JP2003508347A - 寿命を延ばすための組成物およびその方法 - Google Patents

寿命を延ばすための組成物およびその方法

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JP2003508347A
JP2003508347A JP2000611703A JP2000611703A JP2003508347A JP 2003508347 A JP2003508347 A JP 2003508347A JP 2000611703 A JP2000611703 A JP 2000611703A JP 2000611703 A JP2000611703 A JP 2000611703A JP 2003508347 A JP2003508347 A JP 2003508347A
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kinase
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lifespan
aging
protein turnover
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JP2000611703A
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アレクセイ・ジー・リャゾノフ
ケクタリオス・タバーナラキス
モニカ・ドリスコル
カレン・パバー
ブラッドリー・ネフスキー
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University of Medicine and Dentistry of New Jersey
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Abstract

(57)【要約】 EF−2キナーゼの特異的な抑制は、行動、発育および生殖に有害な影響を及ぼすことなく寿命を有意に延ばすという結果になる。さらに、該酵素の抑制は加齢速度を低下させ、性的に活動的な寿命の期間を2倍以上延ばすという結果になる。該酵素活性の抑制はタンパク質代謝回転の全体としての増大という結果となり、これは加齢速度の低下および寿命の延長と正の相関をなしていた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は、加齢の生理学の分野に関し、寿命を延ばす組成物および方法の開発
に関する。とりわけ本発明は、加齢プロセスを遅延し、寿命を延ばす手段として
タンパク質代謝回転に関与する酵素の操作に関する。
【0002】 (背景技術) 本明細書で種々の科学的および学問的な論文を括弧内に言及してある(番号に
より、または著者の名前および日付により)。これら論文は、本発明が関係する
技術分野の状態を記載するために本明細書に参照のため引用される。参照文献の
完全な引用は本明細書の最後に記載してある。
【0003】 障害を受けた細胞タンパク質の蓄積は、加齢を示す衰えの主たる誘因であると
提唱されている。タンパク質の合成速度および分解速度の両者の低下は欠陥の
あるかまたは修飾されたタンパク質の持続という結果となり、それゆえタンパク
質代謝回転の全体としての速度は加齢の速度に影響を及ぼし得る。それゆえ、タ
ンパク質代謝回転を制御する因子は加齢を制御するうえで重要である。
【0004】 (発明の開示) (発明が解決しようとする技術的課題) 最近発見されたプロテインキナーゼのクラス(αキナーゼ;1997年8月2
0日に出願の米国特許出願第08/914,999に開示、参照のため本明細書
に引用する)の基本型の成員は、延長因子2キナーゼ(EF−2キナーゼ)であ
る。延長因子2(EF−2)は翻訳に必須の因子である。EF−2キナーゼは偏
在するプロテインキナーゼであり、EF−2をリン酸化し不活化することができ
る。EF−2のリン酸化はタンパク質合成の制御に関与していることが提唱され
ている。しかしながら、EF−2キナーゼおよびEF−2のリン酸化の正確な生
理はこれまでにわかっていない。
【0005】 (その解決方法) 本発明により、EF−2キナーゼ活性の低下が細胞においてタンパク質代謝回
転の全体としての上昇を引き起こすことが今や初めて見出されたのであり、この
ことにより行動、発育および生殖に有害な影響を及ぼすことなく寿命を有意に延
ばすという結果になる。さらに、この酵素の抑制およびそれと同時のタンパク質
代謝回転の上昇は、標準的な線虫の動物モデル系で寿命のうちの性的に活動的な
期間を2倍以上長くする結果となる。同酵素はヒトも含めて全ての動物に存在す
るので、細胞におけるタンパク質代謝回転の上昇、とりわけ該酵素の抑制による
上昇がヒトおよび動物において加齢の開始を遅延し、寿命を延長させ、性的に活
動的な期間を長くするであろうことは今や明らかに予測できることである。本発
明によってなされた知見は、被験体において加齢速度を低下させ、それによって
寿命、とりわけ寿命のうちの性的に活動的な期間を長くするのに有用な様々な方
法、キットおよび医薬組成物を可能にする。
【0006】 本発明の一つの側面によれば、被検体の寿命を延長し、被験体の加齢速度を遅
延し、被検体の寿命のうちの性的に活動的な期間を延ばす方法を提供する。これ
ら方法は被験体においてタンパク質代謝回転を上昇させることを含み、タンパク
質代謝回転の上昇は被験体の寿命を延ばすという結果となる。好ましくは、被験
体におけるタンパク質の代謝回転は被検体においてEF−2キナーゼの活性を低
下させることによって達成される。一つの態様において、EF−2キナーゼ活性
の低下は被検体によって産生される機能性のEF−2キナーゼの量を減少させる
ことにより行う。詳細には、機能性のEF−2キナーゼの量の減少はEF−2キ
ナーゼをコードする遺伝子の発現を低減させることにより行う。別のやり方とし
て、機能性のEF−2キナーゼの量の減少は、EF−2キナーゼをコードする遺
伝子が機能不全であるかまたは非機能性のEF−2キナーゼをコードするように
該遺伝子を変化させることにより行う。
【0007】 本発明の他の側面によれば、タンパク質合成を負に制御する酵素が機能不全で
あるか、非機能性であるか、または不在である、遺伝子操作した非ヒト生物を提
供する。好ましくは、該生物はげっ歯類または線虫であり、該酵素はEF−2キ
ナーゼである。本発明の他の側面において、タンパク質合成を負に制御する酵素
を過剰発現する、遺伝子操作した非ヒト生物を提供する。この場合も好ましい酵
素はEF−2キナーゼであり、好ましい生物はげっ歯類または線虫である。
【0008】 本発明の他の側面によれば、被検体の寿命を延長しまたは加齢を遅延するため
の医薬組成物を提供する。該医薬組成物は、生物学的に適合性の媒体中に細胞タ
ンパク質の代謝回転を上昇させる薬物を含む。好ましくは、該医薬組成物はEF
−2活性または遺伝子発現のインヒビターを含む。
【0009】 以下に詳記するように、種々の診断および予後アッセイおよびキットもまた本
発明に従って提供される。本発明の他の特徴および利点については、以下の図面
、詳細な説明および実施例を参照すれば理解されるであろう。
【0010】 本発明の詳細な説明 I.定義付け: 本発明に関連する種々の用語は、以上およびこの明細書および特許請求の範囲
の全体を通じて用いられる。
【0011】 「コード配列」または「コード領域」は、配列が発現される際に、遺伝子産物
を産生するのに必要な配列情報を有する核酸分子を意味する。
【0012】 用語「操作可能に連結された」または「操作可能に挿入された」は、コード配
列を発現できるように、核酸分子中のコード配列に対する適当な部位に、コード
配列の発現に必要な調節配列があることを意味する。これと同一の定義が、発現
ベクターにおける他の転写制御因子(例えば、エンハンサー)の配置に用いられ
ることもある。
【0013】 転写および翻訳制御配列は、例えばプロモーター、エンハンサー、ポリアデニ
ル化シグナル、ターミネーターなど、宿主細胞においてコード配列の発現を規定
するDNA発現調節配列をいう。
【0014】 用語「プロモーター」、「プロモーター領域」または「プロモーター配列」は
、コード領域の5'若しくは3'側、またはコード領域内、あるいはイントロン内
