JP2003505261A - 交換可能な切削チップを有するドリル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 ドリルシャフト（１）、ドリルシャフトに着脱自在に固定されかつドリル先端領域を形成する切削チップ（２）、ならびに切削チップ（２）内へと続いている切削溝（３）を有するドリルに関する。ドリルの中心縦軸（８）に対して直角に延びているドリルシャフト（１）の端面（７）の当接面（６）、当接面（６）から中央に突出する固定ジャーナル（９）およびこれに補足的に形成されたドリルシャフト（１）の端面（７）の収容凹部（１０）を有する。固定ジャーナル（９）の少なくとも１つの円周部分（１３）は、ドリルシャフト（１）からドリル回転方向（１８）へドリル先端（５）へ向かっており、かつ収容凹部（１０）の内壁（１４）において対向面（１９）と協働するねじ面（１６）が第２長手部分（１７）へと移行するような第１長手部分（１５）を有している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 本発明は交換可能な切削チップを有するドリルに関する。この種のドリルはド
リルシャフト上に切削チップが着脱自在に固定されている。ドイツ特許出願公開
公報第１９６０５１５７Ａ１号から、ジャーナルを有する切削チップがドリルシ
ャフト端面側の収容凹部へ突出し、そこでドリル縦軸に対して横方向に配置され
たねじによって固定されるドリル工具が公知である。国際特許公表公報第ＷＯ９
８/５３９４３号から公知のドリル工具では、切削チップは軸方向とドリル回転
方向との両方に作用するプレスばめでドリルシャフトに固定される。

【０００２】 本発明の課題は、切削チップを別の方法で固定するドリルを提供することにあ
る。

【０００３】 この課題は、請求項１の特徴を有するドリルにより解決される。

【０００４】 切削チップは当接面でドリルシャフトの端面に当接し、この当接面の中央に突
出している固定ジャーナルによって、ドリルシャフト端面に補足的に形成されて
いる収容凹部内へ入り込んでいる。凹部の内壁とそのつど協働する固定ジャーナ
ルの円周領域は２つの長手部分を有している。すなわち、ドリル先端を指してい
る第１長手部分はドリル回転方向に、また、収容凹部の内壁の対向面と協働する
ねじ面と共に第２長手部分へと移行する。このような形態ではドリル先端はその
固定ジャーナルによって簡単に収容凹部内にはめ込まれ、ドリル回転方向と逆向
きに固定される。この場合、ねじ面は収容凹部の対向面の方へ押し上げられ、切
削チップがその当接面によってドリルシャフトの端面へ押し付けられる。ドリル
の作動中はこの固定はさらに増強される。

【０００５】 望ましい実施形態では固定ジャーナルの第２長手部分はその自由端に向かって
先細になる。同様に収容凹部もその底部に向かって狭くなる。したがって、収容
凹部を取り囲んでいるこの領域のシャフト壁が強化され、より安定化される。こ
のため、ドリル縦軸に対して横方向に切削チップに作用する力に関してはこのド
リルシャフトは、たとえばあり継ぎ状にその底部に向かって拡張している収容凹
部の場合よりも安定的である。収容凹部における固定ジャーナルの収容および中
心合わせの十分な安定性は、固定ジャーナルの自由端に円筒状に円周面が配設さ
れ、またそれに続いてねじ面まで延びている領域には円錐形の円周面が配設され
ている場合に保証される。

【０００６】 別の実施形態では、切削チップとドリルシャフトとの間の軸方向の固定を図り
、かつ切削チップに対し一定の最終位置を作るために、ドリルシャフトの端面か
ら回転ストッパが突出し、このストッパは切削チップの当接面において補足的に
形成されている凹部内へと入り込んでいる。さらに、ドリルヘッドの当接面およ
びドリルシャフトの端面も好適にはそれぞれドリル縦軸に対して直角に延びてい
る。ねじ面はドリル縦軸に対して９０°の角度を成すことができる。ただし、ね
じ面が斜めに配置され、９０°以下で４５°以上の角度を成すのが望ましい。特
に望ましい角度は６０°である。ねじ面を斜めに配置することにより、切削チッ
プは軸方向の固定力に加えて、ドリルの中心縦軸に対するドリルの中心合わせ力
が得られる。

