脈閉塞
後に赤血球速度の減少が認められた(58%(40〜94)(平均および範囲)
)(p=0.003)。
【0357】 この試験では、直交偏光スペクトルイメージングを用いることによって、レー
ザドップラフラックスメータでは検出不可能な静脈−細動脈の反射作用が明らか
となった。また、直交偏光スペクトルイメージングによって、他の器官床への子
癇前症の影響を試験することが可能となる。
【0358】 序:母体の心血管系は妊娠に反応して末梢血管抵抗および全身血圧は低下し、
血液容量および心拍出量が上昇して正常血圧状態(NT)になる。正常妊娠の要
求を満たすために、このような適応が必要となる。しかし、この反応は子癇前症
(PE)を伴う妊娠では正常に機能しない。PEの病態生理所見には、高血圧、
蛋白尿、血漿量の減少、末梢血管抵抗の増大、血管収縮、および器官の灌流の低
下がある(Roberts,J.M.およびRedman,C.W.G.,La
ncet 341:1447−1451(1993年);Bosio,P.M.
他、Obset.Gynacol.94:978−984(1999年))。凝
固カスケードが始まり、プロスタサイクリン/トロンボキサンの比率に不均衡が
生じて血小板凝集が起こり、さらに血管収縮が増大する(Walsh,S.W.
、Am.J.Obstet.Gynocol.152:355−340(198
5年))。集められている証拠からは、PEでは内皮細胞の機能不全が一般的に
みられることが示唆される(Roberts,J.M.およびRedman,C
.W.G.,Lancet 341:1447−1451(1993年))。内
皮機能障害の原因はとらえにくいが、血流が不十分な胎盤からの血中産物によっ
て引き起こされるとの提唱がなされている(Roverts,J.M.およびR
edman,C.W.G.,Lancet 341:1447−1451(19
93年))。
【0359】 PEでは、血管の機能障害が種々の器官から分離した動脈に認められた(Aa
lkjaer,C.他、Clin.Sci.69:477−482(1985年
);MacCarthy,A.L.他、Am.J.Obstet.Gynaco
l.168:1323−1330(1993年);Vedernikov,Y.
他、Semin.Perinatol.23:34−44(1999年)。NT
と比較した場合、PEでは内皮細胞依存性の膨張が認められ(MacCarth
y,A.L.他、Am.J.Obstet.Gynacol.168:1323
−1330(1993年);Knock,G.A.およびPoston,L、A
m.J.Obstet.Gynacol.175:1668−1674(199
6年))、PE女性の血管の平滑筋細胞は昇圧剤に対する感受性が増大した(G
ant,N.F.他、J.Clin.Invest.52:2682−2689
(1973年))。また、PEでは、交感神経の活動の増大が生体内の骨格筋の
血管に認められた(Schobel,H.P.他、N.Engl.J.Med.
335:1480−1485(1996年))。このような知見は、内皮細胞の
機能不全のみがPEの血管反応の変化の原因ではないことを示すものである。
【0360】 しかし、このような試験の大半は生体外で実施されてきたものであり、生体内
で血管機能を試験するのは困難なために、血管機能の生体内評価はあまり行われ
てこなかった。血管活性薬のイオン泳動を用いたレーザドップラフラックスメー
タ(LDF)による生体内試験では、PE女性の皮膚微小循環の血管機能に変化
はみられなかった(Eneroth−Grimfors,H.他、Brit.J
.Obstet.Gynacol.100:469−471(1993年))。
LDFを用いて試験した動脈閉塞(充血性の反応、内皮依存性の血管膨張)後の
反応は、NTの場合に比して、PEの手の皮膚で増大したが、腕の皮膚では差は
認められなかった(Beinder,E.およびLang,N.、Geburt
sh u Frauenheilk 54:268−272(1994年))。
局所的に冷やした場合の血管の反応は、血管収縮を起こし、PEの両方の領域に
おいて有意に高かった(Beinder,E.およびLang,N.、Gebu
rtsh u Frauenheilk 54:268−272(1994年)
)。しかし、爪郭の皮膚に毛細血管顕微鏡を用いたところ、PE女性には充血性
の反応に差はみられなかったが(Rosen,L.他、Int.J.Micro
circ.Clin.Exp.8:237−244(1989年))、高解像度
の超音波検査およびドップラ超音波検査を用いて試験したところ、NTの場合に
比してPE女性の上腕動脈には充血性の反応の変化がみられた(Yoshida
,A.他、Hypertension 31:1200(1998年);Vei
lle,J.C.他、J.Soc.Gynacol.Invest.5:38−
43(1998年))。
【0361】 微小循環機能障害はRosen,L.他によって実証され(Int.J.Mi
crocirc.Clin.Exp.9:257−266(1990年))、静
脈閉塞に対する反応は静脈−細動脈の反射を生じさせ(内皮依存性の血管収縮反
応につながる局所的な交換神経性の反射)、毛細血管顕微鏡を用いて試験したと
ころ、PEの皮膚では低下がみられた。しかし、この試験は繰り返して行われな
かたっため、交換神経性の反射の増大を伴う静脈−細動脈障害の原因は依然とし
て不明である。このことが本試験が実施されなかった理由である。異なる方法お
よび種々の血管床を使用したところ、PEでは動脈閉塞に対する血管反応に関し
て反対の結果が得られたため、本試験も充血性の反応を試験した。
【0362】 生体内でPEの皮膚微小循環の血管機能を単純かつ非侵襲的な方法で観察する
ために、直交偏光スペクトルイメージングを用いた。小型で携帯型の装置を植え
込むために、この技術は、ベッドサイドでかつ手術中に、皮膚微小循環のみなら
ずヒトの臓器の生体内観察を可能にしている(Groner,W.他、Natu
re in Medcine 5:1209−1212(1999年))。この
技術を従来の、凹細血管顕微鏡と比較することにより検証した。この結果を生体
内の微小循環機能を測定する他の方法比較するために、レーザドップラフラック
スメータ(LDF)を用いた。両方法を用いて、静脈−細動脈の反射(VAR)
を評価することによって、交換神経系による血管機能の制御を試験した(Hen
riksen,O.、Acta Physiol.Scand 143:33−
39(1991年))。LDFを用いて内皮依存性の血管収縮の制御を充血性の
反応に関して試験した(Ostergren,J.およびFagrell,B、
Int.J.Clin.Microcirc.Clin.Exp.5:37−5
1(1986年))。
【0363】 材料と方法: (1)対象:書面によるインフォームドコンセントの後に、PE女性10例お
よび正常血圧の妊娠女性10例(対照群)を名簿に登録した。PEの定義は、妊
娠20週後に拡張期血圧が>90mmHgに上昇し、蛋白尿が>300mg/2
4時間、または検尿値が++/+++(National High Bloo
d Pressure Education Program Working
Group Report on High Blood Pressure
in Pregnancy,Am.J.Obstet.Gynacol.16
3:1689−1712(1990年))とした。Karotkoff Vを用
いて拡張期血圧を測定した。PE女性のうち6例が薬剤を服用しており、3例が
infedipine(Adalat、3〜4×10mg)を使用し、3例がメ
チルドーパ(Aldomet、3×250または500mg)を使用していた。
対照群からの女性は、病院の産科外来診療室の広告によって集めた。対照群の女
性は誰も薬剤を使用していなかった。妊娠前に糖尿病、高血圧およびレイノー病
と診断された女性、または発熱している女性はこの試験から除外した。被験者の
特徴を表3に示す。
【0364】 (2)方法:レーザドップラフラックスメータ(LDF)(Perifleu
x 40001,PF408標準プローブ時間定数0.2秒、Perimed、
スウェーデン)を用いて、皮膚の総血流量を調べた(Stern,M.D.他、
Am.J.Physiol.232:H441−H448(1977年))。プ