に見出され得る遺伝子の転写調節領域を一般に意味する。典型的に、プロモータ
ーとは、細胞においてRNAポリメラーゼが結合し、下流(3'方向)コード配列
の転写を開始することができるDNA調節領域である。典型的な5'プロモータ
ー配列は、その3'末端に転写開始部位が結合し、バックグラウンド以上の検出
レベルにおける転写を開始するのに必要な最小数の塩基、または因子を含むため
に上流(5'方向)に伸張する。プロモーター配列内には、(好都合なことに、ヌク
レアーゼS1を用いたマッピングにより決定された)転写開始部位、およびRN
Aポリメラーゼの結合に必要なタンパク質結合ドメイン(共通配列)がある。
【0015】 「ベクター」は、他の核酸断片を複製、または発現させるために、その核酸断
片を操作可能に挿入し得る、例えばプラスミド、ファージ、コスミド若しくはウ
ィルスなどのレプリコンをいう。
【0016】 用語「核酸構築物」または「DNA構築物」は、適当な調節配列に対して操作
可能に連結され、細胞を形質転換するためのベクター中に挿入されたコード配列
若しくは配列群を表すのにときどき用いられる。この用語は、用語「形質転換D
NA」または「導入遺伝子」と交換可能に使用し得る。そのような核酸構築物に
は、興味ある遺伝子産物に関するコード配列に加えて、選択マーカー遺伝子およ
び/またはレポーター遺伝子を含み得る。
【0017】 用語「選択マーカー遺伝子」は、発現の際に、選択可能な表現型、例えば形質
転換した細胞において抗生物質耐性を与えるような産物をコードする遺伝子を意
味する。
【0018】 用語「レポーター遺伝子」は、直接または間接のいずれかの標準的な方法によ
って容易に検出される産物をコードする遺伝子をいう。
【0019】 核酸構築物の「異種(非相同)」領域とは、天然の巨大分子との関連では見られ
ない巨大分子中において同定可能な核酸分子の断片(または断片群)をいう。従っ
て、異種領域が哺乳類遺伝子をコード化する場合に、その遺伝子は、生体源のゲ
ノムにおいて、哺乳類ゲノムDNAと隣接しないDNAに通常隣接されることと
なる。その他の例としては、コード配列それ自体が自然状態では見られない構築
体(例えば、ゲノムコード配列がイントロン、または天然遺伝子に比べて異なる
コドンを持つ合成配列を含むcDNA)がコード配列である。対立変異(Allelic
variations)または天然に存在する突然変異イベントでは、ここに定義するDN
Aの異種領域を生じない。
【0020】 細胞内部に外来または異種DNAを導入する場合に、細胞は、そのような遺伝
子によって「形質転換」または「トランスフェクション」される。形質転換DN
A(導入遺伝子)は、細胞のゲノム中に組み込まれ(共有結合的に連結され)る場合
もあり、組み込まれない場合もある。原核生物、酵母および哺乳類細胞において
、例えば形質転換DNAは、プラスミドのようなエピソーム因子上において維持
され得る。真核細胞に関しては、安定な形質転換細胞は、形質転換DNAが染色
体中に組み込まれ、染色体の複製を通じて娘細胞に遺伝されるものである。この
安定性は真核細胞が形質転換DNAを含む娘細胞の個体群から成る細胞株または
クローンを作り出す能力で実証される。「クローン」は、有糸***によって単一
細胞、または共通の祖先から派生した細胞の個体群(集団)をいう。「細胞株(セ
ルライン)」は、インビトロにおいて多くの世代に対して、安定に増殖する能力
を持つ最初の細胞のクローンをいう。生殖細胞を安定に形質転換した場合には、
その形質転換は、その生殖細胞から生じるある世代の動物から次の世代へと受け
継がれ得るものである。この例において、導入遺伝子は遺伝性があるとされる。
【0021】 用語「被検体(被験体)」または「患者」は細胞、組織若しくは生体を意味する
。生体には、ヒトおよび動物を含むいずれかの生体があり得る。
【0022】 用語「タンパク質代謝回転」は技術常識であり、生きている細胞、組織および
生体において起こる調整されたタンパク質の合成および分解を意味する。
【0023】 II.説明 Caenorhabditis elegansモデル系をもちいることで、本発明者はeEF−2キ
ナーゼ活性の喪失がタンパク質合成速度および分解速度を増加させ、寿命を伸ば
すことを決定した。逆にいえば、eEF−2キナーゼの過剰な発現が、遺伝子導
入線虫の寿命を縮める。機能性のeEF−2キナーゼを欠く変異体は、形態上、
協調性、生殖能力においてほとんど正常であるが、発生が遅く、種々の律動的挙
動の割合が変わり、既述のclk寿命延長変異体を暗示する3、4。タンパク質合
成速度もまた、長期生存age-1(hx546)およびclk-1(qm30)変異体に見られるよう
に増加し、このことは別個のものと考えられるage/dafおよびclk機構の両者がタ
ンパク質合成速度に影響することによって部分的に共同して作用し得ることを示
唆する。この可能性は、efk-1および、age-1(hx546)またはclk-1(qm30)の二重突
然変異の突然変異体がいずれの単一突然変異体よりも長くは生存できないことと
一致する。飢餓線虫においては、eEF−2キナーゼ活性もまた低下することに
も注目される。これは、eEF−2キナーゼ活性の低下を介するタンパク質合成
の上方調節が、カロリー制限による寿命の延長に寄与することを示す。
【0024】 本発明に関して得られたこの実験結果は、タンパク質代謝回転の上昇が加齢を
遅延し、寿命を延長し得るという始めての直接的な証拠であると考えられる。ど
のような特定の作用機構によって制限されることを意図するものではないが、こ
の証拠に基づき、タンパク質代謝回転(およびそれに作用する酵素)と寿命との
相互関係に関するモデルは以下のものである:eEF−2キナーゼはeEF−2
をリン酸化し、タンパク質代謝回転を下方調節する。タンパク質代謝回転の低下
は、損傷を受けたタンパク質の蓄積を加速させ、寿命を短くする。したがって、
カロリー制限の間のeEF−2キナーゼの下方調節は、観察される寿命の延長に
直接寄与する。同様に、C.elegansのage-1およびclk-1変異体の両方において観
察されるタンパク質合成の増加は、変異体の寿命の延長に直接寄与し得る。
【0025】 注目すべきことは、eEF−2キナーゼが線形動物からヒトで保存され、線
形動物(実施例1)およびマウス(実施例2)において生存に不可欠なものでは
なく、eEF−2に関して高度に特異的であることである6,7。これらの性質
はeEF−2キナーゼを、心身に有害な、いくつかの老化衰退の結果を回避する
ための治療薬の設計に関する有用な標的とする。改良されたタンパク質の維持は
加齢進行と有意に闘うことが予想される。
【0026】 本発明は、一般に、加齢の遅延、およびさらに種々の年齢に関連する疾患、例
えばアルツハイマー疾患およびパーキンソン疾患の開始を延期するために用いる
ことができる。したがって、被検体の寿命を延長させ、被検体の加齢速度を遅延
させ、被検体の寿命のうちの性的に活性な期間を延ばす方法が提供される。これ
らの方法は被検体におけるタンパク質代謝回転を上昇させることを含み、タンパ
ク質代謝回転の上昇は被検体の寿命を延ばす。調査目的では、「被検体(対象)
」とは、細胞、組織、微生物または動物であり得る。臨床診断および治療目的で
は、「被検体」とはヒトまたは動物であり得る。
【0027】 好ましくは、被検体におけるEF−2キナーゼの活性を低下させることにより
被検体におけるタンパク質代謝回転を上昇させる。これは本発明によって記載さ
れる証拠に基づくものである。EF−2キナーゼ活性は種々の方法で低下させる
ことができる。例えば、EF−2キナーゼの酵素活性は、この酵素を阻害剤に曝
露することによって低下させることができる。別法では、被検体が産生する機能
的なEF−2キナーゼの量を減少させる方法を用いてもよい。具体的には、EF
−2キナーゼをコードする遺伝子の発現を低減することによって機能的なEF−
2キナーゼの量を減少させることができる。別法では、EF−2キナーゼをコー
ドする遺伝子を機能不全であるかまたは非機能性のEF−2キナーゼをコードす
るように変化させることによって機能的なEF−2キナーゼの量を減少させるこ
とができる。EF−2キナーゼ遺伝子発現の遺伝的操作を用いて、本来的に延命
され、延命された子孫を生じさせることができる遺伝的に操作された生物への、