【０００７】 本発明を添付の図面に示された実施例に基づき、以下に詳細に説明する。

【０００８】 図に示されたドリルはドリルシャフト１および切削チップ２から成る。図１〜
図５によるドリルにおける切削チップ２ａは三刃である。したがって、ドリルシ
ャフト１には合計３本の切削溝３が存在し、これらの溝は切削溝部分３ａが切削
チップ２ａ内へ続いている。切削チップは３つの主刃４を有し、これらの主刃は
特に図３による平面図から見てとれるようにほぼ星形に配置され、ドリル先端５
で交わっている。切削チップが三刃であることから、同様に図３による平面図か
ら見てとれるように、ほぼ三又の星形を示すことになる。

【０００９】 切削チップ２ａはドリルシャフト１の端面７に平面的に置かれている平坦な当
接面６を有する。当接面６および端面７はドリルの中心縦軸８に対して直角に延
びている。当接面６には中心縦軸８の方向へ延びる中心固定ジャーナル９が設置
されている。固定ジャーナル９は、組立て状態ではドリルシャフト１内に補足的
に形成されている収容凹部１０内に差し込まれ、そこで軸方向に働くアンダカッ
トにより固定される。収容凹部１０は、端面７内へ延びている側面開口部１１と
共に切削溝３に到達する。図１による組立て状態では、ドリルシャフト１の切削
溝部分３ａおよび切削溝３を形成している切削面領域は互いに一直線に並んでお
り、その場合これらは切削チップ２ａとドリルシャフト１との間の分離継ぎ目１
２によってのみ隔てられている。

【００１０】 切削溝部分３ａ は固定ジャーナル９を３つの円周部分１３に分割し、これら
の円周部分は収容凹部１０の内壁１４と協働する。固定ジャーナル９は第１長手
部分１５を有し、この第１長手部分は、ドリル先端５に向かい、かつ、半径方向
肩部として円周部分１３から離れているねじ面１６で第２長手部分１７へ移行し
ている。ねじ面１６はドリル回転方向１８でドリル先端５に向かっており、収容
凹部１０の内壁１４に補足的に形成されている対向面１９と協働する。ドリルシ
ャフト１に切削チップを固定するためには、切削チップは、その円周部分１３が
開口部１１の領域に位置するように、固定ジャーナル９により収容凹部１０内へ
はめ込まれる。ドリル回転方向１８と逆向きに回転すれば、ねじ面１６は内壁１
４の対向面１９の下へ達し、その結果切削チップは矢印２０の方向へ当接面６と
共に端面７へ押し付けられる。

【００１１】 内壁１４と協働する第２長手部分１７の面は、図６に示されているように部分
円筒面とすることができる。図７による実施例では第２長手部分１７はドリルシ
ャフトに向かって円錐状に先細となる。しかし特に図２による形態が望ましく、
この場合、円錐部分２１がねじ面１６に接続し、さらに円筒部分２２へと移行す
る。円筒部分２２は収容凹部１０における切削チップ２ａの中心合わせに働く。
円筒部分２２の直径は、円筒部分から先端方向へ続き、かつ軸方向固定に必要な
ねじ面１６を支えている部分に対して直径を小さくされる。したがって円筒部分
２２と協働する収容凹部１０の領域２３も小さな内径にすることができる。この
ことは領域２３における壁の厚み２４がより大きくなることを意味し、同時に安
定性も高いことを意味する。この領域２３ではてこ作用によりかなりの圧力が生
じる。しかしこの領域におけるより大きな壁の厚み２４がドリルシャフト１の安
定性の向上を保証する。

【００１２】 切削チップ２の固定ジャーナル９におけるねじ面１６は原則としてドリルない
し切削チップの中心縦軸８に対して９０°の角度を形成する。しかしねじ面１６
を斜めに配置し、中心縦軸８に対して＜９０°で≧４５°の角度αを形成すると
有利である。

【００１３】 図８〜図１２は２つの切削溝を有するドリル、したがって二刃切削チップ２ｂ
を有するドリルを示している。このドリルの固定ジャーナル９および収容凹部の
形態は上述のドリルの形態と同じである。異なる点は、ドリルシャフト１の端面
から２つの回転ストッパ２５が突出していることである。これらの回転ストッパ
２５は直径上で対向しており、４つの面によりほぼくさび形を形成している。こ
の回転ストッパの外側面２６はドリルシャフト１の円周面により形成されている
。また内側面２７は、切削チップ２ｂの当接面において回転ヘッド２５を収容す
る凹部２９の壁の一部である補足的に形成されている対向面２８と協働する。さ
らに回転ストッパは２つの傾斜面も有し、１つの傾斜面３０はドリル回転方向１
８を指しており、それぞれが端面７ａへ移行している。別の傾斜面３１はドリル
回転方向と逆向きを指しており、切削溝３を形成する切削面３２の一部である。
傾斜面３０は、対向ストッパ面として凹部２９の壁により形成されている傾斜面
３３と協働する。

