JP2003509322A - 高セッコウ含有率のポルトランドセメント - Google Patents

高セッコウ含有率のポルトランドセメント

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JP2003509322A JP2001523335A JP2001523335A JP2003509322A JP 2003509322 A JP2003509322 A JP 2003509322A JP 2001523335 A JP2001523335 A JP 2001523335A JP 2001523335 A JP2001523335 A JP 2001523335A JP 2003509322 A JP2003509322 A JP 2003509322A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、普通ポルトランドセメント(OPC)と、焼セッコウと、非晶質シリカ源と、非晶質アルミナ源とを含むセメント組成物である。硫酸カルシウム半水和物とOPCの比は0.7:1.0〜1.8:1.0であり、非晶質シリカおよび非晶質アルミナとOPCの比は0.26:1.0〜0.4:1.0であり、非晶質アルミナと非晶質シリカの比は0.3:1.0〜1.5:1.0である。本発明のセメント組成物は、単独または砂のようなの骨材と混合した場合に、速硬性であり、水和後に優れた早期圧縮強度と非常に高い圧縮強度を示す。従来のOPC配合物よりも硫酸カルシウム含有率が高いにもかかわらず、本発明によるセメント組成物は本質的に耐水性であり、水中に2年間入れた後でさえも優れた強度特性を示す。アルミナセメントの代り、さらにはOPCの代わりに焼セッコウを使用すると経済的に非常に好都合であり、さらには、セメント組成物に速硬性が付与される。焼セッコウの一部または全部の代わりに可溶性無水セッコウに取り替えることもできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野および背景記述) 本発明は、一般にセメント組成物に関し、特に高強度コンクリート、ブロック
、グラウト、床下材、道路補修用材料、裏板、ファイバーボード、およびかわら
用のセッコウ含有セメント建築材料に関する。
【0002】 普通ポルトランドセメント(OPC)は建築業における主要セメント材料であ
る。この材料は、コンクリート、ブロック、かわら、グラウト、ファイバーボー
ド、モルタル、タイル用接着剤などの主要なバインダーである。OPCの欠点と
しては、早期強度が低いこと、ならびに乾燥時の収縮が大きいことが挙げられる
。 セッコウ(CaSO4・2H2O)は、OPC用添加剤として一般に使用され、
プラスターボード、ファイバーボード、プラスターなどのセッコウ系製品の製造
に一般に使用される安価で入手可能な材料である。焼セッコウ(硫酸カルシウム
半水和物−CaSO4・1/2H2O)は、水を加えるとセッコウとなって数分以
内に硬化し、優れた早期強度特性を示す。硬化したセッコウは、OPCと比較す
ると非常に強度が低い。さらに、セッコウは水に対して溶解性(2g/l)であ
りさらに空隙率が高いことから、この材料は耐水性が低い。 ポルトランドセメントと焼セッコウとを混合することによってセッコウボード
の耐水性を向上させようとする試みは、エトリンガイト(3CaO・Al23
CaSO4・32H2O)が形成されるためにあまり成功していない。コンクリー
トの長期劣化の主要要因はエトリンガイトの形成であることが知られている。こ
れは、OPC中に存在するアルミン酸三カルシウム(3CaO・Al23)と硫
酸塩の反応によって生じる。エトリンガイトが形成されることによってコンクリ
ートの体積が増加し、層間剥離、亀裂、および崩壊が起こる。OPCと焼セッコ
ウの混合物は従来使用されており、状況によっては利点があるが、アルミン酸三
カルシウムと硫酸塩の相互作用のためこのような混合物の使用は非常に制限され
ていた。これらの材料は、長期耐久性が低くなることが知られている「即効性補
修用」が主な用途であった。
【0003】 多くの研究がエトリンガイト形成の抑制に焦点を当てて行われてきた。この目
的のため、米国特許第3,852,051号では、低濃度アルミン酸三カルシウムを有す
るポルトランドセメントの特殊な処方を扱っている。このような処方は高価とな
るが、終局圧縮強度が低い。 ハリス(Harris)に付与された米国特許第4,494,990号には、OPCとαセッコ
ウとを含有するセメント組成物が開示されている。この組成物は、シリカフュー
ム、フライアッシュ、または高炉スラグのようなポゾラン源も含む。このハリス
の特許では、アルミン酸三カルシウムとセッコウ中の硫酸塩との相互作用をポゾ
ランが妨害すると教示している。 米国特許第4,661,159号には、硫酸カルシウムα−半水和物(αセッコウ)と
、硫酸カルシウムβ−半水和物(βセッコウ)と、フライアッシュと、ポルトラ
ンドセメントとを含む床下材組成物が開示されている。この特許は、この床下材
料を水および砂、または他の骨材と併用することで、基材に適用可能な流動性混
合物を生成することが可能なことも開示されている。 耐水性建築材料に有用なセメント組成物が、スタブ(Stav)らに付与された米国
特許第5,685,903号に開示されている。この組成物は、βセッコウと、OPCと
、シリカフュームと、ポゾラン骨材とをフィラーとして含む。OPC成分はフラ
イアッシュおよび/または粉砕スラグも含む場合がある。
【0004】 米国特許第5,685,903号は、シリカフューム成分は、エトリンガイト形成を防
止する非常に高活性のポゾランであることを教示している。さらに、ポゾラン骨
材と微粉砕ポゾランの両方を含むこの発明による組成物から、骨材とセメントペ
ーストの間の移行帯域が緻密になったセメント材料が得られ、そのためポゾラン
骨材単独または微粉砕ポゾラン単独を使用する組成物よりも圧縮強度が高い硬化
製品が得られることも開示している。 より高い圧縮強度が得られるこの発明による組成物の微細構造の変化が起こる
機構は、1)ポゾラン骨材の表面が遊離した石灰と反応してケイ酸カルシウム水
和物(CSH)を生成し、これが製品のマトリックスの一部となるポゾラン効果
と、2)シリカフュームの微小な寸法および球形のためのマイクロフィラー効果
の2つの効果が関連していると考えられている。 耐水性で高強度の建築材料に有用なセメントバインダー組成物が、スタブ(Sta
v)らの米国特許第5,858,083号に開示されている。このバインダーは、硫酸カル
シウムβ−半水和物と、ポルトランドセメントを含むセメント成分と、シリカフ
ュームまたはもみ殻灰のいずれかを含む。シリカフューム成分またはもみ殻灰成
分は少なくとも約92%が非晶質シリカであり、アルミナ成分は約0.6重量%
以下である。
【0005】 米国特許第5,858,083号によると、シリカフューム成分は非常に高活性のポゾ
ランであり、エトリンガイト形成を防止する。シリカフューム成分は酸化アルミ
ニウムの形態で最大0.6重量%のアルミナを含有する。米国特許第5,858,083
号は、M・マルホトラおよびP・クマー・メータ、「コンクリート技術における
ポゾラン材料とセメント材料の進歩第1巻(Malhotra,M.,and Mehta,P.Kumar,Poz
zolanic and Cementitious Materials Advances in Concrete Technology,Vol.1
)」を引用しており、この文献にはフェロシリコン合金産業製造の硅素フューム
の通常の酸化物分析で、SiO2量が83%と低く、Al23量が1.00%〜