非ヒト生物の生殖系列の形質転換において有利にすることができる。哺乳類を含
む非ヒト生物を遺伝的に操作する方法は当分野に周知である。
【0028】 本発明はまた、種々の目的に関して有用であることが予想される、EF−2キ
ナーゼを過剰発現するか、あるいは低減発現するトランスジェニック(または別
の方法で遺伝的に操作された)動物を提供する。これは以下により詳細に説明さ
れている。実施例2に記載のEF−2キナーゼノックアウトマウスによって例証
されるように、これらの動物は寿命が変化していることが予想される(低減発現
またはノックアウト動物では延長され、過剰発現動物では減少する)。
【0029】 本明細書中で用いる用語「動物」とは、ヒトを除くすべての脊椎動物を含む。
また、これは胚および胎児期を含む、すべての発生段階の個体を含む。本発明に
おいて用いるのに好ましい動物の例には、げっ歯類、最も好ましくはマウスおよ
びラット、ならびにネコ、イヌ、イルカおよび霊長類が含まれるが、これらに限
定されない。
【0030】 「トランスジェニック動物」とは、細胞下レベルでの計画的遺伝操作、例えば
標的化された組換えまたはマイクロインジェクションまたは組換えウイルスの感
染によって直接的にあるいは間接的に、変更されたか、あるいは受け入れられた
遺伝情報を保持する1個またはそれ以上の細胞を含む任意の動物である。用語「
トランスジェニック動物」とは、古典的交配またはインビトロ受精を含むことを
意味せず、1個またはそれ以上の細胞が組換えDNA分子、すなわち「導入遺伝
子」によって変更されているか、あるいはそれを受け入れている動物を含むこと
を意味する。本明細書中で用いる用語「導入遺伝子」とは、哺乳類の体細胞およ
び生殖細胞の両者あるいはいくつかの体細胞のみに導入された任意の外来性遺伝
子配列を意味する。この分子は、規定の遺伝的位置に特異的に標的化されている
か、あるいはランダムに染色体内に組み込まれるか、あるいは染色体外複製DN
Aとなり得る。用語「生殖系列のトランスジェニック動物」とは、導入遺伝子が
生殖系列細胞に導入され、それにより、導入遺伝子を子孫に伝達する能力を有す
るトランスジェニック動物を表す。このような子孫が実際に導入遺伝子を有する
場合には、これらもまたトランスジェニック動物である。
【0031】 本発明の導入遺伝子は、これらに制限されないが、EF−2キナーゼ遺伝子の
完全コーディング領域、またはその相補的DNA(cDNA)、またはEF−2
コーディング領域の部分またはすべてを含むキメラ遺伝子を含む。導入遺伝子中
で用いられるコーディング配列は、作成されるトランスジェニック動物と同種の
起源であるのが好ましいが、不可欠ではない。ノックアウト動物に関しては、コ
ーディング配列または調節配列を操作し、コードされる酵素を機能不全にしたり
、または非機能性とする。
【0032】 トランスジェニック、非ヒト哺乳類を得る方法は当分野に既知である。一般的
な議論に関しては、例えば Joyner, "Gene Targeting," IRL Press, Oxford, 19
93; Hogan et al. (Eds.), "Manipulating the Mouse Embryo - A Laboratory M
anual," Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1
994; および Wasserman & Depamphilis, "A Guide to Techniques in Mouse Dev
elopment," Academic Press, San Diego CA, 1993 を参照。外来性DNAを生殖
系列に導入する一方法は遺伝子構築物を初期胚(例えば4細胞期前)の生殖核に
マイクロインジェクションすることによるものである(Wagner et al., Proc. N
atl. Acad. Sci. USA 78, 5016, 1981; Brinster et al., Proc. Natl. Acad. S
ci. USA 82, 4438, 1985)。この方法によってNR2Bトランスジェニックマウ
スを作成する詳細な手法は Tsien et al., Cell 87, 1317-26, 1996 に記載され
ている。
【0033】 生殖系列のトランスジェニック哺乳類を作成する別の方法では、胚幹細胞を用
いる。ゲノムの転写活性領域における相同組換え(Thomas et al., Cell 51, 50
3, 1987; Capecchi, Science 244, 1288, 1989; Joyner, et al., Nature 338,
153, 1989)によって、DNA構築物を胚幹細胞に導入することができる。適当
な構築物をまた、DNAが媒介するトランスフェクション、例えばエレクトロポ
レーションによって胚幹細胞に導入することができる(Ausubel, et al., Curre
nt Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, 1999)。胚幹細胞の
培養および胚幹細胞からのトランスジェニック哺乳類の作成方法に関する詳細な
手法は Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells, A practical Approach,
ed. E. J. Robertson (IRL Press, 1987) に見出すことができる。
【0034】 生殖系列トランスジェニック動物を作成する他の方法は現在開発中である。例
えば、外来性DNAのレシピエントである卵のかわりに、現在、***が遺伝的に
操作されている。
【0035】 前記の生殖系列の形質転換方法のいずれかにおいて、構築物は、線状構築物、
環状プラスミド、またはウイルスベクターとして導入することができ、これは宿
主ゲノムへ組み込まれた導入遺伝子として包含され、遺伝し得る。導入遺伝子は
また、染色体外プラスミドとして受け継がれることを可能にするように構築され
てもよい。用語「プラスミド」は一般に、宿主細胞内で自己複製可能なDNA分
子を意味する。
【0036】 トランスジェニック動物はまた、インビボ、エクスビボ、またはインビトロに
おいて、EF−2キナーゼ遺伝子を含む組換えウイルスベクターでニューロンを
感染させることによって得ることができる。適当なウイルスベクターには、いく
つか挙げるならば、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクターおよび単
純ヘルペスウイルスベクターが含まれる。このようなベクターの選択および使用
は当分野に周知である。
【0037】 本発明の別の態様では、被検体の寿命を延長させるか、あるいは加齢速度を遅
延させるための医薬製剤が提供される。この製剤は、生物学的に適合性の媒体中
における細胞内のタンパク質代謝回転を上昇させる薬物を含む。好ましくは、こ
の製剤はEF−2活性または遺伝子発現の阻害剤を含む。医薬製剤は、特に経口
、鼻腔内、眼内、静脈内、筋肉内および腹腔内を含む、当分野に既知の種々の適
当な経路で投与される。投与様式は活性物質およびそれが含まれる医薬製剤の性
質に依存するであろう。
【0038】 医薬製剤は、適当な媒体、例えば水、緩衝化サリン、エタノール、ポリオール
(例えばグリセロール、プロピレングリコール、液状ポリエチレングリコールな
ど)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、油状物、界面活性剤、懸濁化剤また
はそれらの適当な混合物とともに投与するのに都合よく製剤化される。選択され
た媒体中の特定組成物の濃度は、デリバリービヒクルおよびその中に配分された
活性物質の具体的性質とともに、媒体の疎水性または親水性に依存するであろう
。溶解度の限度は当業者であれば容易に測定することができる。
【0039】 本明細書中で用いられる「生物学的に許容される媒体」には、上の段落に例示
したような医薬調製物投与の所望の経路に適当であり得る任意かつすべての溶媒
、分散媒体などが含まれる。医薬的に活性な物質に対するこのような媒体の使用
は当分野に既知である。任意の慣用的媒体または物質が投与される組成物と不適
合性である場合を除き、医薬調製物におけるその使用を考慮する。