【図面の簡単な説明】

【図１】 ３本の切削溝および１個の三刃切削チップを有するドリル上部の側面図。

【図２】 図１による切削チップの側面図。

【図３】 図２におけるチップの矢印ＩＩＩ方向から見た平面図。

【図４】 切削チップを取り外した図１によるドリルシャフトの側面図。

【図５】 図４における矢印Ｖ方向から見たドリルシャフト端面の平面図。

【図６】 切削チップの別の実施例の縦断面図。

【図７】 切削チップの別の実施例の縦断面図。

【図８】 二刃切削チップを有するドリル上部の側面図。

【図９】 切削チップを取り外したドリル上部長手部分の側面図。

【図１０】 図９における矢印Ｘ方向から見た平面図。

【図１１】 二刃切削チップの側面図。

【図１２】 図１２における矢印ＸＩＩ方向から見た平面図。

【符号の説明】

１ ドリルシャフト ２ 切削チップ ３ 切削溝 ３ａ 切削溝部分 ４ 主刃 ５ ドリル先端 ６ 当接面 ７ 端面 ８ 中心縦軸 ９ 固定ジャーナル １０ 収容凹部 １１ 開口部 １２ 分離継ぎ目 １３ 円周部分 １４ 内壁 １５ 第１長手部分 １６ ねじ面 １７ 第２長手部分 １８ ドリル回転方向 １９ 対向面 ２０ 矢印 ２１ 円錐部分 ２２ 円筒部分 ２３ 領域 ２４ 壁の厚み ２５ 回転ストッパ ２６ 外側面 ２７ 内側面 ２８ 対向面 ２９ 凹部 ３０ 傾斜面 ３１ 傾斜面 ３２ 切削面 ３３ 傾斜面 α 角度

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ドリルシャフト（１）、このドリルシャフトに着脱自在に固定
   されかつドリル先端領域を形成している切削チップ、およびドリルシャフト（１
   ）に配設されかつ切削チップ（２）内へ続いている少なくとも１本の切削溝（３
   ）を有し、切削チップがドリルの中心縦軸（８）に対して直角に延びている当接
   面（６）でドリルシャフト（１）の端面（７）に当接し、かつ当接面（６）から
   中央に突出している固定ジャーナル（９）がこれに補足的に形成されたドリルシ
   ャフト（１）の端面（７）の収容凹部（１０）内へ入り込んで延びているドリル
   において、固定ジャーナル（９）の少なくとも１つの円周部分（１３）が第１長
   手部分（１５）を有し、この第１長手部分はドリルシャフト（１）からドリル回
   転方向（１８）にドリル先端（５）へ向かって、収容凹部（１０）の内壁（１４
   ）における対向面（１９）と協働するねじ面（１６）と共に第２長手部分（１７
   ）へ移行することを特徴とする交換可能な切削チップを有するドリル。
2. 【請求項２】 第２長手部分（１７）がその自由端へ向かって先細になること
   を特徴とする請求項１記載のドリル。
3. 【請求項３】 自由端を形成する第１ジャーナル部分（２２）が円筒状の円周
   面を有し、ねじ面（１６）にまで達する第２ジャーナル部分（２１）が円錐状の
   円周面を有することを特徴とする請求項２記載のドリル。
4. 【請求項４】 ドリルシャフト（１）の端面（７）から突出して切削チップ（
   ２）の当接面（６）の凹部内へ入り込んでいるほぼ補足的に形成された回転スト
   ッパ（２５）を備えていることを特徴とする請求項１，２または３記載のドリル
   。
5. 【請求項５】 ねじ面（１６）がドリル縦軸（８）に対して９０°〜４５°の
   角度（α）を成すことを特徴とする請求項１ないし４の１つに記載のドリル。
6. 【請求項６】 角度（α）が６０°であることを特徴とする請求項５記載のド
   リル。