2.5%であると報告されている。ある北米の高炉スラグの酸化物分析では、S
iO2量が33%と低く、Al23量は10.8%と高い。米国特許第5,858,083
号では、ポゾランのすべて、特にシリカフュームのすべてがこの発明での使用に
許容できるわけではないと結論している。 上述のすべての特許では、エトリンガイト形成を防止する方法が開発されてい
る。しかしながら、エトリンガイトの形成が、実際には早期段階の圧縮強度を向
上させるとしてセメント材料に好都合となりうると従来技術は教示している。 セメントの膨張に関するエトリンガイトの役割は米国特許第4,255,398号に記
載されている。すでに存在する固体表面にエトリンガイトが析出するのであって
、セメント水和時に液相から形成されるのではないと教示している。
【0006】 「セメントとコンクリートの研究(Cement and Concrete Research)(Vol.26,No
.3)」では、シング(Singh)とガーグ(Garg)が、ポルトランドセメント、焼成リン
酸セッコウ、高炉スラグ微粉末、および有機遅延剤を含有するセッコウ系バイン
ダーの性質について報告している。この混合セッコウバインダーの物理的性質を
、平らなセッコウプラスターと比較している。混合セッコウバインダーの水に対
する優れた挙動が、セッコウマトリックスの空隙と孔隙にエトリンガイトとCS
Hで充填することに寄与している。28日を超える試験期間において混合セッコ
ウバインダーの圧縮強度が向上するのは、マトリックスがエトリンガイトとトバ
モライトで満たされるためであると考えられている。後期のエトリンガイト形成
に関する問題は扱われていない。 「コンクリートの材料科学(Material Science of Concrete)」では、ロレンス
(Lawrence)がエトリンガイト形成の遅延(DEF)に関する話題を調査し要約し
ている。文献による広範な実験研究に基づいて、珪質砂モルタルの膨張とOPC
の化学組成の間の関係からセメント中の硫酸塩レベルが重要であることが分かり
、セメントが膨張を示す硫酸塩のレベルがCaSO4またはNa2SO4の添加に
よって増大し、最終的な膨張が増大することを著者は教示している。添加される
フライアッシュ、高炉スラグ、またはマイクロシリカは膨張を軽減する傾向にあ
る。この結論は、酸化アルミニウムの形態で最大0.6重量%のアルミナを含有
するポゾラン材料に関するスタブ(Stav)ら(米国特許第5,858,083号)の研究に
よって支持されている。酸化アルミニウムレベルが多いほどDEF膨張が促進さ
れ、OPCの長期の劣化が起こる。
【0007】 ガーラー(Galer)らに付与された米国特許第4,350,533号には、高アルミナセメ
ント、硫酸カルシウム、およびポルトランドセメントおよび/または石灰を含有
するセメント組成物が開示されている。反応は迅速であり、水和の非常に早い段
階(すなわち数分〜数時間)の間に強度に寄与する唯一の重要な要因はエトリン
ガイトの形成である。ポルトランドセメントはこの組成物の必要成分ではなく、
石灰で置き換えることができる。モンモリロナイトクレー、けい藻土、軽石、お
よびフライアッシュのようなポゾラン材料を、任意成分としてセメント粉末中に
混入することができる。使用する場合、通常はこの材料がポルトランドセメント
の一部またはすべての代わりに使用される。 アルミン酸カルシウムセメントとしても知られる高アルミナセメントはアルミ
ナ含有率が36〜42%であり、その大部分は種々のアルミン酸カルシウムの形
態である。硫酸塩含有率の高いアルミン酸カルシウムセメントは、DEFが起こ
りやすく、長期で劣化することが知られている。ラファージュ・フォンデュ・イ
ンターナショナル(LaFarge Fondu International A.S)の商業的公開では、材料
を崩壊させうる過度の膨張を避けるために、アルミン酸カルシウムセメントへの
硫酸カルシウムの添加はSO3で最大15〜20%(25〜34%の硫酸カルシ
ウム)に制限すべきであると報告している。
【0008】 バーガー(Barger)らに付与された米国特許第5,788,762号には、セッコウ(C
aSO4・2H2O)、焼成クレー、およびクリンカーで構成されるセメント組成
物が開示されている。これらの組成物を調製するための新規方法も開示されてい
る。ポゾラン材料の焼成クレーは、特定のFeおよび石英を含有し、カオリナイ
ト、モンモリロナイト、イライト、ハロイサイト、およびそれらの混合物を含有
する。この開示されるセメント系は水の必要量が約33%未満であり、1日強度
が少なくとも1000PSIであり、アルカリ官能性が低い。しかしながら、報
告されるセメント組成物は速硬性がなく、早期圧縮強度は普通ポルトランドセメ
ントと同等である。米国特許第5,788,762号は、この特許で開示されるこの新規
セメント系の利点は、通常セメントクリンカーに添加されるより多くのセッコウ
を添加できることであると報告しており、そのため硫酸カルシウム成分量はセメ
ント混合物の4〜10重量%となる。
【0009】 ガーラー(Galer)らに付与された米国特許第4,350,533号と同様に、速硬性であ
るがOPCを主成分とする材料が開発されると好都合である。アルミン酸カルシ
ウムセメントは高価であり、終局圧縮強度が低く、亀裂や崩壊が起こりやすいな
どOPCとは異なる化学的および物理的性質を有する。公知の組成物よりもセメ
ント材料の圧縮強度を向上させるために、エトリンガイト形成を妨害するなどに
よってエトリンガイト形成を制御できればさらに好都合である。また、後期エト
リンガイト形成に影響されず、そのためセメントは水が存在する場合でさえも長
期にわたって膨張や亀裂が起らない耐水性材料が開発されると好都合である。結
局、終局圧縮強度を損なわず、及び耐水を低下させずに、従来技術の配合よりも
はるかに多量の硫酸カルシウムをセメント混合物中に使用すると好都合となる。 アスブリッジ(Asbridge)らに付与された米国特許第5,958,131号には、適用後
の早期段階で耐水性で、表面仕上が良好であり、強度増加が迅速である用途の使
用が重要であるため、硫酸カルシウム半水和物と、ポルトランドセメントと、焼
成クレーとを含む耐水性セメント組成物が開示されている。
【0010】 硫酸カルシウム半水和物とポルトランドセメントの水和混合物はこれら2つの
セメント材料のそれぞれの利点が得られると予想されるが、硫酸カルシウムによ
って主に供給される硫酸イオンと、水和ポルトランドセメント中のアルミニウム
化合物との間で有害な化学反応が起こることが上記特許で教示されている。例え
ば、アルミン酸三カルシウと水和アルミノ硫酸カルシウムからエトリンガイトが
発生し、水和アルミノ硫酸カルシウムの結晶体積が増大する。エトリンガイトの
形成によって硬化セメント製品中に生じた膨張力によって亀裂が生じ、最終的に
製品の劣化が起りうる。 米国特許第5,958,131号によると、硫酸カルシウム半水和物およびポルトラン
ドセメントとともにポゾラン活性、例えば、メタカオリンを有する焼成クレーを
セメント組成物に加えることは、予想外かつ好都合なことに、組成物の水に対す
る抵抗性の向上に効果的である。特定の理論で束縛しようとするものではないが
、上記特許の発明者らは公知で確立された理論から、ポゾラン活性によって遊離
の石灰が消費されエトリンガイトの形成が防止されるために耐水性が得られると
考えている。アスブリッジ(Asbridge)らに付与された米国特許第5,958,131号で
は、硫酸カルシウム半水和物とポルトランドセメントの混合物の水和中に生成す