【0040】 医薬調製物は、容易な投与および一様な投与のため、単位投与剤型で製剤化す
る。本明細書中で用いる単位投与剤型とは、処置を受けている患者に適当な、物
理的に区分された単位の医薬調製物を意味する。各投与量は、選択された医薬的
担体と組み合わせて、所望の保護効果を生じさせるように計算された量の活性成
分を含むべきである。適当な単位投与量を測定する手法は当業者に周知である。
単位投与量は、患者の体重に比例して増加あるいは減少させることができる。
【0041】 本発明ではまた、種々のスクリーニングアッセイおよび診断/予後アッセイお
よびキットが提供される。例えば、(a)コントロールサンプルおよび試験サン
プルである細胞を提供すること;(b)該試験サンプルを試験化合物に曝露する
こと;(c)該コントロールサンプルおよび試験サンプルの細胞におけるタンパ
ク質代謝回転速度を測定し、該コントロールサンプルと比較した該試験サンプル
におけるタンパク質代謝回転率速度の上昇が、該試験化合物が被検体の寿命を延
長させるかまたは加齢を遅延させる指標であることを含む、試験化合物が被検体
の寿命を延長させるか、または加齢を遅延させるかどうかを測定する方法を提供
する。
【0042】 別の具体例では、(a)コントロールサンプルおよび試験サンプルである活性E
F−2キナーゼを提供すること;(b)該試験サンプルを試験化合物に曝露するこ
と;並びに(c)該コントロールサンプルおよび該試験サンプルにおけるEF−2
キナーゼ活性を測定し、該コントロールサンプルと比較した該試験サンプルにお
けるEF−2キナーゼ活性の低下が、試験化合物が被験体のEF−2キナーゼ活
性を低下させることにより被検体の寿命を延長させるかまたは加齢を遅延させる
指標であることを含む、試験化合物がEF−2キナーゼ活性を低下させることに
より、被検体の寿命を延長させるかまたは加齢を遅延させるかどうかを測定する
ための無細胞法を提供する。
【0043】 別の具体例として、試験化合物が該被験体のEF−2キナーゼ活性を低下させ
ることによって、寿命を延長させるかまたは加齢を遅延させるかどうかを測定す
るための細胞に基づく方法を提供する。該方法は、a)コントロールサンプルお
よび試験サンプルである、活性なEF−2キナーゼを含む細胞を提供すること;
b)該試験サンプルを試験化合物に曝露すること;ならびにc)該コントロール
サンプルおよび該試験サンプルにおけるEF−2キナーゼ活性を測定し、該コン
トロールサンプルと比較した該試験サンプルにおけるEF−2キナーゼ活性の低
下が、試験化合物が該被験体のEF−2キナーゼ活性を低下させることにより該
被験体の寿命を延長させるかまたは加齢を遅延させる指標であることを含む。
【0044】 さらに別の具体例として、試験化合物が被験体におけるEF−2キナーゼをコ
ードする遺伝子の発現を低減させることにより寿命を延長させるかまたは加齢を
遅延させるかどうかを測定する方法を提供する。該方法は、(a)EF−2キナー
ゼをコードする遺伝子由来の発現調節エレメントの1つ以上に、操作可能に連結
されたレポーターコード配列を有するDNA構築物を含む発現系であって、さら
にレポーター遺伝子産物を産生するためのレポーターコード配列の発現を可能に
する構成要素を含んでいる発現系を提供すること;(b)コントロールサンプルお
よび試験サンプルである発現系を提供すること;(c)該試験サンプルを試験化合
物に曝露すること;並びに、(d)該コントロールサンプルおよび該試験サンプル
におけるレポーター遺伝子産物の量を測定することを含む。該コントロールサン
プルと比較して該試験サンプルにおけるレポーター遺伝子産物の量の減少は、試
験化合物が該被験体のEF−2キナーゼ活性を低下させることによって被験体の
寿命を延長するかまたは加齢を遅延させることを示す。
【0045】 本発明の他の態様では、被験体の寿命を測定する予後方法を提供する。該方法
は、(a)動物モデル系において、タンパク質の代謝回転と動物の寿命との間の正
(ポジティブ)の相関関係を示す検量線を確立すること;(b)該被験体におけるタ
ンパク質代謝回転を測定すること;(c)該被検体におけるタンパク質代謝回転と
該検量線に示されている該動物モデルにおけるタンパク質代謝回転とを比較する
こと;並びに、(d)該被験体の寿命の予後決定を行うことを含む。
【0046】 被検体の寿命を決定する別の予後方法は、(a)動物モデル系において、EF−
2キナーゼ活性と動物の寿命との間の負(ネガティブ)の相関関係を示す検量線を
確立すること;(b)被験体におけるEF−2キナーゼ活性を測定すること;(c)
該被験体におけるEF−2キナーゼ活性と該検量線で示されている該動物モデル
におけるEF−2キナーゼ活性とを比較すること;並びに、(d)該被験体の寿命
の予後決定を行うことを含む。
【0047】 上記の各方法を実行するためのキットを提供する。これらのキットは、1種以
上の方法を実行するための生物学的分子、細胞、システムおよび/または試薬、
ならびに該方法を実行するためのキット使用説明書を含む。このようなキットの
組み立ておよび使用は、当業者には公知である。
【0048】 以下の実施例によって本発明をさらに詳しく説明する。これらは説明のみを企
図するものであり、本発明を限定するものではない。
【0049】 実施例1延長因子2キナーゼは、調節タンパク質の代謝回転によって線虫(Caenorhabditi s elegans)の寿命に影響を及ぼす eEF−2ホスホリル化のインビボ機能を調査するために、eEF−2キナー
ゼをコードするC.elegansのefk-1遺伝子の分子遺伝学的分析を行った。
【0050】材料および方法 系統および遺伝子操作: 記載する通り25、系統C.elegansを20℃で成長させ、維持する。この実験
に用いた系統は、野生型N2,daf-16(mgDf50),age-1(hx546),clk-1(qm30),efk-1
(ev640),clk-2(qm37),daf-16(mgDf50);efk-1(ev640),age-1(hx546);efk-1(ev640
),clk-1(qm30),efk-1(ev640)、N2Ex[pCefk-1pRF4(rol-6(su1006))]、N
2Ex[pefk-1EFK−1::GFPpRF4]、N2Ex[F42A10pRF
4](サイモン・フラスター大学のDavid Baillieより提供頂いたBC4909(sE
x134))およびefk-1(ev640)Ex[pCefkpRF4]であった。efk-1(ev640)は、
トロント大学のJoseph CulottiおよびLijia Zhangによって作成されたefk-1のTc
1挿入対立遺伝子である。記載する通り26、生殖細胞系形質転換を行った。プ
ラスミドDNA 50μg/mlおよび共形質転換マーカーであるpRF4DN
A 50μg/mlをすべての被検トランスジェニック系に共注入した。コスミ
ドを10μg/mlの濃度で注入した。
【0051】 分子操作: PCR増幅産物の自動配列分析によって、efk-1遺伝子座内のTc1挿入サイト
を決定した。efk-1特異的入れ子プライマーを、Tc1特異的プライマー(Ll-2お
よびRl−227)を組み合わせて用いた。使用したefk-1プライマーは: CEFK1:5'GCTTCCAACTCATCGAGCACC3'(配列番号:2)
CEFK2:5'TAGTCCAACTAACTCACCAGG3'(配列番号:3)
CEFK3:5'AATCTCGTGACGAGTCAGTGG3'(配列番号:4)
CEFK4:5'CATTGAGGATTGAAGAAAGGG3'(配列番号:5)
であった。コスミドF42A10は、efk-1遺伝子を含むものであり、サンガー
・センター・クローン・コレクションから入手し、C.elegansゲノム・シーケン
シング・コンソーシアムで維持した。プラスミド構築は、標準的分子生物学の方
法を用いて行った。遺伝子(pCefk-1)のレスキューゲノムクローンは、efk-1遺
伝子を含むコスミドF42A10からの9.5KbのHindIIIフラグメン
ト(コスミド上の9920位〜19376位)をpUC19ベクター内へサブク
ローニングすることによって構築した。このフラグメントは、F42A10上の
10885位〜14126位に及ぶEFK−1をコードする領域、efk-1プロモ
ーターを含む5Kbの上流配列および転写終結シグナルを含む約1Kbの下流配
