JP2003507642A - 内燃機関用の燃料噴射装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 内燃機関用の燃料噴射弁が、複数の燃料噴射弁（１０）を有しており、これらの燃料噴射弁（１０）には、燃料高圧アキュムレータ（２４）から燃料が供給される。各燃料噴射弁（１０）はニードル状の噴射弁部材（１５）を有しており、この噴射弁部材の運動は、制御室（３５）内における燃料圧によって制御可能である。本発明によれば、プランジャ（５７）と連結されていて制御室（３５）を放圧室（３９）に向かって放圧する弁部材（７０）の運動を、２つのピエゾアクチュエータ（４５，６５）を用いて制御することが、提案されている。両方のピエゾアクチュエータ（４５，６５）は相前後して配置されており、これによって両ピエゾアクチュエータの行程は同じ方向において作用する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 従来の技術 本発明は、請求項１の上位概念部に記載された形式の、内燃機関用の燃料噴射
装置に関するものであり、このような形式の燃料噴射装置は、ドイツ連邦共和国
特許公開第１９６２４００１号明細書に基づいて公知である。この公知の燃料噴
射装置では、制御室を放圧する弁部材を開放するために必要な開放行程は、ピエ
ゾアクチュエータによって生ぜしめられる。すべての温度において弁部材の有効
行程を一定にするためには、温度補償を行うことが必要である。これは公知の燃
料噴射装置では、ピエゾアクチュエータと弁部材との間に配置された液圧式の連
結装置を用いて行われる。液圧式の連結装置は、同様に従来技術において公知の
、特殊な材料対を用いた温度補償とは異なり、ピエゾアクチュエータと距離行程
との間において運動距離変換が行われるという付加的な利点、つまり弁速度を著
しく高めることができるという付加的な利点を有している。これによって極めて
正確に燃料量を制御することができ、燃料噴射弁の行程間におけるばらつきが減
じられる。液圧式の連結装置を使用する場合における問題点として次のことが挙
げられる。すなわちこの場合、弁部材がその弁座から持ち上がって開放するため
には、系に基づいて液圧式の連結装置においては極めて高い圧力が生ぜしめられ
ねばならない。従って一方では、液圧式の連結装置からの漏れを制限するために
ピストン間隙の値を極めて小さく形成することが必要であり、かつ他方では漏れ
に基づく行程損失を補償するためにピエゾアクチュエータは極めて大型に構成さ
れねばならない。

【０００２】 発明の利点 請求項１の特徴部に記載のように構成された、本発明による内燃機関用の燃料
噴射装置は、公知のものに対して、ピエゾ装置全体が小さなボリュームしか必要
としない、という利点を有している。なぜならば本発明による燃料噴射装置では
、液圧式の連結装置において必要な圧力が低いことに基づいて、連結装置が僅か
な漏れしか、ひいては僅かな行程損失しか有していないからである。その結果液
圧式の連結装置と共働するピエゾアクチュエータは、相応に小型に構成すること
ができる。このような小型のピエゾアクチュエータによって、ピエゾアクチュエ
ータを制御するための電流も少なくなり、かつピエゾアクチュエータのための制
御装置も小型にかつ単純に構成することができる。さらに、液圧式の連結装置に
おける減じられた圧力に基づいて、ピストン間隙の値に関する許容誤差も大きく
することができ、ひいては製造が簡単になる。

