JP2003506624A - 燃料高圧アキュムレータ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は、内燃機関のコモンレール燃料噴射系のための燃料高圧アキュムレータであって、複数の接続部（４，５）、特に燃料の供給・排出のための接続部並びにセンサ及び弁などのための接続部が設けられている形式のものに関する。汎用の燃料高圧アキュムレータに比べてより高い圧力に耐えることができる燃料高圧アキュムレータを提供するために、本発明の構成では、燃料アキュムレータが少なくとも１つの蓄圧体（１）と、該蓄圧体（１）に常に接続している少なくとも１つの分配体（２，３）とを有している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 従来の技術 本発明は、内燃機関のコモンレール燃料噴射系のための燃料高圧アキュムレー
タであって、複数の接続部、特に燃料の供給・排出のための接続部並びにセンサ
及び弁などのための接続部が設けられている形式のものに関する。

【０００２】 コモンレール噴射系では、高圧ポンプが、場合によっては補助的に前フィード
ポンプを用いて、噴射される燃料をタンクから、コモンレールと呼ばれる中央の
燃料高圧アキュムレータに圧送する。レールからは高圧導管が、機関シリンダに
配属された個々のインジェクタに通じている。インジェクタは内燃機関の運転パ
ラメータに関連して個々に、機関電子装置によって制御され、そしてこれによっ
て内燃機関の燃焼室への燃料の噴射が可能になる。燃料高圧アキュムレータによ
って、圧力の発生と噴射とは互いに切り離されている。

【０００３】 汎用の燃料高圧アキュムレータは例えばドイツ連邦共和国特許第１９６４０４
８０号明細書に開示されている。公知の燃料高圧アキュムレータは、長く延びた
管状体から成っており、この管状体は、インジェクタとも呼ばれる燃料噴射弁へ
の燃料供給のために働く複数の接続部を有している。管状体は同時に、蓄圧体及
び燃料供給部の機能並びにシリンダへの燃料の分配の機能を有している。高圧強
度を保証するために、燃料高圧アキュムレータの内径の寸法は制限されている。
この場合管状体から接続部への移行部は特に危険がある。このような移行部では
、運転時に生じる高い内圧に基づいて、亀裂を生ぜしめるおそれのある大きな引
張り応力が発生する。

【０００４】 ドイツ連邦共和国特許第１９５４８６１１号明細書には、鍛造によって構成さ
れた燃料高圧アキュムレータが開示されている。コモンレール噴射系の安定的な
設計のためには、ある程度のレールボリュームが必要である。レールの長さは多
くの場合、内燃機関の幾何学的な設定によって制限されている。その結果、規定
されたレール内径が使用されねばならない。レールの内径はしばしば８〜１０ｍ
ｍの範囲である。接線方向におけるレールの材料負荷は、特にレールの内径に依
存する。レール内径の減少によって、材料負荷を減じること、つまり許容可能な
レール内圧を高めることができる。

【０００５】 ゆえに本発明の課題は、冒頭に述べた形式の燃料高圧アキュムレータを改良し
て、汎用の燃料高圧アキュムレータに比べて高い圧力に耐えることができ、簡単
な構造を有し、かつ安価に製造可能である燃料高圧アキュムレータを提供するこ
とである。

【０００６】 この課題を解決するために、本発明の構成では、内燃機関のコモンレール燃料
噴射系のための燃料高圧アキュムレータであって、複数の接続部、特に燃料の供
給・排出のための接続部並びにセンサ及び弁などのための接続部が設けられてい
る形式のものにおいて、燃料アキュムレータが少なくとも１つの蓄圧体と、該蓄
圧体に常に接続している少なくとも１つの分配体とを有しているようにした。

【０００７】 「蓄圧」の機能と「分配」の機能とを切り離すことによって、蓄圧体の寸法設
定は、分配体の寸法設定とは無関係に行うことができる。亀裂形成のおそれに関
して問題のない蓄圧体は、大きく寸法設定することが可能であり、分配体は、亀
裂形成のおそれのある接続部のために、相応に小さく設計することができる。こ
れによって分配体において生じる緊張もしくは応力は低く保たれる。その結果汎
用の燃料高圧アキュムレータに比べてより大きな強度とより長い耐用寿命が得ら
れる。ドイツ連邦共和国特許第１９７２７４１３号明細書に基づいて確かに２部
分から成る燃料高圧アキュムレータが公知であるが、しかしながらこの公知の燃
料高圧アキュムレータでは両部分は１つのケーシング内に設けられていて、相互
に結合されていない。その代わりに両部分は弁によって互いに隔てられている。
この公知の解決策では、強度を高めることが問題なのではなく、燃料噴射系の始
動特性を改善することが問題になっている。

【０００８】 本発明の有利な構成は請求項２〜５に記載されている。

【０００９】 本発明の別の有利な構成では、蓄圧体と分配体との間の結合箇所に、食い付き
縁部が形成されている。このような食い付き縁部によって、蓄圧体と分配体との
間における確実なシールを実現することができる。

