JP2003504559A - 燃料噴射弁 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は、燃料流入部と、弁閉鎖部材（２１）を運動可能にする励磁可能な操作装置（１，２，２６，３５）と、弁の開閉のために前記弁閉鎖部材（２１）と協働する、弁座部材（２９）に形成された不動の弁座（３２）と、該弁座（３２）の下流側に設けられた燃料流出部（３３）と、内部に長孔（１８）を有しており且つ弁座部材（２９）を収容しているスリーブ状の接続部材（１６）とを備えた燃料噴射弁に関する。前記の肉薄の接続部材（１６）は、半径方向で延びる少なくとも１つの凹所（４３）を有しており、この凹所には緩衝部材（４５）が配置されているので、前記接続部材（１６）の軸方向振動が緩衝され、これにより、弁座（３２）における弁閉鎖部材（２１）の跳返りを効果的に阻止することができる。この弁は、特に混合気圧縮型の火花点火式の内燃機関に設けられた燃料噴射装置において使用するために適している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 背景技術 本発明は、請求項１の上位概念に記載の形式の燃料噴射弁から出発する。

【０００２】 米国特許第４７６６４０５号明細書に基づき、請求項１の上位概念に記載の形
式の燃料噴射弁は既に公知である。この公知の燃料噴射弁は弁ニードルと結合さ
れた弁閉鎖体を有しており、この弁閉鎖体は、弁座体に形成された弁座面と、密
な弁座を形成するように協働する。燃料噴射弁の電磁操作のためには電磁コイル
が設けられており、この電磁コイルは、弁閉鎖体と一緒に弁ニードルを形成して
いる可動子と協働する。燃料噴射弁の閉鎖時の、弁閉鎖体の弁座面からの跳返り
を減少させるためには、可動子の外周面に緩衝部材が配置されている。さもない
と、弁ニードル若しくは弁閉鎖体の跳返りは、燃料噴射弁の制御されていない一
時的な開放を生ぜしめ、延いては燃料調量の量を再現不能にし且つ制御されない
噴射特性を生ぜしめる。

【０００３】 発明の利点 請求項１の特徴部に記載の構成を有する本発明による燃料噴射弁は、弁ニード
ルの起こり得る跳返りをより一層効果的に減少させることができるという利点を
有している。更に、本発明による燃料噴射弁は、有利な形式で簡単且つ廉価に製
作可能である。

【０００４】 更に、本発明により緩衝部材を配置したことに基づき、燃料噴射弁の運転時の
ノイズが減少される。

【０００５】 請求項２以下に記載の手段に基づき、請求項１記載の燃料噴射弁の有利な改良
が可能である。

【０００６】 緩衝部材を、燃料噴射弁の外周面において半径方向内側に突入している凹所に
もたらすことが有利である。それというのも、この場合は製作・組込み手間が特
に小さいからである。

【０００７】 特に有利には、少なくとも１つの凹所を接続部材／弁座支持体に、当該凹所が
３６０°だけ周回するように形成することである。この場合、前記凹所は特にバ
レル研磨によってもたらされてよい。

【０００８】 特に、緩衝部材は、前記凹所を概ね満たす緩衝材料としてのエラストマ材料で
あってよい。この場合、緩衝材料は、特に簡単且つ廉価に、注入又は外装射出成
形によってもたらすことが可能である。択一的に、射出されるエラストマ材料の
代わりに緩衝リング又はチューブ部材の形の緩衝部材も使用され得る。この緩衝
部材用にもエラストマを使用してよい。

【０００９】 実施例の説明 以下に、本発明の実施例を図面につき詳しく説明する。

【００１０】 図１に部分的に示した、混合気圧縮型の火花点火式の内燃機関に設けられる燃
料噴射装置のための燃料噴射弁の形の電磁操作可能な弁は、特に燃焼室（図示せ
ず）に燃料を直接に噴射するために適している。この燃料噴射弁は、電磁コイル
１によって取り囲まれた管状のコア２を、いわゆる内部磁極として有している。
コイル体３は、電磁コイル１の巻成体を収容しており、コア２との関連において
、電磁コイル１の領域における噴射弁の特にコンパクトな構造を可能にする。励
磁可能な操作部材としては、電磁回路に代えてピエゾアクチュエータ又は磁気ひ
ずみアクチュエータも適している。