【０００３】 本発明による内燃機関用の燃料噴射装置の別の有利な構成は、請求項２以下に
記載されている。

【０００４】 図面 図１は、燃料噴射装置を概略的に示す図である。

【０００５】 図２は、図１に示された燃料噴射弁の一部を制御弁と一緒に示す縦断面図であ
る。

【０００６】 実施例の記載 図１に概略的に示された燃料噴射弁１０は、段付けされた孔１３を有する噴射
弁ケーシング１２を有しており、孔１３内においては弁ニードルが噴射弁部材１
５として案内されている。この噴射弁部材１５はその一端に円錐形のシール面１
６を有しており、このシール面１６は、段付けされた孔１３の端部における円錐
形の弁座１７と共働する。弁座１７の下流側には燃料噴射開口１８が配置されて
おり、これらの燃料噴射開口１８は、シール面１６が弁座１７に接触している場
合に、圧力室１９から切り離される。圧力室１９は、シール面１６に上流側で接
続していて小さな直径を有する、噴射弁部材１５の小径部分２１の周りに形成さ
れたリング室２２を介して、弁座１７にまで延びている。圧力室１９は圧力ライ
ン２３を介して、燃料高圧アキュムレータ２４の形をした燃料高圧源と接続され
ており、この燃料高圧アキュムレータ２４は例えば吐出量可変の高圧ポンプ２５
によって、燃料タンク２７から、噴射圧にもたらされた燃料を供給される。燃料
高圧アキュムレータ２４はこの場合複数の燃料噴射弁１０に燃料を供給する。こ
のような燃料噴射系は「コモンレール系」と呼ばれる。圧力室１９の領域におい
て噴射弁部材１５の小径部分２１は、弁座１７の側に位置する圧力肩部２８を介
して、噴射弁部材１５の大径部分２９に移行している。この大径部分２９は段付
けされた孔１３内において密に案内されていて、圧力肩部２８とは反対の側で中
間部分３０を介して、噴射弁部材１５のピストン状端部３１にまで延長されてい
る。中間部分３０の領域において噴射弁部材１５は、ばね受３２を有しており、
このばね受３２と噴射弁ケーシング１２との間には圧縮ばね３３が緊縮されてお
り、この圧縮ばね３３は噴射弁部材１５を閉鎖位置に向かって負荷している。

【０００７】 噴射弁部材１５のピストン状端部３１は、圧力肩部２８の面積よりも大きな面
積を有する端面３４で、噴射弁ケーシング１２内において制御室３５を制限して
いる。この制御室３５は供給絞り３６を介して燃料高圧アキュムレータ２４と常
に接続されている。同時に制御室３５は流出通路３８及び流出絞り３７を介して
、放圧室３９と接続されており、この放圧室３９は例えば燃料タンク２７であっ
てもよい。流出通路３８の通流は、２ポート２位置方向切換え弁として形成され
た制御弁４０によって制御される。

【０００８】 図２には制御弁４０の構造がより正確に示されている。円筒形に形成された制
御弁４０は袋ナット４１を用いて、噴射弁ケーシング１２と解離可能に結合され
ている。制御弁４０はほぼスリーブ状の外側ケーシング４２を有しており、この
外側ケーシング４２の、噴射弁ケーシング１２とは反対側の端部は、縁曲げ加工
又はこれに類した加工によって閉鎖されている。外側ケーシング４２の内部には
、噴射弁ケーシング１２とは反対の側において、略示された第１のピエゾアクチ
ュエータ４５が組み込まれており、このピエゾアクチュエータ４５は軸方向にお
いて２つの固定支承プレート４６，４７によって制限されている。下側の固定支
承プレート４７は第１プランジャ４８と連結されており、この第１プランジャ４
８はその外周部において、シールエレメント４９を用いて外側ケーシング４２に
向かってシールされている。第１プランジャ４８の大径区分５１は、円筒形のケ
ーシング５３を有する液圧式の変換装置（Uebersetzer）５５もしくは液圧式の
連結装置（Koppler）の第１の孔５２内に突入している。この第１の孔５２に対
して同軸的に、小径の第２の孔５６がケーシング５３内に形成されており、この
第２の孔５６内には、第２プランジャ５７が噴射弁ケーシング１２の側から進入
している。ケーシング５３の噴射弁ケーシング１２側の下側面５８は、噴射弁ケ
ーシング１２の上端面５９に平らに接触している。

【０００９】 噴射弁ケーシング１２は、３回段付けされていて制御室３５に開口している貫
通孔６１を有している。貫通孔６１の、ケーシング５３に向けられた区分６２は
、最大直径を有しており、制御室３５に開口する区分６３は最小直径を有してい
る。区分６３からは放圧室３９に通じる流出通路３８も分岐している。区分６２
内には同様に略示された第２のピエゾアクチュエータ６５が配置されている。