ローブホルダ(Perimed、スウェーデン)を用いて両面接着テープで2つ
のプローブを指の髄質に取り付けた。波長780nmのレーザ光線を光ファイバ
を介して皮膚まで導入し、この光線は皮膚を1〜1.5mmの深さまで貫通し、
一部は反射された。対象(赤血球)を動かすことによって後方散乱が生じる場合
、光線は動く対象物の速度および数に比例する周波数偏移を受け、任意の単位(
ボルト)を用いて表され、フラックスと呼ばれる。データを記録し、オフライン
分析した(AcqKnowledge III およびMP 100 WSW、
Biopac System Inc.、カリフォルニア州サンタバーバラ)。
【0365】 直交偏光スペクトルイメージング(バージョン2、Cytometrics、
フィラデルフィアPA)を用いて爪郭の微小循環を試験した。この装置は光導波
路を通過した緑色の偏光を利用したものであり、測定される器官の上に設置され
る。反射光を交差偏光することによって、すべての表面反射が除去され、非常に
シャープな画像を記録することができる(図14)。波長540nmの75Wの
精密なハロゲンランプを光源として用いた。最終的な画面上の倍率が325倍に
なる、倍率5倍の可動する対物レンズを分析に用いた。すべての画像をデジタル
ビデオレコーダ(Sony DSR−20P)を用いて記録し、画像のオフライ
ン分析はソフトウェアプログラム(CapImage(商標)、Dr.Zein
tl Software engineering、独国ハイデルベルク)を用
いて行った(Klyscz,T.他、Biomed Tech(Berl)42
:168−175(1997年))。
【0366】 (3)測定法:VARを測定するためにLDFを用いて、5分間の平均流量(
RF)を分間および閉塞1分(VOF)後の静脈閉塞の平均流量を2分間測定し
た。また、動脈閉塞1分後の最大フラックス(PF)およびPFまでの時間を測
定した。休息時の値に正常化されたフラックスの上昇および減少を((RF−V
OF)/RF)および((PF−RF)/RF)として算出し、%で表した。動
脈閉塞の間、残りのLDF(生物学的にゼロ)(Caspary,L.他、In
t.J.Microcirc.Clin.Exp.7:367−371(199
8年))を測定したが、これは他のすべての測定したLDF値から引かれたもの
である。このときにはレーザドップラ装置が入手できなかったために、LDFの
測定は対象群の女性2例を除くすべてを対象に行った。
【0367】 直交偏光スペクトルイメージングを用いて休息時の毛細血管の血球速度(rC
BV)を30秒間の平均速度として測定し、VARは静脈閉塞30秒後の30秒
間の平均速度(roCBV)として測定した。両速度はline−shift
diagram法を用いて測定した(Klyscz,T.他、Biomed T
ech(Berl)42:168−175(1997年))。休息時の値に正常
化された静脈閉塞中の赤血球速度の低下を算出し、%で表した((rCBV−v
oCBV)/rCBV)。いずれの被験者においても、3本の毛細血管を試験し
て、中央値を比較に用いた。
【0368】 (4)プロトコル:すべての被験者には、試験の2時間前からカフェインを含
有した飲料は飲まないよう求めた。試験は23〜25℃の空調のある部屋で15
分間環境順化させた後に行った。被験者は利き手側を下にして(on thei
r dominating side)側臥位で横になり、腕は枕の上で心臓の
位置で軽く折り曲げた状態であった。上腕の周囲に血圧計バンドを設置した。最
初に、直交偏光スペクトルイメージングを用いて利き手とは違う第四指の毛細血
管を試験したが、この装置は爪郭表面のわずかに上のあたりに設置した。指を粘
土の塊に埋め込んで手を安定させ、爪郭上にパラフィン油を1滴落して手にさら
に光が通るようにした。爪郭近傍の皮膚にテープで止めたデジタル式体温計(K
eithley 871 A)を用いて皮膚温度を連続して計測した。充分に映
像化された3本の毛細血管を爪郭の毛細血管から選択して測定した。各毛細血管
を2分間記録してrCBVを測定し、この後、血圧計バンドを50mmHgまで
2分間膨張させてvoCBVを測定した。
【0369】 これらを記録した後LDFを用いて測定を行った。1本は手掌側に、もう1本
は背側になるように、2つのプローブを同じ指の中節骨に取り付けた。RFを測
定するために最低5分間安静にした後、血圧計バンドを50mmHgまで膨張さ
せて、VOFを3分間測定した。次にこの血圧計バンドを200mmHgまで膨
張させて動脈を閉塞させて生物学的ゼロを測定し、1分後に空気を抜いた。さら
に2分間、PFおよびピークまでの時間を測定するためにフラックスを記録した
。試験の終わりに血圧を測定した。
【0370】 (5)統計:特に指定しない限り、測定値は範囲のある中央値(median
with range)で表し、p値はMann−WhitneyのU検定お
よびWilcoxonの符号順位検定を用いて算出した。p値<0.05が統計
学的に有意であると考えられた。
【0371】 結果:両群の間には、血圧を除いて患者の特徴に違いはなかった(表3)。レ
ーザドップラフラックスメータの結果を表4ならびに図15Aおよび図15Bに
示す。休息時のPE患者または対照群の間では、静脈閉塞中または動脈閉塞後に
は、指の手掌側および背側にフラックスまたは割合の変化に有意差はみられなか
った。対照群では、手掌側の静脈閉塞中にフラックスの有意な変化はまったく認
められなかったが、PE患者群では、背側の静脈閉塞は有意な反応を引き起こさ
なかった。
【0372】 直交偏光スペクトルイメージング画像から得られた毛細血管の赤血球細胞の反
応速度の分析からは、両群間の間にrCBVとvoCBVとの間に差はみられな
かった。しかし、PE女性では静脈閉塞中の血球の割合の減少は対照群に比して
有意に小さく、58%(40〜94)対84%(74〜89)であった(p=0
.003、図16を参照)。
【0373】 コメント:本試験は直交偏光スペクトルイメージングを用いて確認されたPE
におけるVAR障害を裏付けるものである。また、前述のRosenらが毛細血
管顕微鏡を用いてこの反射障害を発見した。VARは立位状態で動脈圧を維持す
るように細動脈収縮を引き起こす反射の1つである。これは局所的な交感神経の
軸索反射であり(Henriksen,O.、Acta Physiol.Sc
and.143:33−39(1991年);Vissing,S.F.他、A
cta Physiol.Scand.159:131−138(1997年)
)、VARにおける内皮細胞の役割は依然として不明である(Henrikse
n,O.、Acta Physiol.Scand.143:33−39(19
91年))。このVARは細動脈閉塞を引き起こす静脈の膨張によって導き出さ
れ、結果として血流量は減少する。また、腕の周りの血圧計バンドを膨張させる
ことによって経壁圧を25mmHg以上に上昇させて静脈閉塞を起こせば、この
反射を誘発させることができる。
【0374】 反射障害はLDFを用いて検出することはできない。この違いは直交偏光スペ
クトルイメージングを用いる場合と同様にLDFでは、皮膚の栄養の毛細血管の
血流のみならず、毛細血管下(体温調節の)の叢のさらに深い位置の血流が測定
されるという事実によって説明される。このような血管のVARはあまり明白に
はなっていないということが示唆されている(Tooke,J.E.他、Int
.J.Microcirc.Clin.Exp.2:277−284(1983
年))。これによって、直交偏光スペクトルイメージングを用いた場合の結果と
は対照的に、LDFを用いた場合のVARには差がみられない原因を説明するこ
とができる。
【0375】 また、PEとNTとの間には動脈閉塞後の充血反応に血管がみられなかった。
この充血反応は内皮依存性の高い、動脈閉塞に対する血管拡張反応である。血圧
計バンドを開放すると再び血流が始まり、数秒後に最高速度に達するまで上昇し
、休息時の値に戻る。
【0376】 これまでの試験では、NTの場合に比較して、PE女性の上腕動脈の充血反応
障害があることが明らかとなっている(Yoshida,A.他、Hypert
ension31:1200(1998年);Veille,J.C.他、J.