列を含む。efk-1転写物は、SL2へスプライスされるので、上流遺伝子がこの
プラスミド上に場所を提供されることが可能であり、たとえタンパク質予測プロ
グラムが候補コーディング領域の同定を失敗しても、すべてのフレームに幾つも
の停止コドンがあり、該領域に対するESTは同定されなかった。dsRNAi
は、表現型模写体に反してefk-1(ev640)の機能喪失表現型を方向付けた28。E
FK−1のカルボキシ末端に位置するpCefk-1クローンからの1Kbのフラグメ
ントを除去し、GFPベクターサブクローンから誘導されたGFPコーディング
領域を含む0.7Kbのフラグメントと置き換えることによって、GFPレポー
ター融合(pefk-1EFK−1::GFP)を作成した。この置換によって、eE
F−2キナーゼの最後の86個のアミノ酸を除去するGFPのフレーム内翻訳融
合が作成された。
【0052】 インシトゥハイブリダイゼーション: コスミドF42A10を含むC.elegansトランスジェニック系統BC490
9(sEx134)に対し、全胚インシトゥハイブリダイゼーションを用いて、早期発
達中のeEF−2キナーゼmRNA発現のパターンを分析した。ハイブリダイゼ
ーションシグナルを得るためにefk-1の遺伝子投与量を増やすことが必要であっ
た。SeydouxおよびFireの方法29にしたがって、efk-1プローブを用いるハイブ
リダイゼーションを行った。プラスミドpCefk−1を用い、ジゴキシゲニン
11−UTP(ベーリンガー・マンハイム)で標識したefk-1アンチセンスプロ
ーブを調製した。ハイブリダイゼーション後、基質としてNBT/X−ホスフェ
ートを用い、アルカリホスファターゼに複合した抗ジゴキシゲニン抗体を用いて
プローブを視覚化した。
【0053】寿命の分析 寿命の分析は、上で記載3、9〜17の通り20℃で行なった。菌株を、寿命
を決定する前に少なくとも2世代、20℃で増殖させた。寿命の分析は、各々の
菌株を調べる目的で、少なくとも3つの独立したトライアルについて行なった。
各アッセイは100匹の動物を用いて始め、寿命分析において、産卵をt=0と
した。動かなかったり、ポンプしなかったり、またはつついても反応しない場合
には、動物は死んだものとしてスコアした。プレートの外へはって出たり、それ
らの生殖腺が産卵口から体外に突出した「破壊された」表現型であったり、また
はふ化する卵を体内に蓄積するといった産卵に欠陥のある動物は、スコアから除
いた。我々は、統計学的分析を行なうために、エクセル2000(マイクロソフ
ト)ソフトウェアを用いた30
【0054】eEF−2キナーゼアッセイ 野生型および多数の変異体C.elegans抽出物におけるeEF−2キナーゼ活性
の分析を以下の通り行った。十分にえさを与えた線虫をM9培地を有するプレー
トから洗い出し(wash)、培地の最終的の容量を50mLに調節し、そのチュー
ブを−80℃で保存した。抽出物を調製するために、50mLの緩衝液(これは
、100mMのヘペス−KOH(pH 7.4)、300mMのNaCl、7m
Mのb−ME、2−錠剤/10mMの完全プロテアーゼインヒビターカクテル(
ベーリンガーマンハイム製)を含有する)を、線虫を含有するM9培地(50μ
L)に加えた。虫を、出力レベルが3であって循環効率が20%である、Bra
nson Sonifier装置を用いて8回音波処理を行なった。デブリを3
0秒間、4℃で遠心分離(16,000×g)を行なうことによってペレットし
た。次いで、等プロテイン濃度を含むようにその抽出物を調節し、eEF−2キ
ナーゼアッセイに用いた。その反応混合物は、緩衝液中に抽出物(5μL)およ
び精製したラビットの網状赤血球eEF−2(0.5μg)を含み、該緩衝液は
50mMのヘペス−KOH(pH 0.6)、10mMの酢酸マグネシウム、5
mMのDTT、100μMのCaCl、0.5μgのカルモジュリン、60μ
MのATPおよび2μCiの[g−33P]−ATP(Easytides,NEN;比
活性は2000Ci/mmolに等しい)を含み、反応容量を総計40μLとす
る。反応は30℃で5分間行ない、氷−水浴中でインキュベートすることによっ
て停止させた。5×Laemmli試料緩衝液を加え、反応混合物を5分間加熱
した。試料を7.5% SDS−PAGEおよびオートラジオグラフィーによっ
て分析した。ゲルをフィルム(Kodak Bio−Max MR−1)に3日
間曝露させた。
【0055】タンパク質合成および分解分析 タンパク質合成アッセイにおいて、線虫を、先ず20℃でE.Coli(菌株OP−
50)をシードしたNGMプレート上で増殖させた25。次いで、線虫をアミノ
酸、H−ロイシンを用いて補足したNP−培地中、20℃で標識化し、OP−
50細菌を加熱殺菌した。遠心分離することによって、指定した時に動物を収集
し、100mg/mLのシクロヘキサミドを含有するM−9緩衝液中で3回洗浄
し、25mMのトリス−HCl、150mMのNaCl、1%SDS(pHは、
7.4)中、100℃で10分間溶解させた。ミクロ遠心分離機中、4℃で5分
間、遠心分離(14,000rpm)することによって、不溶なデブリを除いた
。取り込まれていないH−ロイシンをスピン透析によって除き、続いてTCA
沈降を行なった。そのTCAにより沈降したプロテインを、20mMのNaOH
に再溶解した。タンパク質濃度を、Bio Radクーマシーブルー色素結合ア
ッセイによって決定した。タンパク質(マイクログラム)当り、取りこまれた H−ロイシンの量を、液体シンチレーションカウント法によって決定した。タン
パク質の分解アッセイについては、線虫を増殖し、上で記載の通り、H−ロイ
シンを用いて5時間標識化した。次いで、虫をM9で3回洗浄し、アミノ酸で補
足したNP培地中で再び懸濁し、OP−50細菌を加熱殺菌し、20℃でインキ
ュベートした。指定した時に虫を収集し、タンパク質(マイクログラム)当りの
取りこまれたH−ロイシンの量を上で記載の通り決定した。
【0056】結果および説明 イン シトゥーハイブリダイゼーションは、早期発達中の間に、efk-1が体壁(
body wall)筋肉の前駆体で発現することを示す。成体においては、Pefk-1EFK-1
::GFPトランスジーンから発現した融合タンパク質は細胞質であって、該線虫
の全てにおいて一様に発現すると考えられる。そのEFK-1::GFPレポータータン
パク質を、寿命に遅れて(少なくとも約25日)検出することができる。
【0057】 我々は、C.elegans eEF−2キアーゼ遺伝子(ev640対立遺伝子)(これは
触媒的ドメインをコードするエキソンを破壊しており、全ての検出可能なeEF
−2キナーゼ活性を除いている)のTc−1トランスポゾン挿入片を単離した(
図1A、B)。翻訳の負の調節因子の欠如から予想される通り、プロテイン合成
の全体の速度は、efk-1突然変異体において上昇する(図1C)。我々は、efk-1
突然変異体におけるタンパク質分解の速度の上昇は、合成と分解との密な連関と
一致することも見出した(図1D)。efk-1突然変異体における総タンパク質代
謝回転速度の上昇は、通常の形態、協調性または生殖能力に影響を及ぼさなかっ
た。しかしながら、eEF−2キナーゼ活性の低下は、発生並びに、歩行運動、
咽頭のポンピング、遊泳および排便のわずかに改変した速度(図2A)、先に記
載したclk突然変異体3、4に特有の表現型を中位に示した。しかしながら、clk
突然変異体と違って、efk-1(ev640)突然変異体は母性的にレスキューされない。
efk-1遺伝子を含む(harboring)染色体外アレイは、増殖の速度およびトランス
ジェニックなローラバックグラウンド中でアッセイすることができる全ての行動
上の表現型をレスキューするものであり、このことはこれらの表現型がefk-1(ev
640)突然変異体によって与えられることを証明する。
【0058】 寿命の延長は、clk突然変異体3,4に特有の別の表現型であり、従って、我
々はずっとefk-1の生存度についてアッセイした。efk-1突然変異体は、長期間生
存する表現型を示すものであり、ここで3つの独立したトライアルを平均すると
、平均寿命は野生型よりも約39%より長い。興味深いことに、efk-1遺伝子の
量を増加させた染色体外アレイを含む野生型の線虫は、短期の寿命を示す(図2
B)。