るカルシウムとナトリウムの水酸化物ならびにカルシウムとナトリウムの硫酸塩
のようなの化合物に対する焼成クレーの反応性のために耐水性が得られると主張
している。メタカオリンのような焼成クレーは、エトリンガイト形成の反応に関
与し硬化後に水和水硬性組成物の膨張および劣化の原因となる化合物と反応して
固定化する。 さらに米国特許第5,958,131号では、この発明による適度に水和した水硬性組
成物は、予想外かつ好都合なことに、湿潤状態で良好な加工性を有し、硬化後に
比較的短時間で強度が得られ、表面仕上の優れた成型物品が得られ、優れた長期
安定性および水に対する抵抗性を得ることができると開示している。
【0011】 米国特許第5,958,131号による焼成クレーの役割は水酸化物などとの反応性で
あり、それによってエトリンガイトの形成が防止される。このことは、OPCと
、焼セッコウと、シリカフューム、フライアッシュや高炉スラグのようなポゾラ
ン源とを含有するセメント組成物を開示している前述のハリス(Harris)に付与さ
れた米国特許第4,494,990号とよく似ている。 米国特許第5,958,131号の発明者らは、焼成クレーの非晶質アルミナ成分と、
セメントの化学的または物理的発達とセメント材料の物理的性質(強度、耐水性
など)におけるこの成分の役割については述べていない。これは、この特許で選
択され定義された石灰との反応性(ポゾラン反応)に関するメタカオリンとその
他の焼成クレーの性能の指標からも明らかである。ケイ酸含有材料およびアルミ
ニウム含有材料の両方が石灰と反応するので、理論的に言えば、焼成クレーはケ
イ酸含有材料またはアルミニウム含有材料を単独で含むことができる。ケイ酸含
有材料/アルミニウム含有材料の比は定義されていない。 さらに、アスブリッジ(Asbridge)らに付与された米国特許第5,958,131号では
、非常に広範囲のパーセンテージおよび比率のOPC、半水和物、および焼成ク
レーにわたって耐水性であると主張している。水に加えて耐水性水硬性固体組成
物を形成させるために好適であると思われる開示のセメント組成物は、20重量
%〜98重量%の硫酸カルシウム半水和物と、1重量%〜50重量%のポルトラ
ンドセメントと、1重量%〜30重量%のポゾラン活性を有する焼成クレー(例
えばメタカオリン)とを含む。半水和物とOPCの好ましい比率は2:1〜10
:1の範囲であり、OPCと焼成クレーの好ましい比率は2:1〜10:1であ
る。硫酸カルシウム半水和物の比率は好ましくは47.5重量%〜91重量%の
範囲であり、ポルトランドセメントの比率は好ましくは7重量%〜40重量%の
範囲であり、焼成クレーの比率は好ましくは2重量%〜12.5重量%である。
【0012】 (発明の要約) 本発明の目的の1つは、水に長期間さらされた場合でさえも(すなわち少なく
とも1/2年間〜2年間)圧縮強度が増加するか実質的に一定となるような本質
的に耐水性のセメント組成物を提供することである。 本発明の別の目的は、単独または砂のような骨材と混合することによって、速
硬性であり、最初の1時間以内に優れた早期圧縮強度を示し、7〜28日間以内
に優れた中期強度を示し、硬化後少なくとも28日間、通常は6か月以上後に非
常に高い後期圧縮強度(late compressive strength)が得られるセメント組成物
を提供することである。 焼セッコウと、OPCと、ポゾラン材料とを含むセメント混合物の場合、最大
の圧縮強度と耐水性、ならびに速硬性が得られる組成物の最適な範囲は非常に狭
く、米国特許第5,958,131号に明記される好ましい重量および比率の範囲の外に
あることが発見されている。 焼セッコウとOPCの重量比が約1.8:1を超えると真の耐水性を得られな
いことを発見した。セメント混合物に十分な量のポゾラン材料が存在することで
形成される石灰を中和し、エトリンガイトおよび他の膨張性材料の形成を制御す
ることができるが、米国特許第5,958,131号に開示されるように焼セッコウとO
PCの好ましい重量比2:1〜10:1を有するセメント混合物は、露出した硫
酸塩に対して比較的溶解性が高いために溶解および劣化が起こる。さらに、焼セ
ッコウとOPCの重量比が2:1〜10:1であるセメント混合物は、セメント
水和反応による圧縮強度の十分な寄与を受けない。 OPCと、焼セッコウと、非晶質シリカと非晶質アルミナの供給源とを含有す
るセメント混合物は、この混合物が速硬性となるためには焼セッコウとOPCの
重量比が約0.5:1を超えることが必要であることも発見された。
【0013】 本発明は、OPC(タイプI、II、III、IV、および白色セメント)と
、焼セッコウと、非晶質シリカ源、および非晶質アルミナ源とを特に後述の比率
で含有するセメント組成物を提供する。単独または砂のような骨材と混合するこ
とによって、本発明のセメント組成物は、速硬性であり、最初の1時間以内に優
れた早期圧縮強度を示し、7〜28日間以内に優れた中期強度を示し、硬化後少
なくとも28日間、通常は6か月以上後に非常に高い後期圧縮強度を示す。 多くの他のOPC配合物と比べると硫酸カルシウム含有率が高いにもかかわら
ず、本発明のセメント組成物は本質的に耐水性であり、優れた強度特性を示す。
少なくとも1/2年から2年の間水にさらされた場合でさえも、本発明のセメン
ト材料は層間剥離、亀裂、または崩壊の徴候は全くみられず、寸法安定性を示す
。アルミナセメントの代用、さらにはOPCの代用として焼セッコウを使用する
ことで経済的に非常に好都合であり、これに加えて即硬性を有するセメント組成
物が得られる。
【0014】 第1の実施態様では、本発明のセメントバインダーは、OPCと、硫酸カルシ
ウム半水和物(βまたはα、あるいはその両方)と、非晶質シリカ源と、非晶質
アルミナ源とを含み、硫酸カルシウム半水和物とOPCの比率は0.7〜1.8
であり、非晶質シリカおよび非晶質アルミナとOPCの比率は0.26〜0.4
であり、非晶質アルミナと非晶質シリカの比率は0.3〜1.5である。 好ましくは、硫酸カルシウム半水和物とOPCの比率は0.75〜1.3であ
り、非晶質シリカおよび非晶質アルミナとOPCの比率は0.3〜0.35であ
り、非晶質アルミナと非晶質シリカの比率は0.6〜1.2である。 好ましい実施態様では、本発明のセメントバインダーは、約30〜55重量%
のOPCと、約35〜58重量%の硫酸カルシウム半水和物と、約5〜12重量
%の非晶質シリカと、約3〜9重量%の非晶質アルミナとを含む。
【0015】 別の好ましい実施態様では、本発明のセメントバインダーは、ポゾラン骨材、
非ポゾラン骨材、および繊維からなるグループから選択されるフィラーをさらに
含み、これによって最大約95重量%のフィラーを含有するセメント混合物が得
られる。 別の好ましい実施態様では、非晶質シリカ源および非晶質アルミナ源としてメ
タカオリンが使用される。 別の好ましい実施態様では、非晶質シリカ源および非晶質アルミナ源は焼成ク
レーを含む。 別の好ましい実施態様では、シリカフュームともみ殻灰からなるグループから
選択される材料から非晶質シリカが得られる。 さらに別の好ましい実施態様では、前記混合物の10〜60分後の圧縮強度が
少なくとも約300PSIとなり、終局圧縮強度がOPCと同等であり28日後
で少なくとも4,500PSIに到達するように、OPC、硫酸カルシウム半水
和物、非晶質シリカ、非晶質アルミナ、およびフィラーの量が選択される。セメ
ントバインダーの配合物およびフィラーの種類と含有率に依存するが、28日後
の終局圧縮強度は少なくとも7,000PSIには容易に到達することができ、
最大で12,000〜18,000PSIとなる。