【００１１】 コア２の下側のコア端部９には、弁長手方向軸線１０に対して同心的に管状の
金属の中間部材１２が密に、例えば溶接によって結合されており、前記コア端部
９を部分的に軸方向で取り囲んでいる。コイル体３及び中間部材１２の下流側に
は、予め成形された概ね管状の弁座支持体１６が延びており、この弁座支持体１
６は、例えば中間部材１２に固定的に結合されている。接続部材として役立ち且
つ肉薄のスリーブを成している前記弁座支持体１６内には長孔１８が延びている
。この長孔１８内には、例えばロッド状の弁ニードル１９が配置されており、こ
の弁ニードル１９の下流側の端部は弁閉鎖区分２１を有している。

【００１２】 噴射弁の操作は、例えば電磁式等の公知の形式で行われる。弁ニードル１９の
軸方向運動のため、延いては噴射弁の、戻しばね２５のばね力に抗した開放若し
くは閉鎖のためには、電磁コイル１、コア２及び可動子２６を備えた電磁回路が
働く。前記可動子２６は、弁閉鎖区分２１とは反対の側の弁ニードル１９の端部
に溶接シームによって結合されており且つコア２に対して位置調整されている。
下流側に位置する、弁座支持体１６のコア２とは反対の側の端部の長孔１８には
、ガイド・弁座ユニットが溶接によって密に組み込まれている。

【００１３】 このガイド・弁座ユニットは、端面がすぐ相接して位置する３つのディスク状
部材を有している。この場合、下流側に向かって、ガイド部材２７、スワール部
材２８及び弁座部材２９が相次いでいる。ガイド部材２７とスワール部材２８と
が完全に長孔１８の内部に配置されているのに対して、段付けされた外側輪郭を
備えた弁座部材２９は、部分的にしか長孔１８に突入していない。外側に向かっ
て突出しているショルダ３０の領域において、弁座部材２９は弁座支持体１６の
下流側の端面と固定的に密に結合されている。ガイド部材２７、スワール部材２
８及び弁座部材２９も互いに重なり合ってやはり固定的に結合されており、この
場合、これらの３つの部材、即ちガイド部材２７、スワール部材２８及び弁座部
材２９の外周面には溶接シームが施される。

【００１４】 弁長手方向軸線１０に沿った軸方向運動中に弁ニードル１９をガイドするため
には、中間部材１２のガイド開口及びガイド部材２７に設けられたガイド開口が
役立つ。下流側を、例えば円錐形にテーパされている弁閉鎖区分２１は、流れ方
向で截頭円錐形にテーパされている弁座部材２９の弁座面３２と協働する。この
弁座面３２から出発して、少なくとも１つの流出開口３３が前記弁座部材２９を
貫通して延びている。図示の実施例では、前記流出開口３３は、凸面に湾曲され
た弁座部材２９の噴射域で終わる弁長手方向軸線１０に対して傾斜されて構成さ
れている。流出開口３３を通流する燃料には渦流が生ぜしめられる。それという
のも、内部に例えば接線方向で延びる複数の渦流通路が設けられたスワール部材
２８において、弁座面３２の手前で霧化を改善する渦流コンポーネントが燃料に
影響を及ぼすからである。

【００１５】 弁ニードル１９の一方の最終位置が、電磁コイル１が励磁されていない状態で
は弁閉鎖区分２１の弁座面３２への当接に基づき規定されているのに対して、弁
ニードル１９の他方の最終位置は、電磁コイル１の励磁状態において、可動子２
６のコア２のコア端部９への当接に基づき得られる。両最終位置間の距離区間は
、弁行程を成している。電磁コイル１はポット状の弁ケーシング３５によって取
り囲まれており、この弁ケーシング３５は、いわゆる外部磁極として働く。弁ケ
ーシング３５の、弁座部材２９に面した下端部は、弁座支持体１６に、例えば溶
接シームによって固定的に取り付けられている。