Soc.Gynacol.Invest.5:38−43(1998年))。こ
のような結果は、LDFを用いた場合には皮膚微小循環には発見することができ
ない。LDFは多くの場合血管疾患および糖尿病を評価する際に広く用いられる
(Schabauer,A.M.A.およびRooke,T.W.、Mayo
Clin.Proc.69:564−574(1994年))。しかし、フラッ
クスには生理学的な大きな変化があり、これは生殖可能性(reproduct
ivity)を低下させる(Schabauer,A.M.A.およびRook
e,T.W.、Mayo Clin.Proc.69:564−574(199
4年))。被験者が自ら制御する、静脈閉塞と同じくVARを引き起こすいくつ
かの指標および充血を用いて、この変動性が抑えられる。
【0377】 PEでは、交換神経の過度の活動が骨格筋の血管に認められた。これは交感神
経の血管収縮活性を高め、末梢血管抵抗を増大させる役割を果たす(Schob
el,H.P.他、N.Engl.J.Med.335:1480−1485(
1996年))。このため、交換神経の過度の活動により静脈閉塞に対する反応
障害を説明することができる。PEでは細動脈収縮が大きくなれば、交換神経の
刺激によって血管収縮障害はさらに大きくなる。メチルドーパは交換神経性の流
出を低減する中枢作用性の薬剤で、PEの血圧を長期にわたって制御するための
第1選択薬であり、実際、交換神経系に関与することが示唆される。別の仮定と
して、交換神経の過度の活動のために平滑筋細胞の受容体は刺激に対する反応が
抑制されて、刺激を受けた場合の血管収縮が弱くなるという仮定が挙げられる。
心疾患では心筋のαおよびαアデノレセプタの減少作用(down−reg
ulation)がみられるが、この状態は交換神経の活動の上昇に関与するも
のである(Brodde,O.C.、Pharmacol.Rev.43:20
3−242(1991年))。交換神経の過度の活動の間にこの循環の受容体に
何が生じるかについては不明である。しかし、VAR障害はPEの微小循環の機
能的または構造的変化の結果として生じ、交換神経系には依存せず血管機能障害
に寄与しているという事実を除外することはできない。
【0378】 この試験では、直交偏光スペクトルイメージングおよびLDFを用いて皮膚の
微小循環を試験した。結果として、妊娠中の血管機能を評価するために、LDF
に比して直交偏光スペクトルイメージングはより感受性の高い技術を提供した。
直交偏光スペクトルイメージングを用いてPE女性の静脈−細動脈の反射障害が
検出されたが、LDFを用いては検出できなかった。この結果は皮膚微小循環に
は交換神経性の血管収縮障害がみられることを示唆している。他の器官床を観察
するために直交偏光スペクトルイメージングを用いることのできる機能によって
、PEの血管機能障害を明確にすることができる。
【0379】
【表3】
【0380】 結果は中央値と範囲で示す。対照群との比較はP<0.001。Mann−W
hitney U検定。
【0381】
【表4】
【0382】 結果は中央値と範囲で示す。
【0383】 RFと比較して有意に異なる値。
【0384】 本実施形態の別の態様では、標準または高コントラストの直交偏光スペクトル
イメージングプローブを用いて、子癇前症/胎児成長遅滞における無損傷の胎盤
微小循環が監視される。
【0385】 胎児の栄養摂取および酸化は、よく発達しかつ毛細血管ができた、胎盤の末端
の絨毛に依存していることはよく知られている。子癇前症では、胎児成長遅滞は
よくみられる症状である。走査型電子顕微鏡を用いて、毛細血管形成不全(hy
pocapillarisation)は末端の絨毛に存在することが明らかと
なっている(Habashi S.他、Placenta 4:41−56(1
983年))。
【0386】 妊娠期間に適した新生児を持つ正常血圧の10例および妊娠期間には小さい新
生児を持つ子癇前症の10例からの母体の胎盤部位の表面を直交偏光スペクトル
イメージングを用いてex vivo試験した。この試験の目的は、微小血管の
画像が得られるかどうか、および最初の群と比較して、後者の群の末端の絨毛が
下位毛管化されるかどうかを判断することである。
【0387】 胎盤摘出後10分以内に、臍帯動脈および静脈にカニューレ挿入し、リンガー
グルコース50ml、ヘパリン5ml、およびCustodiol 50mlの
混合溶液を用いて灌流した。次に、動脈を墨汁5mlおよび合成バリタ10〜1
3mlを用いて灌流した。末端の絨毛の直交偏光スペクトルイメージング画像は
、SEMによって得られた毛細血管形成不全、正常な毛細血管形成または毛細血
管過剰形成(hypercapillorized)を示す画像に匹敵すること
が明らかとなった。したがって、直交偏光スペクトルイメージングは胎児成長遅
滞の性質(すなわち、遺伝が原因か、または子癇前症などの胎盤の欠陥が原因か
)を試験するための新規で多用途の機能が加わっている。
【0388】 (新生児の監視) 本発明のこの実施形態では、新生児の監視に直交偏光スペクトルイメージング
が用いられる。
【0389】 この実施形態の以下の態様の各々では、毛細血管密度、血管(および微細血管
)の形態、血管密度、血管痙攣、赤血球(RBC)速度、細胞の形態、血管径、
白血球内皮細胞間相互作用、血管動態(血管運動など)、機能的血管密度、機能
的毛細血管密度、血流、面積対周囲の比、ヘモグロビン濃度、およびヘマトクリ
ット値等の1つまたは複数のパラメータが定量的測定されてよい。好適には2つ
以上のパラメータが測定される。
【0390】 本実施形態の一態様では、標準または高コントラストの直交偏光スペクトルイ
メージングプローブを用いて敗血症および髄膜炎等の異なる疾患状態の間の新生
児の微小循環の変化が定量的に測定される。新生児のヘモグロビン値を非侵襲的
に監視することができる。
【0391】 本実施形態の別の態様では、標準または高コントラストの直交偏光スペクトル
イメージングプローブを用いて、ショック(出血性または敗血性)状態の前、中
、後の新生児の微小循環の変化が測定される。
【0392】 また前記の適用例は早産児の監視にも有用である。
【0393】 (高高度の試験/宇宙生理学) 本発明のこの実施形態では、直交偏光スペクトルイメージングプローブは高高
度における試験に用いることができるか、または宇宙生理学を研究するために用
いることができる。
【0394】 毛細血管密度、血管(および微細血管)の形態、血管密度、血管痙攣、赤血球
(RBC)速度、細胞の形態、血管径、白血球内皮細胞間相互作用、血管動態(
血管運動など)、機能的血管密度、機能的毛細血管密度、血流、面積対周囲の比
、ヘモグロビン濃度、およびヘマトクリット値等の1つまたは複数のパラメータ
が定量的測定されてよい。好適には2つ以上のパラメータが測定される。
【0395】 本実施形態の一態様では、標準または高コントラストの直交偏光スペクトルイ
メージングプローブを用いて、高山病を試験、診断かつ/または治療するために
、高高度での微小循環の変化が観察されかつ評価される。微小循環の変化には、
血管数の増加、このような血管で見られるWBC数の増加のほか白血球内皮細胞
間相互作用を含む。また、Hbの変化は高高度の結果であると判断することがで
きる。
【0396】 (臨床的血液レオロジーにおける適用) 本発明のこの実施形態では、直交偏光スペクトルイメージングプローブを用い
て血液のレオロジーが試験される。
【0397】 毛細血管密度、血管(および微細血管)の形態、血管密度、血管痙攣、赤血球
(RBC)速度、細胞の形態、血管径、白血球内皮細胞間相互作用、血管動態(
血管運動など)、機能的血管密度、機能的毛細血管密度、血流、面積対周囲の比
、ヘモグロビン濃度、およびヘマトクリット値等の1つまたは複数のパラメータ
が定量的測定されてよい。好適には2つ以上のパラメータが測定される。
【0398】 本実施形態の一態様では、標準または高コントラストの直交偏光スペクトルイ
メージングプローブを用いて、例えば鎌状赤血球貧血などの多数の臨床的障害に
よるものか、またはマラリア感染患者に生じる過度の血液凝固による患者の血液
レオロジーの変化が観察かつ評価される。この情報を用いて、血液凝固、すなわ
ち赤血球凝結を変化させるか、または血液レオロジーを変化させる疾患を試験す
るのに用いることができる。