【0016】 さらに、硫酸カルシウム半水和物の一部または全部の代わりの原材料として可
溶性硫酸カルシウム無水セッコウ(CaSO)(soluble calcium sulfate anh
ydrite)を使用することができることも発見した。初期の実験室試験より、無水
セッコウ、(OPC)、非晶質シリカ源、および非晶質アルミナ源のセメント混
合物は、硫酸カルシウム半水和物を含有する同様の混合物と終局圧縮強度が同等
であるかこれよりも強度が高いことが分かった。さらに、このような材料は、硫
酸カルシウム半水和物を含有する同様の混合物と比較して硬化特性が向上した。
これは無水セッコウと水の反応によるものと思われる。存在する種々の形態のす
べての無水セッコウは、硫酸カルシウム半水和物と定性的に同様の方法で水と反
応する。しかしながら、この反応は水の存在下で無水セッコウはより不安定であ
り、反応中に無水セッコウは余分の水(半水和物と比較した場合)を吸収して硫
酸カルシウム二水和物を形成する能力があるため、迅速かつより強力である。 したがって、本発明の別の態様によると、本発明のセメントバインダーは、O
PCと、硫酸カルシウム無水セッコウと、非晶質シリカ源と、非晶質アルミナ源
とを含み、無水セッコウとOPCの比率は0.6〜1.98であり、非晶質シリ
カおよび非晶質アルミナとOPCの比率は0.26〜0.4であり、非晶質アル
ミナと非晶質シリカの比率は0.3〜1.5である。
【0017】 好ましくは、硫酸カルシウム無水セッコウとOPCの比率は0.7〜1.3で
あり、非晶質シリカおよび非晶質アルミナとOPCの比率は0.3〜0.35で
あり、非晶質アルミナと非晶質シリカの比率は0.6〜1.2である。 好ましい実施態様では、本発明のセメントバインダーは、約28〜57重量%
のOPCと、約32〜60重量%の硫酸カルシウム無水セッコウと、約5〜12
重量%の非晶質シリカと、約3〜9重量%の非晶質アルミナとを含む。 別の好ましい実施態様では、本発明のセメントバインダーは、約28〜57重
量%のOPCと、約32〜60重量%の硫酸カルシウム無水セッコウと硫酸カル
シウム半水和物(合計)と、約5〜12重量%の非晶質シリカと、約3〜9重量
%の非晶質アルミナとを含む。 別の好ましい実施態様では、本発明のセメントバインダーは、(a)普通ポル
トランドセメント(OPC)、(b)硫酸カルシウム無水セッコウ、(c)硫酸
カルシウム半水和物、(d)非晶質シリカ、(e)非晶質アルミナを含み、硫酸
カルシウム無水セッコウと硫酸カルシウム半水和物(合計)とOPCの重量比が
約0.6:1.0〜1.98:1.0であり、非晶質シリカおよび非晶質アルミ
ナの総量とOPCの比が約0.26:1.0〜0.4:1.0であり、非晶質ア
ルミナと非晶質シリカの比が約0.3:1.0〜1.5:1.0である。
【0018】 好ましくは可溶性無水セッコウが最大50重量%の半水和物の代わりに使用さ
れ、より好ましくは可溶性無水セッコウが5%〜50重量%の半水和物の代わり
に使用され、半水和物と可溶性無水セッコウの比が1:1〜19:1となる。 本明細書で使用される場合、普通ポルトランドセメント(OPC)は、ポルト
ランドセメントタイプI、II、III、IV、および白色セメントを意味する
。 本明細書で使用される場合、焼セッコウは、α構造とβ構造を含む硫酸カルシ
ウム半水和物(CaSO4・1/2H2O)を意味する。 本明細書で使用される場合、用語「無水セッコウ」は、「可溶性無水セッコウ
」として一般に知られている形態の無水セッコウを意味する。
【0019】 本明細書で使用される場合、ポゾランまたはポゾラン材料は、通常温度で水分
の存在下で消石灰と化学的に反応し、強力な遅硬化性セメントが形成される微粉
砕ケイ酸含有材料として定義される。石灰は、OPCを含有するセメント混合物
中で生成してもよい。 本発明で使用される場合、ポゾランは、水酸化カルシウムとのポゾラン反応性
が1g当りで少なくとも水酸化カルシウム700mgであるべきである。通常、
本発明で使用されるポゾラン材料の反応性は1g当りで水酸化カルシウム700
〜1100mgの範囲である。 本発明で使用される場合、非晶質アルミナ成分は、水酸化カルシウムとのポゾ
ラン反応性が1g当りで少なくとも水酸化カルシウム600mgであるべきであ
る。 本明細書で使用される場合、用語「スタッコ」はカルシウムβ半水和物を意味
する。α半水和物の使用が多くの点で好都合であることが知られているが、α半
水和物の方がはるかに高価である。本明細書で使用される用語のカルシウム半水
和物は、α形態を含めたカルシウム半水和物のすべての形態を含んでいる。
【0020】 (好ましい実施例の態様) 単なる例として、添付の図面を参照しながら本発明を説明する。 本発明は、OPCと、焼セッコウと、非晶質シリカ源と、非晶質アルミナ源と
を含み、硫酸カルシウム半水和物とOPCの比が0.7:1.0〜1.8:1.
0であり、非晶質シリカおよび非晶質アルミナの総量とOPCの比が0.26:
1.0〜0.4:1.0であり、非晶質アルミナと非晶質シリカの比が0.3:
1.0〜1.5:1.0であるセメント組成物を提供する。単独または砂のよう
な骨材と混合することによって、本発明のセメント組成物は速硬性であり、最初
の1時間で優れた早期圧縮強度を示し、7〜28日以内の優れた中期強度を示し
、硬化から少なくとも28日後、通常は3か月以上で非常に高い後期圧縮強度を
示す。 好ましくは、硫酸カルシウム半水和物とOPCの比が0.75:1.0〜1.
3:1.0であり、非晶質シリカおよび非晶質アルミナの総量とOPCの比が0
.3:1.0〜0.35:1.0であり、非晶質アルミナと非晶質シリカの比が
0.6:1.0〜1.2:1.0である。
【0021】 大部分の他のOPC配合物よりも硫酸カルシウム含有率が高いにもかかわらず
、本発明のセメント組成物は本質的に耐水性であり、優れた強度特性を示す。少
なくとも1/2年間〜2年間水にさらされた場合でさえも、本発明のセメント材
料は層間剥離、亀裂、または崩壊の徴候を示さない。温水(45℃)に最長1/
2年浸漬した試料でさえも劣化の徴候が見られない。アルミナセメントの代用、
さらにはOPCの代用として焼セッコウを使用することで経済的に非常に好都合
であり、これに加えて即硬性を有するセメント組成物が得られる。 本発明のセメント混合物の所望の性質の組み合わせは、比較的狭い範囲の組成
でのみ達成されることを発見した。OPCと、焼セッコウと、非晶質シリカと、
非晶質アルミナとのセメント混合物(合計=100%)が速硬性となるためには
、少なくとも約28〜35%の焼セッコウを含有する必要がある。セメント混合
物が実質的に耐水性となるためには、混合物が約60%未満の焼セッコウを含有
する必要がある。上記の比では、OPCから生成する石灰を中和するのに十分な
非晶質シリカと非晶質アルミナが添加されることを仮定した。当技術分野では公
知のように、ポゾラン材料が通常の反応性を有する場合、石灰の効率的な中和は
、ポゾランとOPCを少なくとも約0.3:1の重量比で含有するセメント混合
物の場合に実現される。 好ましい実施態様では、本発明のセメント材料は、(軽石、パーライト、フラ
イアッシュ等のような)ポゾラン骨材、(炭酸カルシウム、石英のような)非ポ
ゾラン骨材、および繊維からなるグループより選択される0〜95重量%のフィ
ラーをさらに含む。 別の好ましい実施態様では、セメント材料中の非晶質シリカ源は、シリカフュ
ーム、もみ殻灰、またはメタカオリンからなるグループより選択される。スタブ
らに付与された米国特許第5,858,083号は、非晶質シリカ成分は非常に高活性の
ポゾランでありエトリンガイト形成を防止するが、効率的となるためには非晶質