【００１６】 例えば磁束を案内するフェライト材料から成る弁座支持体１６は、可動子２６
と、弁閉鎖区分２１を備えた弁ニードル１９とから成る軸方向可動の弁部材並び
に部分的にガイド・弁座ユニットを包囲している。フェライト材料の代わりに弁
座支持体１６用には、例えば極めて良好な変形性を有するオーステナイト材料を
使用してもよい。弁座支持体１６は細長く構成されており、この場合、この弁座
支持体１６は噴射弁の軸方向総延在長さの半分又はそれ以上を構成していてよい
。弁座支持体１６のこの構成により、噴射弁の噴射ポイントを更にずっと前方に
設定することができ、このことは、独自の形状及び制限された構造スペースに基
づき特定の内燃機関において好ましくてよい。このように、燃料噴射弁を直接噴
射弁として使用する場合は、噴射ポイントを燃焼室の所望の位置に最適に設定す
ることができる。吸気管噴射用の噴射弁の慣例の組込み位置の場合、前記のよう
な構成は、燃料噴射弁の下流側の端部、延いてはその調量・噴射域が、吸気管に
著しく突入しているということを意味する。これにより、１つ又は複数の吸気弁
に対する適切な噴射に基づいて吸気管の壁濡れが概ね阻止され、その結果、内燃
機関の排ガス放出量が減少され得る。

【００１７】 弁座支持体１６のために比較的安価なスリーブを使用することにより、比較的
大きな外径に基づきかさばり且つ製作に際して弁座支持体１６よりも高くつく、
噴射弁において慣例の旋削部材を省略することが可能である。

【００１８】 弁座支持体１６の外周面に設けられた溝４０に配置されたシール部材４１は、
噴射弁の周面と、シリンダヘッド又は内燃機関の吸気管に設けられた弁収容部（
図示せず）との間をシールするために役立つ。このシール部材４１は、例えばＰ
ＴＦＥ等のプラスチックから製作されている。

【００１９】 弁座支持体１６は、シール部材４１を収容している溝４０に加えて付加的に、
半径方向内側に向けられた少なくとも１つの凹所４３が、例えば周方向を完全に
巡る、例えば溝の形で設けられているという点において優れている。２つの凹所
４３を備えた図面から判るように、弁座支持体１６の軸方向長さにわたって複数
の半径方向の凹所４３が形成されていてもよい。弁座支持体１６の別の延在域に
は、周面にわたって配分された、剛性を高める複数の凹設加工成形部がエンボス
加工部４４の形で設けられていてもよい。この場合、これらのエンボス加工部４
４は、前記凹所４３とは異なり比較的大きな長手方向延在部を有している。例え
ば深絞り加工によって、又は１本の管から変形加工によって製作された弁座支持
体１６には、少なくとも１つの凹所４３が、例えばバレル研磨（Rollieren)によ
って設けられる。図示の、弁座支持体１６を備えた燃料噴射弁の１実施例では、
下流側に向かってまず、周面にわたって配分されたエンボス加工部４４、次いで
軸方向で見て連続しており且つ半径方向で見て環状の２つの凹所４３、次いでや
はり周面にわたって配分された長めのエンボス加工部４４、その後にシール部材
４１のための環状の溝４０が続いている。

【００２０】 本発明では、半径方向内側に突入している弁座支持体１６の少なくとも１つの
凹所４３が、弁座支持体１６の外周面からもたらすことのできる緩衝部材４５を
有している。この緩衝部材４５は、弁座３２において制動される弁ニードル１９
により弁閉鎖時に生ぜしめられる弁座支持体１６の軸方向振動を緩衝するという
課題を有している。このようにして効果的に、弁閉鎖区分２１を備えた弁ニード
ル１９の、弁座３２における跳返りが防止され得る。

【００２１】 前記緩衝部材４５は、様々な変化態様で、少なくとも１つの凹所４３に設けら
れてよい。図示のように、凹所４３に緩衝材料を充填するという可能性がある。
緩衝材料としては、例えばプラスチック外装射出成形部を製作するための公知の
プラスチック射出成形過程に類似した注入又は外装射出成形によって凹所４３に
充填されるエラストマ材料が適している。凹所４３は、例えば半径方向外側の縁
部域まで完全に充填されていてよい。射出されるエラストマ材料の代わりに、択
一的に緩衝部材４５は、例えばＯリング形の緩衝リングの形で、又は例えば中空
室を備えたチューブ部材の形で使用されてもよい。これらの緩衝部材４５にもエ
ラストマを使用することができる。但し、別の緩衝材料も同様に、弁座支持体１
６の凹所４３に使用するために考えられる。