【0399】 (クリティカルケアまたは集中治療における適用) 本発明のこの実施形態では、直交偏光スペクトルイメージングプローブを用い
てクリティカルケアまたは集中治療の生体内で用いられる。
【0400】 本実施形態の別の態様では、標準または高コントラストの直交偏光スペクトル
イメージングプローブは、敗血症および/またはショック(出血性または敗血性
)を診断、治療、または予防するために重症患者の舌下の監視装置として用いら
れる。敗血症および/またはショック状態の場合には微小循環の血流の劇的な低
下がみられるか、または微小循環の血流がないかのいずれかであることが明らか
となっている。直交偏光スペクトルイメージング技術は重症患者のこの2つの状
態を予防するため、または転帰を変えるいくつかの療法を試行するために用いる
ことができる。また、直交偏光スペクトルイメージングを用いて治療の有効性を
監視することもできる。
【0401】 この患者集団では、毛細血管密度、血管(および微細血管)の形態、血管密度
、血管痙攣、赤血球(RBC)速度、細胞の形態、血管径、白血球内皮細胞間相
互作用、血管動態(血管運動など)、機能的血管密度、機能的毛細血管密度、血
流、面積対周囲の比、ヘモグロビン濃度、およびヘマトクリット値等の1つまた
は複数のパラメータが定量的測定されてよい。好適には2つ以上のパラメータが
測定される。
【0402】 次の試験では、直交偏光スペクトルイメージングは集中治療を受けている患者
に用いられる。
【0403】 序:原因がどのような場合であっても、循環器のショックは集中医療における
重要な試みの1つである。深在部の心血管の変化は改善しても、多臓器不全が起
こることが多い。全体的な血流の変化が溶液および血管作用薬によって安定して
いるように思われる場合であっても、微小循環の大きな変化は持続し、多臓器不
全の進展に関与することがある(Garrison,R.N.他、Ann.Su
rg.227:851−860(1998年))。
【0404】 微小血管の変化は、重篤な心疾患または血液量不足症にみられるような、血液
供給の著しい減少に関与するショック状態の直接の原因である。敗血症性ショッ
クでは、この変化は複雑であり、また問題になっている。実験状態で生体内顕微
鏡を用い、何人かの研究者ら(Lam,C.J.他、Clin.Invest.
94:2077−2083(1994年);Piper.R.D他、Am.J.
Respir.Crit.Care Med.157:129−134(199
8年);Farquhar,I.他、J.Surg.Res.61:190−1
96(1996年);Wang,P.、Am.J.Physiol.263:G
38−G43(1992年);Madorin,W.S.他、Crit Car
e Med 27:394−400(1999年);Pannen,B.H.J
.他、Am.J.Physiol.272:H2736−H2745(1997
年))は、血流の不均質は内毒素投与後に増大したことを観察した。敗血症短時
間に灌流されない毛細血管の数は増大するが、これは種々の細胞要素の活性化に
よるものと思われ、白血球および血小板は凝集し赤血球は固さを増す(McCu
skey,R.S.他、Cardiovasc.Res.32:752−763
(1996年);Piper,R.D他、Am.J.Respir.Crit.
Care.Med.154:931−937(1996年))。何人かの研究者
らは、敗血症に血流の不均質と酸素抽出能力の低下と間には関連があることを実
証した(Walley,K.R.、J.Appl.Physiol.81:88
5−894(1996年);Humer,M.F.他、J.Appl.Phys
iol.81:895−904(1996年);Drazenovic,R.他
、J.Appl.Physiol.72:259−265(1992年))。ま
た、血流が短時間であるため、これらの毛細血管によって血管形成された領域で
は巣状の虚血/再灌流障害が生じる。患者の場合には、微小循環障害の関与を示
す証拠は未だ得られていない。ヒト微小循環へのアクセスは、長い間爪郭に限定
されてきた。実際、生体内顕微鏡の大きさおよび毛細血管の深さによって他の部
位への使用は除外されていた。直交偏光スペクトルイメージングは反射分光に基
づいたものであり、近年、臨床領域では粘膜部位の検査が可能となった。重症患
者では、非侵襲的な微小循環の映像化に利用できる通常の部位は唇、舌下領域、
および時に腸造瘻術を行う部位である。技術的には可能であるが、直腸粘膜およ
び膣粘膜の検査は困難である。直交偏光スペクトルイメージング技術はCYTO
SCANT(商標)A/R(Cytometrics、フィラデルフィア州PA
)に組み入れられた。この試験では、集中治療にCYTOSCANT(商標)A
/Rを用いた結果を報告する。
【0405】 PARA−舌下領域:舌下領域へのアクセスはきわめて重要であるが、重要な
問題は、この領域が循環障害の微小循環の変化を表しているものであるかどうか
ということである。実際、舌下領域がショック状態の初期に関与していることを
裏付けるいくつかの証拠が存在する。最近Weliおよび共同研究者らは、舌下
領域の酸素の需要と供給のバランスを表す舌下のPCO(PslCO)は、
ショック状態では著明に上昇したと報告した(Nakagawa Y他、Am
J Respir Crit Care Med.157:(6 Pt 1)1
838−1843(1998年))。また、PslCOは血圧に影響を及ぼし
、かつ組織の低酸素症のマーカである動脈の乳酸値に直接関与している。Psl
COも治療介入に非常に敏感であった。
【0406】 舌下の微小循環を映像化することは非常に有効である。微小循環の血流の定量
的測定が簡単に行える動物サンプルの場合に比して、動きによるアーチファクト
(artifact)があるために、重症患者では実際に定量的推定は実行不可
能である。したがって、半定量分析が開発され、画面にトレースされた3本の垂
直線と3本の水平線を交差させる血管の本数を用いて毛細血管の指標が算出され
た。このような血管を大血管(>20μm、主に小静脈)と小血管(<20μm
、主に毛細血管)とに分けた。目分量により20秒の連続画像(video s
equence)を用いて血流速度を推定し、正常または早い血流、低い血流、
中間の血流、および血流なしの4群に分類した。3例の健常なボランティアでは
、舌下の血管新生は40/60%の割合で大血管および小血管から構成された(
図17)。ほぼすべての血管(95%)は十分に灌流されたが、ごく少数の毛細
血管(5%)では血流がないことが観察された。
【0407】 敗血症性ショック患者21例では、非常に異なるパターンが観察された。灌流
された血管の数は、特に小血管(39%、p<0.01)において著明に減少し
た(78%、p<0.05)。このような血管では、毛細結果の数が増大し、血
流が一時的なものであったり、または血流がないことが観察された。典型的な一
例を図18に示す。心臓性ショックにより血流が低い8例では、毛差血管の指標
が低下し、赤血球の塊が小静脈で観察された(図19)。また、このような患者
では、灌流された血管の数は特に小血管において減少したことが観察された(7
5%、p<0.05)。
【0408】 このような予備的な結果は、微小循環の大きな変化は種々のショック状態にお
いて観察できることを示唆している。これらの変化は、他のグループ(前述のN
akagawa Y.他)により報告されたPslCOの上昇の原因となって
いると思われるが、この仮定を確かなものにするにはさらなる試験が必要である
【0409】 関心のある他の部位:また、唇および頬などの口の内側を検査することもでき
る。多くの場合、唇の微小循環は重篤なショック状態の場合であっても、よりよ
く保存される。敗血症性ショックおよび心臓性ショック状態の患者11例では、
唇領域において小血管の95%およびすべての大血管は灌流されたが、舌下領域
では小血管の32%のみおよびすべての大血管が灌流されたことが観察された(
p<0.05)。したがって、ショック状態では、唇の微小循環に比して舌下の
微小循環の試験がより適切であると思われる。
【0410】 腸粘膜に直交偏光スペクトルイメージングを適用すれば腸管粘膜の直接的な映
像化および特徴付けが可能となるため、腸造瘻術を研究することはより有望であ
ると思われる。図20には、腸の壊死が再発した患者の直交偏光スペクトルイメ
ージング画像を示している。この例では、腸管粘膜で観察された毛細血管の数は