シリカ成分は0.6重量%以下のアルミナを含むことが必要であると教示してい
る。フェロシリコン合金産業製造の硅素フュームの通常の酸化物分析では1.0
%〜2.5%のAl23を含み、北米の高炉スラグはSiO2量が33%と低く
、Al23量が10.8%と高いために、米国特許第5,858,083号ではポゾラン
のすべて、特にシリカフュームのすべてがこの特許での使用に許容できるわけで
はないと結論している。メタカオリンはアルミナ含有率が高いために特に許容で
きない。
【0022】 従来技術ではエトリンガイト形成を抑制することが望ましいと教示しているが
、本発明による組成物ではエトリンガイトの早期形成を促進することを意図して
おり、これによってセメント混合物の強度が得られる。従来技術の教示とは明ら
かに対照的であるが、非晶質アルミナとともに非晶質シリカを含有するバインダ
ーを含むセメント混合物の終局圧縮強度は、非晶質シリカを含有するが 非晶質
アルミナはほとんどまたは全く含有しないバインダーを含むセメント混合物と比
較すると明らかに向上することを発見した。したがって、メタカオリンのような
非晶質アルミナ含有率が高いポゾラン材料は、これらの新規セメント混合物の配
合に特に適している。 強調すべきことは、本発明によるセメント混合物の微細構造が、従来技術によ
るセメント混合物の微細構造と異なることであり、硫酸塩含有率が高く非晶質シ
リカを含有するOPC混合物(米国特許第4,494,990号、第5,858,083号)では、
水酸化カルシウムとのポゾラン反応によって水和ケイ酸カルシウムが生成し、こ
れはセメント混合物の硫酸塩中の多量の結晶性セッコウ相を実質的にコーティン
グする。対照的に、新規セメント混合物の微細構造は大部分が均一で非晶質であ
り、結晶性硫酸塩相(セッコウおよびエトリンガイト)が非常に少なくなってい
る。この特徴については以下に詳細に説明する。上記のことを理論的説明で限定
しようと意図するものではないが、このような微細構造の相違のために、従来技
術のセメント混合物よりも物理的性質が大きく向上していると考えられる。
【0023】 別の好ましい実施態様では、本発明のセメントバインダーは、約30〜55重
量%のOPCと、約35〜58重量%の硫酸カルシウム半水和物と、約5〜12
重量%の非晶質シリカと、約3〜9重量%の非晶質アルミナとを含む。 さらに別の好ましい実施態様では、混合物の10〜60分後の圧縮強度が少な
くとも約300PSIとなり、終局圧縮強度がOPCと同等であり28日後で最
大約18,000PSIとなるように、OPC、硫酸カルシウム半水和物、非晶
質シリカ、非晶質アルミナ、およびフィラーの量が選択される。 経時で圧縮強度が増大するセメント材料の物理的性質は、図面とその説明を参
照することによってより理解できるであろう。 ここで図面を参照すると、図1は、本発明のセメント組成物の経時で増大する
圧縮強度を、従来技術で開示されるような組成物と比較したグラフである。
【0024】 曲線1は、フィラーとしての砂と混合した普通ポルトランドセメントの代表的
な圧縮強度増加を示している。 曲線2は、米国特許第3,997,353号による、フィラーとしての砂と混合した普
通ポルトランドセメント、アルミン酸カルシウム、および硫酸カルシウムを含有
するバインダーの代表的な圧縮強度増加を示している。 曲線3は、米国特許第4,350,533号による、フィラーとしての砂と混合した普
通ポルトランドセメント、アルミン酸カルシウム、および硫酸カルシウムを含有
するバインダーの代表的な圧縮強度増加を示している。 曲線4は、米国特許第4,494,990号による、フィラーとしての砂と混合した普
通ポルトランドセメント、硫酸カルシウム(α半水和物)、およびポゾラン材料
を含有するバインダーの代表的な圧縮強度増加を示している。 曲線5は、米国特許第5,788,762号による、フィラーとしての砂と混合したク
リンカー、焼成クレー、および硫酸カルシウムを含有するバインダーの代表的な
圧縮強度増加を示している。 上記従来技術のセメント混合物に対して、曲線6は、普通ポルトランドセメン
ト、硫酸カルシウム(β半水和物)、およびメタカオリンを含有しフィラーとし
ての砂と混合した本発明によるバインダーの代表的な圧縮強度増加を示している
。 曲線7は、普通ポルトランドセメント、硫酸カルシウム(β)半水和物、およ
びメタカオリンを含有しフィラーとしての砂と混合した本発明によるバインダー
の代表的な乾燥時圧縮強度増加を示している。
【0025】 アルミン酸カルシウムセメントを含有するセメント混合物(曲線2、3)は優
れた早期圧縮強度を示している。終局圧縮強度は、バインダーがOPC単独から
なる代表的なセメント混合物(曲線1)の終局圧縮強度よりも高い(曲線3)場
合も低い(曲線2)場合もある。 前述したように、アルミン酸カルシウムセメントはOPCと比較すると高価で
あり、長期にわたるセメントの劣化の原因となる過剰な膨張を防止するために硫
酸カルシウムの最大含有率が約20〜30%に制限される。 バインダーが普通ポルトランドセメント、α硫酸カルシウム半水和物、および
ポゾランを含有するセメント混合物は、OPC(曲線1)と比べると優れた終局
強度を示している(曲線4)。α硫酸カルシウム半水和物が水和して硫酸カルシ
ウム二水和物(セッコウ)になるため、早期強度も良好である(図2も参照)。
しかしながら、この組成物は、セッコウとOPC中のアルミン酸三カルシウムの
反応が実質的に抑制され、そのためエトリンガイトが形成されないように配合さ
れている。エトリンガイト形成の抑制はセメント混合物の長期耐久性に寄与しう
る一方で、エトリンガイト形成と関連する潜在性の高い強度は利用されない。α
−半水和物を使用して圧縮強度が得られることにも注目すべきである。α−半水
和物では必要な水/半水和物の比がβ−半水和物と比べると軽減され、より高密
度で圧縮強度の向上したセメント混合物が得られる。しかしながら、α半水和物
はβ半水和物よりも実質的に高価である。 砂と混合したクリンカー、焼成クレー、および硫酸カルシウムを含有するバイ
ンダーの圧縮強度増加は曲線5に示されている。 上記のセメント混合物とは対照的に、本発明によるセメント混合物は独特の圧
縮強度増加を示している。曲線6から明らかなように、この混合物は速硬性であ
り、最初の3時間以内での圧縮強度が400PSIである(図2も参照されたい
)。7日以内に圧縮強度は約10,000PSIまで増加する。 曲線7は、乾燥時圧縮強度増加を示している。わずか3日後に圧縮強度は約8
,000PSIに到達し、28日後には圧縮強度は11,000PSIを超える
【0026】 図2によってより明確に分かるが、フィラーとしての砂と混合した(タイプI
IIのような)普通ポルトランドセメント(曲線1)は、初期圧縮強度が増大す
るまでに12〜24時間かかる。クリンカー、焼成クレー、および硫酸カルシウ
ムを含有するバインダーを含むセメント混合物(曲線5)の挙動も同様の性質を
有する。 図3では、本発明によるセメント混合物の1〜28日にわたって増加した圧縮
強度を、OPCのみをバインダーとして含有しフィラーとして通常の砂を含有す
る参照混合物の圧縮強度と比較している。厳密な組成は表5に示している。曲線
の全体的な形状は同様であるが、中期および長期の両方の圧縮強度は本発明の混
合物の方が実質的により高い。 本発明によるセメント混合物の強度増加に関して、特に高密度微結晶エトリン
ガイトの形成とセメントの非膨張性長期挙動に関して、いくつかの理論的機構を
提案することができる。これらの説明によって制限しようとするものではないが