【００１０】 本発明の別の有利な構成では、蓄圧体と分配体との間の結合箇所が、摩擦溶接
結合部（Reibschlussverbindung）として形成されている。これによって組立て
の手間もしくは費用が高くなるが、しかしながら蓄圧体及び分配体のための製造
コストは減じられる。

【００１１】 本発明の別の有利な構成では、分配体が、小さな内径を有する管によって形成
され、該管が側部において、大きな内径を有する少なくとも１つの領域に拡大さ
れていて、該領域が蓄圧体を形成していて、カバーによって閉鎖されている。こ
の場合管は有利には、引き抜き加工によって成形された高負荷に耐える管である
。カバーは管と溶接されても又はねじ結合されてもよい。接続ジオメトリは有利
には直接、管に設けられている。

【００１２】 本発明の別の有利な構成では、分配体が、小さな内径を有する管によって形成
され、該管が側部において、少なくとも１つの鉢形の蓄圧体によって閉鎖されて
いる。この場合蓄力体は、管と溶接されても又はねじ結合されてもよい。

【００１３】 本発明はまた、上に述べた高圧アキュムレータを備えたセットにも関する。本
発明によれば、種々異なった寸法を有する複数の蓄圧体と分配体とが、互いに組
み合わされている。本発明による高圧アキュムレータは特に、モジュラ構造形式
に適している。要求パターンに応じて、種々様々な容積を有する蓄力体を使用す
ることができる。また、装着される内燃機関のシリンダ数に関連して、単数又は
複数の分配体を単数又は複数の蓄圧体に取り付けることができる。

【００１４】 次に図面を参照しながら本発明の実施例を説明する。

【００１５】 図１は、レールが本発明のように蓄圧体と分配体との機能領域に分割されてい
る様子を示す概略図であり、 図２は、本発明による燃料高圧アキュムレータの第１実施例を示す縦断面図であ
り、 図３は、本発明の第２実施例を示す図であって、図２の一部を示す図であり、 図４は、本発明による燃料高圧アキュムレータの第３実施例を示す縦断面図であ
り、 図５は、本発明による燃料高圧アキュムレータの第４実施例を示す縦断面図であ
る。

【００１６】 図１において燃料高圧アキュムレータは、分配部の１つの領域Ｖと蓄圧部の２
つの領域Ｓとに分割されている。矢印Ｚによって燃料供給のための接続部が示さ
れている。４つの矢印Ｉは、インジェクタへの接続導管のための接続部を示して
いる。

【００１７】 接続部の領域には可能な限り小さな内径が与えられており、これは、加工コス
ト、加工方法、システム設計などの種々様々な周辺条件によって影響される。分
配部領域Ｖには、運転時に生じる応力の過剰な上昇が集中する。

【００１８】 分配部領域Ｖにおいて受容される燃料量は、通常安定的なシステム設計のため
に極めて少ない。したがって２つの蓄圧部領域Ｓが分配部領域Ｖに接続されてい
る。燃料供給のための接続部Ｚは真ん中に配置されている。インジェクタに通じ
る接続導管のための接続部Ｉは、燃料供給のための接続部Ｚに対して側方にずら
されている。図１に示された燃料アキュムレータの対称的な構造によって、イン
ジェクタへの燃料の均一な供給が可能になる。

【００１９】 図２に縦断面図で示された燃料高圧アキュムレータは、１つの管状の蓄圧体１
と同様に管状の２つの分配体２，３とを有している。両分配体２，３は各１つの
開放端部と閉鎖端部とを有している。両分配体２，３は開放端部でそれぞれ蓄圧
体１の対応する端部と螺合されている。そのために、分配体２，３の開放端部に
はねじ山６が形成されている。分配体２，３にはそれぞれ食い付き縁部７が形成
されており、この食い付き縁部７は蓄圧体１における対応する面と共働して、確
実なシール部を形成している。

【００２０】 分配体２，３に複数の接続部４，５が形成されており、図２にはこれらの接続
部のうちの２つだけが示されている。分配体２，３の内径ｄ_１は、蓄圧体１の内
径ｄ_２よりも小さい。

【００２１】 図３に示された部分では、分配体２，３と蓄圧体１との間にねじ式結合部が形
成されているのではなく、摩擦溶接結合部（Reibschweissverbindung）が形成さ
れている。符号１０で溶接シームが示されている。

【００２２】 図４に示された燃料高圧アキュムレータは、中央孔１２を備えたケーシング１
１を有している。中央孔１２には、矢印１３で示されているように、燃料高圧ポ
ンプ（図示せず）から燃料が供給される。高圧を負荷された燃料は、矢印１４で
示されているように、高圧接続導管を介してインジェクタ（図示せず）に達する
。高圧接続導管のための接続ジオメトリは例えば符号３１で示されている。