【００１０】 第１のピエゾアクチュエータ４５に比べて著しく小型の第２のピエゾアクチュ
エータ６５は、中心に配置された貫通孔６６を有しており、この貫通孔６６は、
第２のプランジャ５７によって半径方向遊びをもって貫通されている。第２のピ
エゾアクチュエータ６５はその軸方向における運動路に関して形状結合的（form
schluessig）に、ケーシング５３の下側面５８と第２のプランジャ５７の直径を
増大されたカラー６７との間に配置されている。このカラー６７は貫通孔６１の
中央区分６４において滑動するように案内されている。この場合中央区分６４の
底部６８は、第２のプランジャ５７のための軸方向における行程制限として働く
。カラー６７にはプランジャ区分６９が接続しており、このプランジャ区分６９
は半径方向遊びをもって区分６３内において案内されており、そして、球として
形成された弁部材７０と共働する。制御室３５と貫通孔６１の区分６３との間の
移行領域には、座縁部７２が形成されており、この座縁部７２は弁部材７０と一
緒にシール座を形成しており、その結果燃料は制御室３５から区分６３及び流出
通路３８を介して放圧室３９に向かって流出できない。

【００１１】 図１に相応して、燃料噴射弁１０の制御は制御弁４０もしくは両ピエゾアクチ
ュエータ４５，６５を介して制御装置７３によって行われ、この制御装置７３は
、運転パラメータに関連して個々の燃料噴射弁１０の制御弁４０を制御し、さら
に圧力センサ７４によって燃料高圧アキュムレータ２４における圧力を検出し、
所望も目標値との差異に応じて可変吐出式の高圧ポンプ２５を制御する。この高
圧ポンプ２５に対して並列的に圧力制限弁７５が設けられており、この圧力制限
弁７５は、燃料高圧量供給のコンセプトに応じて、運転パラメータに関連して圧
力制御弁としても制御可能である。

【００１２】 また高圧ポンプ２５は常に同量の燃料を吐出するようになっていてもよいし、
また、ここでは明らかに圧力制御弁と見なすことができる圧力制御弁７５を介し
て、燃料高圧アキュムレータ２４内における圧力が調整されるようになっていて
もよい。

【００１３】 特にディーゼル機関の構成部分である上記燃料噴射装置は、下記のように作動
する： 制御弁４０の閉鎖時、つまりピエゾアクチュエータ４５，６５の不操作時に、
弁部材７０は座縁部７２に接触していて、制御室３５を放圧室３９に向かってシ
ールしている。シール座は、制御室３５と燃料高圧アキュムレータ２４とが常に
接続されていることに基づいて、制御室３５内に常に高いレベルの圧力が存在す
ることによって、形成される。端面３４の面積が圧力肩部２８の面積よりも大き
く、かつ両方の面に作用する圧力が瞬間的に同じ大きさであることに基づいて、
噴射弁部材１５を噴射開口１８に対する閉鎖位置に保つような合力が生ぜしめら
れる。噴射を開始するためにはまず初めに、第２のピエゾアクチュエータ６５だ
けが制御装置７３によって制御される。この第２のピエゾアクチュエータ６５は
従って、座縁部７２から弁部材７９を持ち上げるもしくは離すためにだけ働き、
つまり第２のピエゾアクチュエータ６５は比較的小さな行程しか有していない。
この場合第２のピエゾアクチュエータ６５の比較的小さな行程は、座の角度差（
Sitzwinkeldifferenz）に基づいて弁部材７０の開放力の上昇を克服もしくは凌
駕するのに、十分である。第２のピエゾアクチュエータ６５の伸張時にこのピエ
ゾアクチュエータ６５は、ケーシング５３の下側面５８に支持され、第２のプラ
ンジャ５７をそのカラー６７を介して、放圧室３５の方向に押圧する。弁部材７
０が座縁部７２から幾分持ち上げられるもしくは離されるや否や、弁部材７０の
本来の開放が、第２のピエゾアクチュエータ６５よりも大きな行程を有している
第１のピエゾアクチュエータ４５によって行われる。この場合座着力（Sitzkraf
t）が克服された後では、第２のプランジャ５７をさらに運動させるためには、
第１のピエゾアクチュエータ４５の比較的小さな行程力で十分である。液圧式の
変換装置５５及び、プランジャ４８とプランジャ５７との選択された直径比もし
くはケーシング５３内における孔５２と孔５６との選択された直径比に基づいて
、第１のピエゾアクチュエータ４５の行程は液圧式の変換装置５５によって増大
される。第２のプランジャ５７の最大行程は、行程ストッパとして作用する貫通
孔６１の底部６８によって制限される。第１のピエゾアクチュエータ４５による
弁部材７０の上昇もしくは開放行程によって、燃料は制御室３５から放圧室３９
に向かって流出することができ、その結果供給絞り３６によって燃料高圧アキュ
ムレータ２４からの遮断されて制御室３５内には、低いレベルの圧力が生じる。
この際に、圧力肩部２８に対して開放方向に作用する押圧力が勝り、燃料噴射弁
１０は開放されて噴射が行われる。