、本発明によるセメント材料の強度は、一部は並行し一部は連続して経時で進行
する数種類の反応によって得られると考えられる。水和反応による硫酸カルシウ
ム半水和物のセッコウへの転化は数分以内に起り、わずか6時間後に少なくとも
約360PSIの圧縮強度が得られる。この段階では、CaSO4・2H2Oのみ
がXRDで検出される(図4a)。
【0027】 図4bは、新規セメント混合物の6日後のXRDスキャンである。大きなエト
リンガイトピークが形成され、Ca(OH)2が存在するのであるが検出されて
いない。全ピーク強度は6033から4456に減少しているが、これはCSH
ゲルの形成と系の非晶質化が起こったためと思われる。これらの現象は、CSH
形成、ポゾラン反応、およびエトリンガイト形成の反応が並行して起こっている
ことを示している。 28日後には全体の強度はさらに2985に低下しており(図4c)、CaS
4・H2Oとエトリンガイトのピークは実質的に減少している。前のXRDスキ
ャンと同様にCa(OH)2は検出されなかった。CSH形成は時間が経っても
持続しているが、エトリンガイトとセッコウが減少していると思われる。エトリ
ンガイトが形成されず、エトリンガイト関連の膨張が起らないため、このセメン
ト系は優れた安定性を示す。 水中で6か月後(図4d)、全体のピーク強度はさらに1084まで減少して
いる。前のXRDスキャンと同様に、Ca(OH)2は検出されず、エトリンガ
イトとセッコウのピークも小さいままである。
【0028】 アルミン酸三カルシウムのようなセメントクリンカー中のアルミナ結晶源は、
本質的に4CaO・Al23・19H2Oと2CaO・Al23・8H2Oからな
る六方晶板状結晶を形成するため、水の存在下で水和される。これらの水和物は
準安定状態であり、立方晶構造を有し組成が3CaO・Al23・6H2Oであ
るより溶解性が低くより安定した結晶性水和物へと時間が経つにつれて変化する
。結晶質アルミナの形態進化と、硫酸塩の存在下でエトリンガイト形成とが同時
に起こると、セメント混合物内部の膨張圧力が生じ、これは長期間で見た場合に
セメントの膨張、亀裂、および崩壊につながる。さらに、4CaO・Al23
19H2Oが3CaO・Al23・6H2Oに転化する過程で水が放出され、エト
リンガイト形成を含むセメント混合物中の種々の別の反応にこの水が関与する。
したがって、結晶質アルミナの形態進化が間接的にセメントのさらなる化学的お
よび物理的劣化に影響すると考えられる。 非晶質アルミナを使用することで結晶質アルミナの形態進化と関連する問題が
解消される。さらに、理由が十分に分かっていないが、セメント混合物中に非晶
質アルミナが存在すると、セメント混合物中の結晶質硫酸塩(セッコウおよびエ
トリンガイト)の量が長期間にわたって減少する。その結果、セメント構造はよ
り非晶質で均一で高密度に固化し、従来技術の公知のセメント混合物で通常発生
する膨張圧が本質的に発生しない。
【0029】 本発明によるセメント系の安定性を、イスラエル規格第896号に準拠した寸
法安定性試験で検証した。水中で30日後に試料は0.07%収縮し、膨張は検
出されなかったことから、この系のエトリンガイトは安定であり、他の高硫酸塩
高アルミナ系のようにエトリンガイト形成が持続したり膨張したりすることがな
いことを示している。 セメント構造のSEM顕微鏡写真は、XRDスキャンからの発見を支持してい
る。最大10,000倍の倍率では(図5aおよび5b)、セメントバインダー
の構造は均質性が高く、セッコウまたはエトリンガイトの結晶は見られない。 図6a〜6eは、骨材粒子を含有するセメント混合物のSEM顕微鏡写真であ
る。セメントマトリックスと骨材粒子の界面が図6b〜6cではっきりと見える
。従来技術による高アルミナ高硫酸塩セメント混合物では界面領域にエトリンガ
イト結晶が通常大量にあるかまたは大量にあると予想されるが、本発明によるセ
メント混合物では、セメントマトリックスと骨材粒子の界面にエトリンガイト結
晶は見られない。 最大15,000倍の倍率では(図6d、6e)、セメントバインダーの構造
は均質性が高く、非晶質のように見え、セッコウまたはエトリンガイトの結晶は
認識できない。 XRDデータは、SEM顕微鏡写真によって支持され補足される。これら両方
から、本発明によるセメント系における長期寸法安定性と圧縮強度の優れた測定
値(measured characteristics)が理論的に裏づけられる。 本発明のセメント混合物中のポゾラン材料の量は、水酸化カルシウム、ならび
にセメントの水和中に生成する他の塩基性化合物の中和に十分である必要がある
。通常の活性の超微粉砕メタカオリンでは、1重量単位のOPCに対し約0.3
重量単位のメタカオリンが必要である。化学量論的にわずかに過剰のポゾラン材
料が望ましい。
【0030】 ポゾランとOPCの比の圧縮強度への影響は表1より明らかである。プラスチ
ック袋中で試料を28日間硬化させ、続いて乾燥させた。メタカオリンとOPC
の比が適切である(0.30:1.0)組成物1は、優れた圧縮強度(33MP
a)を示している。メタカオリンとOPCの比が化学量論比よりも小さい(0.
05:1.0〜0.15:1.0)組成物2〜4は試験中に崩壊した。 アスブリッジらに付与された米国特許第5,958,131号は、硫酸カルシウム半水
和物と、ポルトランドセメントと、ポゾラン活性を有する焼成クレーとを含み、
成分の重量%は20〜98%の硫酸カルシウム半水和物、1〜50%のポルトラ
ンドセメント、1〜30%の前記の焼成クレーの範囲である、水を加えて耐水性
水硬性固体を形成させるために好適である組成物を教示している。硫酸カルシウ
ム半水和物の比率は好ましくは47.5重量%〜91重量%の範囲であり、ポル
トランドセメントの比率は好ましくは7重量%〜40重量%の範囲であり、焼成
クレーの比率は好ましくは2重量%〜12.5重量%である。半水和物とOPC
の望ましい比率は2:1〜10:1の範囲であり、OPCと焼成クレーの好まし
い比率は2:1〜10:1の範囲である。
【表1】 試験中に崩壊した組成物番号2〜4は、米国特許第5,958,131号に教示される
耐水性組成物の範囲内であることに注意されたい。さらに、組成物番号2と3は
好ましい重量比範囲内にある。表2は、焼セッコウ(スタッコ)とOPCの比が
1.6:1.0〜3.9:1.0である試料の組成を示している。メタカオリン
/OPC比は0.30:1.0と一定に保たれていた。表3は、硬化後の最初の
24時間の間の組成物番号5〜8の試料の圧縮強度を示している。未乾燥セメン
トの立方体をプラスチック袋に入れて室温で硬化させた。各試料の早期圧縮強度
はほぼ同様であり、焼セッコウ含有率がより高い試料でわずかに高い強度が得ら
れた。
【0031】 図7(表4のデータに基づいている)は、メタカオリンとOPCの重量比は0
.3:1.0と固定したセメント混合物の28日乾燥時の圧縮強度を焼セッコウ
とOPCの重量比の関数として示したグラフである。セメント混合物の圧縮強度
は焼セッコウとOPCの比が約0.8:1.0〜約1.0:1.0で最大値とな
るまで鋭く単調に増加する。焼セッコウとOPCの比をさらに増大させると、セ
メント混合物の圧縮強度は急速に低下する。
【表2】
【表3】
【0032】 焼セッコウとOPCの比が0.5:1を下回ると、セメント混合物の圧縮強度
は特に乏しくなり、同様に焼セッコウとOPCの比が2:1を超えてもセメント
混合物の圧縮強度が特に乏しくなる。強調すべきことは、アスブリッジらに付与
された米国特許第5,958,131号の好ましい範囲が2:1と10:1の間であるこ
とである。これとは対照的に、本発明では、焼セッコウとOPCを重量比約0.