【００２３】 中央孔１２はその両端部において広がっている。これによって、高圧負荷され
た燃料のための蓄圧体容積室１５，１６が形成されている。蓄圧体容積室１５，
１６は周囲に対してカバー１７，１８によって制限されている。カバー１７はケ
ーシング１１に対して内側に位置するように形成されている。カバー１８はケー
シング１１をその外周縁で取り囲んでいる。カバー１７，１８とケーシング１１
との間の結合箇所は、溶接結合部、ねじ結合部又はろう接結合部１９，２０とし
て構成可能である。

【００２４】 図５に示された燃料高圧アキュムレータは、中央孔２２を備えたケーシング２
１を有している。中央孔２２には、矢印２３によって示されているように、燃料
高圧ポンプ（図示せず）によって燃料が供給される。高圧負荷された燃料は、矢
印２４によって示されているように、高圧接続導管を介してインジェクタ（図示
せず）に達する。

【００２５】 中央孔２２はその両端部において、高圧負荷された燃料のための蓄圧体容積室
２５，２６に開口している。蓄圧体容積室２５，２６は周囲に対してカバー２７
，２８によって制限されている。カバー２７は突き合わせでケーシング２１と結
合されている。カバー２８はその外周縁でケーシング２１を取り囲んでいる。カ
バー２７，２８とケーシング２１との間の結合箇所は、溶接結合部又はろう接結
合部２９，３０として構成可能である。

【００２６】 引き抜き加工によって成形された管であるケーシング１１，２１には、固定エ
レメントを直接設けることが可能である。固定エレメントの取付けは、ねじ結合
、溶接、圧着、ろう接などによって行うことが可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】 レールが本発明のように蓄圧体と分配体との機能領域に分割されている様子を
示す概略図である。

【図２】 本発明による燃料高圧アキュムレータの第１実施例を示す縦断面図である。

【図３】 本発明の第２実施例を示す図であって、図２の一部を示す図である。

【図４】 本発明による燃料高圧アキュムレータの第３実施例を示す縦断面図である。

【図５】 本発明による燃料高圧アキュムレータの第４実施例を示す縦断面図である。

Claims (10)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内燃機関のコモンレール燃料噴射系のための燃料高圧アキュ
   ムレータであって、複数の接続部（４，５）、特に燃料の供給・排出のための接
   続部並びにセンサ及び弁などのための接続部が設けられている形式のものにおい
   て、燃料アキュムレータが少なくとも１つの蓄圧体（１）と、該蓄圧体（１）に
   常に接続している少なくとも１つの分配体（２，３）とを有していることを特徴
   とする燃料高圧アキュムレータ。
2. 【請求項２】 燃料供給のための接続部が分配体（Ｖ）において真ん中に配
   置されていて、その他の残りの接続部（Ｉ）によって取り囲まれており、複数の
   蓄圧体（Ｓ）が分配体（Ｖ）の側部に配置されている、請求項１記載の燃料高圧
   アキュムレータ。
3. 【請求項３】 蓄圧体（１）と分配体（２，３）とが管状に形成されている
   、請求項１又は２記載の燃料高圧アキュムレータ。
4. 【請求項４】 蓄圧体（１）が中空球形の形を有している、請求項１又は２
   記載の燃料高圧アキュムレータ。
5. 【請求項５】 分配体（２，３）の内径（ｄ_１）が蓄圧体（１）の内径（ｄ _２ ）よりも小さい、請求項１から４までのいずれか１項記載の燃料高圧アキュム
   レータ。
6. 【請求項６】 蓄圧体（１）と分配体（２，３）との間の結合箇所に、食い
   付き縁部（７）が形成されている、請求項１から５までのいずれか１項記載の燃
   料高圧アキュムレータ。
7. 【請求項７】 蓄圧体（１）と分配体（２，３）との間の結合箇所が、摩擦
   溶接結合部（１０）として形成されている、請求項２から５までのいずれか１項
   記載の燃料高圧アキュムレータ。
8. 【請求項８】 分配体が、小さな内径を有する管（１１）によって形成され
   、該管（１１）が側部において、大きな内径を有する少なくとも１つの領域（１
   ５，１６）に拡大されていて、該領域（１５，１６）が蓄圧体を形成していて、
   カバー（１７，１８）によって閉鎖されている、請求項１から３までのいずれか
   １項記載の燃料高圧アキュムレータ。
9. 【請求項９】 分配体が、小さな内径を有する管（２１）によって形成され
   、該管（２１）が側部において、少なくとも１つの鉢形の蓄圧体（２７，２８）
   によって閉鎖されている、請求項１から３までのいずれか１項記載の燃料高圧ア
   キュムレータ。
10. 【請求項１０】 請求項１から９までのいずれか１項記載の燃料高圧アキュ
    ムレータを備えたセットであって、種々異なった寸法を有する複数の蓄圧体（１
    ）と分配体（２，３）とが、互いに組み合わされていることを特徴とする、燃料
    高圧アキュムレータを備えたセット。