非常に少なく、これらの毛細血管では血流はほとんど完全に停止していた。この
報告は腸間膜の虚血および梗塞に直交偏光スペクトルイメージングを使用するこ
との有用性を裏付けるものである。直交偏光スペクトルイメージングの使用例と
しては、虚血の早期発見、その病変の定量化、および回復の可能性がいくらかあ
る虚血領域の映像化が挙げられる。
【0411】 結論:CYTOSCANT(商標)A/Rを用いて直交偏光スペクトルイメー
ジングを集中治療に導入すれば、直接かつ非侵襲的な微小循環の映像化によって
ベッドサイドでは新しい領域を検査することができる可能性がある。
【0412】 (薬剤への適用) 本発明のこの実施形態では、直交偏光スペクトルイメージングプローブは薬剤
の開発に用いられる。
【0413】 この実施形態の一態様では、標準または高コントラストの直交偏光スペクトル
イメージングプローブを用いて、腫瘍抗血新生剤(tumor anti−a
ngiogenesis drug)等の種々の薬剤が微小循環に及ぼす影響を
試験して、腫瘍への循環が遮断されているかどうかが判定される。また、心臓血
管形成剤(cardiac angiogenesis drug)の影響を試
験して、血管の成長および故に循環(例えば、心臓への)が改善したかどうかが
判断される。あるいは、抗高血圧剤の影響を試験して、微小循環または細胞レベ
ルでの新しい治療の作用機序または高血圧の病因論が明らかにされる。この試験
は舌下または直接組織に対して測定される。連続画像および測定値をリアルタイ
ムで得ることが可能である。
【0414】 毛細血管密度、血管(および微細血管)の形態、血管密度、血管痙攣、赤血球
(RBC)速度、細胞の形態、血管径、白血球内皮細胞間相互作用、血管動態(
血管運動など)、機能的血管密度、機能的毛細血管密度、血流、面積対周囲の比
、ヘモグロビン濃度、およびヘマトクリット値等の1つまたは複数のパラメータ
が定量的測定されてよい。好適には2つ以上のパラメータが測定される。
【0415】 腫瘍血管新生は腫瘍の成長、転移形成、悪性腫瘍の検出および治療に重要な役
割を果たす。最近の試験からは、腫瘍血管新生の定量分析は、抗血管新生および
抗血管治療(antivascular treatment)のオプションな
どの新しい治療戦略を開発するのに不可欠であるという多くの証拠が得られた。
生体内の腫瘍血管新生を非侵襲的に映像化するために直交偏光スペクトルイメー
ジングを検証し、これを用いて生体内の抗血管新生の腫瘍治療を評価した。
【0416】 背面の皮脂室(skinfold chamber)にメラニン欠乏性黒色腫
A−MEL3を植え込んだハムスターを対象に実験を行った。腫瘍細胞を植え込
み後0日を起点として、抗血管新生剤SU5416(25mg/kg/体重)ま
たは賦形薬(対照)のみを用いて実験動物を毎日治療した。機能的血管密度(f
vd)、微小血管径(d)、および赤血球速度(VRBC)を直交偏光スペクト
ルイメージングおよび蛍光顕微鏡の両方を用いて映像化し、デジタル画像システ
ムを用いて分析した。
【0417】 結果は次のようになった。腫瘍微小循環の形態学的および機能的特性は、直交
偏光スペクトルイメージングによってはっきりと識別された。fvdの値は蛍光
顕微鏡によって得られたデータと優れた相関があった(y=0.99x+0.4
8、r=0.97、R=0.98、絶対精度:8.22/cmおよびバイア
ス:−0.32/cm)。相関パラメータdおよびVRBCは類似していた(d
およびVRBCはそれぞれ、r=0.97、R=0.99およびr=0.
93、R=0.94)。SU5416を用いた治療によって腫瘍の血管新生は
抑えられた。腫瘍細胞植え込みからそれぞれ3日後および6日後では、fvdは
4.8±2.1/cmおよび87.2±10.2/cm、対照群の動物の値と比
較して66.6±10.1/cmおよび147.4±13.2/cmとなった。
SU5416を用いた治療群では、腫瘍の血管新生阻害に加え、腫瘍の成長およ
び転移の進展は著明に抑えられた。
【0418】 直交偏光スペクトルイメージングによって、腫瘍の血管新生および抗血管新生
剤治療が腫瘍の血管構造に及ぼす影響を、非侵襲的、反復的および定量的に評価
することが可能となる。腫瘍の血管新生を用いて、腫瘍の生物学的特性をより正
確に分類かつ監視し、生体内の腫瘍の侵襲度を調べることができる。
【0419】 この実施形態の関連する態様では、直交偏光スペクトルイメージングプローブ
を用いて灌流を改善すると考えられている薬剤の作用が観察される。これには、
例えば、naftidrofuryl、pentoxifylline、および
buflomedilなどの薬剤の血管活性クラス(vasoactive c
lass)が含まれる。すなわち、直交偏光スペクトルイメージングプローブを
用いて薬剤投与後の灌流を観察かつ定量化することができるため、動物モデルま
たはヒトを対象に直交偏光スペクトルイメージングを用い、灌流の問題を解決す
るために用いられる薬剤をより正確に試験することができる。さらに、これらの
薬剤がヒトに及ぼす影響の機序を明らかにする際に直交偏光スペクトルイメージ
ングは実際に役立つ。
【0420】 この実施形態の別の態様では、標準または高コントラストの直交偏光スペクト
ルイメージングプローブを用いて、ヘモグロビンベース(hemoglobin
−based)の酸素運搬体(すなわち、DCL Hb、合成ヘモグロビン)を
観察し、これが微小循環に及ぼす影響、例えば、その薬剤を用いた結果RBCの
流れが増大したかどうかが測定される。
【0421】 この実施形態の別の態様では、直交偏光スペクトルイメージングプローブを用
いて、超音波のエンハンサ(すなわち、注入可能な色素)が微小循環に及ぼす影
響を試験することができる。
【0422】 この実施形態の別の態様では、直交偏光スペクトルイメージングプローブを用
いて、注入可能な色素または他の注入可能なコントラストを発生する薬剤(co
ntrast−generating agent)の血管から組織への漏出を
映像化しかつ検出することができる。
【0423】 (毛細血管顕微鏡との比較) 本発明のこの実施形態では、以前は標準的な毛細血管顕微鏡を用いて行われて
いたように、標準または高コントラストの直交偏光スペクトルイメージングプロ
ーブを用いて爪郭の毛細血管床が映像化され、かつ検出される。
【0424】 この実施形態の一態様では、標準または高コントラストの直交偏光スペクトル
イメージングプローブを用いて、例えば、レイノー病、変形性関節症、または全
身性硬化症等の循環障害患者が試験され、診断され、かつ評価される。
【0425】 皮膚の毛細血管を映像化かつ特徴付けするのに用いられる標準的な毛細血管顕
微鏡に比して、直交偏光スペクトルイメージングプローブではよい結果が得られ
る。比較の結果、健常状態のヒトおよび疾患状態のヒトを観察する場合、この方
法は比較に値する(また多くの場合、優れた結果が得られた)ことが分かった。
直交偏光スペクトルイメージングプローブを使用する部位は爪郭の上である。得
られた測定値はRBCの速度および直径であった。毛細血管密度、血管(および
微細血管)の形態、血管密度、血管痙攣、赤血球(RBC)速度、細胞の形態、
血管径、白血球内皮細胞間相互作用、血管動態(血管運動など)、機能的血管密
度、機能的毛細血管密度、血流、面積対周囲の比、ヘモグロビン濃度、およびヘ
マトクリット値等の1つまたは複数のパラメータが定量的測定されてよい。好適
には2つ以上のパラメータが測定される。次の試験では、直交偏光スペクトルイ
メージングを従来の毛細血管顕微鏡を用いて検証した。この目的のため、爪郭の
微小循環をを対象に毛細血管顕微鏡(CAP)を直交偏光スペクトルイメージン
グと比較した。年齢23.5±0.8歳(平均±標準偏差)の健常な男性ボラン
ティア10例の3本の毛細血管をCAPおよびO直交偏光スペクトルイメージン
グを用いて映像化し、オフライン分析のためにビデオテープに保存した。Cap
Image(商標)ソフトウェアを用いて休息時の赤血球速度(rCBV)を測
定した。各画像の品質を評価するために、両方の装置についてコントラスト比を
算出した。Wilcoxon matched pairs testではP=
0.32となり、OPSとCAPとの間にはこのrCBVに有意差は認められな
かった。OPSを用いて測定したrCBVは0.737±0.237mm/秒と