7:1〜約1.8:1の間、より好ましくは約0.75:1〜約1.3:1の間
で含有する最適で高圧縮強度の混合物の狭い範囲が存在することが分かった。 さらに、米国特許第5,958,131号では、メタカオリン含有セメント混合物の湿
潤時圧縮強度を、同様の組成であるがメタカオリンを含有しないセメント混合物
の湿潤時圧縮強度と比較することで耐水性を表している。しかしながら耐水性の
より正確な評価方法は、メタカオリン含有セメント混合物の湿潤時圧縮強度を同
じメタカオリン含有セメント混合物の乾燥時圧縮強度と比較することによって行
われる。
【0033】 このため、種々のバインダー組成を有するセメントの立方体(25mm×25
mm×25mm)を作製した。すべての場合で、セメント混合物は25%のバイ
ンダーと75%のフィラーを含有した。15分の硬化時間の後に立方体を成形型
から取り出した。硬化手順は: 1)45℃のオーブン中で18日間硬化 2)プラスチック袋中で28日間硬化 の2種類を実施した。45℃で18日間硬化させた後オーブンから立方体を取り
出した直後に種々の組成物の立方体の比重と圧縮強度を測定した。これらの結果
(表5)は、セメント混合物の圧縮強度に関する表4の結果を定性的に支持して
いる。焼セッコウとOPCの比が1.5:1を超える場合、セメント混合物の圧
縮強度は急速に低下する。
【0034】 重量が一定になるまでオーブン中で4日間乾燥させた後、種々の組成物の立方
体の比重と乾燥時圧縮強度を求めた(表6)。焼セッコウとOPCの比が増加す
る(1.5:1を超える)と乾燥時圧縮強度の緩やかな低下が見られる。
【表4】
【表5】
【表6】
【0035】 表5と表6の圧縮強度データを検討すれば、焼セッコウとOPCの比が高い4
つすべての組成物で、未乾燥時圧縮強度が乾燥時圧縮強度よりも急速に低下する
ことがはっきりと明らかである。これは本質において、未乾燥時/乾燥時圧縮強
度比(すなわち湿潤時/乾燥時圧縮強度比)が、耐水性の最も現実的な評価方法
であることを示している。表7に示されるように、湿潤時/乾燥時圧縮強度比は
0.70:1から0.45:1に低下し、この場合、焼セッコウとOPCの比は
約1.6:1から約3.9:1に増大している。
【表7】
【0036】 プラスチック袋中室温で28日間硬化させたセメント混合物の場合も定性的に
同様の結果が得られた(表8)。したがって、アスブリッジらに付与された米国
特許第5,958,131号の好ましい組成範囲のセメント混合物で得られた未乾燥時圧
縮強度と乾燥時圧縮強度の比(〜0.4:1.0)が非常に小さいこととは対照
的に、本発明のセメント混合物の未乾燥時圧縮強度と乾燥時圧縮強度の比は0.
6:1.0を超え、より一般的には0.8:1.0〜0.9:1.0およびそれ
以上となる。 したがって、米国特許第5,958,131号の教示とは異なり、焼セッコウとOPC
の重量比が大きいと、耐水性が不十分で比較的低強度のセメント混合物が得られ
ることが分かった。
【表8】
【0037】 硫酸カルシウム半水和物の一部または全部の代わりの原材料として可溶性硫酸
カルシウム無水セッコウ(CaSO4)を使用することができることもさらに発
見した。初期実験室試験から、可溶性無水セッコウ、OPC、非晶質シリカ源、
および非晶質アルミナ源のセメント混合物は、硫酸カルシウム半水和物を含有す
る同等の混合物と終局圧縮強度が同等であるかこれより高くなることが分かった
。さらに、このような材料は、硫酸カルシウム半水和物を含有する同等の混合物
と比較すると硬化特性が向上していることが分かった。理論で限定しようと望む
わけではないが、これは、可溶性無水セッコウと水との反応によるものであると
考えられる。硫酸カルシウム半水和物の場合と同様の性質の反応で、可溶性無水
セッコウは水と反応する。 しかしながら、水の存在下では可溶性無水セッコウの方がより不安定であり、
硫酸カルシウム二水和物を生成するための反応時に可溶性無水セッコウが(半水
和物と比較して)余分の水を吸収する能力があるため、この反応はより迅速かつ
強力である。
【0038】 したがって、本発明の別の態様によると、本発明のセメントバインダーはOP
Cと、可溶性硫酸カルシウム無水セッコウと、非晶質シリカ源と、非晶質アルミ
ナ源とを含み、可溶性無水セッコウとOPCの比率が0.6〜1.98であり、
非晶質シリカおよび非晶質アルミナとOPCの比率が0.26〜0.4であり、
非晶質アルミナと非晶質シリカの比率が0.3〜1.5である。 好ましくは、可溶性硫酸カルシウム無水セッコウとOPCの比率が0.7〜1
.3であり、非晶質シリカおよび非晶質アルミナとOPCの比率が0.3〜0.
35であり、非晶質アルミナと非晶質シリカの比率が0.6〜1.2である。 好ましい実施態様では、本発明のセメントバインダーは、約28〜57重量%
のOPCと、約32〜60重量%の可溶性無水セッコウと、約5〜12重量%の
非晶質シリカと、約3〜9重量%の非晶質アルミナとを含む。これらの混合物で
は、ほぼ重量基準で、可溶性無水セッコウを硫酸カルシウム半水和物で置き換え
ることができる。
【0039】実施例1 本発明による代表的組成物を表9に示す。 乾燥させた成分を完全に混合し、均一混合物を得た。この乾式混合物を600
g計り取り、111mlの水を加えて3分間HOBARTミキサーで混合した。得られ
たセメント混合物を40×40×160mmの成形型に注入し、プラスチック袋
中で28日間硬化させた。セメント混合物の未乾燥時圧縮強度の経時変化を表1
0に示す。
【表9】
【表10】
【0040】実施例2 本発明による代表的組成物を表11に示す。バインダーの組成は実施例1と同
じであり、実施例1で使用した炭酸カルシウムフィラーの代わりに微細珪砂を使
用した。乾燥させた成分を完全に混合し、均一混合物を得た。この乾式混合物を
600g計り取り、147mlの水を加えて3分間HOBARTミキサーで混合した。
得られたセメント混合物を40×40×160mmの成形型に注入し、プラスチ
ック袋中で28日間硬化させた。セメント混合物の未乾燥時圧縮強度の経時変化
を表12に示す。
【表11】
【表12】
【0041】実施例3 本発明による代表的組成物を表13に示す。これについて標準手順EN−19
6−1に従って試験を行った。 乾燥させた成分を完全に混合し、均一混合物を得た。この乾式混合物を180
0g計り取り、900mlの水を加えて3分間HOBARTミキサーで混合した。得ら
れたセメント混合物を40×40×160mmの成形型に注入し、プラスチック
袋中で28日間硬化させた。セメント混合物の未乾燥時と乾燥時の両方の圧縮強
度の経時変化を表14に示す。通常のOPC混合物の圧縮強度を比較のために記
載している。 表14からはっきりと明らかなように、参照組成物と比べると本発明によるセ
メント混合物は速硬性であり、最初の7〜14日後の圧縮強度も優れている。 上記物理的性質の向上以外では、バインダーの主成分として焼セッコウを使用
することによって、従来技術によるセメント混合物よりも本発明のセメント混合
物の方が実質的に経済的に好都合となる。
【0042】 本発明のセメント混合物およびそれらの物理的性質の上記説明から、ブロック
、浴室およびシャワー室の裏板、ならびに床下材の用途のような耐水性が重要と
なる場合にこれらの混合物が特に好都合となることは明らかである。さらに本発
明の組成物は、ファイバーボード、サイディングボード、トリムボード、構造用
枠組、セルフレベリング材、および道路補修材料のような材料にも使用される。 本発明によるバインダーを使用して作製した組成物から、速硬性で、強度およ
び耐久性が高く、優れた耐水性を示す建築材料が作製できる。本発明による組成
物から作製される製品は、連続ラインで製造することができる。これらの組成物
は非常に速く硬化するので(通常2〜10分間)、これらの組成物から作製した
建築用組成物は、OPC単独から作製した製品よりもはるかに短時間で取り扱い
可能となる。
【表13】
【0043】 本発明によるバインダーを使用して作製した組成物から、速硬性で、強度およ
び耐久性が高く、優れた耐水性を示す建築材料が作製できる。本発明による組成
物から作製される製品は、連続ラインで製造することができる。これらの組成物
は非常に速く硬化するので(通常2〜10分間)、これらの組成物から作製した
建築用組成物は、OPC単独から作製した製品よりもはるかに短時間で取り扱い
可能となる。 以上の説明は単なる例示を意図したものであって、本発明の意図および範囲内
で多くの他の実施態様も可能であることは理解できるであろう。
【表14】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のセメント組成物の経時で増加する圧縮強度を従来技術の組成物と比較
したグラフである。
【図2】 本発明によるセメント組成物の経時で増加する早期圧縮強度を図1の従来技術
のポルトランドセメント含有組成物と比較したグラフである。
【図3】 本発明によるセメント混合物の1〜28日で増大した圧縮強度を、バインダー