【0059】 C.elegans遺伝子の2群、clk遺伝子(これは、律動的な行動3、4に影響を及
ぼす)およびage/daf遺伝子(これは、持続形成プログラム(dauer formation
program)9〜15に影響を及ぼす)は、異なる機構で寿命に影響を及ぼすも
のと考えられる。我々は、両方のクラスの代表的な突然変異体、clk-1(qm-30)お
よびage-1(HX546)中でのそれぞれのタンパク質合成の速度を測定した。我々は、
タンパク質合成の速度が両方の突然変異体において上昇することを見出した(図
3A)。age-1(HX-546)は、寿命の延長が最大であること、および調べた突然変
異体のうちタンパク質合成の速度が最大であることの両方を有することを示した
(図3A)。age-1(HX546)およびclk-1(qm-30)中で観察されるタンパク質合成
の増大は、タンパク質代謝回転速度の上昇が両クラスの突然変異体における寿命
の延長の通常の機構であることを示唆している。このことは、age-1;efk-1およ
びclk-1;efk-1の2重突然変異体の寿命の分析によって更に支持される。efk-1は
、age-1およびclk-1のいずれの寿命をも延長せず、このことより、age-1およびc
lk-1の両方の寿命延長の機構に遺伝的に関与している(図3B)。しかしながら
、age-1 clk-1二重突然変異体は、いずれかの単一の突然変異体よりも有意に長
く生存する。従って、age-1およびclk-1突然変異体の両方において観察される寿
命の延長は、単にタンパク質回転代謝によるものではあり得ない。我々は、age-
1およびできればclk-1突然変異体18によって与えられる寿命の延長に必要なフ
ォークヘッド(forkhead)ファミリー転写因子16、17をコードしたdaf-16が
efk-1によって与えられる寿命の延長を防止することをも見出した(図3C)。
【0060】 カロリー制限、すなわち栄養欠乏状態をともわないカロリー摂取の減少は、多
数の生体の寿命を増加させることが示されている19、20。げっし類の場合に
は、それら食事制限は、タンパク質代謝回転の速度を上昇させることも観察され
ている20、21。その正確な機構は明白ではないが、タンパク質代謝回転の上
昇が、食事制限による寿命の延長の主要な機構であると示唆されている20。上
記の実験において、24時間食物なしで飼育したC.elegansにおいて、eEF−
2キナーゼ活性が有意に低下し(図3D)、このことは食事制限の間にタンパク
質代謝回転の上昇が、eEF−2キナーゼによる下方調節によって介され得るこ
とを示唆していることは注目される。同様の機構が哺乳動物においても機能し得
る。実際に、カロリー制限された月齢22カ月のラット由来の肝臓抽出物中にお
けるeEF−2のレベルが年齢が同じ無制限に食物を与えたラットよりも低いこ
とが分かった22
【0061】 実施例2eEFK−2ノックアウトマウスの産生 eEF−2キナーゼノックアウトマウスを産生するために、標準的な方法を用
いた(Mansour,S.L.らによる(1988)Nature 336:348-352;Lee,E.Y.らによる
(1992)Nature 359:288-294;Jacks,T.らによる(1992)Nature 359:295-3
00)。要するに、マウスeEF−2キナーゼ触媒的ドメインの部分をネオマイシ
ン選択マーカーによって置き換えた標的マーカーを製造した。この標的ベクター
を肺幹細胞中にトランスフェクトし、1つのeEF−2キナーゼ対立遺伝子が破
壊されたセルラインを同定した。これらの細胞を肺盤胞中に注入し、その肺盤胞
を偽妊娠のマウスの卵管にインプラントした。ヘテロ接合性のキメラをサザン分
析によって確認した。そのホモ接合性のノックアウトはそのキメラを育種するこ
とによって産生した。従って、これまでに我々はいくつかの雄性および雌性のホ
モ接合性のノックアウトマウスを手に入れた。2つのホモ接合性の親からの子孫
を手に入れた。
【0062】 予備分析は、eEF−2キナーゼノックアウトマウスまたはそれらの子孫につ
いてはいかなる異常も示さなかった。それらは、野生型のマウスと区別すること
ができる正常な形態を有している。ホモ接合性のeEF−2キナーゼノックアウ
ト雄性を、ホモ接合性ノキナーゼキナーゼノックアウト雌性とかけ合わせた場合
には、正常なサイズの同腹の10子を得た。これらの観察から、我々は、線虫の
場合と同様に、eEF−2キナーゼはマウスにおける生存、発育または生殖に必
須ではないと結論付ける。
【0063】 参考文献
【数1】
【数2】
【数3】
【0064】 本発明は、上に記載し、例示した実施態様に限定されるわけではなく、添付の
特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく変更および修飾が行われ得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 A.Tc1挿入は対立遺伝子ev649においてC. elegansのe
EF−2キナーゼ触媒ドメインを中断する。無地の灰色の方形はeEF−2エク
ソンを示し、各エクソンのヌクレオチドでの長さを上に括弧に入れてある。イン
トロンの位置は実線で示してあり、ヌクレオチドの長さを括弧に入れてある。エ
クソンIVは転写物の50%に含まれる。両mRNAはトランススプライスされ
て3つのSL2変異体となり、そのうちの一つ(5'GGTTTAAAACCC
AGTTACCAAG3')(配列番号1)は以前に記載されていないものであ
る。eEF−2キナーゼの触媒ドメインは強調してあり、Tc1挿入部位を示し
てある。 B.efk−1エクソンIIへのTc1トランスポゾンの挿入はeEF−2キナ
ーゼ活性を中断する。1.対立遺伝子efk−1(ev640)は開始コドンか
ら304bpにTc1挿入を有する。efk−1特異的プライマーおよびTc1
特異的プライマーを用いたPCR増幅は、野生型(レーン1)には存在しないe
fk−1変異体において515bp断片を生成する(レーン2)。配列分析はト
ランスポゾンの挿入部位を触媒ドメイン内のEFK−1コドン101の後に位置
付けている。2.efk−1(ev640)はeEF−2キナーゼ活性が欠失し
ている。野生型N2(レーン1)、efk−1(ev640)(レーン2)、e
fk−1遺伝子の染色体外マルチコピーアレイを有するefk−1(ev640
)(レーン3)およびefk−1遺伝子の染色体外マルチコピーアレイを有する
野生型N2(レーン4)を、32P−ATPの存在下、eEF−2タンパク質と
ともにインキュベートした。 C.タンパク質合成速度はefk−1(ev640)で上昇する。タンパク質
合成の測定は、TCA−沈降タンパク質へのH−ロイシンの導入を測定するこ
とにより行った(方法を参照)。タンパク質合成速度は測定線の勾配により計算
する。N2と比較して標準化した速度は、N2が1、efk−1(ev640)
が1.64である。 D.タンパク質分解速度はefk−1(ev640)で増大する。野生型タン
パク質およびefk−1(ev640)タンパク質をH−ロイシンで5時間標
識し、ついで非放射性アミノ酸で追跡した。TCA沈降タンパク質のカウントを
所定時間に測定した。
【図2】 A.efk−1(ev640)変異体は、一般に遅くなった成長
および幾つかの律動的な挙動に対して変化したタイミングを示す。efk−1(
ev640)Ex[pCefk−1]は、efk−1遺伝子の染色体外マルチコ
ピーアレイを有するefk−1(ev640)のトランスジェニック株である。
挙動を少なくとも50匹の動物でアッセイし、記載されたように(Lakowski, 19
96)各動物のスコアを5〜10の試行で得た。スコアは±標準偏差を示す。平均
的なスコアは他のclk変異体と同様に一層長い成長および遅くなった律動的挙
動を示すが、efk−1(ev640)個体間でかなりの変動があることに注意
。efk−1(ev640)が産んだ卵の総数は野生型と同等であったが、野生
型の繁殖力があったのが8日間であったのに対してev640の繁殖力があった
のは10日間であった。 B.efk−1遺伝子の量と寿命との間の逆相関関係。3つの独立した実験か
ら計算した平均寿命(日):N2、18±2;efk−1(ev640)、25
±3;clk−1(qm30)、31±2;clk−2(qm37)、28±4