なり、CAPを用いて測定したrCBVは0.782±0.196mm/秒とな
り、測定値の間の平均差は0.071±0.130mm/秒となった。OPSの
画像ではコントラスト比は有意に高かった(OPS 0.34±0.08、CA
P 0.17±0.06、P=0.0039)。OPSは、よくない場合でもC
APと同じ精度および解像度で爪郭の微小循環を記録することができると結論付
けられる。また、直交偏光スペクトルイメージングの有利な点は、使用が簡単で
、他の多くの器官床に適用できることである。
【0426】 (麻酔学) 本発明のこの実施形態では、直交偏光スペクトルイメージングは麻酔学の領域
に用いられる。
【0427】 この実施形態の以下の特徴の各々では、毛細血管密度、血管(および微細血管
)の形態、血管密度、血管痙攣、赤血球(RBC)速度、細胞の形態、血管径、
白血球内皮細胞間相互作用、血管動態(血管運動など)、機能的血管密度、機能
的毛細血管密度、血流、面積対周囲の比、ヘモグロビン濃度、およびヘマトクリ
ット値等の1つまたは複数のパラメータが定量的測定されてよい。好適には2つ
以上のパラメータが測定される。
【0428】 本実施形態の一態様では、標準または高コントラストの直交偏光スペクトルイ
メージングプローブを用いて、手術中の失血を監視した。例えば、直交偏光スペ
クトルイメージングプローブを用いて非侵襲的かつ連続的に麻酔した患者のヘモ
グロビン濃度およびヘマトクリット等の血行動態パラメータを監視することがで
きる。
【0429】 この実施形態の別の態様では、標準または高コントラストの直交偏光スペクト
ルイメージングプローブを麻酔した患者に用いて、赤血球のクランピング、およ
び外科的処置の間の微小塞栓の初期形成が監視される。
【0430】 高コントラストの直交偏光スペクトルイメージングプローブを用いて、例えば
、心臓バイパス手術中の気泡型酸素化装置の使用、透析回路(dialysis
circuit)からの空気の導入、または腹腔鏡検査中の減圧(decom
pression)などの臨床状態のいずれかによって生じる血中の気泡または
脂肪の泡が監視され、検出される。血中の気泡を直接検出することができる能力
により治療をしないと死に至る肺梗塞または脳梗塞の初期段階の回復を促進する
ことができる。
【0431】 直交偏光スペクトルイメージングを用いて呼気終末陽圧呼吸(PEEP)を試
験した。このPEEEは腸管由来の敗血症に寄与して、内臓系の血流を低減する
。毛細血管レベルへのPEEPの影響は大部分が不明である。遺伝子組み換えマ
ウスおよびマウス抗体マーカは広く市販されているので、マウスモデルを対象に
この問題を研究すれば、PEEPの分子機序の知見を得ることができる。したが
って、直交偏光スペクトルイメージングを用いてマウスモデルを確立し、腸微小
循環を映像化した。麻酔したマウス(n=14、c57bl6、雄)を機械的に
換気した。開腹後、回腸の末端2cmを曝露し、タイロード液で連続的に表面灌
流した。直交偏光スペクトルイメージングプローブを曝露した腸粘膜に設置した
。マウスをPEEP群または対象群に無作為割り付けした。対照群では、基線時
、PEEPが3mmHg時、およびPEEPが7mmHg時の3段階(定常状態
)で記録した。対照群では、PEEPを適用せず、同じ回数記録した。機能的毛
細血管密度(FCD)を面積当たりの目に見える毛細血管の数として測定した(
CapImage(商標)ソフトウェア)。PEEP群では、FCDは56±1
8%(PEEP=3mmHg、基線の平均値±標準偏差(%))まで有意(p<
0.05、基線と対照群)に低下し、再度39±14%(PEEP=7mmHg
)まで著しく(p<0.05、PEEP3と対照群)低下したが、対象群では安
定していた(96±23%および80±23%)。この試験から、PEEPは腸
毛細血管の灌流を低減することが明らかとなった。また、機械的人工換気を試験
するためのマウスモデルの確立は成功した。
【0432】 (播種性血管内凝固(DIC)) ここで用いられているように「DIC」とは血中のフィブリン生成、および妊
娠中(obstetrics)の合併症(例えば、常位胎盤早期剥離)、感染(
特にグラム陰性菌)、悪性腫瘍、および他の重篤な疾患において生じる凝固活性
物質(procoagulant)および血小板の消費を意味する。DICの他
の原因には、血管内溶血、血管障害、血栓、蛇咬症、広範囲の組織損傷、外傷(
特に子供の頭部外傷)、低酸素症、肝疾患、乳児および成人呼吸窮迫症候群(R
DS)、電撃性紫斑病および火傷がある。
【0433】 最も重篤なDICの臨床形態は、凝固蛋白の過剰消費、著しいフィブリン沈着
、および出血として現れる。中等度のDICの形態にはトロンビン生成の内因性
のマーカがあり、はっきりとした凝固障害が見られることもあれば無いこともあ
る。
【0434】 本発明のこの実施形態では、標準または高コントラストの直交偏光スペクトル
イメージングプローブを用いて、患者のDICが映像化され、特徴付けされかつ
/または監視される。
【0435】 この実施形態の以下の態様の各々では、毛細血管密度、血管(および微細血管
)の形態、血管密度、血管痙攣、赤血球(RBC)速度、細胞の形態、血管径、
白血球内皮細胞間相互作用、血管動態(血管運動など)、機能的血管密度、機能
的毛細血管密度、血流、面積対周囲の比、ヘモグロビン濃度、およびヘマトクリ
ット値等の1つまたは複数のパラメータが定量的測定されてよい。好適には2つ
以上のパラメータが測定される。
【0436】 この実施形態の一態様では、標準または高コントラストの直交偏光スペクトル
イメージングプローブを用いて、感染に起因し、またより特定的には髄膜炎に起
因するDICが映像化され、特徴付けされかつ/または監視される。
【0437】 (白血球動態/白血球内皮細胞間相互作用) 本発明の別の実施形態では、標準または高コントラストの直交偏光スペクトル
イメージングプローブを用いて、炎症および感染、または他の疾患あるいは白血
球に影響を及ぼす治療の間に起こるような白血球動態の変化が映像化され、特徴
付けされかつ/または監視される。これは医師が「原因不明の発熱」の原因を特
定するのに役立つ。白血球内皮細胞間相互作用(例えば、白血球の接着または白
血球の回転等)が映像化され、特徴付けされ、かつ監視される。
【0438】 ここで用いられているように「白血球の接着」とは、白血球がある時間の間あ
る場所に接着する白血球内皮細胞間相互作用の一種を意味するものである。
【0439】 ここで用いられているように「白血球の回転」とは、白血球がRBC速度より
も遅い速度で血管壁に沿って回転する白血球内皮細胞間相互作用の一種を意味す
るものである。
【0440】 TNF−αがiNOS欠損マウスの白血球の回転に及ぼす影響を直交偏光スペ
クトルイメージングを用いて試験した。
【0441】 酸化窒素(NO)は白血球内皮細胞間相互作用の重要な内因性修飾物質である
。この試験の目的は、NOがTNF−α誘導の白血球の回転および接着にどのよ
うに影響を及ぼすかを明らかにすることであった。iNOSノックアウトマウス
およびその野生種の後肢筋を96%Nおよび5%COを含有するタイロード
液表面潅し、続いてTNF−α(100ng/ml)で3時間表面灌流し、基線
条件下で直交偏光スペクトルイメージングを用いて後毛細血管細静脈を試験した
。白血球の回転および接着を30分間隔のビデオ記録からオフラインで定量化し
た。
【0442】 iNOS欠損マウスおよび野生種マウスにおいて基線とタイロード液による3
時間の表面灌流との間には、白血球の回転および接着に関して差は認められなか
った。表面灌流液(superfusate)にTNF−αを含んだ場合、白血
球の総数は両群において増加した。しかし、iNOSノックアウトマウスでは接
着する白血球数が増加したため、マウスでは回転する白血球数は野生種マウスに
比してiNOS欠損マウスでは少なかった。iNOSノックアウトマウスのいく
つかの小静脈では、白血球が非常に豊富に蓄積されたため、血管の填塞が生じた
。野生種マウスでは、接着はあまり見られず白血球の多くは回転運動をしていた
。この生体内試験は死後(post−mortem)の組織学的分析によって裏
付けられた。
【0443】 (基礎研究および臨床的研究への適用) 本発明のこの実施形態では、前述した領域(例えば、心臓病学、心臓外科学、
傷の治療、糖尿病、高血圧、眼科学、神経外科、整形/再建外科、外科、移植、