としてOPCのみを含みフィラーとして通常の砂を含む参照混合物の圧縮強度と
比較しているグラフである。
【図4】 a〜dは、本発明によるセメント混合物のX線回折(XRD)の図であって、
セメント中の結晶構造の経時による成長を示しているグラフである(6時間〜6
か月)。
【図5】 a〜bは、本発明のセメントバインダーのセメントマトリックスの微細構造を
撮影したSEM(走査型電子顕微鏡)顕微鏡写真である。
【図6】 a〜eは、本発明によるセメント混合物のセメントマトリックス、骨材粒子、
およびマトリックス−骨材界面の微細構造を撮影したSEM顕微鏡写真である。
【図7】 セメント混合物の28日乾燥による圧縮強度を焼セッコウとOPCの重量比(
メタカオリンとOPCの比は一定)の関数としたグラフであり、本発明の最適な
高圧縮強度混合物の範囲が狭いことを示しているグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,C A,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM ,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH, GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS ,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN, MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM ,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN, YU,ZA,ZW

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)普通ポルトランドセメント(OPC)と、 (b)硫酸カルシウム半水和物と、 (c)非晶質シリカと、 (d)非晶質アルミナと、 を含み、硫酸カルシウム半水和物とOPCの比が約0.7:1.0〜1.8:1
    .0であり、非晶質シリカおよび非晶質アルミナの総量とOPCの比が約0.2
    6:1.0〜0.4:1.0であり、非晶質アルミナと非晶質シリカの比が約0
    .3:1.0〜1.5:1.0である速硬性耐水性セメント材料。
  2. 【請求項2】 硫酸カルシウム半水和物とOPCの比が約0.75:1.0
    〜1.3:1.0である請求項1に記載のセメント材料。
  3. 【請求項3】 ポゾラン骨材、非ポゾラン骨材、および繊維からなるグルー
    プより選択される最大約95重量%のフィラーをさらに含む請求項1に記載のセ
    メント材料。
  4. 【請求項4】 前記非晶質アルミナがメタカオリンから得られる請求項1に
    記載のセメント材料。
  5. 【請求項5】 前記非晶質アルミナが焼成クレーから得られる請求項1に記
    載のセメント材料。
  6. 【請求項6】 前記非晶質シリカが、シリカフューム、もみ殻灰、焼成クレ
    ー、およびメタカオリンからなるグループより選択される材料から得られる請求
    項1に記載のセメント材料。
  7. 【請求項7】 前記混合物の、10〜60分後の圧縮強度が少なくとも約3
    00PSIとなり、28日後の終局圧縮強度が少なくとも約4,500PSIと
    なるように、前記OPC、前記硫酸カルシウム半水和物、前記非晶質シリカ、前
    記非晶質アルミナ、および前記フィラーの量が選択される請求項3に記載のセメ
    ント混合物。
  8. 【請求項8】 前記混合物の、10〜60分後の圧縮強度が少なくとも約3
    00PSIとなり、28日後の終局圧縮強度が少なくとも約7,000PSIと
    なるように、前記OPC、前記硫酸カルシウム半水和物、前記非晶質シリカ、前
    記非晶質アルミナ、および前記フィラーの量が選択される請求項3に記載のセメ
    ント混合物。
  9. 【請求項9】 前記混合物の、10〜60分後の圧縮強度が少なくとも約3
    00PSIとなり、28日後の終局圧縮強度が少なくとも約12,000PSI
    となるように、前記OPC、前記硫酸カルシウム半水和物、前記非晶質シリカ、
    前記非晶質アルミナ、および前記フィラーの量が選択される請求項3に記載のセ
    メント混合物。
  10. 【請求項10】 (a)約30〜55重量%の普通ポルトランドセメント(
    OPC)と、 (b)約35〜58重量%の硫酸カルシウム半水和物と、 (c)約5〜12重量%の非晶質シリカと、 (d)約3〜9重量%の非晶質アルミナと、 を含む速硬性耐水性セメント材料。
  11. 【請求項11】 セメント混合物を得るために、ポゾラン骨材、非ポゾラン
    骨材、および繊維からなるグループより選択されるフィラーをさらに含み、前記
    セメント混合物が最大約95重量%の前記フィラーを含む請求項10に記載のセ
    メント材料。
  12. 【請求項12】 前記混合物の、10〜60分後の圧縮強度が少なくとも約
    300PSIとなり、28日後の終局圧縮強度が少なくとも約4,500PSI
    となるように、前記OPC、前記硫酸カルシウム半水和物、前記非晶質シリカ、
    前記非晶質アルミナ、および前記フィラーの量が選択される請求項11に記載の
    セメント材料。
  13. 【請求項13】 前記混合物の、10〜60分後の圧縮強度が少なくとも約
    300PSIとなり、28日後の終局圧縮強度が少なくとも約7,000PSI
    となるように、前記OPC、前記硫酸カルシウム半水和物、前記非晶質シリカ、
    前記非晶質アルミナ、および前記フィラーの量が選択される請求項11に記載の
    セメント材料。
  14. 【請求項14】 前記混合物の、10〜60分後の圧縮強度が少なくとも約
    300PSIとなり、28日後の終局圧縮強度が少なくとも約12,000PS
    Iとなるように、前記OPC、前記硫酸カルシウム半水和物、前記非晶質シリカ
    、前記非晶質アルミナ、および前記フィラーの量が選択される請求項11に記載
    のセメント材料。
  15. 【請求項15】 (a)普通ポルトランドセメント(OPC)と、 (b)可溶性硫酸カルシウム無水セッコウと、 (c)非晶質シリカと、 (d)非晶質アルミナと、 を含み、硫酸カルシウム無水セッコウとOPCの比が約0.6:1.0〜1.9
    8:1.0であり、非晶質シリカおよび非晶質アルミナの総量とOPCの比が約
    0.26:1.0〜0.4:1.0であり、非晶質アルミナと非晶質シリカの比
    が約0.3:1.0〜1.5:1.0である速硬性耐水性セメント材料。
  16. 【請求項16】 可溶性硫酸カルシウム無水セッコウとOPCの比が約0.
    70:1.0〜1.3:1.0である請求項15に記載のセメント材料。
  17. 【請求項17】 ポゾラン骨材、非ポゾラン骨材、および繊維からなるグル
    ープより選択される最大約95重量%のフィラーをさらに含む請求項15に記載
    のセメント材料。
  18. 【請求項18】 前記非晶質アルミナがメタカオリンから得られる請求項1
    7に記載のセメント材料。
  19. 【請求項19】 前記非晶質アルミナが焼成クレーから得られる請求項15
    に記載のセメント材料。
  20. 【請求項20】 (a)約28〜57重量%の普通ポルトランドセメント(
    OPC)と、 (b)約32〜60重量%の可溶性硫酸カルシウム無水セッコウと、 (c)約5〜12重量%の非晶質シリカと、 (d)約3〜9重量%の非晶質アルミナと、 を含む速硬性耐水性セメント材料。
  21. 【請求項21】 (a)普通ポルトランドセメント(OPC)と、 (b)可溶性硫酸カルシウム無水セッコウと、 (c)硫酸カルシウム半水和物と、 (d)非晶質シリカと、 (e)非晶質アルミナと、 を含み、可溶性硫酸カルシウム無水セッコウおよび硫酸カルシウム半水和物の総
    量とOPCの重量比が約0.6:1.0〜1.98:1.0であり、非晶質シリ
    カおよび非晶質アルミナの総量とOPCの比が約0.26:1.0〜0.4:1
    .0であり、非晶質アルミナと非晶質シリカの比が約0.3:1.0〜1.5:
    1.0である速硬性耐水性セメント材料。
  22. 【請求項22】 半水和物と可溶性無水セッコウの比が1:1〜19:1で
    ある請求項21に記載のセメント材料。
  23. 【請求項23】 (a)約28〜57重量%のOPCと、 (b)合計で約32〜60重量%の可溶性硫酸カルシウム無水セッコウおよび
    硫酸カルシウム半水和物と、 (c)約5〜12重量%の非晶質シリカと、 (d)約3〜9重量%の非晶質アルミナと、 を含む速硬性耐水性セメント材料。
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