【００２２】 図面には、半径方向内側に突入し且つ緩衝部材４５で満たされた凹所４３を備
えた１実施例しか示していない。長孔１８から半径方向外側に突出しており且つ
外周面から見た場合に***部を成している凹所４３′も同様に、緩衝部材４５を
有していてよい。例えば、２つの凹所４３の間に形成された、半径方向外向きに
突出している逆向きの凹所４３′にも、やはり緩衝部材４５が充填されていてよ
い。内側に突入している凹所４３のみ、又は外側に突出している凹所４３′のみ
に緩衝部材４５が設けられていてもよいし、凹所４３，４３′の両方に緩衝部材
４５が設けられていてもよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の１実施例を略示した図である。

【符号の説明】 １ 電磁コイル、 ２ コア、 ３ コイル体、 ９ コア端部、 １０ 弁
長手方向軸線、 １２ 中間部材、 １６ 弁座支持体、 １８ 長孔、 １９
弁ニードル、 ２１ 弁閉鎖区分、 ２５ 戻しばね、 ２６ 可動子、 ２
７ ガイド部材、 ２８ スワール部材、 ２９ 弁座部材、 ３０ ショルダ
、 ３２ 弁座面、 ３３ 流出開口、 ３５ 弁ケーシング、 ４０ 溝、
４１ シール部材、 ４３ 凹所、 ４４ エンボス加工部、 ４５ 緩衝部材

Claims (10)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 燃料流入部と、弁閉鎖部材（２１）を運動可能にする励磁可
   能な操作装置（１，２，２６，３５）と、弁の開閉のために前記弁閉鎖部材（２
   １）と協働する、弁座部材（２９）に形成された不動の弁座（３２）と、該弁座
   （３２）の下流側に設けられた燃料流出部（３３）と、内部に長孔（１８）を有
   し且つ前記弁座部材（２９）を収容している接続部材（１６）とを備えた燃料噴
   射弁において、 接続部材（１６）が、スリーブ状で肉薄に構成されており且つ半径方向で延び
   る少なくとも１つの凹所（４３，４３′）を有しており、該凹所に緩衝部材（４
   ５）が配置されていることを特徴とする燃料噴射弁。
2. 【請求項２】 凹所（４３）が、外周面から半径方向内側に向けられている
   、請求項１記載の燃料噴射弁。
3. 【請求項３】 凹所（４３′）が、長孔（１８）から半径方向外側に向けら
   れている、請求項１記載の燃料噴射弁。
4. 【請求項４】 凹所（４３，４３′）が、３６０°だけ周回するように形成
   されている、請求項１から３までのいずれか１項記載の燃料噴射弁。
5. 【請求項５】 接続部材（１６）が、深絞り加工によって加工成形可能であ
   る、請求項１から４までのいずれか１項記載の燃料噴射弁。
6. 【請求項６】 凹所（４３，４３′）が、緩衝材料（４５）としてのエラス
   トマ材料で満たされており、前記緩衝材料（４５）が、注入又は外装射出成形に
   よってもたらされる、請求項１から５までのいずれか１項記載の燃料噴射弁。
7. 【請求項７】 凹所（４３，４３′）に、緩衝リング、特にＯリングの形の
   緩衝部材（４５）が設けられている、請求項１から５までのいずれか１項記載の
   燃料噴射弁。
8. 【請求項８】 凹所（４３，４３′）に、チューブ部材の形の緩衝部材（４
   ５）が設けられている、請求項１記載の燃料噴射弁。
9. 【請求項９】 凹所（４３，４３′）がバレル研磨によってもたらされる、
   請求項１から８までのいずれか１項記載の燃料噴射弁。
10. 【請求項１０】 接続部材（１６）が、磁束を案内するフェライト材料から
    成っている、請求項１から９までのいずれか１項記載の燃料噴射弁。