麻酔学、および薬理学、特に血管新生を阻止または促進する薬剤、または抗高血
圧薬を評価するため)のいずれかまたはすべての生体外または生体内の基礎研究
または臨床的研究に直交偏光スペクトルイメージングプローブが用いられる。
【0444】 微小血管の病理(すなわち、糖尿病、高血圧、レイノー病)に関する多数の疾
患の実験動物モデルが開発され、疾患の病因、改善されたかまたは初期の診断法
、疾患の進行、および新しい治療法を検討するために直交偏光スペクトルイメー
ジングが用いられる。
【0445】 (ティーチングツール) 本発明の最後の実施形態では、直交偏光スペクトルイメージングプローブは、
例えば、生理学、解剖学、薬理学、微小循環、および微小循環に影響を及ぼす疾
患状態を研究する医学生および/または科学専攻の学生のためのティーチングツ
ールとして用いられる。
【0446】 本発明の種々の実施形態を前述してきたが、それらは例としてのみ示され、限
定的なものではないことを理解する必要がある。本発明の照明技術は、対象物の
特性の光学的な測定および視覚的な観察を必要とする、分析的な生体内、生体外
の医療用(臨床または研究)に適用可能である。また、直交偏光スペクトルイメ
ージングを用いて対象物のスペクトル吸収および散乱特性を測定することも可能
である。したがって、本発明の広がりおよび範囲は前述の模範的的な実施形態の
いずれかによって限定されるものではないが、以下の特許請求の範囲およびその
同等物により定められた本発明の精神および範囲内にあるすべての変更および変
形を包含することが意図されている。
【0447】 本明細書において言及したすべての刊行物および特許は、本発明が関係する当
業者の技術レベルを表すものである。すべての刊行物および特許は、あたかも個
々の刊行物または特許出願が特定的かつ個別に参照として組み入れられることを
意図しているのと同程度に本願に参照として組み入れられている。
【図面の簡単な説明】
本願に引用され、明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の実施形態を
例示し、本文と併用されて、本発明の原理を説明するとともに、当業者が本発明
を具現化して使用できるようにするさらなる役割を果たす。図面において、同じ
番号は、同一の要素または機能的に類似した要素を示している。
【図1】 対象の血管系に対する非侵襲的生体内分析に向けたOPSイメージングプロー
ブの1つの具体的な実施形態を示す構成図である。この具体的な実施形態では、
対物レンズの長さは8インチである。本実施形態は、頸部組織の画像化に特に有
用である。
【図2】 神経外科手術時の硬膜切開後における正常な脳組織内の小動脈(A)および小
静脈(V)のOPS画像を示す図である。バーは100μmを示す。
【図3】 毛細管が支配的な脳の対象部位を示すOPS画像である。バーは100μmを
示す。
【図4】 クモ膜下出血患者の皮層微小血管のOPS画像を示す図である。赤血球の管外
遊出物が、血管外空間内の黒点として見られる。小動脈(A)は、複数の部分的
微小血管痙攣(矢示)のパールストリング形跡を示す。小静脈(V)には微小血
管痙攣は見られない。バーは100μmを示す。
【図5】 脳腫瘍切開部に近いいくつかの血管内の不透明な内皮層のOPS画像を示す図
である。根源的な病態生理は不明である。内皮膨張、または内皮に沿う血漿層の
流れが観察できる。バーは100μmを示す。
【図6】 膠芽細胞腫多形WHO IV患者の腫瘍欠陥形成を示すOPS画像である。新
たに形成された腫瘍血管の典型的な蛇行性不規則形状凝塊である。バーは100
μmを示す。
【図7】 動脈瘤の腫瘍切開/切除前後の機能的毛細管密度を示す棒グラフである。平均
±SEM。
【図8】 動脈瘤の腫瘍切開/切除前後の小動脈および小静脈の径の分布を示す棒グラフ
である。ボックスおよび棒は、中央値ならびに10、25、75および90番目
の百分位数を示す。
【図9】 管の全数の百分率で与えられる、動脈瘤の腫瘍切開/切除前後の小動脈および
小静脈における赤血球速度の度数分布を示す棒グラフである。nmは未測定。
【図10】 調査期間中の擬体および内毒素症(ETX)動物における門静脈血液流量の変
化を示す図である。すべてのデータは、中央値、10、25、75および90番
目の百分位、ならびに最大および最小値を含むボックスプロットとして表されて
いる。#は基線との差、§は2つのグループ間の差を示す。
【図11】 調査期間中の擬体および内毒素症動物における胃腸の粘膜−動脈pCOギャ
ップ(r−aPCO)の変化を示す図である。すべてのデータは、中央値、1
0、25、75および90番目の百分位、ならびに最大および最小値を含むボッ
クスプロットとして表されている。#は基線との差、§は2つのグループ間の差
を示す。
【図12】 調査期間中の擬体および内毒素症動物における灌流/不均一灌流/非灌流絨毛
の数の変化を示す図である。
【図13】 調査期間中の擬体および内毒素症動物における灌流/不均一灌流/非灌流絨毛
のカウントの相対的変化を示す図である。データは、カウントされた絨毛の百分
率(%)で示されている。
【図14】 OPSイメージングデバイスおよび爪郭の毛細管の画像を示す概略図である。
【図15A】 手掌側の平常時における束密度に対する静脈閉塞時および動脈閉塞後の束密度
の変化(%)(ピーク束密度)を示す図である。子癇前症グループの1つの対象
は、平常時の値に対してピーク束密度が178%増加していた。
【図15B】 背面側の平常時における束密度に対する静脈閉塞時および動脈閉塞後の束密度
の変化(%)(ピーク束密度)を示す図である。対象グループの1つの対象は、
静脈閉塞時の束密度が411%増加していた。
【図16】 平常時の速度に対する閉塞時の速度の変化(%)を示す図である。
【図17】 健康な志願者の舌下部のOPS画像を示す図である。小静脈および毛細管網の
密度が高いことに留意されたい。
【図18】 敗血性ショック患者の舌下部のOPS画像を示す図である(平均動脈圧68m
mHg、乳酸3.8mEq/l、ドーパミン20mcg/kg.min、ノルエ
ビネフリン0.13mcg/kg/min)。多くの毛細管において停止流およ
び移行流による毛細管密度が低下していることに留意されたい。
【図19】 重度の心臓性ショック患者の舌下部のOPS画像を示す図である(平均動脈圧
50mmHg、乳酸10.5mEq/l、ドブタミン20mcg/kg.min
、ドーパミン20mcg/kg.min、ノルエビネフリン3mcg/kg.m
in)。毛細管密度が低下し、鬱血流を表す大きな血管内に赤血球凝塊が存在す
ることに留意されたい。
【図20】 壊死性回腸フィステル形成を示す図である。腸の粘膜毛細管の数が減少し、そ
の多くが灌流されていないことに留意されたい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 21/21 A61B 3/12 E 33/483 3/10 R 33/49 5/14 310 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,C A,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM ,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH, GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS ,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN, MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM ,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN, YU,ZA,ZW (72)発明者 ジェイムズ ダブリュー.ウィンケルマン アメリカ合衆国 02167 マサチューセッ ツ州 チェスナット ヒル レンジリー ロード 62 Fターム(参考) 2G045 AA02 AA06 AA26 DA51 FA19 FA29 GB00 JA01 2G059 AA05 BB12 BB13 CC16 CC18 EE02 EE05 FF01 FF03 FF06 GG01 GG02 HH02 HH06 JJ02 JJ11 JJ19 JJ22 KK01 KK04 KK06 PP10 4C038 KK00 KL05 KL07 KX01 4C061 AA05 CC06 DD01 HH51 LL03