【００１４】 制御弁４０の再閉鎖もしくはピエゾアクチュエータ４５，６５への給電停止に
よって、弁部材７０が再び座縁部７２と作用結合した後で、制御室３５内におい
ては迅速に本来の高い燃料圧が再び形成される。それというのは、燃料は供給絞
り３６を介して引き続き流入することができるからである。これによって噴射弁
部材１５は、高圧噴射を終了すべく再びその出発位置もしくは閉鎖位置に戻る。

【図面の簡単な説明】

【図１】 燃料噴射装置を概略的に示す図である。

【図２】 図１に示された燃料噴射弁の一部を制御弁と一緒に示す縦断面図である。

【手続補正書】特許協力条約第３４条補正の翻訳文提出書

【提出日】平成１３年２月１４日（２００１．２．１４）

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】特許請求の範囲

【補正方法】変更

【補正の内容】

【特許請求の範囲】

───────────────────────────────────────────────────── 【要約の続き】

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内燃機関用の燃料噴射弁であって、燃料高圧源（２４）が設
   けられていて、該燃料高圧源（２４）から燃料噴射弁（１０）に燃料が供給され
   、燃料噴射弁（１０）が、少なくとも１つの噴射開口（１８）を制御するための
   噴射弁部材（１５）と、制御室（３５）とを有しており、該制御室（３５）が、
   噴射弁部材（１５）と少なくとも間接的に結合されている可動の壁（３４）によ
   って制限されていて、制御室（３５）がさらに、供給絞り（３６）によって寸法
   設定されていて高圧源（２５）から有利には燃料高圧源から延びている流入通路
   （２３）を有しており、制御室（３５）が、ピエゾ装置と該ピエゾ装置に少なく
   とも間接的に結合されている弁部材（７０）と有する制御弁（４０）を用いて放
   圧可能である形式のものにおいて、ピエゾ装置が、互いに相前後して配置されて
   いて同方向に作用する少なくとも２つのピエゾアクチュエータ（４５，６５）を
   有していることを特徴とする、内燃機関用の燃料噴射装置。
2. 【請求項２】 ピエゾアクチュエータ（４５，６５）が互いに異なった大き
   さの行程距離を有している、請求項１記載の燃料噴射装置。
3. 【請求項３】 小さな行程を有する１つのピエゾアクチュエータ（６５）が
   、弁部材（７０）と、大きな行程を有する他方のピエゾアクチュエータ（４５）
   との間に配置されている、請求項２記載の燃料噴射装置。
4. 【請求項４】 他方のピエゾアクチュエータ（６５）が、弁部材（７０）と
   共働するプランジャ（５７）のための貫通孔（６６）を有しており、プランジャ
   （５７）が、他方のピエゾアクチュエータ（６５）のための支持面（６７）を有
   していて、該支持面（６７）と位置固定の第１のストッパ（５８）との間に他方
   のピエゾアクチュエータ（６５）が配置されている、請求項３記載の燃料噴射装
   置。
5. 【請求項５】 第１のストッパ（５８）の、第１のストッパ（５８）に対向
   している側に、プランジャ（５７）及び弁部材（７０）のための行程制限として
   作用する第２のストッパ（６８）が配置されている、請求項４記載の燃料噴射装
   置。
6. 【請求項６】 両ピエゾアクチュエータ（４５，６５）の間に液圧式の変換
   装置（５５）が配置されている、請求項１から５までのいずれか１項記載の燃料
   噴射装置。
7. 【請求項７】 両ピエゾアクチュエータ（４５，６５）が１つの共通のケー
   シング（４２）内に配置されている、請求項１から６までのいずれか１項記載の
   燃料噴射装置。
8. 【請求項８】 ケーシング（４２）が少なくとも両ピエゾアクチュエータ（
   ４５，６５）の領域において、スリーブ状に形成されている、請求項７記載の燃
   料噴射装置。