;N2 Ex[pCefk−1 pRF4](efk−1のマルチコピー遺伝子ア
レイを有する野生型)、13±2。最大の寿命の値は、N2、32±3;efk
−1(ev640)、37±4;clk−1(qm30)、47±3;clk−
2(qm37)、39±5;N2 Ex[pCefk−1 pRF4]、23±5
であった。efk−1過剰発現株もまた同時発現マーカーとしてトランスジーン
pRF4(rol−6(su1006))を含むので、本発明者らはまたpRF
4トランスジーンのみを有する野生型動物の寿命をアッセイしたところ、野生型
と同様であることが確認された:N2 Ex[pRF4]の平均寿命は17±3
、最大寿命は31±4。平均寿命および最大寿命に対するP値は、全ての場合に
<0.05であった。
【図3】 A.タンパク質合成速度はclk−1(qm30)変異体および
age−1(hx546)変異体で増大する。タンパク質合成の測定は、TCA
−沈降タンパク質へのH−ロイシンの導入を測定することにより行った。 B.efk−1(ev640)は長く生き長らえたage−1(hx546)
変異体およびclk−1(qm30)変異体の寿命を延ばさない。3つの独立し
た実験から計算した平均寿命(日):N2、18±2;efk−1(ev640
)、25±3;age−1(hx546)、33±3;clk−1(qm30)
、30±4;age−1(hx546);efk−1(ev640)二重変異体
、32±3;clk−1(qm30)efk−1(ev640)二重変異体、3
1±3。最大の寿命の値は、N2、31±3;efk−1(ev640)、35
±3;age−1(hx546)、48±4;clk−1(qm30)、39±
4;age−1(hx546);efk−1(ev640)二重変異体、49±
4;clk−1(qm30)efk−1(ev640)二重変異体、38±5で
あった。平均寿命および最大寿命に対するP値は、全ての場合に<0.05であ
った。 C.efk−1(ev640)によって付与される寿命の延長にはdaf−1
6が必要である。3つの独立した実験から計算した平均寿命(日):N2、18
±3;efk−1(ev640)、25±4;daf−16(mgDf50)、
16±3;daf−16(mgDf50);efk−1(ev640)二重変異
体、17±4。最大の寿命の値は、N2、30±3;efk−1(ev640)
、38±4;daf−16(mgDf50)、26±3;daf−16(mgD
f50);efk−1(ev640)二重変異体、28±4であった。平均寿命
および最大寿命に対するP値は、全ての場合に<0.05であった。 D.24時間断食した動物はeEF−2キナーゼ活性の有意の低下を示す。方
法に記載したようにして、充分に食餌を与えた(レーン1)および24時間断食
した(レーン2)同調した初期成体培養から抽出物を調製した。リン酸化された
eEF−2に対応するバンドを矢印の先で示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 43/00 111 C12N 9/12 C12N 9/12 9/99 9/99 C12Q 1/02 15/09 ZNA 1/48 Z C12Q 1/02 G01N 33/15 Z 1/48 33/50 Z G01N 33/15 33/68 33/50 C12N 15/00 ZNAA 33/68 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW (71)出願人 335 George Street、P. O.Box 2688,New Brunsw ick、NJ 08903、U.S.A. (72)発明者 アレクセイ・ジー・リャゾノフ アメリカ合衆国ニュージャージー州プリン ストン (72)発明者 ケクタリオス・タバーナラキス アメリカ合衆国ニュージャージー州ニュ ー・ブランズウィック (72)発明者 モニカ・ドリスコル アメリカ合衆国ニュージャージー州ハイラ ンド・パーク (72)発明者 カレン・パバー アメリカ合衆国ニュージャージー州ハイラ ンド・パーク (72)発明者 ブラッドリー・ネフスキー アメリカ合衆国ニュージャージー州ハイラ ンド・パーク、アパートメント・2ビー、 サウス・ファースト・アベニュー405番 Fターム(参考) 2G045 AA28 AA29 AA40 CB17 DA12 DA13 DA14 DA20 DA36 DA77 FB01 FB02 FB07 4B024 AA01 AA11 CA01 CA04 CA11 DA02 DA05 EA04 FA02 GA11 HA11 4B050 CC03 CC04 CC07 DD07 DD11 LL01 LL03 4B063 QA01 QA08 QQ01 QQ02 QQ08 QQ13 QQ27 QR08 QR32 QR59 QR62 QR77 QR80 QS05 QS25 QS36 QX02 4C084 AA02 AA13 AA17 DC32 NA14 ZB212 ZC202

Claims (36)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被験体のタンパク質代謝回転を上昇させ、このタンパク質代
    謝回転の上昇により被験体の寿命の延長を生じさせることを含む、被験体の寿命
    を延ばす方法。
  2. 【請求項2】 前記被験体のタンパク質代謝回転の上昇が該被験体内のEF
    −2キナーゼ活性を低下させることにより行われる、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記EF−2キナーゼ活性が、前記被験体により産生される
    機能的なEF−2キナーゼの量を減少させることにより低下されている、請求項
    2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記機能的なEF−2キナーゼの量が、該EF−2キナーゼ
    をコードする遺伝子の発現を低減させることにより減少されている、請求項3に
    記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記EF−2キナーゼをコードする遺伝子を、機能不全であ
    るかまたは非機能性のEF−2キナーゼをコードするように改変することにより
    、機能的なEF−2キナーゼの量が減少されている、請求項3に記載の方法。
  6. 【請求項6】 被験体のタンパク質代謝回転を上昇させ、このタンパク質代
    謝回転の上昇により該被験体の寿命の延長を生じさせることを含む、被験体の一
    生のうちの性的に活発な時期の長さを延ばす方法。
  7. 【請求項7】 前記被験体のタンパク質代謝回転の上昇が該被験体内のEF
    −2キナーゼ活性を低下させることにより行われる、請求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記EF−2キナーゼ活性が、被験体により産生される機能
    的なEF−2キナーゼの量を減少させることにより低下されている、請求項7に
    記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記機能的なEF−2キナーゼの量が、該EF−2キナーゼ
    をコードする遺伝子の発現を減少させることにより減少されている、請求項8に
    記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記EF−2キナーゼをコードする遺伝子を、機能不全で
    あるかまたは非機能的性のEF−2キナーゼをコードするように改変することに
    より、機能的なEF−2キナーゼの量が減少されている、請求項8に記載の方法
  11. 【請求項11】 被験体のタンパク質代謝回転を上昇させ、このタンパク質
    代謝回転の上昇により該被験体の寿命の延長を生じさせることを含む、被験体の
    加齢速度を低下させる方法。
  12. 【請求項12】 前記被験体のタンパク質代謝回転の上昇が該被験体内のE
    F−2キナーゼ活性を低下させることにより行われる、請求項11に記載の方法
  13. 【請求項13】 前記被験体により産生される機能的なEF−2キナーゼの
    量を減少させることにより該EF−2キナーゼ活性が低下されている、請求項1