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 循環障害を検出する方法であって、 (a)直交偏光スペクトル(「OPS」)イメージングプローブを使用して、
    循環障害にかかっている個体、または、循環障害にかかっている疑いのある個体
    の微小循環の単一取込み画像または画像のシーケンスを取得することにおいて、 (i)前記個体の微小循環系における組織に第1の偏光面に偏光する光を照
    射するステップと、 (ii)前記組織から反射される少なくとも1つの画像または画像のシーケ
    ンスを取り込むステップであって、前記第1の偏光面に実質的に直交する偏光面
    を有する分析器に前記反射画像を通過させて生の反射画像を生成することにより
    取込み画像を取得するステップとを含み、かつ (b)前記取込み画像を解析して微小循環の特性を識別することにより前記循
    環障害を識別することを含むことを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 前記OPSイメージングプローブは、高コントラストOPS
    イメージングプローブであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 血球成分の映像化および特徴付けを行うことをさらに含むこ
    とを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記血球成分は、赤血球、白血球、または、血漿であること
    を特徴とする請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記血球成分は、赤血球であることを特徴とする請求項4に
    記載の方法。
  6. 【請求項6】 血管外赤血球を映像化することをさらに含むことを特徴とす
    る、請求項1に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記血管外赤血球は、出血によって生じることを特徴とする
    請求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】 ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット、管形態、領域周辺比、
    管密度、毛細管密度、管径、機能的管密度、血管痙攣、機能的毛細管密度、赤血
    球速度、細胞形態、血流、白血球・内皮細胞相互作用、および、血管動態より成
    る群から選択される1つまたは複数の特徴を解析することをさらに含むことを特
    徴とする請求項1に記載の方法。
  9. 【請求項9】 2つ以上の前記特徴を解析することを特徴とする請求項8に
    記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記画像は単一の取込み画像であることを特徴とする請求
    項1に記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記微小循環の前記特徴は、管径、管形態、細胞形態、毛
    細管密度、管密度、領域周辺比、または、血管痙攣であることを特徴とする請求
    項10に記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記画像は、画像のシーケンスであることを特徴とする請
    求項1に記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記微小循環の前記特徴は、赤血球速度、機能的毛細管密
    度、機能的管密度、血流、白血球・内皮細胞相互作用、または、血管動態である
    ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
  14. 【請求項14】 医学的処理の前、最中、または、後に、個体の微小循環を
    監視する方法であって、 (a)OPSイメージングプローブを使用して医学的処理の前、最中、または
    、後に、個体の微小循環の単一取込み画像または画像のシーケンスを取得するこ
    とにおいて、 (i)前記個体の微小循環系における組織に第1の偏光面に偏光する光を照
    射するステップと、 (ii)前記組織から反射される少なくとも1つの画像または画像のシーケ
    ンスを取り込むステップであって、前記第1の偏光面に実質的に直交する偏光面
    を有する分析器に前記反射画像を通過させて生の反射画像を生成することにより
    取込み画像を取得するステップとを含み、かつ (b)前記取込み画像を解析して、医学的処理の前、最中、または、後に、前
    記個体の微小循環を監視することを含むことを特徴とする方法。
  15. 【請求項15】 前記OPSイメージングプローブは、高コントラストOP
    Sイメージングプローブであることを特徴とする請求項14に記載の方法。
  16. 【請求項16】 前記医学的処理は、手術であることを特徴とする請求項1
    4に記載の方法。
  17. 【請求項17】 ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット、管形態、細胞形態、
    管密度、毛細管密度、管径、機能的管密度、血管痙攣、機能的毛細管密度、赤血
    球速度、細胞形態、血流、白血球・内皮細胞相互作用、領域周辺比、および、血
    管動態より成る群から選択される1つまたは複数の特徴を解析することをさらに
    含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
  18. 【請求項18】 2つ以上の前記特徴を解析することを特徴とする請求項1
    7に記載の方法。
  19. 【請求項19】 前記画像は、単一の取込み画像であることを特徴とする請
    求項14に記載の方法。
  20. 【請求項20】 前記微小循環の前記特徴は、管径、管形態、細胞形態、毛
    細管密度、管密度、領域周辺比、または、血管痙攣であることを特徴とする請求
    項19に記載の方法。
  21. 【請求項21】 前記画像は、画像のシーケンスであることを特徴とする請
    求項14に記載の方法。
  22. 【請求項22】 前記微小循環の前記特徴は、赤血球速度、機能的毛細管密
    度、機能的管密度、血流、白血球・内皮細胞相互作用、または、血管動態である
    ことを特徴とする請求項21に記載の方法。
  23. 【請求項23】 上皮または上皮細胞間病変を診断する方法であって、 (a)OPSイメージングプローブを使用することによって組織内の上皮また
    は上皮細胞間細胞の取込み画像を取り込むことにおいて、 (i)第1の偏光面に偏光した光を前記組織に照射するステップと、 (ii)前記組織から反射する反射画像を取り込むステップであって、実質
    的に前記第1の偏光面に直交する偏光面を有する分析器に前記反射画像を通過さ
    せて生の反射画像を生成することにより前記取込み画像を取得するステップとを
    含み、 (b)前記取込み画像を解析して前記上皮または上皮細胞間病変を診断するこ
    とを含むことを特徴とする方法。
  24. 【請求項24】 前記OPSイメージングプローブは、高コントラストOP
    Sイメージングプローブであることを特徴とする請求項23に記載の方法。
  25. 【請求項25】 前記上皮または上皮細胞間病変は、前悪性上皮または上皮
    細胞間腫瘍であることを特徴とする請求項23に記載の方法。
  26. 【請求項26】 前記上皮または上皮細胞間病変は、悪性上皮または上皮細
    胞間腫瘍であることを特徴とする請求項23に記載の方法。
  27. 【請求項27】 前記上皮または上皮細胞間病変は、頚部からの病変である
    ことを特徴とする請求項25に記載の方法。
  28. 【請求項28】 前記上皮または上皮細胞間病変は、頚部からの病変である
    ことを特徴とする請求項26に記載の方法。
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