    2に記載の方法。
  14. 【請求項14】 前記EF−2キナーゼをコードする遺伝子の発現を低減さ
    せることにより機能的なEF−2キナーゼの量が減少されている、請求項13に
    記載の方法。
  15. 【請求項15】 前記EF−2キナーゼをコードする遺伝子を、機能不全で
    あるかまたは非機能性のEF−2キナーゼをコードするように改変することによ
    り、機能的なEF−2キナーゼの量が減少されている、請求項13に記載の方法
  16. 【請求項16】 a)コントロールサンプルおよび試験サンプルである細胞
    を提供すること; b)該試験サンプルを試験化合物に曝露すること; c)該コントロールサンプルおよび該試験サンプルの細胞におけるタンパク質
    代謝回転速度を測定し、該コントロールサンプルと比較した該試験サンプルにお
    けるタンパク質代謝回転速度の上昇が、該試験化合物が被験体の寿命を延長させ
    るかまたは加齢を遅延させる指標であることを含む、試験化合物が被験体の寿命
    を延長させるかまたは加齢を遅延させるかどうかを測定する方法。
  17. 【請求項17】 試験化合物が被験体の寿命を延長させるかまたは加齢を遅
    延させるかどうかを測定するアッセイを行うためのキットであって、細胞内のタ
    ンパク質代謝回転速度を決定するための試薬および該アッセイを行うための細胞
    のキット構成要素の使用説明書、および場合によりアッセイを行うための培養細
    胞を含むキット。
  18. 【請求項18】 a)コントロールサンプルおよび試験サンプルである活性
    なEF−2キナーゼを提供すること; b)該試験サンプルを試験化合物に曝露すること;ならびに c)該コントロールサンプルおよび該試験サンプルにおけるEF−2キナーゼ
    活性を測定し、該コントロールサンプルと比較した該試験サンプルにおけるEF
    −2キナーゼ活性の低下が、試験化合物が被験体のEF−2キナーゼ活性を低下
    させることにより被験体の寿命を延長させるかまたは加齢を遅延させる指標であ
    ることを含む、試験化合物がEF−2キナーゼ活性を低下させることにより被験
    体の寿命を延長させるかまたは加齢を遅延させるかどうかを測定するための無細
    胞方法。
  19. 【請求項19】 試験化合物が被験体におけるEF−2キナーゼ活性を低下
    させることにより寿命を延長させるかまたは加齢を遅延させるかどうかを測定す
    るアッセイを行うための、該EF−2キナーゼおよび該アッセイを行うために、
    該EF−2キナーゼを使用する説明書を含むキット。
  20. 【請求項20】 a)コントロールサンプルおよび試験サンプルである、活
    性なEF−2キナーゼを含む細胞を提供すること; b)該試験サンプルを試験化合物に曝露すること;ならびに c)該コントロールサンプルおよび該試験サンプルにおけるEF−2キナーゼ
    活性を測定し、該コントロールサンプルと比較した該試験サンプルにおけるEF
    −2キナーゼ活性の低下が、試験化合物が該被験体のEF−2キナーゼ活性を低
    下させることにより該被験体の寿命を延長させるかまたは加齢を遅延させる指標
    であることを含む、試験化合物が被験体におけるEF−2キナーゼ活性を低下さ
    せることにより寿命を延長させるかまたは加齢を遅延させるかどうかを測定する
    ための細胞に基づく方法。
  21. 【請求項21】 試験化合物が被験体におけるEF−2キナーゼ活性を低下
    させることにより寿命を延長させるかまたは加齢を遅延させるかどうかを測定す
    るアッセイを行うための、活性なEF−2キナーゼを含む細胞および該アッセイ
    を行うために該細胞を使用するための説明書を含む、キット。
  22. 【請求項22】 a)EF−2キナーゼをコードする遺伝子由来の発現調節
    エレメントの1つ以上に、操作可能に連結されたレポーターコード配列を有する
    DNA構築物を含む発現系であって、さらにレポーター遺伝子産物を産生するた
    めのレポーターコード配列の発現を可能にする構成要素を含んでいる発現系を提
    供すること; b)コントロールサンプルおよび試験サンプルである該発現系を提供すること
    ; c)該試験サンプルを試験化合物に曝露すること;ならびに d)該コントロールサンプルおよび該試験サンプルにおけるレポーター遺伝子
    産物の量を測定し、該コントロールサンプルと比較した該試験サンプルにおける
    レポーター遺伝子産物の量の減少が、該試験化合物が被験体のEF−2キナーゼ
    活性を低下させることにより被験体の寿命を延長させるかまたは加齢を遅延させ
    る指標であることを含む、該試験化合物が被験体におけるEF−2キナーゼをコ
    ードする遺伝子の発現を低減させることにより寿命を延長させるかまたは加齢を
    遅延させるかどうかを測定する方法。
  23. 【請求項23】 前記発現系が前記DNA構築物で形質転換した細胞である
    、請求項22に記載の方法。
  24. 【請求項24】 前記EF−2遺伝子発現調節エレメントがプロモーターで
    ある、請求項22に記載の方法。
  25. 【請求項25】 試験化合物が被験体におけるEF−2キナーゼをコードす
    る遺伝子の発現を低減させることにより寿命を延長させるかまたは加齢を遅延さ
    せるかどうかを測定するアッセイを行うための、請求項24に記載のDNA構築
    物および、場合により発現系、ならびにアッセイを行うための説明書を含むキッ
    ト。
  26. 【請求項26】 a)動物モデル系において、タンパク質代謝回転と動物の
    寿命の間の正の相関関係を示す検量線を確立すること; b)被験体におけるタンパク質の代謝回転を測定すること; c)該被験体におけるタンパク質代謝回転と該検量線で示されている該動物モ
    デルにおけるタンパク質代謝回転とを比較すること;ならびに d)該被験体の寿命の予後決定を行なうことを含む、被験体の寿命を決定する
    ための予後方法。
  27. 【請求項27】 a)動物モデル系において、EF−2キナーゼ活性と動物
    の寿命の間の負の相関関係を示す検量線を確立すること; b)被験体におけるEF−2キナーゼ活性を測定すること; c)該被験体におけるEF−2キナーゼ活性と該検量線で示されている該動物
    モデルにおけるEF−2キナーゼ活性とを比較すること;ならびに d)該被験体の寿命の予後測定を行うことを含む、被験体の寿命を測定するた
    めの予後方法。
  28. 【請求項28】 生物学的に適合性の媒体中に細胞性タンパク質の代謝回転
    を上昇させる薬物を含む、被験体の寿命を延長させるかまたは加齢速度を遅延さ
    せるための医薬製剤。
  29. 【請求項29】 前記薬剤がEF−2キナーゼ活性のインヒビターである、
    請求項28に記載の医薬製剤。
  30. 【請求項30】 前記薬剤がEF−2キナーゼ遺伝子発現のインヒビターで
    ある、請求項28に記載の医薬製剤。
  31. 【請求項31】 タンパク質合成を負に制御する酵素が機能不全であるか、
    非機能性であるか、または存在していない、遺伝子操作され た非ヒト生物。
  32. 【請求項32】 前記酵素がEF−2キナーゼである、請求項31に記載の
    生物。
  33. 【請求項33】 げっ歯類および線虫からなる群から選択される、請求項3
    1に記載の生物。
  34. 【請求項34】 タンパク質合成を負に制御する酵素を過剰発現する、遺伝
    子操作された非ヒト生物。
  35. 【請求項35】 前記酵素がEF−2キナーゼである、請求項34に記載の
    生物。
  36. 【請求項36】 げっ歯類および線虫からなる群から選択される、請求項3
    4に記載の生物。
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WO2007034852A1 (ja) 2005-09-22 2007-03-29 Kaneka Corporation 延命用組成物及び寿命を延長する方法

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